JP2004231935A - Polyester resin molded item and its manufacturing method - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形時の成形収縮率、熱処理後の加熱収縮率が小さく成形品の寸法安定性が改善され、かつ流動性等の射出成形性に優れ、低比重のポリエステル樹脂組成物からなる成形体を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)は機械的性質や耐熱性に優れることから、電気・電子機器部品、自動車部品および機械機構部品などの用途に対して広く展開されている。さらにコネクターなどの分野においては、コネクター結合時の密着性を高めるために高い寸法精度が要求されている。また電気・電子機器部品においては、近年集積化に伴い使用温度が上昇することから、また自動車部品においても車内での実用温度での信頼性が要求されることから、これらの実際の使用条件における実用温度での寸法変化を改良することが要求されている。
【0003】
特許文献1には、PBTの耐衝撃性や寸法安定性改良を目的に、PBTにグリシジル化合物により変性されたポリオレフィンおよび特定の第4級有機塩化合物を配合する方法が記載されている。しかしながら上記コネクター等の電気・電子機器部品では、近年、製品の小型化、軽量化に伴い、部品の薄肉化、複雑化が進み、精密成形が可能な高い流動性を求められており、これらの点からかかる方法では充分満足するものではなかった。
【0004】
特許文献2には、PBT、ポリカーボネート(PC)、アクリル系グラフト(共)重合体粒子からなる組成物を溶融混練して相互侵入の編目構造を形成した成形体が記載されている。しかしながら同法は、特殊なアクリル系グラフト(共)重合体粒子を添加することにより相互侵入の編目構造を形成させたものであり、より汎用的な方法が望まれていた。また同特許文献記載の発明は、同法により相互侵入の編目構造が得られ、機械特性が改良されるとの記載があるものの、その編目構造のサイズ、周期性、均一性については言及がなく、また成形品の寸法安定性改良に関する示唆も一切されていない。
【0005】
これまでには優れた規則性を有し、かつその構造が微細であり、さらにはその構造が均一に分散したポリエステル樹脂組成物からなる成形体については知られていなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−172623号公報([0003]〜[0007])
【特許文献2】
特開平5−156141号公報(第2頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリエステル樹脂成形体の成形時の成形収縮率、熱処理後の加熱収縮率を低減し成形品の寸法安定性を改良し、低比重のポリエステル樹脂組成物を得ることを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、射出成形時の成形収縮率や、熱処理後の加熱収縮率を低減したたポリエステル樹脂成形体を提供すべく鋭意検討した結果、PBTとPCを溶融混練し構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散構造に構造制御することによって、著しく改良されることを見いだし本発明を完成させるに到った。
【0009】
すなわち本発明は、
(1)(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B)ポリカーボネート樹脂を溶融混練して配合したポリエステル樹脂組成物からなる成形体であって、前記成形体が構造周期0.001〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの分散構造を形成したものであり、かつ成形時の成形収縮率が1%以下であり、60℃で2時間熱処理後の加熱収縮率が0.1%以下であることを特徴とするポリエステル樹脂成形体。
【0010】
(2)前記成形体が前記(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂相および前記(B)ポリカーボネート樹脂相が相溶化した構造または構造周期0.4μm以下の両相連続構造の樹脂ペレットを溶融成形したものであることを特徴とする上記(1)記載のポリエステル樹脂成形体。
【0011】
(3)前記両相連続構造または分散構造が、スピノーダル分解によって形成されたものであることを特徴とする上記(1)または(2)記載のポリエステル樹脂成形体。
【0012】
(4)前記スピノーダル分解が、溶融混練時の剪断下で一旦相溶し、その後相分離するものであることを特徴とする上記(3)記載のポリエステル樹脂成形体。
【0013】
(5)前記成形体が(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して(B)ポリカーボネート樹脂10〜100重量部を配合されてなることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル樹脂成形体。
【0014】
(6)(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B)ポリカーボネート樹脂を溶融混練して前記(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂相および前記(B)ポリカーボネート樹脂相が相溶化した構造または構造周期0.4μm以下の両相連続構造の樹脂ペレットを製造し、該樹脂ペレットを射出成形し、射出成形の過程においてスピノーダル分解を進行させ、構造周期0.001〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの分散構造を形成することを特徴とするポリエステル樹脂成形体の製造方法。
を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂とは、テレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体と1,4−ブタンジオールあるいはそのエステル形成性誘導体とを主成分とし重縮合反応によって得られる重合体であって、特性を損なわない範囲において共重合成分を含んでも良い。
【0016】
これら重合体および共重合体の好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレート)ポリ(ブチレン/エチレン)テレフタレート等が挙げられ、単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
【0017】
またこれら重合体および共重合体は、成形性、機械的特性の観点からo−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度が0.36〜1.60、特に0.52〜1.25の範囲にあるものが好適であり、さらには0.6〜1.0の範囲にあるものが最も好ましい。
【0018】
本発明で用いる(B)ポリカーボネート樹脂とは、ビスフェノールA、つまり2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルアルカンあるいは4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた1種以上を主原料とするものが好ましく挙げられ、なかでもビスフェノールA、つまり2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料として製造されたものが好ましい。具体的には、上記ビスフェノールAなどをジヒドロキシ成分として用い、エステル交換法あるいはホスゲン法により得られたポリカーボネート樹脂であることが好ましい。さらに、ビスフェノールAの一部、好ましくは10モル%以下を、4,4’−ジヒドロキシジフェニルアルカンあるいは4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどで置換したものも好ましく用いられる。
【0019】
本発明で用いる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、(B)ポリカーボネート樹脂の配合量には特に制限がないが、通常(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、(B)ポリカーボネート樹脂10〜1000重量部である。好ましくは、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、(B)ポリカーボネート樹脂10〜100重量部である。長尺ものの成形体や精密成形体を得る場合には、(B)ポリカーボネート樹脂の配合量を100重量部以下とし、射出成形時の流動性を低下させないようにすることが好ましい。また(B)ポリカーボネート樹脂の配合量が10重量部未満の場合、寸法安定性の改良効果が低下するため好ましくない。これらの流動性と寸法安定性のバランスから、より好ましい配合量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、(B)ポリカーボネート樹脂20〜50重量部である。
【0020】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、特定の構造周期を有する両相連続構造または特定の粒子間距離を有する分散構造を有するものである。
【0021】
かかる構造を有するポリエステル樹脂組成物は、スピノーダル分解による相分離を用いることにより得ることができる。
【0022】
一般に、2成分の樹脂からなるポリマーアロイには、これらの組成に対して、ガラス転移温度以上、熱分解温度以下の実用的な全領域において相溶する相溶系や、逆に全領域で非相溶となる非相溶系や、ある領域で相溶し、別の領域で相分離状態となる、部分相溶系があり、さらにこの部分相溶系には、その相分離状態の条件によってスピノーダル分解によって相分離するものと、核生成と成長によって相分離するものがある。
【0023】
スピノーダル分解による相分離とは、異なる2成分の樹脂組成および温度に対する相図においてスピノーダル曲線の内側の不安定状態で生じる相分離のことを指し、また核生成と成長による相分離とは、該相図においてバイノーダル曲線の内側であり、かつスピノーダル曲線の外側の準安定状態で生じる相分離のことを指す。
【0024】
かかるスピノーダル曲線とは、組成および温度に対して、異なる2成分の樹脂を混合した場合、相溶した場合の自由エネルギーと相溶しない2相における自由エネルギーの合計との差(ΔGmix)を濃度(φ)で二回偏微分したもの(∂2ΔGmix/∂φ2)が0となる曲線のことであり、またスピノーダル曲線の内側では、∂2ΔGmix/∂φ2<0の不安定状態であり、外側では∂2ΔGmix/∂φ2>0である。
【0025】
またかかるバイノーダル曲線とは、組成および温度に対して、系が相溶する領域と相分離する領域の境界の曲線のことである。
【0026】
ここで本発明における相溶する場合とは、分子レベルで均一に混合している状態のことであり、具体的には異なる2成分の樹脂を主成分とする相がいずれも0.001μm以上の相構造を形成していない場合を指し、また、非相溶の場合とは、相溶状態でない場合のことであり、すなわち異なる2成分の樹脂を主成分とする相が互いに0.001μm以上の相構造を形成している状態のことを指す。相溶するか否かは、例えばPolymer Alloys and Blends, Leszek A Utracki, hanser Publishers,Munich Viema New York,P64,に記載の様に、電子顕微鏡、示差走査熱量計(DSC)、その他種々の方法によって判断することができる。
【0027】
