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JP2004505617A - Trp8、Trp9およびTrp10、癌の新規マーカー - Google Patents

Trp8、Trp9およびTrp10、癌の新規マーカー Download PDF

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Abstract

本発明は、正常細胞および悪性腫瘍の細胞における遺伝子発現に関し、特に癌に関連する新規マーカーTrp8、Trp9およびTrp10 、ならびにTrp8、Trp9、Trp10 をコードする遺伝子に関する。ベクター、宿主細胞、抗体、およびこれらのヒトタンパク質を産生するための組換え方法も提供される。本発明はさらに、腫瘍を診断および治療するのに有用な診断方法および治療方法に関する。

Description

【0001】
技術分野
本発明は、正常細胞および悪性腫瘍細胞における遺伝子発現に関し、特に癌に関連する新規マーカー(Trp8、Trp9およびTrp10 )ならびにTrp8、Trp9およびTrp10 をコードする遺伝子に関する。
【0002】
発明の背景
前立腺癌は、世界中の高齢男性の最も一般的な疾患の1つである。前立腺癌の診断およびモニタリングは、疾患の不均質性に起因して、困難である。診断について、悪性疾患の種々の格付けは、Gleason−Score Diagnosis によって区別され得る。この診断のために、前立腺組織サンプルが、患者から生検によって採取され、組織の形態が調査される。しかし、このアプローチは、病理学者の経験に依存する主観的な結果を得るのみである。これらの結果の確認のため、かつ早期診断を得るため、さらなる診断方法が適用され得る。この診断方法は、前立腺特異的抗原(PSA )の検出に基づく。PSA は、血清サンプル、血液サンプルなどにおいて、抗PSA 抗体を使用してアッセイされる。しかし、原則としてPSA はまた、正常な前立腺組織においても発現されるので、正常前立腺組織と悪性前立腺組織との間の区別を可能にするため、閾値の規定(例えば、約4ng/ml PSA)を必要とする。あいにく、この診断方法は、全く感度が低く、しばしば偽陽性結果を得る。さらに、この診断方法を使用することによっては、悪性疾患の格付け、腫瘍の進行およびその転移の可能性に関する判定が全く得られ得ない。従って、分子マーカーの使用は、特に非常に悪い予後を有し、前立腺癌が転移している患者に対する、良性組織と悪性組織の区別ならびに前立腺癌の格付けおよび病気分類に有用である。
【0003】
前立腺腫瘍、特に転移腫瘍、の存在に相互に関係ある有意義な特異的マーカーを提供するための先行技術の上で考察した限定および欠点が、この疾患の進行に沿って診断的に、予後的にかつ治療的に使用され得るマーカーの必要性を引き起こしている。本発明は、Trp8、Trp9およびTrp10 ならびにTrp8、Trp9およびTrp10 をコードする遺伝子の供給によってこのような必要性を満たす:Trp8およびTrp10 をコードする遺伝子は、前立腺癌および前立腺転移において発現されるが、正常な前立腺、良性肥厚(BHP )および前立腺上皮内腫瘍(PIN )には発現されない。さらに、Trp10 転写物の発現は、癌において検出可能であるが、肺、前立腺、胎盤の健常な組織および黒色腫においては検出不可能である。
【0004】
発明の要旨
本発明は、癌に関連する新規マーカー(Trp8、Trp9およびTrp10 )をコードする遺伝子の単離に基づく。新規カルシウムチャンネルタンパク質Trp8、Trp9およびTrp10 は、trp (過渡レセプターポテンシャル(transient receptor potential))ファミリーのメンバーであり、ヒト胎盤(Trp8a およびTrp8b )ならびにヒト前立腺(Trp9、Trp10aおよびTrp10b)から単離される。Trp タンパク質は、Ca2+選択イオンチャンネルおよび非選択イオンチャンネルの着実成長(steadily growing)ファミリーに属する。近年、7つのTrp タンパク質(trp1〜trp7)が、同定されており、陽イオンエントリー、レセプター作動カルシウムエントリーおよびフェロモン感覚シグナル伝達に関連することが示唆されている。構造的に関連するtrp タンパク質は、心臓によって引き起こされる侵害(nocioception)に共に関連するバニロイド(vanilloid )レセプター(VR1 )およびバニロイド用レセプター(VRL−1 )である。さらに、2つのカルシウム透過性チャンネルが、ラット小腸(CaT1)およびウサギ腎臓(ECaC)において同定された。これらの遠縁に関連するチャンネルは、小腸(CaT1)の管腔からのカルシウムイオンの取り込みまたは腎臓(ECaC)の遠位細管におけるカルシウムイオンの再取り込みに関連すると示唆される。一般的特性またはTrp および関連チャンネルは、いくつかの保存アミノ酸モチーフを含む6つの膜貫通ドメインを構成すると提案された構造である。本発明において、ヒト胎盤由来のCaT1様カルシウムチャンネル(Trp8)ならびにTrp9およびTrp10 (2つのバリアント、Trp10aおよびTrp10b)のクローニングおよび発現が記載される。Trp8 cDNA の2つの多型改変体は、胎盤から単離された(Trp8a およびTrp8b )。HEK (ヒト胎児腎臓)細胞におけるTrp8b cDNAの一過的発現は、Trp8チャンネルが発現系において構造的開放であることを意味する細胞質ゾルのカルシウム過負荷を生じる。Trp8は、HEK 細胞において高度なカルシウム選択的内部流動を誘導する。Trp8タンパク質のC 末端は、カルシウム依存様式でカルモジュリンを結合する。Trp9チャンネルは、胎盤の栄養芽細胞および合胞体栄養細胞層においてならびに膵臓腺房細胞において発現される。さらに、Trp8チャンネルは、前立腺癌および前立腺転移において発現されるが、前立腺の正常組織においては発現されない。Trp8転写物の発現は、良性前立腺肥厚(BPH )または前立腺上皮内腫瘍(PIN )においては検出不可能である。従って、Trp8チャンネルは、もっぱら悪性前立腺組織において発現され、前立腺癌に対する分子マーカーとして利用される。実験結果から、Trp8および/またはTrp10 のモジュレーション(例えば、発現または活性の阻害)が治療目的(例えば、腫瘍進行の予防に対する)であることもまた明らかである。
【0005】
従って、本発明は、Trp8、Trp9およびTrp10 タンパク質をそれぞれ、ならびにこのタンパク質をコードする核酸分子、そしてさらにTrp8、Trp9および/またはTrp10 の発現あるいは活性を阻害し得るアンチセンスRNA 、リボザイムならびにインヒビターを提供する。
【0006】
1つの実施形態において、本発明は、被験体の組織中のTrp8またはTrp10 に関連する前立腺癌または子宮内膜癌(子宮の癌)を検出するための診断方法を提供し、この方法は、Trp8および/またはTrp10 をコードするmRNAを含むサンプルをTrp8および/またはTrp10 あるいは対応するmRNAを検出する試薬と接触させることを含む。
【0007】
さらなる実施形態において、本発明は、被験体の組織において黒色腫、絨毛膜癌、肺の癌および前立腺の癌を検出するための診断方法を提供し、この方法は、サンプルをTrp10aアンチセンス転写物および/またはTrp10bアンチセンス転写物あるいはTrp10a関連アンチセンス転写物および/またはTrp10b関連アンチセンス転写物を検出する試薬と接触させることを含む。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、Trp8および/またはTrp10 に関連する前立腺腫瘍、肺の癌、胎盤の癌(絨毛膜癌)または黒色腫の処置の方法を提供し、この方法は、このような障害に罹患している被験体に治療的有効量の試薬(Trp8および/またはTrp10 の発現あるいはこのタンパク質の活性を調節(例えば、阻害)する)(例えば、上記化合物)を投与することを含む。
【0009】
最後に、本発明は、遺伝子治療の方法を提供し、この方法は、被験体の細胞へ上記のアンチセンスRNA またはリボザイムをコードするヌクレオチド配列(プロモーターに作動可能に連結している)を含む発現ベクターを導入することを含む。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、ヒト前立腺癌関連タンパク質Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10bあるいはTrp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10bの生物学的特性を示すタンパク質をコードし、そして以下からなる群より選択される単離された核酸分子に関する:
(a) 図7 、8A、9 、10、または11に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸分子;
(b) 図7 、8A、9 、10、または11に示されるヌクレオチド配列を含む核酸分子;
(c)DSMZ 受託番号DSM13579(寄託日:2000年6 月28日)、DSM13580(寄託日:2000年6 月28日)、DSM13584(寄託日:2000年7 月5 日)、DSM13581(寄託日:2000年6 月28日)またはDSM.... (寄託日:....)に含まれる核酸分子;
(d)(a)〜(c) に規定された核酸分子にハイブリダイズする核酸分子;
(e) (a) 〜(d) に規定された核酸配列から遺伝子コードの縮重により変化した核酸配列の核酸分子;および
(f) (a) 〜(e) に規定された核酸配列のフラグメント、誘導体または対立遺伝子バリエーションを示す核酸分子。
【0011】
本明細書中で使用される場合、Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10bの生物学的特性を示すタンパク質は、以下の実施例に例示するような少なくとも1つの活性を有するタンパク質であることが理解される。
【0012】
本明細書中で使用される場合、用語「単離された核酸分子」としては、天然に付随する他の核酸、タンパク質、脂質、炭水化物または他の物質を実質的に有さない核酸分子が挙げられる。
【0013】
第1の実施形態において、本発明は、図7 、8A、9 、10、または11に示されるアミノ酸配列を含むヒト前立腺癌関連タンパク質Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10bをコードする単離された核酸分子を提供する。本発明はまた、図7 、8A、9 、10、または11に示されるヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。
【0014】
本発明は、図7 、8A、9 、10、または11においてそれぞれ同定された生成ヌクレオチド配列だけではなく、それぞれの予測翻訳アミノ酸配列、ならびにDSMZにDSM13579で寄託されたTrp8a cDNA、DSMZにDSM13580で寄託されたTrp8b cDNA、DSMZにDSM13584で寄託されたTrp9 cDNA 、DSMZにDSM13581で寄託されたTrp10a cDNA 、およびDSMZにDSM.... で寄託されたTrp10b cDNA をそれぞれ含むプラスミドDNA を提供する。各寄託Trp クローンのヌクレオチド配列は、公知の方法に従って寄託クローンを配列決定することによってたやすく決定され得る。次いで、予測アミノ酸配列が、このような寄託物から実証され得る。さらに、各寄託クローンによってコードされるタンパク質のアミノ酸配列はまた、ペプチド配列決定によってか、または寄託Trp コードDNA を含む適切な宿主細胞においてタンパク質を発現し、このタンパク質を回収し、そしてその配列を決定することによって直接決定され得る。
【0015】
本発明の核酸分子は、DNA 分子およびRNA 分子の両方であり得る。例えば、適切なDNA 分子は、ゲノム分子またはcDNA分子である。Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10bの全てあるいは一部をコードする全ての核酸分子がまた、生物学的活性を有するポリペプチドをコードする限り、含まれることが理解される。本発明の核酸分子は、天然供給源から単離され得るか、または公知の方法に従って合成され得る。
【0016】
