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JP2004360645A - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents

内燃機関の燃料供給装置 Download PDF

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JP2004360645A
JP2004360645A JP2003162590A JP2003162590A JP2004360645A JP 2004360645 A JP2004360645 A JP 2004360645A JP 2003162590 A JP2003162590 A JP 2003162590A JP 2003162590 A JP2003162590 A JP 2003162590A JP 2004360645 A JP2004360645 A JP 2004360645A
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fuel
injection valve
heating
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fuel injection
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JP2003162590A
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Tomojiro Sugimoto
知士郎 杉本
Keiso Takeda
啓壮 武田
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)

Abstract

【課題】燃料等の過熱を防止しつつ、機関燃焼に供される燃料の温度を効率的に制御することのできる内燃機関の燃料供給装置を提供する。
【解決手段】エンジン1の燃料供給装置は、燃料噴射弁10ひいては燃料通路21内における燃料の滞留の度合いを直接反映する燃圧Pを検出し、その検出結果に基づいてヒータ30への給電量を制御する。この結果、実質的には、燃料噴射弁10や燃料噴射弁10内の燃料等が過熱する条件が成立したことを事前に察知し、燃料等の温度上昇を抑制することになり、温度検出に基づくヒータ給電制御よりも高い精度で燃料等の過熱を防止(抑制)することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に燃料を供給する機能とその燃料の温度を調整する機能とを有する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気ヒータ等の加熱機器を内蔵した燃料噴射弁を備え、内燃機関に燃料を供給するとともに、その燃料の温度を調整することのできる装置が知られている。
【0003】
この種の装置を用いれば、例えば機関始動時に燃料噴射弁内の燃料を加熱することで、吸気系や燃焼室に供給される燃料の霧化を促進させることができる。その結果、始動時における機関の燃焼状態が良好になり、排気特性やドライバビリティが向上する。
【0004】
ところで、燃料噴射弁、又は燃料噴射弁内の燃料の温度が過剰に上昇すると、燃料噴射弁内でベーパロックが生じること等により、燃料噴射弁が動作不良を起こす懸念がある。
【0005】
このような問題に対し、例えば特許文献1に記載された装置は、燃料噴射弁の燃料の温度を燃料噴射弁の開弁に伴う音圧等に基づいて検出し、その温度が所定値を上回った場合には電気ヒータへの給電を止め、燃料噴射弁の過熱を防止する。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−147295号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、燃料噴射弁内の燃料や、燃料噴射弁の過熱に伴って生じる不具合を防止するための手立てとして、燃料の温度に基づいて電気ヒータの給電を制御する装置によって十分な効果を得ることは難しい。電気ヒータから過熱部位へ熱が伝導するまでに所定の応答遅れ時間が存在するためである。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、燃料等の過熱を防止しつつ、機関燃焼に供される燃料の温度を効率的に制御することのできる内燃機関の燃料供給装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、
