JP2005092175A - 光学特性可変光学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 構造が簡単で、光学面の形状を凸にできる光学特性可変光学素子、反射面が複数に分割されている可変ミラー、その駆動回路等、及びそれらを用いた光学装置等を提供する。
【解決手段】 形状可変ミラーは、複数の電極409b1〜409b5と、電力により駆動されて少なくとも凸面に変形可能な基板409jと、前記基板に一体化された電極409kと、前記基板に設けられた光学面409aと、前記電極に接続された駆動回路とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 形状可変ミラーは、複数の電極409b1〜409b5と、電力により駆動されて少なくとも凸面に変形可能な基板409jと、前記基板に一体化された電極409kと、前記基板に設けられた光学面409aと、前記電極に接続された駆動回路とを有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、焦点距離や収差等の光偏向作用が変化する、光学特性が変化する光学特性可変光学素子、例えば形状可変ミラーや可変焦点レンズ等に関する。
従来、形状可変ミラーや可変焦点レンズは、種々紹介されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、及び非特許文献1等参照)。
特開2000−267010号公報
特開2001−208905号公報
特開2002−189172号公報
特開2003−177335号公報
米国特許第6384952号明細書
Optics Communication Vol.140 187頁 (1997)
しかしながら、従来、光学面の形を凸にできる構造の光学特性可変光学素子は、あまり多く知られていない。そのようなものとして、電磁力駆動のものが知られているが、この光学特性可変光学素子は、消費電力が大きいという欠点があった。
また、圧電素子を用いたものがあるが、これは、小さな光学特性可変光学素子を作り難いとういう欠点があった。
また、特許文献2に記載のものは、構造が複雑になるという欠点があった。
また、圧電素子を用いたものがあるが、これは、小さな光学特性可変光学素子を作り難いとういう欠点があった。
また、特許文献2に記載のものは、構造が複雑になるという欠点があった。
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構造が簡単で、光学面の形状を凸にできる光学特性可変光学素子、その駆動回路等、及びそれらを用いた光学装置等を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明による光学特性可変光学素子は、複数の電極と、電力により駆動されて少なくとも凸面に変形可能な基板と、前記基板に一体化された電極と、前記基板に設けられた光学面と、前記電極に接続された駆動回路とを有している。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された第1電極と、前記光学面の両側に配置されていて少なくとも何れか一方が利用光束を通過させる開口を有している第2および第3電極とを有していて、前記第1及び第2電極間あるいは前記第1及び第3電極間に電圧または電流を加えることにより、光偏向特性を変化させ得るようになっている。
本発明によれば、前記第1、第2及び第3電極の少なくとも一つが、複数に分割されている。
また、本発明によれば、前記第2又は第3電極は固定電極として構成されている。
また、本発明によれば、前記光学面の片側に複数の電極を有する基板が設けられている。
また、本発明によれば、前記電極間に加えられる電圧または電流は、直流または交流である。
また、本発明によれば、光学特性可変光学素子は、形状可変ミラーまたは可変焦点レンズとして構成されている。
また、本発明によれば、前記光学面が静電気力または電磁力で変形せしめられるようになっている。
また、本発明によれば、光学特性可変光学素子は、前記光学面の変形可能部分の面積をS1、前記開口の面積をS2としたとき、下記条件式を満足するように構成されている。
0.02≦S2/S1≦0.98
0.02≦S2/S1≦0.98
また、本発明による光学特性可変光学素子は、変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された複数に分割された第1電極と、前記光学面の片側に配置された複数に分割された第2電極とを有し、前記分割された第1,第2の電極間少なくとも一組に同符合の電荷を蓄積させることにより、前記分割電極間に電気力を発生させて、前記光学面を変形させるようになっている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、前記第1電極の分割された全ての電極に加える電圧の符号を等しくすると共に、前記第2電極の分割された全ての電極に加える電圧の符号を等しくし、前記第1電極と前記第2電極に加える電圧の符号を異ならせた状態で、前記光学面を変形させることもできるようになっている。
また、本発明によれば、前記第1電極の一つの分割電極と、該分割電極にほぼ対向する前記第2電極の分割電極の隣あるいは近傍の分割電極との間に、異符号の電圧を加えるように構成されている。
また、本発明によれば、前記第1電極または前記第2電極の分割された一つの分割電極と、該分割電極の隣あるいは近傍の分割電極との間に、異符号の電圧が加えられるように構成されている。
また、本発明によれば、前記光学面が平面であるときの前記第1電極と前記第2電極との間の距離をG、隣接する前記分割電極間の平均中心間隔をPとしたとき、下記の条件式を満足するように構成されている。
1/1000000<G/P<300
1/1000000<G/P<300
また、本発明によれば、前記光学面が平面であるときの前記第1電極と前記第2電極との間の距離をG、前記第1及び第2電極における隣接する分割電極間の平均距離をdとしたとき、下記の条件式を満足するように構成されている。
1/1000000< G/d <1000
1/1000000< G/d <1000
また、本発明によれば、前記第1または第2電極における、分割電極の面積の和をa、電極部分全体の面積をAとしたとき、下記の条件式を満足するように構成されている。
0.001< a/A <1
0.001< a/A <1
また、本発明によれば、前記第1電極の分割パターンと前記第2電極の分割パターンとが、ほぼ等しいか又は異なるように構成されている。
また、本発明によれば、前記第1電極または前記第2電極は固定電極として構成されている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された第1電極と、前記光学面の片側に配置された第2電極とを有し、前記第1または第2電極は複数に分割されており、該分割された電極間に交流電圧または交流電流を加えることにより、前記第1および第2電極間に斥力又は電気力を発生させて、前記光学面を変形させるように構成されている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、交流電圧または交流電流の周波数が変更可能な駆動回路を更に有している。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された第1電極と、前記光学面の片側に配置された第2電極とを有し、前記第1および第2電極は複数に分割されていて、該第1及び第2電極間に交流電圧または交流電流を加えることにより、前記第1および第2電極間に斥力又は電気力を発生させて、前記光学面を変形させるようにすると共に、交流電圧を加えない方の分割された電極間に抵抗が配設されている。
また、本発明によれば、前記抵抗は可変抵抗である。
また、本発明によれば、交流電圧または交流電流を加えない方の電極が、交流電圧または交流電流を加える方の電極よりも高抵抗の材質で形成されている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された第1電極と、少なくとも前記光学面の片側に配置された第2電極とを有し、前記第1および第2電極に電圧または交流電流を加えることにより、光偏向特性を変化させるようにした光学特性可変光学素子において、変形可能な基板に一体化された電極と、少なくとも他の基板上に設けられた電極とが平行でないことを特徴としている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、光学装置のピント調整に用いられ得る。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、光学装置のブレ防止に用いられ得る。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、光学装置の変倍に用いられ得る。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、光学装置の製作誤差の補正に用いられ得る。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、前記第1電極と前記第2電極の各電極の厚さをt,面積をwとしたとき、下記の条件式を満足するように構成されている。
0.000001≦t/√w≦10000
0.000001≦t/√w≦10000
また、本発明による光学特性可変光学素子は、前記第1電極と前記第2電極との間の距離をG、前記第1及び第2電極の間にある基板の厚さをuとしたとき、下記の条件式を満足するように構成されている。
0.0000001≦u/G≦1000
0.0000001≦u/G≦1000
また、本発明による光学特性可変光学素子は、前記第1電極と前記第2電極との間の距離をG、前記光学面と前記第1電極との距離をΔとしたとき、下記の条件式を満足するように構成されている。
0.0000001≦Δ/G≦1000
0.0000001≦Δ/G≦1000
また、本発明による光学装置は、複数に分割された電極を有する光学特性可変素子を備えた光学系を含む光学装置であって、前記複数に分割された電極のパターンが、光学系の対称性とほぼ同じであり、且つ前記電極に光学系の対称性と異なる電圧分布を与えるのが可能なように構成されている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された第1電極と、前記光学面の片側に、利用光束を一部遮蔽する形で設けられた第2電極を有していて、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧または電流を加えることにより、光偏向特性を変化させ得るようになっている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、変形可能な光学面に対して前記第2電極と反対側に第3電極を有していて、前記第1電極と前記第2電極との間あるいは前記第1電極と前記第3電極との間に電圧または電流を加えことにより、光偏向特性を変化させ得るようになっている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、前記第1電極に対して前記第2電極と反対側に第3電極を有していて、前記第1電極と前記第2電極との間或いは前記第1電極と前記第3電極との間に電圧または電流を加えることにより、光偏向特性を変化させ得るようになっている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、前記第2電極によって通過光束が遮蔽される面積の、全通過光束に対する割合をfとしたとき、下記の条件式を満足するように構成されている。
0.01≦f≦0.5
0.01≦f≦0.5
また、本発明による光学特性可変光学素子は、変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された複数の電極を有し、前記電極間に生じる電気力によって光学面を変形させ、光偏向特性を変化させ得るようになっている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された複数の電極と、前記電極に電荷を蓄積させる駆動回路とを有し、前記電極間に生じる電気力によって光学面を変形させ、光偏向特性を変化させ得るようになっている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、前記複数の電極に異なる符号の電荷を蓄積させるようになっている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、変形可能な光学面が導電性を有し、前記光学面と一体的に形成された複数の電極を有し、前記複数の電極に対応して、前記導電性を有する光学面が分割されていることを特徴としている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、前記複数の電極に対向して、第2の電極を有している。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、前記光学面の片側に、第2の電極を有している。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、前記変形可能な光学面が導電性を有し、前記第1電極に対応して前記導電性を有する光学面が分割されていることを特徴としている。
また、本発明によれば、前記電気力が斥力である。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に形成された第1電極と、前記光学面の片側に配置された第2電極とを有していて、前記第1電極と前記第2電極との間に同符合の電荷を加えることにより電気力あるいは斥力を発生させて、光偏向特性を変化させ得るようになっている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に形成された第1電極と、前記光学面の片側に配置された第2電極とを有していて、前記第1電極と前記第2電極との間に電流または電圧を加えることにより電気力あるいは斥力を発生させて、光偏向特性を変化させ得るようになっている。
また、本発明による光学特性可変光学素子は、変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された複数に分割された第1電極と、前記光学面の片側に配置された複数に分割された第2電極とを有し、ほぼ対向する前記分割された第1,第2電極間に同符合の電荷を蓄積させることにより、前記分割電極間に斥力を発生させて、前記光学面を変形させるようになっている。
また、本発明による可変ミラーは、反射面と、該反射面近傍に配設された部材とを有していて、前記反射面は複数に分割されている。
また、本発明による可変ミラーは、反射面と基板とを含む変形可能部分と、該基板に対向配置された電極とを有していて、前記反射面は、複数に分割されており、電気力によって駆動されるようになっている。
また、本発明による可変ミラーは、反射面と基板とを含む変形可能部分と、該基板に対向配置された電極とを有していて、前記反射面は、複数に分割されており、且つ電極の機能を有する電気力によって駆動されるようになっている。
また、本発明による可変ミラーは、変形可能な反射面を有していて、該反射面は凸にも凹にも変形可能であり、且つ該反射面を変形させる為に流体、静電気力、電磁力、圧電効果、磁歪、温度変化、電磁波等のうちの2つ以上を用いるようになっている。
また、本発明による可変ミラーは、変形可能な反射面を有していて、該反射面を凸に変形させるときには流体の圧力を用い、該反射面を凹に変形させるときには電気力を用いるようになっている。
また、本発明による撮像装置は、請求項61または請求項62に記載の可変ミラーを有していて、前記可変ミラーの面形状が平面の時に、被写界深度の遠点がほぼ無限遠になる距離にピントが合うようになっている。
また、本発明による撮像装置は、請求項61または請求項62に記載の可変ミラーを有していて、前記可変ミラーの面形状が平面の時に、無限遠から0.5メートルの間のいずれかの距離にピントが合うようになっている。
また、本発明による撮像装置は、ピントを合わせる過程で、前記反射面が、凹面の状態と凸面の状態との両形状をとることを特徴とする請求項61または請求項62に記載の可変ミラーを有している。
また、本発明による撮像装置は、ピントを合わせる過程で、前記反射面が、凹面の状態と凸面の状態との両形状をとるようになっている。
また、本発明による可変焦点レンズは、変形可能な光学面を有していて、該光学面は凸にも凹にも変形可能であり、且つ該光学面を変形させる為に流体、静電気力、電磁力、圧電効果、磁歪、温度変化、電磁波等のうちの1つ又は2つ以上を用いるようになっている。
また、本発明による可変焦点レンズは、変形可能な光学面を有していて、該光学面を凸に変形させるときには流体の圧力を用い、該光学面を凹に変形させるときには電気力を用いるようになっている。
また、本発明による撮像装置は、請求項67または請求項68に記載の可変焦点レンズを有していて、前記可変焦点レンズの面形状が平面の時に、被写界深度の遠点がほぼ無限遠になる距離にピントが合うようになっている。
また、本発明による撮像装置は、請求項67または請求項68に記載の可変焦点レンズを有していて、前記可変焦点レンズの面形状が平面の時に、無限遠から0.5メートルの間のいずれかの距離にピントが合うようになっている。
また、本発明による撮像装置は、ピントを合わせる過程で、前記光学面の形状が、凹面の状態と凸面の状態との両形状をとる請求項67または請求項68に記載の可変焦点レンズを有している。
また、本発明による撮像装置は、ピントを合わせる過程で、前記光学面の形状が、凹面の状態と凸面の状態との両形状をとるようになっている。
本発明によれば、構造が簡単で、光学面の形状を凸にできる光学特性可変光学素子、その駆動回路等、及びそれらを用いた光学装置等を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図示した実施例に基づき説明する。
図1は、本発明にかかる光学特性可変光学素子の一実施例の構成を示す断面図である。
この実施例は、凹凸両方に変形可能な静電駆動の形状可変ミラーとして構成されている。この形状可変ミラーは、反射面(光学面)としての薄膜409aと変形可能な基板409jと変形可能な電極板409kとを積層して構成されており、その周縁部が支持台423を介して下側基板431に取付けられている。下側基板431と電極板409kとの間の下側基板431上には、固定電極409b1,409b2,409b3,409b4及び409b5が配設されている。薄膜409a上には、その周縁部に、支持台423に対応する保持枠432と固定電極409b6,409b7と上側基板434が積層されている。上側基板434の中央には、光束が入出射するための開口433が設けられている。固定電極409b6,409b7は、図2に示す如く、分割された他の固定電極409b8,409b9,409b10及び409b11と共に、開口433の周囲に配置されている。
