JP2004212609A - 液晶表示装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラビング法を使用することなく液晶分子の配向制御を容易にした液晶表示装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】第1の基板1と第2の基板2とその基板間に注入された液晶層3とを有し、各画素領域内の液晶分子14のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置において、各画素領域の四辺を、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部15と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部16とで囲み、且つその柱状突起部15、16の側面10bを疎水性とし、前記基板面を親水性とすることにより、上記課題を解決した。また、その製造方法は、第1の基板表面および第2の基板表面に感光性樹脂を塗布し、その後露光・現像して柱状突起部を形成する工程、親水化処理可能な疎水性被膜を前記柱状突起部が形成された基板面上の全面に塗布する工程、および、前記柱状突起部の側面以外を親水化処理する工程、を有する。
【選択図】 図3
【解決手段】第1の基板1と第2の基板2とその基板間に注入された液晶層3とを有し、各画素領域内の液晶分子14のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置において、各画素領域の四辺を、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部15と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部16とで囲み、且つその柱状突起部15、16の側面10bを疎水性とし、前記基板面を親水性とすることにより、上記課題を解決した。また、その製造方法は、第1の基板表面および第2の基板表面に感光性樹脂を塗布し、その後露光・現像して柱状突起部を形成する工程、親水化処理可能な疎水性被膜を前記柱状突起部が形成された基板面上の全面に塗布する工程、および、前記柱状突起部の側面以外を親水化処理する工程、を有する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、テレビジョン画像やコンピュータ画像などを表示する液晶表示パネルにおいて、液晶分子の配向制御を容易にした液晶表示装置およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラー表示可能な液晶表示パネルを有する液晶表示装置の利用が急速に拡大している。一般的な液晶表示装置を構成する液晶表示パネルは、図8に示すように、第1の基板101と、これに対向する第2の基板102と、第1の基板および第2の基板間に介在する液晶層103とを備えた構造を有している。第1の基板の内側面には、マトリックス状に配置された画素領域に画素電極104および薄膜トランジスタ(TFT)105が形成され、さらにその画素電極上に液晶配向膜106が形成されている。一方、第2の基板の内側面には、R(赤)・G(緑)・B(青)の各画素領域を有するカラーフィルター層107が形成されている。この第2の基板には、カラーフィルター層107以外に、漏れ光を遮蔽するブラックマトリクス層が形成されている。このブラックマトリクス層は、第1の基板であるデバイス基板の走査配線、信号配線、TFT領域、その他光漏洩領域を覆うようにして配置されている。また、カラーフィルター層上には共通透明電極108が形成され、さらにその共通透明電極上に液晶配向膜109が形成されている。また、液晶層103は、第1の基板および第2の基板間に、各画素内の液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転するツイストネマチック(TN)等の液晶を注入することにより形成されている。
【0003】
こうした液晶表示パネルにおいては、第1の基板101と第2の基板102との間に所定の高さのスペーサ110が任意の間隔で形成されており、セルギャップが一定の値となるように設計されている。さらに、液晶表示パネルの両外側面、すなわち第1および第2の基板の外側面には偏光板111、112が設けられると共に、第1の基板101側からバックライトが装着されている。そして、このバックライトから光113を照射すると共に、TFTにより画素電極104および共通透明電極108間の電圧を制御することにより、液晶の配列状態を制御してカラー画像を表示している。
【0004】
液晶配向膜の材料としては、従来よりポリビニルアルコール、ポリイミド、またはその前駆体であるポリアミック酸等の高分子材料が広く用いられている。また、液晶配向膜の成膜方法としては、例えばポリイミド等を有機溶媒に溶解させた溶液をスピンナー等により回転塗布し、焼成する等の方法が行われている。さらに、液晶配向膜の配向処理としてはフェルト布等を用いてラビングするラビング法が行われており、そのラビング法を施すことにより液晶配向能が付与されている。
【0005】
しかし、従来のラビング法においては、液晶配向膜をラビング布で擦る手法であるために、擦る際に発生する静電気またはラビング布のゴミが有する静電気によりTFTが損傷を受け、歩留まりが低下するという問題があった。また、ラビング布から発生するゴミやラビング時に巻き込んだゴミが液晶表示パネル内に残り、表示ムラ等の表示欠陥が生じたりするという問題もあった。
【0006】
こうした問題に対しては、従来より種々の提案がなされており、例えば下記特許文献1、2においては、凹凸パターンを有するマスク基板を利用し、感光性樹脂からなる被膜の表面を露光・現像してその凹凸パターンを転写する方法が提案され、ラビング法を用いない液晶配向膜を形成している。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−325956号公報(段落番号0005〜0007)
【特許文献2】
特開平10−325957号公報(段落番号0005〜0007)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のラビング法で生じる問題を解決する他の手段の提供を目的とするものであって、ラビング法を使用することなく液晶分子の配向制御を容易にした液晶表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1の液晶表示装置は、第1の基板と第2の基板と当該基板間に注入された液晶層とを有し、各画素領域内の液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置において、各画素領域の四辺が、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とで囲まれ、且つ、当該柱状突起部の側面が疎水性であり、前記基板面が親水性であることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置において、その液晶分子の配向制御が、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とにより行われる。すなわち、一方の基板面側においては、平行に設けられた一対の柱状突起部の側面が疎水性となっているので、液晶分子の分子長軸をその疎水面に垂直になるように整列し水平配向させることができる。一方、対向する基板面においては、前記柱状突起部に直交する他の一対の柱状突起部の側面が疎水性となっているので、液晶分子の分子長軸をその疎水面に垂直になるように整列し水平配向させることができる。したがって、親水性を有する対向する基板面の間に注入された液晶分子は、そのダイレクタが対向する基板面と平行な面内で乱れることなく90°回転するように配向することとなる。こうした構造を有する液晶表示装置は、従来のようなラビング布を用いたときに生じる問題を起こすことがなく、歩留まりの低下を起こさない。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の液晶表示装置において、前記画素領域周辺にはブラックマトリクス層が形成され、前記柱状突起部が、該ブラックマトリクス層上またはその上方に該ブラックマトリクス層の幅よりも小さい幅で形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置において、前記柱状突起部の側面および基板面が、フッ素系シリコーンまたはポリイミドで被覆されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の液晶表示装置において、液晶性分子が、前記柱状突起部の側面に対して分子長軸が垂直となるように水平配向していることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するための請求項5の液晶表示装置の製造方法は、第1の基板と第2の基板と当該基板間に注入された液晶層とを有し、各画素領域の四辺が、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とで囲まれてなり、各画素領域内の液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置の製造方法であって、第1の基板表面および第2の基板表面に感光性樹脂を塗布し、その後露光・現像して柱状突起部を形成する工程、親水化処理可能な疎水性被膜を前記柱状突起部が形成された基板面上の全面に塗布する工程、および、前記柱状突起部の側面以外を親水化処理する工程、を有することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、液晶分子を配向制御する柱状突起部を、液晶表示装置を構成する他の成膜手段と同じ塗布、露光および現像等からなるフォトリソグラフィーにより形成できるので、製造工程の簡略化を図ることができ、歩留まりを向上させることができる。