【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホスホリルコリン基含有単量体を含む単量体組成物の重合体してなる重合体よりなるインスリン分泌促進ならびにエンドセリン−1生産抑制物質に関する。
【0002】
【従来の技術】
インスリンは膵臓ランゲルハンス島B(βとも言う)細胞から分泌されるホルモンで、その主な生理作用は血糖を下げることにあり、筋では糖、アミノ酸、カリウムの取り込みの促進、グリコーゲン合成、タンパク質合成の促進、脂肪組織では糖の取り込み及び利用促進、脂肪の合成促進及び分解抑制、タンパク質の合成促進、肝では糖新生の抑制、グリコーゲンの合成促進及び分解抑制、タンパク質の合成促進等の作用がある。そして、標的組織の細胞膜上にはインスリン受容体が存在する。食事等により血糖値が上がると、インスリンが膵臓から分泌され、上記作用により血糖値を正常に保つ。
糖尿病は、インスリンの欠乏、または作用の不足によって、ブドウ糖の代謝に異常が起こり、血液中のブドウ糖が増えすぎて尿の中に糖が溢れてきた状態で、慢性的に高血糖状態が続いている病気である。
糖尿病には、I型糖尿病(インスリン依存型)とII型糖尿病(インスリン非依存型)があり、糖尿病の大部分はII型糖尿病である。I型糖尿病は、主に15才未満の子供に見られ、「若年型糖尿病」とも呼ばれてきた。膵臓B細胞が、なんらかの原因でインスリンを分泌できなくなり、高血糖として発症する。
II型糖尿病は、インスリンの分泌量が低下しているか(インスリン分泌不全)、インスリンの血糖を下げる作用が弱くなって(インスリン抵抗性)発症するもので、遺伝素因の他に、エネルギーの過剰摂取や栄養の偏った食生活、運動不足、ストレスが大きくかかわっており、日本人の糖尿病の90%を占めている。その治療にかならずしもインスリンを必要としないが、血糖値をコントロールするためにインスリン投与が必要になることもある。
インスリンは21個のアミノ酸残基からなるA鎖と30個のアミノ酸残基からなるB鎖から構成されるペプチドで、A鎖とB鎖は2箇所のジスルフィド結合で結合されている。インスリンは膵臓B細胞の粗面小胞体で前駆体であるプロインスリンとして合成され、インスリンに転換後、B顆粒内に貯蔵され、分泌刺激に応じて血中に放出される。分泌は主としてグルコースにより促進されるが、その他の分泌促進因子としては、マンノース等の糖、アルギニン、リジン等のアミノ酸、グルカゴン、ガストリック・インビビトリー・ポリペプチド等のペプチドホルモン、迷走神経刺激剤、交感神経系β受容体刺激剤、交感神経系のα受容体遮断剤、スルホニル尿素剤等がある。
糖尿病の症状を改善するには、インスリンを直接注射する療法の他に、トルブタミド、クロルブロバミド、アセトヘキサミド、グリクロビラミド、グリベンクラミド、グリクラチド等のスルホニル尿素剤のように膵臓B細胞に直接働き、インスリンの分泌を促進する薬剤を服用する方法がある。この場合、インスリンの分泌を促進させるためには、膵臓からインスリンが分泌されていることが必要であり、インスリン非依存型のII型糖尿病に用いられる。他に、糖質の消化・吸収を遅らせる効果があり、食後の急激な血糖の上昇を抑制するα−グルコシダーゼ阻害剤を服用する方法もある。
【0003】
エンドセリン−1は、血管内皮細胞の産生する強力な血管収縮ペプチドで21残基のアミノ酸からなる。他に2種のイソフォームであるエンドセリン−2、エンドセリン−3が知られている。これらのエンドセリンは、標的細胞のエンドセリン受容体を介してホスホリパーゼCの活性化、カルシウムチャンネルの開口など多様な細胞内シグナル伝達系を活性化する。エンドセリン−1は、血管内皮細胞に存在するエンドセリン変換酵素の働きでビッグエンドセリンから生成する。エンドセリン−1の濃度上昇は、血圧や心疾患等の病気と関連があると言われており、エンドセリン受容体拮抗物質、エンドセリン変換酵素阻害物質が種々開発されている。
また、赤ワインの消費が心臓病による死亡を減少させるという疫学的調査があり、赤ワイン抽出液や赤ワインに含まれるポリフェノール(piceatannnol、delphinidin等)がエンドセリン−1の産生を抑制することも報告されている(Nature,414,863−864,(2001))。他に、大豆イソフラボン(ゲニステイン・ダイゼイン)がエンドセリン−1の産生を抑制することも知られている。
エンドセリン−1は血管ばかりでなく種々の組織細胞で産生され、様々な生理的役割を担っていることがわかってきた。例えば、紫外線が肌にあたるとエンドセリン変換酵素が活発に働き、ケラチノサイトにあるビッグエンドセリンを分解してエンドセリン−1を産生する。エンドセリン−1は、メラノサイトを刺激して、メラニンを盛んに合成させシミ・ソバカスが増加し易くなる(J.Invest.Dermatol, 100,23−26(1993))。
現在、市場にある美白化粧品の多くはチロシナーゼ活性を抑制する働きを持つが、カミツレの花から抽出して得られるカミツレエキスにはこのエンドセリンの働きを抑える作用があり、結果としてメラニンの産生を抑制することから新しいタイプの美白化粧品として販売されている。
【0004】
ホスホリルコリン基含有重合体は、生体膜に由来するリン脂質類似構造に起因して、血液適合性、補体非活性化、生体物質非吸着性等の生体適合性に優れ、また防汚性、保湿性等の優れた性質を有することが知られており、それぞれの機能を生かした生体関連材料の開発を目的とした重合体の合成及びその用途に関する研究開発が活発に行われている。例えば、マウスハイブリドーマにおいて、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート単独重合体や、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートと2−(メタクリロイルオキシ)エチル−ブチレートとの共重合体が抗体産生量を増加させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、これら重合体が、インスリン分泌促進作用を有すること、並びにエンドセリン−1産生抑制作用を有することについては知られていない。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−304882号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
20歳以上の日本人の690万人が糖尿病といわれており、その殆どがインスリン非依存型のII型糖尿病であり、インスリンの分泌量が低下した患者に有効なインスリン分泌促進剤は医薬品としてのみならず、特定保健用食品、機能性食品の素材としても常に求められている。また、エンドセリン−1合成抑制に基づいてより安全に心臓病を予防する、あるいは美白効果のある新規物質は医薬品としてのみならず、特定保健用食品、機能性食品、化粧品の素材としても常に求められている。
本発明の目的は、医薬、食品分野で利用可能な、安全で且つ、副作用のないインスリン分泌促進剤を提供することである。
本発明の別の目的は、医薬、食品、化粧品分野で利用可能な、安全で且つ、副作用のないエンドセリン−1産生抑制剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のホスホリルコリン類似基含有単量体を含む単量体組成物を重合して得られるリン脂質系高分子が膵臓B細胞を刺激して、インスリン分泌を促進することを見出し、また、該リン脂質系高分子が血管内皮細胞に働いてエンドセリン−1の産生を抑制することを見出した。
即ち、本発明によれば、式(1)で表されるホスホリルコリン類似基含有単量体(以下、PC単量体と略す)を含む単量体組成物(A)を重合してなる重合体(以下、PC重合体)を有効成分とするインスリン分泌促進剤又はエンドセリン−1産生抑制剤が提供される。
【化5】
(式中、Xは2価の有機残基を示し、Yは炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示し、Zは水素原子もしくはR5−O−(C=O)−(但しR5は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示す)を示す。また、R1は水素原子もしくはメチル基を示し、R2、R3及びR4は同一もしくは異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。mは0又は1を示す。nは1〜4の整数である。)