図1は、本発明にかかる光学特性可変光学素子の一実施例の構成を示す断面図である。
この実施例は、凹凸両方に変形可能な静電駆動の形状可変ミラーとして構成されている。この形状可変ミラーは、反射面(光学面)としての薄膜409aと変形可能な基板409jと変形可能な電極板409kとを積層して構成されており、その周縁部が支持台423を介して下側基板431に取付けられている。下側基板431と電極板409kとの間の下側基板431上には、固定電極409b1,409b2,409b3,409b4及び409b5が配設されている。薄膜409a上には、その周縁部に、支持台423に対応する保持枠432と固定電極409b6,409b7と上側基板434が積層されている。上側基板434の中央には、光束が入出射するための開口433が設けられている。固定電極409b6,409b7は、図2に示す如く、分割された他の固定電極409b8,409b9,409b10及び409b11と共に、開口433の周囲に配置されている。
固定電極409b1,409b2,409b3,409b4及び409b5と、電極板409kとの間には、図示のごとく、各可変抵抗411−1,411−2,411−3,411−4及び411−5と、各固定抵抗411−20−1,411−20−2,411−20−3,411−20−4及び411−20−5と、電源スイッチ413Aを介して、直流電源412Aが接続されている。また、電極板409kと固定電極409b7との間には、図示のごとく、各可変抵抗411−6及び411−7と、各固定抵抗411−21及び411−22と、電源スイッチ412Bを介して、直流電源412Bが接続されている。
本実施例は上記のように構成されているから、図1に示した状態で電源スイッチ413Aを閉じれば、下側の固定電極409b1〜409b5と電極板409kとの間に静電引力が働き、反射面409aは、基板409j及び電極板409kと共に凹形状に変形し、凹面鏡として作用する。この場合、可変抵抗411−1乃至411−5を適宜調整することにより、凹形状を調整することができる。また、図1に示した状態で電源スイッチ413Bを閉じれば、上側の固定電極409b6〜409b11と電極板409kとの間に静電引力が働き、反射面409aは、図3に示す如く、基板409j及び電極板409kと共に凸形状に変形し、凸面鏡として作用する。この場合、可変抵抗411−6乃至411−7を調整して、各電極に異なる電圧を加えることにより、反射面409aをさまざまな形に変形することができる。従って、光学系の焦点距離を変えたり、収差を変えたりする等の効果を出すことができる。
また、図4(a)に示すように、電源スイッチ413Aと413Bを閉じて、電極板409kと上側電極の一つ409b6及び下側電極の一つ409b5と電極板409kとの間にそれぞれ直流電圧を加えれば、反射面409aの左側部分は上に引っ張られ、右側部分は下方に引っ張られて、鏡面を傾斜した状態に変形させることもできる。このような面形状は、撮像系や観察系のブレ防止(あるいは、ブレ補正ともいう)や製造誤差補正等に特に有効である。
基板409jの変形可能部分の面積(図1の実施例では保持枠432の開口面積)をS1,開口433の面積をS2としたとき、電極板409kと上側電極409b6〜409b11との間の電気力を充分強くするために
0.02≦S2/S1≦0.98 (1)
であることが望ましい。
S2/S1の値が上限値を上回ると、静電気力が弱くなり、変形量が不足する。また、S2/S1の値が下限値を下回ると、利用できる光束が鏡面の大きさに比べて小さくなり過ぎ好ましくない。この場合、
0.05≦S2/S1≦0.9 (1’)
を満たせばなお良く、
0.08≦S2/S1≦0.8 (1”)
を満たせばさらに良い。
0.02≦S2/S1≦0.98 (1)
であることが望ましい。
S2/S1の値が上限値を上回ると、静電気力が弱くなり、変形量が不足する。また、S2/S1の値が下限値を下回ると、利用できる光束が鏡面の大きさに比べて小さくなり過ぎ好ましくない。この場合、
0.05≦S2/S1≦0.9 (1’)
を満たせばなお良く、
0.08≦S2/S1≦0.8 (1”)
を満たせばさらに良い。
なお、上記実施例では、静電気力で駆動して反射面409aを変形させるようにしたが、固定電極409b1〜409b11あるいは電極板409kを、後述する図24または図26に示すように、コイル状の電極にすれば、電磁気力で反射面409aを変形させることができ、その場合も、上記条件式(1),(1’)及び(1”)は同様に成り立つ。
また、例えば、電極板409kと固定電極409b6または409b7等の間に加える電圧を強くすることで、反射面409aが固定電極409b6または409b7等に密着する状態まで変形させて、使用しても良い。
また、例えば、固定電極409b6〜409b9は、後述する図16に示すように、電極基板を複数層(434−1,434−2)設けて、各電極基板434−1,434−2上にそれぞれ配置しても良い。このように配置すれば、電極板409kと固定電極409b6〜409b9との距離をさまざまに変えることができ、反射面409aの変形自由度を増やすことができる。あるいは、上側基板434に凹凸を設けて、その上に分割電極を形成し、電極板409kと分割電極との距離をさまざまに変えるようにしても良い。
また、例えば、固定電極409b6〜409b9は、後述する図16に示すように、電極基板を複数層(434−1,434−2)設けて、各電極基板434−1,434−2上にそれぞれ配置しても良い。このように配置すれば、電極板409kと固定電極409b6〜409b9との距離をさまざまに変えることができ、反射面409aの変形自由度を増やすことができる。あるいは、上側基板434に凹凸を設けて、その上に分割電極を形成し、電極板409kと分割電極との距離をさまざまに変えるようにしても良い。
また、上側電極409b6〜409b9は、図4(b)に示すように開口433の内部に、光束の一部を遮蔽する形状に設けても良い。このように上側電極を設けるために、上側基板434も光束を一部遮る形状に図4(b)では構成されている。このため、開口は433Aと433Bの二つに分かれている。このようにすることで、反射面409aを効率良く凸面にすることができる。上側電極のために通過光束が遮蔽される面積(図4(b)の遮蔽部)の全通過光束の面積(開口433Aと433Bの面積の和に遮蔽部の面積を加えたもの)に対する割合をfとすれば、
0.001≦f≦0.8 (1A)
を満たすことが望ましい。fの値が下限を下回ると、静電気力が弱くなるため反射面409aの変形に自由度が低下する。fの値が上限を上回ると、利用できる光束が減ってしまう。
0.01≦f≦0.5 (1B)
を満たせば、なお良い。
0.01≦f≦0.35 (1C)
を満たせば更に良い。
なお、図4(b)は上側基板434を図1の下から見上げた図である。
0.001≦f≦0.8 (1A)
を満たすことが望ましい。fの値が下限を下回ると、静電気力が弱くなるため反射面409aの変形に自由度が低下する。fの値が上限を上回ると、利用できる光束が減ってしまう。
0.01≦f≦0.5 (1B)
を満たせば、なお良い。
0.01≦f≦0.35 (1C)
を満たせば更に良い。
なお、図4(b)は上側基板434を図1の下から見上げた図である。
図5は、本発明にかかる光学特性可変光学素子の他の実施例の構成を示す断面図である。この実施例は、静電気力と液圧とにより駆動される可変焦点レンズとして構成されている。この実施例においても、透明な変形可能な膜302とこれに一体化されて設けられた透明電極303,透明な固定電極309b1,309b2及び309b3を配置したレンズ形状であってもよい透明基板305,固定電極409b6及び409b7,固定基板434の基本な構成および配置は、既述の実施例と同様である。支持台423と透明電極303及び透明基板305とは液密に接合されていて、透明電極303と透明基板305との間には透明流体304が充填されている。支持台423の側壁には、透明流体304と連通する液溜め306が取り付けられている。この液溜め306は、後述する図43に示されたシリンダー146と置換されてもよい。そして、シリンダー146で透明流体304を加圧することにより、膜302を凸面に変形させても良い。透明流体304に負の圧力を加えれば、膜302を凹面にすることもでき、これら流体圧による駆動と電力による駆動とを併用しても良い。
なお、各電極間に接続された直流電源,可変抵抗,固定抵抗及び電源スイッチの配置は、図1に示した実施例の場合と実質上同じであるので、同一符号が用いられている。
なお、各電極間に接続された直流電源,可変抵抗,固定抵抗及び電源スイッチの配置は、図1に示した実施例の場合と実質上同じであるので、同一符号が用いられている。
本実施例は上記のように構成されているから、図1に示した実施例の場合と同様に、例えば、透明電極303と固定電極309b6及び309b7との間に直流電圧を加えることで、透明膜302は透明電極303と共に左方へ引っ張られ、また、透明電極303と固定電極309b1〜309b3との間、あるいは、透明電極303と固定電極309b5及び309b6との間に、さまざまな電圧を加えることで、透明膜302を色々な形に変形させることができ、焦点距離可変のレンズとして、また、収差可変のレンズとして機能さることができる。また、可変頂角プリズムのように、光偏向角可変の作用を持たせることもできる。
図6は、本発明にかかる光学特性可変光学素子の更に他の実施例の構成を示す断面図である。この実施例は、下側基板431上の分割された固定電極409b1〜409b4と共に、基板409jにも分割された変形可能な電極409k1,409k2,409k3及び409k4を設けた、静電気力で駆動される形状可変ミラーとして構成されている。この図に示すように、電極409k1〜409k4の電位を同じ或いは同符号にした場合には、後述する図18に示した例と同様に、静電気力で凹面に変形する形状可変ミラーとして動作する。なお、この実施例において、322は上側基板であるが、既述の実施例におけるのと実質上同一の要素には、同一の符号が付され、それらについての説明は省略されている。凹面に変形させるためには、電極409k1〜409k4の代わりに反射面409aを電極として利用し、電極409k1〜409k4との間に電圧あるいは電流を加えるようにすれば良い。
一方、図7に示すように電圧を印加する駆動回路を用いると、電源スイッチ413A,413Bを閉じたとき、形状可変ミラー409aは基板409jと共に、図8に示したように、凸面状に変形する。何故ならば、図8に示すように、上側の電極409k1〜409k4にはそれぞれ電荷−Q2,+Q1,−Q4及び+Q3が、固定電極409b1〜409b4にはそれぞれ−Q1,+Q2,−Q3及び+Q4が生じるため、対向する電極間に斥力の静電気力が働くためである。
なお、図7において、411−11,411−12,411−13,411−14,411−15及び411−16は可変抵抗、411−30−1,411−30−2,411−30−3及び411−30−4は固定抵抗である。そして、既述の実施例におけるのと実質上同一の要素には、同一の符号が付され、それらについての説明は省略されている。
なお、図7において、411−11,411−12,411−13,411−14,411−15及び411−16は可変抵抗、411−30−1,411−30−2,411−30−3及び411−30−4は固定抵抗である。そして、既述の実施例におけるのと実質上同一の要素には、同一の符号が付され、それらについての説明は省略されている。
また、図9に示すような駆動回路で、各電極に電圧を加えるようにしてもよい。この駆動回路において、電源スイッチ413A,413Bを閉じれば、図11に示すように各電極409b1〜409b4及び409k1〜409k4に電荷がたまるので、対抗する各電極間に斥力の静電気力が働き、反射面409aは凸面となる。
なお、図9において、411−17及び411−18は可変抵抗であるが、既述の実施例におけるのと実質上同一の要素には、同一の符号が付され、それらについての説明は省略されている。なお、電極409k1〜409k4あるいは409b1〜409b4の何れか一つ以上を更に細分化して多数の電極とし、それら電極群に同符合の電圧を加えるようにしても良い。
なお、図9において、411−17及び411−18は可変抵抗であるが、既述の実施例におけるのと実質上同一の要素には、同一の符号が付され、それらについての説明は省略されている。なお、電極409k1〜409k4あるいは409b1〜409b4の何れか一つ以上を更に細分化して多数の電極とし、それら電極群に同符合の電圧を加えるようにしても良い。
以上の説明から明らかなように、図7及び図9の駆動回路において、固定抵抗の抵抗値を変え、また可変抵抗の抵抗値を変化させることにより、反射面409aの形状をさまざまに変化させることができる。
この実施例において、図7に示す如く、基板409jが平面時の上側電極409k1〜409k4と下側電極409b1〜409b4との間の距離をG(電極がでこぼこしていてGが電極によって変わる時には、Gの平均値をGとして採用するものとする)、隣接する電極間の平均中心間隔をPとしたとき、基板409jを強い凸面にするためには、前記斥力の静電気力を強くする必要があるが、そのためには、
1/1000000<G/P<300 (2)
なる条件を満たすようにすれば良い。
G/Pの値が、上記条件式(2)の上限を上回ると、ある電極に対向している電極との間の斥力と隣の電極との間の引力とが打消しあって、基板409jが殆ど変形しない。また、下限を下回ると、Gの値が小さくなり過ぎ、可変ミラー自身の製作が困難になる。この場合、
1/100000<G/P<100 (2’)
なる条件を満たせば更に良い。
1/1000000<G/P<300 (2)
なる条件を満たすようにすれば良い。
G/Pの値が、上記条件式(2)の上限を上回ると、ある電極に対向している電極との間の斥力と隣の電極との間の引力とが打消しあって、基板409jが殆ど変形しない。また、下限を下回ると、Gの値が小さくなり過ぎ、可変ミラー自身の製作が困難になる。この場合、
1/100000<G/P<100 (2’)
なる条件を満たせば更に良い。
また、隣接する電極間の隙間の平均距離をd(図7で、d1は電極409k1と409k2との間の隙間の距離,電極409k2と409k3との間の隙間の距離,…の平均値、d2は電極409b1と409b2との間の隙間の距離,電極409b2と409b3との間の隙間の距離,…の平均値である)としたとき、
1/1000000<G/d<1000 (3)
なる条件を満たすことが望ましい。
G/dの値が、上記条件式(3)の上限を上回ると、ある電極に対向している電極との間の斥力と隣の電極との間の引力とが打消しあって、基板409jが殆ど変形しない。また、下限を下回ると、Gの値が小さくなり過ぎ、可変ミラー自身の製作が困難になる。この場合、
1/100000<G/d<300 (3’)
なる条件を満たせば更に良い。
1/1000000<G/d<1000 (3)
なる条件を満たすことが望ましい。
G/dの値が、上記条件式(3)の上限を上回ると、ある電極に対向している電極との間の斥力と隣の電極との間の引力とが打消しあって、基板409jが殆ど変形しない。また、下限を下回ると、Gの値が小さくなり過ぎ、可変ミラー自身の製作が困難になる。この場合、
1/100000<G/d<300 (3’)
なる条件を満たせば更に良い。
また、一つの基板上に分割配置された電極自体の面積の和をa、その基板の電極配置領域全体の面積(図12における点線内の面積)をAとしたとき、
0.001< a/A <1 (4)
なる条件を満たすことが望ましい。
a/Aの値が上記条件式(4)の下限を下回ると、電極に蓄えられる電荷の量が減って静電気力が低下する。この場合、
0.01< a/A <1 (4’)
なる条件を満たせば更に良い。
0.001< a/A <1 (4)
なる条件を満たすことが望ましい。
a/Aの値が上記条件式(4)の下限を下回ると、電極に蓄えられる電荷の量が減って静電気力が低下する。この場合、
0.01< a/A <1 (4’)
なる条件を満たせば更に良い。
なお、図9の例では下側電極409b1〜409b4にも電圧を加えたが、上側電極409k1〜409k4だけに電圧を加えるようにしても良い。何故ならば、この場合でも、図11に示すように、+Q3,−Q3,+Q4,−Q4の電荷は蓄積されるので、上側電極409k1と409k2との間,上側電極409k2と409k3との間及び上側電極409k3と409k4との間に、それぞれ静電気の引力が働くため、基板409jは上向きに反る。これら電極間には、電極間に働く力が斥力になるように電圧を加えても良い。このような方法は、可変焦点レンズにも適用できる。更に、電極をコイルに置き換え、電磁力で電極間に力を生じさせて、反射面409aを変形させても良い。静電気力、電磁気力等を合わせて電気力と呼ぶことにする。
図10は、可変ミラーの一実施例である。この実施例の説明を後で述べる。
図10は、可変ミラーの一実施例である。この実施例の説明を後で述べる。
図12は、可変ミラーに用いられる上側電極409k1〜409k4あるいは下側電極409b1〜409b4の分割パターンの例を示している。図中、i, j, m, nは自然数で電極につけた番号、Pijはi番目とj番目の電極の重心間距離、PはPijの平均値、dmnはm番目とn番目の電極の隙間の距離、dはdmnの平均値である。
分割された各電極の面積は、ほぼ等しい方が反射面409aの面形状の制御がし易くて良い。Pの値としては、各電極の図形の重心間距離Pijの平均値を採用すれば良い。上側電極の形あるいは個数と、下側電極の形あるいは個数とは、必ずしも一致していなくても良い。また、上側電極409k1〜409k4,下側電極409b1〜409b4の何れかを更に細分化して、これら細分化された電極群に同符号の電圧を加える場合には、P, dの値としては、細分化された電極群を一つの電極とみなした時のP, dの値を採用するものとする。この考え方は、以下の実施例の電極についても適用される。この様子を図12(c)に示した。細分化する前の電極は図12(b)に示されている。
分割された各電極の面積は、ほぼ等しい方が反射面409aの面形状の制御がし易くて良い。Pの値としては、各電極の図形の重心間距離Pijの平均値を採用すれば良い。上側電極の形あるいは個数と、下側電極の形あるいは個数とは、必ずしも一致していなくても良い。また、上側電極409k1〜409k4,下側電極409b1〜409b4の何れかを更に細分化して、これら細分化された電極群に同符号の電圧を加える場合には、P, dの値としては、細分化された電極群を一つの電極とみなした時のP, dの値を採用するものとする。この考え方は、以下の実施例の電極についても適用される。この様子を図12(c)に示した。細分化する前の電極は図12(b)に示されている。
