JP2004247667A - 導電回路の製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上、オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電性に優れた導電回路を容易に作成する方法の提供。
【解決手段】金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いて基材1面の所定部に導電回路形成用パターン3を形成し、加熱乾燥して導電回路を製造することにより課題を解決できる。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗が、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の1/10,000〜1/50,000となるような所定量の金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いて基材1面の所定部に導電回路形成用パターン3を形成し、加熱乾燥して導電回路を製造することにより課題を解決できる。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗が、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の1/10,000〜1/50,000となるような所定量の金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電回路の製法およびシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、IC、LSIなどの微細な導電回路を作成するには、導電層が積層されたシート基材の前記導電層上にレジスト剤を用いてレジスト層を形成し、導電回路パターンを有するホトマスクを用いて光照射し、例えば導電回路パターン状に形成されたレジスト層以外の導電層を除去して導電回路を形成し、必要に応じて不要のレジスト層を除去するホトリソグラフによる方法が行われているが、ホトマスクを用いて光照射するなど多数の工程を要するので煩雑であるという問題があった。
【0003】
一方、シート基材上にアルミニウム粉末、銀粉末などの導電性粉末を含む導電性ペーストを印刷して導電回路を作成する方法があるが、印刷機を用いて印刷するため製版が必要であり、大量生産に適するが、オンデマンドで少量・多種類の注文に応じることが困難である上、導電性ペースト中の導電性粉末同士の接触により導電性が付与されるため接触不足により導電性が不十分となる場合があるという問題があった。
【0004】
電子写真方式で用いられるトナーないし現像剤をレジスト剤として利用して導電回路を作成する導電回路の製法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特願2002−251308
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この導電回路の製法は、一旦剥離シートにトナーないし現像剤を用いて電子写真方式により導電回路形成用パターンを形成し、この面と、導電層が積層されたシート基材の導電層が積層された面を接着剤を介して重ね合わせ、導電層面に前記導電回路形成用パターンを転移させる転移工程があるので、未だ煩雑であるという問題があった。
本発明の第1の目的は、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電性に優れた導電回路を容易に作成する方法を提供することであり、
本発明の第2の目的は、その方法により作成された導電性に優れた導電回路を備えたシートを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の請求項1記載の導電回路の製法は、金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いて基材面の所定部に導電回路形成用パターンを形成し、加熱乾燥して導電回路を製造することを特徴とする。
【0008】
金属コロイド含有インクジェットインクを用いることにより、導電回路形成用パターンを電子信号画像信号にて形成し、形成した電子信号画像信号に基づいてインクジェットプリンタにより、シート基材などの基材面の所定部に導電回路形成用パターンを容易にシャープに形成できる。導電回路形成用パターンを形成した後、加熱乾燥することによりビヒクル成分を揮散させるなどにより金属コロイド間の接触を向上させて導電率をより向上できる。インクジェットプリンタを用いるので、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上、オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電回路形成用パターンを容易に形成でき、ICチップを実装したりすることにより導電性に優れた導電回路とすることができる。
【0009】
本発明の請求項2記載の導電回路の製法は、請求項1記載の導電回路の製法において、加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗が、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の1/10,000〜1/50,000となるような所定量の金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いることを特徴とする。
【0010】
加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗が、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の1/10,000〜1/50,000となるような所定量の金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いることにより、印刷適性に優れ、インクジェットプリンタのノズルが詰まらず、かつ基材面との接着性がよく剥離せず、導電性および表面強度、光沢に優れた導電回路を作成することができる。
【0011】
本発明の請求項3記載の導電回路の製法は、請求項1あるいは請求項2記載の導電回路の製法において、前記金属コロイドの平均粒子径が1〜50nmであることを特徴とする。
