JP2004122565A - 不織布積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】軟化する等の不具合が生じることがなく、発熱体を収納する袋を製造する際の外観上の仕上がりがよい不織布積層体を提供することにある。
【解決手段】不織布積層体10は、ポリプロピレン不織布12と、熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルム11とを積層してなり、JIS−L1096に準拠した方法で測定したMD方向の10%モジュラスが65N/50mm以上である。以上の構成を備えた不織布積層体10を用いていることにより、軟化する等の不具合が生じることがなく、発熱体17を収納する使い捨てカイロ1を製造する際の外観上の仕上がりがよい不織布積層体10とすることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】不織布積層体10は、ポリプロピレン不織布12と、熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルム11とを積層してなり、JIS−L1096に準拠した方法で測定したMD方向の10%モジュラスが65N/50mm以上である。以上の構成を備えた不織布積層体10を用いていることにより、軟化する等の不具合が生じることがなく、発熱体17を収納する使い捨てカイロ1を製造する際の外観上の仕上がりがよい不織布積層体10とすることができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不織布積層体に関する。詳しくは、空気の存在下で発熱する発熱体を収納する発熱体用袋等に用いられる不織布積層体に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、空気の存在下で発熱する発熱体を収納する発熱体用包材として、ナイロン不織布を備える積層体、レーヨン不織布を備える積層体等が用いられてきた。これらの積層体は、耐熱温度が高いものである。さらに、積層体に用いる不織布として、上記の不織布の他にも、高い生産性と低コストの観点より、ポリオレフィン系樹脂からなる不織布を用いようとする試みがなされている。このポリオレフィン系樹脂のうち、汎用的に製造できることから、ポリプロピレン系樹脂を用いることが提案されている。
【0003】
しかしながら、ポリプロピレン不織布は、上記ナイロン不織布等と比較して、耐熱性がない。そのため、ポリプロピレン不織布を用いて発熱体を収容する袋を製造する際に、ダイロール等で不織布にテンションをかけてヒートシールして製袋すると、ヒートシールにより接着した部分にシワが発生する等して、外観不良を起こし、実用化には至っていない。
上記問題を解決するために、ポリプロピレン不織布と、特殊な触媒で製造されたポリオレフィンフィルムとを積層する方法(特許文献1参照)や、熱可塑性樹脂の不織布と、熱可塑性樹脂フィルムとを、融点差や融点によって設定して積層する方法(特許文献2参照)等の技術が提案されている。これら上記公報記載の技術では、袋状にしてヒートシールする際に、融点の低いフィルムを用いた場合には、低温でヒートシールすることができ、シワ等が発生することもなく外観上問題のない袋を製造することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−56894号公報 (第1頁)
【特許文献2】
特公平05−56910号公報 (第1頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この袋が収納するものは、熱を発する発熱体である。そのため、袋の包材に融点の低いフィルムを用いると、発熱体が発熱した場合に、フィルムが軟化する等の不具合が生じてしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、軟化する等の不具合が生じることがなく、発熱体を収納する袋を製造する際の外観上の仕上がりがよい不織布積層体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の好ましい性質を有する不織布積層体を開発すべく、鋭意検討を重ねた結果、ポリプロピレン不織布を備えた不織布積層体での製袋時の不具合が、ダイロール等で不織布にテンションをかけてヒートシールして製袋すると、ヒートシールした部分にシワが発生することに起因することから、特定の引っ張り特性を有する不織布積層体であれば、前記したシワの発生を防止できることを見いだした。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明の不織布積層体は、ポリプロピレン不織布と、熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルムとを積層してなり、MD方向の10%モジュラスが65N/50mm以上であることを特徴とする。
ここで、MD方向とは、不織布積層体を製造する際の不織布積層体の送り出し方向のことをいう。MD方向の10%モジュラスは、JIS−L1096に準拠した方法で測定した値であり、好ましくは、70N/50mm以上である。
【0009】
ここで、ポリプロピレン不織布のポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)等が挙げられ、この中でも、耐熱性が高いことから、ホモポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレン不織布の製造方法としては、スパンボンド法、カード法、メルトブロー法等、汎用的に用いられている方法が挙げられる。
【0010】
ポリプロピレン不織布の目付としては、5〜100g/m2が好ましく、より好ましくは20〜50g/m2である。この目付が5g/m2未満であると、ポリプロピレン不織布の風合いが悪くなる場合がある。この目付が100g/m2を越えると、ポリプロピレン不織布が固くなり、人の肌に触れる用途に適さない場合がある。
【0011】
ポリプロピレン不織布の繊維径としては、2〜20デニールであることが好ましい。ここで、デニールとは、合成繊維等の長繊維の太さを表す単位をいい、記号はdである。長さ9000mの糸の重さが1gであるときを1デニールの太さという。したがって長さ9000mの糸の重さをグラム数で表したものがデニールになる。
ポリプロピレン不織布の繊維径が2デニール未満であると、不織布表面のケバが発生し易くなる。この繊維径が20デニールを越えると、不織布の風合いが劣る場合がある。
【0012】
ここで、熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂は、ヒートシール性があればよい。そして、この熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン不織布より融点が低い熱可塑性樹脂であるか、ポリプロピレン不織布の融点より低い温度でヒートシール性能を発現するように樹脂をブレンドしたものでもよい。そして、袋状に加工する際に、発熱体を収納する場合があるので、この熱可塑性樹脂の融点は、60℃以上のものであることが好ましい。
【0013】
具体的には、この熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ここで、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(PE)、ポリプロピレン系樹脂(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等が挙げられる。これらポリオレフィン系樹脂の中でも、ポリプロピレン不織布との積層時の接着性を考慮すると、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂が好ましい。
なお、熱可塑性樹脂フィルムは、単層構造のみならず、上記樹脂や製造方法をかえたものの多層構造としてもよい。
