【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高精度な潤滑性が要求される精密機械もしくは精密部品等に使用する潤滑剤として有用な新規な含フッ素化合物、当該含フッ素化合物を含む潤滑剤、ならびに当該潤滑剤を使用する磁気記録媒体およびその磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録の分野においては、記録・再生機器のデジタル化、小型化および使用時間の長時間化等の高性能化に伴い、それに適した高密度磁気記録媒体の開発が活発に行なわれている。最近では塗布型磁気記録媒体に代わって、短波長記録に極めて有利な金属薄膜型磁気記録媒体が実用化されている。一般に、金属薄膜型磁気記録媒体とは、非磁性支持体上に、記録層として強磁性金属薄膜から成る磁性層を設けたテープおよびディスク等をいう。また、高密度磁気記録媒体の記録・再生に用いられる磁気記録媒体システムとしては、例えば、デジタルビデオデッキやハードディスクドライブが挙げられる。
【0003】
デジタルビデオテープに代表される金属薄膜型磁気記録媒体においては、磁性層は極めて良好な表面性を有する、すなわち磁性層の面の粗度が小さい。そのため、磁性層と磁気ヘッドとの接触面積が増えるので、磁性層は信号の記録・再生の過程において磁気ヘッドと高速摺動する間に大きな摩擦力を受けて磨耗されやすい。磁性層の磨耗は、磁気記録媒体の走行耐久性あるいはスチル耐久性等に大きな影響を与えるため、これを低減させることは金属薄膜型磁気記録媒体の研究開発において大きな課題となっている。
【0004】
そこで磁性層表面に潤滑剤層を設けることによって磨耗を低減し、走行耐久性およびスチル耐久性を改善しようとする試みがなされている。潤滑剤層を設ける場合、磁気記録媒体と磁気ヘッドとのスペーシングロスによる出力低下を極力抑えて高出力化を図るべく、磁性層表面の潤滑剤層は僅か数nmの厚さで潤滑特性を発揮することが求められている。
【0005】
また、一般的なハードディスクドライブにおいてはCSS(コンタクト・スタート・ストップ)方式が採用されている。CSS方式とは、高密度磁気記録媒体であるハードディスクが停止している状態では磁気ヘッドがディスクに接触し、起動時にハードディスクが高速回転し始めると、これに伴って発生する空気流により磁気ヘッドがディスク表面から浮上し、この状態で記録・再生が行われる方式である。そして、停止時にディスクの回転が減速され、再び磁気ヘッドはハードディスクと接触するようになる。
【0006】
このCSS方式においてはディスクの運転停止時あるいは起動開始時に磁気ヘッドがハードディスク表面を擦って走行するので、そのときに加わる摩擦力が大きな問題となっている。ハードディスクドライブの信頼性を保つにはCSS走行試験後の媒体の摩擦係数が初期と同じであることが望まれる。しかし、表面平坦性が高い、すなわち粗度の小さな磁気ディスクでは、この要求を満たすことは難しい。また、ハードディスクが高速で回転している際に、ヘッドと媒体とが衝突する、いわゆるヘッドクラッシュも解決すべき課題の1つである。そして、ヘッドクラッシュが発生する要因の一つとして、磁気記録媒体が適当な保護膜および潤滑剤層を有していないことが挙げられる。
【0007】
そこで、磁気記録媒体に適した潤滑剤が広く検討されている。その1つとしてフッ素系化合物がある。フッ素系化合物は優れた潤滑特性を示すため、各種フッ素系化合物の使用が提案されている。(例えば、特許文献1、2、3および4等参照)
【0008】
しかしながら、さらなる高記録密度化に伴い、MRヘッドまたはGMRヘッドの搭載ならびにコンタクト記録方式の採用等、新たな技術へ対応していくことを検討する必要がある。そのためには磁気記録媒体に用いる潤滑剤の特性をより向上させる必要がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−92858号公報
【特許文献2】
特開2002−150530号公報
【特許文献3】
特開2002−241349号公報
【特許文献4】
特公平6−28717号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
磁気記録媒体に用いられる潤滑剤に要求される特性として、低温環境を含む様々な使用環境において優れた潤滑特性を発揮すること、極めて薄く塗布しても良好な潤滑特性が維持されること、磁気記録媒体が長時間使用される場合でも潤滑特性が維持されること、磁気ヘッドへの粉付きが少ないこと、等が要求される。ここで、粉つきとは、磁気記録媒体を記録再生装置で走行させたときに、磁気ヘッドとの接触により潤滑剤が磁気記録媒体から削りとられ、削りとられた潤滑剤の粉が磁気ヘッド表面に蓄積されることをいう。
【0011】
これまでにも、前記要求を満たすように、種々の潤滑剤が提案され、実用に供されてきた。しかしながら、磁気記録媒体の性能向上に伴って、潤滑剤に関する要求水準もより高くなっている。そのため、磁気記録媒体の分野においては、より優れた特性を有する潤滑剤が常に求められている。
【0012】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、磁気記録媒体用の潤滑剤として使用するのに適した化合物であって、様々な使用条件下で優れた潤滑特性を維持するとともに、長時間の使用においても潤滑効果が持続し、且つ粉つきが少ない潤滑剤を構成し得る化合物を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第一の要旨において、本発明は特定の構造を有する含フッ素化合物を提供する。かかる化合物は一般式(a)で示される。
【化4】
(式中、XおよびYはそれぞれ−OHおよび式(w)で表される基であり、Xが−OHのときYは式(w)で表される基であり、Xが式(w)で表される基であるときXは−OHであり、mは1〜6の整数であり、nは1〜5の整数であり、p、qは0〜30の整数であり、rは1〜12の整数である。
【化5】
(式中、R1およびR2はそれぞれ、水素、脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基を示し、R1およびR2のうち少なくとも一方が水素である。))
【0014】
本発明の含フッ素化合物は、一分子中に1個のカルボキシル基と、1個のエステル結合と、1個の水酸基とを有し、且つフルオロエーテルまたはフルオロポリエーテル鎖を有する。この構造により、本発明の化合物が潤滑剤、特に磁気記録媒体の潤滑剤層用の潤滑剤に含まれる場合、その磁気記録媒体は優れた潤滑特性および耐蝕性を示す。したがって、本発明はまた、上記本発明の化合物を、潤滑剤を構成する化合物として提供するものである。
【0015】
第二の要旨において、本発明は、上記本発明の化合物を少なくとも1種含んで成る潤滑剤を提供する。本発明の潤滑剤は、特に金属薄膜型磁気記録媒体の潤滑剤層を構成するのに適している。
【0016】
第二の要旨に係る潤滑剤は、上記一般式(a)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物に加えて、好ましくは、下記一般式(b)で示されるフッ素系モノエステルモノカルボン酸化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。
【化6】
(式中、R3は脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基を示し、R4はフルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロエーテル基もしくはフルオロポリエーテル基を示し、aは0または1であり、bは1〜20の整数である。)
【0017】
上記の潤滑剤は、一般式(a)で示される含フッ素化合物と、一般式(b)で示されるフッ素系モノエステルモノカルボン酸を有する。これら2つの化合物を混合することで、優れた潤滑特性を得ることができる。したがって、この潤滑剤が磁気記録媒体の潤滑剤層に含まれる場合、その磁気記録媒体は優れた潤滑特性を示す。
【0018】
第三の要旨において、本発明は、非磁性支持体の上に磁性層として形成された強磁性金属薄膜、磁性層の上に形成された保護膜および保護膜の上に形成された潤滑剤層を有する磁気記録媒体であって、潤滑剤層が本発明の潤滑剤を含む磁気記録媒体を提供する。本発明の磁気記録媒体において、潤滑剤層を構成する潤滑剤は、好ましくは、上記一般式(a)で示される含フッ素化合物を少なくとも1種類と、上記一般式(b)で示されるフッ素系モノエステルモノカルボン酸化合物を少なくとも1種類含む。
【0019】
第四の要旨において、本発明は、上記本発明の磁気記録媒体の製造方法を提供する。本発明の磁気記録媒体の製造方法は、その潤滑剤層の形成工程に特徴を有し、それ以外の工程は従来の磁気記録媒体の製造方法で用いられている工程であってよい。本発明の製造方法における潤滑剤層の形成工程は、炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合有機溶媒に、潤滑剤層を構成する化合物(即ち、潤滑剤)を溶解して調製した塗布液を保護膜上に塗布する工程を含むことを特徴とする。炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒とを組み合わせた混合溶媒を使用することにより、塗布ムラが極めて少ない均一な薄い潤滑剤層が形成され得る。したがって、本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、優れた潤滑性能を有する実用信頼性の高い磁気記録媒体を得ることが可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について説明する。
本発明の含フッ素化合物は一般式(a)で示され、同一分子内に1個のカルボキシル基と、1個のエステル結合と、1個の水酸基と、フルオロポリエーテルまたはフルオロポリエーテル鎖を有する。
【0021】
【化7】
【0022】
一般式(a)において、XおよびYはそれぞれ、水酸基または式(w)で表される基である。式(w)で表される基は、末端にカルボキシル基を有するアシルオキシル基である。
【化8】
式(w)で表される基において、R1およびR2はそれぞれ、水素、脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基を示し、R1およびR2のうち少なくとも一方が水素である。
【0023】
一般式(a)で示される化合物には、XおよびYの組合せ、ならびに式(w)におけるR1およびR2の組合せに応じて、下記の化合物が含まれる。
▲1▼Xが式(w)で表される基であり、式(w)において、R1が水素であり、R2が脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基であり、YがOHである。
▲2▼Xが式(w)で表される基であり、式(w)において、R1が脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基であり、R2が水素であり、YがOHである。
▲3▼Xが式(w)で表される基であり、式(w)において、R1およびR2がともに水素であり、YがOHである。
▲4▼XがOHであり、Yが式(w)で表される基であり、式(w)において、R1が水素であり、R2が脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基である。
▲5▼XがOHであり、Yが式(w)で表される基であり、式(w)において、R1が脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基であり、R2が水素である。
▲6▼XがOHであり、Yが式(w)で表される基であり、式(w)において、R1およびR2がともに水素である。
【0024】
式(w)で表される基に含まれる脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基の炭素数は、好ましくは1〜22であり、より好ましくは8〜18である。
【0025】
一般式(a)において、mは1〜6の整数であり、nは1〜5の整数であり、pおよびqはそれぞれ0〜30の整数である。mはより好ましくは、2〜5の整数である。nはより好ましくは1〜4の整数である。(m、n)の好ましい組合せは(2,1)または(1,2)である。pはより好ましくは2〜6の整数であり、qはより好ましくは2〜6の整数である。rは1〜12の整数である。
【0026】
一般式(a)において−(OCmF2m)p(OCnF2n)q−で示される部分が1種のオキシフルオロアルキレンのみから成る場合、一般式(a)においてq=0であるとし、一般式(a)で示される化合物は(OCmF2m)のみを含むものとする。この場合、mは、好ましくは2である。
