JP2004251253A - 内燃機関の自動停止始動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】機関停止前にブースト圧を好適に確保することにより、自動停止中のブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることのできる内燃機関の自動停止始動制御装置を提供する。
【解決手段】吸気通路内の吸気圧をブースト圧PBとして利用するブレーキブースタを備えた車両に搭載される内燃機関は、同機関を自動停止及び自動始動させる自動停止始動制御装置を備える。自動停止始動制御装置は、少なくともブレーキブースタ内のブースト圧PBが予め設定された停止許可圧PS以下であることをその一つとして含む機関停止条件が成立したときに内燃機関を自動停止させる。また、少なくともブレーキブースタ内のブースト圧PBが予め設定された始動要求圧PO以上であることをその一つとして含む機関始動条件が成立した場合に内燃機関を自動始動させる。機関停止条件の一つとして設定される停止許可圧PSは始動要求圧POから所定値KP1よりも低い値に設定する。
【選択図】 図2
【解決手段】吸気通路内の吸気圧をブースト圧PBとして利用するブレーキブースタを備えた車両に搭載される内燃機関は、同機関を自動停止及び自動始動させる自動停止始動制御装置を備える。自動停止始動制御装置は、少なくともブレーキブースタ内のブースト圧PBが予め設定された停止許可圧PS以下であることをその一つとして含む機関停止条件が成立したときに内燃機関を自動停止させる。また、少なくともブレーキブースタ内のブースト圧PBが予め設定された始動要求圧PO以上であることをその一つとして含む機関始動条件が成立した場合に内燃機関を自動始動させる。機関停止条件の一つとして設定される停止許可圧PSは始動要求圧POから所定値KP1よりも低い値に設定する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気負圧をブースト圧として利用することによりブレーキ操作力を増大させるブレーキブースタを備えた車両に搭載された内燃機関にあって、同内燃機関の運転を自動停止または自動始動させる内燃機関の自動停止始動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃費の改善などのために車両の停止時に自動的に内燃機関を停止し、発進操作時等にスタータやモータジェネレータ等を回転させて内燃機関を始動し車両を発進させる自動停止始動装置を備える車両が知られている。また、こうした自動停止始動装置を備える車両を含め、通常、車両には、運転者のブレーキ操作力を増大させる機能、すなわちブレーキアシスト機能を有したブレーキブースタが搭載されている。
【0003】
こうしたブレーキブースタは、内燃機関の吸気通路内(より正確にはスロットル弁から燃焼室までの間の吸気通路内)で発生する負圧、すなわち吸気圧をブースト圧として利用することでブレーキアシストを行うようにしている。
【0004】
このような車両において前述したような内燃機関の自動停止処理が行われると、ブレーキブースタへの負圧供給も停止される。そのため、同機関の自動停止中にあってもブレーキアシストを十分に行うためには、自動停止に先だってブレーキブースタ内のブースト圧を十分確保しておく必要がある。そこで、例えば特許文献1に記載の装置では、内燃機関の自動停止処理を実行する場合、吸気圧とブースト圧との差圧を求め、この差圧が小さければブースト圧として必要な負圧が十分に確保されていると判断して自動停止処理の実行を許可するようにしている。一方、同差圧が大きければブースト圧は不十分であるとして自動停止処理の実行を禁止するようにしている。また、車両停止中、例えば運転者がその姿勢を変えるために、ブレーキペダルを踏み直し、これによりブースト圧が大気圧に近づくと、ブースト圧を確保するために内燃機関を自動始動させるようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−274274号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、吸気圧は、内燃機関の運転状態、例えば、吸気温、点火時期、バルブタイミング、アイドルスピード制御用バルブの状態、あるいは燃焼形態等により変動を受けやすい。そのため、自動停止処理移行前の吸気圧とブースト圧との比較では、そのブースト圧が必要十分なものか否かを精度良く判断することは困難であり、次のような不具合が生じるおそれがある。
【0007】
例えば、ブースト圧が十分に確保されていないにもかかわらず自動停止に入ってしまう場合には、わずかなブレーキペダルの踏み直しなどによってブースト圧が早期に大気圧に近づくようになり、自動始動処理が実行されやすくなる。すなわち自動停止中にもかかわらず、わずかにブレーキ操作を行っただけで自動始動処理が実行されてしまうため、運転者に違和感を与えるおそれがある。
【0008】
この発明はこうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、機関停止前にブースト圧を好適に確保することにより、自動停止中のブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることのできる内燃機関の自動停止始動制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の動力を利用してブレーキ操作力を増大させるブレーキ補助手段を備えた車両にあって、少なくとも前記ブレーキ補助手段のブレーキ補助力が予め設定された停止許可値にあることをその一つとして含む機関停止条件が成立したときに前記内燃機関を自動停止させ、少なくとも前記ブレーキ補助手段のブレーキ補助力が予め設定された始動要求値にあることをその一つとして含む機関始動条件が成立した場合に前記内燃機関を自動始動させる内燃機関の自動停止始動制御装置であって、前記停止許可値と前記始動要求値とは要求制動力に基づいてその乖離度合いが設定されることをその要旨とする。
【0010】
同構成によれば、ブレーキ補助力が停止許可値にあるとき内燃機関の自動停止が許可される。またブレーキ補助力が始動要求値にあるとき同機関の自動始動が要求される。ここで、停止許可値と始動要求値とは要求制動力とに基づいてその乖離度合いが設定される。そのため、停止許可値と始動要求値との間に要求制動力に基づく相互関係が設定され、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることができるようになる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置において、前記ブレーキ補助手段は前記内燃機関の動力を利用して得られるブースト圧を利用するブレーキブースタであって、前記自動停止始動制御装置は、少なくとも前記ブレーキブースタ内のブースト圧が予め設定された停止許可圧にあることをその一つとして含む機関停止条件が成立したときに前記内燃機関を自動停止させ、少なくとも前記ブレーキブースタ内のブースト圧が予め設定された始動要求圧にあることをその一つとして含む機関始動条件が成立した場合に前記内燃機関を自動始動させることをその要旨とする。
【0012】
同構成によれば、上記ブースト圧を利用するブレーキブースタを備える車両にあって、上記請求項1に記載の作用効果を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置において、前記ブレーキ補助手段は吸気通路内に発生する吸気圧をブースト圧として利用することによりブレーキ操作力を増大させるブレーキブースタであって、前記自動停止始動制御装置は、少なくとも前記ブレーキブースタ内のブースト圧が予め設定された停止許可圧以下であることをその一つとして含む機関停止条件が成立したときに前記内燃機関を自動停止させ、少なくとも前記ブレーキブースタ内のブースト圧が予め設定された始動要求圧以上であることをその一つとして含む機関始動条件が成立した場合に前記内燃機関を自動始動させることをその要旨とする。
【0013】
同構成によれば、上記ブースト圧として吸気圧を利用するブレーキブースタを備える車両にあって、上記請求項2に記載の作用効果を得ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置において、前記停止許可圧は要求制動力に基づく一定の固定値だけ前記始動要求圧よりも低い値に設定されることをその要旨とする。
【0014】
同構成によれば、ブースト圧が停止許可圧に到達し、ブレーキブースタ内に負圧が確保された時点で内燃機関の自動停止が許可される。またブースト圧が始動要求圧に到達した時点で、同機関の自動始動が要求され、ブレーキブースタ内の負圧確保が行われる。ここで、停止許可圧は始動要求圧よりも要求制動力に基づく一定の固定値だけ低い値に設定される。そのため、始動要求圧と停止許可圧との間に相互関係が設定され、要求制動力に基づく一定の固定値分に相当するブースト圧が確実に確保される。なお、自動停止後のブレーキ操作に起因するブースト圧の変化を考慮して上記固定値を好適に設定することにより、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることができる。
【0015】
他方、上記請求項4に記載の構成では、例えば、要求される制動力が小さい場合に、要求制動力に対してブースト圧が過剰に確保される場合もあり、この場合には、車両停止後にあって自動停止が実行されるまでの時間が長くなる。この点、請求項5に記載の発明によるように、前記停止許可圧は車両停止時の要求制動力に応じて設定される可変値だけ前記始動要求圧よりも低い値に設定される場合には、要求制動力に応じたブースト圧を好適に確保することができ、自動停止と自動始動とを好適に実行することができるようになる。
【0016】
こうした可変値の設定に際しては、請求項6に記載の発明によるように、前記要求制動力が大きくなるほど前記可変値は大きく設定されるといった態様を採用できる。
【0017】
同構成によれば、ブースト圧を要求制動力に即して確保しつつ、内燃機関の自動停止及び自動始動を好適に実行することができるようになる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の自動停止始動制御装置において、前記始動要求値あるいは始動要求圧は、車両停止時の要求制動力に応じて可変設定されることをその要旨とする。
【0018】
同構成によれば、車両の制動に必要な最低ブレーキ補助力を確保するための始動要求値が、車両停止時の要求制動力に応じて可変設定される。そのため、車両の制動に要するブレーキ補助力を好適に確保することができるようになる。または、車両の制動に必要なブースト圧を確保するための始動要求圧が、車両停止時の要求制動力に応じて可変設定される。そのため、車両の制動に要するブースト圧を好適に確保することができるようになる。
【0019】
こうした要求制動力の設定に際しては、請求項8に記載の発明によるように、前記要求制動力が大きくなるほど前記始動要求値あるいは始動要求圧は低く設定されるといった態様を採用することができる。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項5〜8のいずれかに記載の内燃機関の自動停止始動制御装置において、前記要求制動力はブレーキ操作子の操作量に応じて変化するブレーキ配管系内の圧力に基づいて推定され、前記可変値はこの推定された要求制動力に応じて設定されることをその要旨とする。
