JP2005041891A - 熱収縮性粘着フィルム及び該フィルムに被覆された柔軟性容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的低温領域での熱収縮性および容器類への追従性(スクイズ性)を改善し、容器類を変形させてもラベルのシワや剥がれが発生しない柔軟性容器類に好適に使用される熱収縮性粘着フィルムを提供する。
【解決手段】熱収縮性基材フィルム3の一方の面に粘着剤層4を有する熱収縮性粘着フィルムであって、該粘着フィルムの主収縮方向の熱収縮率が40%以上であり、該主収縮方向及び該主収縮方向に直交する方向の加熱処理後の引張弾性率が0.4〜1.0GPaであり、且つ該粘着フィルムの粘着力が3.0N/25mm以上であることを特徴とする熱収縮性粘着フィルムを用いる。
【選択図】図1
【解決手段】熱収縮性基材フィルム3の一方の面に粘着剤層4を有する熱収縮性粘着フィルムであって、該粘着フィルムの主収縮方向の熱収縮率が40%以上であり、該主収縮方向及び該主収縮方向に直交する方向の加熱処理後の引張弾性率が0.4〜1.0GPaであり、且つ該粘着フィルムの粘着力が3.0N/25mm以上であることを特徴とする熱収縮性粘着フィルムを用いる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエチレンやポリプロピレン等の柔軟性容器類に密着被覆させる熱収縮性粘着フィルムに関する。さらに詳しくは、本発明の熱収縮性粘着フィルムにより密着被覆された柔軟性容器類を繰り返し変形した場合の追従性(スクイズ性)に優れる熱収縮性粘着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス瓶、ペットボトル、金属缶等の容器類に貼付するラベルとして、熱収縮性基材フィルム上に感圧型粘着剤層を設け、感圧型粘着剤と前記フィルムの熱収縮性により容器類の形状に沿って密着被覆される熱収縮性粘着フィルムが開発されている(例えば、特許文献1、及び特許文献2参照)。
【0003】
点眼薬や点鼻薬のような医薬品に代表される、容器類を変形させることで内容物を押し出す方法に使用される容器類の材質は、ポリエチレンやポリプロピレン等の柔軟性を有した熱可塑性プラスチックである。これらの柔軟性容器類は、比較的低温(100℃付近)で熱変形してしまう容器類である。したがって、熱収縮性粘着フィルム裏面の感圧型粘着剤によって柔軟性容器類の表面に固着し、その後、熱収縮により容器表面を密着被覆するための熱収縮性粘着フィルムにおいては、容器類が熱変形を起こさない程度の比較的低温領域(90℃以下)において熱収縮する性能が必要である。また、上記用途においては、熱収縮性粘着フィルムが密着被覆した容器類に対して、内容物を押し出すための変形動作が繰り返し行われる。この場合、熱収縮性粘着フィルムは容器類の変形に柔軟に追従して、シワや浮き剥がれ等を発生させない特性を有する必要がある(スクイズ性という)。しかし、前記特許文献1及び特許文献2においては、上記の低温収縮性とスクイズ性を同時に満たすための技術が十分に開示されておらず、柔軟性容器に使用するための熱収縮性粘着フィルムとしては特性が不十分であった。
【0004】
【特許文献1】
実案2563899号公報
【特許文献2】
特開2003−49131号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の熱収縮性粘着フィルムの問題点であった比較的低温領域での熱収縮性および容器類への追従性(スクイズ性)を改善し、容器類を変形させてもラベルのシワや剥がれが発生しない、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の柔軟性容器類に好適に使用される熱収縮性粘着フィルムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、以下の粘着フィルムを用いることによって課題を解決するに至った。すなわち、本発明は、熱収縮性基材フィルムの一方の面に粘着剤層を有する熱収縮性粘着フィルムであって、該粘着フィルムの主収縮方向の熱収縮率が40%以上であり、該主収縮方向及び該主収縮方向に直交する方向の加熱処理後の引張弾性率が0.4〜1.0GPaであり、且つ該粘着フィルムの粘着力が3.0N/25mm以上であることを特徴とする熱収縮性粘着フィルムを提供するものである。
【0007】
また、本発明は、上記熱収縮性粘着フィルムにより密着被覆されていることを特徴とする柔軟性容器を提供するものである。
【0008】
本発明の熱収縮性粘着フィルムは低温での良好な熱収縮率を有するため、100℃付近で熱変形が生じやすい柔軟性容器であっても、熱変形を生じさせずに密着被覆させることができ、更に、上記範囲の引張弾性率及び粘着力を有するため、容器を繰り返し変形させても本発明の熱収縮性粘着フィルムは、シワが生じたり、容器表面から浮き剥がれが生じたりせず良好なスクイズ性を示す。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の熱収縮性粘着フィルムについて、具体的に説明する。本発明の熱収縮性粘着フィルム(以下、本発明の粘着フィルムという)の基本的な構造を図1に示す。図1の粘着フィルムは、熱収縮性基材フィルム3の片面に粘着剤層4を有する構造となっている。本発明の粘着フィルムのより好ましい実施形態は、粘着剤層4を設けた面と反対側の熱収縮性基材フィルム3の表面にコロナ処理層2を形成し、更にその上部に印刷インキに対する密着性を向上させるためのアンカーコート層1を設けた構造である。更に、本発明の粘着フィルムには、剥離ライナー5を設けることができる。
【0010】
本発明の熱収縮性粘着フィルムは、90℃の温水中に10秒間浸した後の主収縮方向の熱収縮率が40%以上である。ここで、主収縮方向とは、90℃の温水中に10秒間浸した後の収縮率が最も大きい収縮の方向である。熱収縮性粘着フィルムを自動貼り機(オートラベラー)で容器類へ貼付し、加熱して容器類へ密着被覆する場合、通常は、フィルム製造時の流れ方向(MD方向)に熱収縮する性能が必要とされる。したがって、本発明の粘着フィルムに使用する熱収縮性基材フィルムの主収縮方向は流れ方向にすることが好ましい。本発明の熱収縮性粘着フィルムの熱収縮率は、45%以上であることが好ましく、50%以上であることが特に好ましい。また、熱収縮率の上限は90%であることが好ましい。
【0011】
なお、本発明の粘着フィルムを90℃の温水中に10秒間浸した後の主収縮方向に直交する方向の熱収縮率は±5%以下であることが好ましく、±3%未満とすることがより好ましい。ここで、主収縮方向に直交する方向とは、例えば、主収縮方向が流れ方向(MD方向)である場合、直交する方向は熱収縮性基材フィルムの幅方向(TD方向)である。主収縮方向が熱収縮性基材フィルムの幅方向(TD方向)である場合、直交する方向は流れ方向(MD方向)である。
【0012】
容器類に貼付された本発明の粘着フィルムは専用の乾燥炉中で加熱し、熱収縮させることにより容器類に密着被覆させる。しかし、この乾燥炉での収縮工程以前で収縮してしまうケース、つまり、製造工程中や製品の保管時において不用意に熱を加えられてしまうトラブルが危惧される。従って、本発明の粘着フィルムには、容器類への密着被覆工程以前(50℃以下の温度領域)における熱安定性も要求される。そのため、本発明の粘着フィルムは、50℃の温水中に10秒間浸した後の主収縮方向の熱収縮率が5%以下であることが好ましい。3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
【0013】
本発明の粘着フィルムの加熱処理後の引張弾性率は0.4〜1.0GPaである。加熱処理後の引張弾性率とは、本発明の粘着フィルムを柔軟性容器に貼着し、加熱処理を行った後の引張弾性率である。引張弾性率は0.5〜0.9GPaであることが好ましく、0.6〜0.8GPaであることがより好ましい。