以上、更に他の実施例として、可変ミラーの例を説明したが、図5に示したのと類似の構成をとることで、可変焦点レンズとして応用することができる。その場合、図5における透明電極303を複数に分割して、透明電極309b1〜309b3との間に、図6,7または9に示したように電圧を加えれば良い。これにより、透明膜302を凹面にも凸面にも変形させることができる。この場合、固定電極409b6及び409b7は不要である。
なお、これまでの説明では、全ての実施例について、電源として直流電源412A及び412Bを用いたが、これは交流電源としても良い。交流電源の場合でも交流の周波数が充分高ければ、光学面の形状は、電圧を固定すればほぼ一定形状となる。従って、この光学特性可変光学素子は、後述する図29や図36に示すような撮像装置や、後述する図38に示すような観察装置等の光学装置に用いることができる。
図13は、更に他の実施例として示した可変ミラーの別の駆動方法を示している。この例において、下側電極409b1と409b2との間に、低い周波数f1の交流電圧を加えると、これに対向する電極409k1および409k2には、電極409b1および409b2とは逆符号の電荷が生じる(図14参照)。従って、静電引力により基板409jは下方へ引っ張られる。ここで交流電圧の周波数を上げていくと、可変抵抗411−15の抵抗値のために、上側電極409k1及び409k2に、下側電極409b1及び409b2とは反対符号の電荷が生じるまでに、時間的な遅れができる。このため、下側電極409b1と上側電極409k1には同符号の電荷が生じる時間があり、この間、二つの電極間には斥力が働く。可変抵抗411−15の抵抗値を大きくすれば、上記の時間的遅れも大きくなり、二つの電極間に斥力が働く。このように、交流電圧の周波数f1あるいは可変抵抗411−15の抵抗値を変えることで、二つの電極間に働く力を、引力とすることも斥力とすることもできる。
以上の説明は、下側電極409b3,409b4と上側電極409k3,409k4間についても成り立つが、この構成によれば、既述の他の例に比べて、上側電極409k1〜409k4側の電子回路が簡単になるという利点がある。
以上の説明は、下側電極409b3,409b4と上側電極409k3,409k4間についても成り立つが、この構成によれば、既述の他の例に比べて、上側電極409k1〜409k4側の電子回路が簡単になるという利点がある。
また、図15に示すように、上側電極409kは分割せずに、抵抗値の高い材質でできた一つの電極にして、下側電極409b1,409b2間および409b3,409b4間にそれぞれ交流電圧を加えれば、f1,f2の周波数の増加と共に、上側電極409kに加わる力は引力から斥力に変わっていく。この場合は、上側電極の構造が簡単になるという利点がある。なお、下側電極409b1〜409b4を分割せずに抵抗の大きい材料で作り、上側電極を分割して、交流電圧を加えるようにしても良い。
また、薄膜409aで上側電極409kを代用しても良い。その場合、薄膜の構造が簡単になるという利点がある。
また、薄膜409aで上側電極409kを代用しても良い。その場合、薄膜の構造が簡単になるという利点がある。
また、前記条件式(2),(2’),(3),(3’),(4),(4’)は、上記二つの例の場合にも同様の理由で成り立つ。
また、図13および図15では、可変ミラーの例について述べたが、可変焦点レンズ等にも上記駆動方法は適用できる。その場合、図5に示した例で透明電極303を上側電極409kあるいは409k1〜409k4とみなし、固定電極309b1,309b2,309b3間にそれぞれ交流電圧を加えれば良い。
また、図13の上側電極409k1〜409k4を除く、図6,7,9,13および15に示す例では、分割電極の全てに電圧が加わっているが、幾つかの電極には電圧を印加しないようにしても良い。電圧を加える電極を選択することで、基板409jの変形の自由度が広がる。特に、上下の電極間に斥力を生じさせたい場合、有利になることがある。
また、図12に示す電極の分割パターンは、形状可変ミラーを用いる光学系の対称な面と同一の対称な面を持つようにし、且つ周辺部の電極ほど面積が小さくなるようにすると、制御しやすくて良い。図12(a)及び12(b)に示す電極はそのように形成されている。
なお、光学系の製造誤差を補正するためには、電極に加える電圧パターンを、上記対称面について非対称にできるようにすると良い。
また、図12に示す電極の分割パターンは、形状可変ミラーを用いる光学系の対称な面と同一の対称な面を持つようにし、且つ周辺部の電極ほど面積が小さくなるようにすると、制御しやすくて良い。図12(a)及び12(b)に示す電極はそのように形成されている。
なお、光学系の製造誤差を補正するためには、電極に加える電圧パターンを、上記対称面について非対称にできるようにすると良い。
また、以上述べた光学特性可変光学素子の実施例では、基板上の電極同士は、変形しないとき略平行であるとしたが、必ずしも平行である必要はない。即ち、図16に示す如く、斜めになっていても良い。このように構成すれば、上下電極間の電圧を大きく変化させずに、非対称な光学面の形状を実現することができるという利点がある。
なお、この実施例は、図16に示した如く、図1における上側基板434が、第1上側基板434−1と第2上側基板434−2に分割されていて、第1上側基板434−1に電極409b6および409b7が、第2上側基板434−2に電極409b8よび409b9がそれぞれ配設されている。
なお、この実施例で、上部の電極409b6〜409b9,保持枠432,第1上側基板434−1および第2上側基板434−2は、なくても良い。
なお、この実施例は、図16に示した如く、図1における上側基板434が、第1上側基板434−1と第2上側基板434−2に分割されていて、第1上側基板434−1に電極409b6および409b7が、第2上側基板434−2に電極409b8よび409b9がそれぞれ配設されている。
なお、この実施例で、上部の電極409b6〜409b9,保持枠432,第1上側基板434−1および第2上側基板434−2は、なくても良い。
また、下側基板431,上側基板434−1または434−2の表面は、平面でなく、曲面形状をなしていても良い。
以上、各実施例で示した本発明にかかる光学特性可変光学素子は、何れも、光学装置のピント合わせ,視度調整,変倍,ブレ補正,製造誤差の補正,温度変化や湿度変化の補償および経時変化の補償等に用いることができる。それら光学装置の構成は、後述する図29,図36,図38および図43等に示されている。
また、図6以降の実施例で、電極を透明電極で作れば、各実施例の光学面の変形方法は可変焦点レンズにも用いることができる。
また、図6以降の実施例で、電極を透明電極で作れば、各実施例の光学面の変形方法は可変焦点レンズにも用いることができる。
図6,7,9,10及び13の各実施例において、上側電極409k1〜409k4,下側電極409b1〜409b4の各電極の厚さ(あるいは紙面上下方向の幅)をt,面積をwとしたとき、
0.000001≦t/√w≦10000 (5)
を満たすことが望ましい。
t/√wの値が下限を下回ると、電極周辺部の電場が強くなりすぎ、放電が起る。逆に上限を上回ると、電極が厚くなりすぎ、形状可変ミラーあるいは可変焦点レンズの厚さが増えてしまう。
0.00001≦t/√w≦1000 (5’)
とすればなお良い。
0.000001≦t/√w≦10000 (5)
を満たすことが望ましい。
t/√wの値が下限を下回ると、電極周辺部の電場が強くなりすぎ、放電が起る。逆に上限を上回ると、電極が厚くなりすぎ、形状可変ミラーあるいは可変焦点レンズの厚さが増えてしまう。
0.00001≦t/√w≦1000 (5’)
とすればなお良い。
また、図6,7,9,10及び13の各実施例で、基板409jの厚さをuとしたとき、
0.0000001≦u/G≦1000 (6)
を満たすことが望ましい。
u/Gの値が下限を下回ると、薄膜409aに生じる誘導電荷のために静電気力が弱まる。u/Gの値が上限を上回ると、基板409jの剛性が増し、変形が困難になる。
0.000001≦u/G≦100 (6’)
とすればなお良い。
0.0000001≦u/G≦1000 (6)
を満たすことが望ましい。
u/Gの値が下限を下回ると、薄膜409aに生じる誘導電荷のために静電気力が弱まる。u/Gの値が上限を上回ると、基板409jの剛性が増し、変形が困難になる。
0.000001≦u/G≦100 (6’)
とすればなお良い。
あるいは、薄膜409aと上側電極409k1〜409k4との距離をΔとしたとき、
0.0000001≦Δ/G≦1000 (7)
を満たすことが望ましい。
Δ/Gの値が下限を下回ると、薄膜409aに生じる誘導電荷のために静電気力が弱まる。Δ/Gの値が上限を上回ると、基板409jの剛性が増し、変形が困難になる。
0.000001≦Δ/G≦100 (7’)
とすればなお良い。
0.0000001≦Δ/G≦1000 (7)
を満たすことが望ましい。
Δ/Gの値が下限を下回ると、薄膜409aに生じる誘導電荷のために静電気力が弱まる。Δ/Gの値が上限を上回ると、基板409jの剛性が増し、変形が困難になる。
0.000001≦Δ/G≦100 (7’)
とすればなお良い。
また、図6,7,9,10及び13の各実施例で、薄膜409aに誘導される電荷で、静電気力が弱まるのを防ぐために、図10に示すように、薄膜409aを、対向する上側電極409k1〜409k4に合わせて、分割しても良い。409a1〜409a4が分割された反射膜を示しており、それぞれ上側電極409k1〜409k4と略相似形状をしている。反射膜409a1〜409a4の個数は、上側電極409k1〜409k4の個数と必ずしも一致していなくても良く、その形は完全に相似でなくても良い。静電気力が弱まるのを防ぐ対応関係があれば良い。分割された反射膜間の距離kは、mm単位で表したとき、
0.00001<k<100 (8)
を満たすと良い。
kの値が下限を下回ると、薄膜409aの製作が困難になり、上限を上回ると、反射膜としての面積が減って、光量を損する。
0.0001<k<20 (8’)
とすればなお良い。
0.00001<k<100 (8)
を満たすと良い。
kの値が下限を下回ると、薄膜409aの製作が困難になり、上限を上回ると、反射膜としての面積が減って、光量を損する。
0.0001<k<20 (8’)
とすればなお良い。
なお、本願では、光学特性可変光学素子そのものとは別に、光学特性可変光学素子とその駆動回路を合わせたものを光学特性可変光学素子と呼ぶ場合がある。
また、図10で、分割された反射膜409a1、409a2、409a3、409a4…を、上側電極409k1、409k2、409k3、409k4、…のかわりに分割電極として用いても良い。この時、上側電極409k1、409k2、…は省略してもよく、省略した場合には変形部分の剛性が下がるので変形が容易になり良い。同様に、図6〜9、図11、13、14の例でも薄膜409aを複数に分割し、分割電極として用いてもよい。このようにすると、図10の場合と同様の効果が得られる。
なお、上側電極409k1、409k2、…はそのまま残し、薄膜409aを分割することだけでも変形部分の剛性は下がるので、変形が容易になり良い。
また、基板、あるいは光学面が変形しない図42のような可変ミラーに於ても、反射面を分割し、分割電極として用いてもよい。
なお、上側電極409k1、409k2、…はそのまま残し、薄膜409aを分割することだけでも変形部分の剛性は下がるので、変形が容易になり良い。
また、基板、あるいは光学面が変形しない図42のような可変ミラーに於ても、反射面を分割し、分割電極として用いてもよい。
また、可変ミラー、可変焦点レンズ等の光学特性可変素子に於て、光学面を凸面に変形させる時には図30のように流体を用い、凹面に変形させる時には、図17、18、23のように静電気力、電磁気力、圧電効果等の電気力を用いてもよい。
また、凹変形、凸変形いずれの変形の場合でも、流体の力と電気力とを併用してもよい。このように複数の力を併用することで、多様な面の変形が可能な光学特性可変素子が得られる。電気力のうちの2つ以上を併用してももちろん良い。
たとえば、図29のような可変ミラーを用いた撮像系に、凸変形時には流体の圧力を用い、凹変形時には静電気力を用いるとする。そして、反射面形状が平面の場合に被写界深度の遠点が無限遠になる距離にピントが合うように撮像素子408の位置決めを行っておく。
そして、撮影のためのオートフォーカス時には、凸面から凹面まで可変ミラーを変形させつつ撮像素子408で撮像を行ない、物体像の高周波成分が最大になったところでピントが合っていると判断すればよい。その時の可変ミラーの反射面形状で実際の撮影を行えば良い画像が得られるし、また、電源切れあるいは駆動回路の故障等で可変ミラーの反射面が平面にしかできないような場合でもほぼ遠方にピントが合うので、実用上問題が生じにくく、良い。
なお、反射面形状が平面の場合、ピントの合う物体距離は無限遠から0.5メートルの間のどこかに選んで撮像素子408の位置決めをしておいてもよい。このように撮像素子408の位置決めをしておくと、電源切れ等の場合に同様の効果が得られる。
なお、以上のフォーカシングの方法は、可変焦点レンズにも適用できるし、一種類の駆動力を用いる可変ミラー、可変焦点レンズにも適用できる。
また、凹変形、凸変形いずれの変形の場合でも、流体の力と電気力とを併用してもよい。このように複数の力を併用することで、多様な面の変形が可能な光学特性可変素子が得られる。電気力のうちの2つ以上を併用してももちろん良い。
たとえば、図29のような可変ミラーを用いた撮像系に、凸変形時には流体の圧力を用い、凹変形時には静電気力を用いるとする。そして、反射面形状が平面の場合に被写界深度の遠点が無限遠になる距離にピントが合うように撮像素子408の位置決めを行っておく。
そして、撮影のためのオートフォーカス時には、凸面から凹面まで可変ミラーを変形させつつ撮像素子408で撮像を行ない、物体像の高周波成分が最大になったところでピントが合っていると判断すればよい。その時の可変ミラーの反射面形状で実際の撮影を行えば良い画像が得られるし、また、電源切れあるいは駆動回路の故障等で可変ミラーの反射面が平面にしかできないような場合でもほぼ遠方にピントが合うので、実用上問題が生じにくく、良い。
なお、反射面形状が平面の場合、ピントの合う物体距離は無限遠から0.5メートルの間のどこかに選んで撮像素子408の位置決めをしておいてもよい。このように撮像素子408の位置決めをしておくと、電源切れ等の場合に同様の効果が得られる。
なお、以上のフォーカシングの方法は、可変焦点レンズにも適用できるし、一種類の駆動力を用いる可変ミラー、可変焦点レンズにも適用できる。
また、流体を用いて光学面を凸面に変形させ、次に電気力を用いて凹面に変形させる構造の光学特性可変素子の場合、流体を逃がす弁を可変ミラー、可変焦点レンズ等に設けると良い。
次に、本発明にかかる光学特性可変光学素子の更に別の各種構成例と、それらを用いた光学装置の例を説明する。
図17の構成例では、形状可変ミラー409は、変形する基板409jの上に形成されたアルミコーティング等で作られた薄膜(反射面)409aと、基板409jの下側に設けられた電極409kとの3層構造の周辺部が輪帯状の支持台423に支持されるとともに、電極409kとは間隔を設けて支持台423に取付けられた複数の電極409bと、各電極409bにそれぞれ接続されて駆動回路として機能する複数の可変抵抗器411aと、可変抵抗器411bと電源スイッチ413を介して電極409kと電極409b間に接続された電源412と、複数の可変抵抗器411aの抵抗値を制御するための演算装置414とで構成されており、演算装置414には、さらに温度センサー415、湿度センサー416及び距離センサー417が接続されて、これらは図示のように1つの光学装置の一部を構成している。なお、変形する基板409jは、薄膜でもよいし、板状でもよい。
図17の構成例では、形状可変ミラー409は、変形する基板409jの上に形成されたアルミコーティング等で作られた薄膜(反射面)409aと、基板409jの下側に設けられた電極409kとの3層構造の周辺部が輪帯状の支持台423に支持されるとともに、電極409kとは間隔を設けて支持台423に取付けられた複数の電極409bと、各電極409bにそれぞれ接続されて駆動回路として機能する複数の可変抵抗器411aと、可変抵抗器411bと電源スイッチ413を介して電極409kと電極409b間に接続された電源412と、複数の可変抵抗器411aの抵抗値を制御するための演算装置414とで構成されており、演算装置414には、さらに温度センサー415、湿度センサー416及び距離センサー417が接続されて、これらは図示のように1つの光学装置の一部を構成している。なお、変形する基板409jは、薄膜でもよいし、板状でもよい。
可変ミラーの反射面は、演算装置414による制御により、平面でなくてもよく、球面、回転対称非球面の他、光軸に対して偏心した球面、平面、回転対称非球面、あるいは、対称面を有する非球面、対称面を1つだけ有する非球面、対称面のない非球面、自由曲面、微分不可能な点又は線を有する面等、いかなる形状にも制御される。以下、これらの面を総称して拡張曲面という。薄膜409aで形成される反射面により光線は矢印のように反射される。
前記薄膜409aは、例えば、P.Rai-choudhury編、Handbook of Michrolithography, Michromachining and Michrofabrication, Volume 2:Michromachining and Michrofabrication,P495,Fig.8.58, SPIE PRESS刊やOptics Communication, 140巻(1997年)P187〜190に記載されているメンブレインミラーのように、複数の電極409bと電極409kの間に電圧が印加されると、静電気力により薄膜409aが変形してその面形状が変化するようになっている。
なお、電極409bの形は、例えば図19、図20に示すように、薄膜409aの変形のさせ方に応じて、同心分割、矩形分割にして、選べばよい。
なお、電極409bの形は、例えば図19、図20に示すように、薄膜409aの変形のさせ方に応じて、同心分割、矩形分割にして、選べばよい。
上記のように、反射面としての薄膜409aの形状は、結像性能が最適になるように演算装置414からの信号により各可変抵抗器411aの抵抗値を変化させることにより制御される。すなわち、演算装置414へ、温度センサー415、湿度センサー416及び距離センサー417から周囲温度及び湿度並びに物体までの距離に応じた大きさの信号が入力され、演算装置414は、これらの入力信号に基づき周囲の温度及び湿度条件と物体までの距離、あるいは電子ズームのための画像処理装置303からの指令に基づき、薄膜409aの形状が決定されるような電圧を電極409bに印加するように、各変抵抗器411aの抵抗値を決定するための信号を出力する。このように、薄膜409aは電極409bに印加される電圧すなわち静電気力で変形させられ、その形状は状況により非球面を含む様々な拡張曲面の形状をとる。なお、距離センサー417はなくてもよく、その場合、例えば不図示の固体撮像素子408からの像の信号の高周波成分が略最大になるように物体距離を算出し、可変ミラーを変形させるようにすればよい。可変ミラー409はリソグラフィーを用いて作ると加工精度がよく、良い品質のものが得られやすく、良い。
