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JP2004259829A - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】信頼性が高く、半導体ウエハの温度の分布を調節できるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】電極ブロックの温度を冷媒の循環により制御し、半導体ウエハWの温度を制御する方式の保持ステージSを備えたプラズマ処理装置Pにおいて、前記保持ステージSを循環する冷媒は、第1の温度制御装置50と温度制御するペルチェ効果を利用したデバイスからなる第2の温度制御装置10によって温度制御され、複数の温度差のある冷媒として保持ステージSに供給され、半導体ウエハの温度の分布を信頼性高く調節できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造プロセス等の微細加工に適用されるプラズマ処理装置に係わり、特に、半導体ウエハを載置するための保持ステージを備えたプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の半導体素子の高集積化に伴い、回路パターンは微細化の一途をたどっており、要求される加工寸法精度はますます厳しくなってきている。しかも、スループット向上、被処理物の大面積化への対応が要求されており、プラズマ処理装置においては、処理中における半導体ウエハの温度制御性が極めて重要になっている。
【0003】
例えば、高アスペクト比(細くて深い溝)が要求されるエッチングプロセスにおいては、異方性エッチングが要求され、これを実現するために側壁を有機ポリマで保護しながらエッチングを行うプロセスが用いられるが、プラズマ処理装置ではプロセスガスの排気特性上、この反応生成物は半導体ウエハ外周付近よりも半導体ウエハ中心で多い分布となり易く、この結果、半導体ウエハ中心では外周付近に比べてエッチングレートが低くなり、半導体ウエハ面内のエッチング形状がウエハ面内でばらついてしまう問題がある。
【0004】
ここで、これを改善する方法としては、たとえば、半導体ウエハの面内温度を任意に中高型や外高型して反応生成物の分布を相殺することができる。
【0005】
ところで、放電体ウエハの温度制御は、当該ウエハが載置される静電吸着電極(保持ステージ)の表面温度の制御により実現するのが一般的であり、このような処理中の半導体ウエハの温度制御に対処するために、保持ステージを構成する金属製の静電吸着用電極ブロック内に冷媒の流量を制御できる独立した複数個の冷媒流路を設け、電極ブロックの表面には誘電体膜を設けた構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、半導体ウエハの面内温度分布を制御するために、静電吸着電極の内部に2系統の冷媒流路を同心円上に設け、外側の冷媒流路には相対的に低温の冷媒、内側の冷媒流路には相対的に高温の冷媒を循環させる構造も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−216140号公報
【特許文献2】
特開平9−17770号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1は、プラズマエッチング中の半導体ウェハの温度を、面内で均一に、又は半導体ウエハの面内で任意に中高形や外高形にすることは可能であるが、冷媒の流量をコントロールして面内の温度を任意に制御する構造となっているため、任意に設定できる半導体ウエハ面内の温度差に制限があった。これは、静電吸着電極表面の温度が、プラズマからの入熱量と冷媒の流量の変化によって決まる流路表面での熱通過率から規定されるためである。
【0009】
一方、特許文献2は、特許文献1と同様に半導体ウエハにおける面内の温度の分布を、所望の値の分布に、例えば中高形や外高形にすることは可能である。しかしながら、冷媒の温度を制御する装置の構成についての配慮が不十分である。すなわち、特許文献1では、冷媒配管が多数必要となってしまい処理装置が複雑になり、信頼性が低下したり、装置の製造コストや運転コストが増大してしまうという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、信頼性が高く、半導体ウエハの温度の分布を調節できるプラズマ処理装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、電極ブロックの温度を冷媒の循環により制御し、半導体ウエハの温度を制御する方式の保持ステージを備えたプラズマ処理装置において、前記保持ステージの温度は温度が異なる複数の冷媒の循環によって温度制御され、かつ冷媒の温度は第1の温度制御装置とペルチェ効果を利用したデバイスからなる第2の温度制御装置によって制御される。また、前記第1の温度制御装置から排出した冷媒が分割し、分割した冷媒の一方がペルチェ効果を利用したデバイスの発熱側を流入して加熱され、もう一方が前記デバイスの吸熱側を流入して冷却される温度制御を行うようにしてもよいことを特徴とするプラズマ処理装置。これによりシステムを簡略化できる。