【0012】
金属コロイドの平均粒子径は通常1〜1000nmであるが、平均粒子径が50nmを超えるとインクジェットプリンタのノズルが詰まる恐れがある。金属コロイドの平均粒子径が1〜50nmであるとインクジェットプリンタのノズルが詰まることなく、連続して安定して容易に導電性に優れた導電回路形成用パターンを形成できる。
【0013】
本発明の請求項4は、基材面の所定部に請求項1から請求項3のいずれかに記載の製法により形成した導電回路を備えたことを特徴とするシートである。
【0014】
本発明のシートは、基材面との接着性がよく剥離せず、導電性、表面強度、光沢に優れた導電回路を備えており、構成が簡単で安価であり、アンテナとして利用可能であり、また接触型・非接触あるいはハイブリッド型のICカード、ICラベル、ICタグ、ICフォームなどの情報記録媒体やペーパーコンピュータなどとして用いられる他、用途や目的に応じて設計される導電回路を形成すればプリント基板など一般の導電回路として用いることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1(a)、(b)は、金属コロイド含有インクジェットインクを用いてシート基材面の所定部に導電回路形成用パターンを形成し、導電回路を製造する一実施例を示す平面説明図である。
【0016】
図1(a)に示したように、先ず上質紙、中質紙、合成紙、各種再生紙などのシート基材1を用意する。そして図1(b)に示したように、シート基材1の面の所定の箇所に金属コロイド含有インクジェットインクを用い、公知のインクジェットプリンタにより、導電回路形成用パターン3を形成する。2a、2bは導電回路形成用パターン3の両端部に設けたランド部である。導電回路形成用パターン3は例えば、加熱炉、熱風炉などを利用したり、赤外線照射などの光、電磁波、電子線あるいはこれらの組み合わせを用いたり、公知の方法により適宜の条件下で加熱乾燥して導電回路とする。4は導電回路を備えた本発明のシートを示す。
加熱乾燥すると導電回路形成用パターン3中の金属コロイド間の接触を向上させて導電率を向上できる。もちろん導電率を向上できる理由はこれに限定されるものではない。
【0017】
この例では、導電回路形成用パターン3としてアンテナの例を示して説明したが、導電回路形成用パターン3はアンテナに限定されず、用途や目的に応じて設計されるどのような導電回路形成用パターンであってもよく、シート基材も紙などに限定されず、金属コロイド含有インクジェットインクを用いると、絶縁性平面あるいは絶縁性曲面を有する基材としての無機物および/または有機物の面上に導電回路形成用パターンを容易に形成できる。
この例では、2次元的導電回路形成用パターンを示したが、重ね印刷、積層などにより3次元的導電回路を形成することもできる。
【0018】
ランド部2a、2b間に図示しないICチップを実装して、電磁波を媒体として情報を受信し、また送信できるようにした非接触型ICタグやRF−ID(Radio Frequency IDentification)などの非接触型データ受送信体として利用することも可能である。
【0019】
本発明において用いる金属コロイドは、公知の固体ゾルあるいはそれを溶媒に分散させたものであり、金属の種類は特に限定されない。しかし、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、ニッケル、アルミニウムなどは好ましく使用できる。
【0020】
これらの金属コロイドは発色する。金属コロイドによる発色は電子のプラズマ振動に起因し、プラズモン吸収とよばれる発色機構によるものである。このプラズモン吸収による発色は金属中の自由電子が光電場により揺さぶられ粒子表面に電荷が現れ、非線形分極が生じるためであると考えられている。この金属コロイドによる発色は、彩度や光線透過率が高く、耐久性に優れている。例えば、金コロイドは粒径に応じて青、青紫、赤紫、金色などを示す。製造法としては、例えば金属化合物を溶媒に溶解し、高分子量顔料分散剤を添加した後、金属に還元して前記高分子量顔料分散剤で保護されたコロイド粒子を形成し、その後前記溶媒を除去して固体ゾルとする方法を挙げることができる。
【0021】
本発明において用いる金属コロイド含有インクジェットインクは、熱硬化型、光硬化型、電子線硬化型などのバインダを用いたインクでもよく、また金属コロイドを適当な分散安定剤により溶媒あるいはバインダに分散させたインクでもよい。このような溶媒としては通常のインクジェットインクに使用する水、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。この他に、pH調整剤、粘度調剤、表面張力調整剤(界面活性剤)、金属封鎖剤、防菌防カビ剤、分散剤などを含有させることができる。
【0022】
通常のインクジェットインクには、着色成分として、アントラキノン系、ベンゾキノン系、ナフトキシキノン系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、キノリン系、インジゴイド系、アジン系、オキサジン系、チアジン系およびメチン系染料からなる群から選ばれた少なくとも1種のアニオン性インクが用いられている。
これらの着色成分を本発明で用いる金属コロイド含有インクジェットインクに添加することができる。
【0023】
本発明において用いるインクジェットインク中に配合する金属コロイドの量は特に限定されるものではないが、加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗が、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の1/10,000〜1/50,000となるように所定量の金属コロイドを配合することが好ましい。1/10,000に達しないと良好な導電性が得られない恐れがあり、逆に1/50,000を超えてさらに小さくなると印刷性に劣り、インクジェットプリンタのノズルが詰まり、基材面との接着性が悪化して剥離し、表面強度が低下するなどの恐れがある。
【0024】
金属コロイドの平均粒子径は通常およそ1〜1000nmであり本発明においてはいずれも使用できる。平均粒子径が小さいものは導電性がよく好ましいが1nm未満のものは作成が難かしく、一方、平均粒子径が50nmを超えるとインクジェットプリンタのノズルが詰まる恐れがあり、金属コロイドの平均粒子径が1〜50nmであるとインクジェットプリンタのノズルが詰まることなく、連続して安定して導電性に優れた導電回路パターンを基材面に形成できるので好ましく使用できる。
