JP2004231677A - 導電性接着剤およびそれを用いた実装構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】汎用の電子部品を用いた場合でも、階層実装が可能な導電性接着剤を提供する。
【解決手段】電子部品の電極と回路基板の電極とを電気的に接続するための導電性接着剤11であって、電気的接続を確保するための導電性粒子12を含有し、前記導電性粒子12よりも、前記電極金属である錫または錫を含む合金中に拡散しやすい拡散粒子13を含有させたことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】電子部品の電極と回路基板の電極とを電気的に接続するための導電性接着剤11であって、電気的接続を確保するための導電性粒子12を含有し、前記導電性粒子12よりも、前記電極金属である錫または錫を含む合金中に拡散しやすい拡散粒子13を含有させたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品の実装の分野において、電子部品と回路基板との電気的接合を導電性接着剤を用いて行う実装技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境調和に対する意識の高まりから、エレクトロニクス実装の分野では、はんだ合金中の鉛に対する規制が行われようとしており、鉛フリー実装技術、すなわち、鉛を使わない材料で、電子部品を接合する技術の確立が急務となっている。
【0003】
鉛フリー実装技術としては、主として鉛フリーはんだおよび導電性接着剤を用いた実装が挙げられるが、はんだと比較して実装温度の低温化、電子部品を実装した複数の回路基板を、垂直方向に積み上げていく階層実装の容易性等のメリットが期待される導電性接着剤に、より注目が集まり始めている。
【0004】
導電性接着剤は、一般的に樹脂系接着成分(バインダ樹脂)中に導電性粒子を分散させたものである。電子部品の実装は、回路基板の端子電極に導電性接着剤を塗布し、電子部品を搭載した後、樹脂を硬化させることにより行われる。この工程により、接合部が樹脂で接着されるとともに、樹脂の収縮により導電性粒子同士が接触して、接続部の導通が確保される。
【0005】
導電性接着剤の硬化温度は150℃程度であり、240℃程度以上の溶融温度が必要なはんだと比較して極めて低いため、耐熱性の低い安価な電子部品にも使用することができる。
【0006】
また、導電性接着剤は、一旦硬化すると300℃近い耐熱性を有するため、はんだと比較して階層実装が容易である。階層実装とは、電子部品を実装した複数の回路基板を、垂直方向に積み上げていく実装方法であり、実装体積の縮小に効果的な実装工法である。
【0007】
はんだを用いて階層実装を行うと、電子部品をはんだで実装した第1の回路基板を、第2の回路基板上にはんだで実装する際に、第1の回路基板側のはんだが再溶融して、第1の回路基板上の電子部品の接続性に不具合が生じることがある。第1の回路基板側の電子部品実装を導電性接着剤で行うと、第2の回路基板側のはんだが溶融する際に導電性接着剤は溶融しないため、接続性に不具合は生じない。
【0008】
しかし、従来の導電性接着剤では、以下に述べる理由により、汎用の電子部品を用いた階層実装は困難であり、特殊仕様の電子部品を用いる必要があった。汎用の電子部品の端子電極には、錫やはんだ等がメッキされている。導電性接着剤を用いて第1の回路基板に電子部品を実装し、第2の回路基板にはんだ実装する際、実装時の加熱および端子電極の溶融により、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている金属粒子である導電性粒子が端子電極中に拡散し、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じる場合があった。
【0009】
図5は、この導電性粒子の端子電極への拡散を模式的に示す図であり、同図(a)は導電性接着剤硬化後の状態、同図(b),(c)は、1回目および2回目のはんだ実装後の状態をそれぞれ示しており、10は端子電極、21は導電性接着剤、12は導電性粒子である。はんだを用いた実装を行う度に、同図(b),(c)に示されるように、導電性粒子12が、溶融した端子電極10中に拡散して空孔15が生じてしまい、端子電極10と導電性接着剤21との接続抵抗が増大することになる。特に、導電性接着剤の導電性確保のための導電性粒子としては、一般的に銀が用いられており、銀は錫やはんだ中へ特に拡散しやすく、接続性に不具合が生じる可能性が高い。
【0010】
そのため、はんだ実装時に溶融しない端子電極(例えば焼結銀、銀−パラジウム合金等)を有した特殊な電子部品を使用する必要があり、実装コストの増加につながっていた。
【0011】
このような課題を解決するために、導電性接着剤の導電性確保のための金属粒子として、合金粒子を用いる技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
しかしながら、かかる合金粒子を用いたものでは、接続抵抗が比較的大きく、十分に満足できるものではない。
【0013】
【特許文献1】
特開平6−23582号公報
【0014】
【発明が解決しようとする問題】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、汎用の電子部品を用いた場合でも、階層実装を可能とする導電性接着剤および実装構造体を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の導電性接着剤は、導電性粒子を含有し、第1の電気構造物の電極と第2の電気構造物の電極とを電気的に接続する導電性接着剤であって、前記導電性粒子よりも、前記第1の電気構造物の電極および前記第2の電気構造物の電極の少なくとも一方の電極を構成する金属に拡散しやすい粒子を含有するものである。
【0016】
ここで、電気構造物とは、回路基板、電子部品、あるいは、電子部品が実装された回路基板などをいう。
【0017】
また、拡散しやすい粒子とは、電気的接続を確保するための前記導電性粒子に比べて、前記電極を構成する金属が溶融したときに、拡散しやすい粒子をいい、例えば、導電性粒子よりも拡散係数が大きな粒子、あるいは、粒径を小さくして拡散しやすくした粒子などをいう。したがって、粒径や形状を導電性粒子と異ならせた拡散しやすい粒子であれば、導電性粒子と同じ材料であってもよい。
【0018】
また、第1の電気構造物の電極を構成する金属と第2の電気構造物の電極を構成する金属とが、相違する場合には、少なくとも一方の電極を構成する金属に、拡散しやすい粒子を含有しておればよい。
【0019】
本発明によると、例えば、導電性接着剤を用いて第1の回路基板に電子部品を実装し、第2の回路基板にはんだ実装するような場合に、実装時の加熱によって電気構造物である電子部品などの端子電極が溶融したときに、拡散しやすい粒子が、端子電極に優先的に拡散し、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている導電性粒子の拡散が抑制されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0020】
本発明の好ましい実施態様においては、前記金属が、錫または錫を含む合金である。
【0021】
本発明によると、実装時の加熱によって、錫やはんだ等がメッキされている汎用の電子部品の端子電極が溶融したときに、銀などの導電性粒子が、前記端子電極に拡散するのが抑制されることになり、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0022】
本発明の一実施態様においては、前記拡散しやすい粒子が、前記合金に拡散して形成される合金の融点が、250℃以上である。
【0023】
本発明によると、拡散しやすい粒子が拡散して形成される合金の融点が、はんだ実装時のピーク温度よりも高い250℃以上であるので、2回目以降のはんだ実装時に端子電極が溶融しなくなり、導電性粒子の端子電極への拡散が一層抑制されることになる。
【0024】