こうして製造された液晶表示装置は、液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置において、その液晶分子の配向制御を、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とで行うことができる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5に記載の液晶表示装置の製造方法において、前記親水化処理可能な疎水性被膜が、フッ素系シリコーン被膜またはポリイミド被膜であり、前記柱状突起部の側面以外の面を親水化処理する工程が、光触媒層を有するマスクを利用した露光処理を含むことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液晶表示装置およびその製造方法について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置は、各画素領域内の液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で90°回転する水平配向方式の液晶表示装置であって、図1に示すように、第1の基板1と、第2の基板2と、対向する基板間に注入された液晶層3とを有している。本発明の液晶表示装置においては、第1の基板1および第2の基板2が、カラーフィルター基板とデバイス(TFT)基板の何れかを構成している。以下においては、第1の基板1をカラーフィルター基板1として説明し、第2の基板2をデバイス基板2として説明する。
【0019】
カラーフィルター基板1は、ガラス基板12上にマトリクス状のカラーフィルター層7が形成された基板であり、さらに詳しくは、ガラス基板12の内側面に、R(赤)G(緑)B(青)の各画素領域を形成するカラーフィルター層7と、漏れ光を遮蔽するためにその画素領域の周縁部に形成されているブラックマトリクス層8とを有する基板である。このブラックマトリクス層8は、デバイス基板2のTFT素子5、走査配線や信号配線等のライン電極6、その他光漏洩領域を覆うようにして配置されている。カラーフィルター層7上には共通透明電極9が形成され、さらにその共通透明電極9上の画素領域の表面10aには親水性被膜10(図3を参照)が形成されている。なお、本発明を構成するカラーフィルター基板1は、現在一般的に使用されている構成を有するものであれば特に限定されず、前記以外の構成を備えているものであっても構わない。
【0020】
一方、デバイス基板2は、ガラス基板12上にマトリクス状のTFT素子5が個々の画素領域として形成された基板であり、さらに詳しくは、ガラス基板12の内側面に、マトリックス状に配置された画素電極4、薄膜電界トランジスタ(TFT)素子5およびライン電極6が形成され、さらにその画素電極4上には親水性被膜10(図3を参照)が形成されている基板である。なお、本発明を構成するデバイス基板2は、現在一般的に使用されている構成を有するものであれば特に限定されず、前記以外の構成を備えているものであっても構わない。なお、図3において、符号18はドレイン電極、符号19はシリコン半導体膜(例えばn+a−Si/a−Si)、符号20はゲート電極、符号21はソース電極、符号22はゲート絶縁膜、符号23は保護膜である。
【0021】
液晶層3は、図2に示すように、各画素領域内の液晶分子14のダイレクタが対向する基板面(1、2)と平行な面内で回転するツイストネマチック(以下、TNと略することがある。)等の液晶を注入することにより形成されている。そして、液晶分子14は、カラーフィルター基板1およびデバイス基板2の間の液晶層3の厚さ全体にわたって、ねじれ角90°のねじれ配列をしている水平配列モード(水平配向方式ともいう。)となっている。なお、ダイレクタとは、液晶分子14の平均的配向方向を表す単位ベクトルのことであり、図2(a)は電圧オフの時のTN液晶分子14のダイレクタのねじれ配列の形態を示しており、図2(b)は電極間に電場を加えた時のTN液晶分子14のダイレクタの変形配列の形態を示している。
【0022】
水平配向方式の液晶配向においては、電圧オフの時の液晶分子に若干のチルトが生じて液晶分子のダイレクタが基板面に平行にならないものもある。本発明の液晶表示装置においては、液晶分子のダイレクタの回転軸が基板面に直交する場合(すなわち、液晶分子のダイレクタが基板面に平行となる場合)に限らず、ダイレクタの回転軸が基板面に実質的に直交する場合(すなわち、電圧オフの時の液晶分子に若干のチルトが生じて液晶分子のダイレクタが基板面に平行にならない場合)であっても、液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置を包含するものである。
【0023】
図3は、本発明の液晶表示装置を構成する画素領域の一例を示す断面図であり、図4は、図3の液晶表示装置を構成する画素領域を平面視したときの説明図である。本発明の液晶表示装置において、各々の画素領域の四辺は、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部15と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部16とで囲まれている。例えば、図3に示すように、一対の柱状突起部15は、カラーフィルター基板面から下方に突き出すように形成され、他の一対の柱状突起部16は、デバイス基板面から上方に突き出すように形成される。このときカラーフィルター基板面から下方に突き出した柱状突起部15は、画素領域の対向する2辺を構成し、デバイス基板面から上方に突き出した柱状突起部16は、画素領域の対向する他の2辺を構成する。したがって、画素領域は、こうした柱状突起部15、16で囲まれている。柱状突起部15、16を画素領域の四辺に形成する理由は、画素領域の四辺に相当する部位にブラックマトリクス層8が形成されているからである。そのため、柱状突起部15、16を画素領域の四辺に形成しても、その柱状突起部が液晶画像の形成の障害になることがない。
【0024】
柱状突起部15、16は、透明電極上または、透明電極上に予め設けられた樹脂被膜上等に形成される。なお、ここでいう樹脂被膜とは、後述する親水性被膜または疎水性被膜の何れかになる樹脂被膜のことである。
【0025】
柱状突起部15、16の大きさは、図3および図4に示すように、長さについては画素領域の辺の長さと同じ長さであることが好ましい。通常、長い方の辺は20〜200μm程度であり、短い方の辺は5〜20μm程度である。また、断面高さについては、液晶層3の厚さ(すなわち、カラーフィルター基板とデバイス基板のギャップ)の10%〜100%程度であることが好ましい。断面高さの割合が10%未満では、液晶分子のダイレクタを制御する配向規制力を確保しにくくなる。また、断面幅については、ブラックマトリックス層8の幅よりも小さい幅で形成されていることが好ましい。例えば、ブラックマトリクス層8の幅は通常5〜10μmであるので、5〜10μmの範囲であって且つブラックマトリクス層8の幅よりも小さいことが好ましい。
【0026】
柱状突起部15、16を形成する材料としては、紫外線硬化性透明アクリル樹脂等の感光性樹脂を好ましく用いることができる。感光性樹脂は、フォトリソグラフィーで露光・現像することにより、柱状突起部15、16が上記パターンおよび形状となるように容易に形成することができるので、好ましく用いられる。また、もともと疎水性であるが親水化処理をすることにより親水性とすることができる樹脂や、もともと親水性であるが疎水化処理をすることにより疎水性とすることができる樹脂を用いることもできる。特に好ましくは、もともと疎水性であるが親水化処理をすることにより親水性とすることができる樹脂であり、例えば、東芝シリコーン製等の撥水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂、または、液晶配向膜用の樹脂として通常使用されている垂直配向用ポリイミド樹脂を挙げることができる。
【0027】
なお、親水化処理や疎水化処理により親/疎水性を変化させることができない樹脂で柱状突起部を形成する場合には、柱状突起部15、16の側面11bまたは上面10b等の全面を、上述した親/疎水性を変化させることができる樹脂をコーティングすることが好ましい。本発明においては、上述した手段により、柱状突起部15、16の側面11bが疎水性の被膜11となっていることに特徴がある。
【0028】
