JP2004123669A - シロアリ駆除用毒餌剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用する殺虫有効成分が効率の良い殺虫有効濃度においても忌避性が無く、しかも短期間にシロアリの群れ(巣)を壊滅させる適当な遅効性を示すシロアリ駆除用毒餌剤とすることである。
【解決手段】セルロース系基材に、N−(2−クロロ−3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(一般名ビストリフルロン)を有効成分として10重量ppm以上含有するように、(CH3)CH0CH3(CH2)2またはH3COOH(CH2)nCOOCH3(但し、n=1〜4である。)に溶解された状態で含浸保持させたシロアリ駆除用毒餌剤とする。
【選択図】 なし
【解決手段】セルロース系基材に、N−(2−クロロ−3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(一般名ビストリフルロン)を有効成分として10重量ppm以上含有するように、(CH3)CH0CH3(CH2)2またはH3COOH(CH2)nCOOCH3(但し、n=1〜4である。)に溶解された状態で含浸保持させたシロアリ駆除用毒餌剤とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、シロアリが摂食することにより駆除効果のあるシロアリ駆除用毒餌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、シロアリは、木造建築物を食害してその強度や耐久性を低下させる害虫であり、その災害を予防するために種々のシロアリ駆除剤が開発されてきた。
【0003】
そのうちシロアリが好んで食害する素材に殺虫有効成分を含有させ、これを住居周辺に設置してシロアリに食べさせて駆除する毒餌駆除剤については、ヒトの住環境周辺に殺虫剤を撒き散らさずに駆除対象をシロアリに限定して施用できるという有利性があるので、ヒトや自然環境に及ぼす影響の少ない駆除方法として既に数品が実用化されている。
【0004】
ところで、毒餌を用いてシロアリの巣を壊滅させるためには、シロアリが毒餌を食べることによって殺虫有効成分を体内に取込み、しかもその場で死なずに巣へ持帰ってグルーミング等により個体間で殺虫有効成分を伝搬させる必要があり、そのために殺虫有効成分は遅効性である必要がある。
【0005】
実用化されている毒餌駆除剤には、殺虫有効成分として、ホウ酸、スルフルアミド、ジフルベンズロン、ヘキサフルムロン等のシロアリに対して遅効性を示す薬剤が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−189031号公報(段落番号「0017」)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の殺虫有効成分は、必要以上に極めて遅効性のものであるので、シロアリの巣を壊滅させるのに数ヶ月という長期間を要するという問題点がある。
【0008】
また、本来は適当な期間の遅効性を示す殺虫有効成分であっても、シロアリが食害するときに忌避性を示すものが多く、忌避性を緩和するために毒餌として添加可能な濃度が制限され、結果的にはシロアリを駆除するのに必要以上に長期間を要するものであった。
【0009】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、使用する殺虫有効成分が効率の良い殺虫有効濃度においても忌避性が無く、しかも短期間にシロアリの群れ(巣)を壊滅させる適当な遅効性を示すシロアリ駆除用毒餌剤とすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明においては、N−(2−クロロ−3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(以下単に、一般名称のビストリフルロンと称する。)を有効成分として含有するシロアリ駆除用毒餌剤としたのである。
【0011】
本願の発明者らは、シロアリに殺虫効果のある有効成分とその忌避性についての実験を重ねた結果、ビストリフルロンがシロアリに効率よく殺虫性を及ぼす濃度において忌避性がなく、確実に短期間に駆除が可能であるとの発見に基づいてこの発明を完成させたものであり、特にビストリフルロンを所要濃度に溶解する溶剤、さらには基材を選択的に採用したものは、その殺虫効果が顕著に現れるものになる。
【0012】
