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JP2005089387A - レジスト用化合物とその製造方法及び感放射線性組成物 - Google Patents

レジスト用化合物とその製造方法及び感放射線性組成物 Download PDF

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JP2005089387A JP2003326579A JP2003326579A JP2005089387A JP 2005089387 A JP2005089387 A JP 2005089387A JP 2003326579 A JP2003326579 A JP 2003326579A JP 2003326579 A JP2003326579 A JP 2003326579A JP 2005089387 A JP2005089387 A JP 2005089387A
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Abstract

【課題】 i線、g線等の紫外線のみならず、KrF等のエキシマレーザー光、電子線、X線等の放射線にも利用できるレジスト用化合物及び感放射線性組成物を提供することにある。簡単な製造工程で高感度、高解像度、高耐熱性かつ溶剤可溶性の非高分子系感放射線性レジストを提供する。
【解決手段】 特定の化学構造式で示される化合物、および該化合物と酸発生剤からなる感放射線性組成物。
【選択図】 無し

Description

本発明は、酸増幅型非高分子系レジスト材料として有用な、特定の化学構造式で示される化合物に関する。また本発明は、該化合物と酸発生剤とを含む感放射線性組成物に関する。本発明の化合物は、紫外線、遠紫外線、電子線、X線に感応する感放射線性材料として、エレクトロニクス分野におけるLSI,VLSI製造時のマスクなどに利用される。
これまでの一般的なレジスト材料は、アモルファス薄膜を形成可能な高分子系材料である。例えば、ポリメチルメタクリレートと、それを溶解させる溶媒に溶解させたものを基板上に塗布することにより作製したレジスト薄膜に紫外線、遠紫外線、電子線、X線などを照射することにより、0.1μm程度のラインパターンが作製されている。
しかしながら、高分子は分子量が1万〜10万程度と大きく、分子量分布も大きいため、高分子系レジストを用いるリソグラフィでは、微細加工が進むと、パターン表面にラフネスが生じ、パターン寸法を制御することが困難となり、歩留まりが低下する。従って、従来の高分子系レジスト材料を用いるリソグラフィでは微細化に限界がある。より微細なパターンを作製するために、レジスト材料の分子量を小さくする種々の方法が開示されている。
非高分子系のレジスト材料の例として(1)フラーレンから誘導されるポジ及びネガ型レジスト、(2)カリックスアレーンから誘導されるポジ及びネガ型レジスト、(3)スターバースト型化合物から誘導されるポジ型レジスト、(4)デンドリマーから誘導されるポジ型レジスト、(5)デンドリマー/カリックスアレーンから誘導されるポジ型レジスト、高分岐度のスターバースト型化合物から誘導されるポジ型レジスト、(6)トリメシン酸を中心骨格とし、エステル結合を有するスターバースト型化合物から誘導されるポジ型レジスト、が挙げられる。
(1)については、エッチング耐性は、良いが、塗布性及び感度が実用レベルに至っていない(特許文献1〜5参照。)。(2)についてはエッチング耐性に優れるが、現像液に対する溶解性が悪いために満足なパターンが得られていない(特許文献6〜8参照。)。(3)については耐熱性が低いために露光後の熱処理中にイメージがひずむことが予想される(特許文献9〜11参照。)。(4)については製造工程が複雑であり、また耐熱性が低いために露光後の熱処理中にイメージがひずむことが予想され、実用性のあるものとはいえない(非特許文献1参照。)。(5)についても製造工程が複雑であり、原料が高価であることから実用性のあるものとはいえない。(特許文献12、13参照。)。
(6)については耐熱性が低いために露光後の熱処理中にイメージがひずむことが予想され、また基板密着性が不十分であり、実用性のあるものとはいえない(文献14参照。)。
特開平7−134413号公報 特開平9−211862号公報 特開平10−282649号公報 特開平11−143074号公報 特開平11−258796号公報 特開平11−72916号公報 特開平11−322656号公報 特開平9−236919号公報 特開2000−305270号公報 特開2002−99088号公報 特開2002−99089号公報 特開2002−49152号公報 特開2003−183227号公報 特開2002−328466号公報 Proceedings of SPIE vol.3999(2000)P1202〜1206
本発明の目的は、i線、g線等の紫外線のみならず、KrF等のエキシマレーザー光、電子線、X線等の放射線にも利用できるレジスト用化合物及び感放射線性組成物を提供することにある。本発明の更に他の目的は簡単な製造工程で高感度、高解像度、高耐熱性かつ溶剤可溶性の非高分子系感放射線性レジストを提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の化学構造式で示される化合物が上記課題の解決に有用であることを見出した。すなわち本発明は、式(1)で示される化合物および酸発生剤からなる感放射線性組成物に関する。
(1)
(式中、R1〜Rは、水素原子、水酸基、または炭素数1〜12の炭化水素基であるが、それらの中で少なくとも一つは水素原子以外の特性基であり、Xは−O−、−S−、−NH−、単結合からなる群から選ばれる1種以上である。A〜Aのうち少なくとも一つは酸解離性官能基であり、l、m、nは独立に0〜3の整数である。)
