JP2005088737A - 電動パワーステアリング装置用減速ギヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐摩耗性,耐疲労性,及び寸法安定性に優れたウォームホイールを備えた高信頼性の電動パワーステアリング装置用減速ギヤを提供する。
【解決手段】 電動パワーステアリング装置用減速ギヤ30は、操舵補助出力発生用電動モータの回転軸に連結する金属製のウォーム20と、ウォーム20に噛み合うウォームホイール10と、で構成されており、ウォームホイール10は、外周面にギヤ歯12aが形成された樹脂部12を金属製の芯管11の外周に一体的に設けたものである。ウォームホイール10の樹脂部12は、ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂用可塑剤と繊維状充填剤とを含有する樹脂組成物からなる。
【選択図】 図1
【解決手段】 電動パワーステアリング装置用減速ギヤ30は、操舵補助出力発生用電動モータの回転軸に連結する金属製のウォーム20と、ウォーム20に噛み合うウォームホイール10と、で構成されており、ウォームホイール10は、外周面にギヤ歯12aが形成された樹脂部12を金属製の芯管11の外周に一体的に設けたものである。ウォームホイール10の樹脂部12は、ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂用可塑剤と繊維状充填剤とを含有する樹脂組成物からなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、操舵補助出力発生用電動モータによる補助出力を車両のステアリング機構に伝達する電動パワーステアリング装置に組み込まれる減速ギヤに関する。
自動車に組み込まれる電動パワーステアリング装置には、電動モータに比較的高回転低トルクのものが使用されることから、電動モータとステアリングシャフトとの間に減速機構が組み込まれている。減速機構としては、一組で大きな減速比が得られる等の理由から、図示しない電動モータの回転軸に連結するウォーム120と、ウォーム120に噛み合うウォームホイール110と、で構成される電動パワーステアリング装置用減速ギヤ130(以下、減速ギヤと記すこともある)が一般的に使用されている(図6を参照)。
このような減速ギヤ130においては、ウォームホイール110とウォーム120との両方を金属製とすると、ハンドル操作時に歯打ち音や振動音等の不快音が発生するという問題があった。そこで、ウォームホイール110として、外周面にギヤ歯112aが形成された樹脂部112を金属製の芯管111の外周に一体的に設けてなるものを使用することにより、騒音対策を行っている。
樹脂部112を構成する樹脂材料としては、例えば特許文献1に示されるように、ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアセタール,ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のベース樹脂にガラス繊維や炭素繊維等の強化材を配合した材料の他、強化材を含有しないMCナイロン(モノマーキャストナイロン),ポリアミド6,ポリアミド66等が使用されている。これらの材料の中でも、寸法安定性やコストを考慮して、強化材を含有しないMCナイロンや、ガラス繊維を含有するポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド46等が主流となっている。
特公平6−60674号公報
しかしながら、樹脂部112を形成するポリアミド樹脂は、摺動性や耐疲労性に優れるものの吸水性が高いので、水分を吸収してギヤ歯112aが膨張し、ウォーム120との間に当初存在していた隙間が減少し、さらに膨張するとウォーム120を圧迫するようになる。その結果、ギヤの抵抗が大きくなり、ハンドルが重くなるという不具合を招いていた。
また、長時間の使用により、ギヤ歯112aが摩耗してウォーム120とウォームホイール110との噛み合い部におけるバックラッシュ(ガタ)が増大するため、ウォーム120の円滑な作動が妨げられて、操舵感が悪化したり、直線走行時に異音(歯打ち音)が発生することもあった。さらには、ギヤ歯112aが変形し、場合によっては電動パワーステアリング装置全体の機能低下を招くおそれもあった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、耐摩耗性,耐疲労性,及び寸法安定性に優れた歯車を備えた高信頼性の電動パワーステアリング装置用減速ギヤを提供することを課題とする。
