JP2004327358A - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】機能に再現性を持たせ、構造の簡略化を図りつつ、電極反応による生成水を円滑に排出するようにして、電極内におけるフラッディングの発生を抑制する。
【解決手段】触媒層2,カーボン層3及びガス拡散層4を積層して成るカソード5と、カソード5の触媒層2と接合する固体高分子電解質膜6と、カソード5のガス拡散層4との間で複数のガス流路7aを形成するセパレータ7を備え、カソード5の触媒層2にセパレータ7側に向けて開口する排水用溝2aを設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】触媒層2,カーボン層3及びガス拡散層4を積層して成るカソード5と、カソード5の触媒層2と接合する固体高分子電解質膜6と、カソード5のガス拡散層4との間で複数のガス流路7aを形成するセパレータ7を備え、カソード5の触媒層2にセパレータ7側に向けて開口する排水用溝2aを設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学反応によって電気エネルギを得る固体高分子型燃料電池の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、電気化学反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんど無いクリーンな発電システムである。特に、固体高分子型燃料電池は、他の燃料電池と比較して低温で動作することから、自動車等の移動体用の動力源として期待されている。
【0003】
固体高分子型燃料電池は、図5に示すように、プロトン伝導性を有する固体高分子製の電解質膜Aと、酸素電極(カソード)B及び水素電極(アノード)Cを備えている。酸素電極B及び水素電極Cは、撥水性ポリマーを含浸させたカーボンクロスやカーボンペーパー等のポーラスカーボンから成る各々のガス拡散層Ba,Ca、カーボン層Bb,Cb、触媒層Bc,Ccを積層した構成をなしている。
【0004】
ガス拡散層Ba,Caは、カーボン層Bb,Cbを通して触媒層Bc,Ccに反応ガスを供給すると共に、触媒層Bc,Ccで発生した電荷を集電する。一方、触媒層Bc,Ccは、白金等の触媒を担持させ且つ電解質層と同種又は異種のイオン交換樹脂で被覆したカーボン粒子、プロトン伝導性を有するポリマー及び撥水性を有するポリマー等の材料で構成してあり、カーボン粒子の二次粒子間に形成された微小な空隙部が反応ガスの拡散流路として機能する。
【0005】
上記固体高分子型燃料電池は、電解質膜Aと両電極B,Cとを相互に対向させた状態でホットプレスにより接合して膜と電極との接合体(膜電極(MEA:Membrane Electrode Assembly))を形成した後、この膜電極とセパレータDa,Dbとを交互に積層して製造される(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
この固体高分子型燃料電池において、一方のセパレータDaに設けた酸素ガス流路Eを通して酸素電極Bに酸素ガスを供給すると共に、他方のセパレータDbに設けた水素ガス流路Fを通して水素電極Cに水素ガスを供給するようになっており、この反応ガスの供給により、次式(1),(2)に示す電気化学的反応を生じさせて電子を発生させ、この電子を電極から外部回路に取り出すことによって、電気エネルギを発生するようになっている。
アノード反応(水素電極):H2→2H+ +2e− (1)
カソード反応(酸素電極):2H++2e−+(1/2)O2 →H2 (2)
【0007】
【特許文献1】
特開平5−190184号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した固体高分子型燃料電池において、反応生成水(式(1)の反応で発生した水)の電極外への排出が円滑になされないと、反応生成水が電極内に滞留して反応ガスの拡散を阻害してしまい、すなわち、フラッディングを引き起こしてしまい、電池性能に悪影響を与え兼ねないという問題を有していた。
【0009】
また、上記したフラッディング現象を抑制するために、電極の面内の撥水性に分布を設ける手段や、異なるEW値を有するポリマーを導入する手段を講じた場合には、機能の再現性が失われたり、製造工数が増加してしまったりするという問題があり、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、機能に再現性があるのは勿論のこと、構造の簡略化を図ったうえで、電極反応による生成水を円滑に排出することができ、その結果、電極内におけるフラッディングの発生を抑制することが可能である固体高分子型燃料電池を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、触媒層,カーボン層及びガス拡散層を積層して成る電極と、この電極の触媒層と接合する固体高分子電解質膜と、上記電極のガス拡散層との間で複数のガス流路を形成するセパレータを備えた固体高分子型燃料電池において、上記電極の触媒層,カーボン層及びガス拡散層のうちの少なくとも一つの層に、上記セパレータ側に向けて開口する排水用溝を設けた構成としている。