【0014】
熱可塑性樹脂フィルムの製造方法としては、インフレーション法、キャスト法等、汎用的な方法で予め、フィルムの形態に製造してもよく、ポリプロピレン不織布上に、上記熱可塑性樹脂を直接押し出す、押し出しラミネート法により、製造してもよい。
上記した熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の中でも、ヒートシールにより、発熱体を収納する袋を製造するので、ヒートシールのし易さの観点より、融点差を有する多層フィルムの形態に製造する方法が好ましい。
【0015】
熱可塑性樹脂フィルムの厚みとしては、10〜100μmが好ましく、より好ましくは、20〜60μmである。熱可塑性樹脂フィルムの厚みが10μm未満であると、ヒートシールした際のシール強度が発現しない場合がある。また、熱可塑性樹脂フィルムの厚みが100μmを超えると、不織布積層体が固くなり、肌触り等が悪くなる場合がある。
【0016】
ポリプロピレン不織布と熱可塑性樹脂フィルムとの積層方法としては、特に制限はなく、積層した際に強度が確保できるものであればよい。ポリプロピレン不織布と熱可塑性樹脂フィルムとをポリサンドラミネートにより積層する方法や、ドライラミネート法等のように接着材、粘着材等を用いて接着・積層する方法でもよい。さらに、上記したように、ポリプロピレン不織布上に、上記熱可塑性樹脂を直接押し出す、押し出しラミネート法により、積層してもよい。
【0017】
このような本発明によれば、JIS−L1096に準拠した方法で測定したMD方向の10%モジュラスが65N/50mm以上であることにより、ダイロール等で製袋時にテンションがかかっても積層体がMD方向に大きく伸びることはない。従って、ヒートシールした部分にシワが発生したりすることがない。
また、袋を製造した後、袋に収納する発熱体等の熱によっても、軟化することもない。従って、軟化する等の不具合が生じることがなく、発熱体を収納する袋を製造する際の外観上の仕上がりがよい不織布積層体とすることができる。
【0018】
本発明の不織布積層体では、前記ポリプロピレン不織布が、スパンボンド不織布であることが好ましい。
ここで、スパンボンド法は、不織布を構成するウェブを形成する方法であり、公知のスパンボンド法を採用できる。スパンボンド法により製造された不織布は、連続長繊維からなるので、柔軟性、強度に優れた不織布積層体とすることができる。さらに、スパンボンド法は生産性にも優れているので、製造コストの削減をすることができる。
【0019】
本発明の不織布積層体では、前記積層の方法は、ポリサンドラミネートであることが好ましい。
ここで、ポリサンドラミネートとは、積層する不織布やフィルムの間に溶融した樹脂を流し込んで、この溶融した樹脂が接着剤のような働きをして接着・積層する方法である。この溶融した樹脂としては、積層させる不織布等を接着させるものであればよく、接着性を向上させる観点から、不織布等と同様の樹脂であることが望ましい。例えば、ポリプロピレン不織布と、ポリプロピレン系樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルムとの組合わせの場合には、ポリプロピレンが好適である。
【0020】
このように不織布等と略同様の樹脂を用いることにより、リサイクルする際に、該溶融した樹脂を不織布等と異種の材料として分別する必要がない。従って、リサイクルする際の作業の簡略化を図ることができる。
【0021】
本発明の不織布積層体では、空気の存在下で発熱する発熱体を収納する発熱体収納袋の包材として用いられることが好ましい。例えば、前記発熱体収納袋としては、使い捨てカイロが挙げられる。
ここで、発熱体としては、例えば、使い捨てカイロ等の内部に収納されている鉄粉、無機塩等、空気との反応によって発熱するもの等が挙げられる。
【0022】
本発明の不織布積層体は、前述したものと同様の作用・効果を得ることができるので、発熱体が発熱した場合でも、不織布積層体が軟化することもない。従って、外観上の仕上がりがよいので、発熱体収納袋の包材として好適である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る不織布積層体10が示されている。図2には、本発明の一実施形態に係る不織布積層体10の製造装置5が示されている。図3には、本発明の一実施形態に係る使い捨てカイロ1が示されている。
【0024】
不織布積層体10は、JIS−L1096に準拠した方法で測定したMD方向の10%モジュラスが65N/50mm以上であり、ポリプロピレン不織布12と、熱可塑性樹脂フィルム11とを備えて構成されている。
ポリプロピレン不織布12は、耐熱性が高いことから、ホモポリプロピレンを採用している。ポリプロピレン不織布12の製造方法としては、スパンボンド法を採用している。
【0025】
ポリプロピレン不織布12の目付としては、5〜100g/m2程度であり、好ましくは20〜50g/m2である。この目付が5g/m2未満であると、ポリプロピレン不織布12の風合いが悪くなる場合がある。この目付が100g/m2を越えると、ポリプロピレン不織布12が固くなり、人の肌に触れる用途に適さない場合がある。
【0026】
ポリプロピレン不織布12の繊維径としては、2〜20デニール程度である。ポリプロピレン不織布12の繊維径が2デニール未満であると、ポリプロピレン不織布12表面のケバが発生し易くなる。この繊維径が20デニールを越えると、ポリプロピレン不織布12の風合いが劣る場合がある。
【0027】
ここで、MD方向とは、ポリプロピレン不織布12や不織布積層体10を製造する際のポリプロピレン不織布12等の移動方向のことをいう。また、ポリプロピレン不織布12や不織布積層体10の10%モジュラスは、JIS−L1096に準拠した方法で測定している。
【0028】
熱可塑性樹脂フィルム11の熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂組成物からなる多層構造のフィルムを採用している。
熱可塑性樹脂フィルム11の製造方法としては、インフレーション法、キャスト法等、汎用的な方法で予め、フィルムの形態に製造する方法が挙げられる。
【0029】
熱可塑性樹脂フィルム11の厚みとしては、10〜100μm程度であり、好ましくは、20〜60μmである。熱可塑性樹脂フィルム11の厚みが10μm未満であると、ヒートシールした際のシール強度が発現しない場合がある。また、熱可塑性樹脂フィルム11の厚みが100μmを超えると、不織布積層体10が固くなり、肌触り等が悪くなる場合がある。
【0030】
ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11との積層方法としては、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とをポリサンドラミネートにより積層する方法を採用している。
【0031】
次に、不織布積層体10をポリサンドラミネートにより製造するための製造装置5について説明する。
製造装置5は、図2に示されるように、ホッパ20と、単軸押出機21と、ダイ22と、第1繰出機23と、押圧ロール24と、冷却ロール25と、第2繰出機26と、巻取機27と、スリッター28と、ロール30とを備えて構成されている。
【0032】
ホッパ20は、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層・接着するための原料樹脂を入れるものであり、下側にいくに従ってテーパ状の傾斜を持つ公知のホッパである。
単軸押出機21は、原料樹脂を溶融押し出しするものであり、内部に樹脂を溶融押し出しするためのスクリューを備える公知の単軸押出機であり、ホッパ20と接続されている。
【0033】
ダイ22は、単軸押出機21と接続され、単軸押出機21からの溶融押し出しされた原料樹脂Aをフィルム状にして、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11との間に原料樹脂Aを押出す。ダイ22は、例えば、Tダイ等であり、このTダイとしては、ストレイト・マニホールド型やコート・バンガー型あるいはこれらを組み合わせたもの等を使用できる。
