JP2004203730A - ゴム補強用ガラス繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、ガラス繊維と前記ゴムの接着に対し好ましい接着強さを有した被覆層を得て、更に、耐熱ベルトに用いた際の長時間の使用において、被覆層が接着の初期強さを持続し、寸法安定性に優れたゴム補強用ガラス繊維を提供することを目的とする。
【解決手段】 ガラス繊維にアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とを水に分散させエマルジョンとしたガラス繊維被覆用塗布液を塗布した後、乾燥させてなる被覆層を設けてなることを特徴とするゴム補強用ガラス繊維。アクリル酸エステル系樹脂は、アクリル酸エステルからなるモノマーを含むモノマー混合物を、ポリビニルアルコールまたはその変性物を保護コロイドとして重合させることにより得られるアクリル酸エステル系重合体のエマルジョンであることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】 ガラス繊維にアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とを水に分散させエマルジョンとしたガラス繊維被覆用塗布液を塗布した後、乾燥させてなる被覆層を設けてなることを特徴とするゴム補強用ガラス繊維。アクリル酸エステル系樹脂は、アクリル酸エステルからなるモノマーを含むモノマー混合物を、ポリビニルアルコールまたはその変性物を保護コロイドとして重合させることにより得られるアクリル酸エステル系重合体のエマルジョンであることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、各種ゴム製品の補強用に用いるガラス繊維と母材ゴムとの接着をより良好に行うために表面処理を施したゴム補強用ガラス繊維に関し、例えば、自動車用タイミングベルト等の機械ベルトに用いるために、母材ゴムとしてのクロロピレンゴムまたは水素化ニトリルゴム等に埋め込み、引っ張り強さ、寸法安定性を高めるためのゴム補強用ガラス繊維に関する。
機械ベルト、タイヤ等のゴム製品に強さを持たせるために、ガラス繊維、ナイロン繊維およびポリエステル繊維等の高強度繊維を補強材として埋め込むことが一般的に広く行われており、ゴムに埋め込む補強用繊維には、母材であるゴムとの密着性がよく、界面が強固で剥離しないことが必要とされる。しかしながら、ガラス繊維をそのまま使用しても全く密着しないか、密着したとしても密着性が弱く界面が剥離してしまい補強材としての要をなさない。
機械ベルトには、母材であるゴムとガラス繊維の密着性を向上させ、界面の剥離を防止するために、通常、フィラメントをより合わせてヤーンとしたガラス繊維に、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂と各種ラテックスとを水に分散させたガラス繊維被覆用塗布液を塗布した後、乾燥させ被覆層としたゴム補強用ガラス繊維が用いられる。該被覆層は、高温の環境下で、ガラス繊維を母材であるゴムに埋め込んでベルトに成形する際、ゴムとガラス繊維を接着させる効果を有するが、接着力、即ち、接着強さは必ずしも十分な強さではない。例えば、自動車用タイミングベルトはエンジンル−ム内の高温の環境下で使用されるため、母材には耐熱性ゴムである、硫黄または過酸化物により架橋された水素化ニトリルゴム等が用いられる。前記被覆処理のみでは、タイミングベルトとしての高温時において屈曲し続ける使用状況下、初期の接着強さが持続されず、長時間の使用において、界面の剥離をきたすことがある。
水素化ニトリルゴムとガラス繊維との接着強さを持続し界面の剥離をきたさず、高温の環境下においても長期信頼性のある機械ベルトを提供するためのゴム補強ガラス繊維として、上記被覆処理を行った後に得られた被覆を一次被覆層として、該一次被覆層上に異なる組成の第ニ液を塗布し乾燥させて二次被覆層としたゴム補強用ガラス繊維が開示されている。
例えば、特許文献1において、ハロゲン含有ポリマーとイソシアネートを含む第2液で処理する方法が記載されている。
また、特許文献2には、ゴム補強用ガラス繊維に、レゾルシン・ホルマリン縮合物とゴムラテックスを含む処理剤を塗布し乾燥硬化させ第1被覆層とし、当該第1被覆層上に更に異なる処理剤を塗布し乾燥硬化させ形成させた第2被覆層を有するゴム補強用繊維コードであって、当該第2被覆層用の処理剤が、ゴム配合物、加硫剤およびマレイミド系加硫助剤を主成分とすることを特徴とするゴム補強用コードが記載されている。
しかしながら、特許文献1または特許文献2に記載されている2層の被覆層からなるゴム補強用ガラス繊維を用い耐熱ゴムの中に埋め込んだとしても、母材である耐熱ゴムとガラス繊維との接着強さは必ずしも十分といえる強さではない。特に母材ゴムとして、特許文献1においては水素化ニトリルゴムを、特許文献2は水素化ニトリルゴムまたはメタクリル亜鉛を分散させた水素化ニトリルゴムを用いているが、特許文献1または特許文献2に記載の2層の被覆層からなるゴム補強用ガラス繊維を用い耐熱ゴムの中に埋め込んだとしても、母材である耐熱ゴムとガラス繊維との、接着強さは未だ不十分である。
一方、衣類用、記録シート用バインダー等に用いられる糊量組成物としてのアクリルエマルジョンが、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特特許文献7および特許文献8に開示されている。特に、特許文献4には、(メタ)アクリル酸エステルから選択されるモノマーを含むモノマー混合物を、ケン価度70〜98モル%、平均重合度300〜3000のポリビニルアルコール又はその変性物を保護コロイドとして使用して重合させることにより得られる、ガラス転移温度が−40〜80℃のアクリル系共重合体のエマルジョンを含有してなることを特徴とする糊料組成物が開示されている。
また、ホルマリンを発生せずに重合体を架橋することができ架橋剤、架橋法及び耐熱性、耐水性、耐薬品性等に優れる架橋体として、更に、特許文献9にアクリル酸エステル及びメタクリル酸から成る重合体のラテックスと、架橋剤としてのビス[1,3,2−ジオキソチオラン−2−オキシド−4−イルメチル]マロネートを添加混合して重合体組成物を得、この重合体組成物を室温下に放置して得られる架橋体が開示されている。更に、特許文献10にアクリル酸エステル及びメタクリル酸からなる重合体のラテックスと、架橋剤としての5−エチル−3−フェニル−1−アザー4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの分散液とを混合して重合体組成物を得、この重合体組成物を130℃に加熱して得られた架橋体が開示されている。
特許第1627859号
特許第3201330号
特開2002−160443号
特開2001−348781号公報
特開2001−199152号公報
特開平9−118857号公報
特開平7−119080号公報
特開昭62−288076号公報
特開平6−345977号公報
特開平6−345978号公報
従来のゴム補強用ガラス繊維は、耐熱ゴム、例えば酸化亜鉛で架橋されたクロロプレンゴムや、硫黄または過酸化物で架橋された水素化ニトリルゴム等に埋め込んだ際に、ガラス繊維と該ゴムの接着性を改善するための被覆剤が塗布被覆されているが、その効果が不十分で、耐熱ベルトに用いた際の使用において、ガラス繊維と耐熱ゴムの接着強さが弱く、ガラス繊維と耐熱ゴムの界面が剥離する、寸法安定性に劣る等の問題があった。
