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JP2005050863A - 熱電モジュール - Google Patents

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JP2005050863A
JP2005050863A JP2003203195A JP2003203195A JP2005050863A JP 2005050863 A JP2005050863 A JP 2005050863A JP 2003203195 A JP2003203195 A JP 2003203195A JP 2003203195 A JP2003203195 A JP 2003203195A JP 2005050863 A JP2005050863 A JP 2005050863A
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Masaki Terasono
正喜 寺園
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Abstract

【課題】熱電素子の側面に触れた半田は、熱電素子と反応し、熱電素子の側面にはクラックが発生し、冷却特性の劣化や耐久性が低下する
【解決手段】支持基板の表面に設けられた配線導体の上に、複数の熱電素子を配列し、該複数の熱電素子と前記配線導体とが半田を介して接合されてなる熱電モジュールであって、前記熱電素子の端面及び側面に半田成分の拡散を抑制する拡散抑制層を設ける。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体等の発熱体の冷却等に使用され、熱電特性に優れる熱電モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ペルチェ効果を利用した熱電モジュールは、電流を流すことにより一端が発熱するとともに他端が吸熱するため、冷却用の熱電素子として用いられている。この熱電モジュールは、構造が簡単で、取り扱いが容易であるのみでなく、安定な特性を維持することができるため、広範囲にわたる利用が注目されている。
【0003】
特に、熱電モジュールを用いると局所冷却ができ、室温付近の精密な温度制御が可能であるため、レーザーダイオードの温度制御、小型で構造が簡単でありフロレンスの冷却装置、冷蔵庫、恒温槽、光検出素子、半導体製造装置等の電子冷却素子への幅広い利用が期待されている。特に、小型で局所冷却ができ、室温付近の精密な温度制御が可能なため、半導体レーザーや光集積回路等に代表される一定温度に精密制御される恒温装置や小型冷蔵庫への応用が積極的に進められている。
【0004】
室温付近で冷却用熱電モジュールに用いられる熱電材料としては、冷却特性が優れるという観点からBiTe(テルル化ビスマス)の材料が一般的に用いられている。尚、熱電素子は、P型及びN型を対にして用いる必要があり、N型には、BiTeとBiSe(セレン化ビスマス)との固溶体が、P型にはBiTeとSbTe(テルル化アンチモン)との固溶体が優れた性能を示すことが知られ、このA型(AはBi又はSbの1種又は2種、BはTe又はSeの1種又は2種)結晶が冷却用熱電モジュールの熱電材料として広く用いられている(特許文献1参照)。
【0005】
上記の材料で構成された熱電素子は、支持基板の表面に設けられた配線導体の上に、半田接合によって接合される。その接合方法としては、配線導体上に半田ペーストを塗布し、該半田ペーストを溶融(リフロー)させて接合する方法が示されている(特許文献2参照)。
【0006】
しかし、図3に示すように半田接合をする場合に、半田6が熱電素子5と反応することがあり、上述のA型結晶はSn−Sbの半田6と反応し、熱電素子5の特性劣化を招くため、半田接合をする際に熱電素子5と半田6が接触しないように、接合に関与する熱電素子5の端面9に半田6の拡散を制御する拡散抑制層7を設けることが提案されている(特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−232025号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2002−232022号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2001−196646号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3に記載の反応防止層を形成する方法では、熱電素子5の端面9には、拡散抑制層7があり、半田6と熱電素子5の端面9との反応は防止できるものの、半田付けに使用する半田6は、熱電素子5の端面9だけにとどまらず、熱電素子5の側面11に触れてしまう。熱電素子5の側面11に触れた半田6は、熱電素子5と反応し、熱電素子5の側面11にはクラックが発生し、冷却特性の劣化や耐久性の低下招くという問題があった。