【0012】
本発明では、電極内の反応生成水を電極の触媒層,カーボン層及びガス拡散層のうちの少なくとも一つの層に設けた排水用溝を介して電極外に排出し得ることから、電極内におけるフラッディングの発生が抑えられることとなる。
【0013】
【発明の効果】
本発明では、上記した構成としているので、機能の再現性を有しているのはもとより、排水用溝を通して電極内の反応生成水を電極外に排出することができ、したがって、電極内においてフラッディング現象が生じるのを抑制することが可能であり、加えて、製造の容易化を実現することができるという極めて優れた効果がもたらされる。
【0014】
【発明の実施の形態】
上記セパレータ側に向けて開口する排水用溝をセパレータのガス流路の延長上に設けると、反応ガスが多い箇所において反応界面領域が減ることになることから、排水用溝はセパレータのガス流路間に位置するリブの延長上に配置することが望ましい。
【0015】
また、排水用溝の断面形状は排水性の良否に係わるが、開口側を底部側よりも広くした断面形状、例えば、断面三角形状の排水用溝とした場合には、排水性のみならずガス拡散性の向上も果たせることから、排水用溝のセパレータ側の溝幅を固体高分子電解質膜側の溝幅よりも広くすることが望ましい。
【0016】
さらに、固体高分子電解質膜に対して電極の触媒層が全域にわたって接触していると、触媒層における面方向の電気伝導性を確保することができ、且つプロトンの移動媒体である電解質膜を有効に利用することができるので、固体高分子電解質膜の表面全体を電極の触媒層で被覆することが望ましい。
【0017】
さらにまた、隣接する排水用溝間における開口側の間隔をセパレータのガス流路の路幅と同じ乃至広くすると、ガスの供給量が多い箇所において反応に必要な三相界面を多く確保することができる。また、ガス流路間のリブにおいては、ガス供給量がガス流路に相当する個所と比較して少なく、この箇所に排水用溝を形成すれば、電極内のガスの拡散性を向上させることが可能となる。
【0018】
したがって、セパレータのガス流路の路幅をA、ガス流路間に位置するリブの幅をB、隣接する排水用溝間における開口側の間隔をCとした場合に、A≦C≦A+Bの条件を満たすようになすことが望ましい。
【0019】
さらにまた、本発明において、電極の反応を進行させるために、触媒担持カーボン,プロトン伝導性高分子電解質粒子及び撥水性部材から成っているものを電極の触媒層とすると共に、カーボン紛体と撥水性部材、又はカーボン紛体と親水性部材から成っているものを電極のカーボン層とすることが望ましい。
【0020】
さらにまた、本発明において、反応界面へのガス供給及び反応に必要な電子の移動を行えるようにするために、電極のガス拡散層には、ガス透過性及び電気伝導性の両方の性質を有する物質を用いることが望ましく、このガス透過性及び電気伝導性の両方の性質を有する物質としては、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロスや金属メッシュなどを採用することができ、とくにカーボンペーパーを採用することが好ましい。
【0021】
さらにまた、本発明において、プロトン移動を進行させるために、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質から固体高分子電解質膜を形成することが望ましく、固体高分子電解質としては、例えば、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体を採用することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0023】
[実施例1]
図1に部分的に示すように、この固体高分子型燃料電池1は、触媒層2,カーボン層3及びガス拡散層4を積層して成るカソード(電極)5と、このカソード5と同じく触媒層,カーボン層及びガス拡散層を積層して成るアノード(電極)と、これらのカソード5及びアノードの間に位置して各々の触媒層2で表面全体が被覆された固体高分子電解質膜6と、上記カソード5及びアノードの各ガス拡散層4との間で複数のガス流路7aをそれぞれ形成するセパレータ7を備えており、カソード5の触媒層2のみに、セパレータ7側に向けて開口する排水用溝2aを設けた構成をなしている(アノード及びこのアノードに接合するセパレータの図示は省略する)。
【0024】
この場合、図2に示すように、排水用溝2aは、セパレータ7のガス流路7a間に位置するリブ7bの延長上に配置してあって、そのセパレータ7側の溝幅を固体高分子電解質膜6側の溝幅よりも広くしている。そして、セパレータ7のガス流路7aの路幅をA、ガス流路7a,7a間に位置するリブ7bの幅をB、隣接する排水用溝2a,2a間における開口側の間隔をCとした場合に、A≦C≦A+Bの条件を満たすように、各寸法を設定している。
【0025】
上記固体高分子型燃料電池1の燃料電池単セルの作製にあたっては、まず、カソード5側の触媒インクを作成した。この触媒インクは、50質量%Pt担持カーボン粉末1重量に対して、純水を4重量、5重量%ナフィオン溶液(デュポン社製登録商標)を8重量、イソプロピルアルコールを1.5重量、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を0.2重量混合して調製した。なお、アノード側の触媒インクにはポリテトラフルオロエチレン粉末を混入しなかった。