【0027】
pおよびqがともに0である場合、一般式(a)で示される化合物は、1つのエーテル結合を含むから、いわゆるフルオロエーテルを含む。p≠0かつq=0である場合、あるいはpおよびqがともに1以上の整数である場合、一般式(a)で示される化合物においてエーテル結合の数は2以上となり、当該化合物はフルオロポリエーテル鎖を含むこととなる。
【0028】
一般式(a)において−(OCmF2m)p(OCnF2n)q−で示される部分は、2種のオキシフルオロアルキレン単位が共重合している部分に相当する。pおよびqは共重合体中の各オキシフルオロアルキレン単位の数を示す。オキシフルオロアルキレン単位(OCmF2m)とオキシフルオロアルキレン単位(OCnF2n)とから成る共重合体は、p個の(OCmF2m)のブロックとq個の(OCnF2n)のブロックとから成るブロック共重合体もしくは他のブロック共重合体、ランダム共重合体、または交互共重合体であってよい。したがって、一般式(a)は、−(OCmF2m)p(OCnF2n)q−で示される部分がブロック共重合体、ランダム共重合体および交互共重合体であるものを含む。
【0029】
一般式(a)で示される化合物は、分子の一方の末端にカルボキシル基が位置し、他方の末端に水酸基が位置していて、カルボン酸であると同時に、アルコールでもある構造となっている。カルボキシル基は、この化合物が磁気記録媒体の潤滑剤層に含まれる場合には、この化合物が磁気記録媒体の保護膜(一般には炭素膜)に強く吸着することを確保する。水酸基は、この化合物の汎用のアルコール系有機溶剤への溶解性を向上させる役割をする。フルオロエーテルまたはフルオロポリエーテル鎖は、この化合物が磁気記録媒体の潤滑剤層に含まれる場合には、表面に露出して、優れた潤滑特性を磁気記録媒体に付与する。
【0030】
一般式(a)で示される化合物は、アルキル無水コハク酸、アルケニル無水コハク酸または無水コハク酸と、フルオロアルキレンオキサイド基を有するフルオロアルキルジアルコールとをモル比で1:1の割合で混合し、加熱撹拌することによって製造される。ここで、フルオロアルキレンオキサイド基(即ち、オキシフルオロアルキレン基)とは、−O−Rf−もしくは−Rf−O−(−Rf−はフルオロアルキレン基、例えばパーフルオロアルキレン基)を指す。加熱温度は60〜120℃であり、好ましくは80〜100℃である。加熱温度が60℃未満であると多くの未反応物が残る傾向にある。一方、加熱温度が100℃を越えると副生成物が生成される傾向にある。
【0031】
使用できるアルキル無水コハク酸またはアルケニル無水コハク酸としては、メチル無水コハク酸、エチル無水コハク酸、ブチル無水コハク酸、プロピル無水コハク酸、ヘキシル無水コハク酸、ヘプチル無水コハク酸、オクチル無水コハク酸、ノニル無水コハク酸、デシル無水コハク酸、ウンデシル無水コハク酸、ドデシル無水コハク酸、トリデシル無水コハク酸、テトラデシル無水コハク酸、ペンタデシル無水コハク酸、ヘキサデシル無水コハク酸、ヘプタデシル無水コハク酸、オクタデシル無水コハク酸、ノナデシル無水コハク酸、およびイコシル無水コハク酸がある。アルキル基またはアルケニル基を有しない無水コハク酸を使用すると、式(w)で表される基において、R1およびR2がともに水素となる。フロロアルキレンオキサイド基を有するフルオロアルキルジアルコールとしては、Fomblin Z dol(商品名;Ausimont社製)等がある。
【0032】
混合加熱攪拌は、好ましくは適当な溶媒の存在下で実施される。溶媒は、例えば、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、またはヘキサフルオロキシレンである。
【0033】
得られた混合物から、減圧蒸留により溶媒を除去し、残留を有機溶媒で抽出して、目的化合物を分離する。分離した化合物は、赤外分光分析(IR)、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)および有機質量分析(FD−MS)により同定することができる。赤外分光分析により、本発明の含フッ素化合物が、アルコールの官能基としての−OH、エステル結合、およびカルボキシル基を有するものであることが確認される。
【0034】
アルキル無水コハク酸またはアルケニル無水コハク酸を使用する場合、一般に、生成物は先に説明した▲1▼〜▲4▼の構造の化合物を含む。▲1▼〜▲4▼の構造の化合物は互いに構造異性の関係にある。▲1▼〜▲4▼の構造の化合物を含む混合物は、上述の溶媒抽出の後、例えばカラムクロマトグラフィーにより各化合物に単離できる。▲1▼〜▲4▼の構造の化合物が混合されたものは分離することなく、潤滑剤または界面活性剤として使用することができる。無水コハク酸を使用する場合には、生成物は▲5▼および▲6▼の構造の化合物を含む。▲5▼および▲6▼の構造の化合物もまた、互いに構造異性の関係にある。
【0035】
このようにして得られる本発明の含フッ素化合物は潤滑剤を構成する材料として有用である。そして、本発明の含フッ素化合物を少なくとも1種含んで成る本発明の潤滑剤は、例えば、磁気記録媒体の潤滑剤層を構成するのに適している。以下に、本発明の含フッ素化合物を含む潤滑剤の好ましい形態を説明する。
【0036】
本発明の潤滑剤は、一般式(a)で示される含フッ素化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、下記一般式(b)で示されるフッ素系モノエステルモノカルボン酸化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むものであることが好ましい。この潤滑剤は、これらの特定の化合物に加え、必要に応じて他の既知の潤滑剤および防錆剤等を含んでもよい。
【0037】
一般式(b)で示される化合物は、同一分子内に1個のカルボキシル基と、1個のエステル結合と、1個のアルキル基またはアルケニル基からなる末端基と、1個のフルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロエーテル基またはフルオロポリエーテル基からなる末端基を有する。
【化9】
【0038】
一般式(b)において、R3はアルキル基またはアルケニル基である。R3の炭素数は6〜30であることが好ましく、10〜24であることがより好ましい。炭素数が6未満である場合、または炭素数が30である場合、当該化合物が呈する潤滑性能が低下することがある。
【0039】
一般式(b)において、R4はフルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロエーテル基またはフルオロポリエーテル基である。R4がフルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基である場合、その炭素数は1〜12であることが好ましく、6〜10であることがより好ましい。フルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基は、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基であることが好ましい。
【0040】
R4がフルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基である場合、R4はフッ素化された環式炭化水素基を有していてよい。R4がフッ素化された環式炭化水素基を有するフルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基である化合物を含む潤滑剤を用いて磁気記録媒体の潤滑剤層を構成すると、走行耐久性をより向上させることができるとともに、粉つきをより低減させることができる。
【0041】
フッ素化された環式炭化水素基は、一部または全部の水素がフッ素で置換された芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、および縮合多環式炭化水素基から選択される置換基である。R4は好ましくは脂環式炭化水素基を有し、より好ましくは脂環式飽和炭化水素基(即ち、シクロアルキル基)を有する。フッ素化された環式炭化水素基は、全部の水素がフッ素で置換されていることが好ましい。環式炭化水素基は、フルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基の水素またはフッ素と置換する。環式炭化水素基は、フルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基のいずれの炭素に結合していてもよく、例えば、側鎖基として結合していてよい。環式炭化水素基は、フルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基の末端の炭素に結合していることが好ましい。フッ素化された環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは4〜8である。
【0042】
R4がフルオロエーテル基またはフルオロポリエーテル基である場合、その分子量は約200〜約6000であることが好ましく、約300〜約4000であることがより好ましい。分子量が200未満である場合または6000を超える場合には、磁気記録媒体の潤滑性及び信頼性が低下する場合がある。また、フルオロエーテル基またはフルオロポリエーテル基は、パーフルオロエーテル基またはパーフルオロポリエーテル基であることが好ましい。
【0043】
一般式(b)において、aは0または1である。bは0〜20の整数であり、好ましくは0〜12の整数である。
【0044】
R4がフルオロエーテル基またはフルオロポリエーテル基である場合、R4は下記一般式(c)、(d)及び(e)のいずれかで示されるものであることが好ましい。
【0045】
一般式(c):
【化10】
において、jは1以上の整数であり、好ましくは1〜8の整数である。
【0046】
一般式(d):
【化11】
において、hおよびiは1以上の整数であり、hおよびiはそれぞれ、1〜30であることが好ましく、1〜8であることがより好ましい。
【0047】
一般式(d)において−(OCF(CF3)CF2)h(OCF2)i−で示される部分は、2種のオキシフルオロアルキレン単位が共重合している部分に相当し、hおよびiは共重合体中の各オキシフルオロアルキレン単位の数を示す。オキシフルオロアルキレン単位(OCF(CF3)CF2)とオキシフルオロアルキレン単位(OCF2)とから成る共重合体は、h個の(OCF(CF3)CF2)のブロックとi個の(OCF2)のブロックとから成るブロック共重合体もしくは他のブロック共重合体、ランダム共重合体、または交互共重合体であってよい。したがって、一般式(d)で示される基は、−(OCF(CF3)CF2)h(OCF2)i−で示される部分がブロック共重合体、ランダム共重合体および交互共重合体であるものを含む。
【0048】
一般式(e)
【化12】
において、R5はフルオロアルキル基を示し、uは1から6の整数であり、vは1から30の整数である。R5は、好ましくはパーフルオロアルキル基である。R5の炭素数は好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜8である。vは、より好ましくは1〜8の整数である。
【0049】
一般式(c)、(d)および(e)におけるj、hおよびiならびにuおよびvが上記の範囲外である場合、磁気記録媒体の潤滑性および保存信頼性が低下することがある。
【0050】
一般式(b)で示される化合物は、例えば特許文献4に記載されている合成法で合成できる。
【0051】
本発明の潤滑剤において、一般式(a)で示される化合物と、一般式(b)で示される化合物との混合比は、好ましくは重量比で1:9〜9:1の範囲内にあり、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内にあり、さらに好ましくは3:7〜7:3の範囲内にある。
【0052】
本発明の潤滑剤が、一般式(a)で示される化合物と、一般式(b)で示される化合物とを含む場合、本発明の潤滑剤は、それらの化合物のみで構成されててよい。あるいは、潤滑剤は、これらの化合物以外に他の潤滑剤、防錆剤および極圧剤等が適宜含まれて成る組成物であってもよい。その場合、潤滑剤組成物において、一般式(a)で示される化合物と一般式(b)で示される化合物とを合わせた割合は、組成物の全量に対して30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましい。一般式(a)で示される化合物と一般式(b)で示される化合物とを合わせた割合が30重量%未満であると、例えばこの組成物で磁気記録媒体の潤滑剤層を形成した場合、良好な潤滑特性を磁気記録媒体に付与することができない場合がある。
【0053】
