JP2004284460A - 車両盗難防止システム - Google Patents
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Abstract
【課題】高度なセキュリティを確保しつつ高い利便性を実現する車両盗難防止システムを提供すること。
【解決手段】車両盗難防止システム1は、認証マイコン2と、指紋情報を指紋データとして検出する指紋センサ3とを備える。認証マイコン2は、登録ユーザの指紋データが複数記憶されるメモリ11を備え、検出された指紋データと記憶された指紋データとを照合することにより、指紋情報入力者が登録ユーザであるか否かを判断する指紋認証を行う。車両盗難防止システム1は、階層化された複数のユーザ区分(ユーザレベル)を有し、認証マイコン2は、各登録ユーザに対し、その属するユーザレベルに応じて付与された車両使用権限に応じて車載装備の使用を許可する。
【選択図】 図1
【解決手段】車両盗難防止システム1は、認証マイコン2と、指紋情報を指紋データとして検出する指紋センサ3とを備える。認証マイコン2は、登録ユーザの指紋データが複数記憶されるメモリ11を備え、検出された指紋データと記憶された指紋データとを照合することにより、指紋情報入力者が登録ユーザであるか否かを判断する指紋認証を行う。車両盗難防止システム1は、階層化された複数のユーザ区分(ユーザレベル)を有し、認証マイコン2は、各登録ユーザに対し、その属するユーザレベルに応じて付与された車両使用権限に応じて車載装備の使用を許可する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両盗難防止システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両においては、セキュリティ強化の観点から、様々な車両盗難防止システムが提案されている。そして、その代表的なものとしては、キーと車両との間の無線通信によりIDコードの照合を行い、キーが正規のキーであると判断された場合にのみセキュリティを解除しエンジン始動等の操作を可能とするものがある。
【0003】
このような車両盗難防止システムの場合、キーを紛失した場合やキーが盗難された場合には、紛失又は盗難されたキーのIDコードを削除し、新たなキーのIDコードを登録する必要がある。
【0004】
IDコードを有するキーの登録方法に関しては、通常のセキュリティモード(IDコード読出モード)の他に、新たなキーIDコードを登録するための書込モードを設け、複数のオペレーションキー(通常使用キー)と書込モードへの切替えのためのラーニングキーとを備えたものがある。
【0005】
そして、ラーニングキー及びオペレーションキーのIDコードが連続入力された場合に書込モードに移行し、登録済みのオペレーションキー及び未登録のオペレーションキーのIDコードが入力された場合に、登録済みのオペレーションキーに代えて未登録のオペレーションキーのIDを新規登録する。このような構成とすれば、利便性を確保しつつ、第三者による書込モードの使用を防止しセキュリティを強化することができる(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特許第3005175号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような車両盗難防止システムには、キーと車両との間の無線通信によるIDコードの照合を行う無線認証過程において、無線通信の傍受によりIDコードが解析される可能性があるという問題がある。そして、近年の急速な情報技術の進歩を鑑みれば、如何にIDコード及びその登録方法を複雑化しようとも、IDコードが解析されコピーキーが作成される可能性を否定することができない。
【0008】
更に、物理的なキーをユーザ認証の手段として使用する以上、盗難や紛失等により、正規のキーが第三者の手に渡った場合には、その第三者による車両の操作を防ぐ手段はない。
【0009】
また、現実の車両の使用環境においては、オーナー以外の者が一時的に車両を利用する状況が数多く想定される。しかし、従来の車両盗難防止システムでは、一時的使用者であってもキーを保有する限り車両に対する全ての操作が可能であり、例えば、オーディオやシートアジャスタ等の所謂コンフォート系の装備の設定を自由に変更することが可能である。そのため、オーナは、一時使用者が設定を変更した場合には、その都度、自分の嗜好に合わせて設定をしなおさなければならないという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、高度なセキュリティを確保しつつ高い利便性を実現する車両盗難防止システムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、個人固有の生体情報が生体データとして記憶される記憶手段と、個人固有の生体情報を生体データとして検出する検出手段と、検出された生体データと記憶された生体データとを照合し前記検出された生体データが前記記憶された生体データと一致する場合にセキュリティを解除するセキュリティ解除手段を備えた車両盗難防止システムであって、前記記憶手段には、前記記憶された生体データに対応する区分を示す階層情報と、前記区分に対応する権限情報とが記憶され、前記階層情報に基づいて前記検出された生体データに対応する区分を判別する判別手段と、前記権限情報に基づき該判別された区分に応じた車両の使用を許可する権限付与手段とを備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項1に記載の発明は、前記権限付与手段は、前記判別された区分が第1の区分である場合に、車載装備の特定の機能の利用を禁止する禁止手段を含むことを要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記権限付与手段は、前記判別された区分が第1の区分である場合には、所定期間内に限り前記セキュリティ解除手段によるセキュリティの解除を許可する限定手段を含むことを要旨とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記検出された第2の生体データと関連付けられる階層情報を前記記憶手段に記憶させる階層設定手段とを含むことを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、前記判別された区分が第2の区分である場合に、前記記憶手段に記憶された指紋データを消去する登録抹消手段とを備えたことを要旨とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記判別された区分が第2の区分である場合に、前記第2の区分を示す階層情報と関連付けられた生体データを消去し、検出した第3の生体データと前記第2の区分を示す階層情報とを関連付けて前記記憶手段に記憶させる権限譲渡手段とを備えたことを要旨とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記記憶された生体データ及びその階層情報を含む付帯情報の全てを消去する消去手段を備えたことを要旨とする。
請求項9に記載の発明は、前記第2の区分を示す関連情報が関連付けられる前記生体データは一のみであることを要旨とする。
【0017】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、生体データとして検出された個人固有の生体情報と記憶された生体データが一致する場合に、セキュリティを解除するので高度なセキュリティを確保することができる。更に、検出された生体データに対応する区分を判別し、判別された区分に応じて車両の使用を許可するので、ユーザに対し、そのユーザ属性に応じた車両使用権限を付与することが可能になる。従って、高度なセキュリティを確保しつつ高い利便性を実現することが可能になる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、検出された生体データに対応する区分が第1の区分である場合には、車載装備の特定の機能の利用を禁止するので、第1の区分に対応する生体データの保有者(一時使用者等)は車載装備の設定の変更等ができなくなる。従って、車両のオーナーは、これらの設定をし直す必要がないので、その利便性が向上する。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、検出された生体データに対応する区分が第1の区分である場合には、セキュリティの解除が可能な期間が限定されるので、車検や車両の整備時等、一時的な使用者に使用を認めなければならない場合であっても、その使用可能な期間を限定することが可能になる。従って、車両が手元にない場合でも高いセキュリティを確保することができるので安心して車両を貸出することができ、結果的に、高度なセキュリティの確保が可能になるとともに利便性が向上する。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、検出された生体データに対応する区分が第2の区分である場合に、検出された第2の指紋データが記憶される。即ち、第2の区分に対応する生体データの保有者(車両のオーナー等)以外は、新規登録を行うことができないので、高度なセキュリティの確保が可能になるとともに利便性が向上する。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、第2の区分に対応する生体データの保有者(車両のオーナー等)は自由に新規登録者の区分を設定できる一方、それ以外の者は、区分を設定できないので、高度なセキュリティが確保されるとともに利便性が向上する。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、検出された生体データに対応する区分が第2の区分である場合に、記憶手段に記憶された生体データが消去可能となる。従って、第2の区分に対応する生体データの保有者は、自由に登録抹消が可能且つそれ以外の者は、登録抹消ができないので、利便性が向上するとともに高いセキュリティが確保される。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、検出された生体データに対応する区分が第2の区分である場合に、第2の区分に対応する生体データを記憶させることができる。即ち、第2の区分に対応する生体データの保有者のみが、新たに第2の区分に対応する生体データの保有者を登録、即ちその地位の譲渡を行うことができるので高いセキュリティが確保される。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、記憶された生体データ及びその付帯情報の全てを消去する、即ち以前の登録ユーザの記録を全て消去するので、以前の登録ユーザの情報が記憶されたままとなるのを防ぎ、これら以前の登録ユーザによる車両の使用及び個人情報の流出を防止することが可能になる。従ってプライバシーの保護が可能になることともに、高いセキュリティが確保される。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、第2の区分に対応する生体データは一のみ、即ち、登録、登録抹消及び権限譲渡を管理する者が一人に集約されるので、高度なセキュリティの維持が容易なるとともに、そのセキュリティ強度が向上する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の概略構成図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の車両盗難防止システム1は、セキュリティ解除手段、判別手段、権限付与手段、禁止手段、限定手段、登録手段、階層設定手段、登録抹消手段、権限譲渡手段、消去手段、承認手段及び初期化手段としての認証マイコン2と、検出手段としての指紋センサ3とを備えている。指紋センサ3は、指紋の特徴、即ち指紋情報を指紋データとして検出するセンサであり、指紋センサ3は、指紋センサ入力回路4を介して認証マイコン2と接続されている。尚、指紋センサ3は、車室内の何れかの箇所(例えば、インストルメントパネルやステアリングホイール等)に設置されている。
