JP2004230280A - 親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚れによる透水性能の低下が少ない親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を提供する。
【解決手段】ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を、塩基で処理した後に過酸化水素又はオゾンを含有する水溶液で処理し、さらに過塩素酸塩、過臭素酸塩および過ヨウ素酸塩から選ばれた少なくとも1種類の塩を含有する水溶液で処理する。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を、塩基で処理した後に過酸化水素又はオゾンを含有する水溶液で処理し、さらに過塩素酸塩、過臭素酸塩および過ヨウ素酸塩から選ばれた少なくとも1種類の塩を含有する水溶液で処理する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料水製造、浄水処理、排水処理などの水処理、食品工業分野に好適な多孔質膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、多孔質膜は、飲料水製造、浄水処理、排水処理などの水処理分野、食品工業分野等様々な方面で利用されている。飲料水製造、浄水処理、排水処理などの水処理分野においては、多孔質膜が従来の砂濾過、凝集沈殿過程の代替として水中の不純物を除去するために用いられるようになってきている。また、食品工業分野においては、発酵に用いた酵母の分離除去や液体の濃縮を目的として、多孔質膜が用いられている。
【0003】
上述のように多様に用いられる多孔質膜は、浄水処理や排水処理などの水処理分野においては処理水量が大きいため、透水性能の向上が求められている。透水性能が優れていれば、膜面積を減らすことが可能となり、装置がコンパクトになるため設備費を節約でき、膜交換費や設置面積の点からも有利である。
【0004】
また、浄水処理では透過水の殺菌や膜のバイオファウリング防止の目的で、次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤を膜モジュール部分に添加したり、酸、アルカリ、塩素、界面活性剤などで膜そのものを洗浄するため、多孔質膜には耐薬品性能が求められる。
【0005】
さらに、水道水製造では、家畜の糞尿などに由来するクリプトスポリジウムなどの塩素に対して耐性のある病原性微生物が浄水場で処理しきれず、処理水に混入する事故が1990年代から顕在化していることから、このような事故を防ぐため、分離膜には、原水が処理水に混入しないよう十分な分離特性と高い物理的強度が要求されている。
【0006】
このように、多孔質膜には、優れた分離特性、化学的強度(耐薬品性)、物理的強度および透過性能が求められる。
【0007】
そこで、これらの要求性能を満足するために、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を用いた多孔質膜が使用されるようになってきた。しかしながら、ポリフッ化ビニリデン系樹脂は疎水性樹脂であるため、水中のフミン質などの疎水性物質が付着しやすく、多孔質膜が汚れて細孔が目詰まりして透水性能が低下したり、薬品による洗浄でも汚れ成分が除去されにくいという問題があった。
【0008】
そこで、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の主鎖に親水性官能基を導入して多孔質膜を親水性にすることが試みられた。親水性官能基としては、水酸基、カルボキシル基が挙げられ種々の方法が検討された。
【0009】
特許文献1には、塩基存在下で末端に水酸基を有するポリオキシアルキレンを作用させる方法が記載され、特許文献2には酸化剤を含む強アルカリ溶液中で化学処理する方法が記載され、特許文献3には中性ヒドロキシル基を含むモノマーをグラフトさせる方法が記載されている。また、特許文献4にはアルカリ処理後オゾンを含有する水で酸化処理する方法が記載されている。
【0010】
しかしながら、これらの親水化方法で得られた多孔質膜は、フミン質など水中の有機物による汚れが多少低減されてはいるものの透水性能の低下は大きく、親水化が不十分と推定される。
【0011】
【特許文献1】特開昭53−80378号公報
【0012】
【特許文献2】特開昭63−172745号公報
【0013】
【特許文献3】特開昭62−258711号公報
【0014】
【特許文献4】特開平5−317663号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術の上述した問題点を解決し、汚れによる透水性能の低下が少ない親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を、塩基で処理した後に過酸化水素又はオゾンを含有する水溶液で処理し、さらに過塩素酸塩、過臭素酸塩および過ヨウ素酸塩から選ばれた少なくとも1種類の塩を含有する水溶液で処理する親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜の製造方法を特徴とするものである。このとき、塩基がアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物および3級アミン化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
そして、上記いずれかの製造方法で得られた親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜も好ましい。また、原液流入口および透過液流出口を備えたケーシングと、そのケーシングに収容された、上記いずれかの製造方法で得られた親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜とを有する多孔質膜モジュールも好ましい。さらに、この多孔質膜モジュールと、この多孔質膜モジュールの上流側に設けられた原液加圧手段またはこの多孔質膜モジュールの下流側に設けられた透過液吸引手段とを有する液体分離装置も好ましく、その液体分離装置を用いて原水から透過水を得る造水方法も好ましい態様である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜の製造方法においては、ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を、塩基で処理した後に過酸化水素又はオゾンを含有する水溶液で処理し、さらに過塩素酸塩、過臭素酸塩および過ヨウ素酸塩から選ばれた少なくとも1種類の塩を含有する水溶液で処理する。
【0019】
本発明において、多孔質膜はポリフッ化ビニリデン系樹脂を含むが、ポリフッ化ビニリデン系樹脂とは、フッ化ビニリデンホモポリマーおよび/またはフッ化ビニリデン共重合体を含有する樹脂のことである。複数種類のフッ化ビニリデン共重合体を含有していても構わない。フッ化ビニリデン共重合体としては、フッ化ビニル、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレンおよび三フッ化塩化エチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種とフッ化ビニリデンとの共重合体が挙げられる。