本発明は、ガラス繊維と前記ゴムの接着に対し好ましい接着強さを有した被覆層を得て、更に、耐熱ベルトに用いた際、寸法安定性に優れたゴム補強用ガラス繊維を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂に加え、アクリル酸エステル系樹脂、アクリル酸エステルおよび/またはメタアクリル酸エステルからなるモノマーを含むモノマー混合物を、ポリビニルアルコールまたはその変性物を保護コロイドとして重合させることにより得られるアクリル酸エステル系重合体および/またはメタアクリル酸エステル系重合体のエマルジョンを加えガラス繊維被覆液とし、ガラス繊維被覆液をガラス繊維に塗布した後に乾燥させて被覆層としたところ、耐熱ゴムに埋めこんだ際にガラス繊維と耐熱ゴムの好ましい接着強さを得、耐熱ベルトとした際に寸法安定性に優れたゴム補強用ガラス繊維を得られた。
更に、アクリル酸エステルをベースにカルボキシル基等の官能基を導入し変性したアクリル酸エステル共重合体ラテックスにビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂を加え、これらの組成を調整しガラス繊維被覆液とし、ガラス繊維被覆液をガラス繊維に塗布した後に乾燥させて被覆層としたところ、耐熱ゴムに埋めこんだ際にガラス繊維と耐熱ゴムの好ましい接着強さを得、耐熱ベルトとした際に寸法安定性に優れたゴム補強用ガラス繊維を得られた。
即ち、本発明は、ガラス繊維にアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とを水に分散させエマルジョンとしたガラス繊維被覆用塗布液を塗布した後、乾燥させてなる被覆層を設けてなることを特徴とするゴム補強用ガラス繊維である。
更に、本発明は、前記アクリル酸エステル系樹脂が、アクリル酸エステルおよび/またはメタアクリル酸エステルからなるモノマーを含むモノマー混合物を、ポリビニルアルコールまたはその変性物を保護コロイドとして重合させることにより得られるアクリル酸エステル系重合体および/またはメタアクリル酸のエマルジョンであることを特徴とする上記のゴム補強用ガラス繊維である。
更に、本発明は、前記アクリル酸エステル系樹脂が分子構造中にカルボキシル基を有してなるアクリル酸エステル系共重合体ラテックスであることを特徴とする上記のゴム補強用ガラス繊維である。
更に、本発明は、上記のゴム補強用ガラス繊維であって、被覆層中のアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とからなる固形分の総重量を基準として、重量%で表して、アクリル酸エステル系樹脂が3.0〜40.0%、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体が45.0〜82.0%、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が1.0〜15.0%の範囲に含まれてなることを特徴とするゴム補強用ガラス繊維である。
更に、本発明は、上記のゴム補強用ガラス繊維であって、被覆層中のビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体の5.0重量%〜80.0重量%を、スチレン−ブタジエン共重合体に替えてなることを特徴とするゴム補強用ガラス繊維である。
更に、本発明は、上記のゴム補強用ガラス繊維にハロゲン含有ポリマーと、ハロゲン含有ポリマーの重量に対して0.3重量%〜10.0重量%のビスアリルナジイミドとを有機溶剤に分散させたガラス繊維被覆用塗布液を塗布し、更なる被覆層を設けてなるゴム補強用ガラス繊維である。
本発明により、ガラス繊維と耐熱ゴムの接着に対し好ましい接着強さを有した被覆層を得て、寸法安定性に優れたゴム補強用ガラス繊維を提供することができた。
本発明によるゴム補強用ガラス繊維によって補強されたゴム製品、即ち機械ベルトは耐熱性に優れる。よって、本発明のゴム補強用ガラス繊維は、熱および外力の双方を同時に受ける、例えば、タイミングベルトの芯線として好適に使用できる。
本発明のゴム補強用ガラス繊維は、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とアクリル酸エステル系樹脂とを水に分散させたガラス繊維被覆液を塗布した後、乾燥させてなる被覆層を設けてなることを特徴とするゴム補強用ガラス繊維である。
従来のゴム補強用ガラス繊維に比較して、機械ベルトに使用した際のガラス繊維と耐熱ゴムの接着強さを改善するために、本発明のゴム補強用繊維において、ゴム補強用繊維の被覆層を形成するためのガラス繊維被覆液には、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体に、アクリル酸エステル系樹脂を加える。
前記アクリル酸エステル系樹脂には、アクリル酸エステルおよび/またはメタアクリル酸エステルからなるモノマーを含むモノマー混合物を、ポリビニルアルコールまたはその変性物を保護コロイドとして重合させることにより得られるアクリル酸エステル系重合体のエマルジョンを挙げられる。尚、前記アクリル酸エステル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルから選択されるモノマーを含むモノマー混合物を特定のポリビニルアルコールを保護コロイドとして重合させて得られるアクリル酸エステル系共重合体のエマルジョンを配合してなるものであり、ここで、使用する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、これらの(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる1種のモノマーを単独で使用してもよいが、通常は2種以上のモノマーを混合して使用する。
尚、(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの総称である。更に、モノマーとして、共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを併用することができる。エチレン性不飽和モノマーとしては、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジルアリルエーテル等を挙げることができる。
このようなアクリル系モノマーに水溶性コロイドとしてのポリビニルアルコールまたは、その変性物を加えて乳化重合したアクリル酸エステル系エマルジョン、言い換えれば、一般的な低分子量の界面活性剤を使用せず、水溶性高分子を保護コロイドとして重合させたものであるアクリル酸エステル系エマルジョンとして、例えば、日信化学工業株式会社より、商品名ビニブラン、保護コロイド重合系グレードとして型番2680、2683、2684、2685、2687、2689等が粘着剤、繊維加工剤、シーラント、接着剤として市販されており、本発明のゴム補強用ガラス繊維の被覆層を形成するための成分の一つとして、ガラス繊維被覆用塗布液に使用できる。
一方、本発明のゴム補強用繊維において、ゴム補強用繊維の被覆層を形成するためのガラス繊維被覆液に、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体に加える、他のアクリル酸エステル系樹脂として、アクリル酸エステルをベースにカルボキシル基等の官能基を導入して変性したアクリル酸エステル系ラテックス、具体的には分子構造中にカルボキシル基を有してなるアクリル酸エステル系共重合体ラテックスである自己架橋型アクリレートラテックスが挙げられる。