【0021】
一般に、車両のブレーキ配管系は油圧回路で構成されており、運転者によってブレーキ操作子が大きく操作量されると、すなわち要求制動力が大きくなると、ブレーキ配管系内の圧力が増大する。そこで上記構成では、上記要求制動力はブレーキ操作子の操作量に応じて変化するブレーキ配管系内の圧力に基づいて推定され、この推定された要求制動力に応じて上記可変値を設定するようにしている。従って上記構成によれば、運転者の要求制動力に応じたブースト圧を確実に確保することができるようになる。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項5〜9のいずれかに記載の内燃機関の自動停止始動制御装置において、前記要求制動力は車両停止位置の路面の傾斜角に基づいて推定され、前記可変値はこの推定された要求制動力に応じて設定されることをその要旨とする。
【0023】
一般に、車両停止位置の路面の傾斜角が大きくなるほど(路面勾配が大きくなるほど)、車両を停止状態に維持するための要求制動力も大きくなる。そこで上記構成では、上記要求制動力は車両停止位置の路面の傾斜角に基づいて推定され、この推定された要求制動力に応じて上記可変値を設定するようにしている。従って上記構成によれば、車両の停止位置における傾斜角に応じたブースト圧を確実に確保することができるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる内燃機関の自動停止始動制御装置を具体化した一実施形態について図1〜図5に基づき、詳細に説明する。
【0025】
図1は、この自動停止始動制御装置が適用されるエンジン2とともに、その周辺構成を示す概略構成図である。
エンジン2の出力は、エンジン2のクランク軸2aからトルクコンバータ4及びオートマチックトランスミッション(以下、「A/T」と称す)6を介して、出力軸6a側に出力され、最終的に車輪60に伝達される。さらに、このようなエンジン2から車輪60への駆動力伝達系とは別に、エンジン2の出力は、クランク軸2aに接続されたプーリ10を介してベルト14に伝達される。そして、このベルト14により伝達された回転力により、別のプーリ16、18が回転される。なお、プーリ10には電磁クラッチ10aが備えられており、必要に応じてオン(接続)オフ(遮断)されて、プーリ10とクランク軸2aとの間で出力の伝達・非伝達を切り替え可能としている。
【0026】
上記プーリ16、18の内、プーリ16には補機類22の回転軸が連結されており、ベルト14から伝達される回転力により駆動可能とされている。なお、本実施形態では、補機類22として、エアコン用コンプレッサ、パワーステアリングポンプ及びエンジン冷却用ウォータポンプが設けられている。
【0027】
またベルト14により回転されるプーリ18には、モータジェネレータ(以下、「M/G」と称す)26が接続されている。このM/G26は必要に応じて発電機として機能することで(「発電モード」または「回生モード」)、プーリ18から伝達されるエンジン2の回転力を電気エネルギーに変換する。さらにM/G26は必要に応じてモータとして機能することで(「駆動モード」)、プーリ18を介してベルト14を回転させてエンジン2及び補機類22の一方あるいは両方を回転させる。
【0028】
ここで、M/G26はインバータ28に電気的に接続されている。M/G26が「発電モード」または「回生モード」にされる場合には、インバータ28はスイッチングにより、M/G26から高圧電源用バッテリ30(ここでは36V)に対して、及びDC/DCコンバータ32を介して低圧電源用バッテリ34(ここでは12V)に対して電気エネルギーの充電を行う。さらにインバータ28は、高圧電源用バッテリ30や低圧電源用バッテリ34が点火系、メータ類あるいは各ECU(電子制御ユニット)、その他に対する電源となるように切り替える。
【0029】
M/G26が「駆動モード」にされる場合には、インバータ28は電力源である高圧電源用バッテリ30からM/G26へ電力を供給して、M/G26を駆動させる。そして、プーリ18及びベルト14を介し、エンジン停止時においては補機類22を回転させ、自動始動時、あるいは車両発進時においてはクランク軸2aを回転させる。なお、インバータ28は高圧電源用バッテリ30からの電気エネルギーの供給を調整することで、M/G26の回転数を調整できる。
【0030】
また冷間時のエンジン始動のために、スタータ36が設けられている。スタータ36は低圧電源用バッテリ34から電力を供給されて、リングギアを回転させてエンジン2を始動させる。
【0031】
A/T6には、低圧電源用バッテリ34から電力を供給される電動油圧ポンプ38が設けられており、A/T6内部の油圧制御部に対して作動油を供給している。この作動油は油圧制御部内のコントロールバルブにより、A/T6内部のクラッチ、ブレーキ及びワンウェイクラッチの作動状態を調整し、シフト状態を必要に応じて切り替えている。
【0032】
上述した電磁クラッチ10aのオンオフの切り替え、M/G26、インバータ28のモード制御、スタータ36の制御、自動停止自動始動の要求、及び高圧電源用バッテリ30と低圧電源用バッテリ34とに対する蓄電量制御等はエコランECU40によって実行される。またウォータポンプを除く補機類22の駆動オンのオフ、電動油圧ポンプ38の駆動制御、A/T6の変速制御、燃料噴射弁(吸気ポート噴射型あるいは筒内噴射型)42による燃料噴射制御、電動モータ44によるスロットルバルブ46の開度制御等のエンジン制御は、エンジンECU48により実行される。また、この他、VSC(ビークルスタビリティコントロール)−ECU50が設けられていることにより、個々の車輪60に設けられたブレーキ62の自動制御も実行されている。ちなみにこのVSCとは、車両の挙動を検出し、例えば横滑り等が検出されたときには、個々の車輪60に設けられたブレーキ62の制動力を個別に制御してブレーキバランスを調整し、車両の挙動を安定させる働きをする機構である。
【0033】
また、エコランECU40は、M/G26に内蔵されている回転数センサからM/G26の回転軸の回転数、エコランスイッチから運転者によるエコランシステムの起動の有無、その他のデータを検出している。また、エンジンECU48は、水温センサからエンジン冷却水温THW、アイドルスイッチからアクセルペダルの踏み込み状態、アクセル開度センサからアクセル開度ACCP、舵角センサからステアリングの操舵角θ、車速センサから車速SPD、スロットル開度センサ46aからスロットル開度TAを検出している。さらに、シフト位置センサからのシフト位置SHFT、エンジン回転速度センサからエンジン回転速度NE、吸気圧センサから吸気通路内の吸気圧PIM、大気圧センサ49から大気圧PA、エアコンスイッチからオンオフ操作の有無等をエンジン制御等のために検出している。
【0034】
VSC−ECU50は、ブレーキペダル52の操作データ、車両の挙動を知るために加速度センサから出力される加速度の検出値、及び圧力センサ63から出力されるマスタシリンダ56i内のマスタ圧MP等を制動制御等のために検出している。ブレーキペダル52にはブレーキスイッチ52aが設けられてブレーキペダル52の踏み込み状態BSWを表す信号をVSC−ECU50に出力する。すなわちブレーキスイッチ52aは、ブレーキペダル52が踏み込まれていない場合にはオフ(OFF)信号を、ブレーキペダル52が踏み込まれている場合にはオン(ON)信号を出力する。
【0035】
また、本実施形態における車両には、ブレーキペダル52の踏み込み力を増加させるブレーキアシストを行う倍力装置、すなわちブレーキ補助手段としてブレーキブースタ56が設けられている。ブレーキブースタ56は、ダイヤフラム56aにより区画形成された第1圧力室56bと第2圧力室56cとを有している。この内、第1圧力室56bにはブレーキブースタ圧力センサ56dが設けられ、第1圧力室56b内のブースト圧PBを検出してブースト圧PBに対応する信号を出力する。この第1圧力室56bへは、チェック弁56eを介してスロットルバルブ46より下流側の吸気管2bから吸気負圧が供給されている。このチェック弁56eは第1圧力室56bから吸気管2bへの空気の流れを許し、逆の流れは禁止するものである。
【0036】
さて、上記ブレーキブースタ56は次のように機能する。すなわちブレーキペダル52が踏み込まれていないときには、ブレーキブースタ56内に設けられた負圧制御バルブ56fは第1圧力室56b内の負圧を第2圧力室56cへ導入している。このため第1圧力室56bと第2圧力室56cとは同じ負圧状態となるので、スプリング56gによりダイヤフラム56aはブレーキペダル52側に押し戻されている。このためダイヤフラム56aと連動するプッシュロッド56hはマスタシリンダ56i内に設けられたピストンを押すことはない。
【0037】
一方、ブレーキペダル52が踏み込まれると、ブレーキペダル52に設けられた入力側ロッド56jに連動して負圧制御バルブ56fが第1圧力室56bと第2圧力室56cとの間を遮断するとともに、大気を第2圧力室56cに導入する。このことにより吸気負圧状態の第1圧力室56bと大気圧となった第2圧力室56cとの間に差圧が生じる。このためブレーキペダル52に対する踏み込み力に加えてこの差圧分のブースト圧も加算される。すなわち、上記踏み込み力が倍増され、ダイヤフラム56aはスプリング56gの付勢力に抗してプッシュロッド56hをマスタシリンダ56i側に押し込む。このことにより、マスタシリンダ56i内のピストンが押され、油圧配管61内のブレーキオイルを介してブレーキ62内のピストンが移動し、車輪60の制動が行われる。
【0038】
そして、ブレーキペダル52の踏み込みが緩められると、ブレーキペダル52に設けられた入力側ロッド56jに連動して負圧制御バルブ56fが第2圧力室56cと外気側との連通を遮断し、第1圧力室56bと第2圧力室56cとの間を連通状態にする。このことにより第2圧力室56c内に第1圧力室56bから吸気負圧が導入される。このため第1圧力室56bと第2圧力室56cとは同圧となる。従って、ダイヤフラム56aはスプリング56gの付勢力によりブレーキペダル52側に移動して、元の非制動状態に戻る。
【0039】
なお、上述したエコランECU40、エンジンECU48、及びVSC−ECU50は、マイクロコンピュータを中心として構成されており、内部のROMに書き込まれているプログラムに応じてCPUが必要な演算処理を実行し、その演算結果に基づいて各種制御を実行している。これらの演算処理結果及び前述のごとく検出されたデータは、相互にデータ通信が可能とされているエコランECU40、エンジンECU48、及びVSC−ECU50間で必要に応じて交換される。このことにより各ECUは相互に連動して制御を実行することが可能になっている。
【0040】
次に、エコランECU40にて実行される、車両停止時のエンジン自動停止始動処理について説明する。この自動停止始動処理は、運転者がエコランスイッチをオンした場合に実行される。
【0041】
さて、図2は自動停止始動処理にかかる手順を示している。
本処理が開始されると、まず、ブレーキブースタ圧力センサ56dにて検出されたブースト圧PBやその他の自動停止判定に必要な運転情報が読み込まれ、ブースト圧PB以外について自動停止条件が成立しているか否かが判定される(S100)。このブースト圧PB以外の自動停止条件とは、例えば、