【0025】
本発明で用いる基材の素材は、導電回路を形成できる絶縁性平面および/または絶縁性曲面を有する無機物および/または有機物を挙げることができる。
これらの基材の中でも、シート基材(フィルム基材を含む)は本発明において好ましく使用できる。シート基材の素材としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの無機または有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙(例えば、上質紙、中質紙、合成紙、各種再生紙、アート紙、コート紙、ミラーコート紙、コンデンサー紙、パラフィン紙、その他の紙の他に、それにオーバーコート層(保護層)をもつ用紙など)あるいはこれらを組み合わせたもの、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合シート、ポリアミド系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、ポリオレフィン系樹脂シート、ポリイミド系樹脂シート、エチレン・ビニルアルコール共重合体シート、ポリビニルアルコール系樹脂シート、ポリ塩化ビニル系樹脂シート、ポリ塩化ビニリデン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリカーボネート系樹脂シート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂シート、ポリエーテルスルホン系樹脂シートなどのプラスチックシート、あるいはこれらにコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理およびオゾン処理などの表面処理を施したものなどを挙げることができる。
【0026】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
銀ナノコロイド分散液(固形分;30質量%)50質量部とエチレングリコールモノメチルエーテル15質量部、グリセリン5質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル0.5質量部、イソプロピルアルコール3質量部、それに蒸留水26.5質量部を混合撹拌して、金属コロイド含有インクジェットインクを得た。このインクは、粘度4.5mPa・s、表面張力46×10−3N/m、pH9.5、金属コロイドの平均粒子径は10nmであった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを、キャノン製インクカートリッジ 型番:BCI21(バブルジェット(登録商標)方式のインクジェットプリンタ 型番:BJC−430C用)に充填し、下記の評価方法により印字評価(印字休止後の回復性、周波数応答性)を行った結果、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
【0027】
(評価方法)
(1)印字休止後の回復性
印字休止後、プリンタを50℃の環境に5時間保持し、しかる後に、常温に戻す。その後再度印字を行いスタートアップの状態を文字の印字から判定する。
○:最初から鮮明に印刷可能であり、導電性において実用上適している。
△:始めのうちは一部カスレが見られるが、すぐに正常に戻り、導電性において実用上の大きな問題はない。
×:1ページ程度はカスレが目立つが、2ページ目以降は正常に印字できる。
【0028】
(2)周波数応答性
2KHz、4KHz、6KHzでの各周波数での駆動周波数にてそれぞれプリンタで印字し、ベタパターンの状態から応答性を判定する。
○:6KHzまでの応答性を有する。
△:4KHzまでの応答性を有する。
×:2KHzまでの応答性を有する。
【0029】
この金属コロイド含有インクジェットインクを、キャノン製インクカートリッジ 型番:BCI21(バブルジェット(登録商標)方式のインクジェットプリンタ 型番:BJC−430C用)に充填し、市販の写真用光沢紙に幅1mm×長さ100mmのパターンを印刷したところ、両末端間の表面抵抗値は、350kΩ(3.5kΩ/□)であった。導電回路が形成されたシートを空気を循環させている100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は12Ω(0.12Ω/□)であった。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗は、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の約1/30,000である。
【0030】
(実施例2)
実施例1で使用した銀ナノコロイド分散液50質量部に対して、グリセリン/エチレングリコール50/50の質量比で混合した液25質量部と、ヘキシレングリコール0.5質量部、テトラヒドロフルフリールアルコール3質量部、それに蒸留水21.5質量部を混合撹拌して、金属コロイド含有インクジェットインクを得た。このインクは、粘度3.1mPa・s、表面張力45×10−3N/m、pH9.3、金属コロイドの平均粒子径は10nmであった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを、実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを実施例1と同様にして導電性評価を行った結果、両末端間の表面抵抗値は、410kΩ(4.1kΩ/□)であった。導電回路が形成されたシートを空気を循環させている100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は18Ω(0.18Ω/□)であった。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗は、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の約1/23,000である。
【0031】
(実施例3)