詳細な理論によると、スピノーダル分解では、一旦相溶領域の温度で均一に相溶した混合系の温度を、不安定領域の温度まで急速に変化させた場合、系は共存組成に向けて急速に相分離を開始する。その際濃度は一定の波長に単色化され、構造周期(Λm)で両分離相が共に連続して規則正しく絡み合った両相連続構造を形成する。この両相連続構造形成後、その構造周期を一定に保ったまま、両相の濃度差のみが増大する過程をスピノーダル分解の初期過程と呼ぶ。
【0028】
さらに上述のスピノーダル分解の初期過程における構造周期(Λm)は熱力学的に下式のような関係がある。
Λm〜[│Ts−T│/Ts]−1/2
(ここでTsはスピノーダル曲線上の温度)
ここで本発明でいうところの両相連続構造とは、混合する樹脂の両成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元的に絡み合った構造を指す。この両相連続構造の模式図は、例えば「ポリマーアロイ 基礎と応用(第2版)(第10.1章)」(高分子学会編:東京化学同人)に記載されている。
【0029】
スピノーダル分解では、この様な初期過程を経た後、波長の増大と濃度差の増大が同時に生じる中期過程、濃度差が共存組成に達した後、波長の増大が自己相似的に生じる後期過程を経て、最終的には巨視的な2相に分離するまで進行するが、本発明においては、最終的に巨視的な2相に分離する前の所望の構造周期に到達した段階で構造を固定すればよい。また中期過程から後期過程にかける波長の増大過程において、組成や界面張力の影響によっては、片方の相の連続性が途切れ、上述の両相連続構造から分散構造に変化する場合もある。この場合には所望の粒子間距離に到達した段階で構造を固定すればよい。
【0030】
ここで本発明にいうところの分散構造とは、片方の樹脂成分が主成分であるマトリックスの中に、もう片方の樹脂成分が主成分である粒子が点在している、いわゆる海島構造のことをさす。
【0031】
さらにかかるスピノーダル分解の初期過程の構造周期を0.001〜0.1μmの範囲に制御することで、上述の中期過程以降で波長および濃度差が増大しても、構造周期0.001〜1μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの範囲の分散構造に構造制御することができる。より優れた寸法安定性を得るためには、構造発展させた後、構造周期0.002〜0.5μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.002〜0.5μmの範囲の分散構造に制御することが好ましく、さらには、構造周期0.003〜0.3μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.003〜0.3μmの範囲の分散構造に制御することがより好ましい。
【0032】
一方、上述の準安定領域での相分離である核生成と成長では、その初期から海島構造である分散構造が形成されてしまい、それが成長するため、本発明の様な規則正しく並んだ構造周期0.001〜1μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの範囲の分散構造を形成させることは困難である。
【0033】
またこれらのスピノーダル分解による両相連続構造、もしくは分散構造を確認するためには、規則的な周期構造が確認されることが重要である。これは例えば、光学顕微鏡観察や透過型電子顕微鏡観察により、両相連続構造が形成されることの確認に加えて、光散乱装置や小角X線散乱装置を用いて行う散乱測定において、散乱極大が現れることの確認が有効である。なお、光散乱装置、小角X線散乱装置は最適測定領域が異なるため、構造周期の大きさに応じて適宜選択して用いられる。この散乱測定における散乱極大の存在は、ある周期を持った規則正しい相分離構造を持つ証明であり、その周期Λm は、両相連続構造の場合構造周期に対応し、分散構造の場合粒子間距離に対応する。またその値は、散乱光の散乱体内での波長λ、散乱極大を与える散乱角θm を用いて次式
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
により計算することができる。
【0034】
かかるスピノーダル分解は、2成分以上からなる樹脂を相溶状態とした後、スピノーダル曲線の内側の不安定状態とすることにより生じる。この2成分以上からなる樹脂で相溶状態を実現する方法としては、共通溶媒に溶解後、この溶液から噴霧乾燥、凍結乾燥、非溶媒物質中の凝固、溶媒蒸発によるフィルム生成等の方法により得られる溶媒キャスト法や、部分相溶系を、相溶条件下で溶融混練することによる溶融混練法が挙げられるが、中でも溶媒を用いないドライプロセスである溶融混練による相溶化が、実用上好ましく用いられる。
【0035】
かかる部分相溶系には、同一組成において低温側で相溶しやすくなる低温相溶型相図を有するものや、逆に高温側で相溶しやすくなる高温相溶型相図を有するものが知られている。この低温相溶型相図における相溶と非相溶の分岐温度で最も低い温度を、下限臨界共溶温度(lower critical solution temperature略してLCST)と呼び、高温相溶型相図における相溶と非相溶の分岐温度で最も高い温度を、上限臨界共溶温度(upper critical solution temperature略してUCST)と呼ぶ。
【0036】
部分相溶系を用いて相溶状態となった2成分以上の樹脂は、低温相溶型相図の場合、LCST以上の温度かつスピノーダル曲線の内側の温度にすることで、また高温相溶型相図の場合、UCST以下の温度かつスピノーダル曲線の内側の温度にすることでスピノーダル分解を行わせることができる。
【0037】
またこの部分相溶系によるスピノーダル分解の他に、非相溶系においても溶融混練によってスピノーダル分解を誘発すること、例えば溶融混練時等の剪断下で一旦相溶し、非剪断下で再度不安定状態となり相分解するいわゆる剪断場依存型相溶解・相分解によってもスピノーダル分解による相分離が可能である。この場合においても、スピノーダル分解様式で分解が進行し規則的な両相連続構造を有する。さらにこの剪断場依存型相溶解・相分解は、スピノーダル曲線が剪断場により変化し、不安定状態領域が拡大するため、スピノーダル曲線が変化しない部分相溶系の温度変化による方法に比べて、その同じ温度変化幅においても実質的な過冷却度(│Ts−T│)が大きくなり、その結果、上述の関係式におけるスピノーダル分解の初期過程における構造周期を小さくすることが容易となるためより好ましい。
【0038】
かかる溶融混練時の剪断下により相溶化させるには、通常の押出機が用いられるが、2軸押出機を用いることが好ましい。相溶化のための剪断条件、温度条件件は、樹脂の分子量によっても異なり一概にはいえないが、種々の剪断条件下での相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより条件を設定することができる。また上記射出成形機の可塑化工程での相溶化を確実に実現させる方法として、予め2軸押出機で溶融混練し相溶化させ、吐出後水中などで急冷し相溶化状態で構造を固定させたペレットを用いて射出成形する方法などが好ましい例として挙げられる。
【0039】
なお、本発明のポリエステル樹脂成形体を構成するポリエステル樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲でさらに各種の添加剤を含有せしめることもできる。これらの添加剤としては、例えば、タルク、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、セリサイト、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、岩綿、炭酸カルシウム、ケイ砂、ワラステナイト、硫酸バリウム、ガラスビーズ、酸化チタンなどの強化材、非板状充填材、あるいは酸化防止剤(リン系、硫黄系など)、紫外線吸収剤、熱安定剤(ヒンダードフェノール系など)、エステル交換反応抑制剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、染料および顔料を含む着色剤、難燃剤(ハロゲン系、リン系など)、難燃助剤(三酸化アンチモンに代表されるアンチモン化合物、酸化ジルコニウム、酸化モリブデンなど)、発泡剤、カップリング剤(エポキシ基、アミノ基メルカプト基、ビニル基、イソシアネート基を一種以上含むシランカップリング剤やチタンカップリング剤)、抗菌剤等が挙げられる。
【0040】
これらの添加剤は、本発明のポリエステル樹脂成形体を構成するポリエステル樹脂組成物を製造する任意の段階で配合することが可能であり、例えば、PBTとPCを配合する際に同時に添加する方法や、予めPBTとPCを溶融混練した後に添加する方法や、始めにPBT、PCのいずれか片方の樹脂に添加し溶融混練後、残りの樹脂を配合する方法等が挙げられる。
【0041】
また、本発明のポリエステル樹脂成形体を構成するポリエステル樹脂組成物には、本発明の構造を損なわない範囲でさらに他の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を含有せしめることもできる。これらの熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリエステル、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド等が挙げられ、熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0042】
これらの他の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は、本発明のポリエステル樹脂成形体を構成するポリエステル樹脂組成物を製造する任意の段階で配合することが可能であり、例えば、PBTとPCを配合する際に同時に添加する方法や、予めPBTとPCを溶融混練した後に添加する方法や、始めにPBT、PCのいずれか片方の樹脂に添加し溶融混練後、残りの樹脂を配合する方法等が挙げられる。
【0043】
本発明から得られるポリエステル樹脂成形体の成形方法は、任意の方法が可能であり、成形形状は、任意の形状が可能である。成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形などを挙げることができるが、中でも射出成形は射出後、金型内で構造固定化ができることから好ましく用いられる。
【0044】
本発明のポリエステル樹脂成形体を製造する好ましい方法は、高剪断を付与することのできる2軸押出機内で、PBTとPCを一旦相溶化させ、それを押出機から吐出後直ぐに冷却することによって、PBT相とPC相が相溶化した状態で構造が固定されたペレットか、あるいはスピノーダル分解の初期状態である構造周期が0.4μm以下の両相連続構造のペレットを製造した後、このペレットを射出成形し、その射出成形の過程においてスピノーダル分解をさらに進行させ、構造周期が0.001〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの範囲の分散構造を有するポリエステル樹脂成形品を形成せしめる方法である。
【0045】
本発明から得られる特定構造を有するポリエステル樹脂成形体は、成形時の成形収縮率、熱処理後の加熱収縮率が良好で成形品の寸法安定性を改良することが可能であるが、中でも成形時の成形収縮率が1%以下であり、かつ60℃で2時間熱処理後の加熱収縮率が0.1%以下となることが必要である。成形時の成形収縮率が1%を超す場合、長尺ものの成形体を成形する際、成形体によってはソリを発生させたりするため好ましくない。さらにここでは実用温度として60℃を代表温度とし、60℃で2時間熱処理後の加熱収縮率を測定することで実用温度での寸法変化の指標とした。かかる加熱収縮率が0.1%を超す場合、成形体をこれらの実用温度で使用する際に寸法変化が生じ、例えばコネクタ結合部の密着性が低下する等の障害が生じるため好ましくない。
