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JP2004228536A - Ledアレイおよびその製造方法 - Google Patents

Ledアレイおよびその製造方法 Download PDF

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JP2004228536A JP2003018027A JP2003018027A JP2004228536A JP 2004228536 A JP2004228536 A JP 2004228536A JP 2003018027 A JP2003018027 A JP 2003018027A JP 2003018027 A JP2003018027 A JP 2003018027A JP 2004228536 A JP2004228536 A JP 2004228536A
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Abstract

【課題】発光バラツキを低減した高品質なLEDアレイを提供する。
【解決手段】基板1上に複数個の一導電型半導体層2および逆導電型半導体層3を設け、発光素子を複数個配列してなるLEDアレイにおいて、逆導電型半導体層3は、少なくとも発光層3aと、この発光層3aよりもバンドギャップの大きい第2のクラッド層3bと、この発光層3aよりもバンドギャップの小さい厚み0.2μm以上の発光吸収層3cとを順次積層してなる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にページプリンタ用感光ドラムの露光用光源などに用いられるLEDアレイならびにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のLEDアレイを図9と図10に示す。
【0003】
図9はLEDアレイ、とくにその発光素子の要部を示す断面図であり、図10はLEDアレイの平面図である。
【0004】
これらの図において、21は半導体基板であり、この半導体基板21の上に一導電型半導体層22と逆導電型半導体層23とを順次形成した構造である。また、24は個別電極であり、25(25a,25b)は共通電極である。
【0005】
半導体基板21上に、一導電型半導体層22と逆導電型半導体層23を一導電型半導体層22よりも逆導電型半導体層23が小面積となるように設けると共に、この一導電型半導体層22の露出部に共通電極25(25a,25b)を接続して設け、逆導電型半導体層23に個別電極24を接続して設けている。なお、図9において、26はポリイミドやSiNxなどから成る絶縁膜、27は同じくポリイミドやSiNx、SiOなどからなる保護膜である。
【0006】
また、図10に示すように、共通電極25(25a,25b)は隣接する島状半導体層22、23ごとに異なる群に属するように二群に分けて接続して設けられ、隣接する島状半導体層22、23が同じ個別電極24に接続されている。
【0007】
このような発光素子をアレー状に配列したLEDアレイでは、個別電極24と共通電極25(25a、25b)の組み合わせを選択して電流を流すことによって、各発光素子(発光ダイオード)を選択的に発光させることができる。
【0008】
しかしながら、上記構成のLEDアレイによれば、半導体層の膜厚の不均一性に起因して、発光の程度や傾向にて発光のバラツキ不良という問題があった。
【0009】
すなわち、ウエハーの面内での半導体層が不均一であり、逆導電型半導体層の厚い部位では発光強度が大きく、薄い部位では発光強度が小さくなり、これにより、LEDアレイにおける所要の発光バラツキに対し、そのような規格から外れるLEDチップができ、その結果、製造歩留りが低下し、製造コストが大きくなっていた。
【0010】
かかる課題を解消するために、特許文献1によれば、光量補正膜を用いて輝度に応じて可変させる技術が提案されている。
【0011】
また、特許文献2によれば、光吸収層に対しその側面からの光の射出をなくす技術が提案されている。
【0012】
[特許文献1]
特開平14−232019号公報
[特許文献2]
特開平12−12895号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の技術によれば、製造プロセスが煩雑になり、その分、製造コストが大きくなっていた。