(1)本発明は、燃料を加圧する加圧手段と、前記加圧された燃料を移送する燃料通路と、前記移送された燃料を内燃機関に噴射供給する燃料噴射弁と、前記内燃機関に噴射供給される燃料を加熱する加熱手段と、前記加熱手段による加熱量を制御する加熱量制御手段と、を備える内燃機関の燃料供給装置であって、前記加熱量制御手段は、前記内燃機関に噴射供給される燃料の圧力が所定値を下回った場合、前記加熱手段による加熱量を低下させることを要旨とする。
【0010】
内燃機関に噴射供給される燃料を加熱すると、噴射供給された燃料の霧化又は気化が促進され、特に当該機関の温度が比較的低い条件下等においてその燃焼状態が改善する。しかし、内燃機関に噴射供給される燃料を圧送するための通路構造、弁体、加圧手段等に異常が生じて燃料が滞留している(又は流動が緩慢になっている)ときに燃料の加熱を継続すると、例えば燃料噴射弁の温度が過剰に上昇し、動作不良を起こしやすくなる。この動作不良には、燃料噴射弁の機械的な動作不良と、ベーパロックのように燃料の特性変化に起因する動作不良とが含まれる。なお、上記通路構造等の異常のように、燃料の圧力低下を伴う異常が発生していると、ベーパロックの発生も助長されることになる。
【0011】
上記構成によれば、燃料噴射弁等の過熱を引き起こす燃料の滞留、特に上記通路構造等の異常等に起因する燃料の滞留が生じた場合、前記加熱手段による加熱量を低下させることにより、燃料噴射弁等の動作不良を回避することができる。また、ベーパロックを回避・解消することもできる。また、加熱手段の消費エネルギーを効率的に削減できる。
【0012】
(2)また、他の発明は、燃料を加圧する加圧手段と、前記加圧された燃料を移送する燃料通路と、前記移送された燃料を内燃機関に噴射供給する燃料噴射弁と、所定量の燃料が前記内燃機関に噴射供給されるように前記燃料噴射弁の開閉動作を制御する燃料噴射制御手段と、前記内燃機関に噴射供給される燃料を加熱する加熱手段と、前記加熱手段による加熱量を制御する加熱量制御手段と、を備える内燃機関の燃料供給装置であって、前記加熱量制御手段は、前記燃料噴射弁を通じて前記内燃機関に噴射供給される燃料の圧力の降下量であって、同弁の開閉動作に伴う降下量が所定値を下回った場合、前記加熱手段による加熱量を低下させることを要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、燃料噴射弁等の過熱を引き起こす燃料の滞留、特に燃料噴射弁の開閉異常に起因する燃料の滞留が生じた場合、前記加熱手段による加熱量を低下させることにより、燃料噴射弁又は加熱手段等の耐久性を高めることができる。また、ベーパロックを回避・解消することもできる。また、加熱手段の消費エネルギーを効率的に削減できる。
【0014】
なお、上記(1)及び(2)の構成において、「加熱量を低下させる」といった概念は、「加熱量を「正の値」から「0」に変化させる(加熱を停止させる)」といった概念を含む。また、燃料を加熱する加熱手段は、燃料を直接加熱する機能を備えてもよいし、例えば燃料の通路等を加熱することにより、間接的に燃料を加熱する機能を備えてもよい。また、加熱手段としては、例えば電気ヒータを好適に適用することができるが、この他、加熱制御手段からの制御指令に対し、ある程度の応答性をもって燃料に加熱作用を及ぼすものことができるものであれば、他の機器等(例えば輻射熱を利用して被加熱対象を加熱するヒータ等)を適用することもできる。
【0015】