このようなアクリル系共重合体ラテックスとして、例えば、日本ゼオン株式会社より、商品名Nipol、型番LX851、LX852が市販されており、本発明のゴム補強用ガラス繊維の被覆層を形成するための成分の一つとして、ガラス繊維被覆用塗布液に使用できる。
本発明のゴム補強用繊維の被覆層の成分の一つとして用いるビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体には、例えば、ビニルピリジン:スチレン:ブタジエンの比が、重量比で10〜20:10〜20:60〜80の範囲のビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体であるとして、日本エイアンドエル株式会社製、商品名、ピラテクス、JSR株式会社製、商品名、0650、および日本ゼオン株式会社製、商品名、Nipol、型番1218FS等が市販されており、本発明のゴム補強用ガラス繊維の被覆層を形成するためのガラス繊維被覆用塗布液に使用できる。尚、前記重合比を外れたビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体を用いたガラス繊維被覆用塗布液を使用し、被覆を施したゴム補強用ガラス繊維は、母材であるゴムとの接着性に劣るとされている。
本発明のゴム補強用ガラス繊維に用いるガラス繊維被覆用塗布液の組成物の一つであるビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体の一部を、他のゴムエラストマーに替えても良い。ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体のみでは、ゴム補強用ガラス繊維の被覆に粘着性が生じ被覆層が転写し易くなり、工程が汚れたりして作業性が悪くなる。他のゴムエラストマーとしてカルボキシル基変性スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴム等も挙げられるが、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体との相性が良いスチレン−ブタジエン共重合体が特に好適に使用でき、本発明のゴム補強用ガラス繊維の特徴であるゴムとの接着性および耐熱性を損なわない5.0重量%〜80.0重量%の範囲で、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体に替えて使用できる。このようなスチレン−ブタジエン共重合体として、例えば、日本エイアンドエル株式会社から、商品名、J−9049が市販されており、本発明のゴム補強用ガラス繊維の被覆層を形成するためのガラス繊維被覆用塗布液に使用できる。
本発明のゴム補強用繊維の被覆層の成分の一つとして用いるレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂には、レゾルシンとホルムアルデヒドとを水酸化アルカリ等のアルカリ性触媒の存在下で反応して得られるレゾルシンとホルムアルデヒドのオキシメチル基に富んだ水溶性の付加縮合物が使用できる。また、レゾルシンとホルムアルデヒドとのモル比、1.0:0.5〜2.5の範囲で反応させたものが好ましい。0.5未満では、得られるゴム補強用ガラス繊維の、母材ゴムとの接着性が悪くなり、2.5を越えるとガラス繊維被覆用塗布液がゲル化し易くなる。
機械ベルトに使用した際のガラス繊維と母材ゴムとに所望の接着強さを得るには、本発明のゴム補強用ガラス繊維の被覆層において、被覆層中のアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とからなる固形分の総重量を基準として、重量%で表して、アクリル酸エステル系樹脂が3.0%〜40.0%、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体が45.0%〜82.0%、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が1.0%〜15.0%の範囲であることが好ましい。
前記被覆層中のアクリル酸エステル系樹脂が3.0%より少ないと、機械ベルトにした際に所望の耐熱性が得難く、アクリル酸エステル系樹脂が40.0%より多いと、ガラス繊維と母材ゴムの接着強さが弱くなり、機械ベルトにした際に好ましい耐熱性が得難い。所望の接着性、耐熱性が得られる被覆層中の好適なアクリル樹脂の組成範囲は、3.0%〜40.0%である。
前記被覆層中の、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体が45.0%より少ないと、ガラス繊維と母材ゴムの接着強さが弱くなり、機械ベルトにした際に好ましい耐熱性が得難い。ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体が82.0%より多いと、ゴム補強用ガラス繊維の被覆に粘着性が生じ被覆層が転写し易くなり、工程が汚れたりして作業性が悪くなる。よって、被覆層中の好適なビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体の組成範囲は、45.0%〜82.0%である。
前記被覆層中の、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が1.0%より少ないと、ガラス繊維と母材ゴムの接着強さが弱くなり、機械ベルトにした際に好ましい耐熱性が得難い。レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が15.0%より多いと、ゴム補強用ガラス繊維の被覆に粘着性が生じ被覆層が転写し易くなり、工程が汚れたりして作業性が悪くなる。よって、被覆層中の好適なレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂の組成範囲は、1.0%〜15.0%である。
本発明のゴム補強用ガラス繊維に被覆層を形成するためのガラス繊維被覆用塗布液には、老化防止剤、pH調整剤、安定剤等を含有させても良い。老化防止剤にはジフェニルアミン系化合物、pH調整剤にはアンモニアが挙げられる。
本発明のゴム補強用ガラス繊維は、種々のゴム、特にクロロプレンゴムおよび水素化ニトリルゴム等の耐熱ゴムに埋設した際に、優れた接着性を示し機械ベルトを作製する際のゴム補強用として有効に働く。
更に、本発明のゴム補強用ガラス繊維を耐熱ゴムに埋設させ機械ベルトとして用いた際、高温の環境下における長時間の使用において、被覆層が接着の初期強さを持続し且つ寸法安定性に優れること、即ち、耐熱性を必要とする際は、ゴムに埋設する前にハロゲン含有ポリマーとビスアリルナジイミドとを有機溶剤に分散させたガラス繊維被覆用塗布液を塗布し、更なる被覆層を設けることが好ましい。有機溶剤としては、例えば、キシレンが挙げられる。
この際のビスアリルナジイミドの配合率は、重量%で表して、ハロゲン含有ポリマーの重量に対して0.3%〜10.0%である。0.3%より少ないと、前述の耐熱性改善の効果が得がたい。10.0%より多いとガラス繊維と母材ゴムとの接着強さが弱くなる。