ここで単結合とは、ベンゼン環とカルボニル基の炭素原子が直接結合していることを意味する。
本発明に係る酸増幅型非高分子系感放射線性組成物を用いることにより、高解像度、高感度のパターンを作製することが可能となるため集積度の高い半導体素子を高い生産性で作製することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のレジスト用化合物はa)〜d)のすべての条件を満たす。
a)分子量が400〜5000である。
分子量は400〜5000であり、好ましくは600〜3000、更に好ましくは800〜2000である。上記の範囲にすることにより成膜性を保持することが出来、解像性、アルカリ現像性能を向上させることが出来る。
b)化合物中の窒素元素含有率1〜40質量%である。
窒素元素含有量を1〜40質量%の範囲にすることにより、感度・解像度に優れ、パターン作製に必要な耐熱性、また基板密着性を有することが出来る。好ましくは3〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%の範囲であることにより、より効果的となる。また、分子量400〜5000程度の化合物を製造する際にウレア、ウレタン、アミド結合等の窒素を含む結合形式は製造プロセスの簡素化が可能となる。
c)分岐構造を有する
本発明において「分岐構造」とは、下記[1]〜[3]のうち少なくとも1つの条件を満たす化学構造をいう。
[1]3級炭素原子または3級窒素原子を有する
[2]4級炭素原子を有する
[3]3以上の置換基を有する芳香環を少なくとも一つ含む
分岐構造を有することにより、アモルファス性を付与することができ、レジスト材料としての、パターン形成に必要な成膜性、光透過性、溶剤可溶性に優れる等の特長を有する。また感光基の数を増加させることが出来るため感度を上げることが可能である。
d)酸解離性官能基を有する
露光により触媒を発生させ、触媒反応によって高感度を達成することができる。
また、本発明において、ウレア基、アミド基、ウレタン基のいずれかの官能基を含むことが好ましい。上記官能基を有することにより、パターン作製に必要な耐熱性、また基板密着性を有することが出来る。また、分子量400〜5000程度の化合物を製造する際のプロセスの簡素化が可能となる。
具体的には解像度、感度、成膜性、安全溶媒可溶性、耐熱性の点で式(1)で示される化合物であることが好ましい。
本発明において、前記酸解離性官能基とは、酸の存在下で開裂して、フェノール性水酸基、水酸基、カルボキシル基、またはスルホン酸等の酸性基を生じる特性基をいい、アルコキシ基、アルキルスルファニル基、アルキルスルホネート基、アルキルシリルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、フェノキシカルボニルオキシ基等がある。
前記酸解離性官能基は、更に高感度・高解像度なパターン形成を可能にするために、酸の存在下で連鎖的に開裂反応を起こす性質を有することが好ましい。
本発明で提供される式(1)中、Rは水素原子、水酸基、または炭素数1〜5の非環状炭化水素基のいずれかであることが好ましい。炭素数1〜5の非環状炭化水素基の例として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
〜Rは水素原子、炭素数1〜5である非環状炭化水素基、置換メチル基、または1−置換エチル基であることが好ましい。炭素数1〜5の非環状炭化水素基の例として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられ、置換メチル基としては、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、4−ブロモフェナシル基、4−メトキシフェナシル基、ピペロニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、i−プロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基およびtert−ブトキシカルボニルメチル基等を挙げられ、1−置換エチル基の具体例としては、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基等を挙げることができる。
〜Aが水素及び下記式(2)〜(5)で表される置換基からなる群から選択される一種以上であり、R〜Rは独立に水素原子、または置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、アシル基、1−置換アルコキシメチル基、環状酸解離性官能基、およびアルコキシカルボニル基からなる群から選択される特性基であって少なくとも一つは水素原子以外の特性基であり、l、m、nは独立に0〜3の整数であることが好ましい。
前記置換メチル基の具体例としては、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、4−ブロモフェナシル基、4−メトキシフェナシル基、ピペロニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、i−プロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基およびtert−ブトキシカルボニルメチル基等を挙げることができる。
前記1−置換エチル基の具体例としては、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェニルエチル基および1,1−ジフェニルエチル基等を挙げることができる。