・ダイアグノーシスの内容に異常なし、
・高圧電源用バッテリ30、低圧電源用バッテリ34の充電状態は問題なし、
・エンジンECU48側の許可有り、
・エンジンフード閉、
・車両ドア閉、
・エアコンが高負荷でない、
・冷却水温が所定値以上、
・ターンシグナルランプオフ、
・車両停止状態(車速「0」)、
といった、エンジン2の自動停止を実行してもよいか否かを判定するための各種条件が設定されている。これらの条件が1つでも満足されなかった場合には(S100でNO)、このまま一旦本処理が終了される。
【0042】
一方、ブースト圧PB以外の自動停止条件が全て満足された場合には(S100でYES)、ブースト圧PBが停止許可値、すなわち停止許可圧PS以下か否かが判定される(S110)。この停止許可圧PSは、始動要求値、すなわち始動要求圧POと所定値KP1とに基づき、次式(1)より設定される値である。
【0043】
停止許可圧PS=始動要求圧PO−所定値KP1 … (1)
なお、本実施形態では、ブースト圧PB、停止許可圧PS、始動要求圧PO、所定値KP1、及び後述するマスタ圧MPの圧力値を絶対圧で扱う。他方、ブースト圧PBの低下とは、ブースト圧PBが大気圧側に近づく、すなわち絶対圧が大きくなることをいう。またブースト圧PBの増大とは、ブースト圧PBが真空側に近づく、すなわち絶対圧が小さくなることをいう。
【0044】
さて、上記始動要求圧POは、車両の静止状態を維持するためのブースト圧PBを確保するための最低限の圧力であり、ブースト圧PBがこの始動要求圧POよりも大気圧側に近づくと、上記第1圧力室56b内にブースト圧PBを補充するためにエンジン2の自動始動が行われる。なお、始動要求圧POは、車両を静止状態に維持するための要求制動力が大きくなるほど低くなるように可変設定され、これにより車両停止時における要求制動力に応じた上記ブースト圧PBが確保されるようにしている。本実施形態では、この要求制動力を次のようにして推定している。
【0045】
まず、運転者が大きな制動力を要求しているときには、そうでないときに比して、ブレーキペダル52が大きく踏み込まれる。このようにブレーキペダル52が大きく踏み込まれると、マスタシリンダ56i内のマスタ圧MPが増大される。すなわち、ブレーキペダル52の操作量に応じて変化するマスタ圧MPに基づいて上記要求制動力は推定することができる。
【0046】
また、車両の停止位置における路面の傾斜角α(路面の勾配)が大きくなるほど、車両を停止させておくための制動力がより多く必要になる。換言すれば、車両停止位置の路面の傾斜角αに基づいて上記要求制動力は推定することができる。
【0047】
そして、このように推定される要求制動力が増大するほど、ブレーキアシストに必要となるブースト圧PBも増大し、上述したように始動要求圧POはより小さく設定する必要がある。そこで、図3に示すように、マスタ圧MPが増大するほど、あるいは傾斜角αが大きくなるほど、推定される要求制動力に応じた始動要求圧POは小さくなるように設定される。そして、マスタ圧MPから求められる始動要求圧POと傾斜角αから求められる始動要求圧POとのうち、より小さい方の値が最終的な始動要求圧POとして設定される。なお、上述したように、本実施形態における車両には加速度センサが設けられている。この加速度センサは車両の姿勢を検出することができるため、本実施形態では、この加速度センサの出力値を用いて車両の停止位置における路面の傾斜角αを検出するようにしている。ちなみに、傾斜角αの検出に関しては、上記加速度センサのみならず、傾斜角αを検出することのできるセンサであればどのようなもので行ってもよい。
【0048】
また所定値KP1は、以下の点を考慮した固定値として設定されている。
・自動停止中に運転者がブレーキペダル52の踏み込みを緩めると、上記第2圧力室56c内に第1圧力室56b内の負圧が導入され、ブースト圧PBは低下する。そして場合によっては、ブースト圧PBが始動要求圧PO以上になることも想定される。そこで、自動停止中のブースト圧PBの低下を見込んで、自動停止前に予め余分にブースト圧PBを確保しておく。
・上記要求制動力が増大し、始動要求圧POが変更された場合でも、確保されているブースト圧PBが変更された始動要求圧PO以下となるように、換言すれば、始動要求圧POが変更された場合でもブースト圧PBが不足しないように、自動停止前に十分なブースト圧PBを確保しておく。
【0049】
すなわち、所定値KP1は、自動停止中のブースト圧PBの変化と始動要求圧POの変化とを考慮し、自動停止前にブースト圧PBを十分に確保できる固定値が設定されている。これにより、自動停止中のブースト圧PB自体の低下によるブースト圧PBの不足、または自動停止中の始動要求圧POの低下によるブースト圧PBの不足が抑えられる。
【0050】
ちなみに本実施形態では、上記所定値KP1として5〜15MPaの間の値(5≦KP1≦15MPa)が設定されている。これは、所定値KP1が小さすぎると、ブースト圧PBの確保量が少なくなり、自動停止中におけるわずかなブレーキ操作でもブースト圧PBが早期に始動要求圧POに達し、自動始動がなされてしまうおそれがあるためである。このような自動停止中のわずかなブレーキ操作により自動始動が行われてしまうと、運転者に違和感を与えるおそれがある。また、所定値KP1が大きすぎると、ブースト圧PBが停止許可圧PSに到達しにくくなり、自動停止が行われにくくなるおそれがある。なお、上述したような不具合を好適に抑制することができる値であれば、所定値KP1の値はどのような値でもよく、何ら上記範囲内の固定値に限定されるものではない。
【0051】
そして、ブースト圧PBが停止許可圧PSよりも高い場合には(S110でNO)、自動停止中のブースト圧PBの不足分を見込んだだけの負圧がまだ十分に確保されていないとして、引き続きエンジン2の運転が行われ、ブースト圧PBが停止許可圧PS以上になるまで、第1圧力室56bへの負圧供給が継続される。すなわち自動停止が保留される。
【0052】
一方、ブースト圧PBが停止許可圧PS以上であれば(S110でYES)、自動停止中のブースト圧PBの不足分を見込んだだけの負圧が十分に確保されたとして、エンジン2の自動停止が実行される(S120)。すなわち、エコランECU40からはエンジンECU48へ自動停止要求が出力されることにより、エンジンECU48では燃料噴射弁42からの燃料噴射を停止することにより、エンジン2の燃焼を停止する。このことによりエンジン2の回転は停止することになる。
【0053】
その後、ブースト圧PBはモニタされ、同ブースト圧PBが不足するとエンジン2の自動始動が行われる。すなわち、ブースト圧PBが上記始動要求圧PO以上であるか否かが判定される(S130)。そして、ブースト圧PBが始動要求圧POよりも低い場合には(S130でNO)、ブレーキアシストに必要なブースト圧PBが十分に確保されているとして、引き続きブースト圧PBのモニタが継続される。
【0054】
一方、ブースト圧PBが始動要求圧POよりも高い場合には(S130でYES)、ブレーキアシストに必要なブースト圧PBが不足しているとして、エンジン2の自動始動が実行される(S140)。すなわち、エコランECU40からはエンジンECU48へ自動始動要求が出力されることにより、エンジンECU48では燃料噴射弁42からの燃料噴射等が実行され、エンジン2の燃焼が開始される。このことによりエンジン2は回転を始め、吸気管2b内には負圧が発生し、第1圧力室56bへの負圧供給が行われる。
【0055】
次に、自動停止前と自動停止中におけるブースト圧PBの変化態様、及び上記自動停止始動処理による機関状態の変化態様について、本実施形態にかかる自動停止始動制御装置と従来の制御装置との違いを中心に、図4、図5を併せ参照して説明する。
【0056】
図4は、自動停止中にあってブレーキペダル52の踏み込みが緩められ、ブースト圧PBが低下する場合の上記変化態様を示している。まず先に、本実施形態にかかる自動停止始動制御装置による上記変化態様等について説明する。
【0057】
まず、時刻t2a前において、エンジン2が運転されているときには、ブレーキブースタ56の第1圧力室56bへの負圧供給がなされるため、ブースト圧PBは低下していく。そして、時刻t2aにてブースト圧PBが停止許可圧PS以下になるとともに、上述したような他の停止許可条件が満たされている場合には、自動停止が実行され、エンジン回転速度NEは「0」になる。その後、時刻t3aにてブレーキペダル52の踏み込みがわずかでも緩められると、第2圧力室56c内の空気が第1圧力室56b内に導入されることによりブースト圧PBは低下する、すなわち大気圧に近づく。しかし、車両を停止状態に維持するための最低限のブースト圧PBに対して、自動停止中のブースト圧PBの変化を考慮した所定値KP1分だけ余分にブースト圧PBが確保された状態でエンジン2は停止されている。そのため、ブレーキペダル52の踏み込みがわずかに緩められた程度では、ブースト圧PBは始動要求圧PO以上にはならず、エンジン2の自動停止が継続される。
【0058】
一方、従来の制御装置では、内燃機関の運転状態、例えば、吸気温、点火時期、バルブタイミング、アイドルスピード制御用バルブの状態、あるいは燃焼形態等により変動を受けやすい吸気圧とブースト圧PBとの差に基づいて自動停止の可否を判断するようにしている。そのため場合によっては、吸気圧が大気圧に近い状態にあるときにブースト圧PBとの比較が行われることもある。このときには、図4に一点鎖線で示すように、本実施形態における停止許可圧PSにブースト圧PBが到達する前に、自動停止が実行されることも起こりうる(時刻t1a)。この場合には本実施形態によるブースト圧PBの確保に比較して、ブースト圧PBの確保量が少なくなり、始動要求圧POに対する余力分も小さくなる。従って、時刻t3aにてブレーキペダル52の踏み込みがわずかでも緩められると、ブースト圧PBは始動要求圧PO以上にはなり、直ちにエンジン2は自動始動されてしまう。
【0059】
このように、自動停止中にあってブレーキペダル52の踏み込みがわずかでも緩められる場合に、従来の制御装置では自動始動が実行されてしまうのに対し、本実施形態にかかる自動停止始動制御装置では、自動始動は実行されない。すなわち本実施形態によれば、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることができる。そのため、例えば、自動停止中にもかかわらず、わずかにブレーキ操作を行っただけで自動始動が実行されてしまうといった、運転者に違和感を与える要因を減少させることができる。
【0060】
他方、図5は、自動停止中にあってブレーキペダル52の踏み込みが行われ、始動要求圧POが小さくなる場合の上記変化態様を示している。まず先に、本実施形態にかかる自動停止始動制御装置による上記変化態様等について説明する。
【0061】
まず、時刻t2b前において、エンジン2が運転されているときには、ブレーキブースタ56の第1圧力室56bへの負圧供給がなされるため、ブースト圧PBは低下していく。そして、時刻t2bにてブースト圧PBが停止許可圧PS以下になるとともに、上述したような他の停止許可条件が満たされている場合には、自動停止が実行され、エンジン回転速度NEは「0」になる。その後、時刻t3bにてブレーキペダル52が踏み込まれると、マスタ圧MPの増大に伴って始動要求圧POが小さく設定される。このとき、本実施形態では、車両を停止状態に維持するための最低限のブースト圧PBに対して、自動停止中の始動要求圧POの変化を考慮した所定値KP1分だけ余分にブースト圧PBが確保された状態でエンジン2は停止されている。そのため、ブレーキペダル52の踏み込みによって始動要求圧POが低下しても、ブースト圧PBは始動要求圧PO以上にはならない。このため、エンジン2の自動停止が継続される。