【0012】
また、このとき、前記分割した冷媒のそれぞれの温度は、第1の温度制御装置の温度制御値を中心として、ほぼ均等の値に加熱、冷却された温度である。さらに、前記、加熱及び冷却された冷媒のそれぞれが電極ブロック内を独立して流れ、さらに電極ブロックより排出後の冷媒は、合流して第1の温度制御装置に戻ることで達成される。これにより、第1の温度制御装置に付加される入熱量が小さくなり、システムを小型化できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるプラズマ処理装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態にかかるプラズマ処理装置Pの構成の概要を説明する概略図であり、図2は、このプラズマ処理装置Pにおいて、半導体ウエハWの保持ステージSとして搭載される静電吸着電極Sの一部断面による斜視図である。なお、この保持ステージは、一般に静電吸着電極と呼ばれているものであり、よって、以下、この保持ステージを静電吸着電極Sと記載することにする。
【0015】
この実施例は、プラズマ生成手段にマイクロ波と磁界を利用したマイクロ波プラズマエッチング装置の例である。マイクロ波はマグネトロンで発振され、導波管を経て石英板を通過して処理室へ入射される。処理室の周りにはソレノイドコイルが設けてあり、これより発生する磁界と、入射してくるマイクロ波により電子サイクロトロン共鳴を起こす。これによりプロセスガスは、効率良く高密度にプラズマ化される。処理ウエハWは、搬送アームにより処理室内に出し入れされて、静電吸着電極Sに搭載され静電吸着電源から直流電圧を印加することで、静電吸着力により静電吸着電極Sに固定される。また、静電吸着電極Sには高周波電源が接続してあり、高周波電力を印加して、プラズマ中のイオンにウエハに対して垂直方向の加速電位を与える。エッチング後のガスは排気口から、ターボポンプ・ドライポンプ(図省略)により排気される。
【0016】
静電吸着電極Sの裏面には、冷媒を流す分離された複数系統の流路が設けられており、冷媒温度制御装置50によって温度制御された冷媒が分岐され、ペルチェ効果を用いた第2の温度制御装置によって微小な温度差が設定差れて、分離された流路に供給される。
【0017】
この静電吸着電極Sは、図2に示すように、アルミニウム製の電極ブロック1と、ステンレス製のガイド部材2、ベース部材3、誘電体膜4、それにセラミックス製の電極カバー5で構成され、例えば12インチ(直径300mm)の半導体ウエハWを対象とした場合、電極ブロック1の直径が320mmで、全体の厚さが45mmになるように作られている。
【0018】
この静電吸着電極Sには、ベース部材3も含め、電極ブロック1とガイド部材2を貫通して伝熱用のHeガスを導入するためのガス導入穴6が設けられている。電極ブロック1の表面には、高純度のアルミナからなる厚さ0.1mmの誘電体膜4が形成されている。この誘電体膜4には、図2に示すように、ガス導入孔6に連通して放射状に伸びる直線状のスリット41と、これに連通した複数の同心円状のスリット42が設けてある。これにより、静電吸着電極Sの上に半導体ウエハWが載置されたとき、誘電体膜4と半導体ウエハWの間隙に、ガス導入孔6から熱伝導のためのHeガスが導入される。電極ブロック1内には、その下面に、図3に示すように、スパイラル状に配置された冷媒の流路11,12が内径側と外径側に分けて形成してあり、それらの間には、略同心円状の熱伝達抑制用のスリット13が形成してある。ここで、流路11,12の配列形状は、図3に示したものに限らず、例えば冷媒が相互に単体に向かって半円方向に分かれて流れていても良い。
【0019】
電極ブロック1内の各冷媒の流路11,12及びスリット13の開放部は、電極ブロック1の下面に接するガイド部材2をろう付して重ねられることにより、塞がれるようになっている。電極ブロック1の各冷媒の流路11,12には、各々、冷媒の導入部11A,12Aと、排出部11B,12Bが設けてあり、これにより、各冷媒の流路は温度制御用の冷媒を通流させるために互いに独立した熱媒体流路として働かせることができるように構成してある。そして、各流路11,12の導入部11A,12Aには、第1の冷媒温度制御装置50から排出した冷媒が静電吸着電極Sの直下にて分配し、さらにペルチェ効果を利用した第2の温度制御装置10により所定の温度に制御された異なる温度の冷媒が流入される。