【0011】
尚、特許文献1、2は、一般的な熱電モジュールの材料及び熱電素子の接合方法の一例として、参考程度に示した。
【0012】
従って、本発明の目的は、熱電モジュールとしての抵抗変化率が小さく、耐久性に優れた熱電モジュールを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記に問題点に鑑みて本発明は、支持基板の表面に設けられた配線導体の上に、複数の熱電素子を配列し、該複数の熱電素子と前記配線導体とが半田を介して接合されてなる熱電モジュールであって、前記熱電素子の端面及び側面に半田成分の拡散を抑制する拡散抑制層を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
また、上記熱電素子の側面にある拡散抑制層の長さLが熱電素子の端面から2μm以上、熱電素子の長さの40%以下であることを特徴とするものである。
【0015】
また、上記拡散抑制層の厚みDが0.5〜50μmであることを特徴とするものである。
【0016】
また、上記熱電素子のエッジ部をC面又はR面に加工したことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を詳述する。
【0018】
本発明品の熱電モジュール10は、図1に示したように、支持基板1、2の主面にそれぞれ配線導体3、4が設けられ、複数の熱電素子5が配線導体3、4によって挟持され、かつ複数の熱電素子5は、N型熱電素子5aとP型熱電素子5bが交互に配列され、PNPNPNの順に電気的に直列に接続されるように設けられ、直流電圧を印加することによって、その電流の向きに応じて吸熱あるいは発熱を生じせしめることができる。
【0019】
図1における一対の熱電素子5は、支持基板1、2に配線導体3、4を介して固定される。
【0020】
即ち、図2に示すように、配線導体3、4と熱電素子5a、5bは、配線導体3、4の表面に、半田6、メッキ層7を介して接合される。
【0021】
本発明によれば、P型及びN型の熱電素子5の端面9の全面と側面11の端面9側の一部に半田成分の拡散を抑制する拡散抑制層7を設けることが重要である。
【0022】
即ち、図2に示すように熱電素子5の端面9とその端面11側から熱電素子5の側面11にかけて、拡散抑制層7を形成する。このように熱電素子5の側面11にも拡散抑制層7を設けることによって、半田6が、熱電素子5と直接反応することがなくなり、半田6と接触する部分からのクラック発生が防止できるため、抵抗変化が小さくなり耐久性を向上することができる。
【0023】
拡散抑制層7の熱電素子5の側面11での作製位置は、熱電素子5の端面9から2μm以上、熱電素子5の長さの40%以下が良い。このように熱電素子5の側面11での拡散抑制層7の位置を決めることで配線導体3、4間での短絡を生じることがなく、また、半田6が確実に拡散抑制層7上に存在するために、熱電モジュール10としての抵抗変化が小さく、耐久性が向上し、性能の劣化を小さくできる。また、配線導体3、4間の短絡を考えれば、拡散抑制層7の熱電素子5の側面11での作製位置は、熱電素子5の端面9から2μm以上、熱電素子5の長さの20%以下がより好ましい。
【0024】
2μm以下だと拡散抑制層7のないところに半田6が回り込み、また、熱電素子5の長さの40%以上だとショ−トが発生しやすくなる。
【0025】
また、拡散抑制層7の厚みDは、0.5〜50μm、特に2〜40μmが良い。
【0026】
0.5μm以下だと半田6がメッキを浸透して拡散するため抵抗変化率が大きくなり、50μm以上だとメッキが厚くなって応力が増大しメッキが剥離しやすくなる。
【0027】
このように拡散抑制層7の厚みDを設定することにより、半田6の拡散を防ぎやすく、半田6と熱電素子5との反応を抑制できるため、熱電モジュール10としての抵抗変化率が小さく、耐久性を向上できる。
【0028】
また、熱電素子5のエッジ部8はC面又はR面に加工されていることが好ましい。C面又はR面の加工量は、0.01mm以上であることがより好ましい。
【0029】
このように、エッジ部8を加工することにより、拡散抑制層7が、エッジ部8に形成されやすくなると共に、形成された拡散抑制層7が取れにくくなるために、半田6との反応によるクラックの発生が生じにくくなり、熱電モジュール10としての抵抗変化率が小さく、耐久性が向上し、性能の劣化を小さくすることができる。
【0030】
また、拡散抑制層7としては、半田6との反応を考慮してNiを好適に用いることが好ましい。またNiは、単独でも良いし、ニッケル−リン系、ニッケル−ボロン系のように混合物でも構わない。またNiは、無電解メッキ、電解メッキ等のメッキの他、蒸着や印刷等どのような方法を用いても良い。
【0031】