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のインスリン分泌促進剤又はエンドセリン−1産生抑制剤は、前記式(1)で示されるPC単量体を含む単量体組成物(A)を重合してなるPC重合体を有効成分とする。
前記PC単量体を示す式(1)において、Xは、例えば、−C6H4−、−C6H10−、−(C=O)−O−、−O−、−CH2O−、−(C=O)NH−、−O−(C=O)−、−O−(C=O)−O−、−C6H4−O−、−C6H4−CH2−O−、−C6H4−(C=O)−O−等の2価の有機残基を示す。Yは、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示す。Zは、水素原子もしくはR5−O−(C=O)−基を示す。
ここで、R5は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基、又は例えば、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、2−ヒドロキシヘキシル基、7−ヒドロキシヘプチル基、2−ヒドロキシヘプチル基、8−ヒドロキシオクチル基、2−ヒドロキシオクチル基、9−ヒドロキシノニル基、2−ヒドロキシノニル基、10−ヒドロキシデシル基、2−ヒドロキシデシル基等の炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示す。
【0009】
前記PC単量体としては、例えば、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6−((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリシクロヘキシルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリフェニルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメタノールアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(ビニルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(アリルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(p−ビニルベンジルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(p−ビニルベンゾイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(スチリルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(p−ビニルベンジル)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(ビニルオキシカルボニル)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(アリルオキシカルボニル)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(アクリロイルアミノ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(ビニルカルボニルアミノ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、エチル−(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)フマレート、ブチル−(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)フマレート、ヒドロキシエチル−(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)フマレート、エチル−(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)マレート、ブチル−(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)マレート、ヒドロキシエチル−(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)マレート等を挙げることができる。中でも2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが好ましく、更に2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(2−(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリンともいう、以下、MPCと略す)が入手性等の点でより好ましい。
【0010】
前記PC単量体は、公知の方法で製造できる。例えば、特開昭54−63025号公報、特開昭58−154591号公報等に示された公知の方法等に準じて製造することができる。
【0011】
前記単量体組成物(A)は、PC単量体の他に重合可能な他の単量体等を含んでいても良く、このような他の単量体としては、例えば、疎水性単量体等が挙げられる。
前記疎水性単量体としては、式(2)で表される疎水性単量体が好ましく挙げられる。
【0012】
【化6】
式(2)中、L1は、−C6H4−、−C6H10−、−(C=O)−O−、−O−、−(C=O)NH−、−O−(C=O)−又は−O−(C=O)−O−を示し、L2は、水素原子、−(CH2)g−L3又は((CH2)p−O)h−L3を示す。但し、g及びhは独立に1〜24の整数、pは3〜5の整数を示し、L3は、水素原子、メチル基、−C6H5、−O−C6H5を示す。
【0013】
前記式(2)で示される疎水性単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体等が挙げられる。これらは使用に際しては単独若しくは2種以上の混合物として用いられる。
【0014】
前記単量体組成物(A)は、前記PC単量体の1種又は2種以上からなるものでも良いが、PC単量体と前記疎水性単量体とを含むものが好ましい。この際のPC単量体と疎水性単量体との割合は、PC単量体が10〜90mol%、特に20〜80mol%が好ましく、疎水性単量が10〜90mol%、特に20〜80%が好ましい。
PC単量体が10mol%未満又は疎水性単量体が80mol%を超える場合は、ホスホリルコリン類似基(以下、PC基と略す)による効果を発揮させるのが困難であるので好ましくない。
【0015】
本発明において有効成分として含有するPC重合体は、前記単量体組成物(A)を重合したものであれば良く、通常のラジカル共重合により製造できる。
PC重合体の分子量は、重量平均で、通常5000〜5000000、好ましくは10000〜2000000の範囲である。該分子量が5000未満では、十分にインスリン分泌促進作用又はエンドセリン−1産生抑制作用を得ることが困難となり好ましくない。一方、該分子量が5000000より大きいとPC重合体を水性溶液とした場合、粘性が高くなりすぎて細胞増殖等の一般の生化学反応を阻害する恐れがあるため好ましくない。
【0016】
本発明のインスリン分泌促進剤及びエンドセリン−1産生抑制剤において、前記有効成分としてのPC重合体の含有量は、その投与経路、剤形等によって適宜変更しうるが、例えば、製剤とする場合には、製剤中に0.5〜50質量%含有させることが好ましく、また、機能性食品、特定保健用食品に添加して用いる場合には、例えば、該食品中に0.01〜50質量%含有させることが好ましい。
【0017】
本発明のインスリン分泌促進剤及びエンドセリン−1産生抑制剤は、前記PC重合体を含む有効成分をそのまま、若しくは該有効成分を、通常用いられる固体坦体、液体坦体、乳化分散剤等を用いて錠剤、粉剤、乳剤、カプセル剤等の所望の剤型に公知の方法等により調製することで得ることができる。
前記坦体としては、例えば、水、ゼラチン、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース、植物油等が挙げられる。
【0018】
