JP2004286452A - 尿糖検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】食後不定時に測定しても、所定の瞬間尿糖値を推測表示するに好適な尿糖検査装置を提供する。
【解決手段】使用者の排尿中に含まれる尿糖値を測定する尿糖値測定手段と、尿糖値測定より先の排尿から後の尿糖値測定までの経過時間である測定経過時間と、食事から前記後の尿糖値測定までの経過時間である食後経過時間とを計測する時間計測手段とを有し、更に、前記測定結果として得られる尿糖値と、前記測定経過時間、および、前記食後経過時間とに基づいて、所定時刻に使用者の血液中から体内の尿中に排泄された尿糖値である瞬間尿糖値を推定する瞬間尿糖値推定手段と、を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】使用者の排尿中に含まれる尿糖値を測定する尿糖値測定手段と、尿糖値測定より先の排尿から後の尿糖値測定までの経過時間である測定経過時間と、食事から前記後の尿糖値測定までの経過時間である食後経過時間とを計測する時間計測手段とを有し、更に、前記測定結果として得られる尿糖値と、前記測定経過時間、および、前記食後経過時間とに基づいて、所定時刻に使用者の血液中から体内の尿中に排泄された尿糖値である瞬間尿糖値を推定する瞬間尿糖値推定手段と、を備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は尿糖検査装置に係り、特に食後不定時に測定しても、所定の瞬間尿糖値を推測、表示するに好適な尿糖検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の尿糖検査装置では、食事時刻を基準とした経過時間で正規化して、測定したデータの分析や判定を行うようになっていた(例えば、特許文献1)。また、尿糖値は腎臓から排出された糖と尿が膀胱に尿がたまり、排泄されることから所定の瞬間尿糖値を測定することは勿論、推定する方法も無かった。
【0003】
【特許文献1】
特開2002―291705号公報(第1頁、第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の従来の尿糖検査装置では、図6のような食事後の尿糖値を得るためには、食事後ある一定間隔で複数回検査をする必要が生じ、不定期に1回の検査で正規化した値を知るとこはできない。なぜなら尿糖値は食事により増加した血糖が腎臓で処理しきれない値(閾値という)を超えたとき尿に流れ出し、それらが一時膀胱に蓄積された後、排尿、測定されるから、例えば図6(A)の食後経過1時間から3時間にかけて1回尿糖値を計測した場合を例に以下に説明する。このとき3時間後のデータとして図6(A)の2時間後と3時間後のデータの平均値が3時間後に現れるだけとなる。つまり血糖値が検査時の時刻の値を示すのに対して、尿糖は血糖が腎臓で処理しきれない値を超えて膀胱に流入する時に、膀胱に蓄積された流入する糖の全量を、排尿間の時間に蓄積した尿の容量で除した値となる。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、尿糖検査装置において、食後不定期に測定した尿糖値を分析し、ある特定条件での瞬間尿糖値および尿糖値を推測、表示する尿糖検査装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、使用者の排尿中に含まれる尿糖値を測定する尿糖値測定手段と、尿糖値測定における先の排尿から後の尿糖値測定までの経過時間である測定経過時間と、食事から前記後の尿糖値測定までの経過時間である食後経過時間とを計測する時間計測手段とを有し、更に、前記の測定結果として得られる尿糖値と、前記測定経過時間、および、前記食後経過時間とに基づいて、所定時刻に使用者の血液中から体内の尿中に排泄された尿糖値である瞬間尿糖値を推定する瞬間尿糖値推定手段と、を備えていることを特徴とするので、食後不定時に測定しても排尿量に依らない瞬間尿糖値を推測、表示できる。
【0007】
上記目的を達成するために請求項2は、請求項1記載の発明において、前記瞬間尿糖値推定手段が行う前記推定は、使用者の食後の血糖値変動パターンに応じて行なわれることを特徴とするので、被検査者の糖尿病症状パターンに合った値を推測、表示できる。
【0008】
上記目的を達成するために請求項3は、請求項1記載の発明において、前記瞬間尿糖値は、食後に最大となる時刻の尿糖値であることを特徴とするので、被検査者にとって最も注意を喚起できる数値を提供できる。
