JP2004133433A - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 平版印刷版用支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含む下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び赤外線吸収染料を含み、加熱によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増加する上部感熱層とを有する感熱性ポジ型平版印刷版を露光後、カチオン界面活性剤及びエチレンオキサイド末端基を分子中に3以上有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するアルカリ性現像液で現像処理することを特徴とする、平版印刷版の製版方法。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、このような赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版では、様々な使用条件における未露光部(画像部)の現像液に対する耐溶解性と、露光部(非画像部)の溶解性との間の差が未だ充分とは言えず、使用条件の変動による現像過剰や現像不良が起きやすいという問題があった。また、平版印刷版の画像形成能は、記録層表面の赤外線レーザ露光による発熱に依存しているため、支持体近傍では、熱の拡散により画像形成、即ち、記録層の可溶化に用いられる熱量が少なくなり、露光/未露光の差が小さくなってハイライト再現性が不充分であるという問題もあった。
従来、高鮮鋭で鮮明な画像を形成することを目的として、カチオン界面活性剤を含有する赤外線感光性平版印刷版用アルカリ現像処理液が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。その他、平版印刷版用アルカリ現像処理液に特定の基を有するエチレンオキサイド付加物を含有させ且つ該現像処理液中のアルカリ金属カチオン及びアンモニウムの総含有量に対するカリウムイオン含有率(モル比)を所定値とすることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
更に、上記問題点を解決するため、上部に画像形成時の溶解性の変化の大きな感熱層を設けて、下層にアルカリ溶解性の高い層を設けることが提案されており(例えば、特許文献3参照。)、また、アルカリ性現像液に可溶性のポリマーと近赤外線吸収染料を含有する記録層の上へ、さらに耐アルカリ性が該記録層よりも強い近赤外線感応性感光層を上塗り層として設けることが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、これらの版材によっても依然として露光部分では支持体であるアルミニウムに吸熱されてしまうため熱効率が低く、現像工程におけるアルカリ現像処理液に対する溶解性は満足のいくものではなかった。このため、現像液のアルカリ濃度を上げ、露光部分の溶解性を確保する必要がある。
従って、非画像部に残膜が生じないようにアルカリ性現像液のアルカリ濃度を上げるには限度があり、形成した画像部に欠陥を与えることなく、コントラストの大きな鮮鋭な画像を形成するのは困難であった。そのため、上述したような画像記録層が積層構造となっている感材に対して現像処理に使用するアルカリ現像液の観点から、画像部に欠陥を与えることなく、画像のコントラストをより明瞭なものとし画像の高鮮鋭化を図ることが提案される。
従って本発明は、平版印刷版用支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含む下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び赤外線吸収染料を含み、加熱によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増加する上部感熱層とを有する感熱性ポジ型平版印刷版を露光後、カチオン界面活性剤及びエチレンオキサイド末端基を分子中に3以上有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するアルカリ性現像液で現像処理することを特徴とする、平版印刷版の製版方法である。
本発明で使用するアルカリ性現像液の実施態様として、カチオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含有するものがある。本発明で使用するアルカリ性現像液の実施態様としてまた、エチレンオキサイド末端基を分子中に3以上有する化合物から選ばれる少なくとも1種を含有するものがある。
本発明で使用するカチオン界面活性剤としては、アミン塩、第4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩及びスルホニウム塩などが挙げられる。
本発明で使用するエチレンオキサイド末端基を分子中に3以上有する化合物としては具体的に、式:−(CH2CH2O)zH(zは1以上の整数を表す。)で示されるエチレンオキサイド末端基を分子中に3以上有する化合物が挙げられる。
本発明で使用する感熱性ポジ型平版印刷版はより具体的には、支持体と該支持体上に画像形成層とを含み、該画像形成層が上記下層と該下層上にある上部感熱層を含んでいる。
先ず、本発明で使用するアルカリ性現像液(以下、単に現像液ともいう。)について説明する。
本発明で用いる現像液はアルカリ性の水溶液であって、従来公知のアルカリ水溶液の中から適宜選択することができる。
アルカリ水溶液としては、ケイ酸アルカリ若しくは非還元糖と、塩基とからなる現像液が挙げられ、特にpH12.5〜14.0のものが好ましい。
前記ケイ酸アルカリとしては、水に溶解したときにアルカリ性を示すものであり、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどのアルカリ金属ケイ酸塩、ケイ酸アンモニウムなどが挙げられる。ケイ酸アルカリは1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アルカリ水溶液の中でも、適度なアルカリ強度及び現像性を発揮する観点から、前記酸化ケイ素SiO2とアルカリ酸化物M2Oとの混合比率(SiO2/M2O:モル比)が0.5〜3.0のものが好ましく、1.0〜2.0のものがより好ましい。
