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JP2004281967A - 反射型マスクブランクス及び反射型マスク - Google Patents

反射型マスクブランクス及び反射型マスク Download PDF

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JP2004281967A JP2003074896A JP2003074896A JP2004281967A JP 2004281967 A JP2004281967 A JP 2004281967A JP 2003074896 A JP2003074896 A JP 2003074896A JP 2003074896 A JP2003074896 A JP 2003074896A JP 2004281967 A JP2004281967 A JP 2004281967A
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Abstract

【課題】200nm付近のDUV光(深紫外光)を用いたマスクパターンの検査に対して高いコントラストが得られ、且つ、パターンの修正に使用するFIBに対する耐性が優れたバッファー層を有する反射型マスクブランクス及び反射型マスクを提供する。
【解決手段】基板1上にEUV光を反射する反射多層膜2を有し、該反射多層膜2上にバッファー層3を有し、さらに該バッファー層3上にEUV光を吸収する吸収体層4を有し、前記バッファー層3はクロム(Cr)とルテニウム(Ru)とを含有する材料からなる反射型マスクブランクス。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体のパターン転写などに使用される露光用反射型マスク及びそれを製造するための反射型マスクブランクスに関し、特に露光光にEUV光を用いるEUVリソグラフィに好適な反射型マスクブランクス及び反射型マスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体産業において、半導体デバイスの微細化に伴い、EUV(Extreme Ultra Violet)光を用いた露光技術であるEUVリソグラフィが有望視されている。なお、ここで、EUV光とは、軟X線領域又は真空紫外線領域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2〜100nm程度の光のことである。この、EUVリソグラフィにおいて用いられるマスクとしては、たとえば下記特許文献1に記載された露光用反射型マスクが提案されている。
このような露光用反射型マスクは、基板上に露光光を反射する反射多層膜が形成され、反射多層膜上にバッファー層が形成され、さらにバッファー層上には露光光を吸収する吸収膜がパターン状に形成されたものである。露光機において反射型マスクに入射した光は、吸収膜のある部分では吸収され、吸収膜のない部分では反射多層膜により反射された像が反射光学系を通して半導体基板上に転写される。ここで、上記バッファー層は、マスクの製造工程において、ドライエッチングなどを用いて吸収膜のパターンを形成する際に、反射多層膜を保護するために設けられるものである。
ところで、下記特許文献1には、バッファー層(当該文献では「中間層」と呼んでいる)がパターン状に形成された反射型X線マスクが記載されており、更に上記バッファー層は例えばクロム又はチタンを主成分とする物質からなることが記載されている。また、下記特許文献2には、バッファー層(当該文献では「中間層」と呼んでいる)としてCrと、N,O,Cの何れかより選ばれる元素を含む材料を用いた反射型マスクブランクスが記載されている。さらに、下記特許文献3には、バッファー層としてルテニウムを用いることが記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−213303号公報
【特許文献2】
特開2002−319542号公報
【特許文献3】
特開2002−122981号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
通常、上記マスクブランクスから反射型マスクを製造する場合、設計どおりにパターンが形成されているかどうかの検査が行われる。このうち、吸収体だけをパターン状に加工した状態で行うマスクパターンの欠陥及び寸法検査においては、光学式の検査装置を用いる際、十分な検査精度を確保するためには、吸収体パターン上の反射率とバッファー層上の反射率との差が大きくなる必要がある。又、バッファー層をパターン状に加工した後には、吸収体層表面と反射多層膜表面での反射光を用いて最終確認の検査を行う。反射多層膜の反射率が紫外線領域で60%程度と高いために、パターンコントラストを高めるためには、吸収体表面での反射率は、例えば、257nmの波長で、20%以下、さらに望ましくは10%以下である。よって、バッファー層での反射率は40%以上と高い必要がある。マスク検査装置には、例えば257nmの光源が用いられているが、半導体の高集積化に伴い、マスク上の線幅も微細になり、精度の高い検査を行うためには、マスク検査装置の波長も短波長化されることが予想される。例えば200nm付近の波長を用いる検査装置がEUVマスクには必須とされている。
ところで、上記特許文献1や特許文献2で開示されているようなCrを主成分とするバッファー層材料は、Taを主成分とする吸収体層のドライエッチングによるパターン形成時のエッチングプロセスに十分な耐性を有し、又、平滑性に優れた材料である。しかしながら、200nm付近での光学反射率は40%未満であり、高いコントラストを得るには十分ではない。
【0005】