本発明のインスリン分泌促進剤及びエンドセリン−1産生抑制剤は、医薬としての利用の他、様々な食品中に添加して機能性食品、特定保健用食品等として使用できる。かかる食品としては、例えば、清涼飲料、乳酸飲料、スープ、チーズ、ハム、菓子類等が挙げられる。また、ペットフード、飼料等に添加してペットや家畜の糖尿病等の改善にも利用することができる。
本発明のエンドセリン−1産生抑制剤は、美白作用等を期待して、化粧品や繊維処理剤等に添加して用いることもできる。
【0019】
本発明のインスリン分泌促進剤及びエンドセリン−1産生抑制剤の使用方法としては、例えば、静脈注射、直腸投与等の非経口的投与、あるいは経口的投与等が挙げられる。また、エンドセリン−1産生抑制剤を用いた化粧品等については、皮膚に直接塗布して用いることもできる。
【0020】
本発明のインスリン分泌促進剤及びエンドセリン−1産生抑制剤の投与量は、例えば、病気の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程度、又は投与方法等に応じて適宜決定することができる。例えば、軽症の糖尿病患者への経口投与の場合には、有効成分としてのPC重合体換算で、1日当たり1〜20mg/kgが好ましい。
【0021】
【実施例】
以下、合成例及び実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
合成例1:MPC/ブチルメタクリレート共重合体の合成
MPC 35.7g、ブチルメタクリレート4.3gをエタノール160gに溶解し4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹き込んだ後に、60℃でアゾビスブチロニトリル(以下、AIBNと略す)0.82gを加えて8時間重合反応させた。重合液を3リットルのジエチルエーテル中に撹拌しながら滴下し、析出した沈殿を濾過し、48時間室温で真空乾燥を行って粉末(これをポリマー1とする)29.6gを得た。ポリマー1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分析した。分析条件は20mMリン酸緩衝液(pH7.4)を溶離液とし、ポリエチレングリコールを標準物質とし、屈折率により検出した。更に、ポリマー1の共重合組成比を1H−NMRにより求めた。結果を表1に示す。
【0022】
合成例2:MPC/メトキシポリ(エチレンオキシド(付加モル数=4))モノメタクリレート)共重合体の合成
MPC23.0g、メトキシポリ(エチレンオキシド(付加モル数=4))モノメタクリレート)7.7gをエタノール160gに溶解して、4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹き込んだ後に、60℃でAIBN 0.82gを加えて8時間重合反応させた。重合液を3リットルのジエチルエーテル中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿を濾過し、48時間室温で真空乾燥を行って粉末(これをポリマー2とする)19.8gを得た。ポリマー2の分子量及び共重合組成比を合成例1と同様に分析した。結果を表1に示す。
【0023】
合成例3:MPC/2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体の合成
MPC 13.4g、50%2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液9.2gを水77gに溶解して、4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹き込んだ後に、60℃でコハク酸パーオキサイド0.15gを加えて8時間重合反応させた。重合液を3リットルのジエチルエーテル中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿を濾過し、48時間室温で真空乾燥を行って粉末(これをポリマー3とする)14.8gを得た。ポリマー3の分子量及び共重合組成比を合成例1と同様に分析した。結果を表1に示す。
【0024】
合成例4:MPC/ステアリルメタクリレート共重合体の合成
MPC 29.1g、ステアリルメタクリレート8.4gをエタノール204gに溶解し4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹き込んだ後に、60℃でAIBN 0.67gを加えて8時間重合反応させた。重合液を3リットルのジエチルエーテル中に撹拌しながら滴下し、析出した沈殿を濾過し、48時間室温で真空乾燥を行って粉末(これをポリマー4とする)30.1gを得た。ポリマー4の分子量及び共重合組成比を合成例1と同様に分析した。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
実施例1−1(インスリン分泌促進活性測定)
ラットの膵臓B株細胞RINm5F(ATCC CRL−2058)をDiabetes,Vol.34,p.717 (1985)に記載された方法を改良して培養した。即ち、RPMI1640培地(グルタミン300mg/lを含む、大日本製薬社製)に、炭酸水素ナトリウム2g/l、非働化処理したウシ胎児血清10%、ストレプトマイシン100μg/ml、ペニシリン100 units/mlを添加した培地を用いて、24穴(1穴2cm2)のマイクロプレートにて、5%CO2存在下、37℃で3日間前記細胞を培養した。次いで、古い培地を捨て、各穴当たり1mlの新しい培地を加え更に1日間培養した。
次にプレートの各穴の培地を捨て、1mlのKrebs−Ringer bicarbonate(KRB)緩衝液(NaCl 129mM、NaHCO3 5mM、KCl 4.8mM、KH2PO4 1.2mM、CaCl2 1.0mM、MgSO4 1.2mM、Glucose 2.8mM、Bovine serum albumin 0.1%、HEPES 10mM、pH7.4)にて各穴を2回洗浄した。その後、360μlのKRB緩衝液に40μlの試料(表2に示すポリマー4、あるいは対照としての蒸留水、グルカゴン)を加えた溶液400μlを各穴に添加し、5%CO2存在下、37℃で0〜120分間静置した。尚、試料添加時における細胞数は1穴あたり1.2×106個である。
上清200μlを回収して、遠心により混入した細胞を除去した。上清中のインスリン量は、試料を希釈後、ラットインスリンEIAシステム(アマシャム・ファルマシアバイオテク社製)を用いた酵素免疫測定法により測定した。結果を表2及び図1に示す。数値はマイクロプレート1穴(well)に添加した緩衝液0.4ml中のインスリン量を示す。
次に、細胞増殖に対するポリマー4の影響をロッシュ社製のMTT(3−[4,5−dimethylthiazole−2−yl]−2,5−diphenyl tetrazolium bromid)キットにより検討した。その結果、ポリマー4の0.5%添加では細胞増殖に影響ないことが確認できた。
【0027】
【表2】
【0028】
表2に示すように各濃度におけるポリマー4を添加120分後のKRB緩衝液中のインスリン量は蒸留水に比べて明らかに上昇していることが確認できた。比較のためにグルカゴン添加時のインスリン量も示す。また、図1に示すようにポリマー4を0.5%添加することにより、添加直後からKRB緩衝液中への継続的なインスリン分泌促進効果が認められた。一方、グルカゴン添加区は効果がほとんど持続しないことが判った。従って、このような継続的なインスリン分泌促進効果はポリマー4の特長の一つであると判断できる。
【0029】
実施例2−1(エンドセリン−1産生抑制活性測定)
ブタ大動脈内皮細胞(継代数1、セルシステムズ社製)を、CS−C培地(D−MEM培地とハムF12培地とを1:1に等比混合した培地に、10%ウシ胎児血清、15mM HEPES、Acidic FGF、ヘパリンを添加した培地、セルシステムズ社製)を用いて、コラーゲンをコーティングした24穴(1穴2cm2)のプレートにて、5%CO2存在下、37℃で4日間培養を行った。次に、プレートの各穴の培地を捨て、1mlのKRB緩衝液(実施例1−1と同じ組成)にて各穴を2回洗浄した。その後、360μlのKRB緩衝液に40μlの試料(ポリマー4あるいは対照としての蒸留水)を加えた溶液400μlを各穴に添加し、5%CO2存在下、37℃で0〜5時間静置した。尚、試料添加時における細胞数は1穴あたり4.0×105個である。