【0046】
ここで上記成形時の成形収縮率を1%以下とし、かつ60℃で2時間熱処理後の加熱収縮率が0.1%以下とするためには、構造周期0.001〜1μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの範囲の分散構造に構造制御することが有効であり、これらの構造を実現するためには、上記成形方法の中でも射出成形を用い、金型内で急冷することにより成形体中の構造を固定する方法が好ましく用いられる。
【0047】
かかる寸法安定性を高めたポリエステル樹脂成形体は、例えば自動車部品や電機部品などに好適に使用することができる。また、ポリブチレンテレフタレート樹脂に対して比重が低くなる効果も有するため、自動車部品や電機部品の軽量化の観点からも好ましい。
【0048】
自動車部品の例としては、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、エアフローメーター、エアポンプ、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、サーモスタットハウジング、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、エンジンマウント、イグニッションホビン、イグニッションケース、クラッチボビン、センサーハウジング、アイドルスピードコントロールバルブ、バキュームスイッチングバルブ、ECUハウジング、バキュームポンプケース、インヒビタースイッチ、回転センサー、加速度センサー、ディストリビューターキャップ、コイルベース、ABS用アクチュエーターケース、ラジエータタンクのトップ及びボトム、クーリングファン、ファンシュラウド、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、オイルキャップ、オイルパン、オイルフィルター、フューエルキャップ、フューエルストレーナー、ディストリビューターキャップ、ベーパーキャニスターハウジング、エアクリーナーハウジング、タイミングベルトカバー、ブレーキブ−スター部品、各種ケース、燃料関係・排気系・吸気系等の各種チューブ、各種タンク、燃料関係・排気系・吸気系等の各種ホース、各種クリップ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、各種パイプ、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、ブレーキパッド摩耗センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコンパネルスイッチ基板、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ステップモーターローター、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、トルクコントロールレバー、スタータースイッチ、スターターリレー、安全ベルト部品、ドアロックハウジング、ドアロックプロテクター等のドアロック部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、デュストリビューター、サンバイザーブラケット、各種モーターハウジング、ルーフレール、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ドアミラーステー、ホーンターミナル、ウィンドウォッシャーノズル、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、グリルエプロンカバーフレーム、ランプリフレクター、ランプソケット、ランプハウジング、ランプベゼル、ドアハンドル、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクター、ヒューズ用コネクターなどの各種コネクターなどが挙げられる。
【0049】
また電気部品の例としては、コネクター、コイル、各種センサー、LEDランプ、ソケット、抵抗器、リレーケース、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品、発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、ナイフスイッチ、他極ロッド、電気部品キャビネット、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスク・DVD等の音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品、オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、携帯電話関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライター関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等の光学機器/精密機械関連部品などが挙げられる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに説明する。
実施例、比較例では以下の評価方法を用いた。
【0051】
(1)ガラス転移点の測定
セイコー電子工業製RDC−220型DSCを用い、窒素雰囲気下で昇温速度20℃/分により測定した。
【0052】
(2)相構造の評価
▲1▼電子顕微鏡による観察
ペレットをヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、ウルトラミクロトームを用いて超薄切片を切り出したサンプルについて、日立製作所製H−7100型透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して相構造の観察を行った。
【0053】
▲2▼両相連続構造の構造周期
次に示す小角X線散乱により測定した。X線発生装置は理学電機社製RU−200で、CuKα線を線源とし、出力50KV/150mA、スリット径0.5mm、カメラ半径405mm、露出時間120分、フィルムKodak DEF−5にて散乱写真を撮影した。小角X線散乱においてピーク位置(θm)から下式で構造周期(Λm)を計算した。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)。
【0054】
(3)寸法安定性
▲1▼成形収縮率
80mm四方で厚さ1mmの角板(フィルムゲート)を金型温度80℃、保圧10秒、冷却時間10秒の成形サイクルで成形した際に得られた角板の樹脂流動長方向(MD方向)および樹脂流動長と直角方向(TD方向)の寸法を測定し、その寸法の金型の寸法に対する収縮率を求めた。
【0055】
▲2▼加熱収縮率
上記で得られた、80mm四方で厚さ1mmの角板を60℃に温調された熱風オーブンの中で2時間熱処理し、この熱処理後の成形品のMD方向およびTD方向の寸法変化を測定し、熱処理前の寸法に対する収縮率として求めた。
【0056】
▲3▼総収縮率収縮率
上記の成形収縮率と加熱収縮率の和として算出した。
【0057】
[実施例1〜7]
表1記載の組成からなる原料を、押出温度260℃に設定し、ニーディングゾーンを2つ設けたスクリューアレンジとし、実施例1〜3、及び実施例5〜7はスクリュー回転数300rpmとし、実施例4はスクリュー回転数100rpmとした2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットを、20℃の水100リットルを満たした冷却バス中を15秒間かけて通過させることで急冷し構造を固定した。本ガットはいずれも透明であり、また該ガットをヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったが、いずれのサンプルについても0.001μm以上の構造物がみられず相溶化していることを確認した。このことから、本系は、押出温度260℃の押出機中で相溶化することがわかる。また該ガットから10mg切り出したサンプルのガラス転移温度を、DSCにて20℃/分の昇温速度で測定した結果を、表1に記した。
【0058】
尚、本系はLCST型相図を有する系であり、押出機の剪断下で相溶領域が拡大し相溶化したものである。
【0059】
さらに上記水中に急冷し、構造を固定したガットから厚み100μmの切片を切り出し、260℃でそれぞれ熱処理を行い、この熱処理中の構造形成過程を小角X線散乱及び光散乱を用いて追跡した。いずれのサンプルも、熱処理開始から0.5分後以降にピークが出現し、またこのピークは、そのピーク位置を変化させずに強度を増加させる様子が観測された。この小角X線散乱及び光散乱においてピーク位置を変化させずに強度を増加させる過程はスピノーダル分解の初期過程に対応する。表1には該ピーク位置(θm)から下式で計算した、構造周期(Λm)を記した。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
また、この小角X線散乱測定及び光散乱測定中初期過程の切片については、一部をすぐに水中に急冷し構造を固定し、ヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったところ、いずれのサンプルも両相連続構造が観察された。
【0060】
さらに上記小角X線散乱及び光散乱を測定した切片は、初期過程において構造を形成させた後、さらにそれぞれ上記記載の温度で計2分間熱処理を続け、構造形成を行った。該サンプルについても、上記初期過程同様に小角X線散乱及び光散乱から構造周期、及び透過型電子顕微鏡写真から構造の状態を観察した結果を表1に記載した。なお、分散構造を有する場合の粒子間距離も両相連続構造における構造周期と同じ方法で算出される。
【0061】
また、上記ダイから吐出後、水中に急冷し構造を固定したガットは、ペレタイザーでペレタイズを行い、射出成形用のペレットを得た。かかるペレットを用いて、ホッパ下から先端に向かって、240℃−250℃−260℃−260℃に設定した日精樹脂工業社製射出成形機(PS−60E9DSE)で、80mm四方で厚さ1mmの角板形状を有する金型を金型温度80℃とし、保圧10秒、冷却時間10秒の成形サイクルで成形を行った。
【0062】
上記射出成形条件で成形を行った成形品から厚み100μmの切片を切り出し、上記ガットからの切り出しサンプルと同様に、小角X線散乱及び光散乱から構造周期または粒子間距離を求めた結果、及び透過型電子顕微鏡写真から構造の状態を観察した結果を表1に記載した。本結果から、射出成形時によっても、上記ガットからの切り出しサンプルの熱処理と同様に構造が形成されていることがわかる。
【0063】
また射出成形性の指標としての流動性は、上述の80mm四方で厚さ1mmの角板形状を有する金型を用いて、樹脂が先端まで充填する最低射出圧力を求め、成形下限圧とし表1に記載した。また、上述の角板を用いて水中置換法により射出成形品の比重を求めた。
【0064】
なお、使用樹脂、添加剤は、以下に示すものを使用した
PBT−1:ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製“トレコン”1050S、ガラス転移温度32℃、結晶融解温度220℃)。
【0065】
PC−1:芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製“ユーピロン”H4000、ガラス転移温度151℃)
PC−2:芳香族ポリカーボネート(出光石油化学(株)製“タフロン”A1900、ガラス転移温度151℃)
E−1:エステル交換防止剤(旭電化工業社製“アデカスタブ”AX−71)
X−1:スチレン含有アクリル系グラフト共重合体(呉羽化学(株)製“パラロイド”EXL2615平均粒径0.1〜0.6μm)
W−1:離型剤(エチレングリコールモンタン酸エステル、クラリアントジャパン社製、Licowax E)。