また、現像液中のケイ酸アルカリの濃度としては、現像性及び処理能力の点で、アルカリ水溶液の質量に対して1〜10質量%が好ましく、3〜8質量%がより好ましく、4〜7質量%が最も好ましい。
トレハロース型少糖類としては、例えばサッカロースやトレハロースが挙げられ、前記配糖体としては、例えばアルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体などが挙げられる。
糖アルコールとしては、例えばD,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、メソイノシット、ズルシット、アロズルシットなどが挙げられる。さらには、二糖類の水素添加で得られるマルチトール、オリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)なども好適に挙げることができる。
これらの非還元糖は単独でも、二種以上を組み合わせてもよく、現像液中に占める割合としては、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
該アルカリ剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウムなどの無機アルカリ剤、クエン酸カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
これらのアルカリ剤は単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。その理由は、非還元糖に対する添加量を調整することにより、広いpH領域においてpH調整が可能となるためである。また、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどもそれ自身に緩衝作用があるので好ましい。
本発明で使用する現像液には、カチオン界面活性剤を1種含ませてもよいし、又はエチレンオキサイド末端基を分子中に3以上有する化合物を1種含ませてもよい。また、カチオン界面活性剤を2種以上含ませてもよいし、又はエチレンオキサイド末端基を分子中に3以上有する化合物を2種以上含ませてもよい。また、本発明で使用する現像液には、カチオン界面活性剤を少なくとも1種、及びエチレンオキサイド末端基を分子中に3以上有する化合物を少なくとも1種含ませてもよい。
使用するカチオン界面活性剤の種類としては、アミン塩、第4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩及びスルホニウム塩などが挙げられる。
さらに、アミン塩として具体的に、第1級アミン塩(例えば下記式(1))、第2級アミン塩(例えば下記式(2))、第3級アミン塩(例えば下記式(3))、変性アミン塩(例えば下記式(4)〜(6))及びイミダゾリン型アミン塩(例えば下記式(7))などが挙げられる。
ホスホニウム塩としてはアルキルホスホニウム塩(例えば下記式(23))が挙げられる。
スルホニウム塩としてはアルキルスルホニウム塩(例えば下記式(24))が挙げられる。
なお、対となる陰イオンについては、例えば各種の酸基イオン、酸エステルイオン(例えばR-O-SO3 -)、ハロゲンイオン、水酸イオン(OH-)などがある。
また、上記式中、R8、R12、R16、R25、R30、R35、R43、R47、R51、R56、R58、R60は、それぞれ独立に単結合又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜18の飽和又は不飽和炭化水素二価基を表す。これらの炭化水素二価基は鎖式又は環式のいずれでもよい。これらの炭化水素二価基の例として、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、
アリーレン基、アラルキレン基などがある。置換基としてはハロゲン、ヒドロキシル基などがある。
本発明で使用するエチレンオキサイド末端基(−(CH2CH2O)zH、zは1以上の整数)を分子中に3以上有する化合物は、いわゆる分岐型エチレンオキサイド付加物(以下、単に「エチレンオキサイド付加物」ということがある。)とも称される。本発明で使用する該エチレンオキサイド付加物にはポリエチレングリコールは含まれない。
本発明で使用するエチレンオキサイド付加物は、その分子構造中に下記式(I)又は(II)で表される基を少なくとも1つ有するものである。
エチレンオキサイド付加物の分子量としては、画像部に対する溶解抑止力と現像性の点から、500〜5000が好ましく、1000〜4000がより好ましく、2000〜3500が最も好ましい。
前記式(I)及び(II)中のx、y、及び前記式(A)〜(F)中のa〜wで表される1以上の整数は、エチレンオキサイド付加物の分子量が上記範囲にあるように適宜選択することができる。
本発明で使用する現像液に、カチオン界面活性剤と上記エチレンオキサイド付加物の双方を含めるとき、その含有量の合計は0.002〜20.0質量%の範囲にあるのが適当で、好ましくは0.10〜10.0質量%である。
例えば特開昭58−190952号公報に記載のEDTA、NTAなどのキレート剤、特開昭59−121336号公報に記載の[Co(NH3)6]Cl3、CoCl2・6H2Oなどの錯体、米国特許第4,374,920号明細書に記載のテトラメチルデシンジオールなどの非イオン性界面活性剤、特開昭55−95946号公報に記載のp−ジメチルアミノメチルポリスチレンのメチルクロライド4級化合物などのカチオニックポリマー、特開昭56−142528号公報に記載のビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸ソーダとの共重合体などの両性高分子電解質、特開昭57−192951号公報に記載の亜硫酸ソーダなどの還元性無機塩、特開昭59−75255号公報に記載の有機Si、Tiなどを含む有機金属界面活性剤、特開昭59−84241号公報に記載の有機ホウ素化合物、EP101010号明細書に記載のテトラアルキルアンモニウムオキサイドなどの4級アンモニウム塩等が挙げられる。