【0014】
柔軟性容器に貼着した後の加熱処理は公知の方法を用いて行うことができる。
例えば、80〜120℃の熱風を本発明の粘着フィルムを貼着した柔軟性容器に吹き付ける方法を用いることができる。なお、その際の収縮率は特に限定されるものではなく、例えば、0〜90%の範囲で有ればいずれの値であっても良い。また、前記の引張弾性率の値は、収縮方向に依存するものではなく、主収縮方向又は主収縮方向に直交する方向、あるいは任意の方向において0.4〜1.0GPaである。
【0015】
本発明の粘着フィルムの粘着力は、引張速度5〜300mm/minにおけるポリエチレン板に対する90°ピール粘着力であり、3.0N/25mm以上である。本発明の粘着フィルムの粘着力は、4.0N/25mm以上であることが好ましく、5.0N/25mm以上であることがより好ましい。粘着力の上限は15.0N/25mmであることが好ましい。引張弾性率、及び粘着力がこの範囲であると、容器を繰り返し変形させても本発明の粘着フィルムは、シワが生じたり、容器表面から浮き剥がれが生じたりせず、良好なスクイズ性を示す。
【0016】
本発明の粘着フィルムに使用する熱収縮性基材フィルムの材料としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート・アジペート樹脂、ポリブチレンサクシネート・カーボネート樹脂、可塑剤を適量添加したポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。好ましくは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート・アジペート樹脂、ポリブチレンサクシネート・カーボネート樹脂であり、より好ましくは、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート・アジペート樹脂、ポリブチレンサクシネート・カーボネート樹脂である。融点が90℃から110℃の範囲である前述の樹脂、または融点が90℃から110℃の範囲になるように調整配合された樹脂組成物が最も好ましい。調整配合に使用する熱可塑性樹脂は特に限定されず、例えば高密度ポリエチレン樹脂等を適量配合しても良い。市販ないし試作に供されているポリエチレンサクシネート系樹脂の例として日本触媒社製「ルナーレSE」が、ポリブチレンサクシネート系樹脂の例として昭和高分子社製「ビオノーレ」、三菱ガス化学社製「ユーペック」等が挙げられる。
【0017】
熱収縮性基材フィルムは公知の方法により生産される。例えば、熱可塑性樹脂を溶融し、Tダイ、サーキュラーダイ等で連続的に押し出してから一旦急冷して延伸前の元フィルムを製造する。この元フィルムを再加熱し、ロール式延伸法、テンター延伸法等で連続的に延伸する。この際の延伸倍率は3〜10倍、より好ましくは4〜6倍である。
【0018】
熱収縮性基材フィルムの厚さは45〜95μmが好ましい。より好ましくは、50〜80μmであり、55〜70μmがさらに好ましい。厚さがこの範囲未満では、本発明の粘着フィルムの剛度が不足するため容器類の所定位置に貼付できなくなる。反対に厚さがこの範囲を超えると、粘着フィルムの柔軟性が不足するため貼付後経時により端部が容器類から浮く、あるいは、容器類を変形させた場合の追従性が悪化し、シワや剥がれ等が発生してしまう。
【0019】
低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を成分とする熱収縮性基材フィルムは、未処理のフィルム単体では印刷インキが密着しにくい。従って、フィルム表面にコロナ処理を施すか、さらにそのコロナ処理の上へアンカーコート層を形成させることが好ましい。
【0020】
このような条件を満たすアンカーコート層は、インキ受理性樹脂および分散媒からなるコート剤を熱収縮性基材フィルムの片面に塗工し、乾燥することによって形成される。アンカーコート層を片面に形成した熱収縮性基材フィルムをロール状に巻いた場合に、コート剤と未塗工のフィルム表面が不必要に密着するのを防止する目的でブロッキング防止剤を添加する場合もある。また、コート剤には性能を阻害しない範囲で、必要に応じて帯電防止剤、紫外線吸収剤等を添加しても良い。インキ受理性樹脂としては、公知のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース等を使用することができる。分散媒には熱収縮性基材フィルムを溶解しないものを選択する。基本的にはイソプロピルアルコールやエタノール等のアルコールを主体とするものである。ブロッキング防止剤には、公知の合成シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機系添加剤、ポリエチレンワックス樹脂等の有機系添加剤を使用することができる。コート剤の配合は、インキ受理性樹脂20〜30質量部、分散媒は60〜70質量部、ブロッキング防止剤1〜5質量部が好ましい。コート剤の塗工量は0.5〜3.0g/m2が好ましく、より好ましくは1.0〜2.0g/m2である。
【0021】
コート剤の熱収縮性基材フィルムへの塗工方法は公知の方法で行われる。例えば、ナイフコーター、グラビアコーター、ロールコーター等を使用して塗工することができる。好ましくは、グラビアコーターである。
【0022】
本発明の粘着フィルムにおける粘着剤層4を構成する粘着剤には、ポリエチレンに対する90°ピール粘着力が、引張速度5〜300mm/minにおいて3.0N/25mm以上である粘着剤が使用される。粘着剤の樹脂組成については特に限定されず公知の粘着剤が使用でき、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。また、粘着剤の形態としては溶剤系、水系エマルジョン等が挙げられる。
【0023】
粘着剤の凝集力を上げるために、粘着剤に架橋剤を添加しても良い。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤等が挙げられる。また、粘着剤には性能を阻害しない範囲で、必要に応じて各種添加剤を添加しても良い。例えば、粘着付与樹脂、充填剤、顔料、老化防止剤、紫外線吸収剤、増粘剤等が挙げられる。好ましくは、耐久性に優れ粘着力を制御しやすいアクリル系粘着剤である。
【0024】
粘着剤の塗工量は、乾燥重量で10〜30g/m2の範囲が好ましい。10g/m2未満では十分な粘着力が得られず、30g/m2を超えるとラベル加工時に粘着剤のはみ出しが発生する要因となる。
【0025】
本発明の粘着フィルムの製造は転写法等の公知の方法で行われる。粘着剤の塗工装置には公知の装置が使用でき、例えば、ナイフコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ロールコーター等が挙げられる。塗工装置にて、固形分20〜60質量%に調整された粘着剤を剥離ライナーに塗工する。剥離ライナーには公知のものが使用でき、例えば、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙、クレーコート紙、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等にシリコーン化合物の剥離層を形成したものが好適に使用できる。剥離ライナーに塗工され熱風乾燥された粘着剤を、熱収縮性基材フィルムと貼り合わせて巻き取ることにより、粘着剤が熱収縮性基材フィルムに転写される。一方、熱収縮性基材フィルムに直接粘着剤を塗工する方法は、乾燥炉中で熱収縮性基材フィルムの収縮が起こるため、本用途の粘着フィルム製造には適さない。
【0026】