熱電素子5は、A型金属間化合物及びその固溶体である材料を用いることができる。ここで、AがBi及び/又はSb、BがTe及び/又はSeからなる半導体結晶であって、特に組成比B/Aが1.4〜1.6であることが、室温における熱電特性を高める上で好ましい。BiTe、SbTe、BiSe等のカルコゲナイト型結晶を使用した熱電素子5は、室温付近の熱電特性に優れ、情報通信関連の冷却用熱電モジュールとして好適に使用することができる。
【0032】
なお、N型熱電素子5a及びP型熱電素子5bは、溶製材料であっても焼結体であっても良いが、N型熱電素子5aが溶製材料、特に単結晶からなり、P型熱電素子5bが焼結体、特に平均結晶粒径が5μm以下の焼結体からなることが、特性及びコストの点で好ましい。また、特性の面からはN型熱電素子5a、とP型熱電素子5b共に溶製材料、特に単結晶からなることが好ましい。
【0033】
また、N型熱電素子5aは、I及び/又はBrを含むことが好ましい。即ち、半導体を形成するため、ハロゲン元素の添加によって電子濃度の調整がなされ、キャリア濃度の制御されたN型熱電素子5aとして優れた特性を示すことができる。
【0034】
半田6として用いる材料は、特に制限されるものではないが、比較的使用温度を容易に設定でき、使いやすいSn成分を含むことが好ましい。
【0035】
具体的には、Sn−Sb半田及びAu−Sn半田を例示でき、使い易さ、低コスト及び低温処理の点ではSn−Sb半田が、耐熱性の点ではAu−Sn半田が好ましい。なお、接合のための温度は、Sn−Pb半田の場合240℃以上、Au−Sn半田の場合280℃以上であれば良い。
【0036】
支持基板1、2には、耐振動及び耐衝撃性に優れ、配線導体3、4の密着強度が大きく、また、冷却面と放熱面としての熱抵抗が小さいものが好ましい。具体的には、アルミナ、ムライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素を例示できる。
【0037】
特にコストの点からアルミナを、熱伝導率が高く、熱抵抗が小さい点で窒化アルミニウムを、強度及び熱伝導率の点で炭化ケイ素を、耐衝撃性や強度の点で窒化ケイ素を好適に使用できる。
【0038】
特に、支持基板1、2の強度は、200MPa以上、特に250MPa以上、更には300MPa以上にすることが好ましく、これにより、配線導体3、4の形成や半田層6の形成に伴う応力集中に対しても基板の破損を防止する効果を高め、より高い信頼性を得ることができる。
【0039】
配線導体3、4は、Cu、Al、Au、Pt、Ni及びWの少なくとも1種の金属を用いることが可能である。これらのうち、特にCuが電気導電性、コスト、および支持基板1、2への密着強度の点で好ましい。
【0040】
以上のように構成された本発明の熱電モジュール10は、特に優れた耐久性を示すため、半導体レーザー及び光集積回路などの恒温装置や小型冷蔵庫として好適に使用することができる。
【0041】
次に本発明品の製造方法について、Au−Sn半田を用いた場合を取り上げて説明する。
【0042】
まず、アルミナ、ムライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素又は炭化ケイ素からなる絶縁性を有するセラミックスか高熱伝導性の絶縁性有機材料等の支持基板1、2を準備し、この支持基板1、2の主面にCu、Ni、W等の導電性の材料で配線導体3、4を形成する。更にその上に、所望により、NiメッキAuメッキ等を準じ施しても良い。
【0043】
また、熱電素子5には、A型金属間化合物及びその固溶体である材料を用いることができる。ここで、AがBi及び/又はSb、BがTe及び/又はSeからなる半導体結晶であって、特に組成比B/Aが1.4〜1.6であることが、質温における熱電特性を高める上で好ましい。
【0044】
型金属間化合物としては、公知であるBiTe、SbTe、BiSeの少なくとも1種であることが好ましく、固溶体としてBiTeとBiSeの固溶体であるBiTe3−XSe(X=0.05〜0.25)、又はBiTeとSbTeの固溶体であるBiSb2−XTe(X=0.1〜0.6)等を例示できる。
【0045】
N型熱電素子5aには、金属間化合物を効率良く半導体化するために、ドーパントとしてSbIのように、I、Cl及びBr等のハロゲン元素を含むことが好ましい。このハロゲン元素は、半導体化の点で、上記金属間化合物原料100重量部に対して0.01〜5重量部、特に0.01〜0.1重量部の割合で含まれることが好ましい。
【0046】
P型熱電素子5bには、キャリア濃度調整のためにTeを含むことが好ましい。
これにより、N型熱電素子5aと同様に、熱電特性を高めることができる。
【0047】
次に長尺体の熱電素子を用意して、メッキを施したくない部位に耐メッキ性を有する樹脂、即ちメッキレジストを被覆する。メッキレジストの厚みとしては、数μm有れば効果を発揮できるが、後の切断加工時における剥離防止効果を高め、レジストとしての付着信頼性を向上する点で、特に20μm以上、更には50μm以上で有ることが好ましい。