【0034】
第1繰出機23は、ポリプロピレン不織布12を取り付けておき、送り出すためのものである。第1繰出機23の大きさや方式等には、特に制限はない。
押圧ロール24は、冷却ロール25との間に挿通されるポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを押圧する。押圧ロール24の材質は、特に制限はないが、押圧ロール24の表面は、ゴム等の弾性部材で構成されているものが好ましい。
【0035】
冷却ロール25は、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11を冷却するものであり、水冷式、空冷式等の冷却ロールを採用できる。
第2繰出機26は、熱可塑性樹脂フィルム11を取り付けておき、送り出すためのものである。第2繰出機26の大きさや方式等には、特に制限はない。
【0036】
巻取機27は、積層・接着されたポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とからなる不織布積層体10を巻き取る。巻取機27の大きさや方式等には、特に制限はない。
スリッター28は、ロール30と巻取機27との間に配置され、不織布積層体10の巾を調整する。
【0037】
不織布積層体10は、次のような手順で得られる。まず、予め第1繰出機23にポリプロピレン不織布12を取り付けておき、第2繰出機26に熱可塑性樹脂フィルム11を取り付けておく。
第1繰出機23からポリプロピレン不織布12を送り出し、押圧ロール24と冷却ロール25との間に、挿通させる。
一方、第2繰出機26から熱可塑性樹脂フィルム11を送り出し、押圧ロール24と冷却ロール25との間に、挿通させる。
【0038】
ホッパ20にポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層・接着するための原料樹脂Aを入れる。この原料樹脂Aは、ポリプロピレン樹脂である。この原料樹脂Aを単軸押出機21内で、溶融してダイ22に押し出す。ダイ22は、原料樹脂Aをフィルム状にして、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11との間に押出す。
【0039】
間に原料樹脂Aが押し出されたポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11は、押圧ロール24と冷却ロール25との間を挿通する。押圧ロール24は、ポリプロピレン不織布12側より押圧してポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを原料樹脂Aにより十分に密着させる。冷却ロール25は、冷却する機能を作動しており、原料樹脂Aを冷却固化させる。そして、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを原料樹脂Aにより、確実に接着して、積層が完了する。
【0040】
ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層・接着して、不織布積層体10となる。不織布積層体10は、冷却ロール25を回り込み、ロール30との間を挿通する。スリッター28により、不織布積層体10の巾を調整後、不織布積層体10は、巻取機27に巻かれる。
【0041】
本実施形態に係る不織布積層体10は、空気の存在下で発熱する発熱体を収納する発熱体収納袋の包材として用いられる。具体的には、図3に示されるように、使い捨てカイロ1の包材として用いられる。
【0042】
この使い捨てカイロ1は、スリットされた不織布積層体10を2枚貼り合わされるようダイロール(図示せず)に投入され、内部に発熱体17を収納、その後カットされて袋状物を得る。なお、使い捨てカイロ1は、熱可塑性樹脂フィルム11同士が向き合うように、不織布積層体10を2枚貼り合わせたものである。不織布積層体10の各辺は、ヒートシールされてヒートシール部13、14、15、16となる。
【0043】
使い捨てカイロ1の製造手順としては、ダイロール方式の自動充填製袋機にて、熱可塑性樹脂フィルム11同士が向き合うように、不織布積層体10を2枚貼り合わせる。発熱体17を不織布積層体10中に充填しながら、各ヒートシール部13、14、15、16が形成される。なお、発熱体17は、鉄粉、無機塩等であり、空気の存在下で発熱する。
【0044】
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)不織布積層体10は、JIS−L1096に準拠した方法で測定したMD方向の10%モジュラスが65N/50mm以上であることにより、ダイロール等で製袋時にテンションがかかっても使い捨てカイロ1がMD方向に大きく伸びることはない。従って、ヒートシール部13、14、15、16、特にMD方向のヒートシール部14、15にシワが発生したりすることがない。また、使い捨てカイロ1を製造した後、使い捨てカイロ1に収納する発熱体17等の熱によっても、軟化することもない。従って、軟化する等の不具合が生じることがなく、発熱体17を収納する使い捨てカイロ1を製造する際の外観上の仕上がりがよい不織布積層体10とすることができる。
【0045】
(2)ポリプロピレン不織布12の製造方法としては、スパンボンド法を採用していることにより、連続長繊維とすることができ、柔軟性、強度に優れた不織布積層体10とすることができる。さらに、スパンボンド法は生産性にも優れているので、製造コストの削減をすることができる。
【0046】
(3)原料樹脂Aおよび熱可塑性樹脂フィルム11が、ポリプロピレン樹脂であることにより、ポリプロピレン不織布12等と分別を考慮する必要がないので、より一層リサイクルする際の作業の簡略化を図ることができる。
【0047】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。例えば、ポリプロピレン不織布12のポリプロピレン系樹脂としては、前記実施形態では、ホモポリプロピレン(HPP)を採用していたが、ランダムポリプロピレン(RPP)等を採用してもよい。
【0048】
ポリプロピレン不織布12の製造方法としては、スパンボンド法を採用していたが、これに限られず、カード法、メルトブロー法等、汎用的に用いられている方法を採用してもよい。
【0049】
熱可塑性樹脂フィルム11の熱可塑性樹脂としては、ホモポリプロピレンを採用していたが、これに限られず、他のポリオレフィン系樹脂等を採用してもよい。例えば、ポリエチレン系樹脂(PE)、ポリプロピレン系樹脂(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、ランダムポリプロピレン等が挙げられる。
【0050】
熱可塑性樹脂フィルム11は、単層構造であったがこれに限られず、上記樹脂や製造方法をかえたものの多層構造やブレンド品であってもよい。
熱可塑性樹脂フィルム11の製造方法としては、インフレーション法、キャスト法等、汎用的な方法で予め、フィルムの形態に製造する方法を採用していたが、これに限られず、ポリプロピレン不織布12上に、熱可塑性樹脂を直接押し出す、押し出しラミネート法により、製造してもよい。
【0051】
ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11との積層方法としては、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とをポリサンドラミネートにより積層する方法を採用していたが、これに限られず、ドライラミネート法等のように接着材、粘着材等を用いて接着・積層する方法でもよい。さらに、ポリプロピレン不織布12上に、上記熱可塑性樹脂を直接押し出すことによる押し出しラミネート法により、積層してもよい。
【0052】