液晶層3に接する側のカラーフィルター基板面およびデバイス基板面は、親水性被膜10が設けられる。その親水性被膜10は、もともと親水性を有する樹脂からなるものであっても、親水化処理により親水性に変化するものであってもよく、特に限定されない。なお、親水性被膜10の厚さについては特に限定されないが、例えば10nm〜100nmであることが好ましい。
【0029】
もともと親水性を有する樹脂としては、液晶配向膜用の樹脂として通常使用されている水平配向用ポリイミド樹脂等を挙げることができ、例えば、水平配向用のポリイミド樹脂組成物である日産化学社製のSN−7492等々の市販品を例示できる。また、親水化処理することにより親水性に変化する樹脂としては、撥水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂または液晶配向膜用の樹脂として通常使用されている垂直配向用ポリイミド樹脂等を挙げることができ、例えば、東芝シリコーン製の撥水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂等々の市販品や、垂直配向用のポリイミド樹脂組成物である日本合成ゴム製のJALS−688等々の市販品を例示できる。
【0030】
本発明においては、柱状突起部15、16の側面11bが疎水性被膜11で形成されていると共に、各基板の液晶層側の画素領域の表面10aが親水性被膜10で形成されているので、図3および図4に示すように、例えばカラーフィルター基板の表面10aの親水性被膜10付近の液晶分子14は基板面に平行となるように水平配向し、さらに、画素領域の二辺に形成された柱状突起部15の側面近傍の液晶分子14も分子長軸がその側面11bに形成された疎水性被膜11に垂直となるように整列するので基板面に平行となるように水平配向する。さらに、デバイス基板表面10aの親水性被膜10付近の液晶分子14は基板面に平行となるように水平配向し、さらに、画素領域の他の二辺に形成された柱状突起部16の側面11bの疎水性被膜11近傍の液晶分子14も分子長軸がその側面11bに形成された疎水性被膜に垂直となるように整列するので基板面に平行となるように水平配向する。上述したように、柱状突起部15と柱状突起部16とが異なる平行辺を構成しているので、TN液晶分子は、ねじれ角90°のねじれ配列に乱れがない水平配列モードとなることができる。
【0031】
以上のように、本発明の液晶表示装置によれば、液晶分子の配向制御が、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とにより行われる。したがって、親水性被膜10が形成された対向する基板面の間に注入された液晶分子14は、そのダイレクタが対向する基板面と平行な面内で乱れることなく90°回転するように配向することとなる。こうした構造を有する液晶表示装置は、従来のようなラビング布を用いたときに生じる問題を起こすことがなく、歩留まりの低下を起こさない。
【0032】
なお、液晶表示装置において、基板12としてはガラスや透明プラスチック等の透明基板が用いられ、画素電極4および透明電極9としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明電極が好ましく用いられる。また、カラーフィルター基板1とデバイス基板2との間隔を所定の値にするためのスペーサが形成され、セルギャップを一定の値にしている。各基板の外側には、偏光板13が設けられ(図1参照)、デバイス基板側のさらに外側にはバックライトが設けられる。
【0033】
(液晶表示装置の製造方法)
次に、上述した液晶表示装置の製造方法について説明する。本発明の液晶表示装置の製造方法は、上述した構成からなる液晶表示装置の製造方法であって、その特徴は、▲1▼第1の基板表面(例えばカラーフィルター基板の表面)および第2の基板表面(例えばデバイス基板の表面)に感光性樹脂を塗布し、その後露光・現像して柱状突起部を形成する工程、▲2▼親水化処理可能な疎水化被膜を柱状突起部が形成された基板面上の全面に塗布する工程、▲3▼柱状突起部の側面以外を親水化処理する工程、を有することにある。なお、液晶表示装置を製造するためにその他の製造工程については従来と同様である。
【0034】
上記▲1▼の工程において、感光性樹脂としては、紫外線硬化性透明アクリル樹脂等が挙げられる。その感光性樹脂の露光は、アライナー等で行うことができ、感光性樹脂の塗布手段としては、スピンコート等を挙げることができる。
【0035】
上記▲2▼の工程において、親水化処理可能な疎水性被膜としては、フッ素系シリコーン被膜や水平配向用ポリイミド被膜等を挙げることができ、その塗布手段としては、スピンコートや各種の印刷手段を挙げることができる。この塗布手段により、親水化処理可能な疎水化被膜を柱状突起部が形成された基板面上の全面に塗布することができる。したがって、柱状突起部の外周全部にも塗布されている。
【0036】
上記▲3▼の工程は、柱状突起部の側面11b以外を親水化処理する工程である。柱状突起部の側面以外の面には、少なくともカラーフィルター基板の表面が含まれ、また、柱状突起部15、16の上面10bが含まれていてもよい。それらの面を親水化処理する方法としては、図5および図6に示すように、(i)親水化処理可能な疎水性被膜をコーティングし、その疎水性被膜を光触媒層を有するマスクを利用して露光し、親水化する方法(図5を参照)、(ii)光触媒を含有する疎水性被膜をコーティングし、その疎水性被膜をマスクを用いて露光して親水化する方法(図6を参照)、等を挙げることができる。
【0037】
上記(i)工程においては、疎水性被膜31として、上述したフッ素系シリコーン被膜やポリイミド被膜を挙げることができる。光触媒層を有するマスクを利用した親水化処理は、図5に示すように、先ず、マスクパターン33が形成された基板32上に光触媒層34を形成したマスク38と、疎水性被膜31が形成された第1の基板または第2の基板とを準備し(図5(a))、その光触媒層34を有するマスク38と疎水性被膜31とが所定の間隔となるように対向させ(図5(b))、そこに露光光35を照射することにより(図5(c))、親水性被膜36を形成することができる(図5(d))。
【0038】
この光触媒層34は、バインダー中に光触媒である酸化チタンを含有させたものである。酸化チタンは、アナターゼ型のものが好ましく、また、バインダー中に20〜40重量%の割合で含有させることが好ましい。酸化チタンの平均粒径はおよそ5〜20μmであることが好ましい。酸化チタンの代わりに、ZnOなどを光触媒として用いてもよい。こうした光触媒層34に例えば380nm以下の露光光31が照射されることにより、光触媒粒子内で光電気化学反応が起こり、露光された疎水性被膜31を酸化還元させることができる。その結果、疎水性被膜31を親水性に変化させることができる。
【0039】
また、マスク38と疎水性被膜31との間隔は、光触媒反応により生じた活性酸素種等をその隙間に容易に発生させ、作用させることができる間隔であることが好ましく、およそ5〜20μmの間隔となるように配置することが好ましい。
【0040】
上記(ii)工程においては、疎水性被膜31として、上述した光触媒を含有するフッ素系シリコーン被膜やポリイミド被膜を挙げることができる。親水化処理は、図6に示すように、先ず、基板32上にマスクパターン33が形成されたマスク39と、光触媒を含有する疎水性被膜31が形成された第1の基板または第2の基板とを準備し(図6(a))、そのマスク39と、光触媒を含有する疎水性被膜37とが所定の間隔となるように対向させ(図6(b))、そこに露光光35を照射することにより(図6(c))、親水性被膜36を形成することができる(図6(d))。
【0041】
この疎水性被膜37は、バインダー中に光触媒である酸化チタンを含有させたものである。酸化チタンは、上記同様、アナターゼ型のものが好ましく、また、バインダー中に20〜40重量%の割合で含有させることが好ましい。酸化チタンの平均粒径はおよそ5〜20μmであることが好ましい。酸化チタンの代わりに、ZnOなどを光触媒として用いてもよい。こうした疎水性被膜37に例えば380nm以下の露光光35が照射されることにより、含有する光触媒粒子内で光電気化学反応が起こり、疎水性被膜を酸化還元させることができる。その結果、疎水性被膜を親水性被膜に変化させることができる。また、マスク39と疎水性被膜37との間隔についても、上記(i)の場合と同様である。なお、(i)の工程と(ii)の工程とを比べると、(i)の工程をより好ましく適用することができる。
【0042】
図7は、疎水性被膜が親水性被膜に変化する表面反応の一例を示す説明図である。図7(a)は、疎水性被膜表面の側鎖に活性酸素種等がアタックし、その側差の結合を切断する様子を示しており、図7(b)は、切断された部位に水酸基が結合して親水性に変化する様子を示している。
【0043】
図7の表面反応を生じさせる親水化処理に際しては、疎水性被膜と光触媒層を有するマスクとを、所定の間隔(例えば5〜20μm)で配置することが好ましい。疎水性被膜と光触媒層を有するマスクとを所定の間隔に配置することにより、光触媒反応により生じた活性酸素種等をその隙間に容易に発生させることができる。活性酸素種等としては、光触媒粒子内での光電気化学反応に基づいて生じる活性酸素または活性水酸基が挙げられ、それらの活性酸素種等が図7(a)に示す側鎖(例えばアルキル側鎖)にアタックし、その側差の結合が切断される。側鎖が切断された部分には、その活性酸素種等が入れ替わって結合し、図7(b)に示す親水性に変化する。