さらに、パターン検査後の収束イオンビーム(Focused IonBeam、以下FIBと称す)を用いたマスクパターンの修正において、Taを主成分とする吸収体の黒欠陥を修正する際、下地のバッファー層が保護膜として機能する必要があり、イオンの打ち込みによる反射多層膜へのダメージを避けるために、ある一定の膜厚が必要となる。例えば、窒化クロム膜の場合、FIB照射に対するTa系吸収体とのエッチング選択比は1.0程度であるので、バッファー層の膜厚を50nm程度に厚くしなくてはいけない。このようにバッファー層が厚くなると、パターンの加工精度を低下させるという問題が発生する。
また、上記特許文献3に開示されているRuからなるバッファー層材料は、Ru膜が結晶質であるため、膜応力が高く、経時的な安定性も悪い。さらにEUV光に対する吸収係数が小さいために、所定の露光コントラストを得るためには、マスクパターンを厚くしなければならず、パターンの加工精度の問題や、露光時のパターンエッジ部分でのぼやけの問題が生じる。
本発明の目的とするところは、200nm付近のDUV光(深紫外光)を用いたマスクパターンの検査に対して高いコントラストが得られ、且つ、パターンの修正に使用するFIBに対する耐性が優れたバッファー層を有する反射型マスクブランクス及び反射型マスクを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、後で詳しく述べるように、Taを主成分とする吸収体層を想定し、ある種の材料がバッファー層の材料として特に好適であることを見出し、以下の構成を有する発明を完成した。
(構成1)基板上に露光光を反射する反射多層膜を有し、前記反射多層膜上にバッファー層を有し、さらに前記バッファー層上に露光光を吸収する吸収体層を有する反射型マスクブランクスであって、前記バッファー層はクロム(Cr)とルテニウム(Ru)とを含有する材料からなることを特徴とする反射型マスクブランクス。
(構成2)前記バッファー層を形成する材料は、更に窒素(N)を含有することを特徴とする構成1記載の反射型マスクブランクス。
(構成3)前記バッファー層を形成する材料は、更にホウ素(B)を含有することを特徴とする構成1記載の反射型マスクブランクス。
(構成4)前記吸収体層はタンタル(Ta)を主成分とする材料からなることを特徴とする構成1乃至3の何れかに記載の反射型マスクブランクス。
(構成5)マスクパターンの検査に使用する検査光の波長における前記バッファー層の反射率が40%以上であることを特徴とする構成1乃至4の何れかに記載の反射型マスクブランクス。
(構成6)マスクパターンの修正に使用する集束イオンビーム照射に対する前記吸収体層材料と前記バッファー層材料とのエッチング選択比が1.5以上であることを特徴とする構成1乃至5の何れかに記載の反射型マスクブランクス。
(構成7)構成1乃至6の何れかに記載された反射型マスクブランクスの吸収体層にマスクパターンを形成していることを特徴とする反射型マスク。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の反射型マスクブランクス及び反射型マスクの実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る反射型マスクブランクス及びこのマスクブランクスを用いて反射型マスクを製造する工程を示す概略断面図である。
本発明の反射型マスクブランクス10は、図1(a)に示すように、基板1上に順次、反射多層膜2、バッファー層3、及び吸収体層4の各層が形成された構造をしている。
本発明の反射型マスクブランクス10を構成する各層について説明する。
【0008】
まず、本発明におけるバッファー層3について説明する。
バッファー層に必要な条件は以下の通りである。
1.吸収体層に対して高いエッチング選択比を持つこと(好ましくは10以上)。
2.表面粗さが小さく平滑であること(好ましくは、0.5nmRms、更に好ましくは0.3nmRmsの平滑性)。
3.製造工程において洗浄液として通常用いられる濃硫酸/過酸化水素水等の薬品(酸やNHOH/H等のアルカリ)に対し耐性があること。
4.成膜後の膜応力が小さいこと(好ましくは50nm膜厚換算で200MPa以下)。
5.マスクパターン検査の波長(257nm及び196nm近傍)で、反射率が高いこと(好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上)。
6.パターンの修正に使用するFIB照射に対し吸収体層との間で高いエッチング選択比をもつこと(好ましくは1.5以上)。
【0009】
本発明者は、Taを主成分とする吸収体層を想定し、上記の条件を全て満足するバッファー層に適した材料として、CrとRuを含む材料を見出した。
本発明者の検討によると、Ruは、単体膜であると結晶質であるため、膜応力が高く、平滑性は低く、経時的な安定性も悪い。さらにEUV光に対する吸収係数が小さいために所定の露光コントラストを得るためには、マスクパターンを厚くしなければならないという問題点があるものの、パターン検査に用いられる190〜260nm程度の光に対する光学反射率が60%以上と高く、FIB照射に対してエッチングされ難い特徴を有することが判明した。そして、本発明者の更なる検討によると、バッファー層をCrとRuとを含む材料で形成することにより、200nm付近の検査光に対して吸収体層とのコントラストが十分に取れる高い光学反射率を有し、且つ、パターン修正時に使用されるFIB耐性に優れ、さらには、平滑性、応力制御性も良好で、特にTa系吸収体層とのエッチング選択比にも優れ、前記の条件を十分に満足するバッファー層が得られることが判明した。
このCrとRuを含む材料に更に窒素を含むことで、表面の平滑性が向上し、パターン検査光に対する光学反射率は高くなるため好ましい。
また、このCrとRuを含む材料に更にホウ素(B)を含むことで、膜構造がアモルファス化し、平滑性が向上する、という効果が得られる。
【0010】