【0020】
またポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、要求される中空糸膜の強度と透水性能によって適宜選択すれば良いが、多孔質膜への加工性を考慮すると、5万〜100万、さらには10万〜45万の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲よりも大きくなると、樹脂溶液の粘度が高くなりすぎ、またこの範囲よりも小さくなると、樹脂溶液の粘度が低くなりすぎ、いずれも多孔質膜を成形することが困難になる。
【0021】
本発明の多孔質膜の形状は、中空糸膜でも平膜でも良く、その用途によって選択される。
【0022】
中空糸膜の場合、内径が150μm〜8mm、さらには100μm〜10mm、外径が200μm〜12mm、さらには120μm〜15mm、膜厚が50μm〜1mm、さらには20μm〜3mmの範囲になるように設計することが好ましい。また、中空糸膜の内外表面の細孔径は、用途によって自由に選択できるが、0.005μm(5nm)〜10μm、さらには0.008μm(8nm)〜8μmの範囲になるように設計することが好ましい。中空糸膜の内部構造は任意であり、いわゆるマクロボイドが存在していても、膜厚方向に同じような大きさの孔を有する均質構造であっても良い。さらに、ポリエステル、ナイロンなどの有機繊維、ガラス繊維、金属繊維などを筒状に編んだものを支持材としてその上にポリマーをコーティングしたものや、その支持材の一部にポリマーを含浸させたものでも良い。
【0023】
一方、平膜の場合は、厚みが10μm〜1mm、さらには30μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。平膜の場合も、織物、編み物、不織布などの面状の支持材にポリマーをコーティング又は一部含浸させてもよく、その場合、この面状支持材を含む厚みが上述の範囲内にあることが好ましい。また、表面の細孔径は、用途によって自由に選択できるが、0.005μm(5nm)〜10μm、さらには0.008μm(8nm)〜8μmの範囲にあることが好ましい。平膜の内部構造は任意であり、いわゆるマクロボイドが存在していても、膜厚方向に同じような大きさの孔のあいた均質構造であっても良い。
【0024】
上述の本発明の多孔質膜は、例えば、次の三つの方法のいずれかで製造する。
【0025】
▲1▼ポリフッ化ビニリデン系樹脂を良溶媒に溶解したポリマー溶液を、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の融点よりかなり低い温度で口金から押出したりガラス板上にキャストしたりして成形した後、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の非溶媒を含む液体に接触させて非溶媒誘起相分離により非対称多孔構造を形成させる湿式溶液法。
【0026】
▲2▼ポリフッ化ビニリデン系樹脂に無機微粒子と有機液状体を溶融混練し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の融点以上の温度で口金から押し出したりプレス機でプレスしたりして成形した後、冷却固化し、その後有機液状体と無機微粒子を抽出することにより多孔構造を形成する溶融抽出法。
【0027】
▲3▼ポリフッ化ビニリデン系樹脂を室温では溶解しにくい溶媒に高温溶解してポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を製造し、そのポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を口金から吐出した後、冷却して相分離及び固化せしめる熱誘起相分離法。
【0028】
本発明では、たとえば上述のようにして得られたポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を▲1▼塩基で処理し、▲2▼次いで、過酸化水素又はオゾンを含有する水溶液で処理し、▲3▼さらに、過塩素酸塩、過臭素酸塩および過ヨウ素酸塩からなる群から選ばれた少なくとも1種類の塩を含有する水溶液で処理する。
【0029】
▲1▼の塩基処理によって、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からフッ化水素が脱離し、▲2▼の過酸化水素又はオゾンを含有する水溶液による処理で、水酸基及び/又はカルボキシル基が導入され、さらに▲3▼の過塩素酸塩などを含有する水溶液による処理でカルボキシル基の含有量が増え親水性が高まる。
【0030】
塩基処理に用いることができる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコキシド類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,7−ジアザビシクロ[5.4.0]7−ウンデセン、1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]5−ノネンなどの3級アミン、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム水酸化物を挙げることができる。
【0031】
これらの塩基は、水、アルコールの単独又は混合液に溶解し、その溶液に多孔質膜を浸漬するか、又は溶液を多孔質膜に通水することで処理を行う。溶液を多孔質膜に通水する場合は、多孔質膜をモジュールにした後に行うとより効果的である。アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなどを挙げることができる。水とアルコールとの混合液にする場合、アルコールと水の比率は塩基の溶解性に依存する。塩基の添加量は塩基の種類によって異なるが、低すぎると十分に多孔質膜を反応させることができず、高すぎると多孔質膜の物理的強度を損ねるため、水酸化物の場合は通常0.001〜5規定、好ましくは0.005〜1規定の範囲内で選択され、3級アミン化合物の場合は通常0.01〜10%、好ましくは0.05〜5%の範囲内で選択される。
【0032】
塩基処理に際して、溶液の温度は、低すぎると十分に多孔質膜を反応することができず、高すぎると多孔質膜の物理的強度を損ねるため、通常10℃〜80℃、好ましくは20℃〜60℃の範囲内で選択される。
【0033】
次に、▲2▼の過酸化水素又はオゾンを含有する水溶液に関し、過酸化水素の濃度は、低すぎると十分に多孔質膜と反応することができず、高すぎると危険であるため、通常0.1〜10%、好ましくは0.3〜5%の範囲内で選択される。溶液の温度は、低すぎると十分に多孔質膜を反応することができず、高すぎると危険であるため、通常10〜50℃、好ましくは20〜40℃の範囲内で選択される。そして、処理は過酸化水素水溶液に多孔質膜を浸漬するか、又は溶液を多孔質膜に通水することで行う。溶液を多孔質膜に通水する場合は、多孔質膜をモジュールにした後に行うとより効果的である。
【0034】