また、本発明は、複数の気筒を備えた内燃機関に適用し、当該機関の各気筒に対応する燃料噴射弁を備えた装置構成とするのが好ましい。そしてさらに、特定の気筒に対応する燃料噴射弁内で燃料が滞留している場合、当該燃料噴射弁を通じて供給される燃料の加熱量を低下させるのがよい。このような装置構成と制御構造とを適用すれば、個々の燃料噴射弁について、その動作不良を的確に回避することができ、加熱手段の消費エネルギーをより効率的に削減できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した実施の形態について説明する。
【0017】
〔エンジンの基本構造及び機能〕
図1に示すように、エンジン1は、吸入行程、圧縮行程、爆発行程(膨張行程)及び排気行程の4サイクルを繰り返して出力を得る内燃機関である。エンジン1は、その内部に燃焼室(シリンダ)2を形成する。燃焼室2で発生する燃料の爆発力は、ピストン3及びコンロッド4を介してクランクシャフト(図示略)の回転力に変換される。また、燃焼室2には、吸気通路5の最下流部をなす吸気ポート5Aと、排気通路6の最上流部をなす排気ポート6Aとが設けられている。吸気ポート5Aと燃焼室2との境界は吸気弁5Bによって開閉される。また、排気ポート6Aと燃焼室2との境界は排気弁6Bによって開閉される。
【0018】
エンジン1は、燃料噴射弁10を備える。燃料噴射弁10は、燃料タンク20から燃料通路21を通じて供給される燃料を、燃焼室2に適宜の量、適宜のタイミングで噴射供給する電磁駆動式開閉弁である。燃料噴射弁10には、給電によって発熱するヒータ30が内蔵されている。ヒータ30は、燃料噴射弁10の内部通路10aを加熱し、もって内部通路10aを通過する燃料を加熱する機能を有する。燃料通路21の途中には、燃料タンク20から燃料を汲み上げ、高圧にして燃料噴射弁10に供給する高圧ポンプ22が設けられている。また、燃料通路21の高圧ポンプ22下流には、燃圧センサ23が設けられている。燃圧センサ23は、燃料通路21の高圧ポンプ22下流(燃料噴射弁10内部)の燃料の圧力(燃圧)Pに応じた信号を出力する。
【0019】
なお、好ましくは、燃料通路21の燃料噴射弁10及び高圧ポンプ22の間には、同通路21内の圧力が所定の基準値(基準燃圧)PSTDを上回ると開弁し同通路21内の燃料が基準燃圧PSTDを上回らないように機能するリリーフ弁24、リリーフ弁24が開弁することよって燃料通路21から放出される燃料を燃料タンク20に戻すリターン通路25、高圧ポンプ22によって圧送される燃料を高圧の状態で保持し適宜燃料噴射弁10に送り出す蓄圧室(図示略)等が設けられる。
【0020】
エンジン1は、運転者によるアクセルペダル(図示略)の踏込量ACCに応じた信号を出力するアクセルポジションセンサ(図示略)、クランクシャフト(図示略)の回転速度(エンジン回転数)NEを出力する回転速度センサ、及びエンジン1内を循環する冷却水の温度(冷却水温)THWに応じた信号を出力する温度センサ、吸気通路5を通じて燃焼室2に導入される空気の流量(吸入空気量)GAに応じた信号を出力するエアフロメータ等の各種センサを備える。各種センサの信号は、電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)40に入力される。
【0021】
ECU40は、CPU、RAM、ROM等からなる論理演算回路を備え、燃圧センサ23等、各種センサの信号に基づいてエンジン1の各種構成要素を統括制御する。例えば、ECU40は、エンジン1の運転状態に基づく燃料噴射弁10の操作(燃料噴射制御)を行い、適宜の量の燃料を適宜のタイミングで燃焼室2に供給する。また、ECU40は、ヒータ30への給電量を制御し、燃料噴射弁10内の燃料の温度を調整する。なお、ECU40は、燃料噴射弁10、燃料通路21、高圧ポンプ22、ヒータ30等と併せて、本実施の形態におけるエンジン1の燃料供給装置を構成する。
【0022】
〔ヒータ給電制御〕
以下、ヒータ30への給電量の制御(ヒータ給電制御)について、詳しく説明する。
【0023】