【0009】
上記目的を達成するために請求項4は、請求項1記載の発明において、前記瞬間尿糖値は、食後から一定時間経過した時刻の尿糖値であることを特徴とするので、食後不定時に尿糖値を測定しても、一定条件下での瞬間尿糖値が推測、表示されて日々の健康管理が容易に実施できる。
【0010】
上記目的を達成するために請求項5は、請求項1記載の発明において、前記尿糖値推定手段は、前記尿糖値と、前記測定経過時間、および、前記食後経過時間とを一つの組データとして、複数の前記組データから学習予測して前記推定を行うことを特徴とするので、尿糖を計測する条件が緩和されるという利点がある。
【0011】
上記目的を達成するために請求項6は、請求項1記載の発明において、所定の時刻の前記瞬間尿糖値と、前記時刻の血糖値との近似直線により、血糖を腎臓で処理できなくなって体外排出となる時の血糖値である血糖排出閾値と、前記血糖排出閾値を超えた血糖に対する処理能力パターンを推定することを特徴とするので、個人差が生じる糖尿病の各個人の特徴を簡単に把握でき、個人に応じた健康管理、治療が容易となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の第一の実施例の血糖値、尿糖値、瞬間尿糖値推定結果の関係を示す図である。図1では食事終了時刻を挟んで、同時刻の血糖値および尿糖値が酵素電極法に代表される通常の方法で計測されている。本図には瞬間尿糖値推定結果も記入されているが、これは以下のようにして推定する。尿糖検査のための採尿時刻に依って以下に示す数式が異なってくるが、ここでは食事後、尿糖値の最大値を過ぎて、尿糖値がほぼ一定値に収束する前に採尿したとして、図2で説明する。
【0013】
図2は本発明の直線近似した瞬間尿糖値の時刻変化を示す模式図である。x1は食事前に実施した前回の排尿における瞬間尿糖値、x2は食事後に瞬間尿糖値が最大になる時間、x3は瞬間尿糖値の最大値、x4は食後に瞬間尿糖値が収束安定する値、x5は瞬間尿糖が最大値を示してから収束し安定するまでの時間、t1は食事終了から前回の排尿における尿糖値測定までの時間、t2は食後から今回の排尿における尿糖測定までの時間である。
【0014】
これらの変数を使い、前回排尿から採尿までの間の尿生成速度を一定と仮定すると、採尿した瞬間尿糖値の予測値Yは数式1で表せる。
【数1】
YSを真の尿糖値とすると、予測値との誤差のニ乗誤差Eは数式2で表せる。
【数2】
この誤差が設定した目標誤差以下に小さくなるように、変数xi(n)と探索パラメータηを使って数式3の最急降下法で更新することにより、図1の瞬間尿糖値の値が推定される。
【数3】
【0015】
図3は本発明の瞬間尿糖値を使って、尿糖検査前の排尿時間と食事時間を変化させたときの尿糖値の推定値を示す図である。本図からも尿糖検査は検査条件(前回の排尿において尿糖値測定した時間と、食後から今回の排尿における尿糖測定までの時間)によって尿糖値測定結果が異なることが分かる。
【0016】
図4は本発明の尿糖検査前の排尿時間と食事時間を不特定として尿糖を測定したときの特定条件での尿糖値の推定値を示した図である。食事の摂取による血糖、尿糖の増加は個人差がある。大きく分けて食後1時間後くらいに血糖値が最大になる場合と、血糖値の増加にインスリンの分泌が直ぐに対応できずに血糖値の最大値が食後2時間程度になる場合の2通りが知られている。これらはブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施すれば、使用者がどの血糖値発現パターンかをあらかじめ知ることができる。
【0017】
そこで2つの血糖値発現パターンに分けて多くの個体による血糖値、尿糖値、瞬間尿糖値のデータを収集し、個々の瞬間尿糖値から本図に示すような検査条件による尿糖値の推定値を求める。次に前回の排尿における尿糖値測定から今回の排尿における尿糖値測定までの時間、および、食事から今回の排尿における尿糖値測定までの時間、および、測定結果としての尿糖値を入力情報として、食後直ぐに排尿し食後2時間後の尿糖値を出力情報とした3入力、1出力、中間層を2つの情報伝達部を設けた、いわゆる3−2−1のニューラルネットワークに200データを1万回学習させ、未学習のデータを予測させた結果が本図に示すものである。本図の結果は、不定の尿糖検査条件でも一定検査条件の尿糖値を推定できることを示している。以上推定目標を一定条件の尿糖値で説明したが、同様にして瞬間最大尿糖値や、一定条件の瞬間尿糖値を推定させることもできる。
【0018】