また、現像液の表面張力としては、65dyne/cm以下が好ましく、特には60dyne/cm以下がより好ましい。現像液の表面張力は例えば振動ジェット法にて測定することができ、測定機器として自動・動的表面張力計 JET型がある。
近年では、特に製版・印刷業界において、製版作業の合理化及び標準化のため、印刷版材用の自動現像機が広く用いられている。
この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液槽とスプレー装置とからなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷用版材を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間などに応じて補充液を補充しながら処理することができる。
さらに必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸又は亜硫酸水素酸のナトリウム塩若しくはカリウム塩などの無機塩系還元剤、有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
本発明の製版方法は、上記現像方式の他に、実質的に未使用の現像液で処理する、いわゆる使い捨て処理方式の現像に適用することも可能である。
本発明の製版方法を適用する平版印刷版原版は、支持体上に水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含む下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂と赤外線吸収染料を含む、加熱によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増加する上部感熱層とを有する感熱性ポジ型平版印刷版である。すなわち、表面(露光面)に近い位置に設けられているアルカリ可溶性樹脂と赤外線吸収染料を含む上部感熱層と、支持体に近い側に設けられているアルカリ可溶性樹脂を含有する下層とを含む。ここで、下層と上部感熱層とを形成する順序は問わない。従って下層を形成した上に上層を積層したものであっても、逆に上層を設けた後に下層を積層したものであってもよい。このような重層型の感熱性平版印刷版の例として、特開2001-166477号公報や、特開平11−218914号公報などに開示されているものがある。
[アルカリ可溶性樹脂]
本発明において、上部感熱層及び下層に使用される水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂は、水不溶性且つアルカリ水可溶性の高分子化合物(以下、適宜、アルカリ可溶性高分子と称する)であって、高分子中の主鎖及び/又は側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体又はこれらの混合物を包含する。従って、本発明に係る上部感熱層及び下層は、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものである。
例えば以下のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。
このような化合物としては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
フェノール基を有する重合性モノマー(M1)に、スルホンアミド基を有する重合性モノマー(M2)及び/又は活性イミド基を有する重合性モノマー(M3)を共重合させる場合の配合比(M1:M2及び/又はM3;質量比)としては、50:50〜5:95が好ましく、40:60〜10:90がより好ましい。
前記共重合体の合成方法としては、従来より公知のグラフト共重合法、ブロック共重合法、ランダム共重合法等を用いることができる。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
また、本発明においてアルカリ可溶性高分子がフェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールアルデヒド樹脂等の樹脂である場合には、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
(b1−1)下記一般式(III)で表される重合性モノマー単位を有するアルカリ可溶性高分子化合物(以下、高分子化合物(b1−1)ともいう)
一般式(III)で表される重合性モノマー単位を構成するモノマーとして、カルボキシル基と、重合可能な不飽和基を分子内にそれぞれ1以上有する重合性モノマーがある。
そのような重合性モノマーの具体例として、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等のα、β−不飽和カルボン酸類を挙げることができる。
(1)2−ヒドロキエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(10)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
上記一般式(IV)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの例を以下に挙げるが、この限りではない。
別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
共重合の方法としては、従来知られているグラフト共重合、ブロック共重合、ランダム共重合法などを用いることができる。
R14、R15、R16はそれぞれ同一でも相異していてもよい、単結合、置換基(例えばアルキル、アルケニル、アラルキル、アリール、アルコキシ及びハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族又は芳香族炭化水素を示す。好ましくは炭素原子数1〜20のアルキレン基、炭素原子数6〜15のアリーレン基、更に好ましくは炭素原子数1〜8個のアルキレン基を示す。
また、必要に応じ、R14、R15、R16中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、炭素−炭素不飽和結合を有していてもよい。なお、R13、R14、R15、R16のうちの2又は3個で環を構成してもよい。
Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素を示し、好ましくは炭素原子数6〜15個の芳香族基を示す。
式中、R18は置換基(例えばアルキル、アルケニル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族又は芳香族炭化水素を示す。必要に応じ、R18中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエステル、ウレタン、アミド、ウレイド基、炭素−炭素不飽和結合を有していてもよい。
即ち、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミドなどが挙げられる。
以下に、上記一般式(VIII)又は(IX)で表されるジオールの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
HO-(-CH2CH2O-)3-H
HO-(-CH2CH2O-)4-H
HO-(-CH2CH2O-)5-H
HO-(-CH2CH2O-)6-H
HO-(-CH2CH2O-)7-H
HO-(-CH2CH2O-)8-H
HO-(-CH2CH2O-)10-H
HO-(-CH2CH2O-)12-H
ポリエチレングリコール(平均分子量1000)
ポリエチレングリコール(平均分子量2000)
ポリエチレングリコール(平均分子量4000)
HO-(-CH2CH(CH3)O-)3-H
HO-(-CH2CH(CH3)O-)4-H
HO-(-CH2CH(CH3)O-)6-H
ポリプロピレングリコール(平均分子量1000)
ポリプロピレングリコール(平均分子量2000)
ポリプロピレングリコール(平均分子量4000)
HO-(-CH2CH2CH2O-)3-H
HO-(-CH2CH2CH2O-)4-H
HO-(-CH2CH2CH2O-)8-H
HO-(-CH2CH2CH(CH3)O-)12-H
すなわち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどの如き芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートなどの如き脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)−ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの如き脂肪族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体などの如きジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物などが挙げられる。
(B1)成分中に含有されるカルボキシル基を有する繰り返し単位の含有量は、該(B1)成分の各単量体の総量に基づいて2モル%以上であり、好ましくは2〜70モル%であり、より好ましくは5〜60モル%の範囲である。
(B1)成分の好ましい重量平均分子量は、3000〜300,000が好ましく、6,000〜100,000がより好ましい。
上記(B1)成分を含ませる場合、感光層の全固形分質量に対して0.005〜80質量%の範囲であり、好ましくは0.01〜50質量%の範囲であり、更に好ましくは1〜20質量%の範囲である。
下層で用いられるアルカリ可溶性高分子としては、アクリル樹脂が好ましい。さらに、このアクリル樹脂としてスルホアミド基を有するものが特に好ましく、それぞれ1種類或いは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、アルカリ性水溶液に対し溶解速度の異なる2種類のアルカリ可溶性高分子化合物の混合比は自由である。
好ましくは、アルカリ可溶性高分子化合物中、未露光部では強い水素結合性を生起し露光部において一部の水素結合が容易に解除されるフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性高分子化合物が60〜99.8質量%で用いられる。
本発明で使用する感熱性平版印刷版において、感熱層に用いられる赤外線吸収染料は、赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収染料として知られる種々の染料を用いることができる。
本発明において、これらの染料のうち赤外光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、これらの赤外線吸収染料は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。別の層とする場合、感熱層に隣接する層へ添加するのが望ましい。また、染料と前記アルカリ可溶性樹脂とは同一の層に含まれるのが好ましいが、別の層でも構わない。
添加量としては、上部感熱層の場合、感熱層の感度と耐久性の観点から、該層の全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは1.0〜30質量%の割合で印刷版材料中に添加することができる。
感熱層の下層を形成するにあたっては、上記の必須成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。また上部感熱層においても、上記の必須成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。添加剤は下層のみに含有させてもよいし、上部感熱層のみに含有させてもよいし、両方の層に含有させてもよい。以下に、添加剤の例を挙げて説明する。
本発明で使用する感熱性平版印刷版は、そのインヒビション(溶解性阻害)を高める目的で、その画像形成層に、種々のインヒビターを含有させることができる。
該インヒビターとしては特に限定されないが、4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール系化合物等が挙げられる。
