JP2004225924A - 冷凍サイクル制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得る。
【解決手段】冷媒圧縮機1と、凝縮器2と、膨張弁3と、蒸発器4とを備えた冷凍サイクルを制御するものにおいて、膨張弁3における冷媒膨張機能を制御する制御信号を生成する制御器6を設け、蒸発器4における冷媒の目標蒸発温度と凝縮器2における冷媒凝縮温度とに応じて制御器6における制御信号を生成し、蒸発器4出口側における冷媒過熱度をゼロとし、かつ、冷媒乾き度を1とする制御目的に向けて、膨張弁3における冷媒膨張機能を制御するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】冷媒圧縮機1と、凝縮器2と、膨張弁3と、蒸発器4とを備えた冷凍サイクルを制御するものにおいて、膨張弁3における冷媒膨張機能を制御する制御信号を生成する制御器6を設け、蒸発器4における冷媒の目標蒸発温度と凝縮器2における冷媒凝縮温度とに応じて制御器6における制御信号を生成し、蒸発器4出口側における冷媒過熱度をゼロとし、かつ、冷媒乾き度を1とする制御目的に向けて、膨張弁3における冷媒膨張機能を制御するようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷凍サイクル制御システム、特に、高圧圧力,低圧圧力により必要な膨張弁開度を求める冷凍サイクル制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(1)この発明が対象とする冷凍サイクルの基本構成は、既に広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
従来の技術では、このような構成において、蒸発器出口側の冷媒の状態は過熱度を十分とった状態で、冷媒を次の処理過程である圧縮機の吸込側に送るようになっている。
【0003】
(2)上記(1)項の従来技術に対し、蒸発器における有効伝熱面積の増大を目的として、蒸発器出口側の冷媒の状態を過熱度がほぼゼロの状態で取り出せる製品を開発する必要があった。
ここで、有効伝熱面積とは、蒸発器内で被冷却流体(水,ブライン等)と冷媒が熱交換する際、潜熱(即ち、液相から気相への)変化により熱交換を行う領域に相当する伝熱面積のことを指すものとする。
また、過熱度をほぼゼロと記しているのは、過熱度ゼロ、かつ、乾き度1の状態を温度や圧力等の計測により正確に把握することが困難なためである。
【0004】
(3)蒸発器の出口側の冷媒の状態は、過熱度がゼロ、かつ、乾き度が1の状態を理想とするが、温度と圧力等の計測によりこれを正確に把握することは困難である。困難な理由としては、測定対象の領域では冷媒が相変化を行っており、温度と圧力がほとんど変化せずに乾き度(即ち、気液の混合割合)の状態のみが変化することにある。
【0005】
(4)上記(2)項および(3)項における相反する問題点、即ち蒸発器から取り出す冷媒の状態を過熱度ゼロに極力近い状態として蒸発器での取り出し能力の最大化と、液冷媒が圧縮機の吸込側へ送られることにより、液冷媒の圧縮による圧縮機の損壊を回避することを両立させられるような、主膨張弁を制御するロジックの構築が必要であった。
【0006】
【特許文献1】
特開昭59−109748号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る冷凍サイクル制御システムでは、圧縮手段と、凝縮手段と、膨張手段と、蒸発手段とを備えた冷凍サイクルを制御するものにおいて、前記膨張手段における冷媒膨張機能を制御する制御信号を生成する制御手段を設け、前記蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度と前記凝縮手段における冷媒凝縮温度とに応じて前記制御手段における制御信号を生成し、前記蒸発手段出口側における冷媒過熱度をゼロとし、かつ、冷媒乾き度を1とする制御目的に向けて、前記膨張手段における冷媒膨張機能を制御するようにしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明による実施の形態1を図1ないし図4について説明する。図1は実施の形態1における構成を示すブロック図である。図2は実施の形態1における変形構成を示すブロック図である。図3は実施の形態1における特性を示すモリエル線図である。図4は実施の形態1における制御動作を示すフローチャートである。
【0010】
この発明による実施の形態1における構成を示す図1において、冷凍サイクルの基本要素を構成する冷媒圧縮機1は、フロン系冷媒やアンモニア冷媒等からなる冷媒を圧縮し冷媒配管P2を介して凝縮器2に送る。
凝縮器2において凝縮され液化された冷媒は、冷媒配管P3を介して電子式リニア膨張弁(LEV)からなる電子式膨張弁3へ送られ、電子式膨張弁3の弁開度に応じた膨張作用を受け圧力と温度を低下して、冷媒配管P4を介し蒸発器4へ送られる。
蒸発器4では、電子式膨張弁3により膨張作用を受けた冷媒を液相から気相に変化させて蒸発させ、その変化の際の潜熱により、蒸発器4に設けた被冷却流体流路を流れる水やブライン等の被冷却流体と熱交換を行うことによって被冷却流体を冷却する。
蒸発器4を出た冷媒は、アキュムレータや低圧レシーバ等の冷媒容器5に収容され、冷媒配管P1を介して冷媒圧縮機1に送られる。
【0011】
図1に示す冷媒戻し配管P5は、蒸発器4で余剰になった液状態の冷媒を冷媒圧縮機1側へは送れないので、蒸発器4の上流側へ戻すためのものである。ここでは、冷媒容器5にて、液状態の冷媒と、ガス状態の冷媒の比重の差を利用して、液状態の冷媒と、ガス状態の冷媒とをそれぞれ分離して、さらに、冷媒容器5を蒸発器4に比べて高い位置となるように設置して、前記で分離した液冷媒を重力の作用を利用して、冷媒容器5から蒸発器4の入口側に戻す冷媒自然循環方式を採用している。
そもそも、冷媒容器5を設けるのは、冷凍サイクルの運転状態の変化に伴う過渡的な状態の影響を吸収するためで、この発明による図1の形態では、冷媒容器5から圧縮機1までの間に、蒸発器4で余剰となった液冷媒を全て気化させるだけの加熱源を設けていないために、このような形態をとるものである。
他方、冷凍サイクル中の高温部の配管を冷媒容器5内に引き通すこと等により、蒸発器4で余剰となった液冷媒を、全て気化させるだけの加熱源を冷媒容器5内に組込む形態も考えられる。この場合は、図2に示すような形態で、冷媒戻し配管P5を省略して、装置全体を構成しても何ら差し支えはないものである。
【0012】
そして、図1および図2の構成に示される電子式膨張弁3は、制御器6によって制御される。
制御器6は、冷媒圧縮機1,凝縮器2,電子式膨張弁3および蒸発器4により構成される冷凍サイクル上の各種圧力,温度を入力として、これらの入力に応じ電子式膨張弁3の弁開度を制御する。
制御器6から、冷凍サイクルにおける各種圧力,温度の入力に応じて、膨張弁機構部の弁の開き具合の状態に相対するパルス数を変化するパルス信号からなる制御信号出力を電子式膨張弁3に印加し、このパルス出力の変化により電子式膨張弁3の弁開度を制御するものである。
【0013】
この発明による図1または図2に示す構成を具備する冷凍サイクル制御システムにおける制御動作を説明する。
【0014】
まず、この冷凍サイクル制御システムにおける制御動作の概要を図3について説明する。
図3は、この冷凍サイクルにおける冷媒状態に係る特性を示すモリエル線図である。
図3において、p1は図1または図2に示す冷媒配管P1におけるポイントp1の冷媒状態を示し、p2は図1または図2に示す冷媒配管P2におけるポイントp2の冷媒状態を示し、p3は図1または図2に示す冷媒配管P3におけるポイントp3の冷媒状態を示し、p4は図1または図2に示す冷媒配管P4におけるポイントp4の冷媒状態を示している。
【0015】
この発明における制御対象の中心的存在は、図1または図2に示すポイントp1からポイントp4への過程における冷媒を制御する電子式膨張弁3である。電子式膨張弁3によって蒸発器4に流入する冷媒量が制御される。