【0062】
一方、上述したように従来の制御装置では、吸気圧が大気圧に近い状態にあるときにブースト圧PBとの比較が行われることもある。このときには、図5に一点鎖線で示すように、本実施形態における停止許可圧PSにブースト圧PBが到達する前に、自動停止が実行されることも起こりうる(時刻t1b)。この場合には本実施形態によるブースト圧PBの確保に比較して、ブースト圧PBの確保量が少なくなり、始動要求圧POに対する余力分も小さくなる。従って、時刻t3bにてブレーキペダル52が踏み込まれ、始動要求圧POが小さく設定されると、確保されているブースト圧PBでは始動要求圧PO以上になってしまい、直ちにエンジン2は自動始動されてしまう(時刻t3b)。
【0063】
このように、自動停止中にあってブレーキペダル52が踏み込まれると、従来の制御装置では自動始動が実行されてしまうのに対し、本実施形態にかかる自動停止始動制御装置では、自動始動は実行されない。すなわち本実施形態によれば、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることができる。そのため、例えば、自動停止中にもかかわらず、ブレーキ操作を行っただけで自動始動が実行されてしまうといった、運転者に違和感を与える要因を減少させることができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態にかかる内燃機関の自動停止始動制御装置によれば、次のような効果が得られるようになる。
(1)所定値KP1は、自動停止中のブースト圧PBの変化と始動要求圧POの変化とを考慮し、自動停止前に十分なブースト圧PBを確保しておける値が設定されている。すなわち、自動停止中の要求制動力の変化を見込んで所定値KP1は設定されている。そして車両の静止状態を維持するために必要な最低限のブースト圧PBを確保するための始動要求圧POから、所定値KP1を減じた値を停止許可圧PSに設定するようにしている。換言すれば、停止許可圧PSと始動要求圧POとの乖離度合いを要求制動力に基づいて設定するようにしている。そのため、始動要求圧POと停止許可圧PSとの間に相互関係が設定され、所定値KP1分に相当するブースト圧PBが確実に確保される。そのため、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることができるようになる。
【0065】
(2)始動要求圧POは、要求制動力が大きくなるほど小さくなるように可変設定している。そのため、要求制動力に応じたブースト圧PBを好適に確保することができるようになる。
【0066】
(3)ブレーキペダル52の操作量に応じて変化するマスタ圧MPに基づいて上記要求制動力を推定するようにしている。従って、運転者の要求制動力に応じたブースト圧PBを確実に確保することができるようになる。
【0067】
(4)また車両停止位置の路面の傾斜角αに基づいて上記要求制動力を推定するようにしている。従って、車両の停止位置における路面の傾斜角αに応じたブースト圧PBを確実に確保することができるようになる。
【0068】
なお、上記各実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、始動要求圧POを可変設定するようにした。これに代えて、始動要求圧POを固定値としてもよい。この場合の固定値は、自動停止中のブースト圧PBの変化と要求制動力の変化とを考慮し、十分に小さい値を設定するとよい。この場合であっても、所定値KP1は自動停止後のブースト圧PBの変化と要求制動力の変化とを考慮した値に設定されているため、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因するブースト圧PBの不足を補うための自動始動を減少させることができる。
【0069】
・所定値KP1を予め設定された固定値とする場合には、例えば要求される制動力が小さい場合に、要求制動力に対してブースト圧PBが過剰に確保される場合もあり、車両停止後にあって自動停止が実行されるまでの時間が長くなるおそれがある。そこで、上記所定値KP1を、要求制動力に応じて設定される可変値としてもよい。好適には、図6に示すように、マスタ圧MPが増大するほど、あるいは傾斜角αが増大するほど、所定値KP1の値が大きく可変設定されるようにする。そして、マスタ圧MPから求められる所定値KP1と傾斜角αから求められる所定値KP1とを比較し、より大きい方の所定値KP1を最終的な所定値KP1として設定するとよい。この場合には、自動停止中におけるブースト圧PBの不足分を見込んで余分に確保されるブースト圧PBが、要求制動力に応じて好適に確保される。そのため、自動停止と自動始動とを好適に実行することができるようになる。
【0070】
・上記始動要求圧PO及び所定値KP1をともに、上述した変形例での態様のように要求制動力に基づいて可変設定するようにしてもよい。この場合には要求制動力に応じてより好適に自動停止と自動始動とを実行することができるようになる。
【0071】
・上記実施形態及びその変形例において、所定値KP1や始動要求圧POを、マスタ圧MPまたは傾斜角αの少なくとも一方に基づいて設定するようにしてもよい。この場合にも上記実施形態に準ずる効果を得ることができる。
【0072】
・上記実施形態及びその変形例において、始動要求圧POと停止許可圧PSとをマップに基づいて設定するようにしてもよい。この場合には、要求制動力に基づいて始動要求圧POを求めるための始動要求圧PO用マップと、始動要求圧POに基づいて停止許可圧PSを求めるための停止許可圧PS用マップとを用意する。そしてこれらマップの作成に際しては、求められた始動要求圧POから、同始動要求圧POに基づいて設定された停止許可圧PSを減じた値が上記所定値KP1になるように、停止許可圧PS用マップを設定する。この場合にも上記実施形態に準ずる効果を得ることができる。
【0073】
・上記実施形態では、車両の静止状態を維持するためのブースト圧PBを確保するための最低限の圧力を始動要求圧POとして設定し、自動停止前にはこの始動要求圧PO以上の負圧を確保しておくようにしていた。ここで、上記実施形態の態様でエンジン2の自動停止が行われる場合には、ブースト圧PBが停止許可圧PSに到達するまでは自動停止が実行されない。そのため、例えば、要求制動力がそれほど高くなく、ブースト圧PBもそれほど必要ではない場合にあって、自動停止までの時間が長くなるおそれがある。そこで、上述したような態様で推定される要求制動力がそれほど高くない場合には、始動要求圧POの値を停止許可圧PSNとし、停止許可圧PSNよりも低い値を始動要求圧PONとして設定する。そしてこの停止許可圧PSNと始動要求圧PONとの乖離度合いを上記実施形態で説明した技術思想に基づいて設定するようにしてもよい。この場合にも停止許可圧と始動要求圧との間に要求制動力に基づく相互関係が設定され、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることができるようになる。
【0074】
・上記実施形態におけるブレーキブースタ56は、負圧が導入されるタイプのものであった。この他にも、エンジン2の動力(クランクシャフトの回転力等)を利用して正圧を発生されるポンプ等を車両に備え、この正圧が導入されることによりブレーキアシストを行うブレーキブースタもある。このようなブレーキブースタを備える車両であっても、上記実施形態における負圧と正圧とを入れ替え、本発明にかかる技術思想を適用することで、上記実施形態に準ずる作用効果を得ることができる。
【0075】
・上記実施形態では、ブレーキブースタ56の負圧をエンジン2の吸気管2bから得る機構により説明したが、例えば、エンジン2の運転中に稼働される電動ポンプを用いて十分な負圧を作り、この負圧をブレーキブースタ56のブースト圧PBに用いるようにした構成でも本発明は同様に適用することができる。
【0076】
・上記実施形態では、ブレーキブースタ圧力センサ56dにより直接、ブースト圧PBを検出していた。この他にも、ブレーキブースタ圧力センサ56dを設けずに、ブースト圧PBを、大気圧、吸気圧PIM、ブレーキペダル52の踏み込み回数、踏み込みを緩めた回数等に基づき、演算により求めるようにしても良い。
【0077】
・本発明は、ブレーキペダル52に代えてブレーキレバー等の他のブレーキ操作子が設けられた車両にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる内燃機関の自動停止始動制御装置の一実施形態について、その概略構成を示す図。
【図2】同実施形態による自動停止始動処理の手順を示すフローチャート。
【図3】同実施形態において、要求制動力と始動要求圧との対応を示すグラフ。
【図4】同実施形態による処理の一例と従来例の処理の一例を示すタイミングチャート。
【図5】同実施形態による処理の一例と従来例の処理の一例を示すタイミングチャート。
【図6】上記実施形態の変形例において、要求制動力と所定値KP1との対応を示すグラフ。
【符号の説明】
2…エンジン、2a…クランク軸、2b…吸気管、4…トルクコンバータ、6…オートマチックトランスミッション(A/T)、6a…出力軸、10…プーリ、10a…電磁クラッチ、14…ベルト、16、18…プーリ、22…補機類、26…モータジェネレータ(M/G)、28…インバータ、30…高圧電源用バッテリ、32…DC/DCコンバータ、34…低圧電源用バッテリ、36…スタータ、38…電動油圧ポンプ、40…エコランECU、42…燃料噴射弁、44…電動モータ、46…スロットルバルブ、46a…スロットル開度センサ、48…エンジンECU、49… 大気圧センサ、50…VSC−ECU、52…ブレーキペダル、52a…ブレーキスイッチ、56…ブレーキブースタ、56a…ダイヤフラム、56b…第1圧力室、56c…第2圧力室、56d…ブレーキブースタ圧力センサ、56e…チェック弁、56f…負圧制御バルブ、56g…スプリング、56h…プッシュロッド、56i…マスタシリンダ、56j…入力側ロッド、60…車輪、61…油圧配管、62…ブレーキ、63…圧力センサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気負圧をブースト圧として利用することによりブレーキ操作力を増大させるブレーキブースタを備えた車両に搭載された内燃機関にあって、同内燃機関の運転を自動停止または自動始動させる内燃機関の自動停止始動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃費の改善などのために車両の停止時に自動的に内燃機関を停止し、発進操作時等にスタータやモータジェネレータ等を回転させて内燃機関を始動し車両を発進させる自動停止始動装置を備える車両が知られている。また、こうした自動停止始動装置を備える車両を含め、通常、車両には、運転者のブレーキ操作力を増大させる機能、すなわちブレーキアシスト機能を有したブレーキブースタが搭載されている。
【0003】