図5は本発明の第ニの実施例の同時刻の血糖値と瞬間尿糖値の関係を示す図である。本図は図1に示すようなデータを被験者個人ごとに複数回採集し、それぞれ同時刻の血糖値と瞬間尿糖値を統計的に直線近似することで求まる。本図のようにすると、近似直線のy切片が、個人の腎臓のしきい値、つまり血糖がこれ以上に高値となったら、尿糖が出てくる値を示し、その傾きが大きいことは血糖が多くなっても、尿糖が出にくい体質であることを意味し、傾きが小さい場合はその逆となる。本図のような分析を行うことにより個人ごとに糖尿病の特性が違うものを分類し、個人の特性に応じた治療、健康管理に有益な情報が得られる。
【0019】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
前回と今回の尿糖値と、前回の排尿から今回の排尿までの時間、および、食事から今回の排尿までの時間に基づいて、ある瞬間尿糖値を予測する予測手段を備えており、表示する瞬間尿糖値が、前回の排尿から今回の排尿までの時間、および、食事から今回の排尿までの時間が一定の瞬間尿糖値であるので、被検者が食後不定時に尿糖検査しても一定条件での瞬間尿糖値がわかり、通常の尿糖値を使った健康管理よりも数値の変動管理が容易になる効果がある。
【0020】
更に被検査者の食後の血糖値変動パターンに応じた血糖値を推測、表示できるので、被験者が血糖値検査のように肉体的な苦痛を伴う検査を少なくして個人に合った推定結果を得ることができる。更に瞬間尿糖値が、食後に最大となるときは数値自体とその測定ごとの変動が大きいが、本発明を実施した装置を使用すると、生活習慣病の管理に最適な数値を提供できる。
【0021】
また不定期の尿糖値を測定し、前回の排尿から今回の排尿までの時間、および、食事から今回の排尿までの時間を入力するだけで、前回の排尿から今回の排尿までの時間、および、食事から今回の排尿までの時間を一定にした尿糖値が推定できるので、毎回の尿糖値の変化を見ながら健康管理が容易にできる。
【0022】
また、同時刻の血糖値と瞬間尿糖値の近似直線を使って、血糖を腎臓で処理できない閾値と該閾値を超えた糖に対する処理能力パターンを推定できるので、糖尿病患者個々人の特徴を簡単に把握でき、個人の糖尿病症状に応じて健康管理が行えるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例の血糖値、尿糖値、瞬間尿糖値推定結果の関係を示す図である。
【図2】本発明の直線近似した瞬間尿糖値の時刻変化を示す模式図である。
【図3】本発明の瞬間尿糖値を使って、尿糖検査前の排尿時間と食事時間を変化させたときの尿糖値の推定値を示す図である。
【図4】本発明の尿糖検査前の排尿時間と食事時間を不特定として尿糖を測定したときの特定条件での尿糖値の推定値を示した図である。
【図5】本発明の同時刻の尿糖値と血糖値の関係を個人別に図示し、直線近似で腎臓の閾値と閾値を超えた糖に対して個人別にその対応能力数値を示したものである。
【図6】従来方法の尿糖値の規格化を示す図である。
【符号の説明】
x1…食事前に実施した前回の排尿における瞬間尿糖値
x2…食事後に瞬間尿糖値が最大になる時間
x3…瞬間尿糖値の最大値
x4…食後に瞬間尿糖値が収束安定する値
x5…瞬間尿糖が最大値を示してから収束し安定するまでの時間
t1…食事終了から前回の排尿における尿糖値測定までの時間
t2…食後から今回の排尿における尿糖測定までの時間
Y …採尿した瞬間尿糖値の予測値
【発明の属する技術分野】
本発明は尿糖検査装置に係り、特に食後不定時に測定しても、所定の瞬間尿糖値を推測、表示するに好適な尿糖検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の尿糖検査装置では、食事時刻を基準とした経過時間で正規化して、測定したデータの分析や判定を行うようになっていた(例えば、特許文献1)。また、尿糖値は腎臓から排出された糖と尿が膀胱に尿がたまり、排泄されることから所定の瞬間尿糖値を測定することは勿論、推定する方法も無かった。
【0003】
【特許文献1】
