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JP2004323820A - ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 良好な透過性能と緻密な膜構造、及び高温時の低収縮性を併せ持ち、初期電池特性とサイクル特性を両立でき、安全性にも優れたリチウムイオン等の二次電池用セパレータとして好適なポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 0.8×10−3〜1.7×10−3の透水量/透気量バランスと0.5MPaを越え1.0MPa未満のバブルポイントを有するポリオレフィン微多孔膜、及びその製造方法として抽出前に3倍以上のTD延伸を必須とし、抽出後に少なくともMD延伸する。
【選択図】 選択図なし

Description

本発明はポリオレフィン微多孔膜、その製造方法及びその電池セパレータへの適用に関する。
ポリオレフィン微多孔膜は、精密濾過膜、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ等に使用されている。その中で近年、特にリチウムイオン2次電池用途の需要が伸びており、電池の高エネルギー密度化に伴って、セパレータ にも高性能、高安全性が要求されるようになった。
リチウムイオン二次電池用セパレータには、突き刺し強度で表される電池の組立性能と深い関わり合いのある高い機械強度と共に、電池の出力特性を向上させるための高いイオン透過性能、異常発熱時にイオン透過や短絡を抑制し発火等を防ぐ安全性能を併せ持つことが求められている。
電池の出力特性とは、大電流での放電性能や低温での放電性能といった電流特性や、サイクル特性、高温保存特性といった寿命に関する特性であり、セパレータのイオン透過性能が高い程良く、イオン透過性能と関係深い物性としてはバブルポイントや透気度に代表される気体透過性と、透水量に代表される液体透過性等とされている。また、最近の電池の高エネルギー密度化の要求に伴い、初期容量を高く維持する工夫も重要になってきている。一方、高エネルギー密度化により異常時における発熱量、発熱速度は増大する傾向であり、ヒューズによる電流遮断後もしばらくは高温状態で維持されるために、高温時の膜収縮が低いことが望まれる。
微多孔膜の製造技術において、ポリマーと可塑剤よりなる組成物から、相分離プロセスにより微多孔膜前駆体を形成せしめ、これに可塑剤抽出除去のプロセスや延伸薄膜化のプロセスを適用して微多孔膜とする技術は公知である。このような公知技術の中で、延伸を行う段階を抽出プロセスの前または後に実施するかによって、それぞれ抽出前延伸、または抽出後延伸と呼ぶものとすると、抽出前延伸によるプロセスの場合、効率的にマトリックス樹脂に配向を付与し強度を高めることができ、緻密な小孔径の孔構造を持つ微多孔膜を製造することができる。一方、抽出後延伸によるプロセスの場合、延伸によって界面破壊が支配的に進むので、大孔径で透過性能が高い微多孔膜を得ることができる。
この2つの製法により得られる微多孔膜をリチウムイオン二次電池用セパレータとして用いた場合、上記の機械的特性、電池的特性を考えると相反する特徴を示す。すなわち、抽出前延伸による小孔径膜は、高い機械的強度と共に電池作成時の初期容量の維持に優れるがサイクル特性に劣り、一方、抽出後延伸による大孔径膜は、サイクル特性に優れるが初期容量の低下と機械的強度が弱いという特徴を示す。
機械的強度の強弱については各々の製法に起因することが容易に類推できる。一方、電池的特性の優劣については以下のように解釈できる。すなわち、サイクル特性において小孔径膜が劣る要因は、充放電を繰り返す二次電池内では充放電に伴う正負極活物質の膨張収縮による活物質のはく離や電解液の副反応により生成する物質等による微多孔の目詰まりが徐々に起こるため、小孔径膜では充放電サイクルを重ねる内に目詰まりが激しくなり、初期の電池性能が維持できなくなるためである。一方、大孔径膜は目詰まりしにくく性能が維持される。
一方、大孔径膜が電池の初期容量に劣る要因は、表面孔構造の不均一さから初期充放電の際に電流集中によって析出して使われなくなってしまう金属リチウムが多いためと考えられる。電池の初期容量に関してはその重要性にも関わらずあまり着目されてこなかったが、電池の高エネルギー密度化要求の厳しい今日において、初期容量を高く維持しつつ、サイクル特性も維持できるセパレータは非常に有用であると言える。
また安全性能に関しては、セパレータの機能としてヒューズ機能がある。これは短絡や高温下にさらされるなどにより電池が異常発熱を起こした場合に、微多孔膜の孔を閉塞する事によりイオンの透過を遮断し、更なる発熱の進行を抑制する機能である。しかしながら、高容量化、高密度化が進む現在、異常発熱した際の発熱量は大きく、急激に温度上昇するために、ヒューズ後でも電池内部はセパレータが溶融するような極めて高温に達する場合がある。溶融状態では高度に延伸されたセパレータは大きく収縮し、電極同士が接することにより再短絡した危険な状態となる場合がある。そのため融点以上の高温時での形状保持に優れているセパレータが熱望されており、その中でも大部分の電池ではセパレータはMD方向に巻回されていることから、特にTD方向の形状保持性に優れているセパレータは大変有用であると言える。ここで言うMD方向とは、機械方向、すなわちセパレータの連続製膜時の巻き取り方向であり、TD方向とはMD方向に垂直な幅方向のことである。
