JP2004117834A - ミラーデバイス、光スイッチ、電子機器、ミラーデバイス駆動方法およびミラーデバイス製造方法 - Google Patents
ミラーデバイス、光スイッチ、電子機器、ミラーデバイス駆動方法およびミラーデバイス製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】より少ない駆動力でより高速に光路を切り替えることが可能で、より高い耐振動性を有し、かつ、光量減衰量を低減することが可能なミラーデバイス、光スイッチ、電子機器、ミラーデバイス駆動方法およびミラーデバイス製造方法を提供すること。
【解決手段】光を反射する凸部を有するミラー10aを有するミラー部10と、ミラー部10を支持する伸縮自在に形成されたヒンジ19と、ミラー部10の水平方向に設けられ、クーロン力を発生可能に形成され、クーロン力を発生することによってミラー部10およびヒンジ19を水平方向に吸引する吸引部11、12とを含んでミラーデバイスを構成し、吸引部11がクーロン力を調整することによってミラー部10の移動を制御する。
【選択図】 図3
【解決手段】光を反射する凸部を有するミラー10aを有するミラー部10と、ミラー部10を支持する伸縮自在に形成されたヒンジ19と、ミラー部10の水平方向に設けられ、クーロン力を発生可能に形成され、クーロン力を発生することによってミラー部10およびヒンジ19を水平方向に吸引する吸引部11、12とを含んでミラーデバイスを構成し、吸引部11がクーロン力を調整することによってミラー部10の移動を制御する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミラーデバイス、光スイッチ、電子機器、ミラーデバイス駆動方法およびミラーデバイス製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
光スイッチ等に用いられるミラーデバイスを駆動する場合、より高速にミラーを駆動することが課題となっている。
【0003】
従来の光スイッチは、例えば、非特許文献1の61ページの図4に記載されているように、ミラーをヒンジで支持し、静電アクチュエータて駆動する方式(方式1)、プレーナ光波回路(PLC)と熱光学効果の機構を用いる方式(方式2)、PLCと気泡生成による方式(方式3)等によって駆動されている。
【0004】
【非特許文献1】
「新部品「光スイッチ」が光と半導体の融合を促す」、日経エレクトロニクス、日経BP社、2001年8月13日、第802号、57〜
64ページ
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、方式1の場合、非特許文献1の63ページに記載されているように、高速スイッチングには向いていない。また、方式1の場合、耐振動性を高める等の目的でヒンジの強度を上げると、ミラーの駆動電圧が上がってしまう問題がある。
【0006】
また、方式2、3のような平面導波路型の場合、非特許文献1の64ページに記載されているように、振動や耐久性の面で有利であるが、信号(光量)の減衰量が大きくなると言われている。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、より少ない駆動力でより高速に光路を切り替えることが可能で、より高い耐振動性を有し、かつ、光量減衰量を低減することが可能なミラーデバイス、光スイッチ、電子機器、ミラーデバイス駆動方法およびミラーデバイス製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るミラーデバイスは、光を反射する少なくとも1つの凸部または凹部を有するミラーを有するミラー部と、
当該ミラー部を支持する伸縮自在に形成された支持部材と、
前記ミラー部の水平方向に設けられ、クーロン力を発生可能に形成され、クーロン力を発生することによって前記ミラー部および前記支持部材を水平方向に吸引する吸引部と、
を含み、
前記吸引部がクーロン力を調整することによって前記ミラー部の移動を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る光スイッチは、上記ミラーデバイスを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る電子機器は、上記ミラーデバイスを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るミラーデバイス駆動方法は、クーロン力を発生し、
光を反射するミラーを、前記クーロン力によって水平方向に移動し、
クーロン力を調整することによって前記ミラーの移動を制御することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るミラーデバイス製造方法は、電極基板と、クーロン力によって駆動するミラーを有するシリコン基板とを接合するミラーデバイス製造方法において、
エッチングまたはダイシングによって前記シリコン基板に少なくとも1つの凸部または凹部を形成し、
前記ミラーとして機能させるため、凸部または凹部が形成されたシリコン基板部分を、他のシリコン基板部分からエッチングによって切り離し、