特開2002―291705号公報(第1頁、第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の従来の尿糖検査装置では、図6のような食事後の尿糖値を得るためには、食事後ある一定間隔で複数回検査をする必要が生じ、不定期に1回の検査で正規化した値を知るとこはできない。なぜなら尿糖値は食事により増加した血糖が腎臓で処理しきれない値(閾値という)を超えたとき尿に流れ出し、それらが一時膀胱に蓄積された後、排尿、測定されるから、例えば図6(A)の食後経過1時間から3時間にかけて1回尿糖値を計測した場合を例に以下に説明する。このとき3時間後のデータとして図6(A)の2時間後と3時間後のデータの平均値が3時間後に現れるだけとなる。つまり血糖値が検査時の時刻の値を示すのに対して、尿糖は血糖が腎臓で処理しきれない値を超えて膀胱に流入する時に、膀胱に蓄積された流入する糖の全量を、排尿間の時間に蓄積した尿の容量で除した値となる。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、尿糖検査装置において、食後不定期に測定した尿糖値を分析し、ある特定条件での瞬間尿糖値および尿糖値を推測、表示する尿糖検査装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、使用者の排尿中に含まれる尿糖値を測定する尿糖値測定手段と、尿糖値測定における先の排尿から後の尿糖値測定までの経過時間である測定経過時間と、食事から前記後の尿糖値測定までの経過時間である食後経過時間とを計測する時間計測手段とを有し、更に、前記の測定結果として得られる尿糖値と、前記測定経過時間、および、前記食後経過時間とに基づいて、所定時刻に使用者の血液中から体内の尿中に排泄された尿糖値である瞬間尿糖値を推定する瞬間尿糖値推定手段と、を備えていることを特徴とするので、食後不定時に測定しても排尿量に依らない瞬間尿糖値を推測、表示できる。
【0007】
上記目的を達成するために請求項2は、請求項1記載の発明において、前記瞬間尿糖値推定手段が行う前記推定は、使用者の食後の血糖値変動パターンに応じて行なわれることを特徴とするので、被検査者の糖尿病症状パターンに合った値を推測、表示できる。
【0008】
上記目的を達成するために請求項3は、請求項1記載の発明において、前記瞬間尿糖値は、食後に最大となる時刻の尿糖値であることを特徴とするので、被検査者にとって最も注意を喚起できる数値を提供できる。
【0009】
上記目的を達成するために請求項4は、請求項1記載の発明において、前記瞬間尿糖値は、食後から一定時間経過した時刻の尿糖値であることを特徴とするので、食後不定時に尿糖値を測定しても、一定条件下での瞬間尿糖値が推測、表示されて日々の健康管理が容易に実施できる。
【0010】
上記目的を達成するために請求項5は、請求項1記載の発明において、前記尿糖値推定手段は、前記尿糖値と、前記測定経過時間、および、前記食後経過時間とを一つの組データとして、複数の前記組データから学習予測して前記推定を行うことを特徴とするので、尿糖を計測する条件が緩和されるという利点がある。
【0011】
上記目的を達成するために請求項6は、請求項1記載の発明において、所定の時刻の前記瞬間尿糖値と、前記時刻の血糖値との近似直線により、血糖を腎臓で処理できなくなって体外排出となる時の血糖値である血糖排出閾値と、前記血糖排出閾値を超えた血糖に対する処理能力パターンを推定することを特徴とするので、個人差が生じる糖尿病の各個人の特徴を簡単に把握でき、個人に応じた健康管理、治療が容易となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の第一の実施例の血糖値、尿糖値、瞬間尿糖値推定結果の関係を示す図である。図1では食事終了時刻を挟んで、同時刻の血糖値および尿糖値が酵素電極法に代表される通常の方法で計測されている。本図には瞬間尿糖値推定結果も記入されているが、これは以下のようにして推定する。尿糖検査のための採尿時刻に依って以下に示す数式が異なってくるが、ここでは食事後、尿糖値の最大値を過ぎて、尿糖値がほぼ一定値に収束する前に採尿したとして、図2で説明する。
【0013】
図2は本発明の直線近似した瞬間尿糖値の時刻変化を示す模式図である。x1は食事前に実施した前回の排尿における瞬間尿糖値、x2は食事後に瞬間尿糖値が最大になる時間、x3は瞬間尿糖値の最大値、x4は食後に瞬間尿糖値が収束安定する値、x5は瞬間尿糖が最大値を示してから収束し安定するまでの時間、t1は食事終了から前回の排尿における尿糖値測定までの時間、t2は食後から今回の排尿における尿糖測定までの時間である。
【0014】
これらの変数を使い、前回排尿から採尿までの間の尿生成速度を一定と仮定すると、採尿した瞬間尿糖値の予測値Yは数式1で表せる。
【数1】
YSを真の尿糖値とすると、予測値との誤差のニ乗誤差Eは数式2で表せる。
【数2】
この誤差が設定した目標誤差以下に小さくなるように、変数xi(n)と探索パラメータηを使って数式3の最急降下法で更新することにより、図1の瞬間尿糖値の値が推定される。