本発明はまた、上記核酸分子にハイブリダイズする核酸分子を提供する。本明細書中で使用される場合、用語「ハイブリダイズする」とは、従来のハイブリダーゼーション条件下、好ましくは例えばSambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual第2版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY に記載されるようなストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションの意味を有する。意図されるものはまた、より低いストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件でTrp 核酸分子にハイブリダイズする核酸分子である。ハイブリダイゼーションおよびシグナル検出のストリンジェンシーにおける変化は、ホルムアミド濃度(より低いパーセンテージのホルムアミドはより低いストリンジェンシーを生じる)、塩条件または温度の操作を介して主に達成される。例えば、より低いストリンジェンシー条件としては、6 ×SSPE(20×SSPE=3M NaCl ;9.2M NaHPO;0.02M EDTA, pH7.4 )、0.5% SDS、30% ホルムアミド、DNA をブロックする100 μg/mlのサケ精子を含有する溶液中での37℃一晩インキュベーション、次いで50℃での1 ×SSPE、0.1% SDSを用いた洗浄が挙げられる。加えて、さらにより低いストリンジェンシーを達成するために、ストリンジェントハイブリダーゼーション後に実施する洗浄は、より高い塩濃度(例えば、5 ×SSC )でなされ得る。上記条件における変動は、ハイブリダイゼーション実験におけるバックグランドを抑制するために使用される代替のブロック試薬の含有および/または置換を介して達成され得る。特異的なブロック試薬の含有は、互換性の問題に起因して、上記のハイブリダイゼーション条件の改変を必要とし得る。
【0017】
本発明の分子にハイブリダイズする核酸分子は、例えば、ヒト細胞株または組織から生成されるゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーから単離され得る。このような核酸分子を同定して単離するために、本発明の分子またはこれらの分子の一部またはこれらの分子の逆(reverse )相補体が、例えば、従来の方法に従うハイブリダイゼーション(例えば、Sambrookら、前出)によって使用され得る。ハイブリダイゼーションプローブとして、例えば、図7 、8A、9 、10、または11にそれぞれ示されるヌクレオチド配列あるいはこれらの配列の一部を正確にまたは基本的に有する核酸分子が、使用され得る。ハイブリダイゼーションプローブとして使用されるフラグメントは、従来の合成方法によって生成された合成フラグメントであり得、その配列は本発明の核酸分子の配列に基本的に対応する。
【0018】
本発明の核酸分子としてはまた、遺伝子コードの結果として縮重した配列を有する分子が挙げられる。
【0019】
さらなる実施形態において、本発明は、本発明のタンパク質をコードする上記の核酸分子のフラグメント、誘導体および対立遺伝子バリアントを含む核酸分子を提供する。「フラグメント」は、記載のタンパク質の1つをコードするのに十分な長さである核酸分子の一部であることが理解される。これらのフラグメントは、本発明の核酸分子の転写物に特異的にハイブリダイズする核酸分子を含む。これらの核酸分子は、例えば、プローブまたはプライマーとして、下記の診断アッセイおよび/またはキットにおいて使用され得、好ましくは、少なくとも10ヌクレオチドの長さ、特に少なくとも15ヌクレオチドの長さ、特に好ましくは少なくとも50ヌクレオチドの長さを有するオリゴヌクレオチドである。本発明の核酸分子およびオリゴヌクレオチドはまた、例えば、PCR 反応のためのプライマーとして使用され得る。特に有用なプローブ(プライマー)の例は、表1および2に示される。
【0020】
【表1】
Figure 2004505617
【0021】
【表2】
Figure 2004505617
【0022】
本文脈における用語「誘導体」とは、これらの分子の配列が1つの位置または数個の位置で上記の核酸分子の配列と異なっているが、これらの配列と高いレベルの相同性を有していることを意味する。この結果、相同性とは、少なくとも40% の配列同一性、特に少なくとも60% の同一性、好ましくは80% より高い同一性、特に好ましくは90% より高い同一性を意味する。核酸分子によってコードされるこれらのタンパク質は、図7 、8A、9 、10、または11にそれぞれ示されるアミノ酸配列に少なくとも80% 、好ましくは85% 、そして特に好ましくは90% より高い(97% および99% )配列同一性を有する。上記核酸分子に対するずれは、欠失、置換、挿入または組換えによって生成され得る。誘導体の定義としてはまた、スプライスバリアント(例えば、図8B〜8Eおよび9Bに示されるスプライスバリアント)が挙げられる。
【0023】
上記分子に相同であり、かつこれらの分子の誘導体になる核酸分子は、通常、同じ生物学的機能を有する改変を表すこれらの分子のバリエーションである。これらは、天然に存在するバリエーション(例えば、他の生物由来の配列)または天然に存在し得るか、もしくは特定の変異誘発によって誘導され得るかのいずれかの変異体である。さらに、バリエーションは、合成的に生成された配列であり得る。この対立遺伝子バリアントは、天然に存在するバリアント、または合成的に生成されたバリアントまたは組換えDNA プロセスによって生成されたバリアントのいずれかであり得る。
【0024】
一般的に、従来の分子生物学的プロセスによって、異なる変異を本発明の核酸分子へ導入することは可能である(例えば、Sambrookら、前出、参照のこと)。結果として、おそらく変更された生物学的特性を有するTrp タンパク質またはTrp 関連タンパク質が合成される。1つの可能性は、核酸分子がコードDNA 配列の5’末端または3’末端から連続的な欠失によって生成され、それに応じて短縮されたタンパク質の合成を導く欠失変異体の生成である。別の可能性は、アミノ酸配列の修飾が例えば、イオンチャンネル特性またはtrp イオンチャンネルの調節に影響を及ぼす位置での単一の点変異の導入である。この方法により、例えば、改変されたイオン伝導孔、改変されたK 値を有するか、または通常細胞内に存在する調節機構(例えば、アロステリック調節もしくは共有結合修飾に関して)をもはや受けないムテインが生成され得る。このようなムテインはまた、それぞれ、Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10bの治療的に有用なアンタゴニストとして貴重であり得る。
【0025】
遺伝子工学による原核生物細胞における操作のため、本発明の核酸分子またはこれらの分子の一部が、プラスミドへ導入され得、DNA 配列の組換えによる配列の変異誘発または改変を可能にする。従来の方法(Sambrookら、前出、参照)によって、塩基が交換され得、天然または合成配列が付加され得る。DNA フラグメントを互いに連結するため、アダプターまたはリンカーがフラグメントに付加され得る。さらに、適切な切断部位を提供するか、または余分なDNA もしくは切断部位を除去する操作が、実施され得る。挿入、欠失または置換が可能な場合、インビトロ変異誘発、プライマー修復、拘束またはライゲーションが実施され得る。解析方法として、通常、配列解析、拘束解析および他の生化学的または分子生物学的方法が使用される。
【0026】
本発明の核酸分子の種々のバリアントによってコードされるタンパク質は、特定の一般的な特徴(例えば、イオンチャンネル活性、分子量、免疫学的反応性または立体配座または物理的特性(例えば、電気泳動移動度、クロマトグラフィー性質(behavior)、沈降係数、可溶性、スペクトル特性、安定性、pH最適条件、温度最適条件など))を示す。
【0027】
本発明はさらに、本発明の核酸分子を含むベクターに関する。好ましくは、それらは、遺伝子工学の分野で通常使用されるプラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージおよび他のベクターである。本発明の使用に適切なベクターとしては、哺乳動物細胞における発現用のT7ベース発現ベクターおよび昆虫細胞における発現用のバキュロウイルス由来ベクターが挙げられるが、それらに限定されない。好ましくは、本発明の核酸分子は、翻訳され得る原核生物細胞および/または真核生物細胞におけるRNA の転写および合成を請け負う本発明の組換えベクター中の調節エレメントに作動可能に連結される。転写されるべきヌクレオチド配列は、T7、メタロチオネシンI またはポリヘドリン(polyhedrin)プロモーターなどのプロモーターに作動可能に連結され得る。
【0028】
さらなる実施形態において、本発明は、一過的にまたは安定に本発明の核酸分子またはベクターを含む組換え宿主細胞に関する。宿主細胞は、インビトロで組換えDNA を組み込み、場合により本発明の核酸分子によってコードされるタンパク質を合成し得る生物と理解される。好ましくは、これらの細胞は、原核生物細胞または真核生物細胞(例えば、哺乳動物細胞、細菌細胞、昆虫細胞または酵母細胞)である。本発明の宿主細胞は、好ましくは、本発明の導入核酸分子が、形質転換細胞に関して異種(すなわちこれらの細胞中に天然には存在しない)であるか、または対応する天然に存在する配列のゲノム中の場所とは異なる場所に局在化することにより特徴付けられる。
【0029】
本発明のさらなる実施形態は、ヒト前立腺癌関連タンパク質Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10bの生物学的特性を示し、かつ本発明の核酸分子によってコードされる単離されたタンパク質、ならびにそれらの産生方法に関する。それにより、例えば、本発明の宿主細胞は、タンパク質の合成を可能にする条件下で培養され、そしてこのタンパク質が続いて培養細胞および/または培養培地から単離される。組換え的に産生されたタンパク質の単離および精製は、従来の手段(予備クロマトグラフィーならびに抗Trp8a 抗体、抗Trp8b 抗体、抗Trp9抗体、抗Trp10a抗体または抗Trp10b抗体それぞれとの親和性に関連する親和性分離および免疫学的分離が挙げられる)によって実施され得る。
【0030】
本明細書中で使用される場合、用語「単離されたタンパク質」としては、天然に付随する他のタンパク質、核酸、脂質、炭水化物または他の物質を実質的に有さないタンパク質が挙げられる。しかし、このようなタンパク質は、組換え的に産生されたタンパク質を含むだけではなく、単離された天然に存在するタンパク質、合成的に生成されたタンパク質、またはこれらの方法の組み合わせによって生成されたタンパク質も含む。このようなタンパク質を調製するための手段は、当該分野で十分に理解される。Trp タンパク質は、好ましくは実質的に精製された形態である。ヒト前立腺癌関連タンパク質Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10bタンパク質(分泌タンパク質を含む)の組換え的に生成されたバージョンは、Smith およびJohnson, Gene 67;31−40(1988)に記載される1工程方法によって実質的に精製され得る。
【0031】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、アンチセンスRNA 配列およびリボザイムに関する。このアンチセンスRNA 配列は、本発明の核酸分子から転写されたmRNAまたはその一部に相補的であり、かつこのmRNAに選択的に結合し得ることに特徴を有し、この配列は、この核酸分子によってコードされるタンパク質の合成を阻害し得る。このリボザイムは、本発明の核酸分子から転写されたmRNAまたはその一部に相補的であり、かつこのmRNAに選択的に結合そして切断し得ることに特徴を有し、従って、この核酸分子によってコードされるタンパク質の合成を阻害する。単一のRNA 鎖から構成されるリボザイムは、標的RNA (例えば、Trp 遺伝子のうちの1つから転写されたmRNA)を分子間切断し得るRNA 酵素、すなわち、触媒RNA である。現在、論文(例えば、Tannerら、Antisense Research and Applications, CRC Press Inc.(1993),415−426 を参照のこと)に記載されるストラテジーに従って標的RNA を特異的部位で切断し得るリボザイムを構築することは可能である。このようなリボザイムに対する2つの主な必要条件は、切断のために必須の、標的RNA に相補的であり、かつその基質に結合可能な触媒ドメインおよび領域である。この相補的配列、すなわちアンチセンスRNA またはリボザイムは、Trp8a 発現、Trp8b 発現、Trp9発現、Trp10a発現およびTrp10b発現のそれぞれの抑制、すなわち、前立腺癌または子宮内膜癌(子宮の癌)の処置の場合に有用である。好ましくは、本発明のアンチセンスRNA およびリボザイムは、コード領域に相補的である。本発明の核酸分子の配列を提供された当業者は、上記アンチセンスRNA またはリボザイムを産生および利用する立場にいる。本発明の核酸分子から転写されたmRNAに相補性を示すアンチセンスRNA およびリボザイムのそれぞれの領域は、好ましくは、少なくとも10ヌクレオチド長、特に少なくとも15ヌクレオチド長および特に好ましくは少なくとも50ヌクレオチド長を有する。
【0032】
