JP2004269606A - Lactic acid based resin composition - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳酸系樹脂を主成分として含有する乳酸系樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の背景】
従来のプラスチックは、自然環境中で長期にわたって安定的であり、しかも嵩比重が小さいため、廃棄物埋め立て地の短命化を促進したり、自然の景観や野生動植物の生活環境を損なうなどの問題点が指摘されていた。近年、環境問題の意識が高まるに連れ、プラスチック製品においても、自然環境中に廃棄された際に経時的に分解・崩壊し、自然環境に悪影響を及ぼさない環境適性が求められるようになり、生分解性プラスチックが注目されるようになった。
【0003】
生分解性プラスチックは、土壌中や水中で加水分解或いは生分解して徐々に崩壊・分解が進行し、最終的に微生物の作用により無害な分解物となるプラスチックである。
現在、実用化されている生分解性プラスチックとしては、乳酸系樹脂、脂肪族ポリエステル、変性PVA、セルロースエステル化合物、デンプン変性体、およびこれらのブレンド体等がある。中でも、乳酸系樹脂は、トウモロコシや砂糖キビなどの植物から得られる乳酸を原料とする天然物由来の生分解性プラスチックであり、しかも透明性に優れ、コストパフォーマンスにも優れているため、特に注目に価する樹脂であると言えるが、本来的に脆い性質を有しており、シートやフィルムの原料としてそのまま用いると充分な強度が得られず、破断を生じ易いという課題も抱えていた。
【0004】
このような乳酸系樹脂の耐破断性を改良する方法として、従来、ポリブチレンサクシネート、或いはポリブチレンサクシネート/アジペート共重合体、或いはポリカプロラクトンなどの乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルを、乳酸系樹脂に配合する手法が知られている。
しかし、乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルを配合することによって耐破断性を改良するためには、乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルを30質量%以上配合する必要がある。そうするとヘイズが大幅に増加するため、透明性が要求される用途には使用することができない。ちなみに、透明性が要求される用途に用いるには、シートのヘイズがシート厚100μmで50%以下である必要がある。
【0005】
上記問題点を解決すべく、本発明の目的は、乳酸系樹脂が本来有する生分解性、透明性、耐熱性を維持しつつ、それでいて耐破断性に優れた乳酸系樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【従来の技術】
なお、特許文献1(特開平9−169896)には、乳酸系樹脂、グリコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体、ポリカプロラクトンから選ばれる2種以上の生分解性ポリマーと可塑剤との混合物からなる生分解性ポリマー組成物が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−169896号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、乳酸系樹脂と、可塑剤によって可塑化されたポリカプロラクトンとを含有することを第1の特徴とし、ポリカプロラクトンを可塑化する可塑剤は、その溶解パラメータ(SP値)が乳酸系樹脂のSP値とポリカプロラクトンのSP値の中間値よりもポリカプロラクトン寄り、中でも好ましくは、ポリカプロラクトンのSP値よりも低いことを第2の特徴とし、乳酸系樹脂とポリカプロラクトンとの含有割合が質量比で80:20〜95:5であることを第3の特徴とする乳酸系樹脂組成物を提案する。
【0009】
ポリカプロラクトンを可塑剤によって可塑化することにより、ポリカプロラクトンは可塑化及び膨潤化され、その耐衝撃性の改良効果が向上する。よって、可塑剤によって可塑化されていないポリカプロラクトンを乳酸系樹脂に配合した場合に比べ、少ない配合量で耐破断性の改良効果を発現できるため、乳酸系樹脂が本来有する耐熱性、透明性を損なうことがなく、それでいて耐破断性に優れた乳酸系樹脂組成物を得ることができる。
また、可塑剤を混合系に添加する場合、SP値が近い方との相溶性が高く溶解し易いため、可塑剤のSP値を、乳酸系樹脂のSP値とポリカプロラクトンのSP値の中間値よりもポリカプロラクトン寄り、即ち当該中間値よりも低い値、中でもポリカプロラクトンのSP値よりも低い値とすることにより、乳酸系樹脂及びポリカプロラクトンの混合系中に可塑剤が存在しても、ポリカプロラクトンに選択的に溶解してこれを可塑化し、乳酸系樹脂への影響を抑えつつポリカプロラクトンの耐破断性改良効果を高めることができる。
よって、本発明のSP値を有する可塑剤を用いれば、乳酸系樹脂、可塑剤及びポリカプロラクトンを同時に混合して乳酸系樹脂組成物を製造する場合であっても、ポリカプロラクトンを好ましく可塑化することができ、乳酸系樹脂への影響を抑えつつポリカプロラクトンの耐破断性改良効果を高めることができ、耐熱性を維持しつつ耐破断性に優れた乳酸系樹脂組成物を得ることができる。
【0010】
なお、前述のように特許文献1(特開平9−169896)には、乳酸系樹脂、グリコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体、ポリカプロラクトンから選ばれる2種以上の生分解性ポリマーと可塑剤との混合物からなる生分解性ポリマー組成物が開示されているが、グリコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体と可塑剤を併用することによっては、耐破断性の改良効果はほとんど得られない。
また、ポリカプロラクトンが充分に可塑化されていない場合も耐破断性改良効果は得られない。更に、可塑剤の添加により乳酸系樹脂が可塑化されると、ガラス転移温度(Tg)が低下して耐熱性が低下することになる。ちなみに、乳酸系樹脂組成物(特にシート体)の耐熱性としては、50℃における貯蔵弾性率E’が1.0GPa以上であることが好ましい。
【0011】
本発明の溶解パラメータ(SP値)とは、Fedors法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]によって算出される値である。
本発明における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特定する数値範囲から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に含める意を包含するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
本発明の乳酸系樹脂組成物は、乳酸系樹脂を主成分として含有し、かつ乳酸系樹脂と可塑剤によって可塑化されたポリカプロラクトンとを所定の割合で含有する樹脂組成物である。
なお、「主成分とする」とは、乳酸系樹脂組成物の主な機能を決定する成分の一つが乳酸系樹脂であり、乳酸系樹脂の機能を阻害しない範囲で他の成分を含んでいてもよいという意を包含するものであり、一般的には乳酸系樹脂が少なくとも50%以上、好ましくは80%含まれる。
【0014】
(乳酸系樹脂)
本発明に用いられる乳酸系樹脂(「PLA」とも言う。)は、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、或いは、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸であるポリ(DL−乳酸)、或いはこれらの二種類以上の混合体であればよく、乳酸系樹脂のDL構成比は、L体:D体=100:0〜90:10、若しくはL体:D体=0:100〜10:90が好ましい。中でもL体:D体=99.5:0.5〜94:6、若しくはL体:D体=0.5:99.5〜6:94であるのがより好ましい。前記の好ましい範囲内であれば、部品の耐熱性が得られ易く、広範囲の用途に用いることができる。
【0015】
また、本発明に用いられる乳酸系樹脂は、上記いずれかの乳酸と、他のヒドロキシカルボン酸単位との共重合体であっても、また、脂肪族ジオールや脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。
乳酸系樹脂に共重合される上記の「他のヒドロキシ−カルボン酸単位」としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシn−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類などが挙げられる。
乳酸系樹脂に共重合される上記「脂肪族ジオール」としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
また、乳酸系樹脂に共重合される上記「脂肪族ジカルボン酸」としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカン二酸などが挙げられる。
【0016】