【0026】
上記のようにして調製したカソード5側の触媒インクを基材上にドクターブレード法又はスクリーン印刷法によって塗布した。基材には厚さ0.2mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。
【0027】
この場合、触媒層2内に排水用溝2aを設けることから、フィルムに触媒層2内の排水用溝2aの形状に対応する突起を設けた。また、このフィルムの突起と同じ形状の突起を有する厚さ0.15mmのステンレスプレートを作製し、このプレート上にフィルムを載せて、そのフィルム上に触媒インクを塗布し、室温で乾燥させることで、カソード5側の触媒層2を形成した。乾燥後の触媒層2の厚みは50μmであった。
【0028】
上記触媒層2とナフィオン膜とが互いに接するようにして触媒層2を付けたフィルムをナフィオン膜(デュポン社製登録商標)上に配置し、これらをホットプレスにより一体化することで、触媒層2と電解質膜6との接合体を作製した。ホットプレスは、接合温度100℃、接合圧力1MPa、接合時間2分で行った。
【0029】
次に、カーボン層3のインクを調製した。カーボン層3のインクは、カーボン粉末1重量とPTFE粉末1重量とを混合し、粉砕機により攪拌・粉砕した後、純水3重量とエタノール3重量とを混合することで調製した。そして、撥水処理を施したガス拡散層4上に上記インクをドクターブレード法又はスクリーン印刷法により塗布し、この塗布後において室温で乾燥させることによりカーボン層3を形成した。
【0030】
次いで、アノード側の触媒層,カーボン層,ガス拡散層及び接合体を作製した。この際、ガス拡散層上に上記手法によりカーボン層を形成した。このカーボン層上にアノード側の触媒インクをドクターブレード法又はスクリーン印刷法により塗布し、室温で乾燥させた。
【0031】
そして、上記カソード5側の触媒層2とカーボン層3とが接するようにして触媒層2と電解質膜6との接合体及びカーボン層3が塗布されたガス拡散層4をそれぞれ配置すると共に、上記電解質膜6とアノード側の触媒層とが接するように配置し、これらをホットプレスにより一体化することで、電極接合体を作製した。ホットプレスは、接合温度100℃、接合圧力1MPa、接合時間2分で行った。
【0032】
[実施例2]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、アノード側の触媒層のみに、セパレータ側に向けて開口する排出用溝を設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例1の固体高分子型燃料電池1と同じである。
【0033】
[実施例3]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、カソード5側の触媒層2及びアノード側の触媒層の双方に、セパレータ7側に向けて開口する排出用溝2aを設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例1の固体高分子型燃料電池1と同じである。
【0034】
[実施例4]
図3に部分的に示すように、この固体高分子型燃料電池11では、カソード15側のカーボン層13のみに排水用溝13aを形成しており、触媒インクや、カーボン層インクの調製を含めた他の構成は上記実施例1の固体高分子型燃料電池1と同じである。
【0035】
上記固体高分子型燃料電池11の燃料電池単セルの作製にあたっては、まず、実施例1と同様の手法により、排水用溝を設けていないアノード側の触媒層及びカソード5側の触媒層12の双方をナフィオン膜上に形成した。
【0036】
次いで、PETフィルム上にカーボン層インクを塗布し、そして乾燥させることでカーボン層13を作製した。この際、塗布方法及び乾燥条件は実施例1と同様である。
【0037】
次いで、このフィルム上に形成したカーボン層13をホットプレスによりカソード15側の触媒層12上に転写した。ホットプレスは、接合温度100℃、接合圧力1MPa、接合時間2分で行った。また、アノード側のカーボン層の形成方法及び電極接合体の作成要領も実施例1と同様である。
【0038】
[実施例5]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、アノード側のカーボン層のみに、セパレータ側に向けて開口する排出用溝を設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例4の固体高分子型燃料電池11と同じである。
【0039】
[実施例6]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、カソード15側のカーボン層13及びアノード側のカーボン層の双方に、セパレータ7側に向けて開口する排出用溝13aを設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例4の固体高分子型燃料電池11と同じである。
【0040】
[実施例7]