一方、オゾンを含有する水溶液による処理についてであるが、処理は、オゾンを含む水に多孔質膜を浸漬又はオゾンを含む水を多孔質膜に通水しながら行う。処理効率の点からは後者の方が好ましい。また、多孔質膜にオゾンを含む水を通水する場合、多孔質膜をモジュールにして行うと更に効率的である。オゾン処理の際の水中オゾン濃度は、低すぎると多孔質膜の表面に親水性を付与するまで時間がかかりすぎ実用的でなく、高すぎると通常のオゾン発生器では対応できず装置が特殊化するため、通常0.1〜30ppm、好ましくは0.5〜20ppmの範囲内で選択される。また、オゾン処理の際には超音波を併用するとさらに効果的である。溶液の温度は高すぎるとオゾンの溶解度が小さくなり、低すぎると反応速度が低下するので、通常1〜50℃、好ましくは10〜40℃の間で選択される。
【0035】
そして、▲3▼の過塩素酸塩、過臭素酸塩および過ヨウ素酸塩からなる群から選ばれた少なくとも1種類の塩を含有する水溶液での処理についてであるが、塩を含有する水溶液とは、塩を水に溶解しイオンに解離した状態を示す。過塩素酸塩としては、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウムなどを挙げることができる。過臭素酸塩としては、過臭素酸リチウム、過臭素酸ナトリウム、過臭素酸カリウム、過臭素酸アンモニウムなどを挙げることができる。過ヨウ素酸塩としては、過ヨウ素酸リチウム、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸アンモニウムなどを挙げることができる。
【0036】
それら塩の濃度は、低すぎると十分に多孔質膜を反応することができず、高すぎると危険であるため、通常0.1〜10%、好ましくは0.3〜5%の範囲内で選択される。溶液の温度は、低すぎると十分に多孔質膜を反応することができず、高すぎると危険であるため、通常10℃から50℃、好ましくは20℃から40℃の範囲で選択される。処理は該塩を含有する水溶液に多孔質膜を浸漬するか、又は溶液を多孔質膜に通水することで行う。溶液を多孔質膜に通水する場合は、多孔質膜をモジュールにして行うとより効果的である。
【0037】
このような▲1▼〜▲3▼の工程を経て得られる本発明の多孔質膜は、例えば市販のフミン酸水溶液を連続してろ過しても、時間の経過に伴う透水性能の低下が小さい。さらには、透水性能低下した後にろ過方向と逆方向に透過水を供給する、いわゆる逆洗によって透水性能を回復することができる。
【0038】
なお、汚れ難さは、次のように評価する。すなわち、中空糸膜形状のものでは、中空糸膜4本からなる長さ200mmのミニチュアモジュールを作製し、温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、純水の透水性能を測定する。次に、20ppmのフミン酸水溶液を外圧全ろ過で所定時間行い、その単位時間あたりの透過水量を測定して、単位膜面積(m2)の透水性を圧力(50kPa)換算することで求める。さらに150kPaの逆洗圧力で透過水を1分間供給し、その直後の純水透水性能を測定する。一方、平膜形状のものでは、直径50mmの円形に切り出し、円筒型のろ過ホルダーにセットし、その他は中空糸膜と同様の操作をすることで求める。
【0039】
上述の本発明の多孔質膜は、原液流入口や透過液流出口などを備えたケーシングに収容され多孔質膜モジュールとして使用される。多孔質膜モジュールは、多孔質膜が中空糸膜である場合には、中空糸膜を複数本束ねて円筒状の容器に納め、両端または片端をポリウレタンやエポキシ樹脂等で固定し、透過液を回収できるようにしたり、平板状に中空糸膜の両端を固定して透過液を回収できるようにする。多孔質膜が平膜である場合には、平膜を集液管の周りに封筒状に折り畳みながらスパイラル状に巻き取り、円筒状の容器に納め、透過液をできるようにしたり、集液板の両面に平膜の配置して周囲を水密に固定し、透過液を回収できるようにする。
【0040】
そして、多孔質膜モジュールは、少なくとも原液側に加圧手段もしくは透過液側に吸引手段を設け、造水を行う液体分離装置として用いられる。加圧手段としてはポンプを用いてもよいし、また水位差による圧力を利用してもよい。また、吸引手段としては、ポンプやサイフォンを利用すればよい。
【0041】
この液体分離装置は、水処理分野であれば浄水処理、上水処理、排水処理、工業用水製造などで利用でき、河川水、湖沼水、地下水、海水、下水、排水などを被処理水とする。
【0042】
【実施例】
実施例、比較例における多孔質膜の透水性能は、次のように測定した。
【0043】
多孔質膜が中空糸膜の場合には、中空糸膜4本からなる長さ200mmのミニチュアモジュールを作製し、温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、純水の透水量を測定し圧力(50kPa)換算する(Q0、単位=m3/m2・h)。次に、20ppmのフミン酸(試薬、和光純薬工業株式会社製)水溶液をろ過差圧16kPa、温度25℃の条件下に、外圧全ろ過で2m3/m2になるようにろ過する。さらに150kPaの逆洗圧力で透過水を1分間供給し、その直後の純水透水量を測定する(Q1)。親水化の指標としてA=Q1/Q0を用いる。
【0044】
多孔質膜が平膜の場合には、直径50mmの円形に切り出し、円筒型のろ過ホルダーにセットし、その他は中空糸膜と同様の操作をする。
<実施例1>
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマーを、20重量%となるようにN,N−ジメチルホルムアミドに80℃の温度で溶解した。この樹脂溶液を、中空部形成液体としてN,N−ジメチルホルムアミド/水=80/20(重量%)からなる混合溶媒を随伴させながら60℃の口金からに吐出し、約5cmの乾式部を通過させた後、N,N−ジメチルホルムアミド/水20/80(重量%)からなる温度30℃の凝固浴に導入して固化した。得られた中空糸膜は、外径0.8mm、内径0.5mmであった。50kPa、25℃における純水透水量は0.055m3/m2・hであった。
【0045】
得られた中空糸膜を30℃の0.01規定水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬し、水洗後3重量%過酸化水素水に30℃で24時間浸漬した。水洗後、さらに、1重量%過塩素酸リチウム水溶液に4時間浸漬した。得られた中空糸膜の50kPa、25℃における純水透水量は0.070m3/m2・hであった(Q0)。
【0046】
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は0.065m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
【0047】
【表1】
【0048】
<実施例2>
中空糸膜を、3重量%過酸化水素水に30℃で24時間浸漬するのに代えて、オゾン10ppmを含む25℃の水中で100時間浸漬処理した以外は実施例1と同様にした。過塩素酸リチウム水溶液による処理の後の中空糸膜の50kPa、25℃における純水透水量は0.074m3/m2・hであった(Q0)。また、フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は0.071m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<比較例1>