そして、制御器6では、冷凍サイクルの高圧圧力,低圧圧力、圧縮機の吐出ガス温度、蒸発器を流れる被冷却流体(水,ブライン等)の温度等を計測,認識して、後述する図4に示す制御ロジックに沿って、制御に使用しているパラメータや中間演算結果のような内部情報を参照しながら、電子式膨張弁3の弁開度を決定して、決定された弁開度に応じた制御信号を電子式膨張弁3に送り、電子式膨張弁3の弁開度の調節を行う。
【0016】
この発明による制御動作の狙いとしては、蒸発器での冷却能力を確保するために、必要な低圧圧力(実際は、それの相当飽和温度で、「目標蒸発温度」となる)の目標値を予め定め、目標ポイントとして据える。
この目標蒸発温度が決まれば、図3に示す過程p4→p1のラインの目標が定まる。
【0017】
一方、図3に示す過程p1→p2については、当該過程を表すラインが図3に実線で示すp1→p2となることを目標としている。
仮に、この過程が図3に1点鎖線で示すp1”→p2”となるような制御では、圧縮機の吸入側に大量の液冷媒が戻ることになり、液圧縮による圧縮機の損壊の原因となるため、制御内容として不可である。
また、仮に、この過程が図3に点線で示すp1’→p2’となるような制御では、圧縮機の吸込みガスの過熱度が付き過ぎた状態となるため、蒸発器の全伝熱面積を有効に利用できていないことになるため、制御内容として不可である。
【0018】
上記の過程p1、p1’、p1”の各状態を区別することを考えた場合、p1’は過熱ガス域にあるため、温度と圧力を計測することによりその状態を容易に識別可能であるが、他の2つの状態は圧力,温度ともにほぼ一定であるため、圧力と温度の計測結果からのみでは、詳細な状態を識別することができない。
ところが、p2、p2’、p2”の各状態では、全て過熱ガス域にあるため、温度と圧力を計測することによりその状態を容易に識別可能である。
また、圧縮機1による作用過程である、過程p1、p1’、p1”の各状態からp2、p2’、p2”の各状態へは、ほぼ等エントロピ変化で移行するので、圧縮機1の吸込み側の冷媒の状態が決まれば、圧縮機1の吐出側の冷媒状態は自ずと決まる。
【0019】
従って、圧縮器1の吐出側の状態(図3に示す状態p2、p2’、p2”に相当)について、吐出ガスの冷媒過熱度をその圧力と温度をチェックすることによって、圧縮機1の吸込側の状態(図3に示す状態p1、p1’、p1”に相当)が類推できるので、圧縮機1における吸込み側の冷媒状態が過熱度ゼロ、乾き度1の近傍となるように制御することが可能となる。
【0020】
このように、蒸発器4の出口側における冷媒過熱度をゼロとし、かつ、冷媒乾き度を1とする制御目的に向けて、電子式膨張弁3における弁開度を調整し冷媒膨張機能を制御することにより、蒸発器4における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1の損壊を的確に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0021】
次に、この冷凍サイクル制御システムにおける制御動作の詳細内容概要を図4について説明する。
図4は、この冷凍サイクル制御システムにおける制御ロジックによる制御動作を示すフローチャートである。
【0022】
図4におけるステップS1により制御動作が開始されると、ステップS2で演算パラメータがセットされ、ステップS3に進む。
【0023】
ステップS3において、ユニット起動時制御の要否が判別され、「要」であれば、ステップS4において、電子式膨張弁3の弁開度を所定の開度で一定時間するよう弁開度出力を制御する。
ユニット起動時制御の要否について、「否」と判別されれば、ステップS5へ進む。
【0024】
ステップS5において、圧力データの取り込みが行われ、冷凍サイクルにおける冷媒配管P2でのポイントp2に係る高圧圧力値、および、冷凍サイクルにおける冷媒配管P1でのポイントp1に係る低圧圧力値が取り込まれる。
【0025】
ステップS6において、温度データの取り込みが行われ、冷媒圧縮機1の吐出側における冷媒過熱度データ、および、蒸発器4における被冷却流体の温度データが取り込まれる。
【0026】
ステップS7において、緊急制御の要否が判別され、「要」であれば、電子式膨張弁3の弁開度を急激に絞る処理、または、電子式膨張弁3の弁開度を開く処理として、次の(A1)〜(A3)項に示される処理が行われる。
(A1)冷媒圧縮機1における吐出過熱度の急降下対応:冷媒圧縮機1において吐出側冷媒に過熱度の急降下現象が生じた場合には、吐出過熱度が所定値以下となると、電子式膨張弁3の弁開度をそれまでの弁開度に一定の係数k(k<1)を乗じた弁開度にして、電子式膨張弁3の弁開度を急激に絞り、電子式膨張弁3を通る冷媒液量を減らす。
(A2)高圧圧力の過昇回避対応:低圧圧力が所定値以上となった場合、電子式膨張弁3の弁開度を一定量絞り、この絞り状態は低圧圧力が再び所定値に下がるまで継続する。冷媒圧縮機1におけるモータの巻線温度の不当上昇による絶縁劣化の回避を狙いとする。
(A3)凝縮器2の冷媒液量の適正保持対応:凝縮器2の冷媒液量が多くなった場合は、一時的に電子式膨張弁3を開いて、蒸発器4側へ冷媒を流す。高圧圧力の過上昇に応動して冷凍サイクルの動作を停止する、いわゆる高圧カットの回避を狙いとする。
凝縮器2の冷媒液量が少なくなった場合は、一時的に電子式膨張弁3を絞って、凝縮器2内の冷媒液量の回復を図る。高圧液冷媒の一部を、圧縮機の圧縮機構の潤滑等に利用しているため、仮にこの高圧の液冷媒は無くなるような状態になると、圧縮機の圧縮機構部が焼き付きを起し、冷凍サイクルの運転ができなくなるので、その状態を回避することを狙いとする。
そして、緊急制御の要否について、「否」と判別されれば、ステップS9へ進む。
【0027】
ステップS9において、電子式膨張弁3についての目標弁開度の算出が行われる。
この目標弁開度は、次式〔1〕に示すように、膨張弁機構部の弁の開き具合の状態に相対するパルス数で規定される電子式膨張弁3の弁開度制御信号Vp を、冷媒凝縮温度CTと目標の冷媒蒸発温度ET0 とに応じて求めることにより、得られる。fは関数であり、qは冷媒循環量の影響を加味した圧縮機容量制御段階を示すものである。
Vp =f(CT,ET0 ,q) ……… 式〔1〕
ここで、冷媒凝縮温度CTは、高圧圧力の飽和温度換算により求められる。目標の冷媒蒸発温度ET0 は、被冷却流体(水,ブライン等)の蒸発器4出口側温度と蒸発器4出口側での被冷却流体と冷媒の温度差によるアプローチにより求められる。
【0028】
ステップS10において、電子式膨張弁3についての目標弁開度に対する次の(B1)項および(B2)項に示す事項について補正が行われる。
(B1)目標の蒸発温度と実蒸発温度の差:目標の冷媒蒸発温度と低圧圧力を飽和温度換算して求めた実蒸発温度との差を極力なくすように、前記式〔1〕の結果に乗じる補正係数を求める。
(B2)冷媒圧縮機1の吐出過熱度の過不足の調整:冷媒圧縮機1の吐出過熱度の適正範囲を予め設定しておく。その範囲よりも吐出過熱度が小さくなった場合、電子式膨張弁3の弁開度を絞るため、前記式〔1〕の結果に乗じる補正係数を求める。この際、最新の値と、直前の数点の値を保持,参照して、変化の推移の状態にも配慮した形で行う。
【0029】
ステップS11において、電子式膨張弁3に対する弁開度制御信号について出力が行われる。
【0030】
このように、蒸発器4の出口側における冷媒過熱度をゼロとし、かつ、冷媒乾き度を1とする制御目的に向けて、電子式膨張弁3における弁開度を調整し冷媒膨張機能を制御することにより、蒸発器4における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1の損壊を的確に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができるとともに、次の(A1)〜(A3)項および(B1),(B2)項に記載した効果を奏することができるものである。
(A1)冷媒圧縮機1における吐出過熱度の急降下に対応できるようになるため、圧縮機の吸込側における、冷媒の液圧縮の状態を回避できて、冷凍サイクルが様々な運転状態となった場合においても、圧縮機の保護が可能になる。
(A2)高圧圧力の過昇を回避し、冷媒圧縮機1におけるモータの巻線温度の不当上昇による絶縁劣化を回避する。