すなわち、上記した構成のシロアリ駆除用毒餌剤は、ビストリフルロンを有効成分とすることにより、シロアリに忌避性が無く、有効成分はシロアリ駆除用に所要の濃度で毒餌の基材等に添加できるものになる。このようにして調製されたシロアリ駆除用毒餌剤は、使用する殺虫有効成分に忌避性が無く、しかも短期間にシロアリの巣を壊滅させ得るものになる。
【0013】
殺虫有効成分の濃度は、ビストリフルロンの殺虫効果から10重量ppm以上、好ましくは100重量ppm以上、より好ましくは1000〜20000重量ppmであれば比較的短期間に所要の駆除効果が得られる。
【0014】
上記した組成のシロアリ駆除用毒餌剤において、有効成分を保持する基材を必須成分とし、この基材がセルロース系基材であることが好ましい。セルロース系基材は、シロアリが摂食を好む木材もしくはパルプまたはこれらを材料とする単体の素材または複合素材であり、シロアリに忌避性を与えないばかりか、誘引性を持たせて摂食効率を良くするものである。
【0015】
また、このような基材に有効成分を染み込ませて保持(すなわち含浸)する場合に、有効成分が、(CH3)CH0CH3(CH2)2またはH3COOH(CH2)nCOOCH3(但し、n=1〜4である。)に溶解された状態で基材に含浸して保持されているシロアリ駆除用毒餌剤であることが好ましい。ビストリフルロンの効果を妨げることなく簡易な手法で殺虫有効性を安定させ、均一に分散保持できるからである。
【0016】
また、これらの構成成分以外にTBZなどの防カビ剤や、着色剤等その他の周知の添加剤を加えることも可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
この発明に用いる有効成分のN−(2−クロロ−3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(ビストリフルロン)は、下記の化1の構造式で示されるものである。
【0018】
【化1】
【0019】
ビストリフルロンは、ISO1750に該当するベンゾイルフェニルウレア系の物質であり、分子量396.68、白粉状、融点172−175℃、難水溶性、アセトン溶解性、pH5−9という物性がある。そして、キチン生成を阻害する物性による昆虫成長抑制剤としての殺虫性は認められていたが、シロアリに対する駆除効果について、具体的な知見はなかったものである。
【0020】
駆除対象のシロアリは、特に限定された種類ではなく、例えばヤマトシロアリ、イエシロアリ、ダイコクシロアリ、アメリカカンザイシロアリ、サツマシロアリ、カタンシロアリ、タイワンシロアリ、タカサゴシロアリその他のシロアリ類が挙げられる。
【0021】
シロアリに対する殺虫有効成分の濃度は、ビストリフルロンの殺虫効果から10重量ppm以上であればよく、好ましくは1000〜20000重量ppmである。
【0022】
また、このシロアリ用毒餌駆除剤において有効成分に忌避性を発揮させることなく担持できる基材としては、セルロースを主成分としてシロアリが喫食容易な硬さを有する固形物が好ましいが、それ以外のものを使用しても良く、例えば、紙、結晶セルロース、木材、発泡セルロース粒、カルボキシメチルセルロース(CMC)、その他のセルロース成型物、または紙を原料として成型したコルゲート、ポリスチレン、ポリエチレンを被覆(ラミネート)してシール性を発揮させる素材、発泡ポリスチレンおよびその複合材料などを含むものである。
【0023】
このような基材に対しては、さらに誘引物質を一体に保持させてもよく、そのような誘引物質としては、例えばパインオイル、β−カロチン、バニリン酸、p−オキシ安息香酸、p−クマリン酸、プロトカテキュー酸、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
【0024】
基材(添加剤や誘引物質を含有する場合を含む。)に常温で粉状のビストリフルロンを含浸させるには、ビストリフルロンを溶剤に溶かした状態で基材に含浸させることが好ましく、その場合には、溶剤として3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールである(CH3)CH0CH3(CH2)2またはコハク酸ジメチルまたはその誘導体であるH3COOH(CH2)nCOOCH3(但し、n=1〜4である。)を用いる。
【0025】
上記した特定の溶剤は、シロアリに対して全く忌避性がなく、しかもビストリフルロンを溶解するものであり、これにより忌避性のない殺虫有効成分を保持させた顆粒や錠剤などの製剤化が可能になる。
【0026】
また、ビストリフルロンの適当な遅効性の殺虫力を妨げずに併存するならば、他の殺虫成分を適当な濃度で併用することも可能である。
【0027】