【0028】
また、指紋センサ3は、指紋センサ電源回路5を介してバッテリー6と接続されており、指紋センサ電源回路5は、認証マイコン2に制御されて指紋センサ3に電源を供給する。そして、本実施形態の車両盗難防止システム1は、車両内の乗員を検知し、指紋センサ3に電源を供給するとともに搭乗した乗員(搭乗者)に対して指紋の入力を促すようになっている。
【0029】
詳述すると、認証マイコン2には、乗員検知入力回路7を介して乗員検知センサ8が接続されており、認証マイコン2は、乗員検知センサ8から入力した信号により乗員の有無を判断し、搭乗を検知した場合に指紋センサ3へ電源を供給するよう指紋センサ電源回路5を制御している。尚、乗員検知センサ8としては、乗員の有無に応じた信号を出力するものであればよく、例えばシートに設けた加重センサ、超音波センサや赤外線センサ等が用いられる。
【0030】
また、認証マイコン2には、IF回路9を介してユーザによる情報入力及びユーザへの情報出力のためのユーザIF(ユーザインターフェース)10が接続されている。そして、認証マイコン2は、指紋センサ3に電源が供給され指紋センサ3が入力待機状態となった場合には、ユーザIF10を通じて指紋情報入力要求を出力し、搭乗者に対し指紋センサ3へ指紋情報を入力するよう促す。そして、指紋センサ3は、指紋情報が入力され搭乗者の指紋データを検出すると、検出した指紋データを認証マイコン2へと出力する。
【0031】
尚、ユーザIF10は、入力インターフェース及び出力インターフェースを含み、例えば、インストルメントパネルに設けた入力ボタンやディスプレイ、カーナビ(カーナビゲーション)等を装備する車両にあっては、そのモニタ及び入力インタフェース等が該当する。
【0032】
認証マイコン2は、記憶手段としてのメモリ11を備え、メモリ11には、予め登録された正規のユーザの指紋データが複数記憶されている。そして、認証マイコン2は、指紋センサ3が検出した指紋データとこのメモリ11に記憶された正規のユーザの指紋データとを照合し、検出した指紋データが何れかの正規のユーザの指紋データと一致するか否かを判断する。そして、認証マイコン2は、それらが一致する場合に乗員を正規のユーザとして認証する。
【0033】
つまり、車両盗難防止システム1は、ユーザ認証の手段として、指紋照合により検出した指紋データが正規のユーザの指紋データと一致する場合に指紋情報の入力者(搭乗者)を登録された正規のユーザとして認証する指紋認証を採用している。
【0034】
そして、車両盗難防止システム1は、正規のユーザが乗車している場合にのみカーセキュリティを解除し、車両の走行や車載装備の利用等の車両の使用を許可する。本実施形態では、この使用許可は、車載機器への電源供給によりなされる。
【0035】
詳述すると、認証マイコン2は、複数のリレーと接続されており、認証マイコン2は、これら各リレーをオンオフすることにより各種電装機器への電源供給を制御する。
【0036】
具体的には、認証マイコン2は、車両のオートマチックトラッスミッションを制御するATコンピュータ12等の車両の走行に関連する走行系電装機器へ供給するIG電源(イグニッション電源)を制御するリレー13aと接続されている。また、認証マイコン2は、ラジオ14を含む車両のカーオディオ等の走行系以外の電装機器(車載装備)へ供給するACC電源(アクセサリ電源)を制御するリレー13bと接続されている。尚、走行系電装機器には、EFIシステム等の車両制御装置が含まれ、走行系以外の電装機器には、エアコンや電動シートアジャスタ等の所謂コンフォート系の車載装備が含まれる。認証マイコン2は、バッテリー6から直接電源が供給されている。
【0037】
そして、認証マイコン2は、先述の指紋認証により、指紋情報を入力した者が正規のユーザであると認証した場合にのみ、ユーザの操作に応じてリレー13b及びリレー13aをオンし、ラジオ14やATコンピュータ12等の各種電装機器にACC電源及びIG電源を供給する。これにより、ユーザは、車両の走行及びオーディオ等の車載装備の利用等の車両の使用が可能になる。
【0038】
一方、指紋情報を入力した者が正規のユーザではない場合には、認証マイコン2は、リレー13b及びリレー13aをオンせず、ACC電源及びIG電源の供給を行わない。従って、予め登録された正規のユーザ以外は、車両の走行はもとより、車載装備についての一切の操作を行うことができないようになっている。
【0039】
本実施形態では、ATコンピュータ12にも電源が供給されないので、ギアはパーキング位置に固定となり、パーキングブレーキを解除しても車両を移動させることができないようになっている。尚、車両を移動不能にするのは、ATコンピュータ12に限らず、エンジンの始動ができない(EFIに電源が供給されないため)ようにする、ブレーキを解除しない、等の方法を用いてもよい。
【0040】
次に、本実施形態の車両盗難防止システム1における正規のユーザとして登録されたユーザの管理形態について説明する。尚、以下、説明の便宜のため、登録された正規のユーザを登録ユーザとする。
【0041】
本実施形態の車両盗難防止システム1は、階層化された複数のユーザ区分(ユーザレベル)を有し、各登録ユーザには、その属するユーザレベルに応じて、車両の使用期限や車載装備の利用等に関する、異なる車両使用権限が与えられている。
【0042】
本実施形態では、「上位者」「中位者」「下位者」の3階層のユーザレベルが設定されており、登録ユーザが車両を使用する際には、各登録ユーザ毎にそのユーザレベルに応じた異なる車両使用権限が付与されるようになっている。
【0043】
各登録ユーザのユーザレベルは、ユーザ登録の際に、新規ユーザが属するユーザレベル示す階層情報を入力することにより設定され、認証マイコン2は、この入力された階層情報を新規ユーザの指紋データと関連付け、付帯情報としてメモリ11に記憶させる。尚、階層情報の入力にはユーザIF10が用いられる。
【0044】
図2は、メモリ11に格納された権限テーブルを模式的に示す説明図である。
図2に示すように、メモリ11には、登録ユーザの指紋データ及び付帯情報とともに、権限テーブル15が格納されている。権限テーブル15には、各ユーザレベル毎に各ユーザレベルに属する登録ユーザに付与される車両使用権限に関する権限情報が記録されている。権限情報は、そのユーザレベルに属する登録ユーザとして登録可能な人数、車両の使用期限、利用できる車載装備の制限、新規登録及び登録抹消の権限及び権限譲渡の可否等を含み、各ユーザレベル毎に設定されている。
【0045】
認証マイコン2は、この階層情報に基づいて登録ユーザが属するユーザレベルを判別し、権限テーブル15に記録された権限情報に基づいてその属するユーザレベルに対応した車両使用権限を登録ユーザに付与する。
【0046】
次に、上記各ユーザレベル及びその車両使用権限について説明する。
「上位者」は、車両のオーナーを想定した最上位のユーザレベルであり、上位者として登録可能な人数は1人である。上位者には、車両の使用期限及び利用できる車載装備に制限はない、即ち上位者は、常に、車両の全ての機器及び装備を使用し、及びその設定の変更を行うことができる。上位者は車両盗難防止システム1の管理者として位置づけられており、ユーザ管理権限である「新規登録及び登録抹消」及び自らの権限(地位)を他者に譲渡する「権限譲渡」の権限は、上位者のみに付与される。
【0047】
先ず、「新規登録及び登録抹消」の権限について説明する。
「新規登録及び登録抹消」の権限は、新規ユーザの登録又は登録ユーザの登録抹消を行う権限である。
【0048】
新規ユーザの登録及び登録ユーザの登録抹消は、搭乗者(カーセキュリティを解除した者)が上位者である場合に、新規登録スイッチ又は登録抹消スイッチをオンし、新規登録モード又は登録抹消モードを起動することにより可能となる。本実施形態では、この新規登録スイッチ及び登録抹消スイッチは、ユーザIF10にて操作することができる。
【0049】
新規登録、即ち車両盗難防止システム1への新規ユーザの登録は、新規登録モードにおいて、指紋センサ3から登録予定者の指紋情報を入力することにより行う。
【0050】
本実施形態では、上位者の指紋情報の入力による承認を新規登録の要件としており、登録予定者の指紋情報が入力された後に、上位者の指紋情報の入力がある場合にのみ、登録予定者は、新規ユーザとして車両盗難防止システム1に登録される。尚、登録予定者の指紋情報の入力に先立ち上位者の指紋情報の入力を行ってもよい。
【0051】
詳述すると、認証マイコン2は、指紋センサ3により検出された第2の生体データとしての登録予定者の指紋データを入力すると、ユーザIF10を通じて上位者に対し指紋情報の入力を促す。そして、認証マイコン2は、続いて検出された第4の生体データとしての指紋データと上位者の指紋データと照合し、両指紋データが一致する場合には、上位者の承認があると判断する。そして、認証マイコン2は、先に検出された登録予定者の指紋データを新たな登録ユーザの指紋データとしてメモリ11に記憶させる。
【0052】
ここで、新たな登録ユーザが属するユーザレベルは、この新規登録の際に行われる。具体的には、登録予定者の付帯情報とともに、そのユーザレベルを示す階層情報を入力するとにより行われ、認証マイコン2は、この入力された階層情報を新規ユーザの指紋データと関連付け、付帯情報としてメモリ11に記憶させる。尚、階層情報の入力にはユーザIF10が用いられる。従って、登録ユーザのユーザレベルを設定する権限は、上位者のみが有している。
【0053】
一方、登録抹消、即ち登録ユーザの登録抹消は、登録抹消モードにおいて、ユーザIF10にて任意の登録ユーザを指定することにより行う。そして、認証マイコン2は、指定された登録ユーザの指紋データ及び付帯情報をメモリ11から消去する。これにより、指定された登録ユーザの登録は抹消される。
【0054】
次に、「権限譲渡」の権限について説明する。
権限譲渡の権限は、自らの権限を他者に譲渡する権限、即ち登録ユーザとしての自らの地位を第三者に譲渡する権限である。本実施形態では、この権限譲渡がなされる状況として車両自体の譲渡時を想定しており、この権限譲渡の権限は、上位者のみに付与されている。即ち、この権限譲渡の権限は、実質的には、新たに上位者として第三者を登録する権限と捉えることができる。
【0055】
権限譲渡は、搭乗者(カーセキュリティを解除した者)が上位者である場合に、権限譲渡スイッチをオンし、権限譲渡モードを起動することにより行う。本実施形態では、この権限譲渡スイッチは、上述の新規登録スイッチ及び登録抹消スイッチと同様、ユーザIF10にて操作することができる。
【0056】
権限譲渡は、先述の新規登録の場合と同様に、権限を譲渡しようとする者の指紋情報及び付帯情報を入力した後、上位者本人の指紋情報の入力により承認をすることにより行う。
【0057】
これにより、権限を譲渡した上位者の指紋データ及び付帯情報は、すべてメモリ11から消去され、代わりに、第3の生体データとして検出された、即ち権限が譲渡されたユーザ(新たな上位者)の指紋データ及び上位者としての階層情報を含む付帯情報が、メモリ11に記憶される。つまり、権限譲渡により新たな登録ユーザが、上位者として登録される。