また、長時間の使用により、ギヤ歯112aが摩耗してウォーム120とウォームホイール110との噛み合い部におけるバックラッシュ(ガタ)が増大するため、ウォーム120の円滑な作動が妨げられて、操舵感が悪化したり、直線走行時に異音(歯打ち音)が発生することもあった。さらには、ギヤ歯112aが変形し、場合によっては電動パワーステアリング装置全体の機能低下を招くおそれもあった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、耐摩耗性,耐疲労性,及び寸法安定性に優れた歯車を備えた高信頼性の電動パワーステアリング装置用減速ギヤを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の電動パワーステアリング装置用減速ギヤは、操舵補助出力発生用電動モータの出力が伝達される第一歯車と、該第一歯車に噛み合い前記出力をステアリングシャフトに伝達する第二歯車と、で構成される電動パワーステアリング装置用減速ギヤにおいて、前記第二歯車は、芯管と、該芯管の外周に一体的に設けられ外周面にギア歯が形成された樹脂部と、で構成され、前記樹脂部は、ポリアミド樹脂と可塑剤と繊維状充填剤とを含有する樹脂組成物からなることを特徴とする。
また、本発明に係る請求項2の電動パワーステアリング装置用減速ギヤは、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置用減速ギヤにおいて、前記ポリアミド樹脂は、ポリアミド6,ポリアミド66,及びポリアミド46のうち少なくとも1種であり、前記可塑剤は、芳香族スルホンアミド,ポリアルキレングリコール,及びポリアルキレングリコールの誘導体のうち少なくとも1種であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項3の電動パワーステアリング装置用減速ギヤは、請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置用減速ギヤにおいて、前記樹脂組成物中の前記可塑剤の含有量は0.1質量%以上7質量%以下であり、前記樹脂組成物中の前記繊維状充填剤の含有量は5質量%以上50質量%以下であることを特徴とする。
本発明の電動パワーステアリング装置用減速ギヤは、樹脂材料で形成された歯車の耐摩耗性,耐疲労性,及び寸法安定性が優れているので、信頼性が高く、電動パワーステアリング装置の高性能化に寄与する。
本発明に係る電動パワーステアリング装置用減速ギヤの実施の形態を、図1の斜視図を参照しながら詳細に説明する。
自動車の電動パワーステアリング装置には、操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するため、図1のような電動パワーステアリング装置用減速ギヤ30(以下、減速ギヤと記すこともある)が組み込まれている。
この減速ギヤ30は、図示しない操舵補助出力発生用電動モータの回転軸に連結する金属製のウォーム20(本発明の構成要件である第一歯車に相当する)と、ウォーム20に噛み合うウォームホイール10(本発明の構成要件である第二歯車に相当する)と、で構成されており、ウォームホイール10は、外周面にギヤ歯12aが形成された樹脂部12を金属製の芯管11の外周に一体的に設けたものである。なお、ウォーム20は樹脂製とすることもできる。
自動車の電動パワーステアリング装置には、操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するため、図1のような電動パワーステアリング装置用減速ギヤ30(以下、減速ギヤと記すこともある)が組み込まれている。
この減速ギヤ30は、図示しない操舵補助出力発生用電動モータの回転軸に連結する金属製のウォーム20(本発明の構成要件である第一歯車に相当する)と、ウォーム20に噛み合うウォームホイール10(本発明の構成要件である第二歯車に相当する)と、で構成されており、ウォームホイール10は、外周面にギヤ歯12aが形成された樹脂部12を金属製の芯管11の外周に一体的に設けたものである。なお、ウォーム20は樹脂製とすることもできる。
ウォームホイール10の樹脂部12は、ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂用可塑剤と繊維状充填剤とを含有する樹脂組成物からなり、そのベース樹脂であるポリアミド樹脂としては、性能とコストとのバランスを考慮すると、ポリアミド6,ポリアミド66,及びポリアミド46等が好ましい。
これらのポリアミド樹脂であれば、樹脂部12を樹脂単独で形成したとしても一定以上の性能が発揮され、ウォームホイール10の相手材である金属製のウォーム20の摩耗に対して有利に働き、減速ギヤとして機能することができる。ただし、より過酷な使用条件で使用されると、ギヤ歯の過大な摩耗,変形が生るおそれがあり、それに伴って所望の機能が発揮されなくなることも十分想定される。このため、ウォームホイール用材料としては、より耐久性に優れた信頼性の高い材料の適用が強く求められている。