(A3)凝縮器2の冷媒液量を適正に保持し、高圧圧力の過上昇に応動して冷凍サイクルの動作を停止する、いわゆる高圧カットを回避するとともに、高圧液冷媒の一部を、圧縮機の圧縮機構の潤滑等に利用しているため、仮にこの高圧の液冷媒は無くなるような状態になると、圧縮機の圧縮機構部が焼き付きを起し、冷凍サイクルの運転ができなくなるので、その状態を回避する。
(B1)目標の蒸発温度と実蒸発温度の差を極力なくすことができるようになるため、蒸発器4における冷却能力を適切に確保することができて、また蒸発器4の凍結による熱交換器の破裂の発生を回避できて、冷凍サイクルを構成する各機器の保護が可能になる。
(B2)冷媒圧縮機1の吐出過熱度の過不足を調整し、冷媒圧縮機1の吐出過熱度を適正範囲に維持できるようになるため、蒸発器4においては、適正な能力を確保することができて、かつ、圧縮機の液圧縮などの現象から保護することができる。このことは、当発明における冷凍サイクルを運転する際に、蒸発器での能力確保と、圧縮機運転中の保護という相反する制約条件を両立させて、冷凍サイクルを運転することができることを意味する。
【0031】
この発明による実施の形態としては、その具体的形態について、製氷用途のチラーユニットを構成する冷凍サイクルの制御システムを想定するとともに、その冷凍サイクルには冷媒圧縮機としてスクリュー圧縮機を採用し、図1および図2に示す冷媒容器5を具備するものを想定している。
しかし、以上に記述した制御ロジックに基づくこの発明は、冷凍サイクルの用途や、圧縮機の種類,冷媒容器の有無にかかわらず、広く適用できるものであると考えられる。
【0032】
この発明による実施の形態においては、次の(1)〜(9)項にそれぞれ示す構成を具備し、次の(1)〜(9)項における各構成では、次の(1)〜(9)項にそれぞれ記載した効果を奏するものである。
(1) 冷媒を圧縮する冷媒圧縮機1からなる圧縮手段と、前記冷媒圧縮機1からなる圧縮手段により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器2からなる凝縮手段と、前記凝縮器2からなる凝縮手段により凝縮された冷媒を膨張させる電子式膨張弁3からなる膨張手段と、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段により膨張される冷媒を蒸発させる蒸発器4からなる蒸発手段とを備えた冷凍サイクルを制御するものにおいて、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における弁開度を制御し前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の冷媒膨張機能を制御する制御信号を生成する制御器6からなる制御手段を設け、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度と前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度とに応じて前記制御器6からなる制御手段における制御信号を生成し、この制御信号を前記電子式膨張弁3からなる膨張手段に印加して、前記蒸発器4からなる蒸発手段出口側における冷媒過熱度をゼロとし、かつ、冷媒乾き度を1とする制御目的に向けて、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における弁開度を制御し前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の冷媒膨張機能を制御するようにしたので、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0033】
(2) 前記(1)項の構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式としての式〔1〕の解により、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度Vp を求め、この弁開度Vp に応じて制御器6から出力される弁開度制御信号によって、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するようにしたので、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式である式〔1〕の解Vp により前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御することによって、前記蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0034】
(3) 前記(2)項の構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の蒸発温度を、前記冷凍サイクルにおける低圧圧力としての冷媒配管P1の圧力p1を飽和温度に換算したものから求め、この冷媒の蒸発温度を前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度に近づけるように前記関係式としての式〔1〕において補正係数を乗じることにより前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度を求めて、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するようにしたので、蒸発手段における冷媒の蒸発温度を、前記冷凍サイクルにおける低圧圧力を飽和温度に換算したものから求め、この冷媒の蒸発温度を前記蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度に近づけるように前記関係式としての式〔1〕において補正係数を乗じることにより前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度を求めて、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式である式〔1〕の解Vp により前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御することによって、前記蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0035】
(4) 前記(1)〜(3)項のいずれかの構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度を、前記蒸発器4からなる蒸発手段において冷却される水,ブライン等の被冷却流体の蒸発手段出口側温度、および、前記蒸発器4からなる蒸発手段出口側での水,ブライン等の被冷却流体と冷媒の温度差により求めるようにしたので、的確に導出された前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度により、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0036】
(5) 前記(1)〜(4)項のいずれかの構成において、前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度を、前記冷凍サイクルにおける高圧圧力としての冷媒配管P2の圧力p2を飽和温度に換算したものから求めるようにしたので、的確に導出された前記凝縮手段における冷媒凝縮温度により、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0037】
