JP2004135887A - Mrイメージング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マルチボリューム法により3D撮像を行うときに再構成画像に生じるSBAをなくす。
【解決手段】ボリュームV1〜V4を1TR内で選択励起してY方向の位相エンコードステップKy1、Ky8、Ky9、Ky16とZ方向位相エンコードステップのすべてとを組み合わせたデータを収集した後、選択励起するボリュームをZ方向に1スライス分ずらして上記Y方向位相エンコードステップに隣接するKy2、Ky7、Ky10、Ky15とZ方向位相エンコードステップのすべてとを組み合わせたデータを収集するというように、選択励起ボリュームをZ方向へ位置シフトさせるとともにそのシフト前後でY方向位相エンコードステップを隣接させてデータ収集していき、収集されたデータをZ方向にフーリエ変換してZ方向位置を再現した上で、Z方向位置ごとにデータを並べてY方向のフーリエ変換によりY方向の位置を復元する。
【選択図】 図2
【解決手段】ボリュームV1〜V4を1TR内で選択励起してY方向の位相エンコードステップKy1、Ky8、Ky9、Ky16とZ方向位相エンコードステップのすべてとを組み合わせたデータを収集した後、選択励起するボリュームをZ方向に1スライス分ずらして上記Y方向位相エンコードステップに隣接するKy2、Ky7、Ky10、Ky15とZ方向位相エンコードステップのすべてとを組み合わせたデータを収集するというように、選択励起ボリュームをZ方向へ位置シフトさせるとともにそのシフト前後でY方向位相エンコードステップを隣接させてデータ収集していき、収集されたデータをZ方向にフーリエ変換してZ方向位置を再現した上で、Z方向位置ごとにデータを並べてY方向のフーリエ変換によりY方向の位置を復元する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、NMR(核磁気共鳴)現象を利用してイメージングを行うMRイメージング装置に関し、とくにマルチボリューム法とよばれる撮像スキャン法により3次元の画像を高速に得るMRイメージング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、MRイメージング装置の3次元画像データを得るための撮像スキャン法としてマルチボリューム法が知られている。このマルチボリューム法は、3次元画像データを取得するための撮像スキャンの高速化手法であり、1TR(パルスシーケンスの1繰り返し時間)内で複数のボリュームの選択励起を行い、撮像スキャン時間を通常の撮像スキャン時間のボリューム分の1に短縮するものである。また、このマルチボリューム法に、つぎの非特許文献1に示されているような、公知の高速スピンエコー法(以下、FSE( Fast Spin Echo の略)法と称する)を組み合わせることも知られている。
【0003】
【非特許文献1】
” RARE Imaging : A Fast Imaging Method for Clinical MR ”, Magnetic Resonance in Medicine, 3, pp823−833, 1986
【0004】
このFSE法では、まず、90°パルス(励起パルス)を印加した後、複数個の180゜パルス(リフォーカスパルス)を加えるとともに、これらのRFパルスの各々と同時にスライス選択用傾斜磁場パルスを加える。そして、読み出し(および周波数エンコード)用傾斜磁場パルスを加えて、複数個のスピンエコーの信号を各々の180゜パルスの後に発生させる。これらの信号の発生直前に位相エンコード用傾斜磁場パルスをそれぞれ加えて所定の一軸方向の位置情報に関して位相エンコードを施す。その各々の位相エンコード用傾斜磁場パルスの印加量を、それらの信号から得たデータがKスペース(生データ空間)上で位相方向の異なる場所に配置されるものとなるような位相エンコード量に対応させる。なお、これら3つの傾斜磁場は、磁場強度の傾斜方向が任意の直交3軸の各方向となっている。このFSE法によると、1TRでKスペース上の異なる多数のラインに配置すべきデータを得ることができるため、TR数を少なくできて高速撮像が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のマルチボリューム法によると、3次元の再構成画像に、スライス方向(スライス厚さ方向)にブラインド状(縞状;各縞はスライス方向に直角な方向に細長くなっている)のアーティファクトが生じて、臨床画像診断を行なう場合の障害となるという問題がある。
【0006】
これは、RFパルスのプロファイル(周波数スペクトラム)が完全に矩形でないことやクロストークによる干渉などを原因として、励起される各ボリュームの両端で信号強度が低下し、そのため収集したデータを用いてMPR( Multiple Planar Reformatting )再構成すると、SBA(スラブ境界アーティファクト)と呼ばれるアーティファクトが上記のようにブラインド状に生じるからである。
【0007】
この発明は、上記に鑑み、マルチボリューム法を実行する際、各励起ボリューム境界での信号強度低下の影響を受けないようにデータ収集することによって、再構成画像においてSBAがなくなるように改善した、MRイメージング装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1記載の発明によるMRイメージング装置においては、
被検体が置かれる空間内に静磁場を発生する静磁場発生手段と、
任意の直交3軸の第1軸、第2軸および第3軸のそれぞれで磁場強度が傾斜する3つの傾斜磁場を印加する傾斜磁場印加手段と、
上記空間内にRFパルスを印加するRF送信手段と、
エコー信号を受信し、位相検波した後サンプリングしてA/D変換してデータを得る受信手段と、
上記RF送信手段、傾斜磁場印加手段および受信手段を制御し、第1軸傾斜磁場パルスを印加しながら所定幅の周波数スペクトラムを有するRFパルスを印加することにより第1軸方向の複数のボリュームを1TR内で順次選択励起し、各ボリュームからの信号を受信してデータを得るとともに、これらの信号に対して、第1軸方向の傾斜磁場パルスによる第1軸方向の位相エンコードを、第2軸方向の傾斜磁場パルスによる第2軸方向の位相エンコードを、それぞれ施し、かつ第3軸方向の傾斜磁場パルスによる第3軸方向の周波数エンコードを施すこととし、同一の第2軸位相エンコードステップで第1軸位相エンコードのすべてのステップを行なった後、上記選択励起する複数ボリュームを第1軸方向にずらし、第2軸位相エンコードステップを上記のステップに隣接したものに変えて第1軸位相エンコードのすべてのステップを行なうということを繰り返して、第1軸および第2軸の位相エンコードステップのすべてを行なうよう制御する制御手段と、第1軸方向の位相エンコードステップの順にデータを並べた上で第1軸方向のフーリエ変換によって第1軸方向の位置を復元し、その第1軸方向各位置ごとに第2軸位相エンコードステップの順にデータを並べた後、第2軸方向のフーリエ変換によって第2軸方向に位置を復元し、さらにこれらとは独立に第3軸方向のフーリエ変換によって第3軸方向の位置を復元することにより、上記直交3軸系における3次元画像を再構成する画像再構成手段と