エンジン1においては、ECU40の指令信号に従って燃料噴射弁10が所定時間開弁すると、高圧ポンプ22によって圧送される燃料が燃焼室2に噴射供給され、霧化し、さらに気化しつつ燃え拡がり、爆発的に燃焼する。この燃料の爆発力が、ピストン3及びコンロッド4を介してエンジン出力に変換される。
【0024】
ところが冷間始動時のように、エンジン1の温度、燃焼室2内の温度が低い条件下では、燃料噴射弁10を通じて燃焼室2内に噴射される燃料が霧化し難くなり、燃焼室2内における燃料の燃焼状態が悪化する傾向がある。
【0025】
このため、エンジン1は、ヒータ30によって燃料噴射弁10の内部通路10aを加熱し、燃焼室2内に噴射される燃料の霧化を促進することにより、燃焼室2内における燃料の燃焼状態を良好な状態に保持する。
【0026】
また、ECU40は、燃料通路21の高圧ポンプ22下流における燃圧Pに応じ、ヒータ30への給電量(電圧を一定とした条件下での電流値)Qを変更する(ヒータ給電制御を行う)。
【0027】
図2は、燃圧PとECU40の指令信号に対応するヒータ30への給電量Qとの関係であって、特に本実施の形態にかかるヒータ給電制御の実行中に保持される両パラメータP,Qの関係を示す図である。エンジン1の運転中、燃料噴射弁10、高圧ポンプ22、リリーフ弁24、燃料通路21及びリリーフ通路25等、エンジン1の構成要素の全てが正常に機能していれば、燃圧Pは基準燃圧PSTD近傍の値を保持する。同図2に示すように、燃圧Pが基準燃圧PSTDを保持している場合に採用される給電量Qを基準値QSTDとすれば、燃圧Pが基準燃圧PSTDから、予め設定される上限値PMAXまでの範囲にある場合、ECU40は給電量Qを基準値QSTDに保持する。
【0028】
また、燃圧Pが上限値PMAXを上回った場合、給電量Qを「0」に設定する(ヒータ30への給電を中断する)。また、燃圧Pが予め設定される下限値PMINを下回った場合にも、給電量Qを「0」に設定する。また、燃圧Pが下限値PMINから基準燃圧PSTDまでの範囲にある場合、燃圧Pが高くなるほど給電量は増大する。なお、ECU40は、点A〜点B間の燃圧Pのデータとこれら燃圧Pに対応する給電量Qのデータとを所定のマップMP1上に保管する。
【0029】
図3は、ヒータ給電制御の具体的な手順(ルーチン)を示すフローチャートである。本ルーチンは、エンジン1の始動後、ECU40を通じて所定時間毎に繰り返し実行される。
【0030】
本ルーチンにおいて、ECU40は先ずステップS101で燃圧Pを検出する。
【0031】
そして、燃圧Pが基準燃圧PSTD以上上限値PMAX未満の範囲にある場合、ステップS102の判断を経てステップS103に進み、給電量Qを基準値QSTDに設定する。そして、ステップS104において給電を開始する(既にヒータ30への給電が行われている場合には給電を継続する)。また、燃圧Pが下限値PMIN以上基準値PMIN未満の範囲にある場合、ステップS102及びステップS105の判断を経てステップS106に進み、所定のマップMP1を参照して給電量Qを決定する。そして、ステップS104において給電を開始する(又は給電を継続する)。また、燃圧Pが下限値PMIN未満、又は上限値PMAX以上である場合、ステップS102及びステップS105の判断を経てステップS107に進み、ヒータ30への給電を停止する。
【0032】
なお、ステップS104又はステップS107の何れかを経た後、ECU40は本ルーチンを一旦抜ける。
【0033】
ECU40は、上記手順に従ってヒータ30への給電量Qを制御することにより、燃料噴射弁10を通じて燃焼室2内に供給される燃料の温度や、その燃料の通路を形成する部材(例えば燃料噴射弁10自体)の温度を調整する。
【0034】
ここで、ヒータ等の加熱手段を備えた従来の燃料供給装置では、例えば燃料の温度を検出し、この検出された温度が所定値を上回った場合にヒータへの給電を中止するといった制御構造が採用されていた。しかし、ヒータから過熱部位へ熱が伝導するまでには所定の応答遅れ時間が存在する。このため、過剰な温度上昇が検出されてからヒータへの給電を中止したのでは、その後僅かな時間ながら、燃料等の過熱状態が継続する。すなわち、温度検出に基づいてヒータの給電量を制御し燃料等の過熱を抑制する制御構造では、燃料等の過熱に起因する不具合を回避する上で十分な信頼性を確保することが困難であった。