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の上に磁性層として形成された強磁性金属薄膜、磁性層の上に形成された保護膜および保護膜の上に形成された潤滑剤層を有する磁気記録媒体であって、潤滑剤層が本発明の潤滑剤を含むものである。潤滑剤層中に含まれる本発明の潤滑剤の量は、潤滑剤層の表面1m2当たり0.05〜100mgであることが好ましく、0.1〜50mgであることがより好ましい。潤滑剤層にこのような少量の潤滑剤を均一に存在させるために、本発明の磁気記録媒体の潤滑剤層は次の方法で形成することが望ましい。
【0054】
潤滑剤層は、常套の材料および手段を用いて非磁性支持体の上に強磁性金属薄膜および保護膜をこの順に形成した後、保護膜上に形成する。潤滑剤層の形成工程は、炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒に本発明の潤滑剤を溶解して調製した塗布液を保護膜上に塗布する工程、ならびに塗布した塗布液を乾燥して混合溶媒を蒸発させる工程を含む。最終的に混合溶媒が蒸発することにより、保護膜上には溶媒に溶解した潤滑剤が残って潤滑剤層を形成する。従って、塗布液を厚く塗布しても、溶媒が蒸発することにより、保護膜上には均一で非常に薄い潤滑剤層、すなわち少量の潤滑剤が保護膜を均一に被覆した潤滑剤層が形成される。
【0055】
本発明で使用できる炭化水素系溶媒は、例えば、トルエン、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、キシレンおよびケトン等である。本発明で使用できるアルコール系溶媒は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールおよびブチルアルコール等の低級アルコールである。混合有機溶媒は、具体的には、トルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒、ヘキサンとイソプロピルアルコールの混合溶媒、またはヘプタンとイソプロピルアルコールの混合溶媒であることが好ましい。アルコール系溶媒の割合が大きすぎると塗布ムラが生じやすく、一方、炭化水素系溶媒の割合が大きすぎるとコスト面で不利であるため、両者は、混合割合が重量比で1:9〜9:1の範囲、好ましくは3:7〜7:3の範囲となるように混合して使用することが好ましい。
【0056】
塗布液の濃度および塗布厚は、溶媒が蒸発した後に保護膜上に形成される潤滑剤層が所望の厚さになるように塗布する。一般には、潤滑剤の濃度が100〜10000ppmである塗布液を、10〜100μmの厚さとなるように塗布することが好ましい。
【0057】
上記混合溶媒を用いて潤滑剤層を形成する方法としては、バーコーティング法、グラビアコーティング法、リバースロールコーティング法、ダイコーティング法、ディップコーティング法およびスピンコーティング法等の湿式塗布法ならびに有機蒸着法があり、いずれの方法を採用してもよい。
【0058】
塗布液を塗布した後、乾燥処理して有機溶媒を蒸発させると、保護膜上に潤滑剤層が形成される。乾燥処理は、加熱あるいは自然乾燥によって実施することができる。そして、最終的に得られる潤滑剤層の厚さは3〜5nm程度とすることが好ましい。ただし、潤滑剤の組成に応じて潤滑剤層の厚さの最適範囲が存在するため、潤滑剤層の厚さは必ずしもこの範囲に限定されるものではない。
【0059】
このように、所定の混合有機溶媒を用いることにより、塗布ムラのない均一な厚さの潤滑剤層が得られ、しかも溶媒が最終的に蒸発した後には数nmという非常に薄い潤滑剤層を形成することができる。その結果、優れた潤滑性能を有する実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られる。
【0060】
先に述べたとおり、本発明の磁気記録媒体は、潤滑剤層以外の層に関しては、常套の材料および手段を採用して形成することができる。
【0061】
例えば、非磁性支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミド、もしくは芳香族ポリイミドからなるフィルム;ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂からなるフィルム;ポリカーボネート、ガラス、セラミック、アルミニウムもしくは銅等の金属、アルミニウム合金もしくはチタン合金等の軽金属、または単結晶シリコン等から成る基板;あるいは紙であってよい。非磁性支持体としてアルミニウム合金から成る基板またはガラス基板等の剛性の大きい基板を使用する場合には、アルマイト処理等により基板表面に酸化被膜やNi−P被膜等を形成してその表面を硬くしてもよい。
【0062】
非磁性支持体の強磁性金属薄膜が形成される表面(即ち、磁性層と接する側の面)には、実用信頼性と良好なRF出力値とを両立するために、直径20〜700nm、高さ5〜70nmの突起形成処理が施されていることが望ましい。突起は、具体的には、例えば、SiO2またはZnO等の無機物質から成る超微粒子、あるいはイミド等の有機物質から成る超微粒子を非磁性支持体の表面に分散し固着させることにより形成される。あるいは、突起はそのような微粒子を含む高分子材料をフィルムに成形することにより形成される。
【0063】
本発明の磁気記録媒体において、磁性層は強磁性金属薄膜である。磁性層に適した強磁性金属としては、Fe系金属、Co系金属、およびNi系金属がある。本発明においてはCo系金属で磁性層を形成することが特に好ましい。ここで、「Co系金属」とは、コバルト、およびコバルトを主成分として好ましくは50原子%以上含む合金をいう。「Fe系金属」および「Ni系金属」も同様である。
【0064】
強磁性金属薄膜は、具体的には、Fe、CoおよびNi、ならびにCo−Ni、Co−Fe、Co−Cr、Co−Cu、Co−Pt、Co−Pd、Co−Sn、Co−Au、Fe−Cr、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Co−Pt−CrおよびFe−Co−Ni−Cr等の合金から選択される1または複数の材料で形成される。強磁性金属薄膜は酸素を含んでいてよく、酸素はこれらの金属または合金の酸化物の形態で含まれていてよい。強磁性金属薄膜は、単層膜の形態であってもよく、あるいは多層膜の形態であってもよい。
【0065】
強磁性金属薄膜はイオンプレーティング法、スパッタリング法または電子ビーム蒸着法等で形成することができる。強磁性金属薄膜を酸素雰囲気下で形成すれば、強磁性金属薄膜に酸素が含まれることとなる。強磁性金属薄膜の厚さは一般に30nm〜300nmである。
【0066】
保護膜は、好ましくは炭素膜である。炭素膜は、ビッカース硬度が約2.45×104N/mm2(約2500kg/mm2)と高く、磁気記録媒体のダメージを潤滑剤層と共に防止する。実用信頼性と出力とのバランスを考慮すれば、その厚さは1〜20nmであることが好ましい。
【0067】
炭素膜は、炭化水素ガスのみ、または炭化水素ガスと不活性ガスとの混合ガスを用いたプラズマCVD法により形成されるグラファイト状カーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンであることが好ましい。ダイヤモンドライクカーボンは適度な硬度を有し、磁気ヘッドを損傷することなく磁気記録媒体の損傷を抑制し得ることから、最も好ましい材料である。
【0068】
炭素膜は、具体的には、真空容器中に炭化水素ガスまたは炭化水素ガスとアルゴン等の不活性ガスの混合ガスを導入し、容器内の圧力を0.13〜130Paに保った状態で真空容器内部で放電を発生させ、炭化水素ガスのプラズマを発生させることにより、強磁性金属薄膜上に形成する。放電形式は外部電極方式および内部電極方式のいずれでもよく、放電周波数は実験的に決めることができる。また、非磁性支持体側に配置される電極に0kVから−3kVの電圧を印加することによって、炭素膜の硬度を増大させることができ、また、炭素膜と強磁性金属薄膜との密着性を向上させることができる。炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはベンゼン等を用いることができる。
【0069】
なお、硬質の炭素膜を形成するためには、放電エネルギーを大きくすることが望ましく、併せて非磁性支持体の温度を高温に維持することが望ましい。例えば、放電エネルギーは、交流電流、例えば高周波電流と直流電流を重畳して実効値を600V以上にすることが望ましい。
【0070】
本発明においては、炭素膜の表層部に含窒素プラズマ重合膜を形成し、潤滑剤層が炭素膜の含窒素プラズマ重合膜上に形成されていることが好ましい。含窒素プラズマ重合により炭素膜の表層部にアミノ基が存在することとなり、その結果、潤滑剤層と炭素膜との間の付着強度がより大きくなり、磁気記録媒体の耐久性がより向上することとなる。そして、潤滑剤層に特定の含フッ素化合物等を含有させることと相俟って、電磁変換特性が損なわれることなく優れた潤滑性能を有し、走行耐久性、スチル耐久性および耐蝕性が向上し、かつ粉つきの少ない実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られる。
【0071】
含窒素プラズマ重合膜は、真空容器中にプロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンもしくはテトラメチレンジアミン等のアミン化合物をガス化して導入し、容器内の圧力を0.13〜130Paに保った状態で、真空容器内部に高周波放電を生じさせて形成する。含窒素プラズマ重合膜を形成することにより上記特定の含フッ素化合物を含む潤滑剤の化学吸着力が向上し、その結果、潤滑剤層と炭素膜との間の付着強度が向上する。含窒素プラズマ重合膜の膜厚は3nm未満が適当であり、これよりも含窒素プラズマ重合膜が厚い場合には炭素膜の保護効果が低下する。なお、炭素膜の表層部に含窒素プラズマ重合膜を形成する方法は、米国特許第5540957号および第5637393号に開示されており、この引用によりこれらの特許に開示された内容は本明細書の一部を構成する。
【0072】
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層が形成された面とは反対の面にバックコート層を有してよい。バックコート層は、ポリウレタン、ニトロセルロース、ポリエステル、カーボンおよび炭酸カルシウム等から選ばれる1つもしくは複数の材料により形成される層であってよく、あるいは、金属、金属酸化物または合金から成る薄膜であってよい。バックコート層の厚さは約50〜500nmとすることが好ましい。
【0073】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0074】
(実施例1)
<化合物(a1)の合成>
下記の化学式(a1)で示される化合物を合成した。
【化13】
化学式(a1)で示される化合物は、一般式(a)において、Xが式(w)で示される基であり、Yが−OHであり、m=2、n=1、p=3、q=4、r=1である。さらに、式(w)で示される基において、R1は水素であり、R2は炭素数8のオクチル基である。
【0075】
化学式(a1)で示される化合物の製造方法を説明する。出発原料は化学式(f1)で示されるオクチル無水コハク酸21.2g(0.10モル)と化学式(g1)で示されるFomblin Z dol(商品名;Ausimont社製)79.0g(0.10モル)である。
【0076】
【化14】
【0077】
【化15】
【0078】
上記の原料とノルマルオクタン500mlとを撹拌翼を備えた1リットルのフラスコに投入し、80℃にて24時間攪拌して反応させた。反応終了後、ノルマルオクタンを留去し、反応混合物をアセトンに溶解し、−10℃に冷却して未反応のオクチル無水コハク酸を除去した。さらに、反応混合物をメタノールに溶解して同様の処理を実施し、未反応のFomblin Z dolを除去して透明液体99gを得た。この透明液体はIR、GPCおよびFD−MSにより、出発原料および副生成物を含まない化学式(a1)で示される化合物であることが確認された。この化合物の赤外スペクトルを図1に示すとともに、IR吸収スペクトル、ならびにGPCおよびFD−MSから判った事項を以下にまとめる。
【0079】
IR;酸無水物の1,775cm−1の吸収ピーク消滅、カルボン酸の1,705cm−1、エステルの1,760cm−1の吸収ピーク、およびアルコールの3,330cm−1の吸収ピーク出現。
GPC;Fomblin Z dol、オクチル無水コハク酸検出されず。
FD−MS;m/e 1,002に主ピーク有り。
【0080】