こうしたブレーキブースタは、内燃機関の吸気通路内(より正確にはスロットル弁から燃焼室までの間の吸気通路内)で発生する負圧、すなわち吸気圧をブースト圧として利用することでブレーキアシストを行うようにしている。
【0004】
このような車両において前述したような内燃機関の自動停止処理が行われると、ブレーキブースタへの負圧供給も停止される。そのため、同機関の自動停止中にあってもブレーキアシストを十分に行うためには、自動停止に先だってブレーキブースタ内のブースト圧を十分確保しておく必要がある。そこで、例えば特許文献1に記載の装置では、内燃機関の自動停止処理を実行する場合、吸気圧とブースト圧との差圧を求め、この差圧が小さければブースト圧として必要な負圧が十分に確保されていると判断して自動停止処理の実行を許可するようにしている。一方、同差圧が大きければブースト圧は不十分であるとして自動停止処理の実行を禁止するようにしている。また、車両停止中、例えば運転者がその姿勢を変えるために、ブレーキペダルを踏み直し、これによりブースト圧が大気圧に近づくと、ブースト圧を確保するために内燃機関を自動始動させるようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−274274号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、吸気圧は、内燃機関の運転状態、例えば、吸気温、点火時期、バルブタイミング、アイドルスピード制御用バルブの状態、あるいは燃焼形態等により変動を受けやすい。そのため、自動停止処理移行前の吸気圧とブースト圧との比較では、そのブースト圧が必要十分なものか否かを精度良く判断することは困難であり、次のような不具合が生じるおそれがある。
【0007】
例えば、ブースト圧が十分に確保されていないにもかかわらず自動停止に入ってしまう場合には、わずかなブレーキペダルの踏み直しなどによってブースト圧が早期に大気圧に近づくようになり、自動始動処理が実行されやすくなる。すなわち自動停止中にもかかわらず、わずかにブレーキ操作を行っただけで自動始動処理が実行されてしまうため、運転者に違和感を与えるおそれがある。
【0008】
この発明はこうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、機関停止前にブースト圧を好適に確保することにより、自動停止中のブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることのできる内燃機関の自動停止始動制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の動力を利用してブレーキ操作力を増大させるブレーキ補助手段を備えた車両にあって、少なくとも前記ブレーキ補助手段のブレーキ補助力が予め設定された停止許可値にあることをその一つとして含む機関停止条件が成立したときに前記内燃機関を自動停止させ、少なくとも前記ブレーキ補助手段のブレーキ補助力が予め設定された始動要求値にあることをその一つとして含む機関始動条件が成立した場合に前記内燃機関を自動始動させる内燃機関の自動停止始動制御装置であって、前記停止許可値と前記始動要求値とは要求制動力に基づいてその乖離度合いが設定されることをその要旨とする。
【0010】
同構成によれば、ブレーキ補助力が停止許可値にあるとき内燃機関の自動停止が許可される。またブレーキ補助力が始動要求値にあるとき同機関の自動始動が要求される。ここで、停止許可値と始動要求値とは要求制動力とに基づいてその乖離度合いが設定される。そのため、停止許可値と始動要求値との間に要求制動力に基づく相互関係が設定され、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることができるようになる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置において、前記ブレーキ補助手段は前記内燃機関の動力を利用して得られるブースト圧を利用するブレーキブースタであって、前記自動停止始動制御装置は、少なくとも前記ブレーキブースタ内のブースト圧が予め設定された停止許可圧にあることをその一つとして含む機関停止条件が成立したときに前記内燃機関を自動停止させ、少なくとも前記ブレーキブースタ内のブースト圧が予め設定された始動要求圧にあることをその一つとして含む機関始動条件が成立した場合に前記内燃機関を自動始動させることをその要旨とする。
【0012】
同構成によれば、上記ブースト圧を利用するブレーキブースタを備える車両にあって、上記請求項1に記載の作用効果を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置において、前記ブレーキ補助手段は吸気通路内に発生する吸気圧をブースト圧として利用することによりブレーキ操作力を増大させるブレーキブースタであって、前記自動停止始動制御装置は、少なくとも前記ブレーキブースタ内のブースト圧が予め設定された停止許可圧以下であることをその一つとして含む機関停止条件が成立したときに前記内燃機関を自動停止させ、少なくとも前記ブレーキブースタ内のブースト圧が予め設定された始動要求圧以上であることをその一つとして含む機関始動条件が成立した場合に前記内燃機関を自動始動させることをその要旨とする。
【0013】
同構成によれば、上記ブースト圧として吸気圧を利用するブレーキブースタを備える車両にあって、上記請求項2に記載の作用効果を得ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置において、前記停止許可圧は要求制動力に基づく一定の固定値だけ前記始動要求圧よりも低い値に設定されることをその要旨とする。
【0014】
同構成によれば、ブースト圧が停止許可圧に到達し、ブレーキブースタ内に負圧が確保された時点で内燃機関の自動停止が許可される。またブースト圧が始動要求圧に到達した時点で、同機関の自動始動が要求され、ブレーキブースタ内の負圧確保が行われる。ここで、停止許可圧は始動要求圧よりも要求制動力に基づく一定の固定値だけ低い値に設定される。そのため、始動要求圧と停止許可圧との間に相互関係が設定され、要求制動力に基づく一定の固定値分に相当するブースト圧が確実に確保される。なお、自動停止後のブレーキ操作に起因するブースト圧の変化を考慮して上記固定値を好適に設定することにより、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることができる。
【0015】
他方、上記請求項4に記載の構成では、例えば、要求される制動力が小さい場合に、要求制動力に対してブースト圧が過剰に確保される場合もあり、この場合には、車両停止後にあって自動停止が実行されるまでの時間が長くなる。この点、請求項5に記載の発明によるように、前記停止許可圧は車両停止時の要求制動力に応じて設定される可変値だけ前記始動要求圧よりも低い値に設定される場合には、要求制動力に応じたブースト圧を好適に確保することができ、自動停止と自動始動とを好適に実行することができるようになる。
【0016】
こうした可変値の設定に際しては、請求項6に記載の発明によるように、前記要求制動力が大きくなるほど前記可変値は大きく設定されるといった態様を採用できる。
【0017】
同構成によれば、ブースト圧を要求制動力に即して確保しつつ、内燃機関の自動停止及び自動始動を好適に実行することができるようになる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の自動停止始動制御装置において、前記始動要求値あるいは始動要求圧は、車両停止時の要求制動力に応じて可変設定されることをその要旨とする。
【0018】
同構成によれば、車両の制動に必要な最低ブレーキ補助力を確保するための始動要求値が、車両停止時の要求制動力に応じて可変設定される。そのため、車両の制動に要するブレーキ補助力を好適に確保することができるようになる。または、車両の制動に必要なブースト圧を確保するための始動要求圧が、車両停止時の要求制動力に応じて可変設定される。そのため、車両の制動に要するブースト圧を好適に確保することができるようになる。
【0019】
こうした要求制動力の設定に際しては、請求項8に記載の発明によるように、前記要求制動力が大きくなるほど前記始動要求値あるいは始動要求圧は低く設定されるといった態様を採用することができる。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項5〜8のいずれかに記載の内燃機関の自動停止始動制御装置において、前記要求制動力はブレーキ操作子の操作量に応じて変化するブレーキ配管系内の圧力に基づいて推定され、前記可変値はこの推定された要求制動力に応じて設定されることをその要旨とする。
【0021】
一般に、車両のブレーキ配管系は油圧回路で構成されており、運転者によってブレーキ操作子が大きく操作量されると、すなわち要求制動力が大きくなると、ブレーキ配管系内の圧力が増大する。そこで上記構成では、上記要求制動力はブレーキ操作子の操作量に応じて変化するブレーキ配管系内の圧力に基づいて推定され、この推定された要求制動力に応じて上記可変値を設定するようにしている。従って上記構成によれば、運転者の要求制動力に応じたブースト圧を確実に確保することができるようになる。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項5〜9のいずれかに記載の内燃機関の自動停止始動制御装置において、前記要求制動力は車両停止位置の路面の傾斜角に基づいて推定され、前記可変値はこの推定された要求制動力に応じて設定されることをその要旨とする。
【0023】
一般に、車両停止位置の路面の傾斜角が大きくなるほど(路面勾配が大きくなるほど)、車両を停止状態に維持するための要求制動力も大きくなる。そこで上記構成では、上記要求制動力は車両停止位置の路面の傾斜角に基づいて推定され、この推定された要求制動力に応じて上記可変値を設定するようにしている。従って上記構成によれば、車両の停止位置における傾斜角に応じたブースト圧を確実に確保することができるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる内燃機関の自動停止始動制御装置を具体化した一実施形態について図1〜図5に基づき、詳細に説明する。
【0025】
図1は、この自動停止始動制御装置が適用されるエンジン2とともに、その周辺構成を示す概略構成図である。
エンジン2の出力は、エンジン2のクランク軸2aからトルクコンバータ4及びオートマチックトランスミッション(以下、「A/T」と称す)6を介して、出力軸6a側に出力され、最終的に車輪60に伝達される。さらに、このようなエンジン2から車輪60への駆動力伝達系とは別に、エンジン2の出力は、クランク軸2aに接続されたプーリ10を介してベルト14に伝達される。そして、このベルト14により伝達された回転力により、別のプーリ16、18が回転される。なお、プーリ10には電磁クラッチ10aが備えられており、必要に応じてオン(接続)オフ(遮断)されて、プーリ10とクランク軸2aとの間で出力の伝達・非伝達を切り替え可能としている。
【0026】
上記プーリ16、18の内、プーリ16には補機類22の回転軸が連結されており、ベルト14から伝達される回転力により駆動可能とされている。なお、本実施形態では、補機類22として、エアコン用コンプレッサ、パワーステアリングポンプ及びエンジン冷却用ウォータポンプが設けられている。