【0066】
実施例3と4の比較から明らかな様に、溶融混練時の剪断を上げることにより、より微細な構造を形成することが可能であり、より射出成形性と寸法安定性に優れた成形体を得ることができる。
【0067】
[比較例1]
表2の通り、使用樹脂をPBTのみとした以外は、実施例1と同様に溶融混練後ペレタイズし、射出成形を行った。本系についても、実施例1と同様に射出成形性及び寸法安定性を測定した結果、射出成形性には優れるものの、寸法安定性に劣るものしか得られなかった。結果は、表2に記した。
【0068】
[比較例2]
PBT100重量部に対し、PCを8重量部配合した以外は、実施例1と同様に溶融混練後ペレタイズし、射出成形を行った。本系についても、実施例1と同様に射出成形性及び寸法安定性を測定した結果、射出成形性には優れるものの、寸法安定性に劣るものしか得られなかった。結果は、表2に記した。
【0069】
[比較例3]
溶融混練をスクリュー回転数を100rpmに設定した単軸押出機(田辺VS40−32)で行う以外は、実施例3と同様に溶融混練後ペレタイズし、射出成形を行った。本系についても、実施例1と同様に射出成形性及び寸法安定性を測定した結果、寸法安定性に劣るものしか得られなかった。結果は、表2に記した。
【0070】
[比較例4]
PBT100重量部に対し、PCを27重量部、スチレン含有アクリル系グラフト共重合体6.7重量部配合し、一般的に溶融混練する条件であるスクリュー回転数100rpmとした以外は、実施例1と同様に溶融混練後ペレタイズし、射出成形を行った。本系についても実施例1と同様に、押出ガットを観察した結果、2つの相に相分離した構造が観察された。また該ガットから10mg切り出したサンプルのガラス転移温度を、DSCにて20℃/分の昇温速度で測定すると、上記実施例1〜7で相溶系の特徴である単一のガラス転移温度が測定されたのと対照的に、2つの相に起因した2つのガラス転移温度が測定される。これらのことから、本系は溶融混練時に非相溶であることがわかる。次に上記押出ガットを、実施例1と同様に熱処理時の構造を観察した結果、光散乱からは、ピークが出現せず、また透過型電子顕微鏡写真からは、2つの相に相分離した相が非規則的な網状に分散している構造となっていた。本系についても、実施例1と同様に射出成形性及び寸法安定性を測定した結果、射出成形性には優れるものの、寸法安定性に劣るものしか得られなかった。結果は、表2に記した。
【0071】
[比較例5]
使用樹脂をPCのみとした以外は、実施例1と同様に溶融混練後ペレタイズし、射出成形を行った。本系についても、実施例1と同様に射出成形性及び寸法安定性を測定した結果、寸法安定性には優れるものの、射出成形性の指標である流動性が著しく低下したものしか得られなかった。結果は、表2に記した。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
本発明のPBTとPCを溶融混練し構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散構造に構造制御せしめたサンプルにおいて、射出成形時の成形収縮率や、熱処理後の加熱収縮率が低減され、また成形性にも優れたサンプルが得られることがわかる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明のPBTとPCを溶融混練し構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散構造に構造制御せしめたサンプルは、射出成形時の成形収縮率や、熱処理後の加熱収縮率が低減され、また成形性にも優れた特性を有するものであり、さらに低比重である。これらの特性を活かして電気・電子機器部品、自動車部品および機械機構部品などの用途、特にコネクター用途に有用に用いることができる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention comprises a polyester resin composition having a low specific gravity, in which the molding shrinkage during injection molding, the heat shrinkage after heat treatment is small, the dimensional stability of the molded product is improved, and the injection moldability such as fluidity is excellent. A molded article is provided.
[0002]
[Prior art]
Polybutylene terephthalate resin (PBT) is widely used for applications such as electric / electronic device parts, automobile parts, and mechanical mechanism parts because of its excellent mechanical properties and heat resistance. Further, in the field of connectors and the like, high dimensional accuracy is required in order to enhance the adhesion at the time of connector connection. In addition, in recent years, the use temperature of electric and electronic device parts has increased due to integration, and the reliability of automotive parts at the practical temperature in the car has been required. There is a need to improve dimensional changes at operating temperatures.
[0003]
Patent Literature 1 describes a method of blending PBT with a polyolefin modified with a glycidyl compound and a specific quaternary organic salt compound for the purpose of improving the impact resistance and dimensional stability of PBT. However, in recent years, with regard to electrical and electronic equipment parts such as the above connectors, with the miniaturization and weight reduction of products, the parts are becoming thinner and more complex, and high fluidity capable of precision molding is required. From the point of view, such a method was not sufficiently satisfactory.
[0004]
Patent Literature 2 describes a molded article in which a composition comprising PBT, polycarbonate (PC), and acrylic graft (co) polymer particles is melt-kneaded to form a stitch structure of interpenetration. However, this method forms a stitch structure of interpenetration by adding special acrylic graft (co) polymer particles, and a more versatile method has been desired. Although the invention described in the patent document states that a stitch structure of interpenetration can be obtained by the same method and mechanical properties are improved, there is no mention of the size, periodicity, uniformity of the stitch structure. In addition, there is no suggestion regarding improvement of the dimensional stability of a molded article.
[0005]
Heretofore, a molded article made of a polyester resin composition having excellent regularity, having a fine structure, and further uniformly dispersing the structure has not been known.
[0006]
[Patent Document 1]
JP-A-6-172623 ([0003] to [0007])
[Patent Document 2]
JP-A-5-156141 (page 2)
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
The object of the present invention is to obtain a polyester resin composition having a low specific gravity by improving the dimensional stability of a molded product by reducing the molding shrinkage during molding of a polyester resin molded article and the heat shrinkage after heat treatment. It is.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies to provide a polyester resin molded article having a reduced molding shrinkage rate during injection molding and a reduced heat shrinkage rate after heat treatment. By controlling the structure to a two-phase continuous structure of 1 μm or a dispersed structure having a distance between particles of 0.01 to 1 μm, it was found that the structure was significantly improved, and the present invention was completed.