本発明のバッファー層3の膜厚は、FIBを用いた吸収体パターンの修正を行う場合には、20〜50nmとするのが好ましいが、FIBを用いない場合には、3〜10nmとすることができる。本発明のバッファー層は、FIB照射に対する耐性に優れ、吸収体層との間で高いエッチング選択比を持つので、バッファー層の膜厚を薄くできる。
バッファー層3の結晶状態は、平滑性の点から、微結晶或いはアモルファスであることが好ましい。
本発明では、吸収体パターン形成後に行うパターンの欠陥を検出するための検査において、例えば200nm付近の検査光に対する吸収体層2における反射光とバッファー層3における反射光とのコントラストは、好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上である。ここで、検査時のコントラストは次の式で定義される。
コントラスト(%)=((R−R)/(R+R))×100
(ただし、R、Rは検査を行う各層における反射率で、ここではバッファー層3の反射率をR、吸収体層2の反射率をRとする。)
このようなコントラストを実現するために、バッファー層3の検査光に対する反射率は40%以上、更には50%以上であることが好ましい。
【0011】
次に、このようなバッファー層の材料であるクロムルテニウム合金(CrRu)、クロムルテニウム合金の窒化物(CrRuN)、及びクロムルテニウムホウ素合金(CrRuB)について、好ましい組成比を説明する。
(1)CrRuの場合
CrRuの場合、好ましいRuの範囲は、10〜80at%である。Crに対するRuの量が10at%未満であると、200nm付近での光学反射率は40%を超えるような高反射率が得られない。また、Ruが80at%を超える量であると、平滑性が低下し、膜応力が大きくなるため好ましくない。
このようなCrRuから成るバッファー層3は、マグネトロンスパッタ法などのスパッタ法で形成することができる。例えばDCマグネトロンスパッタ法により、Cr−Ru合金ターゲットを用い、Arガス雰囲気中で成膜する。
(2)CrRuNの場合
CrRuNの場合、好ましいRuの範囲は、10〜70at%である。Ruの量をこの範囲とすることで、平滑性が良好で、検査光に対する高反射率が得られる。
また、好ましいNの範囲は、5〜50at%である。Nの量をふやすほど、平滑性が向上し、低応力となる傾向になるが、多すぎると耐薬品性及び検査光の反射率が低下するため好ましくない。
このようなCrRuNからなるバッファー層は、例えばDCマグネトロンスパッタ法により、Cr−Ru合金ターゲットを用い、Arに窒素を5〜40%程度添加した混合ガス雰囲気中で成膜する。
【0012】
(3)CrRuBの場合
CrRuBの場合、好ましいRuの範囲は、10〜70at%である。Ruの量をこの範囲とすることで、平滑性が良好で、検査光に対する高反射率が得られる。
また、好ましいBの範囲は、5〜25at%である。Bの含有量をこの範囲にすることにより、容易にアモルファス状態の膜が得られる。
このようなCrRuBからなるバッファー層は、例えばCrとRuとBとを含むターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタ法で成膜する。
以上のようなCrとRuを含む材料に、更に、他の元素、例えば、Siを含んでいても良い。Siを含むとEUV光に対する透明性が上がるため、マスクパターンを厚くする必要があり、パターン高さの点では不利であるが、バッファー層を除去した後に、仮に反射多層膜上に残査が残ってしまった場合であっても、反射率の低下を低く抑えられる。
【0013】
次に、本発明の反射型マスクブランクス10の吸収体層4は、露光光であるEUV光を吸収する機能を有する。
本発明の吸収体層4としては、タンタル(Ta)を主成分とする材料を好ましく用いることができる。ここで、Taを主成分とするとは、成分中の金属元素のうち、最も組成比の大きい金属がTaであるという意味である。Taを主成分とする材料は、通常、金属単体又はその合金である。このような吸収体層の結晶状態は、平滑性の点から、アモルファス状又は微結晶の構造を有しているものが好ましい。
Taを主成分とする材料としては、Ta単体、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、更にOとNの少なくとも何れかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料、等を用いることが出来る。TaにBやSi、Ge等を加えることにより、アモルファス状の材料が容易に得られ、平滑性を向上させることができる。また、TaにNやOを加えれば、酸化に対する耐性が向上するため、経時的な安定性を向上させることが出来るという効果が得られる。
【0014】
この中でも特に好ましい材料として、例えば、TaとBを含む材料(組成比Ta/Bが8.5/1.5〜7.5/2.5の範囲である)、TaとBとNを含む材料(Nが5〜30at%であり、残りの成分を100とした時、Bが10〜30at%)が挙げられる。これらの材料の場合、容易に微結晶或いはアモルファス構造を得ることが出来、良好な平滑性と平坦性が得られる。
このようなTaを主成分とする吸収体層は、マグネトロンスパッタリングなどのスパッタ法で形成するのが好ましい。例えば、TaBN膜の場合、タンタルとホウ素を含むターゲットを用い、窒素を添加したアルゴンガスを用いたスパッタリング法で成膜することができる。スパッタ法で形成した場合には、スパッタターゲットに投入するパワーや投入ガス圧力を変化させることにより、容易に内部応力を制御できる。また、室温程度の低温での形成が可能であるので、反射多層膜等への熱の影響を少なくすることが出来る。
Taを主成分とする材料以外では、例えば、WN、TiN、Ti等の材料が挙げられる。
なお、吸収体層4は、複数層の積層構造としてもよい。
吸収体層4の膜厚は、露光光であるEUV光が十分に吸収できる厚みであれば良いが、通常30〜100nm程度である。
【0015】