具体的には、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトララウリルアンモニウムブロミド、テトラフェニルアンモニウムブロミド、テトラナフチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラステアリルアンモニウムブロミド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルトリエチルアンモニウムブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムブロミド、3−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ジベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ジス
テアリルジメチルアンモニウムブロミド、トリステアリルメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ヒドロキシフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、N−メチルピリジニウムブロミド等が挙げられる。特に特願2001−226297号、特願2001−370059、特願2001−398047明細書記載の4級アンモニウム塩が好ましい。
R1−{−O−(R3−O−)m−R2}n
ラクトン化合物としては、特に限定されないが、下記一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物が挙げられる。
X1、X2、X3及びX4で表される環の構成原子又は原子団は、環を形成するための二つの単結合を有する非金属原子又は該非金属原子を含む原子団である。
好ましい非金属原子又は非金属原子団は、メチレン基、スルフィニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、硫黄原子、酸素原子及びセレニウム原子から選ばれる原子又は原子団であって、より好ましくは、メチレン基、カルボニル基及びスルホニル基から選ばれる原子団である。
より好ましくは、ニトロ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、ニトリル基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数6〜9のアリールスルホニル基、炭素数6〜9のアリールカルボニル基、オキソ基及びハロゲン元素から選ばれる基である。
以下に、一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
このラクトン化合物は、いずれか一種を用いても、併用してもよい。また2種類以上の一般式(L−I)の化合物、又は2種類以上の一般式(L−II)の化合物を合計添加量が上記範囲内で任意の比率で併用してもよい。
オニウム塩のなかでも、ジアゾニウム塩が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩としては特開平5-158230号公報記載のものがあげられる。
添加量としては、層材料中に占める割合が0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
また、感度を更に向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。
酸無水物類としては環状酸無水物が好ましく、具体的に環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。非環状の酸無水物としては無水酢酸などが挙げられる。フェノール類としては、ビスフェノールA、2,2'−ビスヒドロキシスルホン、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
上記の酸無水物、フェノール類及び有機酸類の画像形成層中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
上部感熱層及び下層中には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特願2001-247351号明細書に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2-アルキル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN-テトラデシル-N,N-ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像形成層中に占める割合は、0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
本発明で使用する感熱性平版印刷版の上部感熱層及び下層中には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
更に本発明で使用する感熱性平版印刷版における上部感熱層及び下層中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
また、感熱性平版印刷版の上部感熱層及び下層中には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6117913号明細書、特願2001-261627号明細書、特願2002-032904号明細書、特願2002-165584号明細書に用いられているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることができる。
添加量として好ましいのは、層を形成する材料中に占める割合が0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等をあげることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。
2つの層を分離して形成する方法としては、例えば、下層に含まれる共重合体と、上部感熱層に含まれるアルカリ可溶性樹脂との溶剤溶解性の差を利用する方法、上部感熱層を塗布した後、急速に溶剤を乾燥、除去させる方法等が挙げられる。以下、これらの方法について詳述するが、2つの層を分離して塗布する方法はこれらに限定されるものではない。