上記においては、化学式(a1)のみを得られた生成物として示しているが、上記の方法で製造した生成物は、それに加えて、下記化学式(a1’)で示される化合物、下記化学式(a1”)で示される化合物、および下記化学式(a1’’’)で示される化合物を含む混合物として得られる。化学式(a1’)で示される化合物は、Xが式(w)で示される基であって、R1がオクチル基であり、R2が水素であり、Yが−OHである。化学式(a1”)で示される化合物は、Xが−OHであり、Yが式(w)で示される基であって、R1が水素であり、R2がオクチル基である。化学式(a1’’’)で示される化合物は、Xが−OHであり、Yが式(w)で示される基であって、R1がオクチル基であり、R2が水素である。上記IR、GPCおよびMSは化学式(a1)で示される化合物を単離して測定したものである。
【0081】
【化16】
【0082】
【化17】
【0083】
【化18】
【0084】
化学式(a1’)、(a1”)および(a’’’)で示される化合物もまた、化学式(a1)で示される化合物と同じ性質を有し、潤滑剤として有用である。化学式(a1)、(a1’)、(a1”)および(a’’’)で示される化合物は、互いに構造異性の関係にある。これらの化合物は上記の製造方法に従って製造した場合に、生成物中に含まれる。これらの化合物は、それぞれ単離して潤滑剤として使用してよい。あるいは、化学式(a1)、(a1’)、(a1”)および(a’’’)で示される化合物を分離することなく、生成物(即ち構造異性体を含む混合物)をそのまま潤滑剤として使用してよい。
【0085】
<化合物(a2)〜(a5)の合成>
オクチル無水コハク酸に代えて、化学式(f2)、(f3)および(f4)で示される化合物をそれぞれ用い、化学式(a1)で示される化合物の製造方法と同じ方法で、化学式(a2)、(a3)および(a4)で示される化合物を製造した。下記の化学式(a2)〜(a4)で示される化合物は、実際の合成においては構造異性体とともに得られる。
【0086】
【化19】
【0087】
【化20】
【0088】
【化21】
【0089】
【化22】
【0090】
【化23】
【0091】
【化24】
【0092】
実施例2〜6において、本発明の磁気記録媒体の実施例を説明する。
【0093】
(実施例2)
非磁性支持体として、表面に粒状突起を有するポリエステルフィルムを用意した。具体的には、▲1▼シリカ微粒子を含む高分子材料をフィルムに成形することにより形成された勾配のゆるやかな突起(平均高さ7nm、直径1μm)を100μm2当たり数個有し、かつ▲2▼直径15nmのシリカコロイド粒子が紫外線硬化エポキシ樹脂でポリエステルフィルム表面に固着されて形成された急峻な突起を1mm2当り1×107個有するポリエステルフィルムを使用した。本実施例で使用したポリエステルフィルムは、重合触媒の残さに由来する微粒子によってフィルム表面に形成される比較的大きな突起の数が極めて少ないものであった。
【0094】
ポリエステルフィルムの粒状突起が形成された面に、連続真空斜め蒸着法によりCoから成る強磁性金属薄膜(膜厚100nm)を微量の酸素の存在下で形成した。強磁性金属薄膜中の酸素含有量は原子分率で5%であった。
【0095】
次に、強磁性金属薄膜の上に、プラズマCVD法によってダイヤモンドライクカーボンから成る厚さ5nmの保護膜を形成した。保護膜は、真空容器中にヘキサンガスとアルゴンガスとを4:1の比(圧力比)で混合したガスを導入し、トータルガス圧を39Paに保ちながら、周波数20kHz、電圧1500Vの交流と1000Vの直流を重畳し、これを放電管内の電極に印加することにより形成した。さらに、炭素膜上にプロピルアミンガスを導入し、6.5Paの圧力を保った状態で10kHzの高周波プラズマ処理を行い、炭素膜の表層部に厚さ2.5nmの含窒素プラズマ重合膜を形成した。
【0096】
続いて、上記化学式(a1)で示される含フッ素化合物を、イソプロピルアルコールとトルエンとの混合有機溶媒(重量比1:1)に溶解して塗布液を調製した。調製した塗布液をリバースロールコータを用いて保護膜上に湿式塗布法で塗布した後、乾燥処理して溶媒を蒸発させた。最終的に保護膜上には、潤滑剤を表面1m2あたり7mg含有する潤滑剤層が形成された。
【0097】
次いで、非磁性支持体の磁性層が形成された面とは反対側の面(即ち、裏面)に、ポリウレタン、ニトロセルロースおよびカーボンブラックより構成された固形分30%のメチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン溶液をリバースロールコータにより塗布して、乾燥後の厚さが約500nmのバックコート層を形成した。その後、これを所定幅に裁断して磁気テープを作製した。
【0098】
(実施例3)
上記化学式(a1)で示される含フッ素化合物と、下記化学式(b1)で示されるフッ素系モノエステルモノカルボン酸化合物とを1:1(重量比)の割合で混合して潤滑剤を調製して、実施例2と同様の方法で磁気テープを作製した。
【0099】
【化25】
【0100】
(実施例4)
上記化学式(a1)で示される含フッ素化合物と、上記化学式(b1)で示されるフッ素系モノエステルモノカルボン酸化合物とを7:3(重量比)の割合で混合して潤滑剤を調製して、実施例2と同様の方法で磁気テープを作製した。
【0101】
(実施例5)
化学式(a5)で示される含フッ素化合物と、下記化学式(b2)で示されるフッ素系モノエステルモノカルボン酸化合物とを4:6(重量比)の割合で混合して潤滑剤を調製して、実施例2と同様の方法で磁気テープを作製した。化学式(a5)で示される化合物は、オクタデシル無水コハク酸とHO−CH2CF2(OC2F4)4(OCF2)6OCF2CH2−OHで示されるジアルコールを用いて、化学式(a1)と同様にして合成したものである。
【0102】
【化26】
【0103】
【化27】
【0104】
(実施例6)
化学式(a2’)で示される含フッ素化合物と、化学式(b2)で示されるフッ素系モノエステルモノカルボン酸化合物とを1:1(重量比)の割合で混合して潤滑剤を調製して、実施例2と同様の方法で磁気テープを作製した。化学式(a2’)で示される含フッ素化合物は、上記化学式(a2)で示される化合物の構造異性体であり、化学式(a2)で示される化合物の合成により得られた構造異性体の混合物から、単離して得たものである。
【0105】
【化28】
【0106】
(実施例7)
上記化学式(a6)で示される含フッ素化合物と、下記化学式(b3)で示されるフッ素系モノエステルモノカルボン酸化合物とを1:1(重量比)の割合で混合して潤滑剤を調製して、実施例2と同様の方法で磁気テープを作製した。
【0107】
【化29】
【0108】
(比較例1)
化学式(b1)で示されるフッ素系モノエステルモノカルボン酸のみを潤滑剤として使用して、実施例2と同様の方法で磁気テープを作製した。
【0109】
(比較例2)
公知の潤滑剤である化学式(x1)で示される化合物を使用して、実施例2と同様の方法で磁気テープを作製した。
【0110】
【化30】
【0111】
(比較例3)
公知の潤滑剤である化学式(x2)で示される化合物を使用して、実施例2と同様の方法で磁気テープを作製した。
【0112】
【化31】
【0113】
(比較例4)
公知の潤滑剤である化学式(x3)で示される化合物を使用して、実施例2と同様の方法で磁気テープを作製した。
【0114】
【化32】
【0115】
実施例2〜7および比較例1〜4で得られた磁気テープ試料について、それぞれ下記の評価を行った。
【0116】
(I)走行性試験
各試料を、巻き付け角90°でステンレスのガイドピンに巻き付け、テンション0.2Nの条件で試料を18mm/秒の速度で巻き出し、同じ速度で巻き取り、巻き取り側においてテンションを測定した。巻き取り側のテンションと巻き出し側のテンションとの比からオイラーの式より動摩擦係数を計算して求めた。摩擦係数は巻き出し、巻取りをセットで1パスとし100パス目および1000パス目における摩擦係数を計算した。走行性試験は、23℃、60%RHの環境下で実施した。
【0117】
(II)スチル寿命試験
スチル寿命は、スチル寿命測定用に改造した市販デジタルVTR(松下電器産業(株)製、商品名NV−DJ1)を用い、3℃、5%RHの環境下で測定した。スチル寿命は初期から出力が6dB低下するまでの時間(分)で示す。
【0118】
(III)耐久性試験
耐久性は、ヘッド目詰まりおよび粉つきで評価した。RF(高周波)出力測定用に改造した市販デジタルVTR(松下電器産業(株)製、NV−DJ1)を用い、各試料を23℃、60%RHの環境下で100パス、133時間繰り返し再生を行い、再生中のRF出力からヘッド目詰まりを測定した。この繰り返し再生中、RF出力が6dB以上低下したときにヘッド目詰まりが発生したものとし、そのような低下が測定された時間を合計した時間をヘッド目詰まりとした。また、繰り返し再生後の磁気ヘッドを光学顕微鏡を用いて観察し、磁気ヘッドに付着している粉つきを観察した。粉つきは5段階で評価し、粉つきがほとんど見られないレベルを5、粉つきがヘッド面積に対し30%以下であり出力に影響しないレベルを4、粉つきがヘッド面積に対し50%以下であり出力に影響しないレベルを3、粉つきがヘッド面積に対し50%以下であり出力に影響するレベルを2、粉つきがヘッド面積に対し50%以上であるレベルを1とした。
【0119】
(IV)高温高湿保存性試験
高温高湿下での保存性を評価するために、次の手順で試験を実施した。作成した各試料を、50℃、80%RHの環境下で10日間放置(即ち、保存)した。保存後の表面状態を光学顕微鏡で観察することにより、各試料の錆の発生状態を調べた。錆の発生が多いほど、耐蝕性に劣り、高温高湿下での保存特性が劣ると評価される。錆の発生度合いは、4段階で評価し、錆が発生せず表面状態が非常に良いものを「Very good」、錆の発生が殆ど認められず表面状態が良好なものを「Good」、錆が発生したものを「Bad」、錆の発生が極めて多かったものを「Very bad」とした。
各試験の評価結果を表1に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
表1から明らかなように、本発明の含フッ素化合物を含む潤滑剤で磁気記録媒体の潤滑剤層を構成した実施例2〜7の試料は、高温高湿下における保存特性に優れ、また、摩擦係数およびスチル寿命等の他の性能も、比較例1〜4の試料と比較して良好であった。また、本発明の含フッ素化合物と特定のフッ素系モノエステルモノカルボン酸を使用した実施例3〜7の試料はいずれも、常温常湿や低温低湿等の環境下において、摩擦係数がより小さく、スチル寿命がより長く、ヘッド目詰まり時間がより短く、ヘッド粉つきもより少なかった。この結果より、本発明の含フッ素化合物と一般式(b)で示されるフッ素系モノエステルモノカルボン酸との組合せによって、より優れた潤滑特性が得られることが判る。
【0122】
【発明の効果】
本発明の含フッ素化合物は、優れた潤滑性能を示し潤滑剤として有用である。したがって、本発明の潤滑剤は、様々な機械、装置もしくは部品の潤滑剤として有用なものであり、特に磁気記録媒体用の潤滑剤として有用である。本発明の化合物はまた、界面活性剤としても有用なものである。
【0123】
本発明の含フッ素化合物はまた、特定のフッ素系モノエステルモノカルボン酸と組み合わされることによって、より優れた潤滑特性を発揮する潤滑剤を構成し得る。そのような潤滑剤を、非磁性支持体上に強磁性金属薄膜、保護膜および潤滑剤層がこの順に設けられて成る磁気記録媒体の潤滑剤層に用いることで、様々な使用条件下において優れた潤滑性を維持し、長時間使用された場合でも潤滑剤による潤滑効果が持続され、且つ粉つきが少ない磁気記録媒体、即ち優れた走行性および耐久性を示す磁気記録媒体が得られる。また、本発明の化合物を含む潤滑剤を使用すれば、耐蝕性に優れた磁気記録媒体が得られる。これらの特性を有する本発明の磁気記録媒体は、特にデジタルビデオテープレコーダやHDDで用いるのに適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で合成した化学式(a1)で示される含フッ素化合物の赤外分光分析の結果を示すグラフである。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a novel fluorine-containing compound useful as a lubricant for precision machines or precision parts requiring high-precision lubrication, a lubricant containing the fluorine-containing compound, and magnetic recording using the lubricant. The present invention relates to a medium and a method for manufacturing the magnetic recording medium.