さらなる実施形態において、本発明は、上記のアンチセンスRNA またはリボザイムと類似の目的(すなわち、生物学的に活性なTrp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10b分子の減少または除去)を満たすTrp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aおよびTrp10bのそれぞれのインヒビターに関する。このようなインヒビターは、例えば、アンタゴニストとして作用する対応するタンパク質の構造アナログであり得る。さらに、このようなインヒビターは、組換え的に生成されたタンパク質の使用によって(例えば、適切な条件下でタンパク質に結合する強力なインヒビターの能力を利用することによって)同定された(例えば、この組換え的に生成されたタンパク質を使用して、インヒビターをスクリーニングかつ同定し得る)分子を含む。このインヒビターは、例えば、試験混合物を調製することによって同定され得、ここで、このインヒビター候補は、Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10bがネイティブ構造であり得る適切な条件下でTrp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10bそれぞれと共にインキュベートされる。このようなインビトロ試験系は、当該分野で周知の方法に従って確立され得る。インヒビターは、例えば、組換え的に生成されたTrp タンパク質に結合する合成または天然に存在する分子のいずれかに対する第一スクリーニング、次いで第二工程において、以下の実施例に記載されるような生物学的活性のうち少なくとも1つの阻害によって影響を及ぼされるようなTrp タンパク質の阻害に対する細胞アッセイにおいてこれらの選択された分子を試験することによって同定され得る。Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10bを結合する分子のこのようなスクリーニングは、ラージスケールで、例えば、合成および/または天然分子のライブラリーから候補分子をスクリーニングすることによって容易に実施し得た。このようなインヒビターは、例えば、合成有機化学物質、天然発酵産物、微生物、植物もしくは動物から抽出された基質、またはペプチドである。インヒビターのさらなる例は、特異的抗原、好ましくはモノクローナル抗体である。さらに、本発明のヌクレオチド配列およびコードされるタンパク質を使用して、腫瘍発達および進行に関するさらなる因子を同定し得る。本文脈においては、trp ファミリーのメンバーのカルシウムチャンネルの改変はT リンパ球の増殖を導くT リンパ球の免疫応答の刺激を生じ得ることが強調されるべきである。本発明のタンパク質は、例えば、タンパク質/タンパク質相互作用に基づくスクリーニング方法(例えば、ツーハイブリッドシステム Fields, S.およびSong, O. (1989) Nature (340):245−246)を使用して腫瘍に関連するさらなる(非関連)タンパク質を同定するために使用され得る。
【0033】
本発明はまた、タンパク質Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bあるいはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bコードmRNAを含むと考えられる標的サンプルを、Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bあるいはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bコードmRNAと反応する試薬と接触させて、Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bあるいはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bコードmRNAを検出することを含む前立腺癌の診断方法を提供する。
【0034】
胎盤の癌細胞(絨毛膜癌)、肺の癌細胞および前立腺の癌細胞はTrp10 転写物ならびにTrp10 アンチセンス転写物およびTrp10 アンチセンス転写物に部分的に相補的な転写物を発現することがわかっている。従って、本発明はまた、被験体の組織中の黒色腫、絨毛膜癌、肺の癌および前立腺の癌を診断する方法を提供する。この方法は、サンプルをTrp10aおよび/またはTrp10bアンチセンスRNA を検出する試薬と接触させることを含む。
【0035】
標的がmRNA(またはアンチセンスRNA )である場合、試薬は、典型的に核酸プローブまたはPCR に対するプライマーである。当業者は、図7 、8a、10および11にそれぞれに、または上記の表1および2に示されるようなTrp8a 、Trp8b 、Trp10aまたはTrp10bのヌクレオチド配列に関する情報に基づいて、適切な核酸プローブを設計する立場にある。標的がタンパク質である場合、試薬は、典型的に、抗体プローブである。用語「抗体」とは、好ましくは、異なるエピトープ特異性を有するプールモノクローナル抗体から本質的になる抗体および独特なモノクローナル抗体調製物をいう。モノクローナル抗体は、当業者に周知の方法によって本発明のタンパク質のフラグメントを含む抗原から作製される(例えば、Koehler ら、Nature 256 (1975), 495を参照のこと)。本明細書中で使用される場合、用語「抗体」(Ab)または「モノクローナル抗体」(Mab )は、タンパク質に特異的に結合し得るインタクトな分子および抗体フラグメント(例えば、Fab およびF(ab’)2 フラグメントなど)を含むことが意味される。Fab およびF(ab’)2 フラグメントは、インタクトな抗体のFcフラグメントを欠き、循環からより速やかになくなり、そしてインタクトな抗体よりも低い非特異的組織結合を有し得る(Wahlら、J. Nucl. Med.24:316−325(1983) )。従って、これらのフラグメントおよびFAB または他の免疫グロブリン発現ライブラリーの産物が好ましい。さらに、本発明の抗体としては、キメラ抗体、一本鎖抗体、およびヒト化抗体が挙げられる。例えば、生物学的流体または組織における標的細胞成分、すなわち、Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10b、あるいはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bコードmRNAあるいはTrp10a/bアンチセンス転写物は、例えば、インサイチュハイブリダーゼーション(例えば、以下の実施例に従って)によって直接インサイチュで検出され得るか、またはプローブと接触させる前に当業者に公知の一般的方法によって他の細胞成分から単離され得る。検出方法としては、ノザンブロット分析、RNase 保護、インサイチュ方法(例えば、インサイチュハイブリダイゼーション)、インビトロ増幅方法(PCR 、LCR 、QRNAレプリカーゼまたはRNA 転写/増幅(TAS 、3SR )、逆ドットブロット(EP−B1 O 237 362 に開示される))、免疫アッセイ、ウエスタンブロットおよび当業者に公知の他の検出アッセイが挙げられる。
【0036】
インビトロ増幅によって得られた産物は、確立された方法に従って(例えば、産物をアガロースゲル上で分離し、続いてエチジウムブロマイドで染色することによって)検出され得る。あるいは、増幅産物は、増幅または標識dNTPに対する標識プライマーを使用することによって検出され得る。
【0037】
このプローブは、例えば、放射性同位体、生物発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレート剤または酵素を用いて検出可能に標識され得る。
【0038】
組織におけるTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよびTrp10bそれぞれの発現は、古典的免疫組織学方法を用いて研究され得る(Jalkanenら、J. Cell. Biol. 101 (1985), 976−985; Jalkanenら、J. Cell. Biol. 105 (1987), 3087−3096; Sobol ら、Clin. Immunpathol. 24 (1982), 139−144; Sobolら、Cancer 65 (1985), 2005−2010 )。タンパク質遺伝子発現を検出するために有用な他の抗体ベースの方法としては、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA )および放射免疫測定法(RIA )などの免疫アッセイが挙げられる。適切な抗体アッセイ標識は、当該分野で公知であり、グルコースオキシダーゼなどの酵素標識、および放射性同位体(例えば、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C )、硫黄(35S )、トリチウム(H)、インジウム(112In )およびテクネチウムローダミン)、ならびにビオチンが挙げられる。生物学的サンプルにおけるTrp8a 、Trp8b 、Trp10aまたはTrp10bレベルをアッセイすることに加えて、タンパク質はまた、画像化によってインビボで検出され得る。タンパク質のインビボ画像化のための抗体標識またはマーカーとしては、X−線撮影法、NMR またはESR によって検出可能なものが挙げられる。X−線撮影法について、適切な標識としては、検出可能な放射線を放射するが被験体に対して明白に有害ではないバリウムまたはセシウムなどの放射性同位体が挙げられる。NMR およびESR に対する適切なマーカーとしては、直接的なハイブリドーマに対する栄養素を標識することによって抗体に組み込まれ得る重水素などの検出可能な特徴的なスピンを有するものが挙げられる。適切な検出可能な画像化部分(例えば、放射性同位体(例えば、131I、112In 、99mTc )、放射性不透明(radio−opaque)基質、または核磁気共鳴で検出可能な物質)で標識されているタンパク質特異的抗体または抗体フラグメントは、哺乳動物へ導入される(例えば、非経口、皮下、または腹腔内)。被験体のサイズおよび使用される画像化システムが診断画像を生成するのに必要な画像化部分の量を決定することが当該分野で理解される。放射性同位体部分の場合、ヒト被験体に対して、注入される放射性同位体の量は、通常約5 〜20ミリキュールの99mTc の範囲である。標識された抗体または抗体フラグメントは、次いで、特異的タンパク質を含む細胞の位置で好ましくは蓄積する。インビボ腫瘍画像化は、S.W. Burchiel ら、「Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragment」(Tumor Imaging 第13章:The Radiochemical Detection of Cancer, S.W. BurchielおよびB.A. Rhodes 編、Masson Publishing Inc.(1982))に記載される。
【0039】
マーカーTrp8a およびTrp8b はまた、例えば、インサイチュハイブリダイゼーションを使用することによって腫瘍の進行および前立腺腫瘍の悪性の程度の診断評価(格付けおよび病気分類)をモニターするため、予後に有用である。原発性癌においては、Trp8は約2 〜10% の癌細胞中において発現され、レジディブ(rezidive)癌においては約10〜60% の細胞において発現され、および転移においては約60〜90% の細胞において発現される。
【0040】
本発明はまた、タンパク質Trp8a および/もしくはTrp8b 、またはTrp8a および/もしくはTrp8b コードmRNAを含むと考えられる標的サンプルを、Trp8a および/もしくはTrp8b またはそのコードmRNAと反応する試薬と接触させて、Trp8a および/またはTrp8b コードmRNAを検出することを含む子宮内膜癌(子宮の癌)の診断方法に関する。本方法の特定の実施形態に関して、参考は、上記の前立腺癌の診断方法の特定の実施形態に対してなされる。
【0041】
Trp8a 、Trp8b 、Trp10aもしくはTrp10bの濃度またはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aもしくはTrp10bコードmRNAの濃度が正常であるか、あるいは増加しているか、従って、悪性腫瘍の存在についての指標を評価するため、測定濃度は、好ましくは数量化のためにTrp8a :Trp9、Trp8b :Trp9またはTrp10 (a もしくはb )/Trp9 の比を使用することによって正常組織における濃度と比較される。
【0042】
前立腺癌は侵襲的に増加している場合、それ自身の基底膜を形成するので、Trp8およびTrp10 を発現する細胞のみが、この現象に関連すると結論付けられ得る。従って、これらのタンパク質の発現および/または活性を阻害することによって、PCA のような癌の有効治療が提供されると結論付けられ得る。
【0043】
