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JP2004293394A - エンジンオイルの希釈防止装置 - Google Patents

エンジンオイルの希釈防止装置 Download PDF

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JP2004293394A
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Kenji Kodama
健司 児玉
Satoshi Hiranuma
智 平沼
Sei Kawatani
聖 川谷
Tokuaki Ono
徳昭 小野
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Abstract

【課題】パイロット噴射やポスト噴射等の多段噴射を実行可能なエンジンに用いて好適の、エンジンオイルの希釈防止装置に関し、エンジンオイルの希釈を確実に防止できるようにする。
【解決手段】エンジンオイルの希釈率に関するパラメータを検出する検出手段22と、エンジンオイルを加熱する加熱装置14と、検出手段22により検出されたパラメータの値と所定の閾値とを比較して、この結果に基づいて加熱装置14を作動させる制御手段18とをそなえるように構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンオイルの希釈防止装置に関し、特にパイロット噴射やポスト噴射等の多段噴射を実行可能なエンジンに用いて好適の、エンジンオイルの希釈防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エンジンの燃料噴射の態様として、触媒の速やかな昇温を図る目的で主噴射後にポスト噴射を行なったり、騒音や振動の抑制を図る目的で主噴射前にパイロット噴射を行なったりする多段噴射が知られている。
しかしながら、このような多段噴射において、主噴射に対し大幅に早い時期又は遅い時期で燃料を噴射すると、燃料がシリンダ壁面(シリンダライナ)に付着してしまう。つまり、図4(a)に示すように、主噴射や主噴射に近いタイミングでのポスト噴射やパイロット噴射ではピストン100が上死点近傍にあるため、噴射された燃料はピストン100の燃焼室内101に収まるが、主噴射に対し大幅にずれたタイミングで噴射を行なうと、図4(b)に示すように、ピストン101が低い位置にあるため、噴射された燃料は直接シリンダ壁面102に付着することとなる(ライナアタック)。
【0003】
そして、このようにシリンダ壁面102に燃料が付着すると、ピストンリング103により燃料が掻き落とされてエンジンオイル中に混入し、この結果エンジンオイルが燃料により希釈されてしまう。また、エンジンオイルが希釈されると、摺動部やベアリング部などで本来確保するべき油膜厚さを維持できず、摺動部等に損傷を与える可能性がある。
【0004】
ここで、図5はポスト噴射タイミングとエンジンオイル希釈率との関係を示す図であって、ポスト噴射タイミングは、線aは25°ATDC,線bは100°ATDC,線cは150°ATDCである。この図からもわかるように、ポスト噴射タイミングがTDCから遅れるほどエンジンオイル希釈率が大きくなる。なお、エンジンオイルの本来の性能が保証される希釈率は最大で3%であり、換言すれば、希釈率3%がエンジンオイル希釈率の許容範囲である。
【0005】
これに対して、特許文献1には、エンジンの始動時に潤滑油を加熱してエンジンの暖機を促進するとともに、潤滑油に混入した燃料,水分等の不純物を蒸発,分離させるようにした技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭57−181913号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術は、主にエンジンの始動時の暖機促進を目的としており、このため潤滑油を加熱するのは、エンジン始動時に潤滑油温度が所定温度以下の場合のみである。このため、上記特許文献1に開示された技術では、例えば長時間エンジンを連続して運転させた場合にはエンジンオイルの希釈を防止できないという課題がある。