実施例1で使用した銀ナノコロイド分散液50質量部に対して、トリエチレングリコールモノメチルエーテル20質量部と1,5−ペンタンジオール2.0質量部、n−プロパノール4.0質量部、それに蒸留水24質量部を混合撹拌して、金属コロイド含有インクジェットインクを得た。このインクは粘度4.2mPa・s、表面張力39×10−3N/m、pH9.5、金属コロイドの平均粒子径は10nmであった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを、実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを実施例1と同様にして導電性評価を行った。その結果、両末端間の表面抵抗値は、700kΩ(7kΩ/□)であった。導電回路が形成されたシートを空気を循環させている100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は31Ω(0.31Ω/□)であった。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗は、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の約1/23,000である。
【0032】
(実施例4)
実施例1で使用した銀ナノコロイド分散液50質量部に対して、1,2,5−ブタントリオール/トリエチレングリコールモノメチルエーテル65/35質量比混合液30質量部とエチレングリコールモノブチルエーテル0.3質量部、エタノール4.0質量部、それに蒸留水15.7質量部を混合撹拌して、金属コロイド含有インクジェットインクを得た。このインクは、粘度2.7mPa・s、表面張力50×10−3N/m、pH9.6、金属コロイドの平均粒子径は10nmであった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを、実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを実施例1と同様にして導電性評価を行った結果、両末端間の表面抵抗値は、380kΩ(3.8kΩ/□)であった。導電回路が形成されたシートを空気を循環させている100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は21Ω(0.21Ω/□)であった。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗は、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の約1/18,000である。
【0033】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の導電回路の製法は、金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いて基材面の所定部に導電回路形成用パターンを形成し、加熱乾燥して導電回路を製造することを特徴とするものであり、金属コロイド含有インクジェットインクを用いることにより、導電回路形成用パターンを電子信号画像信号にて形成し、形成した電子信号画像信号に基づいてインクジェットプリンタにより、シート基材などの基材面の所定部に導電回路形成用パターンを容易にシャープに形成でき、導電回路形成用パターンを形成した後、加熱乾燥することによりビヒクル成分を揮散させるなどにより金属コロイド間の接触を向上させて導電率をより向上できるという顕著な効果を奏する。
また、インクジェットプリンタを用いるので、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上、オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電回路形成用パターンを容易に形成でき、ICチップを実装したりすることにより導電性に優れた導電回路とすることができるという顕著な効果を奏する。
【0034】
本発明の請求項2記載の導電回路の製法は、請求項1記載の導電回路の製法において、加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗が、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の1/10,000〜1/50,000となるような所定量の金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いることを特徴とするものであり、印刷適性に優れ、インクジェットプリンタのノズルが詰まらず、かつ基材面との接着性がよく剥離せず、導電性および表面強度、光沢に優れた導電回路を作成することができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0035】
本発明の請求項3記載の導電回路の製法は、請求項1あるいは請求項2記載の導電回路の製法において、前記金属コロイドの平均粒子径が1〜50nmであることを特徴とするものであり、金属コロイドの平均粒子径は通常1〜1000nmであるが、平均粒子径が50nmを超えるとインクジェットプリンタのノズルが詰まる恐れがあり、金属コロイドの平均粒子径が1〜50nmであるとインクジェットプリンタのノズルが詰まることなく、連続して安定して容易に導電性に優れた導電回路形成用パターンを形成できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0036】
本発明の請求項4は、基材面の所定部に請求項1から請求項3のいずれかに記載の製法により形成した導電回路を備えたことを特徴とするシートであり、基材面との接着性がよく剥離せず、導電性、表面強度、光沢に優れた導電回路を備えており、構成が簡単で安価であり、アンテナとして利用可能であり、また接触型・非接触あるいはハイブリッド型のICカード、ICラベル、ICタグ、ICフォームなどの情報記録媒体やペーパーコンピュータなどとして用いられる他、用途や目的に応じて設計される導電回路を形成すればプリント基板など一般の導電回路として用いることができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)は、金属コロイド含有インクジェットインクを用いてシート基材面の所定部に導電回路形成用パターンを形成し、導電回路を製造する一実施例を示す平面説明図である。