透過性と膜強度の維持を目的として以下の公知の方法では、抽出前延伸と抽出後延伸を併用する等の製法を開示しているが、以下に示す問題点と共にいずれも電池の初期容量の維持には着目しておらず、初期容量を高く維持しつつ、サイクル性も維持可能な微多孔膜を得るには至っていない。
特許文献1では、高透過性ではあるが気孔率が高く電池用セパレータ用途としては膜強度が弱い。
特許文献2では、抽出前延伸と抽出後延伸を併用し、更に熱処理を施すことにより、強度を損なうことなく、自在に透過性能を調節でき、同時に高温における寸法安定性に優れたポリオレフィン微多孔膜を製造する方法が開示されているが、初期容量を高く維持しつつ、サイクル性も維持可能な微多孔膜を得るには至っていない。
また特許文献3では、抽出後の延伸温度を低温に規定することで適度な大きさの貫通孔とシャープな孔径分布を有する微多孔膜の製造方法が開示されているが、これにより得られる膜の孔径は大きく、また気孔率も高くなるため、電池セパレータ用途では電解液の保液性に劣る。孔径が大きくなり、気孔率が高くなる理由は定かではないが、低温で延伸することで局部延伸は生じないが、延伸応力が樹脂自身の延伸配向には使われずに空孔の拡大のみに使われるためであると考えられる。
安全性に関しては、特許文献2では、高温における寸法安定性に優れたポリオレフィン微多孔膜を開示しているが、高温とはどの程度の温度か詳細に記述されておらず、また「熱収縮率は微多孔膜の高温における寸法安定性を評価する指標であり」との記述があるが、熱収縮率の測定条件が100℃、2時間であることから、本発明で問題にしている、セパレータが溶融状態になるような高温時のことを記述したものではない。
特許文献4では、特定の温度で熱処理することにより縦方向の熱収縮率が20%以下であり、横方向の熱収縮率が15%以下である微多孔膜および製造方法を開示しているが、これは105℃での収縮率であり、ヒューズ温度以下の低温での収縮についてしか着目しておらず、ヒューズ温度以上での収縮については記述されていない。
特許文献5では、ヒューズ温度以上の高温での耐熱性、低収縮性の優れた微多孔膜および製造方法が開示されているが、これにより得られる膜はMD方向に3倍以上の延伸倍率で延伸した後、TD方向に20〜80%縮める工程が必須であるために透過性能が劣る。さらに高強度の観点から、MD方向に3倍以上、好ましくは5〜20倍延伸することが記述されているが、MD方向にのみ著しく延伸するためにMD方向とTD方向の異方性が大きく、縦裂けしやすい構造となりデンドライト析出結晶などによる破膜が起こり易い。ゆえに初期電池特性、サイクル特性、安全性の3者を満たすことはできない。
また特許文献1、及び3では収縮について着目されていない。
大孔径膜のサイクル特性と小孔径膜の初期電池特性、及び高い安全性を併せ持つリチウムイオン二次電池用セパレータ、つまり良好な透過性能と緻密な膜構造、及び高温時の低収縮性を併せ持つ微多孔膜の出現が熱望されていた。
特公平6-21177号公報 特開平11-60789号公報 特許第2657430号公報 特開平9−12756号公報 特開2003−119306号公報
本発明は、良好な透過性能と緻密な膜構造、及び高温時の低収縮性を併せ持ち、リチウムイオン等の二次電池用セパレータとして用いた場合にサイクル特性と初期電池特性を両立でき、安全性にも優れたポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法を提供するものである。
本発明者らは前記課題に対して鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法において、抽出前及び後の延伸工程の各々で特定の方向及び倍率に延伸させることで、特定範囲の透水量/透気量バランスと特定範囲のバブルポイントを有し、さらに高温時の収縮が低減できること、その膜が電池の初期容量を高く維持しつつ、サイクル性も維持できる安全性に優れたセパレータとして有用であることを見出し、本発明を為すに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
(1)透水量/透気量の比が0.8×10−3〜1.7×10−3で且つバブルポイントが0.5MPaを越え1.0MPa未満であることを特徴とするポリオレフィン微多孔膜。
(2)MD方向を固定した状態でのTD方向の収縮率が、150℃において20%未満であることを特徴とする上記(1)に記載のポリオレフィン微多孔膜。