(6) 前記(1)〜(5)項のいずれかの構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式としての式〔1〕の解により、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度Vp を求め、この弁開度Vp に応じて制御器6から出力される弁開度制御信号によって、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するとともに、冷媒圧縮機1の吐出側における冷媒の過熱度が所定の範囲に収まるように前記関係式としての式〔1〕において補正係数を乗じることにより前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度を求めて、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するようにしたので、冷媒圧縮機1の吐出側における冷媒の過熱度が所定の範囲に収まるように前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御することにより、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0038】
(7) 前記(1)〜(6)項のいずれかの構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式としての式〔1〕の解により、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度Vp を求め、この弁開度Vp に応じて制御器6から出力される弁開度制御信号によって、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するとともに、前記冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の吐出側における冷媒の過熱度がある値以下となった場合、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段へ液冷媒が戻ることを回避するために、それまでの弁開度に一定の定数k(k<1)を乗じた弁開度にして、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段を通る冷媒流量を減らすように制御するようにしたので、前記冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の吐出側における冷媒の過熱度がある値以下となった場合、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段を通る冷媒流量を減らすように制御することにより、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0039】
(8) 前記(1)〜(7)項のいずれかの構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式としての式〔1〕の解により、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度Vp を求め、この弁開度Vp に応じて制御器6から出力される弁開度制御信号によって、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するとともに、低圧圧力としての冷媒配管P1の圧力p1がある値以上になった場合、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の過負荷を回避するために、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における弁開度を一定量絞るように制御するようにしたので、低圧圧力がある値以上になった場合、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における弁開度を一定量絞るように制御することにより、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0040】
(9) 前記(1)〜(8)項のいずれかの構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式としての式〔1〕の解により、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度Vp を求め、この弁開度Vp に応じて制御器6から出力される弁開度制御信号によって、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するとともに、前記凝縮器2からなる凝縮手段内の液冷媒の量を常に適正なレベルに保つため、液冷媒量が多くなった場合は弁開度を一時的に開き、液冷媒量が少なくなった場合は弁開度を一時的に絞るように前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するようにしたので、液冷媒量が多くなった場合は弁開度を一時的に開き、液冷媒量が少なくなった場合は弁開度を一時的に絞るように前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御することにより、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0041】
【発明の効果】
この発明によれば、蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による実施の形態における構成を示すブロック図である。
【図2】この発明による実施の形態における変形構成を示すブロック図である。
【図3】この発明による実施の形態における特性を示すモリエル線図である。
【図4】この発明による実施の形態における制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 冷媒圧縮機、2 凝縮器、3 電子式膨張弁、4 蒸発器、5 冷媒容器、6 制御器。
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷凍サイクル制御システム、特に、高圧圧力,低圧圧力により必要な膨張弁開度を求める冷凍サイクル制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(1)この発明が対象とする冷凍サイクルの基本構成は、既に広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
従来の技術では、このような構成において、蒸発器出口側の冷媒の状態は過熱度を十分とった状態で、冷媒を次の処理過程である圧縮機の吸込側に送るようになっている。
【0003】
(2)上記(1)項の従来技術に対し、蒸発器における有効伝熱面積の増大を目的として、蒸発器出口側の冷媒の状態を過熱度がほぼゼロの状態で取り出せる製品を開発する必要があった。
ここで、有効伝熱面積とは、蒸発器内で被冷却流体(水,ブライン等)と冷媒が熱交換する際、潜熱(即ち、液相から気相への)変化により熱交換を行う領域に相当する伝熱面積のことを指すものとする。
また、過熱度をほぼゼロと記しているのは、過熱度ゼロ、かつ、乾き度1の状態を温度や圧力等の計測により正確に把握することが困難なためである。
【0004】
(3)蒸発器の出口側の冷媒の状態は、過熱度がゼロ、かつ、乾き度が1の状態を理想とするが、温度と圧力等の計測によりこれを正確に把握することは困難である。困難な理由としては、測定対象の領域では冷媒が相変化を行っており、温度と圧力がほとんど変化せずに乾き度(即ち、気液の混合割合)の状態のみが変化することにある。
【0005】
(4)上記(2)項および(3)項における相反する問題点、即ち蒸発器から取り出す冷媒の状態を過熱度ゼロに極力近い状態として蒸発器での取り出し能力の最大化と、液冷媒が圧縮機の吸込側へ送られることにより、液冷媒の圧縮による圧縮機の損壊を回避することを両立させられるような、主膨張弁を制御するロジックの構築が必要であった。
【0006】
【特許文献1】
特開昭59−109748号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る冷凍サイクル制御システムでは、圧縮手段と、凝縮手段と、膨張手段と、蒸発手段とを備えた冷凍サイクルを制御するものにおいて、前記膨張手段における冷媒膨張機能を制御する制御信号を生成する制御手段を設け、前記蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度と前記凝縮手段における冷媒凝縮温度とに応じて前記制御手段における制御信号を生成し、前記蒸発手段出口側における冷媒過熱度をゼロとし、かつ、冷媒乾き度を1とする制御目的に向けて、前記膨張手段における冷媒膨張機能を制御するようにしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明による実施の形態1を図1ないし図4について説明する。図1は実施の形態1における構成を示すブロック図である。図2は実施の形態1における変形構成を示すブロック図である。図3は実施の形態1における特性を示すモリエル線図である。図4は実施の形態1における制御動作を示すフローチャートである。