ビスアリルナジイミドは、熱硬化性イミド樹脂の一種であり、低分子量のビスアリルナジイミドは、他の樹脂との相溶性に優れており、硬化後のビスアリルナジイミド樹脂は、ガラス転移点が300℃以上で、前記機械ベルトの耐熱性を高める効果があり、丸善石油化学株式会社より商品名、BANI−M、BANI−H、BANI−X等で市販されている。
耐熱性のためには、ハロゲン含有ポリマーにクロロスルホン化ポリエチレンを用いることが好ましい。更に、加硫剤としてのニトロソ化合物、例えば、p−ニトロソベンゼン、無機充填剤、例えばカーボンブラックまたは酸化マグネシウムを前記被覆用塗布液に添加し、被覆層に加えることは、耐熱性を高める一層の効果がある。ハロゲン含有ポリマーの重量に対して、重量%で表して、加硫剤を0.5%〜20.0%、無機充填材を10.0%〜70.0%の範囲で添加すると、好ましい耐熱性を発揮する。
本発明のアクリル酸エステル系重合体エマルジョンを用いたゴム補強用ガラス繊維(実施例1〜8)、比較としてアクリル系化合物を何ら用いていない従来のゴム補強用ガラス繊維(比較例1〜3)のクロロプレンゴム、およびクロロプレンゴムに対してより使用温度の高い水素化ニトリルゴムに対する接着強さの評価、および高温の環境下における長時間の使用において、被覆層が接着の初期強さを持続し且つ寸法安定性に優れること、即ち、耐熱性の評価を行った。
表1が、接着強さおよび耐熱性の評価結果である。
実施例1
(ゴム補強用ガラス繊維の作製)
ビニルピリジンとスチレンとブタジエンとを、15:15:70の重量割合で含有するビニルピリジン−スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、商品名、ピラテックス、固形分、41重量%)、527重量部と、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名、ビニブラン、型番2684、固形分、30重量%)、113重量部と、レゾルシンとホルムアルデヒドの付加縮合物(固形分、8.7重量%)、233重量部と、アンモニア水(濃度、25重量%)、22重量部とに水を添加し全体として1000重量部になるようにして、ガラス繊維被覆用塗布液を調製した。
(ゴム補強用ガラス繊維の作製)
ビニルピリジンとスチレンとブタジエンとを、15:15:70の重量割合で含有するビニルピリジン−スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、商品名、ピラテックス、固形分、41重量%)、527重量部と、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名、ビニブラン、型番2684、固形分、30重量%)、113重量部と、レゾルシンとホルムアルデヒドの付加縮合物(固形分、8.7重量%)、233重量部と、アンモニア水(濃度、25重量%)、22重量部とに水を添加し全体として1000重量部になるようにして、ガラス繊維被覆用塗布液を調製した。
次いで、径9μmのガラス繊維フィラメントを200本集束したガラス繊維束
3本を引き揃え、前記ガラス繊維被覆用塗布液を塗布した後、乾燥させて被覆層
を設けた。
3本を引き揃え、前記ガラス繊維被覆用塗布液を塗布した後、乾燥させて被覆層
を設けた。
この時の固形分付着率、即ち、被覆層の重量割合は、被覆層を設けたガラス繊維束の全重量に対して、19重量%であった。
前記被覆層を設けたガラス繊維束を、280℃で22秒間乾燥させた後、2.54cm当たり2.0回の下撚りを与え、更に13本引き揃えて2.54cm当たり2.0回の上撚りを施し得られたものをゴム補強用ガラス繊維とした。
該ゴム補強用ガラス繊維において、被覆層中のアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とからなる固形分の総重量を基準として、重量%で表して、アクリル酸エステル系樹脂が12.5%、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体が80.0%、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が7.5%である。
(使用ゴム)
ゴム補強用繊維を埋没させるための母材ゴムとして、クロロプレンゴム100重量部に対して、カーボンブラック、45重量部と、亜鉛華、5重量部と、老化防止剤、5重量部と、プロセスオイル、5重量部と、酸化マグネシウム、4重量部と、ステアリン酸、1重量部と、硫黄、0.5重量部と、加硫促進剤、1.5重量部と、パラフィンワックス、0.5重量部とを配合させてなる耐熱ゴムを使用した。
(接着強さの評価)
前記耐熱ゴムからなる3mm厚、25mm幅のゴムシート上に前記ゴム補強用ガラス繊維を20本並べ、その上から布をかぶせ、温度、140℃下、196ニュートン/cm2(以下、ニュートンをNとする)の条件で端部を除き押圧し、25分間加硫させつつ成形して、接着強さ評価のための試験片を得た。この試験片の接着強さの測定を、端部においてゴムとゴム補強用繊維を個別にクランプにてはさみ、剥離速度を50mm/分とし、ゴムシートからゴム補強用ガラス繊維を剥がす際の最大の抵抗値を剥離強さとした。
(使用ゴム)
ゴム補強用繊維を埋没させるための母材ゴムとして、クロロプレンゴム100重量部に対して、カーボンブラック、45重量部と、亜鉛華、5重量部と、老化防止剤、5重量部と、プロセスオイル、5重量部と、酸化マグネシウム、4重量部と、ステアリン酸、1重量部と、硫黄、0.5重量部と、加硫促進剤、1.5重量部と、パラフィンワックス、0.5重量部とを配合させてなる耐熱ゴムを使用した。
(接着強さの評価)
前記耐熱ゴムからなる3mm厚、25mm幅のゴムシート上に前記ゴム補強用ガラス繊維を20本並べ、その上から布をかぶせ、温度、140℃下、196ニュートン/cm2(以下、ニュートンをNとする)の条件で端部を除き押圧し、25分間加硫させつつ成形して、接着強さ評価のための試験片を得た。この試験片の接着強さの測定を、端部においてゴムとゴム補強用繊維を個別にクランプにてはさみ、剥離速度を50mm/分とし、ゴムシートからゴム補強用ガラス繊維を剥がす際の最大の抵抗値を剥離強さとした。
表1の実施例1に示すように、剥離時の接着強さは、275Nであり、比較例1、2に示した従来のゴム補強用繊維に比べて、大きな接着強さを有していた。尚、表1において、ガラス繊維とゴムが界面から剥離していない状態を完全ゴム破壊とし、界面から一部のみでも剥離している状態を部分ゴム破壊としたが、実施例1に示す様に完全ゴム破壊であり、好ましい接着強さを有していた。
(耐熱性の評価)
幅5mm、深さ2.5mmの溝を施した金型の溝部に、幅5mmに裁断した布を敷き、その上に9.8Nの張力で1本のゴム補強用ガラス繊維を張り、その上から5mm幅に裁断した3mm厚の前記クロロピレンゴムからなるゴムシートを被せ、温度、140℃下、196N/cm2の条件で、25分間押圧して平ベルトを成形した。その後、長さ、25cmに切断し、温度、140℃下、24時間加熱処理した後、MIT屈曲試験機に片方の端部を取りつけて、もう片方の端部に3kgの重りを吊し、MIT屈曲試験機に取りつけた方の端部を動かし、曲げ角、120゜、120回/分の屈曲条件で1200回折り曲げた。次いで、両端を固定して、片側の端部を、引っ張り速度、250mm/分、クランプ間隔、250mmで引っ張り、破壊される際の最大強さである残存強さ、即ち、ゴム補強用繊維が破断する際の強さを測定し、耐熱性の評価行った。