【0044】
なお、柱状突起部15、16については、柱状突起部の上面10bのみを親水化処理を施し、側面11bには親水化処理を施さない。柱状突起部の側面11bを親水化処理しないためには、平行な露光光を当てることにより、柱状突起部の上面10bのみに光を当て、側面11bには露光光が当たらないようにするとよい。また、柱状突起部の側面11bのみをマスク(遮蔽)して露光光が当たらないようにすることも効果的である。
【0045】
以上のように、本発明の液晶表示装置の製造方法は、液晶分子を配向制御する柱状突起部を、液晶表示装置を構成する他の成膜手段と同じ塗布、露光および現像等からなるフォトリソグラフィーにより形成できるので、製造工程の簡略化を図ることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳しく説明する。
【0047】
(実施例1)
<カラーフィルター基板側の配向制御膜の形成工程>
先ず、透明電極9としてITOが形成されたカラーフィルター基板1を準備し、その透明電極9上に、柱状突起部形成用の感光性樹脂組成物(JSR社製、NN−777)をスピンコートし、その後露光・現像して、カラーフィルター基板1のブラックマトリックス層8の幅(幅約10μm)より小さい幅を持つ柱状突起部15(高さ約1〜2μm、幅約5〜10μm、長さ約20〜100μm)を形成した。この柱状突起部15は、図3の符号25のように、一対の平行辺を構成するように形成した。
【0048】
次に、柱状突起部15を含むカラーフィルター基板1の全面に、親水化処理可能な疎水性樹脂組成物(垂直配向用のポリイミド樹脂組成物、日本合成ゴム製、JALS−688)をスピンコートし、厚さ60〜100nmの疎水性被膜を形成した。
【0049】
次に、その疎水性被膜上に、光触媒層33を有するマスク38を、約20μmの間隔を保持するように配置し、その後波長200〜370nmの紫外線で露光処理した。露光に際しては、柱状突起部15の側面11bが露光されないように、露光光をカラーフィルター基板に向かって垂直方向から照射し、その側面11bの露光光が当たらないようにした。露光された部分は、疎水性被膜から親水性被膜に変化した。
【0050】
なお、マスク38は、基板32上にクロム薄膜からなる所定のマスクパターン33が形成され、さらにそのマスクパターン33上にアナターゼ型酸化チタン粒子を光触媒として含有する厚さ0.05〜0.5μmの光触媒層34が形成されている。この光触媒層34は、バインダー樹脂(シリコーン樹脂)中に酸化チタン粒子が約10〜100重量%含有されている。なお、酸化チタン100重量%とは、酸化チタンのみで光触媒層34を形成した場合である。
【0051】
こうして、カラーフィルター基板の透明電極上の画素表面10aと、柱状突起部15の上面10bとを疎水性から親水性に変化させ、柱状突起部15の側面11bを疎水性のままとした、カラーフィルター基板を形成した。
【0052】
<デバイス基板側の配向制御膜の形成工程>
先ず、画素電極4としてITOが形成されたデバイス基板2を準備し、その画素電極4上に、柱状突起部形成用の感光性樹脂組成物(JSR社製、NN−777)をスピンコートし、その後露光・現像して、上述したカラーフィルター基板1のブラックマトリックス層8の幅(幅約10μm)より小さい幅を持つ柱状突起部15(高さ約1〜2μm、幅約5〜10μm、長さ約20〜100μm)を形成した。この柱状突起部16は、図3の符号26のように、一対の平行辺を構成するように形成した。
【0053】
次に、柱状突起部16を含むデバイス基板2の全面に、親水化処理可能な疎水性樹脂組成物(垂直配向用のポリイミド樹脂組成物、日本合成ゴム製、JALS−688)をスピンコートし、厚さ60〜100nmの疎水性被膜を形成した。
【0054】
次に、その疎水性被膜上の所定の面を露光処理し、疎水性から親水性に変化させた。その露光処理は、上述したカラーフィルター基板の形成工程で適用した手段と同じ手段により行った。
【0055】
こうして、デバイス基板の画素電極上の画素表面10aと、柱状突起部16の上面10bとを疎水性から親水性に変化させ、柱状突起部16の側面11bを疎水性のままとした、デバイス基板を形成した。
【0056】
<液晶表示装置>
上記の方法により形成されたカラーフィルター基板とデバイス基板を一定距離で対向させ、その間に液晶を注入して液晶層を形成した。このとき、カラーフィルター基板に形成された柱状突起部15とデバイス基板に形成された柱状突起部16とで、単位画素領域の四辺が囲まれた。そして、その画素領域内の液晶分子は、そのダイレクタが対向する基板面と平行な面内で、電圧印加時に約90°回転する水平配向方式の液晶表示装置を構成することができた。
【0057】
この液晶表示装置において、液晶性分子は、柱状突起部15、16の側面11bに対して分子長軸が垂直となるように水平配向していることが確認された。
【0058】
(実施例2)
実施例1において、柱状突起部15を含むカラーフィルター基板1の全面に形成する親水化処理可能な疎水性樹脂組成物として、撥水性のフッ素系シリコーン樹脂(東芝シリコーン製、TSL8233およびTSL8114)を用い、さらに、柱状突起部16を含むデバイス基板2の全面に形成する親水化処理可能な疎水性樹脂組成物として、撥水性のフッ素系シリコーン樹脂(東芝シリコーン製、TSL8233およびTSL8114)を用いた他は、実施例1と同様にして、実施例2の液晶表示装置を構成した。
【0059】
上記の方法により形成されたカラーフィルター基板とデバイス基板を一定距離で対向させ、その間に液晶を注入して液晶層を形成した。このとき、カラーフィルター基板に形成された柱状突起部15とデバイス基板に形成された柱状突起部16とで、単位画素領域の四辺が囲まれた。そして、その画素領域内の液晶分子は、そのダイレクタが対向する基板面と平行な面内で、電圧印加時に約90°回転する水平配向方式の液晶表示装置を構成することができた。
【0060】
この液晶表示装置において、液晶性分子は、柱状突起部15、16の側面11bに対して分子長軸が垂直となるように水平配向していることが確認された。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液晶表示装置によれば、液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置において、その液晶分子の配向制御が、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とにより行われるので、液晶分子の分子長軸を各柱状突起部の疎水面に垂直になるように整列し水平配向させることができる。そのため、親水性を有する対向する基板面の間に注入された液晶分子は、そのダイレクタが対向する基板面と平行な面内で乱れることなく回転するように配向することとなる。
【0062】
また、本発明の液晶表示装置の製造方法によれば、液晶分子を配向制御する柱状突起部を、液晶表示装置を構成する他の成膜手段と同じ塗布、露光および現像等からなるフォトリソグラフィーにより形成できるので、製造工程の簡略化を図ることができ、歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の基本的な構成を説明する概略図である。
【図2】本発明に適用するTN液晶分子のねじれ配列の形態を示す説明図である。
【図3】本発明の液晶表示装置を構成する画素領域の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の液晶表示装置を構成する画素領域の一例を示す平面図である。
【図5】光触媒を用いた親水化処理方法の一例を示す説明図である。
【図6】光触媒を用いた親水化処理方法の他の一例を示す説明図である。
【図7】疎水性被膜が親水性に変化する表面反応の一例を示す説明図である。
【図8】一般的な液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 カラーフィルター基板
2 デバイス基板
3 液晶層
4 画素電極
5 TFT素子
6 ライン電極
7 カラーフィルター層
8 ブラックマトリクス層
9 透明電極
10、36 親水性被膜
10a 画素領域の表面
10b 柱状突起部の上面
11、31 疎水性被膜
11b 柱状突起部の側面
12 ガラス基板
13 偏光板
14 液晶分子
15、16 柱状突起部
17 保護膜
18 ドレイン電極
19 シリコン半導体膜
20 ゲート電極
21 ソース電極
22 ゲート絶縁膜
23 保護膜
25 カラーフィルター基板側の柱状突起部
26 デバイス基板側の柱状突起部
32 基板
33 マスクパターン
34 光触媒層
35 露光光
37 光触媒を含有する疎水性被膜
38 光触媒層を有するマスク
39 マスク