【0058】
更に、認証マイコンは、セキュリティ確保の観点から、新たな登録ユーザに上位者としての地位を譲渡した場合には、メモリ11に記憶された中位者及び下位者の指紋データ及び付帯情報を自動的に全て消去する。従って、新たな上位者が意図しない(承認しない)者、権限譲渡以前の登録ユーザの情報がメモリ11に記憶されたままとなるのを防ぎ、これら権限譲渡以前の登録ユーザによる車両の使用を防止する。
【0059】
次に、最初に上位者を登録する場合について説明する。
上記のように、新規登録の際には、上位者の承認を要件とするが、最初にユーザを上位者として登録する際、即ち最初のユーザを登録する際には、初期化スイッチとしての非ユーザスイッチ16をオンし車両盗難防止システム1を初期化モードを起動させることにより行う(図1参照)。
【0060】
そして、初期化モードにおいては、認証マイコン2は、指紋センサ3により最初に検出された指紋データ、即ち最初に指紋情報を入力した者の指紋データを上位者の指紋データとしてメモリ11に記憶させる。尚、非ユーザスイッチ16は、セキュリティ確保の観点から隠しスイッチとなっており、本実施形態では、ディーラ等に配備された専用ツールにて操作可能となっている。
【0061】
次に、「中位者」及び「下位者」について説明する。
「中位者」は、オーナーの家族等、車両を利用する頻度が比較的高いユーザを想定したユーザレベルであり、この「中位者」として複数のユーザを登録することができる。中位者には、車両の使用期限及び利用できる車載装備に制限は設けられていないが、新規登録及び登録抹消の権限、及び自らの権限(地位)を他者に譲渡する権限は認められていない。
【0062】
「下位者」は、車両の一時的な利用者を想定したユーザレベルであり、この「下位者」として複数のユーザを登録することができる。下位者には、新規登録及び登録抹消の権限、及び自らの権限(地位)を他者に譲渡する権限は認められない。下位者には車両の使用期限として所定期間車両を使用することができる権限が付与される。そして、所定期間として予め設定された所定時間又は所定走行距離を過ぎた場合には自動的にカーセキュリティがオン状態となり、下位者は車両を利用することができないようになっている。
【0063】
尚、上記「所定期間」は、新たな登録ユーザとして下位者を登録する際に設定され、所定期間は、付帯情報として下位者の指紋データとともにメモリ11に記憶される。
【0064】
また、下位者の場合、利用できる車載装備にも一部制限が設けられている。制限は、車載装備の機能のうち利用者の嗜好に応じて設定されるものを変更しないようにするものであり、本実施形態では、カーオディオの特定の機能の利用を禁止している。尚、エアコンの温度設定や電動シートアジャスタの操作等、車両走行に直接関係のない所謂コンフォート系の車載装備の利用を制限してもよい。
【0065】
本実施形態の認証マイコン2は、ラジオ14等のカーオーディの音量及び音質等の設定を行うオーディオコントローラ17と接続されており、認証マイコン2は、ユーザ認証により搭乗者が下位者であると判断した場合、オーディオの特定の機能の利用を禁止するようオーディオコントローラ17を制御する。詳しくは、搭乗者による音量及び音質の調整操作を許可しないようオーディオコントローラ17を制御する構成となっている(図1参照)。
【0066】
次に、上記のように構成された車両盗難防止システム1の制御態様について詳述する。
図3及び図4は、車両盗難防止システムの制御態様を示すフローチャートである。
【0067】
認証マイコン2は、車両への乗員の搭乗を検知すると、ユーザIF10を制御して搭乗者に対し指紋情報の入力を行うよう促す(ステップ101)。
次に、搭乗者が指紋情報を入力すると、指紋センサ3は、搭乗者の指紋情報を指紋データとして検出し、検出した指紋データを認証マイコン2へと送信する。そして、認証マイコン2は、検出された指紋データとメモリ11に記憶された登録ユーザの指紋データとを照合し、検出された指紋データが何れかの登録ユーザの指紋データと一致するか否かを判断する(ステップ102)。
【0068】
上記ステップ102において、検出された搭乗者の指紋データが登録ユーザの指紋データの何れとも一致しなかった場合、認証マイコン2は、搭乗者は登録ユーザではないと判断し、カーセキュリティを解除しない(ステップ103)。そして、認証マイコン2は、その実行対象を、指紋認証以外の次の処理へと移行する。
【0069】
一方、上記ステップ102において、検出された搭乗者の指紋データが登録ユーザの指紋データの何れかと一致した場合、認証マイコン2は、搭乗者が登録ユーザであると認証する。
【0070】
[搭乗者が上位者である場合]
次に、認証マイコン2は、指紋データとともにメモリ11に記憶された登録ユーザの階層情報を読み出し、上記ステップ102において登録ユーザとして認証された搭乗者が「上位者」であるかを判断する(ステップ104)。
【0071】
そして、上記ステップ104において、登搭乗者が上位者である場合、認証マイコン2は、権限情報に基づいてカーセキュリティを解除し、車両に対する各種操作を可能とする(ステップ105)。尚、先述のように、搭乗者が上位者である場合、車両の使用期限及び利用できる車載装備に制限はない。
【0072】
次に、認証マイコン2は、新規登録スイッチ又は登録抹消スイッチがオンされているか否かについて判断する(ステップ106)。そして、上記ステップ106において、新規登録スイッチ又は登録抹消スイッチの何れかがオンされている場合、認証マイコン2は、車両盗難防止システム1を各スイッチに対応する新規登録モード又は登録抹消モードへと移行させ、先述の新規登録処理又は登録抹消処理を行う(ステップ107)。
【0073】
一方、上記ステップ106において、上記各スイッチの何れもオンされていないと判断された場合、認証マイコン2は、上記ステップ107の処理を実行することなく、その実行対象を、以下のステップ108へと移行させる。
【0074】
次に、認証マイコン2は、権限譲渡スイッチがオンされているか否かについて判断する(ステップ108)。そして、上記ステップ108において、権限譲渡スイッチがオンされている場合、認証マイコン2は、車両盗難防止システム1を権限譲渡モードへと移行させ、先述の権限譲渡処理を行う(ステップ109)。
【0075】
そして、上記ステップ109の権限委譲処理が終了すると、認証マイコン2は、その実行対象を、指紋認証以外の次の処理へと移行させる。尚、上記ステップ108において、権限譲渡スイッチがオンされていないと判断された場合にも、認証マイコン2は、上記ステップ109の処理を実行することなく、その実行対象を、指紋認証以外の次の処理へと移行させる。
【0076】
[搭乗者が中位者である場合]
一方、上記ステップ104において、搭乗者が上位者ではないと判断された場合には、次に、認証マイコン2は、搭乗者が「中位者」であるかを判断する(ステップ110)。
【0077】
そして、上記ステップ110において、認証された搭乗者が中位者である場合、認証マイコン2は、カーセキュリティを解除し、権限情報に基づいて車両に対する各種操作を可能とする(ステップ111)。尚、先述のように、搭乗者が中位者である場合、車両の使用期限及び利用できる車載装備に制限はない。そして、中位者には登録、抹消及び権限譲渡の権限が付与されていないため、認証マイコン2は、その実行対象を、指紋認証以外の次の処理へと移行させる。
【0078】
[搭乗者が下位者である場合]
一方、上記ステップ110において、搭乗者が中位者ではないと判断された場合には、認証マイコン2は、搭乗者は下位者であると判断する。そして、認証マイコン2は、下位者の車両の使用期限として設定されメモリ11に記憶された所定期間を読み出し、所定期間が既に経過しているか否かについて判断する(ステップ112)。
【0079】
上記ステップ112において、所定期間がまだ経過していないと判断された場合、認証マイコン2は、カーセキュリティを解除し、車両に対する各種操作を可能とする(ステップ113)。
【0080】
続いて、認証マイコン2は、権限情報に基づいてカーオディオの利用を一部制限(搭乗者による音量及び音質の調整等の設定の変更を禁止)する(ステップ114)。そして、先述のように下位者には登録、抹消及び権限譲渡の権限が付与されていないため、認証マイコン2は、その実行対象を、指紋認証以外の次の処理へと移行させる。
【0081】
一方、上記ステップ112において、所定期間が既に経過していると判断された場合、認証マイコン2は、カーセキュリティを解除しない(ステップ115)。そして、認証マイコン2は、その実行対象を、指紋認証以外の次の処理へと移行する。
【0082】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)車両盗難防止システム1は、認証マイコン2と、指紋情報を指紋データとして検出する指紋センサ3とを備える。認証マイコン2は、登録ユーザの指紋データが複数記憶されるメモリ11を備え、検出された指紋データと記憶された指紋データとを照合することにより、指紋情報入力者が登録ユーザであるか否かを判断する指紋認証を行う。
【0083】
車両盗難防止システム1は、階層化された複数のユーザ区分(ユーザレベル)を有し、各登録ユーザには、その属するユーザレベルに応じて付与された車両使用権限に応じて車載装備の使用を許可する。
【0084】
このような構成とすれば、個人に固有の生体情報である指紋情報をユーザ認証に用いるので、高度なセキュリティを確保することができる。更に、各登録ユーザには、その属するユーザレベルに応じて付与される車両使用権限に基づいて車載装備の使用を許可する。従って、無用な設定の変更等を禁止する。即ち、車両のオーナーが設定の変更をし直す必要がなくなるので、車両のオーナーにとって高い利便性を確保することができる。
【0085】
(2)下位者には、利用できる車載装備(車両走行に直接関係のない所謂コンフォート系の車載装備)の利用が一部制限された車両使用権限を付与することとし、車載装備の設定機能等、特定の機能の利用を禁止する。
【0086】
従って、一時的な使用者は、各種車載装備の設定を変更することができないので、車両が返却された後に設定しなおす必要がない。その結果、気軽に車両の貸出が可能になるので、高い利便性を確保することができる。
【0087】
(3)下位者には、車両の使用期限が所定期間に限定された車両使用権限を付与することとし、この所定期間に限りカーセキュリティの解除を許可する。従って、所定期間として予め設定された所定時間又は所定走行距離を経過された場合には、自動的にカーセキュリティがオン状態となり、車両を利用することができない。
【0088】
従って、下位者の場合、使用可能な期間が限定されるので、車検や車両の整備時等、一時的な使用者に使用を認めなければならない場合であっても、安心して車両を貸出することができるので、車両のオーナーにとって高い利便性を確保することができる。
【0089】
(4)上位者は、車両盗難防止システム1の管理者として位置づけ、上位者として登録可能な人数は1人とする。そして、ユーザ管理権限である「新規登録及び登録抹消」及び自らの権限(地位)を他者に譲渡する「権限譲渡」の権限は、上位者のみに付与することとし、新規登録モード、登録抹消モード及び権限譲渡モードは、上位者のみに許可する。
【0090】
従って、登録ユーザの管理は、車両のオーナに集約されるので、容易に高度なセキュリティを維持することができるとともに、セキュリティ強度を向上させることができる。
【0091】
(5)新たな登録ユーザが属するユーザレベルは、登録の際に設定される。即ち、上位者のみにユーザレベルの設定を許可する。