従って、本発明はまた、Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/もしくはTrp10b発現またはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/もしくはTrp10bの活性を減少あるいは阻害する試薬を含む医薬組成物、ならびに哺乳動物被験体に治療的に有効な量の試薬(Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/もしくはTrp10b発現またはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/もしくはTrp10bの活性を減少あるいは阻害する)を投与することを含む前立腺腫瘍、子宮内膜癌(子宮癌)腫瘍、絨毛膜癌、肺の癌または黒色腫を予防、処置、または改善する方法に関する。このような試薬の例は、上記のアンチセンスRNA 、リボザイムまたはインヒビター(例えば、特異的抗体)である。さらに、Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aおよび/またはTrp10bの生物学的機能を阻害あるいは調節するペプチドは、治療試薬として有用であり得る。例えば、これらのペプチドは、Rottgen, P. およびCollins, J.(Gene (1995)164(2):243−250)に記載されるように、組み合わせファージディスプレイライブラリー(Cosmix, Braunschweig, Germany )のスクリーニングによって得られ得る。さらに、Trp8およびTrp10 タンパク質の抗原性エピトープは、E.coliにおける組換えTrp8およびTrp10 エピトープライブラリーの発現(Marquart, A & Flockerzi, V., FEBS Lett. 407(1997),137−140; Trost, C.ら、FEBS Lett. 451(1999),257−263)および前立腺の癌または子宮内膜の癌に罹患する患者の血清を用いたこれらのライブラリーの連続スクリーニングによって同定され得る。次いで、免疫原性であり、かつ患者の血清中の抗体の形成を導くこれらのTrp8およびTrp10 エピトープは、Trp8またはTrp10 を発現する癌細胞に対する免疫発見のためのTrp8またはTrp10 誘導ペプチドワクチンとして使用され得る。あるいは、E.coli発現系に対して、Trp8もしくはTrp10 またはTrp8およびTrp10 のエピトープは、ヒト胎児腎臓(Hek293)細胞(American Type Culture Collection, ATCC CRL 1573 )などの哺乳動物細胞株において発現され得る。
【0044】
最後に、上記疾患の治療に有用な化合物は、イオンチャンネルTrp8、Trp9およびTrp10 上でアンタゴニストまたはアゴニストとして作用する化合物を含む。Trp8は、一価イオン(すなわちナトリウム)および二価イオン(すなわちカルシウム)の存在下でカルシウムイオンに対してのみ透過性である高いカルシウム選択的イオンチャンネルであることが示され得た(以下の実施例4 、および図3A、C 、E を参照のこと)。生理学的条件下で、Trp8は、大きな内部電流を示すカルシウム選択チャンネルである。Trp8チャンネル(ならびにTrp9およびTrp10a/bチャンネル)のこの非常に大きな伝導性は、Trp チャンネルと相互作用する薬理学化合物をスクリーニングするための系(ハイスループットスクリーニング系を含む)を確立するのに有用である。有用なハイスループットスクリーニング系は、当業者に周知であり、例えば、生物学的系におけるカルシウムシグナル伝達を検出するためのアッセイにおいてTrp8、Trp9およびTrp10 チャンネルをコードするDNA 配列で安定にまたは一過的にトランスフェクトされた細胞株を使用することが挙げられる。このような系としては、Ca感受性色素(例えば、エクオリン、アポエクオリン、Fura−2、Fluo−3およびIndo−1など)に基づくアッセイが挙げられる。
【0045】
したがって、本発明はまた、イオンチャンネルTrp8、Trp9および/またはTrp10 におけるアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する化合物を同定する方法に関し、該方法は、好ましくは、Trp8、Trp9および/またはTrp10 をコードするDNA 配列と安定にまたは一過的にトランスフェクトした細胞に基づくシステムを用いることにより、試験化合物とイオンチャンネルTrp8、Trp9および/またはTrp10 とを接触させ、該試験化合物がカルシウム取り込みに影響を与えるかどうかを決定することを含む。
【0046】
投与のために、上記試薬は好ましくは適切な医薬キャリアと組み合わされる。適切な医薬キャリアの例は、当該分野において周知であり、リン酸緩衝化生理食塩水、水、オイル/水エマルジョンなどのエマルジョン、種々の型の湿潤剤、滅菌溶液などが挙げられる。かかるキャリアは、通常法により配合され得、適切な用量で被験体に投与されうる。適切な組成物の投与は、静脈内、腹腔内、皮下、筋内、局所または皮内投与などの異なる経路によりもたらされうる。投与経路は、もちろん腫瘍の性質および医薬組成物に含まれる化合物の種類に依存する。用量養生法は、担当医師および他の臨床因子により決定されうる。医学分野で周知のように、任意の一患者の用量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、性別、投与される特定の化合物、投与時間および投与経路、腫瘍の種類および段階、全身の健康および同時に投与される他の薬物を含む多くの因子に依存する。
【0047】
本発明のアンチセンスRNA またはリボザイムの送達は、直接適用により、または好ましくは、これらの化合物を含むキメラウイルスなどの組換え発現ベクターまたはコロイド分散系を用いることにより、達成されうる。所望の標的にこれらの核酸を送達することにより、例えば、PCA の転移形成に関して、Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bの細胞内発現、およびしたがって、Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bのレベルが減少されえ、Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bの陰性効果の阻害を生じうる。
【0048】
例えば、コロイド分散系として衝撃送達により、または動脈における部位へカテーテルにより、標的部位への直接適用を行ないうる。上記核酸の送達に使用しうるコロイド分散系は、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズおよび水中油エマルジョンを含む液体基準系(混合)、ミセル、リポソームおよびリポプレックス(lipoplex)が挙げられる。好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームの組成は、通常リン脂質およびステロイド、特にコレステロールの組み合わせである。当業者は、所望の核酸分子の送達に適切なかかるリポソームを選択する位置にある。組織特異的または細胞特異的リポソームを、所望の腫瘍へのみの送達を達成するために使用しうる。リポソームの標的化は、一般に公知の方法を適用することにより、当業者により行われうる。この標的化は、受動的標的化(洞様毛細血管を含む器官においてRES の細胞に分配するリポソームの自然の傾向を利用する)および能動的標的化(例えば、既知の方法により、例えば、抗体、レセプター、糖、糖脂質、タンパク質などの特異的リガンドにリポソームを結合させることにより)を含む。本発明では、特異的細胞表面リガンドを介して特異的腫瘍へのリポソームを標的化させるために、好ましくはモノクローナル抗体が使用される。
【0049】
遺伝子治療に有用な好ましい組換えベクターは、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、またはより好ましくはレトロウイルスなどのRNA ウイルスである。よりいっそう好ましくは、レトロウイルスベクターは、マウスまたはトリレトロウイルスの誘導体である。本発明で使用されうるかかるレトロウイルスベクターの例は、Moloney マウス白血病ウイルス(MoMuLV)、Harveyマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳房腫瘍ウイルス(MuMTV) およびRous肉腫ウイルス(RSV) である。最も好ましくは、マウスベクターと比較して、より広い宿主範囲を提供するテナガザル白血病ウイルス(GaLV)などの非ヒト霊長類レトロウイルスベクターが使用される。組換えレトロウイルスは不安定であるので、伝染性粒子を作製するために援助が必要である。かかる援助は、例えば、LTR 内での調節配列の制御下でレトロウイルスの構造遺伝子の全てをコードするプラスミドを含むヘルパー細胞株を用いることにより、提供されうる。適切なヘルパー細胞株が、当業者に周知である。かかるベクターは、選択可能なマーカーをコードする遺伝子をさらに含みうるので、形質導入細胞が同定されうる。さらに、レトロウイルスベクターは、標的特異的になるように改変されうる。これは、例えば、糖、糖脂質、またはタンパク質、好ましくは抗体をコードするポリヌクレオチドを挿入することにより、達成されうる。当業者は、標的特異的ベクターのさらなる作製方法を知っている。インビトロ遺伝子療法またはインビボ遺伝子療法に関するさらに適切なベクターおよび方法が、文献に記載されており、当業者に公知である。例えば、WO94/29469またはWO97/00957参照。
【0050】
標的器官、すなわち処置対象の腫瘍においてのみ発現を達成するために、例えば、アンチセンスRNA またはリボザイムをコードする核酸がまた、作動可能に組織特異的プロモーターに連結され、遺伝子療法に使用されうる。かかるプロモーターは、当業者に周知である(Zimmermann ら、(1994) Neuron 12、11−24; Vidalら; (1990) EMBO J. 9、833−840; Mayfordら、(1995)、Cell 81 、891−904; Pinkertら、(1987) Genes & Dev. 1 、268−76参照) 。
【0051】
前記で論じた診断的研究における使用に対して、キットがまた本発明により提供される。かかるキットは、Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10b、または代替的にはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bをコードするmRNAまたはTrp10a/bアンチセンス転写物である標的細胞成分の検出に有用であり、ここで、Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10b、または代替的にはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bをコードするmRNAまたはTrp10a/bアンチセンス転写物の存在または増大した濃度は、前立腺腫瘍、子宮内膜癌、黒色腫、絨毛膜癌または肺癌を示し、該キットは、Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aおよび/またはTrp10b、または代替的にはTrp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aおよび/またはTrp10bをコードするmRNAまたはTrp10a/bアンチセンス転写物の検出のためのプローブを含む。プローブは、検出可能に標識されうる。かかるプローブは、特異的抗体または特異的オリゴヌクレオチドでありうる。好ましい態様において、前記キットは、抗Trp8a 抗体、抗Trp8b 抗体、抗Trp9抗体、抗Trp10a抗体および/または抗Trp10b抗体を含み、例えばELISA により前記診断を可能にし、当該分野で公知の技術を用いて、固体支持体、例えば、ポリスチレンマイクロタイター皿またはニトロセルロース紙に結合した抗体を含む。代替的には、前記キットは、RIA に基づき、放射性同位体で標識された前記抗体を含む。本発明のキットの好ましい態様において、抗体は、酵素、蛍光化合物、発光化合物、強磁性プローブまたは放射性化合物で標識される。本発明のキットは、例えば、本発明の1つ以上のプローブが充填された1つ以上の容器を含みうる。医薬品または生物学的産物の製造、使用または販売を調整する政府機関により規定された形態における通知がキットの容器に付随し、通知は、ヒト投与のための製造、使用または販売による機関による承認を反映する。
【0052】
実施例
以下の実施例は、説明を意図し、本発明を限定しない。かかる実施例は、使用されうる代表的なものである一方、当業者に公知の他の方法が代替的に利用されうる。
【0053】
実施例1:材料および方法
(A)cDNAクローンの単離およびノーザンブロット解析
全RNA を標準技術を用いてヒト胎盤および前立腺から単離した。製造業者の説明書にしたがって、ポリ(A) RNA−スピンカラム(New England Biolabs, Beverly, USA) を用いてmRNAの単離を行なった。cDNA選択システム(Gibco−BRL, Rockville, USA) を用いてポリ(a) RNA を逆転写し、λ−Zapファージ(Stratagene, La Jolla, USA) にサブクローン化した。ヒト発現配列タグ(GenBankアクセッション番号1404042)を用いて、オリゴd(T)プライム化(primed)ヒト胎盤cDNAライブラリーをスクリーニングした。いくつかのcDNAクローンを同定し、単離した。プライマー5’−gca tag gaa ggg aca ggt gg−3’および5’−gag agt cga ggt cag tgg tcc−3’ を用いて、さらなるcDNAクローンを2つの特異的なプライム化cDNAライブラリーから単離した。
