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JP2004333962A - クリーニング装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

クリーニング装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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JP2004333962A
JP2004333962A JP2003131113A JP2003131113A JP2004333962A JP 2004333962 A JP2004333962 A JP 2004333962A JP 2003131113 A JP2003131113 A JP 2003131113A JP 2003131113 A JP2003131113 A JP 2003131113A JP 2004333962 A JP2004333962 A JP 2004333962A
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image carrier
vibration
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JP2003131113A
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Toru Nakano
徹 仲野
Osamu Naruse
修 成瀬
Masanori Horiie
正紀 堀家
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

【課題】球形、小径トナーに対してクリーニングブレードを加振しただけではクリーニング性が十分でない。
【解決手段】クリーニング装置16の加振クリーニングブレード20は、ブレード部材21と、ブレード部材21を取り付けた振動部材22と、振動部材22に取り付けられた加振手段23と、加振手段23をブレード部材21と像担持体11との共振周波数を駆動周波数とする駆動信号Pvで駆動する駆動回路28とを備えることで、ブレード部材21の振動量を確保してクリーニング性を向上する。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はクリーニング装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2001−188452号公報
【特許文献2】特開2000−267536号公報
【特許文献3】特開昭62−111489号公報
【特許文献4】特開平6−51673号公報
【特許文献5】特開平11−30938号公報
【0003】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の電子写真法を用いる画像形成装置においては、像担持体表面を帯電、露光して形成した静電潜像に着色トナーで現像して可視像としてのトナー像を形成し、このトナー像を転写紙等の被転写体に転写し、あるいは、一旦中間転写部材に転写した後転写紙等の被転写体に転写し、これを熱ロール等で定着して画像を形成している。
【0004】
そして、トナー像の転写を終えた像担持体表面には、一般に未転写のトナーが残留するため、この残留トナーを、次の画像形成プロセスに先立って何らかのクリーニング手段により除去することが必要になる。また、一般的にクリーニング手段により、像担持体表面に付着した他の異物も、残留トナーと共に取り除いている。
【0005】
これら転写ごの残留トナー等を除去するクリーニング手段としては、ファーブラシ、磁気ブラシ等を使用する方法や、材質が弾性体であるクリーニングブレードを使用する方法等各種の方法が使用されているが、クリーニングブレードにて像担持体を摺擦してトナーを掻き落とす手段が、安価で且つ性能安定性が高いことより一般的に使用されている。クリーニングブレードの材質として用いられる弾性体には、耐摩耗性に優れていることよりポリウレタンゴムが多く使用されている。
【0006】
一方、近年、フルカラーの画像形成装置に対する高画像化のために、トナーの小粒径化、球形化が進んでいる。小径化により、像担持体表面に形成されるトナー画像のドットの再現性を向上させることができ、球形化することで現像性、転写性を向上させることができる。
【0007】
このように、高画質化のためのトナーを球形化させる方法として、従来の粉砕方法に変わり、化学反応である重合反応を伴う重合トナーの製法が行われてきている。この重合トナーの製法としては、同じ重合反応の範疇であるものでも、何種類か製法に違いがあるが、粉砕トナーに見られるような粉砕分級工程が必要ない、あるいはこの工程が大幅に軽減できるという面が有利である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述のような小粒径、球形のトナー(以下、これらを「球形トナー」と称する場合がある。)を使用した場合、特にブレードクリーニング方式では、良好なクリーニング性能が得られないという不具合が生じることがある。
【0009】
このクリーニング性能の不具合、クリーニング不良は、従来の粉砕トナーを機械的な処理(再粉砕)、あるいは熱処理などによって、小粒径化、球形化した場合でも起こることが明らかになっており、トナーの製造方法に関わらず、トナーが小粒径化、球形化した場合、ブレードクリーニングでは良好なクリーニング性能が得られない。
【0010】
このようなクリーニング不良を起こしたトナーは次に出力される画像形成時に画質欠陥となり、特に帯電装置がローラ形状の接触式帯電器の場合などは、クリーニングブレードにより取り切れなかった(クリーニングされなかった)トナーがロール状の帯電器に堆積し帯電不良を引き起こしてしまう場合があるため影響が大きい。
【0011】
とりわけトナーの円形度(円形度についての詳細は後述する。)が1に近くなるようなトナー、すなわち、球形(真球)に近いトナーでは顕著にクリーニング性が悪化する。また円形度が0.95以下の形状のトナーであっても、形状分布を有することから、ほぼ球形のトナーが存在し、経時でクリーニング性が悪化する傾向にある。
【0012】
また、このクリーニング性は、現像に用いるトナーの粒径が小さくなるほど悪化する傾向にある。画像形成装置は10℃〜30℃程度の温度範囲で使用されるが、特に低温下に於いてはこのクリーニング性の悪化が顕著に現れる。
【0013】
クリーニングブレードを用いたクリーニング方式では、前述のようにゴムブレードにて像担持体を摺擦してトナーを掻き落としているため、像担持体とゴムブレードとの摩擦抵抗によりゴムブレードのエッジ先端が変形し、両者間に微小なくさび状の空間を形成している。この空間には、小径のトナーであればあるほどエッジ先端に侵入しやすく、エッジ先端に侵入したトナーは入れ替わり難く、非流動領域を形成する。
【0014】
また、球形トナーは、不定形トナーと比較して最密充填し易いため、クリーニングブレードのエッジと像担持体との接触点近傍の微小な空間で圧密化されやすい。非流動領域のトナーと像担持体との摩擦抵抗が比較的小さく、トナーが像担持体に対して滑っている状態では、クリーニング不良は発生しないが、像担持体との摺擦による外添剤の離脱等によりトナーと像担持体の摩擦力が増加すると、球形トナーは転がり摩擦が従来の粉砕不定形トナーと比べて小さいため、クリーニングブレードと像担持体の間で転がり始め、すり抜けてしまうと考えられる。
【0015】
そこで、
【特許文献1】においては、重合法により製造された球形トナーを用いる画像形成装置の像担持体上の残留トナーを効率よく除去するために、転写後の感光体表面の残留トナーを掻き取るクリーニングブレードと、クリーニングブレードよりも感光体移動方向の上流側に配置され、残留トナーを粉砕して感光体上に微粒トナーを生成するクリーニングブラシとを備えたクリーニング装置が開示されている。
【0016】
また、
【特許文献2】においては、画像形成装置の像担持体クリーニングブレードの球形トナーに対するクリーニング性を向上させるために、球形トナーにより形成されたトナー像を担持する表面が転写領域およびクリーニング領域を通って回転移動するトナー像担持体と、前記転写領域を通過するトナー像担持体表面のトナー像を転写材に転写する転写器と、前記クリーニング領域を通過するトナー像担持体表面に摩擦接触して前記トナー像担持体表面の残留トナーを除去するブレードエッジを有する弾性部材製のクリーニングブレードと、前記ブレードエッジに塗布された粉体潤滑剤と前記球形トナーよりも平均粒径が小さい不定形トナーとの混合粉体材料とを有するトナー像担持体クリーナとから構成される画像形成装置が開示されている。
【0017】
一方、画像形成装置用のクリーニング装置としては、
【特許文献3】に開示されているように、クリーニングブレードに付着しようとするトナーや異物を落下させ、クリーニングブレードと感光体とのベタ当たりによる鳴きの発生を防止するために、クリーニングブレードを強制的に振動させるようにしたものがある。
【0018】
また、
【特許文献4】に開示されているように、感光体に接触して感光体に振
動を加え得る加振手段を備えたものがある。さらに、
【特許文献5】に開示されているように、クリーニングブレードの固定端(非クリーニング部)に対して振動を与えることで、表面の粒子を浮かせ、表面から粒子を除去する振動手段を備えたものもある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、
【特許文献1】に記載のクリーニング装置にあっては、残留トナーを粉砕して感光体上に微粒トナーを生成するクリーニングブラシを備えるために装置が大型化するだけでなく、樹脂からなるトナーを粉砕することは非常に困難で、仮に粉砕できるとしても像担持体表面に対するダメージが発生し、画像品質が低下することになる。
【0020】
また、
【特許文献2】に記載のクリーニング装置にあっては、球形トナーよりも平均粒径が小さい不定形トナーとの混合粉体材料を用いるために、球形トナーを用いることによる画像品質の向上というメリットが低減し、結果的に画像品質が低下することになる。
【0021】
さらに、
【特許文献3】、
【特許文献4】及び
【特許文献5】に記載のクリーニング装置にあっては、クリーニングブレードに付着するトナー等を落下させるための振動を与えたり、像担持体表面からトナーを浮かせるための振動を与えるだけで、球形トナーのクリーニング不良の発生メカニズムに対応した振動を与えるものではないため、球形トナーについてはクリーニング不良が発生する。
【0022】
そこで、本発明者らは、まず、球形トナーを用いた場合にカウンタ方式のクリーングブレードではクリーニング不良が発生する原因について、そのメカニズムを研究し、これを解明した。
【0023】
すなわち、図15に示すように、代表的なカウンタ方式のクリーニングブレードを用いたクリーニング装置にあっては、金属ホルダ100に保持されたクリーニングブレード101の先端を、像担持体111に対して、その回転方向Aに対してカウンタとなるように、つまり、クリーニングブレード101の腹面101cと像担持体111表面が角度θになるよう当接させ、さらにクリーニングブレード101先端(自由端)を押付け量dで像担持体111に押し付けることによって、像担持体111上の残留トナーをクリーニングする。
【0024】