上清200μlを回収して、遠心により混入した細胞を除去した。上清中のエンドセリン−1量は、エンドセリン−1 ELISAシステム(アマシャム・ファルマシアバイオテク社製)を用いた酵素免疫測定法により測定した。結果を表3及び図2に示す。数値はマイクロプレート1穴(well)に添加した緩衝液0.4ml中のエンドセリン−1量を示す。ポリマー4を0.5%添加することにより、エンドセリン−1産生抑制効果が認められた。
次に、実施例1−1と同様にロッシュ社製のMTTキットにより細胞増殖に対するポリマー4の影響を検討した。その結果、ポリマー4の0.5%添加では細胞増殖に影響ないことが確認できた。
【0030】
【表3】
【0031】
実施例2−2(エンドセリン−1産生抑制活性測定)
添加試料として表4に示す各濃度のポリマー又はグルカゴンを用いた以外は、実施例2−1と同様に行い、試料添加3時間後のブタ大動脈内皮細胞KRB緩衝液中のエンドセリン−1量を測定した。結果を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】
【発明の効果】
本発明のインスリン分泌促進剤は、優れたインスリン分泌促進作用を有するPC重合体を有効成分として含有するので、ヒトの他、犬、猫等のペットにおける糖尿病疾患、並びに高血圧等の症状を改善、予防することができる。
また本発明のエンドセリン−1産生抑制剤は、優れたエンドセリン−1産生抑制作用を有するPC重合体を有効成分として含有するので、ヒトの皮膚等に塗布することにより美白効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1−1において測定したRINm5F細胞のKRB緩衝液中における分泌インスリン量と時間との関係を示すチャートである。
【図2】実施例2−1において測定したブタ大動脈内皮細胞のKRB緩衝液中におけるエンドセリン−1産生抑制量と時間との関係を示すグラフである。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a substance that promotes insulin secretion and suppresses endothelin-1 production comprising a polymer obtained by polymerizing a monomer composition containing a phosphorylcholine group-containing monomer.
[0002]
[Prior art]
Insulin is a hormone secreted from the pancreatic islets of Langerhans B (also called β), and its main physiological function is to lower blood sugar. In muscle, it promotes the uptake of sugar, amino acids and potassium, glycogen synthesis, and protein synthesis. It has effects such as promotion, promotion of sugar uptake and utilization in adipose tissue, promotion of fat synthesis and inhibition of decomposition, promotion of protein synthesis, inhibition of gluconeogenesis, promotion of synthesis and degradation of glycogen, and promotion of protein synthesis in the liver. Insulin receptors exist on the cell membrane of the target tissue. When the blood sugar level rises due to a meal or the like, insulin is secreted from the pancreas and the blood sugar level is kept normal by the above action.
Diabetes is a condition in which glucose metabolism is abnormal due to lack of insulin or lack of action, glucose in the blood increases excessively, and sugar is overflowing in the urine. Chronic hyperglycemia continues. I'm sick.
Diabetes includes type I diabetes (insulin-dependent) and type II diabetes (insulin-independent), and the majority of diabetes is type II diabetes. Type I diabetes is primarily found in children under 15 years of age and has also been referred to as “young diabetes”. Pancreatic B cells cannot secrete insulin for some reason and develop as hyperglycemia.
Type II diabetes develops when insulin secretion is decreased (insulin secretion failure) or insulin's blood glucose lowering action is weakened (insulin resistance). In addition to genetic predisposition, excessive intake of energy In addition, diets with a biased nutrition, lack of exercise, and stress are greatly involved, accounting for 90% of Japanese diabetes. The treatment does not necessarily require insulin, but may require insulin administration to control blood glucose levels.
Insulin is a peptide composed of an A chain composed of 21 amino acid residues and a B chain composed of 30 amino acid residues. The A chain and the B chain are linked by two disulfide bonds. Insulin is synthesized as proinsulin which is a precursor in the rough endoplasmic reticulum of pancreatic B cells, converted into insulin, stored in B granules, and released into the blood in response to secretory stimulation. Secretion is mainly promoted by glucose, but other secretagogues include sugars such as mannose, amino acids such as arginine and lysine, peptide hormones such as glucagon and gastric in vitro polypeptide, vagus nerve stimulator, and sympathy There are nervous system β receptor stimulants, sympathetic nervous system α receptor blockers, sulfonylureas, and the like.