従って、オーナー以外はユーザレベルを設定(変更)することができず、また車両のオーナーは、登録するユーザに応じた適切な車両使用権限を付与することができるので、高いセキュリティを確保することができ、且つ車両のオーナーの利便性を向上させることができる。
【0092】
(6)新規登録、登録抹消又は権限譲渡する際には、上位者の指紋情報の入力をもってその要件とし、上位者の指紋情報の入力のない場合には、新規登録、登録抹消又は権限譲渡を行わない。
【0093】
従って、オーナー本人(上位者)の承認なしに新たなユーザの登録ができず、またオーナー以外の者が管理者となることができない、即ちオーナ本人の承認なしにユーザ登録及び車両の譲渡ができないので、高いセキュリティを確保することができる。
【0094】
(7)新たなユーザに上位者としての地位を譲渡した場合には、メモリ11に記憶された中位者及び下位者の指紋データ及び付帯情報は自動的に全て消去する。
【0095】
従って、車両を他人に譲渡した場合等には、新たな上位者が意図しない(承認しない)者、権限譲渡以前の登録ユーザの情報がメモリ11に記憶されたままとなるのを防ぎ、これら権限譲渡以前の登録ユーザによる車両の使用を防止することができる。また、個人情報が流出することがない。その結果、登録ユーザのプライバシーを保護することができるので、車両の譲渡前及び譲渡後のオーナー双方にとって高いセキュリティを確保することができる。
【0096】
(8)最初のユーザを登録する際には、非ユーザスイッチ16をオンし、初期化モードを起動させることにより行う。そして、最初に検出された指紋データ、即ち最初に指紋情報を入力した者の指紋データを、上位者の指紋データとしてメモリ11に記憶する。
【0097】
このような構成とすれば、容易に上位者の登録が可能になるので、工場内での車両移動時や車両検査時等における利便性が向上する。また、最初のユーザを登録する際に、非ユーザスイッチ16がオンされることを条件としたので、悪意ある者による盗難を有効に防止することができる。その結果、高いセキュリティを確保することができる。
【0098】
(9)「上位者」「中位者」「下位者」の3階層のユーザレベルを設け、それぞれ異なる車両権限を付与したので、オーナー、オーナーの家族及び一時的な使用者のように、そのユーザ属性に応じた車両使用権限を付与することができる。その結果、車両のオーナーにとって高い利便性を確保することができる。また、ユーザレベルを3階層としたので、登録ユーザの管理が容易となり、高度なセキュリティを容易に維持することができる。
【0099】
(10)非ユーザスイッチ16は、隠しスイッチとし、ディーラ等に配備された専用ツールにて操作可能とした。従って、部外者には操作困難であり、高いセキュリティを確保することができる。
【0100】
なお、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
・本実施形態の車両盗難防止システム1では、指紋情報をユーザ認証時の認証対象としたが、掌紋、顔及び虹彩等の個人に特有の生体情報を生体データとして検出し、その認証対象とするその他のバイオメトリックスを採用してもよい。
【0101】
・ユーザIF10によるユーザへの情報出力は、ディスプレイ等へのメッセージ表示であってもよく、スピーカーからの音声ガイダンスとしてもよい。
・本実施形態では、メモリ11を認証マイコン2の内部に設けたが、認証マイコン2の外部に設けてもよい。また、メモリ11は、一つの物理チップを用いてもよく、複数の物理チップから構成されるものであってもよい。
【0102】
・本実施形態では、車両盗難防止システム1は、「上位者」「中位者」「下位者」の3階層のユーザレベルを有するとしたが、ユーザレベルは3階層に限らず、2階層でも4階層以上のユーザレベルを設けてもよい。
【0103】
・本実施形態では、権限テーブル15は、テーブル型データとしたが、必ずしも図中に示すようなテーブル型データである必要はなく、各ユーザレベルとその車両使用権限を関連付けるものであれば、どのようなデータ型式であってもよい。
【0104】
・本実施形態では、新規登録及び登録抹消権限は、上位者のみが有することとしたが、中位者に下位者の新規登録及び登録抹消権限を認めてもよく、ユーザレベルを4階層以上に設定した場合には、上位のユーザレベルのユーザに下位のユーザレベルのユーザについての新規登録及び登録抹消権限を認めてもよい。さらに、この場合、中位者の登録を抹消した場合には、登録を抹消された中位者に新規登録を承認された下位者の登録も併せて抹消されることとしてもよい。
【0105】
・本実施形態では、「中位者」又は「下位者」として登録可能な人数を複数としたが、登録可能な人数に上限を設けてもよい。
・本実施形態では、権限譲渡により、権限を譲渡した登録ユーザの指紋データ及び階層情報以外の付帯情報は、すべてメモリ11から消去され、代わりに、権限が譲渡された第三者(新たな登録ユーザ)の指紋データ及び付帯情報が、消去されなかった階層情報とともに、メモリ11に記憶されることとした。しかし、これに限らず、例えば、被権限譲渡者が登録ユーザである場合には、権限譲渡者と被権限譲渡者の階層情報を入れ替えてもよい。また、この場合、被権限譲渡者は、中位者に限ってもよい。
【0106】
・本実施形態では、新規登録スイッチ、登録抹消スイッチ及び権限譲渡スイッチは、ユーザIF10を操作することによりオンすることができるとした。しかし、これに限らず、ドアの開閉やブレーキペダルのオンオフ等、車両の各種スイッチのオンオフの特定の組み合わせにより操作されるものであってもよい。
【0107】
・また、非ユーザスイッチ16は、専用ツールにて操作可能としたが、これも、車両の各種スイッチのオンオフの特定の組み合わせにより操作されるものであってもよく、ユーザIF10を用いてパスワードを入力する等により操作されるものであってもよい。
【0108】
・本実施形態では、下位者に対する車両利用制限として所定期間経過後に自動的にカーセキュリティがオンされることとしたが、ユーザの判断により随時終了可能としてもよい。
【0109】
・また、下位者の車両の使用制限である所定期間は、一定の期間であってもよく、下位者のユーザ登録時に上位者が任意に設定可能としてもよい。
・本実施形態では、下位者は、車両の使用期限が設定され、及び利用できる車載装備が制限されるとしたが、車両の使用期限又は利用できる車載装備の制限の何れか一方のみとしてもよい。
【0110】
・また、下位者として登録する際に、具体的にその利用が制限される車載装備を設定可能としてもよい。
・本実施形態では、車両盗難防止システムの制御態様において、搭乗者が登録ユーザではないと判断された場合に、認証マイコン2は、カーセキュリティを解除することなく、指紋認証以外の次の処理へとその実行対象を移行するとした。しかし、これに限らず、カーセキュリティを解除しないのみならず、スピーカーやホーン等から警告音(警告)を発する、又はライトやウィンカー等を点滅させる等をし、登録ユーザ以外の者が搭乗した事実を外部に知らしめるようにしてもよい。
【0111】
・また、正規のユーザ以外の者の指紋情報が入力された際には、正規のユーザ以外の者の指紋データをメモリ11に記憶することとしてもよい。このような構成とすれば、仮に悪意ある者が上記の操作を行った場合には、記憶した指紋データは、悪意ある者を特定する情報と利用可能となる。即ち、より高度なカーセキュリティを実現することができる。
【0112】
・新たなユーザの登録の際の上位者による指紋情報の入力(指紋認証)については、先に承認のための指紋認証をし、登録予定者による指紋入力をした後に確認のため再び正規のユーザの指紋認証をしてもよい。
【0113】
次に、以上の実施形態から把握することができる請求項以外の技術的思想を、その効果とともに以下に記載する。
(イ)請求項4又は請求項5に記載の車両盗難防止システムにおいて、検出された第4の生体データに対応する区分が前記第2の区分である場合に承認があると判断する承認手段を備え、前記登録手段は、前記承認がある場合に前記記憶させること、を特徴とする車両盗難防止システム。
【0114】
(ロ)請求項6に記載の車両盗難防止システムにおいて、検出された第4の生体データに対応する区分が前記第2の区分である場合に承認があると判断する承認手段を備え、前記登録抹消手段は、前記承認がある場合に前記消去すること、を特徴とする車両盗難防止システム。
【0115】
(ハ)請求項7又は請求項8に記載の車両盗難防止システムにおいて、検出された第4の生体データに対応する区分が前記第2の区分である場合に承認があると判断する承認手段を備え、前記権限譲渡手段は、前記承認がある場合に前記記憶させること、を特徴とする車両盗難防止システム。
【0116】
前記(イ)〜(ハ)に記載の発明によれば、前記第2の区分に対応する生体データを検出した場合、即ち管理者の地位を有するユーザの承認ある場合にのみ、新規登録、登録抹消及び権限譲渡が行われるので、高度なセキュリティが実現される。
【0117】
(ニ)請求項4〜請求項9及び前記(イ)〜(ハ)のうちの何れか一つに記載の車両盗難防止システムにおいて、初期化スイッチと、前記初期化スイッチがオンされた場合に、検出した第5の生体データと前記第2の区分を示す階層情報とを関連付けて前記記憶手段に記憶させる初期化手段とを備えたこと、を特徴とする車両盗難防止システム。
【0118】
このような構成とすれば、記憶手段の初期化が容易になるので、工場内での車両移動時や車両検査時等における利便性が向上する。また、初期化スイッチがオンされることを初期化の条件としたので、悪意ある者による盗難を有効に防止することができる。その結果、高いセキュリティを確保することが可能になる。
【0119】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、高度なセキュリティを確保しつつ高い利便性を実現する車両盗難防止システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略構成図。
【図2】権限テーブルの構成を模式的に示す模式図。
【図3】車両盗難防止システムの制御態様を示すフローチャート。
【図4】同じく車両盗難防止システムの制御態様を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 車両盗難防止システム
2 認証マイコン
3 指紋センサ
10 ユーザIF
11 メモリ
16 非ユーザスイッチ
17 オーディオコントローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両盗難防止システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両においては、セキュリティ強化の観点から、様々な車両盗難防止システムが提案されている。そして、その代表的なものとしては、キーと車両との間の無線通信によりIDコードの照合を行い、キーが正規のキーであると判断された場合にのみセキュリティを解除しエンジン始動等の操作を可能とするものがある。
【0003】
このような車両盗難防止システムの場合、キーを紛失した場合やキーが盗難された場合には、紛失又は盗難されたキーのIDコードを削除し、新たなキーのIDコードを登録する必要がある。
【0004】
IDコードを有するキーの登録方法に関しては、通常のセキュリティモード(IDコード読出モード)の他に、新たなキーIDコードを登録するための書込モードを設け、複数のオペレーションキー(通常使用キー)と書込モードへの切替えのためのラーニングキーとを備えたものがある。
【0005】