製剤形態としては、顆粒剤、錠剤などの周知の形態を採用できる。その場合にこの発明の効果を阻害しない程度において、賦型剤や増量剤としてホワイトカーボン、ケイソウ土、カオリン、タルク、クレー、炭酸カルシウム、ベントナイト、ゼオライト、セピオライト、アタパルジャイトなどを配合することができる。
【0028】
【実施例および比較例】
〔実施例1〜4〕
ビストリフルロンを表1に示した濃度となるように所定量の溶剤に溶解し、これにTBZを混合した後、ダンボール片(50×50×9mm)に全量含浸させて、実施例1〜4のシロアリ駆除用毒餌剤を得た。
得られた被試験品を以下の試験により、忌避性と殺虫有効性を評価し、その結果(3日後の喫食性と100%致死に要する日数)を表1中に併記した。
【0029】
<忌避性と殺虫有効性試験験>
ガラスシャーレ(φ90mm)に、イエシロアリの職蟻200匹及び兵蟻20匹を放ち、実施例1〜8及び比較例1〜5で得られたサンプルと、シロアリ用餌としてダンボール片(30×30×9mm)をシャーレ内に設置して蓋をし、このシャーレは水を入れた気密容器中に入れて約25℃で静置した。
【0030】
効果の判定は、サンプル設置3日後にシャーレ中のサンプルの喫食跡、及び供試した全てのシロアリが致死するのに要した日数を調べた。なお、殺虫有効成分を含まないダンボール片を同様の条件で設置した薬剤ブランク区のシロアリは60日後で致死率13.3%、78日後で30.8%であり、薬剤ブランク区の致死率が30%を超えた78日時点で試験を終了した。
【0031】
また、喫食性の評価は、+++が非常に良好、++が良好、+がやや不良の3段階評価で表中に記号で示した。
【0032】
【表1】
【0033】
〔実施例5〕
表1に示す配合割合でビストリフルロン及びオイルレッドを所定量の溶剤に溶解した後、所定量の結晶セルロースにこの溶剤を混合し、加圧成型(φ40厚さ6mm)して実施例5を得た。
得られた被試験品を前記試験により、忌避性と殺虫有効性を評価し、その結果を表1中に併記した。
【0034】
〔実施例6〕
表1に示す配合割合でビストリフルロンを所定量の溶剤に溶解し、ここにTBZを混合した後、クラフト紙(50×900mm)に全量含浸させて筒状に巻き、実施例6を得た。
得られた被試験品を前記試験により、忌避性と殺虫有効性を評価し、その結果を表1中に併記した。
【0035】
〔実施例7〕
表1に示す配合割合でビストリフルロン及びオイルグリーンを所定量の溶剤に溶解した後、クロマツ片(10×10×60mm)に塗布し、実施例7を得た。
得られた被試験品を前記試験により、忌避性と殺虫有効性を評価し、その結果を表1中に併記した。
【0036】
〔実施例8〕
表1に示す配合割合でビストリフルロン及びオイルグリーンを所定量の溶剤に溶解した後、球状に成型したセルロース粒に含浸し、実施例8を得た。
得られた被試験品を前記試験により、忌避性と殺虫有効性を評価し、その結果を表1中に併記した。
【0037】
〔比較例1〜5〕
表2に示す配合割合で各殺虫有効成分を所定の溶剤に溶解し、ここにTBZを混合した後、ダンボール片(50×50×9mm)に全量含浸させ、比較例1〜5を得た。
得られた被試験品を前記試験により、忌避性と殺虫有効性を評価し、その結果を表2中に示した。
【0038】
【表2】
【0039】
表1および表2の結果からも明らかなように、殺虫有効成分としてビストリフルロンを使用しなかった比較例1〜6は、忌避性のために喫食性が悪く、完全致死までに2.5ヶ月以上を要するものであり、必要以上の遅効性を示すことが認められた。
【0040】
これに対して、殺虫有効成分としてビストリフルロンを使用した実施例1〜8は、忌避性が認められず喫食性は良好であり、完全致死までに2〜5週間以内という比較的短期間であり、適当な遅効性を示すものであることが認められた。
【0041】
また、殺虫有効成分のビストリフルロンが、1000〜20000ppm濃度の実施例2〜8では、完全致死までに2〜4週間という極めて効率の良い駆除が行えることがわかる。
【0042】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように、ビストリフルロンを有効成分として含有するシロアリ駆除用毒餌剤としたので、シロアリに忌避性が無く、有効成分はシロアリ駆除用に所要の濃度で毒餌の基材等に添加できるものになるため、使用する殺虫有効成分が効率の良い殺虫有効濃度にて使用でき、比較的短期間にシロアリの群れを壊滅させる適当な遅効性を示すシロアリ駆除用毒餌剤になるという利点がある。
【0043】
また、セルロース系基材に溶剤に溶かしたビストリフルロンを染み込ませて保持する場合に、所定の溶剤を使用することにより、ビストリフルロンの効果を妨げることなく簡易な手法で殺虫有効性を安定させ、均一に分散保持でき、より短期間にシロアリの群れを壊滅させる適当な遅効性を示すシロアリ駆除用毒餌剤になるという利点がある。