In order to improve the symptoms of diabetes, in addition to the direct injection of insulin, it acts directly on pancreatic B cells like sulfonylureas such as tolbutamide, chlorbrobamide, acetohexamide, glycloviramide, glibenclamide, gliclatide, and secretes insulin There are ways to take medications that will help. In this case, in order to promote the secretion of insulin, it is necessary that insulin is secreted from the pancreas, which is used for non-insulin-dependent type II diabetes. In addition, there is a method of taking an α-glucosidase inhibitor that has an effect of delaying digestion and absorption of carbohydrates and suppresses a rapid increase in blood glucose after meals.
[0003]
Endothelin-1 is a potent vasoconstrictive peptide produced by vascular endothelial cells and consists of 21 amino acids. Two other isoforms are known, endothelin-2 and endothelin-3. These endothelins activate various intracellular signal transduction systems such as activation of phospholipase C and opening of calcium channels via the endothelin receptor of target cells. Endothelin-1 is produced from big endothelin by the action of endothelin converting enzyme present in vascular endothelial cells. The increase in the concentration of endothelin-1 is said to be related to diseases such as blood pressure and heart disease, and various endothelin receptor antagonists and endothelin converting enzyme inhibitors have been developed.
In addition, there is an epidemiological study that consumption of red wine reduces death due to heart disease, and it has also been reported that polyphenols (piceatannol, delphindin, etc.) contained in red wine extract and red wine suppress the production of endothelin-1. (Nature, 414, 863-864, (2001)). In addition, it is also known that soybean isoflavone (genistein daidzein) suppresses production of endothelin-1.
It has been found that endothelin-1 is produced not only in blood vessels but also in various tissue cells and plays various physiological roles. For example, when ultraviolet rays hit the skin, an endothelin converting enzyme works actively, degrading big endothelin in keratinocytes to produce endothelin-1. Endothelin-1 stimulates melanocytes, synthesizes melanin actively, and increases freckles and freckles (J. Invest. Dermatol, 100, 23-26 (1993)).
Currently, many whitening cosmetics on the market have the effect of suppressing tyrosinase activity, but chamomile extract obtained by extracting from chamomile flowers has the effect of suppressing the action of endothelin, resulting in suppression of melanin production. Therefore, it is sold as a new type of whitening cosmetics.
[0004]
Phosphorylcholine group-containing polymers are excellent in biocompatibility such as blood compatibility, complement inactivation, and non-adsorption of biological substances due to the phospholipid-like structure derived from biological membranes. It is known that it has excellent properties such as properties, and research and development relating to the synthesis and use of polymers for the purpose of developing bio-related materials that make use of their respective functions have been actively conducted. For example, in mouse hybridomas, 2- (methacryloyloxy) ethyl-2 ′-(trimethylammonio) ethyl phosphate homopolymer, 2- (methacryloyloxy) ethyl-2 ′-(trimethylammonio) ethyl phosphate and 2- It has been proposed that a copolymer with (methacryloyloxy) ethyl-butyrate increases the amount of antibody production (see, for example, Patent Document 1).
However, it is not known that these polymers have an insulin secretion promoting action and an endothelin-1 production inhibitory action.
[0005]
[Patent Document 1]
JP-A-4-304882
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
6.9 million Japanese over 20 years old are said to have diabetes, most of which are non-insulin-dependent type II diabetes, and insulin secretagogues that are effective only for patients with decreased insulin secretion In addition, it is always required as a material for foods for specified health use and functional foods. In addition, new substances that prevent heart disease more safely based on the inhibition of endothelin-1 synthesis or have a whitening effect are always required not only as pharmaceuticals but also as materials for specified health foods, functional foods, and cosmetics. ing.
An object of the present invention is to provide an insulin secretagogue that can be used safely in the pharmaceutical and food fields and has no side effects.
Another object of the present invention is to provide an endothelin-1 production inhibitor that is safe and has no side effects that can be used in the fields of medicine, food, and cosmetics.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies to solve the above problems, the present inventors have found that a phospholipid polymer obtained by polymerizing a monomer composition containing a specific phosphorylcholine-like group-containing monomer is capable of treating pancreatic B cells. It was found that stimulation stimulates insulin secretion, and that the phospholipid polymer acts on vascular endothelial cells to suppress the production of endothelin-1.
That is, according to the present invention, a polymer obtained by polymerizing a monomer composition (A) containing a phosphorylcholine-like group-containing monomer represented by formula (1) (hereinafter abbreviated as a PC monomer). An insulin secretion promoter or endothelin-1 production inhibitor containing (hereinafter referred to as PC polymer) as an active ingredient is provided.
[Chemical formula 5]
(Wherein X represents a divalent organic residue, Y represents an alkyleneoxy group having 1 to 6 carbon atoms, and Z represents a hydrogen atom or R 5 -O- (C = O)-(where R 5 Represents an alkyl group having 1 to 10 carbon atoms or a hydroxyalkyl group having 1 to 10 carbon atoms). R 1 Represents a hydrogen atom or a methyl group, R 2 , R 3 And R 4 Are the same or different groups, and each represents a hydrogen atom, an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms, or a hydroxyalkyl group. m represents 0 or 1; n is an integer of 1-4. )
[0008]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in more detail.
The insulin secretion promoter or endothelin-1 production inhibitor of the present invention comprises a PC polymer obtained by polymerizing a monomer composition (A) containing a PC monomer represented by the formula (1) as an active ingredient. To do.
In the formula (1) showing the PC monomer, X is, for example, -C 6 H 4 -, -C 6 H 10 -,-(C = O) -O-, -O-, -CH 2 O-,-(C = O) NH-, -O- (C = O)-, -O- (C = O) -O-, -C 6 H 4 -O-, -C 6 H 4 -CH 2 -O-, -C 6 H 4 A divalent organic residue such as-(C = O) -O- is shown. Y represents, for example, an alkyleneoxy group having 1 to 6 carbon atoms such as a methyloxy group, an ethyloxy group, a propyloxy group, a butyloxy group, a pentyloxy group, and a hexyloxy group. Z is a hydrogen atom or R 5 -O- (C = O)-group is shown.