ホッパ20にポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層・接着するための原料樹脂Aを入れる。この原料樹脂Aは、前記実施形態では、ポリプロピレン樹脂であったが、ポリエチレン等、他のポリオレフィン系樹脂を使用してもよい。
【0053】
使い捨てカイロ1は、スリットされた不織布積層体10を2枚貼り合わせるようにして構成されていたが、これに限られず、1枚の不織布積層体10を半折りにして構成されたものでもよい。
また、不織布積層体10は、使い捨てカイロ1の包材として用いられたが、これに限られず、温シップ、発熱シップ、エステ用発熱シート等の用途に用いてもよい。
その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
【0054】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
【0055】
[実施例1]
前記実施形態において、具体的条件を下記の通りとして不織布積層体10を製造した。
ポリプロピレン不織布12は、ポリプロピレンスパンボンド不織布(出光ユニテック(株)製 商品名 ストラテック(RW6040))である。ポリプロピレン不織布12の目付は、40g/m2である。ポリプロピレン不織布12自体のMD方向の10%モジュラスは、38N/50mmである。
【0056】
熱可塑性樹脂フィルム11は、共押し出しポリプロピレンフィルム(出光ユニテック(株)製 商品名 ユニラックス(RS595C))である。熱可塑性樹脂フィルム11の厚さは、20μmである。
【0057】
ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層する際に用いる原料樹脂Aは、ポリプロピレン樹脂(出光石油化学(株)製 商品名 Idemitsu PP Y6005GM)である。原料樹脂A(ポリプロピレン樹脂)のメルトインデックスは60g/10分(230℃)である。
【0058】
以上の原料を用いて、ポリサンドラミネートによりポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層して、不織布積層体10を得た。不織布積層体10のMD方向の10%モジュラスは、80N/50mmである。
【0059】
[実施例2]
ポリプロピレン不織布12は、実施例1と同様のものを使用した。
【0060】
熱可塑性樹脂フィルム11は、共押し出しポリエチレンフィルム(出光ユニテック(株)製 商品名 ユニラックス(RS740C))である。熱可塑性樹脂フィルム11の厚さは、30μmである。
【0061】
原料樹脂Aは、ポリエチレン樹脂(東ソー(株)製 商品名 ペトロセン(203))である。原料樹脂A(ポリエチレン樹脂)のメルトインデックスは8g/10分(190℃)である。
【0062】
以上の原料を用いて、ポリサンドラミネートによりポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層して、不織布積層体10を得た。不織布積層体10のMD方向の10%モジュラスは、70N/50mmである。
【0063】
[比較例1]
ポリプロピレン不織布12は、ポリプロピレンスパンボンド不織布(出光ユニテック(株)製 商品名 ストラテック(RW2040))である。ポリプロピレン不織布12の目付は、40g/m2である。ポリプロピレン不織布12自体のMD方向の10%モジュラスは、22N/50mmである。
【0064】
熱可塑性樹脂フィルム11と原料樹脂Aは実施例1と同様のものを用いた。以上の原料を用いて、ポリサンドラミネートによりポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層して、不織布積層体10を得た。不織布積層体10のMD方向の10%モジュラスは、62N/50mmである。
【0065】
[比較例2]
ポリプロピレン不織布12は、比較例1と同様のものを用いた。 熱可塑性樹脂フィルム11と原料樹脂Aは実施例2と同様のものを用いた。以上の原料を用いて、ポリサンドラミネートによりポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層して、不織布積層体10を得た。不織布積層体10のMD方向の10%モジュラスは、48N/50mmである。
【0066】
なお、MD方向とは、ポリプロピレン不織布12や不織布積層体10を製造する際のポリプロピレン不織布12等の送り出し方向のことをいう。また、ポリプロピレン不織布12や不織布積層体10の10%モジュラスは、JIS−L1096に準拠した方法で測定した。さらにメルトインデックスはJIS−K7210に準拠した方法で測定した。
【0067】
[評価結果]
以上、実施例1、2および比較例1、2で得られた不織布積層体10を用い、発熱体を収納するための発熱体収納袋を製造した。
なお、この発熱体収納袋を製造するにあたって、東陽機械製作所(株)製のダイロール式連包タイプの四方シール充填機を用い、四方がシールされた2枚の不織布積層体10からなる横10cm×縦13cmの発熱体収納袋を得た。ダイロールの温度は、130℃であった。
【0068】
以上のようにして得られた発熱体収納袋をヒートシールしたシール強度、シール部外観、シール部伸び率の点で評価した。評価結果を表1に示す。
シール強度については、引張り試験機により引張速度200mm/分にて、180度剥離(T−剥離)にて測定した。
【0069】
シール部外観については、○は、ヒートシールした部分にシワがなく、ヒートシールされていない部分との境界線が略直線状である。△は、ヒートシールした部分にシワは目立たないが、ヒートシールされていない部分との境界線が波打っている。×は、ヒートシールした部分が波打って、シワになっていることを示している。
【0070】
シール部伸び率については、ヒートシールした部分とヒートシールしていない部分との長さより測定した。シール部伸び率が大きい場合、ヒートシールした部分が伸びていることになる。
【0071】
【表1】
【0072】
以上、表1に示されるように、シール強度については、実施例1、2および比較例1、2の全ての場合において、1kg/15mm巾以上あった。
シール部外観については、実施例1、2では問題なかったが、比較例1、2では、ヒートシールした部分でシワ等が発生しており、発熱体収納袋として実用性に劣るものとなった。
シール部伸び率については、実施例1、2では、4%以下で問題がなかったが、比較例1、2では4%以上となり、外観上にも問題があった。
【0073】
以上の実施例1、2のように、熱可塑性樹脂フィルム11の材質がポリプロピレン、ポリエチレンであるとにかかわらず、不織布積層体10として、MD方向(袋の製造時の送り出し方向)の10%モジュラスが65N/50mm以上あれば、ヒートシールした部分が延ばされることがなく、良好な外観を持つ発熱体収納袋が製造できることがわかった。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、JIS−L1096に準拠した方法で測定したMD方向の10%モジュラスが65N/50mm以上であることにより、ダイロール等で製袋時にテンションがかかっても積層体がMD方向に大きく伸びることはない。従って、ヒートシールした部分にシワが発生したりすることがない。
また、袋を製造した後、袋に収納する発熱体等の熱によっても、軟化することもない。従って、軟化する等の不具合が生じることがなく、発熱体を収納する袋を製造する際の外観上の仕上がりがよい不織布積層体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の不織布積層体を示す斜視図である。
【図2】図1の実施形態における不織布積層体の製造装置を示す概略図である。
【図3】図1の実施形態における使い捨てカイロを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 使い捨てカイロ
10 不織布積層体
11 熱可塑性樹脂フィルム
12 ポリプロピレン不織布
17 発熱体
【発明の属する技術分野】