が備えられることが特徴となっている。
【0009】
一つあるいはいくつかの互いに離れた同一の第2軸位相エンコードステップを、第1軸位相エンコードのすべてのステップについて行った後、選択励起する複数ボリュームを第1軸方向にずらした上で、第2軸位相エンコードステップを上記のステップに隣接する一つあるいはいくつかの互いに離れたものに変えて、第1軸位相エンコードのすべてのステップを行うということを繰り返して、第1軸および第2軸の位相エンコードステップのすべてを行ってデータを収集する。こうして収集されたデータを、それぞれの位相エンコードステップ順に2次元的に並べ、第1軸位相エンコードステップ方向でフーリエ変換を行えば、第1軸方向の位置が復元できる。この復元された第1軸方向の位置ごとにデータを並べ替えると、第2軸位相エンコードステップ方向に並ぶデータは、ボリューム内のそれぞれの位置(第1軸方向位置)で得られたものが分散・混在しているとともに、第2軸位相エンコードステップ方向で隣接するもの同士は第1軸方向の隣接位置で得られたものになっている。このようにデータを得た第1軸方向位置が第2軸位相エンコードステップ並び方向で分散しており、このことはどのスライスについても同様であるから、第1軸方向で信号強度が均等になり、再構成画像においてスライス方向に生じるSBAをなくすことができる。また、第2軸位相エンコードステップ並び方向で隣接するデータ同士は第1軸方向の隣接位置で得られたものになっているため第2軸位相エンコードステップ並び方向では信号強度は緩やかな変化となっており、この第2軸方向でフーリエ変換したときに、信号段差に起因するアーティファクトを軽減できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この発明にかかるMRイメージング装置は、図1で示すように構成されている。図1において主マグネット11は強力な静磁場を発生するもので、この静磁場空間内に図示しない被検体が配置される。また、傾斜磁場コイル12は、X,Y,Zの直交3軸方向に磁場強度が傾斜する3つの傾斜磁場Gx、Gy、Gzを、上記静磁場に重畳するようにして発生するよう3組設けられている。被検体には送信用のRFコイル13と、NMR信号の受信用RFコイル14とが取り付けられる。
【0011】
ホストコンピュータ21はシステム全体の制御を行い、シーケンサ22はこのホストコンピュータ21の制御の下で、被検体の所望の断面での画像を再構成するためのデータを収集するパルスシーケンス(後に図4を参照しながら説明する)を行うのに必要な種々の命令を送信系、受信系および傾斜磁場発生系に送る。傾斜磁場発生については、波形発生器15からGx、Gy、Gzに関する所定のパルス波形を所定のタイミングで発生させて、傾斜磁場電源16に送り、傾斜磁場コイル12から図4に示すような傾斜磁場Gx、Gy、Gzを発生させる。図4に示すパルスシーケンスでは、Gzをスライス選択用傾斜磁場、Gxを読み出し用(周波数エンコード用)傾斜磁場、Gyを位相エンコード用傾斜磁場としているが、これらスライス選択用傾斜磁場、読み出し用(周波数エンコード用)傾斜磁場、位相エンコード用傾斜磁場はそれぞれGz,Gx,Gyとするだけに限らず、任意の直交3軸のそれぞれ一つの方向に磁場強度が傾斜している傾斜磁場とすることができ、上記以外の組み合わせでGx、Gy、Gzのいずれか1つをそれぞれ用たり、あるいはいくつかずつを組み合わせて任意方向のものとして作ってもよい。
【0012】
波形発生器15は、さらに、シーケンサ22の制御の下でRFパルスの波形を所定のタイミングで発生して振幅変調器24に送る。この振幅変調器24には、RF信号発生器23からのRF信号がキャリアとして送られてきており、このキャリアが波形発生器15からの波形信号に応じて振幅変調される。このRF信号発生器23は、被検体の共鳴周波数を中心とする所定幅の周波数スペクトラムを持つRF信号を発生するようにホストコンピュータ21によってセットされている。振幅変調器24の出力はRFパワーアンプ25を経てRFコイル13に送られる。こうして、RFコイル13から送信されるRF信号の波形とタイミングとがシーケンサ22によって定められることにより、図4に示す90°パルスや180°パルスが被検体に照射されることになる。
【0013】
被検体から発生したNMR信号は受信用のRFコイル14で受信され、プリアンプ26を経て位相検波器27に送られる。位相検波器27には、送信RFパルスのキャリアとなっているRF信号が、RF信号発生器23から送られてきており、この信号が参照信号として用いられて位相検波が行われる。A/D変換器28は、シーケンサ22によってタイミングや周波数などが制御されたサンプリングパルス発生器29からのサンプリングパルスに応じて、位相検波器27からの検波信号をサンプリングし、デジタルデータに変換する。このデジタルデータはホストコンピュータ21に取り込まれ、画像再構成装置33によってフーリエ変換処理される。これによって再構成された画像はディスプレイ装置32によって表示される。指示器31は、オペレータ等がホストコンピュータ21に必要な指示を与えるためのキーボードやマウスなどである。
【0014】
このようなMRイメージング装置において、ホストコンピュータ21およびシーケンサ22の制御の下にマルチボリューム法によるパルスシーケンスが行われる。ここでは、図2に示すように、Z方向の4つのボリュームV1〜V4を1つのTRで選択励起し、それらのボリュームでのデータを収集するものとする。なお、この図2でKyは実空間のY方向を示すのではなく、Kスペースの位相方向(つまり実空間のY方向を位相エンコードして得たデータを並べる方向)を示すこととしている。
【0015】
このように4つのボリュームのデータを1つのTRで収集する場合には、図3の(a)で示すように、1TR内で4つのパルスシーケンスP1〜P4を順次行なう。最初のパルスシーケンスP1はボリュームV1に関するもの、2番目のパルスシーケンスP2はボリュームV2に関するもの、3番目のパルスシーケンスP3はボリュームV3に関するもの、4番目のパルスシーケンスP4はボリュームV4に関するものである(このP1〜P4の詳細は後述のように図4で示すようなものである)。
【0016】