Where R 5 Is, for example, an alkyl group having 1 to 10 carbon atoms such as a methyl group, an ethyl group, a propyl group, a butyl group, a pentyl group, a hexyl group, a heptyl group, an octyl group, a nonyl group, a decyl group, or a hydroxymethyl group, for example. 2-hydroxyethyl group, 3-hydroxypropyl group, 2-hydroxypropyl group, 4-hydroxybutyl group, 2-hydroxybutyl group, 5-hydroxypentyl group, 2-hydroxypentyl group, 6-hydroxyhexyl group, 2 -Hydroxyhexyl group, 7-hydroxyheptyl group, 2-hydroxyheptyl group, 8-hydroxyoctyl group, 2-hydroxyoctyl group, 9-hydroxynonyl group, 2-hydroxynonyl group, 10-hydroxydecyl group, 2-hydroxy C1-C10 hydroxyalkyl groups, such as a decyl group, are shown.
[0009]
Examples of the PC monomer include 2-((meth) acryloyloxy) ethyl-2 ′-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 3-((meth) acryloyloxy) propyl-2 ′-(trimethylammonio). ) Ethyl phosphate, 4-((meth) acryloyloxy) butyl-2 ′-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 5-((meth) acryloyloxy) pentyl-2 ′-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 6- ((Meth) acryloyloxy) hexyl-2 ′-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 2-((meth) acryloyloxy) ethyl-2 ′-(triethylammonio) ethyl phosphate, 2-((meth) acryloyloxy ) Ethyl-2 '-(tripropylammonio) ethylphosph 2-((meth) acryloyloxy) ethyl-2 ′-(tributylammonio) ethyl phosphate, 2-((meth) acryloyloxy) ethyl-2 ′-(tricyclohexylammonio) ethyl phosphate, 2- ( (Meth) acryloyloxy) ethyl-2 '-(triphenylammonio) ethyl phosphate, 2-((meth) acryloyloxy) ethyl-2'-(trimethanolammonio) ethyl phosphate, 2-((meth) acryloyl Oxy) propyl-2 ′-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 2-((meth) acryloyloxy) butyl-2 ′-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 2-((meth) acryloyloxy) pentyl-2 ′ -(Trimethylammonio) ethyl phosphate, 2- ( (Meth) acryloyloxy) hexyl-2 '-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 2- (vinyloxy) ethyl-2'-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 2- (allyloxy) ethyl-2 '-(trimethylammoni) E) ethyl phosphate, 2- (p-vinylbenzyloxy) ethyl-2 '-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 2- (p-vinylbenzoyloxy) ethyl-2'-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 2 -(Styryloxy) ethyl-2 '-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 2- (p-vinylbenzyl) ethyl-2'-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 2- (vinyloxycarbonyl) ethyl-2 ' -(Trimethylammonio) ethyl phosphate 2- (allyloxycarbonyl) ethyl-2 ′-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 2- (acryloylamino) ethyl-2 ′-(trimethylammonio) ethyl phosphate, 2- (vinylcarbonylamino) ethyl-2 ′ -(Trimethylammonio) ethyl phosphate, ethyl- (2'-trimethylammonioethyl phosphorylethyl) fumarate, butyl- (2'-trimethylammonioethylphosphorylethyl) fumarate, hydroxyethyl- (2'-trimethylammonioethyl) Phosphorylethyl) fumarate, ethyl- (2′-trimethylammonioethylphosphorylethyl) malate, butyl- (2′-trimethylammonioethylphosphorylethyl) malate, hydroxyethyl- (2′-trimethylammonioethyl) Phosphorylethyl) malate and the like. Among them, 2-((meth) acryloyloxy) ethyl-2 ′-(trimethylammonio) ethyl phosphate is preferable, and 2- (methacryloyloxy) ethyl-2 ′-(trimethylammonio) ethyl phosphate (2- (methacryloyloxy) is preferred. ), Also referred to as ethylphosphorylcholine, hereinafter abbreviated as MPC), is more preferable in terms of availability.
[0010]
The PC monomer can be produced by a known method. For example, it can be produced according to a known method disclosed in JP-A-54-63025, JP-A-58-154591 and the like.
[0011]
The monomer composition (A) may contain other polymerizable monomers in addition to the PC monomer. Examples of such other monomers include a hydrophobic monomer. Examples include a polymer.
As the hydrophobic monomer, a hydrophobic monomer represented by the formula (2) is preferably exemplified.
[0012]
[Chemical 6]
In formula (2), L 1 Is -C 6 H 4 -, -C 6 H 10 -,-(C = O) -O-, -O-,-(C = O) NH-, -O- (C = O)-or -O- (C = O) -O- 2 Is a hydrogen atom,-(CH 2 ) G-L 3 Or ((CH 2 ) P-O) h-L 3 Indicates. However, g and h are the integers of 1-24 independently, p shows the integer of 3-5, L 3 Is a hydrogen atom, a methyl group, -C 6 H 5 , -O-C 6 H 5 Indicates.
[0013]
Examples of the hydrophobic monomer represented by the formula (2) include methyl (meth) acrylate, ethyl (meth) acrylate, butyl (meth) acrylate, 2-ethylhexyl (meth) acrylate, lauryl (meth) acrylate, Linear or branched alkyl (meth) acrylates such as stearyl (meth) acrylate; cyclic alkyl (meth) acrylates such as cyclohexyl (meth) acrylate; aromatic rings such as benzyl (meth) acrylate and phenoxyethyl (meth) acrylate (meta ) Polyalkylene glycol (meth) acrylates such as acrylate and polypropylene glycol (meth) acrylate; Styrene monomers such as styrene, methylstyrene and chloromethylstyrene; Vinyls such as methyl vinyl ether and butyl vinyl ether Ether monomer; vinyl acetate, vinyl ester monomers such as vinyl propionate and the like. These are used singly or as a mixture of two or more.
[0014]
The monomer composition (A) may be composed of one or more of the PC monomers, but preferably includes a PC monomer and the hydrophobic monomer. In this case, the ratio of the PC monomer to the hydrophobic monomer is preferably from 10 to 90 mol%, particularly preferably from 20 to 80 mol%, and preferably from 10 to 90 mol%, particularly from 20 to 80 mol. % Is preferred.