本発明の他の実施態様においては、前記拡散しやすい粒子の前記金属への拡散開始温度が、当該導電性接着剤の硬化温度よりも低い温度である。
【0025】
本発明によると、拡散しやすい粒子の端子電極への拡散が、導電性接着剤の硬化過程で生じるので、その後のはんだ実装時において、導電性粒子の端子電極への拡散がさらに抑制される。
【0026】
本発明の更に他の実施態様においては、前記拡散しやすい粒子の含有率が、0.1重量%以上20重量%以下である。
【0027】
本発明によると、拡散しやすい粒子の含有率が、0.1重量%以上20重量%以下であるので、導電性粒子の端子電極への拡散を抑制する一方、接続抵抗の上昇などの不具合が生じることもない。
【0028】
本発明の導電性接着剤は、導電性粒子を含有し、第1の電気構造物の電極と第2の電気構造物の電極とを電気的に接続する導電性接着剤であって、拡散防止剤を含有し、該拡散防止剤は、前記導電性粒子が、前記第1の電気構造物の電極および前記第2の電気構造物の電極の少なくとも一方の電極を構成する金属に拡散するのを防止するものである。
【0029】
ここで、拡散を防止するとは、拡散を完全に防げなくても、防ぐ効果があればよい。
【0030】
本発明によると、はんだ実装時の加熱によって電気構造物である電子部品などの端子電極が溶融したときに、拡散防止剤によって、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている導電性粒子の拡散が防止されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0031】
本発明の好ましい実施態様においては、前記金属が、錫または錫を含む合金である。
【0032】
本発明によると、実装時の加熱によって、錫やはんだ等がメッキされている汎用の電子部品の端子電極が溶融したときに、銀などの導電性粒子が、前記端子電極に拡散するのが防止されることになり、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0033】
本発明の一実施態様においては、前記導電性粒子の表面に、前記拡散防止剤の層が形成されている。
【0034】
ここで、拡散防止剤の層が形成されているとは、導電性粒子の表面全体に、拡散防止剤の層が形成されている場合のみならず、導電性粒子の表面に、部分的に拡散防止剤が付着形成されている場合も含むものである。
【0035】
本発明によると、実装時の加熱によって、電子部品などの端子電極が溶融したときに、導電性粒子表面の拡散防止剤によって、導電性粒子の拡散が防止されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0036】
本発明の他の実施態様においては、前記拡散防止剤の熱分解温度が250℃以上である。
【0037】
本発明によると、拡散防止剤の熱分解温度が、はんだ実装時のピーク温度よりも高い250℃以上であるので、はんだ実装時に確実に拡散防止効果を発揮することができる。
【0038】
本発明の更に他の実施態様においては、前記拡散防止剤が、ニッケル微粒子または鉄微粒子である。
【0039】
本発明によると、導電性粒子の表面に、ニッケル微粒子または鉄微粒子の拡散防止剤を付着形成するので、実装時の加熱によって、電子部品などの端子電極が溶融したときに、導電性粒子の拡散が防止されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0040】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第1の電気構造物が、電子部品であり、前記第2の電気構造物が、回路基板である。
【0041】
本発明によると、当該導電性接着剤を用いて回路基板に電子部品を実装し、別の回路基板にはんだ実装するような場合に、実装時の加熱によって電子部品や回路基板の端子電極が溶融したときに、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている導電性粒子の拡散が抑制されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0042】
本発明の実装構造体は、第1の電気構造物の電極と第2の電気構造物の電極とが、導電性粒子を含む導電性接着剤を用いて電気的に接続された実装構造体であって、前記導電性接着剤が、前記導電性粒子よりも、前記第1の電気構造物の電極および前記第2の電気構造物の電極の少なくとも一方の電極を構成する金属に拡散しやすい粒子を含み、前記拡散しやすい粒子が、前記合金中に拡散しているものである。
【0043】
本発明によると、実装時の加熱によって電気構造物である電子部品などの端子電極が溶融したときに、拡散しやすい粒子が、端子電極に優先的に拡散し、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている導電性粒子の拡散が抑制されることになり、端子電極と導電性接着剤との接続性が良好な実装構造体を得ることができる。
【0044】
本発明の好ましい実施態様においては、前記金属が、錫または錫を含む合金である。
【0045】
本発明によると、実装時の加熱によって、錫やはんだ等がメッキされている汎用の電子部品の端子電極が溶融したときに、銀などの導電性粒子が、前記端子電極に拡散するのが抑制されることになり、端子電極と導電性接着剤との接続性が良好な実装構造体を得ることができる。
【0046】
本発明の一実施態様においては、前記拡散しやすい粒子が前記金属に拡散して形成される合金の融点が、250℃以上である。
【0047】
本発明によると、拡散しやすい粒子が拡散して形成される合金の融点が、はんだ実装時のピーク温度よりも高い250℃以上であるので、2回目以降のはんだ実装時に端子電極が溶融しなくなり、導電性粒子の端子電極への拡散が一層抑制されることになる。
【0048】
本発明の他の実施態様においては、前記拡散しやすい粒子の含有率が、0.1重量%以上20重量%以下である。
【0049】
本発明によると、拡散しやすい粒子の含有率が、0.1重量%以上20重量%以下であるので、導電性粒子の端子電極への拡散を抑制する一方、接続抵抗の上昇などの不具合が生じることもない。
【0050】
本発明の実装構造体は、第1の電気構造物の電極と第2の電気構造物の電極とが、導電性粒子を含む導電性接着剤を用いて電気的に接続された実装構造体であって、前記導電性接着剤が、拡散防止剤を含有し、該拡散防止剤は、前記第1の電気構造物の電極および前記第2の電気構造物の電極の少なくとも一方の電極を構成する金属に、前記導電性粒子が拡散するのを防止するものである。
【0051】
本発明によると、実装時の加熱によって電気構造物である電子部品などの端子電極が溶融したときに、拡散防止剤によって、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている導電性粒子の拡散が防止されることになり、端子電極と導電性接着剤との接続性が良好な実装構造体を得ることができる。
【0052】
本発明の好ましい実施態様においては、前記金属が、錫または錫を含む合金である。
【0053】
本発明によると、実装時の加熱によって、錫やはんだ等がメッキされている汎用の電子部品の端子電極が溶融したときに、銀などの導電性粒子が、前記端子電極に拡散するのが防止されることになり、端子電極と導電性接着剤との接続性が良好な実装構造体を得ることができる。
【0054】
本発明の一実施態様においては、前記拡散防止剤の層が、前記導電性粒子の表面に形成されている。
【0055】
本発明によると、実装時の加熱によって、電子部品などの端子電極が溶融したときに、導電性粒子表面の拡散防止剤によって、導電性粒子の拡散が防止されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0056】
本発明の他の実施態様においては、前記拡散防止剤が、ニッケル微粒子または鉄微粒子である。
【0057】
本発明によると、導電性粒子の表面に、ニッケル微粒子または鉄微粒子の拡散防止剤を付着形成するので、実装時の加熱によって、電子部品などの端子電極が溶融したときに、導電性粒子の拡散が防止されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0058】