また、特許文献1の技術では潤滑油の温度が80〜100℃になるとサーモスタットの作用により加熱を中止するので、十分に水分や燃料を蒸発させることができず、やはりエンジンオイルの希釈を確実に防止することができない。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、エンジンオイルの希釈を確実に防止できるようにした装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明のエンジンオイルの希釈防止装置は、エンジンオイルの希釈率に関するパラメータの値を検出する検出手段と、該エンジンオイルを加熱する加熱装置と、該検出手段により検出されたパラメータの値と所定の閾値とを比較して、この結果に基づいて該加熱装置を作動させる制御手段とをそなえていることを特徴としている(請求項1)。
【0010】
なお、該エンジンオイルの希釈率に関するパラメータは、油圧,粘度,油量,エンジン運転時間,車両走行距離及び多段噴射実行回数のいずれかであるのが好ましい(請求項2)。
また、エンジンオイルを冷却するオイルクーラを設け、加熱装置により加熱されたエンジンオイルがオイルクーラの上流側に供給されるように構成するのが好ましい(請求項3)。
【0011】
また、本発明のエンジンオイルの希釈防止装置は、エンジンオイルの希釈率に関するパラメータを検出する検出手段と、エンジンと別体に形成され該エンジンオイル中の燃料を蒸発,気化させる燃料蒸発装置と、該燃料蒸発装置内に設けられて該エンジンオイルを加熱する加熱装置と、該検出手段により検出されたパラメータの値と所定の閾値とを比較して、この結果に基づいて該加熱装置を作動させる制御手段と、該燃料蒸発装置で蒸発,気化した燃料を捕集して該エンジンの吸気系に戻す燃料蒸散防止装置とをそなえていることを特徴としている(請求項4)。
【0012】
また、本発明のエンジンオイルの希釈防止装置は、エンジンオイルの希釈率に関するパラメータを検出する検出手段と、エンジンのオイルパン内を加熱する加熱装置と、該検出手段により検出されたパラメータの値と所定の閾値とを比較して、この結果に基づいて該加熱装置を作動させる制御手段と、該オイルパン内で蒸発,気化した燃料を捕集して該エンジンの吸気系に戻す燃料蒸散防止装置とをそなえていることを特徴としている(請求項5)。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の第1実施形態に係るエンジンオイルの希釈防止装置について説明すると、図1はその全体構成を示す模式図、図2(a)〜(d)はいずれもその作用を説明するためのタイムチャートである。
図1において、符号2はエンジン(本実施形態ではディーゼルエンジン)、4はオイルパン、6は燃料蒸発装置である。ここで、オイルパン4(又は図示しないメインギャラリ)と燃料蒸発装置6とは、潤滑油供給路8及びリターン路10により接続されており、潤滑油供給路8を介してエンジンオイルがエンジン2から燃料蒸発装置6に供給されるとともに、上記リターン路10を介して燃料蒸発装置6からエンジン2に付設されたオイルクーラ12の上流側にエンジンオイルが送給されるようになっている。
【0014】
また、図示するように、燃料蒸発装置6にはヒータ(加熱装置)14及びキャニスタ(燃料蒸散防止装置)24が設けられている。このうちヒータ14はバッテリ16からの電力供給を受けて燃料蒸発装置6内に供給されたエンジンオイルを加熱するものであって、エンジンオイルを加熱することでエンジンオイルに混入した燃料を蒸発,気化させるようになっている。また、キャニスタ24は燃料蒸発装置6で蒸発,気化した燃料を捕集するとともに捕集された燃料を再びエンジン2の吸気系に戻して処理する機能を有している。
【0015】
また、このヒータ14にはコントローラ(制御手段)18が接続されており、コントローラ18では、後述の「エンジンオイルの希釈率に関するパラメータ」に基づいて、ヒータ14の作動を制御するようになっている。
一方、エンジン2内にはエンジンオイルの圧力を検出する油圧センサ(検出手段)22が設けられており、コントローラ18には上記油圧センサ22からの情報が入力されるようになっている。そして、本実施形態では、エンジンオイルの希釈率に関するパラメータとして油圧センサ22で検出される油圧が適用されており、この油圧に基づいてヒータ14の作動が制御されるようになっている。