【0054】
cDNAクローンをサーモサイクラー(PE Applied Biosystems, USA)およびThermo Sequenase(Amersham Pharmacia Biotech Europe, Freiburg, Germany)を用いて配列決定した。DNA 配列を、自動シークエンサー(Licor, Linccoln, USA)を用いて解析した。
【0055】
ノーザンブロット解析のために、0.8 %アガロースゲル上の電気泳動により、ヒト胎盤または前立腺由来の5 μg のヒトポリ(A) RNA を分離した。ポリ(A) RNA をHybond Nナイロン膜(Amersham Pharmacia Biotech Europe, Freiburg, Germany)に移した。膜を42℃で一晩50%ホルムアミドの存在下でハイブリダイズした。[α32P ]dCTPおよび「ready prime 」標識キット(Amersham Pharmacia Biotech Europe, Freiburg, Germany)を用いて、DNA プローブを標識した。市販のノーザンブロットを配給業者の説明書にしたがってハイブリダイズさせた(Clontech, Paolo Alto, USA) 。
【0056】
(B)発現プラスミドの構築およびHEK293細胞のトランスフェクション
Trp8b のcDNAを含む組換えジシストロン(dicistronic )真核生物発現プラスミドpdiTRP8 を用いて、トリβアクチンプロモーター、次いで内部リボソームエントリーサイド(IRES)およびグリーン蛍光タンパク質(GFP) のcDNAの制御下で、リポフェクションを行なった。TRP8b およびGFP の全タンパク質コード領域を保有するpdiTRP8 を得るために(Prasher, D.C.ら(1992)、Gene 111、229−233)、TRP8b cDNAの5’および3’− 非翻訳配列を除去し、脊椎動物における翻訳の開始に対するコンセンサス配列(Kozak, M.(1987) Nucleic Acids Research15 、8125−8148)を翻訳開始コドンのすぐ5’に導入し、得られたcDNAを、トリβアクチンプロモーターの下流のpCAGGSベクター(Niwa,H.、Yamamura,K. およびMiyazaki,J. (1991)、Gene 8、193−199)にサブクローン化した。脳心筋炎ウイルスに由来するIRES(Kim,D.G. 、Kang,H.M. 、Jang,S.K. およびShin H.S.(1992) Mol. Cell. Biol. 12, 3636−3643) 、それに続いてSer65Thr変異を含むGFP cDNA(Heim, R、Cubitt, A.B.、Tsien, R.Y.(1995) Nature 373、663−664)を、TRP8b cDNAに3’をクローン化した。IRES配列は1つの転写物からTRP8b およびGFP の同時翻訳を可能にする。したがって、グリーン蛍光の発現により、トランスフェクト細胞を明白に検出しうる。
【0057】
細胞内Ca2+濃度のモニタリングのために、リポフェクタミン(Quiagen, Hildren, Germany) の存在下に4:1 のモル比でpcDNA3−TRP8bベクターおよびpcDNA3−GFPベクターを用いて、ヒト胎児腎臓(HEK 293) 細胞を同時トランスフェクトした。pcDNA3−TRP8bを得るために、脊椎動物における翻訳の開始に対するコンセンサス配列(Kozak, M.(1987) Nucleic Acids Research15, 8125−8148) を含むTRP8b の全タンパク質コード領域をpcDNA3ベクター(Invitrogen, Groningen, Netherlands)にサブクローン化した。カルシウムモニタリングおよびパッチクランプ試験を、それぞれ2日およびトランスフェクション後1日行なった。
【0058】
(C)Trp8遺伝子の染色体局在化
NIGMS 体ハイブリッドマッピングパネルNo.2(Coriell Institute, Camden, NJ, USA)を用いて、以前記載されたようにヒトTRP8遺伝子の染色体局在化を行なった(Drwinga,H.L. 、Toji,L.H. 、Kim, C.H. 、Greene,A.E. 、Mulivor,R.A.(1993) Genomics 16、311−314; Dubois,B.L.およびNaylor,S.L.(1993) Genomics 16 、315−319)。
【0059】
(D)インビトロ翻訳、グルタチオン−セファロースおよびカルモジュリンアガロース結合アッセイ
N−およびC−末端Trp8− フラグメントをpGEX−4T2ベクター(Amersham Pharmacia Europe, Freiburg, Germany)にサブクローン化し、グルタチオン−S− トランスフェラーゼ(GST)−Trp8融合構築物を生じた(図4)。大腸菌BL 21 細胞においてGST−TRP8− 融合タンパク質を発現させ、グルタチオン−セファロースビーズ(Amersham Pharmacia Biotech Europe, Freiburg, Germany)を用いて精製した。
【0060】
TNT 結合転写/翻訳キット(Promega, Madison, USA) を用いて、35S−メチオニンの存在下で、ヒトTrp8 cDNA およびアフリカツメガエルカルモジュリン(Xenopus laevis)cDNA(Davis, T.N.およびThorner, J. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86, 7909−7913) のインビトロ翻訳を行なった。翻訳産物をゲル濾過(Sephadex G50 、Amersham Pharmacia Biotech Europe, Freiburg, Germany) により精製し、1mM Ca2+または2mM EGTAの存在下で50mM Tris−HCl 、pH7.4 、0.1 %Triton X−100、150mM NaCl中にて、GST−Trp8またはカルモジュリン−アガロースに結合したグルタチオンビーズ(Calbiochem)と共に等量の35S 標識プローブを2時間インキュベートした。3回洗浄した後、結合タンパク質をSDS サンプルバッファーを用いて溶出し、SDS−PAGEにより分画し、35S 標識タンパク質をPhosphor Imager(Fujifilm, Tokyo, Japan) を用いて検出した。
【0061】
(E)カルシウム測定
細胞内Ca2+濃度([Ca2+ )をデジタル画像化システム(T.I.L.L. Photonics, Planegg, Germany)を用いて二重波長fura−2蛍光比測定(Tsien, R.Y.(1988) Trends Neurosci. 11、419−424)により決定した。HEK 細胞を10%ウシ胎仔血清の存在下で最少必須培地において増殖させ、前記(B)に記載のようにpcDNA3−TRP8bベクターおよびpCDNA3−GFPベクターを用いて同時トランスフェクトした。トランスフェクト細胞をグリーン蛍光の発現により検出した。4 μM fura−2/AM (Molecular Probe, Oregon, USA)を細胞に1時間負荷した。負荷後、細胞をバッファーB1(10mM Hepes 、115mM NaCl、2mM MgCl 、5mM KCl 、pH7.4)で3回リンスし、(Garcia, D.E. 、Cavalie, A. およびLux, H.D.(1994) J.Neurosci 14 、545−553)に記載のように340nm および380nm の励起波長で得られる蛍光比から[Ca2+ を計算した。
【0062】
(F)電気生理学的記録
HEK 細胞を(B)に記載の真核生物発現プラスミドpdiTRP8 を用いてトランスフェクトし、トランスフェクション後1日電気力学的記録を行なった。(Hamill, O.P. 、Marty, A. 、Neher, E. 、Sakmann, B. およびSigworth, F.J.(1981) Pfluegers Arch. 391、85−100;Philipp, S.、Cavalie, A. 、Freichel, M.、Wissenbach, U.、Zimmer, S.、Trost, C. 、Marquart, A.、Murakami, M.およびFlockerzi, V.(1996)EMBO J. 6166−6171) に記載のように、パッチクランプ技術のホールセルモードで、単細胞を電圧固定した。ピペット溶液は、(mM)で含まれる:140 アスパラギン酸、10 EGTA 、10 NaCl 、1 MgCl 、10 Hepes(CsOH を有してpH7.2)または125 CsCl、10 EGTA 、4CaCl、10 Hepes(CsOH を有してpH7.2)を含んだ。容器の溶液は、(mM)で含まれる:100NaCl、10CsCl、2MgCl、50マンニトール、10グルコース、20Hepes(CsOHを有してpH7.4)および2CaClを含むか、またはCaCl を添加しなかった(−Ca2+溶液) 。二価を含まない容器の溶液は、(mM):110N−メチル−D− グルカミン(NMGD)を含んだ。変化する保持電位(holding potentials)で−100〜+100mVの100msec 電圧ランプの間ホールセル電流を記録した。
【0063】
(G)インサイチュハイブリダイゼーション
6 〜8 μM の厚さのホルマリン固定組織スライスを用いて、インサイチュハイブリダイゼーションを行なった。スライスを水和し、10μg/mlのプロテイナーゼK(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany) を含むPBS バッファーの存在下で0.5 時間インキュベートした。ビオチン標識デオキシ−オリゴヌクレオチド(0.5pmol/ μl ) を用いて33%ホルムアミドの存在下にスライスを37℃で12時間ハイブリダイズさせた。さらに、スライスを2 ×SSC で数回リンスし、アビジン/ビオチン標識西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体(ABC, DAKO, Santa Barbara,USA)を用いて25℃で0.5 時間インキュベートした。PBS バッファーを用いて数回洗浄した後、スライスをビオチン標識チラミド (tyramid)および過酸化物(0.15 % w/v) の存在下で10分間インキュベートし、PBS バッファーでリンスし、さらにABC 複合体と共に0.5 時間インキュベートした。スライスをPBS バッファーを用いて洗浄し、DAB 溶液(N,N−ジメチル−ホルムアミド中にジアミノベンジジン(50 μg/ml) 、50mM Tris/EDTAバッファーpH8.4 、0.15% H ; Merck, Darmstadt, Germany)の存在下でインキュベートした。4分後、水中でスライドをインキュベートすることにより検出を停止した。NHS−LCビオチン(スルホスクシニミジル−6−(ビオチニミド)−ヘキサノエート) 、2.5mg/ml; Pierce, Rockford,USA) およびチラミン−HCl(0.75mg/ml, Sigma)を25mMホウ酸バッファー、pH8.5 中で12時間インキュベートすることにより、チラミドをビオチン標識した。チラミド溶液をPBS バッファー中で1 〜5:1000に希釈した。
【0064】
(H)GenBank アクセッション番号:TRP8a、Aj243500;TRP8b Aj243501
【0065】
実施例2:TRP8転写物の発現
イオンチャンネルのTRP ファミリーに遠く関連するタンパク質の検索において、ヒト発現配列タグ(EST, GenBank アクセッション番号1404042)をVR1 遺伝子に少し相同であるBLAST プログラム(National Center for Biotechnology Information(NCBI)にて;Altschul,S.F.、Gish,W. 、Miller,W. 、Myers,E.W.およびLipman,D.J.J.(1990) Mol. Biol. 5、403−410)を用いてGenBank データベースにおいて同定した。数個のヒト胎盤cDNAライブラリーを構築し、プローブとしてこのEST DNA を用いてスクリーニングした。数個の全長cDNAクローンを同定し、単離した。全長cDNAクローンは、3個のアミノ酸において異なる2つの推定上のタンパク質をコードし、Trp8a およびTrp8b と呼んだ(図1c、2a、7 および8A)。2個体の胎盤から構築された2つのcDNAライブラリーからcDNAクローンを単離することにより、この知見を再現した。誘導されたタンパク質配列は、6個の膜貫通ドメイン、trp チャンネルに特有の全般的な特徴および関連するタンパク質を含む(図1b)。配列は、一方で公開された、ラット腸から単離されたカルシウム取り込み輸送タンパク質1(CaT1)(Peng, J.B. 、Chen,X.Z. 、Berger,U.V. 、Vassilev, P.M.、Tsukaguchi,H. 、Brown,E.M.およびHediger M.A.(1999) J. Biol Chem.6;274 、22739−22746)およびウサギ腎臓から単離された上皮カルシウム取り込みチャンネル(ECaC)(Hoenderop,J.G. 、van der Kemp,A.W. 、Hartog,A. 、van de Graaf,S.F. 、van Os, C.H.、Willems, P.H. およびBindels, R.J.(1999) J.Biol Chem. 26;274 、8375−8378)に密接に関連した。Trp8a/b 転写物の発現は、ヒト胎盤、膵臓および前立腺において検出可能であり(図5)、ノーザンシグナルのサイズ(3.0kb) は、単離された全長cDNAのサイズに対応する。さらに、1.8kb のより短い転写物、おそらくスプライスバリアントは、ヒト精巣において検出可能である。Trp8 mRNA は小腸または結腸では発現されないこと(図5)は、Trp8がラットCaT1またはウサギECaCタンパク質のヒトオルソログではないことを意味する。他の関連配列があるかどうかを調査するために、Trp8a/b 由来プライマー(UW241、5’−TAT GAG GGT TCA GAC TGC−3’ およびUW242 、5’−CAA AGT AGA TGA GGT TGC−3’)を使用して、Trp8配列にヌクレオチドレベルで95%同一である105bp フラグメントをヒトゲノムDNA から増幅した(データは示さず)。これは、ヒトにおける少なくともゲノムレベルでの数個の類似配列の存在を示す。