[0009]
That is, the present invention
(1) A molded article made of a polyester resin composition obtained by melt-kneading (A) a polybutylene terephthalate resin and (B) a polycarbonate resin, wherein the molded article has a continuous structure of 0.001 to 1 μm in both phases. It has a structure or a dispersed structure having a distance between particles of 0.001 to 1 μm, has a molding shrinkage of 1% or less at the time of molding, and has a heat shrinkage of 0.1% after heat treatment at 60 ° C. for 2 hours. % Or less.
[0010]
(2) The molded product is obtained by melt-molding a resin pellet having a structure in which the (A) polybutylene terephthalate resin phase and the (B) polycarbonate resin phase are compatibilized or a continuous structure having a structure cycle of 0.4 μm or less. The polyester resin molded article according to the above (1), wherein
[0011]
(3) The polyester resin molded article according to (1) or (2), wherein the biphasic continuous structure or the dispersed structure is formed by spinodal decomposition.
[0012]
(4) The polyester resin molded article according to the above (3), wherein the spinodal decomposition is one in which the spinodal decomposition is performed once under shearing during melt-kneading and then phase-separated.
[0013]
(5) Any of the above (1) to (4), wherein the molded article is obtained by blending 10 to 100 parts by weight of (B) polycarbonate resin with respect to 100 parts by weight of (A) polybutylene terephthalate resin. A polyester resin molded product according to the above item.
[0014]
(6) A structure in which (A) the polybutylene terephthalate resin and (B) the polycarbonate resin are melt-kneaded and the (A) polybutylene terephthalate resin phase and the (B) polycarbonate resin phase are compatibilized, or the structure period is 0.4 μm or less. The resin pellets having a biphasic continuous structure are produced, and the resin pellets are injection-molded. Spinodal decomposition is advanced in the process of injection molding to obtain a biphasic continuous structure having a structural period of 0.001 to 1 μm or a particle distance of 0. A method for producing a polyester resin molded product, wherein a dispersion structure of 001 to 1 μm is formed.
Is provided.
[0015]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The polybutylene terephthalate resin (A) used in the present invention is a polymer containing terephthalic acid or its ester-forming derivative and 1,4-butanediol or its ester-forming derivative as main components and obtained by a polycondensation reaction. Thus, a copolymer component may be contained as long as the properties are not impaired.
[0016]
Preferred examples of these polymers and copolymers include polybutylene terephthalate, polybutylene (terephthalate / isophthalate), polybutylene (terephthalate / adipate), polybutylene (terephthalate / sebacate), polybutylene (terephthalate / decanedicarboxylate), and polybutylene. (Terephthalate / naphthalate) poly (butylene / ethylene) terephthalate, etc., which may be used alone or in combination of two or more.
[0017]
In addition, these polymers and copolymers have an intrinsic viscosity of 0.36 to 1.60, particularly 0.52 to 1.60 when the o-chlorophenol solution is measured at 25 ° C from the viewpoint of moldability and mechanical properties. Those in the range of 25 are preferred, and those in the range of 0.6 to 1.0 are most preferred.
[0018]
The (B) polycarbonate resin used in the present invention is bisphenol A, that is, 2,2′-bis (4-hydroxyphenyl) propane, 4,4′-dihydroxydiphenylalkane or 4,4′-dihydroxydiphenylsulfone, Preferable examples include those using at least one selected from 4'-dihydroxydiphenyl ether as a main raw material. Among them, bisphenol A, that is, a product produced using 2,2'-bis (4-hydroxyphenyl) propane as a main raw material is preferable. Is preferred. Specifically, it is preferable to use a polycarbonate resin obtained by transesterification or phosgene using bisphenol A or the like as a dihydroxy component. Further, bisphenol A obtained by substituting a part, preferably 10 mol% or less, with 4,4′-dihydroxydiphenylalkane, 4,4′-dihydroxydiphenylsulfone, 4,4′-dihydroxydiphenylether or the like is also preferably used. .
[0019]
The blending amounts of the (A) polybutylene terephthalate resin and the (B) polycarbonate resin used in the present invention are not particularly limited. Usually, the amount of the (B) polycarbonate resin is 10 parts by weight based on (A) 100 parts by weight of the polybutylene terephthalate resin. 10001000 parts by weight. Preferably, (A) 10 to 100 parts by weight of the polycarbonate resin is used with respect to 100 parts by weight of the polybutylene terephthalate resin. When a long molded article or a precision molded article is to be obtained, it is preferable that the blending amount of the polycarbonate resin (B) is 100 parts by weight or less so as not to lower the fluidity during injection molding. When the amount of the polycarbonate resin (B) is less than 10 parts by weight, the effect of improving the dimensional stability is undesirably reduced. From the balance between the fluidity and the dimensional stability, a more preferable compounding amount is (B) 20 to 50 parts by weight of the polycarbonate resin (B) with respect to 100 parts by weight of the polybutylene terephthalate resin.
[0020]
The polyester resin composition of the present invention has a biphasic continuous structure having a specific structural period or a dispersed structure having a specific interparticle distance.
[0021]
A polyester resin composition having such a structure can be obtained by using phase separation by spinodal decomposition.
[0022]
In general, a polymer alloy composed of a two-component resin has a composition compatible with the above composition in a practically whole range from a glass transition temperature to a thermal decomposition temperature or below, or conversely, a non-compatible in the whole region. There are incompatible systems that become soluble, and partially compatible systems that are compatible in one area and become phase separated in another area.Some of these partially compatible systems are formed by spinodal decomposition depending on the conditions of the phase separation state. Some of them separate, while others separate by nucleation and growth.
[0023]
Phase separation by spinodal decomposition refers to phase separation that occurs in an unstable state inside a spinodal curve in a phase diagram for different resin compositions and temperatures of two components, and phase separation by nucleation and growth refers to the phase separation. In the figure, it refers to phase separation occurring in a metastable state inside the binodal curve and outside the spinodal curve.
[0024]
The spinodal curve is defined as the difference (ΔGmix) between the free energy when two different resins are mixed and the sum of the free energies of two incompatible phases when the two different resins are mixed with respect to the composition and the temperature. (φ) twice differentiated (∂2ΔGmix / ∂φ2) Is 0, and inside the spinodal curve, ∂2ΔGmix / ∂φ2<0 is an unstable state.2ΔGmix / ∂φ2> 0.
[0025]
Further, such a binodal curve is a curve at a boundary between a region where the system is compatible and a region where the system is separated with respect to the composition and the temperature.
[0026]
Here, the term “compatible” in the present invention refers to a state in which the two components are uniformly mixed at the molecular level. The case where no phase structure is formed, and the case where they are incompatible with each other means the case where they are not in a compatible state, that is, when the phases mainly composed of two different resins are 0.001 μm or more. It refers to the state where a phase structure is formed. Whether or not they are compatible can be determined by various methods such as electron microscopy, differential scanning calorimetry, and the like, as described in, for example, Polymer Alloys and Blends, Leszek A Utracki, Hanser Publishers, Munich View New York, P64, and P64. You can judge.
[0027]
According to the detailed theory, in spinodal decomposition, when the temperature of a mixed system that was once homogeneously mixed at the temperature of the compatible region is rapidly changed to the temperature of the unstable region, the system rapidly moves toward the coexisting composition. Initiate phase separation. At that time, the concentration is monochromatized to a certain wavelength, and a two-phase continuous structure is formed in which both separated phases are continuously and regularly intertwined together at a structural period (Λm). After the formation of the two-phase continuous structure, the process of increasing only the concentration difference between the two phases while keeping the structure period constant is called an initial process of spinodal decomposition.
[0028]
Further, the structural period (Λm) in the initial stage of the above-mentioned spinodal decomposition thermodynamically has the following relationship.
Λm ~ [| Ts-T | / Ts]-1/2
(Where Ts is the temperature on the spinodal curve)
Here, the biphasic continuous structure referred to in the present invention refers to a structure in which both components of the resin to be mixed form a continuous phase and are three-dimensionally entangled with each other. A schematic diagram of this biphasic continuous structure is described, for example, in "Polymer Alloy Fundamentals and Applications (Second Edition) (Chapter 10.1)" (edited by The Society of Polymer Science, Tokyo Chemical Dojin).