【0016】
これは、エンジンオイルが燃料により希釈されると油圧が低下するからであり、本実施形態ではこのような特性に着目して、油圧をトリガとしてヒータ14の作動を制御するようになっている。
ここで、油圧センサ22は、エンジン2のメインギャラリ油圧を検出可能に構成されており、エンジン2のアイドル運転時において、メインギャラリ油圧が所定値(閾値)以下となると、コントローラ18ではエンジンオイルに燃料が混入してエンジンオイルの希釈が無視できない状態であると判定して、ヒータ14を作動させる(オンにする)ようになっている。なお、油圧の検出時にエンジン2のアイドル運転を条件としているのは、油圧はエンジン2の回転数や負荷等の運転状態に応じて大きく変動するからである。また、上記の所定値(閾値)は例えば2kgf/cmである。
【0017】
そして、ヒータ14を作動させて燃料蒸発装置6内のエンジンオイルを例えば100℃程度まで加熱すると、燃料(軽油)の沸点はエンジンオイルの沸点よりも低いため、燃料のみを蒸発させることができる。なお、蒸発,気化した燃料はキャニスタ24で捕集されて再びエンジン2の吸気系に戻されるようになっている。
【0018】
そして、エンジンオイルの油圧が上記閾値まで上昇すると、コントローラ18ではヒータ14の作動を停止させる(オフにする)ようになっている。
なお、ヒータ14をオンにする閾値は、エンジンオイル希釈率が所定値(本実施形態では3%)のときのエンジン油圧に対応しており、本実施形態では、エンジン油圧が閾値以下になった場合はエンジンオイル希釈率が所定値(3%)以上になったことを意味している。
【0019】
また、燃料蒸発装置6により加熱されたエンジンオイルは、リターン路10を介してオイルクーラ12に送給されるようになっている。そして、このオイルクーラ12により、高温状態となったエンジンオイルが冷却され、その後エンジン2内の各摺動部に供給されるようになっている。
本発明の第1実施形態に係るエンジンオイルの希釈防止装置は、上述のように構成されているので、その作動を図2(a)〜(c)のタイムチャートを用いて説明すると以下のようになる。
【0020】
まず、図1に示すように、エンジン2内部の潤滑に用いられたオイルは、燃料供給路8を介して一旦燃料蒸発装置6に送給される。そして、ヒータ14が作動していなければ、燃料蒸発装置6内のエンジンオイルはそのままリターン路10を介してオイルクーラ12に送給され、上記オイルクーラ12で冷却された後、オイルパン4に戻される。
【0021】
一方、エンジンオイルに燃料が混入してエンジンオイルが希釈されると、図2(a)に示すように、これに応じてエンジンオイルの油圧が低下する。そして、この油圧が所定の閾値以下になると、図2(b)に示すように、ヒータ14がオンとなり、燃料蒸発装置6内のエンジンオイルが加熱される。これにより、図2(c)に示すようにエンジンオイルの温度が上昇して、エンジンオイル内に混入した燃料が蒸発するとともに、キャニスタ24により捕集される。また、このようなエンジンオイルの温度上昇にともない、図2(d)に示すように、エンジンオイルの希釈量(希釈率)も低下していく。
【0022】
そして、その後エンジンオイルの油圧が閾値以上になると、エンジンオイル内の燃料が略蒸発したものと判定し、ヒータ14の作動がオフとなる。
以上のように、本発明の第1実施形態に係るエンジンオイルの希釈防止装置によれば、エンジンオイルの希釈率に関するパラメータ(本実施形態では油圧)に基づいて、ヒータ14の作動を制御するので、確実にエンジンオイルを所定の希釈率(本実施形態では3%)以下に保つことができる。つまり、エンジンオイルの希釈率と油圧との間には強い相関関係があり、この関係を利用してエンジンオイルの油圧が閾値以下となるとヒータ14を作動させてエンジンオイル内の燃料を蒸発させるので、エンジンオイルの希釈を確実に防止できる。また、制御内容も簡素なものとなり、コントローラ18の負荷増大も極力抑制できるという利点がある。
【0023】
また、所定の希釈率とは、エンジンオイルの本来の性能を維持できる希釈率であり、このようにエンジンオイルを所定の希釈率以下に保持することで、摺動部や潤滑部において本来必要とされる油膜を形成することができ、焼き付き等を防止することができる。