過塩素酸リチウム水溶液処理をしなかった以外は実施例1と同様にした。過酸化水素水による処理の後、水洗して測定した中空糸膜の純水透水量は0.061m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は0.030m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<比較例2>
過塩素酸リチウム水溶液処理をしなかった以外は実施例2と同様にした。オゾン10ppmを含む水中での処理の後、水洗して測定した中空糸膜の純水透水量は0.062m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は0.033m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<実施例3>
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマーを38重量%となるように、γ−ブチロラクトンに150℃の温度で溶解した。この樹脂溶液を、中空部形成液体としてγ−ブチロラクトン/水=80/20(重量%)からなる混合溶媒を随伴させながら100℃の口金から吐出し、約2cmの乾式部を通過させた後、γ−ブチロラクトン/水=80/20(重量%)からなる温度15℃の凝固浴に導入して固化した。得られた中空糸膜は、外径1.2mm、内径0.8mmであった。50kPa、25℃における純水透水量は1.50m3/m2・hであった。
【0049】
得られた中空糸膜を30℃の0.01規定水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬し、水洗後3重量%過酸化水素水に30℃で24時間浸漬した。水洗後、さらに、1重量%過塩素酸リチウム水溶液に4時間浸漬した。得られた中空糸膜の50kPa、25℃における純水透水量は1.62m3/m2・hであった(Q0)。
【0050】
フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は1.55m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<実施例4>
中空糸膜を、3重量%過酸化水素水に30℃で24時間浸漬するのに代えて、オゾン10ppmを含む25℃の水中で100時間浸漬処理した以外は実施例3と同様にした。過塩素酸リチウム水溶液による処理の後の中空糸膜の50kPa、25℃における純水透水量は1.71m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は1.61m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<比較例3>
過塩素酸リチウム水溶液処理をしなかった以外は実施例3と同様にした。過酸化水素水による処理の後、水洗して測定した中空糸膜の純水透水量は1.55m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は0.82m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<比較例4>
過塩素酸リチウム水溶液処理をしなかった以外は実施例4と同様にした。オゾン10ppmを含む水中での処理の後、水洗して測定した中空糸膜の純水透水量は1.62m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は0.88m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。<実施例5>
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー13.0重量%、重量平均分子量が約20, 000のポリエチレングリコール(PEG)5.5重量%と、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)81.5重量%とをそれぞれ用い、これらを90℃の温度下で十分に攪拌し、原液を得た。次に、上記原液を25℃に冷却した後、密度が0.48g/cm3、厚みが220μmのポリエステル繊維製不織布に塗布し、塗布後、直ちに25℃の純水中に5分間浸漬し、さらに80℃の熱水に3回浸漬してDMAcおよびPEGを洗い出し、得られた平膜の不織布を含んだ全体の厚みは、315μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は6.71m3/m2・hであった。
【0051】
得られた平膜を30℃の0.01規定水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬し、水洗後3重量%過酸化水素水に30℃で24時間浸漬した。水洗後、さらに、1重量%過塩素酸リチウム水溶液に4時間浸漬した。得られた平膜の50kPa、25℃における純水透水量は7.55m3/m2・hであった(Q0)。
【0052】
フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は7.22m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<実施例6>
平膜を、3重量%過酸化水素水に30℃で24時間浸漬するのに代えて、オゾン10ppmを含む25℃の水中で100時間浸漬処理した以外は実施例5と同様にした。過塩素酸リチウム水溶液による処理の後の平膜の50kPa、25℃における純水透水量は7.88m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は7.35m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<比較例5>
過塩素酸リチウム水溶液処理をしなかった以外は実施例5と同様にした。過酸化水素水による処理の後、水洗して測定した平膜の純水透水量は7.33m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は3.45m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<比較例6>
過塩素酸リチウム水溶液処理をしなかった以外は実施例6と同様にした。オゾン10ppmを含む水中での処理の後、水洗して測定した平膜の純水透水量は7.50m3/m2・hであった(Q0)。
【0053】
フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は3.52m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、フミン酸などの有機物の汚れによる透水量低下の小さい親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を提供することができる。これによって、多孔質膜の洗浄間隔が長くなり、ろ過寿命も長くなるため、造水コストの低減が可能になる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料水製造、浄水処理、排水処理などの水処理、食品工業分野に好適な多孔質膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、多孔質膜は、飲料水製造、浄水処理、排水処理などの水処理分野、食品工業分野等様々な方面で利用されている。飲料水製造、浄水処理、排水処理などの水処理分野においては、多孔質膜が従来の砂濾過、凝集沈殿過程の代替として水中の不純物を除去するために用いられるようになってきている。また、食品工業分野においては、発酵に用いた酵母の分離除去や液体の濃縮を目的として、多孔質膜が用いられている。