これらのポリアミド樹脂であれば、樹脂部12を樹脂単独で形成したとしても一定以上の性能が発揮され、ウォームホイール10の相手材である金属製のウォーム20の摩耗に対して有利に働き、減速ギヤとして機能することができる。ただし、より過酷な使用条件で使用されると、ギヤ歯の過大な摩耗,変形が生るおそれがあり、それに伴って所望の機能が発揮されなくなることも十分想定される。このため、ウォームホイール用材料としては、より耐久性に優れた信頼性の高い材料の適用が強く求められている。
本実施形態においては、ポリアミド樹脂に繊維状充填剤とポリアミド樹脂用可塑剤(以下、「特定のポリアミド樹脂用可塑剤」と記すこともある) とが配合された樹脂組成物で、樹脂部12が形成されているので、ウォームホイール用材料に求められる強度と、ギヤ歯の接触面圧を緩和させるために重要な適度な柔軟性と、が同時に確保されている。よって、本実施形態の樹脂組成物の耐摩耗性,耐疲労性,及び耐衝撃性は、従来ウォームホイール用材料として用いられていたポリアミド樹脂組成物のそれよりも良好である。さらに、特定のポリアミド樹脂用可塑剤の添加は、ポリアミド樹脂の吸水性の低減にも効果を発揮することから、本実施形態の樹脂組成物は電動パワーステアリング装置用減速ギヤの材料として特に好適である。
特定のポリアミド樹脂用可塑剤の配合により樹脂組成物の耐摩耗性が向上する理由は、特定のポリアミド樹脂用可塑剤の添加により成形品の結晶性が制御されて、適度な柔軟性が付与されると同時に伸びが増大するためである。つまり、樹脂部の軟質化により、歯面間のなじみの向上が達成されるためである。このなじみの向上は、ギヤの摩耗耐久性を改善させるための重要な要素の一つであり、運転初期におけるなじみ効果を上手く生み出すことにより、定常状態における摩耗速度を低く抑えることができる場合が非常に多い。
また、運転中に摩耗粉が生じると、これがグリースに混入することによりアブレシブ作用が増加し摩耗が著しく進展する場合があるが、このような摩耗を減少させるためには材料の伸びが大きいことが重要な要素である。したがって、従来の繊維強化ポリアミド樹脂組成物と比べて伸びが大きい本実施形態の樹脂組成物は、上記機構による摩耗に対する耐久性が優れているのである。
また、特定のポリアミド樹脂用可塑剤の配合により樹脂組成物の耐疲労性が向上する主な理由は、樹脂部が柔軟になることによりギヤ歯に作用する荷重分布が良好なものとなり、力学的欠陥として作用する界面(繊維状充填剤と樹脂母材との界面) への応力集中が抑えられるためである。
さらに、特定のポリアミド樹脂用可塑剤の配合により樹脂組成物の耐衝撃性が向上する理由は、樹脂組成物に適度な柔軟性が付与されるためである。
さらに、特定のポリアミド樹脂用可塑剤の配合により樹脂組成物の耐衝撃性が向上する理由は、樹脂組成物に適度な柔軟性が付与されるためである。
さらに、特定のポリアミド樹脂用可塑剤の配合によりポリアミド樹脂の吸水性が低減される理由は、以下の通りである。一般に、ポリアミド樹脂の分子内に存在するアミド基は親水性が大きいため、ポリアミド樹脂が吸水することは避けられない。そして、吸水された水分は可塑剤と同様な作用を示し、成形品の機械的性質及び寸法に大きな変化を及ぼすことになる。一方、本実施形態の樹脂組成物には、溶融混練時に特定のポリアミド樹脂用可塑剤が添加されている。そして、添加された特定のポリアミド樹脂用可塑剤は、水分子と同様の挙動を示す。すなわち、本実施形態の樹脂組成物の成形品においては、吸水するよりも以前に、特定のポリアミド樹脂用可塑剤がポリアミド分子間の結合に介在することとなる。つまり、水分子が入り込むスペースが減少することになるのである。このため、本実施形態の樹脂組成物においては、水分子の侵入がある程度阻害され絶対的な吸水量が低下するため、結果として吸水性の低減がなされるのである。
特定のポリアミド樹脂用可塑剤としては、芳香族スルホンアミド,ポリアルキレングリコール,及びポリアルキレングリコールの誘導体のうち少なくとも1種があげられる。芳香族スルホンアミドの具体例としては、N−ブチルベンゼンスルホンアミド,N−プロピルベンゼンスルホンアミド,N−エチルベンゼンスルホンアミド等をあげることができる。また、ポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリテトラメチレングリコール等をあげることができ、それらの誘導体とは、各々の分子鎖末端が、カルボン酸,アミン,エポキシ,カルボン酸エステル等の構造に変換されたものである。これらの可塑剤は、単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