【符号の説明】
1 シート基材
2a、2b ランド部
3 導電回路形成用パターン
4 導電回路を備えたシート
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電回路の製法およびシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、IC、LSIなどの微細な導電回路を作成するには、導電層が積層されたシート基材の前記導電層上にレジスト剤を用いてレジスト層を形成し、導電回路パターンを有するホトマスクを用いて光照射し、例えば導電回路パターン状に形成されたレジスト層以外の導電層を除去して導電回路を形成し、必要に応じて不要のレジスト層を除去するホトリソグラフによる方法が行われているが、ホトマスクを用いて光照射するなど多数の工程を要するので煩雑であるという問題があった。
【0003】
一方、シート基材上にアルミニウム粉末、銀粉末などの導電性粉末を含む導電性ペーストを印刷して導電回路を作成する方法があるが、印刷機を用いて印刷するため製版が必要であり、大量生産に適するが、オンデマンドで少量・多種類の注文に応じることが困難である上、導電性ペースト中の導電性粉末同士の接触により導電性が付与されるため接触不足により導電性が不十分となる場合があるという問題があった。
【0004】
電子写真方式で用いられるトナーないし現像剤をレジスト剤として利用して導電回路を作成する導電回路の製法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特願2002−251308
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この導電回路の製法は、一旦剥離シートにトナーないし現像剤を用いて電子写真方式により導電回路形成用パターンを形成し、この面と、導電層が積層されたシート基材の導電層が積層された面を接着剤を介して重ね合わせ、導電層面に前記導電回路形成用パターンを転移させる転移工程があるので、未だ煩雑であるという問題があった。
本発明の第1の目的は、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電性に優れた導電回路を容易に作成する方法を提供することであり、
本発明の第2の目的は、その方法により作成された導電性に優れた導電回路を備えたシートを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の請求項1記載の導電回路の製法は、金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いて基材面の所定部に導電回路形成用パターンを形成し、加熱乾燥して導電回路を製造することを特徴とする。
【0008】
金属コロイド含有インクジェットインクを用いることにより、導電回路形成用パターンを電子信号画像信号にて形成し、形成した電子信号画像信号に基づいてインクジェットプリンタにより、シート基材などの基材面の所定部に導電回路形成用パターンを容易にシャープに形成できる。導電回路形成用パターンを形成した後、加熱乾燥することによりビヒクル成分を揮散させるなどにより金属コロイド間の接触を向上させて導電率をより向上できる。インクジェットプリンタを用いるので、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上、オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電回路形成用パターンを容易に形成でき、ICチップを実装したりすることにより導電性に優れた導電回路とすることができる。
【0009】
本発明の請求項2記載の導電回路の製法は、請求項1記載の導電回路の製法において、加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗が、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の1/10,000〜1/50,000となるような所定量の金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いることを特徴とする。
【0010】
加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗が、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の1/10,000〜1/50,000となるような所定量の金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いることにより、印刷適性に優れ、インクジェットプリンタのノズルが詰まらず、かつ基材面との接着性がよく剥離せず、導電性および表面強度、光沢に優れた導電回路を作成することができる。
【0011】
本発明の請求項3記載の導電回路の製法は、請求項1あるいは請求項2記載の導電回路の製法において、前記金属コロイドの平均粒子径が1〜50nmであることを特徴とする。
【0012】
金属コロイドの平均粒子径は通常1〜1000nmであるが、平均粒子径が50nmを超えるとインクジェットプリンタのノズルが詰まる恐れがある。金属コロイドの平均粒子径が1〜50nmであるとインクジェットプリンタのノズルが詰まることなく、連続して安定して容易に導電性に優れた導電回路形成用パターンを形成できる。
【0013】
本発明の請求項4は、基材面の所定部に請求項1から請求項3のいずれかに記載の製法により形成した導電回路を備えたことを特徴とするシートである。
【0014】
本発明のシートは、基材面との接着性がよく剥離せず、導電性、表面強度、光沢に優れた導電回路を備えており、構成が簡単で安価であり、アンテナとして利用可能であり、また接触型・非接触あるいはハイブリッド型のICカード、ICラベル、ICタグ、ICフォームなどの情報記録媒体やペーパーコンピュータなどとして用いられる他、用途や目的に応じて設計される導電回路を形成すればプリント基板など一般の導電回路として用いることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1(a)、(b)は、金属コロイド含有インクジェットインクを用いてシート基材面の所定部に導電回路形成用パターンを形成し、導電回路を製造する一実施例を示す平面説明図である。