次に、本発明に係る反射型マスクブランクス10の反射多層膜2について説明すると、該反射膜2は、屈折率の異なる元素が周期的に積層された多層膜が用いられる。一般的には、重元素又はその化合物の薄膜と、軽元素又はその化合物の薄膜とが交互に40周期程度積層された多層膜が用いられる。
例えば、波長13〜14nmのEUV光に対する反射多層膜としては、MoとSiを交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜が好ましく用いられる。その他に、EUV光の領域で使用される反射多層膜として、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。露光波長により、材質を適宜選択すればよい。
反射多層膜2は、DCマグネトロンスパッタ法や、イオンビームデポジション法などにより、各層を成膜することにより形成できる。上述したMo/Si周期多層膜の場合、DCマグネトロンスパッタ法により、まずSiターゲットを用いてArガス雰囲気で厚さ数nm程度のSi膜を成膜し、その後Moターゲットを用いてArガス雰囲気で厚さ数nm程度のMo膜を成膜し、これを一周期として、30〜60周期積層した後、最後にSi膜を形成すればよい。
【0016】
また、本発明に係る反射型マスクブランクスの基板1としては、露光時の熱によるパターンの歪みを防止するため、0±1.0×10−7/℃の範囲内、より好ましくは0±0.3×10−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましい。この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、アモルファスガラス、セラミック、金属の何れでも使用できる。例えばアモルファスガラスであれば、SiO−TiO系ガラス、石英ガラス、結晶化ガラスであれば、β石英固溶体を析出した結晶化ガラス等を用いることが出来る。金属基板の例としては、インバー合金(Fe−Ni系合金)などが挙げられる。
また、基板1は、高反射率及び高転写精度を得るために、高い平滑性と平坦性を備えた基板が好ましい。特に、0.2nmRms以下の平滑な表面(10μm角エリアでの平滑性)と、100nm以下の平坦度(142mm角エリアでの平坦度)を有することが好ましい。また、基板1は、その上に形成される膜の膜応力による変形を防止するために、高い剛性を有しているものが好ましい。特に、65GPa以上の高いヤング率を有しているものが好ましい。
なお、本発明において平滑性を示す単位Rmsは、二乗平均平方根粗さであり、原子間力顕微鏡で測定することができる。また本発明に記載する平坦度は、TIR(Total Indicated Reading)で示される表面の反り(変形量)を表す値で、基板表面を基準として最小自乗法で定められる平面を焦平面とし、この焦平面より上にある基板表面の最も高い位置と、焦平面より下にある基板表面の最も低い位置との高低差の絶対値である。
【0017】
本発明に係る反射型マスクブランクス10は以上の如く構成されている。
次に、本発明の反射型マスクブランクスを用いた反射型マスクの製造工程及びパターンの検査について説明する。
本発明の反射型マスクブランクス10(図1(a)参照)は、基板1上に順次、反射多層膜2、バッファー層3及び吸収体層4の各層を形成することで得られ、各層の材料及び形成方法については上述した通りである。
次に、この反射型マスクブランクス10の吸収体層4に吸収体パターンを形成する。まず、吸収体層4上に電子線用レジストを塗布し、ベーキングを行う。次に、電子線描画機を用いて描画し、これを現像して、レジストパターン5aを形成する。
形成されたレジストパターン5aをマスクとして、吸収体層4をドライエッチングして、吸収体パターン4aを形成する(図1(b)参照)。吸収体層4がTaを主成分とする材料からなる場合、塩素ガスを用いたドライエッチングを用いることが出来る。
【0018】
次に、熱濃硫酸を用いて、吸収体パターン4a上に残ったレジストパターン5aを除去して、マスク11(同図(c)参照)を作製する。
ここで、吸収体パターン4aが設計通りに形成されているかどうかの検査を行う。吸収体パターン4aの検査には、前述したように通常は波長190nm〜260nm程度のDUV光が用いられ、この検査光が吸収体パターン4aが形成されたマスク11上に入射される。ここでは、吸収体パターン4a上で反射される検査光と、吸収体層4が除去されて露出したバッファー層3で反射される検査光とを検出し、そのコントラストを観察することによって、検査を行う。
【0019】
このようにして、除去されるべきでない吸収体層が除去されたピンホール欠陥(白欠陥)及び、エッチング不足により除去されずに残っている吸収体層(黒欠陥)を検出する。このようなピンホール欠陥や、エッチング不足による欠陥が検出された場合には、これを修正する。
ピンホール欠陥の修正には、FIBアシストデポジション法により炭素膜を堆積させるなどの方法で修復を行うことができる。また、エッチング不足による欠陥の修正には、FIB照射等による不要部分の除去を行うことができる。このとき、バッファー層3は、FIB照射に対して、反射多層膜2を保護する保護膜となる。
こうしてパターン検査及び修正が終えた後、露出したバッファー層3を吸収体パターン4aに従って除去し、バッファー層にパターン3aを形成して、反射型マスク20を作製する(図1(d)参照)。ここで、本発明のCrとRuを含む材料からなるバッファー層3は、例えば塩素と酸素を含む混合ガスでのドライエッチングを用いることができる。バッファー層を除去した部分では、反射多層膜2が露出する。
【0020】
最後に、形成されたパターンの最終確認検査を行う。この最終確認検査は、仕様通りの寸法精度で吸収体パターン4aが形成されているかどうかを最終的に確認を行うものである。この最終確認検査の場合も、前述の波長190nm〜260nm程度のDUV光が用いられ、この検査光が吸収体層4及びバッファー層3がパターン状に形成された反射型マスク20に入射される。この場合、吸収体パターン4a上で反射される検査光と、バッファー層3が除去されて露出した反射多層膜2上で反射される検査光とを検出し、そのコントラストを観察することにより検査を行う。
