JP2004269785A - 硬化性ポリフェニレンエーテル系複合材料 - Google Patents
硬化性ポリフェニレンエーテル系複合材料 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】導体との接着強度に優れた硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物および、それを用いた高周波用途に適した高密度配線基板用材料および配線基板を提供する。
【解決手段】変性ポリフェニレンエーテルと架橋性化合物と特定の官能基変性されたブロック共重合体の水添物とを含む組成物を用いることにより、導体との接着性に優れた低誘電率・低誘電損失の配線基板を得ることができる。
【選択図】 選択図なし。
【解決手段】変性ポリフェニレンエーテルと架橋性化合物と特定の官能基変性されたブロック共重合体の水添物とを含む組成物を用いることにより、導体との接着性に優れた低誘電率・低誘電損失の配線基板を得ることができる。
【選択図】 選択図なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路用配線板、例えば、半導体素子収納用パッケージなどの電気絶縁膜に適した導体接着強度に優れた樹脂組成物、および、それを用いた配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器の内部には、LSI(大規模集積回路)とそれを搭載する電子回路の多層配線基板が搭載されている。近年、IT関連技術の革新は目覚しく、電子機器は機能を向上させながらますます小型化軽量化させるため、そうした配線基板上に形成される電気信号線路にはより微細な配線が用いられて高密度化が計られている。
【0003】
このように配線が微細となるほど、配線導体と絶縁層樹脂との接触面積が小さくなるため、それらの間の接着力は弱くなる。一方、接着力が低下すると、基板の表面においては機器の落下などの衝撃によって基板上に搭載したLSIが配線ごと剥れ落ちてしまったり、あるいは、基板内部においては、冷熱衝撃試験中に繰り返される応力に耐えきれずに配線導体と絶縁層樹脂が剥離を起こすといったように、いずれも信頼性上の大きな問題を引き起こす。こうしたことから、導体との接着強度の高い絶縁層用樹脂材料の開発が強く望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされた、導体との接着強度に優れた硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することを目的とするものであり、さらに、硬化性ポリフェニレンエーテルの優れた誘電特性と吸湿性を活かして、高周波用途に適した高密度配線基板等の配線基板を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決するための硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物、および、それを用いた配線板用材料、配線基板を完成するに到った。
すなわち、本願は以下の発明を提供する。
(1)(a)ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、(b)エポキシ樹脂および/またはその変性樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂および/またはその変性樹脂、フェノール樹脂および/またはその変性樹脂、メラミン樹脂および/またはその変性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂および/またはその変性樹脂、シアン酸エステル樹脂および/またはその変性樹脂、イソシアネート樹脂および/またはその変性樹脂類、アリールシクロブテン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ベンゾオキサジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つの架橋性化合物、および(c)ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体に、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、シラノール基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれた少なくとも一種の官能基を少なくとも1個有する原子団が結合している変性ブロック共重合体の水添物を含み、かつ、(a)成分と(b)成分の和100質量部を基準として、(a)成分を90〜20質量部、(b)成分を10〜80質量部、および(c)成分を3〜40質量部を含有する硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
【0006】
(2)(b)成分の架橋性化合物としてエポキシ樹脂および/またはその変性樹脂を含むことを特徴とする上記1記載の硬化性樹脂組成物。
(3)(c)成分の選ばれた官能基が1級および/または2級アミノ基であることを特徴とする上記1記載の硬化性樹脂組成物。
(4)シリカおよび/または難燃剤を含むことを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(5)上記1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物からなる硬化性フィルム。
【0007】
(6)上記5に記載の硬化性フィルムを硬化してなる硬化フィルム。
(7)上記5記載の硬化性フィルムからなる一層以上の絶縁層、および金属よりなる一層以上の導電層から構成される樹脂付き金属箔。
(8)上記7に記載の樹脂付き金属箔を硬化してなる硬化体。
(9)上記1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物および基材からなる硬化性複合材料。
(10)上記9に記載の硬化性複合材料を硬化してなる硬化複合材料。
(11)請求項5に記載の硬化性フィルムおよび/または請求項7に記載の樹脂付き金属箔の各々一層以上を、基板の片面および/または両面に硬化形成してなる配線基板。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を詳細に説明する。
本発明で(a)成分として用いられるポリフェニレンエーテルは、下記の一般式(1)で表される。
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、mは1〜6の整数であり、Jは次の一般式(A)で表される単位から構成されるポリフェニレンエーテル鎖であり
【0011】
【化2】
【0012】
(ここに、R1〜R4は各々独立に低級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、水素原子を示す。)Qはmが1のとき水素原子を表し、mが2以上のときは一分子中に2〜6個のフェノール性水酸基を持ち、フェノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活性な置換基を有する多官能性フェノール化合物の残基を表す。]
一般式(A)におけるR1〜R4の低級アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル基等が挙げられる。ハロゲン原子の例としては臭素、塩素等が挙げられる。一般式(1)のQの代表的な例としては、次の4種の構造式単位で表される化合物群が挙げられる。
【0013】
【化3】
【0014】
(式中、A1、A2は同一または異なる炭素数1〜4の直鎖状アルキル基を表し、Xは脂肪族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換誘導体、酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表し、Yは脂肪族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、芳香族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換誘導体を表し、Zは酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表し、A2と直接結合した2つのフェニル基、A2とX,A2とY,A2とZの結合位置はすべてフェノール性水酸基のオルト位およびパラ位を示し、rは0〜4、sは2〜6の整数を表す。)
上記の具体例としては、下記式で示される基等が挙げられる。
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
上記一般式(1)中のJで表されるポリフェニレンエーテル鎖中には、一般式(A)で表される単位の他、次の下記式で表される単位(B)が含まれていてもよい。
【0018】
【化6】
【0019】
[式中、R5〜R9は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、アリール基、またはハロアルキル基を表し、R10、R11は各々独立に水素原子、無置換またはアリール基もしくはハロゲン原子などにより置換された炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基または無置換またはアリール基もしくはハロゲン原子などにより置換されたアリール基を表し、R10、R11が同時に水素であることはない。]
一般式(B)の単位の例としては、
【0020】
【化7】
【0021】
等が挙げられる。
本発明に用いられる化1に示される一般式(1)のポリフェニレンエーテルの好ましい例としては、2,6−ジメチルフェノールの単独重合で得られるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)のスチレングラフト共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジメチル−3−フェニルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェノールを下記式で示される多官能性フェノール化合物の存在下で重合して得られた多官能ポリフェニレンエーテル樹脂、例えば、特開昭63−301222号公報、特開平1−297428号公報に開示されているような一般式(A)及び(B)の単位を含む共重合体等が挙げられる。
【0022】
【化8】
【0023】
(式中、mは2〜6の整数を表す。Qは一分子中に2〜6個のフェノール性水酸基を持ち、フェノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活性な置換基を有する多官能性フェノール化合物の残基を表す前記と同様に多官能フェノール化合物の残基を表す。)
以上述べたポリフェニレンエーテルの分子量については、30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/Cが0.1〜1.0の範囲にあるものが良好に使用できる。
【0024】
本発明で用いられる不飽和カルボン酸および酸無水物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。特に無水マレイン酸、フマル酸が最も良好に使用できる。
反応は特に限定されることはなく、例えば、ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物を100〜390℃の温度範囲で加熱することによって行われる。この際ラジカル開始剤を共存させてもよい。具体的な方法としては、溶液法、溶融混合法、ポリフェニレンエーテルの固体に不飽和カルボン酸または酸無水物を気相で反応させる方法などが使用できる。
【0025】