本発明の他の実施態様においては、前記第1の電気構造物が、電子部品であり、前記第2の電気構造物が、回路基板である。
【0059】
本発明によると、導電性接着剤を用いて回路基板に電子部品を実装し、別の回路基板にはんだ実装するような場合に、実装時の加熱によって電子部品や回路基板の端子電極が溶融したときに、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている導電性粒子の拡散が抑制されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性が良好な実装構造体を得ることができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0061】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る導電性接着剤は、電気的接続を確保するための金属粒子である導電性粒子、バインダ樹脂および硬化剤や各種の添加剤を含む通常の導電性接着剤に、さらに、導電性粒子よりも接続の対象とする電子部品および回路基板の端子電極の金属に拡散しやすい粒子(以下「拡散粒子」という)が添加される。
【0062】
導電性確保のための導電性粒子としては、Ag、Au、Agで被覆されたCu、Cu−Ag合金、Cu、Ni、Ag−Pd合金などを用いることができるが、体積固有抵抗値や材料コストを考慮するとAgが好ましい。
【0063】
この導電性粒子の含有率は、75重量%以上90重量%以下であることが好ましい。この範囲から外れると、導電性が極めて低下して、導電性接着剤としての使用が困難であるため望ましくない。
【0064】
バインダ樹脂としては、容易に入手できるほぼすべての樹脂を使用することができる。例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和樹脂ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂等を用いることができる。また、熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン、アイオノマー、メチルペンテン樹脂、ポリアロマー、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート等を用いることができる。
【0065】
また、硬化剤としては、一般的に用いられているほぼすべての硬化剤を用いることができる。例えば、アミン系、イミダゾール系、フェノール系、酸無水物系の硬化剤を用いることができる。
【0066】
なお、導電性粒子、バインダ樹脂、硬化剤の他にも、一般的に用いられる添加剤(密着性向上剤、変色防止剤、ダレ防止剤等)を用いることができる。
【0067】
拡散粒子は、導電性粒子に比べて、電子部品および回路基板の端子電極の表面を構成する金属、好ましくは、錫また錫を含む合金に、拡散しやすい粒子である。したがって、この拡散粒子は、導電性粒子に比べて拡散係数が大きい。
【0068】
この拡散粒子の拡散係数としては、例えば、5×10−5m2/sであり、好ましくは、1×10−4m2/s以上である。なお、導電粒子としてのAgの拡散係数は、例えば、2.5×10−5m2/sである。
【0069】
回路基板または電子部品の電極表面に汎用の金属が錫または錫を含む合金であること、また、導電性粒子に汎用の金属粒子が銀であることに鑑み、拡散粒子の錫または錫を含む合金に対する拡散しやすさが、銀よりも大きいことが好ましい。
【0070】
この拡散粒子としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、マグネシウム、錫等の金属粒子を用いることができるが、粒子形状、粒径、あるいは、粒子表面に適当な表面処理を施すことによって、端子電極の金属中への拡散度合が高めることができる。
【0071】
粒径は、小さい方が拡散し易く、粒子の形状としては、球状に比べて、鱗片状(フレーク状)の方が拡散し易い。
【0072】
表面処理方法としては、例えば、はんだ付けフラックスの活性剤に用いられるハロゲン化物、グルタミン酸などの有機酸等によって拡散粒子表面を被覆する方法が挙げられる。この場合、端子電極の金属が溶融した際、有機酸が活性化して拡散粒子表面および端子電極の金属表面の酸化膜を除去した後、拡散粒子が端子電極の金属中に効果的に拡散する。このため、表面処理を行わない場合と比較して端子電極の金属中への拡散しやすさが極めて向上する。
【0073】
拡散粒子と錫または錫を含む合金とから成る合金の融点は、250℃よりも高い場合に、導電性粒子の電極金属中への拡散がさらに抑制されるため好ましい。汎用に用いられているはんだの融点は、共晶はんだでは186℃、鉛フリーはんだでは190℃〜220℃であり、はんだ実装時のピーク温度は、最高でも250℃程度となる。したがって、拡散粒子と錫または錫を含む合金とから成る合金、すなわち、拡散粒子が、基板または部品電極中に拡散して形成された合金の融点が250℃以上である場合、2回目以降のはんだ実装時に溶融することがないため、導電性粒子の電極金属中への拡散がさらに抑制される。
【0074】
拡散して形成される合金の融点を250℃以上にするための拡散粒子として、例えば、銅、鉄あるいはニッケルなどが挙げられる。
【0075】
また、拡散粒子の錫または錫を含む合金への拡散開始温度が、導電性接着剤の硬化温度よりも低い場合、さらに導電性粒子の電極金属中への拡散が抑制されるため好ましい。すなわち、拡散粒子の電極金属への拡散が、導電性接着剤の硬化過程で起こるため、はんだ実装時の導電性粒子の拡散がさらに抑制される。
【0076】
この拡散粒子の含有率は、0.1重量%以上20重量%以下であることが好ましい。0.1重量%未満の場合、電極金属への拡散総量が不足して、導電性粒子が電極金属へ拡散してしまうため好ましくない。また、20重量%を越えると、バルク抵抗の上昇等の不具合を生じる可能性があるため好ましくない。
【0077】
図1は、この実施の形態の導電性接着剤の拡散粒子の端子電極への拡散を模式的に示す図であり、同図(a)は導電性接着剤硬化後の状態、同図(b),(c)は、1回目および2回目のはんだ実装後の状態をそれぞれ示しており、10は端子電極、11は導電性接着剤、12は導電性粒子、13は拡散粒子である。
【0078】
この実施の形態の導電性接着剤11によれば、拡散粒子13が、導電性粒子12よりも優先的に、電子部品や回路基板の端子電極10の金属中に拡散する。その結果、導電性接着剤11中の導電性粒子12の端子電極10の金属中への拡散が抑制され、導電性接着剤11と端子電極10との接続性が確保できる。
【0079】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の態2に係る導電性接着剤について説明する。
【0080】
この実施の形態の導電性接着剤は、電気的接続を確保するための金属粒子である導電性粒子、バインダ樹脂および硬化剤や各種の添加剤を含む通常の導電性接着剤に、さらに、導電性粒子が、接続の対象とする電子部品および回路基板の端子電極の金属に拡散するのを防止する拡散防止剤を含有している。
【0081】
この拡散防止剤は、導電性粒子の表面の少なくとも一部に形成されている。この結果、電極金属が溶融した場合でも、導電性粒子が電極金属中に拡散しないため、電極金属との接続性に不具合は生じない。
【0082】
この拡散防止剤としては、例えばニッケル微粒子や鉄微粒子等の金属微粒子や、有機酸等を用いることができる。
【0083】
拡散防止剤を、導電性粒子の表面に形成するには、例えば、拡散防止剤を、アルコールなどの溶媒に溶かし、それに導電性粒子を漬け、溶媒を加熱蒸発させることによって拡散防止剤が表面処理された導電性粒子を得ることができる。
【0084】
この拡散防止剤の熱分解温度が250℃以上である場合には、汎用のどのはんだを実装する場合においても拡散抑止効果が得られるためさらに好ましい。その他の構成は、上述の実施の形態1と同様である。
【0085】