そこで、ボリュームV1〜V4の各々について見れば、図3の(b)〜(e)にそれぞれ示すように、十分な回復時間が与えられていることになる。逆に言うと、各ボリュームの回復時間の間に他のボリュームの励起を行なうようにして、それぞれの回復時間を有効利用し、4つのボリューム全体のスキャン時間を短縮しているわけである。したがって、T2強調画像を得るのに適したものとなっており、ここでもパルスシーケンスP1〜P4の各々は図4で示すようなT2強調画像を得るのに適したFSE法を採用している。
【0017】
このFSE法のパルスシーケンスについては先に簡単に説明したが、ここで図4を参照しながらいま少し詳しく説明すると、まず1個の90゜パルス(励起RFパルス)51を印加した後、複数個(ここでは4個)の180゜パルス(リフォーカスRFパルス)52を加えるとともに、これらのRFパルス51、52の各々と同時にスライス選択用の傾斜磁場Gzのパルス61、64を加える。ここでGzパルス61、64はスライス選択用と言ったが正確に言えば複数スライス(ここでは4つのスライス)を含むようなZ方向厚さを有するボリュームを選択するためのものである。このGzパルス61、64印加時に、図2に示すボリュームV1〜V4の各々のZ方向位置およびZ方向厚さに対応させた周波数スペクトラムのRFパルス51、52を加えることにより、ボリュームV1〜V4の各々を選択励起する。つまり図2のパルスシーケンスP1〜P4の各々でRFパルス51、52の周波数スペクトラムを変えてそれぞれのボリュームを選択励起する。
【0018】
Gzについての反対極性のGzパルス62はGzパルス61によって乱された位相を揃えるためのリフェーズパルスである。Gzパルス64は180°パルス52の前後にかかるため、その前後で互いに位相への影響を打ち消し合う。90°パルス51と最初の180°パルス52との間に加えるGzパルス63はZ方向の位相エンコード用であり、TRごとに少しずつ矢印に示すように変化させていく。この変化ステップは4段階とし、1つのボリュームの中で、Z方向の4つの位置(スライス位置)をエンコードするようにしている。
【0019】
読み出し用(および周波数エンコード用)の傾斜磁場Gxのパルス81を90°パルス51の後で加え、さらに180°パルス52の後でGxパルス82を与えて、各180°パルス52の後でスピンエコーの信号を発生させる。Y方向の位相エンコード用傾斜磁場Gyパルス71を各々の信号発生前に加えるとともに、信号発生後にその影響を打ち消すよう反対極性で同じ積分値のリフェーズ用のGyパルス72を加える。このGyパルス71の積分量は1TR内の各信号ごとに異なるものとするとともに、TRごとに少しずつ矢印に示すようにステップ的に変化させていく。
【0020】
ここでは、X,Y方向にそれぞれ16の位置をエンコードするように(つまりX−Y平面では16×16のマトリクスの画像が得られるように)、Y方向の位相エンコード用傾斜磁場Gyパルス71は全体で16ステップの異なる積分量となるようにしている。1TRで4つのステップを与えることができるため、4TRですべてのステップを与えることができる。Z方向の位相エンコードは先に述べたように4ステップ与える必要があるため、4×4=16のTRでY方向とZ方向のすべての位相エンコードステップを行なうことができることになる。
【0021】
Y方向の位相エンコードステップを順にKy1、Ky2、…、Ky16とし(Gyパルス71の積分量を正方向の最大値から負方向の最大値まであるいはその逆の順に16ステップ変化させることとし)、Z方向の4ステップの位相エンコードをKz1、Kz2、Kz3、Kz4とすると(Gzパルス63の積分量を正方向の最大値から負方向の最大値まで順に、あるいはその逆の順にKz1、Kz2、Kz3、Kz4とすると)、同じKz1でKy1〜Ky16のすべてのステップを行って16個のデータが得られるように4つのTRを行い、つぎにKz2として同じく4つのTRを行なってKy1〜Ky16のすべてのステップに対応する16個のデータを得、Kz3、Kz4についても同様にKy1〜Ky16のすべてのステップに対応する16個のデータを得る、というようにして全部でTRを16回繰り返せば、Y方向とZ方向のすべての位相エンコードステップにより位相エンコードされた64個のデータを得ることができるため、これらのデータをKスペースにおいてY方向とZ方向の位相エンコードステップ順に並べて2次元フーリエ変換すればY方向とZ方向の位置を復元することができる。ところが、RFパルス51、52のプロファイル(周波数スペクトラム)RFpは図2に示すように矩形とはなっていず、端の部分で低くなることが避けられない。このことおよびボリューム間のクロストークによる干渉などによってボリュームV1〜V4の各々の端部(ボリューム境界付近)では信号強度が低下する。つまりZ方向で信号強度に強弱パターンが現れ、これが原因となって再構成された3次元画像にZ方向のブラインド状アーティファクトが生じてしまう。
【0022】
そこで、ここでは、上記のように、同じKz1でKy1〜Ky16のすべてのステップでデータを得るように4つのTRを行い、つぎにKz2としてKy1〜Ky16のすべてのステップでデータを得るように4つのTRを行い、Kz3、Kz4も同様にするというのではなく、第1TRでKz1としてKy1、Ky8、Ky9、Ky16のデータを得た後、第2TRでKz2として同じくKy1、Ky8、Ky9、Ky16のデータを得、第3TRではKz3としてKy1、Ky8、Ky9、Ky16のデータを得、第4TRではKz4としてKy1、Ky8、Ky9、Ky16のデータを得る。こうして得られた16個のデータをKスペースにおいてY方向とZ方向の位相エンコードステップ順に並べてZ方向のフーリエ変換を行なえば、Z方向の4つの位置Z1、Z2、Z3、Z4を再現できるのでそのZ方向各位置ごとに並べ替えれば、図2に示すように、Z方向の4つの位置Z1、Z2、Z3、Z4について、Ky1、Ky8、Ky9、Ky16のデータが得られたことになる。
【0023】
このようにZ方向エンコードステップのすべてを行なう4つのTRの終了後、選択励起するボリュームV1〜V4の各々の位置がZ方向に1スライス分ずれるよう、RFパルス51、52の周波数スペクトラムをずらして、今度はKy2、Ky7、Ky10、Ky15のデータを、Kz1、Kz2、Kz3、Kz4の各々について得るように4つのTRを行なう。こうして得られたデータにつき、Z方向のフーリエ変換を行なえば、各ボリューム内のZ方向の4つの位置を再現できるので、図2に示すように、Z方向の4つの位置Z2、Z3、Z4、Z5について、Ky2、Ky7、Ky10、Ky15のデータが得られたことになる。
【0024】