【発明の属する技術分野】
この発明は、シロアリが摂食することにより駆除効果のあるシロアリ駆除用毒餌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、シロアリは、木造建築物を食害してその強度や耐久性を低下させる害虫であり、その災害を予防するために種々のシロアリ駆除剤が開発されてきた。
【0003】
そのうちシロアリが好んで食害する素材に殺虫有効成分を含有させ、これを住居周辺に設置してシロアリに食べさせて駆除する毒餌駆除剤については、ヒトの住環境周辺に殺虫剤を撒き散らさずに駆除対象をシロアリに限定して施用できるという有利性があるので、ヒトや自然環境に及ぼす影響の少ない駆除方法として既に数品が実用化されている。
【0004】
ところで、毒餌を用いてシロアリの巣を壊滅させるためには、シロアリが毒餌を食べることによって殺虫有効成分を体内に取込み、しかもその場で死なずに巣へ持帰ってグルーミング等により個体間で殺虫有効成分を伝搬させる必要があり、そのために殺虫有効成分は遅効性である必要がある。
【0005】
実用化されている毒餌駆除剤には、殺虫有効成分として、ホウ酸、スルフルアミド、ジフルベンズロン、ヘキサフルムロン等のシロアリに対して遅効性を示す薬剤が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−189031号公報(段落番号「0017」)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の殺虫有効成分は、必要以上に極めて遅効性のものであるので、シロアリの巣を壊滅させるのに数ヶ月という長期間を要するという問題点がある。
【0008】
また、本来は適当な期間の遅効性を示す殺虫有効成分であっても、シロアリが食害するときに忌避性を示すものが多く、忌避性を緩和するために毒餌として添加可能な濃度が制限され、結果的にはシロアリを駆除するのに必要以上に長期間を要するものであった。
【0009】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、使用する殺虫有効成分が効率の良い殺虫有効濃度においても忌避性が無く、しかも短期間にシロアリの群れ(巣)を壊滅させる適当な遅効性を示すシロアリ駆除用毒餌剤とすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明においては、N−(2−クロロ−3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(以下単に、一般名称のビストリフルロンと称する。)を有効成分として含有するシロアリ駆除用毒餌剤としたのである。
【0011】
本願の発明者らは、シロアリに殺虫効果のある有効成分とその忌避性についての実験を重ねた結果、ビストリフルロンがシロアリに効率よく殺虫性を及ぼす濃度において忌避性がなく、確実に短期間に駆除が可能であるとの発見に基づいてこの発明を完成させたものであり、特にビストリフルロンを所要濃度に溶解する溶剤、さらには基材を選択的に採用したものは、その殺虫効果が顕著に現れるものになる。
【0012】
すなわち、上記した構成のシロアリ駆除用毒餌剤は、ビストリフルロンを有効成分とすることにより、シロアリに忌避性が無く、有効成分はシロアリ駆除用に所要の濃度で毒餌の基材等に添加できるものになる。このようにして調製されたシロアリ駆除用毒餌剤は、使用する殺虫有効成分に忌避性が無く、しかも短期間にシロアリの巣を壊滅させ得るものになる。
【0013】
殺虫有効成分の濃度は、ビストリフルロンの殺虫効果から10重量ppm以上、好ましくは100重量ppm以上、より好ましくは1000〜20000重量ppmであれば比較的短期間に所要の駆除効果が得られる。
【0014】
上記した組成のシロアリ駆除用毒餌剤において、有効成分を保持する基材を必須成分とし、この基材がセルロース系基材であることが好ましい。セルロース系基材は、シロアリが摂食を好む木材もしくはパルプまたはこれらを材料とする単体の素材または複合素材であり、シロアリに忌避性を与えないばかりか、誘引性を持たせて摂食効率を良くするものである。
【0015】
また、このような基材に有効成分を染み込ませて保持(すなわち含浸)する場合に、有効成分が、(CH3)CH0CH3(CH2)2またはH3COOH(CH2)nCOOCH3(但し、n=1〜4である。)に溶解された状態で基材に含浸して保持されているシロアリ駆除用毒餌剤であることが好ましい。ビストリフルロンの効果を妨げることなく簡易な手法で殺虫有効性を安定させ、均一に分散保持できるからである。
【0016】