また、このようなポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物の反応によってできた生成物を、国際公開WO 01/62828号明細書に記載されているような方法で低分子量化させたものも良好に用いることができる。不飽和カルボン酸または酸無水物の割合は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して好ましくは0.01〜5.0質量部である。
【0026】
本発明における(b)成分は、エポキシ樹脂および/またはその変性樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂および/またはその変性樹脂、フェノール樹脂および/またはその変性樹脂、メラミン樹脂および/またはその変性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂および/またはその変性樹脂、シアン酸エステル樹脂および/またはその変性樹脂、イソシアネート樹脂および/またはその変性樹脂類、環状ポリオレフィン樹脂、ベンゾオキサジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つの架橋性化合物である。
【0027】
この中で電子回路基板としてはエポキシ樹脂およびその変性樹脂を含むものが回路基板製造工程上、好ましい。(b)成分の配合量は、(a)成分との和を100質量部として、10〜80質量部を用いることができ、さらに好ましくは25〜75質量部である。10質量部より少ないと樹脂組成物の硬化が十分でなく、また、80質量部より多いと、電気特性上好ましくない。
【0028】
次に、本発明の(c)成分について以下詳細に述べる。(c)成分の変性ブロック共重合体水添物のビニル芳香族炭化水素含有量は、好ましくは剛性の点から5wt%以上、耐衝撃性の改良効果の点から95wt%以下であり、より好ましくは10〜90wt%、更に好ましくは15〜85wt%の範囲で使用できる。(c)成分の変性ブロック共重合体水添物のビニル芳香族炭化水素含有量が60wt%を越える、好ましくは65wt%以上の場合は樹脂的な特性を有し、60wt%以下、好ましくは55wt%以下の場合は弾性的な特性を有す。
本発明においては、ビニル芳香族炭化水素含有量が5wt%以上、60wt%以下の弾性的な特性を有す変性ブロック共重合体の水添物が特に好ましい。
【0029】
本発明において、(c)成分の変性ブロック共重合体水添物は、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体に官能基含有変性剤を付加反応させてなり、該ブロック共重合体に(a)成分と反応し得る官能基を少なくとも1個有する原子団が結合している、下記一般式で表されるような変性ブロック共重合体の水添物である。
(A−B)n−X、 A−(B−A)n−X、
B−(A−B)n−X、 X−(A−B)n、
X−(A−B)n−X、 X−A−(B−A)n−X、
X−B−(A−B)n−X、 [(B−A)n]m−X、
[(A−B)n]m−X、 [(B−A)n−B]m−X、
[(A−B)n−A]m−X
【0030】
(上式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体とする重合体である。重合体ブロックAと重合体ブロックBとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。又、nは1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。mは2以上の整数、好ましくは2〜11の整数である。
Xは、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、シラノール基、アルコキシシリル基の少なくとも一つから選ばれる官能基を有する原子団が結合している変性剤の残基を示す。中でも、一級および/または二級アミノ基が好ましい。変性剤を付加する反応によって、Xは重合体ブロックAおよび/または重合体ブロックBの側鎖に結合していても良い。また、Xに結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていても良い。)
【0031】
上記において、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックAはビニル芳香族炭化水素を好ましくは50wt%以上、より好ましくは70wt%以上含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロックおよび/またはビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックを示し、共役ジエンを主体とする重合体ブロックBは共役ジエンを好ましくは50wt%を超える量で、より好ましくは60wt%以上含有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体ブロックおよび/または共役ジエン単独重合体ブロックを示す。
【0032】
共重合体ブロック中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、又テーパー状に分布していてもよい。また、該共重合体部分には、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分および/またはテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。本発明で使用するブロック共重合体は、上記一般式で表されるブロック共重合体の任意の混合物でもよい。
【0033】
また、上記一般式で表されるブロック共重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、後述する極性化合物等の使用により任意に変えることができ、1,2−ビニル結合量は好ましくは5〜90%、より好ましくは10〜80%、さらに好ましくは25〜75%である。
【0034】
上記の共役ジエンとは一対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらは一つのブロック共重合体の製造において一種のみならず二種以上を使用してもよい。
【0035】
また、ビニル芳香族重合体としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、などがあるが、特に一般的なものとしてはスチレンが挙げられる。これらは一つのブロック共重合体の製造において一種のみならず二種以上を使用してもよい。
Xが結合しているブロック共重合体を得る方法は特に制限されるものではないが、例としては、ブロック共重合体のリビング末端との付加反応により該官能基を公知の方法で保護した原子団が結合している変性剤を付加反応させる方法や、ブロック共重合体に有機アルカリ金属化合物を反応させ、ブロック共重合体に有機アルカリ金属が付加した重合体に上記の変性剤を付加反応させる方法、などが挙げられる。
【0036】
ブロック共重合体のリビング末端に官能基含有変性剤を付加反応させる場合、ブロック共重合体のリビング末端は重合体ブロックAでも重合体ブロックBのいずれでも良いが、機械強度と耐衝撃性のバランスに優れた組成物を得るためには重合体ブロックAの末端に結合していることが好ましい。
また、ブロック共重合体のリビング末端に変性剤を反応させる際に、一部変性されていないブロック共重合体が変性ブロック共重合体に混在しても良い。変性ブロック共重合体に混在する未変性のブロック共重合体の割合は、好ましくは70wt%以下、より好ましくは60wt%以下、更に好ましくは50wt%以下である。
【0037】
本発明において、変性ブロック共重合体の水添物は、上記で得られたブロック共重合体を水素添加することにより得られる。水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。
【0038】
本発明に使用される変性ブロック共重合体の水添物において、共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合のトータル水素添加率は目的に合わせて任意に選択でき、特に限定されない。しかし、水素添加前の共役ジエンにもとづくビニル結合の水素添加率が、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であることが、硬化後の熱安定性に優れた該樹脂組成物を得る上で推奨される。ここで、ビニル結合の水素添加率とは、ブロック共重合体中に組み込まれている水素添加前の共役ジエンにもとづくビニル結合のうち、水素添加されたビニル結合の割合をいう。
【0039】
なお、ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水添率については特に制限はないが、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下である。水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により知ることができる。
【0040】
本発明で使用する変性ブロック共重合体の水添物の重量平均分子量は、本発明の硬化性樹脂組成物の機械的特性の点から3万以上、(a)成分との相溶性や、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が溶融成型で用いられるときの流動特性などの加工性の観点から40万以下であることが好ましく、より好ましくは4万〜20万、さらに好ましくは5万〜10万である。重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めることができる。
【0041】
本発明で用いられる(c)成分の変性ブロック共重合体の水添物の配合量は、(a)成分と(b)成分の和100質量部を基準とし、(a)成分98〜30質量部(b)成分2〜70質量部として、3〜40質量部の範囲であり、より好ましくは5〜30質量部である。配合量が3質量部より少ないと導体層との密着強度が十分でなく、また、40質量部より多いと、難燃性や熱膨張係数が悪くなって好ましくない。
【0042】
次に、本発明において用いられるシリカについて説明する。シリカとは、化学的には二酸化ケイ素(SiO2)である。以下一般に用いられている通称であるシリカを用いる。本発明においてシリカは絶縁層および配線板の熱膨張係数の低減、強度向上、ならびに絶縁層に良好な熱伝導性を付与する目的で用いる。シリカは、気相法や破砕法やゾル―ゲル法などによって製造されたものが入手可能であり、それにより一次粒子の形状が異なるが、上記の目的を達成するものであれば、その製造方法、および球状か破砕型であるかといった形状には特に限定されない。また、異なる形状のものを混合しても良い。
【0043】
ここで一次粒子とは、粒子が凝集していない状態での粒子個々を指す。シリカ一次粒子の最大径で定義される粒径は、本発明の樹脂組成物ワニスを調整する際に、ワニス中でのシリカの分散や、ワニスの粘度や、該組成物の溶融成型時の流動性等を考慮して適宜選ばれる。
また、粒径の上限については、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が配線基板の絶縁層として用いられたときに、その膜厚以上であったり、その絶縁層の両側および/または内部に形成される導体配線の間隔より大きくなければ、特に限定されない。
【0044】