【数3】
【0015】
図3は本発明の瞬間尿糖値を使って、尿糖検査前の排尿時間と食事時間を変化させたときの尿糖値の推定値を示す図である。本図からも尿糖検査は検査条件(前回の排尿において尿糖値測定した時間と、食後から今回の排尿における尿糖測定までの時間)によって尿糖値測定結果が異なることが分かる。
【0016】
図4は本発明の尿糖検査前の排尿時間と食事時間を不特定として尿糖を測定したときの特定条件での尿糖値の推定値を示した図である。食事の摂取による血糖、尿糖の増加は個人差がある。大きく分けて食後1時間後くらいに血糖値が最大になる場合と、血糖値の増加にインスリンの分泌が直ぐに対応できずに血糖値の最大値が食後2時間程度になる場合の2通りが知られている。これらはブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施すれば、使用者がどの血糖値発現パターンかをあらかじめ知ることができる。
【0017】
そこで2つの血糖値発現パターンに分けて多くの個体による血糖値、尿糖値、瞬間尿糖値のデータを収集し、個々の瞬間尿糖値から本図に示すような検査条件による尿糖値の推定値を求める。次に前回の排尿における尿糖値測定から今回の排尿における尿糖値測定までの時間、および、食事から今回の排尿における尿糖値測定までの時間、および、測定結果としての尿糖値を入力情報として、食後直ぐに排尿し食後2時間後の尿糖値を出力情報とした3入力、1出力、中間層を2つの情報伝達部を設けた、いわゆる3−2−1のニューラルネットワークに200データを1万回学習させ、未学習のデータを予測させた結果が本図に示すものである。本図の結果は、不定の尿糖検査条件でも一定検査条件の尿糖値を推定できることを示している。以上推定目標を一定条件の尿糖値で説明したが、同様にして瞬間最大尿糖値や、一定条件の瞬間尿糖値を推定させることもできる。
【0018】
図5は本発明の第ニの実施例の同時刻の血糖値と瞬間尿糖値の関係を示す図である。本図は図1に示すようなデータを被験者個人ごとに複数回採集し、それぞれ同時刻の血糖値と瞬間尿糖値を統計的に直線近似することで求まる。本図のようにすると、近似直線のy切片が、個人の腎臓のしきい値、つまり血糖がこれ以上に高値となったら、尿糖が出てくる値を示し、その傾きが大きいことは血糖が多くなっても、尿糖が出にくい体質であることを意味し、傾きが小さい場合はその逆となる。本図のような分析を行うことにより個人ごとに糖尿病の特性が違うものを分類し、個人の特性に応じた治療、健康管理に有益な情報が得られる。
【0019】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
前回と今回の尿糖値と、前回の排尿から今回の排尿までの時間、および、食事から今回の排尿までの時間に基づいて、ある瞬間尿糖値を予測する予測手段を備えており、表示する瞬間尿糖値が、前回の排尿から今回の排尿までの時間、および、食事から今回の排尿までの時間が一定の瞬間尿糖値であるので、被検者が食後不定時に尿糖検査しても一定条件での瞬間尿糖値がわかり、通常の尿糖値を使った健康管理よりも数値の変動管理が容易になる効果がある。
【0020】
更に被検査者の食後の血糖値変動パターンに応じた血糖値を推測、表示できるので、被験者が血糖値検査のように肉体的な苦痛を伴う検査を少なくして個人に合った推定結果を得ることができる。更に瞬間尿糖値が、食後に最大となるときは数値自体とその測定ごとの変動が大きいが、本発明を実施した装置を使用すると、生活習慣病の管理に最適な数値を提供できる。
【0021】
また不定期の尿糖値を測定し、前回の排尿から今回の排尿までの時間、および、食事から今回の排尿までの時間を入力するだけで、前回の排尿から今回の排尿までの時間、および、食事から今回の排尿までの時間を一定にした尿糖値が推定できるので、毎回の尿糖値の変化を見ながら健康管理が容易にできる。
【0022】
また、同時刻の血糖値と瞬間尿糖値の近似直線を使って、血糖を腎臓で処理できない閾値と該閾値を超えた糖に対する処理能力パターンを推定できるので、糖尿病患者個々人の特徴を簡単に把握でき、個人の糖尿病症状に応じて健康管理が行えるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例の血糖値、尿糖値、瞬間尿糖値推定結果の関係を示す図である。
【図2】本発明の直線近似した瞬間尿糖値の時刻変化を示す模式図である。