【0014】
また、特許文献2によれば、光吸収層に対しその側面からの光の射出をなくす技術であるが、このような技術を用いても、いまだ満足し得るような成果が得られていない。すなわち、半導体層の不均一性に対する解決を解消しないことで、発光層の膜厚分布が依然として存在し、根本的な課題はいまだ解消されていなかった。たとえば、規格内のLEDアレイチップであっても、チップ内で発光にバラツキ傾向があり、そのために印画品質等を低下させる原因になっていた。
【0015】
したがって本発明は叙上に鑑みて完成されたものであり、その目的は発光バラツキを低減した高品質なLEDアレイを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は製造コストを下げて低コストかつ高品質なLEDアレイが得られたLEDアレイの製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のLEDアレイは、基板上に複数個の一導電型半導体層および逆導電型半導体層を設け、これら一導電型半導体層と逆導電型半導体層にそれぞれ電極を接続した発光素子を複数個配列してなり、そして、前記逆導電型半導体層は、少なくとも発光層と、この発光層よりもバンドギャップの大きいクラッド層と、この発光層よりもバンドギャップの小さい発光吸収層とを順次積層してなることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のLEDアレイは、前記発光吸収層の厚みが0.2μm以上であることを特徴とする。
【0019】
本発明のLEDアレイの製造方法は、基板上に一導電型半導体層を成膜し、次いで順次下記(1)〜(3)の各工程を経て逆導電型半導体層を成膜し、そして、これら一導電型半導体層と逆導電型半導体層の積層体をエッチングにより各発光素子に対応して分離せしめ、しかる後にこれら一導電型半導体層および逆導電型半導体層に対しそれぞれ電極を接続する工程を経て、少なくとも発光層とクラッド層と発光吸収層とを順次積層してなる逆導電型半導体層を備えた発光素子を複数個配列形成したことを特徴とする。
【0020】
(1)…発光層を薄膜形成手段により成膜する。
【0021】
(2)…前記発光層よりもバンドギャップの大きいクラッド層を(1)工程と同一の薄膜形成手段により成膜する。
【0022】
(3)…前記発光層よりもバンドギャップの小さい発光吸収層を(1)工程と同一の薄膜形成手段により成膜する。
【0023】
また、本発明のLEDアレイの製造方法は、前記発光吸収層の厚みが0.2μm以上であることを特徴とする。
【0024】
さらに本発明のLEDアレイの製造方法は、前記薄膜形成手段がMOCVD法であることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明のLEDアレイ、とくにその発光素子の要部を示す断面図である。なお、本発明のLEDアレイは図10に示す従来のごとき平面状態を示す。
【0027】
同図において、1は基板であり、この基板1上に一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3とを順次積層した構造である。また、4は個別電極であり、5は共通電極である。
【0028】
基板1上に、一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3を一導電型半導体層2よりも逆導電型半導体層3が小面積となるように設けると共に、この一導電型半導体層2の露出部に共通電極5を接続して設け、逆導電型半導体層3に個別電極4を接続して設けている。
【0029】
6はポリイミドやSiNxなどから成る絶縁膜、7は同じくポリイミドやSiNx、SiOなどからなる保護膜である。
【0030】
前述した図10に示すごとく、共通電極5は隣接する島状半導体層2、3ごとに異なる群に属するように二群に分けて接続して設けられ、隣接する島状半導体層2、3が同じ個別電極4に接続されている。
【0031】
そして、このような発光素子をアレー状に配列したLEDアレイでは、個別電極4と共通電極5の組み合わせを選択して電流を流すことによって、各発光素子(発光ダイオード)を選択的に発光させる。
【0032】