図2は、この実施の形態の導電性接着剤の端子電極への拡散を模式的に示す図であり、同図(a)は導電性接着剤硬化後の状態、同図(b),(c)は、1回目および2回目のはんだ実装後の状態をそれぞれ示しており、10は端子電極、11’は導電性接着剤、12は導電性粒子、14は拡散防止剤である。
【0086】
この実施の形態の導電性接着剤11’によれば、拡散防止剤14が、導電性粒子12の拡散を防止し、導電性接着剤11と端子電極10との接続性が確保できる。
【0087】
【実施例】
以下、本発明をさらに実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0088】
以下の実施例1〜5、比較例1では、図3に示す試験片を用いて電気抵抗の変化を測定した。この試験片には、30mm離間した位置に電極2,3を形成した基板1を用いた。この電極2,3の表面はSnである。
【0089】
一方、導電性接着剤を、7重量%のビスフェノールF型エポキシ樹脂(液状)、1重量%のアミン系硬化剤、1重量%の添加剤(分散剤、密着性向上剤など)、89重量%のAgからなる金属粒子である導電性粒子A、2重量%の所定の拡散粒子B(導電性粒子AよりもSnへ拡散しやすい)を加え、3本ロールを用いて混練して作製した。
【0090】
また、サンプルによっては、導電性粒子Aとして、あらかじめ表面に拡散防止剤を形成したものを用いた。この場合、拡散粒子Bを添加せず、その重量分だけ導電性粒子Aの量を増やした。導電性粒子Aは、球状と鱗片状が混合されており、その粒径は0.5〜15μmである。
【0091】
次に、スクリーン印刷法により、電極2,3間を掛け渡すように導電性接着剤層4を形成した。さらに、導電性接着剤層4を、オーブン中で150℃で30分間加熱することにより硬化させた。こうして作製した試験片を、Sn3Ag0.5Cu鉛フリーはんだ用リフロープロファイル(ピーク温度250℃30秒)に通して、試験前後の電極2,3間の電気抵抗を測定した。なお、拡散開始温度は、各温度で硬化させたときの断面を元素分析して拡散し始める温度を評価した。
【0092】
(実施例1)
拡散粒子Bとして、グルタミン酸で表面処理を行ったCu粉を用いた。リフロー試験前後の電気抵抗の上昇度合は、拡散粒子Bを入れない場合(比較例1)と比較して抑制された。拡散粒子Bは、導電性粒子AよりもSn電極へ拡散しやすいためであると考えられる。
【0093】
(実施例2)
拡散粒子Bとして、ZnCl2で表面処理を行ったCu粉を用いた。リフロー試験前後の電気抵抗の上昇度合が抑制できた。
【0094】
(実施例3)
拡散粒子Bとして、90ZnCl2・10NH4Clで表面処理を行ったCu粉を用いた。実施例1,2よりもさらにリフロー試験前後の電気抵抗の上昇度合が抑制できた。拡散開始温度が、実施例2(189℃)から145℃に低下していることから、導電性接着剤の硬化過程において、すでに拡散粒子Bが拡散しており、リフロー過程での導電性粒子Aの電極への拡散がさらに抑制されたためと考えられる。
【0095】
(実施例4)
導電性粒子Aの表面に拡散防止剤としてNi粒子を形成した。これは、Ni化合物の溶液に、導電性粒子Aをつけることにより形成した。なお、Ni粒子はほぼ球状であり、直径は0.2〜0.5μmである。なお、本実施例では拡散粒子Bは用いなかった。拡散防止剤を形成しない場合(比較例1)と比較して、リフロー試験前後の電気抵抗の上昇度合が抑制できた。
【0096】
(実施例5)
導電性粒子Aの表面にFe微粒子(拡散防止剤)を形成した。なお、微粒子はほぼ球状であり、直径は0.2〜0.5μmである。なお、本実施例では拡散粒子Bは用いなかった。実施例4の場合と同様に、拡散防止剤を形成しない場合(比較例1)と比較して、リフロー試験前後の電気抵抗の上昇度合が抑制できた。
【0097】
実施例1〜5および比較例1の結果を表1にまとめて示す。
【0098】
【表1】
さらに、実施例1〜5および比較例1で用いた導電性接着剤を用いて、図4に示される実施例6〜10および比較例2の実装構造体を作製した。
【0099】
セラミック製の回路基板5(10×20mm、厚さ1.6mm)の表面に、Ni/AuメッキされたCuにより電極6を形成し、この電極6に、上記導電性接着剤7を用いて、0Ωチップ抵抗8(3216サイズ、端子電極表面Snメッキ)を実装し、導電性接着剤7を硬化させた。導電性接着剤7の塗布および硬化方法は上記と同様とした。
【0100】
こうして作製したチップ部品実装構造体を、Sn3Ag0.5Cuはんだ用のリフロー条件に設定したリフロー炉に通し、リフロー前後のチップ抵抗の接続抵抗の変化を測定した。
【0101】
なお、リフロー条件は上記と同様である。
【0102】
次に、実施例6〜10および比較例2において、本発明の実装構造体について説明する。
【0103】
実施例1〜5の各導電性接着剤を用いた場合を、それぞれ、実施例6〜10とした。また、比較例1の導電性接着剤を用いた場合を、比較例2とした。結果を表2にまとめて示す。
【0104】
実装構造体にした場合も、導電性接着剤の場合と同様に、リフロー前後での接続抵抗の上昇度合が抑制された。
【0105】
【表2】
(その他の実施の形態)
なお、本発明の他の実施の形態として、実施の形態1および実施の形態2を組み合わせてもよい。
【0106】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、従来のものよりも階層実装に適した導電性接着剤を得ることができ、特殊な電極の電子部品を用いることなく、安価な汎用部品を使用できるため、導電性接着剤実装の用途を大幅に拡大させることが十分期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性接着剤の拡散粒子の端子電極への拡散を模式的に示す図である。
【図2】本発明の導電性接着剤の導電性粒子の端子電極への拡散の防止を模式的に示す図である。
【図3】本発明の導電性接着剤の評価に用いた試験片の平面図である。
【図4】本発明の実装構造体の評価に用いた試験片の平面図である。
【図5】従来の導電性接着剤の導電性粒子の端子電極への拡散を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 回路基板
2,3,10 電極
4,7,11,11’,21 導電性接着剤
13 拡散粒子
14 拡散防止剤
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品の実装の分野において、電子部品と回路基板との電気的接合を導電性接着剤を用いて行う実装技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境調和に対する意識の高まりから、エレクトロニクス実装の分野では、はんだ合金中の鉛に対する規制が行われようとしており、鉛フリー実装技術、すなわち、鉛を使わない材料で、電子部品を接合する技術の確立が急務となっている。
【0003】
鉛フリー実装技術としては、主として鉛フリーはんだおよび導電性接着剤を用いた実装が挙げられるが、はんだと比較して実装温度の低温化、電子部品を実装した複数の回路基板を、垂直方向に積み上げていく階層実装の容易性等のメリットが期待される導電性接着剤に、より注目が集まり始めている。
【0004】
導電性接着剤は、一般的に樹脂系接着成分(バインダ樹脂)中に導電性粒子を分散させたものである。電子部品の実装は、回路基板の端子電極に導電性接着剤を塗布し、電子部品を搭載した後、樹脂を硬化させることにより行われる。この工程により、接合部が樹脂で接着されるとともに、樹脂の収縮により導電性粒子同士が接触して、接続部の導通が確保される。
【0005】
導電性接着剤の硬化温度は150℃程度であり、240℃程度以上の溶融温度が必要なはんだと比較して極めて低いため、耐熱性の低い安価な電子部品にも使用することができる。
【0006】
また、導電性接着剤は、一旦硬化すると300℃近い耐熱性を有するため、はんだと比較して階層実装が容易である。階層実装とは、電子部品を実装した複数の回路基板を、垂直方向に積み上げていく実装方法であり、実装体積の縮小に効果的な実装工法である。
【0007】