本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、必要に応じてシリカと樹脂との界面における接着性を改善する目的であらかじめカップリング剤処理したシリカを用いてもよい。カップリング剤としてはシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤など、一般のものが使用できる。シリカの配合量は、特に限定されないが、(a)成分と(b)成分の和100質量部を基準として、熱膨張係数低減や強度向上の観点から10質量部以上、組成物が溶融成型で用いられる時の流動特性の観点から400質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部〜200質量部である。
【0045】
本発明に用いられる難燃剤の種類に付いては特に限定されないが、塩素系、臭素系、リン系、窒素系、シリコーン系などの難燃剤を本発明の特性を損なわない範囲で用いることができる。これらの難燃剤の代表的な例としては、特に限定されないが、テトラブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、トリブロモフェニルマレイミド、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、トリフェニルフォスフェート、トリス(トリブロモフェニル)フォスフェート、トリス(ノニルフェニル)フォスフェート、シアヌル酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、ホスファゼン、9,10―ジヒドロ―9―オキサ―10―ホスファフェナントレン―10―オキシド誘導体、Siパウダーなどが挙げられる。また難燃性の一層の向上を図る目的で難燃助剤を併用することも可能である。
【0046】
また、架橋反応を促進する目的で本発明の樹脂組成物に架橋性化合物に応じた硬化剤や硬化促進剤を含有させて使用してもよい。例えば、架橋性化合物としてエポキシ樹脂を用いる場合には、通常のエポキシ樹脂の硬化に使用されるメタフェニレンジアミンや4’,4’−メチレンジアニリンなどのアミン系化合物、2―エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール系化合物、ポリアミド系化合物、ジシアンジアミドなどのアミドアミン系化合物、トリメリット酸無水物やベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などの酸無水物系化合物、トリフルオロボロン・モノメチルアミンなどのルイス酸化合物、などを用いることができる。これらは、それぞれ一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
【0047】
この他、ビスマレイミドトリアジン樹脂の適した硬化剤としてはポリアミン類が、シアン酸エステル樹脂に適した触媒としては、鉱酸、ルイス酸、炭酸ナトリウムあるいは塩化リチウムなどの塩類やトリブチルホスフィンなどのリン酸エステル類などが、またイソシアネート樹脂に適した触媒、硬化剤としては、アミン類、有機金属、多価アルコールなどがそれぞれ挙げられる。
さらに、本発明に用いられる硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、その用途に応じて所望の性能を付与させる目的で本来の性質を損なわない範囲の量の充填剤や添加剤や熱可塑性樹脂を配合させることもできる。充填剤は繊維状であっても粉末状であってもよく、具体的な例としては、アルミナ、タルク、雲母、ガラスビーズ、ガラス中空球等を挙げることができる。添加剤の具体的な例としては、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤等が挙げられる。
【0048】
次に本発明で用いられる硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物フィルムについて説明する。硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物フィルムを作成する方法としては、どのような手段によってもよいが、例えば、樹脂を溶剤に溶解もしくは分散させたワニスを基材に塗布、乾燥させる方法、溶融成膜法等が挙げられる。フィルムの厚みは、好ましくは1μm〜500μm、より好ましくは3μmから100μmである。
【0049】
また、乾燥工程の際に一部樹脂を硬化させて積層工程時の樹脂のフロー特性を調節することもできる。ワニスを塗布する基材としては、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、シリコーン系の剥離剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムなどが挙げられる。
【0050】
次に本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂付き金属箔について説明する。本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂付き金属箔は硬化性フィルムで形成される絶縁層少なくとも1層と金属よりなる導電層少なくとも1層より構成されるものである。ここで用いられる金属導電層としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔が挙げられ、また、該硬化性フィルムに蒸着、スパッタ、無電解メッキなどの方法で金属導電層を形成する方法などが挙げられる。その厚みは特に限定されないが、扱いやすさの点から500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、105μm以下が最も好ましい。
【0051】
銅箔やアルミニウム箔などの金属箔を使用する場合は、金属箔の硬化樹脂の膜が形成される側の面に該樹脂との密着性を強めるため、粗面化および/またはシランカップリング剤やイミダゾール類などによるカップリング処理されていてもよい。こうした、金属箔を用いて本発明の硬化性樹脂付き金属箔を作成する方法としては、特に限定されるものではないが、本発明の樹脂組成物を溶剤に均一に溶解させてワニスにした後、金属箔上に塗布して成膜させる方法、あるいは本発明の硬化性フィルムと金属箔とを溶融圧着させる方法、があり、溶剤に均一に溶解させてワニスにした後、金属箔上に塗布成膜させる方法が特に好ましい。
【0052】
次に、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物および基材からなる硬化性複合材料とその硬化体について説明する。本発明の硬化性複合材料は、硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物と基材とから構成される。基材は、該樹脂組成物の硬化後の寸法を安定させたり強度を増したり熱膨張整数を低減させる目的で用いる。
【0053】
本発明に用いられる基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェッシングマットなどの各種ガラス布またはガラス不織布; 金属繊維布およびその他合成もしくは天然の無機繊維布;ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、などの合成繊維から得られる織布または不織布;綿布、麻布、フェルトなどの天然繊維布;カーボン繊維布;クラフト紙、コットン紙、紙−ガラス混織紙などの天然セルロース系布;以上の各繊維からなる短繊維、チョップドストランド;芳香族ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、芳香族ポリアミドフィルムなどのフィルムなどが、それぞれ単独であるいは2種以上併せて用いられる。
【0054】
基材がフィルムの形態をとっていない場合、本発明の硬化性複合材料における基材の占める割合は、硬化性複合材料100質量部を基準として、複合材料の硬化後の寸法安定性や強度の観点から5質量部以上が好ましく、複合材料の誘電特性や難燃性の観点から90質量部以下が好ましい。より好ましくは10〜80質量部、特に好ましくは20〜70質量部の範囲である。
基材がフィルムの形態をとっている場合は、硬化性複合材料の膜厚を基準として、基材の膜厚は、複合材料の強度の観点から3%以上が好ましく、誘電特性の観点で90%以下が好ましい。より好ましくは5〜80%である。
【0055】
本発明の硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等一般のものが使用できる。また、プラズマ処理やオゾン処理やコロナ処理といった方法で基材表面を処理する方法を用いることもできる。
【0056】
次に、本発明の硬化配線基板について説明する。本発明の硬化配線基板は、本発明の硬化性フィルムおよび/または硬化性樹脂付き金属箔の少なくとも一層を、基板の片面および/または両面に硬化形成してなる硬化配線基板である。ここで基板とは、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の硬化時に変形や分解といった問題がない限りは、その種類は特に限定されない。
【0057】
例えば、本発明にある硬化性フィルムを絶縁層として1層以上用いて形成した硬化配線体や、本発明にある樹脂付き金属箔を1層以上用いて形成した硬化配線体や、本発明にある硬化複合材料の硬化体;紙エポキシ積層板、紙フェノール積層板、紙ポリエステル積層板といった紙基材積層板;ガラス布エポキシ積層板、ガラス布ポリイミド積層板、ガラス布BT積層板、ガラス布テフロン(登録商標)積層板といったガラス基材積層板;紙・ガラス・エポキシ積層板、ガラス不職布エポキシ積層板、合成繊維・ガラス布・エポキシ積層板といったコンポジット積層板;ポリスルフォン系樹脂基板、ポリエーテルイミド系樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリエーテルエーテルケトン樹脂基板といった耐熱熱可塑性基板;ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板;アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板、LTCC(低温焼結)基板といったセラミック基板;金属ベース基板、メタルコア基板、ホーロー基板といった金属系基板;ガラス基板、シリコン基板などの基板;芳香族ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルムなどのフィルム、など、何れも使用することができる。それらの基板は同種の基板および/または他種の基板と積層されていてもよい。
【0058】
以上において、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化方法としては任意の方法を用いることができ、光、熱、電子線、の何れも使用できる。加熱により硬化成形する場合は、温度が80℃〜300℃、圧力が0.01〜100MPa、時間が1分間〜10時間の範囲が好ましく、温度が150℃〜250℃、圧力が0.1〜50MPa、時間が1分間〜5時間の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0059】
【実施例】
以下、本発明を一層明確にするために実施例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例で使用したポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物は、次ぎのように合成したものを用いた。
【0060】
<合成例1:ポリフェニレンエーテルポリマーA>
30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/cが0.44のポリ(2,6―ジメチル―1,4―フェニレンエーテル)100質量部と、無水マレイン酸1.5質量部、および2,5―ジメチル―2,5―ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製 パーヘキサ25B)1.0質量部を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件で2軸押し出し機により押出した。ここの反応性生物をポリフェニレンエーテルAとする。