【0016】
図1(a)に示したように、先ず上質紙、中質紙、合成紙、各種再生紙などのシート基材1を用意する。そして図1(b)に示したように、シート基材1の面の所定の箇所に金属コロイド含有インクジェットインクを用い、公知のインクジェットプリンタにより、導電回路形成用パターン3を形成する。2a、2bは導電回路形成用パターン3の両端部に設けたランド部である。導電回路形成用パターン3は例えば、加熱炉、熱風炉などを利用したり、赤外線照射などの光、電磁波、電子線あるいはこれらの組み合わせを用いたり、公知の方法により適宜の条件下で加熱乾燥して導電回路とする。4は導電回路を備えた本発明のシートを示す。
加熱乾燥すると導電回路形成用パターン3中の金属コロイド間の接触を向上させて導電率を向上できる。もちろん導電率を向上できる理由はこれに限定されるものではない。
【0017】
この例では、導電回路形成用パターン3としてアンテナの例を示して説明したが、導電回路形成用パターン3はアンテナに限定されず、用途や目的に応じて設計されるどのような導電回路形成用パターンであってもよく、シート基材も紙などに限定されず、金属コロイド含有インクジェットインクを用いると、絶縁性平面あるいは絶縁性曲面を有する基材としての無機物および/または有機物の面上に導電回路形成用パターンを容易に形成できる。
この例では、2次元的導電回路形成用パターンを示したが、重ね印刷、積層などにより3次元的導電回路を形成することもできる。
【0018】
ランド部2a、2b間に図示しないICチップを実装して、電磁波を媒体として情報を受信し、また送信できるようにした非接触型ICタグやRF−ID(Radio Frequency IDentification)などの非接触型データ受送信体として利用することも可能である。
【0019】
本発明において用いる金属コロイドは、公知の固体ゾルあるいはそれを溶媒に分散させたものであり、金属の種類は特に限定されない。しかし、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、ニッケル、アルミニウムなどは好ましく使用できる。
【0020】
これらの金属コロイドは発色する。金属コロイドによる発色は電子のプラズマ振動に起因し、プラズモン吸収とよばれる発色機構によるものである。このプラズモン吸収による発色は金属中の自由電子が光電場により揺さぶられ粒子表面に電荷が現れ、非線形分極が生じるためであると考えられている。この金属コロイドによる発色は、彩度や光線透過率が高く、耐久性に優れている。例えば、金コロイドは粒径に応じて青、青紫、赤紫、金色などを示す。製造法としては、例えば金属化合物を溶媒に溶解し、高分子量顔料分散剤を添加した後、金属に還元して前記高分子量顔料分散剤で保護されたコロイド粒子を形成し、その後前記溶媒を除去して固体ゾルとする方法を挙げることができる。
【0021】
本発明において用いる金属コロイド含有インクジェットインクは、熱硬化型、光硬化型、電子線硬化型などのバインダを用いたインクでもよく、また金属コロイドを適当な分散安定剤により溶媒あるいはバインダに分散させたインクでもよい。このような溶媒としては通常のインクジェットインクに使用する水、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。この他に、pH調整剤、粘度調剤、表面張力調整剤(界面活性剤)、金属封鎖剤、防菌防カビ剤、分散剤などを含有させることができる。
【0022】
通常のインクジェットインクには、着色成分として、アントラキノン系、ベンゾキノン系、ナフトキシキノン系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、キノリン系、インジゴイド系、アジン系、オキサジン系、チアジン系およびメチン系染料からなる群から選ばれた少なくとも1種のアニオン性インクが用いられている。
これらの着色成分を本発明で用いる金属コロイド含有インクジェットインクに添加することができる。
【0023】
本発明において用いるインクジェットインク中に配合する金属コロイドの量は特に限定されるものではないが、加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗が、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の1/10,000〜1/50,000となるように所定量の金属コロイドを配合することが好ましい。1/10,000に達しないと良好な導電性が得られない恐れがあり、逆に1/50,000を超えてさらに小さくなると印刷性に劣り、インクジェットプリンタのノズルが詰まり、基材面との接着性が悪化して剥離し、表面強度が低下するなどの恐れがある。
【0024】
金属コロイドの平均粒子径は通常およそ1〜1000nmであり本発明においてはいずれも使用できる。平均粒子径が小さいものは導電性がよく好ましいが1nm未満のものは作成が難かしく、一方、平均粒子径が50nmを超えるとインクジェットプリンタのノズルが詰まる恐れがあり、金属コロイドの平均粒子径が1〜50nmであるとインクジェットプリンタのノズルが詰まることなく、連続して安定して導電性に優れた導電回路パターンを基材面に形成できるので好ましく使用できる。
【0025】
本発明で用いる基材の素材は、導電回路を形成できる絶縁性平面および/または絶縁性曲面を有する無機物および/または有機物を挙げることができる。
これらの基材の中でも、シート基材(フィルム基材を含む)は本発明において好ましく使用できる。シート基材の素材としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの無機または有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙(例えば、上質紙、中質紙、合成紙、各種再生紙、アート紙、コート紙、ミラーコート紙、コンデンサー紙、パラフィン紙、その他の紙の他に、それにオーバーコート層(保護層)をもつ用紙など)あるいはこれらを組み合わせたもの、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合シート、ポリアミド系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、ポリオレフィン系樹脂シート、ポリイミド系樹脂シート、エチレン・ビニルアルコール共重合体シート、ポリビニルアルコール系樹脂シート、ポリ塩化ビニル系樹脂シート、ポリ塩化ビニリデン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリカーボネート系樹脂シート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂シート、ポリエーテルスルホン系樹脂シートなどのプラスチックシート、あるいはこれらにコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理およびオゾン処理などの表面処理を施したものなどを挙げることができる。