はんだを用いて階層実装を行うと、電子部品をはんだで実装した第1の回路基板を、第2の回路基板上にはんだで実装する際に、第1の回路基板側のはんだが再溶融して、第1の回路基板上の電子部品の接続性に不具合が生じることがある。第1の回路基板側の電子部品実装を導電性接着剤で行うと、第2の回路基板側のはんだが溶融する際に導電性接着剤は溶融しないため、接続性に不具合は生じない。
【0008】
しかし、従来の導電性接着剤では、以下に述べる理由により、汎用の電子部品を用いた階層実装は困難であり、特殊仕様の電子部品を用いる必要があった。汎用の電子部品の端子電極には、錫やはんだ等がメッキされている。導電性接着剤を用いて第1の回路基板に電子部品を実装し、第2の回路基板にはんだ実装する際、実装時の加熱および端子電極の溶融により、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている金属粒子である導電性粒子が端子電極中に拡散し、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じる場合があった。
【0009】
図5は、この導電性粒子の端子電極への拡散を模式的に示す図であり、同図(a)は導電性接着剤硬化後の状態、同図(b),(c)は、1回目および2回目のはんだ実装後の状態をそれぞれ示しており、10は端子電極、21は導電性接着剤、12は導電性粒子である。はんだを用いた実装を行う度に、同図(b),(c)に示されるように、導電性粒子12が、溶融した端子電極10中に拡散して空孔15が生じてしまい、端子電極10と導電性接着剤21との接続抵抗が増大することになる。特に、導電性接着剤の導電性確保のための導電性粒子としては、一般的に銀が用いられており、銀は錫やはんだ中へ特に拡散しやすく、接続性に不具合が生じる可能性が高い。
【0010】
そのため、はんだ実装時に溶融しない端子電極(例えば焼結銀、銀−パラジウム合金等)を有した特殊な電子部品を使用する必要があり、実装コストの増加につながっていた。
【0011】
このような課題を解決するために、導電性接着剤の導電性確保のための金属粒子として、合金粒子を用いる技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
しかしながら、かかる合金粒子を用いたものでは、接続抵抗が比較的大きく、十分に満足できるものではない。
【0013】
【特許文献1】
特開平6−23582号公報
【0014】
【発明が解決しようとする問題】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、汎用の電子部品を用いた場合でも、階層実装を可能とする導電性接着剤および実装構造体を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の導電性接着剤は、導電性粒子を含有し、第1の電気構造物の電極と第2の電気構造物の電極とを電気的に接続する導電性接着剤であって、前記導電性粒子よりも、前記第1の電気構造物の電極および前記第2の電気構造物の電極の少なくとも一方の電極を構成する金属に拡散しやすい粒子を含有するものである。
【0016】
ここで、電気構造物とは、回路基板、電子部品、あるいは、電子部品が実装された回路基板などをいう。
【0017】
また、拡散しやすい粒子とは、電気的接続を確保するための前記導電性粒子に比べて、前記電極を構成する金属が溶融したときに、拡散しやすい粒子をいい、例えば、導電性粒子よりも拡散係数が大きな粒子、あるいは、粒径を小さくして拡散しやすくした粒子などをいう。したがって、粒径や形状を導電性粒子と異ならせた拡散しやすい粒子であれば、導電性粒子と同じ材料であってもよい。
【0018】
また、第1の電気構造物の電極を構成する金属と第2の電気構造物の電極を構成する金属とが、相違する場合には、少なくとも一方の電極を構成する金属に、拡散しやすい粒子を含有しておればよい。
【0019】
本発明によると、例えば、導電性接着剤を用いて第1の回路基板に電子部品を実装し、第2の回路基板にはんだ実装するような場合に、実装時の加熱によって電気構造物である電子部品などの端子電極が溶融したときに、拡散しやすい粒子が、端子電極に優先的に拡散し、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている導電性粒子の拡散が抑制されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0020】
本発明の好ましい実施態様においては、前記金属が、錫または錫を含む合金である。
【0021】
本発明によると、実装時の加熱によって、錫やはんだ等がメッキされている汎用の電子部品の端子電極が溶融したときに、銀などの導電性粒子が、前記端子電極に拡散するのが抑制されることになり、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0022】
本発明の一実施態様においては、前記拡散しやすい粒子が、前記合金に拡散して形成される合金の融点が、250℃以上である。
【0023】
本発明によると、拡散しやすい粒子が拡散して形成される合金の融点が、はんだ実装時のピーク温度よりも高い250℃以上であるので、2回目以降のはんだ実装時に端子電極が溶融しなくなり、導電性粒子の端子電極への拡散が一層抑制されることになる。
【0024】
本発明の他の実施態様においては、前記拡散しやすい粒子の前記金属への拡散開始温度が、当該導電性接着剤の硬化温度よりも低い温度である。
【0025】
本発明によると、拡散しやすい粒子の端子電極への拡散が、導電性接着剤の硬化過程で生じるので、その後のはんだ実装時において、導電性粒子の端子電極への拡散がさらに抑制される。
【0026】
本発明の更に他の実施態様においては、前記拡散しやすい粒子の含有率が、0.1重量%以上20重量%以下である。
【0027】
本発明によると、拡散しやすい粒子の含有率が、0.1重量%以上20重量%以下であるので、導電性粒子の端子電極への拡散を抑制する一方、接続抵抗の上昇などの不具合が生じることもない。
【0028】
本発明の導電性接着剤は、導電性粒子を含有し、第1の電気構造物の電極と第2の電気構造物の電極とを電気的に接続する導電性接着剤であって、拡散防止剤を含有し、該拡散防止剤は、前記導電性粒子が、前記第1の電気構造物の電極および前記第2の電気構造物の電極の少なくとも一方の電極を構成する金属に拡散するのを防止するものである。
【0029】
ここで、拡散を防止するとは、拡散を完全に防げなくても、防ぐ効果があればよい。
【0030】
本発明によると、はんだ実装時の加熱によって電気構造物である電子部品などの端子電極が溶融したときに、拡散防止剤によって、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている導電性粒子の拡散が防止されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0031】
本発明の好ましい実施態様においては、前記金属が、錫または錫を含む合金である。
【0032】
本発明によると、実装時の加熱によって、錫やはんだ等がメッキされている汎用の電子部品の端子電極が溶融したときに、銀などの導電性粒子が、前記端子電極に拡散するのが防止されることになり、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0033】
本発明の一実施態様においては、前記導電性粒子の表面に、前記拡散防止剤の層が形成されている。
【0034】
ここで、拡散防止剤の層が形成されているとは、導電性粒子の表面全体に、拡散防止剤の層が形成されている場合のみならず、導電性粒子の表面に、部分的に拡散防止剤が付着形成されている場合も含むものである。
【0035】
本発明によると、実装時の加熱によって、電子部品などの端子電極が溶融したときに、導電性粒子表面の拡散防止剤によって、導電性粒子の拡散が防止されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0036】
本発明の他の実施態様においては、前記拡散防止剤の熱分解温度が250℃以上である。
【0037】