【0027】
またベルト14により回転されるプーリ18には、モータジェネレータ(以下、「M/G」と称す)26が接続されている。このM/G26は必要に応じて発電機として機能することで(「発電モード」または「回生モード」)、プーリ18から伝達されるエンジン2の回転力を電気エネルギーに変換する。さらにM/G26は必要に応じてモータとして機能することで(「駆動モード」)、プーリ18を介してベルト14を回転させてエンジン2及び補機類22の一方あるいは両方を回転させる。
【0028】
ここで、M/G26はインバータ28に電気的に接続されている。M/G26が「発電モード」または「回生モード」にされる場合には、インバータ28はスイッチングにより、M/G26から高圧電源用バッテリ30(ここでは36V)に対して、及びDC/DCコンバータ32を介して低圧電源用バッテリ34(ここでは12V)に対して電気エネルギーの充電を行う。さらにインバータ28は、高圧電源用バッテリ30や低圧電源用バッテリ34が点火系、メータ類あるいは各ECU(電子制御ユニット)、その他に対する電源となるように切り替える。
【0029】
M/G26が「駆動モード」にされる場合には、インバータ28は電力源である高圧電源用バッテリ30からM/G26へ電力を供給して、M/G26を駆動させる。そして、プーリ18及びベルト14を介し、エンジン停止時においては補機類22を回転させ、自動始動時、あるいは車両発進時においてはクランク軸2aを回転させる。なお、インバータ28は高圧電源用バッテリ30からの電気エネルギーの供給を調整することで、M/G26の回転数を調整できる。
【0030】
また冷間時のエンジン始動のために、スタータ36が設けられている。スタータ36は低圧電源用バッテリ34から電力を供給されて、リングギアを回転させてエンジン2を始動させる。
【0031】
A/T6には、低圧電源用バッテリ34から電力を供給される電動油圧ポンプ38が設けられており、A/T6内部の油圧制御部に対して作動油を供給している。この作動油は油圧制御部内のコントロールバルブにより、A/T6内部のクラッチ、ブレーキ及びワンウェイクラッチの作動状態を調整し、シフト状態を必要に応じて切り替えている。
【0032】
上述した電磁クラッチ10aのオンオフの切り替え、M/G26、インバータ28のモード制御、スタータ36の制御、自動停止自動始動の要求、及び高圧電源用バッテリ30と低圧電源用バッテリ34とに対する蓄電量制御等はエコランECU40によって実行される。またウォータポンプを除く補機類22の駆動オンのオフ、電動油圧ポンプ38の駆動制御、A/T6の変速制御、燃料噴射弁(吸気ポート噴射型あるいは筒内噴射型)42による燃料噴射制御、電動モータ44によるスロットルバルブ46の開度制御等のエンジン制御は、エンジンECU48により実行される。また、この他、VSC(ビークルスタビリティコントロール)−ECU50が設けられていることにより、個々の車輪60に設けられたブレーキ62の自動制御も実行されている。ちなみにこのVSCとは、車両の挙動を検出し、例えば横滑り等が検出されたときには、個々の車輪60に設けられたブレーキ62の制動力を個別に制御してブレーキバランスを調整し、車両の挙動を安定させる働きをする機構である。
【0033】
また、エコランECU40は、M/G26に内蔵されている回転数センサからM/G26の回転軸の回転数、エコランスイッチから運転者によるエコランシステムの起動の有無、その他のデータを検出している。また、エンジンECU48は、水温センサからエンジン冷却水温THW、アイドルスイッチからアクセルペダルの踏み込み状態、アクセル開度センサからアクセル開度ACCP、舵角センサからステアリングの操舵角θ、車速センサから車速SPD、スロットル開度センサ46aからスロットル開度TAを検出している。さらに、シフト位置センサからのシフト位置SHFT、エンジン回転速度センサからエンジン回転速度NE、吸気圧センサから吸気通路内の吸気圧PIM、大気圧センサ49から大気圧PA、エアコンスイッチからオンオフ操作の有無等をエンジン制御等のために検出している。
【0034】
VSC−ECU50は、ブレーキペダル52の操作データ、車両の挙動を知るために加速度センサから出力される加速度の検出値、及び圧力センサ63から出力されるマスタシリンダ56i内のマスタ圧MP等を制動制御等のために検出している。ブレーキペダル52にはブレーキスイッチ52aが設けられてブレーキペダル52の踏み込み状態BSWを表す信号をVSC−ECU50に出力する。すなわちブレーキスイッチ52aは、ブレーキペダル52が踏み込まれていない場合にはオフ(OFF)信号を、ブレーキペダル52が踏み込まれている場合にはオン(ON)信号を出力する。
【0035】
また、本実施形態における車両には、ブレーキペダル52の踏み込み力を増加させるブレーキアシストを行う倍力装置、すなわちブレーキ補助手段としてブレーキブースタ56が設けられている。ブレーキブースタ56は、ダイヤフラム56aにより区画形成された第1圧力室56bと第2圧力室56cとを有している。この内、第1圧力室56bにはブレーキブースタ圧力センサ56dが設けられ、第1圧力室56b内のブースト圧PBを検出してブースト圧PBに対応する信号を出力する。この第1圧力室56bへは、チェック弁56eを介してスロットルバルブ46より下流側の吸気管2bから吸気負圧が供給されている。このチェック弁56eは第1圧力室56bから吸気管2bへの空気の流れを許し、逆の流れは禁止するものである。
【0036】
さて、上記ブレーキブースタ56は次のように機能する。すなわちブレーキペダル52が踏み込まれていないときには、ブレーキブースタ56内に設けられた負圧制御バルブ56fは第1圧力室56b内の負圧を第2圧力室56cへ導入している。このため第1圧力室56bと第2圧力室56cとは同じ負圧状態となるので、スプリング56gによりダイヤフラム56aはブレーキペダル52側に押し戻されている。このためダイヤフラム56aと連動するプッシュロッド56hはマスタシリンダ56i内に設けられたピストンを押すことはない。
【0037】
一方、ブレーキペダル52が踏み込まれると、ブレーキペダル52に設けられた入力側ロッド56jに連動して負圧制御バルブ56fが第1圧力室56bと第2圧力室56cとの間を遮断するとともに、大気を第2圧力室56cに導入する。このことにより吸気負圧状態の第1圧力室56bと大気圧となった第2圧力室56cとの間に差圧が生じる。このためブレーキペダル52に対する踏み込み力に加えてこの差圧分のブースト圧も加算される。すなわち、上記踏み込み力が倍増され、ダイヤフラム56aはスプリング56gの付勢力に抗してプッシュロッド56hをマスタシリンダ56i側に押し込む。このことにより、マスタシリンダ56i内のピストンが押され、油圧配管61内のブレーキオイルを介してブレーキ62内のピストンが移動し、車輪60の制動が行われる。
【0038】
そして、ブレーキペダル52の踏み込みが緩められると、ブレーキペダル52に設けられた入力側ロッド56jに連動して負圧制御バルブ56fが第2圧力室56cと外気側との連通を遮断し、第1圧力室56bと第2圧力室56cとの間を連通状態にする。このことにより第2圧力室56c内に第1圧力室56bから吸気負圧が導入される。このため第1圧力室56bと第2圧力室56cとは同圧となる。従って、ダイヤフラム56aはスプリング56gの付勢力によりブレーキペダル52側に移動して、元の非制動状態に戻る。
【0039】
なお、上述したエコランECU40、エンジンECU48、及びVSC−ECU50は、マイクロコンピュータを中心として構成されており、内部のROMに書き込まれているプログラムに応じてCPUが必要な演算処理を実行し、その演算結果に基づいて各種制御を実行している。これらの演算処理結果及び前述のごとく検出されたデータは、相互にデータ通信が可能とされているエコランECU40、エンジンECU48、及びVSC−ECU50間で必要に応じて交換される。このことにより各ECUは相互に連動して制御を実行することが可能になっている。
【0040】
次に、エコランECU40にて実行される、車両停止時のエンジン自動停止始動処理について説明する。この自動停止始動処理は、運転者がエコランスイッチをオンした場合に実行される。
【0041】
さて、図2は自動停止始動処理にかかる手順を示している。
本処理が開始されると、まず、ブレーキブースタ圧力センサ56dにて検出されたブースト圧PBやその他の自動停止判定に必要な運転情報が読み込まれ、ブースト圧PB以外について自動停止条件が成立しているか否かが判定される(S100)。このブースト圧PB以外の自動停止条件とは、例えば、
・ダイアグノーシスの内容に異常なし、
・高圧電源用バッテリ30、低圧電源用バッテリ34の充電状態は問題なし、
・エンジンECU48側の許可有り、
・エンジンフード閉、
・車両ドア閉、
・エアコンが高負荷でない、
・冷却水温が所定値以上、
・ターンシグナルランプオフ、
・車両停止状態(車速「0」)、
といった、エンジン2の自動停止を実行してもよいか否かを判定するための各種条件が設定されている。これらの条件が1つでも満足されなかった場合には(S100でNO)、このまま一旦本処理が終了される。
【0042】
一方、ブースト圧PB以外の自動停止条件が全て満足された場合には(S100でYES)、ブースト圧PBが停止許可値、すなわち停止許可圧PS以下か否かが判定される(S110)。この停止許可圧PSは、始動要求値、すなわち始動要求圧POと所定値KP1とに基づき、次式(1)より設定される値である。
【0043】
停止許可圧PS=始動要求圧PO−所定値KP1 … (1)
なお、本実施形態では、ブースト圧PB、停止許可圧PS、始動要求圧PO、所定値KP1、及び後述するマスタ圧MPの圧力値を絶対圧で扱う。他方、ブースト圧PBの低下とは、ブースト圧PBが大気圧側に近づく、すなわち絶対圧が大きくなることをいう。またブースト圧PBの増大とは、ブースト圧PBが真空側に近づく、すなわち絶対圧が小さくなることをいう。
【0044】
さて、上記始動要求圧POは、車両の静止状態を維持するためのブースト圧PBを確保するための最低限の圧力であり、ブースト圧PBがこの始動要求圧POよりも大気圧側に近づくと、上記第1圧力室56b内にブースト圧PBを補充するためにエンジン2の自動始動が行われる。なお、始動要求圧POは、車両を静止状態に維持するための要求制動力が大きくなるほど低くなるように可変設定され、これにより車両停止時における要求制動力に応じた上記ブースト圧PBが確保されるようにしている。本実施形態では、この要求制動力を次のようにして推定している。
【0045】
まず、運転者が大きな制動力を要求しているときには、そうでないときに比して、ブレーキペダル52が大きく踏み込まれる。このようにブレーキペダル52が大きく踏み込まれると、マスタシリンダ56i内のマスタ圧MPが増大される。すなわち、ブレーキペダル52の操作量に応じて変化するマスタ圧MPに基づいて上記要求制動力は推定することができる。
【0046】
また、車両の停止位置における路面の傾斜角α(路面の勾配)が大きくなるほど、車両を停止させておくための制動力がより多く必要になる。換言すれば、車両停止位置の路面の傾斜角αに基づいて上記要求制動力は推定することができる。
【0047】