(3)(a)ポリオレフィン樹脂と可塑剤からなる組成物を溶融混練し、押出して冷却固化させシート状に成形する工程、(b)前記工程(a)の後にTD方向に3倍以上の延伸を行う工程、(c)前記工程(b)の後に、前記可塑剤を抽出する工程、(d)前記工程(c)の後に、少なくともMD方向に、少なくとも1回の延伸を行う工程を含むことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の微多孔膜の製造方法。
(4)上記(1)または(2)に記載のポリオレフィン製微多孔膜からなることを特徴とする電池用セパレータ。
本発明のポリオレフィン微多孔膜は、良好な透過性能と緻密な膜構造、及び高温時の低収縮性を併せ持ち、初期電池特性とサイクル特性を両立でき、安全性にも優れたリチウムイオン等の二次電池用セパレータとして好適である。
以下、本発明について、特にその好ましい態様を中心に、詳細に説明する。本発明における透水量、透気量とは微多孔膜の単位時間、単位圧力、単位面積当たりの水及び空気の透過量のことであり、水の透過速度定数Rliq(m/(m・sec・Pa))を透水量、空気の透過速度定数Rgas(m/(m・sec・Pa))を透気量とする。
ここで透気量とは、JIS P-8117準拠のガーレー式透気度計にて測定
される透気度の値を換算した値である。
本願発明の膜の、透水量/透気量の比は、0.8×10−3〜1.7×10−3の範囲にあることが必要である。好ましい範囲は1.0×10−3〜1.5×10−3である。この比が0.8×10−3未満では放電特性が低下する傾向にあり、また、1.7×10−3を越えると初期の電池容量が低下する傾向にあるため好ましくない。
透水量は好ましくは3×10−10〜4×10−9/(m・sec・Pa)の範囲にあり、より好ましくは4×10−10〜2×10−9/(m・sec・Pa)、更に好ましくは4×10−10〜1.5×10−9/(m・sec・Pa)である。電池用セパレータに適用する場合、透水量が3×10−10/(m・sec・Pa)より小さいと電解液の含浸速度が遅くなる傾向がある。また、透水量が4×10−9/(m・sec・Pa)より大きいと電解液の保液性が低下する傾向がある。
また、本発明の膜の透気量は好ましくは、3×10−7〜3×10−6/(m・sec・Pa)、より好ましくは4×10−7〜1.5×10−6/(m・sec・Pa)、さ らに好ましくは4×10−7〜1×10−6/(m・sec・Pa)、である。透気量が3×10−7/(m・sec・Pa)より小さいと、電池の低温での放電特性が低下する傾向にあり、また3×10−6/(m・sec・Pa)より大きいと電池セパレータとして使用した場合に正・負極の短絡が起こりやすくなる。
また、本願発明の膜のバブルポイントは0.5MPaを越え1MPa未満の範囲にあることが必要である。好ましい範囲は0.6〜0.9MPaである。バブルポイント法は最大孔径を表す簡易な方法として知られているが、バブルポイントが0.5MPa以下では、孔が粗大化して膜強度の低下を招き、電池作成時の巻回不良を引き起こす恐れがあり、一方、1.0MPa以上では孔が緻密すぎて十分なサイクル特性が得られない。
さらに、本発明膜の大きな特徴は、熱収縮率が20%未満であることである。ここで言う熱収縮とは、MD方向に収縮できないようにMD両端部を固定した状態での150℃におけるTD方向の収縮率である。電池内においてセパレータはMD方向に捲回されており、特に角型の電池においては捲回物を潰した構成となっている。そのためセパレータのMD方向は固定された状態となり収縮は出来ない。一方TD方向は固定されておらず収縮は容易である。150℃での収縮率が20%以上であるとセパレータの収縮が大きいために、ヒューズ機能による電流遮断後に電極が露出し、電極同士が接することにより再短絡し、発熱、発火の危険性が増大する。150℃におけるセパレータの収縮率は20%未満、好ましくは15%未満、さらに好ましくは10%未満である。
次に、本発明のポリオレフィン微多孔膜の好ましい製造方法例について説明する。本発明の製造方法の(a)の工程において、ポリオレフィン樹脂と可塑剤を溶融混練する方法は、ポリオレフィン樹脂を押出機、ニーダー等の樹脂混練装置に投入し、樹脂を加熱溶融させながら任意の比率で可塑剤を導入し、更に樹脂と可塑剤よりなる組成物を混練することにより、均一溶液を得る方法が好ましい。また、予め樹脂と可塑剤を混練したものを投入しても良い。投入するポリオレフィン樹脂の形態は、粉末状、顆粒状、ペレット状の何れでも良い。また、このような方法によって混練する場合は、可塑剤の形態は常温液体であることが好ましい。押出機としては、単軸スクリュー式押出機、二軸異方向スクリュー式押出機、二軸同方向スクリュー式押出機等が使用できる。
本発明の製造方法の(a)の工程において、押し出して冷却固化させシート状の微多孔膜前駆体を製造する方法は、樹脂と可塑剤の均一溶液をTダイ等を介してシート状に押し出し、熱伝導体に接触させて樹脂の結晶化温度より充分に低い温度まで冷却することにより行うことが好ましい。用いられる熱伝導体としては、金属、水、空気、あるいは可塑剤自身が使用できるが、特に金属製のロールに接触させて冷却する方法が最も熱伝導の効率が高く好ましい。また、金属製のロールに接触させる際に、ロール間で挟み込む等してカレンダー成形または熱間圧延を施すと、更に熱伝導の効率が高まり、またシートが配向して膜強度が増し、シートの表面平滑性も向上するため好ましい。