When the PC monomer is less than 10 mol% or the hydrophobic monomer exceeds 80 mol%, it is difficult to exert the effect due to the phosphorylcholine-like group (hereinafter abbreviated as PC group), which is not preferable.
[0015]
In the present invention, the PC polymer contained as an active ingredient may be one obtained by polymerizing the monomer composition (A), and can be produced by ordinary radical copolymerization.
The molecular weight of the PC polymer is usually in the range of 5,000 to 5,000,000, preferably 10,000 to 2,000,000 in terms of weight average. If the molecular weight is less than 5,000, it is difficult to obtain a sufficient insulin secretion promoting action or endothelin-1 production inhibiting action, which is not preferable. On the other hand, if the molecular weight is larger than 5000000, when the PC polymer is used as an aqueous solution, the viscosity becomes too high, which may inhibit general biochemical reactions such as cell growth, which is not preferable.
[0016]
In the insulin secretion promoter and endothelin-1 production inhibitor of the present invention, the content of the PC polymer as the active ingredient can be appropriately changed depending on the administration route, dosage form, etc. Is preferably contained in the preparation in an amount of 0.5 to 50% by mass, and when added to a functional food or a food for specified health use, for example, 0.01 to 50% by mass in the food It is preferable to contain.
[0017]
The insulin secretion promoter and endothelin-1 production inhibitor of the present invention use the active ingredient containing the PC polymer as it is, or use the active ingredient as a commonly used solid carrier, liquid carrier, emulsifying dispersant and the like. Can be obtained by preparing a desired dosage form such as a tablet, powder, emulsion, capsule, etc. by a known method.
Examples of the carrier include water, gelatin, starch, magnesium stearate, lactose, and vegetable oil.
[0018]
The insulin secretion promoter and endothelin-1 production inhibitor of the present invention can be used as a functional food, a food for specified health use, etc. by adding to various foods in addition to its use as a medicine. Examples of such foods include soft drinks, lactic acid drinks, soups, cheeses, hams, and confectionery. In addition, it can be added to pet food, feed, etc. to improve diabetes of pets and livestock.
The endothelin-1 production inhibitor of the present invention can be used by adding to cosmetics, fiber treatment agents and the like in anticipation of a whitening action and the like.
[0019]
Examples of the method of using the insulin secretagogue and endothelin-1 production inhibitor of the present invention include parenteral administration such as intravenous injection and rectal administration, or oral administration. In addition, cosmetics using an endothelin-1 production inhibitor can be directly applied to the skin.
[0020]
The dosage of the insulin secretion promoter and the endothelin-1 production inhibitor of the present invention can be appropriately determined according to, for example, the type of illness, the patient's age, sex, weight, symptom level, or administration method. . For example, in the case of oral administration to patients with mild diabetes, 1-20 mg / kg per day is preferable in terms of PC polymer as an active ingredient.
[0021]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although a synthesis example and an Example demonstrate this invention concretely, these do not limit the scope of the present invention.
Synthesis Example 1: Synthesis of MPC / butyl methacrylate copolymer
35.7 g of MPC and 4.3 g of butyl methacrylate were dissolved in 160 g of ethanol and put into a four-necked flask. After nitrogen was blown for 30 minutes, 0.82 g of azobisbutyronitrile (hereinafter abbreviated as AIBN) was added at 60 ° C. In addition, the polymerization reaction was carried out for 8 hours. The polymerization solution was added dropwise to 3 liters of diethyl ether with stirring, and the deposited precipitate was filtered and vacuum-dried at room temperature for 48 hours to obtain 29.6 g of powder (referred to as polymer 1). The molecular weight of polymer 1 was analyzed by gel permeation chromatography (GPC). The analysis conditions were 20 mM phosphate buffer (pH 7.4) as an eluent, polyethylene glycol as a standard substance, and detection by refractive index. Furthermore, the copolymer composition ratio of polymer 1 is 1 Determined by 1 H-NMR. The results are shown in Table 1.
[0022]
Synthesis Example 2: Synthesis of MPC / methoxypoly (ethylene oxide (added mole number = 4)) monomethacrylate) copolymer
23.0 g of MPC and 7.7 g of methoxypoly (ethylene oxide (added mole number = 4)) monomethacrylate) were dissolved in 160 g of ethanol, put into a four-necked flask, and nitrogen was blown for 30 minutes. 82 g was added and the polymerization reaction was carried out for 8 hours. The polymerization solution was added dropwise to 3 liters of diethyl ether while stirring, and the deposited precipitate was filtered and vacuum-dried at room temperature for 48 hours to obtain 19.8 g of powder (referred to as polymer 2). The molecular weight and copolymer composition ratio of polymer 2 were analyzed in the same manner as in Synthesis Example 1. The results are shown in Table 1.
[0023]
Synthesis Example 3: Synthesis of MPC / 2-hydroxy-3-methacryloyloxypropyltrimethylammonium chloride copolymer
13.4 g of MPC, 9.2 g of 50% 2-hydroxy-3-methacryloyloxypropyltrimethylammonium chloride aqueous solution was dissolved in 77 g of water, put into a four-necked flask, blown with nitrogen for 30 minutes, and then agitated at 60 ° C. Acid peroxide 0.15g was added and it was made to superpose | polymerize for 8 hours. The polymerization solution was added dropwise to 3 liters of diethyl ether while stirring, and the deposited precipitate was filtered and vacuum-dried at room temperature for 48 hours to obtain 14.8 g of powder (referred to as polymer 3). The molecular weight and copolymer composition ratio of Polymer 3 were analyzed in the same manner as in Synthesis Example 1. The results are shown in Table 1.
[0024]
Synthesis Example 4: Synthesis of MPC / stearyl methacrylate copolymer
29.1 g of MPC and 8.4 g of stearyl methacrylate were dissolved in 204 g of ethanol and put into a four-necked flask. After nitrogen was blown for 30 minutes, 0.67 g of AIBN was added at 60 ° C. to carry out a polymerization reaction for 8 hours. The polymerization solution was added dropwise to 3 liters of diethyl ether with stirring, the deposited precipitate was filtered, and vacuum dried at room temperature for 48 hours to obtain 30.1 g of powder (this is referred to as polymer 4). The molecular weight and copolymer composition ratio of polymer 4 were analyzed in the same manner as in Synthesis Example 1. The results are shown in Table 1.