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、テレビジョン画像やコンピュータ画像などを表示する液晶表示パネルにおいて、液晶分子の配向制御を容易にした液晶表示装置およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラー表示可能な液晶表示パネルを有する液晶表示装置の利用が急速に拡大している。一般的な液晶表示装置を構成する液晶表示パネルは、図8に示すように、第1の基板101と、これに対向する第2の基板102と、第1の基板および第2の基板間に介在する液晶層103とを備えた構造を有している。第1の基板の内側面には、マトリックス状に配置された画素領域に画素電極104および薄膜トランジスタ(TFT)105が形成され、さらにその画素電極上に液晶配向膜106が形成されている。一方、第2の基板の内側面には、R(赤)・G(緑)・B(青)の各画素領域を有するカラーフィルター層107が形成されている。この第2の基板には、カラーフィルター層107以外に、漏れ光を遮蔽するブラックマトリクス層が形成されている。このブラックマトリクス層は、第1の基板であるデバイス基板の走査配線、信号配線、TFT領域、その他光漏洩領域を覆うようにして配置されている。また、カラーフィルター層上には共通透明電極108が形成され、さらにその共通透明電極上に液晶配向膜109が形成されている。また、液晶層103は、第1の基板および第2の基板間に、各画素内の液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転するツイストネマチック(TN)等の液晶を注入することにより形成されている。
【0003】
こうした液晶表示パネルにおいては、第1の基板101と第2の基板102との間に所定の高さのスペーサ110が任意の間隔で形成されており、セルギャップが一定の値となるように設計されている。さらに、液晶表示パネルの両外側面、すなわち第1および第2の基板の外側面には偏光板111、112が設けられると共に、第1の基板101側からバックライトが装着されている。そして、このバックライトから光113を照射すると共に、TFTにより画素電極104および共通透明電極108間の電圧を制御することにより、液晶の配列状態を制御してカラー画像を表示している。
【0004】
液晶配向膜の材料としては、従来よりポリビニルアルコール、ポリイミド、またはその前駆体であるポリアミック酸等の高分子材料が広く用いられている。また、液晶配向膜の成膜方法としては、例えばポリイミド等を有機溶媒に溶解させた溶液をスピンナー等により回転塗布し、焼成する等の方法が行われている。さらに、液晶配向膜の配向処理としてはフェルト布等を用いてラビングするラビング法が行われており、そのラビング法を施すことにより液晶配向能が付与されている。
【0005】
しかし、従来のラビング法においては、液晶配向膜をラビング布で擦る手法であるために、擦る際に発生する静電気またはラビング布のゴミが有する静電気によりTFTが損傷を受け、歩留まりが低下するという問題があった。また、ラビング布から発生するゴミやラビング時に巻き込んだゴミが液晶表示パネル内に残り、表示ムラ等の表示欠陥が生じたりするという問題もあった。
【0006】
こうした問題に対しては、従来より種々の提案がなされており、例えば下記特許文献1、2においては、凹凸パターンを有するマスク基板を利用し、感光性樹脂からなる被膜の表面を露光・現像してその凹凸パターンを転写する方法が提案され、ラビング法を用いない液晶配向膜を形成している。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−325956号公報(段落番号0005〜0007)
【特許文献2】
特開平10−325957号公報(段落番号0005〜0007)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のラビング法で生じる問題を解決する他の手段の提供を目的とするものであって、ラビング法を使用することなく液晶分子の配向制御を容易にした液晶表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1の液晶表示装置は、第1の基板と第2の基板と当該基板間に注入された液晶層とを有し、各画素領域内の液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置において、各画素領域の四辺が、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とで囲まれ、且つ、当該柱状突起部の側面が疎水性であり、前記基板面が親水性であることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置において、その液晶分子の配向制御が、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とにより行われる。すなわち、一方の基板面側においては、平行に設けられた一対の柱状突起部の側面が疎水性となっているので、液晶分子の分子長軸をその疎水面に垂直になるように整列し水平配向させることができる。一方、対向する基板面においては、前記柱状突起部に直交する他の一対の柱状突起部の側面が疎水性となっているので、液晶分子の分子長軸をその疎水面に垂直になるように整列し水平配向させることができる。したがって、親水性を有する対向する基板面の間に注入された液晶分子は、そのダイレクタが対向する基板面と平行な面内で乱れることなく90°回転するように配向することとなる。こうした構造を有する液晶表示装置は、従来のようなラビング布を用いたときに生じる問題を起こすことがなく、歩留まりの低下を起こさない。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の液晶表示装置において、前記画素領域周辺にはブラックマトリクス層が形成され、前記柱状突起部が、該ブラックマトリクス層上またはその上方に該ブラックマトリクス層の幅よりも小さい幅で形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置において、前記柱状突起部の側面および基板面が、フッ素系シリコーンまたはポリイミドで被覆されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の液晶表示装置において、液晶性分子が、前記柱状突起部の側面に対して分子長軸が垂直となるように水平配向していることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するための請求項5の液晶表示装置の製造方法は、第1の基板と第2の基板と当該基板間に注入された液晶層とを有し、各画素領域の四辺が、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とで囲まれてなり、各画素領域内の液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置の製造方法であって、第1の基板表面および第2の基板表面に感光性樹脂を塗布し、その後露光・現像して柱状突起部を形成する工程、親水化処理可能な疎水性被膜を前記柱状突起部が形成された基板面上の全面に塗布する工程、および、前記柱状突起部の側面以外を親水化処理する工程、を有することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、液晶分子を配向制御する柱状突起部を、液晶表示装置を構成する他の成膜手段と同じ塗布、露光および現像等からなるフォトリソグラフィーにより形成できるので、製造工程の簡略化を図ることができ、歩留まりを向上させることができる。こうして製造された液晶表示装置は、液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置において、その液晶分子の配向制御を、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とで行うことができる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5に記載の液晶表示装置の製造方法において、前記親水化処理可能な疎水性被膜が、フッ素系シリコーン被膜またはポリイミド被膜であり、前記柱状突起部の側面以外の面を親水化処理する工程が、光触媒層を有するマスクを利用した露光処理を含むことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液晶表示装置およびその製造方法について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置は、各画素領域内の液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で90°回転する水平配向方式の液晶表示装置であって、図1に示すように、第1の基板1と、第2の基板2と、対向する基板間に注入された液晶層3とを有している。本発明の液晶表示装置においては、第1の基板1および第2の基板2が、カラーフィルター基板とデバイス(TFT)基板の何れかを構成している。以下においては、第1の基板1をカラーフィルター基板1として説明し、第2の基板2をデバイス基板2として説明する。
【0019】
カラーフィルター基板1は、ガラス基板12上にマトリクス状のカラーフィルター層7が形成された基板であり、さらに詳しくは、ガラス基板12の内側面に、R(赤)G(緑)B(青)の各画素領域を形成するカラーフィルター層7と、漏れ光を遮蔽するためにその画素領域の周縁部に形成されているブラックマトリクス層8とを有する基板である。このブラックマトリクス層8は、デバイス基板2のTFT素子5、走査配線や信号配線等のライン電極6、その他光漏洩領域を覆うようにして配置されている。カラーフィルター層7上には共通透明電極9が形成され、さらにその共通透明電極9上の画素領域の表面10aには親水性被膜10(図3を参照)が形成されている。なお、本発明を構成するカラーフィルター基板1は、現在一般的に使用されている構成を有するものであれば特に限定されず、前記以外の構成を備えているものであっても構わない。