【0048】
尚、メッキレジストとしては熱電素子5に一般的に施される無電解ニッケル及び金メッキ(又は金蒸着)処理に耐性のある材質であれば使用することができる。
【0049】
しかし、後工程においてメッキ工程を用いる場合、前処理として酸処理を行うため、耐酸性のある有機物であることが好ましい。特に、メッキレジストとしては、耐メッキ性があり、かつメッキ後にアルカリ溶液によって容易に除去できる点で、アクリル系の樹脂を用いることがより好ましい。
【0050】
メッキレジストの被覆方法としては、印刷や真空中での蒸着で行う方法も採用できるが、有機溶剤で希釈した溶液に漬けた後、乾燥させる工程を数回行う塗布方法が厚みを確保し、量産性を高め、コストを抑制するので好ましい。
【0051】
メッキレジストの表面に、所望によりメッキ剥離性の高い材料を塗布することができる。これによってメッキレジストを更に容易に除去することが可能となる。
【0052】
次いで、メッキレジストを被覆した長尺体の熱電素子を複数並べ、刃の厚みの薄いワイヤーソーあるいはダイシングソーを高速で回転させて長手方向と略垂直な方向にする。このように長尺体の熱電素子を切断することによって、熱電素子5の形状の寸法精度を高めることができ、熱電モジュール10に用いた際の冷却性能、特に抵抗特性のバラツキを小さくすることができる。
【0053】
次いで、アルカリ溶液などのメッキレジスト除去材を用いて熱電素子5の側面11に付けたメッキレジストを所望に応じて除去する。
【0054】
次いで、切断して得られた熱電素子5に拡散抑制層7としてメッキ処理を行う。
【0055】
メッキは熱電素子5と熱電モジュール10の配線導体3、4として用いる銅や接合に用いる半田6の反応を防止し、同時に半田6の濡れ性を高め接合を容易にする観点からニッケルメッキを施し、その上に更に金メッキを施すのが好ましい。
【0056】
そして、すべての面にメッキ層を形成した後、アルカリ溶液などメッキレジスト除去材によってメッキレジストを、その上に形成されたメッキ層と共に除去することで、上記熱電素子5の端面9と側面11の一部にのみメッキ層が施された熱電素子5を作製することができる。
【0057】
このようにして得られた熱電素子5は、熱電モジュール10として好適に用いられる。この熱電モジュール10は、図1に示すように支持基板1、2の表面にそれぞれ配線導体3、4が形成され、更にゼーベック係数がマイナスであるN型熱電素子とゼーベック係数がプラスであるP型熱電素子を交互に電気的に直列接続するように接合して複数のN型熱電素子5a、P型熱電素子5bからなる熱電素子5が挟持されるように形成し、半田接合する。そして、これらの熱電素子5は、電気的に直列になるように配線導体3、4で接続し、更に外部接続端子(図示なし)に接続されている。この外部接続端子は、半田6によって外部配線から接続され、外部から電力が供給される構造となっている。
【0058】
このようにして、熱電素子5の端面9と側面11の一部に半田6の拡散抑制層7を設けた熱電モジュール10を作製することによって、従来の熱電モジュール10と比較して、耐久性に優れる熱電モジュール10を製造することができる。その結果、本発明品による熱電モジュール10は、家庭用冷蔵庫、クーラー等への応用が期待される。
【0059】
【実施例】
支持基板1、2として、長さ8mm、幅8mm、厚み0.3mmのアルミナ焼結体を用意した。また、配線導体3、4として銅を支持基板1の表面に形成した。
【0060】
配線導体3、4の表面に拡散抑制層7としてNi及び金を表1に示す値でメッキした。
【0061】
熱電素子5を作製するため、出発原料には、平均粒径35μm、純度99.99%以上のBiTeとSbTe、及びBiSeを準備した。これらの化合物からN型熱電素子5aとしてBiTe2.85Se0.15、P型熱電素子5bとしてBi0.4Sb1.6Teとなるように秤量し、混合粉とした。尚、N型熱電素子5aにはドーパントとして熱電素子組成100質量部に対してSbIを0.09質量部添加した。
【0062】
これらの原料粉末を、粒径が35〜72μmになるように粉砕し、分級後に焼成して相対密度が98.2%のインゴット状の熱電素子5を得た。これを切断し、縦0.6mm、横0.6mm、長さ100mmの形状に加工した。また、熱電素子5のエッジ部を0.05mmのC面、R面加工を施した。
【0063】
このようにして加工されたそれぞれの熱電素子5の端面9と側面11の一部に拡散抑制層7を設けるために、熱電素子5の側面11を市販のメッキレジスト(アクリル系樹脂)でコーティングした。次に、ダイシングソーで長さ0.8mmに切断して熱電素子5を作製した。
【0064】
得られた熱電素子5をアルカリ溶液を用い、熱電素子5の側面11のメッキレジストを表1の「素子側面の拡散抑制層の長さ」に示すように除去した。