【0061】
<合成例2:ポリフェニレンエーテルポリマーB>
30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/cが0.44のポリ(2,6―ジメチル―1,4―フェニレンエーテル)100質量部と、無水マレイン酸1.5質量部、および2,5―ジメチル―2,5―ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製 パーヘキサ25B)1.0質量部を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件で2軸押し出し機により押出した。この変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対し、国際公開WO 01/62828号明細書に開示された公知の方法に従い、溶媒としてトルエンを用いて80℃で3時間攪拌しながら再分配反応を行った。この変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対し、国際公開WO 01/62828号明細書に開示された公知の方法に従って、フェノール性化合物として2,6−キシレノール1質量部、反応開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート3質量部、および溶剤としてトルエンを550質量部で配合し、80℃で3時間攪拌しながら再分配反応を行った。得られた反応生成物を使用したトルエンと同容積のメタノールで再析出させて、この三倍量のメタノールで洗浄、乾燥を行い、低分子量ポリフェニレンエーテルを得た。この変性ポリフェニレンエーテルをBとする。
また、実施例で使用した変性ブロック共重合体の水添物は、次のように合成した。
【0062】
<合成例3:変性ブロック共重合体水添物I>
攪拌機及びジャケット付きのオ−トクレ−ブを洗浄、乾燥、窒素置換し、予め精製したスチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20wt%)を投入した。次いでn−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンを添加し、70℃で1時間重合した後、予め精製したブタジエン70質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20wt%)を加えて70℃で1時間重合し、さらにスチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて70℃で1時間重合した。その後、変性剤として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを重合に使用したn−ブチルリチウムに対して当モル反応させた。得られたブロック共重合体は、スチレン含量が30wt%、ポリブタジエン部のビニル結合量が42%であった。
【0063】
上記で得られたブロック共重合体に、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルとトリメチルアルミニウム200ミリモルから調整された水添触媒をTiとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を1時間行った。その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加した。ブロック共重合体I中に混在する未変性のブロック共重合体の割合は30%であった。得られたポリマーの特性を表1に示す。
【0064】
<合成例4:変性ブロック共重合体水添物II、III>
変性ブロック共重合体水添物Iの合成で用いた変性剤と同じ変性剤を用い、合成例3の条件を変更して、分子量と水添率と未変性ブロック共重合体の割合が異なるポリマーII、IIIを合成した。得られたポリマーの特性を表1に示す。
表1中に示した変性ブロック共重合体水添物の各特性の測定は、次のようにして行った。
(1)スチレン含有量
紫外線分光光度計(日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。
(2)ビニル結合量及び水添率
核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX−400)を用いて測定した。
【0065】
(3)分子量
GPC(装置:島津製作所社製LC10、カラム:島津製作所社製Shimpac GPC805+GPC804+GPC804+GPC803)で測定した。溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。
【0066】
(4)未変性ブロック共重合体の割合(未変性率)
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに変性した成分が吸着する特性を応用し、変性ブロック共重合体と低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液について、上記(3)で測定したクロマトグラム中の標準ポリスチレンに対する変性ブロック共重合体の割合と、シリカ系カラムGPC〔装置はデュポン社製:Zorbax〕で測定したクロマトグラム中の標準ポリスチレンに対する変性ブロック共重合体の割合を比較し、それらの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定した。未変性ブロック共重合体の割合は、シリカカラムへ吸着しなかったものの割合である。
【0067】
【表1】
【0068】
実施例および比較例で用いた硬化性ポリフェニレンエーテル系組成物の、他の成分は次ぎのようなものを用いた。
【0069】
<エポキシ樹脂>
商品名:AER331(エポキシ当量189)(旭化成エポキシ(株)社製)
商品名:AER711(エポキシ当量475)(旭化成エポキシ(株)社製)
商品名:AER735(エポキシ当量350)(旭化成エポキシ(株)社製)
商品名:ECN273(エポキシ当量217)(旭化成エポキシ(株)社製)
【0070】
<エポキシ硬化剤>
2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業(株)社製)
2−メチルイミダゾール(和光純薬工業(株)社製)
4,4’−ジアミノジフェニルメタン(和光純薬工業(株)社製)
<ベンゾオキサジン>
商品名:B−a(6,6’−(1−メチルエチリデン)ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−2H−1,3−ベンゾオキサジン)(四国化成(株)社製)
<シリカ>
商品名:アドマファイン(アドマテックス社製)
<難燃剤>
商品名:melapur200(チバガイギースペシャルティケミカルズ社製)
【0071】
<未変性水添スチレンブロック/ブタジエンブロック共重合体>
商品名:未変性水添スチレン系エラストマータフテック H1041(旭化成株式会社製)
商品名:未変性水添スチレン系エラストマータフテック H1043(旭化成株式会社製)
商品名:未変性水添スチレン系エラストマータフテック H1031(旭化成株式会社製)
<ゴム変性ポリスチレン>
商品名:ハイインパクトポリスチレン H8117(旭化成株式会社製)
【0072】
[実施例1〜5]
表2に示した組成物を、トルエンまたはトリクロロエチレンに溶解または分散し、テフロン(登録商標)板上に流して室温で成膜させた後、膜を剥離して厚さが約100μmの硬化性樹脂組成物フィルムを得た。いずれの組成物についても成膜性は良好であり、表面のべたつき等は認められなかった。得られたフィルムを60℃のエアーオーブンで30分〜1時間乾燥した。このフィルムを日立化成(株)社製MCLE67基板(0.6mmt)の片側に樹脂面が下になるように重ね、真空プレス機を用いて面圧が2MPaの条件下で、実施例4の場合には240℃で1時間、その他の実施例の場合には170℃で1.5時間の条件で硬化後、樹脂表面を、モリエンジニアリング(株)社製MPC−600型RIEを用いて、酸素ガス下表面処理を行った。その後、無電解銅めっきにより銅を約1μmの厚みで付着させ、電解めっきを行い銅厚を25μmとした。こうして得られたサンプルを用い、JPCA−BU01に定められた90°銅箔ピール試験法に準拠して銅の接着力を測定した。
【0073】
[比較例1〜5]
表2に示した組成で、変性されていないブロック共重合体水添物やゴム変性ポリスチレンを用いること以外は、実施例1〜5と同様の方法で組成物のフィルムを得た。なお、比較例4の真空プレス条件は実施例4と同じ条件を用いた。これらを実施例1〜5と同じ方法で銅接着強度を測定したところ、本発明の変性ブロック共重合体水添物を用いた場合より低い接着強度しか示さなかった。
【0074】
[実施例6〜7]
表2に示した組成物を、トルエンまたはトリクロロエチレンに溶解または分散させた。得られた溶液または分散液に目付107g/m2のガラスクロス を浸漬して含浸を行い、エアーオーブン中で乾燥させ硬化性複合材料を得た。その後、硬化後の厚さが約0.8mmとなるように該硬化性複合材料を6枚重ね合わせ、真空プレスを用いて、面圧4MPa、180℃、1.5時間の条件で成形・硬化させた。これらの試験片の樹脂表面を、モリエンジニアリング(株)社製MPC−600型RIEを用いて、酸素ガス使用下で表面処理を行った。その後、無電解銅めっきにより銅を約1μmの厚みで付着させ、電解めっきを行い銅厚を25μmとした。こうして得られたサンプルを用い、JPCA−BU01に定められた90°銅箔ピール試験法に準拠して銅の接着力を測定した。
【0075】
[比較例6〜7]
未変性のブロック共重合体水添物やゴム変性ポリスチレンを用いること以外は実施例6〜7と同じ樹脂組成物を、実施例6〜7と同様の方法でガラスクロスに含浸した硬化性複合材料を得た。これらを実施例6〜7と同様の方法で銅接着強度を測定した。
何れの場合でも、実施例6〜7に示す本発明の変性ブロック共重合体水添物を用いた場合より低い銅接着強度しか示さなかった。
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、導体との接着強度に優れた硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が提供され、さらに、その硬化性樹脂組成物を用いることにより、優れた誘電特性と吸湿性を有する、高周波用途に適した高密度配線基板等の配線基板が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路用配線板、例えば、半導体素子収納用パッケージなどの電気絶縁膜に適した導体接着強度に優れた樹脂組成物、および、それを用いた配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器の内部には、LSI(大規模集積回路)とそれを搭載する電子回路の多層配線基板が搭載されている。近年、IT関連技術の革新は目覚しく、電子機器は機能を向上させながらますます小型化軽量化させるため、そうした配線基板上に形成される電気信号線路にはより微細な配線が用いられて高密度化が計られている。
【0003】