前記1−置換−n−プロピル基としては、例えば、1−メトキシ−n−プロピル基および1−エトキシ−n−プロピル基等を挙げることができる。1−分岐アルキル基としては、例えば、i−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基および1,1−ジメチルブチル基等を挙げることができる。
前記シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジエチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基およびトリフェニルシリル基等を挙げることができる。
前記アシル基としては、例えば、アセチル基、フェノキシアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、アダマンチル基、ベンゾイル基およびナフトイル基等を挙げることができる。
また、前記1−置換アルコキシメチル基としては、例えば、1−シクロペンチルメトキシメチル基、1−シクロペンチルエトキシメチル基、1−シクロヘキシルメトキシメチル基、1−シクロヘキシルエトキシメチル基、1−シクロオクチルメトキシメチル基および1−アダマンチルメトキシメチル基等を挙げることができる。
さらに、前記環状酸解離性官能基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、4−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基および4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基等を挙げることができる。
さらに、前記アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
これらの酸解離性官能基のうち、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、tert−ブチル基、トリメチルシリル基、テトラヒドロピラニル基および1−シクロヘキシルメトキシメチル基が好ましい。
上記式(1)の化合物は、原料の入手が容易なことから、例えば、下記式(6)で表されることが好ましい。
(6)
(式中、R〜Rは独立に水素原子、または置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、アシル基、1−置換アルコキシメチル基、環状酸解離性官能基、およびアルコキシカルボニル基からなる群から選択される特性基であって少なくとも一つは水素原子以外の特性基である。)
前記式(6)で表される化合物のうち特に好ましいのは、下記式(7)で表される化合物である。耐熱性が高くパターン形成工程における加熱処理に十分耐えうる等のレジスト材料形成の用途に好ましい物性を有する。
(7)
また、本発明の感放射線性組成物には、式(1)においてR〜Rが全て水素原子である化合物に相当する化合物(以下、「他の化合物」ともいう。)が含まれていてもよい。式(1)の化合物のR〜Rおよび前記他の化合物のR〜Rの官能基数の合計における酸解離性官能基数の割合は、好ましくは、1〜99%であり、より好ましくは5〜85%であり、特に好ましくは10〜75%である。1%未満では、レジストとしての解像度が低下する場合があり、99%を越えると、レジストとしての感度、解像度、基板に対する接着性が低下する場合がある。
本発明の式(1)で示される化合物の製造法は特に限定されないが、特に、トリイソシアネート類とアミノフェノール類またはヒドロキシアルキルフェノール類とを反応した後、同じ反応容器中で酸解離性官能基導入試剤を塩基触媒下で反応させる製造法がより簡便で実用的であることから好ましい。ここで云う酸解離性官能基導入試剤とは、酸解離性官能基を有する酸クロライド、酸無水物、ジカーボネートなどの活性カルボン酸誘導体化合物やアルキルハライド等を云う。また、塩基触媒とはアルカリ性化合物であれば良く、例えば、モノ−、ジ−あるいはトリ−アルキルアミン類、モノ−、ジ−あるいはトリ−アルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等のアルカリ性化合物、アルキルアンモニウム塩、アルコラート等の金属化合物の1種以上使用することが望ましい。
例えば、トリイソシアネート基とアミノフェノールの様なフェノール性水酸基とフェノール性水酸基より反応性が高いアミノ基を有する化合物を、当量、常温・常圧下でジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒中でアミノ基部分を選択的に反応させる。なおこの際、無触媒でも反応は進行するが、モノ−、ジ−あるいはトリ−アルキルアミン類、モノ−、ジ−あるいはトリ−アルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等のアルカリ性化合物、アルキルアンモニウム塩、アルコラート等の金属化合物のうち1種以上使用すると反応速度が高まることがある。
次に同じ反応容器中でtert−ブトキシカルボニル基などの酸解離性官能基を導入するために、酸解離性官能基を有する酸クロライド、酸無水物、ジカーボネートなどの活性カルボン酸誘導体化合物やアルキルハライドをトリエチルアミン等のアミン系触媒下で常圧、60℃、6〜7時間反応させ、蒸留水中に再沈殿した後、蒸留水で洗浄し、乾燥することにより製造できる。
本発明の化合物の合成において使用されるトリイソシアネートはトリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、パラローズアニリン誘導体等が挙げられるが、限定はされない。
