JP2004137214A - 口唇用化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】口唇の乾燥を伴う口唇炎を発症することなく、滑らかな使用感を付与し、外観のつやを向上させ、発汗現象を抑制し、良好な製品の保存安定性を示す口唇用化粧料を提供する。
【解決手段】口唇用化粧料において、20℃における粘度が2000mPa・S以下で且つ平均分子量が500以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル(グリセリンテトラ2−エチルヘキサン酸エステル,ジグリセリンテトラ(カプリル酸・カプリン酸)エステル,デカグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,ペンタグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,デカグリセリン2−エチルヘキサン酸エステル,ペンタグリセリン2−エチルヘキサン酸エステル等)を配合する。
【選択図】 なし
【解決手段】口唇用化粧料において、20℃における粘度が2000mPa・S以下で且つ平均分子量が500以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル(グリセリンテトラ2−エチルヘキサン酸エステル,ジグリセリンテトラ(カプリル酸・カプリン酸)エステル,デカグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,ペンタグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,デカグリセリン2−エチルヘキサン酸エステル,ペンタグリセリン2−エチルヘキサン酸エステル等)を配合する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、口唇の乾燥を伴う口唇炎を発症することなく安全性が良好で、滑らかな使用感を付与し、外観のつやを向上させ、発汗現象を抑制し、良好な製品の保存安定性を示す口唇用化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
口唇用化粧料としては、口唇を保護するリップクリームや、化粧効果を高める口紅等が古くから使用されている。前者は油性基剤と抗炎症効果,保湿効果等を有する成分とから成り、後者は油性基剤と着色料とから成るが、いずれにしても油性基剤は口唇用化粧料の処方中かなりの部分を占め、口唇用化粧料の性状等に及ぼす影響は大きい。
【0003】
油性基剤は一般に、ミツロウ,カルナウバロウ,キャンデリラロウ,セレシン,マイクロクリスタリンワックス,鯨ロウ,ラノリン,流動パラフィン等の油脂・ロウ類、ミリスチン酸イソプロピル,パルミチン酸イソプロピル,セバシン酸ジエチル等のエステル油類から構成される。また、リップクリームには、ポリオキシエチレンオレイルエーテル,脂肪酸ジエタノールアミド,ポリオキシプロピレンオレイルエーテル等の界面活性剤が配合されることもある。
【0004】
これらの油性基剤の中で、液状油としては、近年水酸基を持たない低粘度のエステル油類が幅広く使用されてきている。低粘度のエステル油は、口唇用化粧料に滑らかな使用感を付与し、外観のつやを向上させ、しかも表面に水滴状の液体が滲み出る、いわゆる発汗と呼ばれる現象を有効に予防できる油性基剤として、多量に配合されている。しかしながら低粘度のエステル油を単独で多量に配合すると、低粘度のエステル油により角質層が膨潤し、継続して使用していると口唇の乾燥症状を伴った口唇炎が発症する場合があった。このような口唇炎は、処方中の成分に対し特に感作性を示さない者においても見受けられ、特に空気が乾燥し、通常の状態においても口唇の角質層の乱れが認められる冬季において顕著にみられる。
【0005】
かかる口唇炎の治療及び防止を目的として、口唇皮膚との親和性が高く且つ口唇皮膚を乾燥から有効に保護し得る口唇用化粧料の検討が行われ、ヒマシ油を配合し、油性基剤の水酸基価を80以上とした口唇用化粧料も提案されている(特許文献1参照)。しかし、ヒマシ油は特有の味と臭いを有し、酸化安定性の面でも問題があり、皮膚感作性も報告されていて、多量を配合することは好ましくなかった。
【0006】
また、皮膚に対し安全で親和性の高い油剤として、多価アルコール,ポリカルボン酸及びモノカルボン酸の重縮合物を用いることが提案され(特許文献2参照)、さらに安定で相溶性の良い油性基剤として、グリセリン,トリメチロールプロパン,ペンタエリスリトール,グリセリン縮合物,ソルビトール,トリメチロールエタンの1種又は2種以上と、炭素数8〜22の脂肪酸及び前記多価アルコールの1/2〜4/5倍モルの炭素数12〜20の二塩基酸とのエステル化生成物や、ジグリセリンと炭素数8〜22の脂肪酸及び炭素数12〜20の長鎖二塩基酸とのエステル化生成物を配合した化粧料が開示されている(特許文献3,特許文献4参照)。また、口唇の保護効果に優れる口唇用化粧料用油剤として、ジグリセリンと分岐鎖を有する炭素数16〜18のモノカルボン酸とのエステルと、炭素数6〜10のジカルボン酸との縮合生成物であって、水酸基価が80〜160の範囲である油剤を配合して成る口唇用化粧料が開示されている(特許文献5参照)。