[0002]
[Prior art]
In recent years, in the field of magnetic recording, with the advancement of digitalization and miniaturization of recording / reproducing equipment, and high performance such as prolonged use time, development of high-density magnetic recording media suitable for it has been actively performed. I have. Recently, a metal thin film type magnetic recording medium which is extremely advantageous for short wavelength recording has been put into practical use instead of a coating type magnetic recording medium. In general, a metal thin film type magnetic recording medium refers to a tape, a disk, or the like in which a magnetic layer made of a ferromagnetic metal thin film is provided as a recording layer on a nonmagnetic support. As a magnetic recording medium system used for recording / reproducing a high-density magnetic recording medium, for example, a digital video deck or a hard disk drive is used.
[0003]
In a metal thin film type magnetic recording medium represented by a digital video tape, the magnetic layer has extremely good surface properties, that is, the surface roughness of the magnetic layer is small. As a result, the contact area between the magnetic layer and the magnetic head increases, so that the magnetic layer receives a large frictional force while sliding with the magnetic head at high speed in the process of recording / reproducing a signal, and is liable to be worn. Abrasion of the magnetic layer greatly affects running durability, still durability, and the like of the magnetic recording medium, and reducing it has been a major issue in research and development of metal thin-film magnetic recording media.
[0004]
Attempts have been made to reduce wear by providing a lubricant layer on the surface of the magnetic layer to improve running durability and still durability. When a lubricant layer is provided, the lubricant layer on the surface of the magnetic layer has a lubricating property with a thickness of only a few nm in order to minimize output loss due to spacing loss between the magnetic recording medium and the magnetic head and to achieve high output. It is required to demonstrate.
[0005]
In a general hard disk drive, a CSS (contact start / stop) method is adopted. In the CSS method, when the hard disk, which is a high-density magnetic recording medium, is stopped, the magnetic head contacts the disk, and when the hard disk starts rotating at high speed at start-up, the air flow generated by this causes the magnetic head to rotate. In this method, recording / reproducing is performed while floating from the surface of the disk. When the disk stops, the rotation of the disk is reduced, and the magnetic head comes into contact with the hard disk again.
[0006]
In the CSS method, the magnetic head runs by rubbing the surface of the hard disk when the operation of the disk is stopped or the start of the disk is started, so that the frictional force applied at that time is a serious problem. In order to maintain the reliability of the hard disk drive, it is desired that the friction coefficient of the medium after the CSS running test is the same as the initial value. However, it is difficult to satisfy this requirement with a magnetic disk having a high surface flatness, that is, a small roughness. Another problem to be solved is a so-called head crash in which the head and the medium collide with each other when the hard disk is rotating at a high speed. One of the causes of the head crash is that the magnetic recording medium does not have an appropriate protective film and lubricant layer.
[0007]
Therefore, lubricants suitable for magnetic recording media have been widely studied. One of them is a fluorine compound. Since fluorine-based compounds exhibit excellent lubrication properties, use of various fluorine-based compounds has been proposed. (See, for example, Patent Documents 1, 2, 3, and 4)
[0008]
However, it is necessary to consider responding to new technologies, such as mounting of an MR head or GMR head and adoption of a contact recording method, as the recording density is further increased. For that purpose, it is necessary to further improve the characteristics of the lubricant used for the magnetic recording medium.
[0009]
[Patent Document 1]
JP 2002-92858 A
[Patent Document 2]
JP-A-2002-150530
[Patent Document 3]
JP-A-2002-241349
[Patent Document 4]
Japanese Patent Publication No. 6-28717
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
The properties required for lubricants used in magnetic recording media include: exhibiting excellent lubrication properties in various use environments including low-temperature environments, maintaining good lubrication properties even when applied extremely thinly, Even when the recording medium is used for a long time, it is required that the lubricating property is maintained, that the magnetic head has little dust, and the like. Here, the dusting means that when the magnetic recording medium is run by the recording / reproducing apparatus, the lubricant is scraped from the magnetic recording medium by contact with the magnetic head, and the scraped lubricant powder is removed from the magnetic head. It means that it accumulates on the surface.
[0011]
Various lubricants have been proposed and put to practical use so as to satisfy the above requirements. However, as the performance of magnetic recording media has been improved, the required level of lubricant has also become higher. Therefore, in the field of magnetic recording media, lubricants having more excellent properties are always required.
[0012]
The present invention has been made in view of the above circumstances, and is a compound suitable for use as a lubricant for a magnetic recording medium, while maintaining excellent lubricating properties under various use conditions, and It is an object of the present invention to provide a compound which can form a lubricant which maintains a lubricating effect even with use of and has less dusting.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
In a first aspect, the present invention provides a fluorine-containing compound having a specific structure. Such a compound is represented by the general formula (a).
Embedded image
(Wherein, X and Y are each —OH and a group represented by the formula (w), and when X is —OH, Y is a group represented by the formula (w), and X is a group represented by the formula (w) X is -OH, m is an integer of 1 to 6, n is an integer of 1 to 5, p and q are integers of 0 to 30, and r is 1 -12.
Embedded image
(Where R 1 And R 2 Each represents hydrogen, an aliphatic alkyl group or an aliphatic alkenyl group, 1 And R 2 At least one of them is hydrogen. ))
[0014]
The fluorine-containing compound of the present invention has one carboxyl group, one ester bond, and one hydroxyl group in one molecule, and has a fluoroether or fluoropolyether chain. Due to this structure, when the compound of the present invention is contained in a lubricant, particularly a lubricant for a lubricant layer of a magnetic recording medium, the magnetic recording medium exhibits excellent lubricating properties and corrosion resistance. Therefore, the present invention also provides the compound of the present invention as a compound constituting a lubricant.
[0015]
In a second aspect, the present invention provides a lubricant comprising at least one compound of the present invention. The lubricant of the present invention is particularly suitable for forming a lubricant layer of a metal thin-film magnetic recording medium.
[0016]
The lubricant according to the second aspect is preferably a fluorine-based monoester monocarboxylic acid represented by the following general formula (b) in addition to at least one compound selected from the compounds represented by the general formula (a). It contains at least one compound selected from acid compounds.
Embedded image
(Where R 3 Represents an aliphatic alkyl group or an aliphatic alkenyl group; 4 Represents a fluoroalkyl group, a fluoroalkenyl group, a fluoroether group or a fluoropolyether group, a is 0 or 1, and b is an integer of 1 to 20. )
[0017]
The lubricant has a fluorine-containing compound represented by the general formula (a) and a fluorine-based monoester monocarboxylic acid represented by the general formula (b). By mixing these two compounds, excellent lubrication properties can be obtained. Therefore, when this lubricant is contained in the lubricant layer of the magnetic recording medium, the magnetic recording medium exhibits excellent lubrication characteristics.
[0018]
In a third aspect, the present invention provides a ferromagnetic metal thin film formed as a magnetic layer on a nonmagnetic support, a protective film formed on the magnetic layer, and a lubricant layer formed on the protective film. , Wherein the lubricant layer contains the lubricant of the present invention. In the magnetic recording medium of the present invention, the lubricant constituting the lubricant layer preferably includes at least one fluorine-containing compound represented by the general formula (a) and a fluorine-based compound represented by the general formula (b). It contains at least one monoester monocarboxylic acid compound.
[0019]
In a fourth aspect, the present invention provides a method for producing the magnetic recording medium of the present invention. The method of manufacturing a magnetic recording medium of the present invention is characterized by the step of forming a lubricant layer, and the other steps may be steps used in a conventional method of manufacturing a magnetic recording medium. In the step of forming the lubricant layer in the production method of the present invention, the coating liquid prepared by dissolving the compound constituting the lubricant layer (that is, the lubricant) in a mixed organic solvent of a hydrocarbon solvent and an alcohol solvent. Is applied on the protective film. By using a mixed solvent obtained by combining a hydrocarbon-based solvent and an alcohol-based solvent, a uniform thin lubricant layer with extremely little coating unevenness can be formed. Therefore, according to the method for manufacturing a magnetic recording medium of the present invention, it is possible to obtain a magnetic recording medium having excellent lubricating performance and high practical reliability.
[0020]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Next, an embodiment of the present invention will be described.
The fluorine-containing compound of the present invention is represented by the general formula (a) and has one carboxyl group, one ester bond, one hydroxyl group, and a fluoropolyether or fluoropolyether chain in the same molecule. .
[0021]
Embedded image
[0022]
In the general formula (a), X and Y are respectively a hydroxyl group or a group represented by the formula (w). The group represented by the formula (w) is an acyloxyl group having a carboxyl group at a terminal.
Embedded image
In the group represented by the formula (w), R 1 And R 2 Each represents hydrogen, an aliphatic alkyl group or an aliphatic alkenyl group, 1 And R 2 At least one of them is hydrogen.
[0023]
The compound represented by the general formula (a) includes a combination of X and Y, and R in the formula (w). 1 And R 2 The following compounds are included depending on the combination of
{Circle around (1)} X is a group represented by the formula (w); 1 Is hydrogen and R 2 Is an aliphatic alkyl group or an aliphatic alkenyl group, and Y is OH.
(2) X is a group represented by the formula (w), and in the formula (w), R 1 Is an aliphatic alkyl group or an aliphatic alkenyl group; 2 Is hydrogen and Y is OH.
(3) X is a group represented by the formula (w), and in the formula (w), R 1 And R 2 Are hydrogen and Y is OH.
(4) X is OH, Y is a group represented by the formula (w), and in the formula (w), R 1 Is hydrogen and R 2 Is an aliphatic alkyl group or an aliphatic alkenyl group.
(5) X is OH, Y is a group represented by formula (w), and in formula (w), 1 Is an aliphatic alkyl group or an aliphatic alkenyl group; 2 Is hydrogen.
(6) X is OH, Y is a group represented by the formula (w), and in the formula (w), 1 And R 2 Are both hydrogen.
[0024]
The carbon number of the aliphatic alkyl group or the aliphatic alkenyl group contained in the group represented by the formula (w) is preferably from 1 to 22, and more preferably from 8 to 18.
[0025]
In the general formula (a), m is an integer of 1 to 6, n is an integer of 1 to 5, and p and q are each an integer of 0 to 30. m is more preferably an integer of 2 to 5. n is more preferably an integer of 1 to 4. A preferred combination of (m, n) is (2, 1) or (1, 2). p is more preferably an integer of 2 to 6, and q is more preferably an integer of 2 to 6. r is an integer of 1 to 12.
[0026]
In the general formula (a),-(OC m F 2m ) p (OC n F 2n ) q When the moiety represented by-is composed of only one kind of oxyfluoroalkylene, it is assumed that q = 0 in the general formula (a), and the compound represented by the general formula (a) is (OC) m F 2m ) Only. In this case, m is preferably 2.
[0027]
When both p and q are 0, the compound represented by the general formula (a) contains one ether bond, and thus contains a so-called fluoroether. When p ≠ 0 and q = 0, or when p and q are both integers of 1 or more, the number of ether bonds in the compound represented by the general formula (a) is 2 or more, and the compound is a fluoropolyether Will contain chains.
[0028]
In the general formula (a),-(OC m F 2m ) p (OC n F 2n ) q The portion indicated by-corresponds to a portion where two types of oxyfluoroalkylene units are copolymerized. p and q indicate the number of each oxyfluoroalkylene unit in the copolymer. Oxyfluoroalkylene unit (OC m F 2m ) And an oxyfluoroalkylene unit (OC n F 2n ) Are p (OC) m F 2m ) Blocks and q (OC) n F 2n ) Or other block copolymers, random copolymers, or alternating copolymers. Therefore, the general formula (a) is represented by-(OC m F 2m ) p (OC n F 2n ) q The portion indicated by-includes a block copolymer, a random copolymer and an alternating copolymer.