圧延する場合、圧延前のシート厚と圧延後のシート厚の比のことを圧延比と呼ぶが、圧延比の好ましい範囲は1.5〜8倍、更に好ましくは2〜5倍の範囲である。ここでいう圧延前のシート厚とはTダイ等のリップ間隔のことを指し、圧延後のシート厚とは圧延後に得られたシートの厚みのことを指す。圧延比が1.5倍未満ではシートの配向が不十分な場合がある。また8倍を越えると均一な膜厚のシートを得にくくなる傾向がある。また、Tダイ出口から圧延ロール接触点までのエアギャップは通常10〜200mmの範囲が好ましい。
圧延ロールの温度は、20℃から110 ℃未満の範囲の温度が好ましく、更に好ましくは70℃から100℃の範囲の温度である。圧延ロールの温度が20℃より低いと圧延性が低下する傾向がある。圧延ロールの温度が110 ℃以上であると、樹脂融点に近く樹脂と可塑剤の均一溶液が十分に固化しにくくなる傾向がある。
本発明の製造方法の(c)の工程において、可塑剤を抽出する方法はバッチ式、連続式のいずれでもよいが、抽出溶剤に微多孔膜を浸漬することにより可塑剤を抽出し、充分に乾燥させ、可塑剤を微多孔膜から実質的に除去することが肝要である。微多孔膜の収縮を抑えるために、浸漬、乾燥の一連の工程中に微多孔膜の端部を拘束することは好ましい。また、抽出後の微多孔膜中の可塑剤残存量は1重量%未満にすることが好ましい。
本発明の製造方法においては、抽出工程の前に行う延伸を抽出前延伸[(b)工程]と呼び、TD方向に3倍以上延伸を行う工程が必須である。また同時2軸延伸及び逐次2軸延伸を含んでも良い。さらに延伸の回数は、1段延伸、多段延伸、多数回延伸等のいずれでも良く、延伸にはテンター、ロール延伸機等公知の延伸装置を用いることが可能である。
本発明における抽出前延伸では、TD方向に3倍以上延伸することが、本発明で言うところの緻密な膜構造を得る上で必須であり、TD方向への延伸倍率は好ましくは4〜10倍である。抽出前延伸では、可塑剤が微多孔膜の微孔内部、結晶間隙、及び非晶部に高次に分散された状態で延伸するので、可塑化効果により延伸性が良くなるとともに、微多孔膜の気孔率の増大を抑制する効果がある。延伸倍率が3倍未満では、続く抽出後の延伸工程を行った時に、緻密な膜構造が維持されず、孔径が粗大化してしまい緻密な膜構造を得られない。一方、延伸倍率が10倍を越えると高温時のTD方向の収縮量が大きくなる傾向がある。
延伸温度は、ポリオレフィン微多孔膜の融点Tm ℃より50℃低い温度からTm ℃未満の範囲の温度が好ましく、更に好ましくはポリオレフィン微多孔膜の融点Tm ℃より40℃低い温度からTm ℃より5℃低い温度未満の範囲の温度で行う。延伸温度がTm ℃より50℃低い温度未満であると延伸性が低下する傾向がある。延伸温度がTm ℃以上であると、微多孔膜が融解し透過性能を損なう傾向がある。
本発明の製造方法においては、抽出工程の後に行う延伸を抽出後延伸[(d)工程]と呼び、少なくともMD方向に、少なくとも1回の延伸工程が必須である。
少なくともMD方向とは、同時2軸延伸及びまたは逐次2軸延伸を含んでも良いことを意味する。また、少なくとも1回とは、1段延伸、多段延伸、または多数回延伸のことをいう。本発明の製造方法において、抽出工程の後に少なくともMD方向に、少なくとも1回の延伸工程が必要な理由は2つある。一つは、抽出後にMD方向に延伸しなければ、バブルポイントが1.0MPa以上となり、電池に組み込んだ時良好なサイクル特性を発現することができない点であり、もう一つは、MD方向に延伸することにより理由は定かではないが高温時の収縮を抑制できる点である。
抽出後延伸の倍率は任意の倍率に設定できるが、MD方向のみの倍率では、好ましくは5倍以内、より好ましくは1.1〜3倍、2軸方向の面積倍率で、好ましくは10倍以内、より好ましくは1.4〜6倍である。MD方向に5倍を越えて抽出後延伸すると抽出前延伸と併用したにも関わらず孔径が過度に増大する傾向がある。一方、1.1倍未満ではバブルポイントが1.0MPa以上となる場合がある。
抽出後延伸の温度は、ポリオレフィン微多孔膜の融点Tm ℃より50℃低い温度からTm ℃未満の範囲の温度が好ましく、更に好ましくはポリオレフィン微多孔膜の融点Tm ℃より40℃低い温度からTm ℃より5℃低い温度未満の範囲の温度で行う。延伸温度がTm℃より50℃低い温度未満であると延伸性が低下する傾向があり、また延伸後の歪み成分が残りやすく、高温における形状安定性の点で不十分となりやすい。延伸温度がTm℃以上であると、微多孔膜が融解し透過性能を損なう傾向がある。
抽出後延伸は、可塑剤を微多孔膜から実質的に除去した状態で延伸するので、延伸に伴ってポリマー界面の破壊が支配的に生じ、微多孔膜が大孔径化する効果がある。したがって、本発明において必須である抽出前延伸を行わずして抽出後延伸のみを行うと、いたずらに孔径の過度の増大を来たし、延伸配向を微多孔膜に付与できず、結果、低強度となってしまう。