このように配線が微細となるほど、配線導体と絶縁層樹脂との接触面積が小さくなるため、それらの間の接着力は弱くなる。一方、接着力が低下すると、基板の表面においては機器の落下などの衝撃によって基板上に搭載したLSIが配線ごと剥れ落ちてしまったり、あるいは、基板内部においては、冷熱衝撃試験中に繰り返される応力に耐えきれずに配線導体と絶縁層樹脂が剥離を起こすといったように、いずれも信頼性上の大きな問題を引き起こす。こうしたことから、導体との接着強度の高い絶縁層用樹脂材料の開発が強く望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされた、導体との接着強度に優れた硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することを目的とするものであり、さらに、硬化性ポリフェニレンエーテルの優れた誘電特性と吸湿性を活かして、高周波用途に適した高密度配線基板等の配線基板を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決するための硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物、および、それを用いた配線板用材料、配線基板を完成するに到った。
すなわち、本願は以下の発明を提供する。
(1)(a)ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、(b)エポキシ樹脂および/またはその変性樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂および/またはその変性樹脂、フェノール樹脂および/またはその変性樹脂、メラミン樹脂および/またはその変性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂および/またはその変性樹脂、シアン酸エステル樹脂および/またはその変性樹脂、イソシアネート樹脂および/またはその変性樹脂類、アリールシクロブテン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ベンゾオキサジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つの架橋性化合物、および(c)ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体に、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、シラノール基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれた少なくとも一種の官能基を少なくとも1個有する原子団が結合している変性ブロック共重合体の水添物を含み、かつ、(a)成分と(b)成分の和100質量部を基準として、(a)成分を90〜20質量部、(b)成分を10〜80質量部、および(c)成分を3〜40質量部を含有する硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
【0006】
(2)(b)成分の架橋性化合物としてエポキシ樹脂および/またはその変性樹脂を含むことを特徴とする上記1記載の硬化性樹脂組成物。
(3)(c)成分の選ばれた官能基が1級および/または2級アミノ基であることを特徴とする上記1記載の硬化性樹脂組成物。
(4)シリカおよび/または難燃剤を含むことを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(5)上記1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物からなる硬化性フィルム。
【0007】
(6)上記5に記載の硬化性フィルムを硬化してなる硬化フィルム。
(7)上記5記載の硬化性フィルムからなる一層以上の絶縁層、および金属よりなる一層以上の導電層から構成される樹脂付き金属箔。
(8)上記7に記載の樹脂付き金属箔を硬化してなる硬化体。
(9)上記1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物および基材からなる硬化性複合材料。
(10)上記9に記載の硬化性複合材料を硬化してなる硬化複合材料。
(11)請求項5に記載の硬化性フィルムおよび/または請求項7に記載の樹脂付き金属箔の各々一層以上を、基板の片面および/または両面に硬化形成してなる配線基板。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を詳細に説明する。
本発明で(a)成分として用いられるポリフェニレンエーテルは、下記の一般式(1)で表される。
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、mは1〜6の整数であり、Jは次の一般式(A)で表される単位から構成されるポリフェニレンエーテル鎖であり
【0011】
【化2】
【0012】
(ここに、R1〜R4は各々独立に低級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、水素原子を示す。)Qはmが1のとき水素原子を表し、mが2以上のときは一分子中に2〜6個のフェノール性水酸基を持ち、フェノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活性な置換基を有する多官能性フェノール化合物の残基を表す。]
一般式(A)におけるR1〜R4の低級アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル基等が挙げられる。ハロゲン原子の例としては臭素、塩素等が挙げられる。一般式(1)のQの代表的な例としては、次の4種の構造式単位で表される化合物群が挙げられる。
【0013】
【化3】
【0014】
(式中、A1、A2は同一または異なる炭素数1〜4の直鎖状アルキル基を表し、Xは脂肪族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換誘導体、酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表し、Yは脂肪族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、芳香族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換誘導体を表し、Zは酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表し、A2と直接結合した2つのフェニル基、A2とX,A2とY,A2とZの結合位置はすべてフェノール性水酸基のオルト位およびパラ位を示し、rは0〜4、sは2〜6の整数を表す。)
上記の具体例としては、下記式で示される基等が挙げられる。
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
上記一般式(1)中のJで表されるポリフェニレンエーテル鎖中には、一般式(A)で表される単位の他、次の下記式で表される単位(B)が含まれていてもよい。
【0018】
【化6】
【0019】
[式中、R5〜R9は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、アリール基、またはハロアルキル基を表し、R10、R11は各々独立に水素原子、無置換またはアリール基もしくはハロゲン原子などにより置換された炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基または無置換またはアリール基もしくはハロゲン原子などにより置換されたアリール基を表し、R10、R11が同時に水素であることはない。]
一般式(B)の単位の例としては、
【0020】
【化7】
【0021】
等が挙げられる。
本発明に用いられる化1に示される一般式(1)のポリフェニレンエーテルの好ましい例としては、2,6−ジメチルフェノールの単独重合で得られるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)のスチレングラフト共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジメチル−3−フェニルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェノールを下記式で示される多官能性フェノール化合物の存在下で重合して得られた多官能ポリフェニレンエーテル樹脂、例えば、特開昭63−301222号公報、特開平1−297428号公報に開示されているような一般式(A)及び(B)の単位を含む共重合体等が挙げられる。
【0022】
【化8】
【0023】
(式中、mは2〜6の整数を表す。Qは一分子中に2〜6個のフェノール性水酸基を持ち、フェノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活性な置換基を有する多官能性フェノール化合物の残基を表す前記と同様に多官能フェノール化合物の残基を表す。)
以上述べたポリフェニレンエーテルの分子量については、30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/Cが0.1〜1.0の範囲にあるものが良好に使用できる。
【0024】
本発明で用いられる不飽和カルボン酸および酸無水物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。特に無水マレイン酸、フマル酸が最も良好に使用できる。
反応は特に限定されることはなく、例えば、ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物を100〜390℃の温度範囲で加熱することによって行われる。この際ラジカル開始剤を共存させてもよい。具体的な方法としては、溶液法、溶融混合法、ポリフェニレンエーテルの固体に不飽和カルボン酸または酸無水物を気相で反応させる方法などが使用できる。
【0025】
また、このようなポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物の反応によってできた生成物を、国際公開WO 01/62828号明細書に記載されているような方法で低分子量化させたものも良好に用いることができる。不飽和カルボン酸または酸無水物の割合は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して好ましくは0.01〜5.0質量部である。
【0026】
本発明における(b)成分は、エポキシ樹脂および/またはその変性樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂および/またはその変性樹脂、フェノール樹脂および/またはその変性樹脂、メラミン樹脂および/またはその変性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂および/またはその変性樹脂、シアン酸エステル樹脂および/またはその変性樹脂、イソシアネート樹脂および/またはその変性樹脂類、環状ポリオレフィン樹脂、ベンゾオキサジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つの架橋性化合物である。
【0027】
この中で電子回路基板としてはエポキシ樹脂およびその変性樹脂を含むものが回路基板製造工程上、好ましい。(b)成分の配合量は、(a)成分との和を100質量部として、10〜80質量部を用いることができ、さらに好ましくは25〜75質量部である。10質量部より少ないと樹脂組成物の硬化が十分でなく、また、80質量部より多いと、電気特性上好ましくない。
【0028】
次に、本発明の(c)成分について以下詳細に述べる。(c)成分の変性ブロック共重合体水添物のビニル芳香族炭化水素含有量は、好ましくは剛性の点から5wt%以上、耐衝撃性の改良効果の点から95wt%以下であり、より好ましくは10〜90wt%、更に好ましくは15〜85wt%の範囲で使用できる。(c)成分の変性ブロック共重合体水添物のビニル芳香族炭化水素含有量が60wt%を越える、好ましくは65wt%以上の場合は樹脂的な特性を有し、60wt%以下、好ましくは55wt%以下の場合は弾性的な特性を有す。