【図3】本発明の瞬間尿糖値を使って、尿糖検査前の排尿時間と食事時間を変化させたときの尿糖値の推定値を示す図である。
【図4】本発明の尿糖検査前の排尿時間と食事時間を不特定として尿糖を測定したときの特定条件での尿糖値の推定値を示した図である。
【図5】本発明の同時刻の尿糖値と血糖値の関係を個人別に図示し、直線近似で腎臓の閾値と閾値を超えた糖に対して個人別にその対応能力数値を示したものである。
【図6】従来方法の尿糖値の規格化を示す図である。
【符号の説明】
x1…食事前に実施した前回の排尿における瞬間尿糖値
x2…食事後に瞬間尿糖値が最大になる時間
x3…瞬間尿糖値の最大値
x4…食後に瞬間尿糖値が収束安定する値
x5…瞬間尿糖が最大値を示してから収束し安定するまでの時間
t1…食事終了から前回の排尿における尿糖値測定までの時間
t2…食後から今回の排尿における尿糖測定までの時間
Y …採尿した瞬間尿糖値の予測値
Claims (6)
- 使用者の排尿中に含まれる尿糖値を測定する尿糖値測定手段と、尿糖値測定前の排尿から尿糖値測定までの経過時間である測定経過時間と、食事から前記尿糖値測定までの経過時間である食後経過時間とを計測する時間計測手段とを有し、更に、前記測定結果として得られる尿糖値と、前記測定経過時間、および、前記食後経過時間とに基づいて、所定時刻に使用者の血液中から体内の尿中に排泄された尿糖値である瞬間尿糖値を推定する瞬間尿糖値推定手段と、を備えていることを特徴とする尿糖検査装置。
- 前記瞬間尿糖値推定手段が行う前記推定は、使用者の食後の血糖値変動パターンに応じて行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の尿糖検査装置。
- 前記瞬間尿糖値は、食後に最大となる時刻の尿糖値であることを特徴とする、請求項1に記載の尿糖検査装置。
- 前記瞬間尿糖値は、食後から一定時間経過した時刻の尿糖値であることを特徴とする、請求項1に記載の尿糖検査装置。
- 前記尿糖値推定手段は、前記尿糖値と、前記測定経過時間、および、前記食後経過時間とを一つの組データとして、複数の前記組データから学習予測して前記推定を行うことを特徴とする、請求項1に記載の尿糖検査装置。
- 所定の時刻の前記瞬間尿糖値と、前記時刻の血糖値との近似直線により、血糖を腎臓で処理できなくなって体外排出となる時の血糖値である血糖排出閾値と、前記血糖排出閾値を超えた血糖に対する処理能力パターンを推定することを特徴とする、請求項1に記載の尿糖検査装置。
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JP2003075473A JP2004286452A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 尿糖検査装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003075473A Pending JP2004286452A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 尿糖検査装置 |
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JP (1) | JP2004286452A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8251905B2 (en) | 2008-05-22 | 2012-08-28 | Tanita Corporation | Blood glucose measuring device and method of measuring average postprandial blood glucose |
WO2019039808A1 (ko) * | 2017-08-21 | 2019-02-28 | 포항공과대학교 산학협력단 | 저혈당 예측 장치, 방법 및 프로그램과, 저혈당 예측 모델 생성 장치, 방법 및 프로그램 |
JP6860245B1 (ja) * | 2020-01-30 | 2021-04-14 | 株式会社ファーストスクリーニング | 健康状態判定支援装置、健康状態判定支援プログラム、および健康状態判定支援システム |
-
2003
- 2003-03-19 JP JP2003075473A patent/JP2004286452A/ja active Pending
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