低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を成分とする熱収縮性基材フィルムは、未処理のフィルム単体では粘着剤が密着しにくく十分な投錨力で転写しない。熱収縮性基材フィルムへの粘着剤の投錨性が不足するとラベル加工時や貼付時に問題が発生する場合がある。従って、前記のインキ密着性を向上させるための手段と同様に、フィルム表面にコロナ処理を施すか、さらにそのコロナ処理の上へアンカーコート層を形成させることが好ましい。但し、フィルムの両面に処理を施した場合は、一旦巻き取ったフィルムのロールを再度巻き出して使用する際に、フィルムの表裏が密着してしまう不具合、いわゆるブロッキングが発生する可能性がある。フィルムの両面に処理を施す場合には、ブロッキングを起こさない処理を選択する、もしくは片面処理のフィルムを供用し、粘着剤の転写直前に残りの片面の処理を行いながら粘着フィルムを製造する等の方法をとることが必要である。
【0027】
かくして、本発明の熱収縮性粘着フィルムが得られるわけであるが、かかる熱収縮性粘着フィルムは、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が熱変形しにくい比較的低温領域において十分な熱収縮性を有することにより、これらの素材からなる柔軟性容器類への密着被覆性に優れ、作製された粘着フィルムを貼付した容器類を変形させた場合にも粘着フィルムのシワや剥がれの発生が少ない。
【0028】
本発明の粘着フィルムは、例えば、以下の工程により表面に印刷が施され、容器類に貼付されるラベルとなる。熱収縮性基材フィルム、粘着剤、剥離ライナーを積層した本発明の粘着フィルムのロール品(幅100〜400mm、長さ100〜800mの巻物が慣習的な使用サイズ)に対して、印刷機により熱収縮性基材フィルムの表面にインキを展色する。次にインキ展色層から熱収縮性基材フィルムを経て粘着剤までの積層部分をゼンマイ刃等で打ち抜いた後に不要部分を除去する。かくして、必要部分(ラベル)が剥離ライナーの長手方向に並んだロール品が生産され、これが貼付用のラベルとして使用される。
【0029】
また、ラベルの粘着剤面の一部を非粘着性とするいわゆる糊殺しと称する方法を施す場合もある。これはあらかじめ形成された粘着剤面に紫外線硬化型インキを塗布することにより粘着面を非粘着性とする方法である。
【0030】
この方法を施したラベルは粘着面積を必要に応じて小さくでき、容器類から後でラベルを手で剥がしたい場合に有効である。また、熱収縮性基材フィルムを容器類にシワやムラの発生を少なくするように密着被覆させたい場合にも効果が期待できる。
【0031】
ラベルは専用のオートラベラーで容器類に貼付される。熱収縮性基材フィルムの厚さが薄すぎると、ラベルの剛度が不足するため容器類の所定位置に貼付できない問題が生じる。一方、フィルムが厚すぎると、ラベルの柔軟性が不足するため貼付後経時により端部が容器類から浮いたり、容器類を変形させた場合にシワや剥がれが発生する等の問題が生じる。
【0032】
本発明の粘着フィルムで密着被覆する柔軟性容器としては、紙、金属、あるいは樹脂製の柔軟性容器が使用可能である。樹脂製の容器としては、軟質塩化ビニル、ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレンブタジエン、ゴム系樹脂等があげられるが、本発明の粘着フィルムで密着被覆する柔軟性の容器としては、ポリプロピレン、又はポリエチレン性の容器であることが好ましい。
【0033】
【実施例】
以下に実施例および比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りがない限り質量基準を示す。
【0034】
(1)アンカーコート剤の調製
インキ受理性樹脂としてアクリル樹脂(綜研化学社製「サーモラックEF−32」)を30部、分散媒としてエタノールとイソプロピルアルコールの4:1混合溶剤を65部、ブロッキング防止剤として合成シリカ(富士シリシア化学社製「サイリシア350」)を5部添加し、合計100部の配合液を調整した。ペイントコンディショナーを使用して配合液を20分間分散し、固形分35%のアンカーコート剤を得た。
【0035】
(2)熱収縮性基材フィルムの作製
[熱収縮性基材フィルムA]メルトフローレート2.0g/10min、密度919kg/m3の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とメルトフローレート0.87g/min、密度951kg/m3の高密度ポリエチレン樹脂を6:4の比率で混合し、押出機に供給して200℃で溶融させ、Tダイで連続的に押し出し急冷して厚さ300μmの元フィルムを作製した。得られた元フィルムを90℃に再加熱しロール式縦型延伸機で流れ方向へ5倍延伸し、厚さ60μmの熱収縮性ポリエチレンフィルムを作製した。さらに、片面に420μN/cmのコロナ処理を行った上に(1)で作成したアンカーコート剤をグラビアコーターにて塗工し、乾燥後塗工量1.5g/m2のアンカーコート層を設けた熱収縮性ポリエチレンフィルムAを得た。
【0036】
[熱収縮性基材フィルムB]昭和高分子社製ポリブチレンサクシネート・アジペート樹脂「ビオノーレ#3001」(融点95℃)とポリブチレンサクシネート樹脂「ビオノーレ#1001」(融点114℃)を5:1の比率で混合し、押出機に供給して190℃で溶融させ、サーキュラーダイで連続的に押し出し急冷して厚さ240μmの元フィルムを作製した。得られた元フィルムを70℃に再加熱しロール式縦型延伸機で流れ方向へ4倍延伸し、厚さ60μmの熱収縮性ポリブチレンサクシネート系フィルムBを得た。
【0037】
[熱収縮性基材フィルムC]熱収縮性基材フィルムBと同様の配合および方法で厚さ160μmの元フィルムを作製した。同様の方法で延伸し、厚さ40μmの熱収縮性ポリブチレンサクシネート系フィルムCを得た。
【0038】
[熱収縮性基材フィルムD]熱収縮性基材フィルムBと同様の配合および方法で厚さ400μmの元フィルムを作製した。同様の方法で延伸し、厚さ100μmの熱収縮性ポリブチレンサクシネート系フィルムDを得た。
【0039】
[熱収縮性基材フィルムE]大倉工業社製「パワーシュリンク(スリーブ包装用)」(60μm)を使用し、片面に420μN/cmのコロナ処理を行った上に(1)で作成したアンカーコート剤をグラビアコーターにて塗工し、乾燥後塗工量1.5g/m2のアンカーコート層を設けた熱収縮性ポリエチレンフィルムEを得た。
【0040】
[熱収縮性基材フィルムF]Tg81℃の共重合ポリエステル樹脂とTg57℃の共重合ポリエステル樹脂を6:4の比率で混合し、押出機に供給して270℃で溶融させ、Tダイで連続的に押し出し急冷して厚さ180μmの元フィルムを作製した。得られた元フィルムを80℃に再加熱しロール式縦型延伸機で流れ方向へ4倍延伸し、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムFを得た。
【0041】
[熱収縮性基材フィルムG]熱収縮性ポリプロピレン系フィルムGとして、三井化学プラテック社製「三井ノーブレーンフィルムPPL」(60μm)を使用した。
【0042】
[熱収縮性基材フィルムH]Tg73℃のスチレン−ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体(ブタジエン含有量17%)樹脂を押し出し機に供給して200℃で溶融させ、Tダイで連続的に押し出し急冷して厚さ225μmの元フィルムを作製した。得られた元フィルムを90℃に再加熱しロール式縦型延伸機で流れ方向へ5倍延伸し、厚さ45μmの熱収縮性ポリスチレン系フィルムHを得た。
【0043】
[熱収縮性基材フィルムI]熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムIとしてシーアイ化成社製「BONSET TR−47」(50μm)を使用した。
【0044】
(3)粘着剤主剤の合成