【0003】
上述のように多様に用いられる多孔質膜は、浄水処理や排水処理などの水処理分野においては処理水量が大きいため、透水性能の向上が求められている。透水性能が優れていれば、膜面積を減らすことが可能となり、装置がコンパクトになるため設備費を節約でき、膜交換費や設置面積の点からも有利である。
【0004】
また、浄水処理では透過水の殺菌や膜のバイオファウリング防止の目的で、次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤を膜モジュール部分に添加したり、酸、アルカリ、塩素、界面活性剤などで膜そのものを洗浄するため、多孔質膜には耐薬品性能が求められる。
【0005】
さらに、水道水製造では、家畜の糞尿などに由来するクリプトスポリジウムなどの塩素に対して耐性のある病原性微生物が浄水場で処理しきれず、処理水に混入する事故が1990年代から顕在化していることから、このような事故を防ぐため、分離膜には、原水が処理水に混入しないよう十分な分離特性と高い物理的強度が要求されている。
【0006】
このように、多孔質膜には、優れた分離特性、化学的強度(耐薬品性)、物理的強度および透過性能が求められる。
【0007】
そこで、これらの要求性能を満足するために、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を用いた多孔質膜が使用されるようになってきた。しかしながら、ポリフッ化ビニリデン系樹脂は疎水性樹脂であるため、水中のフミン質などの疎水性物質が付着しやすく、多孔質膜が汚れて細孔が目詰まりして透水性能が低下したり、薬品による洗浄でも汚れ成分が除去されにくいという問題があった。
【0008】
そこで、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の主鎖に親水性官能基を導入して多孔質膜を親水性にすることが試みられた。親水性官能基としては、水酸基、カルボキシル基が挙げられ種々の方法が検討された。
【0009】
特許文献1には、塩基存在下で末端に水酸基を有するポリオキシアルキレンを作用させる方法が記載され、特許文献2には酸化剤を含む強アルカリ溶液中で化学処理する方法が記載され、特許文献3には中性ヒドロキシル基を含むモノマーをグラフトさせる方法が記載されている。また、特許文献4にはアルカリ処理後オゾンを含有する水で酸化処理する方法が記載されている。
【0010】
しかしながら、これらの親水化方法で得られた多孔質膜は、フミン質など水中の有機物による汚れが多少低減されてはいるものの透水性能の低下は大きく、親水化が不十分と推定される。
【0011】
【特許文献1】特開昭53−80378号公報
【0012】
【特許文献2】特開昭63−172745号公報
【0013】
【特許文献3】特開昭62−258711号公報
【0014】
【特許文献4】特開平5−317663号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術の上述した問題点を解決し、汚れによる透水性能の低下が少ない親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を、塩基で処理した後に過酸化水素又はオゾンを含有する水溶液で処理し、さらに過塩素酸塩、過臭素酸塩および過ヨウ素酸塩から選ばれた少なくとも1種類の塩を含有する水溶液で処理する親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜の製造方法を特徴とするものである。このとき、塩基がアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物および3級アミン化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
そして、上記いずれかの製造方法で得られた親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜も好ましい。また、原液流入口および透過液流出口を備えたケーシングと、そのケーシングに収容された、上記いずれかの製造方法で得られた親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜とを有する多孔質膜モジュールも好ましい。さらに、この多孔質膜モジュールと、この多孔質膜モジュールの上流側に設けられた原液加圧手段またはこの多孔質膜モジュールの下流側に設けられた透過液吸引手段とを有する液体分離装置も好ましく、その液体分離装置を用いて原水から透過水を得る造水方法も好ましい態様である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜の製造方法においては、ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を、塩基で処理した後に過酸化水素又はオゾンを含有する水溶液で処理し、さらに過塩素酸塩、過臭素酸塩および過ヨウ素酸塩から選ばれた少なくとも1種類の塩を含有する水溶液で処理する。
【0019】
本発明において、多孔質膜はポリフッ化ビニリデン系樹脂を含むが、ポリフッ化ビニリデン系樹脂とは、フッ化ビニリデンホモポリマーおよび/またはフッ化ビニリデン共重合体を含有する樹脂のことである。複数種類のフッ化ビニリデン共重合体を含有していても構わない。フッ化ビニリデン共重合体としては、フッ化ビニル、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレンおよび三フッ化塩化エチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種とフッ化ビニリデンとの共重合体が挙げられる。
【0020】
またポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、要求される中空糸膜の強度と透水性能によって適宜選択すれば良いが、多孔質膜への加工性を考慮すると、5万〜100万、さらには10万〜45万の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲よりも大きくなると、樹脂溶液の粘度が高くなりすぎ、またこの範囲よりも小さくなると、樹脂溶液の粘度が低くなりすぎ、いずれも多孔質膜を成形することが困難になる。
【0021】
本発明の多孔質膜の形状は、中空糸膜でも平膜でも良く、その用途によって選択される。
【0022】
中空糸膜の場合、内径が150μm〜8mm、さらには100μm〜10mm、外径が200μm〜12mm、さらには120μm〜15mm、膜厚が50μm〜1mm、さらには20μm〜3mmの範囲になるように設計することが好ましい。また、中空糸膜の内外表面の細孔径は、用途によって自由に選択できるが、0.005μm(5nm)〜10μm、さらには0.008μm(8nm)〜8μmの範囲になるように設計することが好ましい。中空糸膜の内部構造は任意であり、いわゆるマクロボイドが存在していても、膜厚方向に同じような大きさの孔を有する均質構造であっても良い。さらに、ポリエステル、ナイロンなどの有機繊維、ガラス繊維、金属繊維などを筒状に編んだものを支持材としてその上にポリマーをコーティングしたものや、その支持材の一部にポリマーを含浸させたものでも良い。