【0035】
ところで、燃料噴射弁10や燃料噴射弁10内の燃料等の過熱は、例えば高圧ポンプ22の作動不良等の原因で燃料の流動性が低下し、燃料等がヒータ30から受けた熱を過剰に蓄えてしまうことに起因する場合が多い。また、高圧ポンプ22の作動不良や燃料通路21の詰まり等によって燃料の流動性が低下すると、燃圧Pが過剰に低くなるか、又は過剰に高くなる。
【0036】
本実施の形態の燃料供給装置は、燃料噴射弁10ひいては燃料通路21内における燃料の滞留の度合いを直接反映する燃圧Pを検出し、その検出結果に基づいてヒータ30への給電量を制御する。つまり、実質的に、燃料噴射弁10や燃料噴射弁10内の燃料等が過熱する条件が成立したことを事前に察知し、燃料等の温度上昇を抑制する。これにより、従来の装置よりも高い精度で燃料等の過熱を防止(抑制)することができる。
【0037】
また、燃料の温度が上昇すると、燃料中に気泡が発生して燃料の流動性が極度に低下する現象(ベーパロック)が起き易くなる。ここで、燃料の温度が一定でも、燃圧Pが低くなるほどベーパロックは起きやすく、燃圧Pが高くなるほどベーパロックは起きにくい。また、燃圧Pが一定でも、燃料の温度が高くなるほどベーパロックは起きやすく、燃料の温度が低くなるほどベーパロックは起きにくい。つまり、燃圧Pに応じてヒータ30への給電量Qを制御する本実施の形態の燃料供給装置によれば、燃圧Pの低下と燃料の温度上昇との双方に起因して発生し易くなるベーパロックの発生を、高い精度で防止することができる。さらに、燃圧Pの低下と燃料の温度上昇とに伴ってベーパロックが発生した場合、ヒータ30への給電を停止することで燃料中に発生した気泡の蒸気圧を下げ、ベーパロックを解消することもできる。
【0038】
(第2の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態について、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0039】
なお、第2の実施の形態は、第1の実施の形態にかかるエンジン1のハードウエア構成に、第1の実施の形態とは異なる制御構造を適用したものである。このため、エンジン1のハードウエア構成に関する説明は省略する。
【0040】
本実施の形態において、ECU40は、燃料噴射弁10の開閉動作不良に起因し、燃料噴射弁10内に燃料の滞留が生じた場合、ヒータ30への給電量Qを低下させる制御(ヒータ給電制御)を行う。
【0041】
燃料噴射弁10を通じて燃料噴射が行われる毎に、燃圧Pの降下量(以下、燃圧降下量という)ΔPを演算し、更新する。ここで、燃料噴射弁10が正常に機能し、ECU40の指令信号に従う正確な開閉動作を行っている場合、燃料噴射弁10を通じて燃料噴射が行われる毎に、燃圧Pが一時的に降下し、その後速やかに元に戻る。ところが、燃料噴射弁10の開閉動作に不良が発生した場合、燃料噴射に伴う燃圧Pの降下量(燃圧降下量)ΔPが小さくなる。このような条件下においては、燃料噴射弁10内における燃料の流動性が低下することにより、燃料が滞留し、燃料噴射弁10内の燃料、通路部材、ヒータ30等が過熱し易くなる。
【0042】
本実施の形態の燃料供給装置は、燃料降下量ΔPに応じてヒータ30への給電量Qを制御する。つまり、実質的に、燃料噴射弁10や燃料噴射弁10内の燃料等が過熱する条件のうち、特に燃料噴射弁10の開閉動作の不良に起因するものが成立したことを事前に察知し、燃料等の温度上昇を抑制する。
【0043】
このような制御を行う結果、燃料噴射弁10の開閉動作の不良に起因する燃料等の過熱及びベーパロックの発生を、高い精度で防止することができる。
【0044】
図4は、燃圧降下量ΔPとECU40の指令信号に対応するヒータ30への給電量Qとの関係であって、特に本実施の形態にかかるヒータ給電制御の実行中に保持される両パラメータΔP,Qの関係を示す図である。