【0010】
この発明による実施の形態1における構成を示す図1において、冷凍サイクルの基本要素を構成する冷媒圧縮機1は、フロン系冷媒やアンモニア冷媒等からなる冷媒を圧縮し冷媒配管P2を介して凝縮器2に送る。
凝縮器2において凝縮され液化された冷媒は、冷媒配管P3を介して電子式リニア膨張弁(LEV)からなる電子式膨張弁3へ送られ、電子式膨張弁3の弁開度に応じた膨張作用を受け圧力と温度を低下して、冷媒配管P4を介し蒸発器4へ送られる。
蒸発器4では、電子式膨張弁3により膨張作用を受けた冷媒を液相から気相に変化させて蒸発させ、その変化の際の潜熱により、蒸発器4に設けた被冷却流体流路を流れる水やブライン等の被冷却流体と熱交換を行うことによって被冷却流体を冷却する。
蒸発器4を出た冷媒は、アキュムレータや低圧レシーバ等の冷媒容器5に収容され、冷媒配管P1を介して冷媒圧縮機1に送られる。
【0011】
図1に示す冷媒戻し配管P5は、蒸発器4で余剰になった液状態の冷媒を冷媒圧縮機1側へは送れないので、蒸発器4の上流側へ戻すためのものである。ここでは、冷媒容器5にて、液状態の冷媒と、ガス状態の冷媒の比重の差を利用して、液状態の冷媒と、ガス状態の冷媒とをそれぞれ分離して、さらに、冷媒容器5を蒸発器4に比べて高い位置となるように設置して、前記で分離した液冷媒を重力の作用を利用して、冷媒容器5から蒸発器4の入口側に戻す冷媒自然循環方式を採用している。
そもそも、冷媒容器5を設けるのは、冷凍サイクルの運転状態の変化に伴う過渡的な状態の影響を吸収するためで、この発明による図1の形態では、冷媒容器5から圧縮機1までの間に、蒸発器4で余剰となった液冷媒を全て気化させるだけの加熱源を設けていないために、このような形態をとるものである。
他方、冷凍サイクル中の高温部の配管を冷媒容器5内に引き通すこと等により、蒸発器4で余剰となった液冷媒を、全て気化させるだけの加熱源を冷媒容器5内に組込む形態も考えられる。この場合は、図2に示すような形態で、冷媒戻し配管P5を省略して、装置全体を構成しても何ら差し支えはないものである。
【0012】
そして、図1および図2の構成に示される電子式膨張弁3は、制御器6によって制御される。
制御器6は、冷媒圧縮機1,凝縮器2,電子式膨張弁3および蒸発器4により構成される冷凍サイクル上の各種圧力,温度を入力として、これらの入力に応じ電子式膨張弁3の弁開度を制御する。
制御器6から、冷凍サイクルにおける各種圧力,温度の入力に応じて、膨張弁機構部の弁の開き具合の状態に相対するパルス数を変化するパルス信号からなる制御信号出力を電子式膨張弁3に印加し、このパルス出力の変化により電子式膨張弁3の弁開度を制御するものである。
【0013】
この発明による図1または図2に示す構成を具備する冷凍サイクル制御システムにおける制御動作を説明する。
【0014】
まず、この冷凍サイクル制御システムにおける制御動作の概要を図3について説明する。
図3は、この冷凍サイクルにおける冷媒状態に係る特性を示すモリエル線図である。
図3において、p1は図1または図2に示す冷媒配管P1におけるポイントp1の冷媒状態を示し、p2は図1または図2に示す冷媒配管P2におけるポイントp2の冷媒状態を示し、p3は図1または図2に示す冷媒配管P3におけるポイントp3の冷媒状態を示し、p4は図1または図2に示す冷媒配管P4におけるポイントp4の冷媒状態を示している。
【0015】
この発明における制御対象の中心的存在は、図1または図2に示すポイントp1からポイントp4への過程における冷媒を制御する電子式膨張弁3である。電子式膨張弁3によって蒸発器4に流入する冷媒量が制御される。
そして、制御器6では、冷凍サイクルの高圧圧力,低圧圧力、圧縮機の吐出ガス温度、蒸発器を流れる被冷却流体(水,ブライン等)の温度等を計測,認識して、後述する図4に示す制御ロジックに沿って、制御に使用しているパラメータや中間演算結果のような内部情報を参照しながら、電子式膨張弁3の弁開度を決定して、決定された弁開度に応じた制御信号を電子式膨張弁3に送り、電子式膨張弁3の弁開度の調節を行う。
【0016】
この発明による制御動作の狙いとしては、蒸発器での冷却能力を確保するために、必要な低圧圧力(実際は、それの相当飽和温度で、「目標蒸発温度」となる)の目標値を予め定め、目標ポイントとして据える。
この目標蒸発温度が決まれば、図3に示す過程p4→p1のラインの目標が定まる。
【0017】
一方、図3に示す過程p1→p2については、当該過程を表すラインが図3に実線で示すp1→p2となることを目標としている。
仮に、この過程が図3に1点鎖線で示すp1”→p2”となるような制御では、圧縮機の吸入側に大量の液冷媒が戻ることになり、液圧縮による圧縮機の損壊の原因となるため、制御内容として不可である。
また、仮に、この過程が図3に点線で示すp1’→p2’となるような制御では、圧縮機の吸込みガスの過熱度が付き過ぎた状態となるため、蒸発器の全伝熱面積を有効に利用できていないことになるため、制御内容として不可である。
【0018】
上記の過程p1、p1’、p1”の各状態を区別することを考えた場合、p1’は過熱ガス域にあるため、温度と圧力を計測することによりその状態を容易に識別可能であるが、他の2つの状態は圧力,温度ともにほぼ一定であるため、圧力と温度の計測結果からのみでは、詳細な状態を識別することができない。
ところが、p2、p2’、p2”の各状態では、全て過熱ガス域にあるため、温度と圧力を計測することによりその状態を容易に識別可能である。
また、圧縮機1による作用過程である、過程p1、p1’、p1”の各状態からp2、p2’、p2”の各状態へは、ほぼ等エントロピ変化で移行するので、圧縮機1の吸込み側の冷媒の状態が決まれば、圧縮機1の吐出側の冷媒状態は自ずと決まる。
【0019】
従って、圧縮器1の吐出側の状態(図3に示す状態p2、p2’、p2”に相当)について、吐出ガスの冷媒過熱度をその圧力と温度をチェックすることによって、圧縮機1の吸込側の状態(図3に示す状態p1、p1’、p1”に相当)が類推できるので、圧縮機1における吸込み側の冷媒状態が過熱度ゼロ、乾き度1の近傍となるように制御することが可能となる。
【0020】
このように、蒸発器4の出口側における冷媒過熱度をゼロとし、かつ、冷媒乾き度を1とする制御目的に向けて、電子式膨張弁3における弁開度を調整し冷媒膨張機能を制御することにより、蒸発器4における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1の損壊を的確に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0021】
次に、この冷凍サイクル制御システムにおける制御動作の詳細内容概要を図4について説明する。
図4は、この冷凍サイクル制御システムにおける制御ロジックによる制御動作を示すフローチャートである。
【0022】
図4におけるステップS1により制御動作が開始されると、ステップS2で演算パラメータがセットされ、ステップS3に進む。
【0023】
ステップS3において、ユニット起動時制御の要否が判別され、「要」であれば、ステップS4において、電子式膨張弁3の弁開度を所定の開度で一定時間するよう弁開度出力を制御する。
ユニット起動時制御の要否について、「否」と判別されれば、ステップS5へ進む。
【0024】
ステップS5において、圧力データの取り込みが行われ、冷凍サイクルにおける冷媒配管P2でのポイントp2に係る高圧圧力値、および、冷凍サイクルにおける冷媒配管P1でのポイントp1に係る低圧圧力値が取り込まれる。
【0025】
ステップS6において、温度データの取り込みが行われ、冷媒圧縮機1の吐出側における冷媒過熱度データ、および、蒸発器4における被冷却流体の温度データが取り込まれる。