また、ヒータ14で加熱されたエンジンオイルはオイルクーラ12に戻されるので、高温となったエンジンオイルを速やかに冷却することができ、加熱によるエンジンオイルの性能劣化を防止することができる。
【0024】
なお、従来の技術の欄に記載した特許文献1の技術は、主にエンジンの始動時の暖機促進を目的としているものに過ぎず、単に、エンジン始動時に潤滑油温度が所定温度以下の場合に潤滑油を加熱するのみであり、エンジンオイルの希釈を確実に防止することはできなった。
また、本願発明によれば、燃料蒸発装置6において蒸発,気化した燃料をキャニスタ24で捕集して吸気系に戻すことにより、燃費の向上を図ることができるという利点がある。
【0025】
なお、上述した実施形態では、ヒータ14を作動(オン)させる際の閾値と、停止(オフ)させる際の閾値とを同じ値に設定しているが、制御のハンチングを防止する目的でオフの閾値をオンの閾値よりも大きく設定してもよい。また、ヒータ14のオフの閾値を設けずに、単にヒータ14の作動開始してから所定時間(例えば15分)経過後にヒータ14をオフにするようにしてもよい。
【0026】
次に、本願発明の第2実施形態に係るエンジンオイル希釈防止装置について図3を用いて説明すると、図3はその要部構成を示す模式図である。図示するように、この第2実施形態では、オイルパン4を直接加熱するように構成されている点が第1実施形態と大きく異なっている。なお、これ以外の点については第1実施形態と略同様に構成されているので、以下では第1実施形態と異なる部分について主に説明する。また、図3ではコントローラやバッテリや油圧センサについては省略しているが、これらを備えているのはいうまでもない。
【0027】
さて、第2実施形態では、図3に示すように、オイルパン4内にヒータ14が設けられており、オイルパン4内のエンジンオイルが直接加熱されるようになっている。したがって、オイルパン4が第1実施形態における燃料蒸発装置の機能を兼用している。
また、第2実施形態では、燃料蒸発装置と一体に設けられていたキャニスタ24は、通路(ブローバイガス通路)26を介してオイルパン4に接続されている。そして、ヒータ14を作動させて、エンジンオイル内の燃料が蒸発,気化すると、この気化した燃料がブローバイガス通路26を介してキャニスタに24に送給されるようになっている。なお、ヒータ14を作動させる条件や停止させる条件は第1実施形態と同様である。
【0028】
本発明の第2実施形態に係るエンジンオイル希釈防止装置は上述のように構成されているので、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、オイルパン4を直接加熱することで第1実施形態における燃料蒸発装置を省略でき、小型化,軽量化を図ることができるという特有の利点もある。
なお、本発明エンジンオイル希釈防止装置は、上述の各実施形態のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0029】
以下、具体的に本発明の変形例について説明すると、上記の各実施形態では、エンジンオイルの希釈率に関するパラメータとして油圧を適用した場合について説明したが、このようなパラメータとしては、油圧以外にも例えば、▲1▼エンジンオイル粘度、▲2▼エンジンオイル量、▲3▼エンジン運転時間、▲4▼車両走行距離、▲5▼多段噴射(ポスト噴射やパイロット噴射)実行回数等を適用することができる。そして、このようなパラメータを用いていも比較的簡素な制御内容となり、やはりコントローラ18の負荷増大を極力抑制できる。
【0030】
ここで、エンジンオイルの希釈率に関するパラメータとして、▲1▼エンジンオイル粘度を用いる場合には、エンジンオイル粘度を検出可能な粘度センサ(検出手段)を油圧センサの代わりに設け、この粘度センサからの情報に基づいてヒータ14の作動を制御するように構成する。
そして、この場合には、エンジン2のアイドル運転時において、エンジンオイルの粘度が閾値(例えば8cSt)以下となると、ヒータ14を作動させればよい。これは、エンジンオイルが希釈されると、その希釈率が上昇するほどエンジンオイルの粘度が低下するからである。そして、その後所定時間(例えば15分)が経過するか、又は粘度が閾値以上となるとヒータ14の作動を停止するように構成すればよい。