これに比して、抽出前延伸及び抽出後延伸を併用した本発明の製造方法の場合、微多孔膜の強度を損なうことなく、孔径を適度に増加させることができるので有用である。これによりバブルポイントを0.5MPaを越え、1.0MPa未満にすることができ、電池に組み込んだ時良好なサイクル特性を発現することができる。
本発明の製造方法において、本発明の利点を損なわない範囲で各延伸工程に引き続いて、または後に熱固定及び熱緩和等の熱処理工程を加えることは、微多孔膜の高温における形状安定性を高める効果がある。
また、本発明の製造方法においては、本発明の利点を損なわない範囲で後処理を行っても良い。後処理としては、例えば、界面活性剤等による親水化処理、及び電離性放射線等による架橋処理等が挙げられる。
本発明において使用するポリオレフィン樹脂とは、通常の押出、射出、インフレーション、及びブロー成形に使用する樹脂をいい、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンのホモ重合体及び共重合体を使用することができる。また、これらのホモ重合体及び共重合体の群から選んだポリオレフィンを混合して使用することもできる。前記重合体の代表例としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、ポリブテン、エチレンプロピレンラバー等が挙げられる。本発明の製造方法によって得られた微多孔膜を電池セパレータとして使用する場合、低融点樹脂であり、かつ高強度の要求性能から、特に高密度ポリエチレンを主成分とする樹脂を使用することが好ましい。
本発明において使用するポリオレフィン樹脂原料及び本発明の微多孔膜の粘度平均分子量は、5万以上1200万未満が好ましく、さらに好ましくは10万以上400万未満、最も好ましくは20万以上200万未満である。粘度平均分子量が5万より小さいと、溶融成形の際のメルトテンションが小さくなり成形性が低下しやすい。粘度平均分子量が1200万を越えると、均一な樹脂組成物を得難くなる傾向がある。
本発明において使用する可塑剤としては、 ポリオレフィン樹脂と混合した際にポリオレフィン樹脂の融点以上において均一溶液を形成しうる不揮発性溶媒であれば良い。例えば、流動パラフィンやパラフィンワックス等の炭化水素類、フタル酸ジオクチルやフタル酸ジブチル等のエステル類、オレイルアルコールやステアリルアルコール等の高級アルコールが挙げられる。
本発明において使用するポリオレフィン樹脂と可塑剤の比率については、ミクロ相分離を生じせしめ、シート状の微多孔膜前駆体を形成しうるのに充分な 比率であり、かつ生産性を損なわない程度であれば良い。具体的には、ポリオレフィン樹脂と可塑剤からなる組成物中に占めるポリオレフィン樹脂の重量分率は、好ましくは10〜70%、更に好ましくは20〜60%である。ポリオレフィン樹脂の重量分率が10%より小さいと、溶融成形時のメルトテンションが不足しやすく、成形性が低下する傾向がある。一方、重量分率が70%を越える場合は、押出し負荷の増大から生産性が向上しにくい。
本発明において使用する抽出溶剤は、ポリオレフィンに対して貧溶媒であり、かつ可塑剤に対して良溶媒であり、沸点がポリオレフィン微多孔膜の融点より低いことが望ましい。このような抽出溶剤としては、 例えば、n-ヘキサンやシクロヘキサン等の炭化水素類、塩化メチレンや1,1,1-トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、エタノールやイソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトンや2-ブタノン等のケトン類が挙げられる。
本発明において使用する組成物には、本発明の利点を損なわない範囲で、さらに目的に応じて、酸化防止剤、結晶核剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、紫外線吸収剤等の添加剤を混合しても差し支えない。
本発明の微多孔膜とは、実質的にポリオレフィンから構成される多孔体シートまたはフィルムをいい、例えば、精密濾過膜や電池用セパレータとして使用されるものであり、特に電池用セパレータへの用途に適するものである。
本発明の微多孔膜の膜厚は1〜100μmが好ましく、5〜50μmがさらに好ましい。膜厚が1μmより小さいと機械強度が不十分となる場合があり、また、100μmより大きいとセパレータの占有体積が増えるため、電池の高容量化の点において不利となる傾向がある。
本発明の微多孔膜の気孔率は、好ましくは25%〜60%、より好ましくは30%〜55%の範囲である。気孔率が25%未満では、透過性が低下しやすく、一方60%を超えると機械強度が低下しやすい。本発明の微多孔膜の突き刺し強度は、3.0N以上が好ましく、4.0N以上が更に好ましい。3.0N未満では、電池用セパレータとして使用した場合に、脱落した活物質等によってセパレータが破れやすくなる。
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を制限しない。実施例において示される試験方法は次の通りである。