【0045】
エンジン1の運転中、燃料噴射弁10、高圧ポンプ22、リリーフ弁24、燃料通路21及びリリーフ通路25等、エンジン1の構成要素の全てが正常に機能していれば、燃圧降下量ΔPは所定の基準値(以下、基準降下量という)ΔPSTD以上の値を示す。そこで、同図4に示すように、燃圧降下量ΔPが基準降下量ΔPSTDを保持している場合に採用される給電量を基準値QSTDとして、燃圧降下量ΔPが基準降下量ΔPSTD以上である場合、ECU40は給電量を基準値QSTDに保持する。また、燃圧降下量ΔPが予め設定される下限値ΔPMINを下回った場合には、給電量を「0」に設定する。また、燃圧降下量ΔPが下限値ΔPMINから基準降下量ΔPSTDまでの範囲にある場合、燃圧降下量ΔPが高くなるほど給電量を増大する。なお、ECU40は、点C〜点D間の燃圧降下量ΔPのデータとこれら燃圧降下量ΔPに対応する給電量Qのデータとを所定のマップMP2上に保管する。
【0046】
図5は、ヒータ給電制御の具体的な手順(ルーチン)を示すフローチャートである。本ルーチンは、エンジン1の始動後、ECU40を通じて所定時間毎に繰り返し実行される。
【0047】
本ルーチンにおいて、ECU40は先ずステップS201で燃料噴射に伴う燃圧降下量ΔPの最新値を取得する。なお、燃圧降下量ΔPは、燃料噴射弁10を通じて燃料噴射が行われる毎に別途のルーチンに従って算出され、更新される。燃圧降下量ΔPが基準降下量ΔPSTD以上である場合、ステップS202の判断を経てステップS203に進み、給電量Qを基準値QSTDに設定する。そして、ステップS204において給電を開始する(既にヒータ30への給電が行われている場合には給電を継続する)。また、燃圧降下量Pが下限値ΔPMIN以上基準値ΔPMIN未満の範囲にある場合、ステップS202及びステップS205の判断を経てステップS206に進み、所定のマップMP2を参照して給電量Qを決定する。そして、ステップS204において給電を開始する(又は給電を継続する)。また、燃圧降下量ΔPが下限値ΔPMIN未満である場合、ステップS202及びステップS205の判断を経てステップS207に進み、ヒータ30への給電を停止する。
【0048】
なお、ステップS204又はステップS207の何れかを経た後、ECU40は本ルーチンを一旦抜ける。
【0049】
ECU40は、上記手順に従ってヒータ30への給電量Qを制御することにより、燃料噴射弁10を通じて燃焼室2内に供給される燃料の温度や、その燃料の通路を形成する部材(例えば燃料噴射弁10自体)の温度を調整する。そして、燃料タンク20から燃料噴射弁10に亘って燃料の通路構造を形成する各種部材の不具合のうち、特に、燃料噴射弁10の開閉動作の不良に起因するものを選択的に検出し、その検出結果に基づいてヒータ30への給電量を制御する。
【0050】
この結果、燃料噴射弁10の開閉動作の不良に起因する燃料等の過熱及びベーパロックの発生を効果的に防止することができる。
【0051】
なお、第2の実施の形態にかかる制御構造は、複数の気筒と、各気筒に対応する燃料噴射弁と、各燃料噴射弁に対応するヒータとを備えた内燃機関に適用することで、より好ましい効果を得ることができる。各燃料噴射弁について、開閉動作にばらつきが生じ、過熱し易さが異なるようになった場合であれ、個々の燃料噴射弁に対し各ヒータを通じて適切な熱供給を行えるからである。例えば、何れかの燃料噴射弁の開閉動作に不良が生じた場合、動作不良の生じた燃料噴射弁に対応するヒータへの給電のみを停止する制御を行うことができる。
【0052】
なお、上記第1の実施の形態では、燃圧Pが所定の範囲「PMIN〜PSTD」にある場合、マップMP1を参照し、燃圧Pの変化に応じて給電量を段階的に(又は無段階に)変化させるようにした。これに対し、例えば燃圧Pが所定の範囲「PMIN〜PMAX」にある場合には給電量Qを基準燃圧QSTDとし、所定の範囲「PMIN〜PMAX」から外れれば給電を停止するといった制御(二値制御)を行っても、上記第1の実施の形態に準ずる効果を奏することはできる。