また、これらの構成成分以外にTBZなどの防カビ剤や、着色剤等その他の周知の添加剤を加えることも可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
この発明に用いる有効成分のN−(2−クロロ−3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(ビストリフルロン)は、下記の化1の構造式で示されるものである。
【0018】
【化1】
【0019】
ビストリフルロンは、ISO1750に該当するベンゾイルフェニルウレア系の物質であり、分子量396.68、白粉状、融点172−175℃、難水溶性、アセトン溶解性、pH5−9という物性がある。そして、キチン生成を阻害する物性による昆虫成長抑制剤としての殺虫性は認められていたが、シロアリに対する駆除効果について、具体的な知見はなかったものである。
【0020】
駆除対象のシロアリは、特に限定された種類ではなく、例えばヤマトシロアリ、イエシロアリ、ダイコクシロアリ、アメリカカンザイシロアリ、サツマシロアリ、カタンシロアリ、タイワンシロアリ、タカサゴシロアリその他のシロアリ類が挙げられる。
【0021】
シロアリに対する殺虫有効成分の濃度は、ビストリフルロンの殺虫効果から10重量ppm以上であればよく、好ましくは1000〜20000重量ppmである。
【0022】
また、このシロアリ用毒餌駆除剤において有効成分に忌避性を発揮させることなく担持できる基材としては、セルロースを主成分としてシロアリが喫食容易な硬さを有する固形物が好ましいが、それ以外のものを使用しても良く、例えば、紙、結晶セルロース、木材、発泡セルロース粒、カルボキシメチルセルロース(CMC)、その他のセルロース成型物、または紙を原料として成型したコルゲート、ポリスチレン、ポリエチレンを被覆(ラミネート)してシール性を発揮させる素材、発泡ポリスチレンおよびその複合材料などを含むものである。
【0023】
このような基材に対しては、さらに誘引物質を一体に保持させてもよく、そのような誘引物質としては、例えばパインオイル、β−カロチン、バニリン酸、p−オキシ安息香酸、p−クマリン酸、プロトカテキュー酸、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
【0024】
基材(添加剤や誘引物質を含有する場合を含む。)に常温で粉状のビストリフルロンを含浸させるには、ビストリフルロンを溶剤に溶かした状態で基材に含浸させることが好ましく、その場合には、溶剤として3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールである(CH3)CH0CH3(CH2)2またはコハク酸ジメチルまたはその誘導体であるH3COOH(CH2)nCOOCH3(但し、n=1〜4である。)を用いる。
【0025】
上記した特定の溶剤は、シロアリに対して全く忌避性がなく、しかもビストリフルロンを溶解するものであり、これにより忌避性のない殺虫有効成分を保持させた顆粒や錠剤などの製剤化が可能になる。
【0026】
また、ビストリフルロンの適当な遅効性の殺虫力を妨げずに併存するならば、他の殺虫成分を適当な濃度で併用することも可能である。
【0027】
製剤形態としては、顆粒剤、錠剤などの周知の形態を採用できる。その場合にこの発明の効果を阻害しない程度において、賦型剤や増量剤としてホワイトカーボン、ケイソウ土、カオリン、タルク、クレー、炭酸カルシウム、ベントナイト、ゼオライト、セピオライト、アタパルジャイトなどを配合することができる。
【0028】
【実施例および比較例】
〔実施例1〜4〕
ビストリフルロンを表1に示した濃度となるように所定量の溶剤に溶解し、これにTBZを混合した後、ダンボール片(50×50×9mm)に全量含浸させて、実施例1〜4のシロアリ駆除用毒餌剤を得た。
得られた被試験品を以下の試験により、忌避性と殺虫有効性を評価し、その結果(3日後の喫食性と100%致死に要する日数)を表1中に併記した。
【0029】
<忌避性と殺虫有効性試験験>
ガラスシャーレ(φ90mm)に、イエシロアリの職蟻200匹及び兵蟻20匹を放ち、実施例1〜8及び比較例1〜5で得られたサンプルと、シロアリ用餌としてダンボール片(30×30×9mm)をシャーレ内に設置して蓋をし、このシャーレは水を入れた気密容器中に入れて約25℃で静置した。
【0030】
効果の判定は、サンプル設置3日後にシャーレ中のサンプルの喫食跡、及び供試した全てのシロアリが致死するのに要した日数を調べた。なお、殺虫有効成分を含まないダンボール片を同様の条件で設置した薬剤ブランク区のシロアリは60日後で致死率13.3%、78日後で30.8%であり、薬剤ブランク区の致死率が30%を超えた78日時点で試験を終了した。