[粘着剤主剤A]攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート92.9部、酢酸ビニル5部、アクリル酸2部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部と重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2部を酢酸エチル100部に溶解し、80℃で8時間重合して、質量平均分子量70万のアクリル共重合体溶液を得た。次に、前記アクリル共重合体溶液の固形分100部に対して特殊ロジンエステル系粘着付与樹脂(荒川化学工業社製「スーパーエステルA100」)を15部およびロジンエステル系粘着付与樹脂(荒川化学工業社製「ペンセルD135」)を5部添加し、酢酸エチルを加えて均一に混合して固形分45%の粘着剤主剤Aを得た。
【0045】
[粘着剤主剤B]攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート91.4部、酢酸ビニル5部、メタクリル酸3.5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部と重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2部を酢酸エチル100部に溶解し、80℃で8時間重合して、質量平均分子量70万のアクリル共重合体溶液を得た。次に、前記アクリル共重合体溶液の固形分100部に対して石油樹脂系粘着付与樹脂(三井化学社製「FTR−6100」)を20部添加し、酢酸エチルを加えて均一に混合して固形分50%の粘着剤主剤Bを得た。
【0046】
[粘着剤主剤C]攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート85部、メチルアクリレート14部、アクリル酸0.9部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部と重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2部を酢酸エチル100部に溶解し、80℃で8時間重合して、質量平均分子量80万のアクリル共重合体溶液を得た。酢酸エチルを加えて均一に混合して固形分30%の粘着剤主剤Cを得た。
【0047】
(4)粘着剤の調製
[粘着剤a]上記粘着剤主剤A100部に、イソシアネート系架橋剤(大日本インキ化学工業社製「バーノックNC−40」)を1.7部添加し、15分間攪拌して粘着剤aを得た。
[粘着剤b]上記粘着剤主剤B100部に、イソシアネート系架橋剤(大日本インキ化学工業社製「バーノックNC−40」)を2.8部添加し、15分間攪拌して粘着剤bを得た。
[粘着剤c]上記粘着剤主剤C100部に、イソシアネート系架橋剤(大日本インキ化学工業社製「バーノックNC−40」)を0.3部添加し、15分間攪拌して粘着剤cを得た。
【0048】
(5)粘着フィルムの作製
熱収縮性基材フィルムA〜I、粘着剤a〜cを組み合わせ、各種粘着フィルムを作製した。
表面にシリコーン化合物の剥離層を形成したポリエチレンラミネート紙の剥離ライナーに、粘着剤a〜cをそれぞれ塗工して80℃で90秒間乾燥し乾燥重量20g/m2の粘着剤層を形成した。熱収縮性基材フィルムA〜Iを粘着剤a〜cとそれぞれ貼り合わせ、粘着フィルムを得た。尚、熱収縮性基材フィルムAおよびEについては、アンカーコート層を有しない面に420μN/cmのコロナ処理を行った上で粘着剤と貼り合わせることにより作製した。
【0049】
以下に評価測定方法を説明する。
【0050】
[フィルム厚さ]
23℃・50%RHの環境で、JIS K7130に規定の方法(A法)で測定した。厚さ計(テスター産業社製フィルム用厚さ測定機「TH−102」)を使用し、熱収縮性基材フィルムの幅方向に等間隔で10箇所の厚さを測定し、その平均値を厚さとした。
【0051】
[熱収縮率]
流れ方向、幅方向ともに50mmの試験片を準備する。90℃の温水、または50℃の温水に10秒間浸せきし、下記の式により収縮率を求めた。ここで、プラス値は収縮、マイナス値は伸長をあらわす。
収縮率(%)=(50mm−浸せき後の長さ(mm))÷50mm×100
【0052】
[引張弾性率]
幅270mm、長さ270mmの試験片を準備する。23℃・50%RHの環境で直径84mm、高さ270mm、厚さ600μmのポリエチレン製筒状容器に貼付し、同雰囲気下で1時間放置した後、90℃の乾燥機中に5分間放置して熱収縮により粘着フィルムを容器に密着被覆させた。その後、試験片を容器から剥離し、23℃・50%RHの環境で、JIS K7113に規定の方法で引張弾性率を測定した(引張速度:1mm/min、試験片の形状:4号型試験片)。測定機器として、エー・アンド・ディ社製テンシロン万能試験機「RTA−100」を使用し、試験片の標線間距離100mm、つかみ具間距離170mm、つかみ部分長さ50mmとした。
【0053】
[スクイズ性]
幅37mm、長さ65mmの試験片を準備する。23℃・50%RHの環境で直径19mm、高さ35mm、厚さ600μmのポリエチレン製筒状容器に貼付し、同雰囲気下で1時間放置した後、90℃の乾燥機中に5分間放置して熱収縮により粘着フィルムを容器に密着被覆させた。23℃・50%RH中に1時間放置した後、半径5mmの球状ガラスを容器の側面にあて1秒間に3mm凹ませる条件で押しつけた後に離し、2秒間放置した。このサイクル(押しつけ凹ませる→離す→放置する)を1回として容器の変形を繰り返し、粘着フィルムのシワや剥がれが発生し始めた回数を記録し、スクイズ性を以下の基準で評価した。
○:50回以上の容器変形でも粘着フィルムにシワや剥がれが発生しない。
△:30以上50回未満の容器変形で粘着フィルムにシワや剥がれが発生。
×:10以上30回未満の容器変形で粘着フィルムにシワや剥がれが発生。
××:10回未満の容器変形で粘着フィルムにシワや剥がれが発生。
【0054】
[オートラベラー性]
ロール状に巻いた粘着フィルムを繰り出して、長方形状(幅37mm、長さ65mm)に打ち抜き、不要部分を除去してラベルを作製した。オートラベラー(不二レーベル社製「F205−R」)を使用して、直径19mm、高さ35mmのポリエチレン製筒状容器100本の胴部の所定位置にラベルを一枚ずつ連続して貼付し、オートラベラー性を以下の基準で評価した。
○:所定位置に全て貼付できた。
△:所定位置から1〜5枚のラベルずれが発生した。
×:所定位置から6枚以上のラベルずれが発生した。
【0055】
[粘着力]
幅25mm、長さ100mmの試験片を準備する。23℃・50%RHの環境でポリエチレン板に対して、JIS Z0237に規定された貼付方法で貼付した。貼付から1時間後に5mm/min、300mm/minの引張速度で90°方向に引き剥がし、剥離強さ(単位:N/25mm)を測定した。測定機器として、エー・アンド・ディ社製テンシロン万能試験機「RTA−100」を使用した。
【0056】
実施例および比較例の評価結果を表1から表3に示す。
【0057】
【表1】
表1
【0058】
【表2】
表2
【0059】
【表3】
表3
【0060】
【発明の効果】
本発明の熱収縮性粘着フィルムは、比較的低温領域で十分な熱収縮性を有し、且つ柔軟性があり追従性に優れるため、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱変形し易い柔軟性容器類の被覆兼用ラベルとして特に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱収縮性粘着フィルムの構造を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1.アンカーコート層
2.コロナ処理層
3.熱収縮性基材フィルム
4.粘着剤層
5.剥離ライナー