さらに、耐熱性を向上させるなどの必要に応じ、少量共重合成分としてテレフタル酸のような非脂肪族ジカルボン酸及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールを用いて共重合させてもよい。
また、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えばジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを共重合させることもできる。
【0017】
乳酸系樹脂の重合法としては、縮重合法、開環重合法、その他の公知の重合法を採用することができる。例えば、縮重合法では、L−乳酸或いはD−乳酸或いはこれらの混合物を直接脱水縮重合して任意の組成を持った乳酸系樹脂を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを必要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用してポリ乳酸系重合体を得ることができる。この際、ラクチドには、L−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、或いはL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成及び結晶性を有する乳酸系樹脂を得ることができる。
【0018】
本発明に用いられる乳酸系樹脂の重量平均分子量の好ましい範囲は、5万から40万、より好ましくは10万から25万である。5万以上の分子量であれば好適な実用物性を発揮する。また、40万以下であれば溶融粘度が高過ぎることがなく良好な成形加工性を発揮する。
なお、乳酸系樹脂の代表的なものとしては、島津製作所製ラクティシリーズ、三井化学製レイシアシリーズ、カーギル・ダウ製Nature Worksシリーズなどが挙げられる。
【0019】
(ポリカプロラクトン)
ポリカプロラクトン(「PCL」とも言う。)としては、例えば環状モノマーであるε−カプロラクトンを開環重合したをものを用いることができ、具体的製品としてはダイセル化学工業株式会社製セルグリーンシリーズなどが挙げられる。
但し、他の製造方法により得られたPCLを用いることもできる。また、末端封止の構造等に特に限定されるものではない。
本発明に用いることができるポリカプロラクトンの数平均分子量の範囲は5,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜200,000である。
【0020】
(可塑剤)
本発明に用いる可塑剤は、その溶解パラメータ(SP値)が、乳酸系樹脂のSP値とポリカプロラクトンのSP値の中間値よりもポリカプロラクトンのSP値寄り、即ち当該中間値よりも低いことが好ましい。中でもポリカプロラクトンのSP値よりも低いことがより好ましい。例えば、乳酸系樹脂のSP値が11.12(cal/cm3)1/2であり、ポリカプロラクトンのSP値が10.18(cal/cm3)1/2である場合、可塑剤のSP値は、その中間値である10.65よりも低い値が好ましく、中でもより好ましくは10.18より低い値である。
実際、乳酸系樹脂やポリカプロラクトンの構造等の相違によるSP値の相違幅を考慮すると、可塑剤のより好ましいSP値の範囲は、8.5〜10(cal/cm3)1/2、特に8.8〜9.2(cal/cm3)1/2である。10(cal/cm3)1/2以下であれば、可塑剤とポリカプロラクトンとの相溶性が高いため、溶融混練時に可塑剤が乳酸系樹脂に移行することが少なく、必要とする耐破断性改良効果を得ることができる。また、SP値が8.5(cal/cm3)1/2以上であれば、可塑剤のブリードアウトがなく実用上好ましい。
【0021】
SP値が8.5〜10(cal/cm3)1/2の範囲にある可塑剤の具体例としては、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジ(n―オクチル)、アジピン酸ジ(n―デシル)、アジピン酸ジブチルジグリコール、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ジ(n―ヘキシル)、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、ドデカンジオン酸ジ(2−エチルヘキシル)等の脂肪酸エステル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)等のフタル酸エステル、またはトリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)等のトリメリット酸エステルなどがあげられる。
【0022】
可塑剤は、ポリカプロラクトン中に占める割合が、5〜25質量%、特に10〜20質量%であるのが好ましい。5〜25質量%の範囲内であれば、ポリカプロラクトンを充分に可塑化でき、しかも乳酸系樹脂への影響を抑えることができる。
【0023】
(配合割合)
本発明の乳酸系樹脂組成物において、乳酸系樹脂と可塑化されたポリカプロラクトンの含有割合は、質量比で80:20〜95:5、中でも82:18〜92:8であるのが好ましい。
所定のSP値を有する可塑剤を配向して可塑化することにより、ポリカプロラクトンの耐衝撃性の改良効果を充分に向上させることができるから、上記の如くポリカプロラクトンの配合量を少なくしても所望の耐破断性の改良効果が得られ、乳酸系樹脂が本来有する耐熱性、透明性を損なうことがなく、乳酸系樹脂組成物の耐破断性を高めることができる。
【0024】
(その他の含有成分)
本発明の効果を損なわない範囲で、熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、顔料、着色剤、滑剤、核剤、無機フィラー等の添加剤を処方することができる。
【0025】
(乳酸系樹脂組成物)
本発明の乳酸系樹脂組成物は、射出成形法,射出圧縮成形法,押出成形法,ブロー成形法,プレス成形法,発泡成形法などにより、各種の成形品、例えばシート、フィルム、容器等に成形することができる。
また、本発明の乳酸系樹脂組成物は、耐熱性を維持しつつ耐破断性が充分に改良されているのが好ましく、そのための指標として、50℃における貯蔵弾性率(E’)が1.0GPa以上、特に1.2GPa以上であるのが好ましい。
【0026】
(製造方法)
次に、本発明の乳酸系樹脂組成物の製造方法について、特に乳酸系樹脂シートの製造方法を中心に説明する。
【0027】
本発明の乳酸系樹脂組成物の製造方法において、可塑剤は予めポリカプロラクトンに混合しておき、その後乳酸系樹脂と混合することもできるが、本発明の場合は、乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン及び可塑剤を同時に混合しても、予め可塑剤をポリカプロラクトンに混ぜた場合と同等の効果を得ることができる。
すなわち、可塑剤のSP値をポリカプロラクトンのSP値により近い値、好ましくはポリカプロラクトンのSP値よりも低い値、具体的に好ましい値として8.5〜10(cal/cm3)1/2と設定することにより、可塑剤はSP値の近いポリカプロラクトンに選択的に溶解するから、予めポリカプロラクトンに可塑剤を配合した場合と同様にポリカプロラクトンを選択的に可塑化及び膨潤化し、乳酸系樹脂組成物の耐熱性を損なうことなく耐破断性を改良することができる。
【0028】
ここで、図1及び図2は、乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン及び可塑剤を同時に混合した場合の粘弾性挙動を示した図であり、図1は低温域(−150〜0℃)における損失弾性率E”の挙動、言い換えればポリカプロラクトンのガラス転移点(Tg)付近の挙動を示し、図2は高温域(0〜120℃付近)における損失弾性率E”の挙動、言い換えれば乳酸系樹脂のガラス転移点(Tg)付近の挙動を示している。なお、詳しい試験条件等は下記粘弾性挙動試験の項目にて説明する。
【0029】
この試験結果を見ると、図1に示されるように、乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン及び可塑剤を同時に配合した場合にも、ポリカプロラクトンの損失弾性率E”のピーク面積が増大しており、このことは可塑剤がポリカプロラクトンに溶解したことを示している。また、低温における損失弾性率E”のピーク面積と耐破断性には相関があり、可塑剤を配合したことにより耐破断性が改良されていることが分る。
その一方、図2に示されるように、乳酸系樹脂のE”ピーク温度(Tg)はほとんど低下していないことから、乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン及び可塑剤を同時に混合しても、可塑剤は乳酸系樹脂にほとんど溶解せず、そのガラス転移点も低下せず、耐熱性が維持されることが分る。
これより、本発明のSP値の範囲の可塑剤を用いれば、乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン及び可塑剤を同時に混合しても、ポリカプロラクトンを選択的に可塑化及び膨潤化することができ、本発明の本旨が満足されることが分る。
【0030】
乳酸系樹脂とポリカプロラクトンとの混合は、同一の押出機にそれぞれの原料を投入して行うことができる。具体的には、押出機の口金からそのまま押出して直接フィルムを作製する方法、或いはストランド形状に押し出してペレットを作製した後、再度押出機を用いてフィルムを作製する方法などを採用することができる。いずれの方法においても、原料の分解による分子量の低下を考慮する必要があるが、均一に混合させるためには後者を選択することが好ましい。