本発明においては、ビニル芳香族炭化水素含有量が5wt%以上、60wt%以下の弾性的な特性を有す変性ブロック共重合体の水添物が特に好ましい。
【0029】
本発明において、(c)成分の変性ブロック共重合体水添物は、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体に官能基含有変性剤を付加反応させてなり、該ブロック共重合体に(a)成分と反応し得る官能基を少なくとも1個有する原子団が結合している、下記一般式で表されるような変性ブロック共重合体の水添物である。
(A−B)n−X、 A−(B−A)n−X、
B−(A−B)n−X、 X−(A−B)n、
X−(A−B)n−X、 X−A−(B−A)n−X、
X−B−(A−B)n−X、 [(B−A)n]m−X、
[(A−B)n]m−X、 [(B−A)n−B]m−X、
[(A−B)n−A]m−X
【0030】
(上式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体とする重合体である。重合体ブロックAと重合体ブロックBとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。又、nは1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。mは2以上の整数、好ましくは2〜11の整数である。
Xは、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、シラノール基、アルコキシシリル基の少なくとも一つから選ばれる官能基を有する原子団が結合している変性剤の残基を示す。中でも、一級および/または二級アミノ基が好ましい。変性剤を付加する反応によって、Xは重合体ブロックAおよび/または重合体ブロックBの側鎖に結合していても良い。また、Xに結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていても良い。)
【0031】
上記において、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックAはビニル芳香族炭化水素を好ましくは50wt%以上、より好ましくは70wt%以上含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロックおよび/またはビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックを示し、共役ジエンを主体とする重合体ブロックBは共役ジエンを好ましくは50wt%を超える量で、より好ましくは60wt%以上含有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体ブロックおよび/または共役ジエン単独重合体ブロックを示す。
【0032】
共重合体ブロック中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、又テーパー状に分布していてもよい。また、該共重合体部分には、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分および/またはテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。本発明で使用するブロック共重合体は、上記一般式で表されるブロック共重合体の任意の混合物でもよい。
【0033】
また、上記一般式で表されるブロック共重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、後述する極性化合物等の使用により任意に変えることができ、1,2−ビニル結合量は好ましくは5〜90%、より好ましくは10〜80%、さらに好ましくは25〜75%である。
【0034】
上記の共役ジエンとは一対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらは一つのブロック共重合体の製造において一種のみならず二種以上を使用してもよい。
【0035】
また、ビニル芳香族重合体としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、などがあるが、特に一般的なものとしてはスチレンが挙げられる。これらは一つのブロック共重合体の製造において一種のみならず二種以上を使用してもよい。
Xが結合しているブロック共重合体を得る方法は特に制限されるものではないが、例としては、ブロック共重合体のリビング末端との付加反応により該官能基を公知の方法で保護した原子団が結合している変性剤を付加反応させる方法や、ブロック共重合体に有機アルカリ金属化合物を反応させ、ブロック共重合体に有機アルカリ金属が付加した重合体に上記の変性剤を付加反応させる方法、などが挙げられる。
【0036】
ブロック共重合体のリビング末端に官能基含有変性剤を付加反応させる場合、ブロック共重合体のリビング末端は重合体ブロックAでも重合体ブロックBのいずれでも良いが、機械強度と耐衝撃性のバランスに優れた組成物を得るためには重合体ブロックAの末端に結合していることが好ましい。
また、ブロック共重合体のリビング末端に変性剤を反応させる際に、一部変性されていないブロック共重合体が変性ブロック共重合体に混在しても良い。変性ブロック共重合体に混在する未変性のブロック共重合体の割合は、好ましくは70wt%以下、より好ましくは60wt%以下、更に好ましくは50wt%以下である。
【0037】
本発明において、変性ブロック共重合体の水添物は、上記で得られたブロック共重合体を水素添加することにより得られる。水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。
【0038】
本発明に使用される変性ブロック共重合体の水添物において、共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合のトータル水素添加率は目的に合わせて任意に選択でき、特に限定されない。しかし、水素添加前の共役ジエンにもとづくビニル結合の水素添加率が、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であることが、硬化後の熱安定性に優れた該樹脂組成物を得る上で推奨される。ここで、ビニル結合の水素添加率とは、ブロック共重合体中に組み込まれている水素添加前の共役ジエンにもとづくビニル結合のうち、水素添加されたビニル結合の割合をいう。
【0039】
なお、ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水添率については特に制限はないが、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下である。水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により知ることができる。
【0040】
本発明で使用する変性ブロック共重合体の水添物の重量平均分子量は、本発明の硬化性樹脂組成物の機械的特性の点から3万以上、(a)成分との相溶性や、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が溶融成型で用いられるときの流動特性などの加工性の観点から40万以下であることが好ましく、より好ましくは4万〜20万、さらに好ましくは5万〜10万である。重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めることができる。
【0041】
本発明で用いられる(c)成分の変性ブロック共重合体の水添物の配合量は、(a)成分と(b)成分の和100質量部を基準とし、(a)成分98〜30質量部(b)成分2〜70質量部として、3〜40質量部の範囲であり、より好ましくは5〜30質量部である。配合量が3質量部より少ないと導体層との密着強度が十分でなく、また、40質量部より多いと、難燃性や熱膨張係数が悪くなって好ましくない。
【0042】
次に、本発明において用いられるシリカについて説明する。シリカとは、化学的には二酸化ケイ素(SiO2)である。以下一般に用いられている通称であるシリカを用いる。本発明においてシリカは絶縁層および配線板の熱膨張係数の低減、強度向上、ならびに絶縁層に良好な熱伝導性を付与する目的で用いる。シリカは、気相法や破砕法やゾル―ゲル法などによって製造されたものが入手可能であり、それにより一次粒子の形状が異なるが、上記の目的を達成するものであれば、その製造方法、および球状か破砕型であるかといった形状には特に限定されない。また、異なる形状のものを混合しても良い。
【0043】
ここで一次粒子とは、粒子が凝集していない状態での粒子個々を指す。シリカ一次粒子の最大径で定義される粒径は、本発明の樹脂組成物ワニスを調整する際に、ワニス中でのシリカの分散や、ワニスの粘度や、該組成物の溶融成型時の流動性等を考慮して適宜選ばれる。
また、粒径の上限については、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が配線基板の絶縁層として用いられたときに、その膜厚以上であったり、その絶縁層の両側および/または内部に形成される導体配線の間隔より大きくなければ、特に限定されない。
【0044】
本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、必要に応じてシリカと樹脂との界面における接着性を改善する目的であらかじめカップリング剤処理したシリカを用いてもよい。カップリング剤としてはシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤など、一般のものが使用できる。シリカの配合量は、特に限定されないが、(a)成分と(b)成分の和100質量部を基準として、熱膨張係数低減や強度向上の観点から10質量部以上、組成物が溶融成型で用いられる時の流動特性の観点から400質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部〜200質量部である。
【0045】
本発明に用いられる難燃剤の種類に付いては特に限定されないが、塩素系、臭素系、リン系、窒素系、シリコーン系などの難燃剤を本発明の特性を損なわない範囲で用いることができる。これらの難燃剤の代表的な例としては、特に限定されないが、テトラブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、トリブロモフェニルマレイミド、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、トリフェニルフォスフェート、トリス(トリブロモフェニル)フォスフェート、トリス(ノニルフェニル)フォスフェート、シアヌル酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、ホスファゼン、9,10―ジヒドロ―9―オキサ―10―ホスファフェナントレン―10―オキシド誘導体、Siパウダーなどが挙げられる。また難燃性の一層の向上を図る目的で難燃助剤を併用することも可能である。
【0046】
また、架橋反応を促進する目的で本発明の樹脂組成物に架橋性化合物に応じた硬化剤や硬化促進剤を含有させて使用してもよい。例えば、架橋性化合物としてエポキシ樹脂を用いる場合には、通常のエポキシ樹脂の硬化に使用されるメタフェニレンジアミンや4’,4’−メチレンジアニリンなどのアミン系化合物、2―エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール系化合物、ポリアミド系化合物、ジシアンジアミドなどのアミドアミン系化合物、トリメリット酸無水物やベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などの酸無水物系化合物、トリフルオロボロン・モノメチルアミンなどのルイス酸化合物、などを用いることができる。これらは、それぞれ一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