ここで、従来のクリーニングブレード101は、通常ポリウレタンゴムを主成分とするゴム弾性部材であり、JISA硬度65〜70°、厚さ1.5〜2.0mm程度、金属ホルダ100からのブレード自由長(突き出し量)8〜15mm、当接角度θを20〜30°とするのが一般的である。
【0025】
このように、像担持体111とクリーニングブレード101とが接触した状態で、像担持体111が回転すると、図16に示すように、クリーニングブレード101は弾性部材であるため、像担持体111の矢示A方向への移動によってブレード101のカット面101aのエッジ部101bが像担持体111との摩擦力により矢示A方向に引っ張られ、ブレード101のカット面101a(先端面)が変形してめくれた状態となる。このカット面101aのめくれによって、ブレード101先端のカット面101aと像担持体111との間でくさび形状のニップ部Nを形成する。
【0026】
この場合、使用するトナーが粉砕トナーであるときには、図17に示すように、粉砕トナーTaは形状が歪であるため、クリーニングブレード101と像担持体111で形成されるくさび形状となったニップ部でトナーTaのエッジ部が引っ掛かる。このとき、ブレード101の先端面の変形した部分は元の状態に戻ろうとする反発力が働き、いわゆるスティック・スリップ運動が発生する。
【0027】
このスティック・スリップ運動について図18を参照して説明する。ブレードニップが移動している像担持体表面にスティック状態(固着)になると、ブレードニップは同図に破線で示すように像担持体111の回転方向に強制的に引き伸ばされる。ブレードニップがある位置まで引き伸ばされるとブレードの反発力が大きくなり、静摩擦力と反発力が釣り合った時点でブレードニップが像担持体表面に対して滑る。ブレードニップと像担持体の間で滑りが生じる状態では、動摩擦係数が静摩擦係数より小さいため、ブレードニップは像担持体表面を滑りながら元の方向(実線図示の方向)へ戻ることになる。このスティック・スリップのくり返し運動(その範囲をSPで示している)の戻りの力によって、くさび形状のニップ部に滞在しているトナーTaが像担持体111の進行方向とは逆方向に戻される力を受けクリーニングされる。
【0028】
これに対して、トナーとして球形トナーを用いた場合について図19を参照して説明する。同図は、球形トナーTbがクリーニングブレード101と像担持体111により形成されるくさび形状のニップ部に侵入してきたときの挙動を示している。
【0029】
球形トナーTbを用いた場合、粉砕トナーTaのようにトナーに歪な部分がないため、ブレード101の先端部に引っ掛からないため、くさび形状のニップ部に侵入し、クリーニングブレード101と像担持体111に挟まれた状態となった球形トナーTbは、像担持体111との間の摩擦力により接触部を駆動源として回転するモーメントを受ける。したがって、球形トナーTbは像担持体111の進行方向と逆方向に回転しながら、像担持体111の回転方向と同じ方向に移動して、ブレード101と像担持体111との間をすり抜けるため、クリーニング不良となる。
【0030】
このとき、一旦球形トナーTbのすり抜けが発生すると、図20に示すように球形トナーTbはクリーニングブレード101と像担持体111との間で潤滑剤のように機能し、ブレード101の先端部と像担持体111の摩擦力を低下させ、ブレード101の先端(カット)面のめくれを解除する(ブレード101を初期の形状に戻す)働きをする。そのため、ブレード101によるクリーニングの基本機能となる上述したスティク・スリップ運動が生じなくなり、連続してトナーのクリーニング不良が生じる現象が発生する。
【0031】
以上では球形トナーのクリーニング不良の発生メカニズムについて説明したが、小径トナーについても図17に示したくさび形状のニップ部に対して、小径トナー程侵入しやすく、また侵入したトナーは歪であっても小径トナーほどエッジ部での引っ掛かりが少なくなるため、すり抜けが発生し易いことが確認された。
【0032】
本発明は、上記の課題及び知見に基づいてなされたものであり、クリーニング性を向上したクリーニング装置、このクリーニング装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジ、このプロセスカートリジを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るクリーニング装置は、一個又は複数個の加振手段が取りつけられた幅方向に長い振動部材と、この振動部材の少なくとも先端領域に取付けられた幅方向に長いブレード部材と、加振手段を共振周波数で駆動させる駆動手段とを備え、振動部材によりブレード部材に対する振動及びブレード部材の像担持体に対する押し付け力を与える構成とした。
【0034】
ここで、駆動手段は駆動周波数を変化可能であることが好ましい。この場合、駆動周波数はブレード部材と像担持体との摩擦抵抗力に基づいて設定されることが好ましい。この場合、駆動周波数は像担持体表面の摩擦係数に基づいて設定されること、若しくは像担持体の回転トルクに基づいて設定されること、又は、クリーニング性の検出結果に基づいて設定されることが好ましい。
【0035】
また、加振手段が圧電素子であることが好ましい。さらに、トナーが重合法によって作製された重合トナーであることが好ましい。
【0036】
本発明に係るプロセスカートリッジは、像担持体、帯電手段、現像手段及び転写手段の少なくともいずれかと、クリーニング手段とを含み、画像形成装置本体に着脱自在であって、前記クリーニング手段が本発明に係るクリーニング装置である構成とした。
【0037】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体表面に残留するトナーをクリーニングするための本発明に係るクリーニング装置又は本発明に係るプロセスカートリッジを備えている構成とした。
【0038】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係るプロセスカートリッジを複数備えている構成とした。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、本発明に係るクリーニング装置によるクリーニングメカニズムについて図1を参照して説明する。
本発明に係るクリーニング装置は、ブレード部材(以下では「クリーニングブレード」ともいう。)1の先端領域に効率よく振動を与える構成である。そして、ブレード部材1の振動によってブレード部材1の先端と像担持体11の間にあるトナーTに振動を伝えること、また、ブレード部材1の先端領域の振動が像担持体1に伝わる構成とし、像担持体1からもトナーTに振動を伝える。
【0040】
これらの加振動作は、ブレード部材1のニップ部が従来の加振を用いるクリーニング装置とは異なる形状、動きとなるように振動させることで、ブレードニップ部への球形トナー、小径トナーの入り込みを防止することができ、球形トナー、小径トナーのクリーニング不良を無くすることが可能となる。
【0041】
すなわち、図1は、ブレード部材1が振動状態にあり、またその振動によって球形トナーTに振動が伝わり、トナーTが活性に振動している様子(図中白抜き矢印で示す。)を表した図である。これは、高倍率の顕微鏡を介して高速度ビデオカメラによる観察結果を図示したものである。このとき、同図に示すように、ブレード部材1にはカット面のめくれが発生せず、カット面1aのエッジ部1bが像担持体11表面に対して初期形状を維持する状態になることが分かる。なお、図中の1cはブレード部材1の腹面(像担持体11表面との対向面)である。
【0042】
そして、このとき、ブレード部材1の先端カット面1aと像担持体11の近傍にある球形トナーTがトナー数個分の範囲(図中のB部の範囲)わたって振動していることが判明した。
【0043】
このような状態では、ニップ部近傍の振動しているトナー群(B部のトナー)がバリヤーのような働き(振動トナー壁)をし、後続の像担持体11上トナーT(図中C部のトナー)の侵入を防止することになり、真球に近い様な球形トナーについても全くクリーニング不良が発生しない状態となる。
【0044】
このとき、ブレード部材1が振動していることにより、またブレード部材1から像担持体11にも振動を伝えることで、ブレード部材1と像担持体2との摩擦力が低下し、従来方式で発生していたブレード部材1のカット面1aのめくれる現象がなくなる条件が存在することが判明した。ここでいう「カット面のめくれ」とは、通常は成型した弾性部材を厚さ方向にカットしてそのエッジをバリ、欠け等がなくシャープな形状に仕上げたブレード部材を使用するが、そのカット面が像担持体の移動に伴って変形して像担持体表面に接する状態になること(前述した図23に示す状態になること)をいう。
【0045】
このブレード部材1のカット面のめくれの発生を無くすることで、像担持体11へのブレード部材1からのストレスも減少し、結果的にブレード部材1及び像担持体11の耐久性が格段に向上するという非常に大きな効果が得られることも判明した。
【0046】
このように、ブレード部材を加振することによって、ブレード部材表面と像担持体との間に接触部を生じさせることによって、クリーニング動作を行っている(このような加振されるブレード部材を全体として「加振クリーニングブレード」と称する。)。この部分をニップ部と呼ぶ。加振手段によって、クリーニングブレード(ブレード部材)は振動するが、その振動変位量とクリーニング性とには相関があることが本発明者らの鋭意研究により明らかになった。その相関とは、クリーニングブレードの振動変位量が大きいほどクリーニング性が良好である、というものである。
【0047】
ところが、加振手段はどのような加振条件でも加振さえすれば、クリーニング性が向上する、というわけではない。条件によっては、加振の効果が全く現れないといった現象も本発明者らの鋭意研究により判明した。
【0048】
ところで、上述したクリーニングブレードと像担持体との組み付け時には、クリーニングブレード、像担持体、それぞれの固有振動数とは異なる周波数に固有振動を持つことが知られている。これは、ブレード、像担持体に限ったことではなく、2体間で必ず起こる事象であり、この時の固有振動数を「共振周波数」と呼ぶ。
【0049】
上述したようにクリーニング性では、加振手段による振動変位量が大きいことがクリーニング性には良好であると説明した。振動変位量をできるだけ少ないエネルギーで確保する場合には、クリーニング動作時、すなわちクリーニングブレードと像担持体とを組み付けた時の共振周波数で加振手段を駆動させると良いことが判明した。そこで、本発明の一例では、加振手段として、駆動及びその制御が容易である圧電素子を用いて、共振周波数で駆動させることにより、小さな駆動電圧でより大きな振動変位量が得られるようにしている。。
【0050】
加振クリーニングブレードにおいて、クリーニング動作時に変化していく、あるいは、ブレードと像担持体とを組み付けた時である程度決定される共振周波数(ブレード、像担持体とで決定される固有振動数)を加振手段の駆動周波数として使用し、振動変位量を確保することでクリーニング性を維持することが可能となる。
【0051】
なお、ここで圧電素子を駆動するための駆動周波数は、可聴域外であることが好ましい。その理由としては、駆動周波数が可聴域の場合、人間にとって耳障りな音がクリーニング動作時に入ることになるため好ましくない。可能な限り、可聴域外、具体的には20Hz〜17kHzの周波数以外で駆動することが好ましいが、加振クリーニングブレード全体の防音が可能な構成を画像形成装置に搭載することができる場合には、可聴域に駆動周波数があっても差し支えない。