【0066】
実施例3:Trp8タンパク質の2つのバリアント(Trp8aおよびTrp8b)は多型を生じる
Trp8 cDNA の2つのバリアントをヒト胎盤から単離し(図2A、7 および8A)、それは3つのアミノ酸において異なる2つのタンパク質をコードし、Trp8a およびTrp8b と呼んだ。Trp8a/b 特異的プライマーを設計し、ヒトT−リンパ球から単離したゲノムDNA 由来のTrp8遺伝子の458bp のDNA フラグメントを増幅した(プライマー対:UW243、5’−CAC CAT GTG CTG CAT CTA CC−3’およびUW244 、5’−CAA TGA CAG TCA CCA GCT CC−3’) 。増幅産物は、Trp8a の由来するタンパク質の配列がアミノ酸のバリンを含み、Trp8b 配列がメチオニンを含む1部の配列ならびにサイレント塩基対置換(g対a)および303bp のイントロンを含む(図2A、B )。Trp8遺伝子の両方のバリアント(a、b)が等量でゲノムDNA から増幅された。このことは、ヒトゲノムにおける両方のバリアントの存在を示し、それゆえにRNA 編集の結果でない(図2B)。Trp8a 遺伝子は、制限酵素Bsp1286Iを用いる458bp のゲノムフラグメントを切り出すことにより、Trp8b 遺伝子と区別されうる(図2B) 。鋳型として12人のヒト被験体の血液から単離したヒトゲノムDNA を用いて、458bp フラグメントを増幅し、BSP1286Iを用いて拘束した。試験した被験体11人において、Trp8b 遺伝子のみが検出可能であり、一方1人の被験体(7) がTrp8a およびTrp8b 遺伝子を含む(図2D) 。これらは、2 つのTrp8バリアントが多型により生じ、個体の遺伝子を表さないことを示す。Trp8特異的プライマーおよび染色体DNA を鋳型として用いると、Trp8遺伝子座は第7 染色体で検出可能である(図2C) 。
【0067】
実施例4:Trp8b はカルシウム透過チャンネルである
Trp8b cDNAのタンパク質コード配列を、サイトメガロウイルスプロモーター(CMV) の制御下でpcDNA3ベクター(Invitrogen, Groningen, Netherlands)にサブクローン化した。Trp8b pcDNA3構築物(pcDNA3−Trp8b ベクター) およびグリーン蛍光タンパク質(GFP) をコードするpcDNA3−GFPベクターを4:1 の比で用いてヒト胎児腎臓(HEK 293) 細胞を同時トランスフェクトした。Trp8b cDNAおよびレポーターのcDNA、GFP をヒト胎児腎臓(HEK 293) 細胞において、一過性に発現させた。レポーター遺伝子GFP のグリーン蛍光により同定した同時トランスフェクト細胞において、二重波長fura−2蛍光比測定により、細胞内Ca2+濃度([Ca2+ )および[Ca2+ の変化を決定した(図3F) 。
【0068】
二重波長fura−2蛍光比測定は、蛍光Ca2+感受性染料であり、EGTAの構造に基づいてR.Y.Tsien により設計された(例えば、Trends Neurosci. 11 、419−424(1988))fura−2を用いる標準手順である(例えば、An introduction of Molecular Neurobiology (Hall, Z.W. 編) Sinauer Associates、Sunderland、USA(1992) )。その蛍光放出スペクトルは、生理学的濃度範囲におけるCa2+への結合により変化する。Ca2+の不在下で、fura−2は、385nm の励起波長で最も強く蛍光を発し、fura−2がCa2+に結合する場合、最も有効な励起波長は、345nm にシフトする。この特性を使用して細胞内の局部的なCa2+濃度を測定する。細胞膜を横切って拡散し、サイトゾルエステラーゼにより活性化fura−2に加水分解されるfura−2エステル(例えば、fura−2AM) と共に細胞に負荷をかけうる。
【0069】
1mM Ca2+の存在下で、Trp8発現細胞は300nM より多くのサイトゾルCa2+を典型的に含み、一方非トランスフェクト対照は100nM 未満のCa2+イオンを含んだ(図3F) 。細胞外Ca2+なしでTrp8b トランスフェクト細胞をインキュベートしたとき、細胞内Ca2+濃度([Ca2+ )は、非トランスフェクト細胞に匹敵するレベルに減少した。容器への1mM Ca2+の再添加は、Trp8b トランスフェクト細胞においてサイトゾル[Ca2+]の有意な増加を生じたが、対照では生じなかった(図3F) 。Ca2+イオンの容器溶液への再添加の後、サイトゾルCa2+濃度は、Trp8b トランスフェクト細胞において高い定常状態レベルのままである。
【0070】
実施例5:Trp8発現細胞はカルシウム選択内部電流を示す
TRP8の電気生理学的特性を詳細に特徴付けるために、ジシストロン発現ベクターpdiTRP8 を用いて、HEK 293 細胞においてTRP8およびGFP を同時発現させ、パッチクランプ技術を用いてホールセルモードで電流を測定した(Hamill,O.P. 、Marty,A.、Neher,E.、Sakmann,B.およびSigworth,F.J.(1981) Pflugers Arch. 、391 、85−100)。
【0071】
真核生物発現プラスミドpdiTRP8 は、トリβアクチンプロモーター、次に内部リボソームエントリーサイド(IRES)およびグリーン蛍光タンパク質(GFP )のcDNAの制御下でTrp8b のcDNAを含む。TRP8b およびGFP の全タンパク質コード領域を保有するpdiTRP8 を得るために(Prasher, D.C.ら(1992)、Gene 111、229−233)、TRP8b cDNAの5’および3’− 非翻訳配列を除去し、脊椎動物における翻訳の開始に対するコンセンサス配列(Kozak, M.(1987) Nucleic Acids Research15, 8125−8148) を翻訳開始コドンの5’直前に導入し、得られたcDNAを、トリβアクチンプロモーターの下流のpCAGGSベクター(Niwa,H.、Yamamura,K. およびMiyazaki,J. (1991)、Gene 8、193−199)にサブクローン化した。次いで、脳心筋炎ウイルスに由来するIRES(Kim,D.G. 、Kang,H.M. 、Jang,S.K. およびShin H.S.(1992) Mol. Cell. Biol. 12 、3636−3643)、それに続いてSer65Thr変異を含むGFP cDNA(Heim, R, Cubitt, A.B.、Tsien, R.Y.(1995) Nature 373、663−664)を、TRP8b cDNAに3’をクローン化した。IRES配列は1つの転写物からTRP8b およびGFP の同時翻訳を可能にする。したがって、グリーン蛍光の顕色により、トランスフェクト細胞を明白に検出しうる。
【0072】
2mM の外部カルシウムの存在下で、Trp8b トランスフェクトHEK 細胞は内部整流電流を示し、その大きさは細胞内カルシウムのレベルおよび電気化学的推進力に依存する。静止膜電位を、−40mV で保持するか、またはパルス間でカルシウムの流入に対する推進力を下げるために+70mV のいずれかで保持した。電流の跡を−100から+100mVまで電圧スロープに応答して記録し、毎秒ごとに適用した。内部および外部電流を経時的にモニターするために、本発明者らはスロープの−80mV および+80mV で電流の大きさを解析した。図3Aは、経時的な−80mV での電流の代表的な跡を示す。−40mV または+70mV の両方の保持電位で、電流は、GFP 含有ベクターのみを有するトランスフェクトされた細胞においてよりも有意に大きい(図3E)。驚くべきことに、正の保持電位への変更後、Trp8トランスフェクト細胞における電流の大きさはゆっくり増加し、約70秒後に定常状態に届く(図3A)。誘導電流の選択性を決定するために、次に、本発明者らは、ナトリウムを含まずCa2+を添加しない溶液(図3A、C )、またはナトリウムを含むが二価のイオンを含まない容器溶液のいずれかを用いて細胞を灌流した。溶液変化のみの効果についての対照のために、本発明者らはまた、標準容器を用いて灌流した(図3Aのパフを参照)。外部Ca2+の除去は、trp8誘導電流を完全に廃止する−残りの電流は大きさおよび形において対照と同一である一方(図3A、C 、E )、外部ナトリウムの除去は効果がない(図3E)。カルシウム選択チャンネル(例えば、Vennekens, R. 、Hoenderop, G.J. 、Prenen,J. 、Stuiover,M. 、Willems 、PHGM、Droogmans, G. 、Nilius, B.およびBindels,R.J.M (1999) J.Biol.Chem. 275 、3963−3969 )の重要な性質は、全ての外部二価イオン、すなわちCa2+およびマグネシウムを除去した場合にのみナトリウムを処理するための能力である。trp8チャンネルがこの現象と一致するかどうかを調べるために、標準の容器溶液をナトリウムと1mM のEGTAのみを含む溶液に切り替えた。図3BおよびD に見られうるように、Trp8トランスフェクト細胞は、このとき非常に大きいナトリウム電流を伝導しうる。驚くべきことに、溶液変更直後、電流は迅速に増加する前にまずより小さくなり、孔は最初はまだカルシウムにより遮断されたまま(変則モル画分挙動と通常呼ばれる現象(Warnat,J, 、Philipp,S.、Zimmer,S. 、Flockerzi,V.、およびCavalie A.(1999)J.Physiol.(Lond) 518、631−638 ))であり得ることを示す。標準の容器溶液におけるTrp8トランスフェクト細胞の測定外部電流は、非トランスフェクト対照細胞またはレポーター遺伝子GFP を発現するのみである細胞と有意に異ならない。外部Ca2+の除去がTrp8特異的電流を廃止する場合、残りの電流を溶液変化の前の電流から引き算し、非混入Trp8コンダクタンスを得た(図3Cにおける挿入図を参照)。所定のイオン条件(内部の高いEGTA、外部の2mM Ca2+)から予期されるように、電流−電圧の関係は、ここで外部電流がほとんどないか全くない顕著な内部整流を示す。
【0073】
Trp8電流の発生の時間経過と電流の大きさの両方が、刺激の頻度(データ示さず)、内部Ca2+濃度および外部Ca2+濃度ならびに静止膜電位に依存し、このことは、Trp8カルシウムコンダクタンスがCa2+媒介フィードバック機構により複雑に(intrically)調節されることを示唆する。
【0074】
実施例6:Ca2+/カルモジュリンはTrp8タンパク質のC 末端に結合する
カルシウム調節フィードバックの主な媒介物質であるカルモジュリンが関与するかどうかを試験するために、まずTrp8タンパク質がカルモジュリンに結合しるうるかどうかを生化学的に調査した。インビトロで35S−メチオニンの存在下にてTrp8 cDNA を翻訳し、産物をカルモジュリンアガロースビーズと共にインキュベートした。Ca2+の存在下または不在下のいずれかで数回洗浄した後、ビーズをLaemmli バッファー中でインキュベートし、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。Ca2+の不在下ではなく、Ca2+(1mM )の存在下で、Trp8タンパク質はカルモジュリンに結合する(図4B)。
【0075】