[0029]
In spinodal decomposition, after such an initial process, a mid-stage process in which the wavelength increase and the concentration difference increase simultaneously occurs, and after a concentration difference reaches the coexistence composition, a later process in which the wavelength increase occurs in a self-similar manner In the present invention, the structure is fixed at a stage where a desired structural period before finally separating into two macroscopic phases is reached. Good. Further, in the process of increasing the wavelength from the middle stage to the late stage, depending on the composition and interfacial tension, the continuity of one phase may be interrupted, and the above-described two-phase continuous structure may change to a dispersed structure. In this case, the structure may be fixed when the desired inter-particle distance is reached.
[0030]
Here, the dispersion structure referred to in the present invention is a so-called sea-island structure in which particles having the other resin component as a main component are scattered in a matrix having one resin component as a main component. To
[0031]
Further, by controlling the structural period in the initial process of the spinodal decomposition to be in the range of 0.001 to 0.1 μm, even if the wavelength and the concentration difference increase after the above-mentioned middle process, the structural period of 0.001 to 1 μm is increased. The structure can be controlled to a biphasic continuous structure within a range or a dispersed structure within a range of 0.001 to 1 μm between particles. In order to obtain better dimensional stability, after the structure is developed, a biphasic continuous structure having a structure period in the range of 0.002 to 0.5 μm or a dispersion having a distance between particles of 0.002 to 0.5 μm is required. It is preferable to control the structure, and it is more preferable to control the structure to a biphasic continuous structure having a structure period of 0.003 to 0.3 μm or a dispersed structure having a distance between particles of 0.003 to 0.3 μm. preferable.
[0032]
On the other hand, in the above-described nucleation and growth, which is phase separation in the metastable region, a dispersed structure, which is a sea-island structure, is formed from the initial stage. It is difficult to form a biphasic continuous structure in the range of 0.001 to 1 μm or a dispersed structure in the range of 0.001 to 1 μm between particles.
[0033]
Further, in order to confirm a biphasic continuous structure or a dispersed structure by spinodal decomposition, it is important to confirm a regular periodic structure. This means that, for example, in addition to confirming that a biphasic continuous structure is formed by optical microscopy or transmission electron microscopy, scattering maxima in light scattering devices and small-angle X-ray scattering devices are measured. Confirmation of the appearance is effective. Since the light scattering device and the small-angle X-ray scattering device have different optimum measurement regions, they are appropriately selected and used according to the size of the structural period. The existence of the scattering maximum in this scattering measurement is a proof that a regular phase-separated structure with a certain period is present, and the period Λm corresponds to the structure period in the case of a two-phase continuous structure, and the period between particles in the case of a dispersed structure. Corresponding. The value is calculated using the wavelength λ of the scattered light within the scatterer and the scattering angle θm that gives the maximum scattering as follows:
Λm = (λ / 2) / sin (θm / 2)
Can be calculated by
[0034]
Such spinodal decomposition is caused by bringing a resin composed of two or more components into a compatible state and then bringing the resin into an unstable state inside the spinodal curve. As a method of realizing a compatible state with a resin composed of two or more components, after dissolving in a common solvent, it is obtained by a method such as spray drying, freeze drying, coagulation in a non-solvent substance, or film formation by solvent evaporation. Solvent casting method, a partially compatible system, a melt kneading method by melt-kneading under compatible conditions, may be mentioned, among which compatibilization by melt-kneading, which is a dry process without using a solvent, is preferably used in practice .
[0035]
As such partially compatible systems, there are known those having a low-temperature compatible phase diagram in which the same composition is easily compatible on the low temperature side, and those having a high-temperature compatible phase diagram in which the same composition is easily compatible on the high temperature side. Have been. The lowest temperature among the branching temperatures of the compatible and incompatible in the low-temperature compatible phase diagram is referred to as a lower critical solution temperature (LCST), and is referred to as the lower critical solution temperature (LCST). The highest temperature among the incompatible branch temperatures is referred to as an upper critical solution temperature (abbreviated as UCST).
[0036]
In the case of a low-temperature compatible phase diagram, a resin of two or more components that have been made compatible with each other by using a partially compatible system is set to a temperature higher than the LCST and a temperature inside the spinodal curve to obtain a high-temperature compatible phase. In the case of the drawing, spinodal decomposition can be performed by setting the temperature to be lower than UCST and the temperature inside the spinodal curve.
[0037]
In addition to spinodal decomposition by this partially compatible system, it is also possible to induce spinodal decomposition by melt-kneading in an incompatible system, for example, once compatible under shear such as during melt-kneading, and become unstable again under non-shear. Phase separation by spinodal decomposition is also possible by so-called shear field-dependent phase dissolution / phase decomposition that undergoes phase decomposition. Also in this case, the decomposition proceeds in a spinodal decomposition manner and has a regular biphasic continuous structure. Furthermore, this shear field-dependent phase dissolution / phase decomposition is the same as the method based on the temperature change of a partially compatible system in which the spinodal curve does not change because the spinodal curve changes due to the shear field and the unstable state region expands. The substantial degree of supercooling (| Ts-T |) also increases in the temperature change width, and as a result, it is easier to reduce the structural period in the initial process of spinodal decomposition in the above relational expression, which is more preferable.
[0038]
In order to compatibilize under the shear during the melt-kneading, an ordinary extruder is used, but a twin-screw extruder is preferably used. The shearing conditions and temperature conditions for compatibilization vary depending on the molecular weight of the resin and cannot be unconditionally determined. The conditions are set by conducting a simple preliminary experiment based on the phase diagram under various shearing conditions. be able to. Further, as a method for reliably realizing compatibilization in the plasticizing step of the injection molding machine, melt kneading and compatibilization in advance with a twin screw extruder were performed, followed by rapid cooling in water or the like after discharge to fix the structure in a compatible state. A preferable example is a method of injection molding using pellets.
[0039]
In addition, the polyester resin composition constituting the polyester resin molded article of the present invention may further contain various additives as long as the object of the present invention is not impaired. Examples of these additives include talc, kaolin, mica, clay, bentonite, sericite, basic magnesium carbonate, aluminum hydroxide, glass flake, glass fiber, carbon fiber, asbestos fiber, rock wool, calcium carbonate, silica Reinforcing materials such as sand, wollastenite, barium sulfate, glass beads, titanium oxide, non-plate-like fillers, or antioxidants (phosphorous, sulfuric, etc.), ultraviolet absorbers, heat stabilizers (hindered phenolic, etc.) ), Transesterification inhibitors, lubricants, mold release agents, antistatic agents, antiblocking agents, coloring agents including dyes and pigments, flame retardants (halogen, phosphorus, etc.), flame retardant assistants (antimony trioxide, etc.) Representative antimony compounds, zirconium oxide, molybdenum oxide, etc.), blowing agents, coupling agents (epoxy groups, Group a mercapto group, a vinyl group, an isocyanate group one or more containing a silane coupling agent or titanium coupling agent), an antibacterial agent, and the like.
[0040]
These additives can be blended at any stage of producing the polyester resin composition constituting the polyester resin molded article of the present invention. For example, a method of simultaneously adding PBT and PC when blending them, A method in which PBT and PC are previously melt-kneaded and then added, or a method in which PBT and PC are first added to either one of PBT and PC, melt-kneaded, and then the remaining resin is blended.
[0041]
Further, the polyester resin composition constituting the polyester resin molded article of the present invention may further contain another thermoplastic resin or a thermosetting resin as long as the structure of the present invention is not impaired. Examples of these thermoplastic resins include polyethylene, polyamide, polyphenylene sulfide, polyetheretherketone, liquid crystal polyester, polyacetal, polysulfone, polyethersulfone, polyphenylene oxide, and the like.As thermosetting resins, for example, phenolic resins, Melamine resins, unsaturated polyester resins, silicone resins, epoxy resins, and the like.
[0042]
These other thermoplastic resins and thermosetting resins can be blended at any stage of producing the polyester resin composition constituting the polyester resin molded article of the present invention. For example, PBT and PC can be blended. At the same time, a method in which PBT and PC are melt-kneaded in advance, and a method in which PBT and PC are first added to one of the resins, melt-kneaded, and then the remaining resin is blended. No.
[0043]
The molding method of the polyester resin molded article obtained from the present invention can be any method, and the molding shape can be any shape. Examples of the molding method include injection molding, extrusion molding, inflation molding, and blow molding. Among them, injection molding is preferably used because the structure can be fixed in a mold after injection.