【0031】
なお、乳酸系樹脂及びポリカプロラクトンは、それぞれ充分に乾燥させて水分を除去した後、押出機によって溶融するのが好ましい。
乳酸系樹脂はL−乳酸構造とD−乳酸構造の組成比によって融点が変化すること、ポリカプロラクトンの混合の割合によって樹脂組成物の融点が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。実際には100〜250℃の温度範囲が通常選択される。
【0032】
多層構造の乳酸系樹脂シートを製造する場合は、通常に用いられる多層方法を採用することができる。例えば、各層の材料を複数の押出機からフィードブロック式或いはマルチマニホールド式によって一つの口金に導入する方法(いわゆる共押出法)、一枚のシートを形成しロール状に巻回した後、このシートをロールから巻き出してその表面上に表面層を形成するシートをロールやプレス板を用いて加熱圧着する方法等を採用することができる。
【0033】
溶融成形されたシートは、回転するキャスティングドラム(冷却ドラム)に接触させて急冷することが好ましい。
乳酸系樹脂とポリカプロラクトンとの混合割合や、これらの樹脂の性質によって適宜選択することが好ましいが、例えば、キャスティングドラムの温度は60℃以下とするのが好ましい。キャスティングドラムの温度が60℃より低ければシートがキャスティングドラムに粘着して引き取れなかったり、乳酸系樹脂部分の結晶化が促進されて延伸できなくなるという不都合な事態は生じない。従って、キャスティングドラムの温度を60℃以下において急冷し、乳酸系樹脂部分を実質上非晶性にすることが好ましい。
【0034】
また、得られたシートを一軸或いは二軸延伸して更に耐衝撃性、耐熱性を付与するようにしてもよい。延伸方法としては、通常採用される延伸方法を採用することができる。例えば、シートを周速差のある2個のロール間で延伸するロール延伸法、および/または、テンターを用いクリップでシートを把持しながらクリップ列の列間隔を拡大させて延伸するテンター延伸法などは、工業的に好ましい方法である。
延伸後は、非収縮フィルム用途に用いる場合であれば、通常の熱固定ポリエチレンテレフタレートフィルムで行われるような熱処理を行い、収縮フィルム用途に用いる場合であれば、室温から60℃の低温のゾーンを通過させるなどして速やかに冷却を行い、熱収縮性を発現するよう延伸歪みを固定する。シートの延伸倍率は各方向1.2〜6.0倍、好ましくは1.3〜5.0倍の範囲で、延伸温度は60〜160℃の範囲で適宜選択することができる。
【0035】
得られた乳酸系樹脂シートは、乳酸系樹脂の特徴である生分解性、低燃焼カロリー性、燃焼時の有害ガスを発生させないこと等の優れた性質を有し、かつ良好な透明性、耐破断性等を有する。
【0036】
(比較試験1)
以下に実施例及び比較例を用いて、本発明の構成について具体的に検討する。なお、本発明は以下に記載される事項によって、限定されるものではない。
【0037】
耐熱性の評価としての50℃における貯蔵弾性率、耐衝撃性の評価としての伸び、透明性の評価としてのヘイズの測定を、それぞれ次に示す条件で行った。
【0038】
(貯蔵弾性率E’)
岩本製作所(株)製粘弾性スペクトロメーターVES−F3を用い、振動周波数10Hz、温度50℃で、フィルムの幅方向について測定した。50℃におけるE’が1GPa以上であることを実用基準とする。
【0039】
(伸び)
JIS K 7127に基づいて引張試験を行い降伏強度、および破断時の強度と伸びを測定した。試験サンプルには2号試験片を用い、引張り速度100mm/minで5回測定し、その平均値を求めた。伸びは100%以上であることを実用基準とした。
【0040】
(ヘーズ)
JIS K 7105に基づいて、全光線透過率および拡散透過率を求め、以下の式(1)で算出した。100μm厚でのヘーズが50%以下であることを実用基準とした。
ヘイズ(%)=拡散透過率/全光線透過率 ×100・・・(1)
【0041】
次に、実施例において使用する乳酸系樹脂組成物の作成方法を示す。
【0042】
(実施例1)
ポリカプロラクトンとしてダイセル化学工業社製セルグリーンP−H7(SP値:10.18)、可塑剤として田岡化学株式会社製アジピン酸ジイソデシル(DIDA、SP値8.95)を用い、P−H7、および、DIDAを質量比75:25の割合で混合し、三菱重工製40mmφ小型同方向二軸押出機を用いて190℃でコンパウンドし、ペレット形状にした可塑化ポリカプロラクトンを得た。
次に、乳酸系樹脂として、カーギル・ダウ社製NatureWorks4031D(L−乳酸/D−乳酸=98.5/1.5、重量平均分子量20万、SP値:11.12)を用いて、NatureWorks4031Dと可塑化ポリカプロラクトンを質量比90:10の割合で混合し、三菱重工製40mmφ小型同方向二軸押出機を用いて190℃でコンパウンドし、ペレットを得た。
得られたペレットを三菱重工製110mmφ単軸押出機でTダイよりバレル温度200℃で押出し、キャスティングロールで35℃に急冷し200μm厚のシートを得た。得られたシートに関して、ガラス転移温度、伸び、ヘイズの評価を行った。結果を表1に示す。
【0043】
(実施例2)
NatureWorks4031D、P−H7、および、DIDAを質量比80:18:2の割合で混合し、実施例1と同様の方法でシートの作成、評価を行った。結果を表1に示す。
【0044】
(実施例3)
P−H7、および、DIDAを質量比75:25の割合で混合、コンパウンドを行い、可塑化ポリカプロラクトンを作成した後、NatureWorks4031Dと可塑化ポリカプロラクトンを質量比80:20の割合で混合し、実施例1と同様の方法でシートの作成、評価を行った。結果を表1に示す。
【0045】
(実施例4)
可塑剤として、田岡化学工業社製セバシン酸ジブチル(DBS:SP値9.08)を用い、P−H7、および、DBSを質量比90:10の割合で混合、コンパウンドを行い、可塑化ポリカプロラクトンを作成した後、NatureWorks4031Dと可塑化ポリカプロラクトンを質量比80:20の割合で混合し、実施例1と同様の方法でシートの作成、評価を行った。結果を表1に示す。
【0046】
(実施例5)
可塑剤として、田岡化学工業社製トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)(TOTM:SP値9.26)を用い、P−H7、および、TOTMを質量比90:10の割合で混合、コンパウンドを行い、可塑化ポリカプロラクトンを作成した後、NatureWorks4031Dと可塑化ポリカプロラクトンを質量比80:20の割合で混合し、実施例1と同様の方法でシートの作成、評価を行った。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
(比較例1)
NatureWorks4031D、および、P−H7を質量比80:20の割合で混合し、実施例1と同様の方法でシートの作成、評価を行った。結果を表2に示す。
【0049】
(比較例2)
P−H7、および、DIDAを質量比50:50の割合で混合、コンパウンドを行い、可塑化ポリカプロラクトンを作成した後、NatureWorks4031Dと可塑化ポリカプロラクトンを質量比80:20の割合で混合し、実施例1と同様の方法でシートの作成、評価を行った。結果を表2に示す。
【0050】
(比較例3)
可塑剤として、黒金化成株式会社製ジメチルフタレート(DMP:SP値10.80)を用い、P−H7、および、DMPを質量比90:10の割合で混合、コンパウンドを行い、可塑化ポリカプロラクトンを作成した後、NatureWorks4031Dと可塑化ポリカプロラクトンを質量比80:20の割合で混合し、実施例1と同様の方法でシートの作成、評価を行った。結果を表2に示す。
【0051】
(比較例4)
P−H7、および、DIDAを質量比90:10の割合で混合、コンパウンドを行い、可塑化ポリカプロラクトンを作成した後、NatureWorks4031Dと可塑化ポリカプロラクトンを質量比70:30の割合で混合し、実施例1と同様の方法でシートの作成、評価を行った。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
表1から明らかなように、実施例1〜5のシートは、50℃におけるE’が1.0GPa以上、伸びが100%以上、100μm厚でのヘイズが50%以下であり、耐熱性、耐衝撃性、透明性に優れていることがわかった。なお、実施例1〜5のシートは生分解性であるので、環境保護の観点からも優れたものである。
一方、比較例1、3のシートは50℃におけるE’が1.0GPa以上、100μm厚でのヘイズが50%以下であり、耐熱性、透明性に優れているものの、伸びが100%未満であり、耐衝撃性に劣るものであった。比較例2のシートは、耐衝撃性、透明性には優れるものの、50℃におけるE’が1.0GPa未満であり、耐熱性に劣るものであった。比較例4のシートは、耐熱性、耐衝撃性には優れるものの、100μm厚でのヘイズが50%を越えており、透明性に劣るものであった。このように、比較例1〜4では、耐熱性、耐衝撃性、および、透明性の1つ以上において実用不可能なものであった。
【0054】
(比較試験2:粘弾性挙動試験)
乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン及び可塑剤を同時に混合した場合(実施例)の粘弾性挙動を検討するべく、実施例及び比較例を用いて損失弾性率E”測定して比較検討した。
【0055】
(損失弾性率E”の測定)
岩本製作所(株)製粘弾性スペクトロメーターVES−F3を用い、振動周波数10Hz、温度−150〜150℃、昇温速度3℃/minで、フィルムの幅方向について測定した。
【0056】
(実施例6)
乳酸系樹脂としてのカーギル・ダウ社製NatureWorks4031D(L−乳酸/D−乳酸=98.5/1.5、重量平均分子量20万、SP値:11.12)、ポリカプロラクトンとしてのダイセル化学工業社製セルグリーンP−H7(SP値:10.18)、及び可塑剤として田岡化学工業社製アジピン酸ジー2−エチルヘキシル(DOA、SP値:9.00)を、質量比80:20:2の割合で同時に混合し、三菱重工製40mmφ小型同方向二軸押出機を用いて190℃でコンパウンドし、ペレットを得た。
得られたペレットを三菱重工製110mmφ単軸押出機でTダイよりバレル温度200℃で押出し、キャスティングロールで35℃に急冷し200μm厚のシートを得た。
得られたシートに関して、損失弾性率(E”)を測定し、その結果を図1及び図2に示した。
【0057】
(実施例7)
乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン及び可塑剤の配合割合を、質量比80:20:5に変更した以外は、実施例6と同様にシートを製造し、得られたシートに関して損失弾性率(E”)を測定し、その結果を図1及び図2に示した。
【0058】
(比較例5)
乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン及び可塑剤の配合割合を、質量比80:20:0に変更した以外は、実施例6と同様にシートを製造し、得られたシートに関して損失弾性率(E”)を測定し、その結果を図1及び図2に示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】粘弾性挙動試験において、低温域(−150〜0℃)における損失弾性率E”を示した図である。
【図2】同じく粘弾性挙動試験において、高温域(0℃〜120℃程度)における損失弾性率E”を示した図である。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a lactic acid-based resin composition containing a lactic acid-based resin as a main component.
[0002]
BACKGROUND OF THE INVENTION
Conventional plastics are stable in the natural environment for a long period of time and have a low bulk specific gravity, which promotes shortening the life of waste landfills and impairs the natural scenery and the living environment of wild animals and plants. Was pointed out. In recent years, as awareness of environmental issues has increased, plastic products have been required to have environmental suitability that will degrade and collapse over time when disposed of in the natural environment, and will not adversely affect the natural environment. Degradable plastics have come to the fore.
[0003]
A biodegradable plastic is a plastic that is hydrolyzed or biodegraded in soil or water, gradually decomposes and decomposes, and finally becomes a harmless decomposition product by the action of microorganisms.
Currently, biodegradable plastics put into practical use include lactic acid-based resins, aliphatic polyesters, modified PVA, cellulose ester compounds, modified starches, and blends thereof. Among them, lactic acid-based resin is a biodegradable plastic derived from natural products made from lactic acid obtained from plants such as corn and sugarcane, and has excellent transparency and cost performance. Although it can be said to be a resin that deserves to be used, it originally has a brittle property, and when used as it is as a raw material for a sheet or a film, sufficient strength cannot be obtained, and there is also a problem that the resin is easily broken.
[0004]
As a method for improving the rupture resistance of such a lactic acid-based resin, conventionally, an aliphatic polyester other than a lactic acid-based resin such as polybutylene succinate, or a polybutylene succinate / adipate copolymer, or polycaprolactone, is treated with lactic acid. There is known a method of blending it with a system resin.
However, in order to improve the rupture resistance by blending an aliphatic polyester other than the lactic acid-based resin, it is necessary to blend 30% by mass or more of the aliphatic polyester other than the lactic acid-based resin. If this is done, the haze will increase significantly, so that it cannot be used for applications requiring transparency. For use in applications requiring transparency, the haze of the sheet needs to be 50% or less at a sheet thickness of 100 μm.
[0005]
In order to solve the above-mentioned problems, an object of the present invention is to provide a lactic acid-based resin composition having excellent biodegradability, transparency, and heat resistance inherent in a lactic acid-based resin, but excellent in break resistance. It is in.
[0006]
[Prior art]
Patent Document 1 (Japanese Patent Application Laid-Open No. 9-169896) discloses a mixture of a plasticizer and two or more biodegradable polymers selected from lactic acid-based resins, glycol / aliphatic dicarboxylic acid copolymers, and polycaprolactone. A biodegradable polymer composition is disclosed.