本発明の化合物の合成において使用されるアミノフェノール類は、炭素数1〜5のアルキル基が置換されていてもよい。また、アミノレゾルシノールのように、フェノール性水酸基は2以上有している化合物を使用しても良い。
本発明の化合物の合成において使用されるヒドロキシアルキルフェノール類は、炭素数1〜5のアルキル基が置換されていてもよい。また、ジヒドロキシベンジルアルコールのように、フェノール性水酸基は2以上有している化合物を使用しても良い。
フェノール性水酸基に導入する特性基としては、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、アシル基、1−置換アルコキシメチル基及び環状酸解離性官能基、tert−ブトキシカルボニル基から選択される特性基であって少なくとも一つは水素原子以外の特性基であればよく、酸存在下で酸が解離してフェノール性水酸基、水酸基、カルボキシル基、またはスルホン酸が発生すれば特に限定されない。
本発明において酸解離使用される酸解離性官能基を導入するための化合物としては、酸解離性官能基を有する酸クロライド、酸無水物、ジカーボネートなどの活性カルボン酸誘導体化合物やアルキルハライドなどが挙げられるが特に限定はされない。
本発明の化合物は酸増幅型化合物であり、酸が共存すると、酸解離性官能基が開裂し、フェノール性水酸基、水酸基、カルボキシル基、またはスルホン酸に変換される。フェノール性水酸基等の酸により自己触媒効果と相まって効果的に脱離が進行し、アルカリ可溶物となるため、アルカリ現像可能なポジ型レジストとして利用できる。酸の発生方法は特に限定はしないが、例えば酸発生剤を共存することにより、紫外線若しくは高エネルギー露光部に酸が発生する。
すなわち、本発明は系内に酸が発生すれば、酸の発生方法は限定しない。g線、i線などの紫外線の代わりにエキシマレーザーを使用すれば、より微細加工が可能であるし、また高エネルギー線として電子線、X線、イオンビームを使用すれば更に微細加工が可能である。
本発明の感放射線性組成物は式(1)の化合物と酸発生剤を含む。本発明において使用される酸発生剤は、放射線により直接的または間接的(電子線照射によりイオン化された物質より発生する電子が関与する反応等)に酸を発生する化合物からなる。また、本発明の感放射線性組成物は他の酸解離性官能基を持つ化合物を含んでいてもよい。
このような酸発生剤としては特に限定はないが、例えば、キノンジアジド化合物、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ジスルフォン化合物、オキシムスルフォネート化合物を挙げることができる。
また、酸発生剤は、単独で、または2種以上を使用することができる。本発明において、酸発生剤の使用量は、式(1)の化合物100重量部当り、0.1〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。0.1重量部未満では、感度、解像度が低下する傾向があり、一方、30重量部を超えるとレジストとしてのパターン断面形状が低下する傾向がある。
本発明の感放射線性組成物には、酸拡散制御剤、溶解制御剤、溶解促進剤、増感剤、界面活性剤等の各種添加剤を配合することができる。
本発明においては、放射線照射により酸発生剤から生じた酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御して、未露光領域での好ましくない化学反応を制御する作用等を有する酸拡散制御剤を、配合させても良い。この様な酸拡散制御剤を使用することにより、レジスト組成物の貯蔵安定性が向上し、また解像性が向上するとともに、電子線照射前の引き置き時間(PCD)、電子線照射後の引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。このような酸拡散制御剤としては、窒素原子含有塩基性化合物あるいは塩基性スルホニウム化合物、塩基性ヨードニウム化合物の如き電子線放射分解性塩基性化合物が挙げられる。酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。
本発明における酸拡散制御剤の配合量は、式(1)の化合物100重量部当たり、0.001〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.005〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜3重量部である。酸拡散制御剤の配合量が0.001重量部未満では、プロセス条件によっては、解像度の低下、パターン形状、寸法忠実度等が劣化する傾向があり、さらに、電子線照射から照射後の露光後加熱(以下、PEBと略す)までの引き置き時間が長くなると、パターン上層部においてパターン形状が劣化する傾向がある。一方、酸拡散制御剤の配合量が10重量部を超えると、レジストとしての感度、未露光部の現像性等が低下する傾向がある。
溶解制御剤は、本発明の化合物のアルカリ等現像液に対する溶解性が高すぎる場合に、その溶解性を制御して現像時の溶解速度を適度に減少させる作用を有する成分である。このような溶解制御剤としては、レジスト被膜の焼成、放射線照射、現像等の工程において化学変化しないものが好ましい。
溶解制御剤としては、例えば、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、アセナフテンの如き芳香族炭化水素類;アセトフェノン、ベンゾフェノン、フェニルナフチルケトンの如きケトン類;メチルフェニルスルホン、ジフェニルスルホン、ジナフチルスルホンの如きスルホン類等を挙げることができる。これらの溶解制御剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。溶解制御剤の配合量は、使用される化合物の種類に応じて適宜調節されるが、式(1)の化合物100重量部当たり、30重量部以下が好ましく、より好ましくは10重量部以下である。