結合部位を厳密にするために、2つのアプローチを行った。第1に、Trp8の様々な細胞内ドメインのGST−TRP8融合タンパク質を構築し、大腸菌において発現させ、グルタチオンセファロースビーズに結合させた。次にこれらのビーズをインビトロで翻訳された35S−標識カルモジュリンとインキュベートし、洗浄し、ゲル電気泳動に供した。第2に、インビトロで翻訳されたTrp8タンパク質の切断型を、上記カルモジュリン−アガロースへの結合に使用した。図4AおよびC で示されるように、Trp8のN 末端領域(N1、N2)の融合タンパク質はカルモジュリンに結合しなかった一方、C 末端フラグメント(C1、C2、C3、C4)は、カルシウムの存在下でカルモジュリン結合を示した(全体のTrp8タンパク質内のフラグメントの局在下について、図4C参照)。したがって、インビトロで翻訳されたTrp8の切断型は、C 末端の32個のアミノ酸残基を欠如し、カルモジュリン−アガロースに結合しなかった(4B)。本発明者らは、カルモジュリン結合部位をTrp8タンパク質のアミノ酸残基691 〜711 に制限している。このカルモジュリン結合部位は、典型的に保存されたIQ(通常のミオシンのモチーフ)に類似しないが、数個の荷電アミノ酸残基が保存されたショウジョウバエメラノガスター(Drosophila melanogaster) の一過性レセプター電位様(trpl )タンパク質(WarrおよびKelly 、1996)のカルシウム依存性カルモジュリン結合部位1に対する制限された配列相同性を有する。Trp8タンパク質のカルモジュリン結合部位の配列は、Erickson−VitanenおよびDe Gradoにより提案されたモデル(1987, Methods Enzymol. 139、455−478 )による、帯電し、かつ疎水的部位を有する推定の両親媒性のαヘリックスホイール構造に似ている。
【0076】
実施例7:ヒト胎盤および膵臓におけるTrp8転写物の発現
インサイチュでのハイブリダイゼーション実験のために、10週齢の発育不全のヒト胎盤由来の数個のスライドを使用した。インサイチュでのハイブリダイゼーション実験は、ヒト胎盤でのTrp8転写物の発現を示した(図5B)。発現は、胎盤の栄養膜および合胞体層で検出可能であったが、ランゲルハンス細胞では検出不可能であった。
【0077】
Trp8転写物は、ヒト膵臓において検出可能である(図5A)。したがって、Trp8プローブを、ヒト膵臓の組織切片にハイブリダイズさせた。膵臓癌を罹患する患者から膵臓組織を取り出した。Trp8発現は、膵臓腺房細胞において検出可能であるが、ランゲルハンス島においては検出不可能である(図5C)。膵臓癌の領域には、Trp8発現を見出さなかった(データ示さず)。
【0078】
さらに、インサイチュでのハイブリダイゼーションならびにノーザン解析により、ヒト結腸においてもヒト腎臓においてもTrp8 cDNA は、検出不可能である(図5A、D )。インサイチュ発現データとあわせたノーザン結果は、Trp8タンパク質が、ラット腸から(Peng,J.B. 、Chen,X.Z. 、Berger,U.V. 、Vassilev,P.M. 、Tsukaguchi, H.、Brown,E.M.およびHediger,M.A.(1999)J.Biol.Chem.6;274,22739−22746 )ならびにウサギ腎臓から(Hoenderop,J.G.、van der Kemp,A.W. 、Hartog,A. 、van de Graaf, S.F.、van Os,C.H. 、Willems,P.H.およびBindels,R.J.(1999)J.Biol.Chem.26;274、8375−8378 )それぞれクローン化されたCaT1およびECaCチャンネルのヒトオルソログではないことを示している。Trp8は、その発現がCaT1が豊富に発現される小腸および結腸組織において検出不可能であるので、CaT1のヒト型を表さないようである。しかしながら、Trp8がラットCaT1のヒト型である場合、第2の遺伝子産物は、ラット小腸および結腸におけるCaT1に帰するヒト小腸および結腸におけるCa2+取り込みに必要とされるようである。
【0079】
実施例8:前立腺の良性組織および悪性組織におけるTrp8転写物の異なる発現
市販のノーザンブロット(Clontech,Palo Alto,USA)に対するTrp8プローブのハイブリダイゼーションにより示されるように、Trp8転写物をヒト前立腺において発現させる(図5A)。Trp8転写物は、良性前立腺過形成(BPH )を罹患する患者のプールされたmRNAを用いるノーザンブロット解析により、検出不可能であった(図5A、前立腺 )。細胞レベルでのTrp8発現を試験するために、Trp8特異的cDNAプローブを用いて前立腺組織の切片をハイブリダイズさせた(表3)。Trp8転写物の発現は、正常前立腺(n=3)、良性過形成(BPH 、n=15) または前立腺上皮内腫瘍(PIN 、n=9)において検出不可能である(図6A、C 、E )。Trp8転写物は、発現レベルは異なるが、前立腺癌(PCA )においてのみ検出可能であった。低い発現レベルが、原発性癌において見出された(癌細胞の2 〜10%、n=8 )(図7B)。非常に強い発現がレジディブ(rezidive)癌(10〜60%)(図7D、n=6 )および前立腺の転移(60〜90%、n=4 )(図7F)において検出可能であった。したがって、図5Aで使用された市販のノーザンブロットは、配給業者により示されるような正常前立腺mRNAを含むのみではないことが結論づけられるべきである。配給業者の説明書により、このノーザンブロットに使用した前立腺mRNAは14〜60歳の範囲の15人のヒト被験体から回収した。この前立腺組織を病理学的手段により実験しなかった。Trp8発現は、正常または良性前立腺において検出不可能であるので、この知見は、このノーザンブロットに使用したmRNAが、前立腺癌組織からいくぶん抽出されたことを示す。要約すると、Trp8発現は、悪性前立腺においてのみ検出可能であり、したがって、Trp8 cDNA は、前立腺癌に対するマーカーである。結果を表4にまとめる。
【0080】
【表3】
Figure 2004505617
【0081】
【表4】
Figure 2004505617
【0082】
(B)子宮の良性組織および悪性組織におけるTrp8転写物の特異的発現
さらに、Trp8が、子宮内膜癌(子宮癌とも呼ばれ、子宮肉腫または子宮頸の癌とは区別される)において発現される一方、正常な子宮組織では発現が観察されなかったことが示されうる。したがって、Trp8もまた、前記癌の診断に対する特異的なマーカーである(図12)。
【0083】
実施例9:Trp9の特徴付け
Trp9の完全なタンパク質コード配列を決定した(図9 )。Trp9転写物は、ヒト前立腺およびヒト結腸において優勢に発現する。ノーザンブロット解析により示されうるように、良性前立腺過形成(BPH 、図13、上のパネル左) または前立腺癌(図13、上のパネル右) においてTRP9の発現の差異はない。しかしながら、Trp9は、前立腺癌に対する参照マーカーとして有用である、すなわち、Trp8の発現レベルの定量に使用されうる。患者および健常個体におけるTrp8:Trp9の発現の比は、定量アッセイの開発に有用である。
【0084】
実施例10:Trp10 の特徴付け
TRP10 (a およびb )の完全なタンパク質コード配列をバイオコンピューティングにより決定した(図10および11)。ノーザンブロット解析におけるプローブとしてTrp10 cDNAの235bp フラグメントを用いると、TRP10 転写物は、前立腺癌を罹患する個体から単離されたmRNAにおいてのみ検出されうるが(図13、下のパネル) 、前立腺の良性組織(前立腺BPH )から単離されたmRNAにおいても、心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓および膵臓から単離されたmRNAにおいても検出され得ない。Trp10 cDNAの235bp cDNAフラグメントを、プライマー対UW248 、5’−ACA GCT GCT GGT CTA TTC C−3’ およびUW249 5’−TAT GTG CCT TGG TTT GTA CC −3’ および前立腺cDNAを鋳型として用いて増幅した。要約すると、TRP8に類似するTrp10aおよびTrp10bはまた、悪性前立腺組織において発現される。ここまでは、その発現は、試験した他のいずれの組織においても観察され得なかった(上記参照のこと)。したがって、Trp10aおよびTrp10bはまた、悪性前立腺組織に特異的である有用なマーカーである。
【0085】
さらに、生物学的情報のための国立センター(NCBI)の公開データベースにおけるデータベース検索は、Trp10 配列と部分的に同一である数個の発現配列タグ(EST クローン)の存在を明らかにした。これらのEST クローンを肺、胎盤、前立腺の癌組織から、および黒色腫から最初から単離した。これらのクローンは、次のアクセッション番号:BE274448、BE408880、BE207083、BE791173、AI671853、BE390627を有するクローンを含む。結果は、これらの組織の癌細胞がTrp10 関連転写物を発現する一方、対応する健常組織におけるTrp10 転写物の発現が検出不可能であることを示す(図13)。さらに、黒色腫および前立腺癌の癌細胞において、Trp10 転写物は、4個のアンチセンスプローブを用いるインサイチュハイブリダイゼーションにより示されるように発現されることが示され得た(図14A−E および13K−O および表2、前記)。さらに、Trp10 転写物を発現するこれらの組織の癌細胞はまた、4個のセンスプローブを用いるインサイチュハイブリダイゼーションにより、図14F−J 、図14P−R および図14T に示されるようにTrp10−アンチセンス転写物を発現することが明らかに示され得た(表2、前記)。インサイチュハイブリダイゼーション実験は、肺、胎盤、前立腺の癌および黒色腫に由来する癌細胞のサブセットの検出が、それぞれTrp10 転写物に相補的であるかまたはTrp10−アンチセンス転写物に相補的であるアンチセンスならびにセンスプローブを用いて可能であることを証明する。
【0086】
前記は説明を意図し、本発明の範囲の限定ではない。前記教示に基づいて、過度の実験なしに、当業者は、さらなる態様を容易に構想し、製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1Aは、trp および関連タンパク質の系統発生的関係である。図1Bは、KyteおよびDoolittle に従うTrp8タンパク質配列のヒドロパシープロットである。図1Cは、上皮カルシウムチャンネルECaC(ウサギ由来)およびVr1 (ラット由来)に対するTrp8a/b のアラインメントである。推定膜貫通ドメインに下線を施している。
【図2】
図2Aは、Trp8遺伝子の多型である。多型改変体Trp8a およびTrp8b は、5つの塩基対で異なり、誘導タンパク質配列において3つのアミノ酸変換を生じる。特異的プライマーは、矢印で示されるようにTrp8遺伝子由来であった。図2Bは、Trp8a およびTrp8b 遺伝子が単一の制限部位で区別できることを示す。Trp8遺伝子のゲノムフラグメントは、特異的プライマーを使用して増幅され得る(図2Aに示される)。Trp8b 遺伝子のゲノムフラグメントは、制限酵素BSP1286Iのさらなる部位を含む( 図2B) 。図2Cは、Trp8遺伝子が第7 染色体上に位置されることを示す。図2Dは、7人のヒト被験体の遺伝子型である。Trp8遺伝子の458bp のゲノムフラグメントは、特異的プライマーを用いて増幅され(図2Aに示される)、BSP1286Iで拘束された。生じたフラグメントは、PAGE電気泳動によって分析された。
【図3】
図3は、Trp8b タンパク質がカルシウム選択イオンチャンネルであることを示す。Aは、pdiTrp8bトランスフェクトHEK293細胞の代表的なトレースである。Trp8b 媒介電流は、−40mV または+70mV での保持電位で100msec の電圧スロープ(−100mV〜+100mV)によって活性化され;1、Trp8電流は、2mm[Ca2+で存在し;2、溶液スイッチの効果は3のみ、名目上0 カルシウム溶液へスイッチする。Bは、0 個の二価陽イオンの存在下でのTrp8電流である。Cは、Aに示される電流の電流電圧関係(流入、電流を減ずるリーク)である。Dは、Bに示される電流の電流電圧関係である。Eは、代表的な実験の統計である。黒:Trp8トランフェクト細胞、灰色:対照細胞。左から右への列:−40mV でのTrp8電流(n=8 )および+70mV の保持電位でのTrp8電流(n=12)。標準的な電解槽溶液(ナトリウムを含まない120mM NMDG(n=7 )および名目上0 のカルシウムイオンを含む120mM NMDG(n=8 )を含む、または0 個の二価陽イオンを含む1mM EGTAの存在する(n=6 ))におけるTrp8電流。Fは、1mM[Ca2+の存在または非存在下でのTrp8b トランスフェクトHEK 細胞(灰色)および対照(黒)中の[Ca2+ における代表的な変化である。対照細胞と比較した、1mM[Ca2+の再添加前および後のTrp8b トランスフェクトHEK 細胞の細胞質ゾルカルシウム濃度の流入、相対的増加。
【図4】
図4は、Trp8タンパク質のC 末端領域がカルモジュリンと結合することを示す。Aは、カルモジュリン結合研究に使用されるTrp8タンパク質のN 末端フラグメントおよびC 末端フラグメントである。Bは、Trp8タンパク質およびcDNAのMunI切断後にインビトロで翻訳された切断Trp8タンパク質である。このタンパク質は、C 末端の32個のアミノ酸残基が欠失する。これらのタンパク質は、35S メチオニンの存在下でインビトロで翻訳され、1mM のCa2+または2mM のEGTAの存在下でカルモジュリン結合アガロースビーズと共にインキュベートされた。Cは、Ca2+(1mM )またはEGTA(2mM )の存在下でのTrp8タンパク質のN 末端フラグメントおよびC 末端フラグメントへのカルモジュリン結合である。