【0052】
そこで、以下に本発明に係るクリーニング装置を備えた本発明に係る画像形成装置について図2を参照して説明する。なお、同図は同画像形成装置の概略構成図である。
【0053】
この画像形成装置は、矢印A方向に回転する像担持体11を備え、その周囲に帯電手段12、露光手段13、現像手段14、転写手段15、クリーニング装置16、除電手段17が配置されている。また、像担持体11上から転写された転写材18上のトナー像を定着するための図示しない定着装置が配置されている。
【0054】
ここで、帯電手段12は、像担持体11表面に所定の距離で像担持体11と接触あるいは非接触で配置され、帯電手段12にバイアスを印加することによって像担持体11を所定の極性、所定の電位に帯電する。
【0055】
露光手段13は発光素子としてLDあるいはLEDを使用し、画像データに基づき像担持体11に光を照射し静電潜像を形成する。
【0056】
現像手段14は、内部に固定されたマグネットローラと回転自在の現像剤担持体14Aを備えており、現像剤を現像剤担持体14A上に保持させている。この画像形成装置では、現像剤としてトナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて二成分磁気ブラシ現像を行うようにしている。その他の現像方式としてはキャリアを用いない一成分現像方式を用いてもよい。
【0057】
現像剤担持体14Aには、現像バイアス電源から電圧が印加される。この現像バイアスと像担持体11表面に形成された静電潜像の電位との電位差により、現像領域にて静電潜像に帯電したトナーを付着させて現像を行う。
【0058】
転写手段15は、転写時に像担持体11表面に所定の押圧力で接触し、電圧が印加されることにより、像担持体11と転写手段15との間の転写ニップ部で像担持体11表面のトナー像を転写材18に転写する。この画像形成装置では転写ローラを用いて転写を行っているが、コロトロン、転写ベルトなどの転写手段を用いてもよい。
【0059】
クリーニング装置16は、本発明に係るクリーニング装置であり、ブレード部材21と、振動部材22と、加振手段23と(これらの部材で構成される部分を「加振クリーニングブレード20」と称する)を備え、加振手段23を駆動することで振動部材22を振動させてブレード部材(以下「ブレード」という。)21に所要の振動を与えることで、像担持体11表面の残留トナーを除去する。
【0060】
このクリーニング装置16により像担持体11からクリーニングされたトナーは、トナー搬送部材によって、廃トナーとして図示していない廃トナーボトルに蓄えてサービスマンなどにより回収、あるいはリサイクルトナーとして現像装置などに運ばれ現像に使用される。
【0061】
除電手段17は、クリーニング装置16により残留トナーを除去された像担持体11の残留電荷を除電するもので、LEDなどを用いた光除電方式の除電装置を用いている。
【0062】
次に、クリーニング装置16の一例の構成の詳細について図3ないし図6を参照して説明する。なお、図3は同クリーニング装置の加振クリーニングブレードの要部拡大説明図、図4は図3の要部拡大説明図、図5は同加振クリーニングブレードの正面説明図、図6は同加振クリーニングブレードを先端側から見た説明図である。
【0063】
このクリーニング装置16の加振クリーニングブレード20は、前述したように、像担持体11の軸方向の幅と略同じ幅を有するブレード21と、このブレード21を先端領域に取り付けた同じく像担持体11の軸方向の幅と略同じ幅を有する振動部材22と、この振動部材22に取り付けられた加振手段23とを備えている。
【0064】
ブレード21は、像担持体11の回転方向に対してリーディング(カウンタ)方向で当接させて配置している。
【0065】
このブレード21は、例えばポリウレタンゴムを素材とした弾性体で、厚みは50〜2000μmの範囲内、好ましくは100〜500μmの範囲内とするのが良い。厚さが薄すぎると、像担持体11表面及びブレード21自体のうねり等によってブレード21の像担持体11への押しつけ量が確保しにくくなる。厚さが厚すぎると、振動部材22からの振動を吸収し、ブレード21先端部への振動が十分伝達されず、トナーのクリーニング性が低下する。ブレード21の厚さが厚い場合は、ブレード21の材料としてJISA硬度で85〜100°の範囲内の硬い部材を使用することで、振動の伝達効率を上げることができる。
【0066】
ここで薄いウレタンブレードの製造方法によっては、ブレード21と振動部材22との間に一層、または二層以上の他の部材を介在させた構成とすることもできる。例えば、薄いウレタンブレードを成型する時、ウレタンより硬度の高いPET等の既成樹脂フィルムに一体接合成型する。これによって、フレード21のニップ部はシャープなエッジが必要であるが、そのための切断作業のハンドリング性が向上する。この場合は、PETとウレタンとを一体にしたものを切断加工した後、PFT側を振動部材22に接合して取付けることになる。
【0067】
振動部材22は、振動が可能で弾性のブレード21よりも剛性の高い材料、例えば軟鋼板、SUS板、等の金属部材、またはカーボン、ガラス繊維を混合した樹脂成形部材、などから形成している。この振動部材22は一端部側を固定部24に固定し、他端部を自由端部23aとして、この自由端部にブレード21を取り付けている。なお、固定部24は図2に示すようにクリーニング装置の筐体25に固定している。
【0068】
この振動部材22は、ブレード21のホルダとしても機能し、像担持体11へのブレード21の押し付け力、当接角度を決める部材でもある。すなわち、従来のブレードでは、ブレードニップ部の像担持体への押し付け力は弾性ブレード自身の復元力で与えるようにしている。これに対して、本発明においては、振動の伝搬効率を上げるためブレード21は薄い部材構成とし、ブレード単体での押し付け力が確保できないことから、この実施形態では振動部材22がブレード21に対して像担持体11への押し付け力を付与する構成している。
【0069】
これにより、薄い弾性ブレード部材を使用しながら振動伝搬効率を高くし、且つブレード部材の反り、像担持体表面のうねりに対応するニップを安定して形成することができ、確実なクリーニング性能が得られる。
【0070】
加振手段23は、振動部材22に振動を与えるもので、ここでは電気機械変換素子としての圧電素子、特に板状(単板)圧電素子を用いている。加振手段23として板状圧電素子を用いることにより、低コストで変位量が容易に得られる加振手段を構成することができる。
【0071】
この加振手段23は、図5及び図6に示すように、ブレード21及び振動部材22を像担持体11の軸方向(幅方向)に長い構成として、振動部材22に複数個配置した構成としている。なお、加振手段23は1個でもよいが、複数個を間隔をおいて配置することにより、振動部材22の幅方向の振動の均一性を得られ易い。なお、1個の長尺の圧電素子を設けることも考えられるが、板状圧電素子の場合には板面方向の伸縮による撓み変形を用いるため、複数個を間隔をおいて配置する方が好ましい。
【0072】
この加振手段23は、振動部材22の像担持体1側先端寄り、すなわち自由端部22bのブレードと取り付け面と反対面に設けている。振動部材22の構成によっては、加振手段23は振動部材23の固定端とブレード21先端(自由端)の間で振動部材22を加振できる箇所であれば特に取り付け位置が限定されるものではない。
【0073】
加振手段23を構成する単板圧電素子は、図4に示すように、チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電層23aの両面、即ち、振動部材22との接合面とその反対面に、印刷焼成したAgなどからなる電極23b、23cを有する。この電極23b、23cを用いて分極を行った厚さ0.3〜0.5mmの圧電素子(圧電層23a)に対して、100〜300Vの電圧を印加することで板面方向の縮み変形が発生し、その結果、振動部材22を撓ませる変形振動を与えることができる。この撓み振動は、圧電素子(加振手段23)と振動部材22の剛性がほぼ同じときに変形の効率がよく、例えば厚さ0.2〜0.4mmの金属振動部材22、あるいは厚さ0.3〜1.0mmの樹脂製振動部材を用いることが好ましい。
【0074】
そして、図7に示すように、このクリーニング装置16においては、図7に示すように、加振ブレード20の複数の加振手段23を構成する圧電素子に対して共通に駆動信号(駆動波形)Pvを印加するための本発明に係る駆動手段である駆動回路28を備えている。
【0075】
このようにブレード部材の幅方向に複数の加振手段を設けた場合に共通の駆動回路で駆動することによって、ブレード部材の幅方向における振動の均一性を高めることができる。
【0076】
なお、駆動回路28は画像形成装置の主制御部29によって制御されて、所定のタイミングで所要駆動周波数、ここでは、共振周波数の駆動信号Pvを加振手段23に与える。また、この実施形態では1つの加振クリーニングブレード20で像担持体11の幅方向全幅のクリーニングを行うようにしているが、複数の加振クリーニングブレード20を設けて幅方向全幅をカバーするように構成することもでき(この場合、ブレード21、振動部材22は像担持体11の軸方向の幅を複数に分割した長さになる。)、この場合にも複数の加振クリーニングブレード20の各加振手段を共通の駆動回路で駆動することが好ましい。
【0077】
ここで、この実施形態では、振動部材22として金属性部材(導電性部材)を用いて、複数の加振手段23を構成する圧電素子の電極23cを振動部材22に直接コンタクトして電気的に接続することによって、振動部材22を介して複数の加振手段23の電極23cを共通に接続している。これにより、駆動信号の印加を簡単な回路構成で行うことができる。なお、直接コンタクトは電極23cの接合面側を粗面に仕上げて、薄い接着層で振動部材22に接合することで容易に得られるが、この他、導電性接着剤を用いて接合してもよい。
【0078】
このように構成したクリーニング装置16において、複数の加振手段23に対して駆動回路28から加振クリーニングブレード20と像担持体11との相関で決まる共振周波数を駆動周波数とする駆動信号Pvを与えて、複数の加振手段23を構成する圧電素子に撓み変形を与えることで振動部材22が振動し、この振動部材22の振動によってブレード21が共振周波数で振動する。
【0079】
このように、加振手段を共振周波数で駆動して振動部材によりブレード部材に対する振動及びブレード部材の像担持体に対する押し付け力を与える構成とすることにより、振動変位量を確保することができ、像担持体表面に残留するトナーの加振クリーニングブレードによる高いクリーニング性を確保することができる。この場合、加振手段として圧電素子を用いることによって、共振周波数での駆動を容易に行うことができる。
【0080】
そこで、本発明の実施例についてより具体的に説明する。
(加振クリーニングブレードの駆動方法)
加振手段23である圧電素子には、設定された電圧値の一定の振動を行わせるための駆動波形(駆動信号)を駆動電源から印加した。この駆動電源としては、実験的に、パルス信号を発生させるためのファンクションジェネレータで構成し、これから発生した信号を増幅させる電源を通して、圧電素子に印加した。そして、実際に圧電素子に印加される電圧を観察するために、増幅された電圧を分岐させ、オシロスコープによってモニタした。