また、溶解促進剤は、本発明の化合物のアルカリ等現像液に対する溶解性が低すぎる場合に、その溶解性を高めて、現像時の該低分子化合物の溶解速度を適度に増大させる作用を有する成分である。このような溶解促進剤としては、レジスト被膜の焼成、電子線照射、現像等の工程において化学変化しないものが好ましい。前記溶解促進剤としては、例えば、ベンゼン環を2〜6程度有する低分子量のフェノール性化合物を挙げることができ、具体的には、例えば、ビスフェノール類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン等を挙げることができる。これらの溶解促進剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
溶解促進剤の配合量は、使用される化合物の種類に応じて適宜調節されるが、上記レジスト用化合物100重量部当たり、30重量部以下が好ましく、より好ましくは10重量部以下である。
増感剤は、照射された放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを光酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を有し、レジストの見掛けの感度を向上させる成分である。このような増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ビアセチル類、ピレン類、フェノチアジン類、フルオレン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。これらの増感剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。
増感剤の配合量は、式(1)の化合物100重量部当たり、30重量部以下が好ましく、より好ましくは10重量部以下である。
界面活性剤は、本発明の感放射線性組成物の塗布性やストリエーション、レジストとしての現像性等を改良する作用を有する成分である。このような界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系あるいは両性のいずれでも使用することができる。これらのうち、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。ノニオン系界面活性剤は、感放射線性組成物に用いる溶剤との親和性がよく、より効果がある。ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類等の他、以下商品名で、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業社製)、フロラード(住友スリーエム社製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子社製)、ペポール(東邦化学工業社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社油脂化学工業社製)等の各シリーズを挙げることができるが、特に限定はされない。
界面活性剤の配合量は、式(1)の化合物100重量部当たり、界面活性剤の有効成分として、2重量部以下が好ましい。また、染料あるいは顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和でき、接着助剤を配合することにより、基板との接着性を改善することができる。
本発明の感放射線性組成物は、その使用に際して、固形分濃度が、好ましくは、1〜20重量%となるように溶剤に溶解したのち、例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって、レジスト溶液として調製される。感放射線性組成物に使用される溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)などのプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル(EL)などの乳酸エステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなどの他のエステル類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類を挙げることができるが、特に限定はされない。これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。
本発明の感放射線性組成物からレジストパターンを形成する際には、前記レジスト溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成したのち、紫外線、放射線、電子線により描画する。
また、露光条件等は、感放射線性組成物の配合組成等に応じて適宜選定される。本発明においては、露光における高精度の微細パターンを安定して形成するために、PEBを行うことが好ましい。その加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成等により変わるが、40〜200℃が好ましく、より好ましくは80〜150℃である。