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエチレンやポリプロピレン等の柔軟性容器類に密着被覆させる熱収縮性粘着フィルムに関する。さらに詳しくは、本発明の熱収縮性粘着フィルムにより密着被覆された柔軟性容器類を繰り返し変形した場合の追従性(スクイズ性)に優れる熱収縮性粘着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス瓶、ペットボトル、金属缶等の容器類に貼付するラベルとして、熱収縮性基材フィルム上に感圧型粘着剤層を設け、感圧型粘着剤と前記フィルムの熱収縮性により容器類の形状に沿って密着被覆される熱収縮性粘着フィルムが開発されている(例えば、特許文献1、及び特許文献2参照)。
【0003】
点眼薬や点鼻薬のような医薬品に代表される、容器類を変形させることで内容物を押し出す方法に使用される容器類の材質は、ポリエチレンやポリプロピレン等の柔軟性を有した熱可塑性プラスチックである。これらの柔軟性容器類は、比較的低温(100℃付近)で熱変形してしまう容器類である。したがって、熱収縮性粘着フィルム裏面の感圧型粘着剤によって柔軟性容器類の表面に固着し、その後、熱収縮により容器表面を密着被覆するための熱収縮性粘着フィルムにおいては、容器類が熱変形を起こさない程度の比較的低温領域(90℃以下)において熱収縮する性能が必要である。また、上記用途においては、熱収縮性粘着フィルムが密着被覆した容器類に対して、内容物を押し出すための変形動作が繰り返し行われる。この場合、熱収縮性粘着フィルムは容器類の変形に柔軟に追従して、シワや浮き剥がれ等を発生させない特性を有する必要がある(スクイズ性という)。しかし、前記特許文献1及び特許文献2においては、上記の低温収縮性とスクイズ性を同時に満たすための技術が十分に開示されておらず、柔軟性容器に使用するための熱収縮性粘着フィルムとしては特性が不十分であった。
【0004】
【特許文献1】
実案2563899号公報
【特許文献2】
特開2003−49131号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の熱収縮性粘着フィルムの問題点であった比較的低温領域での熱収縮性および容器類への追従性(スクイズ性)を改善し、容器類を変形させてもラベルのシワや剥がれが発生しない、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の柔軟性容器類に好適に使用される熱収縮性粘着フィルムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、以下の粘着フィルムを用いることによって課題を解決するに至った。すなわち、本発明は、熱収縮性基材フィルムの一方の面に粘着剤層を有する熱収縮性粘着フィルムであって、該粘着フィルムの主収縮方向の熱収縮率が40%以上であり、該主収縮方向及び該主収縮方向に直交する方向の加熱処理後の引張弾性率が0.4〜1.0GPaであり、且つ該粘着フィルムの粘着力が3.0N/25mm以上であることを特徴とする熱収縮性粘着フィルムを提供するものである。
【0007】
また、本発明は、上記熱収縮性粘着フィルムにより密着被覆されていることを特徴とする柔軟性容器を提供するものである。
【0008】
本発明の熱収縮性粘着フィルムは低温での良好な熱収縮率を有するため、100℃付近で熱変形が生じやすい柔軟性容器であっても、熱変形を生じさせずに密着被覆させることができ、更に、上記範囲の引張弾性率及び粘着力を有するため、容器を繰り返し変形させても本発明の熱収縮性粘着フィルムは、シワが生じたり、容器表面から浮き剥がれが生じたりせず良好なスクイズ性を示す。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の熱収縮性粘着フィルムについて、具体的に説明する。本発明の熱収縮性粘着フィルム(以下、本発明の粘着フィルムという)の基本的な構造を図1に示す。図1の粘着フィルムは、熱収縮性基材フィルム3の片面に粘着剤層4を有する構造となっている。本発明の粘着フィルムのより好ましい実施形態は、粘着剤層4を設けた面と反対側の熱収縮性基材フィルム3の表面にコロナ処理層2を形成し、更にその上部に印刷インキに対する密着性を向上させるためのアンカーコート層1を設けた構造である。更に、本発明の粘着フィルムには、剥離ライナー5を設けることができる。
【0010】
本発明の熱収縮性粘着フィルムは、90℃の温水中に10秒間浸した後の主収縮方向の熱収縮率が40%以上である。ここで、主収縮方向とは、90℃の温水中に10秒間浸した後の収縮率が最も大きい収縮の方向である。熱収縮性粘着フィルムを自動貼り機(オートラベラー)で容器類へ貼付し、加熱して容器類へ密着被覆する場合、通常は、フィルム製造時の流れ方向(MD方向)に熱収縮する性能が必要とされる。したがって、本発明の粘着フィルムに使用する熱収縮性基材フィルムの主収縮方向は流れ方向にすることが好ましい。本発明の熱収縮性粘着フィルムの熱収縮率は、45%以上であることが好ましく、50%以上であることが特に好ましい。また、熱収縮率の上限は90%であることが好ましい。
【0011】
なお、本発明の粘着フィルムを90℃の温水中に10秒間浸した後の主収縮方向に直交する方向の熱収縮率は±5%以下であることが好ましく、±3%未満とすることがより好ましい。ここで、主収縮方向に直交する方向とは、例えば、主収縮方向が流れ方向(MD方向)である場合、直交する方向は熱収縮性基材フィルムの幅方向(TD方向)である。主収縮方向が熱収縮性基材フィルムの幅方向(TD方向)である場合、直交する方向は流れ方向(MD方向)である。
【0012】
容器類に貼付された本発明の粘着フィルムは専用の乾燥炉中で加熱し、熱収縮させることにより容器類に密着被覆させる。しかし、この乾燥炉での収縮工程以前で収縮してしまうケース、つまり、製造工程中や製品の保管時において不用意に熱を加えられてしまうトラブルが危惧される。従って、本発明の粘着フィルムには、容器類への密着被覆工程以前(50℃以下の温度領域)における熱安定性も要求される。そのため、本発明の粘着フィルムは、50℃の温水中に10秒間浸した後の主収縮方向の熱収縮率が5%以下であることが好ましい。3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
【0013】
本発明の粘着フィルムの加熱処理後の引張弾性率は0.4〜1.0GPaである。加熱処理後の引張弾性率とは、本発明の粘着フィルムを柔軟性容器に貼着し、加熱処理を行った後の引張弾性率である。引張弾性率は0.5〜0.9GPaであることが好ましく、0.6〜0.8GPaであることがより好ましい。
【0014】
柔軟性容器に貼着した後の加熱処理は公知の方法を用いて行うことができる。
例えば、80〜120℃の熱風を本発明の粘着フィルムを貼着した柔軟性容器に吹き付ける方法を用いることができる。なお、その際の収縮率は特に限定されるものではなく、例えば、0〜90%の範囲で有ればいずれの値であっても良い。また、前記の引張弾性率の値は、収縮方向に依存するものではなく、主収縮方向又は主収縮方向に直交する方向、あるいは任意の方向において0.4〜1.0GPaである。
【0015】
本発明の粘着フィルムの粘着力は、引張速度5〜300mm/minにおけるポリエチレン板に対する90°ピール粘着力であり、3.0N/25mm以上である。本発明の粘着フィルムの粘着力は、4.0N/25mm以上であることが好ましく、5.0N/25mm以上であることがより好ましい。粘着力の上限は15.0N/25mmであることが好ましい。引張弾性率、及び粘着力がこの範囲であると、容器を繰り返し変形させても本発明の粘着フィルムは、シワが生じたり、容器表面から浮き剥がれが生じたりせず、良好なスクイズ性を示す。
【0016】