【0031】
また、喫食性の評価は、+++が非常に良好、++が良好、+がやや不良の3段階評価で表中に記号で示した。
【0032】
【表1】
【0033】
〔実施例5〕
表1に示す配合割合でビストリフルロン及びオイルレッドを所定量の溶剤に溶解した後、所定量の結晶セルロースにこの溶剤を混合し、加圧成型(φ40厚さ6mm)して実施例5を得た。
得られた被試験品を前記試験により、忌避性と殺虫有効性を評価し、その結果を表1中に併記した。
【0034】
〔実施例6〕
表1に示す配合割合でビストリフルロンを所定量の溶剤に溶解し、ここにTBZを混合した後、クラフト紙(50×900mm)に全量含浸させて筒状に巻き、実施例6を得た。
得られた被試験品を前記試験により、忌避性と殺虫有効性を評価し、その結果を表1中に併記した。
【0035】
〔実施例7〕
表1に示す配合割合でビストリフルロン及びオイルグリーンを所定量の溶剤に溶解した後、クロマツ片(10×10×60mm)に塗布し、実施例7を得た。
得られた被試験品を前記試験により、忌避性と殺虫有効性を評価し、その結果を表1中に併記した。
【0036】
〔実施例8〕
表1に示す配合割合でビストリフルロン及びオイルグリーンを所定量の溶剤に溶解した後、球状に成型したセルロース粒に含浸し、実施例8を得た。
得られた被試験品を前記試験により、忌避性と殺虫有効性を評価し、その結果を表1中に併記した。
【0037】
〔比較例1〜5〕
表2に示す配合割合で各殺虫有効成分を所定の溶剤に溶解し、ここにTBZを混合した後、ダンボール片(50×50×9mm)に全量含浸させ、比較例1〜5を得た。
得られた被試験品を前記試験により、忌避性と殺虫有効性を評価し、その結果を表2中に示した。
【0038】
【表2】
【0039】
表1および表2の結果からも明らかなように、殺虫有効成分としてビストリフルロンを使用しなかった比較例1〜6は、忌避性のために喫食性が悪く、完全致死までに2.5ヶ月以上を要するものであり、必要以上の遅効性を示すことが認められた。
【0040】
これに対して、殺虫有効成分としてビストリフルロンを使用した実施例1〜8は、忌避性が認められず喫食性は良好であり、完全致死までに2〜5週間以内という比較的短期間であり、適当な遅効性を示すものであることが認められた。
【0041】
また、殺虫有効成分のビストリフルロンが、1000〜20000ppm濃度の実施例2〜8では、完全致死までに2〜4週間という極めて効率の良い駆除が行えることがわかる。
【0042】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように、ビストリフルロンを有効成分として含有するシロアリ駆除用毒餌剤としたので、シロアリに忌避性が無く、有効成分はシロアリ駆除用に所要の濃度で毒餌の基材等に添加できるものになるため、使用する殺虫有効成分が効率の良い殺虫有効濃度にて使用でき、比較的短期間にシロアリの群れを壊滅させる適当な遅効性を示すシロアリ駆除用毒餌剤になるという利点がある。
【0043】
また、セルロース系基材に溶剤に溶かしたビストリフルロンを染み込ませて保持する場合に、所定の溶剤を使用することにより、ビストリフルロンの効果を妨げることなく簡易な手法で殺虫有効性を安定させ、均一に分散保持でき、より短期間にシロアリの群れを壊滅させる適当な遅効性を示すシロアリ駆除用毒餌剤になるという利点がある。
Claims (4)
- N−(2−クロロ−3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレアを有効成分として含有するシロアリ駆除用毒餌剤。
- N−(2−クロロ−3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレアの含有量が、10重量ppm以上である請求項1に記載のシロアリ駆除用毒餌剤。
- 請求項1または2に記載のシロアリ駆除用毒餌剤において、有効成分を保持する基材を必須成分とし、この基材がセルロース系基材であるシロアリ駆除用毒餌剤。
- 有効成分が、(CH3)CH0CH3(CH2)2またはH3COOH(CH2)nCOOCH3(但し、n=1〜4である。)に溶解された状態で基材に含浸して保持されている請求項3に記載のシロアリ駆除用毒餌剤。
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-
2002
- 2002-10-07 JP JP2002293881A patent/JP2004123669A/ja active Pending
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