【0053】
同じく、上記第2の実施の形態では、燃圧降下量ΔPが所定の範囲「ΔPMIN〜ΔPSTD」にある場合、マップMP2を参照し、燃圧Pの変化に応じて給電量Qを段階的に(又は無段階に)変化させるようにした。これに対し、例えば燃圧Pが下限値ΔPMIN以上である場合には給電量Qを基準燃圧QSTDとし、下限値ΔPMIN未満である場合には給電を停止するといった制御(二値制御)を行っても、上記第2の実施の形態に準ずる効果を奏することはできる。
【0054】
また、上記第1の実施の形態では、燃圧Pが特定の範囲「PSTD〜PMAX」にある場合、ヒータ30に対する給電量Qを基準値QSTDに保持することとした。これに対し、燃圧Pがこの範囲「PSTD〜PMAX」にある場合にも、例えば燃圧Pに応じてヒータ30に対する給電量Qを段階的に(又は無段階に)変更するようにしてもよい。
【0055】
同じく、上記第2の実施の形態では、燃圧降下量ΔPが基準降下量ΔPSTD以上である場合、給電量Qを基準値QSTDに保持することとした。これに対し、燃圧が基準降下量ΔPSTD以上である場合にも、例えば燃圧降下量ΔPに応じてヒータ30に対する給電量Qを段階的に(又は無段階に)変更するようにしてもよい。
【0056】
また、上記各実施の形態において、燃圧センサ23の設置部位は、燃料通路21に限らず、例えば燃料噴射弁10の内部通路10a等であってもよい。
【0057】
また、ヒータ30の設置部位は、燃料噴射弁10内に限らず、例えばエンジン1のシリンダヘッド内における燃料噴射弁10近傍であってもよい。
【0058】
また、上記各実施の形態から把握される請求項以外の技術思想について、その効果とともに付記しておく。
【0059】
(A)燃料を加圧する加圧手段と、前記加圧された燃料を移送する燃料通路と、前記移送された燃料を内燃機関に噴射供給する燃料噴射弁と、前記内燃機関に噴射供給される燃料を加熱する加熱手段と、前記加熱手段による加熱量を制御する加熱量制御手段と、を備えた内燃機関の燃料供給装置であって、前記燃料通路内における燃料の滞留異常を、前記内燃機関に噴射供給される燃料の圧力に基づいて検出する滞留異常検出手段を備えて、且つ、前記加熱量制御手段は、前記滞留異常が検出された場合、前記加熱手段による加熱量を低下させることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
【0060】
上記構成によれば、燃料噴射弁等の過熱を引き起こす燃料の滞留、特に上記通路構造等の異常等に起因する燃料の滞留が生じた場合、前記加熱手段による加熱量を低下させることにより、燃料噴射弁等の動作不良を回避することができる。また、加熱手段の消費エネルギーを効率的に削減できる。
【0061】
(B)燃料を加圧する加圧手段と、前記加圧された燃料を移送する燃料通路と、前記移送された燃料を内燃機関に噴射供給する燃料噴射弁と、所定量の燃料が前記内燃機関に噴射供給されるように前記燃料噴射弁の開閉動作を制御する燃料噴射制御手段と、前記内燃機関に噴射供給される燃料を加熱する加熱手段と、前記加熱手段による加熱量を制御する加熱量制御手段と、を備える内燃機関の燃料供給装置であって、前記燃料噴射弁の動作異常を、前記燃料噴射弁を通じて前記内燃機関に噴射供給される燃料の圧力の降下量に基づいて検出する動作異常検出手段を備えて、且つ、前記加熱量制御手段は、前記燃料噴射弁の動作異常が検出された場合、前記加熱手段による加熱量を低下させることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
【0062】
上記構成によれば、燃料噴射弁等の過熱を引き起こす燃料の滞留、特に燃料噴射弁の開閉異常に起因する燃料の滞留が生じた場合、前記加熱手段による加熱量を低下させることにより、燃料噴射弁又は加熱手段等の耐久性低下や、ベーパロックの発生等を回避することができる。また、加熱手段の消費エネルギーを効率的に削減できる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、燃料噴射弁等の過熱を引き起こす燃料の滞留、特に上記通路構造等の異常等に起因する燃料の滞留が生じた場合、前記加熱手段による加熱量を低下させることにより、燃料噴射弁等の動作不良を回避することができる。また、加熱手段の消費エネルギーを効率的に削減できる。