[0029]
The compound represented by the general formula (a) has a structure in which a carboxyl group is located at one end of a molecule and a hydroxyl group is located at the other end, and the compound is an alcohol as well as a carboxylic acid. The carboxyl group ensures that when the compound is included in the lubricant layer of a magnetic recording medium, the compound is strongly adsorbed on a protective film (generally, a carbon film) of the magnetic recording medium. The hydroxyl group serves to improve the solubility of this compound in general-purpose alcoholic organic solvents. When this compound is contained in the lubricant layer of the magnetic recording medium, the fluoroether or fluoropolyether chain is exposed on the surface and imparts excellent lubricating properties to the magnetic recording medium.
[0030]
The compound represented by the general formula (a) is obtained by mixing an alkyl succinic anhydride, an alkenyl succinic anhydride or a succinic anhydride with a fluoroalkyl dialcohol having a fluoroalkylene oxide group at a molar ratio of 1: 1. It is manufactured by heating and stirring. Here, a fluoroalkylene oxide group (that is, an oxyfluoroalkylene group) is -OR. f -Or -R f -O-(-R f -Represents a fluoroalkylene group, for example, a perfluoroalkylene group). The heating temperature is from 60 to 120C, preferably from 80 to 100C. If the heating temperature is lower than 60 ° C., many unreacted substances tend to remain. On the other hand, when the heating temperature exceeds 100 ° C., by-products tend to be generated.
[0031]
Examples of the alkyl succinic anhydride or alkenyl succinic anhydride that can be used include methyl succinic anhydride, ethyl succinic anhydride, butyl succinic anhydride, propyl succinic anhydride, hexyl succinic anhydride, heptyl succinic anhydride, octyl succinic anhydride, and nonyl. Succinic anhydride, decyl succinic anhydride, undecyl succinic anhydride, dodecyl succinic anhydride, tridecyl succinic anhydride, tetradecyl succinic anhydride, pentadecyl succinic anhydride, hexadecyl succinic anhydride, heptadecyl succinic anhydride, octadecyl succinic anhydride, nonadecyl There are succinic anhydride, and icosyl succinic anhydride. When succinic anhydride having no alkyl group or alkenyl group is used, in the group represented by the formula (w), R 1 And R 2 Are both hydrogen. Examples of the fluoroalkyl dialcohol having a fluoroalkylene oxide group include Fomblin Z dol (trade name, manufactured by Ausimont).
[0032]
The mixing and heating and stirring are preferably performed in the presence of a suitable solvent. The solvent is, for example, normal heptane, normal octane, or hexafluoroxylene.
[0033]
The solvent is removed from the resulting mixture by distillation under reduced pressure, and the residue is extracted with an organic solvent to separate the target compound. Separated compounds can be identified by infrared spectroscopy (IR), gel permeation chromatography (GPC) and organic mass spectroscopy (FD-MS). Infrared spectroscopy confirms that the fluorine-containing compound of the present invention has -OH, an ester bond, and a carboxyl group as a functional group of alcohol.
[0034]
When an alkyl succinic anhydride or an alkenyl succinic anhydride is used, the product generally contains a compound having the structure of (1) to (4) described above. Compounds having the structures of (1) to (4) are in a structurally isomeric relationship with each other. A mixture containing the compounds having the structures of (1) to (4) can be isolated into each compound by, for example, column chromatography after the above-mentioned solvent extraction. A mixture of the compounds of the structures (1) to (4) can be used as a lubricant or a surfactant without separation. When succinic anhydride is used, the product contains compounds having the structures of (5) and (6). Compounds having the structures of (5) and (6) also have a structural isomerism with each other.
[0035]
The fluorine-containing compound of the present invention thus obtained is useful as a material constituting a lubricant. The lubricant of the present invention comprising at least one fluorine-containing compound of the present invention is suitable for forming, for example, a lubricant layer of a magnetic recording medium. Hereinafter, a preferred embodiment of the lubricant containing the fluorine-containing compound of the present invention will be described.
[0036]
The lubricant of the present invention comprises at least one compound selected from the fluorine-containing compounds represented by the general formula (a) and at least one compound selected from the fluorine-based monoester monocarboxylic acid compounds represented by the following general formula (b) It is preferable that the compound contains a kind of compound. The lubricant may contain, in addition to these specific compounds, other known lubricants and rust inhibitors as required.
[0037]
The compound represented by the general formula (b) has one carboxyl group, one ester bond, one terminal group composed of one alkyl group or alkenyl group, one fluoroalkyl group, It has a terminal group consisting of a fluoroalkenyl group, a fluoroether group or a fluoropolyether group.
Embedded image
[0038]
In the general formula (b), R 3 Is an alkyl group or an alkenyl group. R 3 Preferably has 6 to 30 carbon atoms, more preferably 10 to 24 carbon atoms. When the number of carbon atoms is less than 6, or when the number of carbon atoms is 30, the lubricating performance exhibited by the compound may be reduced.
[0039]
In the general formula (b), R 4 Is a fluoroalkyl group, a fluoroalkenyl group, a fluoroether group or a fluoropolyether group. R 4 Is preferably a fluoroalkyl group or a fluoroalkenyl group, the number of carbon atoms is preferably 1 to 12, more preferably 6 to 10. The fluoroalkyl group or fluoroalkenyl group is preferably a perfluoroalkyl group or perfluoroalkenyl group.
[0040]
R 4 Is a fluoroalkyl group or a fluoroalkenyl group, 4 May have a fluorinated cyclic hydrocarbon group. R 4 When the lubricant layer of the magnetic recording medium is formed using a lubricant containing a compound that is a fluoroalkyl group or a fluoroalkenyl group having a fluorinated cyclic hydrocarbon group, the running durability can be further improved. At the same time, dusting can be further reduced.
[0041]
The fluorinated cyclic hydrocarbon group is a substituent selected from an aromatic hydrocarbon group in which some or all of the hydrogen is replaced with fluorine, an alicyclic hydrocarbon group, and a condensed polycyclic hydrocarbon group. It is. R 4 Preferably has an alicyclic hydrocarbon group, and more preferably has an alicyclic saturated hydrocarbon group (that is, a cycloalkyl group). It is preferable that all hydrogen in the fluorinated cyclic hydrocarbon group is substituted with fluorine. A cyclic hydrocarbon group replaces hydrogen or fluorine of a fluoroalkyl or fluoroalkenyl group. The cyclic hydrocarbon group may be bonded to any carbon of the fluoroalkyl group or the fluoroalkenyl group, for example, may be bonded as a side chain group. The cyclic hydrocarbon group is preferably bonded to a terminal carbon of a fluoroalkyl group or a fluoroalkenyl group. The fluorinated cyclic hydrocarbon group preferably has 4 to 8 carbon atoms.
[0042]
R 4 Is a fluoroether group or a fluoropolyether group, the molecular weight is preferably from about 200 to about 6000, and more preferably from about 300 to about 4000. If the molecular weight is less than 200 or exceeds 6000, the lubricity and reliability of the magnetic recording medium may decrease. Further, the fluoroether group or the fluoropolyether group is preferably a perfluoroether group or a perfluoropolyether group.
[0043]
In the general formula (b), a is 0 or 1. b is an integer of 0 to 20, preferably 0 to 12.
[0044]
R 4 Is a fluoroether group or a fluoropolyether group, 4 Is preferably represented by any one of the following general formulas (c), (d) and (e).
[0045]
General formula (c):
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In the above, j is an integer of 1 or more, preferably an integer of 1 to 8.
[0046]
General formula (d):
Embedded image
In the formula, h and i are integers of 1 or more, and h and i are each preferably 1 to 30, and more preferably 1 to 8.
[0047]
In the general formula (d),-(OCF (CF 3 ) CF 2 ) h (OCF 2 ) i The portion indicated by-corresponds to a portion where two types of oxyfluoroalkylene units are copolymerized, and h and i indicate the number of each oxyfluoroalkylene unit in the copolymer. Oxyfluoroalkylene unit (OCF (CF 3 ) CF 2 ) And an oxyfluoroalkylene unit (OCF) 2 ) Is composed of h (OCF (CF 3 ) CF 2 ) Blocks and i (OCF) 2 ) Or other block copolymers, random copolymers, or alternating copolymers. Therefore, the group represented by the general formula (d) is-(OCF (CF 3 ) CF 2 ) h (OCF 2 ) i The portion indicated by-includes a block copolymer, a random copolymer and an alternating copolymer.
[0048]
General formula (e)
Embedded image
In, R 5 Represents a fluoroalkyl group, u is an integer of 1 to 6, and v is an integer of 1 to 30. R 5 Is preferably a perfluoroalkyl group. R 5 Has preferably 1 to 30, more preferably 1 to 8 carbon atoms. v is more preferably an integer of 1 to 8.
[0049]
When j, h, and i and u and v in the general formulas (c), (d), and (e) are outside the above ranges, lubricity and storage reliability of the magnetic recording medium may decrease.
[0050]
The compound represented by the general formula (b) can be synthesized by a synthesis method described in Patent Document 4, for example.
[0051]
In the lubricant of the present invention, the mixing ratio of the compound represented by the general formula (a) to the compound represented by the general formula (b) is preferably in the range of 1: 9 to 9: 1 by weight. , More preferably in the range of 2: 8 to 8: 2, and even more preferably in the range of 3: 7 to 7: 3.
[0052]
When the lubricant of the present invention contains a compound represented by the general formula (a) and a compound represented by the general formula (b), the lubricant of the present invention may be composed of only those compounds. Alternatively, the lubricant may be a composition containing, in addition to these compounds, other lubricants, rust inhibitors, extreme pressure agents, and the like as appropriate. In that case, in the lubricant composition, the total ratio of the compound represented by the general formula (a) and the compound represented by the general formula (b) may be 30% by weight or more based on the total amount of the composition. More preferably, it is 50% by weight or more. If the combined ratio of the compound represented by the general formula (a) and the compound represented by the general formula (b) is less than 30% by weight, for example, when a lubricant layer of a magnetic recording medium is formed with this composition, In some cases, good lubrication properties cannot be imparted to the magnetic recording medium.
[0053]
The magnetic recording medium of the present invention has a ferromagnetic metal thin film formed as a magnetic layer on a non-magnetic support, a protective film formed on the magnetic layer, and a lubricant layer formed on the protective film. A magnetic recording medium, wherein the lubricant layer contains the lubricant of the present invention. The amount of the lubricant of the present invention contained in the lubricant layer is 1 m on the surface of the lubricant layer. 2 Preferably, the amount is 0.05 to 100 mg, more preferably 0.1 to 50 mg. In order to make such a small amount of the lubricant evenly present in the lubricant layer, the lubricant layer of the magnetic recording medium of the present invention is desirably formed by the following method.
[0054]
The lubricant layer is formed on the nonmagnetic support by forming a ferromagnetic metal thin film and a protective film in this order using a conventional material and means, and then on the protective film. The step of forming the lubricant layer includes a step of applying a coating liquid prepared by dissolving the lubricant of the present invention in a mixed solvent of a hydrocarbon solvent and an alcohol solvent on the protective film, and drying the applied coating liquid. And evaporating the mixed solvent. Finally, when the mixed solvent evaporates, the lubricant dissolved in the solvent remains on the protective film to form a lubricant layer. Therefore, even if the coating liquid is applied thickly, the solvent evaporates, forming a uniform and very thin lubricant layer on the protective film, that is, a lubricant layer in which a small amount of lubricant uniformly covers the protective film. Is done.