また、変形する基板409jをポリイミドあるいは商品名サイトップ(旭硝子(株)製)等の合成樹脂で製作すれば、低電圧でも大きな変形が可能であるので好都合である。
図18の構成例では、変形する基板409jをはさんで反射面としての薄膜409aと変形する電極409kを別に設けて一体化しているので、製造法がいくつか選べる利点がある。また反射面としての薄膜409aを導電性の薄膜としてもよい。このようにすると、変形する電極409kを兼ねることができ、両者が1つになるので、構造が簡単になる利点がある。
可変ミラーの反射面の形状は自由曲面にするのが良い。なぜなら収差補正が容易にでき、有利だからである。
図18の構成例では、変形する基板409jをはさんで反射面としての薄膜409aと変形する電極409kを別に設けて一体化しているので、製造法がいくつか選べる利点がある。また反射面としての薄膜409aを導電性の薄膜としてもよい。このようにすると、変形する電極409kを兼ねることができ、両者が1つになるので、構造が簡単になる利点がある。
可変ミラーの反射面の形状は自由曲面にするのが良い。なぜなら収差補正が容易にでき、有利だからである。
また、図17の構成例では、演算装置414、温度センサー415、湿度センサー416、距離センサー417を設け、温湿度変化、物体距離の変化等も可変ミラー409で補償するようにしたが、そうではなくてもよい。つまり、温度センサー415、湿度センサー416、距離センサー417を省いても良い。
図18は可変ミラー409の他の構成例を示す概略図である。
本構成例の可変ミラーは、反射面としての薄膜409aと電極409bとの間に圧電素子409cが介装されていて、これらが支持台423上に設けられている。そして、圧電素子409cに加わる電圧を各電極409b毎に変えることにより、圧電素子409cに部分的に異なる伸縮を生じさせて、薄膜409aの形状を変えることができるようになっている。電極409bの形は、図19に示すように、同心分割であってもよいし、図20に示すように、矩形分割であってもよく、その他、適宜の形のものを選択することができる。
図18中、424は演算装置414に接続された振れ(ブレ)センサーであって、例えばこの構成例の光学装置をデジタルカメラに用いる場合には、デジタルカメラの振れを検知し、振れによる像の乱れを補償するように薄膜409aを変形させるべく、演算装置414及び可変抵抗器を内蔵した駆動回路411を介して電極409bに印加される電圧を変化させる。このとき、温度センサー415、湿度センサー416及び距離センサー417からの信号も同時に考慮され、ピント合わせ、温湿度補償等が行われる。この場合、薄膜409aには圧電素子409cの変形に伴う応力が加わるので、薄膜409aの厚さはある程度厚めに作られて相応の強度を持たせるようにするのがよい。
なお、駆動回路411は、電極409bの数に対応して複数配置する構成に限らず、1つの駆動回路でもって複数の電極409bを制御する構成にしてもよい。
本構成例の可変ミラーは、反射面としての薄膜409aと電極409bとの間に圧電素子409cが介装されていて、これらが支持台423上に設けられている。そして、圧電素子409cに加わる電圧を各電極409b毎に変えることにより、圧電素子409cに部分的に異なる伸縮を生じさせて、薄膜409aの形状を変えることができるようになっている。電極409bの形は、図19に示すように、同心分割であってもよいし、図20に示すように、矩形分割であってもよく、その他、適宜の形のものを選択することができる。
図18中、424は演算装置414に接続された振れ(ブレ)センサーであって、例えばこの構成例の光学装置をデジタルカメラに用いる場合には、デジタルカメラの振れを検知し、振れによる像の乱れを補償するように薄膜409aを変形させるべく、演算装置414及び可変抵抗器を内蔵した駆動回路411を介して電極409bに印加される電圧を変化させる。このとき、温度センサー415、湿度センサー416及び距離センサー417からの信号も同時に考慮され、ピント合わせ、温湿度補償等が行われる。この場合、薄膜409aには圧電素子409cの変形に伴う応力が加わるので、薄膜409aの厚さはある程度厚めに作られて相応の強度を持たせるようにするのがよい。
なお、駆動回路411は、電極409bの数に対応して複数配置する構成に限らず、1つの駆動回路でもって複数の電極409bを制御する構成にしてもよい。
図21は可変ミラー409のさらに他の構成例を示す概略構成図である。
本構成例の可変ミラーは、薄膜409aと電極409bの間に介置される圧電素子が逆方向の圧電特性を持つ材料で作られた2枚の圧電素子409c及び409c’で構成されている。すなわち、圧電素子409cと409c’が強誘電性結晶で作られ、結晶軸の向きが互いに逆になるように配置される。この場合、圧電素子409cと409c’は電圧が印加されると逆方向に伸縮するので、薄膜409aを変形させる力が、図18に示した1層構造の場合よりも強くなり、結果的にミラー表面の形を大きく変えることができるという利点がある。
本構成例の可変ミラーは、薄膜409aと電極409bの間に介置される圧電素子が逆方向の圧電特性を持つ材料で作られた2枚の圧電素子409c及び409c’で構成されている。すなわち、圧電素子409cと409c’が強誘電性結晶で作られ、結晶軸の向きが互いに逆になるように配置される。この場合、圧電素子409cと409c’は電圧が印加されると逆方向に伸縮するので、薄膜409aを変形させる力が、図18に示した1層構造の場合よりも強くなり、結果的にミラー表面の形を大きく変えることができるという利点がある。
圧電素子409c,409c’に用いる材料としては、例えばチタン酸バリウム、ロッシエル塩、水晶、電気石、リン酸二水素カリウム(KDP)、リン酸二水素アンモニウム(ADP)、ニオブ酸リチウム等の圧電物質、同物質の多結晶体、同物質の結晶、PbZrO3とPbTiO3の固溶体の圧電セラミックス、二フッ化ポリビニール(PVDF)等の有機圧電物質、上記以外の強誘電体等があり、特に有機圧電物質はヤング率が小さく、低電圧でも大きな変形が可能であるので、好ましい。なお、これらの圧電素子を利用する場合、厚さを不均一にすれば、上記構成例において薄膜409aの形状を適切に変形させることも可能である。
また、圧電素子409c,409c’の材料としては、ポリウレタン、シリコンゴム、アクリルエラストマー、PZT、PLZT、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の高分子圧電体、シアン化ビニリデン共重合体、ビニリデンフルオライドとトリフルオロエチレンの共重合体等が用いられる。
圧電性を有する有機材料や、圧電性を有する合成樹脂、圧電性を有するエラストマー等を用いると可変ミラー面の大きな変形が実現できてよい。
なお、図18、図22に示す圧電素子409cに、例えば、アクリルエラストマー、シリコンゴム等の電歪材料を用いる場合には、1層構造の圧電素子409cを別の基板409c−1と電歪材料409c−2とを貼り合わせた2層構造にしてもよい。
図22は可変ミラー409のさらに他の構成例を示す概略図である。
本構成例の可変ミラーは、圧電素子409cが薄膜409aと電極409dとにより挟持され、薄膜409aと電極409dとの間に演算装置414により制御される駆動回路425aを介して電圧が印加されるようになっており、さらにこれとは別に、支持台423上に設けられた電極409bにも演算装置414により制御される駆動回路425bを介して電圧が印加されるように構成されている。したがって、本構成例では、薄膜409aは電極409dとの間に印加される電圧と電極409bに印加される電圧による静電気力とにより二重に変形され得、上記実施例に示した何れのものよりもより多くの変形パターンが可能であり、かつ、応答性も速いという利点がある。
本構成例の可変ミラーは、圧電素子409cが薄膜409aと電極409dとにより挟持され、薄膜409aと電極409dとの間に演算装置414により制御される駆動回路425aを介して電圧が印加されるようになっており、さらにこれとは別に、支持台423上に設けられた電極409bにも演算装置414により制御される駆動回路425bを介して電圧が印加されるように構成されている。したがって、本構成例では、薄膜409aは電極409dとの間に印加される電圧と電極409bに印加される電圧による静電気力とにより二重に変形され得、上記実施例に示した何れのものよりもより多くの変形パターンが可能であり、かつ、応答性も速いという利点がある。
そして、薄膜409a、電極409d間の電圧の符号を変えれば、可変ミラーを凸面にも凹面にも変形させることができる。その場合、大きな変形を圧電効果で行ない、微細な形状変化を静電気力で行なってもよい。また、凸面の変形には圧電効果を主に用い、凹面の変形には静電気力を主に用いてもよい。なお、電極409dは電極409bのように複数の電極から構成されてもよい。この様子を図26に示した。なお、本願では、圧電効果と電歪効果、電歪をすべてまとめて圧電効果と述べている。従って、電歪材料も圧電材料に含むものとする。
図23は可変ミラー409のさらに他の構成例を示す概略図である。
本構成例の可変ミラーは、電磁気力を利用して反射面の形状を変化させ得るようにしたもので、支持台423の内部底面上には永久磁石426が、頂面上には窒化シリコン又はポリイミド等からなる基板409eの周縁部が載置固定されており、基板409eの表面にはアルミニウム等の金属コートで作られた薄膜409aが付設されていて、可変ミラー409を構成している。基板409eの下面には複数のコイル427が配設されており、これらのコイル427はそれぞれ駆動回路428を介して演算装置414に接続されている。したがって、各センサー415,416,417,424およびその他からの信号によって演算装置414において求められる光学系の変化に対応した演算装置414からの出力信号により、各駆動回路428から各コイル427にそれぞれ適当な電流が供給されると、永久磁石426との間に働く電磁気力で各コイル427は反発又は吸引または吸着され、基板409e及び反射面として機能する薄膜409aを変形させる。
本構成例の可変ミラーは、電磁気力を利用して反射面の形状を変化させ得るようにしたもので、支持台423の内部底面上には永久磁石426が、頂面上には窒化シリコン又はポリイミド等からなる基板409eの周縁部が載置固定されており、基板409eの表面にはアルミニウム等の金属コートで作られた薄膜409aが付設されていて、可変ミラー409を構成している。基板409eの下面には複数のコイル427が配設されており、これらのコイル427はそれぞれ駆動回路428を介して演算装置414に接続されている。したがって、各センサー415,416,417,424およびその他からの信号によって演算装置414において求められる光学系の変化に対応した演算装置414からの出力信号により、各駆動回路428から各コイル427にそれぞれ適当な電流が供給されると、永久磁石426との間に働く電磁気力で各コイル427は反発又は吸引または吸着され、基板409e及び反射面として機能する薄膜409aを変形させる。
この場合、各コイル427はそれぞれ異なる量の電流を流すようにすることもできる。また、コイル427は1個でもよいし、永久磁石426を基板409eに付設しコイル427を支持台423の内部底面側に設けるようにしてもよい。また、コイル427はリソグラフィー等の手法で作るとよく、さらに、コイル427には強磁性体よりなる鉄心を入れるようにしてもよい。
この場合、薄膜コイル427の巻密度を、図24に示すように、場所によって変化させたコイル428’とすることにより、基板409e及び薄膜409aに所望の変形を与えるようにすることもできる。また、コイル427は1個でもよいし、また、これらのコイル427には強磁性体よりなる鉄心を挿入してもよい。
図25は可変ミラー409のさらに他の構成例を示す概略図である。
本構成例の可変ミラーでは、基板409eは鉄等の強磁性体で作られており、反射膜としての薄膜409aはアルミニウム等からなっている。この場合、薄膜409a側にコイルを設けなくても、磁力によって薄膜409aを変形させることができるから、構造が簡単で、製造コストを低減することができる。また、電源スイッチ413を、各コイル427の電流の流れる方向を切換え可能にする切換え兼用の電源開閉用スイッチで置換すれば、コイル427に流れる電流の方向を変えることができ、基板409e及び薄膜409aの形状を自由に変えることができる。
図26は本構成例におけるコイル427の一配置例を示し、図27はコイル427の他の配置例を示しているが、これらの配置は、図23に示した構成例にも適用することができる。
なお、図28は、コイル427の配置を図27に示したように放射状とした場合に適する永久磁石426の一配置例を示している。図28に示すように、棒状の永久磁石426を放射状に配置すれば、図23に示した構成例に比べて、微妙な変形を基板409e及び薄膜409aに与えることができる。また、このように電磁気力を用いて基板409e及び薄膜409aを変形させる場合(図23及び図25の構成例)は、静電気力を用いた場合よりも低電圧で駆動できるという利点がある。
本構成例の可変ミラーでは、基板409eは鉄等の強磁性体で作られており、反射膜としての薄膜409aはアルミニウム等からなっている。この場合、薄膜409a側にコイルを設けなくても、磁力によって薄膜409aを変形させることができるから、構造が簡単で、製造コストを低減することができる。また、電源スイッチ413を、各コイル427の電流の流れる方向を切換え可能にする切換え兼用の電源開閉用スイッチで置換すれば、コイル427に流れる電流の方向を変えることができ、基板409e及び薄膜409aの形状を自由に変えることができる。
図26は本構成例におけるコイル427の一配置例を示し、図27はコイル427の他の配置例を示しているが、これらの配置は、図23に示した構成例にも適用することができる。
なお、図28は、コイル427の配置を図27に示したように放射状とした場合に適する永久磁石426の一配置例を示している。図28に示すように、棒状の永久磁石426を放射状に配置すれば、図23に示した構成例に比べて、微妙な変形を基板409e及び薄膜409aに与えることができる。また、このように電磁気力を用いて基板409e及び薄膜409aを変形させる場合(図23及び図25の構成例)は、静電気力を用いた場合よりも低電圧で駆動できるという利点がある。
以上いくつかの可変ミラーの構成例を述べたが、薄膜409aで変形されるミラーの形を変形させるのに、図22の構成例に示すように、2種類以上の力を用いてもよい。つまり静電気力、電磁力、圧電効果、磁歪、流体の圧力、電場、磁場、温度変化、電磁波等のうちから2つ以上を同時に用いて反射面を形成する薄膜を変形させてもよい。つまり2つ以上の異なる駆動方法を用いて光学特性可変光学素子を作れば、大きな変形と微細な変形とを同時に実現でき、精度の良い鏡面が実現できる。
図29は、光学装置に適用可能な本発明のさらに他の実施例に係る可変ミラー409を用いた撮像系、例えば携帯電話のデジタルカメラ、カプセル内視鏡、電子内視鏡、パソコン用デジタルカメラ、PDA用デジタルカメラ等に用いられる撮像系の概略構成図である。
この撮像系は、可変ミラー409と、レンズ902と、固体撮像素子408と、制御系103とで一つの撮像ユニット104を構成している。本実施例の撮像ユニット104では、レンズ102を通った物体からの光は可変ミラー409で集光され、固体撮像素子408の上に結像する。可変ミラー409は、光学特性可変光学素子の一種であり、可変焦点ミラーとも呼ばれている。
この撮像系は、可変ミラー409と、レンズ902と、固体撮像素子408と、制御系103とで一つの撮像ユニット104を構成している。本実施例の撮像ユニット104では、レンズ102を通った物体からの光は可変ミラー409で集光され、固体撮像素子408の上に結像する。可変ミラー409は、光学特性可変光学素子の一種であり、可変焦点ミラーとも呼ばれている。
本実施例によれば、物体距離が変わっても可変ミラー409を変形させることでピント合わせをすることができ、レンズをモーター等で駆動する必要がなく、小型化、軽量化、低消費電力化の点で優れている。また、撮像ユニット104は本発明の撮像系としてすべての実施例で用いることができる。また、可変ミラー409を複数用いることでズーム、変倍の撮像系、光学系を作ることができる。
なお、図29では、制御系103にコイルを用いたトランスの昇圧回路を含む制御系の構成例を示している。特に積層型圧電トランスを用いると、小型化できてよい。昇圧回路は電気を用いる可変ミラー、可変焦点レンズに用いることができるが、特に静電気力、圧電効果を用いる場合の可変ミラー、可変焦点レンズに有用である。なお可変ミラー409でピント合わせを行うためには、たとえば固体撮像素子408に物体像を結像させ可変ミラー409の焦点距離を変化させつつ物体像の高周波成分が最大になる状態を見つければよい。高周波成分を検出するには、たとえば固体撮像素子408にマイクロコンピュータ等を含む処理装置を接続し、その中で高周波成分を検出すればよい。
なお、レンズ902を後述の可変焦点レンズで置き換えても良いが、同様に上記の効果が得られる。この場合、可変ミラー409は通常のミラーでも良い。またレンズ902と可変焦点レンズを併用しても良い。
なお、図29では、制御系103にコイルを用いたトランスの昇圧回路を含む制御系の構成例を示している。特に積層型圧電トランスを用いると、小型化できてよい。昇圧回路は電気を用いる可変ミラー、可変焦点レンズに用いることができるが、特に静電気力、圧電効果を用いる場合の可変ミラー、可変焦点レンズに有用である。なお可変ミラー409でピント合わせを行うためには、たとえば固体撮像素子408に物体像を結像させ可変ミラー409の焦点距離を変化させつつ物体像の高周波成分が最大になる状態を見つければよい。高周波成分を検出するには、たとえば固体撮像素子408にマイクロコンピュータ等を含む処理装置を接続し、その中で高周波成分を検出すればよい。
なお、レンズ902を後述の可変焦点レンズで置き換えても良いが、同様に上記の効果が得られる。この場合、可変ミラー409は通常のミラーでも良い。またレンズ902と可変焦点レンズを併用しても良い。