本発明の粘着フィルムに使用する熱収縮性基材フィルムの材料としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート・アジペート樹脂、ポリブチレンサクシネート・カーボネート樹脂、可塑剤を適量添加したポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。好ましくは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート・アジペート樹脂、ポリブチレンサクシネート・カーボネート樹脂であり、より好ましくは、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート・アジペート樹脂、ポリブチレンサクシネート・カーボネート樹脂である。融点が90℃から110℃の範囲である前述の樹脂、または融点が90℃から110℃の範囲になるように調整配合された樹脂組成物が最も好ましい。調整配合に使用する熱可塑性樹脂は特に限定されず、例えば高密度ポリエチレン樹脂等を適量配合しても良い。市販ないし試作に供されているポリエチレンサクシネート系樹脂の例として日本触媒社製「ルナーレSE」が、ポリブチレンサクシネート系樹脂の例として昭和高分子社製「ビオノーレ」、三菱ガス化学社製「ユーペック」等が挙げられる。
【0017】
熱収縮性基材フィルムは公知の方法により生産される。例えば、熱可塑性樹脂を溶融し、Tダイ、サーキュラーダイ等で連続的に押し出してから一旦急冷して延伸前の元フィルムを製造する。この元フィルムを再加熱し、ロール式延伸法、テンター延伸法等で連続的に延伸する。この際の延伸倍率は3〜10倍、より好ましくは4〜6倍である。
【0018】
熱収縮性基材フィルムの厚さは45〜95μmが好ましい。より好ましくは、50〜80μmであり、55〜70μmがさらに好ましい。厚さがこの範囲未満では、本発明の粘着フィルムの剛度が不足するため容器類の所定位置に貼付できなくなる。反対に厚さがこの範囲を超えると、粘着フィルムの柔軟性が不足するため貼付後経時により端部が容器類から浮く、あるいは、容器類を変形させた場合の追従性が悪化し、シワや剥がれ等が発生してしまう。
【0019】
低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を成分とする熱収縮性基材フィルムは、未処理のフィルム単体では印刷インキが密着しにくい。従って、フィルム表面にコロナ処理を施すか、さらにそのコロナ処理の上へアンカーコート層を形成させることが好ましい。
【0020】
このような条件を満たすアンカーコート層は、インキ受理性樹脂および分散媒からなるコート剤を熱収縮性基材フィルムの片面に塗工し、乾燥することによって形成される。アンカーコート層を片面に形成した熱収縮性基材フィルムをロール状に巻いた場合に、コート剤と未塗工のフィルム表面が不必要に密着するのを防止する目的でブロッキング防止剤を添加する場合もある。また、コート剤には性能を阻害しない範囲で、必要に応じて帯電防止剤、紫外線吸収剤等を添加しても良い。インキ受理性樹脂としては、公知のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース等を使用することができる。分散媒には熱収縮性基材フィルムを溶解しないものを選択する。基本的にはイソプロピルアルコールやエタノール等のアルコールを主体とするものである。ブロッキング防止剤には、公知の合成シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機系添加剤、ポリエチレンワックス樹脂等の有機系添加剤を使用することができる。コート剤の配合は、インキ受理性樹脂20〜30質量部、分散媒は60〜70質量部、ブロッキング防止剤1〜5質量部が好ましい。コート剤の塗工量は0.5〜3.0g/m2が好ましく、より好ましくは1.0〜2.0g/m2である。
【0021】
コート剤の熱収縮性基材フィルムへの塗工方法は公知の方法で行われる。例えば、ナイフコーター、グラビアコーター、ロールコーター等を使用して塗工することができる。好ましくは、グラビアコーターである。
【0022】
本発明の粘着フィルムにおける粘着剤層4を構成する粘着剤には、ポリエチレンに対する90°ピール粘着力が、引張速度5〜300mm/minにおいて3.0N/25mm以上である粘着剤が使用される。粘着剤の樹脂組成については特に限定されず公知の粘着剤が使用でき、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。また、粘着剤の形態としては溶剤系、水系エマルジョン等が挙げられる。
【0023】
粘着剤の凝集力を上げるために、粘着剤に架橋剤を添加しても良い。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤等が挙げられる。また、粘着剤には性能を阻害しない範囲で、必要に応じて各種添加剤を添加しても良い。例えば、粘着付与樹脂、充填剤、顔料、老化防止剤、紫外線吸収剤、増粘剤等が挙げられる。好ましくは、耐久性に優れ粘着力を制御しやすいアクリル系粘着剤である。
【0024】
粘着剤の塗工量は、乾燥重量で10〜30g/m2の範囲が好ましい。10g/m2未満では十分な粘着力が得られず、30g/m2を超えるとラベル加工時に粘着剤のはみ出しが発生する要因となる。
【0025】
本発明の粘着フィルムの製造は転写法等の公知の方法で行われる。粘着剤の塗工装置には公知の装置が使用でき、例えば、ナイフコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ロールコーター等が挙げられる。塗工装置にて、固形分20〜60質量%に調整された粘着剤を剥離ライナーに塗工する。剥離ライナーには公知のものが使用でき、例えば、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙、クレーコート紙、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等にシリコーン化合物の剥離層を形成したものが好適に使用できる。剥離ライナーに塗工され熱風乾燥された粘着剤を、熱収縮性基材フィルムと貼り合わせて巻き取ることにより、粘着剤が熱収縮性基材フィルムに転写される。一方、熱収縮性基材フィルムに直接粘着剤を塗工する方法は、乾燥炉中で熱収縮性基材フィルムの収縮が起こるため、本用途の粘着フィルム製造には適さない。
【0026】
低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を成分とする熱収縮性基材フィルムは、未処理のフィルム単体では粘着剤が密着しにくく十分な投錨力で転写しない。熱収縮性基材フィルムへの粘着剤の投錨性が不足するとラベル加工時や貼付時に問題が発生する場合がある。従って、前記のインキ密着性を向上させるための手段と同様に、フィルム表面にコロナ処理を施すか、さらにそのコロナ処理の上へアンカーコート層を形成させることが好ましい。但し、フィルムの両面に処理を施した場合は、一旦巻き取ったフィルムのロールを再度巻き出して使用する際に、フィルムの表裏が密着してしまう不具合、いわゆるブロッキングが発生する可能性がある。フィルムの両面に処理を施す場合には、ブロッキングを起こさない処理を選択する、もしくは片面処理のフィルムを供用し、粘着剤の転写直前に残りの片面の処理を行いながら粘着フィルムを製造する等の方法をとることが必要である。
【0027】
かくして、本発明の熱収縮性粘着フィルムが得られるわけであるが、かかる熱収縮性粘着フィルムは、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が熱変形しにくい比較的低温領域において十分な熱収縮性を有することにより、これらの素材からなる柔軟性容器類への密着被覆性に優れ、作製された粘着フィルムを貼付した容器類を変形させた場合にも粘着フィルムのシワや剥がれの発生が少ない。
【0028】