【0081】
なお、上述したように、複数の圧電素子を配列させて動作させる場合や、タンデム機のように、複数色の像担持体、クリーニングブレードを配置させる必要のある場合では、複数のファンクションジェネレータと電源を用意する必要があるが、同一の電源から複数に分岐させて、その各々から圧電素子に印加しても構わない。ただし、分岐させる数が多ければ、それだけ電源には出力に余裕のあるものが必要とされる。
【0082】
また、上述実施形態の画像形成装置や後述するプロセスカートリッジにおいては、より小スペースの電源が好ましいため、ファンクションジェネレータと電源を一体化したドライバ(駆動回路28)を用いて加振手段23を駆動する。このとき、画像形成装置やプロセスカートリッジ全体の制御を司る主制御部29によって、ドライバによる駆動条件を状況に応じて変化させたり、作像、もしくは非作像時の動作シーケンスと同期させて、加振手段23の駆動を制御することができる。
【0083】
次に、本発明の実施例で使用した顕像化粒子であるトナーについて説明する。(トナーの実施例)
本実施例では、高画質化を狙って球形度が高く、溶解懸濁方法で作られた重合トナーを用いた。特性は、次のとおりである。
円形度 0.980
重量平均粒径 5.41μm
キャリア 重量平均粒径50μmのシリコンコートキャリア
(マグネタイト芯材)
【0084】
ここで、トナーの円形度について説明する。球形トナーを使用する画像形成装置で高画質画像を形成するためには、トナーが特定の形状を有することが重要であり、平均円形度が0.95未満で、球形からあまりに離れた不定形の形状では、転写性やチリのない高画質画像が得られない。したがって、球形トナーの円形度としては、0.95以上であることが好ましい。
【0085】
なお、形状の計測方法としては、粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である平均円形度が0.95以上のトナーが適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのに有効であることが判明した。なお、円形度の定義については図8に示している。
【0086】
トナーの円形度は、より好ましくは、平均円形度が0.960〜0.998である。この値はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製、商品名)により平均円形度として計測できる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
【0087】
また、トナー粒径については次のようにして測定できる。トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターマルチサイザーIII(コールター社製、商品名)を用い、パーソナルコンピューター(IBM社製)を接続し専用解析ソフト(コールター社製)を用いてデータ解析した。Kd値は10μmの標準粒子を用いて設定し、アパーチャカレントはオートマティックの設定で行なった。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。その他に、ISOTON−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製、商品名)が使用できる。
【0088】
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、100μmアパーチャーチューブを用いて、2μm以上のトナー5万カウント測定して重量平均粒径を求めた。
【0089】
次に、重合・球形トナーの製造方法について説明する。
上記円形度0.960〜0.998のトナーを製造する方法としては、懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、界面重合法、溶解懸濁法、転相乳化法等の湿式造粒による製造方法が挙げられる。溶融混練物の粉砕・分級によるトナーにおいても、トナーの加熱処理等により円形度の高いトナーを製造することができるが、エネルギー効率の点では好ましくない。
【0090】
前述の湿式造粒法のうち、円形度の高いトナーが安定して得られる点、シャープな粒径分布が得られる点、トナーの帯電制御の点で、懸濁重合法、分散重合法が優れている。また、トナーの低温定着性の点で有利なポリエステル樹脂が使用できる点で溶解懸濁法が優れている。以下、懸濁重合法、分散重合法、溶解懸濁法について詳述する。
【0091】
(懸濁重合法)
後述の特定モノマーに対して、分散安定剤、及び着色剤、さらに必要に応じて架橋剤や、荷電制御剤、離型剤等をボールミル等により均一に分散させた後、これに重合開始剤を加え、モノマー相を得、モノマー相とあらかじめ撹拌して作製しておいた水系分散媒相を撹拌槽に入れ、ホモジナイザー等により攪拌し、得られた懸濁液を窒素置換後に加熱して重合反応を完了させることにより着色樹脂粒子が得られ、これを洗浄、乾燥することにより円形度の高いトナー粒子が得られる。
【0092】
懸濁重合に使用される重合性単量体はビニル基を有するモノマーであり、具体的には以下のようなモノマーが挙げられる。即ち、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ブチルスチレン、オクチルスチレンなどのスチレン及びその誘導体が挙げられ、なかでもスチレン単量体が最も好ましい。
【0093】
他のビニル系単量体として、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン系不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類、ビニルナフタレンなどを挙げることができ、これらの単量体を単独あるいは混合して用いることができる。
【0094】
懸濁重合法では、単量体組成物中に、架橋重合体を生成させるために、次のような架橋剤を存在させて懸濁重合させてもよい。架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2′−ビス(4−メタクリルロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールメタンテトラアクリレート、ジブロムネオペンチルグリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリルなどが挙げられる。
【0095】
架橋剤の使用量が多過ぎると、トナーが熱で溶融しにくくなり、熱定着性、熱圧定着性が劣ることになる。また、架橋剤の使用量が少くな過ぎると、トナーとして必要な耐ブロッキング性、耐久性などの性質が低下し、熱ロール定着において、トナーの一部が紙に完全に固着しないでロール表面に付着し、次の紙に転写するという、コールドオフセットが発生してしまう。したがって、用いる架橋剤量は、重合性単量体100重量部に対して0.001〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0096】
懸濁重合法における分散安定剤としては次のものが使用可能である。即ち、ポリビニルアルコール、でん粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシュウム、リン酸カルシュウム、タルク、粘土、けいそう土、金属酸化物粉末などが用いられる。これらは水に対して0.1〜10重量%の範囲で用いるのが好ましい。
【0097】
懸濁重合法における、重合開始剤は造粒後の単量体組成物を含む分散液中に添加してもよいが、個々の単量体組成物粒子に均一に重合開始剤を付与する点からは、造粒前の単量体組成物に含有させておくことが好ましい。このような重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メチキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスブチロニトリルなどのアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イソプロピルパーオキサイド、2,4−ジクロリルベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0098】
懸濁重合法においては、磁性体を含有する型の磁性トナーが可能である。磁性トナーとするには、単量体組成物に磁性粒子を添加すればよい。本発明に用いることができる磁性体には、例えば、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属の粉末、もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物の粉末が挙げられる。
【0099】
磁性粒子としては、粒径が0.05〜5μm、好ましくは0.1〜1μmのものが用いられるが、小粒径トナーを生成する場合には、粒径0.8μm以下の磁性粒子を使用することが好ましい。この磁性粒子は、単量体組成物100重量部中に10〜60重量部含有されていることが好ましい。また、これら磁性粒子はシランカップリング剤、チタンカップリング剤などの表面処理剤、あるいは適当な反応性の樹脂などで処理されていてもよい。この場合、磁性粒子の表面積あるいは表面に存在する水酸基の密度にもよるが、通常、磁性粒子100重量部に対して表面処理剤が5重量部以下、好ましくは0.1〜3重量部の処理で、充分な重合性単量体への分散性が得られ、トナー物性に対しても悪影響を及ぼさない。
【0100】
(分散重合)
親水性有機液体に、その親水性有機液体に溶解する高分子分散剤を加え、これに前記親水性液体には溶解するが、生成する重合体は前記親水性液体にて膨潤されるか、あるいは殆ど溶解しない一種または二種以上のビニル単量体を加えて重合することにより製造される。また、予め目的とする粒径よりは小さく、粒度分布の狭い重合体粒子を利用して上述の系で成長させる反応も含まれる。成長反応に利用する単量体は、種粒子を製造したものと同じ単量体でもまた別の単量体でもよいが、重合体は親水性有機液体に溶解してはならない。
【0101】
前記の粒子の形成時及び種粒子の成長反応時に用いる単量体の希釈剤としての親水性有機液体としては、メチルアルコール、エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテルアルコール類などが代表的なものとして挙げられる。
【0102】
これらの有機液体は単独で、もしくは二種以上の混合物して用いることができる。なお、アルコール類及びエーテルアルコール類以外の有機液体と、上述のアルコール類及びエーテルアルコール類とを併用することで、有機液体が生成重合体粒子に対して溶解性をもたせない条件下で、有機液体のSP値を種々変化させて重合を行なうことにより、生成される粒子の大きさ、種粒子同士の合一及び新粒子の発生を抑制することが可能である。
【0103】
この場合の併用する有機液体としては、ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、トリクロルエチレン、テトラブロムエタンなどのハロゲン化炭化水素類、エチルエーテル、ジメチルグリコール、シリオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メチラール、ジエチルアセタールなどのアセタール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサンなどのケトン類、ギ酸ブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの酸類、ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの硫黄、窒素含有有機化合物類、その他水も含まれる。