前記基板1は半絶縁性基板もしくは高抵抗性基板であって、たとえばシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)などの単結晶半導体基板やサファイア(Al)などの単結晶絶縁基板を用いる。
【0033】
単結晶半導体基板を用いる場合、(100)面を<011>方向に2〜7°オフさせた基板などが好適である。また、サファイアの場合、C面基板が好適に用いられる。
【0034】
一導電型半導体層2は、バッファ層2a、オーミックコンタクト層2b、電子注入層(第1のクラッド層)2cを順次積層した構成ある。
【0035】
バッファ層2aは2〜4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層2bは0.1〜1.0μm程度の厚みに形成され、電子注入層2cは0.2〜0.8μm程度の厚みに形成される。
【0036】
バッファ層2aとオーミックコンタクト層2bはガリウム砒素などで形成され、電子注入層2cはアルミニウムガリウム砒素などで形成される。
【0037】
オーミックコンタクト層2bはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1019(原子)atoms/cm程度含有し、電子注入層2cはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1019atoms/cm 程度含有する。
【0038】
バッファ層2aについては、基板1と半導体層との格子定数の不整合に基づくミスフィット転位を防止するために設けるものであり、半導体不純物を含有させなくてもよい。
【0039】
逆導電型半導体層3は、発光層3a、第2のクラッド層3b、発光吸収層3cおよび第2のオーミックコンタクト層3dとを順次積層した構成である。
【0040】
発光層3aと第2のクラッド層3bと発光吸収層3cの各層については、それぞれ0.2〜0.4μm程度の厚みでもって形成するとよく、これによって、0.2μm以上で発光の吸収効果が得られ、0.4μm以下で急激な発光低下がなくなるという点で好適である。
【0041】
オーミックコンタクト層3dについては、その膜厚dを膜厚d>(0.15μm−オーミックコンタクト層膜厚)の厚みに形成すると、電極形成時の拡散が発光吸収層3cへ到達することがなく、オーミック抵抗を適正な範囲(1.5V〜2.5V)で形成できるという点でよい。
【0042】
発光層3aと第2のクラッド層3bおよび発光吸収層3cは、それぞれアルミニウムガリウム砒素などから成り、第2のオーミックコンタクト層3dはガリウム砒素などから成るように構成するとよい。
【0043】
発光層3aと第2のクラッド層3bおよび発光吸収層3cは、電子の閉じ込め効果と光の取り出し効果を考慮してアルミニウム砒素(AlAs)とガリウム砒素(GaAs)との混晶比を異ならしめる。
【0044】
発光層3aと第2のクラッド層3bおよび発光吸収層3cは亜鉛(Zn)などの逆導電型半導体不純物を1×1016〜1021atoms/cm 程度含有し、第2のオーミックコンタクト層3dは亜鉛などの逆導電型半導体不純物を1×1019〜1021atoms/cm含有するとよい。
絶縁膜6は窒化シリコン、酸化シリコン、感光性樹脂、ポリイミドなどから成り、その厚みは0.1μm〜3μmになるように形成するとよい。
【0045】
個別電極4と共通電極5は金/金・ゲルマニュム/クロム(Au/AuGe/Cr)などの積層から成り、その厚みはたとえば1μmに形成するとよい。
【0046】
さらに保護膜7は、窒化シリコン、酸化シリコン、感光性樹脂、ポリイミドなどからなり、その厚みはたとえば0.1μm〜3μmになるように形成するとよい。
【0047】
以上のとおり、本発明のLEDアレイによれば、逆導電型半導体層3において、発光層3a、第2のクラッド層3b、発光吸収層3cおよび第2のオーミックコンタクト層3dとの積層構造に対し、とくに発光層3a、第2のクラッド層3b、発光吸収層3cとの積層に対し、次のようにバンドギャップを規定した点が特徴である。
【0048】
以下、図により説明する。
【0049】
図2は本発明のLEDアレイに係る発光素子のバンドギャップを示す図であり、図3は従来のLEDアレイに係る発光素子のバンドギャップを示す図である。
【0050】