【0020】
分流した冷媒は、冷媒の一方がペルチェ効果を利用したデバイスの発熱側を流入し、もう一方がデバイスの吸熱側を流れて静電吸着電極S内に流入する。すなわち、流入する冷媒の温度は、一方が冷媒温度制御装置50の温度に比べ高く、もう一方は低くい温度となっている。温度静電吸着電極Sに流入した冷媒は、電極ブロック内1を循環後、冷媒の排出部11B,12Bから排出し、排出した冷媒は静電吸着電極Sの直下にて合流して冷媒温度制御装置50に戻る。
【0021】
次に、この実施形態によるプラズマ処理装置Pの動作原理について説明する。搬送アームを用いて半導体ウエハWを載置後、処理室内に塩素やフッ素系のガスを導入し、マグネトロンで発生させたマイクロ波を処理室内に照射し、プラズマを励起させ、ソレノイドコイルで発生させた磁界によりプラズマ分布と密度を制御する。そして、この動作とほぼ同時に電極ブロック1に直流電圧と高周波を印加して、半導体ウエハWの温度を制御しながら、エッチングを行うものである。なお、本発明によるプラズマ処理装置の実施形態としては、ここに示したマグネトロンを使用する方式に限らず、他の方式のプラズマ処理装置でも良い。
【0022】
次に、この実施形態における静電吸着電極Sの温度制御の原理について説明する。静電吸着電極Sは、例えば誘電体膜4に高電圧を印加することで生じるクーロン力又はジョンソンランベック力により半導体ウエハWを吸着させるものである。吸着後の該半導体ウエハWと誘電体膜4との間隙には、伝熱用のHeガス(通常1000Pa程度)が導入される。半導体ウエハWの温度は、プラズマからの入熱、Heガスが充填された間隙の熱通過率、電極ブロック1内の熱抵抗、さらに、電極ブロック1を循環する冷媒と電極ブロックとの熱通過率によって規定される。そのため、半導体ウエハの温度を制御するには、静電吸着電極のHeガスの圧力、冷媒の温度、冷媒の流量(電極ブロックとの熱通過率が変わる)を変化する機構を設けてやれば良い。
【0023】
次に、冷媒配管中に設置した第2の温度制御装置10について説明する。図4に第2の温度制御装置10の構成を示す。第2の温度制御装置10は、ペルチェユニット14を挟むようにアルミニウム製の熱伝導板15,16が重なった構造となっている。熱伝導板15,16の中には、鋳込み法により冷媒配管17が埋設されており、ペルチェユニットの熱を冷媒に効率よく伝えることができる。また、熱伝導板15,16には、冷却フィンが形成された冷却プレート18が締結されており、その近傍には冷却ファン19が設置されている。なお、図中では熱伝導板16と連結している冷却プレートと冷却ファンは省略している。
【0024】
図5にペルチェユニットの概念図を示す。ペルチェユニットはP型半導体20とN型半導体21を交互に配置したもので、P型半導体20とN型半導体21は電極板21A,21Bで電気的に直列に接続されている。また、電極板21A,21Bには熱伝導性に優れた接着層23を介して絶縁性の放熱板(ALN)24が接着されている。
【0025】
このような構成のペルチェユニットに直流電流を流すことで、電極板21A,21Bは加熱、冷却される。これは、電子エネルギが半導体から金属(導電性材料)に伝達される際に生じる電子のエネルギーの過不足度合いが温度変化となって生じる現象(ペルチェ効果)を利用したもので、放熱面では吸熱面で吸収した熱量と投入電力を加算した熱量が放出する。このようなペルチェユニットでは直流電流の方向を逆転すれば、吸熱と放熱面が逆転する。
【0026】
次に冷媒の流入経路について説明する。冷媒温度制御装置50で所定の温度に設定された冷媒は配管を流れ、流量計を内蔵した流量制御用のバルブにより冷媒が分割され第2の温度制御装置10に流入する。流入した冷媒はそれぞれ熱伝導板15又は熱伝導板16内を循環して、ペルチェ効果によって生じる吸熱、放熱現象で冷却、加熱される。その後、静電吸着電極S内を循環して、静電吸着電極Sより排出した冷媒は合流して、冷媒温度制御装置50に戻る。ここで、第2の温度制御装置10には制御回路が搭載され、熱伝導板15又は熱伝導板16内を流入して冷却、加熱された冷媒の温度を温度センサでモニターしながら、ペルチェユニットに負荷する電流量を制御している。なお、上述したように、放熱面では吸熱面で吸収した熱量と投入電力を加算した熱量が放出するため、冷却ファン19又は水冷で冷却する必要がある。
【0027】
このような構成により、冷媒の温度を自在に可変することができる。一例であるが、冷媒の流量を4L/minで循環させて、2L/minに分割した冷媒を加熱、冷却するために、第2の温度制御装置に500Wのエネルギを負荷して5℃の温度変化を生じさせることができた。すなわち、静電吸着電極S内を循環する冷媒の温度差は10℃とすることができる。