【0104】
また、重合開始時、重合途中、重合末期とそれぞれ混合溶媒の種類及び組成を変化させ、生成する重合体粒子の平均粒径、粒径分布、乾燥条件などを調整することができる。
【0105】
種粒子製造時、または成長粒子の製造時に使用される高分子分散剤の適当な例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有するアクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、並びにメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、または前記親水性モノマーとスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのベンゼン核を有するものまたはその誘導体、またはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体との共重合体、さらに、架橋性モノマー、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル、ジビニルベンゼンなどとの共重合体も使用可能である。
【0106】
これらの高分子分散剤は、使用する親水性有機液体、目的とする重合体粒子の種、及び種粒子の製造か成長粒子の製造かにより適宜選択されるが、特に重合体粒子同士の合一を主に立体的に防ぐ意味で、重合体粒子表面への親和性、吸着性が高く、しかも親水性有機液体への親和性、溶解性の高いものが選ばれる。また、立体的に粒子同士の反撥を高めるために、分子鎖がある程度の長さのもの、好ましくは分子量が1万以上のものが選ばれる。しかし、あまり分子量が高いと、液粘度の上昇が著しく、操作性、撹拌性が悪くなり、生成重合体の粒子表面への析出確率のばらつきを与えるため注意を要する。また、先に挙げた高分子分散剤の単量体を一部、目的とする重合体粒子を構成する単量体に共存させておくことも安定化には効果がある。
【0107】
さらに、これら高分子分散剤とともにコバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、銅、錫、鉛、マグネシウムなどの金属またはその合金(特に粒径1μm以下のものが好ましい)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素などの酸化物の無機化合物微粉体、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、燐酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えば、アラニン型「例えばドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン」などのアミノ酸型やベタイン型の両性界面活性剤を併用しても、生成重合体粒子の安定性及び粒径分布の改良をさらに高めることができる。
【0108】
一般に、種粒子製造時の高分子分散剤の使用量は目的とする重合体粒子形成用の重合性単量体の種類によって異なるが、親水性有機液体に対し0.1重量%〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。高分子分散安定剤の濃度が低い場合には、生成する重合体粒子は比較的大粒径のものが得られ、濃度の高い場合には小粒径のものが得られるが、10重量%を越えて用いても小径化への効果は少ない。
【0109】
また、前記のビニル単量体とは、親水性有機液体に溶解可能なものであり、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルエチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどのスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチル脂肪酸モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸、もしくはメタクリル酸誘導体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類などからなる単独または相互の混合物及びこれらを50重量%以上含有し、これらと共重合し得る単量体との相互の混合物を意味する。
【0110】
また、本発明における前記の重合体は、耐オフセット性を高めるために、重合性の二重結合を二個以上有するいわゆる架橋剤の存在下に重合させたものであっても良い。好ましく用いられる架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びそれらの誘導体である芳香族ジビニル化合物、その他エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどのジエチレン性カルボン酸エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなど全てのジビニル化合物、及び三個以上のビニル基を持つ化合物が挙げられ、これらは単独または混合物などで用いられる。
【0111】
このように架橋された種粒子を用いて成長重合反応を引き続いて行った場合には、成長する重合体粒子の内部が架橋されたものとなる。また一方で、成長反応に用いるビニル単量体溶液に上記の架橋剤を含有させた場合には、粒子表面が硬化された重合体が得られる。
【0112】
また、平均分子量を調節する目的として、連鎖移動定数の大きな化合物を共存させて重合を行わせるものに、例えば、メルカプト基をもつ低分子化合物や四塩化炭素、四臭化炭素が挙げられる。
【0113】
また、前記単量体の重合開始剤としては、例えば2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系重合開始剤、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオクトエートなどの過酸化物系重合開始剤、過硫酸カリウムなどの過硫酸化物系重合開始剤、これにチオ硫酸ナトリウム、アミンなどを併用した系などが用いられる。重合開始剤濃度は、ビニル単量体100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0114】
種粒子を得るための重合条件は、重合体粒子の目標平均粒径、目標粒径分布に合わせて、親水性有機液体中の高分子分散剤、ビニル単量体の濃度、及び配合比が決定される。一般に、粒子の平均粒径を小さくしようとするならば、高分子分散剤の濃度を高く、また平均粒径を大きくしようとするならば、高分子分散剤の濃度が低く設定される。一方、粒子径分布を非常に鋭くしようとするならば、ビニル単量体濃度を低く、また、比較的広い分布でもよい場合は、ビニル単量体濃度は高く設定される。
【0115】
粒子の製造は親水性有機液体に、高分子分散安定剤を完全に溶解した後、一種または二種以上のビニル単量体、重合開始剤、その他必要ならば無機微粉末、界面活性剤、染料、顔料などを添加し、30〜300rpmの通常の撹拌にて、好ましくはなるべく低速で、しかもパドル型よりもタービン型の撹拌翼を用いて、槽内の流れが均一になるような速度で撹拌しながら、用いた重合開始剤の重合速度に対応した温度にて加熱し重合が行なわれる。
【0116】
なお、重合初期の温度が生成する粒子種に大きな影響を与えるため、単量体を添加した後に温度を重合温度まで上げ、重合開始剤を小量の溶媒に溶解して投入した方が好ましい。重合の際には窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性気体にて反応容器内の空気中の酸素を充分に追い出す必要がある。もし、酸素パージが不充分であると微粒子が発生し易い。重合を高重合率域で行なうには5〜40時間の重合時間が必要であるが、所望の粒子径、粒子径分布の状態で重合を停止させたり、また重合開始剤を順次添加したり、高圧下で反応を行なうことにより重合速度を速めることができる。
【0117】
重合終了後は、そのまま染着工程に用いてもよいし、沈降分離、遠心分離、デカンテーションなどの操作により不必要な微粒子、残存モノマー、高分子分散安定剤などを除いた後に、重合体スラリーとして回収して染着を行なってもよいが、分散安定剤を除去しない方が染着の安定性は高く、不要な凝集が抑制される。
【0118】
分散重合法における染着は次のようなものである。即ち、樹脂粒子を溶解せしめない有機溶媒中に樹脂粒子を分散し、この前または後に前記溶媒中に染料を溶解させ、前記染料を樹脂粒子中に浸透させ着色せしめた後、前記有機溶媒を除去して染着トナーを製造する方法において、前記染料の前記有機溶媒に対する液解度(D1)及び前記樹脂粒子Aの樹脂に対する前記染料の溶解度(D2)の関係が、(D1)/(D2)≦0.5となる染料を選択使用する。これにより、樹脂粒子の深部まで染料が浸透(拡散)したトナーを効率よく製造することができる。
【0119】
本明細書における溶解度は25℃の温度で測定されたものと定義される。なお、染料の樹脂中への溶解度とは、染料の溶媒中への溶解度と全く同じ定義であり、樹脂中に染料が相溶状態で含有させることができる最大量を意味する。この溶解状態あるいは染料の析出状態の観察は顕微鏡を用いることにより容易に行なうことができる。樹脂に対する染料の溶解性を知るには、上記した直接観察による方法の代わりに間接的な観察方法によってもよい。この方法は樹脂と溶解度係数が近似する液体、即ち樹脂をよく溶解する溶媒を用い、この溶媒に対する染料の溶解度を樹脂に対する溶解度として定めてもよい。
【0120】
着色に使用する染料としては、前述のように使用する有機溶媒への該染料の溶解度(D1)より樹脂粒子を構成する樹脂への該染料の比(D1)/(D2)が0.5以下である必要がある。さらに、(D1)/(D2)が0.2以下とすることが好ましい。染料としては、上記の溶解特性を満たせば特に制限はないが、カチオン染料、アニオン染料などの水溶性染料は環境変動が大きいおそれがあり、またトナーの電気抵抗が低くなり、転写率が低下するおそれがあるので、バット染料、分散染料、油溶性染料の使用が好ましく、特に油溶性染料が好ましい。また、所望の色調に応じて数種の染料が併用することもできる。
【0121】
染着される染料と樹脂粒子との比率(重量)は、着色度に応じて任意に選択されるが、通常は樹脂粒子1重量部に対して、染料1〜50重量部の割合で用いるのが好ましい。例えば、染着溶媒にSP値の高いメタノール、エタノールなどのアルコール類を使用し、樹脂粒子としてSP値が9程度のスチレン−アクリル系樹脂を使用した場合、使用し得る染料としては、例えば、以下のような染料が挙げられる。
【0122】
C.I. SOLVENT YELLOW(6,9,17,31,35,1,102,103,105)
C.I. SOLVENT ORANGE(2,7,13,14,66)
C.I. SOLVENT RED(5,16,17,18,19,22,23,143,145,146,149,150,151,157,158)