なお、上述したマスク製造工程でのバッファー層3の除去は必要に応じて行えばよく、バッファー層3を除去しなくても必要な反射率が得られる場合には、除去を行わなくとも良い。
なお、上述した本発明に係る反射型マスク及び反射型マスクブランクスは、EUV 光(波長0.2〜100nm程度)を露光光として用いた場合に特に好適であるが、他の波長の光に対しても適宜用いることができる。
【0021】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、説明の便宜上、図1における符号を適宜使用する。
(実施例1)
まず、図1(a)に示すような反射型マスクブランクス10を作製した。使用する基板1は、SiO−TiO系のガラス基板(外形6インチ角、厚さが6.3mm)である。この基板1の熱膨張率は0.2×10−7/℃、ヤング率は67GPaである。そして、このガラス基板は機械研磨により、0.2nmRms以下の平滑な表面と100nm以下の平坦度に形成した。
基板1上に形成される反射多層膜2は、13〜14nmの露光光波長帯域に適した反射多層膜を形成するために、本実施例では、Mo/Si周期反射多層膜を採用した。すなわち、反射多層膜2は、MoとSiをDCマグネトロンスパッタ法により基板1上に交互に積層して形成した。まず、Siターゲットを用いて、Arガス圧0.1PaでSi膜を4.2nm成膜し、その後Moターゲットを用いて、Arガス圧0.1PaでMo膜を2.8nm成膜し、これを一周期として、40周期積層した後、最後にSi膜を4nm成膜した。合計膜厚は284nmである。この反射多層膜2に対し、13.4nmの光の入射角5度での反射率は65%であった。又、この多層膜2表面の表面粗さは0.12nmRmsであった。
【0022】
反射多層膜2上に形成されるバッファー層3は、CrRu(Ru=25at%)を膜厚30nmに形成した。このCrRuバッファー層3は、CrRu(Ru=25at%)ターゲットを用いて、スパッタガスとしてArガスを用い、DCマグネトロンスパッタ法により形成した。形成されたバッファー層3の結晶状態は微結晶であることをX線回折法にて確認した。
このバッファー層3の有する膜応力(50nm換算)は+40MPaであり、バッファー層3表面の196nmの光に対する反射率は50%と高反射率であった。また、このバッファー層3の表面粗さは、0.3nmRmsであった。
バッファー層3上に形成される吸収体層4は、タンタルホウ素合金の酸窒化物(TaBNO)を膜厚50nmに形成した。TaBNOの組成は、Ta:B:N:O=40:10:10:40とした。この吸収体層4は、DCマグネトロンスパッタ法により、TaとBを含む焼結体ターゲットを用い、Arに窒素10%と酸素40%を添加した混合ガスを用いて成膜した。膜応力とターゲットへの投入パワーとの関係を予め求め、ターゲットへの投入パワーを制御する事により、吸収体層4の有する応力は、バッファー層3の応力と逆向きの応力である−50MPaとした。このような成膜条件によって成膜した吸収体層4の結晶状態はアモルファスであった。又、この吸収体層4表面における196nmの光に対する反射率は15%であり、表面粗さは0.25nmRmsであった。
【0023】
以上のようにして、図1(a)に示すような本実施例の反射型マスクブランクス10を得た。
次に、上述した反射型マスクブランクス10から、前述の同図(d)に示す反射型マスク20を作製する方法を説明する。まず、上記反射型マスクブランクス10の吸収体層4上に電子線照射用レジストを塗布し、電子線によりデザインルールが0.07μmの16Gbit−DRAM用のパターン描画を行ってから現像し、レジストパターン5aを形成した。
このレジストパターン5aをマスクとして、塩素を用いて吸収体層4をドライエッチングし、吸収体パターン4aを形成した(前述の同図(b)参照)。この塩素を用いたドライエッチングに対する吸収体層とバッファー層とのエッチング選択比は約20である。
次に、吸収体パターン4a上に残ったレジストパターン5aを100℃の熱硫酸で除去し、マスク11を得た(前述の同図(c)参照)。
【0024】
この状態で、吸収体パターン4aの検査を行った。すなわち、図2に示すように、吸収体パターン4aの検査は、波長196nmの検査光を用いて、これをマスク11の表面に入射させ、吸収体パターン4aで反射される検査光Aとバッファー層3表面で反射される検査光Bとのコントラストを観察することにより行った。
本実施例におけるバッファー層3表面と、吸収体パターン4a表面との検査光に対する前記定義式によるコントラスト値は54%であり、検査において十分なコントラストが得られた。検査の結果、検出された欠陥については、FIBを用いたプロセスによりパターン修正を行った。なお、黒欠陥の修正時、ガリウムイオンを用い、20keVの加速電圧でFIB照射した場合の吸収体層とバッファー層とのエッチング選択比は2であり、十分な選択比が取れた。
次に、マスク11の反射領域上(吸収体パターン4aのない部分)に残存しているバッファー層3であるCrRu層を吸収体パターン4aに従って除去し、バッファー層パターン3aを形成した(前述の同図(d)参照)。このバッファー層3の除去には、塩素と酸素の混合ガスによるドライエッチングを用いた。
【0025】
以上のようにして、同図(d)に示す構造の反射型マスク20を得た。
こうしてバッファー層にパターン3aを形成した後、反射型マスク20の最終確認検査を行った。検査光には、波長196nmの光を用い、図3に示すように、これをマスク20表面に入射させ、吸収体パターン4aで反射される検査光Cと、反射多層膜2上で反射される検査光Dとのコントラストを観察した。この最終確認検査においても十分なコントラストが得られた。