【0007】
しかし、上記の油剤は二塩基酸とのエステル化生成物であるため、粘度の低い液状油の形態として得ることは困難であり、化粧料の剤型によっては、所望の性状を与えることは困難であった。
【0008】
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの口唇用化粧料への応用としては、キャンデリラワックスとイソステアリン酸ジグリセリルを併用したスティック化粧料(特許文献6参照)、グリセリンがポリグリセリンと炭素数14以上の脂肪酸のエステルを含有する油性固形化粧料(特許文献7参照)、ポリエチレンワックスとイソステアリン酸ポリグリセリルを含有する口紅用組成物(特許文献8参照)、シリコーン油とモノ若しくはジグリセリルトリイソステアレートを併用した化粧料(特許文献9参照)、(アルキル変性)カルボキシビニルポリマーとジイソステアリン酸ポリグリセリル(特許文献10参照)、多価アルコールとポリグリセリンエステルを併用した非水化粧料(特許文献11参照)、ポリグリセリン脂肪酸(炭素数10〜19)エステルとミツロウを含有する化粧スティック用組成物(特許文献12参照)等が開示されている。
【0009】
しかしながら、これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは、殆どがペースト状若しくは固形の性状を有しており、口唇用組成物に配合した場合、使用感が重くなったり、外観のつやが消失するといった問題があった。
【0010】
【特許文献1】
特開平4−360810号公報
【特許文献2】
特開昭52−66637号公報
【特許文献3】
特公昭61−7403号公報
【特許文献4】
特公昭61−7168号公報
【特許文献5】
特開平7−223925号公報
【特許文献6】
特開2002−179524号公報
【特許文献7】
特開2002−53420号公報
【特許文献8】
特開2001−158718号公報
【特許文献9】
特開2000−319129号公報
【特許文献10】
特開2000−302623号公報
【特許文献11】
特開平9−255520号公報
【特許文献12】
特開平6−256133号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、口唇の乾燥を伴う口唇炎を発症することなく安全性が良好で、滑らかな使用感を付与し、外観のつやを向上させ、発汗現象を抑制し、良好な製品の保存安定性を示す口唇用化粧料を得ることを目的とした。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべく、新規なエステル油の配合を検討したところ、20℃における粘度が2000mPa・S以下でかつ平均分子量が500以上ののポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、口唇の乾燥を伴う口唇炎を有効に予防し、滑らかな使用感を付与し、外観のつやを向上させ、発汗現象を抑制し、良好な製品の保存安定性を示す口唇用化粧料を得ることができた。ここで、平均分子量が500未満のポリグリセリン脂肪酸エステルは、抗菌の乾燥を伴う口唇炎の原因となる場合があり、不適当である。また、20℃における粘度が2000mPa・Sをこえると、滑らかな使用感が得られない。また、20℃における粘度が400mPa・S未満のポリグリセリン脂肪酸エステルをもちいると、少量の添加でなめらかな使用感を付与することができ、他の油性成分との併用に有利である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する低粘度のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、20℃における粘度が20000mPa・S(B型粘度計,ローターNo.2,20rpm)以下のポリグリセリン脂肪酸エステルであれば特に限定されないが、同条件での粘度が400mPa・S以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることにより、使用時の伸びが良好な口唇用化粧料を得ることができる。さらにかかる粘度が20000mPa・S(B型粘度計,ローターNo.2,20rpm)以下のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、一般式(1)に示される構造のものを用いることにより、安全性,安定性共に優れた口唇用化粧料を得ることができる。ここで、一般式(1)中Rは、同じでも異なっていても良く、水素原子又は炭素数4〜10のアシル基を表し、nは1〜12の整数を表し、且つ、Rはそれらの少なくとも1つが該アシル基であることとする。
【0014】
【化2】
【0015】