[0007]
[Patent Document 1]
JP-A-9-169896
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The first feature of the present invention is that it contains a lactic acid-based resin and polycaprolactone plasticized by a plasticizer, and the plasticizer that plasticizes polycaprolactone has a solubility parameter (SP value) of lactic acid-based resin. The second characteristic is that the SP value of the resin is closer to the polycaprolactone than the intermediate value of the SP value of the polycaprolactone and the SP value of the polycaprolactone is lower than the SP value of the polycaprolactone. A third aspect of the present invention proposes a lactic acid-based resin composition having a mass ratio of 80:20 to 95: 5.
[0009]
By plasticizing polycaprolactone with a plasticizer, polycaprolactone is plasticized and swelled, and the effect of improving impact resistance is improved. Therefore, compared to a case where polycaprolactone not plasticized by a plasticizer is blended with a lactic acid-based resin, the effect of improving rupture resistance can be expressed with a smaller amount of blending. It is possible to obtain a lactic acid-based resin composition which is not impaired and yet has excellent break resistance.
When a plasticizer is added to a mixed system, the SP value of the plasticizer is higher than the SP value of the lactic acid-based resin and the SP value of the polycaprolactone because the compatibility between the plasticizer and the closer SP value is higher and the resin is easily dissolved. By making the value closer to polycaprolactone, that is, a value lower than the intermediate value, in particular, a value lower than the SP value of polycaprolactone, even if a plasticizer is present in the mixed system of lactic acid resin and polycaprolactone, It can be selectively dissolved in caprolactone and plasticized, and the effect of improving the rupture resistance of polycaprolactone can be increased while suppressing the effect on the lactic acid-based resin.
Therefore, if the plasticizer having the SP value of the present invention is used, the lactic acid-based resin, the plasticizer and the polycaprolactone are simultaneously mixed to produce a lactic acid-based resin composition, and the polycaprolactone is preferably plasticized. Thus, the effect of improving the rupture resistance of polycaprolactone can be enhanced while suppressing the effect on the lactic acid-based resin, and a lactic acid-based resin composition having excellent rupture resistance while maintaining heat resistance can be obtained.
[0010]
As described above, Patent Document 1 (Japanese Patent Application Laid-Open No. 9-169896) discloses that two or more biodegradable polymers selected from a lactic acid-based resin, a glycol / aliphatic dicarboxylic acid copolymer, and polycaprolactone, and a plasticizer. A biodegradable polymer composition consisting of a mixture of the above is disclosed, but the combined use of a glycol / aliphatic dicarboxylic acid copolymer and a plasticizer hardly provides an effect of improving rupture resistance.
Also, when the polycaprolactone is not sufficiently plasticized, the effect of improving rupture resistance cannot be obtained. Further, when the lactic acid-based resin is plasticized by the addition of a plasticizer, the glass transition temperature (Tg) decreases, and the heat resistance decreases. Incidentally, as for the heat resistance of the lactic acid-based resin composition (particularly, the sheet body), the storage elastic modulus E ′ at 50 ° C. is preferably 1.0 GPa or more.
[0011]
The dissolution parameter (SP value) of the present invention refers to the Fedors method [Polym. Eng. Sci. 14 (2) 152, (1974)].
The upper limit value and the lower limit value of the numerical range in the present invention, even when slightly deviating from the numerical range specified by the present invention, are within the equivalent range of the present invention as long as they have the same operational effects as in the numerical range. This implies inclusion.
[0012]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described.
[0013]
The lactic acid-based resin composition of the present invention is a resin composition containing a lactic acid-based resin as a main component and a predetermined ratio of the lactic acid-based resin and polycaprolactone plasticized by a plasticizer.
In addition, "the main component" means that one of the components that determines the main function of the lactic acid-based resin composition is a lactic acid-based resin, and contains other components as long as the function of the lactic acid-based resin is not impaired. In general, the content of lactic acid-based resin is at least 50% or more, preferably 80%.
[0014]
(Lactic resin)
The lactic acid-based resin (also referred to as “PLA”) used in the present invention is a poly (L-lactic acid) whose structural unit is L-lactic acid, a poly (D-lactic acid) whose structural unit is D-lactic acid, or Poly (DL-lactic acid) whose structural unit is L-lactic acid and D-lactic acid, or a mixture of two or more thereof may be used. The DL composition ratio of the lactic acid-based resin is L-form: D-form = 100: 0-90: 10 or L-form: D-form = 0: 100-10: 90 is preferable. Among them, L-form: D-form = 99.5: 0.5 to 94: 6 or L-form: D-form = 0.5: 99.5 to 6:94 is more preferable. Within the above preferred range, the heat resistance of the component can be easily obtained, and it can be used for a wide range of applications.
[0015]
The lactic acid-based resin used in the present invention may be a copolymer of any one of the above lactic acids and other hydroxycarboxylic acid units, or a copolymer of an aliphatic diol and an aliphatic dicarboxylic acid. It may be.
The above-mentioned "other hydroxy-carboxylic acid units" copolymerized with the lactic acid-based resin include optical isomers of lactic acid (D-lactic acid for L-lactic acid, L-lactic acid for D-lactic acid) , Glycolic acid, 3-hydroxybutyric acid, 4-hydroxybutyric acid, 2-hydroxyn-butyric acid, 2-hydroxy-3,3-dimethylbutyric acid, 2-hydroxy-3-methylbutyric acid, 2-methyllactic acid, 2-hydroxycaproic acid, etc. And lactones such as caprolactone, butyrolactone, and valerolactone.
Examples of the “aliphatic diol” copolymerized with the lactic acid-based resin include ethylene glycol, 1,4-butanediol, and 1,4-cyclohexanedimethanol.
The “aliphatic dicarboxylic acid” copolymerized with the lactic acid-based resin includes succinic acid, adipic acid, suberic acid, sebacic acid, dodecane diacid, and the like.
[0016]
Furthermore, if necessary, for example, to improve heat resistance, a small amount of a non-aliphatic dicarboxylic acid such as terephthalic acid and / or a non-aliphatic diol such as an ethylene oxide adduct of bisphenol A is used as a copolymerization component. You may let it.
Further, a small amount of a chain extender, for example, a diisocyanate compound, an epoxy compound, an acid anhydride or the like can be copolymerized for the purpose of increasing the molecular weight.
[0017]
As the polymerization method of the lactic acid-based resin, a condensation polymerization method, a ring-opening polymerization method, or other known polymerization methods can be employed. For example, in the polycondensation method, L-lactic acid, D-lactic acid, or a mixture thereof can be directly dehydrated and polycondensed to obtain a lactic acid-based resin having an arbitrary composition. In addition, in the ring-opening polymerization method, a polylactic acid-based polymer can be obtained using a selected catalyst while using lactide, which is a cyclic dimer of lactic acid, with a polymerization regulator as necessary. At this time, the lactide includes L-lactide which is a dimer of L-lactic acid, D-lactide which is a dimer of D-lactic acid, or DL-lactide composed of L-lactic acid and D-lactic acid. May be mixed and polymerized as necessary to obtain a lactic acid-based resin having an arbitrary composition and crystallinity.