本発明によると、拡散防止剤の熱分解温度が、はんだ実装時のピーク温度よりも高い250℃以上であるので、はんだ実装時に確実に拡散防止効果を発揮することができる。
【0038】
本発明の更に他の実施態様においては、前記拡散防止剤が、ニッケル微粒子または鉄微粒子である。
【0039】
本発明によると、導電性粒子の表面に、ニッケル微粒子または鉄微粒子の拡散防止剤を付着形成するので、実装時の加熱によって、電子部品などの端子電極が溶融したときに、導電性粒子の拡散が防止されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0040】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第1の電気構造物が、電子部品であり、前記第2の電気構造物が、回路基板である。
【0041】
本発明によると、当該導電性接着剤を用いて回路基板に電子部品を実装し、別の回路基板にはんだ実装するような場合に、実装時の加熱によって電子部品や回路基板の端子電極が溶融したときに、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている導電性粒子の拡散が抑制されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0042】
本発明の実装構造体は、第1の電気構造物の電極と第2の電気構造物の電極とが、導電性粒子を含む導電性接着剤を用いて電気的に接続された実装構造体であって、前記導電性接着剤が、前記導電性粒子よりも、前記第1の電気構造物の電極および前記第2の電気構造物の電極の少なくとも一方の電極を構成する金属に拡散しやすい粒子を含み、前記拡散しやすい粒子が、前記合金中に拡散しているものである。
【0043】
本発明によると、実装時の加熱によって電気構造物である電子部品などの端子電極が溶融したときに、拡散しやすい粒子が、端子電極に優先的に拡散し、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている導電性粒子の拡散が抑制されることになり、端子電極と導電性接着剤との接続性が良好な実装構造体を得ることができる。
【0044】
本発明の好ましい実施態様においては、前記金属が、錫または錫を含む合金である。
【0045】
本発明によると、実装時の加熱によって、錫やはんだ等がメッキされている汎用の電子部品の端子電極が溶融したときに、銀などの導電性粒子が、前記端子電極に拡散するのが抑制されることになり、端子電極と導電性接着剤との接続性が良好な実装構造体を得ることができる。
【0046】
本発明の一実施態様においては、前記拡散しやすい粒子が前記金属に拡散して形成される合金の融点が、250℃以上である。
【0047】
本発明によると、拡散しやすい粒子が拡散して形成される合金の融点が、はんだ実装時のピーク温度よりも高い250℃以上であるので、2回目以降のはんだ実装時に端子電極が溶融しなくなり、導電性粒子の端子電極への拡散が一層抑制されることになる。
【0048】
本発明の他の実施態様においては、前記拡散しやすい粒子の含有率が、0.1重量%以上20重量%以下である。
【0049】
本発明によると、拡散しやすい粒子の含有率が、0.1重量%以上20重量%以下であるので、導電性粒子の端子電極への拡散を抑制する一方、接続抵抗の上昇などの不具合が生じることもない。
【0050】
本発明の実装構造体は、第1の電気構造物の電極と第2の電気構造物の電極とが、導電性粒子を含む導電性接着剤を用いて電気的に接続された実装構造体であって、前記導電性接着剤が、拡散防止剤を含有し、該拡散防止剤は、前記第1の電気構造物の電極および前記第2の電気構造物の電極の少なくとも一方の電極を構成する金属に、前記導電性粒子が拡散するのを防止するものである。
【0051】
本発明によると、実装時の加熱によって電気構造物である電子部品などの端子電極が溶融したときに、拡散防止剤によって、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている導電性粒子の拡散が防止されることになり、端子電極と導電性接着剤との接続性が良好な実装構造体を得ることができる。
【0052】
本発明の好ましい実施態様においては、前記金属が、錫または錫を含む合金である。
【0053】
本発明によると、実装時の加熱によって、錫やはんだ等がメッキされている汎用の電子部品の端子電極が溶融したときに、銀などの導電性粒子が、前記端子電極に拡散するのが防止されることになり、端子電極と導電性接着剤との接続性が良好な実装構造体を得ることができる。
【0054】
本発明の一実施態様においては、前記拡散防止剤の層が、前記導電性粒子の表面に形成されている。
【0055】
本発明によると、実装時の加熱によって、電子部品などの端子電極が溶融したときに、導電性粒子表面の拡散防止剤によって、導電性粒子の拡散が防止されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0056】
本発明の他の実施態様においては、前記拡散防止剤が、ニッケル微粒子または鉄微粒子である。
【0057】
本発明によると、導電性粒子の表面に、ニッケル微粒子または鉄微粒子の拡散防止剤を付着形成するので、実装時の加熱によって、電子部品などの端子電極が溶融したときに、導電性粒子の拡散が防止されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性に不具合が生じるのを防止することができる。
【0058】
本発明の他の実施態様においては、前記第1の電気構造物が、電子部品であり、前記第2の電気構造物が、回路基板である。
【0059】
本発明によると、導電性接着剤を用いて回路基板に電子部品を実装し、別の回路基板にはんだ実装するような場合に、実装時の加熱によって電子部品や回路基板の端子電極が溶融したときに、導電性接着剤の導電性確保のために添加されている導電性粒子の拡散が抑制されることになり、これによって、端子電極と導電性接着剤との接続性が良好な実装構造体を得ることができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0061】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る導電性接着剤は、電気的接続を確保するための金属粒子である導電性粒子、バインダ樹脂および硬化剤や各種の添加剤を含む通常の導電性接着剤に、さらに、導電性粒子よりも接続の対象とする電子部品および回路基板の端子電極の金属に拡散しやすい粒子(以下「拡散粒子」という)が添加される。
【0062】
導電性確保のための導電性粒子としては、Ag、Au、Agで被覆されたCu、Cu−Ag合金、Cu、Ni、Ag−Pd合金などを用いることができるが、体積固有抵抗値や材料コストを考慮するとAgが好ましい。
【0063】
この導電性粒子の含有率は、75重量%以上90重量%以下であることが好ましい。この範囲から外れると、導電性が極めて低下して、導電性接着剤としての使用が困難であるため望ましくない。
【0064】
バインダ樹脂としては、容易に入手できるほぼすべての樹脂を使用することができる。例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和樹脂ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂等を用いることができる。また、熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン、アイオノマー、メチルペンテン樹脂、ポリアロマー、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート等を用いることができる。
【0065】
また、硬化剤としては、一般的に用いられているほぼすべての硬化剤を用いることができる。例えば、アミン系、イミダゾール系、フェノール系、酸無水物系の硬化剤を用いることができる。
【0066】
なお、導電性粒子、バインダ樹脂、硬化剤の他にも、一般的に用いられる添加剤(密着性向上剤、変色防止剤、ダレ防止剤等)を用いることができる。