そして、ラーニングキー及びオペレーションキーのIDコードが連続入力された場合に書込モードに移行し、登録済みのオペレーションキー及び未登録のオペレーションキーのIDコードが入力された場合に、登録済みのオペレーションキーに代えて未登録のオペレーションキーのIDを新規登録する。このような構成とすれば、利便性を確保しつつ、第三者による書込モードの使用を防止しセキュリティを強化することができる(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特許第3005175号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような車両盗難防止システムには、キーと車両との間の無線通信によるIDコードの照合を行う無線認証過程において、無線通信の傍受によりIDコードが解析される可能性があるという問題がある。そして、近年の急速な情報技術の進歩を鑑みれば、如何にIDコード及びその登録方法を複雑化しようとも、IDコードが解析されコピーキーが作成される可能性を否定することができない。
【0008】
更に、物理的なキーをユーザ認証の手段として使用する以上、盗難や紛失等により、正規のキーが第三者の手に渡った場合には、その第三者による車両の操作を防ぐ手段はない。
【0009】
また、現実の車両の使用環境においては、オーナー以外の者が一時的に車両を利用する状況が数多く想定される。しかし、従来の車両盗難防止システムでは、一時的使用者であってもキーを保有する限り車両に対する全ての操作が可能であり、例えば、オーディオやシートアジャスタ等の所謂コンフォート系の装備の設定を自由に変更することが可能である。そのため、オーナは、一時使用者が設定を変更した場合には、その都度、自分の嗜好に合わせて設定をしなおさなければならないという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、高度なセキュリティを確保しつつ高い利便性を実現する車両盗難防止システムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、個人固有の生体情報が生体データとして記憶される記憶手段と、個人固有の生体情報を生体データとして検出する検出手段と、検出された生体データと記憶された生体データとを照合し前記検出された生体データが前記記憶された生体データと一致する場合にセキュリティを解除するセキュリティ解除手段を備えた車両盗難防止システムであって、前記記憶手段には、前記記憶された生体データに対応する区分を示す階層情報と、前記区分に対応する権限情報とが記憶され、前記階層情報に基づいて前記検出された生体データに対応する区分を判別する判別手段と、前記権限情報に基づき該判別された区分に応じた車両の使用を許可する権限付与手段とを備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項1に記載の発明は、前記権限付与手段は、前記判別された区分が第1の区分である場合に、車載装備の特定の機能の利用を禁止する禁止手段を含むことを要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記権限付与手段は、前記判別された区分が第1の区分である場合には、所定期間内に限り前記セキュリティ解除手段によるセキュリティの解除を許可する限定手段を含むことを要旨とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記検出された第2の生体データと関連付けられる階層情報を前記記憶手段に記憶させる階層設定手段とを含むことを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、前記判別された区分が第2の区分である場合に、前記記憶手段に記憶された指紋データを消去する登録抹消手段とを備えたことを要旨とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記判別された区分が第2の区分である場合に、前記第2の区分を示す階層情報と関連付けられた生体データを消去し、検出した第3の生体データと前記第2の区分を示す階層情報とを関連付けて前記記憶手段に記憶させる権限譲渡手段とを備えたことを要旨とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記記憶された生体データ及びその階層情報を含む付帯情報の全てを消去する消去手段を備えたことを要旨とする。
請求項9に記載の発明は、前記第2の区分を示す関連情報が関連付けられる前記生体データは一のみであることを要旨とする。
【0017】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、生体データとして検出された個人固有の生体情報と記憶された生体データが一致する場合に、セキュリティを解除するので高度なセキュリティを確保することができる。更に、検出された生体データに対応する区分を判別し、判別された区分に応じて車両の使用を許可するので、ユーザに対し、そのユーザ属性に応じた車両使用権限を付与することが可能になる。従って、高度なセキュリティを確保しつつ高い利便性を実現することが可能になる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、検出された生体データに対応する区分が第1の区分である場合には、車載装備の特定の機能の利用を禁止するので、第1の区分に対応する生体データの保有者(一時使用者等)は車載装備の設定の変更等ができなくなる。従って、車両のオーナーは、これらの設定をし直す必要がないので、その利便性が向上する。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、検出された生体データに対応する区分が第1の区分である場合には、セキュリティの解除が可能な期間が限定されるので、車検や車両の整備時等、一時的な使用者に使用を認めなければならない場合であっても、その使用可能な期間を限定することが可能になる。従って、車両が手元にない場合でも高いセキュリティを確保することができるので安心して車両を貸出することができ、結果的に、高度なセキュリティの確保が可能になるとともに利便性が向上する。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、検出された生体データに対応する区分が第2の区分である場合に、検出された第2の指紋データが記憶される。即ち、第2の区分に対応する生体データの保有者(車両のオーナー等)以外は、新規登録を行うことができないので、高度なセキュリティの確保が可能になるとともに利便性が向上する。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、第2の区分に対応する生体データの保有者(車両のオーナー等)は自由に新規登録者の区分を設定できる一方、それ以外の者は、区分を設定できないので、高度なセキュリティが確保されるとともに利便性が向上する。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、検出された生体データに対応する区分が第2の区分である場合に、記憶手段に記憶された生体データが消去可能となる。従って、第2の区分に対応する生体データの保有者は、自由に登録抹消が可能且つそれ以外の者は、登録抹消ができないので、利便性が向上するとともに高いセキュリティが確保される。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、検出された生体データに対応する区分が第2の区分である場合に、第2の区分に対応する生体データを記憶させることができる。即ち、第2の区分に対応する生体データの保有者のみが、新たに第2の区分に対応する生体データの保有者を登録、即ちその地位の譲渡を行うことができるので高いセキュリティが確保される。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、記憶された生体データ及びその付帯情報の全てを消去する、即ち以前の登録ユーザの記録を全て消去するので、以前の登録ユーザの情報が記憶されたままとなるのを防ぎ、これら以前の登録ユーザによる車両の使用及び個人情報の流出を防止することが可能になる。従ってプライバシーの保護が可能になることともに、高いセキュリティが確保される。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、第2の区分に対応する生体データは一のみ、即ち、登録、登録抹消及び権限譲渡を管理する者が一人に集約されるので、高度なセキュリティの維持が容易なるとともに、そのセキュリティ強度が向上する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の概略構成図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の車両盗難防止システム1は、セキュリティ解除手段、判別手段、権限付与手段、禁止手段、限定手段、登録手段、階層設定手段、登録抹消手段、権限譲渡手段、消去手段、承認手段及び初期化手段としての認証マイコン2と、検出手段としての指紋センサ3とを備えている。指紋センサ3は、指紋の特徴、即ち指紋情報を指紋データとして検出するセンサであり、指紋センサ3は、指紋センサ入力回路4を介して認証マイコン2と接続されている。尚、指紋センサ3は、車室内の何れかの箇所(例えば、インストルメントパネルやステアリングホイール等)に設置されている。
【0028】
また、指紋センサ3は、指紋センサ電源回路5を介してバッテリー6と接続されており、指紋センサ電源回路5は、認証マイコン2に制御されて指紋センサ3に電源を供給する。そして、本実施形態の車両盗難防止システム1は、車両内の乗員を検知し、指紋センサ3に電源を供給するとともに搭乗した乗員(搭乗者)に対して指紋の入力を促すようになっている。
【0029】
詳述すると、認証マイコン2には、乗員検知入力回路7を介して乗員検知センサ8が接続されており、認証マイコン2は、乗員検知センサ8から入力した信号により乗員の有無を判断し、搭乗を検知した場合に指紋センサ3へ電源を供給するよう指紋センサ電源回路5を制御している。尚、乗員検知センサ8としては、乗員の有無に応じた信号を出力するものであればよく、例えばシートに設けた加重センサ、超音波センサや赤外線センサ等が用いられる。
【0030】
また、認証マイコン2には、IF回路9を介してユーザによる情報入力及びユーザへの情報出力のためのユーザIF(ユーザインターフェース)10が接続されている。そして、認証マイコン2は、指紋センサ3に電源が供給され指紋センサ3が入力待機状態となった場合には、ユーザIF10を通じて指紋情報入力要求を出力し、搭乗者に対し指紋センサ3へ指紋情報を入力するよう促す。そして、指紋センサ3は、指紋情報が入力され搭乗者の指紋データを検出すると、検出した指紋データを認証マイコン2へと出力する。
【0031】
尚、ユーザIF10は、入力インターフェース及び出力インターフェースを含み、例えば、インストルメントパネルに設けた入力ボタンやディスプレイ、カーナビ(カーナビゲーション)等を装備する車両にあっては、そのモニタ及び入力インタフェース等が該当する。
【0032】
認証マイコン2は、記憶手段としてのメモリ11を備え、メモリ11には、予め登録された正規のユーザの指紋データが複数記憶されている。そして、認証マイコン2は、指紋センサ3が検出した指紋データとこのメモリ11に記憶された正規のユーザの指紋データとを照合し、検出した指紋データが何れかの正規のユーザの指紋データと一致するか否かを判断する。そして、認証マイコン2は、それらが一致する場合に乗員を正規のユーザとして認証する。