【0020】
一方、デバイス基板2は、ガラス基板12上にマトリクス状のTFT素子5が個々の画素領域として形成された基板であり、さらに詳しくは、ガラス基板12の内側面に、マトリックス状に配置された画素電極4、薄膜電界トランジスタ(TFT)素子5およびライン電極6が形成され、さらにその画素電極4上には親水性被膜10(図3を参照)が形成されている基板である。なお、本発明を構成するデバイス基板2は、現在一般的に使用されている構成を有するものであれば特に限定されず、前記以外の構成を備えているものであっても構わない。なお、図3において、符号18はドレイン電極、符号19はシリコン半導体膜(例えばn+a−Si/a−Si)、符号20はゲート電極、符号21はソース電極、符号22はゲート絶縁膜、符号23は保護膜である。
【0021】
液晶層3は、図2に示すように、各画素領域内の液晶分子14のダイレクタが対向する基板面(1、2)と平行な面内で回転するツイストネマチック(以下、TNと略することがある。)等の液晶を注入することにより形成されている。そして、液晶分子14は、カラーフィルター基板1およびデバイス基板2の間の液晶層3の厚さ全体にわたって、ねじれ角90°のねじれ配列をしている水平配列モード(水平配向方式ともいう。)となっている。なお、ダイレクタとは、液晶分子14の平均的配向方向を表す単位ベクトルのことであり、図2(a)は電圧オフの時のTN液晶分子14のダイレクタのねじれ配列の形態を示しており、図2(b)は電極間に電場を加えた時のTN液晶分子14のダイレクタの変形配列の形態を示している。
【0022】
水平配向方式の液晶配向においては、電圧オフの時の液晶分子に若干のチルトが生じて液晶分子のダイレクタが基板面に平行にならないものもある。本発明の液晶表示装置においては、液晶分子のダイレクタの回転軸が基板面に直交する場合(すなわち、液晶分子のダイレクタが基板面に平行となる場合)に限らず、ダイレクタの回転軸が基板面に実質的に直交する場合(すなわち、電圧オフの時の液晶分子に若干のチルトが生じて液晶分子のダイレクタが基板面に平行にならない場合)であっても、液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置を包含するものである。
【0023】
図3は、本発明の液晶表示装置を構成する画素領域の一例を示す断面図であり、図4は、図3の液晶表示装置を構成する画素領域を平面視したときの説明図である。本発明の液晶表示装置において、各々の画素領域の四辺は、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部15と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部16とで囲まれている。例えば、図3に示すように、一対の柱状突起部15は、カラーフィルター基板面から下方に突き出すように形成され、他の一対の柱状突起部16は、デバイス基板面から上方に突き出すように形成される。このときカラーフィルター基板面から下方に突き出した柱状突起部15は、画素領域の対向する2辺を構成し、デバイス基板面から上方に突き出した柱状突起部16は、画素領域の対向する他の2辺を構成する。したがって、画素領域は、こうした柱状突起部15、16で囲まれている。柱状突起部15、16を画素領域の四辺に形成する理由は、画素領域の四辺に相当する部位にブラックマトリクス層8が形成されているからである。そのため、柱状突起部15、16を画素領域の四辺に形成しても、その柱状突起部が液晶画像の形成の障害になることがない。
【0024】
柱状突起部15、16は、透明電極上または、透明電極上に予め設けられた樹脂被膜上等に形成される。なお、ここでいう樹脂被膜とは、後述する親水性被膜または疎水性被膜の何れかになる樹脂被膜のことである。
【0025】
柱状突起部15、16の大きさは、図3および図4に示すように、長さについては画素領域の辺の長さと同じ長さであることが好ましい。通常、長い方の辺は20〜200μm程度であり、短い方の辺は5〜20μm程度である。また、断面高さについては、液晶層3の厚さ(すなわち、カラーフィルター基板とデバイス基板のギャップ)の10%〜100%程度であることが好ましい。断面高さの割合が10%未満では、液晶分子のダイレクタを制御する配向規制力を確保しにくくなる。また、断面幅については、ブラックマトリックス層8の幅よりも小さい幅で形成されていることが好ましい。例えば、ブラックマトリクス層8の幅は通常5〜10μmであるので、5〜10μmの範囲であって且つブラックマトリクス層8の幅よりも小さいことが好ましい。
【0026】
柱状突起部15、16を形成する材料としては、紫外線硬化性透明アクリル樹脂等の感光性樹脂を好ましく用いることができる。感光性樹脂は、フォトリソグラフィーで露光・現像することにより、柱状突起部15、16が上記パターンおよび形状となるように容易に形成することができるので、好ましく用いられる。また、もともと疎水性であるが親水化処理をすることにより親水性とすることができる樹脂や、もともと親水性であるが疎水化処理をすることにより疎水性とすることができる樹脂を用いることもできる。特に好ましくは、もともと疎水性であるが親水化処理をすることにより親水性とすることができる樹脂であり、例えば、東芝シリコーン製等の撥水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂、または、液晶配向膜用の樹脂として通常使用されている垂直配向用ポリイミド樹脂を挙げることができる。
【0027】
なお、親水化処理や疎水化処理により親/疎水性を変化させることができない樹脂で柱状突起部を形成する場合には、柱状突起部15、16の側面11bまたは上面10b等の全面を、上述した親/疎水性を変化させることができる樹脂をコーティングすることが好ましい。本発明においては、上述した手段により、柱状突起部15、16の側面11bが疎水性の被膜11となっていることに特徴がある。
【0028】
液晶層3に接する側のカラーフィルター基板面およびデバイス基板面は、親水性被膜10が設けられる。その親水性被膜10は、もともと親水性を有する樹脂からなるものであっても、親水化処理により親水性に変化するものであってもよく、特に限定されない。なお、親水性被膜10の厚さについては特に限定されないが、例えば10nm〜100nmであることが好ましい。
【0029】
もともと親水性を有する樹脂としては、液晶配向膜用の樹脂として通常使用されている水平配向用ポリイミド樹脂等を挙げることができ、例えば、水平配向用のポリイミド樹脂組成物である日産化学社製のSN−7492等々の市販品を例示できる。また、親水化処理することにより親水性に変化する樹脂としては、撥水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂または液晶配向膜用の樹脂として通常使用されている垂直配向用ポリイミド樹脂等を挙げることができ、例えば、東芝シリコーン製の撥水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂等々の市販品や、垂直配向用のポリイミド樹脂組成物である日本合成ゴム製のJALS−688等々の市販品を例示できる。
【0030】
本発明においては、柱状突起部15、16の側面11bが疎水性被膜11で形成されていると共に、各基板の液晶層側の画素領域の表面10aが親水性被膜10で形成されているので、図3および図4に示すように、例えばカラーフィルター基板の表面10aの親水性被膜10付近の液晶分子14は基板面に平行となるように水平配向し、さらに、画素領域の二辺に形成された柱状突起部15の側面近傍の液晶分子14も分子長軸がその側面11bに形成された疎水性被膜11に垂直となるように整列するので基板面に平行となるように水平配向する。さらに、デバイス基板表面10aの親水性被膜10付近の液晶分子14は基板面に平行となるように水平配向し、さらに、画素領域の他の二辺に形成された柱状突起部16の側面11bの疎水性被膜11近傍の液晶分子14も分子長軸がその側面11bに形成された疎水性被膜に垂直となるように整列するので基板面に平行となるように水平配向する。上述したように、柱状突起部15と柱状突起部16とが異なる平行辺を構成しているので、TN液晶分子は、ねじれ角90°のねじれ配列に乱れがない水平配列モードとなることができる。
【0031】
以上のように、本発明の液晶表示装置によれば、液晶分子の配向制御が、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とにより行われる。したがって、親水性被膜10が形成された対向する基板面の間に注入された液晶分子14は、そのダイレクタが対向する基板面と平行な面内で乱れることなく90°回転するように配向することとなる。こうした構造を有する液晶表示装置は、従来のようなラビング布を用いたときに生じる問題を起こすことがなく、歩留まりの低下を起こさない。
【0032】