【0047】
この他、ビスマレイミドトリアジン樹脂の適した硬化剤としてはポリアミン類が、シアン酸エステル樹脂に適した触媒としては、鉱酸、ルイス酸、炭酸ナトリウムあるいは塩化リチウムなどの塩類やトリブチルホスフィンなどのリン酸エステル類などが、またイソシアネート樹脂に適した触媒、硬化剤としては、アミン類、有機金属、多価アルコールなどがそれぞれ挙げられる。
さらに、本発明に用いられる硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、その用途に応じて所望の性能を付与させる目的で本来の性質を損なわない範囲の量の充填剤や添加剤や熱可塑性樹脂を配合させることもできる。充填剤は繊維状であっても粉末状であってもよく、具体的な例としては、アルミナ、タルク、雲母、ガラスビーズ、ガラス中空球等を挙げることができる。添加剤の具体的な例としては、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤等が挙げられる。
【0048】
次に本発明で用いられる硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物フィルムについて説明する。硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物フィルムを作成する方法としては、どのような手段によってもよいが、例えば、樹脂を溶剤に溶解もしくは分散させたワニスを基材に塗布、乾燥させる方法、溶融成膜法等が挙げられる。フィルムの厚みは、好ましくは1μm〜500μm、より好ましくは3μmから100μmである。
【0049】
また、乾燥工程の際に一部樹脂を硬化させて積層工程時の樹脂のフロー特性を調節することもできる。ワニスを塗布する基材としては、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、シリコーン系の剥離剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムなどが挙げられる。
【0050】
次に本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂付き金属箔について説明する。本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂付き金属箔は硬化性フィルムで形成される絶縁層少なくとも1層と金属よりなる導電層少なくとも1層より構成されるものである。ここで用いられる金属導電層としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔が挙げられ、また、該硬化性フィルムに蒸着、スパッタ、無電解メッキなどの方法で金属導電層を形成する方法などが挙げられる。その厚みは特に限定されないが、扱いやすさの点から500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、105μm以下が最も好ましい。
【0051】
銅箔やアルミニウム箔などの金属箔を使用する場合は、金属箔の硬化樹脂の膜が形成される側の面に該樹脂との密着性を強めるため、粗面化および/またはシランカップリング剤やイミダゾール類などによるカップリング処理されていてもよい。こうした、金属箔を用いて本発明の硬化性樹脂付き金属箔を作成する方法としては、特に限定されるものではないが、本発明の樹脂組成物を溶剤に均一に溶解させてワニスにした後、金属箔上に塗布して成膜させる方法、あるいは本発明の硬化性フィルムと金属箔とを溶融圧着させる方法、があり、溶剤に均一に溶解させてワニスにした後、金属箔上に塗布成膜させる方法が特に好ましい。
【0052】
次に、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物および基材からなる硬化性複合材料とその硬化体について説明する。本発明の硬化性複合材料は、硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物と基材とから構成される。基材は、該樹脂組成物の硬化後の寸法を安定させたり強度を増したり熱膨張整数を低減させる目的で用いる。
【0053】
本発明に用いられる基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェッシングマットなどの各種ガラス布またはガラス不織布; 金属繊維布およびその他合成もしくは天然の無機繊維布;ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、などの合成繊維から得られる織布または不織布;綿布、麻布、フェルトなどの天然繊維布;カーボン繊維布;クラフト紙、コットン紙、紙−ガラス混織紙などの天然セルロース系布;以上の各繊維からなる短繊維、チョップドストランド;芳香族ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、芳香族ポリアミドフィルムなどのフィルムなどが、それぞれ単独であるいは2種以上併せて用いられる。
【0054】
基材がフィルムの形態をとっていない場合、本発明の硬化性複合材料における基材の占める割合は、硬化性複合材料100質量部を基準として、複合材料の硬化後の寸法安定性や強度の観点から5質量部以上が好ましく、複合材料の誘電特性や難燃性の観点から90質量部以下が好ましい。より好ましくは10〜80質量部、特に好ましくは20〜70質量部の範囲である。
基材がフィルムの形態をとっている場合は、硬化性複合材料の膜厚を基準として、基材の膜厚は、複合材料の強度の観点から3%以上が好ましく、誘電特性の観点で90%以下が好ましい。より好ましくは5〜80%である。
【0055】
本発明の硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等一般のものが使用できる。また、プラズマ処理やオゾン処理やコロナ処理といった方法で基材表面を処理する方法を用いることもできる。
【0056】
次に、本発明の硬化配線基板について説明する。本発明の硬化配線基板は、本発明の硬化性フィルムおよび/または硬化性樹脂付き金属箔の少なくとも一層を、基板の片面および/または両面に硬化形成してなる硬化配線基板である。ここで基板とは、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の硬化時に変形や分解といった問題がない限りは、その種類は特に限定されない。
【0057】
例えば、本発明にある硬化性フィルムを絶縁層として1層以上用いて形成した硬化配線体や、本発明にある樹脂付き金属箔を1層以上用いて形成した硬化配線体や、本発明にある硬化複合材料の硬化体;紙エポキシ積層板、紙フェノール積層板、紙ポリエステル積層板といった紙基材積層板;ガラス布エポキシ積層板、ガラス布ポリイミド積層板、ガラス布BT積層板、ガラス布テフロン(登録商標)積層板といったガラス基材積層板;紙・ガラス・エポキシ積層板、ガラス不職布エポキシ積層板、合成繊維・ガラス布・エポキシ積層板といったコンポジット積層板;ポリスルフォン系樹脂基板、ポリエーテルイミド系樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリエーテルエーテルケトン樹脂基板といった耐熱熱可塑性基板;ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板;アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板、LTCC(低温焼結)基板といったセラミック基板;金属ベース基板、メタルコア基板、ホーロー基板といった金属系基板;ガラス基板、シリコン基板などの基板;芳香族ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルムなどのフィルム、など、何れも使用することができる。それらの基板は同種の基板および/または他種の基板と積層されていてもよい。
【0058】
以上において、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化方法としては任意の方法を用いることができ、光、熱、電子線、の何れも使用できる。加熱により硬化成形する場合は、温度が80℃〜300℃、圧力が0.01〜100MPa、時間が1分間〜10時間の範囲が好ましく、温度が150℃〜250℃、圧力が0.1〜50MPa、時間が1分間〜5時間の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0059】
【実施例】
以下、本発明を一層明確にするために実施例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例で使用したポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物は、次ぎのように合成したものを用いた。
【0060】
<合成例1:ポリフェニレンエーテルポリマーA>
30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/cが0.44のポリ(2,6―ジメチル―1,4―フェニレンエーテル)100質量部と、無水マレイン酸1.5質量部、および2,5―ジメチル―2,5―ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製 パーヘキサ25B)1.0質量部を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件で2軸押し出し機により押出した。ここの反応性生物をポリフェニレンエーテルAとする。
【0061】
<合成例2:ポリフェニレンエーテルポリマーB>
30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/cが0.44のポリ(2,6―ジメチル―1,4―フェニレンエーテル)100質量部と、無水マレイン酸1.5質量部、および2,5―ジメチル―2,5―ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製 パーヘキサ25B)1.0質量部を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件で2軸押し出し機により押出した。この変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対し、国際公開WO 01/62828号明細書に開示された公知の方法に従い、溶媒としてトルエンを用いて80℃で3時間攪拌しながら再分配反応を行った。この変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対し、国際公開WO 01/62828号明細書に開示された公知の方法に従って、フェノール性化合物として2,6−キシレノール1質量部、反応開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート3質量部、および溶剤としてトルエンを550質量部で配合し、80℃で3時間攪拌しながら再分配反応を行った。得られた反応生成物を使用したトルエンと同容積のメタノールで再析出させて、この三倍量のメタノールで洗浄、乾燥を行い、低分子量ポリフェニレンエーテルを得た。この変性ポリフェニレンエーテルをBとする。
また、実施例で使用した変性ブロック共重合体の水添物は、次のように合成した。
【0062】
<合成例3:変性ブロック共重合体水添物I>