[0055]
Hydrocarbon solvents that can be used in the present invention include, for example, toluene, hexane, heptane, octane, nonane, xylene and ketone. Alcohol solvents that can be used in the present invention are, for example, lower alcohols such as methyl alcohol, ethyl alcohol, propyl alcohol, isopropyl alcohol and butyl alcohol. Specifically, the mixed organic solvent is preferably a mixed solvent of toluene and isopropyl alcohol, a mixed solvent of hexane and isopropyl alcohol, or a mixed solvent of heptane and isopropyl alcohol. If the proportion of the alcohol-based solvent is too large, coating unevenness tends to occur. On the other hand, if the proportion of the hydrocarbon-based solvent is too large, it is disadvantageous in terms of cost. Therefore, the mixing ratio of the two is 1: 9 to 9: It is preferable to use a mixture in a range of 1, preferably in a range of 3: 7 to 7: 3.
[0056]
The concentration and the coating thickness of the coating solution are applied so that the lubricant layer formed on the protective film after the evaporation of the solvent has a desired thickness. In general, it is preferable to apply a coating solution having a lubricant concentration of 100 to 10000 ppm to a thickness of 10 to 100 μm.
[0057]
Examples of the method of forming a lubricant layer using the above mixed solvent include a bar coating method, a gravure coating method, a reverse roll coating method, a die coating method, a wet coating method such as a dip coating method and a spin coating method, and an organic vapor deposition method. Yes, any method may be adopted.
[0058]
After applying the coating solution, a drying process is performed to evaporate the organic solvent, whereby a lubricant layer is formed on the protective film. The drying treatment can be performed by heating or natural drying. The thickness of the finally obtained lubricant layer is preferably about 3 to 5 nm. However, since there is an optimum range of the thickness of the lubricant layer depending on the composition of the lubricant, the thickness of the lubricant layer is not necessarily limited to this range.
[0059]
As described above, by using the predetermined mixed organic solvent, a lubricant layer having a uniform thickness without coating unevenness can be obtained, and after the solvent is finally evaporated, a very thin lubricant layer of several nm is formed. Can be formed. As a result, a highly reliable magnetic recording medium having excellent lubrication performance can be obtained.
[0060]
As described above, the magnetic recording medium of the present invention can be formed using conventional materials and means for layers other than the lubricant layer.
[0061]
For example, a nonmagnetic support is a film made of polyethylene terephthalate, polyethylene naphthalate, aromatic polyamide, or aromatic polyimide; a film made of vinyl resin such as polyvinyl chloride or polyvinylidene chloride; polycarbonate, glass, ceramic, aluminum Alternatively, a substrate made of a metal such as copper, a light metal such as an aluminum alloy or a titanium alloy, or single crystal silicon; or paper. When a rigid substrate such as a substrate made of an aluminum alloy or a glass substrate is used as the non-magnetic support, an oxide film or a Ni-P film is formed on the substrate surface by alumite treatment or the like to harden the surface. You may.
[0062]
The surface of the non-magnetic support on which the ferromagnetic metal thin film is formed (that is, the surface in contact with the magnetic layer) has a diameter of 20 to 700 nm in order to achieve both practical reliability and good RF output value. It is desirable that a projection formation process of 5 to 70 nm is performed. The protrusion is specifically formed of, for example, SiO 2 2 Alternatively, it is formed by dispersing ultrafine particles made of an inorganic substance such as ZnO or ultrafine particles made of an organic substance such as imide on the surface of a non-magnetic support and fixing them. Alternatively, the projection is formed by molding a polymer material containing such fine particles into a film.
[0063]
In the magnetic recording medium of the present invention, the magnetic layer is a ferromagnetic metal thin film. Ferromagnetic metals suitable for the magnetic layer include Fe-based metals, Co-based metals, and Ni-based metals. In the present invention, it is particularly preferable to form the magnetic layer with a Co-based metal. Here, the “Co-based metal” refers to cobalt and an alloy containing cobalt as a main component and preferably at least 50 atomic%. The same applies to “Fe-based metal” and “Ni-based metal”.
[0064]
The ferromagnetic metal thin film is, specifically, Fe, Co and Ni, and Co-Ni, Co-Fe, Co-Cr, Co-Cu, Co-Pt, Co-Pd, Co-Sn, Co-Au, Selected from alloys such as Fe-Cr, Fe-Co-Ni, Fe-Cu, Ni-Cr, Fe-Co-Cr, Co-Ni-Cr, Co-Pt-Cr and Fe-Co-Ni-Cr. It is formed of one or more materials. The ferromagnetic metal film may include oxygen, which may be included in the form of oxides of these metals or alloys. The ferromagnetic metal thin film may be in the form of a single-layer film or in the form of a multilayer film.
[0065]
The ferromagnetic metal thin film can be formed by an ion plating method, a sputtering method, an electron beam evaporation method, or the like. If the ferromagnetic metal thin film is formed in an oxygen atmosphere, the ferromagnetic metal thin film will contain oxygen. The thickness of the ferromagnetic metal thin film is generally 30 nm to 300 nm.
[0066]
The protective film is preferably a carbon film. The carbon film has a Vickers hardness of about 2.45 × 10 4 N / mm 2 (About 2500kg / mm 2 ) To prevent damage to the magnetic recording medium together with the lubricant layer. In consideration of the balance between practical reliability and output, the thickness is preferably 1 to 20 nm.
[0067]
The carbon film is preferably made of graphite-like carbon or diamond-like carbon formed by a plasma CVD method using only a hydrocarbon gas or a mixed gas of a hydrocarbon gas and an inert gas. Diamond-like carbon is the most preferred material because it has an appropriate hardness and can suppress damage to the magnetic recording medium without damaging the magnetic head.
[0068]
Specifically, the carbon film is formed by introducing a hydrocarbon gas or a mixed gas of a hydrocarbon gas and an inert gas such as argon into a vacuum vessel, and maintaining the pressure in the vessel at 0.13 to 130 Pa to form a vacuum. A discharge is generated inside the container to generate a plasma of a hydrocarbon gas, thereby forming the film on the ferromagnetic metal thin film. The discharge type may be either an external electrode type or an internal electrode type, and the discharge frequency can be experimentally determined. Further, by applying a voltage of 0 kV to -3 kV to the electrode disposed on the non-magnetic support side, the hardness of the carbon film can be increased, and the adhesion between the carbon film and the ferromagnetic metal thin film can be improved. Can be done. As the hydrocarbon gas, methane, ethane, propane, butane, pentane, hexane, heptane, octane or benzene can be used.
[0069]
In order to form a hard carbon film, it is desirable to increase discharge energy, and it is also desirable to maintain the temperature of the nonmagnetic support at a high temperature. For example, the discharge energy is desirably set to an effective value of 600 V or more by superimposing an alternating current, for example, a high-frequency current and a direct current.
[0070]
In the present invention, it is preferable that a nitrogen-containing plasma polymerized film is formed on the surface layer of the carbon film, and the lubricant layer is formed on the nitrogen-containing plasma polymerized film of the carbon film. Amino groups are present in the surface layer of the carbon film due to the nitrogen-containing plasma polymerization, and as a result, the adhesion strength between the lubricant layer and the carbon film is increased, and the durability of the magnetic recording medium is further improved. It becomes. Combined with the inclusion of a specific fluorine-containing compound in the lubricant layer, it has excellent lubrication performance without impairing the electromagnetic conversion characteristics, and improves running durability, still durability and corrosion resistance. In addition, a magnetic recording medium with little dust and high practical reliability can be obtained.
[0071]
The nitrogen-containing plasma polymerized film is obtained by gasifying and introducing an amine compound such as propylamine, butylamine, ethylenediamine, propylenediamine or tetramethylenediamine into a vacuum vessel, and keeping the pressure in the vessel at 0.13 to 130 Pa. , By generating a high-frequency discharge inside the vacuum vessel. By forming the nitrogen-containing plasma polymerized film, the chemical adsorption force of the lubricant containing the specific fluorine-containing compound is improved, and as a result, the adhesion strength between the lubricant layer and the carbon film is improved. The film thickness of the nitrogen-containing plasma polymerized film is suitably less than 3 nm. If the nitrogen-containing plasma polymerized film is thicker than this, the protective effect of the carbon film is reduced. A method for forming a nitrogen-containing plasma polymerized film on the surface of a carbon film is disclosed in U.S. Pat. Nos. 5,540,957 and 5,637,393, and the contents disclosed in these patents by this citation are described in the present specification. Make up part.
[0072]
The magnetic recording medium of the present invention may have a back coat layer on the surface of the non-magnetic support opposite to the surface on which the magnetic layer is formed. The back coat layer may be a layer formed of one or more materials selected from polyurethane, nitrocellulose, polyester, carbon, calcium carbonate, and the like, or a thin film made of a metal, metal oxide, or alloy. May be. The thickness of the back coat layer is preferably about 50 to 500 nm.
[0073]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to examples, but the present invention is not limited to these examples.
[0074]
(Example 1)
<Synthesis of Compound (a1)>
A compound represented by the following chemical formula (a1) was synthesized.
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In the compound represented by the chemical formula (a1), in the general formula (a), X is a group represented by the formula (w), Y is -OH, m = 2, n = 1, p = 3, q = 4, r = 1. Further, in the group represented by the formula (w), R 1 Is hydrogen and R 2 Is an octyl group having 8 carbon atoms.
[0075]
A method for producing the compound represented by the chemical formula (a1) will be described. Starting materials are 21.2 g (0.10 mol) of octyl succinic anhydride represented by the chemical formula (f1) and 79.0 g (0.10 mol) of Fomblin Z dol (trade name; manufactured by Ausimont) represented by the chemical formula (g1) ).
[0076]
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[0077]
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[0078]
The above-mentioned raw material and 500 ml of normal octane were charged into a 1-liter flask equipped with a stirring blade, and reacted by stirring at 80 ° C. for 24 hours. After completion of the reaction, normal octane was distilled off, the reaction mixture was dissolved in acetone, and cooled to -10 ° C to remove unreacted octyl succinic anhydride. Further, the same treatment was carried out by dissolving the reaction mixture in methanol, and unreacted Fomblin Z dol was removed to obtain 99 g of a transparent liquid. This transparent liquid was confirmed by IR, GPC and FD-MS to be a compound represented by the chemical formula (a1) containing no starting materials and by-products. The infrared spectrum of this compound is shown in FIG. 1, and the IR absorption spectrum and items determined from GPC and FD-MS are summarized below.
[0079]
IR: 1,775 cm of acid anhydride -1 Absorption peak disappeared, 1,705 cm of carboxylic acid -1 1,760cm of ester -1 Absorption peak of alcohol and 3,330 cm of alcohol -1 Appearance of absorption peak.
GPC: Fomblin Z dol, octyl succinic anhydride not detected.
FD-MS; main peak at m / e 1,002.
[0080]
In the above description, only the chemical formula (a1) is shown as a product obtained, but the product produced by the above-mentioned method additionally includes a compound represented by the following chemical formula (a1 ′) and a compound represented by the following chemical formula (a1) Is obtained as a mixture containing the compound represented by “)” and the compound represented by the following chemical formula (a1 ′ ″). In the compound represented by the chemical formula (a1 ′), X is a group represented by the formula (w). And R 1 Is an octyl group, and R 2 Is hydrogen and Y is -OH. In the compound represented by the chemical formula (a1 ″), X is —OH, Y is a group represented by the formula (w), 1 Is hydrogen and R 2 Is an octyl group. In the compound represented by the chemical formula (a1 ′ ″), X is —OH, Y is a group represented by the formula (w), 1 Is an octyl group, and R 2 Is hydrogen. The above IR, GPC and MS were measured by isolating the compound represented by the chemical formula (a1).