つぎにまた選択励起するボリュームV1〜V4の各々の位置をZ方向に1スライス分ずらして、Ky3、Ky6、Ky11、Ky14のデータを、Kz1、Kz2、Kz3、Kz4の各々について得るように4つのTRを行なう。こうして得られたデータにつき、Z方向のフーリエ変換を行なえば、各ボリューム内のZ方向の4つの位置を再現できるので再現されたZ方向位置ごとにデータを並べ替えれば、図2に示すように、Z方向の4つの位置Z3、Z4、Z5、Z6について、Ky3、Ky6、Ky11、Ky14のデータが得られたことになる。
【0025】
そのつぎの4つのTRでは、さらにまた選択励起するボリュームV1〜V4の各々の位置をZ方向に1スライス分ずらした上で、Ky4、Ky5、Ky12、Ky13のデータを、Kz1、Kz2、Kz3、Kz4の各々について得るように4つのTRを行なう。こうして得られたデータにつき、Z方向のフーリエ変換を行なえば、各ボリューム内のZ方向の4つの位置を再現できるので再現されたZ方向位置ごとにデータを並べ替えれば、図2に示すように、Z方向の4つの位置Z4、Z5、Z6、Z7について、Ky4、Ky5、Ky12、Ky13のデータが得られたことになる。
【0026】
したがって、Z4のスライスについて見れば、Ky1〜Ky16のすべてのデータが揃っていることが分かる。そしてこのZ4のスライスのKy方向のデータ並びは図2に示されたようになっている。つまり、データが取得された位置(励起されたボリュームV1内でのZ方向位置が何番目か)は、4番目、3番目、2番目、1番目、1番目、2番目、3番目、4番目、4番目、3番目、2番目、1番目、1番目、2番目、3番目、4番目というようにKy方向に並んでおり、ボリュームV1内でのZ方向位置が分散して均等に含まれているとともに、その並び順においてZ方向位置が隣接している。そのため、励起されたボリュームV1のZ方向で信号強度が変化していても、その各強度の信号が分散させられるとともに、信号強度の隣接しているもの同士がKy方向に隣接することになって、Ky方向の信号強度分布に極端な段差が生じることが避けられ、その結果、Y方向のフーリエ変換を行なったときに画像にアーティファクトが生じることを軽減できる。
【0027】
また、このことは、ボリュームV1〜V4の全体(両端の3スライス分を除いた)のすべてのスライスについても同じである。つまり、Z方向の各スライス位置において再現されたY方向位置に置かれる画像データは、各強度の信号がそれぞれ均等に分散して含まれているKyデータをフーリエ変換して得られるものであるため、再構成された3次元画像のZ方向においては信号強度差による影響を受けなくなる。
【0028】
なお、上記は、説明がわかりやすくなるような例について述べたものである。ボリューム数を4としたことや、Z方向でのボリューム内スライス数を4としたことや、X−Y平面でのマトリクスを16×16としたことなどは、説明の便宜であって、X−Y平面でのマトリクスを256×256とするなど、他の数を採用することができることはもちろんである。また、1つのTRで1つのボリュームにつき4個のスピンエコー信号を発生させるとしたこともひとつの例にすぎず、さらに多数のスピンエコー信号を発生させたり、それよりも少ない数のスピンエコー信号を発生させたりもできる。極論すると、スキャン時間を短縮する必要がないのであれば、SFE法は採用しなくてもよく、その場合、1つのTRで1つのボリュームにつき1個の信号を発生させることになる。
【0029】
また、Ky(Y方向位相エンコードステップ)の順序も、選択励起ボリューム位置をずらす前後で、Kyが隣接するという条件を満たした変形インターリーブ方式であれば、自由に定め得る。ただし、選択励起ボリューム位置をずらす前に(同一の選択励起ボリューム位置で)すべてのKz(スライス方向位相エンコードステップ)についてのデータを収集する必要がある。そのため、図4のように4つのスピンエコー信号を得るSFE法を採用する場合には、図4のように1つのTRで4つのKyステップを行うのではなく、Kyステップは一つとし、4つのスピンエコー信号の各々について異なるKzステップを行うよう各スピンエコー信号の前に各ステップに対応した積分量のGzパルス63を加えるようにしてもよい。
【0030】
さらに、上記の図4では、説明の便宜のため、第1TR〜第4TRでKy1、Ky8、Ky9、Ky16のデータを4つのKzステップについて収集し、これについてZ方向のフーリエ変換を先に行った後、選択励起ボリュームの位置をずらしながら同様にデータ収集を続けているが、Z方向のフーリエ変換は行わずに選択励起ボリュームの位置をずらしながら同様にデータ収集を続けていってもよい。要するに、Z方向のフーリエ変換を先に行ってZ方向の位置を復元して、そのZ方向位置に各Kyデータを配置した上でY方向のフーリエ変換を行ってY方向位置をデコードすればよい。X方向のフーリエ変換を行ってX方向位置を再現することはこれらの順序とは独立にいつでも行うことができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のMRイメージング装置によれば、マルチボリューム法により3D撮像を行うときに、ボリューム境界付近で信号強度低下などが生じるが、そのボリューム境界付近でのデータをY方向の位相空間上で分散させるようにしてデータを収集することによりその信号強度低下の影響を受けないようにし、そのことによってボリューム境界付近での信号強度低下などに起因して再構成画像に生じるSBAをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかるMRイメージング装置を示すブロック図。
【図2】同実施形態での被検査空間と収集データとの関係を示す模式図。
【図3】同実施形態において行うマルチボリューム法の全体のシーケンスを示すタイムチャート。
【図4】同実施形態において行う個々のパルスシーケンスを示すタイムチャート。
【符号の説明】
11 静磁場発生用主マグネット
12 傾斜磁場コイル
13 送信用RFコイル
14 受信用RFコイル
15 波形発生器
16 傾斜磁場電源
21 ホストコンピュータ
22 シーケンサ
23 RF信号発生器
24 振幅変調器
25 RFパワーアンプ
26 プリアンプ
27 位相検波器
28 A/D変換器
29 サンプリングパルス発生器
31 指示器
32 ディスプレイ装置
33 画像再構成装置
51 90°パルス
52 180°パルス
【発明の属する技術分野】
この発明は、NMR(核磁気共鳴)現象を利用してイメージングを行うMRイメージング装置に関し、とくにマルチボリューム法とよばれる撮像スキャン法により3次元の画像を高速に得るMRイメージング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、MRイメージング装置の3次元画像データを得るための撮像スキャン法としてマルチボリューム法が知られている。このマルチボリューム法は、3次元画像データを取得するための撮像スキャンの高速化手法であり、1TR(パルスシーケンスの1繰り返し時間)内で複数のボリュームの選択励起を行い、撮像スキャン時間を通常の撮像スキャン時間のボリューム分の1に短縮するものである。また、このマルチボリューム法に、つぎの非特許文献1に示されているような、公知の高速スピンエコー法(以下、FSE( Fast Spin Echo の略)法と称する)を組み合わせることも知られている。