【0026】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
銀ナノコロイド分散液(固形分;30質量%)50質量部とエチレングリコールモノメチルエーテル15質量部、グリセリン5質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル0.5質量部、イソプロピルアルコール3質量部、それに蒸留水26.5質量部を混合撹拌して、金属コロイド含有インクジェットインクを得た。このインクは、粘度4.5mPa・s、表面張力46×10−3N/m、pH9.5、金属コロイドの平均粒子径は10nmであった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを、キャノン製インクカートリッジ 型番:BCI21(バブルジェット(登録商標)方式のインクジェットプリンタ 型番:BJC−430C用)に充填し、下記の評価方法により印字評価(印字休止後の回復性、周波数応答性)を行った結果、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
【0027】
(評価方法)
(1)印字休止後の回復性
印字休止後、プリンタを50℃の環境に5時間保持し、しかる後に、常温に戻す。その後再度印字を行いスタートアップの状態を文字の印字から判定する。
○:最初から鮮明に印刷可能であり、導電性において実用上適している。
△:始めのうちは一部カスレが見られるが、すぐに正常に戻り、導電性において実用上の大きな問題はない。
×:1ページ程度はカスレが目立つが、2ページ目以降は正常に印字できる。
【0028】
(2)周波数応答性
2KHz、4KHz、6KHzでの各周波数での駆動周波数にてそれぞれプリンタで印字し、ベタパターンの状態から応答性を判定する。
○:6KHzまでの応答性を有する。
△:4KHzまでの応答性を有する。
×:2KHzまでの応答性を有する。
【0029】
この金属コロイド含有インクジェットインクを、キャノン製インクカートリッジ 型番:BCI21(バブルジェット(登録商標)方式のインクジェットプリンタ 型番:BJC−430C用)に充填し、市販の写真用光沢紙に幅1mm×長さ100mmのパターンを印刷したところ、両末端間の表面抵抗値は、350kΩ(3.5kΩ/□)であった。導電回路が形成されたシートを空気を循環させている100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は12Ω(0.12Ω/□)であった。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗は、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の約1/30,000である。
【0030】
(実施例2)
実施例1で使用した銀ナノコロイド分散液50質量部に対して、グリセリン/エチレングリコール50/50の質量比で混合した液25質量部と、ヘキシレングリコール0.5質量部、テトラヒドロフルフリールアルコール3質量部、それに蒸留水21.5質量部を混合撹拌して、金属コロイド含有インクジェットインクを得た。このインクは、粘度3.1mPa・s、表面張力45×10−3N/m、pH9.3、金属コロイドの平均粒子径は10nmであった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを、実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを実施例1と同様にして導電性評価を行った結果、両末端間の表面抵抗値は、410kΩ(4.1kΩ/□)であった。導電回路が形成されたシートを空気を循環させている100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は18Ω(0.18Ω/□)であった。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗は、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の約1/23,000である。
【0031】
(実施例3)
実施例1で使用した銀ナノコロイド分散液50質量部に対して、トリエチレングリコールモノメチルエーテル20質量部と1,5−ペンタンジオール2.0質量部、n−プロパノール4.0質量部、それに蒸留水24質量部を混合撹拌して、金属コロイド含有インクジェットインクを得た。このインクは粘度4.2mPa・s、表面張力39×10−3N/m、pH9.5、金属コロイドの平均粒子径は10nmであった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを、実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを実施例1と同様にして導電性評価を行った。その結果、両末端間の表面抵抗値は、700kΩ(7kΩ/□)であった。導電回路が形成されたシートを空気を循環させている100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は31Ω(0.31Ω/□)であった。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗は、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の約1/23,000である。
【0032】
(実施例4)