【0023】
一方、平膜の場合は、厚みが10μm〜1mm、さらには30μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。平膜の場合も、織物、編み物、不織布などの面状の支持材にポリマーをコーティング又は一部含浸させてもよく、その場合、この面状支持材を含む厚みが上述の範囲内にあることが好ましい。また、表面の細孔径は、用途によって自由に選択できるが、0.005μm(5nm)〜10μm、さらには0.008μm(8nm)〜8μmの範囲にあることが好ましい。平膜の内部構造は任意であり、いわゆるマクロボイドが存在していても、膜厚方向に同じような大きさの孔のあいた均質構造であっても良い。
【0024】
上述の本発明の多孔質膜は、例えば、次の三つの方法のいずれかで製造する。
【0025】
▲1▼ポリフッ化ビニリデン系樹脂を良溶媒に溶解したポリマー溶液を、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の融点よりかなり低い温度で口金から押出したりガラス板上にキャストしたりして成形した後、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の非溶媒を含む液体に接触させて非溶媒誘起相分離により非対称多孔構造を形成させる湿式溶液法。
【0026】
▲2▼ポリフッ化ビニリデン系樹脂に無機微粒子と有機液状体を溶融混練し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の融点以上の温度で口金から押し出したりプレス機でプレスしたりして成形した後、冷却固化し、その後有機液状体と無機微粒子を抽出することにより多孔構造を形成する溶融抽出法。
【0027】
▲3▼ポリフッ化ビニリデン系樹脂を室温では溶解しにくい溶媒に高温溶解してポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を製造し、そのポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を口金から吐出した後、冷却して相分離及び固化せしめる熱誘起相分離法。
【0028】
本発明では、たとえば上述のようにして得られたポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を▲1▼塩基で処理し、▲2▼次いで、過酸化水素又はオゾンを含有する水溶液で処理し、▲3▼さらに、過塩素酸塩、過臭素酸塩および過ヨウ素酸塩からなる群から選ばれた少なくとも1種類の塩を含有する水溶液で処理する。
【0029】
▲1▼の塩基処理によって、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からフッ化水素が脱離し、▲2▼の過酸化水素又はオゾンを含有する水溶液による処理で、水酸基及び/又はカルボキシル基が導入され、さらに▲3▼の過塩素酸塩などを含有する水溶液による処理でカルボキシル基の含有量が増え親水性が高まる。
【0030】
塩基処理に用いることができる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコキシド類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,7−ジアザビシクロ[5.4.0]7−ウンデセン、1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]5−ノネンなどの3級アミン、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム水酸化物を挙げることができる。
【0031】
これらの塩基は、水、アルコールの単独又は混合液に溶解し、その溶液に多孔質膜を浸漬するか、又は溶液を多孔質膜に通水することで処理を行う。溶液を多孔質膜に通水する場合は、多孔質膜をモジュールにした後に行うとより効果的である。アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなどを挙げることができる。水とアルコールとの混合液にする場合、アルコールと水の比率は塩基の溶解性に依存する。塩基の添加量は塩基の種類によって異なるが、低すぎると十分に多孔質膜を反応させることができず、高すぎると多孔質膜の物理的強度を損ねるため、水酸化物の場合は通常0.001〜5規定、好ましくは0.005〜1規定の範囲内で選択され、3級アミン化合物の場合は通常0.01〜10%、好ましくは0.05〜5%の範囲内で選択される。
【0032】
塩基処理に際して、溶液の温度は、低すぎると十分に多孔質膜を反応することができず、高すぎると多孔質膜の物理的強度を損ねるため、通常10℃〜80℃、好ましくは20℃〜60℃の範囲内で選択される。
【0033】
次に、▲2▼の過酸化水素又はオゾンを含有する水溶液に関し、過酸化水素の濃度は、低すぎると十分に多孔質膜と反応することができず、高すぎると危険であるため、通常0.1〜10%、好ましくは0.3〜5%の範囲内で選択される。溶液の温度は、低すぎると十分に多孔質膜を反応することができず、高すぎると危険であるため、通常10〜50℃、好ましくは20〜40℃の範囲内で選択される。そして、処理は過酸化水素水溶液に多孔質膜を浸漬するか、又は溶液を多孔質膜に通水することで行う。溶液を多孔質膜に通水する場合は、多孔質膜をモジュールにした後に行うとより効果的である。
【0034】
一方、オゾンを含有する水溶液による処理についてであるが、処理は、オゾンを含む水に多孔質膜を浸漬又はオゾンを含む水を多孔質膜に通水しながら行う。処理効率の点からは後者の方が好ましい。また、多孔質膜にオゾンを含む水を通水する場合、多孔質膜をモジュールにして行うと更に効率的である。オゾン処理の際の水中オゾン濃度は、低すぎると多孔質膜の表面に親水性を付与するまで時間がかかりすぎ実用的でなく、高すぎると通常のオゾン発生器では対応できず装置が特殊化するため、通常0.1〜30ppm、好ましくは0.5〜20ppmの範囲内で選択される。また、オゾン処理の際には超音波を併用するとさらに効果的である。溶液の温度は高すぎるとオゾンの溶解度が小さくなり、低すぎると反応速度が低下するので、通常1〜50℃、好ましくは10〜40℃の間で選択される。
【0035】
そして、▲3▼の過塩素酸塩、過臭素酸塩および過ヨウ素酸塩からなる群から選ばれた少なくとも1種類の塩を含有する水溶液での処理についてであるが、塩を含有する水溶液とは、塩を水に溶解しイオンに解離した状態を示す。過塩素酸塩としては、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウムなどを挙げることができる。過臭素酸塩としては、過臭素酸リチウム、過臭素酸ナトリウム、過臭素酸カリウム、過臭素酸アンモニウムなどを挙げることができる。過ヨウ素酸塩としては、過ヨウ素酸リチウム、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸アンモニウムなどを挙げることができる。
【0036】