一般式(1)で示される低粘度のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては特に限定されないが、原料の供給の面から、ジグリセリンテトラ2−エチルヘキサン酸エステル,ジグリセリンテトラ(カプリル酸・カプリン酸)エステル,デカグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,ペンタグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,デカグリセリン2−エチルヘキサン酸エステル,ペンタグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルから選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0016】
上述のポリグリセリン脂肪酸エステルのうち、デカグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,ジグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,ジグリセリンテトラ−2−エチルヘキサン酸エステルの3種の粘度をB型粘度計を用いて測定した。500mLビーカーにポリグリセリン脂肪酸エステルを約250mL秤量し、温度を20℃に調整する。No.2のローターを静かに浸漬し、30秒間静止した後ローターを20rpmにて回転させ、30秒後の数値を粘度とした。結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
さらに表1に示した3種類のポリグリセリン脂肪酸エステルの安全性を、動物累積試験、及びヒトパッチテストにより評価した。動物累積試験は、5週齢の優勢ハートレイ系モルモット5匹を一群とし、背部を電気バリカン及び剃刀で充分に毛刈りし、4cm2あたり試料約0.04mLを一日1回10日間連続して塗布し、塗布終了24時間後の状態を表2に示す基準で評価し、平均値を算出した後、同時に試験を行った陽性対照である、ミリスチン酸オクチルドデシルの刺激値を10として相対値を算出し、刺激値とした。また、ヒトパッチテストは、成人男子20名の背部に24時間閉塞貼付後、24時間後の紅斑又は肌荒れの状態を表2に示す評価基準によって評価した。以上の結果を表3,表4に示す。
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
表3及び表4に示したとおり、本発明の口唇用化粧料に使用するポリグリセリン脂肪酸エステルは、累積刺激性を示さず、またヒトパッチテストでも何等刺激を示さず、安全性の高い原料であった。
【0023】
本発明において、上述の低粘度のポリグリセリン脂肪酸エステルは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また低粘度のポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、口唇用化粧料の性状,目的などによって適宜調節することができるが、口唇用化粧料全量に対して1〜50重量%配合することが好ましい。
【0024】
本発明の口唇用化粧料においては、本発明の目的を損なわない質的及び量的範囲内で、上記成分以外で、油性成分、粉体成分、香料、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、薬剤、保湿剤、増粘剤、美容成分、抗炎症剤、血行促進剤、水などを配合することができる。本発明の口唇用化粧料に配合される油性成分としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オレンジラフィー油、ミンク油等の油脂類、ミツロウ、ゲイロウ等のロウ類、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレスレロール脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。
【0025】
また、本発明の口唇用化粧料には、着色や使用性等の目的で粉体を配合することができる。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成雲母、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄処理雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。尚、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0026】
本発明の口唇用化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、口紅、リップグロス、リップフィクサー、リップクリーム、リップライナー等の用途に応用することができる。なお本発明の口唇用化粧料は、油性固形状化粧料の形状をとることにより、つやの向上,軽い使用感,発汗抑制などの効果をより顕著に発揮することができる。
【0027】
【実施例】
さらに、本発明の特徴について、実施例により詳細に説明する。
【0028】