【0026】
ステップS7において、緊急制御の要否が判別され、「要」であれば、電子式膨張弁3の弁開度を急激に絞る処理、または、電子式膨張弁3の弁開度を開く処理として、次の(A1)〜(A3)項に示される処理が行われる。
(A1)冷媒圧縮機1における吐出過熱度の急降下対応:冷媒圧縮機1において吐出側冷媒に過熱度の急降下現象が生じた場合には、吐出過熱度が所定値以下となると、電子式膨張弁3の弁開度をそれまでの弁開度に一定の係数k(k<1)を乗じた弁開度にして、電子式膨張弁3の弁開度を急激に絞り、電子式膨張弁3を通る冷媒液量を減らす。
(A2)高圧圧力の過昇回避対応:低圧圧力が所定値以上となった場合、電子式膨張弁3の弁開度を一定量絞り、この絞り状態は低圧圧力が再び所定値に下がるまで継続する。冷媒圧縮機1におけるモータの巻線温度の不当上昇による絶縁劣化の回避を狙いとする。
(A3)凝縮器2の冷媒液量の適正保持対応:凝縮器2の冷媒液量が多くなった場合は、一時的に電子式膨張弁3を開いて、蒸発器4側へ冷媒を流す。高圧圧力の過上昇に応動して冷凍サイクルの動作を停止する、いわゆる高圧カットの回避を狙いとする。
凝縮器2の冷媒液量が少なくなった場合は、一時的に電子式膨張弁3を絞って、凝縮器2内の冷媒液量の回復を図る。高圧液冷媒の一部を、圧縮機の圧縮機構の潤滑等に利用しているため、仮にこの高圧の液冷媒は無くなるような状態になると、圧縮機の圧縮機構部が焼き付きを起し、冷凍サイクルの運転ができなくなるので、その状態を回避することを狙いとする。
そして、緊急制御の要否について、「否」と判別されれば、ステップS9へ進む。
【0027】
ステップS9において、電子式膨張弁3についての目標弁開度の算出が行われる。
この目標弁開度は、次式〔1〕に示すように、膨張弁機構部の弁の開き具合の状態に相対するパルス数で規定される電子式膨張弁3の弁開度制御信号Vp を、冷媒凝縮温度CTと目標の冷媒蒸発温度ET0 とに応じて求めることにより、得られる。fは関数であり、qは冷媒循環量の影響を加味した圧縮機容量制御段階を示すものである。
Vp =f(CT,ET0 ,q) ……… 式〔1〕
ここで、冷媒凝縮温度CTは、高圧圧力の飽和温度換算により求められる。目標の冷媒蒸発温度ET0 は、被冷却流体(水,ブライン等)の蒸発器4出口側温度と蒸発器4出口側での被冷却流体と冷媒の温度差によるアプローチにより求められる。
【0028】
ステップS10において、電子式膨張弁3についての目標弁開度に対する次の(B1)項および(B2)項に示す事項について補正が行われる。
(B1)目標の蒸発温度と実蒸発温度の差:目標の冷媒蒸発温度と低圧圧力を飽和温度換算して求めた実蒸発温度との差を極力なくすように、前記式〔1〕の結果に乗じる補正係数を求める。
(B2)冷媒圧縮機1の吐出過熱度の過不足の調整:冷媒圧縮機1の吐出過熱度の適正範囲を予め設定しておく。その範囲よりも吐出過熱度が小さくなった場合、電子式膨張弁3の弁開度を絞るため、前記式〔1〕の結果に乗じる補正係数を求める。この際、最新の値と、直前の数点の値を保持,参照して、変化の推移の状態にも配慮した形で行う。
【0029】
ステップS11において、電子式膨張弁3に対する弁開度制御信号について出力が行われる。
【0030】
このように、蒸発器4の出口側における冷媒過熱度をゼロとし、かつ、冷媒乾き度を1とする制御目的に向けて、電子式膨張弁3における弁開度を調整し冷媒膨張機能を制御することにより、蒸発器4における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1の損壊を的確に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができるとともに、次の(A1)〜(A3)項および(B1),(B2)項に記載した効果を奏することができるものである。
(A1)冷媒圧縮機1における吐出過熱度の急降下に対応できるようになるため、圧縮機の吸込側における、冷媒の液圧縮の状態を回避できて、冷凍サイクルが様々な運転状態となった場合においても、圧縮機の保護が可能になる。
(A2)高圧圧力の過昇を回避し、冷媒圧縮機1におけるモータの巻線温度の不当上昇による絶縁劣化を回避する。
(A3)凝縮器2の冷媒液量を適正に保持し、高圧圧力の過上昇に応動して冷凍サイクルの動作を停止する、いわゆる高圧カットを回避するとともに、高圧液冷媒の一部を、圧縮機の圧縮機構の潤滑等に利用しているため、仮にこの高圧の液冷媒は無くなるような状態になると、圧縮機の圧縮機構部が焼き付きを起し、冷凍サイクルの運転ができなくなるので、その状態を回避する。
(B1)目標の蒸発温度と実蒸発温度の差を極力なくすことができるようになるため、蒸発器4における冷却能力を適切に確保することができて、また蒸発器4の凍結による熱交換器の破裂の発生を回避できて、冷凍サイクルを構成する各機器の保護が可能になる。
(B2)冷媒圧縮機1の吐出過熱度の過不足を調整し、冷媒圧縮機1の吐出過熱度を適正範囲に維持できるようになるため、蒸発器4においては、適正な能力を確保することができて、かつ、圧縮機の液圧縮などの現象から保護することができる。このことは、当発明における冷凍サイクルを運転する際に、蒸発器での能力確保と、圧縮機運転中の保護という相反する制約条件を両立させて、冷凍サイクルを運転することができることを意味する。
【0031】
この発明による実施の形態としては、その具体的形態について、製氷用途のチラーユニットを構成する冷凍サイクルの制御システムを想定するとともに、その冷凍サイクルには冷媒圧縮機としてスクリュー圧縮機を採用し、図1および図2に示す冷媒容器5を具備するものを想定している。
しかし、以上に記述した制御ロジックに基づくこの発明は、冷凍サイクルの用途や、圧縮機の種類,冷媒容器の有無にかかわらず、広く適用できるものであると考えられる。
【0032】
この発明による実施の形態においては、次の(1)〜(9)項にそれぞれ示す構成を具備し、次の(1)〜(9)項における各構成では、次の(1)〜(9)項にそれぞれ記載した効果を奏するものである。
(1) 冷媒を圧縮する冷媒圧縮機1からなる圧縮手段と、前記冷媒圧縮機1からなる圧縮手段により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器2からなる凝縮手段と、前記凝縮器2からなる凝縮手段により凝縮された冷媒を膨張させる電子式膨張弁3からなる膨張手段と、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段により膨張される冷媒を蒸発させる蒸発器4からなる蒸発手段とを備えた冷凍サイクルを制御するものにおいて、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における弁開度を制御し前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の冷媒膨張機能を制御する制御信号を生成する制御器6からなる制御手段を設け、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度と前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度とに応じて前記制御器6からなる制御手段における制御信号を生成し、この制御信号を前記電子式膨張弁3からなる膨張手段に印加して、前記蒸発器4からなる蒸発手段出口側における冷媒過熱度をゼロとし、かつ、冷媒乾き度を1とする制御目的に向けて、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における弁開度を制御し前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の冷媒膨張機能を制御するようにしたので、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0033】