本発明は、不織布積層体に関する。詳しくは、空気の存在下で発熱する発熱体を収納する発熱体用袋等に用いられる不織布積層体に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、空気の存在下で発熱する発熱体を収納する発熱体用包材として、ナイロン不織布を備える積層体、レーヨン不織布を備える積層体等が用いられてきた。これらの積層体は、耐熱温度が高いものである。さらに、積層体に用いる不織布として、上記の不織布の他にも、高い生産性と低コストの観点より、ポリオレフィン系樹脂からなる不織布を用いようとする試みがなされている。このポリオレフィン系樹脂のうち、汎用的に製造できることから、ポリプロピレン系樹脂を用いることが提案されている。
【0003】
しかしながら、ポリプロピレン不織布は、上記ナイロン不織布等と比較して、耐熱性がない。そのため、ポリプロピレン不織布を用いて発熱体を収容する袋を製造する際に、ダイロール等で不織布にテンションをかけてヒートシールして製袋すると、ヒートシールにより接着した部分にシワが発生する等して、外観不良を起こし、実用化には至っていない。
上記問題を解決するために、ポリプロピレン不織布と、特殊な触媒で製造されたポリオレフィンフィルムとを積層する方法(特許文献1参照)や、熱可塑性樹脂の不織布と、熱可塑性樹脂フィルムとを、融点差や融点によって設定して積層する方法(特許文献2参照)等の技術が提案されている。これら上記公報記載の技術では、袋状にしてヒートシールする際に、融点の低いフィルムを用いた場合には、低温でヒートシールすることができ、シワ等が発生することもなく外観上問題のない袋を製造することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−56894号公報 (第1頁)
【特許文献2】
特公平05−56910号公報 (第1頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この袋が収納するものは、熱を発する発熱体である。そのため、袋の包材に融点の低いフィルムを用いると、発熱体が発熱した場合に、フィルムが軟化する等の不具合が生じてしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、軟化する等の不具合が生じることがなく、発熱体を収納する袋を製造する際の外観上の仕上がりがよい不織布積層体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の好ましい性質を有する不織布積層体を開発すべく、鋭意検討を重ねた結果、ポリプロピレン不織布を備えた不織布積層体での製袋時の不具合が、ダイロール等で不織布にテンションをかけてヒートシールして製袋すると、ヒートシールした部分にシワが発生することに起因することから、特定の引っ張り特性を有する不織布積層体であれば、前記したシワの発生を防止できることを見いだした。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明の不織布積層体は、ポリプロピレン不織布と、熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルムとを積層してなり、MD方向の10%モジュラスが65N/50mm以上であることを特徴とする。
ここで、MD方向とは、不織布積層体を製造する際の不織布積層体の送り出し方向のことをいう。MD方向の10%モジュラスは、JIS−L1096に準拠した方法で測定した値であり、好ましくは、70N/50mm以上である。
【0009】
ここで、ポリプロピレン不織布のポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)等が挙げられ、この中でも、耐熱性が高いことから、ホモポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレン不織布の製造方法としては、スパンボンド法、カード法、メルトブロー法等、汎用的に用いられている方法が挙げられる。
【0010】
ポリプロピレン不織布の目付としては、5〜100g/m2が好ましく、より好ましくは20〜50g/m2である。この目付が5g/m2未満であると、ポリプロピレン不織布の風合いが悪くなる場合がある。この目付が100g/m2を越えると、ポリプロピレン不織布が固くなり、人の肌に触れる用途に適さない場合がある。
【0011】
ポリプロピレン不織布の繊維径としては、2〜20デニールであることが好ましい。ここで、デニールとは、合成繊維等の長繊維の太さを表す単位をいい、記号はdである。長さ9000mの糸の重さが1gであるときを1デニールの太さという。したがって長さ9000mの糸の重さをグラム数で表したものがデニールになる。
ポリプロピレン不織布の繊維径が2デニール未満であると、不織布表面のケバが発生し易くなる。この繊維径が20デニールを越えると、不織布の風合いが劣る場合がある。
【0012】
ここで、熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂は、ヒートシール性があればよい。そして、この熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン不織布より融点が低い熱可塑性樹脂であるか、ポリプロピレン不織布の融点より低い温度でヒートシール性能を発現するように樹脂をブレンドしたものでもよい。そして、袋状に加工する際に、発熱体を収納する場合があるので、この熱可塑性樹脂の融点は、60℃以上のものであることが好ましい。
【0013】
具体的には、この熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ここで、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(PE)、ポリプロピレン系樹脂(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等が挙げられる。これらポリオレフィン系樹脂の中でも、ポリプロピレン不織布との積層時の接着性を考慮すると、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂が好ましい。
なお、熱可塑性樹脂フィルムは、単層構造のみならず、上記樹脂や製造方法をかえたものの多層構造としてもよい。
【0014】
熱可塑性樹脂フィルムの製造方法としては、インフレーション法、キャスト法等、汎用的な方法で予め、フィルムの形態に製造してもよく、ポリプロピレン不織布上に、上記熱可塑性樹脂を直接押し出す、押し出しラミネート法により、製造してもよい。
上記した熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の中でも、ヒートシールにより、発熱体を収納する袋を製造するので、ヒートシールのし易さの観点より、融点差を有する多層フィルムの形態に製造する方法が好ましい。
【0015】
熱可塑性樹脂フィルムの厚みとしては、10〜100μmが好ましく、より好ましくは、20〜60μmである。熱可塑性樹脂フィルムの厚みが10μm未満であると、ヒートシールした際のシール強度が発現しない場合がある。また、熱可塑性樹脂フィルムの厚みが100μmを超えると、不織布積層体が固くなり、肌触り等が悪くなる場合がある。
【0016】
ポリプロピレン不織布と熱可塑性樹脂フィルムとの積層方法としては、特に制限はなく、積層した際に強度が確保できるものであればよい。ポリプロピレン不織布と熱可塑性樹脂フィルムとをポリサンドラミネートにより積層する方法や、ドライラミネート法等のように接着材、粘着材等を用いて接着・積層する方法でもよい。さらに、上記したように、ポリプロピレン不織布上に、上記熱可塑性樹脂を直接押し出す、押し出しラミネート法により、積層してもよい。
【0017】