製法:全成分を80℃に加熱して溶解,混合した後、モールドに流し込み成形したものを、容器に装填した。
【0029】
上記の実施例1について、ヒトによる使用試験を行った。なお、同時に本願発明の必須成分であるデカグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステルを同程度の粘性を有するグリセリントリ2−エチルヘキサン酸エステルに代替してリップスティックを調製し、比較例1として使用試験を行った。20〜40才代の女性20名を一群とし、冬季に実施例若しくは比較例をブラインドにて1週間,1日2回使用させ、口唇の状態を観察した。口唇の状態は、口唇皮膚の乾燥,亀裂,落屑,縦じわ,紅斑,腫脹の発生の状況を目視で判断し、表5に示す判定基準に従い点数化し、平均点を算出し、平均点が「2以上の場合を×」、「1以上2未満の場合を△」、「1未満の場合を○」として評価し、結果を表6に示した。
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
表6に示したとおり、本発明の実施例使用群においては、落屑などの口唇炎症状は殆ど認められなかった。しかしながら、ポリグリセリン脂肪酸エステルのかわりにグリセリントリ2−エチルヘキサン酸エステルを含有する比較例1使用群においては、口唇の乾燥が著しく、落屑等の口唇炎の症状が顕著に認められていた。
【0033】
実施例1及び比較例1を用いて、使用感、及び外観のつや,発汗について評価した。使用感については、使用時の伸びの軽さ及び滑らかさ、及び外観のつやについて、10名のパネラーによる官能評価を行い、以下に示した基準により点数化し、平均値を算出し、平均点が「2以上の場合を○」、「1以上2未満の場合を△」、「1未満の場合を×」として評価し、結果を表7に示した。
【0034】
使用時の伸びの軽さ
非常に軽い;3点
軽い;2点
やや重い;1点
重い;0点
【0035】
使用時の滑らかさ
非常に滑らかである;3点
滑らかである;2点
やや滑らかではない;1点
滑らかではない;0点
【0036】
外観のつや
ある;3点
ややある;2点
ややない;1点
ない;0点
【0037】
実施例1及び比較例1のそれぞれを1ヶ月間室温で静置した後、40℃の恒温槽に移して24時間静置し、状態の変化を目視で観察した。結果は、「発汗が認められない;○」,「わずかな発汗が認められる;△」,「顕著な発汗が認められる;×」として表した。以上の結果は表7にまとめて示した。
【0038】
【表7】
【0039】
表7のとおり、本発明の実施例1に示したリップスティックは、リップスティックの伸びを軽く、なめらかにし、外観のつやを向上させる原料として汎用されるグリセリントリ2−エチルヘキサン酸エステルを配合した比較例1と同様の使用感であり、しかも発汗が認められず経時安定性が良好であることが示された。
【0040】
本発明の他の実施例を示す。
【0041】
[実施例2〜実施例7] 油性口紅
(1)二酸化チタン 5.0(重量%)
(2)赤色201号 0.6
(3)赤色202号 1.0
(4)赤色223号 0.2
(5)キャンデリラロウ 9.0
(6)固形パラフィン 8.0
(7)ミツロウ 5.0
(8)カルナウバロウ 5.0
(9)吸着精製ラノリン 10.0
(10)重質流動イソパラフィン 26.0
(11)表5に示すポリグリセリン脂肪酸エステル 30.0
(12)d−δ−トコフェロール 0.1
(13)香料 0.1
製法:(1)〜(3)を(10)の一部に加えローラーで処理する(顔料相)。(4)を(10)の一部に溶解する(染料相)。他の成分を混合し、加熱融解した後、顔料相,染料相を加え、ディスパーで均一に分散する。分散後、型に流し込み急冷し、スティック状とする。
【0042】
【表8】
【0043】
表8に示した実施例2〜実施例7についてヒトによる使用試験,使用感,外観のつや、及び発汗について評価を行った。その結果、全ての実施例において、全ての評価項目で良好な結果が得られた。
【0044】
[実施例8] リップクリーム
(1)セレシンワックス 7.0(重量%)
(2)キャンデリラワックス 10.0
(3)マイクロクリスタリンワックス 4.0
(4)水素添加ポリブテン 26.8
(5)ジグリセリンテトラ2−エチルヘキサン酸エステル 15.0
(6)ジグリセリンテトラ(カプリル酸・カプリン酸)エステル7.0
(7)デカグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル 15.0
(8)ペンタグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル 7.0
(9)デカグリセリン2−エチルヘキサン酸エステル 8.0
(10)dl−α−トコフェロール 0.1
(11)アラントイン 0.1
製法:(1)〜(11)の成分を溶融,混合した後、金皿に流し込む。
【0045】