実施例1で使用した銀ナノコロイド分散液50質量部に対して、1,2,5−ブタントリオール/トリエチレングリコールモノメチルエーテル65/35質量比混合液30質量部とエチレングリコールモノブチルエーテル0.3質量部、エタノール4.0質量部、それに蒸留水15.7質量部を混合撹拌して、金属コロイド含有インクジェットインクを得た。このインクは、粘度2.7mPa・s、表面張力50×10−3N/m、pH9.6、金属コロイドの平均粒子径は10nmであった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを、実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを実施例1と同様にして導電性評価を行った結果、両末端間の表面抵抗値は、380kΩ(3.8kΩ/□)であった。導電回路が形成されたシートを空気を循環させている100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は21Ω(0.21Ω/□)であった。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗は、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の約1/18,000である。
【0033】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の導電回路の製法は、金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いて基材面の所定部に導電回路形成用パターンを形成し、加熱乾燥して導電回路を製造することを特徴とするものであり、金属コロイド含有インクジェットインクを用いることにより、導電回路形成用パターンを電子信号画像信号にて形成し、形成した電子信号画像信号に基づいてインクジェットプリンタにより、シート基材などの基材面の所定部に導電回路形成用パターンを容易にシャープに形成でき、導電回路形成用パターンを形成した後、加熱乾燥することによりビヒクル成分を揮散させるなどにより金属コロイド間の接触を向上させて導電率をより向上できるという顕著な効果を奏する。
また、インクジェットプリンタを用いるので、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上、オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電回路形成用パターンを容易に形成でき、ICチップを実装したりすることにより導電性に優れた導電回路とすることができるという顕著な効果を奏する。
【0034】
本発明の請求項2記載の導電回路の製法は、請求項1記載の導電回路の製法において、加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗が、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の1/10,000〜1/50,000となるような所定量の金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いることを特徴とするものであり、印刷適性に優れ、インクジェットプリンタのノズルが詰まらず、かつ基材面との接着性がよく剥離せず、導電性および表面強度、光沢に優れた導電回路を作成することができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0035】
本発明の請求項3記載の導電回路の製法は、請求項1あるいは請求項2記載の導電回路の製法において、前記金属コロイドの平均粒子径が1〜50nmであることを特徴とするものであり、金属コロイドの平均粒子径は通常1〜1000nmであるが、平均粒子径が50nmを超えるとインクジェットプリンタのノズルが詰まる恐れがあり、金属コロイドの平均粒子径が1〜50nmであるとインクジェットプリンタのノズルが詰まることなく、連続して安定して容易に導電性に優れた導電回路形成用パターンを形成できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0036】
本発明の請求項4は、基材面の所定部に請求項1から請求項3のいずれかに記載の製法により形成した導電回路を備えたことを特徴とするシートであり、基材面との接着性がよく剥離せず、導電性、表面強度、光沢に優れた導電回路を備えており、構成が簡単で安価であり、アンテナとして利用可能であり、また接触型・非接触あるいはハイブリッド型のICカード、ICラベル、ICタグ、ICフォームなどの情報記録媒体やペーパーコンピュータなどとして用いられる他、用途や目的に応じて設計される導電回路を形成すればプリント基板など一般の導電回路として用いることができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)は、金属コロイド含有インクジェットインクを用いてシート基材面の所定部に導電回路形成用パターンを形成し、導電回路を製造する一実施例を示す平面説明図である。
【符号の説明】
1 シート基材
2a、2b ランド部
3 導電回路形成用パターン
4 導電回路を備えたシート
Claims (4)
- 金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いて基材面の所定部に導電回路形成用パターンを形成し、加熱乾燥して導電回路を製造することを特徴とする導電回路の製法。
- 加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗が、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の1/10,000〜1/50,000となるような所定量の金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いることを特徴とする請求項1記載の導電回路の製法。
- 前記金属コロイドの平均粒子径が1〜50nmであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の導電回路の製法。
- 基材面の所定部に請求項1から請求項3のいずれかに記載の製法により形成した導電回路を備えたことを特徴とするシート。
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