【図5】
図5は、Trp8 cDNA の発現パターンである。Aは、ノザンブロット(左パネル、Clontech Polo Alto)がTrp9 cDNA の348bp のNcoI/BamHTフラグメントを用いてハイブリダイズされたことを示す。このプローブは、市販用のブロットから単離されたmRNA種へハイブリダイズするが、良性前立腺肥厚から単離されたmRNA種(右パネル、良性前立腺肥厚に罹患している20人のヒト被験体から単離したmRNA)へはハイブリダイズしない。B、Cは、ヒト組織のスライド上のビオチニル化Trp8特異的オリゴヌクレオチドを用いたインサイチュハイブリダイゼーションである。左列はアンチセンスプローブ、右列はセンスプローブ、Dはアンチセンスプローブである。
【図6】
図6は、ヒト前立腺におけるTrp8 cDNA の特異的発現である。A〜Fは、前立線組織を用いたインサイチュハイブリダイゼーションである。Aは、正常前立腺。Bは、原発性癌、Cは、良性肥厚、Dは、レジディブ癌、Eは、前立腺上皮内新形成、Fは、前立腺のリンパ節転移である。
【図7】
図7は、Trp8a cDNA配列および誘導アミノ酸配列である。
【図8】
図8Aは、Trp8b cDNA配列および誘導アミノ酸配列である。図8Bは、スプライスバリアント1のcDNA配列である(12B1)。図8Cは、スプライスバリアント2のcDNA配列である(17−3)。図8Dは、スプライスバリアント3のcDNA配列である(23A3)。図8Eは、スプライスバリアント4のcDNA配列である(23C3)。
【図9】
図9Aは、Trp9 cDNA 配列および誘導アミノ酸配列である。図9Bは、スプライスバリアント15のcDNA配列および誘導アミノ酸配列である。
【図10】
図10Aは、Trp10aのcDNA配列および誘導アミノ酸配列である。図10Bは、Trp10aのcDNAフラグメントおよび誘導アミノ酸配列である。
【図11】
図11は、Trp10bのcDNA配列および誘導アミノ酸配列である。
【図12】
図12は、ヒト子宮内膜癌または子宮の癌におけるTrp8 mRNA の発現である。A〜Dは、Trp8アンチセンスとハイブリダイズされた子宮内膜癌のスライドを用いたインサイチュハイブリダイゼーション(左列)または対照としてのセンスプローブ(右列)である。E〜Fは、正常な子宮内膜のスライドにハイブリダイズされたTrp8アンチセンスプローブである。正常な子宮内膜組織ではハイブリダイゼーションは起こらないことが明らかに見え得る。
【図13】
図13は、ヒトTrp9およびTrp10 遺伝子の発現である。ノザンブロットは、Trp9(上パネル)またはTrp10 (下パネル)特異的プローブを使用してハイブリダイズされた。Trp9 cDNA の発現は、ヒト前立腺および結腸を含む多くの組織ならびに良性前立腺肥厚において検出可能である。Trp10 cDNAの発現は、市販のノザンブロット(Clontech、右側)のヒト前立腺において検出可能である。このノザンブロットは、14〜60歳の範囲の15人のヒト被験体から収集した前立腺組織を含む。Trp10 cDNAの発現は、良性前立腺肥厚においては検出不可能であった(左側)。
【図14】
図14は、ヒト前立腺癌および黒色腫の転移におけるTrp10 転写物およびTrp10 アンチセンス転写物の発現である。Trp10 アンチセンス(A〜E、K〜N)およびTrp10 関連センスプローブ(F〜J、P〜R)でハイブリダイズされたスライドのインサイチュハイブリダーゼーション。両プローブは、これらの癌細胞がTrp10 転写物およびTrp10 アンチセンス転写物を発現することを示す同じ癌細胞を検出することが明らかにわかり得る。Sは、Trp10 発現が前立腺の良性肥厚(BPH )において検出不可能であることを示す。OおよびTは、ヒト肺における黒色腫の転移におけるTrp10 転写物(O)およびTrp10 アンチセンス転写物(T)の発現を示す。黒色腫癌細胞は、Trp10 転写物およびTrp10 アンチセンス転写物の両方を発現する。

Claims (31)

  1. ヒト前立腺癌に関連するタンパク質Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aもしくはTrp10bまたはTrp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aもしくはTrp10bの生物学的特性を示すタンパク質をコードし、かつ
    (a) 図7 、8A、9 、10または11に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸分子、
    (b) 図7 、8A、9 、10または11に示されるヌクレオチド配列を含む核酸分子、
    (c) DSMZ寄託番号DSM 13579 、DSM 13580 、DSM 13584 、DSM 13581 またはDSM.... に含まれる核酸分子、
    (d) (a) 〜(c) に規定された核酸分子にハイブリダイズする核酸分子、
    (e) (a) 〜(d) に規定された核酸配列から遺伝子コードの縮重により変化した核酸配列の核酸分子、ならびに
    (f) (a) 〜(e) に規定された核酸配列の断片、誘導体または対立遺伝子バリエーションを示す核酸分子、
    からなる群より選ばれるものである、単離された核酸分子。
  2. 請求項1記載の核酸分子を含んでなる組換えベクター。
  3. 核酸分子が調節エレメントに操作可能に連結され、原核生物宿主細胞および/または真核生物宿主細胞において翻訳可能なRNA の翻訳および合成が可能である請求項2記載の組換えベクター。
  4. 請求項3記載の組換えベクターを含んでなる組換え宿主細胞。
  5. 哺乳動物細胞、細菌細胞、昆虫細胞または酵母細胞である、請求項4記載の組換え宿主細胞。
  6. 請求項1記載の核酸分子によりコードされるヒト前立腺癌に関連するタンパク質Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10bの生物学的特性を示す単離されたタンパク質。
  7. 請求項6記載の単離されたタンパク質を発現する組換え宿主細胞。
  8. ヒト前立腺癌に関連するタンパク質Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10bの生物学的特性を示す単離されたタンパク質を作製する方法であって、
    (a) 該タンパク質が発現される条件下で請求項6記載の組換え宿主細胞を培養すること、ならびに
    (b) 該タンパク質を回収すること
    を含む、方法。
  9. 請求項8記載の方法により作製されたタンパク質。
  10. 請求項1記載の核酸分子から転写されたmRNAまたはその一部に相補的であり、該mRNAまたはその一部に選択的に結合しうることを特徴とし、該核酸分子によりコードされるタンパク質の合成を阻害しうるアンチセンスRNA 配列。
  11. 請求項1記載の核酸分子から転写されたmRNAまたはその一部に相補的であり、該mRNAまたはその一部に選択的に結合し、かつ切断しうることを特徴とし、したがって該核酸分子によりコードされるタンパク質の合成を阻害するリボザイム。
  12. 請求項6記載のタンパク質の活性を抑制しうることを特徴とするインヒビター。
  13. タンパク質Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10b、あるいはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bをコードするmRNAを含むことが推測される標的試料と、Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10b、あるいはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bをコードするmRNAと反応する試薬とを接触させること、ならびにTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10b、あるいはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bをコードするmRNAを検出することを含む、前立腺癌の診断方法。
  14. 試薬が核酸である請求項13記載の方法。
  15. 試薬が抗体である請求項13記載の方法。
  16. 試薬が検出可能に標識されている請求項13記載の方法。
  17. 標識が、放射性同位体、生物発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレート、または酵素からなる群より選択される、請求項16記載の方法。
  18. タンパク質Trp8a および/またはTrp8b 、あるいはTrp8a および/またはTrp8b をコードするmRNAを含むことが推測される標的試料と、Trp8a および/またはTrp8b 、あるいはTrp8a および/またはTrp8a および/またはTrp8b をコードするmRNAと反応する試薬とを接触させること、ならびにTrp8a および/またはTrp8b 、あるいはTrp8a および/またはTrp8b をコードするmRNAを検出することを含む、子宮内膜癌(子宮癌)の診断方法。
  19. 試薬が核酸である請求項18記載の方法。
  20. 試薬が抗体である請求項18記載の方法。
  21. 試薬が検出可能に標識されている請求項18記載の方法。
  22. 標識が、放射性同位体、生物発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレート、または酵素からなる群より選択される、請求項21記載の方法。
  23. 試料と、Trp10aおよび/またはTrp10bアンチセンスRNA 、あるいはTrp10aおよび/またはTrp10bに関連するアンチセンスRNA を検出する試薬とを接触させることを含む、被験体の組織における黒色腫、絨毛膜癌、肺癌および前立腺癌の診断方法。
  24. Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bの発現、および/またはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bの活性を減少または阻害する試薬の治療有効量を哺乳動物被験体に投与することを含む、前立腺腫瘍、子宮内膜癌(子宮癌)腫瘍、絨毛膜癌、肺癌または黒色腫の予防、治療、または改善方法。
  25. 試薬が、アンチセンスRNA を含むヌクレオチド配列である、請求項24記載の方法。
  26. 試薬が、リボザイムを含むヌクレオチド配列である、請求項24記載の方法。
  27. 試薬が、Trp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bのインヒビターである、請求項24記載の方法。
  28. 試薬が、抗Trp8a 抗体、抗Trp8b 抗体、抗Trp10a抗体および/または抗Trp10b抗体、またはそれらの断片である、請求項27記載の方法。
  29. 試料中のTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10b、あるいはTrp8a 、Trp8b 、Trp10aおよび/またはTrp10bをコードするmRNAまたはTrp10aおよび/またはTrp10bアンチセンス転写物の検出に有用であり、ここで、Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aおよび/またはTrp10b、あるいはTrp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aおよび/またはTrp10bをコードするmRNAまたはTrp10aおよび/またはTrp10bアンチセンス転写物の増大した濃度の存在が、前立腺腫瘍、子宮内膜癌(子宮癌)腫瘍、絨毛膜癌、肺癌または黒色腫を示すものであり、Trp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aまたはTrp10b、あるいはTrp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aおよび/またはTrp10bをコードするmRNAまたはTrp10aおよび/またはTrp10bアンチセンス転写物の検出のためのプローブを含むキット。
  30. 検出される標的成分がTrp8a 、Trp8b 、Trp9、Trp10aおよび/またはTrp10bであり、プローブが抗体である、請求項29記載のキット。
  31. 試験化合物とイオンチャンネルTrp8、Trp9および/またはTrp10bとを接触させること、ならびに該試験化合物がカルシウム取り込みに影響を与えるかどうかを決定することを含む、イオンチャンネルTrp8、Trp9および/またはTrp10bのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する化合物の同定方法。
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