【0003】
【非特許文献1】
” RARE Imaging : A Fast Imaging Method for Clinical MR ”, Magnetic Resonance in Medicine, 3, pp823−833, 1986
【0004】
このFSE法では、まず、90°パルス(励起パルス)を印加した後、複数個の180゜パルス(リフォーカスパルス)を加えるとともに、これらのRFパルスの各々と同時にスライス選択用傾斜磁場パルスを加える。そして、読み出し(および周波数エンコード)用傾斜磁場パルスを加えて、複数個のスピンエコーの信号を各々の180゜パルスの後に発生させる。これらの信号の発生直前に位相エンコード用傾斜磁場パルスをそれぞれ加えて所定の一軸方向の位置情報に関して位相エンコードを施す。その各々の位相エンコード用傾斜磁場パルスの印加量を、それらの信号から得たデータがKスペース(生データ空間)上で位相方向の異なる場所に配置されるものとなるような位相エンコード量に対応させる。なお、これら3つの傾斜磁場は、磁場強度の傾斜方向が任意の直交3軸の各方向となっている。このFSE法によると、1TRでKスペース上の異なる多数のラインに配置すべきデータを得ることができるため、TR数を少なくできて高速撮像が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のマルチボリューム法によると、3次元の再構成画像に、スライス方向(スライス厚さ方向)にブラインド状(縞状;各縞はスライス方向に直角な方向に細長くなっている)のアーティファクトが生じて、臨床画像診断を行なう場合の障害となるという問題がある。
【0006】
これは、RFパルスのプロファイル(周波数スペクトラム)が完全に矩形でないことやクロストークによる干渉などを原因として、励起される各ボリュームの両端で信号強度が低下し、そのため収集したデータを用いてMPR( Multiple Planar Reformatting )再構成すると、SBA(スラブ境界アーティファクト)と呼ばれるアーティファクトが上記のようにブラインド状に生じるからである。
【0007】
この発明は、上記に鑑み、マルチボリューム法を実行する際、各励起ボリューム境界での信号強度低下の影響を受けないようにデータ収集することによって、再構成画像においてSBAがなくなるように改善した、MRイメージング装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1記載の発明によるMRイメージング装置においては、
被検体が置かれる空間内に静磁場を発生する静磁場発生手段と、
任意の直交3軸の第1軸、第2軸および第3軸のそれぞれで磁場強度が傾斜する3つの傾斜磁場を印加する傾斜磁場印加手段と、
上記空間内にRFパルスを印加するRF送信手段と、
エコー信号を受信し、位相検波した後サンプリングしてA/D変換してデータを得る受信手段と、
上記RF送信手段、傾斜磁場印加手段および受信手段を制御し、第1軸傾斜磁場パルスを印加しながら所定幅の周波数スペクトラムを有するRFパルスを印加することにより第1軸方向の複数のボリュームを1TR内で順次選択励起し、各ボリュームからの信号を受信してデータを得るとともに、これらの信号に対して、第1軸方向の傾斜磁場パルスによる第1軸方向の位相エンコードを、第2軸方向の傾斜磁場パルスによる第2軸方向の位相エンコードを、それぞれ施し、かつ第3軸方向の傾斜磁場パルスによる第3軸方向の周波数エンコードを施すこととし、同一の第2軸位相エンコードステップで第1軸位相エンコードのすべてのステップを行なった後、上記選択励起する複数ボリュームを第1軸方向にずらし、第2軸位相エンコードステップを上記のステップに隣接したものに変えて第1軸位相エンコードのすべてのステップを行なうということを繰り返して、第1軸および第2軸の位相エンコードステップのすべてを行なうよう制御する制御手段と、第1軸方向の位相エンコードステップの順にデータを並べた上で第1軸方向のフーリエ変換によって第1軸方向の位置を復元し、その第1軸方向各位置ごとに第2軸位相エンコードステップの順にデータを並べた後、第2軸方向のフーリエ変換によって第2軸方向に位置を復元し、さらにこれらとは独立に第3軸方向のフーリエ変換によって第3軸方向の位置を復元することにより、上記直交3軸系における3次元画像を再構成する画像再構成手段と
が備えられることが特徴となっている。
【0009】
一つあるいはいくつかの互いに離れた同一の第2軸位相エンコードステップを、第1軸位相エンコードのすべてのステップについて行った後、選択励起する複数ボリュームを第1軸方向にずらした上で、第2軸位相エンコードステップを上記のステップに隣接する一つあるいはいくつかの互いに離れたものに変えて、第1軸位相エンコードのすべてのステップを行うということを繰り返して、第1軸および第2軸の位相エンコードステップのすべてを行ってデータを収集する。こうして収集されたデータを、それぞれの位相エンコードステップ順に2次元的に並べ、第1軸位相エンコードステップ方向でフーリエ変換を行えば、第1軸方向の位置が復元できる。この復元された第1軸方向の位置ごとにデータを並べ替えると、第2軸位相エンコードステップ方向に並ぶデータは、ボリューム内のそれぞれの位置(第1軸方向位置)で得られたものが分散・混在しているとともに、第2軸位相エンコードステップ方向で隣接するもの同士は第1軸方向の隣接位置で得られたものになっている。このようにデータを得た第1軸方向位置が第2軸位相エンコードステップ並び方向で分散しており、このことはどのスライスについても同様であるから、第1軸方向で信号強度が均等になり、再構成画像においてスライス方向に生じるSBAをなくすことができる。また、第2軸位相エンコードステップ並び方向で隣接するデータ同士は第1軸方向の隣接位置で得られたものになっているため第2軸位相エンコードステップ並び方向では信号強度は緩やかな変化となっており、この第2軸方向でフーリエ変換したときに、信号段差に起因するアーティファクトを軽減できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この発明にかかるMRイメージング装置は、図1で示すように構成されている。図1において主マグネット11は強力な静磁場を発生するもので、この静磁場空間内に図示しない被検体が配置される。また、傾斜磁場コイル12は、X,Y,Zの直交3軸方向に磁場強度が傾斜する3つの傾斜磁場Gx、Gy、Gzを、上記静磁場に重畳するようにして発生するよう3組設けられている。被検体には送信用のRFコイル13と、NMR信号の受信用RFコイル14とが取り付けられる。