図30は可変ミラーのさらに他の構成例を示し、マイクロポンプ180で流体161を出し入れし、支持台189aの上部に張った膜で形成されるミラー面を変形させる可変ミラー188の概略図である。本実施例によれば、ミラー面を大きく変形させることが可能になるという利点がある。図中、168は支持台189a内の流体161の量を、マイクロポンプ180とともに制御する制御装置であり、この制御装置168とマイクロポンプ180は、膜189の変形を制御するので、実施の形態の駆動回路304に相当する構成となる。
マイクロポンプ180は、例えば、マイクロマシンの技術で作られた小型のポンプで、電力で動くように構成されている。
マイクロマシンの技術で作られたポンプの例としては、熱変形を利用したもの、圧電材料を用いたもの、静電気力を用いたものなどがある。
マイクロポンプ180は、例えば、マイクロマシンの技術で作られた小型のポンプで、電力で動くように構成されている。
マイクロマシンの技術で作られたポンプの例としては、熱変形を利用したもの、圧電材料を用いたもの、静電気力を用いたものなどがある。
図31は図30に示したマイクロポンプ180の構成例を示す概略図である。本構成例のマイクロポンプ180では、振動板181は静電気力、圧電効果等の電気力により振動する。図31では静電気力により振動する例を示しており、図31中、182,183は電極である。また、点線は変形した時の振動板181を示している。振動板181の振動に伴い、2つの弁184,185が開閉し、流体161を右から左へ送るようになっている。
図30で示した可変ミラー188では、反射面を構成する膜189が流体161の量に応じて凹凸に変形することで、可変ミラーとして機能する。流体としては、シリコンオイル、空気、水、ゼリー、等の有機物、無機物を用いることができる。
なお、静電気力、圧電効果を用いた可変ミラー、可変焦点レンズなどにおいては、駆動用に高電圧が必要になる場合がある。その場合には、例えば図29に示すように、昇圧用のトランス、あるいは圧電トランス等を用いて制御系を構成するとよい。
また、反射面を形成する薄膜409a又は膜189は、支持台423あるいは支持台189aなどの輪帯状部分の上部などの変形しない部分に設けておくと、可変ミラーの反射面の形状を干渉計等で測定する場合に、基準面として使うことができ便利である。
また、反射面を形成する薄膜409a又は膜189は、支持台423あるいは支持台189aなどの輪帯状部分の上部などの変形しない部分に設けておくと、可変ミラーの反射面の形状を干渉計等で測定する場合に、基準面として使うことができ便利である。
図32は各実施の形態で述べた本発明の光学装置に適用可能な光学系を構成するレンズ、あるいはレンズ群の一部を、可変焦点レンズに置き換えて構成することにより、前記レンズあるいはレンズ群を光軸方向にズーミングしなくて済む構成とする可変焦点レンズの原理的構成を示す図である。この可変焦点レンズ511は、第1,第2の面としてのレンズ面508a,508bを有する第1のレンズ512aと、第3,第4の面としてのレンズ面509a,509bを有する第2のレンズ512bと、これらレンズ間に透明電極513a,513bを介して設けた高分子分散液晶層514とで構成される第3のレンズ512cとを有し、入射光を第1,第3,第2のレンズ512a,512c,512bを経て収束させるものである。透明電極513a,513bは、スイッチ515を介して交流電源516に接続して、高分子分散液晶層514に交流電圧を選択的に印加するようにする。なお、高分子分散液晶層514は、それぞれ液晶分子517を含む球状、多面体等の任意の形状の多数の微小な高分子セル518を有して構成し、その体積は、高分子セル518を構成する高分子および液晶分子517がそれぞれ占める体積の和に一致させる。
ここで、高分子セル518の大きさは、例えば球状とする場合、その平均の直径Dを、使用する光の波長をλとするとき、例えば、
2nm≦D≦λ/5 (9)
とする。すなわち、液晶分子517の大きさは、2nm程度以上であるので、平均の直径Dの下限値は、2nm以上とする。また、Dの上限値は、可変焦点レンズ511の光軸方向における高分子分散液晶層514の厚さtにも依存するが、λに比べて大きいと、高分子の屈折率と液晶分子517の屈折率との差により、高分子セル518の境界面で光が散乱して高分子分散液晶層514が不透明になってしまうため、後述するように、好ましくはλ/5以下とする。可変焦点レンズが用いられる光学製品によっては高精度を要求しない場合もあり、そのときDはλ以下でよい。なお、高分子分散液晶層514の透明度は、厚さtが厚いほど悪くなる。
2nm≦D≦λ/5 (9)
とする。すなわち、液晶分子517の大きさは、2nm程度以上であるので、平均の直径Dの下限値は、2nm以上とする。また、Dの上限値は、可変焦点レンズ511の光軸方向における高分子分散液晶層514の厚さtにも依存するが、λに比べて大きいと、高分子の屈折率と液晶分子517の屈折率との差により、高分子セル518の境界面で光が散乱して高分子分散液晶層514が不透明になってしまうため、後述するように、好ましくはλ/5以下とする。可変焦点レンズが用いられる光学製品によっては高精度を要求しない場合もあり、そのときDはλ以下でよい。なお、高分子分散液晶層514の透明度は、厚さtが厚いほど悪くなる。
また、液晶分子517は、例えば、一軸性のネマティック液晶分子を用いる。この液晶分子517の屈折率楕円体は、図32に示すような形状となり、
nox=noy=no (10)
である。ただし、noは常光線の屈折率を示し、noxおよびnoyは、常光線を含む面内での互いに直交する方向の屈折率を示す。
nox=noy=no (10)
である。ただし、noは常光線の屈折率を示し、noxおよびnoyは、常光線を含む面内での互いに直交する方向の屈折率を示す。
ここで、図32に示すように、スイッチ515をオフ、すなわち高分子分散液晶層514に電界を印加しない状態では、液晶分子517が様々な方向を向いているので、入射光に対する高分子分散液晶層514の屈折率は高く、屈折力の強いレンズとなる。これに対し、図34に示すように、スイッチ515をオンとして高分子分散液晶層514に交流電圧を印加すると、液晶分子517は、屈折率楕円体の長軸方向が可変焦点レンズ511の光軸と平行となるように配向するので、屈折率が低くなり、屈折力の弱いレンズとなる。
なお、高分子分散液晶層514に印加する電圧は、例えば、図35に示すように、可変抵抗器519を用いることにより段階的あるいは連続的に変化させることもできる。このようにすれば、印加電圧が高くなるにつれて、液晶分子517は、その楕円長軸が徐々に可変焦点レンズ511の光軸と平行となるように配向するので、屈折力を段階的あるいは連続的に変えることができる。
ここで、図32に示す状態、すなわち高分子分散液晶層514に電圧を印加しない状態での、液晶分子517の平均屈折率nLC’は、図33に示すように、屈折率楕円体の長軸方向の屈折率をnzとすると、およそ
(nox+noy+nZ)/3≡nLC’ (11)
となる。また、上記(10)式が成り立つときの平均屈折率nLCは、nzを異常光線の屈折率neと表して、
(2no+ne)/3≡nLC (12)
で与えられる。このとき、高分子分散液晶層514の屈折率nAは、高分子セル518を構成する高分子の屈折率をnPとし、高分子分散液晶層514の体積に占める液晶分子517の体積の割合をffとすると、マックスウェル・ガーネットの法則により、
nA=ff・nLC’+(1−ff)nP (13)
で与えられる。
(nox+noy+nZ)/3≡nLC’ (11)
となる。また、上記(10)式が成り立つときの平均屈折率nLCは、nzを異常光線の屈折率neと表して、
(2no+ne)/3≡nLC (12)
で与えられる。このとき、高分子分散液晶層514の屈折率nAは、高分子セル518を構成する高分子の屈折率をnPとし、高分子分散液晶層514の体積に占める液晶分子517の体積の割合をffとすると、マックスウェル・ガーネットの法則により、
nA=ff・nLC’+(1−ff)nP (13)
で与えられる。
したがって、図35に示すように、レンズ512aおよび512bの内側の面、すなわち高分子分散液晶層514側の面の曲率半径を、それぞれR1およびR2とすると、高分子分散液晶層で構成される第3のレンズ512cの焦点距離f1は、
1/f1=(nA−1)(1/R1−1/R2) (14)
で与えられる。なお、R1およびR2は、曲率中心が像点側にあるとき、正とする。また、レンズ512aおよび512bの外側の面による屈折は除いている。つまり、高分子分散液晶層514のみによるレンズ512cの焦点距離が、(14)式で与えられる。
1/f1=(nA−1)(1/R1−1/R2) (14)
で与えられる。なお、R1およびR2は、曲率中心が像点側にあるとき、正とする。また、レンズ512aおよび512bの外側の面による屈折は除いている。つまり、高分子分散液晶層514のみによるレンズ512cの焦点距離が、(14)式で与えられる。
また、常光線の平均屈折率を、
(nox+noy)/2=no’ (15)
とすれば、図34に示す状態、すなわち高分子分散液晶層514に電圧を印加した状態での、高分子分散液晶層514の屈折率nBは、
nB=ff・no’+(1−ff)nP (16)
で与えられるので、この場合の高分子分散液晶層514のみによるレンズ512cの焦点距離f2は、
1/f2=(nB−1)(1/R1−1/R2) (17)
で与えられる。なお、高分子分散液晶層514に、図39に示す状態における電圧よりも低い電圧を印加する場合の焦点距離は、(14)式で与えられる焦点距離f1と、(17)式で与えられる焦点距離f2との間の値となる。
(nox+noy)/2=no’ (15)
とすれば、図34に示す状態、すなわち高分子分散液晶層514に電圧を印加した状態での、高分子分散液晶層514の屈折率nBは、
nB=ff・no’+(1−ff)nP (16)
で与えられるので、この場合の高分子分散液晶層514のみによるレンズ512cの焦点距離f2は、
1/f2=(nB−1)(1/R1−1/R2) (17)
で与えられる。なお、高分子分散液晶層514に、図39に示す状態における電圧よりも低い電圧を印加する場合の焦点距離は、(14)式で与えられる焦点距離f1と、(17)式で与えられる焦点距離f2との間の値となる。
上記(14)および(17)式から、高分子分散液晶層514による焦点距離の変化率は、
|(f2−f1)/f2|=|(nB−nA)/(nA−1)| (18)
で与えられる。したがって、この変化率を大きくするには、|nB−nA|を大きくすればよい。ここで、
nB−nA=ff(no’−nLC’) (19)
であるから、|no’−nLC’|を大きくすれば、変化率を大きくすることができる。実用的には、nBが、1.3〜2程度であるから、
0.01≦|no’−nLC’|≦10 (20)
とすれば、ff=0.5のとき、高分子分散液晶層514による焦点距離を、0.5%以上変えることができるので、効果的な可変焦点レンズを得ることができる。なお、|no’−nLC’|は、液晶物質の制限から、10を越えることはできない。
|(f2−f1)/f2|=|(nB−nA)/(nA−1)| (18)
で与えられる。したがって、この変化率を大きくするには、|nB−nA|を大きくすればよい。ここで、
nB−nA=ff(no’−nLC’) (19)
であるから、|no’−nLC’|を大きくすれば、変化率を大きくすることができる。実用的には、nBが、1.3〜2程度であるから、
0.01≦|no’−nLC’|≦10 (20)
とすれば、ff=0.5のとき、高分子分散液晶層514による焦点距離を、0.5%以上変えることができるので、効果的な可変焦点レンズを得ることができる。なお、|no’−nLC’|は、液晶物質の制限から、10を越えることはできない。
次に、上記(9)式の上限値の根拠について説明する。「Solar Energy Materials and Solar Cells」31巻,Wilson and Eck,1993, Eleevier Science Publishers B.v.発行の第197 〜214 頁、「Transmission variation using scattering/transparent switching films 」には、高分子分散液晶の大きさを変化させたときの透過率τの変化が示されている。そして、かかる文献の第206 頁、図6には、高分子分散液晶の半径をrとし、t=300μm、ff=0.5、nP =1.45、nLC=1.585、λ=500nmとするとき、透過率τは、理論値で、r=5nm(D=λ/50、D・t=λ・6μm(ただし、Dおよびλの単位はnm、以下も同じ))のときτ≒90%となり、r=25nm(D=λ/10)のときτ≒50%になることが示されている。
ここで、例えば、t=150μmの場合を推定してみると、透過率τがtの指数関数で変化すると仮定して、t=150μmの場合の透過率τを推定してみると、r=25nm(D=λ/10、D・t=λ・15μm)のときτ≒71%となる。また、t=75μmの場合は、同様に、r=25nm(D=λ/10、D・t=λ・7.5μm)のときτ≒80%となる。
これらの結果から、
D・t≦λ・15μm (21)
であれば、τは70%〜80%以上となり、レンズとして十分実用になる。したがって、例えば、t=75μmの場合は、D≦λ/5で、十分な透過率が得られることになる。
D・t≦λ・15μm (21)
であれば、τは70%〜80%以上となり、レンズとして十分実用になる。したがって、例えば、t=75μmの場合は、D≦λ/5で、十分な透過率が得られることになる。
また、高分子分散液晶層514の透過率は、nPの値がnLC’の値に近いほど良くなる。一方、no’とnPとが異なる値になると、高分子分散液晶層514の透過率は悪くなる。図32に示した状態と図34に示した状態とで、平均して高分子分散液晶層514の透過率が良くなるのは、
nP=(no’+nLC’)/2 (22)
を満足するときである。
nP=(no’+nLC’)/2 (22)
を満足するときである。
ここで、可変焦点レンズ511は、レンズとして使用するものであるから、図32の状態でも、図34の状態でも、透過率はほぼ同じで、かつ高い方が良い。そのためには、高分子セル518を構成する高分子の材料および液晶分子517の材料に制限があるが、実用的には、
no’≦nP≦nLC’ (23)
とすればよい。
no’≦nP≦nLC’ (23)
とすればよい。
上記(22)式を満足すれば、上記(21)式は、さらに緩和され、
D・t≦λ・60μm (24)
であれば良いことになる。なぜなら、フレネルの反射則によれば、反射率は屈折率差の2乗に比例するので、高分子セル518を構成する高分子と液晶分子517との境界での光の反射、すなわち高分子分散液晶層514の透過率の減少は、およそ上記の高分子と液晶分子517との屈折率の差の2乗に比例するからである。
D・t≦λ・60μm (24)
であれば良いことになる。なぜなら、フレネルの反射則によれば、反射率は屈折率差の2乗に比例するので、高分子セル518を構成する高分子と液晶分子517との境界での光の反射、すなわち高分子分散液晶層514の透過率の減少は、およそ上記の高分子と液晶分子517との屈折率の差の2乗に比例するからである。
以上は、no’≒1.45、nLC’≒1.585の場合であったが、より一般的に定式化すると、
D・t≦λ・15μm・(1.585−1.45)2/(nu−nP)2 (25)
であればよい。ただし、(nu−nP)2は、(nLC’−nP)2と(no’−nP)2とのうち、大きい方である。
D・t≦λ・15μm・(1.585−1.45)2/(nu−nP)2 (25)
であればよい。ただし、(nu−nP)2は、(nLC’−nP)2と(no’−nP)2とのうち、大きい方である。
また、可変焦点レンズ511の焦点距離変化を大きくするには、ffの値が大きい方が良いが、ff=1では、高分子の体積がゼロとなり、高分子セル518を形成できなくなるので、
0.1≦ff≦0.999 (26)
とする。一方、ffは、小さいほど透過率τは向上するので、上記(25)式は、好ましくは、
4×10-6〔μm〕2≦D・t≦λ・45μm・(1.585−1.45)2/(nu−nP)2 (27)
とする。なお、tの下限値は、図32から明らかなように、t=Dで、Dは、上述したように2nm以上であるので、D・tの下限値は、(2×10−3μm)2、すなわち4×10−6〔μm〕2となる。
0.1≦ff≦0.999 (26)
とする。一方、ffは、小さいほど透過率τは向上するので、上記(25)式は、好ましくは、
4×10-6〔μm〕2≦D・t≦λ・45μm・(1.585−1.45)2/(nu−nP)2 (27)
とする。なお、tの下限値は、図32から明らかなように、t=Dで、Dは、上述したように2nm以上であるので、D・tの下限値は、(2×10−3μm)2、すなわち4×10−6〔μm〕2となる。
なお、物質の光学特性を屈折率で表す近似が成り立つのは、「岩波科学ライブラリー8 小惑星がやってくる」向井正著,1994,岩波書店発行の第58頁に記載されているように、Dが10nm〜5nmより大きい場合である。また、Dが500λを越えると、光の散乱は幾何学的となり、高分子セル518を構成する高分子と液晶分子517との界面での光の散乱がフレネルの反射式に従って増大するので、Dは、実用的には、
7nm≦D≦500λ (28)
とする。
7nm≦D≦500λ (28)
とする。
図36は、図35に示す可変焦点レンズ511を、光学装置の中で、明るさ絞り521と撮像素子との間に用いた撮像光学系、例えば一例として、デジタルカメラ用の撮像光学系に用いた例を示す図である。この撮像光学系においては、物体(図示せず)の像を、絞り521、可変焦点レンズ511およびレンズ522を介して、例えばCCDよりなる固体撮像素子523上に結像させる。なお、図36では、液晶分子の図示を省略してある。
このように構成された撮像光学系によれば、可変抵抗器519により可変焦点レンズ511の高分子分散液晶層514に印加する交流電圧を調整して、可変焦点レンズ511の焦点距離を変えることより、可変焦点レンズ511およびレンズ522を光軸方向に移動させることなく、例えば、無限遠から600mmまでの物体距離に対して、連続的に合焦させることが可能となる。
図37は図35に示した可変焦点レンズと同様に、光学装置の中で、撮像光学系の焦点距離を可変にするように用いられる可変焦点回折光学素子の一構成例を示す図である。
本構成例の可変焦点回折光学素子531は、平行な第1,第2の面532a,532bを有する第1の透明基板532と、光の波長オーダーの溝深さを有する断面鋸歯波状のリング状回折格子を形成した第3の面533aおよび平坦な第4の面533bを有する第2の透明基板533とを有し、入射光を第1,第2の透明基板532,533を経て出射させるものである。第1,第2の透明基板532,533間には、図32に示した構成例において説明したのと同様に、透明電極513a,513bを介して高分子分散液晶層514を設け、透明電極513a,513bをスイッチ515を経て交流電源516に接続して、高分子分散液晶層514に交流電圧を印加するようにする。