樹脂組成物中のポリアミド樹脂用可塑剤の含有量は、0.1質量%以上7質量%以下とすることが好ましい。0. 1質量%未満であると、ギヤ歯の接触面圧を緩和させるために十分な柔軟性が、樹脂組成物に付与されにくい。一方、7質量%超過であると、樹脂組成物の機械的強度及び耐熱性の低下などの悪影響が顕在化するおそれがある。このような不都合が生じにくくするためには、樹脂組成物中のポリアミド樹脂用可塑剤の含有量は、1質量%以上5質量%以下とすることがより好ましい。
また、樹脂組成物中の繊維状充填剤の含有量は、5質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。5質量%未満であると、ウォームホイール用材料として要求される機械的強度や耐熱性が不十分となるおそれがある。一方、50質量%超過であると、ギア歯の歯面が著しく硬質となること、及び、ギア歯の歯面に露出する繊維状充填剤の数が多くなるためグリースによる油膜が破壊されやすくなることから、歯面の摩耗耐久性が低下して、減速ギアが短寿命となるおそれがある。このような不都合が生じにくくするためには、樹脂組成物中の繊維状充填剤の含有量は、15質量%以上30質量%以下とすることがより好ましい。
繊維状充填剤の具体例としては、ガラス繊維,炭素繊維,アラミド繊維,炭化珪素繊維,ウォラスナイト,及びウィスカー類(例えば、酸化亜鉛ウィスカー,チタン酸カリウムウィスカー,ホウ酸アルミニウムウィスカー)等があげられる。これらの繊維状充填剤は、単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
さらに、樹脂組成物中の特定のポリアミド樹脂用可塑剤と繊維状充填剤との含有量のバランスが極めて重要であり、ベース樹脂の種類に応じて両者の配合比率を最適化することによって、本発明の効果が最大限に発揮され、電動パワーステアリング装置用減速ギヤの材料として好適な樹脂組成物となる。このような樹脂組成物で形成されたウォームホイールは、耐摩耗性,耐疲労性,及び寸法安定性が優れていて、ギヤ歯の膨張や摩耗が生じにくいので、本実施形態の電動パワーステアリング装置用減速ギヤは、信頼性が高く、電動パワーステアリング装置の高性能化に寄与する。
さらに、樹脂組成物中の特定のポリアミド樹脂用可塑剤と繊維状充填剤との含有量のバランスが極めて重要であり、ベース樹脂の種類に応じて両者の配合比率を最適化することによって、本発明の効果が最大限に発揮され、電動パワーステアリング装置用減速ギヤの材料として好適な樹脂組成物となる。このような樹脂組成物で形成されたウォームホイールは、耐摩耗性,耐疲労性,及び寸法安定性が優れていて、ギヤ歯の膨張や摩耗が生じにくいので、本実施形態の電動パワーステアリング装置用減速ギヤは、信頼性が高く、電動パワーステアリング装置の高性能化に寄与する。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、円筒状のウォームとウォームホイールとからなる減速ギヤを例示して本発明を説明したが、本発明は前述のような減速ギヤに限定されるものではなく、他の形式のギヤにも適用できることは言うまでもない。例えば、図2に示す平歯車、図3に示すはすば歯車、図4に示すかさ歯車、図5に示すハイポイドギヤ等へ適用することができる。
また、樹脂組成物には、ゼオライト,カオリン,マイカ,クレー,タルク,アルミナ,シリカ等の非繊維状無機充填剤を添加してもよい。さらに、顔料,染料,酸化防止剤,熱安定剤,及び帯電防止剤等の配合剤も、必要に応じて少量添加してもよい。
また、樹脂組成物には、ゼオライト,カオリン,マイカ,クレー,タルク,アルミナ,シリカ等の非繊維状無機充填剤を添加してもよい。さらに、顔料,染料,酸化防止剤,熱安定剤,及び帯電防止剤等の配合剤も、必要に応じて少量添加してもよい。
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。まず、以下のようにして、6種(実施例1〜4及び比較例1,2)のウォームホイール試験体を作製した。
(実施例1)
芯管は、外径65mm、幅16mmの円筒状であり、スチール鋼(S45C) 製である。そして、その円筒面には、深さ0. 5mmのローレット加工が施されている。この芯管をコアにしてインサート成形(射出成形) を行い、芯管の外周に樹脂部を一体的に設けた。この樹脂部は、内径64mm,外径83mm,幅15.5mmで、切削代を残したはすば形状のギヤ歯を外径部に有している。そして、ギヤ歯を切削加工して、ウォームホイールに仕上げた。