【0031】
また、エンジンオイルの希釈率に関するパラメータとして、▲2▼エンジンオイル量を用いる場合には、エンジンオイル量を検出可能な検出手段(例えばエンジンオイルの油面の位置を検出する油面センサ)を油圧センサの代わりに設け、このセンサからの情報に基づいてヒータ14の作動を制御するように構成すればよい。
【0032】
そして、この場合には、エンジン停止後所定時間(例えば2時間)経過していることを条件に、エンジンオイルの油面位置が閾値(例えば5mm)以上上昇すると、ヒータ14を作動させればよい。これは、エンジンオイルが希釈されると、その希釈率が上昇するほど燃料を含んだエンジンオイルの量が増大し、油面位置が上昇するからである。
【0033】
そして、その後所定時間(例えば15分)が経過するか、又は油面位置が閾値以下となると作動を停止するようにすればよい。
次に、エンジンオイルの希釈率に関するパラメータとして、▲3▼エンジン運転時間を用いる場合について説明すると、この場合は、エンジン運転時間をカウントするタイマ(検出手段)を設け、エンジン2の運転時間が所定時間(例えば5時間)経過する毎にヒータ14を作動させて、その後所定時間(例えば15分)が経過すると作動を停止するようにすればよい。
【0034】
また、エンジンオイルの希釈率に関するパラメータとして、▲4▼車両走行距離を適用する場合には、車両の走行距離をカウント又は算出する手段(検出手段)を設け、走行距離が所定距離(例えば500km)に達する度にヒータ14を作動させて、その後所定時間(例えば15分)が経過すると作動を停止するようにすればよい。なお、この場合には、検出手段はコントローラ18内にソフトウェアや電子回路により構築されるものであってもよいし、車速センサ等を適用してもよい。
【0035】
最後に、エンジンオイルの希釈率に関するパラメータとして、▲5▼多段噴射実行回数を適用した場合について説明すると、この場合には多段噴射の実行を検出する手段(検出手段)を設け、多段噴射を実行する度にヒータ14を作動させるように構成する。ここで、多段噴射(ポスト噴射やパイロット噴射)は、触媒の昇温やエンジンの騒音や振動の抑制を図る目的で実行されるものであり、この多段噴射モードで燃料噴射を行なうのは1回当たり15分〜20分程度である。そこで、このような多段噴射モード実行時にはその都度、多段噴射開始と同時にヒータ14を作動させて、多段噴射終了時にヒータ14をオフにするように構成すればよい。なお、上述のように多段噴射モードを実行する毎にヒータ14を作動させる以外にも、多段噴射モードの実行回数が所定回数に達する毎にヒータ14を作動させてもよい。さらには、多段噴射モードの実行時間を検出する手段(検出手段)を設け、多段噴射の実行時間が所定値に達するとヒータ14を作動させるようにしてもよい。
【0036】
また、この場合にも、検出手段は、コントローラ18内にソフトウェアや電子回路により構築される。
また、上記の第1及び第2実施形態並びにその変形例において、ヒータ14の作動時に、エンジンオイルが必要以上に高温になった場合にはヒータ14の作動を一時的に停止させるように構成してもよい。例えばオイルクーラ12の出口においてエンジンオイルの温度を検出し、検出された温度が所定温度(100℃)以上であれば、エンジンオイルの劣化及びエンジン2の焼き付き等を考慮してヒータ14の作動を停止させるように構成する。また、検出されるエンジンオイル温度が上記の所定温度以下になったら再びヒータ14をオンしてエンジンオイルを加熱し、通算して所定時間(例えば15分)加熱したらヒータ14をオフするように構成すればよい。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に係る本発明のエンジンオイルの希釈防止装置によれば、エンジンオイルの希釈率に関するパラメータの値と閾値とを比較して、この結果に基づいて加熱装置を作動させるので、エンジンオイルの希釈を確実に防止することができる。これにより、エンジンオイルの本来の性能を維持することができ、摺動部や潤滑部において本来必要とされる油膜を形成して焼き付き等を防止することができる。
【0038】