こうして反射型マスク20には、デザインルールが0.07μmの16Gbit−DRAM用のパターンを設計通り形成できている事が検査により確認できた。
【0026】
次に、図4に示すパターン転写装置により、反射型マスク20を用いてレジスト付き半導体基板(シリコンウエハ)にEUV光によってパターンを転写する方法を説明する。
反射型マスク20を搭載したパターン転写装置50は、レーザープラズマX線源31、反射型マスク20、縮小光学系32等から概略構成される。縮小光学系32は、X線反射ミラーを用いている。縮小光学系32により、反射型マスク20で反射されたパターンは通常1/4程度に縮小される。尚、露光波長として13〜14nmの波長帯を使用するので、光路が真空中になるように予め設定した。
このような状態で、レーザープラズマX線源31から得られたEUV光を反射型マスク20に入射し、ここで反射された光を縮小光学系32を通してシリコンウエハ33上に転写した。
反射型マスク20に入射した光は、吸収体パターン4aのある部分では、吸収体層に吸収されて反射されず、一方、吸収体パターン4aのない部分に入射した光は反射多層膜2により反射される。このようにして、反射型マスク20から反射される光により形成される像が縮小光学系32に入射する。縮小光学系32を経由した露光光は、シリコンウエハ33上のレジスト層に転写パターンを露光する。そして、この露光済レジスト層を現像することによってシリコンウエハ33上にレジストパターンを形成した。
以上のようにして半導体基板上へのパターン転写を行った結果、本実施例の反射型マスク20の精度は70nmデザインルールの要求精度である16nm以下であることが確認できた。
【0027】
(実施例2)
本実施例では、バッファー層として、Ruの含有量が実施例1と異なるCrRuを用い、吸収体層として、TaBNとTaBOとの積層を用いた点が、実施例1と異なる。
実施例1と同様にして、基板1上に反射多層膜2を形成した。
次に、反射多層膜2上にバッファー層3として、CrRu(Ru=50at%)を膜厚25nmに形成した。このCrRuバッファー層3は、CrRu(Ru=50at%)ターゲットを用いて、スパッタガスとしてArガスを用い、DCマグネトロンスパッタ法により形成した。形成されたバッファー層3の結晶状態は微結晶であることをX線回折法にて確認した。
このバッファー層3の有する膜応力(50nm換算)は+60MPaであり、バッファー層3表面の196nmの光に対する反射率は55%と高反射率であった。また、このバッファー層3の表面粗さは、0.3nmRmsであった。
次に、吸収体層4として、TaBNを膜厚40nmに形成した。TaBNの組成は、Ta:B:N=80:10:10とした。このTaBN層は、DCマグネトロンスパッタ法により、TaとBを含むターゲットを用い、Arに窒素10%を添加した混合ガスを用いて成膜した。次いで、このTaBN層上に、TaBOを膜厚15nmに形成した。TaBOの組成は、Ta:B:O=40:10:50とした。このTaBO層は、DCマグネトロンスパッタ法により、TaとBを含むターゲットを用い、Arに酸素50%を添加した混合ガスを用いて成膜した。
スパッタ条件を制御する事により、TaBNとTaBOの積層からなる吸収体層4の有する膜応力は、バッファー層3の応力と逆向きの応力である−50MPaとした。又、この吸収体層4表面における196nmの光に対する反射率は15%であり、表面粗さは0.25nmRmsであった。
【0028】
以上のようにして、本実施例の反射型マスクブランクス10を得た。
次に、実施例1と同様の方法で、本実施例の反射型マスクブランクスから反射型マスクを製造した。
すなわち、吸収体層4に吸収体パターン4aを形成した。この際、塩素を用いたドライエッチングに対する吸収体層とバッファー層とのエッチング選択比は約20である。吸収体パターン4a上に残ったレジストパターン5aを除去した後、実施例1と同様に吸収体パターン4aの検査を行った。
本実施例におけるバッファー層3表面と、吸収体パターン4a表面との196nmの検査光に対するコントラスト値は57%であり、検査において十分なコントラストが得られた。検査の結果、検出された欠陥については、FIBを用いたプロセスによりパターン修正を行った。黒欠陥の修正時、ガリウムイオンを用い、20keVの加速電圧でFIB照射した場合の吸収体層とバッファー層とのエッチング選択比は3であり、十分な選択比が取れた。
【0029】
次に、実施例1と同様に、マスクの反射領域上(吸収体パターン4aのない部分)に残存しているバッファー層3を吸収体パターン4aに従って除去した後、実施例1と同様に反射型マスク20の最終確認検査を行った。
最終確認検査においても十分なコントラストが得られ、本実施例の反射型マスク20においても、デザインルールが0.07μmの16Gbit−DRAM用のパターンを設計通り形成できている事が検査により確認できた。
また、本実施例の反射型マスク20を用い、実施例1と同様、図4に示すパターン転写装置を使用して、シリコンウエハ上へのパターン転写を行ったところ、本実施例の反射型マスクの精度は70nmデザインルールの要求精度である16nm以下であることが確認できた。
【0030】
(実施例3)
本実施例では、バッファー層の材料として、CrRuNを用い、吸収体層の材料として、TaBOを用いた点が、実施例1と異なる。
実施例1と同様にして、基板1上に反射多層膜2を形成した。
次に、反射多層膜2上にバッファー層3として、CrRuN(Ru=0.3、N=0.2)を膜厚30nmに形成した。このCrRuNバッファー層3は、CrRu(Ru=50at%)ターゲットを用いて、スパッタガスとしてArに窒素を添加したガスを用い、DCマグネトロンスパッタ法により形成した。形成されたバッファー層3の結晶状態は微結晶であることをX線回折法にて確認した。