C.I. SOLVENT VIOLET(31,32,33,37)
C.I. SOLVENT BLUE(22,63,78,83〜86,91,94,95,104)
C.I. SOLVENT GREEN(24,25)
C.I. SOLVENT BROWN(3,9)など。
【0123】
市販染料では例えば保土谷化学工業社製の愛染SOT染料Yellow−1,3,4、Orange−1,2,3、Scarlet−1、Red−1,2,3、Brown−2、Blue−1,2、Violet−1、Green−1,2,3、Black−1,4,6,8やBASF社製のsudan染料、Yellow−140,150、Orange−220、Red−290,380,460、Blue−670や三菱化成社製のダイアレジン、Yellow−3G,F,H2G,HG,HC,HL、Orange−HS,G、Red−GG,S,HS,A,K,H5B、Violet−D、Blue−J,G,N,K,P,H3G,4G、Green−C、Brown−Aやオリエント化学社製のオイルカラー、Yellow−3G,GG−S,#105、Orange−PS,PR,#201、Scarlet−#308、Red−5B、Brown−GR,#416、Green−BG,#502、Blue−BOS,HN、Black−HBB,#803,EE,EX、住友化学工業社製のスミプラスト、ブルーGP,OR、レッドFB,3B、イエローFL7G,GC、日本化薬社製のカヤロン、ポリエステルブラックEX−SH3、カヤセットRed−BのブルーA−2Rなどを使用することができる。もちろん染料は樹脂粒子と染着時に使用する溶媒の組み合わせで適宜選択されるため、上記例に限られるものではない。
【0124】
染料を樹脂粒子に染着させるために用いる染着用有機溶媒としては、使用する樹脂粒子が溶解しないもの、あるいは若干の膨潤をきたすもの、具体的には溶解性パラメーター(SP値)の差が1.0以上、好ましくは2.0以上のものが使用される。例えば、スチレン−アクリル系樹脂粒子に対しては、SP値が高いメタノール、エタノール、n−プロパノールなどのアルコール系、あるいはSP値が低いn−ヘキサン、n−ヘプタンなどを使用する。SP値の差があまりに大きすぎると、樹脂粒子に対する濡れが悪くなり、樹脂粒子の良好な分散が得られないため、最適なSP値の差は2〜5が好ましい。
【0125】
染料を溶解した有機溶媒中に樹脂粒子を分散させた後、液温度を樹脂粒子のガラス転移温度以下に保ち、撹拌することが好ましい。これにより、樹脂粒子の凝集を防ぎながら染着することが可能となる。撹拌の方法は市販されている撹拌機、例えばホモミキサー、マグネチックスタラーなどを用いて撹拌すればよい。また、分散重合などで重合終了時得られるスラリー、つまり有機溶媒中に重合樹脂粒子が分散している状態の分散液に、染料を直接添加して前記の条件にて加熱撹拌してもよい。加熱温度がガラス転移温度超過の場合は樹脂粒子同士の融着が生じてしまう。染着後のスラリーを乾燥する方法としては、特に限定はされないが、濾過した後に減圧乾燥あるいは濾別しないで直接減圧乾燥すればよい。本発明において濾別した後に風乾または減圧乾燥して得られた着色粒子は、凝集は殆どなく、投入した樹脂粒子の粒度分布を殆ど損なわないで再現する。
【0126】
(溶解懸濁法)
次に、溶解懸濁法により球状トナー粒子を製造する方法について述べる。
溶解懸濁法は樹脂を溶媒に溶解して油相を作成し、水系媒体から成る水相中で乳化した後に、乳化分散体中の溶媒を除去して樹脂粒子を得る方法である。
【0127】
水系媒体として、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0128】
用いる樹脂としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0129】
油相作成に使用可能な溶剤としては、沸点が100℃未満の揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。該溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。トナー組成物100部に対する溶剤の使用量は、通常10〜900部である。
【0130】
油相作成は、他のトナー組成物である着色剤(又は着色剤マスターバッチ)、離型剤、荷電制御剤を、水系媒体中で分散体を形成させる際に同時に添加して、混合してもよいが、あらかじめ油相中に混合する方がより好ましい。
【0131】
また、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
【0132】
油相と水相の分散には通常の攪拌による混合機が全て使用可能だが、より好ましくは高速回転体とステータを有すホモジナイザー、高圧ホモジナイザーの他ボールミル、ビーズミル、サンドミルといったメディアを用いた分散機などが用いられる。
【0133】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。回転羽根を有する乳化機としては、特に限定されるものではなく、乳化機、分散機として一般に市販されているものであれば使用することができる。例えば、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミクサー(特殊機化工業(株)製)、エバラマイルダー(荏原製作所(株)製)、TKパイプラインホモミクサー、TKホモミックラインフロー(特殊機化工業(株)製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機(株)製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工(株)製)等の連続式乳化機、クレアミックス(エムテクニック社製) 、フィルミックス(特殊機化工業(株)製)等のバッチまたは連続両用乳化機等が挙げられる。
【0134】
高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは10〜98℃である。高温の条件の法が分散体の粘度が適度に低くなり、分散が容易な点で好ましい。
【0135】
溶解懸濁法では、分散した油相を安定化させる目的で、あらかじめ水系媒体に固体微粒子を分散する方法が用いられる。
【0136】
さらに固体微粒子分散剤の液滴への吸着性を調整するためにその他の分散剤を併用することができる。その他の分散剤はトナー組成物を乳化する前や乳化後揮発成分を除去する時などに添加できる。
【0137】
次に、トナーを二成分系現像剤として用いる場合の二成分現像剤用キャリアについて説明する。
この場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。
【0138】
磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。
【0139】
また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。
【0140】
また、必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
【0141】
次に、上述した実施例のトナーの製造方法について説明する。
(トナーバインダーの合成)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間重縮合反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5300のポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂100部を 酢酸エチル100部に溶解、混合し、トナーバインダーの酢酸エチル溶液を得た。
【0142】
(トナーの作製)
密閉されたポット内に前記のトナーバインダーの酢酸エチル溶液200部、カルナウバワックス5部、銅フタロシアニンブルー顔料4部、ジターシャリーブチルサリチル酸亜鉛塩、1部を入れ、5mmmφのジルコニアビーズを用いて24時間ボールミル分散を行ないトナー組成物を得た。
【0143】
ビーカー内にイオン交換水600部、部分ケン化ポリビニルアルコール6部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部を入れ均一に溶解分散した。
【0144】
次いで、20℃にビーカー内温を保ち、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)で12000rpmに攪拌しながら、上記トナー組成物を投入し3分間攪拌乳化した。ついでこの混合液を攪拌棒および温度計付のフラスコに移し、ラウリル硫酸ナトリウムを0.3部加え、30分室温下で攪拌溶解した。ついで30℃、50mmHgの減圧下で溶剤を除去した。ガスクロマトグラフィーによって分散液を分析したところ残存酢酸エチルはトナー粒子に対して50ppmであった。35%濃塩酸を120部加え、リン酸三カルシウムを溶解した後に、濾別、得られたケーキを蒸留水に再分散してろ過する操作を3回繰り返し洗浄した後に、40℃24時間減圧乾燥し着色粒子を得た。
【0145】
得られた着色粒子95重量部に対して、3重量部のシリカ、2重量部の酸化チタン粒子をヘンシェルミキサーで2分間混合し、篩にかけ、トナーを得た。
【0146】
そして、このトナー重量平均粒径50μのシリコーンコートキャリア(マグネタイト芯材)95重量部に対して、トナー5重量部をロッキングミキサーで混合し、二成分現像剤を得た。
【0147】
このように、球形度が高い溶解懸濁法で作られたトナーを使用することによって、高画質でかつトナー生産コストを抑えた画像形成装置を構成することができる。
【0148】
(クリーニング性の比較)
本発明の加振クリーニングブレードを搭載して、クリーニング性及び感光体(像担持体)とブレード間の摩擦抵抗力(置き換えられる感光体そのものの表面摩擦係数、感光体回転トルク)を評価・測定した。
【0149】
帯電及び現像の条件は以下のとおりにし、評価時は一定とした。
Figure 2004333962
【0150】
(転写率評価)
転写率の評価(測定)には、像担持体表面にべたの画像を出力している途中で、動作を止め、現像部と転写部との間、及び転写クリーニング部との間のトナー像をスコッチテープ(住友3M株式会社製、商品名)で白い紙に転写させて、それをマクベス反射濃度計RD514型(商品名)で測定した。
【0151】
このとき、
現像部―転写部間のテープ濃度:Ddt
転写部―クリーニング部間のテープ濃度:Dtc
白い紙にスコッチテープを転写しただけの濃度:Dref
とし、転写効率を、次の(1)式で算出した。
【0152】
【数1】
Figure 2004333962
【0153】
(クリーニング性評価)
クリーニング性評価についても、先の転写率と同じように、スコッチテープを使って評価した。
像担持体である感光体表面上の転写工程後のトナー(転写残留トナー)をスコッチテープ(住友3M株式会社製、商品名)で白い紙に転写させて、それを同じようにマクベス反射濃度計RD514型(商品名)で測定し、ブランク(白い紙にスコッチテープだけを貼ったもの)との差が、0.01以下のものを良好(評価結果の表では「○」と記載)とし、それを超えるもの(濃度が高いもの)をNG(不良)とした。
【0154】