[0018]
The preferred range of the weight average molecular weight of the lactic acid-based resin used in the present invention is 50,000 to 400,000, more preferably 100,000 to 250,000. If the molecular weight is 50,000 or more, suitable practical physical properties are exhibited. On the other hand, if it is not more than 400,000, the melt viscosity does not become too high and good moldability is exhibited.
Typical lactic acid-based resins include the Lacty series manufactured by Shimadzu Corporation, the Laceia series manufactured by Mitsui Chemicals, and the Nature Works series manufactured by Cargill Dow.
[0019]
(Polycaprolactone)
As polycaprolactone (also referred to as “PCL”), for example, a product obtained by ring-opening polymerization of a cyclic monomer ε-caprolactone can be used, and specific products include Cell Green series manufactured by Daicel Chemical Industries, Ltd. No.
However, PCL obtained by another manufacturing method can be used. In addition, the structure of the terminal sealing is not particularly limited.
The number average molecular weight of the polycaprolactone that can be used in the present invention is in the range of 5,000 to 1,000,000, preferably 5,000 to 200,000.
[0020]
(Plasticizer)
The dissolution parameter (SP value) of the plasticizer used in the present invention is closer to the SP value of polycaprolactone than the intermediate value between the SP value of the lactic acid-based resin and the SP value of polycaprolactone, that is, lower than the intermediate value. preferable. Among them, it is more preferable that the SP value is lower than the SP value of polycaprolactone. For example, the lactic acid-based resin has an SP value of 11.12 (cal / cm 3 ) 1/2 And the SP value of polycaprolactone is 10.18 (cal / cm 3 ) 1/2 In this case, the SP value of the plasticizer is preferably lower than the intermediate value of 10.65, and more preferably lower than 10.18.
In fact, in consideration of the difference in SP value due to the difference in the structure of the lactic acid resin or polycaprolactone, the more preferable range of the SP value of the plasticizer is 8.5 to 10 (cal / cm). 3 ) 1/2 Especially 8.8 to 9.2 (cal / cm 3 ) 1/2 It is. 10 (cal / cm 3 ) 1/2 If it is below, since the compatibility between the plasticizer and the polycaprolactone is high, the plasticizer hardly migrates to the lactic acid-based resin at the time of melt-kneading, and the required effect of improving rupture resistance can be obtained. The SP value is 8.5 (cal / cm) 3 ) 1/2 Above is practically preferable because there is no bleed out of the plasticizer.
[0021]
SP value is 8.5 to 10 (cal / cm 3 ) 1/2 Specific examples of the plasticizer in the range are dibutyl adipate, diisobutyl adipate, diisononyl adipate, diisodecyl adipate, di (2-ethylhexyl) adipate, di (n-octyl) adipate, di (n-octyl) adipate ( n-decyl), dibutyl diglycol adipate, dibutyl sebacate, di (2-ethylhexyl) sebacate, di (n-hexyl) azelate, di (2-ethylhexyl) azelate, di (2-ethylhexyl) dodecandionate ), Phthalic acid esters such as diisononyl phthalate, diisodecyl phthalate, di (2-ethylhexyl) phthalate, and trimellitic acid esters such as tri (2-ethylhexyl) trimellitate.
[0022]
The proportion of the plasticizer in the polycaprolactone is preferably 5 to 25% by mass, particularly preferably 10 to 20% by mass. When the content is within the range of 5 to 25% by mass, the polycaprolactone can be sufficiently plasticized, and the influence on the lactic acid-based resin can be suppressed.
[0023]
(Blending ratio)
In the lactic acid-based resin composition of the present invention, the content ratio of the lactic acid-based resin and the plasticized polycaprolactone is preferably 80:20 to 95: 5, more preferably 82:18 to 92: 8 by mass ratio.
Since the effect of improving the impact resistance of polycaprolactone can be sufficiently improved by orienting and plasticizing a plasticizer having a predetermined SP value, even if the blending amount of polycaprolactone is reduced as described above, The desired effect of improving the rupture resistance can be obtained, and the lactic acid resin composition can have an improved rupture resistance without impairing the inherent heat resistance and transparency of the lactic acid resin.
[0024]
(Other components)
Additives such as a heat stabilizer, an antioxidant, a UV absorber, a light stabilizer, a pigment, a colorant, a lubricant, a nucleating agent, and an inorganic filler can be formulated as long as the effects of the present invention are not impaired.
[0025]
(Lactic acid-based resin composition)
The lactic acid-based resin composition of the present invention can be formed into various molded articles, for example, sheets, films, containers, etc., by injection molding, injection compression molding, extrusion molding, blow molding, press molding, foam molding, and the like. Can be molded.
In addition, the lactic acid-based resin composition of the present invention preferably has sufficiently improved rupture resistance while maintaining heat resistance. As an index for this purpose, the storage elastic modulus (E ′) at 50 ° C. is 1. It is preferably at least 0 GPa, especially at least 1.2 GPa.
[0026]
(Production method)
Next, a method for producing a lactic acid-based resin composition of the present invention will be described, particularly focusing on a method for producing a lactic acid-based resin sheet.
[0027]
In the method for producing a lactic acid-based resin composition of the present invention, the plasticizer may be previously mixed with polycaprolactone and then mixed with the lactic acid-based resin, but in the case of the present invention, the lactic acid-based resin, polycaprolactone and Even if the plasticizer is mixed at the same time, the same effect as in the case where the plasticizer is previously mixed with polycaprolactone can be obtained.
That is, the SP value of the plasticizer is set to a value closer to the SP value of polycaprolactone, preferably a lower value than the SP value of polycaprolactone, and specifically, a preferable value is 8.5 to 10 (cal / cm). 3 ) 1/2 By setting, the plasticizer selectively dissolves in polycaprolactone having a close SP value, so that the polycaprolactone is selectively plasticized and swelled in the same manner as in the case where the plasticizer is previously blended with polycaprolactone, and the lactic acid-based Rupture resistance can be improved without impairing the heat resistance of the resin composition.
[0028]
Here, FIG. 1 and FIG. 2 are diagrams showing the viscoelastic behavior when a lactic acid-based resin, polycaprolactone and a plasticizer are simultaneously mixed, and FIG. 1 shows the loss elasticity in a low temperature region (-150 to 0 ° C.). FIG. 2 shows the behavior of the polycaprolactone near the glass transition point (Tg). FIG. 2 shows the behavior of the loss elastic modulus E ″ in the high temperature region (around 0 to 120 ° C.). The behavior near the glass transition point (Tg) is shown. The detailed test conditions and the like will be described in the following viscoelastic behavior test items.
[0029]
According to the test results, as shown in FIG. 1, even when a lactic acid-based resin, polycaprolactone and a plasticizer were simultaneously added, the peak area of the loss elastic modulus E ″ of polycaprolactone was increased. This indicates that the plasticizer was dissolved in the polycaprolactone, and there was a correlation between the peak area of the loss modulus E ″ at low temperature and the rupture resistance, and the addition of the plasticizer improved the rupture resistance. You can see that it is.
On the other hand, as shown in FIG. 2, since the E ″ peak temperature (Tg) of the lactic acid-based resin hardly decreases, even if the lactic acid-based resin, polycaprolactone and the plasticizer are mixed at the same time, the plasticizer remains It can be seen that it hardly dissolves in the lactic acid-based resin, its glass transition point does not decrease, and heat resistance is maintained.