また、請求項2に係る本発明のエンジンオイルの希釈防止装置によれば、エンジンオイルの希釈率に関するパラメータとして、油圧,粘度,油量,エンジン運転時間,車両走行距離及び多段噴射実行回数のいずれかを適用することにより、制御内容が簡易なものとなり制御手段における負荷増大を極力抑制することができる。
【0039】
また、請求項3に係る本発明のエンジンオイルの希釈防止装置によれば、加熱装置により加熱されたエンジンオイルをオイルクーラの上流側に戻すので、高温となったエンジンオイルを速やかに冷却することができ、加熱によるエンジンオイルの性能劣化を防止することができる。
また、請求項4に係る本発明のエンジンオイルの希釈防止装置によれば、上記請求項1と同様の利点があるほか、燃料蒸発装置で蒸発,気化した燃料を燃料蒸散防止装置により捕集してエンジンの吸気系に戻すので燃費を向上させることができる。
【0040】
また、請求項5に係る本発明のエンジンオイルの希釈防止装置によれば、上記請求項1及び4と同様の利点があるほか、システム全体を小型化することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエンジンオイルの希釈防止装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】(a)〜(d)はいずれも本発明の第1実施形態に係るエンジンオイルの希釈防止装置の作用を説明するためのタイムチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係るエンジンオイルの希釈防止装置の要部構成を示す模式図である。
【図4】(a),(b)はいずれも噴射タイミングとピストン位置との関係について説明するための模式図である。
【図5】ポスト噴射タイミングとエンジンオイル希釈率との関係を示す図である。
【符号の説明】
2 エンジン
4 オイルパン
6 燃料蒸発装置
12 オイルクーラ
14 ヒータ(加熱装置)
18 コントローラ(制御手段)
22 検出手段
24 キャニスタ(燃料蒸散防止装置)

Claims (5)

  1. エンジンオイルの希釈率に関するパラメータの値を検出する検出手段と、
    該エンジンオイルを加熱する加熱装置と、
    該検出手段により検出されたパラメータの値と所定の閾値とを比較して、この結果に基づいて該加熱装置を作動させる制御手段と
    をそなえている
    ことを特徴とする、エンジンオイルの希釈防止装置。
  2. 該エンジンオイルの希釈率に関するパラメータが、油圧,粘度,油量,エンジン運転時間,車両走行距離及び多段噴射実行回数のいずれかである
    ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンオイルの希釈防止装置。
  3. 該エンジンオイルを冷却するオイルクーラをさらに有し、該加熱装置により加熱されたエンジンオイルが該オイルクーラの上流側に供給されるように構成されている
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のエンジンオイル希釈防止装置。
  4. エンジンオイルの希釈率に関するパラメータを検出する検出手段と、
    エンジンと別体に形成され該エンジンオイル中の燃料を蒸発,気化させる燃料蒸発装置と、
    該燃料蒸発装置内に設けられて該エンジンオイルを加熱する加熱装置と、
    該検出手段により検出されたパラメータの値と所定の閾値とを比較して、この結果に基づいて該加熱装置を作動させる制御手段と、
    該燃料蒸発装置で蒸発,気化した燃料を捕集して該エンジンの吸気系に戻す燃料蒸散防止装置とをそなえている
    ことを特徴とする、エンジンオイル希釈防止装置。
  5. エンジンオイルの希釈率に関するパラメータを検出する検出手段と、
    エンジンのオイルパン内を加熱する加熱装置と、
    該検出手段により検出されたパラメータの値と所定の閾値とを比較して、この結果に基づいて該加熱装置を作動させる制御手段と、
    該オイルパン内で蒸発,気化した燃料を捕集して該エンジンの吸気系に戻す燃料蒸散防止装置とをそなえている
    ことを特徴とする、エンジンオイル希釈防止装置。
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