【0033】
つまり、車両盗難防止システム1は、ユーザ認証の手段として、指紋照合により検出した指紋データが正規のユーザの指紋データと一致する場合に指紋情報の入力者(搭乗者)を登録された正規のユーザとして認証する指紋認証を採用している。
【0034】
そして、車両盗難防止システム1は、正規のユーザが乗車している場合にのみカーセキュリティを解除し、車両の走行や車載装備の利用等の車両の使用を許可する。本実施形態では、この使用許可は、車載機器への電源供給によりなされる。
【0035】
詳述すると、認証マイコン2は、複数のリレーと接続されており、認証マイコン2は、これら各リレーをオンオフすることにより各種電装機器への電源供給を制御する。
【0036】
具体的には、認証マイコン2は、車両のオートマチックトラッスミッションを制御するATコンピュータ12等の車両の走行に関連する走行系電装機器へ供給するIG電源(イグニッション電源)を制御するリレー13aと接続されている。また、認証マイコン2は、ラジオ14を含む車両のカーオディオ等の走行系以外の電装機器(車載装備)へ供給するACC電源(アクセサリ電源)を制御するリレー13bと接続されている。尚、走行系電装機器には、EFIシステム等の車両制御装置が含まれ、走行系以外の電装機器には、エアコンや電動シートアジャスタ等の所謂コンフォート系の車載装備が含まれる。認証マイコン2は、バッテリー6から直接電源が供給されている。
【0037】
そして、認証マイコン2は、先述の指紋認証により、指紋情報を入力した者が正規のユーザであると認証した場合にのみ、ユーザの操作に応じてリレー13b及びリレー13aをオンし、ラジオ14やATコンピュータ12等の各種電装機器にACC電源及びIG電源を供給する。これにより、ユーザは、車両の走行及びオーディオ等の車載装備の利用等の車両の使用が可能になる。
【0038】
一方、指紋情報を入力した者が正規のユーザではない場合には、認証マイコン2は、リレー13b及びリレー13aをオンせず、ACC電源及びIG電源の供給を行わない。従って、予め登録された正規のユーザ以外は、車両の走行はもとより、車載装備についての一切の操作を行うことができないようになっている。
【0039】
本実施形態では、ATコンピュータ12にも電源が供給されないので、ギアはパーキング位置に固定となり、パーキングブレーキを解除しても車両を移動させることができないようになっている。尚、車両を移動不能にするのは、ATコンピュータ12に限らず、エンジンの始動ができない(EFIに電源が供給されないため)ようにする、ブレーキを解除しない、等の方法を用いてもよい。
【0040】
次に、本実施形態の車両盗難防止システム1における正規のユーザとして登録されたユーザの管理形態について説明する。尚、以下、説明の便宜のため、登録された正規のユーザを登録ユーザとする。
【0041】
本実施形態の車両盗難防止システム1は、階層化された複数のユーザ区分(ユーザレベル)を有し、各登録ユーザには、その属するユーザレベルに応じて、車両の使用期限や車載装備の利用等に関する、異なる車両使用権限が与えられている。
【0042】
本実施形態では、「上位者」「中位者」「下位者」の3階層のユーザレベルが設定されており、登録ユーザが車両を使用する際には、各登録ユーザ毎にそのユーザレベルに応じた異なる車両使用権限が付与されるようになっている。
【0043】
各登録ユーザのユーザレベルは、ユーザ登録の際に、新規ユーザが属するユーザレベル示す階層情報を入力することにより設定され、認証マイコン2は、この入力された階層情報を新規ユーザの指紋データと関連付け、付帯情報としてメモリ11に記憶させる。尚、階層情報の入力にはユーザIF10が用いられる。
【0044】
図2は、メモリ11に格納された権限テーブルを模式的に示す説明図である。
図2に示すように、メモリ11には、登録ユーザの指紋データ及び付帯情報とともに、権限テーブル15が格納されている。権限テーブル15には、各ユーザレベル毎に各ユーザレベルに属する登録ユーザに付与される車両使用権限に関する権限情報が記録されている。権限情報は、そのユーザレベルに属する登録ユーザとして登録可能な人数、車両の使用期限、利用できる車載装備の制限、新規登録及び登録抹消の権限及び権限譲渡の可否等を含み、各ユーザレベル毎に設定されている。
【0045】
認証マイコン2は、この階層情報に基づいて登録ユーザが属するユーザレベルを判別し、権限テーブル15に記録された権限情報に基づいてその属するユーザレベルに対応した車両使用権限を登録ユーザに付与する。
【0046】
次に、上記各ユーザレベル及びその車両使用権限について説明する。
「上位者」は、車両のオーナーを想定した最上位のユーザレベルであり、上位者として登録可能な人数は1人である。上位者には、車両の使用期限及び利用できる車載装備に制限はない、即ち上位者は、常に、車両の全ての機器及び装備を使用し、及びその設定の変更を行うことができる。上位者は車両盗難防止システム1の管理者として位置づけられており、ユーザ管理権限である「新規登録及び登録抹消」及び自らの権限(地位)を他者に譲渡する「権限譲渡」の権限は、上位者のみに付与される。
【0047】
先ず、「新規登録及び登録抹消」の権限について説明する。
「新規登録及び登録抹消」の権限は、新規ユーザの登録又は登録ユーザの登録抹消を行う権限である。
【0048】
新規ユーザの登録及び登録ユーザの登録抹消は、搭乗者(カーセキュリティを解除した者)が上位者である場合に、新規登録スイッチ又は登録抹消スイッチをオンし、新規登録モード又は登録抹消モードを起動することにより可能となる。本実施形態では、この新規登録スイッチ及び登録抹消スイッチは、ユーザIF10にて操作することができる。
【0049】
新規登録、即ち車両盗難防止システム1への新規ユーザの登録は、新規登録モードにおいて、指紋センサ3から登録予定者の指紋情報を入力することにより行う。
【0050】
本実施形態では、上位者の指紋情報の入力による承認を新規登録の要件としており、登録予定者の指紋情報が入力された後に、上位者の指紋情報の入力がある場合にのみ、登録予定者は、新規ユーザとして車両盗難防止システム1に登録される。尚、登録予定者の指紋情報の入力に先立ち上位者の指紋情報の入力を行ってもよい。
【0051】
詳述すると、認証マイコン2は、指紋センサ3により検出された第2の生体データとしての登録予定者の指紋データを入力すると、ユーザIF10を通じて上位者に対し指紋情報の入力を促す。そして、認証マイコン2は、続いて検出された第4の生体データとしての指紋データと上位者の指紋データと照合し、両指紋データが一致する場合には、上位者の承認があると判断する。そして、認証マイコン2は、先に検出された登録予定者の指紋データを新たな登録ユーザの指紋データとしてメモリ11に記憶させる。
【0052】
ここで、新たな登録ユーザが属するユーザレベルは、この新規登録の際に行われる。具体的には、登録予定者の付帯情報とともに、そのユーザレベルを示す階層情報を入力するとにより行われ、認証マイコン2は、この入力された階層情報を新規ユーザの指紋データと関連付け、付帯情報としてメモリ11に記憶させる。尚、階層情報の入力にはユーザIF10が用いられる。従って、登録ユーザのユーザレベルを設定する権限は、上位者のみが有している。
【0053】
一方、登録抹消、即ち登録ユーザの登録抹消は、登録抹消モードにおいて、ユーザIF10にて任意の登録ユーザを指定することにより行う。そして、認証マイコン2は、指定された登録ユーザの指紋データ及び付帯情報をメモリ11から消去する。これにより、指定された登録ユーザの登録は抹消される。
【0054】
次に、「権限譲渡」の権限について説明する。
権限譲渡の権限は、自らの権限を他者に譲渡する権限、即ち登録ユーザとしての自らの地位を第三者に譲渡する権限である。本実施形態では、この権限譲渡がなされる状況として車両自体の譲渡時を想定しており、この権限譲渡の権限は、上位者のみに付与されている。即ち、この権限譲渡の権限は、実質的には、新たに上位者として第三者を登録する権限と捉えることができる。
【0055】
権限譲渡は、搭乗者(カーセキュリティを解除した者)が上位者である場合に、権限譲渡スイッチをオンし、権限譲渡モードを起動することにより行う。本実施形態では、この権限譲渡スイッチは、上述の新規登録スイッチ及び登録抹消スイッチと同様、ユーザIF10にて操作することができる。
【0056】
権限譲渡は、先述の新規登録の場合と同様に、権限を譲渡しようとする者の指紋情報及び付帯情報を入力した後、上位者本人の指紋情報の入力により承認をすることにより行う。
【0057】
これにより、権限を譲渡した上位者の指紋データ及び付帯情報は、すべてメモリ11から消去され、代わりに、第3の生体データとして検出された、即ち権限が譲渡されたユーザ(新たな上位者)の指紋データ及び上位者としての階層情報を含む付帯情報が、メモリ11に記憶される。つまり、権限譲渡により新たな登録ユーザが、上位者として登録される。
【0058】
更に、認証マイコンは、セキュリティ確保の観点から、新たな登録ユーザに上位者としての地位を譲渡した場合には、メモリ11に記憶された中位者及び下位者の指紋データ及び付帯情報を自動的に全て消去する。従って、新たな上位者が意図しない(承認しない)者、権限譲渡以前の登録ユーザの情報がメモリ11に記憶されたままとなるのを防ぎ、これら権限譲渡以前の登録ユーザによる車両の使用を防止する。
【0059】
次に、最初に上位者を登録する場合について説明する。
上記のように、新規登録の際には、上位者の承認を要件とするが、最初にユーザを上位者として登録する際、即ち最初のユーザを登録する際には、初期化スイッチとしての非ユーザスイッチ16をオンし車両盗難防止システム1を初期化モードを起動させることにより行う(図1参照)。
【0060】
そして、初期化モードにおいては、認証マイコン2は、指紋センサ3により最初に検出された指紋データ、即ち最初に指紋情報を入力した者の指紋データを上位者の指紋データとしてメモリ11に記憶させる。尚、非ユーザスイッチ16は、セキュリティ確保の観点から隠しスイッチとなっており、本実施形態では、ディーラ等に配備された専用ツールにて操作可能となっている。
【0061】
次に、「中位者」及び「下位者」について説明する。
「中位者」は、オーナーの家族等、車両を利用する頻度が比較的高いユーザを想定したユーザレベルであり、この「中位者」として複数のユーザを登録することができる。中位者には、車両の使用期限及び利用できる車載装備に制限は設けられていないが、新規登録及び登録抹消の権限、及び自らの権限(地位)を他者に譲渡する権限は認められていない。
【0062】
「下位者」は、車両の一時的な利用者を想定したユーザレベルであり、この「下位者」として複数のユーザを登録することができる。下位者には、新規登録及び登録抹消の権限、及び自らの権限(地位)を他者に譲渡する権限は認められない。下位者には車両の使用期限として所定期間車両を使用することができる権限が付与される。そして、所定期間として予め設定された所定時間又は所定走行距離を過ぎた場合には自動的にカーセキュリティがオン状態となり、下位者は車両を利用することができないようになっている。
【0063】
尚、上記「所定期間」は、新たな登録ユーザとして下位者を登録する際に設定され、所定期間は、付帯情報として下位者の指紋データとともにメモリ11に記憶される。
【0064】