図4に部分的に示すように、この固体高分子型燃料電池21では、カソード25側のガス拡散層24のみに排水用溝24aを形成している。この場合、ガス拡散層24にはカーボンペーパーを用いており、このカーボンペーパーを切削することにより排水用溝24aを形成した。なお、この排水用溝24aは、切削法以外の手法によって形成しても差し支えない。
【0041】
上記固体高分子型燃料電池21の燃料電池単セルに用いる触媒インク及びカーボン層インクは上記実施例1と同じであり、その作製に際しては、まず、PETフィルム上にカーボン層、触媒層の順で層を形成した。
【0042】
次いで、排水用溝を設けていないアノード側のガス拡散層及びカソード25側のガス拡散層24の双方をナフィオン膜上に配置した後、ホットプレスすることにより電解質膜6と触媒層22とカーボン層23との接合体を作製した。ホットプレスは、接合温度100℃、接合圧力1MPa、接合時間2分で行った。また、形成手法及び乾燥方法は実施例1と同様である。
【0043】
[実施例8]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、アノード側のガス拡散層のみに、セパレータ側に向けて開口する排出用溝を設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例7の固体高分子型燃料電池21と同じである。
【0044】
[実施例9]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、カソード25側のガス拡散層24及びアノード側のガス拡散層の双方に、セパレータ7側に向けて開口する排出用溝24aを設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例7の固体高分子型燃料電池21と同じである。
【0045】
[比較例1]
この比較例1の固体高分子型燃料電池は、電極の触媒層,カーボン層及びガス拡散層のいずれにも排出用溝を設けていない構成とした。なお、触媒インク及びカーボン層インクの調製方法は実施例1と同様であり、電極接合体の形成方法も上記実施例1と同様である。
【0046】
[電池性能試験]
そこで、上記実施例1〜9の固体高分子型燃料電池1,11,21及び比較例1の固体高分子型燃料電池に対して電池性能試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。この際、アノード側には水素を流し、一方、カソード5,15,25側には空気を流し、電池温度を80℃、水素利用率を70%、空気利用率を40%、加湿を水素及び酸素がいずれも70℃露点となるようにした。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示す結果から、上記実施例1〜9の固体高分子型燃料電池1,11,21では、反応生成水が電極外へ排出し易くなって、反応ガスの拡散が滞りなくなされ、比較例1の固体高分子型燃料電池よりも高いセル電圧が得られる、すなわち、優れた電池性能を有していることが立証できた。
【0049】
上記した実施例では、いずれも電極(カソード5,15,25)が触媒層,カーボン層及びガス拡散層を積層して成っている場合を示したが、電極が触媒層及びガス拡散層を積層して成っている構成を採用することも可能である。
【0050】
また、触媒インクの組成、カーボン層インクの組成、塗布基材、乾燥条件、排水用溝2a,13a,24aの形状などは、上記実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固体高分子型燃料電池の一実施例を示す部分断面説明図である。
【図2】図1の固体高分子型燃料電池の要部拡大断面説明図である。
【図3】本発明の固体高分子型燃料電池の他の実施例を示す部分断面説明図である。
【図4】本発明の固体高分子型燃料電池のさらに他の実施例を示す部分断面説明図である。
【図5】従来の固体高分子型燃料電池を示す部分断面説明図である。
【符号の説明】
1,11,21 固体高分子型燃料電池
2,12,22 触媒層
2a,13a,24a 排水用溝
3,13,23 カーボン層
4,24 ガス拡散層
5,15,25 カソード(電極)
6 固体高分子電解質膜
7 セパレータ
7a ガス流路
7b リブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学反応によって電気エネルギを得る固体高分子型燃料電池の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、電気化学反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんど無いクリーンな発電システムである。特に、固体高分子型燃料電池は、他の燃料電池と比較して低温で動作することから、自動車等の移動体用の動力源として期待されている。
【0003】
固体高分子型燃料電池は、図5に示すように、プロトン伝導性を有する固体高分子製の電解質膜Aと、酸素電極(カソード)B及び水素電極(アノード)Cを備えている。酸素電極B及び水素電極Cは、撥水性ポリマーを含浸させたカーボンクロスやカーボンペーパー等のポーラスカーボンから成る各々のガス拡散層Ba,Ca、カーボン層Bb,Cb、触媒層Bc,Ccを積層した構成をなしている。