[0044]
A preferred method of producing the polyester resin molded article of the present invention is to once compatibilize PBT and PC in a twin-screw extruder capable of imparting high shear, and cool it immediately after discharging from the extruder, After manufacturing pellets in which the structure is fixed in a state where the PBT phase and the PC phase are compatibilized, or pellets having a biphase continuous structure in which the initial period of spinodal decomposition is 0.4 μm or less, this pellet is injected. The polyester resin molded article having a biphasic continuous structure having a structural period of 0.001 to 1 μm or a dispersed structure having a distance between particles of 0.001 to 1 μm by molding and further promoting spinodal decomposition in the process of injection molding. Is a method of forming
[0045]
The polyester resin molded article having a specific structure obtained from the present invention has a good molding shrinkage rate during molding and a good heat shrinkage rate after heat treatment, and can improve the dimensional stability of a molded article. Is required to be 1% or less and the heat shrinkage after heat treatment at 60 ° C. for 2 hours is 0.1% or less. If the molding shrinkage ratio at the time of molding exceeds 1%, it is not preferable because warping is generated depending on the molded article when molding a long molded article. Further, here, 60 ° C. was set as a representative temperature as a practical temperature, and a heat shrinkage rate after a heat treatment at 60 ° C. for 2 hours was measured to be an index of a dimensional change at a practical temperature. If the heat shrinkage rate exceeds 0.1%, dimensional changes occur when the molded body is used at these practical temperatures, which is not preferable because, for example, an obstacle such as a decrease in the adhesiveness of the connector joint portion occurs.
[0046]
Here, in order to set the molding shrinkage rate at the time of the above molding to 1% or less and to set the heat shrinkage rate after heat treatment at 60 ° C. for 2 hours to 0.1% or less, it is necessary that both of the structural period in the range of 0.001 to 1 μm. It is effective to control the structure to a phase continuous structure or a dispersed structure having a distance between particles of 0.001 to 1 μm. In order to realize these structures, injection molding is used among the above molding methods, and a mold is used. A method of fixing the structure in the compact by quenching in the inside is preferably used.
[0047]
Such a polyester resin molded article with improved dimensional stability can be suitably used for, for example, automobile parts and electric parts. In addition, since it has an effect of lowering the specific gravity with respect to polybutylene terephthalate resin, it is preferable from the viewpoint of reducing the weight of automobile parts and electric parts.
[0048]
Examples of automotive parts include alternator terminals, alternator connectors, IC regulators, potentiometer bases for light days, air intake nozzle snorkels, intake manifolds, air flow meters, air pumps, fuel pumps, engine cooling water joints, thermostat housings, carburetors Main body, carburetor spacer, engine mount, ignition hobbin, ignition case, clutch bobbin, sensor housing, idle speed control valve, vacuum switching valve, ECU housing, vacuum pump case, inhibitor switch, rotation sensor, acceleration sensor, distributor cap, Coil base, ABS actuator -Case, top and bottom of radiator tank, cooling fan, fan shroud, engine cover, cylinder head cover, oil cap, oil pan, oil filter, fuel cap, fuel strainer, distributor cap, vapor canister housing, air cleaner housing, timing belt Covers, brake booster parts, various cases, various tubes for fuel, exhaust, intake systems, etc., various tanks, various hoses for fuel, exhaust, intake systems, etc., various clips, various valves, exhaust gas valves, etc. Pipe, exhaust gas sensor, cooling water sensor, oil temperature sensor, brake pad wear sensor, brake pad wear sensor, throttle position sensor, crankshaft Conditioner, thermostat base for air conditioner, air conditioner panel switch board, heating hot air flow control valve, brush holder for radiator motor, water pump impeller, turbine vane, wiper motor related parts, step motor rotor, brake piston, solenoid bobbin, engine oil Filter, ignition device case, torque control lever, starter switch, starter relay, safety belt parts, door lock parts such as door lock housing, door lock protector, register blade, washer lever, window regulator handle, window regulator handle knob, passing Light lever, distributor, sun visor bracket, various motor housings Roofing, roof rail, fender, garnish, bumper, door mirror stay, horn terminal, window washer nozzle, spoiler, hood louver, wheel cover, wheel cap, grill apron cover frame, lamp reflector, lamp socket, lamp housing, lamp bezel, door handle And various connectors such as a wire harness connector, a SMJ connector, a PCB connector, a door grommet connector, and a fuse connector.
[0049]
Examples of electrical components include connectors, coils, various sensors, LED lamps, sockets, resistors, relay cases, small switches, coil bobbins, capacitors, variable condenser cases, optical pickups, oscillators, various terminal boards, transformers, plugs , Printed circuit board, tuner, speaker, microphone, headphone, small motor, magnetic head base, power module, semiconductor, liquid crystal, FDD carriage, FDD chassis, motor brush holder, parabolic antenna, computer-related parts, generator, motor, transformer , Current transformers, voltage regulators, rectifiers, inverters, relays, power contacts, switches, circuit breakers, knife switches, other pole rods, electrical parts cabinets, VTR parts, TV parts, irons, hair dryers, rice cooker parts Microwave oven parts, audio parts, audio equipment parts such as audio / laser disk / compact disk / DVD, lighting parts, refrigerator parts, air conditioner parts, typewriter parts, word processor parts, office computer related parts, telephone related parts, mobile phones Related parts, facsimile-related parts, copier-related parts, cleaning jigs, motor parts, writers, typewriter-related parts, microscopes, binoculars, cameras, watches, and other optical / precision machinery-related parts.
[0050]
【Example】
Hereinafter, the effects of the present invention will be further described with reference to examples.
The following evaluation methods were used in Examples and Comparative Examples.
[0051]
(1) Measurement of glass transition point
The measurement was carried out using a RDC-220 type DSC manufactured by Seiko Denshi Kogyo at a heating rate of 20 ° C./min under a nitrogen atmosphere.
[0052]
(2) Evaluation of phase structure
(1) Observation by electron microscope
The pellet was stained with polycarbonate by an iodine staining method, and the ultra-thin section was cut out using an ultramicrotome. The sample was magnified 100,000 times with a Hitachi H-7100 transmission electron microscope to observe the phase structure. went.
[0053]
(2) Structural period of biphasic continuous structure
It was measured by the following small-angle X-ray scattering. The X-ray generator is RU-200 manufactured by Rigaku Denki Co., Ltd., using CuKα radiation as a radiation source, output 50 KV / 150 mA, slit diameter 0.5 mm, camera radius 405 mm, exposure time 120 minutes, film Kodak DEF-5 scattering photograph. Was taken. In the small-angle X-ray scattering, the structural period (θm) was calculated from the peak position (θm) by the following equation.
Λm = (λ / 2) / sin (θm / 2).
[0054]
(3) Dimensional stability
(1) Mold shrinkage
The resin flow length direction (MD direction) of a square plate (film direction) obtained when a square plate (film gate) having a thickness of 1 mm and a thickness of 80 mm square is formed by a molding cycle of a mold temperature of 80 ° C., a holding pressure of 10 seconds, and a cooling time of 10 seconds. ) And the dimension perpendicular to the resin flow length (TD direction) were measured, and the shrinkage ratio of the dimension to the dimension of the mold was determined.
[0055]
(2) Heat shrinkage
The square plate of 80 mm square and 1 mm thickness obtained above is heat-treated for 2 hours in a hot-air oven controlled at 60 ° C., and the dimensional changes in the MD and TD directions of the molded product after this heat treatment are measured. Then, it was determined as a shrinkage ratio with respect to the dimensions before the heat treatment.
[0056]
(3) Total shrinkage Shrinkage
It was calculated as the sum of the above molding shrinkage and heating shrinkage.
[0057]
[Examples 1 to 7]
A raw material having the composition shown in Table 1 was set at an extrusion temperature of 260 ° C., and a screw arrangement with two kneading zones was provided. Examples 1 to 3 and Examples 5 to 7 were performed at a screw rotation speed of 300 rpm. Example 4 was fed to a twin-screw extruder (PCM-30 manufactured by Ikegai Kogyo Co., Ltd.) with a screw rotation speed of 100 rpm, and the gut discharged from the die was passed through a cooling bath filled with 100 liters of water at 20 ° C. for 15 seconds. The structure was fixed by quenching by passing through. This gut is all transparent, and after staining the gut with polycarbonate by an iodine staining method, a sample obtained by cutting out an ultrathin section was observed at a magnification of 100,000 by a transmission electron microscope. It was confirmed that all the samples had no structure of 0.001 μm or more and were compatible. This indicates that the present system is compatibilized in an extruder at an extrusion temperature of 260 ° C. Table 1 shows the results of measuring the glass transition temperature of a sample of 10 mg cut out from the gut by DSC at a heating rate of 20 ° C./min.