【0065】
得られた熱電素子5に拡散抑制層7として無電解メッキを施し、厚みが0.5〜50μmとなるようにNiメッキ層を形成した後、厚さ5μmのAuメッキを施し、その後アルカリ溶液中に入れ、超音波洗浄によって熱電素子5の側面11のメッキレジスト上に付着したメッキ層を除去し、熱電素子5の側面11及び端面9に拡散抑制層7としてメッキ層を形成し、熱電素子5を作製した。また、熱電素子5の側面11に拡散抑制層7の無い物も比較例としてに用意した。拡散抑制層7の長さLは、レーザー走査方式の顕微鏡「(株)キーエンス製VK−8550」によって測定した。
【0066】
上記の23対の熱電素子5と一対の支持基板1、2を用いて、Au80−Sn20による半田接合を行って、図1のような熱電モジュール10を作製した。
【0067】
尚、半田接合は、窒素ガス雰囲気中でヒータ加熱式の外熱加熱式炉を用いた。
【0068】
このようにして得られた熱電変換モジュール10を170℃の高温雰囲気中に放置し、200hr後の抵抗変化率(ΔR)を交流4端子法により測定し、ΔRが5%を超えるものは×、2〜5%を○、2%以下を◎として判定した。本発明品は、抵抗変化率(ΔR)が5%以下を示した。
【0069】
結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
Figure 2005050863
【0071】
表1から明らかなように、本発明の範囲内の実施例である試料No.2〜22は、170℃の高温雰囲気中に放置し、200hr後の抵抗変化率が5%以下と小さく耐久性に優れていることがわかった。
【0072】
特に、拡散抑制層7の長さLを熱電素子5の端面9から2μm以上、熱電素子5の長さの40%以下とし、拡散抑制層7の厚みDを0.5〜50μm、熱電素子5のエッジ部8に0.05mmのC面又はR面加工を施した実施例である試料No.3〜10、13〜21は、170℃の高温雰囲気中に放置し、200hr後の抵抗変化率が2%以下と小さく、更に耐久性に優れていることがわかった。
【0073】
一方、本発明の範囲外である熱電素子5の側面11に拡散抑制層7のない比較例である試料No.1は、170℃の高温雰囲気中に放置し、200hr後の抵抗変化率が10%と大きく、本発明品に比べて耐久性が悪かった。
【0074】
【発明の効果】
本発明の熱電モジュールは、支持基板の表面に設けられた配線導体の上に、複数の熱電素子を配列し、該複数の熱電素子と前記配線導体とが半田を介して接合されてなる熱電モジュールであって、前記熱電素子の端面及び側面に半田成分の拡散を抑制する拡散抑制層を設けたことにより、抵抗変化率が小さく、耐久性に優れた熱電モジュールを提供することが可能となった。
【0075】
特に拡散抑制層が半田接合面から2μm以上、熱電素子長の40%以下であること、拡散抑制層の厚みが0.5〜50μmであること、熱電素子のエッジ部をC面又はR面に加工することによって、更に抵抗変化率が小さく、耐久性に優れた熱電モジュールを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱電モジュールの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の熱電モジュールの一実施形態を示す拡大断面図である。
【図3】従来の熱電モジュールを示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1、2・・・支持基板
3、4・・・配線導体
5・・・熱電素子
5a・・・N型熱電素子
5b・・・P型熱電素子
6・・・半田
7・・・拡散抑制層
8・・・エッジ部
9・・・端面
10・・・熱電モジュール
11・・・側面

Claims (4)

  1. 支持基板の表面に設けられた配線導体の上に、複数の熱電素子を配列し、該複数の熱電素子と前記配線導体とが半田を介して接合されてなる熱電モジュールであって、前記熱電素子の端面及び側面に半田成分の拡散を抑制する拡散抑制層を設けたことを特徴とする熱電モジュール。
  2. 上記熱電素子の側面にある拡散抑制層の長さLが熱電素子の端面から2μm以上、熱電素子の長さの40%以下であることを特徴とする請求項1記載の熱電モジュール。
  3. 上記拡散抑制層の厚みDが0.5〜50μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の熱電モジュール。
  4. 上記熱電素子のエッジ部をC面又はR面に加工したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱電モジュール。
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Cited By (4)

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