(耐熱性の評価)
幅5mm、深さ2.5mmの溝を施した金型の溝部に、幅5mmに裁断した布を敷き、その上に9.8Nの張力で1本のゴム補強用ガラス繊維を張り、その上から5mm幅に裁断した3mm厚の前記クロロピレンゴムからなるゴムシートを被せ、温度、140℃下、196N/cm2の条件で、25分間押圧して平ベルトを成形した。その後、長さ、25cmに切断し、温度、140℃下、24時間加熱処理した後、MIT屈曲試験機に片方の端部を取りつけて、もう片方の端部に3kgの重りを吊し、MIT屈曲試験機に取りつけた方の端部を動かし、曲げ角、120゜、120回/分の屈曲条件で1200回折り曲げた。次いで、両端を固定して、片側の端部を、引っ張り速度、250mm/分、クランプ間隔、250mmで引っ張り、破壊される際の最大強さである残存強さ、即ち、ゴム補強用繊維が破断する際の強さを測定し、耐熱性の評価行った。
表1の実施例1に示すように、残存強さは586Nであり、好ましい耐熱性を有していた。
実施例2
ビニルピリジンとスチレンとブタジエンとを、15:15:70の割合で含有するビニルピリジン−スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、商品名ピラテックス、固形分、41重量%)408重量部と、スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、型番J−9049、固形分、48重量%)101重量部と、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名、ビニブラン、型番、2684、固形分、30重量%)113重量部と、レゾルシンとホルムアルデヒドの付加縮合物(固形分、8.7重量%)234量部と、アンモニア水(濃度、25重量%)22重量部とに水を添加して全体として1000重量部になるようにガラス繊維被覆用塗布液を調製し、実施例1に示した手順でゴム補強用ガラス繊維を用意した。
実施例2
ビニルピリジンとスチレンとブタジエンとを、15:15:70の割合で含有するビニルピリジン−スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、商品名ピラテックス、固形分、41重量%)408重量部と、スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、型番J−9049、固形分、48重量%)101重量部と、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名、ビニブラン、型番、2684、固形分、30重量%)113重量部と、レゾルシンとホルムアルデヒドの付加縮合物(固形分、8.7重量%)234量部と、アンモニア水(濃度、25重量%)22重量部とに水を添加して全体として1000重量部になるようにガラス繊維被覆用塗布液を調製し、実施例1に示した手順でゴム補強用ガラス繊維を用意した。
該ゴム補強用ガラス繊維において、被覆層中のアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とからなる固形分の総重量を基準として、重量%で表して、アクリル酸エステル系樹脂が12.5%、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体を合わせて80.0%、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が7.5%である。
実施例1と同様の手順で、試験片をつくり、接着強さの評価、耐熱性の評価を行ったところ、表1の実施例2に示すように、剥離時の強さは327Nであり、比較例1、2に示した従来のゴム補強用繊維に比べて、大きな接着強さを有していた。尚、表1の実施例2に示すように、剥離状況は完全ゴム破壊であり、好ましい接着強さを有していた。また、表1の実施例2に示すように、残存強さは654Nであり、好ましい耐熱性を有していた。
実施例3
実施例2のガラス繊維被覆用塗布液に対して、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、2684、固形分30重量%)の添加量を230重量部、スチレンーブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、J−9049、固形分、48重量%)の添加量を31重量部に替え、実施例1に示した手順でゴム補強用繊維を用意した。
実施例3
実施例2のガラス繊維被覆用塗布液に対して、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、2684、固形分30重量%)の添加量を230重量部、スチレンーブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、J−9049、固形分、48重量%)の添加量を31重量部に替え、実施例1に示した手順でゴム補強用繊維を用意した。
該ゴム補強用ガラス繊維において、被覆層中のアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とからなる固形分の総重量を基準として、重量%で表して、アクリル酸エステル系樹脂が25.0%、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とスチレンブタジエン共重合体を合わせて67.5%、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が7.5%である。
実施例1と同様の手順で、試験片をつくり、接着強さの評価、耐熱性の評価を行ったところ、表1の実施例3に示すように、剥離時の強さは340Nであり、比較例1、2に示した従来のゴム補強用繊維に比べて、大きな接着強さを有していた。尚、表1の実施例3に示すように、剥離状況は完全ゴム破壊であり、好ましい接着強さを有していた。また、表1の実施例3に示すように、残存強さは673Nであり、好ましい耐熱性を有していた。
実施例4
実施例2のガラス繊維被覆用塗布液に対して、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、2684、固形分、30重量%)を同じく日信化学工業株式会社製の型番2689(固形分、30重量%)に替えて113重量部添加し、実施例1に示した手順で、ゴム補強用ガラス繊維を用意した。
実施例4
実施例2のガラス繊維被覆用塗布液に対して、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、2684、固形分、30重量%)を同じく日信化学工業株式会社製の型番2689(固形分、30重量%)に替えて113重量部添加し、実施例1に示した手順で、ゴム補強用ガラス繊維を用意した。
該ゴム補強用ガラス繊維において、被覆層中のアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とからなる固形分の総重量を基準として、重量%で表して、アクリル酸エステル系樹脂が12.5%、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体とを合わせて、80.0%、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が7.5%である。