2つの層が本発明の効果を充分に発揮するレベルにおいて層間を部分的に相溶させる方法としては、上記溶剤溶解性の差を利用する方法、2層目を塗布後に極めて速く溶剤を乾燥させる方法何れにおいても、その程度を調整することによって可能となる。
上部感熱層塗布時に下層へのダメージを防ぐため、上部感熱層塗布方法は非接触式である事が望ましい。また接触型ではあるが溶剤系塗布に一般的に用いられる方法としてバーコーター塗布を用いる事も可能であるが、下層へのダメージを防止するために順転駆動で塗布することが望ましい。
また上部感熱層を構成する全材料の塗布量は、現像ラチチュード、耐傷性及び感度を良好にする観点から、0.05g/m2〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.08〜0.7g/m2の範囲である。
上下層を合わせた塗布量としては、耐刷性、画像再現性及び感度を良好にする観点から、0.6g/m2〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.7〜2.5g/m2の範囲である。
感熱性平版印刷版に使用される親水性支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物が挙げられ、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタ
ール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2よりも少ないと充分な耐刷性能が得られない。また、200mg/m2より大きくても同様である。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。レーザービームとしてはヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、KrFエキシマレーザー等が挙げられる。本発明においては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
[感熱性平版印刷版原版の作製]
0.3mm厚のアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミス−水懸濁液を用い、この表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。
洗浄後、このアルミニウム板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗した後、さらに20%硝酸水溶液に20秒間浸漬し、再度水洗した。このときの砂目立て表面のエッチング量は、約3g/m2であった。
これを、30℃の珪酸ナトリウム2.5%水溶液で10秒処理し、下記下塗り層用塗布液を塗布し、80℃下で15秒間乾燥して支持体を得た。乾燥後の下塗り層の乾燥塗布量は、15mg/m2であった。
下記共重合体P(分子量28000) 0.3g
メタノール 100g
水 1g
攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた20ml三ッ口フラスコに、メタクリル酸n−プロピル6.39g(0.045モル)、メタクリル酸1.29g(0.015モル)及び1−メトキシ−2−プロパノール20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌した。この混合物に「V−601」(和光純薬(株)製)0.15gを加え70℃に保ちながら窒素気流下2時間混合物を攪拌した。この反応混合物にさらにメタクリル酸n−プロピル6.39g(0.045モル)、メタクリル酸1.29g(0.015モル)、1−メトキシ−2−プロパノール20g及び「V−601」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、さらに90℃で2時間得られた混合物を攪拌した。反応終了後、メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出し、乾燥することにより15gの白色固体を得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりこの共重合体の重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ53,000であった。
上記合成例1と同様の操作によって、メタクリル酸エチル/メタクリル酸イソブチル/メタクリル酸(モル%:35/35/30)を使用して共重合体を合成した。その重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ50,000であった。
冷却管コンデンサー、攪拌機を備えた500mlの三ッ口丸底フラスコに、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸14.6g(0.109モル)、テトラエチレングリコール13.3g(0.0686モル)及び1,4−ブタンジオール2.05g(0.0228モル)を加え、N,N−ジメチルアセトアミド118gに溶解した。これに、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート30.8g(0.123モル)、ヘキサメチレンジイソシアネート13.8g(0.0819モル)及び触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ0.1gを添加し、攪拌下、90℃、7時間加熱した。
この反応液にN,N−ジメチルアセトアミド100ml、メタノール50ml及び酢酸50mlを加え、攪拌した後に、これを水4リットル中に攪拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマーを濾別し、水にて洗浄後、減圧乾燥させることにより、60gのポリマーを得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量を測定したところ、重量平均(ポリスチレン標準)で70,000であった。また、滴定によりカルボキシル基含量を測定したところ1.43meq/gであった。
以下のジイソシアネート化合物(モル%)
上記合成例2の共重合体 0.050g