【0011】
ホストコンピュータ21はシステム全体の制御を行い、シーケンサ22はこのホストコンピュータ21の制御の下で、被検体の所望の断面での画像を再構成するためのデータを収集するパルスシーケンス(後に図4を参照しながら説明する)を行うのに必要な種々の命令を送信系、受信系および傾斜磁場発生系に送る。傾斜磁場発生については、波形発生器15からGx、Gy、Gzに関する所定のパルス波形を所定のタイミングで発生させて、傾斜磁場電源16に送り、傾斜磁場コイル12から図4に示すような傾斜磁場Gx、Gy、Gzを発生させる。図4に示すパルスシーケンスでは、Gzをスライス選択用傾斜磁場、Gxを読み出し用(周波数エンコード用)傾斜磁場、Gyを位相エンコード用傾斜磁場としているが、これらスライス選択用傾斜磁場、読み出し用(周波数エンコード用)傾斜磁場、位相エンコード用傾斜磁場はそれぞれGz,Gx,Gyとするだけに限らず、任意の直交3軸のそれぞれ一つの方向に磁場強度が傾斜している傾斜磁場とすることができ、上記以外の組み合わせでGx、Gy、Gzのいずれか1つをそれぞれ用たり、あるいはいくつかずつを組み合わせて任意方向のものとして作ってもよい。
【0012】
波形発生器15は、さらに、シーケンサ22の制御の下でRFパルスの波形を所定のタイミングで発生して振幅変調器24に送る。この振幅変調器24には、RF信号発生器23からのRF信号がキャリアとして送られてきており、このキャリアが波形発生器15からの波形信号に応じて振幅変調される。このRF信号発生器23は、被検体の共鳴周波数を中心とする所定幅の周波数スペクトラムを持つRF信号を発生するようにホストコンピュータ21によってセットされている。振幅変調器24の出力はRFパワーアンプ25を経てRFコイル13に送られる。こうして、RFコイル13から送信されるRF信号の波形とタイミングとがシーケンサ22によって定められることにより、図4に示す90°パルスや180°パルスが被検体に照射されることになる。
【0013】
被検体から発生したNMR信号は受信用のRFコイル14で受信され、プリアンプ26を経て位相検波器27に送られる。位相検波器27には、送信RFパルスのキャリアとなっているRF信号が、RF信号発生器23から送られてきており、この信号が参照信号として用いられて位相検波が行われる。A/D変換器28は、シーケンサ22によってタイミングや周波数などが制御されたサンプリングパルス発生器29からのサンプリングパルスに応じて、位相検波器27からの検波信号をサンプリングし、デジタルデータに変換する。このデジタルデータはホストコンピュータ21に取り込まれ、画像再構成装置33によってフーリエ変換処理される。これによって再構成された画像はディスプレイ装置32によって表示される。指示器31は、オペレータ等がホストコンピュータ21に必要な指示を与えるためのキーボードやマウスなどである。
【0014】
このようなMRイメージング装置において、ホストコンピュータ21およびシーケンサ22の制御の下にマルチボリューム法によるパルスシーケンスが行われる。ここでは、図2に示すように、Z方向の4つのボリュームV1〜V4を1つのTRで選択励起し、それらのボリュームでのデータを収集するものとする。なお、この図2でKyは実空間のY方向を示すのではなく、Kスペースの位相方向(つまり実空間のY方向を位相エンコードして得たデータを並べる方向)を示すこととしている。
【0015】
このように4つのボリュームのデータを1つのTRで収集する場合には、図3の(a)で示すように、1TR内で4つのパルスシーケンスP1〜P4を順次行なう。最初のパルスシーケンスP1はボリュームV1に関するもの、2番目のパルスシーケンスP2はボリュームV2に関するもの、3番目のパルスシーケンスP3はボリュームV3に関するもの、4番目のパルスシーケンスP4はボリュームV4に関するものである(このP1〜P4の詳細は後述のように図4で示すようなものである)。
【0016】
そこで、ボリュームV1〜V4の各々について見れば、図3の(b)〜(e)にそれぞれ示すように、十分な回復時間が与えられていることになる。逆に言うと、各ボリュームの回復時間の間に他のボリュームの励起を行なうようにして、それぞれの回復時間を有効利用し、4つのボリューム全体のスキャン時間を短縮しているわけである。したがって、T2強調画像を得るのに適したものとなっており、ここでもパルスシーケンスP1〜P4の各々は図4で示すようなT2強調画像を得るのに適したFSE法を採用している。
【0017】
このFSE法のパルスシーケンスについては先に簡単に説明したが、ここで図4を参照しながらいま少し詳しく説明すると、まず1個の90゜パルス(励起RFパルス)51を印加した後、複数個(ここでは4個)の180゜パルス(リフォーカスRFパルス)52を加えるとともに、これらのRFパルス51、52の各々と同時にスライス選択用の傾斜磁場Gzのパルス61、64を加える。ここでGzパルス61、64はスライス選択用と言ったが正確に言えば複数スライス(ここでは4つのスライス)を含むようなZ方向厚さを有するボリュームを選択するためのものである。このGzパルス61、64印加時に、図2に示すボリュームV1〜V4の各々のZ方向位置およびZ方向厚さに対応させた周波数スペクトラムのRFパルス51、52を加えることにより、ボリュームV1〜V4の各々を選択励起する。つまり図2のパルスシーケンスP1〜P4の各々でRFパルス51、52の周波数スペクトラムを変えてそれぞれのボリュームを選択励起する。
【0018】
Gzについての反対極性のGzパルス62はGzパルス61によって乱された位相を揃えるためのリフェーズパルスである。Gzパルス64は180°パルス52の前後にかかるため、その前後で互いに位相への影響を打ち消し合う。90°パルス51と最初の180°パルス52との間に加えるGzパルス63はZ方向の位相エンコード用であり、TRごとに少しずつ矢印に示すように変化させていく。この変化ステップは4段階とし、1つのボリュームの中で、Z方向の4つの位置(スライス位置)をエンコードするようにしている。
【0019】
読み出し用(および周波数エンコード用)の傾斜磁場Gxのパルス81を90°パルス51の後で加え、さらに180°パルス52の後でGxパルス82を与えて、各180°パルス52の後でスピンエコーの信号を発生させる。Y方向の位相エンコード用傾斜磁場Gyパルス71を各々の信号発生前に加えるとともに、信号発生後にその影響を打ち消すよう反対極性で同じ積分値のリフェーズ用のGyパルス72を加える。このGyパルス71の積分量は1TR内の各信号ごとに異なるものとするとともに、TRごとに少しずつ矢印に示すようにステップ的に変化させていく。