【0004】
ガス拡散層Ba,Caは、カーボン層Bb,Cbを通して触媒層Bc,Ccに反応ガスを供給すると共に、触媒層Bc,Ccで発生した電荷を集電する。一方、触媒層Bc,Ccは、白金等の触媒を担持させ且つ電解質層と同種又は異種のイオン交換樹脂で被覆したカーボン粒子、プロトン伝導性を有するポリマー及び撥水性を有するポリマー等の材料で構成してあり、カーボン粒子の二次粒子間に形成された微小な空隙部が反応ガスの拡散流路として機能する。
【0005】
上記固体高分子型燃料電池は、電解質膜Aと両電極B,Cとを相互に対向させた状態でホットプレスにより接合して膜と電極との接合体(膜電極(MEA:Membrane Electrode Assembly))を形成した後、この膜電極とセパレータDa,Dbとを交互に積層して製造される(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
この固体高分子型燃料電池において、一方のセパレータDaに設けた酸素ガス流路Eを通して酸素電極Bに酸素ガスを供給すると共に、他方のセパレータDbに設けた水素ガス流路Fを通して水素電極Cに水素ガスを供給するようになっており、この反応ガスの供給により、次式(1),(2)に示す電気化学的反応を生じさせて電子を発生させ、この電子を電極から外部回路に取り出すことによって、電気エネルギを発生するようになっている。
アノード反応(水素電極):H2→2H+ +2e− (1)
カソード反応(酸素電極):2H++2e−+(1/2)O2 →H2 (2)
【0007】
【特許文献1】
特開平5−190184号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した固体高分子型燃料電池において、反応生成水(式(1)の反応で発生した水)の電極外への排出が円滑になされないと、反応生成水が電極内に滞留して反応ガスの拡散を阻害してしまい、すなわち、フラッディングを引き起こしてしまい、電池性能に悪影響を与え兼ねないという問題を有していた。
【0009】
また、上記したフラッディング現象を抑制するために、電極の面内の撥水性に分布を設ける手段や、異なるEW値を有するポリマーを導入する手段を講じた場合には、機能の再現性が失われたり、製造工数が増加してしまったりするという問題があり、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、機能に再現性があるのは勿論のこと、構造の簡略化を図ったうえで、電極反応による生成水を円滑に排出することができ、その結果、電極内におけるフラッディングの発生を抑制することが可能である固体高分子型燃料電池を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、触媒層,カーボン層及びガス拡散層を積層して成る電極と、この電極の触媒層と接合する固体高分子電解質膜と、上記電極のガス拡散層との間で複数のガス流路を形成するセパレータを備えた固体高分子型燃料電池において、上記電極の触媒層,カーボン層及びガス拡散層のうちの少なくとも一つの層に、上記セパレータ側に向けて開口する排水用溝を設けた構成としている。
【0012】
本発明では、電極内の反応生成水を電極の触媒層,カーボン層及びガス拡散層のうちの少なくとも一つの層に設けた排水用溝を介して電極外に排出し得ることから、電極内におけるフラッディングの発生が抑えられることとなる。
【0013】
【発明の効果】
本発明では、上記した構成としているので、機能の再現性を有しているのはもとより、排水用溝を通して電極内の反応生成水を電極外に排出することができ、したがって、電極内においてフラッディング現象が生じるのを抑制することが可能であり、加えて、製造の容易化を実現することができるという極めて優れた効果がもたらされる。
【0014】
【発明の実施の形態】
上記セパレータ側に向けて開口する排水用溝をセパレータのガス流路の延長上に設けると、反応ガスが多い箇所において反応界面領域が減ることになることから、排水用溝はセパレータのガス流路間に位置するリブの延長上に配置することが望ましい。
【0015】
また、排水用溝の断面形状は排水性の良否に係わるが、開口側を底部側よりも広くした断面形状、例えば、断面三角形状の排水用溝とした場合には、排水性のみならずガス拡散性の向上も果たせることから、排水用溝のセパレータ側の溝幅を固体高分子電解質膜側の溝幅よりも広くすることが望ましい。
【0016】
さらに、固体高分子電解質膜に対して電極の触媒層が全域にわたって接触していると、触媒層における面方向の電気伝導性を確保することができ、且つプロトンの移動媒体である電解質膜を有効に利用することができるので、固体高分子電解質膜の表面全体を電極の触媒層で被覆することが望ましい。
【0017】
さらにまた、隣接する排水用溝間における開口側の間隔をセパレータのガス流路の路幅と同じ乃至広くすると、ガスの供給量が多い箇所において反応に必要な三相界面を多く確保することができる。また、ガス流路間のリブにおいては、ガス供給量がガス流路に相当する個所と比較して少なく、この箇所に排水用溝を形成すれば、電極内のガスの拡散性を向上させることが可能となる。
【0018】