本発明の粘着フィルムは、例えば、以下の工程により表面に印刷が施され、容器類に貼付されるラベルとなる。熱収縮性基材フィルム、粘着剤、剥離ライナーを積層した本発明の粘着フィルムのロール品(幅100〜400mm、長さ100〜800mの巻物が慣習的な使用サイズ)に対して、印刷機により熱収縮性基材フィルムの表面にインキを展色する。次にインキ展色層から熱収縮性基材フィルムを経て粘着剤までの積層部分をゼンマイ刃等で打ち抜いた後に不要部分を除去する。かくして、必要部分(ラベル)が剥離ライナーの長手方向に並んだロール品が生産され、これが貼付用のラベルとして使用される。
【0029】
また、ラベルの粘着剤面の一部を非粘着性とするいわゆる糊殺しと称する方法を施す場合もある。これはあらかじめ形成された粘着剤面に紫外線硬化型インキを塗布することにより粘着面を非粘着性とする方法である。
【0030】
この方法を施したラベルは粘着面積を必要に応じて小さくでき、容器類から後でラベルを手で剥がしたい場合に有効である。また、熱収縮性基材フィルムを容器類にシワやムラの発生を少なくするように密着被覆させたい場合にも効果が期待できる。
【0031】
ラベルは専用のオートラベラーで容器類に貼付される。熱収縮性基材フィルムの厚さが薄すぎると、ラベルの剛度が不足するため容器類の所定位置に貼付できない問題が生じる。一方、フィルムが厚すぎると、ラベルの柔軟性が不足するため貼付後経時により端部が容器類から浮いたり、容器類を変形させた場合にシワや剥がれが発生する等の問題が生じる。
【0032】
本発明の粘着フィルムで密着被覆する柔軟性容器としては、紙、金属、あるいは樹脂製の柔軟性容器が使用可能である。樹脂製の容器としては、軟質塩化ビニル、ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレンブタジエン、ゴム系樹脂等があげられるが、本発明の粘着フィルムで密着被覆する柔軟性の容器としては、ポリプロピレン、又はポリエチレン性の容器であることが好ましい。
【0033】
【実施例】
以下に実施例および比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りがない限り質量基準を示す。
【0034】
(1)アンカーコート剤の調製
インキ受理性樹脂としてアクリル樹脂(綜研化学社製「サーモラックEF−32」)を30部、分散媒としてエタノールとイソプロピルアルコールの4:1混合溶剤を65部、ブロッキング防止剤として合成シリカ(富士シリシア化学社製「サイリシア350」)を5部添加し、合計100部の配合液を調整した。ペイントコンディショナーを使用して配合液を20分間分散し、固形分35%のアンカーコート剤を得た。
【0035】
(2)熱収縮性基材フィルムの作製
[熱収縮性基材フィルムA]メルトフローレート2.0g/10min、密度919kg/m3の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とメルトフローレート0.87g/min、密度951kg/m3の高密度ポリエチレン樹脂を6:4の比率で混合し、押出機に供給して200℃で溶融させ、Tダイで連続的に押し出し急冷して厚さ300μmの元フィルムを作製した。得られた元フィルムを90℃に再加熱しロール式縦型延伸機で流れ方向へ5倍延伸し、厚さ60μmの熱収縮性ポリエチレンフィルムを作製した。さらに、片面に420μN/cmのコロナ処理を行った上に(1)で作成したアンカーコート剤をグラビアコーターにて塗工し、乾燥後塗工量1.5g/m2のアンカーコート層を設けた熱収縮性ポリエチレンフィルムAを得た。
【0036】
[熱収縮性基材フィルムB]昭和高分子社製ポリブチレンサクシネート・アジペート樹脂「ビオノーレ#3001」(融点95℃)とポリブチレンサクシネート樹脂「ビオノーレ#1001」(融点114℃)を5:1の比率で混合し、押出機に供給して190℃で溶融させ、サーキュラーダイで連続的に押し出し急冷して厚さ240μmの元フィルムを作製した。得られた元フィルムを70℃に再加熱しロール式縦型延伸機で流れ方向へ4倍延伸し、厚さ60μmの熱収縮性ポリブチレンサクシネート系フィルムBを得た。
【0037】
[熱収縮性基材フィルムC]熱収縮性基材フィルムBと同様の配合および方法で厚さ160μmの元フィルムを作製した。同様の方法で延伸し、厚さ40μmの熱収縮性ポリブチレンサクシネート系フィルムCを得た。
【0038】
[熱収縮性基材フィルムD]熱収縮性基材フィルムBと同様の配合および方法で厚さ400μmの元フィルムを作製した。同様の方法で延伸し、厚さ100μmの熱収縮性ポリブチレンサクシネート系フィルムDを得た。
【0039】
[熱収縮性基材フィルムE]大倉工業社製「パワーシュリンク(スリーブ包装用)」(60μm)を使用し、片面に420μN/cmのコロナ処理を行った上に(1)で作成したアンカーコート剤をグラビアコーターにて塗工し、乾燥後塗工量1.5g/m2のアンカーコート層を設けた熱収縮性ポリエチレンフィルムEを得た。
【0040】
[熱収縮性基材フィルムF]Tg81℃の共重合ポリエステル樹脂とTg57℃の共重合ポリエステル樹脂を6:4の比率で混合し、押出機に供給して270℃で溶融させ、Tダイで連続的に押し出し急冷して厚さ180μmの元フィルムを作製した。得られた元フィルムを80℃に再加熱しロール式縦型延伸機で流れ方向へ4倍延伸し、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムFを得た。
【0041】
[熱収縮性基材フィルムG]熱収縮性ポリプロピレン系フィルムGとして、三井化学プラテック社製「三井ノーブレーンフィルムPPL」(60μm)を使用した。
【0042】
[熱収縮性基材フィルムH]Tg73℃のスチレン−ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体(ブタジエン含有量17%)樹脂を押し出し機に供給して200℃で溶融させ、Tダイで連続的に押し出し急冷して厚さ225μmの元フィルムを作製した。得られた元フィルムを90℃に再加熱しロール式縦型延伸機で流れ方向へ5倍延伸し、厚さ45μmの熱収縮性ポリスチレン系フィルムHを得た。
【0043】
[熱収縮性基材フィルムI]熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムIとしてシーアイ化成社製「BONSET TR−47」(50μm)を使用した。
【0044】
(3)粘着剤主剤の合成
[粘着剤主剤A]攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート92.9部、酢酸ビニル5部、アクリル酸2部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部と重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2部を酢酸エチル100部に溶解し、80℃で8時間重合して、質量平均分子量70万のアクリル共重合体溶液を得た。次に、前記アクリル共重合体溶液の固形分100部に対して特殊ロジンエステル系粘着付与樹脂(荒川化学工業社製「スーパーエステルA100」)を15部およびロジンエステル系粘着付与樹脂(荒川化学工業社製「ペンセルD135」)を5部添加し、酢酸エチルを加えて均一に混合して固形分45%の粘着剤主剤Aを得た。
【0045】
[粘着剤主剤B]攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート91.4部、酢酸ビニル5部、メタクリル酸3.5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部と重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2部を酢酸エチル100部に溶解し、80℃で8時間重合して、質量平均分子量70万のアクリル共重合体溶液を得た。次に、前記アクリル共重合体溶液の固形分100部に対して石油樹脂系粘着付与樹脂(三井化学社製「FTR−6100」)を20部添加し、酢酸エチルを加えて均一に混合して固形分50%の粘着剤主剤Bを得た。