そして、このように推定される要求制動力が増大するほど、ブレーキアシストに必要となるブースト圧PBも増大し、上述したように始動要求圧POはより小さく設定する必要がある。そこで、図3に示すように、マスタ圧MPが増大するほど、あるいは傾斜角αが大きくなるほど、推定される要求制動力に応じた始動要求圧POは小さくなるように設定される。そして、マスタ圧MPから求められる始動要求圧POと傾斜角αから求められる始動要求圧POとのうち、より小さい方の値が最終的な始動要求圧POとして設定される。なお、上述したように、本実施形態における車両には加速度センサが設けられている。この加速度センサは車両の姿勢を検出することができるため、本実施形態では、この加速度センサの出力値を用いて車両の停止位置における路面の傾斜角αを検出するようにしている。ちなみに、傾斜角αの検出に関しては、上記加速度センサのみならず、傾斜角αを検出することのできるセンサであればどのようなもので行ってもよい。
【0048】
また所定値KP1は、以下の点を考慮した固定値として設定されている。
・自動停止中に運転者がブレーキペダル52の踏み込みを緩めると、上記第2圧力室56c内に第1圧力室56b内の負圧が導入され、ブースト圧PBは低下する。そして場合によっては、ブースト圧PBが始動要求圧PO以上になることも想定される。そこで、自動停止中のブースト圧PBの低下を見込んで、自動停止前に予め余分にブースト圧PBを確保しておく。
・上記要求制動力が増大し、始動要求圧POが変更された場合でも、確保されているブースト圧PBが変更された始動要求圧PO以下となるように、換言すれば、始動要求圧POが変更された場合でもブースト圧PBが不足しないように、自動停止前に十分なブースト圧PBを確保しておく。
【0049】
すなわち、所定値KP1は、自動停止中のブースト圧PBの変化と始動要求圧POの変化とを考慮し、自動停止前にブースト圧PBを十分に確保できる固定値が設定されている。これにより、自動停止中のブースト圧PB自体の低下によるブースト圧PBの不足、または自動停止中の始動要求圧POの低下によるブースト圧PBの不足が抑えられる。
【0050】
ちなみに本実施形態では、上記所定値KP1として5〜15MPaの間の値(5≦KP1≦15MPa)が設定されている。これは、所定値KP1が小さすぎると、ブースト圧PBの確保量が少なくなり、自動停止中におけるわずかなブレーキ操作でもブースト圧PBが早期に始動要求圧POに達し、自動始動がなされてしまうおそれがあるためである。このような自動停止中のわずかなブレーキ操作により自動始動が行われてしまうと、運転者に違和感を与えるおそれがある。また、所定値KP1が大きすぎると、ブースト圧PBが停止許可圧PSに到達しにくくなり、自動停止が行われにくくなるおそれがある。なお、上述したような不具合を好適に抑制することができる値であれば、所定値KP1の値はどのような値でもよく、何ら上記範囲内の固定値に限定されるものではない。
【0051】
そして、ブースト圧PBが停止許可圧PSよりも高い場合には(S110でNO)、自動停止中のブースト圧PBの不足分を見込んだだけの負圧がまだ十分に確保されていないとして、引き続きエンジン2の運転が行われ、ブースト圧PBが停止許可圧PS以上になるまで、第1圧力室56bへの負圧供給が継続される。すなわち自動停止が保留される。
【0052】
一方、ブースト圧PBが停止許可圧PS以上であれば(S110でYES)、自動停止中のブースト圧PBの不足分を見込んだだけの負圧が十分に確保されたとして、エンジン2の自動停止が実行される(S120)。すなわち、エコランECU40からはエンジンECU48へ自動停止要求が出力されることにより、エンジンECU48では燃料噴射弁42からの燃料噴射を停止することにより、エンジン2の燃焼を停止する。このことによりエンジン2の回転は停止することになる。
【0053】
その後、ブースト圧PBはモニタされ、同ブースト圧PBが不足するとエンジン2の自動始動が行われる。すなわち、ブースト圧PBが上記始動要求圧PO以上であるか否かが判定される(S130)。そして、ブースト圧PBが始動要求圧POよりも低い場合には(S130でNO)、ブレーキアシストに必要なブースト圧PBが十分に確保されているとして、引き続きブースト圧PBのモニタが継続される。
【0054】
一方、ブースト圧PBが始動要求圧POよりも高い場合には(S130でYES)、ブレーキアシストに必要なブースト圧PBが不足しているとして、エンジン2の自動始動が実行される(S140)。すなわち、エコランECU40からはエンジンECU48へ自動始動要求が出力されることにより、エンジンECU48では燃料噴射弁42からの燃料噴射等が実行され、エンジン2の燃焼が開始される。このことによりエンジン2は回転を始め、吸気管2b内には負圧が発生し、第1圧力室56bへの負圧供給が行われる。
【0055】
次に、自動停止前と自動停止中におけるブースト圧PBの変化態様、及び上記自動停止始動処理による機関状態の変化態様について、本実施形態にかかる自動停止始動制御装置と従来の制御装置との違いを中心に、図4、図5を併せ参照して説明する。
【0056】
図4は、自動停止中にあってブレーキペダル52の踏み込みが緩められ、ブースト圧PBが低下する場合の上記変化態様を示している。まず先に、本実施形態にかかる自動停止始動制御装置による上記変化態様等について説明する。
【0057】
まず、時刻t2a前において、エンジン2が運転されているときには、ブレーキブースタ56の第1圧力室56bへの負圧供給がなされるため、ブースト圧PBは低下していく。そして、時刻t2aにてブースト圧PBが停止許可圧PS以下になるとともに、上述したような他の停止許可条件が満たされている場合には、自動停止が実行され、エンジン回転速度NEは「0」になる。その後、時刻t3aにてブレーキペダル52の踏み込みがわずかでも緩められると、第2圧力室56c内の空気が第1圧力室56b内に導入されることによりブースト圧PBは低下する、すなわち大気圧に近づく。しかし、車両を停止状態に維持するための最低限のブースト圧PBに対して、自動停止中のブースト圧PBの変化を考慮した所定値KP1分だけ余分にブースト圧PBが確保された状態でエンジン2は停止されている。そのため、ブレーキペダル52の踏み込みがわずかに緩められた程度では、ブースト圧PBは始動要求圧PO以上にはならず、エンジン2の自動停止が継続される。
【0058】
一方、従来の制御装置では、内燃機関の運転状態、例えば、吸気温、点火時期、バルブタイミング、アイドルスピード制御用バルブの状態、あるいは燃焼形態等により変動を受けやすい吸気圧とブースト圧PBとの差に基づいて自動停止の可否を判断するようにしている。そのため場合によっては、吸気圧が大気圧に近い状態にあるときにブースト圧PBとの比較が行われることもある。このときには、図4に一点鎖線で示すように、本実施形態における停止許可圧PSにブースト圧PBが到達する前に、自動停止が実行されることも起こりうる(時刻t1a)。この場合には本実施形態によるブースト圧PBの確保に比較して、ブースト圧PBの確保量が少なくなり、始動要求圧POに対する余力分も小さくなる。従って、時刻t3aにてブレーキペダル52の踏み込みがわずかでも緩められると、ブースト圧PBは始動要求圧PO以上にはなり、直ちにエンジン2は自動始動されてしまう。
【0059】
このように、自動停止中にあってブレーキペダル52の踏み込みがわずかでも緩められる場合に、従来の制御装置では自動始動が実行されてしまうのに対し、本実施形態にかかる自動停止始動制御装置では、自動始動は実行されない。すなわち本実施形態によれば、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることができる。そのため、例えば、自動停止中にもかかわらず、わずかにブレーキ操作を行っただけで自動始動が実行されてしまうといった、運転者に違和感を与える要因を減少させることができる。
【0060】
他方、図5は、自動停止中にあってブレーキペダル52の踏み込みが行われ、始動要求圧POが小さくなる場合の上記変化態様を示している。まず先に、本実施形態にかかる自動停止始動制御装置による上記変化態様等について説明する。
【0061】
まず、時刻t2b前において、エンジン2が運転されているときには、ブレーキブースタ56の第1圧力室56bへの負圧供給がなされるため、ブースト圧PBは低下していく。そして、時刻t2bにてブースト圧PBが停止許可圧PS以下になるとともに、上述したような他の停止許可条件が満たされている場合には、自動停止が実行され、エンジン回転速度NEは「0」になる。その後、時刻t3bにてブレーキペダル52が踏み込まれると、マスタ圧MPの増大に伴って始動要求圧POが小さく設定される。このとき、本実施形態では、車両を停止状態に維持するための最低限のブースト圧PBに対して、自動停止中の始動要求圧POの変化を考慮した所定値KP1分だけ余分にブースト圧PBが確保された状態でエンジン2は停止されている。そのため、ブレーキペダル52の踏み込みによって始動要求圧POが低下しても、ブースト圧PBは始動要求圧PO以上にはならない。このため、エンジン2の自動停止が継続される。
【0062】
一方、上述したように従来の制御装置では、吸気圧が大気圧に近い状態にあるときにブースト圧PBとの比較が行われることもある。このときには、図5に一点鎖線で示すように、本実施形態における停止許可圧PSにブースト圧PBが到達する前に、自動停止が実行されることも起こりうる(時刻t1b)。この場合には本実施形態によるブースト圧PBの確保に比較して、ブースト圧PBの確保量が少なくなり、始動要求圧POに対する余力分も小さくなる。従って、時刻t3bにてブレーキペダル52が踏み込まれ、始動要求圧POが小さく設定されると、確保されているブースト圧PBでは始動要求圧PO以上になってしまい、直ちにエンジン2は自動始動されてしまう(時刻t3b)。
【0063】
このように、自動停止中にあってブレーキペダル52が踏み込まれると、従来の制御装置では自動始動が実行されてしまうのに対し、本実施形態にかかる自動停止始動制御装置では、自動始動は実行されない。すなわち本実施形態によれば、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることができる。そのため、例えば、自動停止中にもかかわらず、ブレーキ操作を行っただけで自動始動が実行されてしまうといった、運転者に違和感を与える要因を減少させることができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態にかかる内燃機関の自動停止始動制御装置によれば、次のような効果が得られるようになる。
(1)所定値KP1は、自動停止中のブースト圧PBの変化と始動要求圧POの変化とを考慮し、自動停止前に十分なブースト圧PBを確保しておける値が設定されている。すなわち、自動停止中の要求制動力の変化を見込んで所定値KP1は設定されている。そして車両の静止状態を維持するために必要な最低限のブースト圧PBを確保するための始動要求圧POから、所定値KP1を減じた値を停止許可圧PSに設定するようにしている。換言すれば、停止許可圧PSと始動要求圧POとの乖離度合いを要求制動力に基づいて設定するようにしている。そのため、始動要求圧POと停止許可圧PSとの間に相互関係が設定され、所定値KP1分に相当するブースト圧PBが確実に確保される。そのため、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることができるようになる。
【0065】