From this, it is possible to selectively plasticize and swell polycaprolactone by simultaneously using a lactic acid-based resin, polycaprolactone and a plasticizer by using a plasticizer having a SP value in the range of the present invention. It turns out that the gist of the invention is satisfied.
[0030]
Mixing of the lactic acid-based resin and polycaprolactone can be performed by charging the respective raw materials into the same extruder. Specifically, a method of directly producing a film by directly extruding from a die of an extruder, or a method of extruding into a strand shape to produce a pellet, and then again producing a film using an extruder can be adopted. . In any of the methods, it is necessary to consider a decrease in the molecular weight due to decomposition of the raw material, but it is preferable to select the latter for uniform mixing.
[0031]
It is preferable that the lactic acid-based resin and the polycaprolactone are sufficiently dried to remove water, and then melted by an extruder.
The lactic acid-based resin appropriately adjusts the melt extrusion temperature in consideration of the fact that the melting point changes depending on the composition ratio of the L-lactic acid structure and the D-lactic acid structure, and that the melting point of the resin composition changes depending on the mixing ratio of polycaprolactone. It is preferable to select. In practice, a temperature range of 100-250 ° C. is usually chosen.
[0032]
When manufacturing a lactic acid-based resin sheet having a multilayer structure, a commonly used multilayer method can be employed. For example, a method in which the material of each layer is introduced into one die by a feed block method or a multi-manifold method from a plurality of extruders (so-called co-extrusion method). One sheet is formed and wound into a roll. And a method of unwinding the sheet from a roll and forming a surface layer on the surface of the sheet by thermocompression bonding using a roll or a press plate.
[0033]
It is preferable that the melt-formed sheet is brought into contact with a rotating casting drum (cooling drum) and rapidly cooled.
It is preferable to appropriately select the mixing ratio of the lactic acid-based resin and polycaprolactone and the properties of these resins. For example, the temperature of the casting drum is preferably set to 60 ° C. or less. If the temperature of the casting drum is lower than 60 ° C., there will be no inconvenience that the sheet sticks to the casting drum and cannot be pulled off, or crystallization of the lactic acid-based resin portion is accelerated and the drawing cannot be performed. Therefore, it is preferable to rapidly cool the casting drum at a temperature of 60 ° C. or lower to make the lactic acid-based resin portion substantially amorphous.
[0034]
The obtained sheet may be uniaxially or biaxially stretched to further impart impact resistance and heat resistance. As the stretching method, a commonly employed stretching method can be adopted. For example, a roll stretching method in which a sheet is stretched between two rolls having a difference in peripheral speed, and / or a tenter stretching method in which a tenter is used to stretch a clip row while stretching a clip row while gripping the sheet with clips. Is an industrially preferred method.
After stretching, if it is used for non-shrink film, heat treatment is performed as in a normal heat-fixed polyethylene terephthalate film, and if it is used for shrink film, a low temperature zone from room temperature to 60 ° C. Cooling is quickly performed by passing through, and the stretching strain is fixed so as to exhibit heat shrinkage. The stretching ratio of the sheet can be appropriately selected in the range of 1.2 to 6.0 times, preferably 1.3 to 5.0 times in each direction, and the stretching temperature can be appropriately selected in the range of 60 to 160 ° C.
[0035]
The obtained lactic acid-based resin sheet has excellent properties such as biodegradability, low burning calorie, and no generation of harmful gas during burning, which are characteristics of the lactic acid-based resin, and has good transparency and resistance. Has breakability and the like.
[0036]
(Comparative test 1)
Hereinafter, the configuration of the present invention will be specifically described using examples and comparative examples. Note that the present invention is not limited by the matters described below.
[0037]
The storage elastic modulus at 50 ° C. as heat resistance evaluation, elongation as impact resistance evaluation, and haze as transparency evaluation were measured under the following conditions.
[0038]
(Storage modulus E ')
Using a viscoelastic spectrometer VES-F3 manufactured by Iwamoto Seisakusho Co., Ltd., the measurement was performed in the width direction of the film at a vibration frequency of 10 Hz and a temperature of 50 ° C. A practical standard is that E ′ at 50 ° C. is 1 GPa or more.
[0039]
(Elongation)
A tensile test was performed based on JIS K 7127 to measure the yield strength, and the strength and elongation at break. Using a No. 2 test piece as a test sample, measurement was performed five times at a pulling speed of 100 mm / min, and the average value was determined. The practical standard was that the elongation was 100% or more.
[0040]
(Haze)
Based on JIS K 7105, the total light transmittance and the diffuse transmittance were obtained, and were calculated by the following equation (1). The practical standard was that the haze at a thickness of 100 μm was 50% or less.
Haze (%) = diffuse transmittance / total light transmittance × 100 (1)
[0041]
Next, a method for preparing the lactic acid-based resin composition used in the examples will be described.
[0042]
(Example 1)
Using cell green P-H7 (SP value: 10.18) manufactured by Daicel Chemical Industries, Ltd. as polycaprolactone and diisodecyl adipate (DIDA, SP value 8.95) manufactured by Taoka Chemical Co., Ltd. as a plasticizer, P-H7, and And DIDA were mixed at a mass ratio of 75:25, and compounded at 190 ° C. using a 40 mmφ small co-rotating twin screw extruder manufactured by Mitsubishi Heavy Industries to obtain pelletized plasticized polycaprolactone.
Next, using NatureWorks 4031D (L-lactic acid / D-lactic acid = 98.5 / 1.5, weight average molecular weight 200,000, SP value: 11.12) manufactured by Cargill Dow as a lactic acid-based resin, The plasticized polycaprolactone was mixed at a mass ratio of 90:10, and compounded at 190 ° C. using a 40 mmφ small co-rotating twin screw extruder manufactured by Mitsubishi Heavy Industries to obtain pellets.
The obtained pellets were extruded at a barrel temperature of 200 ° C. from a T-die using a 110 mmφ single screw extruder manufactured by Mitsubishi Heavy Industries, and rapidly cooled to 35 ° C. with a casting roll to obtain a 200 μm thick sheet. The resulting sheet was evaluated for glass transition temperature, elongation, and haze. Table 1 shows the results.
[0043]
(Example 2)
NatureWorks 4031D, P-H7, and DIDA were mixed at a mass ratio of 80: 18: 2, and a sheet was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1. Table 1 shows the results.
[0044]
(Example 3)
After mixing and compounding P-H7 and DIDA at a mass ratio of 75:25 to produce plasticized polycaprolactone, NatureWorks 4031D and plasticized polycaprolactone were mixed at a mass ratio of 80:20, and the process was performed. A sheet was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1. Table 1 shows the results.
[0045]
(Example 4)
As a plasticizer, dibutyl sebacate (DBS: SP value 9.08) manufactured by Taoka Chemical Industry Co., Ltd. was used, and P-H7 and DBS were mixed and compounded at a mass ratio of 90:10, and plasticized polycaprolactone was obtained. Was prepared, and NatureWorks 4031D and plasticized polycaprolactone were mixed at a mass ratio of 80:20, and a sheet was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1. Table 1 shows the results.