実際の出力は、感光体上に付着量が0.1mg/cmとなるような画像パターンを用意し、これをA3用紙縦方向で50000枚分出力させる。50000枚の出力が終了した段階で、先の転写率、クリーニング率の測定方法で示したように、べた画像となるような画像パターンを途中まで出力させ評価した。
【0155】
(共振周波数の測定)
図9に示すように、共振周波数を診るための振動計測装置41を配置し、この振動計測装置41の出力信号を振動解析用パソコン42に取り込んだ。この振動計測装置41は、レーザドップラ測定と呼ばれる測定原理で振動時の周波数特性を計測する。実際に使用したレーザドップラ振動計は、次のとおりである。
レーザドップラ振動計 : (ピーアイ)ポリテック社製
レーザドップラ変位計 OFV−303(商品名)
【0156】
そして、振動解析用パソコン52の振動解析ソフトによって、FFT解析を行うことによって、どの周波数に共振周波数があるか測定した。
【0157】
共振周波数を検知測定する時間を短縮するために、圧電素子に印加する波形としてある程度の振幅を持ったノイズを入力することがある。通常のクリーニング動作時は正弦波や矩形波を入力して駆動させているが、共振周波数を検知する場合にはノイズ(ホワイトノイズを呼ばれていることが多い)を入力する。
【0158】
(摩擦抵抗力と共振周波数)
上述したレーザドップラ振動計を含めた画像形成装置において、意図的に摩擦抵抗力を変化させたときの共振周波数の変化について説明する。
摩擦抵抗力の測定装置を実際の画像形成装置に組み込んで、ブレードと像担持体との摩擦抵抗力を直接測定することは困難である。そこで、ここでは、比較的測定が容易な像担持体の摩擦係数、あるいは、像担持体の回転トルクに基づいて加振手段の駆動周波数を設定制御する構成について説明する。なお、摩擦係数、トルクともに摩擦抵抗力と相関があり、根本的な意味では2つとも同値である。
【0159】
(1)感光体(像担持体)摩擦係数
初期の感光体摩擦係数の値を測定し(紙に対するオイラーベルト法)、これに対して図3に示す加振クリーニングブレード20を一定の条件下(ホワイトノイズの振幅量が同じ)で駆動させたときの共振周波数の測定結果を図10に示している。
【0160】
この図10に示すように、24kHz付近(このときの正確な周波数を周波数bとする。)に振動変位量が大きくなる共振周波数を持つことが分かる。しかし、感光体摩擦係数の違いにより、その変位が最大の周波数が1kHz程度の幅(周波数a、b、c)で変化していることが分かる。この原因についての詳細は未だ明らかではないが、感光体の摩擦係数が上がることによって、ブレード先端であって、クリーニングを行うニップ部が下流側に持っていかれ、結果的に圧電素子の駆動条件が同じでも、ブレード、感光体との組み合わせで共振周波数を変化させるため、このような結果になったと推測される。
【0161】
次に、各摩擦係数の値に対して、先に得られた共振周波数を駆動周波数とし、波形として正弦波を入力したときの感光体上のクリーニング性を判定した結果と、周波数bで固定して、感光体摩擦係数の値だけを変化させたときの結果を合わせて表1に示している。
【0162】
【表1】
Figure 2004333962
【0163】
この表1によれば、感光体摩擦係数が変化しても、そのときに発生する共振周波数で圧電素子を駆動させればクリーニング性は良好であるが、感光体摩擦係数が変化しても固定の周波数で駆動させれば、クリーニング性が良好にはならないことが分かる。
【0164】
この原因としては、上述したように、加振クリーニングブレードでクリーニングする場合、ある程度の振動変位量が必要であり、これを実現するためには共振周波数を使ったほうが良い。仮に、共振周波数を使うことができない場合、一定の駆動条件で加振することは可能であるが、非常に微小であり、駆動させるに必要な電圧も大きくなりやすいため、圧電素子への負荷となったり、駆動させるに必要な電源も容量の大きなものが余計に必要なため好ましくない。
【0165】
この感光体の摩擦係数によって、共振周波数を変化させる方法は、実際に画像形成装置で作像させるような場合であって、途中から共振周波数を変えることが装置の関係上、たとえばコストを抑えるために周波数を変化させることができない駆動回路を搭載する場合や、共振周波数の広がりが割合大きい場合(中心位置である周波数に対し、裾が大きくなるようなブレード)では、共振周波数近傍で圧電素子を駆動させれば、ある程度の振動変位量を確保でき、クリーニング性も良好になるため、初期の感光体表面と加振クリーニングブレードの組み合わせで決まる共振周波数を検出(測定)しておき、その共振周波数で圧電素子を駆動させる構成が好ましい。
【0166】
(2)像担持体回転トルク
図2に示す画像形成装置内に取り付けられるドラム状の像担持体の軸に回転トルクメータを取り付け、回転動作時にトルクを測定した。この測定の際に、像担持体に当接するのは加振手段を設けたクリーニングブレード23のみとして回転トルクを測定した。なお、クリーニング性の評価は、前述したように、帯電工程、現像工程、転写工程の顕像化させるために必要な工程を組み込んだ。ブレードと像担持体との摩擦抵抗力に相当する測定手段(検出手段)としては、このトルクメータを画像形成装置に取り込むことが、直接的に摩擦抵抗力を診る、という点で最適である。
【0167】
ここでは、ドラム状のOPCについて行ったが、ベルト状の感光体についても同じように測定が可能である。しかし、ブレードが当接し、トナーをクリーニングするためには、感光体との接触が必要であるため、できるだけブレードに近い位置にトルクメータを配置させることが好ましい。ベルト感光体の場合、クリーニングにはある程度のベルトとブレードとの圧力が必要であるため、ベルトを懸架させるローラ等が設けられている場合が多い。トルクメータの配置箇所は、このブレードに最も近接する懸架ローラの軸に取りつけることが好ましい。
【0168】
先の感光体摩擦係数の変化と同じように、感光体回転トルクを意図的に変化させたときであって、加振クリーニングブレード20を動作させたときの振動解析とクリーニング性を評価した。これも、前述したと同様に、ホワイトノイズを圧電素子に入力しパソコン上での振動解析を行った。
【0169】
振動解析の結果は図示はしないがに示すように、先の結果と同じようにトルクの違いによって、24kHz付近(このときの正確な周波数を周波数eとすると、ここでの周波数eは前述した周波数bと同じ値となった。)に振動変位量が大きくなる共振周波数を持つことが分かった。しかし、トルクの違いにより、その変位が最大の周波数がやはり先と同じように1kHz程度の幅(d、e、f)で変化していることが分かった。
【0170】
この原因についての詳細は、先の感光体そのものの摩擦係数と同じ理由であると考えられる。すなわち、トルクが上がる、という現象をブレードニップと感光体表面とでの負荷が増加することによって、引き起こされると考えられる。その負荷は、クリーニングを行うニップ部が下流側に持っていかれることにより発生すると推測される。
【0171】
次に、各トルクの値に対して、先に得られた共振周波数を駆動周波数とし、波形として正弦波を入力した時の感光体上のクリーニング性を判定した結果と、周波数eで固定して、トルクの値だけを変化させたときの結果も合わせて表2に示している。
【0172】
【表2】
Figure 2004333962
【0173】
この表2によれば、感光体回転のトルクが変化しても、そのときに発生する共振周波数で圧電素子を駆動させればクリーニング性は良好であるが、感光体回転のトルクが変化しても固定の周波数で駆動させた場合、クリーニング性が良好にはならないことが分かる。この原因としては、先に記載した理由と同じであると考えられる。
【0174】
このように、感光体が回転する時のトルクの変化によって、共振周波数を変化させる方法は、実際に画像形成装置で作像させるような場合であって、ある程度の耐久性を持たせる場合、すなわち感光体の表面がトナーの付着などによって変化しやすく、ブレードと感光体の摩擦力が変化しやすい場合に、トルク計の変化から共振周波数の変化を見積もって振動変位量をある程度確保できる最適な共振周波数に駆動条件を変化させ、クリーニングを最適にすることが可能となる。
【0175】
(クリーニング性と共振周波数)
これまでの加振クリーニングブレードを構成する圧電素子の駆動を制御する方法は、画像形成装置内に設けられた検知方法にレーザドップラ振動計を使用しているが、さらにコストを抑える必要がある場合にはクリーニング性そのものから共振周波数を見積もって最適なクリーニング状態にすることが可能である。その方法について説明する。
【0176】
これまで、表1及び表2に示すように加振クリーニングブレードと感光体との相関で決まる共振周波数以外ので圧電素子を駆動させても振動変位量が得られず、クリーニング性が不良になることが分かった。そこで、クリーニング性の評価結果から共振周波数の変化を読み取り、クリーニング性が悪く、出力される画像上に影響が出る傾向がある場合(たとえば、出力される画像上であって、非画像部にもトナーが付着する等)に圧電素子を駆動する周波数を共振周波数に近い値まで制御し、振動変位量を確保することでクリーニング性を向上することができる。
【0177】
この場合、図10に示すように共振周波数に対して、前後のどちらかに周波数が移動しているか分からないが(ほぼ同じクリーニング性のレベルであった場合、共振周波数に対し、高い周波数、低い周波数ともに変化した可能性があるため)、数枚を出力し、クリーニング性がさらに悪化するようだったら、反対側に駆動周波数を制御すれば良い。このとき、操作する人間が実際に出力された画像を直接みて、クリーニング性の判定結果を画像形成装置へ反映させる方法が簡単である。
【0178】
また、画像形成装置がプリンタである場合には、プリンタにデータを転送するホスト側のプリンタドライバによって設定条件を変化させることもできる。
【0179】
さらに、自動化させたい場合には、多少のコストはかかるが、感光体の回転方向であって、加振クリーニングブレードの下流側に残トナーを検知するラインセンサを配置させ、感光体表面上のクリーニング性を検知し、この結果を信号として主制御部に入力して、加振手段の駆動周波数を変化させることで、クリーニング性を向上あるいは維持することが可能となる。
【0180】
このように、自動化、あるいは人間の設定が必要な非自動化いずれもクリーニングの結果から圧電素子の駆動周波数を変化させ、クリーニングに最適な条件にすることが可能になる。
【0181】
このように、駆動手段は駆動周波数を変化可能とすることによって、共振周波数に対応した駆動周波数で加振手段を駆動することができるようになる。
【0182】
そして、駆動周波数をブレード部材と像担持体との摩擦抵抗力に基づいて設定することで、装置内では実際に測定しにくい共振周波数に相関する摩擦抵抗力を用いることができて、容易に共振周波数に対応する駆動周波数で駆動することができ、クリーニングに最適な条件に設定することができる。
【0183】
この場合、摩擦抵抗力に相関する像担持体表面の摩擦係数に基づいて駆動周波数が設定(自動的あるいは半自動的、若しくは手動で設定)されるようにすることで、摩擦抵抗力を簡易的に把握する(低耐久性の像担持体での簡易的な把握:膜剥がれが進行する像担持体について検知する)ことができるようようになり、大掛かりな測定装置を備えることなく、簡単な構成で、容易に共振周波数に対応する駆動周波数に設定、制御して駆動することができ、クリーニングに最適な条件に設定することができる。
【0184】