次いで、露光されたレジスト被膜をアルカリ現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。前記アルカリ現像液としては、例えば、モノ−、ジ−あるいはトリ−アルキルアミン類、モノ−、ジ−あるいはトリ−アルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等のアルカリ性化合物の1種以上を、好ましくは、1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%の濃度となるように溶解したアルカリ性水溶液が使用される。
また、前記アルカリ現像液には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類や界面活性剤を適量添加することもできる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を用いた場合は、一般に、現像後、水で洗浄する。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に特に限定はされない。
(1)レジスト用化合物の合成
トリフェニルメタントリイソシアネート(TPMTI)の酢酸エチル27重量%溶液(住化バイエルウレタン製デスモジュールRE、NCO当量:441)17.34gにジメチルアセトアミド(DMAc)3mlを加えた溶液を滴下ロートを用いて、p−アミノフェノール0.546g(5mmol(1.0当量))のDMAc5ml溶液にゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。更にジ−tert−ブチルジカーボネート(1.2g/5.5mmol)、トリエチルアミン0.6gをゆっくり滴下し、60℃で7時間攪拌した。反応液を多量の水に加え再沈殿を繰り返したところ、白色粉末が得られた。最後に減圧乾燥を行い、目的化合物0.8gを得た。構造はFT−IR、400MHz-H−NMRにより確認した。
IR:(cm−1
3342(N−H伸縮振動)、1762、1660(C=O伸縮)
H−NMR:(400MHz、CDCl、内部標準TMS)
δ(ppm)8.7,8.64(6H −NH−)、7.47−6.97(24H Ph−H)、5.41(1H −CH=)、1.48(27H −C(C ) トリフェニルメタン構造を確認した。
液体クロマトグラフィー : (展開溶媒THF)
純度 >99%
以上の結果から構造式を同定し、その構造式から分子量、窒素含有率を算出した。
分子量 : 995
窒素含有率 : 8.45%
酸解離基導入率 :100% (NMRにより算出した。)
以上の結果から、a)〜d)の条件を満たすことを確認した。
(2)レジストパターンの形成
(1)で合成した生成物0.5g、1,2−ナフトキノンー2−ジアジドー5−スルホン酸ナトリウム 東京化成工業製試薬)0.025g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)4.5gの均一溶液としたのち、孔径0.2μmのテフロン製メンブランフィルターで濾過して、レジスト溶液を調製した。得られたレジスト溶液を清浄なシリコンウェハ上に回転塗布した後、110℃で焼成して、厚み0.2μmのレジスト被膜を形成した。該レジスト被膜を波長365nmのi線、4.4mJ/cmで露光した。その後、110℃で10分間PEBを行った後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、静置法により、23℃で6秒間現像を行った。その後、水で30秒間洗浄し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。その結果、5μmラインアンドスペースのパターンが得られた。

Claims (6)

  1. 式(1)で示される化合物。
    (1)
    (式中、R1〜Rは、水素原子、水酸基、または炭素数1〜12の非環状炭化水素基、置換メチル基、1−置換エチル基であるが、それらの中で少なくとも一つは水素原子以外の特性基であり、Xは−O−、−S−、−NH−、単結合からなる群から選ばれる1種以上である。A〜Aのうち少なくとも一つは酸解離性官能基であり、l、m、nは独立に0〜3の整数である。)
  2. 前記式(1)中Rは水素原子、水酸基、又は炭素数1〜5の非環状炭化水素基のいずれかであり、R〜Rは水素原子、炭素数1〜12である非環状炭化水素基、置換メチル基、および1−置換エチル基から選択される特性基であり、A〜Aが水素及び下記式(2)〜(5)で表される置換基からなる群から選択される一種以上であり、R〜Rは独立に水素原子、または置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、アシル基、1−置換アルコキシメチル基、環状酸解離性官能基、およびアルコキシカルボニル基からなる群から選択される特性基であって少なくとも一つは水素原子以外の特性基である請求項1記載の化合物。
  3. 式(6)で示される請求項2記載の化合物。
    (6)
    (式中、R〜Rは独立に水素原子、または置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、アシル基、1−置換アルコキシメチル基、環状酸解離性官能基、およびアルコキシカルボニル基からなる群から選択される特性基であって少なくとも一つは水素原子以外の特性基である。)
  4. 式(7)で示される請求項3記載の化合物。
    (7)
  5. トリイソシアネート類、およびアミノフェノール類またはヒドロキシアルキルフェノール類を反応した後、塩基触媒下で酸解離性官能基導入試剤を反応させることを特徴とする請求項1〜4記載の化合物の製造方法。
  6. 請求項1〜4記載の化合物および酸発生剤を含む感放射線性組成物。
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