それら塩の濃度は、低すぎると十分に多孔質膜を反応することができず、高すぎると危険であるため、通常0.1〜10%、好ましくは0.3〜5%の範囲内で選択される。溶液の温度は、低すぎると十分に多孔質膜を反応することができず、高すぎると危険であるため、通常10℃から50℃、好ましくは20℃から40℃の範囲で選択される。処理は該塩を含有する水溶液に多孔質膜を浸漬するか、又は溶液を多孔質膜に通水することで行う。溶液を多孔質膜に通水する場合は、多孔質膜をモジュールにして行うとより効果的である。
【0037】
このような▲1▼〜▲3▼の工程を経て得られる本発明の多孔質膜は、例えば市販のフミン酸水溶液を連続してろ過しても、時間の経過に伴う透水性能の低下が小さい。さらには、透水性能低下した後にろ過方向と逆方向に透過水を供給する、いわゆる逆洗によって透水性能を回復することができる。
【0038】
なお、汚れ難さは、次のように評価する。すなわち、中空糸膜形状のものでは、中空糸膜4本からなる長さ200mmのミニチュアモジュールを作製し、温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、純水の透水性能を測定する。次に、20ppmのフミン酸水溶液を外圧全ろ過で所定時間行い、その単位時間あたりの透過水量を測定して、単位膜面積(m2)の透水性を圧力(50kPa)換算することで求める。さらに150kPaの逆洗圧力で透過水を1分間供給し、その直後の純水透水性能を測定する。一方、平膜形状のものでは、直径50mmの円形に切り出し、円筒型のろ過ホルダーにセットし、その他は中空糸膜と同様の操作をすることで求める。
【0039】
上述の本発明の多孔質膜は、原液流入口や透過液流出口などを備えたケーシングに収容され多孔質膜モジュールとして使用される。多孔質膜モジュールは、多孔質膜が中空糸膜である場合には、中空糸膜を複数本束ねて円筒状の容器に納め、両端または片端をポリウレタンやエポキシ樹脂等で固定し、透過液を回収できるようにしたり、平板状に中空糸膜の両端を固定して透過液を回収できるようにする。多孔質膜が平膜である場合には、平膜を集液管の周りに封筒状に折り畳みながらスパイラル状に巻き取り、円筒状の容器に納め、透過液をできるようにしたり、集液板の両面に平膜の配置して周囲を水密に固定し、透過液を回収できるようにする。
【0040】
そして、多孔質膜モジュールは、少なくとも原液側に加圧手段もしくは透過液側に吸引手段を設け、造水を行う液体分離装置として用いられる。加圧手段としてはポンプを用いてもよいし、また水位差による圧力を利用してもよい。また、吸引手段としては、ポンプやサイフォンを利用すればよい。
【0041】
この液体分離装置は、水処理分野であれば浄水処理、上水処理、排水処理、工業用水製造などで利用でき、河川水、湖沼水、地下水、海水、下水、排水などを被処理水とする。
【0042】
【実施例】
実施例、比較例における多孔質膜の透水性能は、次のように測定した。
【0043】
多孔質膜が中空糸膜の場合には、中空糸膜4本からなる長さ200mmのミニチュアモジュールを作製し、温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、純水の透水量を測定し圧力(50kPa)換算する(Q0、単位=m3/m2・h)。次に、20ppmのフミン酸(試薬、和光純薬工業株式会社製)水溶液をろ過差圧16kPa、温度25℃の条件下に、外圧全ろ過で2m3/m2になるようにろ過する。さらに150kPaの逆洗圧力で透過水を1分間供給し、その直後の純水透水量を測定する(Q1)。親水化の指標としてA=Q1/Q0を用いる。
【0044】
多孔質膜が平膜の場合には、直径50mmの円形に切り出し、円筒型のろ過ホルダーにセットし、その他は中空糸膜と同様の操作をする。
<実施例1>
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマーを、20重量%となるようにN,N−ジメチルホルムアミドに80℃の温度で溶解した。この樹脂溶液を、中空部形成液体としてN,N−ジメチルホルムアミド/水=80/20(重量%)からなる混合溶媒を随伴させながら60℃の口金からに吐出し、約5cmの乾式部を通過させた後、N,N−ジメチルホルムアミド/水20/80(重量%)からなる温度30℃の凝固浴に導入して固化した。得られた中空糸膜は、外径0.8mm、内径0.5mmであった。50kPa、25℃における純水透水量は0.055m3/m2・hであった。
【0045】
得られた中空糸膜を30℃の0.01規定水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬し、水洗後3重量%過酸化水素水に30℃で24時間浸漬した。水洗後、さらに、1重量%過塩素酸リチウム水溶液に4時間浸漬した。得られた中空糸膜の50kPa、25℃における純水透水量は0.070m3/m2・hであった(Q0)。
【0046】
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は0.065m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
【0047】
【表1】
【0048】
<実施例2>
中空糸膜を、3重量%過酸化水素水に30℃で24時間浸漬するのに代えて、オゾン10ppmを含む25℃の水中で100時間浸漬処理した以外は実施例1と同様にした。過塩素酸リチウム水溶液による処理の後の中空糸膜の50kPa、25℃における純水透水量は0.074m3/m2・hであった(Q0)。また、フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は0.071m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<比較例1>
過塩素酸リチウム水溶液処理をしなかった以外は実施例1と同様にした。過酸化水素水による処理の後、水洗して測定した中空糸膜の純水透水量は0.061m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は0.030m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<比較例2>
過塩素酸リチウム水溶液処理をしなかった以外は実施例2と同様にした。オゾン10ppmを含む水中での処理の後、水洗して測定した中空糸膜の純水透水量は0.062m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は0.033m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<実施例3>
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマーを38重量%となるように、γ−ブチロラクトンに150℃の温度で溶解した。この樹脂溶液を、中空部形成液体としてγ−ブチロラクトン/水=80/20(重量%)からなる混合溶媒を随伴させながら100℃の口金から吐出し、約2cmの乾式部を通過させた後、γ−ブチロラクトン/水=80/20(重量%)からなる温度15℃の凝固浴に導入して固化した。得られた中空糸膜は、外径1.2mm、内径0.8mmであった。50kPa、25℃における純水透水量は1.50m3/m2・hであった。
【0049】