【0067】
拡散粒子は、導電性粒子に比べて、電子部品および回路基板の端子電極の表面を構成する金属、好ましくは、錫また錫を含む合金に、拡散しやすい粒子である。したがって、この拡散粒子は、導電性粒子に比べて拡散係数が大きい。
【0068】
この拡散粒子の拡散係数としては、例えば、5×10−5m2/sであり、好ましくは、1×10−4m2/s以上である。なお、導電粒子としてのAgの拡散係数は、例えば、2.5×10−5m2/sである。
【0069】
回路基板または電子部品の電極表面に汎用の金属が錫または錫を含む合金であること、また、導電性粒子に汎用の金属粒子が銀であることに鑑み、拡散粒子の錫または錫を含む合金に対する拡散しやすさが、銀よりも大きいことが好ましい。
【0070】
この拡散粒子としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、マグネシウム、錫等の金属粒子を用いることができるが、粒子形状、粒径、あるいは、粒子表面に適当な表面処理を施すことによって、端子電極の金属中への拡散度合が高めることができる。
【0071】
粒径は、小さい方が拡散し易く、粒子の形状としては、球状に比べて、鱗片状(フレーク状)の方が拡散し易い。
【0072】
表面処理方法としては、例えば、はんだ付けフラックスの活性剤に用いられるハロゲン化物、グルタミン酸などの有機酸等によって拡散粒子表面を被覆する方法が挙げられる。この場合、端子電極の金属が溶融した際、有機酸が活性化して拡散粒子表面および端子電極の金属表面の酸化膜を除去した後、拡散粒子が端子電極の金属中に効果的に拡散する。このため、表面処理を行わない場合と比較して端子電極の金属中への拡散しやすさが極めて向上する。
【0073】
拡散粒子と錫または錫を含む合金とから成る合金の融点は、250℃よりも高い場合に、導電性粒子の電極金属中への拡散がさらに抑制されるため好ましい。汎用に用いられているはんだの融点は、共晶はんだでは186℃、鉛フリーはんだでは190℃〜220℃であり、はんだ実装時のピーク温度は、最高でも250℃程度となる。したがって、拡散粒子と錫または錫を含む合金とから成る合金、すなわち、拡散粒子が、基板または部品電極中に拡散して形成された合金の融点が250℃以上である場合、2回目以降のはんだ実装時に溶融することがないため、導電性粒子の電極金属中への拡散がさらに抑制される。
【0074】
拡散して形成される合金の融点を250℃以上にするための拡散粒子として、例えば、銅、鉄あるいはニッケルなどが挙げられる。
【0075】
また、拡散粒子の錫または錫を含む合金への拡散開始温度が、導電性接着剤の硬化温度よりも低い場合、さらに導電性粒子の電極金属中への拡散が抑制されるため好ましい。すなわち、拡散粒子の電極金属への拡散が、導電性接着剤の硬化過程で起こるため、はんだ実装時の導電性粒子の拡散がさらに抑制される。
【0076】
この拡散粒子の含有率は、0.1重量%以上20重量%以下であることが好ましい。0.1重量%未満の場合、電極金属への拡散総量が不足して、導電性粒子が電極金属へ拡散してしまうため好ましくない。また、20重量%を越えると、バルク抵抗の上昇等の不具合を生じる可能性があるため好ましくない。
【0077】
図1は、この実施の形態の導電性接着剤の拡散粒子の端子電極への拡散を模式的に示す図であり、同図(a)は導電性接着剤硬化後の状態、同図(b),(c)は、1回目および2回目のはんだ実装後の状態をそれぞれ示しており、10は端子電極、11は導電性接着剤、12は導電性粒子、13は拡散粒子である。
【0078】
この実施の形態の導電性接着剤11によれば、拡散粒子13が、導電性粒子12よりも優先的に、電子部品や回路基板の端子電極10の金属中に拡散する。その結果、導電性接着剤11中の導電性粒子12の端子電極10の金属中への拡散が抑制され、導電性接着剤11と端子電極10との接続性が確保できる。
【0079】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の態2に係る導電性接着剤について説明する。
【0080】
この実施の形態の導電性接着剤は、電気的接続を確保するための金属粒子である導電性粒子、バインダ樹脂および硬化剤や各種の添加剤を含む通常の導電性接着剤に、さらに、導電性粒子が、接続の対象とする電子部品および回路基板の端子電極の金属に拡散するのを防止する拡散防止剤を含有している。
【0081】
この拡散防止剤は、導電性粒子の表面の少なくとも一部に形成されている。この結果、電極金属が溶融した場合でも、導電性粒子が電極金属中に拡散しないため、電極金属との接続性に不具合は生じない。
【0082】
この拡散防止剤としては、例えばニッケル微粒子や鉄微粒子等の金属微粒子や、有機酸等を用いることができる。
【0083】
拡散防止剤を、導電性粒子の表面に形成するには、例えば、拡散防止剤を、アルコールなどの溶媒に溶かし、それに導電性粒子を漬け、溶媒を加熱蒸発させることによって拡散防止剤が表面処理された導電性粒子を得ることができる。
【0084】
この拡散防止剤の熱分解温度が250℃以上である場合には、汎用のどのはんだを実装する場合においても拡散抑止効果が得られるためさらに好ましい。その他の構成は、上述の実施の形態1と同様である。
【0085】
図2は、この実施の形態の導電性接着剤の端子電極への拡散を模式的に示す図であり、同図(a)は導電性接着剤硬化後の状態、同図(b),(c)は、1回目および2回目のはんだ実装後の状態をそれぞれ示しており、10は端子電極、11’は導電性接着剤、12は導電性粒子、14は拡散防止剤である。
【0086】
この実施の形態の導電性接着剤11’によれば、拡散防止剤14が、導電性粒子12の拡散を防止し、導電性接着剤11と端子電極10との接続性が確保できる。
【0087】
【実施例】
以下、本発明をさらに実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0088】
以下の実施例1〜5、比較例1では、図3に示す試験片を用いて電気抵抗の変化を測定した。この試験片には、30mm離間した位置に電極2,3を形成した基板1を用いた。この電極2,3の表面はSnである。
【0089】
一方、導電性接着剤を、7重量%のビスフェノールF型エポキシ樹脂(液状)、1重量%のアミン系硬化剤、1重量%の添加剤(分散剤、密着性向上剤など)、89重量%のAgからなる金属粒子である導電性粒子A、2重量%の所定の拡散粒子B(導電性粒子AよりもSnへ拡散しやすい)を加え、3本ロールを用いて混練して作製した。
【0090】
また、サンプルによっては、導電性粒子Aとして、あらかじめ表面に拡散防止剤を形成したものを用いた。この場合、拡散粒子Bを添加せず、その重量分だけ導電性粒子Aの量を増やした。導電性粒子Aは、球状と鱗片状が混合されており、その粒径は0.5〜15μmである。
【0091】
次に、スクリーン印刷法により、電極2,3間を掛け渡すように導電性接着剤層4を形成した。さらに、導電性接着剤層4を、オーブン中で150℃で30分間加熱することにより硬化させた。こうして作製した試験片を、Sn3Ag0.5Cu鉛フリーはんだ用リフロープロファイル(ピーク温度250℃30秒)に通して、試験前後の電極2,3間の電気抵抗を測定した。なお、拡散開始温度は、各温度で硬化させたときの断面を元素分析して拡散し始める温度を評価した。
【0092】
(実施例1)
拡散粒子Bとして、グルタミン酸で表面処理を行ったCu粉を用いた。リフロー試験前後の電気抵抗の上昇度合は、拡散粒子Bを入れない場合(比較例1)と比較して抑制された。拡散粒子Bは、導電性粒子AよりもSn電極へ拡散しやすいためであると考えられる。
【0093】
(実施例2)
拡散粒子Bとして、ZnCl2で表面処理を行ったCu粉を用いた。リフロー試験前後の電気抵抗の上昇度合が抑制できた。
【0094】
(実施例3)
拡散粒子Bとして、90ZnCl2・10NH4Clで表面処理を行ったCu粉を用いた。実施例1,2よりもさらにリフロー試験前後の電気抵抗の上昇度合が抑制できた。拡散開始温度が、実施例2(189℃)から145℃に低下していることから、導電性接着剤の硬化過程において、すでに拡散粒子Bが拡散しており、リフロー過程での導電性粒子Aの電極への拡散がさらに抑制されたためと考えられる。