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。まず、以下のようにして、6種(実施例1〜4及び比較例1,2)のウォームホイール試験体を作製した。
(実施例1)
芯管は、外径65mm、幅16mmの円筒状であり、スチール鋼(S45C) 製である。そして、その円筒面には、深さ0. 5mmのローレット加工が施されている。この芯管をコアにしてインサート成形(射出成形) を行い、芯管の外周に樹脂部を一体的に設けた。この樹脂部は、内径64mm,外径83mm,幅15.5mmで、切削代を残したはすば形状のギヤ歯を外径部に有している。そして、ギヤ歯を切削加工して、ウォームホイールに仕上げた。
なお、樹脂部を形成する樹脂組成物は、ガラス繊維で強化されたポリアミド66(宇部興産株式会社製のUBEナイロン 2020GU6であり、30質量%のガラス繊維を含有している)と可塑剤であるN−ブチルベンゼンスルホンアミド(大八化学工業株式会社製)とを、質量比96:4で混合したものである。よって、該樹脂組成物中のポリアミド66とガラス繊維と可塑剤との含有量は、それぞれ67.2質量%,28.8質量%,4質量%である。
(実施例2)
可塑剤がポリエチレングリコールビス安息香酸エステル(和光純薬工業株式会社製)であることを除いては、実施例1と全く同様である。
(実施例3)
樹脂部を形成する樹脂組成物が、ガラス繊維で強化されたポリアミド6(宇部興産株式会社製のUBEナイロン 1015GU6であり、30質量%のガラス繊維を含有している)と可塑剤であるN−ブチルベンゼンスルホンアミド(大八化学工業株式会社製)とを、質量比96:4で混合したものであることを除いては、実施例1と全く同様である。
(実施例4)
可塑剤がポリエチレングリコールビス安息香酸エステル(和光純薬工業株式会社製)であることを除いては、実施例3と全く同様である。
可塑剤がポリエチレングリコールビス安息香酸エステル(和光純薬工業株式会社製)であることを除いては、実施例1と全く同様である。
(実施例3)
樹脂部を形成する樹脂組成物が、ガラス繊維で強化されたポリアミド6(宇部興産株式会社製のUBEナイロン 1015GU6であり、30質量%のガラス繊維を含有している)と可塑剤であるN−ブチルベンゼンスルホンアミド(大八化学工業株式会社製)とを、質量比96:4で混合したものであることを除いては、実施例1と全く同様である。
(実施例4)
可塑剤がポリエチレングリコールビス安息香酸エステル(和光純薬工業株式会社製)であることを除いては、実施例3と全く同様である。
(比較例1)
樹脂部を形成する樹脂組成物に可塑剤が含有されていないことを除いては、実施例1と全く同様である。
(比較例2)
樹脂部を形成する樹脂組成物に可塑剤が含有されていないことを除いては、実施例3と全く同様である。
次に、これらのウォームホイール試験体について、寸法安定性と耐久性を評価した。各評価方法は以下の通りである。
樹脂部を形成する樹脂組成物に可塑剤が含有されていないことを除いては、実施例1と全く同様である。
(比較例2)
樹脂部を形成する樹脂組成物に可塑剤が含有されていないことを除いては、実施例3と全く同様である。
次に、これらのウォームホイール試験体について、寸法安定性と耐久性を評価した。各評価方法は以下の通りである。
(寸法安定性の評価方法について)
ウォームホイール試験体を下記の条件A又は条件Bの環境下に放置し、所定時間経過後にギヤ外形寸法の変化量を測定した。何れの条件においても、変化量が100μm以下であった場合は合格、100μm超過であった場合は不合格とした。評価結果を表1に示す。なお、表1においては、合格は○印、不合格は×印で示してある。
条件A:60℃, 90%RH, 70時間
条件B:80℃, 90%RH, 300時間
ウォームホイール試験体を下記の条件A又は条件Bの環境下に放置し、所定時間経過後にギヤ外形寸法の変化量を測定した。何れの条件においても、変化量が100μm以下であった場合は合格、100μm超過であった場合は不合格とした。評価結果を表1に示す。なお、表1においては、合格は○印、不合格は×印で示してある。
条件A:60℃, 90%RH, 70時間
条件B:80℃, 90%RH, 300時間
(耐久性の評価方法について)
ウォームホイール試験体を実際の電動パワーステアリング装置用減速ギヤに組み込み、ハンドルを左端位置から右端位置まで操舵した後に左端位置まで戻すという往復操舵操作を繰り返し行った。この往復操舵操作は、下記の条件1の環境下にて行い、下記の回数の操舵操作に耐えることができた場合は合格、耐えることができなかった場合は不合格とした。そして、合格であった場合には、次の条件の環境下における操舵操作を行い、不合格となるまで、先の条件の環境下における操舵操作に進むこととした。