(2) 前記(1)項の構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式としての式〔1〕の解により、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度Vp を求め、この弁開度Vp に応じて制御器6から出力される弁開度制御信号によって、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するようにしたので、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式である式〔1〕の解Vp により前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御することによって、前記蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0034】
(3) 前記(2)項の構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の蒸発温度を、前記冷凍サイクルにおける低圧圧力としての冷媒配管P1の圧力p1を飽和温度に換算したものから求め、この冷媒の蒸発温度を前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度に近づけるように前記関係式としての式〔1〕において補正係数を乗じることにより前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度を求めて、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するようにしたので、蒸発手段における冷媒の蒸発温度を、前記冷凍サイクルにおける低圧圧力を飽和温度に換算したものから求め、この冷媒の蒸発温度を前記蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度に近づけるように前記関係式としての式〔1〕において補正係数を乗じることにより前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度を求めて、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式である式〔1〕の解Vp により前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御することによって、前記蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0035】
(4) 前記(1)〜(3)項のいずれかの構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度を、前記蒸発器4からなる蒸発手段において冷却される水,ブライン等の被冷却流体の蒸発手段出口側温度、および、前記蒸発器4からなる蒸発手段出口側での水,ブライン等の被冷却流体と冷媒の温度差により求めるようにしたので、的確に導出された前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度により、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0036】
(5) 前記(1)〜(4)項のいずれかの構成において、前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度を、前記冷凍サイクルにおける高圧圧力としての冷媒配管P2の圧力p2を飽和温度に換算したものから求めるようにしたので、的確に導出された前記凝縮手段における冷媒凝縮温度により、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0037】
(6) 前記(1)〜(5)項のいずれかの構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式としての式〔1〕の解により、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度Vp を求め、この弁開度Vp に応じて制御器6から出力される弁開度制御信号によって、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するとともに、冷媒圧縮機1の吐出側における冷媒の過熱度が所定の範囲に収まるように前記関係式としての式〔1〕において補正係数を乗じることにより前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度を求めて、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するようにしたので、冷媒圧縮機1の吐出側における冷媒の過熱度が所定の範囲に収まるように前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御することにより、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0038】
(7) 前記(1)〜(6)項のいずれかの構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式としての式〔1〕の解により、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度Vp を求め、この弁開度Vp に応じて制御器6から出力される弁開度制御信号によって、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するとともに、前記冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の吐出側における冷媒の過熱度がある値以下となった場合、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段へ液冷媒が戻ることを回避するために、それまでの弁開度に一定の定数k(k<1)を乗じた弁開度にして、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段を通る冷媒流量を減らすように制御するようにしたので、前記冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の吐出側における冷媒の過熱度がある値以下となった場合、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段を通る冷媒流量を減らすように制御することにより、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0039】
(8) 前記(1)〜(7)項のいずれかの構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式としての式〔1〕の解により、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度Vp を求め、この弁開度Vp に応じて制御器6から出力される弁開度制御信号によって、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するとともに、低圧圧力としての冷媒配管P1の圧力p1がある値以上になった場合、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の過負荷を回避するために、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における弁開度を一定量絞るように制御するようにしたので、低圧圧力がある値以上になった場合、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における弁開度を一定量絞るように制御することにより、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0040】