したがって、セパレータのガス流路の路幅をA、ガス流路間に位置するリブの幅をB、隣接する排水用溝間における開口側の間隔をCとした場合に、A≦C≦A+Bの条件を満たすようになすことが望ましい。
【0019】
さらにまた、本発明において、電極の反応を進行させるために、触媒担持カーボン,プロトン伝導性高分子電解質粒子及び撥水性部材から成っているものを電極の触媒層とすると共に、カーボン紛体と撥水性部材、又はカーボン紛体と親水性部材から成っているものを電極のカーボン層とすることが望ましい。
【0020】
さらにまた、本発明において、反応界面へのガス供給及び反応に必要な電子の移動を行えるようにするために、電極のガス拡散層には、ガス透過性及び電気伝導性の両方の性質を有する物質を用いることが望ましく、このガス透過性及び電気伝導性の両方の性質を有する物質としては、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロスや金属メッシュなどを採用することができ、とくにカーボンペーパーを採用することが好ましい。
【0021】
さらにまた、本発明において、プロトン移動を進行させるために、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質から固体高分子電解質膜を形成することが望ましく、固体高分子電解質としては、例えば、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体を採用することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0023】
[実施例1]
図1に部分的に示すように、この固体高分子型燃料電池1は、触媒層2,カーボン層3及びガス拡散層4を積層して成るカソード(電極)5と、このカソード5と同じく触媒層,カーボン層及びガス拡散層を積層して成るアノード(電極)と、これらのカソード5及びアノードの間に位置して各々の触媒層2で表面全体が被覆された固体高分子電解質膜6と、上記カソード5及びアノードの各ガス拡散層4との間で複数のガス流路7aをそれぞれ形成するセパレータ7を備えており、カソード5の触媒層2のみに、セパレータ7側に向けて開口する排水用溝2aを設けた構成をなしている(アノード及びこのアノードに接合するセパレータの図示は省略する)。
【0024】
この場合、図2に示すように、排水用溝2aは、セパレータ7のガス流路7a間に位置するリブ7bの延長上に配置してあって、そのセパレータ7側の溝幅を固体高分子電解質膜6側の溝幅よりも広くしている。そして、セパレータ7のガス流路7aの路幅をA、ガス流路7a,7a間に位置するリブ7bの幅をB、隣接する排水用溝2a,2a間における開口側の間隔をCとした場合に、A≦C≦A+Bの条件を満たすように、各寸法を設定している。
【0025】
上記固体高分子型燃料電池1の燃料電池単セルの作製にあたっては、まず、カソード5側の触媒インクを作成した。この触媒インクは、50質量%Pt担持カーボン粉末1重量に対して、純水を4重量、5重量%ナフィオン溶液(デュポン社製登録商標)を8重量、イソプロピルアルコールを1.5重量、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を0.2重量混合して調製した。なお、アノード側の触媒インクにはポリテトラフルオロエチレン粉末を混入しなかった。
【0026】
上記のようにして調製したカソード5側の触媒インクを基材上にドクターブレード法又はスクリーン印刷法によって塗布した。基材には厚さ0.2mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。
【0027】
この場合、触媒層2内に排水用溝2aを設けることから、フィルムに触媒層2内の排水用溝2aの形状に対応する突起を設けた。また、このフィルムの突起と同じ形状の突起を有する厚さ0.15mmのステンレスプレートを作製し、このプレート上にフィルムを載せて、そのフィルム上に触媒インクを塗布し、室温で乾燥させることで、カソード5側の触媒層2を形成した。乾燥後の触媒層2の厚みは50μmであった。
【0028】
上記触媒層2とナフィオン膜とが互いに接するようにして触媒層2を付けたフィルムをナフィオン膜(デュポン社製登録商標)上に配置し、これらをホットプレスにより一体化することで、触媒層2と電解質膜6との接合体を作製した。ホットプレスは、接合温度100℃、接合圧力1MPa、接合時間2分で行った。
【0029】
次に、カーボン層3のインクを調製した。カーボン層3のインクは、カーボン粉末1重量とPTFE粉末1重量とを混合し、粉砕機により攪拌・粉砕した後、純水3重量とエタノール3重量とを混合することで調製した。そして、撥水処理を施したガス拡散層4上に上記インクをドクターブレード法又はスクリーン印刷法により塗布し、この塗布後において室温で乾燥させることによりカーボン層3を形成した。
【0030】
次いで、アノード側の触媒層,カーボン層,ガス拡散層及び接合体を作製した。この際、ガス拡散層上に上記手法によりカーボン層を形成した。このカーボン層上にアノード側の触媒インクをドクターブレード法又はスクリーン印刷法により塗布し、室温で乾燥させた。
【0031】