このバッファー層3の有する膜応力(50nm換算)は+50MPaであり、バッファー層3表面の257nmの光に対する反射率は55%と高反射率であった。また、このバッファー層3の表面粗さは、0.2nmRmsであった。
次に、吸収体層4として、TaBO(B=0.1、O=0.35)を膜厚50nmに形成した。このTaBO層は、DCマグネトロンスパッタ法により、TaとBを含むターゲットを用い、Arに酸素40%を添加した混合ガスを用いて成膜した。
スパッタ条件を制御する事により、吸収体層4の有する膜応力は、バッファー層3の応力と逆向きの応力である−50MPaとした。又、この吸収体層4表面における257nmの光に対する反射率は10%であり、表面粗さは0.2nmRmsであった。
【0031】
以上のようにして、本実施例の反射型マスクブランクス10を得た。
次に、実施例1と同様の方法で、本実施例の反射型マスクブランクスから反射型マスクを製造した。
すなわち、吸収体層4に吸収体パターン4aを形成した。この際、塩素を用いたドライエッチングに対する吸収体層とバッファー層とのエッチング選択比は約20である。吸収体パターン4a上に残ったレジストパターン5aを除去した後、実施例1と同様に吸収体パターン4aの検査を行った。
本実施例におけるバッファー層3表面と、吸収体パターン4a表面との257nmの検査光に対するコントラスト値は69%であり、検査において十分なコントラストが得られた。検査の結果、検出された欠陥については、FIBを用いたプロセスによりパターン修正を行った。黒欠陥の修正時、ガリウムイオンを用い、20keVの加速電圧でFIB照射した場合の吸収体層とバッファー層とのエッチング選択比は2であり、十分な選択比が取れた。
【0032】
次に、実施例1と同様に、マスクの反射領域上(吸収体パターン4aのない部分)に残存しているバッファー層3を吸収体パターン4aに従って除去した後、実施例1と同様に反射型マスク20の最終確認検査を行った。
最終確認検査においても十分なコントラストが得られ、本実施例の反射型マスク20においても、デザインルールが0.07μmの16Gbit−DRAM用のパターンを設計通り形成できている事が検査により確認できた。
また、本実施例の反射型マスク20を用い、実施例1と同様、図4に示すパターン転写装置を使用して、シリコンウエハ上へのパターン転写を行ったところ、本実施例の反射型マスクの精度は70nmデザインルールの要求精度である16nm以下であることが確認できた。
【0033】
(実施例4)
本実施例では、バッファー層の材料として、CrRuBを用い、吸収体層として、実施例2と同じTaBNとTaBOとの積層を用いた点が、実施例1と異なる。
実施例1と同様にして、基板1上に反射多層膜2を形成した。
次に、反射多層膜2上にバッファー層3として、CrRuB(Ru=0.3、B=0.15)を膜厚30nmに形成した。このCrRuBバッファー層3は、CrとRuとBを含むターゲットを用いて、スパッタガスとしてArガスを用い、DCマグネトロンスパッタ法により形成した。形成されたバッファー層3の結晶状態はアモルファスであることをX線回折法にて確認した。
このバッファー層3の有する膜応力(50nm換算)は+30MPaであり、バッファー層3表面の196nmの光に対する反射率は50%と高反射率であった。また、このバッファー層3の表面粗さは、0.2nmRmsであった。
次に、バッファー層上に、吸収体層4として、TaBNとTaBOの積層膜を実施例2と同様にして同じ膜厚に形成した。スパッタ条件を制御する事により、TaBNとTaBOの積層からなる吸収体層4の有する膜応力は、バッファー層3の応力と逆向きの応力である−40MPaとした。又、この吸収体層4表面における196nmの光に対する反射率は15%であり、表面粗さは0.2nmRmsであった。
【0034】
以上のようにして、本実施例の反射型マスクブランクス10を得た。
次に、実施例1と同様の方法で、本実施例の反射型マスクブランクスから反射型マスクを製造した。
すなわち、吸収体層4に吸収体パターン4aを形成した。この際、塩素を用いたドライエッチングに対する吸収体層とバッファー層とのエッチング選択比は約20である。吸収体パターン4a上に残ったレジストパターン5aを除去した後、実施例1と同様に吸収体パターン4aの検査を行った。
本実施例におけるバッファー層3表面と、吸収体パターン4a表面との196nmの検査光に対するコントラスト値は54%であり、検査において十分なコントラストが得られた。検査の結果、検出された欠陥については、FIBを用いたプロセスによりパターン修正を行った。黒欠陥の修正時、ガリウムイオンを用い、20keVの加速電圧でFIB照射した場合の吸収体層とバッファー層とのエッチング選択比は2.5であり、十分な選択比が取れた。
【0035】
次に、実施例1と同様に、マスクの反射領域上(吸収体パターン4aのない部分)に残存しているバッファー層3を吸収体パターン4aに従って除去した後、実施例1と同様に反射型マスク20の最終確認検査を行った。
最終確認検査においても十分なコントラストが得られ、本実施例の反射型マスク20においても、デザインルールが0.07μmの16Gbit−DRAM用のパターンを設計通り形成できている事が検査により確認できた。
また、本実施例の反射型マスク20を用い、実施例1と同様、図4に示すパターン転写装置を使用して、シリコンウエハ上へのパターン転写を行ったところ、本実施例の反射型マスクの精度は70nmデザインルールの要求精度である16nm以下であることが確認できた。
【0036】
(比較例)
本比較例では、バッファー層の材料として、CrNを用いた点が、実施例1と異なる。
実施例1と同様にして、基板1上に反射多層膜2を形成した。
次に、反射多層膜2上にバッファー層3として、CrN(N=15at%)を膜厚30nmに形成した。このCrNバッファー層3は、Crターゲットを用いて、スパッタガスとしてArに窒素を添加した混合ガスを用い、DCマグネトロンスパッタ法により形成した。形成されたバッファー層3の結晶状態は微結晶であることをX線回折法にて確認した。