上記合成例4の共重合体 0.050g
N-(4-アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/
アクリロニトリル/メタクリル酸メチル
(36/34/30重量平均分子量50000) 1.896g
クレゾールノボラック(m/p=6/4 重量平均分子量4500、
残存モノマー0.8wt%) 0.237g
シアニン染料A 0.109g
4,4'-ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.063g
無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
p−トルエンスルホン酸 0.008g
エチルバイオレットの対イオンを
6-ヒドロキシナフタレンスルホンに変えたもの 0.05g
フッ素系界面活性剤(F176、大日本インキ工業(株)社製) 0.035g
メチルエチルケトン 26.6g
1-メトキシ-2-プロパノール 13.6g
γ−ブチロラクトン 13.8g
上記合成例2の共重合体 0.050g
上記合成例4の共重合体 0.050g
クレゾールノボラック(m/p=6/4 重量平均分子量4500、
残存モノマー0.8wt%) 0.237g
シアニン染料A 0.047g
ステアリン酸ドデシル 0.060g
3-メトキシ-4-ジアゾジフェニルアミン ヘキサフルオロホスフェート
0.030g
フッ素系界面活性剤(F176(20%溶液)、大日本インキ工業(株)社製)
0.110g
フッ素系界面活性剤(MCF312F(30%溶液)、大日本インキ工業(株)社製)
0.12g
メチルエチルケトン 15.1g
1-メトキシ-2-プロパノール 7.7g
(SiO2含有のアルカリ性現像液の調製)
酸化ケイ素SiO2及び酸化カリウムK2Oの混合比SiO2/K2Oが1.1のケイ酸カリウム4.0%水溶液1リットルに以下に示す各種カチオン界面活性剤(a)〜(aa)、各種エチレンオキサイド化合物((A)〜(F)、上記式参照)を下記表1〜3に記載の濃度で添加し、アルカリ性現像液(1)〜(80)を作製した。比較のため上記組成でカチオン界面活性剤及びエチレンオキサイド化合物のいずれも含まないものをアルカリ性現像液(i)とし、ポリエチレングリコール 1000(EO 20モル)を含むものをアルカリ性現像液(ii)とし、ポリエチレングリコール 1500(EO 35モル)を含むものをアルカリ性現像液(iii)とした。
(非還元糖含有のアルカリ性現像液の調製)
非還元糖と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウムK2Oよりなるカリウム塩5.0%水溶液1リットルに以下に示す各種カチオン界面活性剤(a)〜(aa)、各種エチレンオキサイド化合物((A)〜(F)、上記式参照)を下記表1〜3に記載の濃度で添加し、アルカリ性現像液(81)〜(160)を作製した。比較のため上記組成でカチオン界面活性剤及びエチレンオキサイド化合物のいずれも含まないものをアルカリ性現像液(iv)とし、ポリエチレングリコール 1000(EO 20モル)を含むものをアルカリ性現像液(v)とし、ポリエチレングリコール 1500(EO 35モル)を含むものをアルカリ性現像液(vi)とした。
上記のようにして作製した感熱性平版印刷版原版に出力500mW、波長830nmビーム径17μm(1/e2)の半導体レーザーを用いて主走査速度5m/秒にて露光し、25℃に保持した。
この平版印刷版原版を、上記の各種アルカリ性現像液を満たした自動現像機PS900NP(富士写真フイルム(株)製)により、現像温度25℃、30℃、35℃、12秒で現像処理した。現像処理が終了したのち、水洗工程を経て、ガム(GU−7(1:1))などで処理して、製版が完了した平版印刷版を得た。
こうして得た版を以下のように評価した。
(非画像部の現像性の評価)
上記のようにして現像温度25℃、30℃、35℃で現像処理して得た平版印刷版の非画像部の現像性を「非画像部の残膜の有無」を観察することで、官能評価を行った。
−基準−
○:充分に現像され、非画像部上に下層の残存は認められなかった。印刷物上には汚れがなかった。
△:非画像部上に下層が若干残存していた。印刷物上には汚れがなかった。
×:現像不良が認められ、非画像部に下層が残存していた。印刷物上に汚れが発生した。
上記のようにして現像温度25℃、30℃、35℃で現像処理して得た平版印刷版の「画像部の欠陥」を下記基準に従い、目視により観察し、官能評価を行った。
−基準−
○:画像部の上層に欠陥は認められなかった。画像部の濃度が未露光部濃度の90%以上であった。印刷物上でも画像部の白ぬけはなかった。
△:画像部濃度が未露光部濃度の70〜90%であり、上層の一部に欠陥が認められた。印刷物上では、画像部の白ぬけはなかった。
×:画像部濃度が未露光部濃度の70%を下回り、画像部の上層に欠陥した部分があった。印刷物上に画像部の白ぬけが発生した。
結果を表4〜表9に示す。
Claims (3)
- 平版印刷版用支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含む下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び赤外線吸収染料を含み、加熱によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増加する上部感熱層とを有する感熱性ポジ型平版印刷版を露光後、カチオン界面活性剤及びエチレンオキサイド末端基を分子中に3以上有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するアルカリ性現像液で現像処理することを特徴とする、平版印刷版の製版方法。
- アルカリ性現像液が、カチオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1記載の平版印刷版の製版方法。
- アルカリ性現像液が、エチレンオキサイド末端基を分子中に3以上有する化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1記載の平版印刷版の製版方法。
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