【0020】
ここでは、X,Y方向にそれぞれ16の位置をエンコードするように(つまりX−Y平面では16×16のマトリクスの画像が得られるように)、Y方向の位相エンコード用傾斜磁場Gyパルス71は全体で16ステップの異なる積分量となるようにしている。1TRで4つのステップを与えることができるため、4TRですべてのステップを与えることができる。Z方向の位相エンコードは先に述べたように4ステップ与える必要があるため、4×4=16のTRでY方向とZ方向のすべての位相エンコードステップを行なうことができることになる。
【0021】
Y方向の位相エンコードステップを順にKy1、Ky2、…、Ky16とし(Gyパルス71の積分量を正方向の最大値から負方向の最大値まであるいはその逆の順に16ステップ変化させることとし)、Z方向の4ステップの位相エンコードをKz1、Kz2、Kz3、Kz4とすると(Gzパルス63の積分量を正方向の最大値から負方向の最大値まで順に、あるいはその逆の順にKz1、Kz2、Kz3、Kz4とすると)、同じKz1でKy1〜Ky16のすべてのステップを行って16個のデータが得られるように4つのTRを行い、つぎにKz2として同じく4つのTRを行なってKy1〜Ky16のすべてのステップに対応する16個のデータを得、Kz3、Kz4についても同様にKy1〜Ky16のすべてのステップに対応する16個のデータを得る、というようにして全部でTRを16回繰り返せば、Y方向とZ方向のすべての位相エンコードステップにより位相エンコードされた64個のデータを得ることができるため、これらのデータをKスペースにおいてY方向とZ方向の位相エンコードステップ順に並べて2次元フーリエ変換すればY方向とZ方向の位置を復元することができる。ところが、RFパルス51、52のプロファイル(周波数スペクトラム)RFpは図2に示すように矩形とはなっていず、端の部分で低くなることが避けられない。このことおよびボリューム間のクロストークによる干渉などによってボリュームV1〜V4の各々の端部(ボリューム境界付近)では信号強度が低下する。つまりZ方向で信号強度に強弱パターンが現れ、これが原因となって再構成された3次元画像にZ方向のブラインド状アーティファクトが生じてしまう。
【0022】
そこで、ここでは、上記のように、同じKz1でKy1〜Ky16のすべてのステップでデータを得るように4つのTRを行い、つぎにKz2としてKy1〜Ky16のすべてのステップでデータを得るように4つのTRを行い、Kz3、Kz4も同様にするというのではなく、第1TRでKz1としてKy1、Ky8、Ky9、Ky16のデータを得た後、第2TRでKz2として同じくKy1、Ky8、Ky9、Ky16のデータを得、第3TRではKz3としてKy1、Ky8、Ky9、Ky16のデータを得、第4TRではKz4としてKy1、Ky8、Ky9、Ky16のデータを得る。こうして得られた16個のデータをKスペースにおいてY方向とZ方向の位相エンコードステップ順に並べてZ方向のフーリエ変換を行なえば、Z方向の4つの位置Z1、Z2、Z3、Z4を再現できるのでそのZ方向各位置ごとに並べ替えれば、図2に示すように、Z方向の4つの位置Z1、Z2、Z3、Z4について、Ky1、Ky8、Ky9、Ky16のデータが得られたことになる。
【0023】
このようにZ方向エンコードステップのすべてを行なう4つのTRの終了後、選択励起するボリュームV1〜V4の各々の位置がZ方向に1スライス分ずれるよう、RFパルス51、52の周波数スペクトラムをずらして、今度はKy2、Ky7、Ky10、Ky15のデータを、Kz1、Kz2、Kz3、Kz4の各々について得るように4つのTRを行なう。こうして得られたデータにつき、Z方向のフーリエ変換を行なえば、各ボリューム内のZ方向の4つの位置を再現できるので、図2に示すように、Z方向の4つの位置Z2、Z3、Z4、Z5について、Ky2、Ky7、Ky10、Ky15のデータが得られたことになる。
【0024】
つぎにまた選択励起するボリュームV1〜V4の各々の位置をZ方向に1スライス分ずらして、Ky3、Ky6、Ky11、Ky14のデータを、Kz1、Kz2、Kz3、Kz4の各々について得るように4つのTRを行なう。こうして得られたデータにつき、Z方向のフーリエ変換を行なえば、各ボリューム内のZ方向の4つの位置を再現できるので再現されたZ方向位置ごとにデータを並べ替えれば、図2に示すように、Z方向の4つの位置Z3、Z4、Z5、Z6について、Ky3、Ky6、Ky11、Ky14のデータが得られたことになる。
【0025】
そのつぎの4つのTRでは、さらにまた選択励起するボリュームV1〜V4の各々の位置をZ方向に1スライス分ずらした上で、Ky4、Ky5、Ky12、Ky13のデータを、Kz1、Kz2、Kz3、Kz4の各々について得るように4つのTRを行なう。こうして得られたデータにつき、Z方向のフーリエ変換を行なえば、各ボリューム内のZ方向の4つの位置を再現できるので再現されたZ方向位置ごとにデータを並べ替えれば、図2に示すように、Z方向の4つの位置Z4、Z5、Z6、Z7について、Ky4、Ky5、Ky12、Ky13のデータが得られたことになる。
【0026】
したがって、Z4のスライスについて見れば、Ky1〜Ky16のすべてのデータが揃っていることが分かる。そしてこのZ4のスライスのKy方向のデータ並びは図2に示されたようになっている。つまり、データが取得された位置(励起されたボリュームV1内でのZ方向位置が何番目か)は、4番目、3番目、2番目、1番目、1番目、2番目、3番目、4番目、4番目、3番目、2番目、1番目、1番目、2番目、3番目、4番目というようにKy方向に並んでおり、ボリュームV1内でのZ方向位置が分散して均等に含まれているとともに、その並び順においてZ方向位置が隣接している。そのため、励起されたボリュームV1のZ方向で信号強度が変化していても、その各強度の信号が分散させられるとともに、信号強度の隣接しているもの同士がKy方向に隣接することになって、Ky方向の信号強度分布に極端な段差が生じることが避けられ、その結果、Y方向のフーリエ変換を行なったときに画像にアーティファクトが生じることを軽減できる。
【0027】
また、このことは、ボリュームV1〜V4の全体(両端の3スライス分を除いた)のすべてのスライスについても同じである。つまり、Z方向の各スライス位置において再現されたY方向位置に置かれる画像データは、各強度の信号がそれぞれ均等に分散して含まれているKyデータをフーリエ変換して得られるものであるため、再構成された3次元画像のZ方向においては信号強度差による影響を受けなくなる。
【0028】