そして、上記カソード5側の触媒層2とカーボン層3とが接するようにして触媒層2と電解質膜6との接合体及びカーボン層3が塗布されたガス拡散層4をそれぞれ配置すると共に、上記電解質膜6とアノード側の触媒層とが接するように配置し、これらをホットプレスにより一体化することで、電極接合体を作製した。ホットプレスは、接合温度100℃、接合圧力1MPa、接合時間2分で行った。
【0032】
[実施例2]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、アノード側の触媒層のみに、セパレータ側に向けて開口する排出用溝を設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例1の固体高分子型燃料電池1と同じである。
【0033】
[実施例3]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、カソード5側の触媒層2及びアノード側の触媒層の双方に、セパレータ7側に向けて開口する排出用溝2aを設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例1の固体高分子型燃料電池1と同じである。
【0034】
[実施例4]
図3に部分的に示すように、この固体高分子型燃料電池11では、カソード15側のカーボン層13のみに排水用溝13aを形成しており、触媒インクや、カーボン層インクの調製を含めた他の構成は上記実施例1の固体高分子型燃料電池1と同じである。
【0035】
上記固体高分子型燃料電池11の燃料電池単セルの作製にあたっては、まず、実施例1と同様の手法により、排水用溝を設けていないアノード側の触媒層及びカソード5側の触媒層12の双方をナフィオン膜上に形成した。
【0036】
次いで、PETフィルム上にカーボン層インクを塗布し、そして乾燥させることでカーボン層13を作製した。この際、塗布方法及び乾燥条件は実施例1と同様である。
【0037】
次いで、このフィルム上に形成したカーボン層13をホットプレスによりカソード15側の触媒層12上に転写した。ホットプレスは、接合温度100℃、接合圧力1MPa、接合時間2分で行った。また、アノード側のカーボン層の形成方法及び電極接合体の作成要領も実施例1と同様である。
【0038】
[実施例5]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、アノード側のカーボン層のみに、セパレータ側に向けて開口する排出用溝を設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例4の固体高分子型燃料電池11と同じである。
【0039】
[実施例6]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、カソード15側のカーボン層13及びアノード側のカーボン層の双方に、セパレータ7側に向けて開口する排出用溝13aを設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例4の固体高分子型燃料電池11と同じである。
【0040】
[実施例7]
図4に部分的に示すように、この固体高分子型燃料電池21では、カソード25側のガス拡散層24のみに排水用溝24aを形成している。この場合、ガス拡散層24にはカーボンペーパーを用いており、このカーボンペーパーを切削することにより排水用溝24aを形成した。なお、この排水用溝24aは、切削法以外の手法によって形成しても差し支えない。
【0041】
上記固体高分子型燃料電池21の燃料電池単セルに用いる触媒インク及びカーボン層インクは上記実施例1と同じであり、その作製に際しては、まず、PETフィルム上にカーボン層、触媒層の順で層を形成した。
【0042】
次いで、排水用溝を設けていないアノード側のガス拡散層及びカソード25側のガス拡散層24の双方をナフィオン膜上に配置した後、ホットプレスすることにより電解質膜6と触媒層22とカーボン層23との接合体を作製した。ホットプレスは、接合温度100℃、接合圧力1MPa、接合時間2分で行った。また、形成手法及び乾燥方法は実施例1と同様である。
【0043】
[実施例8]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、アノード側のガス拡散層のみに、セパレータ側に向けて開口する排出用溝を設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例7の固体高分子型燃料電池21と同じである。
【0044】
[実施例9]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、カソード25側のガス拡散層24及びアノード側のガス拡散層の双方に、セパレータ7側に向けて開口する排出用溝24aを設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例7の固体高分子型燃料電池21と同じである。
【0045】
[比較例1]
この比較例1の固体高分子型燃料電池は、電極の触媒層,カーボン層及びガス拡散層のいずれにも排出用溝を設けていない構成とした。なお、触媒インク及びカーボン層インクの調製方法は実施例1と同様であり、電極接合体の形成方法も上記実施例1と同様である。