実施例1と同様の手順で、試験片をつくり、接着強さの評価、耐熱性の評価を行ったところ、表1の実施例4に示すように、剥離時の強さは320Nであり、比較例1、2に示した従来のゴム補強用繊維に比べて、大きな接着強さを有していた。尚、表1の実施例4に示すように、剥離状況は完全ゴム破壊であり、好ましい接着強さを有していた。また、表1の実施例4に示すように、残存強さは636Nであり、好ましい耐熱性を有していた。
実施例5
実施例4のガラス繊維被覆用塗布液に対して、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、2689、固形分30重量%)の添加量を225重量部、スチレン=ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、型番、J−9049、固形分、48%)の添加量を31重量部として、実施例1に示した手順でゴム補強用繊維を用意した。
実施例5
実施例4のガラス繊維被覆用塗布液に対して、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、2689、固形分30重量%)の添加量を225重量部、スチレン=ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、型番、J−9049、固形分、48%)の添加量を31重量部として、実施例1に示した手順でゴム補強用繊維を用意した。
該ゴム補強用ガラス繊維において、被覆層中のアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とからなる固形分の総重量を基準として、重量%で表して、アクリル酸エステル系樹脂が25.0%、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体とを合わせて、67.5%、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が7.5%である。
実施例1と同様の手順で、試験片をつくり、接着強さの評価、耐熱性の評価を行ったところ、表1の実施例5に示すように、剥離時の強さは298Nであり、比較例1、2に示した従来のゴム補強用繊維に比べて、大きな接着強さを有していた。尚、表1の実施例5に示すように、剥離状況は完全ゴム破壊であり、好ましい接着強さを有していた。また、表1の実施例5に示すように、残存強さは662Nであり、好ましい耐熱性を有していた。
実施例6
実施例2におけるゴム補強用ガラス繊維を、クロロスルホン化ポリエチレン(東ソー株式会社製、型番、TS−430)、100重量部と、p−ジニトロベンゼン、40重量部と、ビスアリルナジイミド(丸善石油化学株式会社製、商品名、BANI−H)1重量部と、カーボンブラック、30重量部と、キシレン、1315重量部とを含むガラス繊維被覆用塗布液で塗布し、110℃、2分間乾燥を行い、更なる被覆層(二次被覆層)を得、二層の被覆層からなるゴム補強用ガラス繊維を得た。この二次被覆層による固形分付着率、即ち、二次被覆層の重量割合は、被覆層を設けたガラス繊維束の全重量に対して、3.5重量%であった。
(使用ゴム)
実施例1〜実施例5で使用したクロロピレンゴムに替えて、水素化ニトリルゴム用いた。水素化ニトリルゴム(日本ゼオン株式会社製、型番2010)100重量部に対して、カーボンブラック、40重量部と、亜鉛華、5重量部と、ステアリン酸、0.5重量部と、1,3−ジ(t−ブチルペロキシイソプロピル)ベンゼン5重量部とを配合させてなる耐熱ゴムを使用した。
(接着強さの評価)
前記耐熱ゴムからなる3mm厚、25mm幅のゴムシート上に前記の2層の被覆層を有するゴム補強用ガラス繊維を20本並べ、その上から布をかぶせ、温度、170℃下、196N/cm2での条件で端部を除き押圧し、30分間加硫させつつ成形して接着強さ評価のための試験片を得た。この試験片の接着強さの測定を、端部においてゴムとゴム補強用繊維を個別にクランプにてはさみ、剥離速度を50mm/分とし、ゴムシートからゴム補強用ガラス繊維を剥がす際の最大の抵抗値を剥離強さとした。
実施例6
実施例2におけるゴム補強用ガラス繊維を、クロロスルホン化ポリエチレン(東ソー株式会社製、型番、TS−430)、100重量部と、p−ジニトロベンゼン、40重量部と、ビスアリルナジイミド(丸善石油化学株式会社製、商品名、BANI−H)1重量部と、カーボンブラック、30重量部と、キシレン、1315重量部とを含むガラス繊維被覆用塗布液で塗布し、110℃、2分間乾燥を行い、更なる被覆層(二次被覆層)を得、二層の被覆層からなるゴム補強用ガラス繊維を得た。この二次被覆層による固形分付着率、即ち、二次被覆層の重量割合は、被覆層を設けたガラス繊維束の全重量に対して、3.5重量%であった。
(使用ゴム)
実施例1〜実施例5で使用したクロロピレンゴムに替えて、水素化ニトリルゴム用いた。水素化ニトリルゴム(日本ゼオン株式会社製、型番2010)100重量部に対して、カーボンブラック、40重量部と、亜鉛華、5重量部と、ステアリン酸、0.5重量部と、1,3−ジ(t−ブチルペロキシイソプロピル)ベンゼン5重量部とを配合させてなる耐熱ゴムを使用した。
(接着強さの評価)
前記耐熱ゴムからなる3mm厚、25mm幅のゴムシート上に前記の2層の被覆層を有するゴム補強用ガラス繊維を20本並べ、その上から布をかぶせ、温度、170℃下、196N/cm2での条件で端部を除き押圧し、30分間加硫させつつ成形して接着強さ評価のための試験片を得た。この試験片の接着強さの測定を、端部においてゴムとゴム補強用繊維を個別にクランプにてはさみ、剥離速度を50mm/分とし、ゴムシートからゴム補強用ガラス繊維を剥がす際の最大の抵抗値を剥離強さとした。
表1の実施例6に示すように、剥離時の強さは、470Nであり、比較例3に示した従来のゴム補強用繊維に比べて好ましい接着強さを有していた。尚、表1の実施例6に示す様に完全ゴム破壊であり、好ましい接着強さを有していた。
(耐熱性の評価)
幅、5mm、深さ、2.5mmの溝を有した金型の溝部に、幅5mmに裁断した布を敷き、その上に9.8Nの張力で1本のゴム補強用ガラス繊維を張り、その上に5mm幅に裁断した3mm厚の前記水素化ニトリルゴムからなるゴムシートを被せ、温度、170℃下、196N/cm2も条件で、30分間押圧して平ベルトを成形した。その後、長さ、25cmに切断し、温度、160℃下、24時間加熱処理した後、MIT屈曲試験機に片方の端部を取りつけて、もう片方の端部に3kgの重りを吊し、MIT屈曲試験器に取り付けた方の端部を動かし、曲げ角、120゜、120回/分の屈曲条件で1200回折り曲げた。次いで、両端を固定して、引っ張り速度、250mm/分、クランプ間隔、250mmで引っ張り、破壊される際の最大強さである残存強さ、即ち、ゴム補強用繊維が破断する際の強さを測定し、耐熱性の評価行った。
(耐熱性の評価)
幅、5mm、深さ、2.5mmの溝を有した金型の溝部に、幅5mmに裁断した布を敷き、その上に9.8Nの張力で1本のゴム補強用ガラス繊維を張り、その上に5mm幅に裁断した3mm厚の前記水素化ニトリルゴムからなるゴムシートを被せ、温度、170℃下、196N/cm2も条件で、30分間押圧して平ベルトを成形した。その後、長さ、25cmに切断し、温度、160℃下、24時間加熱処理した後、MIT屈曲試験機に片方の端部を取りつけて、もう片方の端部に3kgの重りを吊し、MIT屈曲試験器に取り付けた方の端部を動かし、曲げ角、120゜、120回/分の屈曲条件で1200回折り曲げた。次いで、両端を固定して、引っ張り速度、250mm/分、クランプ間隔、250mmで引っ張り、破壊される際の最大強さである残存強さ、即ち、ゴム補強用繊維が破断する際の強さを測定し、耐熱性の評価行った。