[0058]
The present system is a system having an LCST type phase diagram, in which the compatible region is expanded and compatibilized under the shearing of the extruder.
[0059]
Further, a piece having a thickness of 100 μm was cut out from the gut in which the structure was fixed by quenching in water, and heat treatment was performed at 260 ° C., respectively, and the structure formation process during this heat treatment was followed using small-angle X-ray scattering and light scattering. In each of the samples, a peak appeared 0.5 minutes after the start of the heat treatment, and it was observed that the intensity of the peak increased without changing the peak position. The process of increasing the intensity without changing the peak position in the small-angle X-ray scattering and light scattering corresponds to the initial process of spinodal decomposition. Table 1 shows the structural period (Λm) calculated from the peak position (θm) by the following equation.
Λm = (λ / 2) / sin (θm / 2)
In addition, as for the section in the initial process during the small-angle X-ray scattering measurement and the light scattering measurement, a part of the sample was immediately quenched in water, the structure was fixed, the polycarbonate was stained by the iodine staining method, and the ultrathin section was cut out. Was observed with a transmission electron microscope at a magnification of 100,000 times, and both samples showed a biphasic continuous structure.
[0060]
Further, the sections from which the small-angle X-ray scattering and light scattering were measured formed a structure in the initial process, and then heat-treated at the above-described temperature for a total of 2 minutes to form a structure. Table 1 also shows the observation results of the structure cycle from small-angle X-ray scattering and light scattering, and the state of the structure from transmission electron micrographs of the sample in the same manner as in the above initial process. In addition, the distance between particles in the case of having a dispersed structure is also calculated by the same method as the structural period in the two-phase continuous structure.
[0061]
After discharging from the die, the gut which had been rapidly cooled in water to fix the structure was pelletized with a pelletizer to obtain pellets for injection molding. Using such pellets, an injection molding machine (PS-60E9DSE) manufactured by Nissei Plastics Co., Ltd., set at 240 ° C.-250 ° C.-260 ° C.-260 ° C. from the bottom of the hopper toward the tip, has a 80 mm square and 1 mm thickness. The mold having the shape of a square plate was molded at a mold temperature of 80 ° C., with a molding cycle of 10 seconds of holding pressure and 10 seconds of cooling time.
[0062]
A section having a thickness of 100 μm was cut out from a molded article molded under the above-described injection molding conditions, and the structure cycle or interparticle distance was determined from small-angle X-ray scattering and light scattering, as in the case of the cut-out sample from the gut, and transmission. The results of observing the state of the structure from a scanning electron micrograph are shown in Table 1. From this result, it can be seen that the structure is formed even at the time of the injection molding, similarly to the heat treatment of the sample cut from the gut.
[0063]
In addition, the fluidity as an index of the injection moldability is obtained by calculating the minimum injection pressure at which the resin is filled up to the tip using a mold having a rectangular plate shape of 80 mm square and 1 mm thickness as described above. It described in. In addition, the specific gravity of the injection-molded product was determined by the underwater replacement method using the above-mentioned square plate.
[0064]
In addition, the resin used and the additive used the thing shown below.
PBT-1: polybutylene terephthalate ("Toraycon" 1050S manufactured by Toray Industries, Ltd., glass transition temperature 32 ° C, crystal melting temperature 220 ° C).
[0065]
PC-1: Aromatic polycarbonate ("Iupilon" H4000, manufactured by Mitsubishi Engineering-Plastics Corporation, glass transition temperature 151 ° C)
PC-2: Aromatic polycarbonate ("Teflon" A1900 manufactured by Idemitsu Petrochemical Co., Ltd., glass transition temperature 151 ° C)
E-1: Transesterification inhibitor (“ADK STAB” AX-71 manufactured by Asahi Denka Kogyo Co., Ltd.)
X-1: Styrene-containing acrylic graft copolymer ("PARALOID" EXL2615 manufactured by Kureha Chemical Co., Ltd., average particle size: 0.1 to 0.6 [mu] m)
W-1: Release agent (ethylene glycol montanic acid ester, Licowax E, manufactured by Clariant Japan).
[0066]
As is clear from the comparison between Examples 3 and 4, it is possible to form a finer structure by increasing the shear during melt-kneading, and to obtain a molded article having more excellent injection moldability and dimensional stability. Obtainable.
[0067]
[Comparative Example 1]
As shown in Table 2, except that the resin used was only PBT, the mixture was melt-kneaded, pelletized, and injection-molded in the same manner as in Example 1. As for this system, the injection moldability and the dimensional stability were measured in the same manner as in Example 1. As a result, although the injection moldability was excellent, only those having poor dimensional stability were obtained. The results are shown in Table 2.
[0068]
[Comparative Example 2]
Except for blending 8 parts by weight of PC with respect to 100 parts by weight of PBT, melt kneading was carried out in the same manner as in Example 1, followed by pelletizing and injection molding. As for this system, the injection moldability and the dimensional stability were measured in the same manner as in Example 1. As a result, although the injection moldability was excellent, only those having poor dimensional stability were obtained. The results are shown in Table 2.
[0069]
[Comparative Example 3]
Except for performing melt kneading with a single screw extruder (Tanabe VS40-32) in which the screw rotation speed was set to 100 rpm, pelletization was performed after melt kneading in the same manner as in Example 3, and injection molding was performed. As for this system, the injection moldability and dimensional stability were measured in the same manner as in Example 1, and as a result, only those having poor dimensional stability were obtained. The results are shown in Table 2.
[0070]
[Comparative Example 4]
Example 1 was repeated except that 27 parts by weight of PC and 6.7 parts by weight of a styrene-containing acrylic graft copolymer were mixed with 100 parts by weight of PBT, and the screw rotation speed was 100 rpm, which is a general condition for melt-kneading. Similarly, after melt-kneading, pelletizing and injection molding were performed. As in Example 1, as in Example 1, the extrusion gut was observed. As a result, a structure in which two phases were separated from each other was observed. Further, when a glass transition temperature of a sample cut out from the gut by 10 mg was measured by DSC at a heating rate of 20 ° C./min, a single glass transition temperature characteristic of the compatible system in Examples 1 to 7 was measured. In contrast, two glass transition temperatures due to the two phases are measured. From these facts, it can be seen that the present system is incompatible during melt kneading. Next, as a result of observing the structure of the extruded gut at the time of heat treatment in the same manner as in Example 1, no peak appeared from light scattering, and a phase separated into two phases was observed from a transmission electron micrograph. Had a structure dispersed in an irregular network. As for this system, the injection moldability and the dimensional stability were measured in the same manner as in Example 1. As a result, although the injection moldability was excellent, only those having poor dimensional stability were obtained. The results are shown in Table 2.
[0071]
[Comparative Example 5]
Except for using only PC as the resin, melt kneading was performed in the same manner as in Example 1, followed by pelletizing and injection molding. As for this system, the injection moldability and the dimensional stability were measured in the same manner as in Example 1. As a result, although the dimensional stability was excellent, only the fluidity which was an index of the injection moldability was significantly reduced. . The results are shown in Table 2.
[0072]
[Table 1]
[0073]
[Table 2]
[0074]
In a sample obtained by melt-kneading the PBT and PC of the present invention and controlling the structure to a biphasic continuous structure having a structural period of 0.01 to 1 μm or a dispersed structure having a distance between particles of 0.01 to 1 μm, the molding shrinkage ratio during injection molding Also, it can be seen that the heat shrinkage after the heat treatment is reduced, and a sample excellent in moldability is obtained.
[0075]
【The invention's effect】
As described above, a sample in which the PBT and PC of the present invention are melt-kneaded and the structure of which is controlled to a biphasic continuous structure having a structural period of 0.01 to 1 μm or a dispersed structure having a particle distance of 0.01 to 1 μm is obtained by injection. The molding shrinkage at the time of molding and the heat shrinkage after heat treatment are reduced, and it also has excellent moldability and low specific gravity. By utilizing these characteristics, it can be usefully used for applications such as electric / electronic device parts, automobile parts and mechanical mechanism parts, particularly for connector applications.
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