[0046]
(Example 5)
As a plasticizer, tri- (2-ethylhexyl) trimellitate manufactured by Taoka Chemical Industry Co., Ltd. (TOTM: SP value 9.26) was used, and P-H7 and TOTM were mixed at a mass ratio of 90:10, and the compound was mixed. Then, after plasticized polycaprolactone was prepared, NatureWorks 4031D and plasticized polycaprolactone were mixed at a mass ratio of 80:20, and a sheet was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1. Table 1 shows the results.
[0047]
[Table 1]
[0048]
(Comparative Example 1)
NatureWorks4031D and P-H7 were mixed at a mass ratio of 80:20, and a sheet was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1. Table 2 shows the results.
[0049]
(Comparative Example 2)
After mixing and compounding P-H7 and DIDA at a mass ratio of 50:50 to prepare plasticized polycaprolactone, NatureWorks 4031D and plasticized polycaprolactone were mixed at a mass ratio of 80:20, and the process was performed. A sheet was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1. Table 2 shows the results.
[0050]
(Comparative Example 3)
Using dimethyl phthalate (DMP: SP value 10.80) manufactured by Kurokin Chemical Co., Ltd. as a plasticizer, P-H7 and DMP were mixed at a mass ratio of 90:10, compounded, and plasticized polycaprolactone. Was prepared, and NatureWorks 4031D and plasticized polycaprolactone were mixed at a mass ratio of 80:20, and a sheet was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1. Table 2 shows the results.
[0051]
(Comparative Example 4)
After mixing and compounding P-H7 and DIDA at a mass ratio of 90:10 to produce plasticized polycaprolactone, NatureWorks 4031D and plasticized polycaprolactone were mixed at a mass ratio of 70:30, and the process was performed. A sheet was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1. Table 2 shows the results.
[0052]
[Table 2]
[0053]
As is clear from Table 1, the sheets of Examples 1 to 5 have E ′ at 50 ° C. of 1.0 GPa or more, an elongation of 100% or more, and a haze at a thickness of 100 μm of 50% or less. It turned out that it was excellent in impact resistance and transparency. In addition, since the sheets of Examples 1 to 5 are biodegradable, they are excellent from the viewpoint of environmental protection.
On the other hand, the sheets of Comparative Examples 1 and 3 have E ′ at 50 ° C. of 1.0 GPa or more and a haze at a thickness of 100 μm of 50% or less, and are excellent in heat resistance and transparency, but have an elongation of less than 100%. And had poor impact resistance. Although the sheet of Comparative Example 2 was excellent in impact resistance and transparency, E ′ at 50 ° C. was less than 1.0 GPa, and was inferior in heat resistance. Although the sheet of Comparative Example 4 was excellent in heat resistance and impact resistance, the haze at a thickness of 100 μm exceeded 50% and was poor in transparency. As described above, in Comparative Examples 1 to 4, one or more of heat resistance, impact resistance, and transparency was impractical.
[0054]
(Comparative test 2: Viscoelastic behavior test)
In order to examine the viscoelastic behavior when a lactic acid-based resin, polycaprolactone and a plasticizer were simultaneously mixed (Example), loss elastic modulus E ″ was measured and compared using Examples and Comparative Examples.
[0055]
(Measurement of loss elastic modulus E ")
Using a viscoelastic spectrometer VES-F3 manufactured by Iwamoto Seisakusho Co., Ltd., the measurement was performed in the width direction of the film at a vibration frequency of 10 Hz, a temperature of -150 to 150 ° C., and a heating rate of 3 ° C./min.
[0056]
(Example 6)
NatureWorks4031D (L-lactic acid / D-lactic acid = 98.5 / 1.5, weight average molecular weight 200,000, SP value: 11.12) manufactured by Cargill Dow as a lactic acid-based resin, Daicel Chemical Industries as polycaprolactone Cell Green P-H7 (SP value: 10.18) manufactured by Taoka Chemical Industry Co., Ltd. and di-2-ethylhexyl adipate (DOA, SP value: 9.00) as a plasticizer at a mass ratio of 80: 20: 2. At the same time, the mixture was mixed at a rate of 190 ° C. using a 40 mmφ small co-rotating twin screw extruder manufactured by Mitsubishi Heavy Industries to obtain pellets.
The obtained pellets were extruded at a barrel temperature of 200 ° C. from a T-die using a 110 mmφ single screw extruder manufactured by Mitsubishi Heavy Industries, and rapidly cooled to 35 ° C. with a casting roll to obtain a 200 μm thick sheet.
The loss elastic modulus (E ″) of the obtained sheet was measured, and the results are shown in FIG. 1 and FIG.
[0057]
(Example 7)
A sheet was produced in the same manner as in Example 6, except that the mixing ratio of the lactic acid-based resin, polycaprolactone and the plasticizer was changed to a mass ratio of 80: 20: 5, and the loss elastic modulus (E ″) was obtained for the obtained sheet. Was measured, and the results are shown in FIGS. 1 and 2.
[0058]
(Comparative Example 5)
A sheet was manufactured in the same manner as in Example 6, except that the mixing ratio of the lactic acid-based resin, polycaprolactone and the plasticizer was changed to a mass ratio of 80: 20: 0, and a loss elastic modulus (E ″) was obtained for the obtained sheet. Was measured, and the results are shown in FIGS.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a view showing a loss elastic modulus E ″ in a low temperature range (−150 to 0 ° C.) in a viscoelastic behavior test.
FIG. 2 is a view showing a loss elastic modulus E ″ in a high temperature range (about 0 ° C. to 120 ° C.) in a viscoelastic behavior test.
Claims (5)
ポリカプロラクトンを可塑化する可塑剤は、その溶解パラメータ(SP値)が乳酸系樹脂のSP値とポリカプロラクトンのSP値の中間値よりもポリカプロラクトン寄りであることを第2の特徴とし、
乳酸系樹脂とポリカプロラクトンとの含有割合が質量比で80:20〜95:5であることを第3の特徴とする乳酸系樹脂組成物。The first feature is to contain a lactic acid-based resin and polycaprolactone plasticized by a plasticizer,
The plasticizer that plasticizes polycaprolactone has a second feature that the solubility parameter (SP value) is closer to polycaprolactone than the intermediate value between the SP value of the lactic acid-based resin and the SP value of polycaprolactone.
A lactic acid-based resin composition according to a third feature, wherein a content ratio of the lactic acid-based resin and the polycaprolactone is from 80:20 to 95: 5 by mass ratio.
当該可塑剤は、その溶解パラメータ(SP値)が乳酸系樹脂のSP値とポリカプロラクトンのSP値の中間値よりもポリカプロラクトン寄りであることを第2の特徴とし、
当該可塑剤は、ポリカプロラクトンを可塑化することを第3の特徴とする乳酸系樹脂組成物の製造方法。The first feature is to simultaneously mix a lactic acid-based resin, a plasticizer and polycaprolactone,
The plasticizer has a second feature that its solubility parameter (SP value) is closer to polycaprolactone than an intermediate value between the SP value of the lactic acid-based resin and the SP value of polycaprolactone,
The method for producing a lactic acid-based resin composition according to a third feature, wherein the plasticizer plasticizes polycaprolactone.
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