本構成例の可変焦点回折光学素子531は、平行な第1,第2の面532a,532bを有する第1の透明基板532と、光の波長オーダーの溝深さを有する断面鋸歯波状のリング状回折格子を形成した第3の面533aおよび平坦な第4の面533bを有する第2の透明基板533とを有し、入射光を第1,第2の透明基板532,533を経て出射させるものである。第1,第2の透明基板532,533間には、図32に示した構成例において説明したのと同様に、透明電極513a,513bを介して高分子分散液晶層514を設け、透明電極513a,513bをスイッチ515を経て交流電源516に接続して、高分子分散液晶層514に交流電圧を印加するようにする。
このような構成において、可変焦点回折光学素子531に入射する光線は、第3の面533aの格子ピッチをpとし、mを整数とすると、
psinθ=mλ (29)
を満たす角度θだけ偏向されて出射される。また、溝深さをh、透明基板33の屈折率をn33とし、kを整数とすると、
h(nA−n33)=mλ (30)
h(nB−n33)=kλ (31)
を満たせば、波長λで回折効率が100%となり、フレアの発生を防止することができる。
psinθ=mλ (29)
を満たす角度θだけ偏向されて出射される。また、溝深さをh、透明基板33の屈折率をn33とし、kを整数とすると、
h(nA−n33)=mλ (30)
h(nB−n33)=kλ (31)
を満たせば、波長λで回折効率が100%となり、フレアの発生を防止することができる。
ここで、上記(30)式および(31)式の両辺の差を求めると、
h(nA−nB)=(m−k)λ (32)
が得られる。したがって、例えば、λ=500nm、nA=1.55、nB=1.5とすると、
0.05h=(m−k)・500nm
となり、m=1,k=0とすると、
h=10000nm=10μm
となる。この場合、透明基板533の屈折率n33は、上記(30)式から、n33=1.5であればよい。また、可変焦点回折光学素子531の周辺部における格子ピッチpを10μmとすると、θ≒2.87°となり、Fナンバーが10のレンズを得ることができる。
h(nA−nB)=(m−k)λ (32)
が得られる。したがって、例えば、λ=500nm、nA=1.55、nB=1.5とすると、
0.05h=(m−k)・500nm
となり、m=1,k=0とすると、
h=10000nm=10μm
となる。この場合、透明基板533の屈折率n33は、上記(30)式から、n33=1.5であればよい。また、可変焦点回折光学素子531の周辺部における格子ピッチpを10μmとすると、θ≒2.87°となり、Fナンバーが10のレンズを得ることができる。
このように構成された可変焦点回折光学素子531は、高分子分散液晶層514への印加電圧のオン・オフで光路長が変わるので、例えば、レンズ系の光束が平行でない部分に配置して、ピント調整を行うのに用いたり、レンズ系全体の焦点距離等を変えるのに用いることができる。
なお、この実施形態において、上記(30)〜(32)式は、実用上、
0.7mλ≦h(nA−n33)≦1.4mλ (33)
0.7kλ≦h(nB−n33)≦1.4kλ (34)
0.7(m−k)λ≦h(nA−nB)≦1.4(m−k)λ (35)
を満たせば良い。
0.7mλ≦h(nA−n33)≦1.4mλ (33)
0.7kλ≦h(nB−n33)≦1.4kλ (34)
0.7(m−k)λ≦h(nA−nB)≦1.4(m−k)λ (35)
を満たせば良い。
また、ツイストネマティック液晶を用いる可変焦点レンズもある。図38および図39はこの場合の可変焦点眼鏡550の構成を示す図である。可変焦点レンズ551は、レンズ552および553と、これらレンズの内面上にそれぞれ透明電極513a,513bを介して設けた配向膜539a,539bと、これら配向膜間に設けたツイストネマティック液晶層554とを有して構成されており、その透明電極513a,513bを可変抵抗器519を経て交流電源516に接続して、ツイストネマティック液晶層554に交流電圧を印加するようにして構成されている。
このような構成において、ツイストネマティック液晶層554に印加する電圧を高くすると、液晶分子555は、図39に示すように、ホメオトロピック配向となり、図38に示す印加電圧が低いツイストネマティック状態の場合に比べて、ツイストネマティック液晶層554の屈折率は小さくなり、焦点距離が長くなる。
ここで、図38に示すツイストネマティック状態における液晶分子555の螺旋ピッチPは、光の波長λに比べて同じ程度か十分小さくする必要があるので、例えば、
2nm≦P≦2λ/3 (36)
とする。なお、この条件式の下限値は、液晶分子の大きさで決まり、上限値は、入射光が自然光の場合に、図38の状態でツイストネマティック液晶層554が等方媒質として振る舞うために必要な値である。また、この条件式の上限値を満たさないと、可変焦点レンズ551は偏光方向によって焦点距離の異なるレンズとなり、そのために二重像が形成されてぼけた像しか得られなくなる。但し、それほど高精度を要求しない場合には式(36)の上限値は3λとして良い。
さらに精度を要求しない用途では上限値を5λとして良い。
2nm≦P≦2λ/3 (36)
とする。なお、この条件式の下限値は、液晶分子の大きさで決まり、上限値は、入射光が自然光の場合に、図38の状態でツイストネマティック液晶層554が等方媒質として振る舞うために必要な値である。また、この条件式の上限値を満たさないと、可変焦点レンズ551は偏光方向によって焦点距離の異なるレンズとなり、そのために二重像が形成されてぼけた像しか得られなくなる。但し、それほど高精度を要求しない場合には式(36)の上限値は3λとして良い。
さらに精度を要求しない用途では上限値を5λとして良い。
図40(a)は、光学装置に用いる光学系に配置可能な可変偏角プリズムの一構成例を示す図である。この可変偏角プリズム561は、第1,第2の面562a,562bを有する入射側の第1の透明基板562と、第3,第4の面563a,563bを有する出射側の平行平板状の第2の透明基板563とを有する。入射側の透明基板562の内面(第2の面)562bは、フレネル状に形成し、この透明基板562と出射側の透明基板563との間に、図32に示した構成例において説明したのと同様に、透明電極513a,513bを介して高分子分散液晶層514を設ける。透明電極513a,513bは、可変抵抗器519を経て交流電源516に接続し、これにより高分子分散液晶層514に交流電圧を印加して、可変偏角プリズム561を透過する光の偏角を制御するようにする。なお、図40(a)に示す構成例では、透明基板562の内面562bをフレネル状に形成したが、例えば、図40(b)に示すように、透明基板562および563の内面を相対的に傾斜させた傾斜面を有する通常のプリズム状に形成することもでき、あるいは図37に示した構成例のような回折格子状に形成することもできる。回折格子状に形成する場合には、上記の(29)式〜(35)式が同様にあてはまる。
このように構成された可変偏角プリズム561は、例えば、TVカメラ、デジタルカメラ、フィルムカメラ、双眼鏡等の光学系の中に用いることによりブレ防止用として有効に用いることができる。この場合、可変偏角プリズム561の屈折方向(偏向方向)は、上下方向とするのが望ましいが、さらに性能を向上させるためには、2個の可変偏角プリズム561を偏向方向を異ならせて、例えば図41に示すように、上下および左右の直交する方向で屈折角を変えるように配置するのが望ましい。なお、図40および図41に示す構成例では、液晶分子の図示を省略してある。
図42は、光学装置の光学系の中で、可変ミラー409の替わりに用いる可変焦点ミラー、すなわち、可変焦点レンズの一方のレンズ面に反射膜を設けて形成した可変焦点ミラーの構成例を示す図である。
本構成例の可変焦点ミラー565は、第1,第2の面566a,566bを有する第1の透明基板566と、第3,第4の面567a,567bを有する第2の透明基板567とを有する。第1の透明基板566は、平板状またはレンズ状に形成して、内面(第2の面)566bに透明電極513aを設け、第2の透明基板567は、内面(第3の面)567aを凹面状に形成して、該凹面上に反射膜568を施し、さらにこの反射膜568上に透明電極513bを設ける。透明電極513a,513b間には、図32に示した構成例において説明したのと同様に、高分子分散液晶層514を設け、これら透明電極513a,513bをスイッチ515および可変抵抗器519を経て交流電源516に接続して、高分子分散液晶層514に交流電圧を印加するようにする。なお、図42では、液晶分子の図示を省略してある。
本構成例の可変焦点ミラー565は、第1,第2の面566a,566bを有する第1の透明基板566と、第3,第4の面567a,567bを有する第2の透明基板567とを有する。第1の透明基板566は、平板状またはレンズ状に形成して、内面(第2の面)566bに透明電極513aを設け、第2の透明基板567は、内面(第3の面)567aを凹面状に形成して、該凹面上に反射膜568を施し、さらにこの反射膜568上に透明電極513bを設ける。透明電極513a,513b間には、図32に示した構成例において説明したのと同様に、高分子分散液晶層514を設け、これら透明電極513a,513bをスイッチ515および可変抵抗器519を経て交流電源516に接続して、高分子分散液晶層514に交流電圧を印加するようにする。なお、図42では、液晶分子の図示を省略してある。
このような構成によれば、透明基板566側から入射する光線は、反射膜568により高分子分散液晶層514を折り返す光路となるので、高分子分散液晶層514の作用を2回もたせることができると共に、高分子分散液晶層514への印加電圧を変えることにより、反射光の焦点位置を変えることができる。この場合、可変焦点ミラー565に入射した光線は、高分子分散液晶層514を2回透過するので、高分子分散液晶層514の厚さの2倍をtとすれば、上記の各式を同様に用いることができる。なお、透明基板566または567の内面を、図37に示した構成例のような回折格子状にして、高分子分散液晶層514の厚さを薄くすることもできる。このようにすれば、散乱光をより少なくできる利点がある。
なお、以上の説明では、液晶の劣化を防止するため、電源として交流電源516を用いて、液晶に交流電圧を印加するようにしたが、直流電源を用いて液晶に直流電圧を印加するようにすることもできる。また、液晶分子の方向を変える方法としては、電圧を変化させること以外に、液晶にかける電場の周波数、液晶にかける磁場の強さ・周波数、あるいは液晶の温度等を変化させることによってもよい。以上に説明した高分子分散液晶は液状ではなく固体に近いものもあるので、その場合はレンズ512a,512bの一方、透明基板532、レンズ538、レンズ552,553の一方、図40(a)の構成例における透明基板563、図40(b)の構成例における透明基板562,563の一方、透明基板566,567の一方はなくてもよい。
以上、図32から図42の構成例で述べたような、媒質の屈折率が変化することで光学素子の焦点距離等が変化するタイプの光学素子は、形状が変化しないため機械設計が容易である、機械的構造が簡単になる等の利点がある。
以上、図32から図42の構成例で述べたような、媒質の屈折率が変化することで光学素子の焦点距離等が変化するタイプの光学素子は、形状が変化しないため機械設計が容易である、機械的構造が簡単になる等の利点がある。
図43は可変焦点レンズ140を、光学装置の中で、撮像素子408の前方に用いた撮像光学系の一構成例を示す図である。撮像光学系は撮像ユニット141として用いることができる。
本構成例では、レンズ102と可変焦点レンズ140とで、撮像レンズを構成している。そして、この撮像レンズと撮像素子408とで撮像ユニット141を構成している。可変焦点レンズ140は、透明部材142と一対の電極145との間に密閉された圧電性のある合成樹脂等の柔らかい透明物質143とで、光を透過する流体あるいはゼリー状物質144を挟んで構成されている。
本構成例では、レンズ102と可変焦点レンズ140とで、撮像レンズを構成している。そして、この撮像レンズと撮像素子408とで撮像ユニット141を構成している。可変焦点レンズ140は、透明部材142と一対の電極145との間に密閉された圧電性のある合成樹脂等の柔らかい透明物質143とで、光を透過する流体あるいはゼリー状物質144を挟んで構成されている。
流体あるいはゼリー状物質144としては、シリコンオイル、弾性ゴム、ゼリー、水等を用いることができる。透明物質143の両面には透明電極145が設けられており、回路103’を介して電圧を加えることで、透明物質143の圧電効果により透明物質143が変形し、可変焦点レンズ140の焦点距離が変わるようになっている。
従って、本構成例によれば、物体距離が変わった場合でも光学系をモーター等で動かすことなくフォーカスができ、小型、軽量、消費電力が少ない点で優れている。
従って、本構成例によれば、物体距離が変わった場合でも光学系をモーター等で動かすことなくフォーカスができ、小型、軽量、消費電力が少ない点で優れている。
なお、図43中、145は透明電極、146は流体をためるシリンダーである。
また、透明物質143の材質としては、ポリウレタン、シリコンゴム、アクリルエラストマー、PZT、PLZT、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の高分子圧電体、シアン化ビニリデン共重合体、ビニリデンフルオライドとトリフルオロエチレンの共重合体等が用いられる。
圧電性を有する有機材料や、圧電性を有する合成樹脂、圧電性を有するエラストマー等を用いると可変焦点レンズ面の大きな変形が実現できてよい。
可変焦点レンズには透明な圧電材料を用いるとよい。
また、透明物質143の材質としては、ポリウレタン、シリコンゴム、アクリルエラストマー、PZT、PLZT、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の高分子圧電体、シアン化ビニリデン共重合体、ビニリデンフルオライドとトリフルオロエチレンの共重合体等が用いられる。
圧電性を有する有機材料や、圧電性を有する合成樹脂、圧電性を有するエラストマー等を用いると可変焦点レンズ面の大きな変形が実現できてよい。
可変焦点レンズには透明な圧電材料を用いるとよい。
なお、図43の構成例において、可変焦点レンズ140は、シリンンダー146を設けるかわりに、図44に示すように、透明部材142に対して平行な位置にリング状の支援部材147を設け、透明部材142と支援部材147との距離を維持した状態としてシリンダー146を省略した構造にしてもよい。
図44の構成例では、支援部材147と透明部材142との間には、一対の電極145間に密閉された透明物質143と、外周側が変形可能な部材148で覆われた流体あるいはゼリー状物質44とが介挿されており、透明物質143に電圧をかけることによって、透明物質143が変形しても、図45に示すように、可変焦点レンズ140全体の体積が変わらないように変形するため、シリンダー146が不要になる。なお、図44、図45中、148は変形可能な部材で、弾性体、アコーディオン状の合成樹脂または金属等でできている。
図44の構成例では、支援部材147と透明部材142との間には、一対の電極145間に密閉された透明物質143と、外周側が変形可能な部材148で覆われた流体あるいはゼリー状物質44とが介挿されており、透明物質143に電圧をかけることによって、透明物質143が変形しても、図45に示すように、可変焦点レンズ140全体の体積が変わらないように変形するため、シリンダー146が不要になる。なお、図44、図45中、148は変形可能な部材で、弾性体、アコーディオン状の合成樹脂または金属等でできている。
図43、図44に示す構成例では、電圧を逆に印加すると透明物質143は逆向きに変形するので凹レンズにすることも可能である。
なお、透明物質143に電歪材料、例えば、アクリルエラストマー、シリコンゴム等を用いる場合は、透明物質143を透明基板と電歪材料を貼り合わせた構造にするとよい。
なお、透明物質143に電歪材料、例えば、アクリルエラストマー、シリコンゴム等を用いる場合は、透明物質143を透明基板と電歪材料を貼り合わせた構造にするとよい。
図46は、光学装置の撮像光学系の中に挿入可能な可変焦点レンズのさらに他の構成例に係る、マイクロポンプ160で流体161を出し入れし、レンズ面を変形させる可変焦点レンズ162の概略図である。
マイクロポンプ160は、例えば、マイクロマシンの技術で作られた小型のポンプで、電力で動くように構成されている。流体161は、透明基板163と、弾性体164との間に挟まれている。図46中、165は弾性体164を保護するための透明基板で、設けなくてもよい。
マイクロマシンの技術で作られたポンプの例としては、熱変形を利用したもの、圧電材料を用いたもの、静電気力を用いたものなどがある。
マイクロポンプ160は、例えば、マイクロマシンの技術で作られた小型のポンプで、電力で動くように構成されている。流体161は、透明基板163と、弾性体164との間に挟まれている。図46中、165は弾性体164を保護するための透明基板で、設けなくてもよい。
マイクロマシンの技術で作られたポンプの例としては、熱変形を利用したもの、圧電材料を用いたもの、静電気力を用いたものなどがある。
そして、図31で示したようなマイクロポンプ180を、例えば、図46に示す可変焦点レンズに用いるマイクロポンプ160のように、2つ用いればよい。
なお、静電気力、圧電効果を用いた可変焦点レンズなどにおいては、駆動用に高電圧が必要になる場合がある。その場合には、昇圧用のトランス、あるいは圧電トランス等を用いて制御系を構成するとよい。
特に積層型圧電トランスを用いると小型化できてよい。
特に積層型圧電トランスを用いると小型化できてよい。
図47は、光学装置の光学系に適用可能な光学特性可変光学素子の他の構成例であって、圧電材料200を用いた可変焦点レンズ201の概略構成図である。
圧電材料200には透明物質143と同様の材料が用いられており、圧電材料200は、透明で柔らかい基板202の上に設けられている。なお、基板202には、合成樹脂、有機材料を用いるのが望ましい。
本構成例においては、2つの透明電極59を介して電圧を圧電材料200に加えることで圧電材料200は変形し、図47に示す状態においては凸レンズとしての作用を持っている。
圧電材料200には透明物質143と同様の材料が用いられており、圧電材料200は、透明で柔らかい基板202の上に設けられている。なお、基板202には、合成樹脂、有機材料を用いるのが望ましい。
本構成例においては、2つの透明電極59を介して電圧を圧電材料200に加えることで圧電材料200は変形し、図47に示す状態においては凸レンズとしての作用を持っている。