(9) 前記(1)〜(8)項のいずれかの構成において、前記蒸発器4からなる蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮器2からなる凝縮手段における冷媒凝縮温度と、電子式膨張弁3からなる前記膨張手段の弁開度との関係式としての式〔1〕の解により、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段の弁開度Vp を求め、この弁開度Vp に応じて制御器6から出力される弁開度制御信号によって、前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するとともに、前記凝縮器2からなる凝縮手段内の液冷媒の量を常に適正なレベルに保つため、液冷媒量が多くなった場合は弁開度を一時的に開き、液冷媒量が少なくなった場合は弁開度を一時的に絞るように前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するようにしたので、液冷媒量が多くなった場合は弁開度を一時的に開き、液冷媒量が少なくなった場合は弁開度を一時的に絞るように前記電子式膨張弁3からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御することにより、蒸発器4からなる蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、冷媒圧縮機1からなる圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを得ることができる。
【0041】
【発明の効果】
この発明によれば、蒸発手段における伝熱能力を適切に向上でき、かつ、圧縮手段の損壊を確実に回避できる冷凍サイクル制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による実施の形態における構成を示すブロック図である。
【図2】この発明による実施の形態における変形構成を示すブロック図である。
【図3】この発明による実施の形態における特性を示すモリエル線図である。
【図4】この発明による実施の形態における制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 冷媒圧縮機、2 凝縮器、3 電子式膨張弁、4 蒸発器、5 冷媒容器、6 制御器。
Claims (9)
- 冷媒を圧縮する圧縮手段と、前記圧縮手段により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮手段と、前記凝縮手段により凝縮された冷媒を膨張させる膨張手段と、前記膨張手段により膨張される冷媒を蒸発させる蒸発手段とを備えた冷凍サイクルを制御するものにおいて、前記膨張手段における冷媒膨張機能を制御する制御信号を生成する制御手段を設け、前記蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度と前記凝縮手段における冷媒凝縮温度とに応じて前記制御手段における制御信号を生成し、前記蒸発手段出口側における冷媒過熱度をゼロとし、かつ、冷媒乾き度を1とする制御目的に向けて、前記膨張手段における冷媒膨張機能を制御することを特徴とする冷凍サイクル制御システム。
- 前記蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮手段における冷媒凝縮温度と、膨張弁からなる前記膨張手段の弁開度との関係式の解により、前記膨張弁からなる膨張手段の弁開度を求め、前記膨張弁からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御することを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル制御システム。
- 前記蒸発手段における冷媒の蒸発温度を、前記冷凍サイクルにおける低圧圧力を飽和温度に換算したものから求め、この冷媒の蒸発温度を前記蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度に近づけるように前記関係式において補正係数を乗じることにより前記膨張弁からなる膨張手段の弁開度を求めて、前記膨張弁からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御することを特徴とする請求項2に記載の冷凍サイクル制御システム。
- 前記蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度を、前記蒸発手段において冷却される被冷却流体の蒸発手段出口側温度、および、前記蒸発手段出口側での被冷却流体と冷媒の温度差により求めることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の冷凍サイクル制御システム。
- 前記凝縮手段における冷媒凝縮温度を、前記冷凍サイクルにおける高圧圧力を飽和温度に換算したものから求めることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の冷凍サイクル制御システム。
- 前記蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮手段における冷媒凝縮温度と、膨張弁からなる前記膨張手段の弁開度との関係式の解により、前記膨張弁からなる膨張手段の弁開度を求め、前記膨張弁からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するとともに、圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度が所定の範囲に収まるように前記関係式において補正係数を乗じることにより前記膨張弁からなる膨張手段の弁開度を求めて、前記膨張弁からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の冷凍サイクル制御システム。
- 前記蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮手段における冷媒凝縮温度と、膨張弁からなる前記膨張手段の弁開度との関係式の解により、前記膨張弁からなる膨張手段の弁開度を求め、前記膨張弁からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するとともに、前記圧縮手段の吐出側における冷媒の過熱度がある値以下となった場合、圧縮手段へ液冷媒が戻ることを回避するために、それまでの弁開度に一定の定数を乗じた弁開度にして、前記膨張弁からなる膨張手段を通る冷媒流量を減らすように制御することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の冷凍サイクル制御システム。
- 前記蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮手段における冷媒凝縮温度と、膨張弁からなる前記膨張手段の弁開度との関係式の解により、前記膨張弁からなる膨張手段の弁開度を求め、前記膨張弁からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するとともに、低圧圧力がある値以上になった場合、圧縮手段の過負荷を回避するために、前記膨張弁からなる膨張手段における弁開度を一定量絞るように制御することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の冷凍サイクル制御システム。
- 前記蒸発手段における冷媒の目標蒸発温度および前記凝縮手段における冷媒凝縮温度と、膨張弁からなる前記膨張手段の弁開度との関係式の解により、前記膨張弁からなる膨張手段の弁開度を求め、前記膨張弁からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御するとともに、前記凝縮手段内の液冷媒の量を適正なレベルに保つため、液冷媒量が多くなった場合は弁開度を一時的に開き、液冷媒量が少なくなった場合は弁開度を一時的に絞るように前記膨張弁からなる膨張手段における冷媒膨張機能を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の冷凍サイクル制御システム。
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