[0025]
[Table 1]
[0026]
Example 1-1 (Insulin secretion promoting activity measurement)
Rat pancreatic B strain cells RINm5F (ATCC CRL-2058) were obtained from Diabetes, Vol. 34, p. 717 (1985) was used to improve the culture. Specifically, 2 g / l sodium bicarbonate, 10% inactivated fetal bovine serum, 100 μg / ml streptomycin, and 100 units / ml penicillin were added to RPMI 1640 medium (containing 300 mg / l glutamine, manufactured by Dainippon Pharmaceutical Co., Ltd.). Using medium, 24 holes (1cm 2cm) 2 ) 5% CO 2 The cells were cultured in the presence at 37 ° C. for 3 days. The old medium was then discarded and 1 ml of fresh medium was added per well and cultured for an additional day.
Next, the medium in each well of the plate is discarded and 1 ml of Krebs-Ringer bicarbonate (KRB) buffer (NaCl 129 mM, NaHCO 3). 3 5 mM, KCl 4.8 mM, KH 2 PO 4 1.2 mM, CaCl 2 1.0 mM, MgSO 4 Each well was washed twice with 1.2 mM, Glucose 2.8 mM, Bovine serum albumin 0.1%, HEPES 10 mM, pH 7.4). Thereafter, 400 μl of a solution obtained by adding 40 μl of the sample (polymer 4 shown in Table 2 or distilled water or glucagon as a control) to 360 μl of KRB buffer was added to each well, and 5% CO 2 was added. 2 In the presence, it was allowed to stand at 37 ° C. for 0 to 120 minutes. The number of cells at the time of sample addition is 1.2 × 10 6 per hole. 6 It is a piece.
200 μl of the supernatant was collected and the contaminated cells were removed by centrifugation. The amount of insulin in the supernatant was measured by enzyme immunoassay using a rat insulin EIA system (Amersham Pharmacia Biotech) after dilution of the sample. The results are shown in Table 2 and FIG. The numerical value indicates the amount of insulin in 0.4 ml of buffer added to one well of the microplate.
Next, the influence of the polymer 4 on the cell proliferation was examined using an MTT (3- [4,5-dimethylthiazole-2-yl] -2,5-diphenyltetrazole bromide) kit manufactured by Roche. As a result, it was confirmed that addition of 0.5% of polymer 4 did not affect cell growth.
[0027]
[Table 2]
[0028]
As shown in Table 2, it was confirmed that the amount of insulin in the KRB buffer 120 minutes after addition of polymer 4 at each concentration was clearly increased compared to distilled water. For comparison, the amount of insulin when glucagon is added is also shown. Further, as shown in FIG. 1, by adding 0.5% of the polymer 4, a continuous insulin secretion promoting effect into the KRB buffer was observed immediately after the addition. On the other hand, it was found that the glucagon-added section hardly lasted. Therefore, it can be judged that such a continuous insulin secretion promoting effect is one of the features of the polymer 4.
[0029]
Example 2-1 (Measurement of endothelin-1 production inhibitory activity)
Porcine aortic endothelial cells (passage number 1, manufactured by Cell Systems Co., Ltd.) were mixed with CS-C medium (D-MEM medium and Ham F12 medium at an equal ratio of 1: 1) in 10% fetal bovine serum, 15 mM HEPES. , Acidic FGF, medium supplemented with heparin, manufactured by Cell Systems Co., Ltd., 24 holes coated with collagen (2 cm per hole) 2 ) 5% CO 2 In the presence, the cells were cultured at 37 ° C. for 4 days. Next, the medium in each well of the plate was discarded, and each well was washed twice with 1 ml of KRB buffer (same composition as Example 1-1). Then 400 μl of a solution of 360 μl KRB buffer plus 40 μl sample (Polymer 4 or distilled water as a control) was added to each well and 5% CO 2 In the presence, it was allowed to stand at 37 ° C. for 0 to 5 hours. Note that the number of cells at the time of sample addition was 4.0 × 10 per well. 5 It is a piece.
200 μl of the supernatant was collected and the contaminated cells were removed by centrifugation. The amount of endothelin-1 in the supernatant was measured by an enzyme immunoassay using an endothelin-1 ELISA system (Amersham Pharmacia Biotech). The results are shown in Table 3 and FIG. The numerical value indicates the amount of endothelin-1 in 0.4 ml of the buffer solution added to one well of the microplate. The endothelin-1 production inhibitory effect was recognized by adding 0.5% of polymer 4.
Next, the influence of the polymer 4 on cell proliferation was examined using the MTT kit manufactured by Roche as in Example 1-1. As a result, it was confirmed that addition of 0.5% of polymer 4 did not affect cell growth.
[0030]
[Table 3]
[0031]
Example 2-2 (Endothelin-1 production inhibitory activity measurement)
The same procedure as in Example 2-1 was conducted except that each concentration of polymer or glucagon shown in Table 4 was used as an added sample, and the amount of endothelin-1 in porcine aortic endothelial cell KRB buffer 3 hours after the sample was added was measured. did. The results are shown in Table 4.
[0032]
[Table 4]
[0033]
【The invention's effect】
The insulin secretagogue of the present invention contains a PC polymer having an excellent insulin secretagogue action as an active ingredient, so that it improves diabetic diseases in pets such as dogs and cats, and symptoms such as hypertension, in addition to humans, Can be prevented.
Moreover, since the endothelin-1 production inhibitor of this invention contains the PC polymer which has the outstanding endothelin-1 production suppression effect as an active ingredient, it can anticipate a whitening effect by apply | coating to human skin etc.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a chart showing the relationship between the amount of secreted insulin in a KRB buffer of RINm5F cells and time measured in Example 1-1.
FIG. 2 is a graph showing the relationship between the amount of endothelin-1 production inhibition in porcine aortic endothelial cells measured in Example 2-1 in KRB buffer and time.