<微多孔膜の評価>
(1)膜厚
ダイヤルゲージ(尾崎製作所:商標、PEACOCK No.25)にて測定した。
(2)気孔率
10cm角のサンプルを微多孔膜から切り取り、その体積と重量を求め、得られた結果から次式を用いて計算した。
気孔率(%)=(体積(cm)-重量(g)/密度)/体積(cm)×100
(3)突刺強度
カトーテック製、商標、KES-G5ハンディー圧縮試験器を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secの条件で突刺試験を行い、最大突刺荷重を突刺強度(N)とした。
(4)透気度
JIS P-8117準拠のガーレー式透気度計にて測定した。このときの圧力は0.01276atm、膜面積は6.424cm2 、透過空気量は100ccである。
(5)透気量
空気の透過速度定数Rgasは、透気度(sec)から次式を用いて求められる。測定は室温23℃の室内で実施した。
Rgas(m3 /(m2 ・sec・ Pa))=0.0001/透気度
/0.0006424/(0.01276×101325)
(6)透水量
直径41mmのステンレス製の透液セルに、予めアルコールに浸しておいた微多孔膜をセットし、該膜のアルコールを水で洗浄したあと約50000Paの差圧で水を透過させ、120秒間経過した際の透水量(cm3)から、単位時間・単位圧力・単位面積当たりの透水量を計算し、これを透水度(cm3 /(cm2 ・sec・Pa))とした。測定は室温23℃の室内で実施した。
水の透過速度定数Rliq は透水度(cm3 /(cm2 ・sec ・Pa))から次式
を用いて求められる。
Rliq (m3 /(m2 ・sec・ Pa))=透水度/100
(7)バブルポイント
ASTM F316-86に準拠し、エタノール溶媒で測定した。
(8)粘度平均分子量 Mv
デカヒドロナフタリンへ試料の劣化防止のため2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールを0.1重量%の濃度となるように溶解させ、これ(以下DHNと略す) を試料溶媒として用いる。試料をDHNへ0.1重量%の濃度となるように150℃で溶解させ試料溶液を作成する。作成した試料溶液を10ml採取し、キャノンフェンスケ粘度計(SO100)により135℃での標線間通過秒数(t)を計測する。また、DHNを150℃に加熱した後、10ml採取し、同様の方法により粘度計の標線間を通過する秒数(tB)を計測する。
得られた 通過秒数t、tBを用いて次の換算式により極限粘度[η]を算出
した。
[η]=((1.651t/tB―0.651)0.5― 1)/0.0834
求められた[η]より、ポリエチレンの場合は次式によりMvを算出した。
[η]=6.77×10-4Mv0.67
また、ポリプロピレンの場合は次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10-4Mv0.80
(9)収縮率
MD50mm×TD40mmのサンプルを微多孔膜から切り取り、幅26mmの2枚のスライドグラスの間に微多孔膜のMD方向がはみ出すように挟む。はみ出た部分を折り返し耐熱テープで固定する。これを80mm×50mm×5mmのガラス板に挟み、150℃下のオーブン中に水平に置き1時間放置する。その後、空冷し、TD幅(mm)の最も短い長さを測定する。
収縮率(%)=(1−最短TD幅(mm)/40)×100
<電池の作製,及び評価>
(1)正極の作製
活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoOを92.2重量%、導電剤としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3重量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2重量%をN-メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製する。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗付し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形する。このとき、正極の活物質塗付量は250g/m,活物質嵩密度は3.00g/cmになるようにする。これを幅約40mmに切断して帯状にする。
(2)負極の作製
活物質として人造グラファイト96.9重量%、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4重量%とスチレン-ブタジエン共重合体ラテックス1.7重量%を精製水中に分散させてスラリーを調製する。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗付し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形する。このとき、負極の活物質塗付量は106g/m,活物質嵩密度は1.35g/cmになるようにする。これを幅約40mmに切断して帯状にする。