本発明の実施例1〜実施例8について、48時間閉塞貼付試験を行ったところ、皮膚刺激性及び皮膚感作性は認められなかった。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により、口唇の乾燥を伴う口唇炎を発症することなく、滑らかな使用感を付与し、外観のつやを向上させ、発汗現象を抑制し、良好な製品の保存安定性を示す口唇用化粧料を得ることができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、口唇の乾燥を伴う口唇炎を発症することなく安全性が良好で、滑らかな使用感を付与し、外観のつやを向上させ、発汗現象を抑制し、良好な製品の保存安定性を示す口唇用化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
口唇用化粧料としては、口唇を保護するリップクリームや、化粧効果を高める口紅等が古くから使用されている。前者は油性基剤と抗炎症効果,保湿効果等を有する成分とから成り、後者は油性基剤と着色料とから成るが、いずれにしても油性基剤は口唇用化粧料の処方中かなりの部分を占め、口唇用化粧料の性状等に及ぼす影響は大きい。
【0003】
油性基剤は一般に、ミツロウ,カルナウバロウ,キャンデリラロウ,セレシン,マイクロクリスタリンワックス,鯨ロウ,ラノリン,流動パラフィン等の油脂・ロウ類、ミリスチン酸イソプロピル,パルミチン酸イソプロピル,セバシン酸ジエチル等のエステル油類から構成される。また、リップクリームには、ポリオキシエチレンオレイルエーテル,脂肪酸ジエタノールアミド,ポリオキシプロピレンオレイルエーテル等の界面活性剤が配合されることもある。
【0004】
これらの油性基剤の中で、液状油としては、近年水酸基を持たない低粘度のエステル油類が幅広く使用されてきている。低粘度のエステル油は、口唇用化粧料に滑らかな使用感を付与し、外観のつやを向上させ、しかも表面に水滴状の液体が滲み出る、いわゆる発汗と呼ばれる現象を有効に予防できる油性基剤として、多量に配合されている。しかしながら低粘度のエステル油を単独で多量に配合すると、低粘度のエステル油により角質層が膨潤し、継続して使用していると口唇の乾燥症状を伴った口唇炎が発症する場合があった。このような口唇炎は、処方中の成分に対し特に感作性を示さない者においても見受けられ、特に空気が乾燥し、通常の状態においても口唇の角質層の乱れが認められる冬季において顕著にみられる。
【0005】
かかる口唇炎の治療及び防止を目的として、口唇皮膚との親和性が高く且つ口唇皮膚を乾燥から有効に保護し得る口唇用化粧料の検討が行われ、ヒマシ油を配合し、油性基剤の水酸基価を80以上とした口唇用化粧料も提案されている(特許文献1参照)。しかし、ヒマシ油は特有の味と臭いを有し、酸化安定性の面でも問題があり、皮膚感作性も報告されていて、多量を配合することは好ましくなかった。
【0006】
また、皮膚に対し安全で親和性の高い油剤として、多価アルコール,ポリカルボン酸及びモノカルボン酸の重縮合物を用いることが提案され(特許文献2参照)、さらに安定で相溶性の良い油性基剤として、グリセリン,トリメチロールプロパン,ペンタエリスリトール,グリセリン縮合物,ソルビトール,トリメチロールエタンの1種又は2種以上と、炭素数8〜22の脂肪酸及び前記多価アルコールの1/2〜4/5倍モルの炭素数12〜20の二塩基酸とのエステル化生成物や、ジグリセリンと炭素数8〜22の脂肪酸及び炭素数12〜20の長鎖二塩基酸とのエステル化生成物を配合した化粧料が開示されている(特許文献3,特許文献4参照)。また、口唇の保護効果に優れる口唇用化粧料用油剤として、ジグリセリンと分岐鎖を有する炭素数16〜18のモノカルボン酸とのエステルと、炭素数6〜10のジカルボン酸との縮合生成物であって、水酸基価が80〜160の範囲である油剤を配合して成る口唇用化粧料が開示されている(特許文献5参照)。
【0007】
しかし、上記の油剤は二塩基酸とのエステル化生成物であるため、粘度の低い液状油の形態として得ることは困難であり、化粧料の剤型によっては、所望の性状を与えることは困難であった。
【0008】
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの口唇用化粧料への応用としては、キャンデリラワックスとイソステアリン酸ジグリセリルを併用したスティック化粧料(特許文献6参照)、グリセリンがポリグリセリンと炭素数14以上の脂肪酸のエステルを含有する油性固形化粧料(特許文献7参照)、ポリエチレンワックスとイソステアリン酸ポリグリセリルを含有する口紅用組成物(特許文献8参照)、シリコーン油とモノ若しくはジグリセリルトリイソステアレートを併用した化粧料(特許文献9参照)、(アルキル変性)カルボキシビニルポリマーとジイソステアリン酸ポリグリセリル(特許文献10参照)、多価アルコールとポリグリセリンエステルを併用した非水化粧料(特許文献11参照)、ポリグリセリン脂肪酸(炭素数10〜19)エステルとミツロウを含有する化粧スティック用組成物(特許文献12参照)等が開示されている。
【0009】
しかしながら、これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは、殆どがペースト状若しくは固形の性状を有しており、口唇用組成物に配合した場合、使用感が重くなったり、外観のつやが消失するといった問題があった。