攪拌機及びジャケット付きのオ−トクレ−ブを洗浄、乾燥、窒素置換し、予め精製したスチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20wt%)を投入した。次いでn−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンを添加し、70℃で1時間重合した後、予め精製したブタジエン70質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20wt%)を加えて70℃で1時間重合し、さらにスチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて70℃で1時間重合した。その後、変性剤として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを重合に使用したn−ブチルリチウムに対して当モル反応させた。得られたブロック共重合体は、スチレン含量が30wt%、ポリブタジエン部のビニル結合量が42%であった。
【0063】
上記で得られたブロック共重合体に、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルとトリメチルアルミニウム200ミリモルから調整された水添触媒をTiとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を1時間行った。その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加した。ブロック共重合体I中に混在する未変性のブロック共重合体の割合は30%であった。得られたポリマーの特性を表1に示す。
【0064】
<合成例4:変性ブロック共重合体水添物II、III>
変性ブロック共重合体水添物Iの合成で用いた変性剤と同じ変性剤を用い、合成例3の条件を変更して、分子量と水添率と未変性ブロック共重合体の割合が異なるポリマーII、IIIを合成した。得られたポリマーの特性を表1に示す。
表1中に示した変性ブロック共重合体水添物の各特性の測定は、次のようにして行った。
(1)スチレン含有量
紫外線分光光度計(日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。
(2)ビニル結合量及び水添率
核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX−400)を用いて測定した。
【0065】
(3)分子量
GPC(装置:島津製作所社製LC10、カラム:島津製作所社製Shimpac GPC805+GPC804+GPC804+GPC803)で測定した。溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。
【0066】
(4)未変性ブロック共重合体の割合(未変性率)
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに変性した成分が吸着する特性を応用し、変性ブロック共重合体と低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液について、上記(3)で測定したクロマトグラム中の標準ポリスチレンに対する変性ブロック共重合体の割合と、シリカ系カラムGPC〔装置はデュポン社製:Zorbax〕で測定したクロマトグラム中の標準ポリスチレンに対する変性ブロック共重合体の割合を比較し、それらの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定した。未変性ブロック共重合体の割合は、シリカカラムへ吸着しなかったものの割合である。
【0067】
【表1】
【0068】
実施例および比較例で用いた硬化性ポリフェニレンエーテル系組成物の、他の成分は次ぎのようなものを用いた。
【0069】
<エポキシ樹脂>
商品名:AER331(エポキシ当量189)(旭化成エポキシ(株)社製)
商品名:AER711(エポキシ当量475)(旭化成エポキシ(株)社製)
商品名:AER735(エポキシ当量350)(旭化成エポキシ(株)社製)
商品名:ECN273(エポキシ当量217)(旭化成エポキシ(株)社製)
【0070】
<エポキシ硬化剤>
2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業(株)社製)
2−メチルイミダゾール(和光純薬工業(株)社製)
4,4’−ジアミノジフェニルメタン(和光純薬工業(株)社製)
<ベンゾオキサジン>
商品名:B−a(6,6’−(1−メチルエチリデン)ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−2H−1,3−ベンゾオキサジン)(四国化成(株)社製)
<シリカ>
商品名:アドマファイン(アドマテックス社製)
<難燃剤>
商品名:melapur200(チバガイギースペシャルティケミカルズ社製)
【0071】
<未変性水添スチレンブロック/ブタジエンブロック共重合体>
商品名:未変性水添スチレン系エラストマータフテック H1041(旭化成株式会社製)
商品名:未変性水添スチレン系エラストマータフテック H1043(旭化成株式会社製)
商品名:未変性水添スチレン系エラストマータフテック H1031(旭化成株式会社製)
<ゴム変性ポリスチレン>
商品名:ハイインパクトポリスチレン H8117(旭化成株式会社製)
【0072】
[実施例1〜5]
表2に示した組成物を、トルエンまたはトリクロロエチレンに溶解または分散し、テフロン(登録商標)板上に流して室温で成膜させた後、膜を剥離して厚さが約100μmの硬化性樹脂組成物フィルムを得た。いずれの組成物についても成膜性は良好であり、表面のべたつき等は認められなかった。得られたフィルムを60℃のエアーオーブンで30分〜1時間乾燥した。このフィルムを日立化成(株)社製MCLE67基板(0.6mmt)の片側に樹脂面が下になるように重ね、真空プレス機を用いて面圧が2MPaの条件下で、実施例4の場合には240℃で1時間、その他の実施例の場合には170℃で1.5時間の条件で硬化後、樹脂表面を、モリエンジニアリング(株)社製MPC−600型RIEを用いて、酸素ガス下表面処理を行った。その後、無電解銅めっきにより銅を約1μmの厚みで付着させ、電解めっきを行い銅厚を25μmとした。こうして得られたサンプルを用い、JPCA−BU01に定められた90°銅箔ピール試験法に準拠して銅の接着力を測定した。
【0073】
[比較例1〜5]
表2に示した組成で、変性されていないブロック共重合体水添物やゴム変性ポリスチレンを用いること以外は、実施例1〜5と同様の方法で組成物のフィルムを得た。なお、比較例4の真空プレス条件は実施例4と同じ条件を用いた。これらを実施例1〜5と同じ方法で銅接着強度を測定したところ、本発明の変性ブロック共重合体水添物を用いた場合より低い接着強度しか示さなかった。
【0074】
[実施例6〜7]
表2に示した組成物を、トルエンまたはトリクロロエチレンに溶解または分散させた。得られた溶液または分散液に目付107g/m2のガラスクロス を浸漬して含浸を行い、エアーオーブン中で乾燥させ硬化性複合材料を得た。その後、硬化後の厚さが約0.8mmとなるように該硬化性複合材料を6枚重ね合わせ、真空プレスを用いて、面圧4MPa、180℃、1.5時間の条件で成形・硬化させた。これらの試験片の樹脂表面を、モリエンジニアリング(株)社製MPC−600型RIEを用いて、酸素ガス使用下で表面処理を行った。その後、無電解銅めっきにより銅を約1μmの厚みで付着させ、電解めっきを行い銅厚を25μmとした。こうして得られたサンプルを用い、JPCA−BU01に定められた90°銅箔ピール試験法に準拠して銅の接着力を測定した。
【0075】
[比較例6〜7]
未変性のブロック共重合体水添物やゴム変性ポリスチレンを用いること以外は実施例6〜7と同じ樹脂組成物を、実施例6〜7と同様の方法でガラスクロスに含浸した硬化性複合材料を得た。これらを実施例6〜7と同様の方法で銅接着強度を測定した。
何れの場合でも、実施例6〜7に示す本発明の変性ブロック共重合体水添物を用いた場合より低い銅接着強度しか示さなかった。
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、導体との接着強度に優れた硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が提供され、さらに、その硬化性樹脂組成物を用いることにより、優れた誘電特性と吸湿性を有する、高周波用途に適した高密度配線基板等の配線基板が提供される。
Claims (11)
- (a)ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、(b)エポキシ樹脂および/またはその変性樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂および/またはその変性樹脂、フェノール樹脂および/またはその変性樹脂、メラミン樹脂および/またはその変性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂および/またはその変性樹脂、シアン酸エステル樹脂および/またはその変性樹脂、イソシアネート樹脂および/またはその変性樹脂類、アリールシクロブテン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ベンゾオキサジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つの架橋性化合物、および(c)ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体に、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、シラノール基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれた少なくとも一種の官能基を少なくとも1個有する原子団が結合している変性ブロック共重合体の水添物を含み、かつ、(a)成分と(b)成分の和100質量部を基準として、(a)成分を90〜20質量部、(b)成分を10〜80質量部、および(c)成分を3〜40質量部を含有する硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
- (b)成分の架橋性化合物としてエポキシ樹脂および/またはその変性樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
- (c)成分の選ばれた官能基が1級および/または2級アミノ基であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
- シリカおよび/または難燃剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物からなる硬化性フィルム。
- 請求項5に記載の硬化性フィルムを硬化してなる硬化フィルム。
- 請求項5記載の硬化性フィルムからなる一層以上の絶縁層、および金属よりなる一層以上の導電層から構成される樹脂付き金属箔。
- 請求項7に記載の樹脂付き金属箔を硬化してなる硬化体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物および基材からなる硬化性複合材料。
- 請求項9に記載の硬化性複合材料を硬化してなる硬化複合材料。
- 請求項5に記載の硬化性フィルムおよび/または請求項7に記載の樹脂付き金属箔の各々一層以上を、基板の片面および/または両面に硬化形成してなる配線基板。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2003
- 2003-03-11 JP JP2003065305A patent/JP2004269785A/ja not_active Withdrawn
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