(3)非水電解液の調整
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/リットルとなるように溶解させて調整する。
(4)電池組立
上記の微多孔膜セパレータ,帯状正極及び帯状負極を、帯状負極、セパレータ、帯状正極、セパレータの順に重ねて渦巻状に複数回捲回することで電極板積層体を作製する。
この電極板積層体を平板状にプレス後、アルミニウム製容器に収納し、アルミニウム製リードを正極集電体から導出して電池蓋に、ニッケル製リードを負極集電体から導出して容器底に溶接する。さらにこの容器内に前記した非水電解液を注入し封口する。こうして作製されるリチウムイオン電池は、縦(厚み)6.3mm,横30mm,高さ48mmの大きさで、公称放電容量が620mAhとなるように設計されている。
(5)電池評価(25℃雰囲気下)
上記のようにして組み立てたリチウムイオン電池にて、電流値310mA(0.5C),終止電池電圧4.2Vの条件で6時間定電流定電圧(CCCV)充電を行う。このとき充電終了直前の電流値はほぼ0の値となる。その後、25℃雰囲気下で1週間放置(エージング)する。
その次に、電流値620mA(1.0C),終止電池電圧4.2Vの条件で3時間定電流定電圧(CCCV)充電し、一定電流値(CC)620mAで電池電圧3.0Vまで放電放する、というサイクルを行う。このときの放電容量を初回放電容量とする。初回放電容量が公称放電容量に近い値、またはそれ以上の値であることが初期容量が高く維持されていることになり、本発明でいうところの初期電池特性が良好であることの指標となる。
その後、さらに前述のサイクルを300回繰り返す。このサイクルにおいて、初回放電容量に対する300サイクル目の容量の割合(%)を容量維持率とする。容量維持率が高いことがサイクル特性が良いこととなる。
[実施例1]
Mv27万のHDPE60重量部、Mv95万のHDPE40重量部に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル-テトラキス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.3重量部添加し、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドし、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物を、フィーダーにより直径37mmの二軸同方向スクリュー式押出機フィード口へ供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10 -5/s)をプランジャーポンプにより二軸押出機シリンダーへ注入した。
溶融混練し押し出される全混合物(100重量部)中に占める流動パラフィン量比は62重量部となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、スクリュー回転数180rpm、吐出量12kg/hで行った。続いて、溶融混練物をTダイを経て表面温度85℃に制御された冷却ロール上に押出し、圧延比4倍で圧延することにより、厚み200μmのゲルシートを得た。
次に、得られたシートを横テンター延伸機に導き、延伸温度115℃、延伸倍率5倍で抽出前横延伸した後、10%熱緩和を施した。次に塩化メチレン中に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し乾燥した。
次に、上記抽出後膜を多段ロール式縦延伸機に導き、延伸温度110℃、MD方向の総延伸倍率2倍になるように抽出後縦延伸して微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の物性、及びこれをセパレータとして用いた電池の特性を表1に示した。また、以下に示す実施例、比較例の差異を明確にするため、延伸工程比較表を表2として示した。
[実施例2]
圧延比3倍で、ゲルシートの厚みを250μm、抽出後縦延伸の倍率を1.5倍、続いて抽出後横延伸を延伸温度125℃、延伸倍率1.4倍で延伸して10%熱緩和すること以外は実施例1と同様にして微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性、及びこれをセパレータとして用いた電池の特性を表1に示した。
[実施例3]
ゲルシートの厚みを150μm、抽出後縦延伸の倍率を1.5倍、続いて抽出後横延伸を延伸倍率1.7倍で延伸すること以外は実施例2と同様にして微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性、及びこれをセパレータとして用いた電池の特性を表1に示した。
[実施例4]