図2に示すバンドギャップ図によれば、発光層3aのバンドギャップをEg(3a)に、第2のクラッド層3bのバンドギャップをEg(3b)とした場合、Eg(3a)<Eg(3b)とする。
【0051】
すなわち、ヘテロ構造にしたことで、電子を閉じ込める障壁を第2のクラッド層3bに設け、発光層3aによる発光を外部へ効率良く取り出し、発光効率を高めている。
【0052】
加えて、本発明によれば、第2のクラッド層3bの上に発光吸収層3cを形成し、そして、この層3cのバンドギャップをEg(3d)とした場合、Eg(3d)≦Eg(3a)<Eg(3b)とする。
【0053】
このようにバンドギャップの大小関係を規定すると、発光層3aが発光した光は発光吸収層3cにより吸収される傾向にあるが、その反面、チップ内で膜厚分布をもつLEDアレイであっても、その発光強度を低減化させることが発光バラツキを小さくすることに寄与し、これにより、各発光素子間にて均一な発光強度になるように働いている。
【0054】
次に発光素子数が128bit(ビット)であるLEDアレイに対し、発光吸収層3cの膜厚を0.2μm以上に規定した場合と、その膜厚を0.2μm未満に規定した場合に、それぞれの発光素子(発光ドット)に対する発光強度を測定したところ、図4に示すような結果が得られた。また、本例のLEDアレイは、図5と図6に示す積層のものを使用した。
【0055】
図5と図6は、発光素子(発光ドット)における発光層3a、第2のクラッド層3b、発光吸収層3cの各層厚の分布を示し、図5は発光吸収層3cの膜厚を0.2μm以上に規定した場合と、図6はその膜厚を0.2μm未満に規定した場合である。
【0056】
図4において、○印は発光吸収層3cの膜厚が0.2μm以上の場合、▲印は発光吸収層3cの膜厚が0.2μm未満の場合である。
【0057】
さらに図3に示すバンドギャップをもつ発光素子のごとく、発光吸収層3cを設けない従来の層構成のLEDアレイについても、同様に測定したところ、図7と図8に示すような結果が得られた。
【0058】
図7は発光素子数が128bit(ビット)であるLEDアレイに対し、それぞれの発光素子(発光ドット)に対する発光強度の測定ドットならびにそれによる線図を示す。また、図8は各発光素子(発光ドット)における発光層3aと第2のクラッド層3bの各層厚の分布を示す。
【0059】
以上の測定結果から明らかなとおり、膜厚0.2μm以上の発光吸収層3cを設けたことで、発光バラツキを低減した高品質なLEDアレイが提供できた。
【0060】
また、従来のLEDアレイによれば、図7に示すように128bit(ビット)の発光バラツキが大きくなる傾向が顕著である。また、発光層の膜厚が大きくなると発光強度が高くなり、それが薄くなると発光強度が低下する傾向にあることもわかる。
【0061】
これに対し、本発明のLEDアレイでも、発光層3aの厚みバラツキは従来のLEDアレイと同様であるが、発光吸収層を設けたことで、発光層が厚くなると発光吸収層も厚くなる傾向にあり、これによって発光吸収効果が大きくなる。
【0062】
一方、発光層が薄くなると発光吸収層も薄くなる傾向にあり、発光吸収効果が小さくなる。
【0063】
かくして本発明によれば、膜厚0.2μm以上の発光吸収層3cを設けたことで、発光バラツキを低減したが、LEDアレイの製造に当って、同一の材料を用いて同様に成膜形成していることで、LEDアレイ内の各素子の発光層膜厚と発光吸収層の比率がどの部位においてもほぼ一定になるように形成でき、発光層が厚くなると発光吸収層も厚くなり、発光吸収効果が大きくなり、他方、発光層が薄くなると発光吸収層も薄くなり、発光吸収効果が小さくなった。
【0064】
次に本発明のLEDアレイの製造方法を説明する。
【0065】
はじめに基板1、たとえばシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)などの単結晶半導体基板やサファイア(Al)などの単結晶絶縁基板の上に一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3とをMOCVD法などで順次積層する。
【0066】
これら半導体層2、3を形成する場合、基板温度をまず400〜500℃に設定して200〜2000Åの厚みにアモルファス状のガリウム砒素膜を形成し、その後、基板温度を700〜900℃に上げて所望厚みの半導体層2、3を形成した。
【0067】