ウォームホイール試験体を実際の電動パワーステアリング装置用減速ギヤに組み込み、ハンドルを左端位置から右端位置まで操舵した後に左端位置まで戻すという往復操舵操作を繰り返し行った。この往復操舵操作は、下記の条件1の環境下にて行い、下記の回数の操舵操作に耐えることができた場合は合格、耐えることができなかった場合は不合格とした。そして、合格であった場合には、次の条件の環境下における操舵操作を行い、不合格となるまで、先の条件の環境下における操舵操作に進むこととした。
なお、「操舵操作に耐えることができた場合」とは、前述の往復操舵操作を行った後にさらに操舵操作した際にガタや違和感を感じないことを意味し、「操舵操作に耐えることができなかった場合」とは、前述の往復操舵操作を行った後にさらに操舵操作した際にガタや違和感を感じることを意味する。
条件1:30℃, 50%RH, 10万回往復
条件2:30℃, 50%RH, 30万回往復
条件3:50℃, 90%RH, 10万回往復
条件4:50℃, 90%RH, 20万回往復
条件5:50℃, 90%RH, 30万回往復
評価結果を表1に併せて示す。なお、表1においては、合格は○印、不合格は×印で示してある。
表1から明らかなように、実施例1〜4のウォームホイール試験体は、比較例1,2のウォームホイール試験体に比べて、寸法安定性及び耐久性が優れていた。
条件1:30℃, 50%RH, 10万回往復
条件2:30℃, 50%RH, 30万回往復
条件3:50℃, 90%RH, 10万回往復
条件4:50℃, 90%RH, 20万回往復
条件5:50℃, 90%RH, 30万回往復
評価結果を表1に併せて示す。なお、表1においては、合格は○印、不合格は×印で示してある。
表1から明らかなように、実施例1〜4のウォームホイール試験体は、比較例1,2のウォームホイール試験体に比べて、寸法安定性及び耐久性が優れていた。
10 ウォームホイール
11 芯管
12 樹脂部
12a ギア歯
20 ウォーム
30 電動パワーステアリング装置用減速ギヤ
11 芯管
12 樹脂部
12a ギア歯
20 ウォーム
30 電動パワーステアリング装置用減速ギヤ
Claims (3)
- 操舵補助出力発生用電動モータの出力が伝達される第一歯車と、該第一歯車に噛み合い前記出力をステアリングシャフトに伝達する第二歯車と、で構成される電動パワーステアリング装置用減速ギヤにおいて、
前記第二歯車は、芯管と、該芯管の外周に一体的に設けられ外周面にギア歯が形成された樹脂部と、で構成され、前記樹脂部は、ポリアミド樹脂と可塑剤と繊維状充填剤とを含有する樹脂組成物からなることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギヤ。 - 前記ポリアミド樹脂は、ポリアミド6,ポリアミド66,及びポリアミド46のうち少なくとも1種であり、前記可塑剤は、芳香族スルホンアミド,ポリアルキレングリコール,及びポリアルキレングリコールの誘導体のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ。
- 前記樹脂組成物中の前記可塑剤の含有量は0.1質量%以上7質量%以下であり、前記樹脂組成物中の前記繊維状充填剤の含有量は5質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ。
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JP2003324700A JP2005088737A (ja) | 2003-09-17 | 2003-09-17 | 電動パワーステアリング装置用減速ギヤ |
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JP (1) | JP2005088737A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011157073A (ja) * | 2005-05-12 | 2011-08-18 | E I Du Pont De Nemours & Co | ポリアミド樹脂組成物 |
JP2017180577A (ja) * | 2016-03-29 | 2017-10-05 | 帝人株式会社 | 摺動部材 |
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2003
- 2003-09-17 JP JP2003324700A patent/JP2005088737A/ja active Pending
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