(2)始動要求圧POは、要求制動力が大きくなるほど小さくなるように可変設定している。そのため、要求制動力に応じたブースト圧PBを好適に確保することができるようになる。
【0066】
(3)ブレーキペダル52の操作量に応じて変化するマスタ圧MPに基づいて上記要求制動力を推定するようにしている。従って、運転者の要求制動力に応じたブースト圧PBを確実に確保することができるようになる。
【0067】
(4)また車両停止位置の路面の傾斜角αに基づいて上記要求制動力を推定するようにしている。従って、車両の停止位置における路面の傾斜角αに応じたブースト圧PBを確実に確保することができるようになる。
【0068】
なお、上記各実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、始動要求圧POを可変設定するようにした。これに代えて、始動要求圧POを固定値としてもよい。この場合の固定値は、自動停止中のブースト圧PBの変化と要求制動力の変化とを考慮し、十分に小さい値を設定するとよい。この場合であっても、所定値KP1は自動停止後のブースト圧PBの変化と要求制動力の変化とを考慮した値に設定されているため、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因するブースト圧PBの不足を補うための自動始動を減少させることができる。
【0069】
・所定値KP1を予め設定された固定値とする場合には、例えば要求される制動力が小さい場合に、要求制動力に対してブースト圧PBが過剰に確保される場合もあり、車両停止後にあって自動停止が実行されるまでの時間が長くなるおそれがある。そこで、上記所定値KP1を、要求制動力に応じて設定される可変値としてもよい。好適には、図6に示すように、マスタ圧MPが増大するほど、あるいは傾斜角αが増大するほど、所定値KP1の値が大きく可変設定されるようにする。そして、マスタ圧MPから求められる所定値KP1と傾斜角αから求められる所定値KP1とを比較し、より大きい方の所定値KP1を最終的な所定値KP1として設定するとよい。この場合には、自動停止中におけるブースト圧PBの不足分を見込んで余分に確保されるブースト圧PBが、要求制動力に応じて好適に確保される。そのため、自動停止と自動始動とを好適に実行することができるようになる。
【0070】
・上記始動要求圧PO及び所定値KP1をともに、上述した変形例での態様のように要求制動力に基づいて可変設定するようにしてもよい。この場合には要求制動力に応じてより好適に自動停止と自動始動とを実行することができるようになる。
【0071】
・上記実施形態及びその変形例において、所定値KP1や始動要求圧POを、マスタ圧MPまたは傾斜角αの少なくとも一方に基づいて設定するようにしてもよい。この場合にも上記実施形態に準ずる効果を得ることができる。
【0072】
・上記実施形態及びその変形例において、始動要求圧POと停止許可圧PSとをマップに基づいて設定するようにしてもよい。この場合には、要求制動力に基づいて始動要求圧POを求めるための始動要求圧PO用マップと、始動要求圧POに基づいて停止許可圧PSを求めるための停止許可圧PS用マップとを用意する。そしてこれらマップの作成に際しては、求められた始動要求圧POから、同始動要求圧POに基づいて設定された停止許可圧PSを減じた値が上記所定値KP1になるように、停止許可圧PS用マップを設定する。この場合にも上記実施形態に準ずる効果を得ることができる。
【0073】
・上記実施形態では、車両の静止状態を維持するためのブースト圧PBを確保するための最低限の圧力を始動要求圧POとして設定し、自動停止前にはこの始動要求圧PO以上の負圧を確保しておくようにしていた。ここで、上記実施形態の態様でエンジン2の自動停止が行われる場合には、ブースト圧PBが停止許可圧PSに到達するまでは自動停止が実行されない。そのため、例えば、要求制動力がそれほど高くなく、ブースト圧PBもそれほど必要ではない場合にあって、自動停止までの時間が長くなるおそれがある。そこで、上述したような態様で推定される要求制動力がそれほど高くない場合には、始動要求圧POの値を停止許可圧PSNとし、停止許可圧PSNよりも低い値を始動要求圧PONとして設定する。そしてこの停止許可圧PSNと始動要求圧PONとの乖離度合いを上記実施形態で説明した技術思想に基づいて設定するようにしてもよい。この場合にも停止許可圧と始動要求圧との間に要求制動力に基づく相互関係が設定され、自動停止中にあって、ブレーキ操作に起因する自動始動を減少させることができるようになる。
【0074】
・上記実施形態におけるブレーキブースタ56は、負圧が導入されるタイプのものであった。この他にも、エンジン2の動力(クランクシャフトの回転力等)を利用して正圧を発生されるポンプ等を車両に備え、この正圧が導入されることによりブレーキアシストを行うブレーキブースタもある。このようなブレーキブースタを備える車両であっても、上記実施形態における負圧と正圧とを入れ替え、本発明にかかる技術思想を適用することで、上記実施形態に準ずる作用効果を得ることができる。
【0075】
・上記実施形態では、ブレーキブースタ56の負圧をエンジン2の吸気管2bから得る機構により説明したが、例えば、エンジン2の運転中に稼働される電動ポンプを用いて十分な負圧を作り、この負圧をブレーキブースタ56のブースト圧PBに用いるようにした構成でも本発明は同様に適用することができる。
【0076】
・上記実施形態では、ブレーキブースタ圧力センサ56dにより直接、ブースト圧PBを検出していた。この他にも、ブレーキブースタ圧力センサ56dを設けずに、ブースト圧PBを、大気圧、吸気圧PIM、ブレーキペダル52の踏み込み回数、踏み込みを緩めた回数等に基づき、演算により求めるようにしても良い。
【0077】
・本発明は、ブレーキペダル52に代えてブレーキレバー等の他のブレーキ操作子が設けられた車両にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる内燃機関の自動停止始動制御装置の一実施形態について、その概略構成を示す図。
【図2】同実施形態による自動停止始動処理の手順を示すフローチャート。
【図3】同実施形態において、要求制動力と始動要求圧との対応を示すグラフ。
【図4】同実施形態による処理の一例と従来例の処理の一例を示すタイミングチャート。
【図5】同実施形態による処理の一例と従来例の処理の一例を示すタイミングチャート。
【図6】上記実施形態の変形例において、要求制動力と所定値KP1との対応を示すグラフ。
【符号の説明】
2…エンジン、2a…クランク軸、2b…吸気管、4…トルクコンバータ、6…オートマチックトランスミッション(A/T)、6a…出力軸、10…プーリ、10a…電磁クラッチ、14…ベルト、16、18…プーリ、22…補機類、26…モータジェネレータ(M/G)、28…インバータ、30…高圧電源用バッテリ、32…DC/DCコンバータ、34…低圧電源用バッテリ、36…スタータ、38…電動油圧ポンプ、40…エコランECU、42…燃料噴射弁、44…電動モータ、46…スロットルバルブ、46a…スロットル開度センサ、48…エンジンECU、49… 大気圧センサ、50…VSC−ECU、52…ブレーキペダル、52a…ブレーキスイッチ、56…ブレーキブースタ、56a…ダイヤフラム、56b…第1圧力室、56c…第2圧力室、56d…ブレーキブースタ圧力センサ、56e…チェック弁、56f…負圧制御バルブ、56g…スプリング、56h…プッシュロッド、56i…マスタシリンダ、56j…入力側ロッド、60…車輪、61…油圧配管、62…ブレーキ、63…圧力センサ。
Claims (10)
- 内燃機関の動力を利用してブレーキ操作力を増大させるブレーキ補助手段を備えた車両にあって、
少なくとも前記ブレーキ補助手段のブレーキ補助力が予め設定された停止許可値にあることをその一つとして含む機関停止条件が成立したときに前記内燃機関を自動停止させ、少なくとも前記ブレーキ補助手段のブレーキ補助力が予め設定された始動要求値にあることをその一つとして含む機関始動条件が成立した場合に前記内燃機関を自動始動させる内燃機関の自動停止始動制御装置であって、
前記停止許可値と前記始動要求値とは要求制動力に基づいてその乖離度合いが設定される
ことを特徴とする内燃機関の自動停止始動制御装置。 - 前記ブレーキ補助手段は前記内燃機関の動力を利用して得られるブースト圧を利用するブレーキブースタであって、
前記自動停止始動制御装置は、少なくとも前記ブレーキブースタ内のブースト圧が予め設定された停止許可圧にあることをその一つとして含む機関停止条件が成立したときに前記内燃機関を自動停止させ、少なくとも前記ブレーキブースタ内のブースト圧が予め設定された始動要求圧にあることをその一つとして含む機関始動条件が成立した場合に前記内燃機関を自動始動させる
請求項1に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置。 - 前記ブレーキ補助手段は吸気通路内に発生する吸気圧をブースト圧として利用することによりブレーキ操作力を増大させるブレーキブースタであって、
前記自動停止始動制御装置は、少なくとも前記ブレーキブースタ内のブースト圧が予め設定された停止許可圧以下であることをその一つとして含む機関停止条件が成立したときに前記内燃機関を自動停止させ、少なくとも前記ブレーキブースタ内のブースト圧が予め設定された始動要求圧以上であることをその一つとして含む機関始動条件が成立した場合に前記内燃機関を自動始動させる
請求項2に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置。 - 前記停止許可圧は要求制動力に基づく一定の固定値だけ前記始動要求圧よりも低い値に設定される
請求項3に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置。 - 前記停止許可圧は車両停止時の要求制動力に応じて設定される可変値だけ前記始動要求圧よりも低い値に設定される
請求項3に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置。 - 前記要求制動力が大きくなるほど前記可変値は大きく設定される
請求項5に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置。 - 前記始動要求値あるいは始動要求圧は、車両停止時の要求制動力に応じて可変設定される
請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の自動停止始動制御装置。 - 前記要求制動力が大きくなるほど前記始動要求値あるいは始動要求圧は低く設定される
請求項7に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置。 - 前記要求制動力はブレーキ操作子の操作量に応じて変化するブレーキ配管系内の圧力に基づいて推定され、前記可変値はこの推定された要求制動力に応じて設定される
請求項5〜8のいずれかに記載の内燃機関の自動停止始動制御装置。 - 前記要求制動力は車両停止位置の路面の傾斜角に基づいて推定され、前記可変値はこの推定された要求制動力に応じて設定される
請求項5〜9のいずれかに記載の内燃機関の自動停止始動制御装置。
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