このMOCVD法によれば、原料ガスとしてはTMG((CH Ga)、TEG((CGa)、アルシン(AsH )、TMA((CHAl)、TEA((CAl)などが用いられ、導電型を制御するためのガスとしては、シラン(SiH)、セレン化水素(HSe)、TMZ((CH Zn)などが用いられ、キャリアガスとしては、Hなどが用いられる。
【0068】
上記のごとく、逆導電型半導体層3をMOCVD法により成膜するには、順次下記(1)〜(3)の各工程を経る。
【0069】
(1)…発光層3aをMOCVD法により成膜する。
【0070】
(2)…前記発光層3aよりもバンドギャップの大きいクラッド層(第2のクラッド層3b)を(1)工程と同一のMOCVD法により成膜する。
【0071】
(3)…前記発光層3aよりもバンドギャップの小さい発光吸収層3cを(1)工程と同一のMOCVD法により0.2μm以上の厚みに成膜する。
【0072】
なお、本例においては、薄膜形成手段としてMOCVD法を用いたが、これに代えて、MBE法、LPE法などを用いてもよい。
【0073】
次に一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3の積層体をエッチングにより各発光素子に対応して分離する。
【0074】
この工程には、エッチングにより半導体層2、3を島状にパターニングするが、このエッチングは、硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウエットエッチングやCClガスを用いたドライエッチングなどで行われる。
【0075】
そして、一導電型半導体層2の一端部側の一部が露出し、且つこの一導電型半導体層2の隣接する領域部分が露出するように逆導電型半導体層3が一導電型半導体層2よりも幅狭に形成されるように逆導電型半導体層3をエッチングする。
【0076】
このエッチングも硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウェットエッチングやCClガスを用いたドライエッチングなどで行なわれる。
【0077】
次に、プラズマCVD法で、シランガス(SiH)とアンモニアガス(NH )を用いて窒化シリコンから成る絶縁膜を形成する。
【0078】
この絶縁膜として感光性樹脂、ポリイミドなどを用いる場合は、スピンコート法等の方法で塗布しベーキングでの硬化により形成し、その後、パターニングする。
【0079】
さらにこれら一導電型半導体層2および逆導電型半導体層3に対しそれぞれ電極を接続する。すなわち、クロムと金を蒸着法やスパッタリング法で形成してパターニングする。
【0080】
そして、窒化シリコンやポリイミドから成る保護膜7を形成してパターニングする。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更や改良等は何ら差し支えない。
【0082】
たとえば、発光吸収層3cが、0.2μm未満であっても、少なくとも発光層と、この発光層よりもバンドギャップの大きいクラッド層と、この発光層よりもバンドギャップの小さい厚み0.2μm未満の発光吸収層を含み、発光層よりもバンドギャップの大きい層と交互に形成しを順次積層してなる場合も同様の効果がえられる。
【0083】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明のLEDアレイによれば、上記構成のごとく、逆導電型半導体層を、少なくとも発光層と、この発光層よりもバンドギャップの大きいクラッド層と、この発光層よりもバンドギャップの小さい厚み0.2μm以上の発光吸収層とを順次積層してなることで、発光バラツキを低減した高品質なLEDアレイが得られた。
【0084】
詳細には、半導体層の膜厚の不均一性に起因する発光傾向による発光バラツキという課題については、逆導電型半導体層の厚みが厚い部位では、発光強度が大きく、薄い部位では発光強度が小さくなっていたが、これに対し、本発明によれば、逆導電型半導体層の厚みが厚い部位では、発光がより吸収され、薄い部位では発光強度において発光吸収がより小さくなり、これにより、LEDアレイ所定の発光バラツキ規格に対し、それから外れるようなバラツキをもつLEDチップ(LEDアレイ)でもって製造歩留りを下がるという課題が解消され、その結果、低コストかつ高品質なLEDアレイが得られた。
【0085】