なお、液晶表示装置において、基板12としてはガラスや透明プラスチック等の透明基板が用いられ、画素電極4および透明電極9としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明電極が好ましく用いられる。また、カラーフィルター基板1とデバイス基板2との間隔を所定の値にするためのスペーサが形成され、セルギャップを一定の値にしている。各基板の外側には、偏光板13が設けられ(図1参照)、デバイス基板側のさらに外側にはバックライトが設けられる。
【0033】
(液晶表示装置の製造方法)
次に、上述した液晶表示装置の製造方法について説明する。本発明の液晶表示装置の製造方法は、上述した構成からなる液晶表示装置の製造方法であって、その特徴は、▲1▼第1の基板表面(例えばカラーフィルター基板の表面)および第2の基板表面(例えばデバイス基板の表面)に感光性樹脂を塗布し、その後露光・現像して柱状突起部を形成する工程、▲2▼親水化処理可能な疎水化被膜を柱状突起部が形成された基板面上の全面に塗布する工程、▲3▼柱状突起部の側面以外を親水化処理する工程、を有することにある。なお、液晶表示装置を製造するためにその他の製造工程については従来と同様である。
【0034】
上記▲1▼の工程において、感光性樹脂としては、紫外線硬化性透明アクリル樹脂等が挙げられる。その感光性樹脂の露光は、アライナー等で行うことができ、感光性樹脂の塗布手段としては、スピンコート等を挙げることができる。
【0035】
上記▲2▼の工程において、親水化処理可能な疎水性被膜としては、フッ素系シリコーン被膜や水平配向用ポリイミド被膜等を挙げることができ、その塗布手段としては、スピンコートや各種の印刷手段を挙げることができる。この塗布手段により、親水化処理可能な疎水化被膜を柱状突起部が形成された基板面上の全面に塗布することができる。したがって、柱状突起部の外周全部にも塗布されている。
【0036】
上記▲3▼の工程は、柱状突起部の側面11b以外を親水化処理する工程である。柱状突起部の側面以外の面には、少なくともカラーフィルター基板の表面が含まれ、また、柱状突起部15、16の上面10bが含まれていてもよい。それらの面を親水化処理する方法としては、図5および図6に示すように、(i)親水化処理可能な疎水性被膜をコーティングし、その疎水性被膜を光触媒層を有するマスクを利用して露光し、親水化する方法(図5を参照)、(ii)光触媒を含有する疎水性被膜をコーティングし、その疎水性被膜をマスクを用いて露光して親水化する方法(図6を参照)、等を挙げることができる。
【0037】
上記(i)工程においては、疎水性被膜31として、上述したフッ素系シリコーン被膜やポリイミド被膜を挙げることができる。光触媒層を有するマスクを利用した親水化処理は、図5に示すように、先ず、マスクパターン33が形成された基板32上に光触媒層34を形成したマスク38と、疎水性被膜31が形成された第1の基板または第2の基板とを準備し(図5(a))、その光触媒層34を有するマスク38と疎水性被膜31とが所定の間隔となるように対向させ(図5(b))、そこに露光光35を照射することにより(図5(c))、親水性被膜36を形成することができる(図5(d))。
【0038】
この光触媒層34は、バインダー中に光触媒である酸化チタンを含有させたものである。酸化チタンは、アナターゼ型のものが好ましく、また、バインダー中に20〜40重量%の割合で含有させることが好ましい。酸化チタンの平均粒径はおよそ5〜20μmであることが好ましい。酸化チタンの代わりに、ZnOなどを光触媒として用いてもよい。こうした光触媒層34に例えば380nm以下の露光光31が照射されることにより、光触媒粒子内で光電気化学反応が起こり、露光された疎水性被膜31を酸化還元させることができる。その結果、疎水性被膜31を親水性に変化させることができる。
【0039】
また、マスク38と疎水性被膜31との間隔は、光触媒反応により生じた活性酸素種等をその隙間に容易に発生させ、作用させることができる間隔であることが好ましく、およそ5〜20μmの間隔となるように配置することが好ましい。
【0040】
上記(ii)工程においては、疎水性被膜31として、上述した光触媒を含有するフッ素系シリコーン被膜やポリイミド被膜を挙げることができる。親水化処理は、図6に示すように、先ず、基板32上にマスクパターン33が形成されたマスク39と、光触媒を含有する疎水性被膜31が形成された第1の基板または第2の基板とを準備し(図6(a))、そのマスク39と、光触媒を含有する疎水性被膜37とが所定の間隔となるように対向させ(図6(b))、そこに露光光35を照射することにより(図6(c))、親水性被膜36を形成することができる(図6(d))。
【0041】
この疎水性被膜37は、バインダー中に光触媒である酸化チタンを含有させたものである。酸化チタンは、上記同様、アナターゼ型のものが好ましく、また、バインダー中に20〜40重量%の割合で含有させることが好ましい。酸化チタンの平均粒径はおよそ5〜20μmであることが好ましい。酸化チタンの代わりに、ZnOなどを光触媒として用いてもよい。こうした疎水性被膜37に例えば380nm以下の露光光35が照射されることにより、含有する光触媒粒子内で光電気化学反応が起こり、疎水性被膜を酸化還元させることができる。その結果、疎水性被膜を親水性被膜に変化させることができる。また、マスク39と疎水性被膜37との間隔についても、上記(i)の場合と同様である。なお、(i)の工程と(ii)の工程とを比べると、(i)の工程をより好ましく適用することができる。
【0042】
図7は、疎水性被膜が親水性被膜に変化する表面反応の一例を示す説明図である。図7(a)は、疎水性被膜表面の側鎖に活性酸素種等がアタックし、その側差の結合を切断する様子を示しており、図7(b)は、切断された部位に水酸基が結合して親水性に変化する様子を示している。
【0043】
図7の表面反応を生じさせる親水化処理に際しては、疎水性被膜と光触媒層を有するマスクとを、所定の間隔(例えば5〜20μm)で配置することが好ましい。疎水性被膜と光触媒層を有するマスクとを所定の間隔に配置することにより、光触媒反応により生じた活性酸素種等をその隙間に容易に発生させることができる。活性酸素種等としては、光触媒粒子内での光電気化学反応に基づいて生じる活性酸素または活性水酸基が挙げられ、それらの活性酸素種等が図7(a)に示す側鎖(例えばアルキル側鎖)にアタックし、その側差の結合が切断される。側鎖が切断された部分には、その活性酸素種等が入れ替わって結合し、図7(b)に示す親水性に変化する。
【0044】
なお、柱状突起部15、16については、柱状突起部の上面10bのみを親水化処理を施し、側面11bには親水化処理を施さない。柱状突起部の側面11bを親水化処理しないためには、平行な露光光を当てることにより、柱状突起部の上面10bのみに光を当て、側面11bには露光光が当たらないようにするとよい。また、柱状突起部の側面11bのみをマスク(遮蔽)して露光光が当たらないようにすることも効果的である。
【0045】
以上のように、本発明の液晶表示装置の製造方法は、液晶分子を配向制御する柱状突起部を、液晶表示装置を構成する他の成膜手段と同じ塗布、露光および現像等からなるフォトリソグラフィーにより形成できるので、製造工程の簡略化を図ることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳しく説明する。
【0047】
(実施例1)
<カラーフィルター基板側の配向制御膜の形成工程>
先ず、透明電極9としてITOが形成されたカラーフィルター基板1を準備し、その透明電極9上に、柱状突起部形成用の感光性樹脂組成物(JSR社製、NN−777)をスピンコートし、その後露光・現像して、カラーフィルター基板1のブラックマトリックス層8の幅(幅約10μm)より小さい幅を持つ柱状突起部15(高さ約1〜2μm、幅約5〜10μm、長さ約20〜100μm)を形成した。この柱状突起部15は、図3の符号25のように、一対の平行辺を構成するように形成した。
【0048】
次に、柱状突起部15を含むカラーフィルター基板1の全面に、親水化処理可能な疎水性樹脂組成物(垂直配向用のポリイミド樹脂組成物、日本合成ゴム製、JALS−688)をスピンコートし、厚さ60〜100nmの疎水性被膜を形成した。
【0049】
次に、その疎水性被膜上に、光触媒層33を有するマスク38を、約20μmの間隔を保持するように配置し、その後波長200〜370nmの紫外線で露光処理した。露光に際しては、柱状突起部15の側面11bが露光されないように、露光光をカラーフィルター基板に向かって垂直方向から照射し、その側面11bの露光光が当たらないようにした。露光された部分は、疎水性被膜から親水性被膜に変化した。
【0050】
なお、マスク38は、基板32上にクロム薄膜からなる所定のマスクパターン33が形成され、さらにそのマスクパターン33上にアナターゼ型酸化チタン粒子を光触媒として含有する厚さ0.05〜0.5μmの光触媒層34が形成されている。この光触媒層34は、バインダー樹脂(シリコーン樹脂)中に酸化チタン粒子が約10〜100重量%含有されている。なお、酸化チタン100重量%とは、酸化チタンのみで光触媒層34を形成した場合である。
【0051】