【0010】
【特許文献1】
特開平4−360810号公報
【特許文献2】
特開昭52−66637号公報
【特許文献3】
特公昭61−7403号公報
【特許文献4】
特公昭61−7168号公報
【特許文献5】
特開平7−223925号公報
【特許文献6】
特開2002−179524号公報
【特許文献7】
特開2002−53420号公報
【特許文献8】
特開2001−158718号公報
【特許文献9】
特開2000−319129号公報
【特許文献10】
特開2000−302623号公報
【特許文献11】
特開平9−255520号公報
【特許文献12】
特開平6−256133号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、口唇の乾燥を伴う口唇炎を発症することなく安全性が良好で、滑らかな使用感を付与し、外観のつやを向上させ、発汗現象を抑制し、良好な製品の保存安定性を示す口唇用化粧料を得ることを目的とした。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべく、新規なエステル油の配合を検討したところ、20℃における粘度が2000mPa・S以下でかつ平均分子量が500以上ののポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、口唇の乾燥を伴う口唇炎を有効に予防し、滑らかな使用感を付与し、外観のつやを向上させ、発汗現象を抑制し、良好な製品の保存安定性を示す口唇用化粧料を得ることができた。ここで、平均分子量が500未満のポリグリセリン脂肪酸エステルは、抗菌の乾燥を伴う口唇炎の原因となる場合があり、不適当である。また、20℃における粘度が2000mPa・Sをこえると、滑らかな使用感が得られない。また、20℃における粘度が400mPa・S未満のポリグリセリン脂肪酸エステルをもちいると、少量の添加でなめらかな使用感を付与することができ、他の油性成分との併用に有利である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する低粘度のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、20℃における粘度が20000mPa・S(B型粘度計,ローターNo.2,20rpm)以下のポリグリセリン脂肪酸エステルであれば特に限定されないが、同条件での粘度が400mPa・S以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることにより、使用時の伸びが良好な口唇用化粧料を得ることができる。さらにかかる粘度が20000mPa・S(B型粘度計,ローターNo.2,20rpm)以下のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、一般式(1)に示される構造のものを用いることにより、安全性,安定性共に優れた口唇用化粧料を得ることができる。ここで、一般式(1)中Rは、同じでも異なっていても良く、水素原子又は炭素数4〜10のアシル基を表し、nは1〜12の整数を表し、且つ、Rはそれらの少なくとも1つが該アシル基であることとする。
【0014】
【化2】
【0015】
一般式(1)で示される低粘度のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては特に限定されないが、原料の供給の面から、ジグリセリンテトラ2−エチルヘキサン酸エステル,ジグリセリンテトラ(カプリル酸・カプリン酸)エステル,デカグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,ペンタグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,デカグリセリン2−エチルヘキサン酸エステル,ペンタグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルから選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0016】
上述のポリグリセリン脂肪酸エステルのうち、デカグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,ジグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,ジグリセリンテトラ−2−エチルヘキサン酸エステルの3種の粘度をB型粘度計を用いて測定した。500mLビーカーにポリグリセリン脂肪酸エステルを約250mL秤量し、温度を20℃に調整する。No.2のローターを静かに浸漬し、30秒間静止した後ローターを20rpmにて回転させ、30秒後の数値を粘度とした。結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