【0046】
[粘着剤主剤C]攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート85部、メチルアクリレート14部、アクリル酸0.9部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部と重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2部を酢酸エチル100部に溶解し、80℃で8時間重合して、質量平均分子量80万のアクリル共重合体溶液を得た。酢酸エチルを加えて均一に混合して固形分30%の粘着剤主剤Cを得た。
【0047】
(4)粘着剤の調製
[粘着剤a]上記粘着剤主剤A100部に、イソシアネート系架橋剤(大日本インキ化学工業社製「バーノックNC−40」)を1.7部添加し、15分間攪拌して粘着剤aを得た。
[粘着剤b]上記粘着剤主剤B100部に、イソシアネート系架橋剤(大日本インキ化学工業社製「バーノックNC−40」)を2.8部添加し、15分間攪拌して粘着剤bを得た。
[粘着剤c]上記粘着剤主剤C100部に、イソシアネート系架橋剤(大日本インキ化学工業社製「バーノックNC−40」)を0.3部添加し、15分間攪拌して粘着剤cを得た。
【0048】
(5)粘着フィルムの作製
熱収縮性基材フィルムA〜I、粘着剤a〜cを組み合わせ、各種粘着フィルムを作製した。
表面にシリコーン化合物の剥離層を形成したポリエチレンラミネート紙の剥離ライナーに、粘着剤a〜cをそれぞれ塗工して80℃で90秒間乾燥し乾燥重量20g/m2の粘着剤層を形成した。熱収縮性基材フィルムA〜Iを粘着剤a〜cとそれぞれ貼り合わせ、粘着フィルムを得た。尚、熱収縮性基材フィルムAおよびEについては、アンカーコート層を有しない面に420μN/cmのコロナ処理を行った上で粘着剤と貼り合わせることにより作製した。
【0049】
以下に評価測定方法を説明する。
【0050】
[フィルム厚さ]
23℃・50%RHの環境で、JIS K7130に規定の方法(A法)で測定した。厚さ計(テスター産業社製フィルム用厚さ測定機「TH−102」)を使用し、熱収縮性基材フィルムの幅方向に等間隔で10箇所の厚さを測定し、その平均値を厚さとした。
【0051】
[熱収縮率]
流れ方向、幅方向ともに50mmの試験片を準備する。90℃の温水、または50℃の温水に10秒間浸せきし、下記の式により収縮率を求めた。ここで、プラス値は収縮、マイナス値は伸長をあらわす。
収縮率(%)=(50mm−浸せき後の長さ(mm))÷50mm×100
【0052】
[引張弾性率]
幅270mm、長さ270mmの試験片を準備する。23℃・50%RHの環境で直径84mm、高さ270mm、厚さ600μmのポリエチレン製筒状容器に貼付し、同雰囲気下で1時間放置した後、90℃の乾燥機中に5分間放置して熱収縮により粘着フィルムを容器に密着被覆させた。その後、試験片を容器から剥離し、23℃・50%RHの環境で、JIS K7113に規定の方法で引張弾性率を測定した(引張速度:1mm/min、試験片の形状:4号型試験片)。測定機器として、エー・アンド・ディ社製テンシロン万能試験機「RTA−100」を使用し、試験片の標線間距離100mm、つかみ具間距離170mm、つかみ部分長さ50mmとした。
【0053】
[スクイズ性]
幅37mm、長さ65mmの試験片を準備する。23℃・50%RHの環境で直径19mm、高さ35mm、厚さ600μmのポリエチレン製筒状容器に貼付し、同雰囲気下で1時間放置した後、90℃の乾燥機中に5分間放置して熱収縮により粘着フィルムを容器に密着被覆させた。23℃・50%RH中に1時間放置した後、半径5mmの球状ガラスを容器の側面にあて1秒間に3mm凹ませる条件で押しつけた後に離し、2秒間放置した。このサイクル(押しつけ凹ませる→離す→放置する)を1回として容器の変形を繰り返し、粘着フィルムのシワや剥がれが発生し始めた回数を記録し、スクイズ性を以下の基準で評価した。
○:50回以上の容器変形でも粘着フィルムにシワや剥がれが発生しない。
△:30以上50回未満の容器変形で粘着フィルムにシワや剥がれが発生。
×:10以上30回未満の容器変形で粘着フィルムにシワや剥がれが発生。
××:10回未満の容器変形で粘着フィルムにシワや剥がれが発生。
【0054】
[オートラベラー性]
ロール状に巻いた粘着フィルムを繰り出して、長方形状(幅37mm、長さ65mm)に打ち抜き、不要部分を除去してラベルを作製した。オートラベラー(不二レーベル社製「F205−R」)を使用して、直径19mm、高さ35mmのポリエチレン製筒状容器100本の胴部の所定位置にラベルを一枚ずつ連続して貼付し、オートラベラー性を以下の基準で評価した。
○:所定位置に全て貼付できた。
△:所定位置から1〜5枚のラベルずれが発生した。
×:所定位置から6枚以上のラベルずれが発生した。
【0055】
[粘着力]
幅25mm、長さ100mmの試験片を準備する。23℃・50%RHの環境でポリエチレン板に対して、JIS Z0237に規定された貼付方法で貼付した。貼付から1時間後に5mm/min、300mm/minの引張速度で90°方向に引き剥がし、剥離強さ(単位:N/25mm)を測定した。測定機器として、エー・アンド・ディ社製テンシロン万能試験機「RTA−100」を使用した。
【0056】
実施例および比較例の評価結果を表1から表3に示す。
【0057】
【表1】
表1
【0058】
【表2】
表2
【0059】
【表3】
表3
【0060】
【発明の効果】
本発明の熱収縮性粘着フィルムは、比較的低温領域で十分な熱収縮性を有し、且つ柔軟性があり追従性に優れるため、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱変形し易い柔軟性容器類の被覆兼用ラベルとして特に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱収縮性粘着フィルムの構造を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1.アンカーコート層
2.コロナ処理層
3.熱収縮性基材フィルム
4.粘着剤層
5.剥離ライナー
Claims (6)
- 熱収縮性基材フィルムの一方の面に粘着剤層を有する熱収縮性粘着フィルムであって、該粘着フィルムの主収縮方向の熱収縮率が40%以上であり、該主収縮方向及び該主収縮方向に直交する方向の加熱処理後の引張弾性率が0.4〜1.0GPaであり、且つ該粘着フィルムの粘着力が3.0N/25mm以上であることを特徴とする熱収縮性粘着フィルム。
- 前記熱収縮性基材フィルムの厚さが45〜95μmである請求項1記載の熱収縮性粘着フィルム。
- 前記熱収縮性粘着フィルムを50℃の温水中に10秒間浸した後の主収縮方向の熱収縮率が5%以下である請求項1又は2のいずれかに記載の熱収縮性粘着フィルム。
- 前記熱収縮性粘着フィルムを90℃の温水中に10秒間浸した後の主収縮方向に直交する方向の熱収縮率が±5%以下である請求項1、2又は3のいずれかに記載の熱収縮性粘着フィルム。
- 前記熱収縮性粘着フィルムが柔軟性の容器を密着被覆するための粘着フィルムである請求項1、2、3又は4のいずれかに記載の熱収縮性粘着フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性粘着フィルムにより密着被覆されていることを特徴とする柔軟性容器。
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-
2003
- 2003-06-27 JP JP2003184543A patent/JP2005041891A/ja active Pending
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