このバッファー層3の有する膜応力(50nm換算)は+20MPaであり、バッファー層3表面の196nmの光に対する反射率は34%と低かった。また、このバッファー層3の表面粗さは、0.25nmRmsであった。
次に、吸収体層4として、実施例1と同じ組成のTaBNO膜を形成した。但し、膜厚は60nmとした。このTaBNOからなる吸収体層4の有する膜応力は、バッファー層3の応力と逆向きの応力である−50MPaとした。又、この吸収体層4表面における196nmの光に対する反射率は15%であり、表面粗さは0.2nmRmsであった。
【0037】
以上のようにして、本比較例の反射型マスクブランクス10を得た。
次に、実施例1と同様の方法で、本比較例の反射型マスクブランクスから反射型マスクを製造した。
すなわち、吸収体層4に吸収体パターン4aを形成した。この際、塩素を用いたドライエッチングに対する吸収体層とバッファー層とのエッチング選択比は約20である。吸収体パターン4a上に残ったレジストパターン5aを除去した後、実施例1と同様に吸収体パターン4aの検査を行った。
本比較例におけるバッファー層3表面と、吸収体パターン4a表面との196nmの検査光に対するコントラスト値は39%であり、前記実施例と比較してコントラストが低く、検査において十分なコントラストが得られなかった。検査の結果、検出された欠陥については、FIBを用いたプロセスによりパターン修正を行ったが、黒欠陥の修正時、ガリウムイオンを用い、20keVの加速電圧でFIB照射した場合の吸収体層とバッファー層とのエッチング選択比は1.0であり、十分な選択比が取れなかった。このため、FIB照射による修正後、バッファー層の膜厚がかなり減少してしまい、下地の反射多層膜にもダメージが生じていた。このようなダメージを防ぐには、バッファー層の膜厚をもっと厚くする必要がある。
次に、実施例1と同様に、マスクの反射領域上(吸収体パターン4aのない部分)に残存しているバッファー層3を吸収体パターン4aに従って除去した後、実施例1と同様に反射型マスク20の最終確認検査を行ったが、反射領域における多層膜のダメージにより検査光に対する反射率が低下し、十分なコントラストが得られなかったため、デザインルールが0.07μmの16Gbit−DRAM用のパターンを設計通り形成できているかどうかの正確な確認ができなかった。
【0038】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、バッファー層の材料として、CrとRuを含有する材料を用いることにより、200nm付近のDUV光(深紫外光)を用いたマスクパターンの検査に対して光学反射率が高く良好なコントラストが得られ、且つ、パターンの修正に使用するFIBに対する耐性が優れたバッファー層を有する反射型マスクブランクス及び反射型マスクが得られる。
また、本発明によれば、バッファー層の材料として、CrとRuを含有する材料を用いることにより、特にTaを主成分とする材料からなる吸収体層とのエッチング選択比の点で優れ、更に、200nm付近の検査光に対して前記吸収体層とのコントラストが十分に取れる高い光学反射率を有し、且つ、パターンの修正に使用するFIB照射に対しても前記吸収体層との十分な選択比が取れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射型マスクブランクスの実施形態及び該マスクブランクスから反射型マスクを製造する工程を示す概略断面図である。
【図2】反射型マスクの吸収体パターンの検査方法を示す模式図である。
【図3】反射型マスクの最終確認検査方法を示す模式図である。
【図4】反射型マスクを用いて半導体基板上へのパターン転写を行うパターン転写装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 基板
2 反射多層膜
3 バッファー層
3a バッファー層パターン
4 吸収体層
4a 吸収体パターン
5a レジストパターン
10 反射型マスクブランクス
20 反射型マスク

Claims (7)

  1. 基板上に露光光を反射する反射多層膜を有し、前記反射多層膜上にバッファー層を有し、さらに前記バッファー層上に露光光を吸収する吸収体層を有する反射型マスクブランクスであって、前記バッファー層はクロム(Cr)とルテニウム(Ru)とを含有する材料からなることを特徴とする反射型マスクブランクス。
  2. 前記バッファー層を形成する材料は、更に窒素(N)を含有することを特徴とする請求項1記載の反射型マスクブランクス。
  3. 前記バッファー層を形成する材料は、更にホウ素(B)を含有することを特徴とする請求項1記載の反射型マスクブランクス。
  4. 前記吸収体層はタンタル(Ta)を主成分とする材料からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の反射型マスクブランクス。
  5. マスクパターンの検査に使用する検査光の波長における前記バッファー層の反射率が40%以上であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の反射型マスクブランクス。
  6. マスクパターンの修正に使用する集束イオンビーム照射に対する前記吸収体層材料と前記バッファー層材料とのエッチング選択比が1.5以上であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の反射型マスクブランクス。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載された反射型マスクブランクスの吸収体層にマスクパターンを形成していることを特徴とする反射型マスク。
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