しかも、規格内のLEDアレイチップについても、そのチップ内で発光バラツキ傾向がなくなり、これによっても印画品質を向上させることができた。
【0086】
また、本発明のLEDアレイによれば、発光吸収層の厚みを0.2μm以上にしたことで、上記のごとき作用効果を確実に実現することができた。
【0087】
さらに本発明のLEDアレイの製造方法によれば、(1)発光層を薄膜形成手段により成膜する、(2)前記発光層よりもバンドギャップの大きいクラッド層を(1)工程と同一の薄膜形成手段により成膜する、(3)発光層よりもバンドギャップの小さい発光吸収層を(1)工程と同一の薄膜形成手段により0.2μm以上の厚みに成膜する、というように順次(1)〜(3)の各工程を経て逆導電型半導体層を成膜したことで、同一又は同種の材料を同一の成膜技術で形成したことで、LEDアレイ内の各素子の発光層の膜厚と発光吸収層の膜厚との比率がどの部位でもほぼ一定になるように形成でき、これにより、本発明のLEDアレイを得るためのプロセスの煩雑化を防ぎ、その結果、製造コストを下げて低コストかつ高品質を達成したLEDアレイの製造方法が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のLEDアレイに係る発光素子の要部を示す断面図である。
【図2】本発明のLEDアレイに係る発光素子のバンドギャップを示す図である。
【図3】従来のLEDアレイに係る発光素子のバンドギャップを示す図である。
【図4】本発明のLEDアレイの各発光素子数に対する発光強度をプロットした線図である。
【図5】発光吸収層の膜厚を0.2μm以上に規定した場合の発光層、第2のクラッド層、発光吸収層の各層厚の分布を示す図である。
【図6】発光吸収層の膜厚を0.2μm未満に規定した場合の発光層、第2のクラッド層、発光吸収層の各層厚の分布を示す図である。
【図7】従来のLEDアレイの各発光素子数に対する発光強度をプロットした線図である。
【図8】従来のLEDアレイにおける発光層と第2のクラッド層の各層厚の分布を示す図である。
【図9】従来のLEDアレイに係る発光素子の要部を示す断面図である。
【図10】従来のLEDアレイの平面図である。
【符号の説明】
1…基板
2…一導電型半導体層
2a…バッファ層
2b…オーミックコンタクト層
2c…電子注入層(第1のクラッド層)
3…逆導電型半導体層
3a…発光層
3b…第2のクラッド層
3c…発光吸収層
3d…第2のオーミックコンタクト層
4…個別電極
5…共通電極
6…絶縁膜
7…保護膜

Claims (5)

  1. 基板上に複数個の一導電型半導体層および逆導電型半導体層を設け、これら一導電型半導体層と逆導電型半導体層にそれぞれ電極を接続した発光素子を複数個配列してなるLEDアレイにおいて、前記逆導電型半導体層は、少なくとも発光層と、この発光層よりもバンドギャップの大きいクラッド層と、この発光層よりもバンドギャップの小さい発光吸収層とを順次積層してなることを特徴とするLEDアレイ。
  2. 前記発光吸収層の厚みが0.2μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のLEDアレイ。
  3. 基板上に一導電型半導体層を成膜し、次いで順次下記(1)〜(3)の各工程を経て逆導電型半導体層を成膜し、そして、これら一導電型半導体層と逆導電型半導体層の積層体をエッチングにより各発光素子に対応して分離せしめ、しかる後にこれら一導電型半導体層および逆導電型半導体層に対しそれぞれ電極を接続する工程を経て、少なくとも発光層とクラッド層と発光吸収層とを順次積層してなる逆導電型半導体層を備えた発光素子を複数個配列形成したことを特徴とするLEDアレイの製造方法。
    (1)…発光層を薄膜形成手段により成膜する。
    (2)…前記発光層よりもバンドギャップの大きいクラッド層を(1)工程と同一の薄膜形成手段により成膜する。
    (3)…前記発光層よりもバンドギャップの小さい発光吸収層を(1)工程と同一の薄膜形成手段により成膜する。
  4. 前記発光吸収層の厚みが0.2μm以上であることを特徴とする請求項3に記載のLEDアレイの製造方法。
  5. 前記薄膜形成手段がMOCVD法であることを特徴とする請求項3又は4に記載のLEDアレイの製造方法。
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