【0028】
以上の通り、本実施例によれば、電極ブロックの温度を冷媒の循環により制御し、半導体ウエハの温度を制御する方式の保持ステージを備えたプラズマ処理装置において、前記保持ステージの温度制御装置は、冷媒の温度を制御する第1の温度制御装置と、前記第1の温度制御装置の冷媒を分割した配管中に設けたペルチェ効果を利用したデバイスからなる第2の温度制御装置によって構成している。また、このとき、前記分割した冷媒は、ペルチェ効果を利用して、その発熱側と吸熱側それぞれの面に配置された冷媒管内を流れて、それぞれ熱交換が行われて、その温度の調節が行われる。
【0029】
この結果、従来比べより簡便な構成で冷媒の温度を調節することができ、かつ電極ブロックにおけるウエハ面内方向の温度の分布を、例えば、ウエハの中央部側を高くウエハ外周部側を低くなるように、調節できる。さらに、上記の実施例での分割した冷媒のそれぞれの温度は、第1の温度制御装置の温度制御値を中心として、ほぼ均等の値に加熱、冷却された温度であり、加熱及び冷却された冷媒のそれぞれが電極ブロック内を独立して流れ、さらに流入後の冷媒は電極ブロックの外で合流した後、第1の温度制御装置に戻る。これにより、冷却及び加熱されるために負荷したエネルギーが相殺されるので、第1の温度制御装置に付加される入熱量は、プラズマからによるものだけとなり、エネルギー効率的に優れたシステムとなる。また、これにより、冷媒配管をより少なく簡単にするにすることができ、温度制御装置を小型化できる。
【0030】
このようにして、半導体ウエハの温度制御を任意にでき、かつ均一なエッチングにも容易に対応できるので、半導体素子の歩留まりが大きく向上でき、コストの低減を充分に得ることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、信頼性が高く、半導体ウエハの温度の分布を調節できるプラズマ処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマ処理装置を示す概略図。
【図2】本発明の静電吸着電極を説明する断面図。
【図3】本発明の静電吸着電極内を流れる冷媒を説明する模式図。
【図4】本発明のペルチェ効果を利用した温度制御装置の構成を示す概略図。
【図5】本発明のペルチェユニットの概念図。
【符号の説明】
1…電極ブロック、2…ガイド部材、3…ベース部材、4…誘電体膜、5…電極カバー、6…ガス導入穴、7…半導体ウエハ、8…マグネトロン、9…マイクロ波、10…第2の温度制御装置、11…流路、11A…冷媒の導入部、11B…冷媒の排出部、12…流路、12A…冷媒の導入部、12B…冷媒の排出部、13…スリット、14…ペルチェユニット、15…熱伝導板、16…熱伝導板、17…冷媒配管、18…冷却プレート、19…冷却ファン、20…P型半導体、21…N型半導体、21A…電極板、21B…電極板、23…接着層、24…放熱板、50…冷媒温度制御装置。

Claims (4)

  1. 電極ブロックの温度を温度が異なる複数の冷媒の循環により制御し、半導体ウエハの温度を制御する方式の保持ステージを備えたプラズマ処理装置において、
    前記保持ステージを循環する冷媒は、温度が異なる複数の冷媒の循環によって温度制御第1の温度制御装置と温度制御するペルチェ効果を利用したデバイスからなる第2の温度制御装置によって温度制御されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 請求項1記載のプラズマ処理装置において、前記第1の温度制御装置から排出した冷媒が分割し、分割した冷媒の一方がペルチェ効果を利用したデバイスの発熱側を流入して加熱され、もう一方が前記デバイスの吸熱側を流入して冷却される温度制御を行うことを特徴とするプラズマ処理装置。
  3. 請求項1または請求項2記載のプラズマ処理装置において、前記第1の温度制御装置から排出後に分割した冷媒のそれぞれの温度は、第1の温度制御装置の温度設定値を中心として、ほぼ均等の値に加熱、冷却された温度であることを特徴とするプラズマ処理装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置において、前記ペルチェ効果を利用したデバイスからなる第2の温度制御装置で所定の温度に制御された冷媒は、電極ブロック内を独立して流れ、さらに電極ブロックから排出後、合流して第1の温度制御装置に戻ることを特徴とするプラズマ処理装置。
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