【0046】
[電池性能試験]
そこで、上記実施例1〜9の固体高分子型燃料電池1,11,21及び比較例1の固体高分子型燃料電池に対して電池性能試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。この際、アノード側には水素を流し、一方、カソード5,15,25側には空気を流し、電池温度を80℃、水素利用率を70%、空気利用率を40%、加湿を水素及び酸素がいずれも70℃露点となるようにした。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示す結果から、上記実施例1〜9の固体高分子型燃料電池1,11,21では、反応生成水が電極外へ排出し易くなって、反応ガスの拡散が滞りなくなされ、比較例1の固体高分子型燃料電池よりも高いセル電圧が得られる、すなわち、優れた電池性能を有していることが立証できた。
【0049】
上記した実施例では、いずれも電極(カソード5,15,25)が触媒層,カーボン層及びガス拡散層を積層して成っている場合を示したが、電極が触媒層及びガス拡散層を積層して成っている構成を採用することも可能である。
【0050】
また、触媒インクの組成、カーボン層インクの組成、塗布基材、乾燥条件、排水用溝2a,13a,24aの形状などは、上記実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固体高分子型燃料電池の一実施例を示す部分断面説明図である。
【図2】図1の固体高分子型燃料電池の要部拡大断面説明図である。
【図3】本発明の固体高分子型燃料電池の他の実施例を示す部分断面説明図である。
【図4】本発明の固体高分子型燃料電池のさらに他の実施例を示す部分断面説明図である。
【図5】従来の固体高分子型燃料電池を示す部分断面説明図である。
【符号の説明】
1,11,21 固体高分子型燃料電池
2,12,22 触媒層
2a,13a,24a 排水用溝
3,13,23 カーボン層
4,24 ガス拡散層
5,15,25 カソード(電極)
6 固体高分子電解質膜
7 セパレータ
7a ガス流路
7b リブ
Claims (10)
- 触媒層,カーボン層及びガス拡散層を積層して成る電極と、この電極の触媒層と接合する固体高分子電解質膜と、上記電極のガス拡散層との間で複数のガス流路を形成するセパレータを備えた固体高分子型燃料電池において、上記電極の触媒層,カーボン層及びガス拡散層のうちの少なくとも一つの層に、上記セパレータ側に向けて開口する排水用溝を設けたことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
- 触媒層及びガス拡散層を積層して成る電極と、この電極の触媒層と接合する固体高分子電解質膜と、上記電極のガス拡散層との間で複数のガス流路を形成するセパレータを備えた固体高分子型燃料電池において、上記電極の触媒層及びガス拡散層のうちの少なくともいずれか一方の層に、上記セパレータ側に向けて開口する排水用溝を設けたことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
- セパレータのガス流路間に位置するリブの延長上に排水用溝を配置した請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池。
- 排水用溝のセパレータ側の溝幅を固体高分子電解質膜側の溝幅よりも広くした請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体高分子型燃料電池。
- 固体高分子電解質膜の表面全体を電極の触媒層で被覆してある請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の固体高分子型燃料電池。
- セパレータのガス流路の路幅をA、ガス流路間に位置するリブの幅をB、隣接する排水用溝間における開口側の間隔をCとした場合に、A≦C≦A+Bの条件を満たしている請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の固体高分子型燃料電池。
- 電極の触媒層は、触媒担持カーボン,プロトン伝導性高分子電解質粒子及び撥水性部材から成っている請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の固体高分子型燃料電池。
- 電極のカーボン層は、カーボン紛体と撥水性部材、又はカーボン紛体と親水性部材から成っている請求項1,3〜7のいずれか1つの項に記載の固体高分子型燃料電池。
- 電極のガス拡散層は、ガス透過性及び電気伝導性の両方の性質を有する物質から成っている請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の固体高分子型燃料電池。
- 固体高分子電解質膜は、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質から形成してある請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の固体高分子型燃料電池。
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