表1の実施例6に示すように、残存強さは853Nであり、好ましい耐熱性を有していた。
実施例7
ビニルピリジンとスチレンとブタジエンとを、15:15:70の割合で含有するビニルピリジン−スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、商品名ピラテックス、固形分、41重量%)408重量部と、スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、型番J−9049、固形分、48重量%)101重量部と、アクリル酸エステル系共重合体ラテックス(日本ゼオン株式会社製、商品名、Nipol、型番、LX851、固形分、45重量%)75重量部と、レゾルシンとホルムアルデヒドの付加縮合物(固形分、8.7重量%)234重量部と、アンモニア水(濃度、25重量%)22重量部とに水を添加して全体として1000重量部になるようにガラス繊維被覆用塗布液を調製し、実施例1に示した手順でゴム補強用ガラス繊維を用意した。
実施例7
ビニルピリジンとスチレンとブタジエンとを、15:15:70の割合で含有するビニルピリジン−スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、商品名ピラテックス、固形分、41重量%)408重量部と、スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、型番J−9049、固形分、48重量%)101重量部と、アクリル酸エステル系共重合体ラテックス(日本ゼオン株式会社製、商品名、Nipol、型番、LX851、固形分、45重量%)75重量部と、レゾルシンとホルムアルデヒドの付加縮合物(固形分、8.7重量%)234重量部と、アンモニア水(濃度、25重量%)22重量部とに水を添加して全体として1000重量部になるようにガラス繊維被覆用塗布液を調製し、実施例1に示した手順でゴム補強用ガラス繊維を用意した。
該ゴム補強用ガラス繊維において、被覆層中のアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とからなる固形分の総重量を基準として、重量%で表して、アクリル酸エステル系樹脂が12.5%、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体を合わせて80.0%、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が7.5%である。
実施例6に示した手順で、クロロスルホン化ポリエチレン(東ソー株式会社製、TS−430)、100重量部と、p−ジニトロベンゼン、40重量部と、ビスアリルナジイミド(丸善石油化学株式会社製、商品名BANI−H)、1重量部と、カーボンブラック、30重量部と、キシレン、1315重量部とを含むガラス繊維被覆用塗布液で更に処理し、110℃、2分間乾燥を行なった。この処理による固形分付着率は3.5重量%であった。
実施例6に示した手順で、クロロスルホン化ポリエチレン(東ソー株式会社製、TS−430)、100重量部と、p−ジニトロベンゼン、40重量部と、ビスアリルナジイミド(丸善石油化学株式会社製、商品名BANI−H)、1重量部と、カーボンブラック、30重量部と、キシレン、1315重量部とを含むガラス繊維被覆用塗布液で更に処理し、110℃、2分間乾燥を行なった。この処理による固形分付着率は3.5重量%であった。
実施例6と同様の手順で、試験片をつくり、接着強さの評価、耐熱性の評価を行ったところ、表1の実施例7に示すように、剥離時の強さは473Nであり、比較例1、2に示した従来のゴム補強用繊維に比べて、大きな接着強さを有していた。尚、表1の実施例7に示すように、剥離状況は完全ゴム破壊であり、好ましい接着強さを有していた。また、表1の実施例2に示すように、残存強さは886Nであり、好ましい耐熱性を有していた。
有していた。
実施例8
ビニルピリジンとスチレンとブタジエンとを、15:15:70の割合で含有するビニルピリジン−スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、商品名ピラテックス、固形分、41重量%)408重量部と、スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、型番J−9049、固形分、48重量%)101重量部と、アクリル酸エステル系共重合体ラテックス(日本ゼオン株式会社製、商品名、Nipol、型番、LX852、固形分、45重量%)75重量部と、レゾルシンとホルムアルデヒドの付加縮合物(固形分、8.7重量%)234重量部と、アンモニア水(濃度、25重量%)22重量部とに水を添加して全体として1000重量部になるようにガラス繊維被覆用塗布液を調製し、実施例1に示した手順でゴム補強用ガラス繊維を用意した。
有していた。
実施例8
ビニルピリジンとスチレンとブタジエンとを、15:15:70の割合で含有するビニルピリジン−スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、商品名ピラテックス、固形分、41重量%)408重量部と、スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、型番J−9049、固形分、48重量%)101重量部と、アクリル酸エステル系共重合体ラテックス(日本ゼオン株式会社製、商品名、Nipol、型番、LX852、固形分、45重量%)75重量部と、レゾルシンとホルムアルデヒドの付加縮合物(固形分、8.7重量%)234重量部と、アンモニア水(濃度、25重量%)22重量部とに水を添加して全体として1000重量部になるようにガラス繊維被覆用塗布液を調製し、実施例1に示した手順でゴム補強用ガラス繊維を用意した。
該ゴム補強用ガラス繊維において、被覆層中のアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とからなる固形分の総重量を基準として、重量%で表して、アクリル酸エステル系樹脂が12.5%、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体を合わせて80.0%、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が7.5%である。
実施例6に示した手順で、クロロスルホン化ポリエチレン(東ソー株式会社製、TS−430)、100重量部と、p−ジニトロベンゼン、40重量部と、ビスアリルナジイミド(丸善石油化学株式会社製、商品名BANI−H)、1重量部と、カーボンブラック、30重量部と、キシレン、1315重量部とを含むガラス繊維被覆用塗布液で更に処理し、110℃、2分間乾燥を行なった。この処理による固形分付着率は3.5重量%であった。
実施例6と同様の手順で、試験片をつくり、接着強さの評価、耐熱性の評価を行ったところ、表1の実施例8に示すように、剥離時の強さは421Nであり、比較例3に示した従来のゴム補強用繊維に比べて、大きな接着強さを有していた。尚、表1の実施例8に示すように、剥離状況は完全ゴム破壊であり、好ましい接着強さを有していた。また、表1の実施例8に示すように、残存強さは862Nであり、好ましい耐熱性を有していた。