また、他の発明によれば、燃料噴射弁等の過熱を引き起こす燃料の滞留、特に燃料噴射弁の開閉異常に起因する燃料の滞留が生じた場合、前記加熱手段による加熱量を低下させることにより、燃料噴射弁又は加熱手段等の耐久性を高めることができる。また、ベーパロックを回避・解消することができる。また、加熱手段の消費エネルギーを効率的に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるエンジンを示す概略構成図。
【図2】同実施の形態において、燃料通路内の燃圧とヒータに対する給電量との関係を示すグラフ。
【図3】同実施の形態にかかるヒータ給電制御の具体的な手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施の形態において、燃料噴射に伴う燃圧の降下量とヒータに対する給電量との関係を示すグラフ。
【図5】同実施の形態にかかるヒータ給電制御の具体的な手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 エンジン
2 燃焼室
3 ピストン
5 吸気通路
5A 吸気ポート
5B 吸気弁
6 排気通路
6A 排気ポート
6B 排気弁
10a 内部通路
10 燃料噴射弁
20 燃料タンク
21 燃料通路
22 高圧ポンプ
23 燃圧センサ
24 リリーフ弁
25 リターン通路
30 ヒータ
40 電子制御ユニット(ECU)

Claims (2)

  1. 燃料を加圧する加圧手段と、
    前記加圧された燃料を移送する燃料通路と、
    前記移送された燃料を内燃機関に噴射供給する燃料噴射弁と、
    前記内燃機関に噴射供給される燃料を加熱する加熱手段と、
    前記加熱手段による加熱量を制御する加熱量制御手段と、
    を備える内燃機関の燃料供給装置であって、
    前記加熱量制御手段は、前記内燃機関に噴射供給される燃料の圧力が所定値を下回った場合、前記加熱手段による加熱量を低下させる
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  2. 燃料を加圧する加圧手段と、
    前記加圧された燃料を移送する燃料通路と、
    前記移送された燃料を内燃機関に噴射供給する燃料噴射弁と、
    所定量の燃料が前記内燃機関に噴射供給されるように前記燃料噴射弁の開閉動作を制御する燃料噴射制御手段と、
    前記内燃機関に噴射供給される燃料を加熱する加熱手段と、
    前記加熱手段による加熱量を制御する加熱量制御手段と、
    を備える内燃機関の燃料供給装置であって、
    前記加熱量制御手段は、前記燃料噴射弁を通じて前記内燃機関に噴射供給される燃料の圧力の降下量であって、同弁の開閉動作に伴う降下量が所定値を下回った場合、前記加熱手段による加熱量を低下させる
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009016885A1 (ja) * 2007-08-01 2009-02-05 Nissan Motor Co., Ltd. 燃料噴射装置
JP2011064091A (ja) * 2009-09-15 2011-03-31 Honda Motor Co Ltd 燃料加熱装置
CN105971770A (zh) * 2016-06-15 2016-09-28 四川森洁燃气设备有限公司 一种提高喷轨安全性能的方法
CN106089456A (zh) * 2016-06-15 2016-11-09 四川森洁燃气设备有限公司 一种调控喷轨内部气压的方法

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