また、摩擦抵抗力に相関する像担持体の回転トルクに基づいて駆動周波数が設定されるようにすることで、摩擦抵抗力の経時的な変化に対する追従性の向上を図る(及び、耐久性の高い像担持体における摩擦抵抗力を検知する)ことができ、経時的に像担持体表面状態の変動の大きい画像形成装置、あるいは、像担持体の交換がなく高耐久性の像担持体を有する画像形成装置であっても、正確に回転トルクで回転負荷を把握し、その負荷変動に応じて、駆動する駆動周波数の設定制御が可能で、クリーニングに最適な条件に設定することができる。
【0185】
さらに、駆動周波数をクリーニング性の検出結果に基づいて設定されるようにすることで、画像形成装置内での加振手段によるクリーニングブレードの共振周波数変化を検知することができ、クリーニングに最適な条件に設定することが可能となる。なお、一般にクリーニング性はブレード通過後の感光体上のトナー量で評価される。
【0186】
次に、クリーニング装置16の加振クリーニングブレード20の他の例について図11及び図12を参照して説明する。
この実施形態では、振動部材22に振動を与える加振手段33として積層型圧電素子を用いている。積層型圧電素子は、それ自体の固有振動数が50〜100kHzと高く、また発生変位力が非常に大きいので、積層型圧電素子を用いることで、振動部材22の板厚を厚くしても高い振動数まで応答が可能な構成が容易となる。
【0187】
ここでは、加振手段33を構成する積層型圧電素子は、例えば一層あたり100μmの圧電層33aと内部電極33bとを交互に積層し、内部電極33bは交互に両端面に引き出して端面電極(外部電極)に接続したものであり、その積層方向の変位であるd33方向変位を利用する構成としている。
【0188】
なお、積層型圧電素子を用いて複数層積層した積層方向に対して直角となる面方向の変位、即ちd31方向変位を利用する構成とすることもでき、この場合変位量が大きくとれ、低電圧化を図れ、ドライバ(駆動回路)コストの低減を図れる。この構成を採用する場合、加振手段23を構成する積層型圧電素子以外図9と同様の構成である。
【0189】
ここで、振動部材22は弾性変形可能な薄板状であり、この振動部材22と対向しする支持部35aを有する剛性の高いホルダである固定部材35に振動部材22の固定端を固定し、固定部材35の支持部35aと振動部材22との間に加振手段33である積層型圧電素子が挟まれるように配置している。ブレード部材21は加振手段33からの振動が振動部材22を介して伝わるように、振動部材22の加振手段233とは反対面の先端領域に配置している。
【0190】
このように、加振手段を固定部と振動部材との間に設けた構成とすることで、効率的に振動部材に振動を伝えることができる。
【0191】
また、加振手段33は、図12に示すように、像担持体1の幅方向で複数個設けている。加振手段33は、比較的幅が狭いブレード部材21の場合、積層圧電素子の断面積の大きいものを使用すれば、1個とする構成も可能である。
【0192】
次に、本発明に係るクリーニング装置を含む本発明に係るプロセスカ−トリッジについて図13を参照して説明する。なお、同図は同プロセスカートリッジの概略構成断面図である。
【0193】
このプロセスカートリッジ50は、像担持体51、帯電手段52、現像手段54、本発明に係るクリーニング装置56等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカ−トリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカ−トリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。
【0194】
クリ−ニング装置56を着脱自在であるプロセスカ−トリッジ内に具備させることにより、メンテナンス性の向上、他の装置との一体交換が容易に行うことができるようになる。
【0195】
次に、本発明に係るプロセスカートリッジを用いたカラー画像形成装置について図14を参照して説明する。
この画像形成装置は、水平に延在する転写ベルト(像担持体)61に沿って、各色の上述したプロセスカ−トリッジ50を並置した形式のカラー画像形成装置である。
【0196】
プロセスカ−トリッジ50は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色ごとに4つ配置されている。各プロセスカ−トリッジ50で現像された像担持体61上の現像トナーは水平に延在する転写電圧が印加された転写ベルト61に順次転写される。
【0197】
このようにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと画像の形成が行なわれ、転写ベルト61上に多重に転写され、転写手段62で転写材18にまとめて転写される。そして、転写材18上の多重トナー像は図示しない定着装置によって定着される。プロセスカ−トリッジ50は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で説明したが、この順番に特定されるものではなく、どの順番で並置してもよい。
【0198】
通常、カラーの画像形成装置は複数の画像形成部を有するため装置が大きくなってしまう。また、クリーニングや帯電などの各ユニットが個別で故障したり、寿命による交換時期がきた場合は、装置が複雑でユニットの交換に非常に手間がかかっていた。
【0199】
そこで、本実施形態のように、像担持体、帯電手段、現像手段の構成要素をプロセスカ−トリッジ50として一体に結合して構成することによって、ユーザーによる交換も可能な小型で高耐久のカラー画像形成装置を提供することができる。
【0200】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るクリーニング装置によれば、クリーニングブレード部材を振動させるための加振手段を共振周波数を駆動周波数として駆動するようにしたので、振動量を確保することができてクリーニング性を維持することができる。
【0201】
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係るクリーニング装置を備えているので、クリーニング不良がなく、高画質画像を形成することができる。
【0202】
本発明に係るプロセスカートリッジによれば、本発明に係るクリーニング装置を備えているので、クリーニング不良がなく、高画質画像を形成することが可能になる。
【0203】
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る複数のプロセスカートリッジを備えているので、クリーニング不良がなく、高画質カラー画像を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクリーニング装置のクリーニングメカニズムを説明するための説明図
【図2】本発明に係るクリーニング装置を備えた本発明に係る画像形成装置の概略構成図
【図3】同画像形成装置のクリーニング装置の一例を示す加振クリーニングブレードの要部拡大説明図
【図4】図3の要部拡大説明図
【図5】同加振クリーニングブレードの正面説明図
【図6】同加振クリーニングブレードを先端側から見た説明図である。
【図7】同クリーニング装置の駆動制御系の一例を説明する説明図
【図8】トナーの円形度の説明に供する説明図
【図9】共振周波数の測定の説明に供する説明図
【図10】周波数と変位量の関係の測定結果の一例を示す説明図
【図11】本発明に係るクリーニング装置の加振クリーニングブレードの他の例の説明に供する説明図
【図12】同加振クリーニングブレードの像担持体幅方向の説明図
【図13】本発明に係るプロセスカートリッジの説明に供する説明図
【図14】本発明に係るプロセスカートリッジを備えた本発明に係る画像形成装置の概略構成図
【図15】従来のクリーニングブレードの説明に供する説明図
【図16】同クリーニングブレードの像担持体が移動しているときの状態を示す要部拡大説明図
【図17】同クリーニングブレードを用いた粉砕トナーのクリーニングメカニズムの説明に供する説明図
【図18】同クリーニングブレードを用いた粉砕トナーのクリーニングメカニズムにおけるスティック・スリップ運動の説明に供する説明図
【図19】同クリーニングブレードを用いた球形トナーのクリーニング不良の発生メカニズを説明する説明図
【図20】同クリーニングブレードを用いた球形トナーのクリーニング不良の発生メカニズを説明する説明図
【符号の説明】
1…ブレード部材、11…像担持体、20…加振クリーニングブレード、21…ブレード部材、22…振動部材、23…加振手段、28…駆動回路、50…プロセスカートリッジ。

Claims (11)

  1. 画像形成装置の像担持体表面に残留しているトナーをクリーニングするためのクリーニング装置であって、一個又は複数個の加振手段が取りつけられた幅方向に長い振動部材と、この振動部材の少なくとも先端領域に取付けられた幅方向に長いブレード部材と、前記加振手段を共振周波数の駆動周波数で駆動させる駆動手段とを備え、前記振動部材により前記ブレード部材に対する振動及びブレード部材の前記像担持体に対する押し付け力を与えることを特徴とするクリーニング装置。
  2. 請求項1に記載のクリーニング装置において、前記駆動手段は前記駆動周波数を変化可能であることを特徴とするクリーニング装置。
  3. 請求項2に記載のクリーニング装置において、前記駆動手段の駆動周波数は前記ブレード部材と像担持体との摩擦抵抗力に基づいて設定されることを特徴とするクリーニング装置。
  4. 請求項3に記載のクリーニング装置において、前記駆動手段の駆動周波数は前記像担持体表面の摩擦係数に基づいて設定されることを特徴とするクリーニング装置。
  5. 請求項3に記載のクリーニング装置において、前記駆動手段の駆動周波数は前記像担持体の回転トルクに基づいて設定されることを特徴とするクリーニング装置。
  6. 請求項3に記載のクリーニング装置において、前記駆動手段の駆動周波数はクリーニング性の検出結果に基づいて設定されることを特徴とするクリーニング装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載のクリーニング装置において、前記加振手段が圧電素子であることを特徴とするクリーニング装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載のクリーニング装置において、前記トナーが重合法によって作製された重合トナーであることを特徴とするクリーニング装置。
  9. 像担持体、帯電手段、現像手段及び転写手段の少なくともいずれかと、クリーニング手段とを含み、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、前記クリーニング手段が請求項1ないし7のいずれかに記載のクリーニング装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  10. 電子写真法を用いて画像を形成する画像形成装置において、像担持体表面に残留するトナーをクリーニングするための請求項1ないし7のいずれかに記載のクリーニング装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
  11. カラー画像を形成する画像形成装置において、請求項8に記載のプロセスカートリッジを複数備えていることを特徴とする画像形成装置。
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