比較例1
実施例2のガラス繊維被覆用塗布液に対して、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、2684、固形分30%)を無添加とし、スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、J−9049、固形分、48%)の添加量を172重量部に替えて、実施例1に示した手順でゴム補強用ガラス繊維を用意した。
比較例1
実施例2のガラス繊維被覆用塗布液に対して、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、2684、固形分30%)を無添加とし、スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、J−9049、固形分、48%)の添加量を172重量部に替えて、実施例1に示した手順でゴム補強用ガラス繊維を用意した。
実施例1と同様の手順で、試験片をつくり、接着強さの評価、耐熱性の評価を行ったところ、表1の比較例1に示すように、剥離時の強さは172Nであり、実施例1〜6に示す本発明のゴム補強用繊維に比べて、接着強さが弱かった。尚、表1の比較例1に示す様に、破壊上状況は部分ゴム破壊であり、好ましい接着強さを有していない。また、表1の比較例1に示すように、残存強さは268Nであり、好ましい耐熱性を有していない。
比較例2
ビニルピリジンとスチレンとブタジエンとを15:15:70の割合で含有するビニルピリジン−スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、商品名ピラテックス、固形分、41%)、408重量部と、クロロスルフォン化ポリエチレンエマルジョン(住友精化株式会社製CSM450、固形分、40重量%)、206重量部と、レゾルシンとホルムアルデヒドの付加縮合物(固形分、8.7重量%)233重量部と、アンモニア水(25%)22重量部とを撹拌しながら添加し、全体として1000重量部になるようにガラス繊維被覆用塗布液を調製し、実施例1に示した手順でゴム補強用ガラス繊維を用意した。
比較例2
ビニルピリジンとスチレンとブタジエンとを15:15:70の割合で含有するビニルピリジン−スチレン−ブタジエンエマルジョン(日本エイアンドエル株式会社製、商品名ピラテックス、固形分、41%)、408重量部と、クロロスルフォン化ポリエチレンエマルジョン(住友精化株式会社製CSM450、固形分、40重量%)、206重量部と、レゾルシンとホルムアルデヒドの付加縮合物(固形分、8.7重量%)233重量部と、アンモニア水(25%)22重量部とを撹拌しながら添加し、全体として1000重量部になるようにガラス繊維被覆用塗布液を調製し、実施例1に示した手順でゴム補強用ガラス繊維を用意した。
実施例1と同様の手順で、試験片をつくり、接着強さの評価、耐熱性の評価を行ったところ、表1の比較例2に示すように、剥離時の強さは238Nであり、実施例1〜6に示す本発明のゴム補強用繊維に比べて、接着強さが弱かった。尚、表1における比較例2に示す様に、破壊上状況は部分ゴム破壊であり、好ましい接着強さを有していない。また、表1の比較例2に示すように、残存強さは463Nであり、好ましい耐熱性を有していない。
比較例3
比較例2で用意したゴム補強用ガラス繊維に、実施例6に示した手順で、クロロスルホン化ポリエチレン(東ソー株式会社製、TS−430)、100重量部と、p−ジニトロベンゼン、40重量部と、ビスアリルナジイミド(丸善石油化学株式会社製、商品名BANI−H)、1重量部と、カーボンブラック、30重量部と、キシレン、1315重量部とを含むガラス繊維被覆用塗布液で更に処理し、110℃、2分間乾燥を行なった。この処理による固形分付着率は3.5重量%であった。
比較例3
比較例2で用意したゴム補強用ガラス繊維に、実施例6に示した手順で、クロロスルホン化ポリエチレン(東ソー株式会社製、TS−430)、100重量部と、p−ジニトロベンゼン、40重量部と、ビスアリルナジイミド(丸善石油化学株式会社製、商品名BANI−H)、1重量部と、カーボンブラック、30重量部と、キシレン、1315重量部とを含むガラス繊維被覆用塗布液で更に処理し、110℃、2分間乾燥を行なった。この処理による固形分付着率は3.5重量%であった。
実施例6と同様の手順で、試験片をつくり、接着強さの評価、耐熱性の評価を行ったところ、表1の比較例3に示すように、剥離時の強さは282Nであり、実施例6に示す本発明のゴム補強用繊維に比べて、接着強さが弱かった。尚、表1の比較例3に示す様に、破壊上状況は部分ゴム破壊であり、好ましい所望の接着強さを有していない。また、表1の比較例3に示すように、残存強さは578Nであり、実施例6に比べて低い強さであった。
Claims (6)
- ガラス繊維にアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とを水に分散させエマルジョンとしたガラス繊維被覆用塗布液を塗布した後、乾燥させてなる被覆層を設けてなることを特徴とするゴム補強用ガラス繊維。
- 前記アクリル酸エステル系樹脂が、アクリル酸エステルおよび/またはメタアクリル酸エステルからなるモノマーを含むモノマー混合物を、ポリビニルアルコールまたはその変性物を保護コロイドとして重合させることにより得られるアクリル酸エステル系重合体のエマルジョンであることを特徴とする請求項1に記載のゴム補強用ガラス繊維。
- 前記アクリル酸エステル系樹脂が分子構造中にカルボキシル基を有してなるアクリル酸エステル系共重合体ラテックスであることを特徴とする請求項1に記載のゴム補強用ガラス繊維。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のゴム補強用ガラス繊維であって、被覆層中のアクリル酸エステル系樹脂とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とからなる固形分の総重量を基準として、重量%で表して、アクリル酸エステル系樹脂が3.0%〜40.0%、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体が45.0%〜82.0%、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が1.0%〜15.0%の範囲に含まれてなることを特徴とするゴム補強用ガラス繊維。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のゴム補強用ガラス繊維であって、被覆層中のビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体の5.0重量%〜80.0重量%を、スチレン−ブタジエン共重合体に替えてなることを特徴とするゴム補強用ガラス繊維。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のゴム補強用ガラス繊維にハロゲン含有ポリマーと、ハロゲン含有ポリマーの重量に対して0.3重量%〜10.0重量%のビスアリルナジイミドとを有機溶剤に分散させたガラス繊維被覆用塗布液を塗布し、更なる被覆層を設けてなるゴム補強用ガラス繊維。
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