[0081]
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[0082]
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[0083]
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[0084]
The compounds represented by the chemical formulas (a1 ′), (a1 ″) and (a ′ ″) also have the same properties as the compound represented by the chemical formula (a1) and are useful as lubricants. , (A1 ′), (a1 ″) and (a ″ ″) have a structurally isomeric relationship with each other. These compounds are included in the product when manufactured according to the above manufacturing method. Each of these compounds may be isolated and used as a lubricant. Alternatively, without separating the compounds represented by the chemical formulas (a1), (a1 ′), (a1 ″) and (a ′ ″), the product (that is, a mixture containing structural isomers) is used as a lubricant as it is. You may.
[0085]
<Synthesis of Compounds (a2) to (a5)>
Instead of octylsuccinic anhydride, the compounds represented by the chemical formulas (f2), (f3) and (f4) are used, respectively, and the compounds represented by the chemical formulas (a2), (a2) Compounds represented by a3) and (a4) were prepared. The compounds represented by the following chemical formulas (a2) to (a4) are obtained together with structural isomers in actual synthesis.
[0086]
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[0088]
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[0089]
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[0092]
Embodiments 2 to 6 will describe embodiments of the magnetic recording medium of the present invention.
[0093]
(Example 2)
As a nonmagnetic support, a polyester film having granular projections on its surface was prepared. Specifically, {circle around (1)} a protrusion having a gentle gradient (average height of 7 nm, diameter of 1 μm) formed by molding a polymer material containing silica fine particles into a film has a thickness of 100 μm. 2 (2) 1 mm steep projections formed by fixing silica colloid particles having a diameter of 15 nm to the polyester film surface with an ultraviolet-curable epoxy resin 2 1 × 10 per 7 A polyester film having two pieces was used. In the polyester film used in this example, the number of relatively large projections formed on the film surface by the fine particles derived from the residue of the polymerization catalyst was extremely small.
[0094]
A ferromagnetic metal thin film (100 nm thick) made of Co was formed on the surface of the polyester film on which the granular protrusions were formed by continuous vacuum oblique deposition in the presence of a trace amount of oxygen. The oxygen content in the ferromagnetic metal thin film was 5% in atomic fraction.
[0095]
Next, a 5 nm-thick protective film made of diamond-like carbon was formed on the ferromagnetic metal thin film by a plasma CVD method. As the protective film, a gas obtained by mixing a hexane gas and an argon gas at a ratio of 4: 1 (pressure ratio) into a vacuum vessel is introduced, and while maintaining the total gas pressure at 39 Pa, an alternating current of a frequency of 20 kHz, a voltage of 1500 V and a voltage of 1000 V are applied. Was formed by superimposing the direct current and applying this to the electrodes in the discharge tube. Further, a propylamine gas is introduced onto the carbon film, and a high-frequency plasma treatment of 10 kHz is performed while maintaining a pressure of 6.5 Pa to form a nitrogen-containing plasma polymerized film having a thickness of 2.5 nm on the surface of the carbon film. did.
[0096]
Subsequently, the fluorine-containing compound represented by the chemical formula (a1) was dissolved in a mixed organic solvent of isopropyl alcohol and toluene (weight ratio: 1: 1) to prepare a coating solution. The prepared coating solution was applied on the protective film by a wet coating method using a reverse roll coater, and then dried to evaporate the solvent. Finally, on the protective film, lubricate the surface 1m 2 Per 7 g of a lubricant layer was formed.
[0097]
Then, a 30% solids methyl ethyl ketone / toluene / cyclohexanone solution composed of polyurethane, nitrocellulose and carbon black is applied to the surface of the nonmagnetic support opposite to the surface on which the magnetic layer is formed (that is, the back surface). It was applied by a reverse roll coater to form a back coat layer having a thickness of about 500 nm after drying. Thereafter, this was cut into a predetermined width to produce a magnetic tape.
[0098]
(Example 3)
A lubricant is prepared by mixing the fluorine-containing compound represented by the chemical formula (a1) and the fluorine-based monoester monocarboxylic acid compound represented by the following chemical formula (b1) at a ratio of 1: 1 (weight ratio). A magnetic tape was produced in the same manner as in Example 2.
[0099]
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[0100]
(Example 4)
A lubricant is prepared by mixing the fluorine-containing compound represented by the chemical formula (a1) and the fluorine-containing monoester monocarboxylic acid compound represented by the chemical formula (b1) in a ratio of 7: 3 (weight ratio). A magnetic tape was produced in the same manner as in Example 2.
[0101]
(Example 5)
A lubricant is prepared by mixing a fluorine-containing compound represented by the chemical formula (a5) and a fluorine-based monoester monocarboxylic acid compound represented by the following chemical formula (b2) at a ratio of 4: 6 (weight ratio), A magnetic tape was produced in the same manner as in Example 2. The compound represented by the chemical formula (a5) is obtained by mixing octadecyl succinic anhydride with HO-CH 2 CF 2 (OC 2 F 4 ) 4 (OCF 2 ) 6 OCF 2 CH 2 It was synthesized in the same manner as in the chemical formula (a1) using a dialcohol represented by -OH.
[0102]
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[0103]
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[0104]
(Example 6)
A lubricant is prepared by mixing the fluorine-containing compound represented by the chemical formula (a2 ′) and the fluorine-based monoester monocarboxylic acid compound represented by the chemical formula (b2) at a ratio of 1: 1 (weight ratio), A magnetic tape was produced in the same manner as in Example 2. The fluorine-containing compound represented by the chemical formula (a2 ′) is a structural isomer of the compound represented by the chemical formula (a2), and is a mixture of the structural isomers obtained by synthesizing the compound represented by the chemical formula (a2). It was obtained by isolation.
[0105]
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[0106]
(Example 7)
A lubricant is prepared by mixing the fluorine-containing compound represented by the chemical formula (a6) and the fluorine-based monoester monocarboxylic acid compound represented by the following chemical formula (b3) at a ratio of 1: 1 (weight ratio). A magnetic tape was produced in the same manner as in Example 2.
[0107]
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[0108]
(Comparative Example 1)
A magnetic tape was produced in the same manner as in Example 2, except that only the fluorine-based monoester monocarboxylic acid represented by the chemical formula (b1) was used as a lubricant.
[0109]
(Comparative Example 2)
A magnetic tape was produced in the same manner as in Example 2 using a compound represented by the chemical formula (x1), which is a known lubricant.
[0110]
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[0111]
(Comparative Example 3)
A magnetic tape was produced in the same manner as in Example 2 using a compound represented by the chemical formula (x2), which is a known lubricant.
[0112]
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[0113]
(Comparative Example 4)
A magnetic tape was produced in the same manner as in Example 2 using a compound represented by the chemical formula (x3), which is a known lubricant.
[0114]
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[0115]
The magnetic tape samples obtained in Examples 2 to 7 and Comparative Examples 1 to 4 were evaluated as follows.
[0116]
(I) Runnability test
Each sample was wound around a stainless steel guide pin at a winding angle of 90 °, the sample was unwound at a speed of 18 mm / sec under the condition of a tension of 0.2 N, wound up at the same speed, and the tension was measured on the winding side. The dynamic friction coefficient was calculated from the ratio between the tension on the winding side and the tension on the unwinding side according to Euler's formula. The friction coefficient was unwound and the winding was set as one pass, and the friction coefficients at the 100th pass and the 1000th pass were calculated. The running test was performed in an environment of 23 ° C. and 60% RH.
[0117]
(II) Still life test
The still life was measured using a commercially available digital VTR (manufactured by Matsushita Electric Industrial Co., Ltd., trade name NV-DJ1) modified for measuring the still life under an environment of 3 ° C. and 5% RH. The still life is indicated by the time (minute) from the initial stage until the output decreases by 6 dB.
[0118]
(III) Durability test
The durability was evaluated by head clogging and dusting. Using a commercially available digital VTR (NV-DJ1 manufactured by Matsushita Electric Industrial Co., Ltd.) modified for RF (high frequency) output measurement, each sample was repeatedly reproduced for 100 passes and 133 hours at 23 ° C. and 60% RH. The head clogging was measured from the RF output during reproduction. During the repetitive reproduction, it was assumed that head clogging occurred when the RF output decreased by 6 dB or more, and the total time obtained by measuring such decrease was regarded as head clogging. Further, the magnetic head after repeated reproduction was observed using an optical microscope, and dust attached to the magnetic head was observed. The dust was evaluated on a scale of 1 to 5. The level at which dust was hardly observed was 5, the level at which dust was 30% or less of the head area and did not affect the output was 4, and the dust was 50% or less of the head area. The level which does not affect the output is 3, the level where the dust is 50% or less with respect to the head area and the output is affected is 2, and the level where the dust is 50% or more with respect to the head area is 1.
[0119]
(IV) High temperature and high humidity storage test
In order to evaluate the storability under high temperature and high humidity, a test was performed according to the following procedure. Each prepared sample was left (that is, stored) in an environment of 50 ° C. and 80% RH for 10 days. By observing the surface state after storage with an optical microscope, the state of rust generation of each sample was examined. It is evaluated that the more rust occurs, the lower the corrosion resistance and the lower the storage characteristics under high temperature and high humidity. The degree of rust generation was evaluated in four steps. "Very good" indicates that no rust was generated and the surface condition was very good. "Good" indicates that no rust was observed and the surface condition was good. The sample in which rust was generated was referred to as "Bad", and the sample in which rust was extremely generated was referred to as "very bad".
Table 1 shows the evaluation results of each test.
[0120]
[Table 1]
[0121]
As is clear from Table 1, the samples of Examples 2 to 7 in which the lubricant layer of the magnetic recording medium was composed of the lubricant containing the fluorine-containing compound of the present invention had excellent storage characteristics under high temperature and high humidity, and Other properties such as coefficient of friction and still life were also better than the samples of Comparative Examples 1-4. Further, all of the samples of Examples 3 to 7 using the fluorine-containing compound of the present invention and a specific fluorine-based monoester monocarboxylic acid have a smaller friction coefficient in an environment such as normal temperature and normal humidity or low temperature and low humidity, The still life was longer, the head clogging time was shorter, and the head dust was less. From these results, it can be seen that more excellent lubricating properties can be obtained by the combination of the fluorine-containing compound of the present invention and the fluorine-containing monoester monocarboxylic acid represented by the general formula (b).
[0122]
【The invention's effect】
The fluorine-containing compound of the present invention exhibits excellent lubrication performance and is useful as a lubricant. Therefore, the lubricant of the present invention is useful as a lubricant for various machines, devices or parts, and is particularly useful as a lubricant for magnetic recording media. The compounds of the present invention are also useful as surfactants.
[0123]
The fluorine-containing compound of the present invention can constitute a lubricant exhibiting more excellent lubrication properties by being combined with a specific fluorine-based monoester monocarboxylic acid. By using such a lubricant in a lubricant layer of a magnetic recording medium in which a ferromagnetic metal thin film, a protective film and a lubricant layer are provided in this order on a non-magnetic support, the lubricant is excellent under various use conditions. Thus, a magnetic recording medium that maintains the lubricating property, maintains the lubricating effect of the lubricant even when used for a long time, and has little dust, that is, a magnetic recording medium exhibiting excellent running properties and durability can be obtained. Further, when a lubricant containing the compound of the present invention is used, a magnetic recording medium having excellent corrosion resistance can be obtained. The magnetic recording medium of the present invention having these characteristics is particularly suitable for use in digital video tape recorders and HDDs.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a graph showing the results of infrared spectroscopic analysis of a fluorine-containing compound represented by a chemical formula (a1) synthesized in Example 1.