なお、基板202の形をあらかじめ凸状に形成しておき、かつ、2つの透明電極59のうち、少なくとも一方の電極の大きさを基板202と異ならせておく、例えば、一方の透明電極59を基板202よりも小さくしておくと、電圧を切ったときに、図48に示すように、2つの透明電極59が対向する所定部分だけが凹状に変形して凹レンズの作用を持つようになり、可変焦点レンズとして動作する。
このとき基板202は、流体161の体積が変化しないように変形するので、液溜168が不要になるという利点がある。
このとき基板202は、流体161の体積が変化しないように変形するので、液溜168が不要になるという利点がある。
本構成例では、流体161を保持する基板の一部分を圧電材料で変形させて、液溜め168を不要としたところに大きな利点がある。
なお、図46に示した構成例にも言えることであるが、透明基板163,165はレンズとして構成しても、或いは平面で構成してもよい。
なお、図46に示した構成例にも言えることであるが、透明基板163,165はレンズとして構成しても、或いは平面で構成してもよい。
図49は、光学装置の光学系に適用可能な光学特性可変光学素子のさらに他の構成例であって圧電材料からなる2枚の薄板200A,200Bを用いた可変焦点レンズの概略構成図である。
本構成例の可変焦点レンズによれば、薄板200Aと200Bの材料の方向性を反転させることで、変形量を大きくし、大きな可変焦点範囲が得られるという利点がある。
なお、図49中、204はレンズ形状の透明基板である。
本構成例においても、紙面の右側の透明電極59は基板202よりも小さく形成されている。
本構成例の可変焦点レンズによれば、薄板200Aと200Bの材料の方向性を反転させることで、変形量を大きくし、大きな可変焦点範囲が得られるという利点がある。
なお、図49中、204はレンズ形状の透明基板である。
本構成例においても、紙面の右側の透明電極59は基板202よりも小さく形成されている。
なお、図47〜図49の構成例において、基板202、薄板200,200A,200Bの厚さを不均一にして、電圧を掛けたときの変形のさせかたをコントロールしてもよい。
そのようにすれば、レンズの収差補正等もすることができ、便利である。
そのようにすれば、レンズの収差補正等もすることができ、便利である。
図50は可変焦点レンズのさらに他の構成例を示す概略構成図である。
本構成例の可変焦点レンズ207は、例えばシリコンゴムやアクリルエラストマー等の電歪材料206を用いて構成されている。
このように構成された可変焦点レンズ207は、電圧が低いときには、図50に示すように、凸レンズとして作用し、電圧を上げると、図51に示すように、電歪材料206が上下方向に伸びて左右方向に縮むので、焦点距離が伸びる。従って、可変焦点レンズとして動作する。
従って、本構成例の可変焦点レンズによれば、大電源を必要としないので消費電力が小さくて済むという利点がある。
以上述べた図43〜図51に示した可変焦点レンズに共通して言えるのは、レンズとして作用する媒質の形状が変化することで、可変焦点を実現していることである。屈折率が変化する可変焦点レンズに比べて、焦点距離変化の範囲が自由に選べる、大きさが自由に選べる、等の利点がある。
本構成例の可変焦点レンズ207は、例えばシリコンゴムやアクリルエラストマー等の電歪材料206を用いて構成されている。
このように構成された可変焦点レンズ207は、電圧が低いときには、図50に示すように、凸レンズとして作用し、電圧を上げると、図51に示すように、電歪材料206が上下方向に伸びて左右方向に縮むので、焦点距離が伸びる。従って、可変焦点レンズとして動作する。
従って、本構成例の可変焦点レンズによれば、大電源を必要としないので消費電力が小さくて済むという利点がある。
以上述べた図43〜図51に示した可変焦点レンズに共通して言えるのは、レンズとして作用する媒質の形状が変化することで、可変焦点を実現していることである。屈折率が変化する可変焦点レンズに比べて、焦点距離変化の範囲が自由に選べる、大きさが自由に選べる、等の利点がある。
図52は、光学装置の光学系に適用可能な光学特性可変光学素子のさらに他の構成例であってフォトメカニカル効果を用いた可変焦点レンズの概略構成図である。
本構成例の可変焦点レンズ214は、透明弾性体208,209でアゾベンゼン210が挟まれており、アゾベンゼン210には、透明なスペーサー211を経由して紫外光が照射されるようになっている。
図57中、212,213はそれぞれ中心波長がλ1,λ2の例えば紫外LED、紫外半導体レーザー等の紫外光源である。
本構成例の可変焦点レンズ214は、透明弾性体208,209でアゾベンゼン210が挟まれており、アゾベンゼン210には、透明なスペーサー211を経由して紫外光が照射されるようになっている。
図57中、212,213はそれぞれ中心波長がλ1,λ2の例えば紫外LED、紫外半導体レーザー等の紫外光源である。
本構成例において、中心波長がλ1の紫外光が図53(a)に示すトランス型のアゾベンゼンに照射されると、アゾベンゼン210は、図53(b)に示すシス型に変化して体積が減少する。このため、可変焦点レンズ214の形状は薄くなり、凸レンズ作用が減少する。
一方、中心波長がλ2の紫外光がシス型のアゾベンゼン210に照射されると、アゾベンゼン210はシス型からトランス型に変化して、体積が増加する。このため、可変焦点レンズ214の形状は厚くなり、凸レンズ作用が増加する。
このようにして、本構成例の光学素子214は可変焦点レンズとして作用する。
また、可変焦点レンズ214では、透明弾性体208,209の空気との境界面で紫外光が全反射するので外部に光がもれず、効率がよい。
一方、中心波長がλ2の紫外光がシス型のアゾベンゼン210に照射されると、アゾベンゼン210はシス型からトランス型に変化して、体積が増加する。このため、可変焦点レンズ214の形状は厚くなり、凸レンズ作用が増加する。
このようにして、本構成例の光学素子214は可変焦点レンズとして作用する。
また、可変焦点レンズ214では、透明弾性体208,209の空気との境界面で紫外光が全反射するので外部に光がもれず、効率がよい。
図54は、光学装置の光学系に適用可能な可変ミラーのさらに他の構成例を示す概略構成図である。本構成例では、デジタルカメラの撮像光学系に用いられるものとして説明する。なお、図54中、411は可変抵抗器を内蔵した駆動回路、414は演算装置、415は温度センサー、416は湿度センサー、417は距離センサー、424は振れセンサーである。
本構成例の可変ミラー45は、支持台423で外周側が支持されたアクリルエラストマー等の有機材料からなる電歪材料453と間を隔てて分割電極409bを設け、電歪材料453の上に順に電極452、変形可能な基板451を設け、さらにその上に入射光を反射するアルミニウム等の金属の薄膜からなる反射膜450を設けた4層構造として構成されている。
このように構成すると、分割電極409bを電歪材料453と一体化した場合に比べて、反射膜450の面形状が滑らかになり、光学的に収差を発生させにくくなるという利点がある。
なお、変形可能な基板451と電極452の配置は逆でも良い。
また、図54中、449は光学系の変倍、あるいはズームを行なう釦であり、可変ミラー45は、釦449を使用者が押すことで反射膜450の形を変形させて、変倍あるいは、ズームをすることができるように演算装置414を介して制御されている。
なお、アクリルエラストマー等の有機材料からなる電歪材料のかわりに既に述べたチタン酸バリウム等の圧電材料を用いてもよい。
本構成例の可変ミラー45は、支持台423で外周側が支持されたアクリルエラストマー等の有機材料からなる電歪材料453と間を隔てて分割電極409bを設け、電歪材料453の上に順に電極452、変形可能な基板451を設け、さらにその上に入射光を反射するアルミニウム等の金属の薄膜からなる反射膜450を設けた4層構造として構成されている。
このように構成すると、分割電極409bを電歪材料453と一体化した場合に比べて、反射膜450の面形状が滑らかになり、光学的に収差を発生させにくくなるという利点がある。
なお、変形可能な基板451と電極452の配置は逆でも良い。
また、図54中、449は光学系の変倍、あるいはズームを行なう釦であり、可変ミラー45は、釦449を使用者が押すことで反射膜450の形を変形させて、変倍あるいは、ズームをすることができるように演算装置414を介して制御されている。
なお、アクリルエラストマー等の有機材料からなる電歪材料のかわりに既に述べたチタン酸バリウム等の圧電材料を用いてもよい。
なお、本発明の可変ミラーに共通して言えることであるが、反射面の変形する部分を反射面に垂直な方向から見た時の形は、軸上光線の入射面の方向に長い形状、たとえば楕円、卵形、多角形、等にするのが良い。なぜなら、図28に示した構成例のように、可変ミラーは斜入射で用いる場合が多いが、このとき発生する収差を抑えるためには、反射面の形状は回転楕円面、回転放物面、回転双曲面に近い形が良く、そのように可変ミラーを変形させる為には、反射面の変形する部分を反射面に垂直な方向から見た時の形を、軸上光線の入射面の方向に長い形状にしておくのが良いからである。
図55(a),(b)は、光学装置の光学系に適用可能な電磁駆動型の可変ミラーの構造を示した図である。
図55(b)は反射膜409aの反対側から見た図であり、変形部材409jにコイル(電極)427が設けられて駆動回路から電流を流すことで永久磁石426の磁場とで電磁力を生じ、ミラー形状が変化するようになっている。
コイル427は薄膜コイル等を用いると製作が容易で、かつ、剛性を下げられるのでミラーが変形し易くて良い。
図55(b)は反射膜409aの反対側から見た図であり、変形部材409jにコイル(電極)427が設けられて駆動回路から電流を流すことで永久磁石426の磁場とで電磁力を生じ、ミラー形状が変化するようになっている。
コイル427は薄膜コイル等を用いると製作が容易で、かつ、剛性を下げられるのでミラーが変形し易くて良い。
最後に、本発明で用いる用語の定義を述べておく。
光学装置とは、光学系あるいは光学素子を含む装置のことである。光学装置単体で機能しなくてもよい。つまり、装置の一部でもよい。
光学装置には、撮像装置、観察装置、表示装置、照明装置、信号処理装置、光情報処理装置等が含まれる。
撮像装置の例としては、フィルムカメラ、デジタルカメラ、PDA用デジタルカメラ、ロボットの眼、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ、テレビカメラ、動画記録装置、電子動画記録装置、カムコーダ、VTRカメラ、携帯電話のデジタルカメラ、携帯電話のテレビカメラ、電子内視鏡、カプセル内視鏡、車載カメラ、人工衛星のカメラ、惑星探査機のカメラ、宇宙探査機のカメラ、監視装置のカメラ、各種センサーの眼等がある。デジカメ、カード型デジカメ、テレビカメラ、VTRカメラ、動画記録カメラ、携帯電話のデジタルカメラ、携帯電話のテレビカメラ、車載カメラ、人工衛星のカメラ、惑星探査機のカメラ、宇宙探査機のカメラなどはいずれも電子撮像装置の一例である。
観察装置の例としては、顕微鏡、望遠鏡、眼鏡、双眼鏡、ルーペ、ファイバースコープ、ファインダー、ビューファインダー等がある。
表示装置の例としては、液晶ディスプレイ、ビューファインダー、ゲームマシン(ソニー社製プレイステーション)、ビデオプロジェクター、液晶プロジェクター、頭部装着型画像表示装置(head mounted display:HMD)、PDA(携帯情報端末)、携帯電話等がある。
照明装置の例としては、カメラのストロボ、自動車のヘッドライト、内視鏡光源、顕微鏡光源等がある。
信号処理装置の例としては、携帯電話、パソコン、ゲームマシン、光ディスクの読取・書込装置、光計算機の演算装置、光インターコネクション装置、光情報処理装置、PDA等がある。
情報発信装置とは、携帯電話、固定式の電話、ゲームマシン、テレビ、ラジカセ、ステレオ等のリモコンや、パソコン、パソコンのキーボード、マウス、タッチパネル等の何らかの情報を入力し、送信することができる装置を指す。
撮像装置のついたテレビモニター、パソコンのモニター、ディスプレイも含むものとする。情報発信装置は、信号処理装置の中に含まれる。
撮像装置のついたテレビモニター、パソコンのモニター、ディスプレイも含むものとする。情報発信装置は、信号処理装置の中に含まれる。
撮像素子は、例えばCCD、撮像管、固体撮像素子、写真フィルム等を指す。
また、平行平面板はプリズムの1つに含まれるものとする。観察者の変化には、視度の変化を含むものとする。被写体の変化には、被写体となる物体距離の変化、物体の移動、物体の動き、振動、物体のブレ等を含むものとする。
また、平行平面板はプリズムの1つに含まれるものとする。観察者の変化には、視度の変化を含むものとする。被写体の変化には、被写体となる物体距離の変化、物体の移動、物体の動き、振動、物体のブレ等を含むものとする。
拡張曲面の定義は以下の通りである。
球面、平面、回転対称非球面のほか、光軸に対して偏心した球面、平面、回転対称非球面、あるいは対称面を有する非球面、対称面を1つだけ有する非球面、対称面のない非球面、自由曲面、微分不可能な点、線を有する面等、いかなる形をしていても良い。反射面でも、屈折面でも、光になんらかの影響を与えうる面ならば良い。
本発明では、これらを総称して拡張曲面と呼ぶことにする。
球面、平面、回転対称非球面のほか、光軸に対して偏心した球面、平面、回転対称非球面、あるいは対称面を有する非球面、対称面を1つだけ有する非球面、対称面のない非球面、自由曲面、微分不可能な点、線を有する面等、いかなる形をしていても良い。反射面でも、屈折面でも、光になんらかの影響を与えうる面ならば良い。
本発明では、これらを総称して拡張曲面と呼ぶことにする。
光学特性可変光学素子とは、可変焦点レンズ、可変ミラー、面形状の変わる偏向プリズム、頂角可変プリズム、光偏向作用の変わる可変回折光学素子、つまり可変HOE,可変DOE等を含む。
可変焦点レンズには、焦点距離が変化せず、収差量が変化するような可変レンズも含むものとする。可変ミラーには、焦点距離が変化せず、収差量が変化するようなミラー、可変焦点レンズに反射面を設けたミラー、形状の変わらない可変焦点ミラー、形状の変わる形状可変ミラー等を含むものとする。
要するに、光学素子で、光の反射、屈折、回折等の光偏向作用が変化しうるものを光学特性可変光学素子と呼ぶ。
要するに、光学素子で、光の反射、屈折、回折等の光偏向作用が変化しうるものを光学特性可変光学素子と呼ぶ。
45 形状可変ミラー
59,303 透明電極
102 レンズ
103 制御系
104,141 撮像ユニット
140 可変焦点レンズ
142 透明部材
143 透明物質
144 流体あるいはゼリー状物質
145,409b1〜409b9,409k1〜409k4 電極
146 シリンダー
147 支援部材
148 外周側が変形可能な部材
160 マイクロポンプ
161 流体
162 可変焦点レンズ
163,165,305 透明基板
164 弾性体
168,306 制御装置(液溜)
180 マイクロポンプ
181 振動板
182,183 電極
184,185 弁
188 形状可変ミラー
189 膜
189a,423 支持台
200 圧電材料
200A,200B 薄板
201 可変焦点レンズ
202,409j 基板
206 電歪材料
207 可変焦点レンズ
208,209 透明弾性体
210 アゾベンゼン
211 透明なスペーサー
212,213 紫外光源
214 可変焦点レンズ
302 透明膜
303 透明電極
304 液体
305 透明基板
408 撮像素子
409 形状可変ミラー
409a 光学面(薄膜)
409b 電極
409c,409c’ 圧電素子
409c−1,409e,409j 基板
409c−2 電歪材料
409k 電極板
411 駆動回路
411a,411b,411−1〜411−18 可変抵抗
411―20−1〜411−20−5,411−21,411−22 固定抵抗
412,412A,412B 直流電源
413,413A,413B 電源スイッチ
414 演算回路(演算装置)
415 温度センサー
416 湿度センサー
417 距離センサー
423 支持台
424 振れセンサー
425,425a,425b,428 駆動回路
426 永久磁石
427,428’ コイル
431 下側基板
434 上側基板
449 釦
450 反射膜
451 変形可能な基板
452 電極
453 電歪材料
511,551 可変焦点レンズ
532,533,562,563,566,567 透明基板
513a,513b 透明電極
512a,512b,522,552,553 レンズ
523 固体撮像素子
508a,532a,562a,566a 第1の面
508b,532b,562b,566b 第2の面
509a,533a,563a,567a 第3の面
509b,533b,563b,567b 第4の面
514 高分子分散液晶層
515 スイッチ
516 交流電源
517 液晶分子
518 高分子セル
519 可変抵抗器
521 絞り
531 可変焦点回折光学素子
539a,539b 配向膜
550 可変焦点眼鏡
554 ツイストネマティック液晶層
555 液晶分子
561 可変偏角プリズム
565 可変焦点ミラー
568 反射膜
59,303 透明電極
102 レンズ
103 制御系
104,141 撮像ユニット
140 可変焦点レンズ
142 透明部材
143 透明物質
144 流体あるいはゼリー状物質
145,409b1〜409b9,409k1〜409k4 電極
146 シリンダー
147 支援部材
148 外周側が変形可能な部材
160 マイクロポンプ
161 流体
162 可変焦点レンズ
163,165,305 透明基板
164 弾性体
168,306 制御装置(液溜)
180 マイクロポンプ
181 振動板
182,183 電極
184,185 弁
188 形状可変ミラー
189 膜
189a,423 支持台
200 圧電材料
200A,200B 薄板
201 可変焦点レンズ
202,409j 基板
206 電歪材料
207 可変焦点レンズ
208,209 透明弾性体
210 アゾベンゼン
211 透明なスペーサー
212,213 紫外光源
214 可変焦点レンズ
302 透明膜
303 透明電極
304 液体
305 透明基板
408 撮像素子
409 形状可変ミラー
409a 光学面(薄膜)
409b 電極
409c,409c’ 圧電素子
409c−1,409e,409j 基板
409c−2 電歪材料
409k 電極板
411 駆動回路
411a,411b,411−1〜411−18 可変抵抗
411―20−1〜411−20−5,411−21,411−22 固定抵抗
412,412A,412B 直流電源
413,413A,413B 電源スイッチ
414 演算回路(演算装置)
415 温度センサー
416 湿度センサー
417 距離センサー
423 支持台
424 振れセンサー
425,425a,425b,428 駆動回路
426 永久磁石
427,428’ コイル
431 下側基板
434 上側基板
449 釦