このような本発明によれば、JIS−L1096に準拠した方法で測定したMD方向の10%モジュラスが65N/50mm以上であることにより、ダイロール等で製袋時にテンションがかかっても積層体がMD方向に大きく伸びることはない。従って、ヒートシールした部分にシワが発生したりすることがない。
また、袋を製造した後、袋に収納する発熱体等の熱によっても、軟化することもない。従って、軟化する等の不具合が生じることがなく、発熱体を収納する袋を製造する際の外観上の仕上がりがよい不織布積層体とすることができる。
【0018】
本発明の不織布積層体では、前記ポリプロピレン不織布が、スパンボンド不織布であることが好ましい。
ここで、スパンボンド法は、不織布を構成するウェブを形成する方法であり、公知のスパンボンド法を採用できる。スパンボンド法により製造された不織布は、連続長繊維からなるので、柔軟性、強度に優れた不織布積層体とすることができる。さらに、スパンボンド法は生産性にも優れているので、製造コストの削減をすることができる。
【0019】
本発明の不織布積層体では、前記積層の方法は、ポリサンドラミネートであることが好ましい。
ここで、ポリサンドラミネートとは、積層する不織布やフィルムの間に溶融した樹脂を流し込んで、この溶融した樹脂が接着剤のような働きをして接着・積層する方法である。この溶融した樹脂としては、積層させる不織布等を接着させるものであればよく、接着性を向上させる観点から、不織布等と同様の樹脂であることが望ましい。例えば、ポリプロピレン不織布と、ポリプロピレン系樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルムとの組合わせの場合には、ポリプロピレンが好適である。
【0020】
このように不織布等と略同様の樹脂を用いることにより、リサイクルする際に、該溶融した樹脂を不織布等と異種の材料として分別する必要がない。従って、リサイクルする際の作業の簡略化を図ることができる。
【0021】
本発明の不織布積層体では、空気の存在下で発熱する発熱体を収納する発熱体収納袋の包材として用いられることが好ましい。例えば、前記発熱体収納袋としては、使い捨てカイロが挙げられる。
ここで、発熱体としては、例えば、使い捨てカイロ等の内部に収納されている鉄粉、無機塩等、空気との反応によって発熱するもの等が挙げられる。
【0022】
本発明の不織布積層体は、前述したものと同様の作用・効果を得ることができるので、発熱体が発熱した場合でも、不織布積層体が軟化することもない。従って、外観上の仕上がりがよいので、発熱体収納袋の包材として好適である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る不織布積層体10が示されている。図2には、本発明の一実施形態に係る不織布積層体10の製造装置5が示されている。図3には、本発明の一実施形態に係る使い捨てカイロ1が示されている。
【0024】
不織布積層体10は、JIS−L1096に準拠した方法で測定したMD方向の10%モジュラスが65N/50mm以上であり、ポリプロピレン不織布12と、熱可塑性樹脂フィルム11とを備えて構成されている。
ポリプロピレン不織布12は、耐熱性が高いことから、ホモポリプロピレンを採用している。ポリプロピレン不織布12の製造方法としては、スパンボンド法を採用している。
【0025】
ポリプロピレン不織布12の目付としては、5〜100g/m2程度であり、好ましくは20〜50g/m2である。この目付が5g/m2未満であると、ポリプロピレン不織布12の風合いが悪くなる場合がある。この目付が100g/m2を越えると、ポリプロピレン不織布12が固くなり、人の肌に触れる用途に適さない場合がある。
【0026】
ポリプロピレン不織布12の繊維径としては、2〜20デニール程度である。ポリプロピレン不織布12の繊維径が2デニール未満であると、ポリプロピレン不織布12表面のケバが発生し易くなる。この繊維径が20デニールを越えると、ポリプロピレン不織布12の風合いが劣る場合がある。
【0027】
ここで、MD方向とは、ポリプロピレン不織布12や不織布積層体10を製造する際のポリプロピレン不織布12等の移動方向のことをいう。また、ポリプロピレン不織布12や不織布積層体10の10%モジュラスは、JIS−L1096に準拠した方法で測定している。
【0028】
熱可塑性樹脂フィルム11の熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂組成物からなる多層構造のフィルムを採用している。
熱可塑性樹脂フィルム11の製造方法としては、インフレーション法、キャスト法等、汎用的な方法で予め、フィルムの形態に製造する方法が挙げられる。
【0029】
熱可塑性樹脂フィルム11の厚みとしては、10〜100μm程度であり、好ましくは、20〜60μmである。熱可塑性樹脂フィルム11の厚みが10μm未満であると、ヒートシールした際のシール強度が発現しない場合がある。また、熱可塑性樹脂フィルム11の厚みが100μmを超えると、不織布積層体10が固くなり、肌触り等が悪くなる場合がある。
【0030】
ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11との積層方法としては、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とをポリサンドラミネートにより積層する方法を採用している。
【0031】
次に、不織布積層体10をポリサンドラミネートにより製造するための製造装置5について説明する。
製造装置5は、図2に示されるように、ホッパ20と、単軸押出機21と、ダイ22と、第1繰出機23と、押圧ロール24と、冷却ロール25と、第2繰出機26と、巻取機27と、スリッター28と、ロール30とを備えて構成されている。
【0032】
ホッパ20は、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層・接着するための原料樹脂を入れるものであり、下側にいくに従ってテーパ状の傾斜を持つ公知のホッパである。
単軸押出機21は、原料樹脂を溶融押し出しするものであり、内部に樹脂を溶融押し出しするためのスクリューを備える公知の単軸押出機であり、ホッパ20と接続されている。
【0033】
ダイ22は、単軸押出機21と接続され、単軸押出機21からの溶融押し出しされた原料樹脂Aをフィルム状にして、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11との間に原料樹脂Aを押出す。ダイ22は、例えば、Tダイ等であり、このTダイとしては、ストレイト・マニホールド型やコート・バンガー型あるいはこれらを組み合わせたもの等を使用できる。
【0034】
第1繰出機23は、ポリプロピレン不織布12を取り付けておき、送り出すためのものである。第1繰出機23の大きさや方式等には、特に制限はない。
押圧ロール24は、冷却ロール25との間に挿通されるポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを押圧する。押圧ロール24の材質は、特に制限はないが、押圧ロール24の表面は、ゴム等の弾性部材で構成されているものが好ましい。
【0035】
冷却ロール25は、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11を冷却するものであり、水冷式、空冷式等の冷却ロールを採用できる。
第2繰出機26は、熱可塑性樹脂フィルム11を取り付けておき、送り出すためのものである。第2繰出機26の大きさや方式等には、特に制限はない。
【0036】
巻取機27は、積層・接着されたポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とからなる不織布積層体10を巻き取る。巻取機27の大きさや方式等には、特に制限はない。
スリッター28は、ロール30と巻取機27との間に配置され、不織布積層体10の巾を調整する。
【0037】
不織布積層体10は、次のような手順で得られる。まず、予め第1繰出機23にポリプロピレン不織布12を取り付けておき、第2繰出機26に熱可塑性樹脂フィルム11を取り付けておく。