こうして、カラーフィルター基板の透明電極上の画素表面10aと、柱状突起部15の上面10bとを疎水性から親水性に変化させ、柱状突起部15の側面11bを疎水性のままとした、カラーフィルター基板を形成した。
【0052】
<デバイス基板側の配向制御膜の形成工程>
先ず、画素電極4としてITOが形成されたデバイス基板2を準備し、その画素電極4上に、柱状突起部形成用の感光性樹脂組成物(JSR社製、NN−777)をスピンコートし、その後露光・現像して、上述したカラーフィルター基板1のブラックマトリックス層8の幅(幅約10μm)より小さい幅を持つ柱状突起部15(高さ約1〜2μm、幅約5〜10μm、長さ約20〜100μm)を形成した。この柱状突起部16は、図3の符号26のように、一対の平行辺を構成するように形成した。
【0053】
次に、柱状突起部16を含むデバイス基板2の全面に、親水化処理可能な疎水性樹脂組成物(垂直配向用のポリイミド樹脂組成物、日本合成ゴム製、JALS−688)をスピンコートし、厚さ60〜100nmの疎水性被膜を形成した。
【0054】
次に、その疎水性被膜上の所定の面を露光処理し、疎水性から親水性に変化させた。その露光処理は、上述したカラーフィルター基板の形成工程で適用した手段と同じ手段により行った。
【0055】
こうして、デバイス基板の画素電極上の画素表面10aと、柱状突起部16の上面10bとを疎水性から親水性に変化させ、柱状突起部16の側面11bを疎水性のままとした、デバイス基板を形成した。
【0056】
<液晶表示装置>
上記の方法により形成されたカラーフィルター基板とデバイス基板を一定距離で対向させ、その間に液晶を注入して液晶層を形成した。このとき、カラーフィルター基板に形成された柱状突起部15とデバイス基板に形成された柱状突起部16とで、単位画素領域の四辺が囲まれた。そして、その画素領域内の液晶分子は、そのダイレクタが対向する基板面と平行な面内で、電圧印加時に約90°回転する水平配向方式の液晶表示装置を構成することができた。
【0057】
この液晶表示装置において、液晶性分子は、柱状突起部15、16の側面11bに対して分子長軸が垂直となるように水平配向していることが確認された。
【0058】
(実施例2)
実施例1において、柱状突起部15を含むカラーフィルター基板1の全面に形成する親水化処理可能な疎水性樹脂組成物として、撥水性のフッ素系シリコーン樹脂(東芝シリコーン製、TSL8233およびTSL8114)を用い、さらに、柱状突起部16を含むデバイス基板2の全面に形成する親水化処理可能な疎水性樹脂組成物として、撥水性のフッ素系シリコーン樹脂(東芝シリコーン製、TSL8233およびTSL8114)を用いた他は、実施例1と同様にして、実施例2の液晶表示装置を構成した。
【0059】
上記の方法により形成されたカラーフィルター基板とデバイス基板を一定距離で対向させ、その間に液晶を注入して液晶層を形成した。このとき、カラーフィルター基板に形成された柱状突起部15とデバイス基板に形成された柱状突起部16とで、単位画素領域の四辺が囲まれた。そして、その画素領域内の液晶分子は、そのダイレクタが対向する基板面と平行な面内で、電圧印加時に約90°回転する水平配向方式の液晶表示装置を構成することができた。
【0060】
この液晶表示装置において、液晶性分子は、柱状突起部15、16の側面11bに対して分子長軸が垂直となるように水平配向していることが確認された。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液晶表示装置によれば、液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置において、その液晶分子の配向制御が、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とにより行われるので、液晶分子の分子長軸を各柱状突起部の疎水面に垂直になるように整列し水平配向させることができる。そのため、親水性を有する対向する基板面の間に注入された液晶分子は、そのダイレクタが対向する基板面と平行な面内で乱れることなく回転するように配向することとなる。
【0062】
また、本発明の液晶表示装置の製造方法によれば、液晶分子を配向制御する柱状突起部を、液晶表示装置を構成する他の成膜手段と同じ塗布、露光および現像等からなるフォトリソグラフィーにより形成できるので、製造工程の簡略化を図ることができ、歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の基本的な構成を説明する概略図である。
【図2】本発明に適用するTN液晶分子のねじれ配列の形態を示す説明図である。
【図3】本発明の液晶表示装置を構成する画素領域の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の液晶表示装置を構成する画素領域の一例を示す平面図である。
【図5】光触媒を用いた親水化処理方法の一例を示す説明図である。
【図6】光触媒を用いた親水化処理方法の他の一例を示す説明図である。
【図7】疎水性被膜が親水性に変化する表面反応の一例を示す説明図である。
【図8】一般的な液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 カラーフィルター基板
2 デバイス基板
3 液晶層
4 画素電極
5 TFT素子
6 ライン電極
7 カラーフィルター層
8 ブラックマトリクス層
9 透明電極
10、36 親水性被膜
10a 画素領域の表面
10b 柱状突起部の上面
11、31 疎水性被膜
11b 柱状突起部の側面
12 ガラス基板
13 偏光板
14 液晶分子
15、16 柱状突起部
17 保護膜
18 ドレイン電極
19 シリコン半導体膜
20 ゲート電極
21 ソース電極
22 ゲート絶縁膜
23 保護膜
25 カラーフィルター基板側の柱状突起部
26 デバイス基板側の柱状突起部
32 基板
33 マスクパターン
34 光触媒層
35 露光光
37 光触媒を含有する疎水性被膜
38 光触媒層を有するマスク
39 マスク
Claims (6)
- 第1の基板と第2の基板と当該基板間に注入された液晶層とを有し、各画素領域内の液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置において、
各画素領域の四辺が、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とで囲まれ、且つ、当該柱状突起部の側面が疎水性であり、前記基板面が親水性であることを特徴とする液晶表示装置。 - 前記画素領域周辺にはブラックマトリクス層が形成され、前記柱状突起部が、該ブラックマトリクス層上またはその上方に該ブラックマトリクス層の幅よりも小さい幅で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記柱状突起部の側面および基板面が、フッ素系シリコーンまたはポリイミドで被覆されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置。
- 液晶性分子が、前記柱状突起部の側面に対して分子長軸が垂直となるように水平配向していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の液晶表示装置。
- 第1の基板と第2の基板と当該基板間に注入された液晶層とを有し、各画素領域の四辺が、一方の基板面に形成された平行な柱状突起部と他の一方の基板面に形成された平行な柱状突起部とで囲まれてなり、各画素領域内の液晶分子のダイレクタが対向する基板面と平行な面内で回転する水平配向方式の液晶表示装置の製造方法であって、
第1の基板表面および第2の基板表面に感光性樹脂を塗布し、その後露光・現像して柱状突起部を形成する工程、
親水化処理可能な疎水性被膜を前記柱状突起部が形成された基板表面の全面に塗布する工程、および、
前記柱状突起部の側面以外を親水化処理する工程、を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 前記親水化処理可能な疎水性被膜が、フッ素系シリコーン被膜またはポリイミド被膜であり、
前記柱状突起部の側面以外の面を親水化処理する工程が、光触媒層を有するマスクを利用した露光処理を含むことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置の製造方法。
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Cited By (2)
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WO2010095187A1 (ja) * | 2009-02-23 | 2010-08-26 | シャープ株式会社 | 液晶表示装置及びその製造方法 |
KR20140065271A (ko) * | 2012-11-21 | 2014-05-29 | 삼성디스플레이 주식회사 | 액정 표시 장치 및 그 제조 방법 |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002381589A patent/JP2004212609A/ja not_active Withdrawn
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