また、下位者の場合、利用できる車載装備にも一部制限が設けられている。制限は、車載装備の機能のうち利用者の嗜好に応じて設定されるものを変更しないようにするものであり、本実施形態では、カーオディオの特定の機能の利用を禁止している。尚、エアコンの温度設定や電動シートアジャスタの操作等、車両走行に直接関係のない所謂コンフォート系の車載装備の利用を制限してもよい。
【0065】
本実施形態の認証マイコン2は、ラジオ14等のカーオーディの音量及び音質等の設定を行うオーディオコントローラ17と接続されており、認証マイコン2は、ユーザ認証により搭乗者が下位者であると判断した場合、オーディオの特定の機能の利用を禁止するようオーディオコントローラ17を制御する。詳しくは、搭乗者による音量及び音質の調整操作を許可しないようオーディオコントローラ17を制御する構成となっている(図1参照)。
【0066】
次に、上記のように構成された車両盗難防止システム1の制御態様について詳述する。
図3及び図4は、車両盗難防止システムの制御態様を示すフローチャートである。
【0067】
認証マイコン2は、車両への乗員の搭乗を検知すると、ユーザIF10を制御して搭乗者に対し指紋情報の入力を行うよう促す(ステップ101)。
次に、搭乗者が指紋情報を入力すると、指紋センサ3は、搭乗者の指紋情報を指紋データとして検出し、検出した指紋データを認証マイコン2へと送信する。そして、認証マイコン2は、検出された指紋データとメモリ11に記憶された登録ユーザの指紋データとを照合し、検出された指紋データが何れかの登録ユーザの指紋データと一致するか否かを判断する(ステップ102)。
【0068】
上記ステップ102において、検出された搭乗者の指紋データが登録ユーザの指紋データの何れとも一致しなかった場合、認証マイコン2は、搭乗者は登録ユーザではないと判断し、カーセキュリティを解除しない(ステップ103)。そして、認証マイコン2は、その実行対象を、指紋認証以外の次の処理へと移行する。
【0069】
一方、上記ステップ102において、検出された搭乗者の指紋データが登録ユーザの指紋データの何れかと一致した場合、認証マイコン2は、搭乗者が登録ユーザであると認証する。
【0070】
[搭乗者が上位者である場合]
次に、認証マイコン2は、指紋データとともにメモリ11に記憶された登録ユーザの階層情報を読み出し、上記ステップ102において登録ユーザとして認証された搭乗者が「上位者」であるかを判断する(ステップ104)。
【0071】
そして、上記ステップ104において、登搭乗者が上位者である場合、認証マイコン2は、権限情報に基づいてカーセキュリティを解除し、車両に対する各種操作を可能とする(ステップ105)。尚、先述のように、搭乗者が上位者である場合、車両の使用期限及び利用できる車載装備に制限はない。
【0072】
次に、認証マイコン2は、新規登録スイッチ又は登録抹消スイッチがオンされているか否かについて判断する(ステップ106)。そして、上記ステップ106において、新規登録スイッチ又は登録抹消スイッチの何れかがオンされている場合、認証マイコン2は、車両盗難防止システム1を各スイッチに対応する新規登録モード又は登録抹消モードへと移行させ、先述の新規登録処理又は登録抹消処理を行う(ステップ107)。
【0073】
一方、上記ステップ106において、上記各スイッチの何れもオンされていないと判断された場合、認証マイコン2は、上記ステップ107の処理を実行することなく、その実行対象を、以下のステップ108へと移行させる。
【0074】
次に、認証マイコン2は、権限譲渡スイッチがオンされているか否かについて判断する(ステップ108)。そして、上記ステップ108において、権限譲渡スイッチがオンされている場合、認証マイコン2は、車両盗難防止システム1を権限譲渡モードへと移行させ、先述の権限譲渡処理を行う(ステップ109)。
【0075】
そして、上記ステップ109の権限委譲処理が終了すると、認証マイコン2は、その実行対象を、指紋認証以外の次の処理へと移行させる。尚、上記ステップ108において、権限譲渡スイッチがオンされていないと判断された場合にも、認証マイコン2は、上記ステップ109の処理を実行することなく、その実行対象を、指紋認証以外の次の処理へと移行させる。
【0076】
[搭乗者が中位者である場合]
一方、上記ステップ104において、搭乗者が上位者ではないと判断された場合には、次に、認証マイコン2は、搭乗者が「中位者」であるかを判断する(ステップ110)。
【0077】
そして、上記ステップ110において、認証された搭乗者が中位者である場合、認証マイコン2は、カーセキュリティを解除し、権限情報に基づいて車両に対する各種操作を可能とする(ステップ111)。尚、先述のように、搭乗者が中位者である場合、車両の使用期限及び利用できる車載装備に制限はない。そして、中位者には登録、抹消及び権限譲渡の権限が付与されていないため、認証マイコン2は、その実行対象を、指紋認証以外の次の処理へと移行させる。
【0078】
[搭乗者が下位者である場合]
一方、上記ステップ110において、搭乗者が中位者ではないと判断された場合には、認証マイコン2は、搭乗者は下位者であると判断する。そして、認証マイコン2は、下位者の車両の使用期限として設定されメモリ11に記憶された所定期間を読み出し、所定期間が既に経過しているか否かについて判断する(ステップ112)。
【0079】
上記ステップ112において、所定期間がまだ経過していないと判断された場合、認証マイコン2は、カーセキュリティを解除し、車両に対する各種操作を可能とする(ステップ113)。
【0080】
続いて、認証マイコン2は、権限情報に基づいてカーオディオの利用を一部制限(搭乗者による音量及び音質の調整等の設定の変更を禁止)する(ステップ114)。そして、先述のように下位者には登録、抹消及び権限譲渡の権限が付与されていないため、認証マイコン2は、その実行対象を、指紋認証以外の次の処理へと移行させる。
【0081】
一方、上記ステップ112において、所定期間が既に経過していると判断された場合、認証マイコン2は、カーセキュリティを解除しない(ステップ115)。そして、認証マイコン2は、その実行対象を、指紋認証以外の次の処理へと移行する。
【0082】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)車両盗難防止システム1は、認証マイコン2と、指紋情報を指紋データとして検出する指紋センサ3とを備える。認証マイコン2は、登録ユーザの指紋データが複数記憶されるメモリ11を備え、検出された指紋データと記憶された指紋データとを照合することにより、指紋情報入力者が登録ユーザであるか否かを判断する指紋認証を行う。
【0083】
車両盗難防止システム1は、階層化された複数のユーザ区分(ユーザレベル)を有し、各登録ユーザには、その属するユーザレベルに応じて付与された車両使用権限に応じて車載装備の使用を許可する。
【0084】
このような構成とすれば、個人に固有の生体情報である指紋情報をユーザ認証に用いるので、高度なセキュリティを確保することができる。更に、各登録ユーザには、その属するユーザレベルに応じて付与される車両使用権限に基づいて車載装備の使用を許可する。従って、無用な設定の変更等を禁止する。即ち、車両のオーナーが設定の変更をし直す必要がなくなるので、車両のオーナーにとって高い利便性を確保することができる。
【0085】
(2)下位者には、利用できる車載装備(車両走行に直接関係のない所謂コンフォート系の車載装備)の利用が一部制限された車両使用権限を付与することとし、車載装備の設定機能等、特定の機能の利用を禁止する。
【0086】
従って、一時的な使用者は、各種車載装備の設定を変更することができないので、車両が返却された後に設定しなおす必要がない。その結果、気軽に車両の貸出が可能になるので、高い利便性を確保することができる。
【0087】
(3)下位者には、車両の使用期限が所定期間に限定された車両使用権限を付与することとし、この所定期間に限りカーセキュリティの解除を許可する。従って、所定期間として予め設定された所定時間又は所定走行距離を経過された場合には、自動的にカーセキュリティがオン状態となり、車両を利用することができない。
【0088】
従って、下位者の場合、使用可能な期間が限定されるので、車検や車両の整備時等、一時的な使用者に使用を認めなければならない場合であっても、安心して車両を貸出することができるので、車両のオーナーにとって高い利便性を確保することができる。
【0089】
(4)上位者は、車両盗難防止システム1の管理者として位置づけ、上位者として登録可能な人数は1人とする。そして、ユーザ管理権限である「新規登録及び登録抹消」及び自らの権限(地位)を他者に譲渡する「権限譲渡」の権限は、上位者のみに付与することとし、新規登録モード、登録抹消モード及び権限譲渡モードは、上位者のみに許可する。
【0090】
従って、登録ユーザの管理は、車両のオーナに集約されるので、容易に高度なセキュリティを維持することができるとともに、セキュリティ強度を向上させることができる。
【0091】
(5)新たな登録ユーザが属するユーザレベルは、登録の際に設定される。即ち、上位者のみにユーザレベルの設定を許可する。
従って、オーナー以外はユーザレベルを設定(変更)することができず、また車両のオーナーは、登録するユーザに応じた適切な車両使用権限を付与することができるので、高いセキュリティを確保することができ、且つ車両のオーナーの利便性を向上させることができる。
【0092】
(6)新規登録、登録抹消又は権限譲渡する際には、上位者の指紋情報の入力をもってその要件とし、上位者の指紋情報の入力のない場合には、新規登録、登録抹消又は権限譲渡を行わない。
【0093】
従って、オーナー本人(上位者)の承認なしに新たなユーザの登録ができず、またオーナー以外の者が管理者となることができない、即ちオーナ本人の承認なしにユーザ登録及び車両の譲渡ができないので、高いセキュリティを確保することができる。
【0094】
(7)新たなユーザに上位者としての地位を譲渡した場合には、メモリ11に記憶された中位者及び下位者の指紋データ及び付帯情報は自動的に全て消去する。
【0095】
従って、車両を他人に譲渡した場合等には、新たな上位者が意図しない(承認しない)者、権限譲渡以前の登録ユーザの情報がメモリ11に記憶されたままとなるのを防ぎ、これら権限譲渡以前の登録ユーザによる車両の使用を防止することができる。また、個人情報が流出することがない。その結果、登録ユーザのプライバシーを保護することができるので、車両の譲渡前及び譲渡後のオーナー双方にとって高いセキュリティを確保することができる。
【0096】
(8)最初のユーザを登録する際には、非ユーザスイッチ16をオンし、初期化モードを起動させることにより行う。そして、最初に検出された指紋データ、即ち最初に指紋情報を入力した者の指紋データを、上位者の指紋データとしてメモリ11に記憶する。
【0097】
このような構成とすれば、容易に上位者の登録が可能になるので、工場内での車両移動時や車両検査時等における利便性が向上する。また、最初のユーザを登録する際に、非ユーザスイッチ16がオンされることを条件としたので、悪意ある者による盗難を有効に防止することができる。その結果、高いセキュリティを確保することができる。
【0098】
(9)「上位者」「中位者」「下位者」の3階層のユーザレベルを設け、それぞれ異なる車両権限を付与したので、オーナー、オーナーの家族及び一時的な使用者のように、そのユーザ属性に応じた車両使用権限を付与することができる。その結果、車両のオーナーにとって高い利便性を確保することができる。また、ユーザレベルを3階層としたので、登録ユーザの管理が容易となり、高度なセキュリティを容易に維持することができる。
【0099】