原料としてMv27万のHDPE30重量部、Mv95万のHDPE40重量部、Mv12万の線状低密度ポリエチレン30重量部を用い、ゲルシートの厚みを150μm、抽出後縦延伸の延伸温度を105℃、抽出後横延伸の延伸温度を110℃とすること以外は実施例2と同様にして微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性、及びこれをセパレータとして用いた電池の特性を表1に示した。
[実施例5]
Tダイから押し出した溶融混練物を、表面温度40℃に制御された冷却ロールで引き取り、厚さ2mmのゲルシートを得た。得られたシートを同時二軸テンターを用いて、延伸温度122℃で7×7倍に抽出前延伸し、続いて塩化メチレン中に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し乾燥した。次に延伸温度110℃、延伸倍率1.5倍で抽出後縦延伸し、続いて延伸温度125℃、延伸倍率1.4倍で抽出後横延伸して10%熱緩和することにより微多孔膜を得た。上記以外の押出しまでの工程は実施例1と同様にした。得られた微多孔膜の物性、及びこれをセパレータとして用いた電池の特性を表1に示した。
[比較例1]
抽出後縦延伸しないこと以外は実施例5と同様にして微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性、及びこれをセパレータとして用いた電池の特性を表1に示した。
[比較例2]
Mv28万のHDPE40重量部、ジオクチルフタレート42重量部、ジブチルフタレート18重量部および酸化防止剤として該ポリエチレンに対して0.3重量部のテトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを二軸押出機を用いて250℃で混練し、Tダイから押し出して冷却ロールで引き取り厚さ1600μmのゲルシートを得た。得られたシートを同時二軸テンターを用いて、延伸温度130℃で7×7倍に延伸し、続いて塩化メチレン中に浸漬して可塑剤を除去した後、乾燥した。次にこの膜を延伸温度125℃、延伸倍率1.8倍で抽出後横延伸した後、17%熱緩和させ、微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性、及びこれをセ
パレータとして用いた電池の特性を表1に示した。
[比較例3]
最終膜厚を20μmにするように調整した以外は、特開平11-60789号公報実施例2の方法に準拠して(抽出後縦延伸なし)微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性、及びこれをセパレータとして用いた電池の特性を表1に示した。
[比較例4]
直径37mmの二軸同方向スクリュー式押出機を用いたこと以外は、特許第2657430号公報実施例1の方法に準拠して(抽出後縦延伸なし)微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性、及びこれをセパレータとして用いた電池の特性を表1に示した。
[比較例5]
ゲルシートの厚みを150μm、抽出前の延伸を行わず、抽出後縦延伸の倍率を4倍、続いて抽出後横延伸を延伸温度125℃、延伸倍率2倍で延伸すること以外は実施例1と同様にして微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性、及びこれをセパレータとして用いた電池の特性を表1に示した。
Figure 2004323820
Figure 2004323820
表1から明らかなように本発明の微多孔膜は、二次電池用セパレータとして用いた場合、比較例1,3に比べサイクル特性が高く、また比較例2,4,5に比べ初回放電容量が高く維持されており、初期電池特性とサイクル特性を両立できることがわかる。また、実施例では抽出後縦延伸を施しているために得られた微多孔膜の高温時の収縮は抑制されていることがわかる。
本発明のポリオレフィン微多孔膜は、特に電池セパレーターとして好適に利用できる。

Claims (4)

  1. 透水量/透気量の比が0.8×10−3〜1.7×10−3で且つバブルポイントが0.5MPaを越え1.0MPa未満であることを特徴とするポリオレフィン微多孔膜。
  2. MD方向を固定した状態でのTD方向の収縮率が、150℃において20%未満であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  3. (a)ポリオレフィン樹脂と可塑剤からなる組成物を溶融混練し、押出して冷却固化させシート状に成形する工程、(b)前記工程(a)の後に、TD方向に3倍以上の延伸を行う工程、(c)前記工程(b)の後に、前記可塑剤を抽出する工程、(d)前記工程(c)の後に、少なくともMD方向に、少なくとも1回の延伸を行う工程を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微多孔膜の製造方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載のポリオレフィン微多孔膜からなることを特徴とする電池用セパレータ。
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