【0095】
(実施例4)
導電性粒子Aの表面に拡散防止剤としてNi粒子を形成した。これは、Ni化合物の溶液に、導電性粒子Aをつけることにより形成した。なお、Ni粒子はほぼ球状であり、直径は0.2〜0.5μmである。なお、本実施例では拡散粒子Bは用いなかった。拡散防止剤を形成しない場合(比較例1)と比較して、リフロー試験前後の電気抵抗の上昇度合が抑制できた。
【0096】
(実施例5)
導電性粒子Aの表面にFe微粒子(拡散防止剤)を形成した。なお、微粒子はほぼ球状であり、直径は0.2〜0.5μmである。なお、本実施例では拡散粒子Bは用いなかった。実施例4の場合と同様に、拡散防止剤を形成しない場合(比較例1)と比較して、リフロー試験前後の電気抵抗の上昇度合が抑制できた。
【0097】
実施例1〜5および比較例1の結果を表1にまとめて示す。
【0098】
【表1】
さらに、実施例1〜5および比較例1で用いた導電性接着剤を用いて、図4に示される実施例6〜10および比較例2の実装構造体を作製した。
【0099】
セラミック製の回路基板5(10×20mm、厚さ1.6mm)の表面に、Ni/AuメッキされたCuにより電極6を形成し、この電極6に、上記導電性接着剤7を用いて、0Ωチップ抵抗8(3216サイズ、端子電極表面Snメッキ)を実装し、導電性接着剤7を硬化させた。導電性接着剤7の塗布および硬化方法は上記と同様とした。
【0100】
こうして作製したチップ部品実装構造体を、Sn3Ag0.5Cuはんだ用のリフロー条件に設定したリフロー炉に通し、リフロー前後のチップ抵抗の接続抵抗の変化を測定した。
【0101】
なお、リフロー条件は上記と同様である。
【0102】
次に、実施例6〜10および比較例2において、本発明の実装構造体について説明する。
【0103】
実施例1〜5の各導電性接着剤を用いた場合を、それぞれ、実施例6〜10とした。また、比較例1の導電性接着剤を用いた場合を、比較例2とした。結果を表2にまとめて示す。
【0104】
実装構造体にした場合も、導電性接着剤の場合と同様に、リフロー前後での接続抵抗の上昇度合が抑制された。
【0105】
【表2】
(その他の実施の形態)
なお、本発明の他の実施の形態として、実施の形態1および実施の形態2を組み合わせてもよい。
【0106】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、従来のものよりも階層実装に適した導電性接着剤を得ることができ、特殊な電極の電子部品を用いることなく、安価な汎用部品を使用できるため、導電性接着剤実装の用途を大幅に拡大させることが十分期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性接着剤の拡散粒子の端子電極への拡散を模式的に示す図である。
【図2】本発明の導電性接着剤の導電性粒子の端子電極への拡散の防止を模式的に示す図である。
【図3】本発明の導電性接着剤の評価に用いた試験片の平面図である。
【図4】本発明の実装構造体の評価に用いた試験片の平面図である。
【図5】従来の導電性接着剤の導電性粒子の端子電極への拡散を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 回路基板
2,3,10 電極
4,7,11,11’,21 導電性接着剤
13 拡散粒子
14 拡散防止剤
Claims (20)
- 導電性粒子を含有し、第1の電気構造物の電極と第2の電気構造物の電極とを電気的に接続する導電性接着剤であって、
前記導電性粒子よりも、前記第1の電気構造物の電極および前記第2の電気構造物の電極の少なくとも一方の電極を構成する金属に拡散しやすい粒子を含有することを特徴とする導電性接着剤。 - 前記金属が、錫または錫を含む合金である請求項1に記載の導電性接着剤。
- 前記拡散しやすい粒子が、前記金属に拡散して形成される合金の融点が、250℃以上である請求項1または2に記載の導電性接着剤。
- 前記拡散しやすい粒子の前記金属への拡散開始温度が、当該導電性接着剤の硬化温度よりも低い温度である請求項1〜3のいずれかに記載の導電性接着剤。
- 前記拡散しやすい粒子の含有率が、0.1重量%以上20重量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の導電性接着剤。
- 導電性粒子を含有し、第1の電気構造物の電極と第2の電気構造物の電極とを電気的に接続する導電性接着剤であって、
拡散防止剤を含有し、該拡散防止剤は、前記導電性粒子が、前記第1の電気構造物の電極および前記第2の電気構造物の電極の少なくとも一方の電極を構成する金属に拡散するのを防止することを特徴とする導電性接着剤。 - 前記金属が、錫または錫を含む合金である請求項6に記載の導電性接着剤。
- 前記導電性粒子の表面に、前記拡散防止剤の層が形成されている請求項6または7に記載の導電性接着剤。
- 前記拡散防止剤の熱分解温度が250℃以上である請求項6〜8のいずれかに記載の導電性接着剤。
- 前記拡散防止剤が、ニッケル微粒子または鉄微粒子である請求項6〜9のいずれかに記載の導電性接着剤。
- 前記第1の電気構造物が、電子部品であり、前記第2の電気構造物が、回路基板である請求項1〜10のいずれかに記載の導電性接着剤。
- 第1の電気構造物の電極と第2の電気構造物の電極とが、導電性粒子を含む導電性接着剤を用いて電気的に接続された実装構造体であって、
前記導電性接着剤が、前記導電性粒子よりも、前記第1の電気構造物の電極および前記第2の電気構造物の電極の少なくとも一方の電極を構成する金属に拡散しやすい粒子を含み、
前記拡散しやすい粒子が、前記金属中に拡散していることを特徴とする実装構造体。 - 前記金属が、錫または錫を含む合金である請求項12に記載の実装構造体。
- 前記拡散しやすい粒子が前記金属に拡散して形成される合金の融点が、250℃以上である請求項12または13に記載の実装構造体。
- 前記拡散しやすい粒子の含有率が、0.1重量%以上20重量%以下である請求項12〜14のいずれかに記載の実装構造体。
- 第1の電気構造物の電極と第2の電気構造物の電極とが、導電性粒子を含む導電性接着剤を用いて電気的に接続された実装構造体であって、
前記導電性接着剤が、拡散防止剤を含有し、該拡散防止剤は、前記第1の電気構造物の電極および前記第2の電気構造物の電極の少なくとも一方の電極を構成する金属に、前記導電性粒子が拡散するのを防止することを特徴とする実装構造体。 - 前記金属が、錫または錫を含む合金である請求項16に記載の実装構造体。
- 前記拡散防止剤の層が、前記導電性粒子の表面に形成されている請求項16または17に記載の導電性接着剤。
- 前記拡散防止剤が鉄微粒子またはニッケル微粒子である請求項16〜18のいずれかに記載の実装構造体。
- 前記第1の電気構造物が電子部品であり、前記第2の電気構造物が回路基板である請求項12〜19のいずれかに記載の実装構造体。
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JP2003018427A JP2004231677A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 導電性接着剤およびそれを用いた実装構造体 |
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WO2017022504A1 (ja) * | 2015-07-31 | 2017-02-09 | 株式会社村田製作所 | 電子部品及びその製造方法 |
-
2003
- 2003-01-28 JP JP2003018427A patent/JP2004231677A/ja active Pending
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WO2017022504A1 (ja) * | 2015-07-31 | 2017-02-09 | 株式会社村田製作所 | 電子部品及びその製造方法 |
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