得られた中空糸膜を30℃の0.01規定水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬し、水洗後3重量%過酸化水素水に30℃で24時間浸漬した。水洗後、さらに、1重量%過塩素酸リチウム水溶液に4時間浸漬した。得られた中空糸膜の50kPa、25℃における純水透水量は1.62m3/m2・hであった(Q0)。
【0050】
フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は1.55m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<実施例4>
中空糸膜を、3重量%過酸化水素水に30℃で24時間浸漬するのに代えて、オゾン10ppmを含む25℃の水中で100時間浸漬処理した以外は実施例3と同様にした。過塩素酸リチウム水溶液による処理の後の中空糸膜の50kPa、25℃における純水透水量は1.71m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は1.61m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<比較例3>
過塩素酸リチウム水溶液処理をしなかった以外は実施例3と同様にした。過酸化水素水による処理の後、水洗して測定した中空糸膜の純水透水量は1.55m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は0.82m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<比較例4>
過塩素酸リチウム水溶液処理をしなかった以外は実施例4と同様にした。オゾン10ppmを含む水中での処理の後、水洗して測定した中空糸膜の純水透水量は1.62m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は0.88m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。<実施例5>
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー13.0重量%、重量平均分子量が約20, 000のポリエチレングリコール(PEG)5.5重量%と、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)81.5重量%とをそれぞれ用い、これらを90℃の温度下で十分に攪拌し、原液を得た。次に、上記原液を25℃に冷却した後、密度が0.48g/cm3、厚みが220μmのポリエステル繊維製不織布に塗布し、塗布後、直ちに25℃の純水中に5分間浸漬し、さらに80℃の熱水に3回浸漬してDMAcおよびPEGを洗い出し、得られた平膜の不織布を含んだ全体の厚みは、315μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は6.71m3/m2・hであった。
【0051】
得られた平膜を30℃の0.01規定水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬し、水洗後3重量%過酸化水素水に30℃で24時間浸漬した。水洗後、さらに、1重量%過塩素酸リチウム水溶液に4時間浸漬した。得られた平膜の50kPa、25℃における純水透水量は7.55m3/m2・hであった(Q0)。
【0052】
フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は7.22m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<実施例6>
平膜を、3重量%過酸化水素水に30℃で24時間浸漬するのに代えて、オゾン10ppmを含む25℃の水中で100時間浸漬処理した以外は実施例5と同様にした。過塩素酸リチウム水溶液による処理の後の平膜の50kPa、25℃における純水透水量は7.88m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は7.35m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<比較例5>
過塩素酸リチウム水溶液処理をしなかった以外は実施例5と同様にした。過酸化水素水による処理の後、水洗して測定した平膜の純水透水量は7.33m3/m2・hであった(Q0)。フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は3.45m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
<比較例6>
過塩素酸リチウム水溶液処理をしなかった以外は実施例6と同様にした。オゾン10ppmを含む水中での処理の後、水洗して測定した平膜の純水透水量は7.50m3/m2・hであった(Q0)。
【0053】
フミン酸水溶液ろ過、逆洗後の純水透水量は3.52m3/m2・hであった(Q1)。評価結果を表1にまとめた。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、フミン酸などの有機物の汚れによる透水量低下の小さい親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を提供することができる。これによって、多孔質膜の洗浄間隔が長くなり、ろ過寿命も長くなるため、造水コストの低減が可能になる。
Claims (6)
- ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を、塩基で処理した後に過酸化水素又はオゾンを含有する水溶液で処理し、さらに過塩素酸塩、過臭素酸塩および過ヨウ素酸塩から選ばれた少なくとも1種類の塩を含有する水溶液で処理することを特徴とする親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜の製造方法。
- 塩基がアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物および3級アミン化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜の製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法で得られた親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜。
- 原液流入口および透過液流出口を備えたケーシングと、そのケーシングに収容された、請求項1または2に記載の製造方法で得られた親水性ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜とを有する多孔質膜モジュール。
- 請求項4に記載の多孔質膜モジュールと、この多孔質膜モジュールの上流側に設けられた原液加圧手段またはこの多孔質膜モジュールの下流側に設けられた透過液吸引手段とを有する液体分離装置。
- 請求項5に記載の液体分離装置を用いて原水から透過水を得る造水方法。
Priority Applications (1)
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