さらに表1に示した3種類のポリグリセリン脂肪酸エステルの安全性を、動物累積試験、及びヒトパッチテストにより評価した。動物累積試験は、5週齢の優勢ハートレイ系モルモット5匹を一群とし、背部を電気バリカン及び剃刀で充分に毛刈りし、4cm2あたり試料約0.04mLを一日1回10日間連続して塗布し、塗布終了24時間後の状態を表2に示す基準で評価し、平均値を算出した後、同時に試験を行った陽性対照である、ミリスチン酸オクチルドデシルの刺激値を10として相対値を算出し、刺激値とした。また、ヒトパッチテストは、成人男子20名の背部に24時間閉塞貼付後、24時間後の紅斑又は肌荒れの状態を表2に示す評価基準によって評価した。以上の結果を表3,表4に示す。
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
表3及び表4に示したとおり、本発明の口唇用化粧料に使用するポリグリセリン脂肪酸エステルは、累積刺激性を示さず、またヒトパッチテストでも何等刺激を示さず、安全性の高い原料であった。
【0023】
本発明において、上述の低粘度のポリグリセリン脂肪酸エステルは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また低粘度のポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、口唇用化粧料の性状,目的などによって適宜調節することができるが、口唇用化粧料全量に対して1〜50重量%配合することが好ましい。
【0024】
本発明の口唇用化粧料においては、本発明の目的を損なわない質的及び量的範囲内で、上記成分以外で、油性成分、粉体成分、香料、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、薬剤、保湿剤、増粘剤、美容成分、抗炎症剤、血行促進剤、水などを配合することができる。本発明の口唇用化粧料に配合される油性成分としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オレンジラフィー油、ミンク油等の油脂類、ミツロウ、ゲイロウ等のロウ類、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレスレロール脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。
【0025】
また、本発明の口唇用化粧料には、着色や使用性等の目的で粉体を配合することができる。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成雲母、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄処理雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。尚、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0026】
本発明の口唇用化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、口紅、リップグロス、リップフィクサー、リップクリーム、リップライナー等の用途に応用することができる。なお本発明の口唇用化粧料は、油性固形状化粧料の形状をとることにより、つやの向上,軽い使用感,発汗抑制などの効果をより顕著に発揮することができる。
【0027】
【実施例】
さらに、本発明の特徴について、実施例により詳細に説明する。
【0028】
製法:全成分を80℃に加熱して溶解,混合した後、モールドに流し込み成形したものを、容器に装填した。
【0029】
上記の実施例1について、ヒトによる使用試験を行った。なお、同時に本願発明の必須成分であるデカグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステルを同程度の粘性を有するグリセリントリ2−エチルヘキサン酸エステルに代替してリップスティックを調製し、比較例1として使用試験を行った。20〜40才代の女性20名を一群とし、冬季に実施例若しくは比較例をブラインドにて1週間,1日2回使用させ、口唇の状態を観察した。口唇の状態は、口唇皮膚の乾燥,亀裂,落屑,縦じわ,紅斑,腫脹の発生の状況を目視で判断し、表5に示す判定基準に従い点数化し、平均点を算出し、平均点が「2以上の場合を×」、「1以上2未満の場合を△」、「1未満の場合を○」として評価し、結果を表6に示した。
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
表6に示したとおり、本発明の実施例使用群においては、落屑などの口唇炎症状は殆ど認められなかった。しかしながら、ポリグリセリン脂肪酸エステルのかわりにグリセリントリ2−エチルヘキサン酸エステルを含有する比較例1使用群においては、口唇の乾燥が著しく、落屑等の口唇炎の症状が顕著に認められていた。
【0033】
実施例1及び比較例1を用いて、使用感、及び外観のつや,発汗について評価した。使用感については、使用時の伸びの軽さ及び滑らかさ、及び外観のつやについて、10名のパネラーによる官能評価を行い、以下に示した基準により点数化し、平均値を算出し、平均点が「2以上の場合を○」、「1以上2未満の場合を△」、「1未満の場合を×」として評価し、結果を表7に示した。