450 反射膜
451 変形可能な基板
452 電極
453 電歪材料
511,551 可変焦点レンズ
532,533,562,563,566,567 透明基板
513a,513b 透明電極
512a,512b,522,552,553 レンズ
523 固体撮像素子
508a,532a,562a,566a 第1の面
508b,532b,562b,566b 第2の面
509a,533a,563a,567a 第3の面
509b,533b,563b,567b 第4の面
514 高分子分散液晶層
515 スイッチ
516 交流電源
517 液晶分子
518 高分子セル
519 可変抵抗器
521 絞り
531 可変焦点回折光学素子
539a,539b 配向膜
550 可変焦点眼鏡
554 ツイストネマティック液晶層
555 液晶分子
561 可変偏角プリズム
565 可変焦点ミラー
568 反射膜
Claims (72)
- 複数の電極と、電力により駆動されて少なくとも凸面に変形可能な基板と、前記基板に一体化された電極と、前記基板に設けられた光学面と、前記電極に接続された駆動回路とを有する光学特性可変光学素子。
- 変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された第1電極と、前記光学面の両側に配置されていて少なくとも何れか一方が利用光束を通過させる開口を有している第2および第3電極とを有していて、前記第1及び第2電極間あるいは前記第1及び第3電極間に電圧または電流を加えることにより、光偏向特性を変化させ得るようにした光学特性可変光学素子。
- 前記第1、第2及び第3電極の少なくとも一つが、複数に分割されている請求項2に記載の光学特性可変光学素子。
- 前記第2又は第3電極が固定電極である請求項2または3に記載の光学特性可変光学素子。
- 前記光学面の片側に複数の電極を有する基板が設けられている請求項2乃至4の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
- 前記電極間に加えられる電圧または電流が、直流または交流である請求項2乃至5の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
- 形状可変ミラーまたは可変焦点レンズとして構成された請求項2乃至6の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
- 前記光学面が静電気力または電磁力で変形せしめられる請求項2乃至7の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
- 前記光学面の変形可能部分の面積をS1、前記開口の面積をS2
としたとき、下記条件式を満足する請求項2乃至8の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
0.02≦S2/S1≦0.98 - 変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された複数に分割された第1電極と、前記光学面の片側に配置された複数に分割された第2電極とを有し、前記分割された第1,第2の電極間の少なくとも一組に同符合の電荷を蓄積させることにより、前記分割電極間に電気力を発生させて、前記光学面を変形させるようにした光学特性可変光学素子。
- 前記第1電極の分割された全ての電極に加える電圧の符号を等しくすると共に、前記第2電極の分割された全ての電極に加える電圧の符号を等しくし、前記第1電極と前記第2電極に加える電圧の符号を異ならせた状態で、前記光学面を変形させることもできるようにした請求項10に記載の光学特性可変光学素子。
- 前記第1電極の一つの分割電極と、該分割電極にほぼ対向する前記第2電極の分割電極の隣あるいは近傍の分割電極との間に、異符号の電圧を加えるようにした請求項10または11に記載の光学特性可変光学素子。
- 前記第1電極または前記第2電極の分割された一つの分割電極と、該分割電極の隣あるいは近傍の分割電極との間に、異符号の電圧を加えるようにした請求項10乃至12の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
- 前記光学面が平面であるときの前記第1電極と前記第2電極との間の距離をG、隣接する前記分割電極間の平均中心間隔をPとしたとき、下記の条件式を満足する請求項10乃至13の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
1/1000000<G/P<300 - 前記光学面が平面であるときの前記第1電極と前記第2電極との間の距離をG、前記第1及び第2電極における隣接する分割電極間の平均距離をdとしたとき、下記の条件式を満足する請求項10乃至13の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
1/1000000< G/d <1000 - 前記第1または第2電極における、分割電極の面積の和をa、電極部分全体の面積をAとしたとき、下記の条件式を満足する請求項10乃至13の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
0.001< a/A <1 - 前記第1電極の分割パターンと前記第2電極の分割パターンとが、ほぼ等しいか又は異なる請求項10乃至16の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
- 前記第1電極または前記第2電極が固定電極である請求項10乃至17の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
- 前記第1および第2電極に加える電圧が直流又は交流である請求項10乃至18の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
- 形状可変ミラーまたは可変焦点レンズとして構成された請求項10乃至19の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
- 前記光学面が静電気力で変形せしめられるようになっている請求項10乃至20の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
- 変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された第1電極と、前記光学面の片側に配置された第2電極とを有し、前記第1または第2電極は複数に分割されており、該分割された電極間に交流電圧または交流電流を加えることにより、前記第1および第2電極間に斥力又は電気力を発生させて、前記光学面を変形させるようにした光学特性可変光学素子。
- 交流電圧または交流電流の周波数が変更可能な駆動回路を更に有している、請求項22に記載の光学特性可変光学素子。
- 変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された第1電極と、前記光学面の片側に配置された第2電極とを有し、前記第1および第2電極は複数に分割されていて、該第1及び第2電極間に交流電圧または交流電流を加えることにより、前記第1および第2電極間に斥力又は電気力を発生させて、前記光学面を変形させるようにすると共に、交流電圧を加えない方の分割された電極間に抵抗が配設されている光学特性可変光学素子。
- 前記抵抗が可変抵抗である請求項24に記載の光学特性可変光学素子。
- 交流電圧または交流電流を加えない方の電極が、交流電圧または交流電流を加える方の電極よりも高抵抗の材質で形成されている請求項22乃至25の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
- 前記光学面が平面であるときの前記第1電極と前記第2電極との間の距離をG、隣接する前記分割電極間の平均中心間隔をPとしたとき、下記の条件式を満足する請求項22乃至26の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
1/1000000<G/P<300 - 前記光学面が平面であるときの前記第1電極と前記第2電極との間の距離をG、前記第1及び第2電極における隣接する分割電極間の平均距離をdとしたとき、下記の条件式を満足する請求項22乃至26の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
1/1000000< G/d <1000 - 前記第1または第2電極における、分割電極の面積の和をa、電極部分全体の面積をAとしたとき、下記の条件式を満足する請求項22乃至26の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
0.01< a/A <1 - 前記第1電極の分割パターンと前記第2電極の分割パターンとが、ほぼ等しいか又は異なる請求項22乃至26の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
- 形状可変ミラーまたは可変焦点レンズとして構成された請求項22乃至26の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
- 変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された第1電極と、少なくとも前記光学面の片側に配置された第2電極とを有し、前記第1および第2電極に交流電圧または交流電流を加えることにより、光偏向特性を変化させるようにした光学特性可変光学素子において、変形可能な基板に一体化された電極と、少なくとも他の基板上に設けられた電極とが平行でないことを特徴とする光学特性可変光学素子。
- 請求項2,10,22および32の何れかに記載の光学特性可変光学素子を、ピント調整に用いた光学装置。
- 請求項2,10,22および32の何れかに記載の光学特性可変光学素子を、ブレ防止に用いた光学装置。
- 請求項2,10,22および32の何れかに記載の光学特性可変光学素子を、変倍に用いた光学装置。
- 請求項2,10,22および32の何れかに記載の光学特性可変光学素子を、製作誤差の補正に用いた光学装置。
- 前記第1電極と前記第2電極の各電極の厚さをt,面積をwとしたとき、下記の条件式を満足する請求項10乃至13の何れか又は請求項22乃至26の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
0.000001≦t/√w≦10000 - 前記第1電極と前記第2電極との間の距離をG、前記第1及び第2電極の間にある基板の厚さをuとしたとき、下記の条件式を満足する請求項10乃至13の何れか又は請求項22乃至26の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
0.0000001≦u/G≦1000 - 前記第1電極と前記第2電極との間の距離をG、前記光学面と前記第1電極との距離をΔとしたとき、下記の条件式を満足する請求項10乃至13の何れか又は請求項22乃至26の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
0.0000001≦Δ/G≦1000 - 複数に分割された電極を有する光学特性可変素子を備えた光学系を含む光学装置であって、前記複数に分割された電極のパターンが、光学系の対称性とほぼ同じであり、且つ前記電極に光学系の対称性と異なる電圧分布を与えるのが可能な光学装置。
- 変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された第1電極と、前記光学面の片側に、利用光束を一部遮蔽する形で設けられた第2電極
を有していて、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧または電流を加えることにより、光偏向特性を変化させ得るようにした光学特性可変光学素子。 - 変形可能な光学面に対して前記第2電極と反対側に第3電極を有していて、前記第1電極と前記第2電極との間あるいは前記第1電極と前記第3電極との間に電圧または電流を加えことにより、光偏向特性を変化させ得るようにした請求項41に記載の光学特性可変光学素子。
- 前記第1電極に対して前記第2電極と反対側に第3電極を有していて、前記第1電極と前記第2電極との間或いは前記第1電極と前記第3電極との間に電圧または電流を加えることにより、光偏向特性を変化させ得るようにした請求項41に記載の光学特性可変光学素子。
- 前記第2電極によって通過光束が遮蔽される面積の、全通過光束に対する割合をfとしたとき、下記の条件式を満足する請求項41に記載の光学特性可変光学素子。
0.01≦f≦0.5 - 変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された複数の電極を有し、前記電極間に生じる電気力によって光学面を変形させ、光偏向特性を変化させ得るようにした光学特性可変光学素子。
- 変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された複数の電極と、前記電極に電荷を蓄積させる駆動回路とを有し、前記電極間に生じる電気力によって光学面を変形させ、光偏向特性を変化させ得るようにした請求項45に記載の光学特性可変光学素子。
- 前記複数の電極に異なる符号の電荷を蓄積させるようにしたことを特徴とする請求項45に記載の光学特性可変光学素子。
- 変形可能な光学面が導電性を有し、前記光学面と一体的に形成された複数の電極を有し、前記複数の電極に対応して、前記導電性を有する光学面が分割されていることを特徴とする光偏向特性を変化させるようにした光学特性可変光学素子。
- 前記複数の電極に対向して、第2の電極を有する請求項48に記載の光学特性可変光学素子。
- 前記光学面の片側に、第2の電極を有する請求項48に記載の光学特性可変光学素子。
- 前記第1電極と前記第2電極の各電極の厚さをt,面積をwとしたとき、下記の条件式を満足する請求項48乃至50の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
0.000001≦t/√w≦10000 - 前記変形可能な光学面が導電性を有し、前記第1電極に対応して前記導電性を有する光学面が分割されていることを特徴とする請求項10、22、32及び45の何れかに記載の光偏向特性を変化させ得るようにした光学特性可変光学素子。
- 前記電気力が斥力である請求項10または22に記載の光偏向特性を変化させ得るようにした光学特性可変光学素子。
- 変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に形成された第1電極と、前記光学面の片側に配置された第2電極とを有していて、前記第1電極と前記第2電極との間に同符合の電荷を加えることにより電気力あるいは斥力を発生させて、光偏向特性を変化させ得るようにした光学特性可変光学素子。
- 変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に形成された第1電極と、前記光学面の片側に配置された第2電極とを有していて、前記第1電極と前記第2電極との間に電流または電圧を加えることにより電気力あるいは斥力を発生させて、光偏向特性を変化させ得るようにした光学特性可変光学素子。
- 加える電流または電圧が交流である請求項55に記載の光偏向特性を変化させ得るようにした光学特性可変光学素子。
- 変形可能な光学面と、前記光学面に一体的に配設された複数に分割された第1電極と、前記光学面の片側に配置された複数に分割された第2電極とを有し、ほぼ対向する前記分割された第1,第2電極間に同符合の電荷を蓄積させることにより、前記分割電極間に斥力を発生させて、前記光学面を変形させるようにした光学特性可変光学素子。
- 反射面と、該反射面近傍に配設された部材とを有していて、前記反射面は複数に分割されている可変ミラー。
- 反射面と基板とを含む変形可能部分と、該基板に対向配置された電極とを有していて、前記反射面は、複数に分割されており、電気力によって駆動されるようにした可変ミラー。
- 反射面と基板とを含む変形可能部分と、該基板に対向配置された電極とを有していて、前記反射面は、複数に分割されており、且つ電極の機能を有する電気力によって駆動される可変ミラー。
- 変形可能な反射面を有していて、該反射面は凸にも凹にも変形可能であり、且つ該反射面を変形させる為に流体、静電気力、電磁力、圧電効果、磁歪、温度変化、電磁波等のうち1つ又は2つ以上を用いる可変ミラー。
- 変形可能な反射面を有していて、該反射面を凸に変形させるときには流体の圧力を用い、該反射面を凹に変形させるときには電気力を用いるようにした可変ミラー。
- 請求項61または請求項62に記載の可変ミラーを有していて、前記可変ミラーの面形状が平面の時に、被写界深度の遠点がほぼ無限遠になる距離にピントが合うようにした撮像装置。
- 請求項61または請求項62に記載の可変ミラーを有していて、前記可変ミラーの面形状が平面の時に、無限遠から0.5メートルの間のいずれかの距離にピントが合うようにした撮像装置。
- ピントを合わせる過程で、前記反射面の形状が、凹面の状態と凸面の状態との両形状をとる請求項61または請求項62に記載の可変ミラーを有する撮像装置。
- ピントを合わせる過程で、前記反射面の形状が、凹面の状態と凸面の状態との両形状をとる請求項61または請求項62に記載の撮像装置。
- 変形可能な光学面を有していて、該光学面は凸にも凹にも変形可能であり、且つ該光学面を変形させる為に流体、静電気力、電磁力、圧電効果、磁歪、温度変化、電磁波等のうちの1つ又は2つ以上を用いる可変焦点レンズ。
- 変形可能な光学面を有していて、該光学面を凸に変形させるときには流体の圧力を用い、該光学面を凹に変形させるときには電気力を用いるようにした可変焦点レンズ。
- 請求項67または請求項68に記載の可変焦点レンズを有していて、前記可変焦点レンズの面形状が平面の時に、被写界深度の遠点がほぼ無限遠になる距離にピントが合うようにした撮像装置。
- 請求項67または請求項68に記載の可変焦点レンズを有していて、前記可変焦点レンズの面形状が平面の時に、無限遠から0.5メートルの間のいずれかの距離にピントが合うようにした撮像装置。
- ピントを合わせる過程で、前記光学面の形状が、凹面の状態と凸面の状態との両形状をとる請求項67または請求項68に記載の可変焦点レンズを有する撮像装置。
- ピントを合わせる過程で、前記光学面の形状が、凹面の状態と凸面の状態との両形状をとる請求項67または請求項68に記載の撮像装置。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090901 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100107 |