(10)非ユーザスイッチ16は、隠しスイッチとし、ディーラ等に配備された専用ツールにて操作可能とした。従って、部外者には操作困難であり、高いセキュリティを確保することができる。
【0100】
なお、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
・本実施形態の車両盗難防止システム1では、指紋情報をユーザ認証時の認証対象としたが、掌紋、顔及び虹彩等の個人に特有の生体情報を生体データとして検出し、その認証対象とするその他のバイオメトリックスを採用してもよい。
【0101】
・ユーザIF10によるユーザへの情報出力は、ディスプレイ等へのメッセージ表示であってもよく、スピーカーからの音声ガイダンスとしてもよい。
・本実施形態では、メモリ11を認証マイコン2の内部に設けたが、認証マイコン2の外部に設けてもよい。また、メモリ11は、一つの物理チップを用いてもよく、複数の物理チップから構成されるものであってもよい。
【0102】
・本実施形態では、車両盗難防止システム1は、「上位者」「中位者」「下位者」の3階層のユーザレベルを有するとしたが、ユーザレベルは3階層に限らず、2階層でも4階層以上のユーザレベルを設けてもよい。
【0103】
・本実施形態では、権限テーブル15は、テーブル型データとしたが、必ずしも図中に示すようなテーブル型データである必要はなく、各ユーザレベルとその車両使用権限を関連付けるものであれば、どのようなデータ型式であってもよい。
【0104】
・本実施形態では、新規登録及び登録抹消権限は、上位者のみが有することとしたが、中位者に下位者の新規登録及び登録抹消権限を認めてもよく、ユーザレベルを4階層以上に設定した場合には、上位のユーザレベルのユーザに下位のユーザレベルのユーザについての新規登録及び登録抹消権限を認めてもよい。さらに、この場合、中位者の登録を抹消した場合には、登録を抹消された中位者に新規登録を承認された下位者の登録も併せて抹消されることとしてもよい。
【0105】
・本実施形態では、「中位者」又は「下位者」として登録可能な人数を複数としたが、登録可能な人数に上限を設けてもよい。
・本実施形態では、権限譲渡により、権限を譲渡した登録ユーザの指紋データ及び階層情報以外の付帯情報は、すべてメモリ11から消去され、代わりに、権限が譲渡された第三者(新たな登録ユーザ)の指紋データ及び付帯情報が、消去されなかった階層情報とともに、メモリ11に記憶されることとした。しかし、これに限らず、例えば、被権限譲渡者が登録ユーザである場合には、権限譲渡者と被権限譲渡者の階層情報を入れ替えてもよい。また、この場合、被権限譲渡者は、中位者に限ってもよい。
【0106】
・本実施形態では、新規登録スイッチ、登録抹消スイッチ及び権限譲渡スイッチは、ユーザIF10を操作することによりオンすることができるとした。しかし、これに限らず、ドアの開閉やブレーキペダルのオンオフ等、車両の各種スイッチのオンオフの特定の組み合わせにより操作されるものであってもよい。
【0107】
・また、非ユーザスイッチ16は、専用ツールにて操作可能としたが、これも、車両の各種スイッチのオンオフの特定の組み合わせにより操作されるものであってもよく、ユーザIF10を用いてパスワードを入力する等により操作されるものであってもよい。
【0108】
・本実施形態では、下位者に対する車両利用制限として所定期間経過後に自動的にカーセキュリティがオンされることとしたが、ユーザの判断により随時終了可能としてもよい。
【0109】
・また、下位者の車両の使用制限である所定期間は、一定の期間であってもよく、下位者のユーザ登録時に上位者が任意に設定可能としてもよい。
・本実施形態では、下位者は、車両の使用期限が設定され、及び利用できる車載装備が制限されるとしたが、車両の使用期限又は利用できる車載装備の制限の何れか一方のみとしてもよい。
【0110】
・また、下位者として登録する際に、具体的にその利用が制限される車載装備を設定可能としてもよい。
・本実施形態では、車両盗難防止システムの制御態様において、搭乗者が登録ユーザではないと判断された場合に、認証マイコン2は、カーセキュリティを解除することなく、指紋認証以外の次の処理へとその実行対象を移行するとした。しかし、これに限らず、カーセキュリティを解除しないのみならず、スピーカーやホーン等から警告音(警告)を発する、又はライトやウィンカー等を点滅させる等をし、登録ユーザ以外の者が搭乗した事実を外部に知らしめるようにしてもよい。
【0111】
・また、正規のユーザ以外の者の指紋情報が入力された際には、正規のユーザ以外の者の指紋データをメモリ11に記憶することとしてもよい。このような構成とすれば、仮に悪意ある者が上記の操作を行った場合には、記憶した指紋データは、悪意ある者を特定する情報と利用可能となる。即ち、より高度なカーセキュリティを実現することができる。
【0112】
・新たなユーザの登録の際の上位者による指紋情報の入力(指紋認証)については、先に承認のための指紋認証をし、登録予定者による指紋入力をした後に確認のため再び正規のユーザの指紋認証をしてもよい。
【0113】
次に、以上の実施形態から把握することができる請求項以外の技術的思想を、その効果とともに以下に記載する。
(イ)請求項4又は請求項5に記載の車両盗難防止システムにおいて、検出された第4の生体データに対応する区分が前記第2の区分である場合に承認があると判断する承認手段を備え、前記登録手段は、前記承認がある場合に前記記憶させること、を特徴とする車両盗難防止システム。
【0114】
(ロ)請求項6に記載の車両盗難防止システムにおいて、検出された第4の生体データに対応する区分が前記第2の区分である場合に承認があると判断する承認手段を備え、前記登録抹消手段は、前記承認がある場合に前記消去すること、を特徴とする車両盗難防止システム。
【0115】
(ハ)請求項7又は請求項8に記載の車両盗難防止システムにおいて、検出された第4の生体データに対応する区分が前記第2の区分である場合に承認があると判断する承認手段を備え、前記権限譲渡手段は、前記承認がある場合に前記記憶させること、を特徴とする車両盗難防止システム。
【0116】
前記(イ)〜(ハ)に記載の発明によれば、前記第2の区分に対応する生体データを検出した場合、即ち管理者の地位を有するユーザの承認ある場合にのみ、新規登録、登録抹消及び権限譲渡が行われるので、高度なセキュリティが実現される。
【0117】
(ニ)請求項4〜請求項9及び前記(イ)〜(ハ)のうちの何れか一つに記載の車両盗難防止システムにおいて、初期化スイッチと、前記初期化スイッチがオンされた場合に、検出した第5の生体データと前記第2の区分を示す階層情報とを関連付けて前記記憶手段に記憶させる初期化手段とを備えたこと、を特徴とする車両盗難防止システム。
【0118】
このような構成とすれば、記憶手段の初期化が容易になるので、工場内での車両移動時や車両検査時等における利便性が向上する。また、初期化スイッチがオンされることを初期化の条件としたので、悪意ある者による盗難を有効に防止することができる。その結果、高いセキュリティを確保することが可能になる。
【0119】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、高度なセキュリティを確保しつつ高い利便性を実現する車両盗難防止システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略構成図。
【図2】権限テーブルの構成を模式的に示す模式図。
【図3】車両盗難防止システムの制御態様を示すフローチャート。
【図4】同じく車両盗難防止システムの制御態様を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 車両盗難防止システム
2 認証マイコン
3 指紋センサ
10 ユーザIF
11 メモリ
16 非ユーザスイッチ
17 オーディオコントローラ
Claims (9)
- 個人固有の生体情報が生体データとして記憶される記憶手段と、個人固有の生体情報を生体データとして検出する検出手段と、検出された生体データと記憶された生体データとを照合し前記検出された生体データが前記記憶された生体データと一致する場合にセキュリティを解除するセキュリティ解除手段を備えた車両盗難防止システムであって、
前記記憶手段には、前記記憶された生体データに対応する区分を示す階層情報と、前記区分に対応する権限情報とが記憶され、
前記階層情報に基づいて前記検出された生体データに対応する区分を判別する判別手段と、
前記権限情報に基づき該判別された区分に応じた車両の使用を許可する権限付与手段とを備えたこと、を特徴とする車両盗難防止システム。 - 請求項1に記載の車両盗難防止システムにおいて、
前記権限付与手段は、前記判別された区分が第1の区分である場合に、車載装備の特定の機能の利用を禁止する禁止手段を含むこと、
を特徴とする車両盗難防止システム。 - 請求項1又は請求項2に記載の車両盗難防止システムにおいて、
前記権限付与手段は、前記判別された区分が第1の区分である場合には、所定期間内に限り前記セキュリティ解除手段によるセキュリティの解除を許可する限定手段を含むこと、を特徴とする車両盗難防止システム。 - 請求項1〜請求項3のうちの何れか一項に記載の車両盗難防止システムにおいて、
前記判別された区分が第2の区分である場合に、検出された第2の生体データを前記記憶手段に記憶させる登録手段とを備えたこと、
を特徴とする車両盗難防止システム。 - 請求項4に記載の車両盗難防止システムにおいて、
前記検出された第2の生体データと関連付けられる階層情報を前記記憶手段に記憶させる階層設定手段とを含むこと、
を特徴とする車両盗難防止システム。 - 請求項1〜請求項3のうちの何れか一項に記載の車両盗難防止システムにおいて、
前記判別された区分が第2の区分である場合に、前記記憶手段に記憶された指紋データを消去する登録抹消手段とを備えたこと、
を特徴とする車両盗難防止システム。 - 請求項1〜請求項3のうちの何れか一項に記載の車両盗難防止システムにおいて、
前記判別された区分が第2の区分である場合に、前記第2の区分を示す階層情報と関連付けられた生体データを消去し、検出した第3の生体データと前記第2の区分を示す階層情報とを関連付けて前記記憶手段に記憶させる権限譲渡手段とを備えたこと、を特徴とする車両盗難防止システム。 - 請求項7に記載の車両盗難防止システムにおいて、
前記記憶された生体データ及びその階層情報を含む付帯情報の全てを消去する消去手段を備えたこと、
を特徴とする車両盗難防止システム。 - 請求項4〜請求項8のうちの何れか一項に記載の車両盗難防止システムにおいて、
前記第2の区分に対応する前記生体データは一のみであること、を特徴とする車両盗難防止システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003077961A JP2004284460A (ja) | 2003-03-20 | 2003-03-20 | 車両盗難防止システム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003077961A JP2004284460A (ja) | 2003-03-20 | 2003-03-20 | 車両盗難防止システム |
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ID=33292587
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2004284460A (ja) |
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