【0034】
使用時の伸びの軽さ
非常に軽い;3点
軽い;2点
やや重い;1点
重い;0点
【0035】
使用時の滑らかさ
非常に滑らかである;3点
滑らかである;2点
やや滑らかではない;1点
滑らかではない;0点
【0036】
外観のつや
ある;3点
ややある;2点
ややない;1点
ない;0点
【0037】
実施例1及び比較例1のそれぞれを1ヶ月間室温で静置した後、40℃の恒温槽に移して24時間静置し、状態の変化を目視で観察した。結果は、「発汗が認められない;○」,「わずかな発汗が認められる;△」,「顕著な発汗が認められる;×」として表した。以上の結果は表7にまとめて示した。
【0038】
【表7】
【0039】
表7のとおり、本発明の実施例1に示したリップスティックは、リップスティックの伸びを軽く、なめらかにし、外観のつやを向上させる原料として汎用されるグリセリントリ2−エチルヘキサン酸エステルを配合した比較例1と同様の使用感であり、しかも発汗が認められず経時安定性が良好であることが示された。
【0040】
本発明の他の実施例を示す。
【0041】
[実施例2〜実施例7] 油性口紅
(1)二酸化チタン 5.0(重量%)
(2)赤色201号 0.6
(3)赤色202号 1.0
(4)赤色223号 0.2
(5)キャンデリラロウ 9.0
(6)固形パラフィン 8.0
(7)ミツロウ 5.0
(8)カルナウバロウ 5.0
(9)吸着精製ラノリン 10.0
(10)重質流動イソパラフィン 26.0
(11)表5に示すポリグリセリン脂肪酸エステル 30.0
(12)d−δ−トコフェロール 0.1
(13)香料 0.1
製法:(1)〜(3)を(10)の一部に加えローラーで処理する(顔料相)。(4)を(10)の一部に溶解する(染料相)。他の成分を混合し、加熱融解した後、顔料相,染料相を加え、ディスパーで均一に分散する。分散後、型に流し込み急冷し、スティック状とする。
【0042】
【表8】
【0043】
表8に示した実施例2〜実施例7についてヒトによる使用試験,使用感,外観のつや、及び発汗について評価を行った。その結果、全ての実施例において、全ての評価項目で良好な結果が得られた。
【0044】
[実施例8] リップクリーム
(1)セレシンワックス 7.0(重量%)
(2)キャンデリラワックス 10.0
(3)マイクロクリスタリンワックス 4.0
(4)水素添加ポリブテン 26.8
(5)ジグリセリンテトラ2−エチルヘキサン酸エステル 15.0
(6)ジグリセリンテトラ(カプリル酸・カプリン酸)エステル7.0
(7)デカグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル 15.0
(8)ペンタグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル 7.0
(9)デカグリセリン2−エチルヘキサン酸エステル 8.0
(10)dl−α−トコフェロール 0.1
(11)アラントイン 0.1
製法:(1)〜(11)の成分を溶融,混合した後、金皿に流し込む。
【0045】
本発明の実施例1〜実施例8について、48時間閉塞貼付試験を行ったところ、皮膚刺激性及び皮膚感作性は認められなかった。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により、口唇の乾燥を伴う口唇炎を発症することなく、滑らかな使用感を付与し、外観のつやを向上させ、発汗現象を抑制し、良好な製品の保存安定性を示す口唇用化粧料を得ることができた。
Claims (5)
- 20℃における粘度が2000mPa・S以下で且つ平均分子量が500以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する、口唇用化粧料。
- 20℃における粘度が400mPa・S以下で且つ平均分子量が500以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する、口唇用化粧料。
- ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ジグリセリンテトラ2−エチルヘキサン酸エステル,ジグリセリンテトラ(カプリル酸・カプリン酸)エステル,デカグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,ペンタグリセリン(カプリル酸・カプリン酸)エステル,デカグリセリン2−エチルヘキサン酸エステル,ペンタグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルから選択される1種又は2種以上である、請求項1〜請求項3に記載の口唇用化粧料。
- 油性固形化粧料である、請求項1〜請求項4に記載の口唇用化粧料。
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