なお、上記は、説明がわかりやすくなるような例について述べたものである。ボリューム数を4としたことや、Z方向でのボリューム内スライス数を4としたことや、X−Y平面でのマトリクスを16×16としたことなどは、説明の便宜であって、X−Y平面でのマトリクスを256×256とするなど、他の数を採用することができることはもちろんである。また、1つのTRで1つのボリュームにつき4個のスピンエコー信号を発生させるとしたこともひとつの例にすぎず、さらに多数のスピンエコー信号を発生させたり、それよりも少ない数のスピンエコー信号を発生させたりもできる。極論すると、スキャン時間を短縮する必要がないのであれば、SFE法は採用しなくてもよく、その場合、1つのTRで1つのボリュームにつき1個の信号を発生させることになる。
【0029】
また、Ky(Y方向位相エンコードステップ)の順序も、選択励起ボリューム位置をずらす前後で、Kyが隣接するという条件を満たした変形インターリーブ方式であれば、自由に定め得る。ただし、選択励起ボリューム位置をずらす前に(同一の選択励起ボリューム位置で)すべてのKz(スライス方向位相エンコードステップ)についてのデータを収集する必要がある。そのため、図4のように4つのスピンエコー信号を得るSFE法を採用する場合には、図4のように1つのTRで4つのKyステップを行うのではなく、Kyステップは一つとし、4つのスピンエコー信号の各々について異なるKzステップを行うよう各スピンエコー信号の前に各ステップに対応した積分量のGzパルス63を加えるようにしてもよい。
【0030】
さらに、上記の図4では、説明の便宜のため、第1TR〜第4TRでKy1、Ky8、Ky9、Ky16のデータを4つのKzステップについて収集し、これについてZ方向のフーリエ変換を先に行った後、選択励起ボリュームの位置をずらしながら同様にデータ収集を続けているが、Z方向のフーリエ変換は行わずに選択励起ボリュームの位置をずらしながら同様にデータ収集を続けていってもよい。要するに、Z方向のフーリエ変換を先に行ってZ方向の位置を復元して、そのZ方向位置に各Kyデータを配置した上でY方向のフーリエ変換を行ってY方向位置をデコードすればよい。X方向のフーリエ変換を行ってX方向位置を再現することはこれらの順序とは独立にいつでも行うことができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のMRイメージング装置によれば、マルチボリューム法により3D撮像を行うときに、ボリューム境界付近で信号強度低下などが生じるが、そのボリューム境界付近でのデータをY方向の位相空間上で分散させるようにしてデータを収集することによりその信号強度低下の影響を受けないようにし、そのことによってボリューム境界付近での信号強度低下などに起因して再構成画像に生じるSBAをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかるMRイメージング装置を示すブロック図。
【図2】同実施形態での被検査空間と収集データとの関係を示す模式図。
【図3】同実施形態において行うマルチボリューム法の全体のシーケンスを示すタイムチャート。
【図4】同実施形態において行う個々のパルスシーケンスを示すタイムチャート。
【符号の説明】
11 静磁場発生用主マグネット
12 傾斜磁場コイル
13 送信用RFコイル
14 受信用RFコイル
15 波形発生器
16 傾斜磁場電源
21 ホストコンピュータ
22 シーケンサ
23 RF信号発生器
24 振幅変調器
25 RFパワーアンプ
26 プリアンプ
27 位相検波器
28 A/D変換器
29 サンプリングパルス発生器
31 指示器
32 ディスプレイ装置
33 画像再構成装置
51 90°パルス
52 180°パルス
Claims (1)
- 被検体が置かれる空間内に静磁場を発生する静磁場発生手段と、
任意の直交3軸の第1軸、第2軸および第3軸のそれぞれで磁場強度が傾斜する3つの傾斜磁場を印加する傾斜磁場印加手段と、
上記空間内にRFパルスを印加するRF送信手段と、
エコー信号を受信し、位相検波した後サンプリングしてA/D変換してデータを得る受信手段と、
上記RF送信手段、傾斜磁場印加手段および受信手段を制御し、第1軸傾斜磁場パルスを印加しながら所定幅の周波数スペクトラムを有するRFパルスを印加することにより第1軸方向の複数のボリュームを1TR内で順次選択励起し、各ボリュームからの信号を受信してデータを得るとともに、これらの信号に対して、第1軸方向の傾斜磁場パルスによる第1軸方向の位相エンコードを、第2軸方向の傾斜磁場パルスによる第2軸方向の位相エンコードを、それぞれ施し、かつ第3軸方向の傾斜磁場パルスによる第3軸方向の周波数エンコードを施すこととし、同一の第2軸位相エンコードステップで第1軸位相エンコードのすべてのステップを行なった後、上記選択励起する複数ボリュームを第1軸方向にずらし、第2軸位相エンコードステップを上記のステップに隣接したものに変えて第1軸位相エンコードのすべてのステップを行なうということを繰り返して、第1軸および第2軸の位相エンコードステップのすべてを行なうよう制御する制御手段と、第1軸方向の位相エンコードステップの順にデータを並べた上で第1軸方向のフーリエ変換によって第1軸方向の位置を復元し、その第1軸方向各位置ごとに第2軸位相エンコードステップの順にデータを並べた後、第2軸方向のフーリエ変換によって第2軸方向に位置を復元し、さらにこれらとは独立に第3軸方向のフーリエ変換によって第3軸方向の位置を復元することにより、上記直交3軸系における3次元画像を再構成する画像再構成手段と
を備えることを特徴とするMRイメージング装置。
Priority Applications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9791528B2 (en) | 2012-11-14 | 2017-10-17 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Magnetic resonance imaging system and magnetic resonance imaging method |
-
2002
- 2002-10-17 JP JP2002303533A patent/JP2004135887A/ja active Pending
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US9791528B2 (en) | 2012-11-14 | 2017-10-17 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Magnetic resonance imaging system and magnetic resonance imaging method |
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