第1繰出機23からポリプロピレン不織布12を送り出し、押圧ロール24と冷却ロール25との間に、挿通させる。
一方、第2繰出機26から熱可塑性樹脂フィルム11を送り出し、押圧ロール24と冷却ロール25との間に、挿通させる。
【0038】
ホッパ20にポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層・接着するための原料樹脂Aを入れる。この原料樹脂Aは、ポリプロピレン樹脂である。この原料樹脂Aを単軸押出機21内で、溶融してダイ22に押し出す。ダイ22は、原料樹脂Aをフィルム状にして、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11との間に押出す。
【0039】
間に原料樹脂Aが押し出されたポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11は、押圧ロール24と冷却ロール25との間を挿通する。押圧ロール24は、ポリプロピレン不織布12側より押圧してポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを原料樹脂Aにより十分に密着させる。冷却ロール25は、冷却する機能を作動しており、原料樹脂Aを冷却固化させる。そして、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを原料樹脂Aにより、確実に接着して、積層が完了する。
【0040】
ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層・接着して、不織布積層体10となる。不織布積層体10は、冷却ロール25を回り込み、ロール30との間を挿通する。スリッター28により、不織布積層体10の巾を調整後、不織布積層体10は、巻取機27に巻かれる。
【0041】
本実施形態に係る不織布積層体10は、空気の存在下で発熱する発熱体を収納する発熱体収納袋の包材として用いられる。具体的には、図3に示されるように、使い捨てカイロ1の包材として用いられる。
【0042】
この使い捨てカイロ1は、スリットされた不織布積層体10を2枚貼り合わされるようダイロール(図示せず)に投入され、内部に発熱体17を収納、その後カットされて袋状物を得る。なお、使い捨てカイロ1は、熱可塑性樹脂フィルム11同士が向き合うように、不織布積層体10を2枚貼り合わせたものである。不織布積層体10の各辺は、ヒートシールされてヒートシール部13、14、15、16となる。
【0043】
使い捨てカイロ1の製造手順としては、ダイロール方式の自動充填製袋機にて、熱可塑性樹脂フィルム11同士が向き合うように、不織布積層体10を2枚貼り合わせる。発熱体17を不織布積層体10中に充填しながら、各ヒートシール部13、14、15、16が形成される。なお、発熱体17は、鉄粉、無機塩等であり、空気の存在下で発熱する。
【0044】
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)不織布積層体10は、JIS−L1096に準拠した方法で測定したMD方向の10%モジュラスが65N/50mm以上であることにより、ダイロール等で製袋時にテンションがかかっても使い捨てカイロ1がMD方向に大きく伸びることはない。従って、ヒートシール部13、14、15、16、特にMD方向のヒートシール部14、15にシワが発生したりすることがない。また、使い捨てカイロ1を製造した後、使い捨てカイロ1に収納する発熱体17等の熱によっても、軟化することもない。従って、軟化する等の不具合が生じることがなく、発熱体17を収納する使い捨てカイロ1を製造する際の外観上の仕上がりがよい不織布積層体10とすることができる。
【0045】
(2)ポリプロピレン不織布12の製造方法としては、スパンボンド法を採用していることにより、連続長繊維とすることができ、柔軟性、強度に優れた不織布積層体10とすることができる。さらに、スパンボンド法は生産性にも優れているので、製造コストの削減をすることができる。
【0046】
(3)原料樹脂Aおよび熱可塑性樹脂フィルム11が、ポリプロピレン樹脂であることにより、ポリプロピレン不織布12等と分別を考慮する必要がないので、より一層リサイクルする際の作業の簡略化を図ることができる。
【0047】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。例えば、ポリプロピレン不織布12のポリプロピレン系樹脂としては、前記実施形態では、ホモポリプロピレン(HPP)を採用していたが、ランダムポリプロピレン(RPP)等を採用してもよい。
【0048】
ポリプロピレン不織布12の製造方法としては、スパンボンド法を採用していたが、これに限られず、カード法、メルトブロー法等、汎用的に用いられている方法を採用してもよい。
【0049】
熱可塑性樹脂フィルム11の熱可塑性樹脂としては、ホモポリプロピレンを採用していたが、これに限られず、他のポリオレフィン系樹脂等を採用してもよい。例えば、ポリエチレン系樹脂(PE)、ポリプロピレン系樹脂(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、ランダムポリプロピレン等が挙げられる。
【0050】
熱可塑性樹脂フィルム11は、単層構造であったがこれに限られず、上記樹脂や製造方法をかえたものの多層構造やブレンド品であってもよい。
熱可塑性樹脂フィルム11の製造方法としては、インフレーション法、キャスト法等、汎用的な方法で予め、フィルムの形態に製造する方法を採用していたが、これに限られず、ポリプロピレン不織布12上に、熱可塑性樹脂を直接押し出す、押し出しラミネート法により、製造してもよい。
【0051】
ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11との積層方法としては、ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とをポリサンドラミネートにより積層する方法を採用していたが、これに限られず、ドライラミネート法等のように接着材、粘着材等を用いて接着・積層する方法でもよい。さらに、ポリプロピレン不織布12上に、上記熱可塑性樹脂を直接押し出すことによる押し出しラミネート法により、積層してもよい。
【0052】
ホッパ20にポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層・接着するための原料樹脂Aを入れる。この原料樹脂Aは、前記実施形態では、ポリプロピレン樹脂であったが、ポリエチレン等、他のポリオレフィン系樹脂を使用してもよい。
【0053】
使い捨てカイロ1は、スリットされた不織布積層体10を2枚貼り合わせるようにして構成されていたが、これに限られず、1枚の不織布積層体10を半折りにして構成されたものでもよい。
また、不織布積層体10は、使い捨てカイロ1の包材として用いられたが、これに限られず、温シップ、発熱シップ、エステ用発熱シート等の用途に用いてもよい。
その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
【0054】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
【0055】
[実施例1]
前記実施形態において、具体的条件を下記の通りとして不織布積層体10を製造した。
ポリプロピレン不織布12は、ポリプロピレンスパンボンド不織布(出光ユニテック(株)製 商品名 ストラテック(RW6040))である。ポリプロピレン不織布12の目付は、40g/m2である。ポリプロピレン不織布12自体のMD方向の10%モジュラスは、38N/50mmである。
【0056】
熱可塑性樹脂フィルム11は、共押し出しポリプロピレンフィルム(出光ユニテック(株)製 商品名 ユニラックス(RS595C))である。熱可塑性樹脂フィルム11の厚さは、20μmである。
【0057】
ポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層する際に用いる原料樹脂Aは、ポリプロピレン樹脂(出光石油化学(株)製 商品名 Idemitsu PP Y6005GM)である。原料樹脂A(ポリプロピレン樹脂)のメルトインデックスは60g/10分(230℃)である。
【0058】
以上の原料を用いて、ポリサンドラミネートによりポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層して、不織布積層体10を得た。不織布積層体10のMD方向の10%モジュラスは、80N/50mmである。
【0059】
[実施例2]
ポリプロピレン不織布12は、実施例1と同様のものを使用した。
【0060】
熱可塑性樹脂フィルム11は、共押し出しポリエチレンフィルム(出光ユニテック(株)製 商品名 ユニラックス(RS740C))である。熱可塑性樹脂フィルム11の厚さは、30μmである。
【0061】
原料樹脂Aは、ポリエチレン樹脂(東ソー(株)製 商品名 ペトロセン(203))である。原料樹脂A(ポリエチレン樹脂)のメルトインデックスは8g/10分(190℃)である。
【0062】
以上の原料を用いて、ポリサンドラミネートによりポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層して、不織布積層体10を得た。不織布積層体10のMD方向の10%モジュラスは、70N/50mmである。
【0063】
[比較例1]
ポリプロピレン不織布12は、ポリプロピレンスパンボンド不織布(出光ユニテック(株)製 商品名 ストラテック(RW2040))である。ポリプロピレン不織布12の目付は、40g/m2である。ポリプロピレン不織布12自体のMD方向の10%モジュラスは、22N/50mmである。
【0064】
熱可塑性樹脂フィルム11と原料樹脂Aは実施例1と同様のものを用いた。以上の原料を用いて、ポリサンドラミネートによりポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層して、不織布積層体10を得た。不織布積層体10のMD方向の10%モジュラスは、62N/50mmである。
【0065】
[比較例2]
ポリプロピレン不織布12は、比較例1と同様のものを用いた。 熱可塑性樹脂フィルム11と原料樹脂Aは実施例2と同様のものを用いた。以上の原料を用いて、ポリサンドラミネートによりポリプロピレン不織布12と熱可塑性樹脂フィルム11とを積層して、不織布積層体10を得た。不織布積層体10のMD方向の10%モジュラスは、48N/50mmである。
【0066】
なお、MD方向とは、ポリプロピレン不織布12や不織布積層体10を製造する際のポリプロピレン不織布12等の送り出し方向のことをいう。また、ポリプロピレン不織布12や不織布積層体10の10%モジュラスは、JIS−L1096に準拠した方法で測定した。さらにメルトインデックスはJIS−K7210に準拠した方法で測定した。
【0067】
[評価結果]
以上、実施例1、2および比較例1、2で得られた不織布積層体10を用い、発熱体を収納するための発熱体収納袋を製造した。
なお、この発熱体収納袋を製造するにあたって、東陽機械製作所(株)製のダイロール式連包タイプの四方シール充填機を用い、四方がシールされた2枚の不織布積層体10からなる横10cm×縦13cmの発熱体収納袋を得た。ダイロールの温度は、130℃であった。
【0068】
以上のようにして得られた発熱体収納袋をヒートシールしたシール強度、シール部外観、シール部伸び率の点で評価した。評価結果を表1に示す。
シール強度については、引張り試験機により引張速度200mm/分にて、180度剥離(T−剥離)にて測定した。
【0069】
シール部外観については、○は、ヒートシールした部分にシワがなく、ヒートシールされていない部分との境界線が略直線状である。△は、ヒートシールした部分にシワは目立たないが、ヒートシールされていない部分との境界線が波打っている。×は、ヒートシールした部分が波打って、シワになっていることを示している。
【0070】
シール部伸び率については、ヒートシールした部分とヒートシールしていない部分との長さより測定した。シール部伸び率が大きい場合、ヒートシールした部分が伸びていることになる。
【0071】
【表1】
【0072】
以上、表1に示されるように、シール強度については、実施例1、2および比較例1、2の全ての場合において、1kg/15mm巾以上あった。
シール部外観については、実施例1、2では問題なかったが、比較例1、2では、ヒートシールした部分でシワ等が発生しており、発熱体収納袋として実用性に劣るものとなった。
シール部伸び率については、実施例1、2では、4%以下で問題がなかったが、比較例1、2では4%以上となり、外観上にも問題があった。
【0073】
以上の実施例1、2のように、熱可塑性樹脂フィルム11の材質がポリプロピレン、ポリエチレンであるとにかかわらず、不織布積層体10として、MD方向(袋の製造時の送り出し方向)の10%モジュラスが65N/50mm以上あれば、ヒートシールした部分が延ばされることがなく、良好な外観を持つ発熱体収納袋が製造できることがわかった。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、JIS−L1096に準拠した方法で測定したMD方向の10%モジュラスが65N/50mm以上であることにより、ダイロール等で製袋時にテンションがかかっても積層体がMD方向に大きく伸びることはない。従って、ヒートシールした部分にシワが発生したりすることがない。
また、袋を製造した後、袋に収納する発熱体等の熱によっても、軟化することもない。従って、軟化する等の不具合が生じることがなく、発熱体を収納する袋を製造する際の外観上の仕上がりがよい不織布積層体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の不織布積層体を示す斜視図である。
【図2】図1の実施形態における不織布積層体の製造装置を示す概略図である。
【図3】図1の実施形態における使い捨てカイロを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 使い捨てカイロ
10 不織布積層体
11 熱可塑性樹脂フィルム
12 ポリプロピレン不織布
17 発熱体
Claims (7)
- ポリプロピレン不織布と、熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルムとを積層してなり、
MD方向の10%モジュラスが65N/50mm以上であることを特徴とする不織布積層体。 - 請求項1に記載の不織布積層体において、
前記ポリプロピレン不織布が、スパンボンド不織布であることを特徴とする不織布積層体。 - 請求項1または請求項2に記載の不織布積層体において、
前記ポリプロピレン不織布の目付が、5〜100g/m2であることを特徴とする不織布積層体。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の不織布積層体において、
前記熱可塑性樹脂フィルムは、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなることを特徴とする不織布積層体。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の不織布積層体において、
前記積層の方法は、ポリサンドラミネートであることを特徴とする不織布積層体。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の不織布積層体において、
空気の存在下で発熱する発熱体を収納する発熱体収納袋の包材として用いられることを特徴とする不織布積層体。 - 請求項6に記載の不織布積層体において、
前記発熱体収納袋は、使い捨てカイロであることを特徴とする不織布積層体。
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