当該他のシリコン基板部分の少なくとも一部に、前記電極基板に設けられた電極からの電気を供給するための配線を形成することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、ミラーデバイス等は、凸部または凹部によって光を反射するミラーを水平方向に移動させることによって高速に光路を切り替えることができる。しかも、ミラーデバイス等は、クーロン力を用いることにより、より少ない駆動力でミラーを駆動することができる。
【0014】
また、本発明によれば、ミラーデバイス等は、ミラーを回転駆動するのではなく、水平方向に移動することにより、ミラーを回転駆動する場合と比べ、より高い耐振動性を有する。
【0015】
さらに、本発明によれば、ミラーデバイス等は、導波路を透過させるのではなく、反射することによって光を出力することにより、導波路を透過させる場合と比べ、光量減衰量を低減することもできる。
【0016】
また、前記ミラーデバイス、前記光スイッチおよび前記電子機器において、前記ミラーは、当該ミラーの移動方向に設けられた複数の凸部または凹部を有してもよい。
【0017】
また、前記ミラーデバイス駆動方法において、前記ミラーは、当該ミラーの移動方向に設けられた複数の凸部または凹部を有し、
前記ミラーを水平方向に移動することによって光路を連続的に切り替えてもよい。
【0018】
また、前記ミラーデバイス製造方法において、前記凸部または前記凹部を形成する際に、前記ミラーの移動方向に複数の凸部または凹部を形成してもよい。
【0019】
これによれば、ミラーデバイス等は、ミラーの移動方向に複数の凸部または凹部が形成されていることにより、ミラーを移動することによってミラーへの光の入射位置に複数の凸部または凹部を連続的に通過させることができるため、光路を連続的に切り替えることができる。
【0020】
また、前記ミラーデバイス、前記光スイッチおよび前記電子機器において、前記ミラーおよび前記吸引部は、お互いの対向部分が相互に噛み合うように、当該対向部分が、凹凸状に形成されていてもよい。
【0021】
また、前記ミラーデバイス製造方法において、前記シリコン基板部分を切り離す際に、前記ミラーとして機能するシリコン基板部分と前記他のシリコン基板部分のお互いの対向部分が相互に噛み合うように、凹凸が形成されるように切り離してもよい。
【0022】
これによれば、ミラーデバイス等は、対向部分を凹凸状に形成することにより、対向部分を平面で形成する場合と比べ、対向面積が増え、より強いクーロン力を発生できるため、ミラーをより高速に駆動することができる。
【0023】
また、前記ミラーデバイス、前記光スイッチおよび前記電子機器において、前記ミラーの出力用の光の反射面の裏面に設けられた反射部へ向け測定用の光を投射する光投射部と、
前記反射部からの反射光を受光する受光部と、
当該受光部の受光量に基づき、前記クーロン力を調整するように前記電極を制御する制御部と、
を含んでもよい。
【0024】
また、前記ミラーデバイス駆動方法において、前記ミラーが設けられた面の裏面に設けられた反射部からの反射光を受光し、
当該受光量に基づき、前記クーロン力を調整してもよい。
【0025】
また、前記ミラーデバイス製造方法において、前記電極基板は、ガラス製基板であって、
前記電極は、ITOであって、
前記電極基板において、前記シリコン基板が接合される面と異なる面に、前記ミラーとして機能するシリコン基板部分へ向け測定用の光を投射する光投射部を形成し、
前記電極基板において、前記シリコン基板が接合される面と異なる面に、前記シリコン基板部分からの前記光投射部による投射光の反射光を受光する受光部を形成し、
前記電極基板に、当該受光部の受光量に基づき、前記クーロン力を調整するように前記電極を制御する制御部を形成してもよい。
【0026】
これによれば、ミラーデバイス等は、測定用の光の反射光を受光してミラーの位置を把握することができるため、ミラーの位置を調整することができる。また、この際に、ミラーデバイス等は、出力用の光ではなく、測定用の光を用いることにより、出力用の光を減衰させることなく、ミラーの位置を調整することができる。
【0027】
また、前記ミラーデバイス、前記光スイッチ、前記電子機器および前記ミラーデバイス駆動方法において、前記ミラーが設けられた面の方向から光を投射し、かつ、前記ミラーが設けられた面の裏面の方向から光を投射することによって光路の切り替えと光の減衰を同時に行ってもよい。
【0028】
これによれば、ミラーデバイス等は、光路の切り替えと光の減衰を同時に行うことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、ミラーデバイスに適用した場合を例に採り、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施形態に示す構成の全てが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0030】
(実施例)
図1は、本実施形態の一例に係る非駆動時のミラーデバイスの状態を示す平面図である。また、図2は、本実施形態の一例に係る駆動時のミラーデバイスの状態を示す平面図である。また、図3は、本実施形態の一例に係るミラーデバイスの断面の模式図である。
【0031】
本実施形態のミラーデバイスは、シリコン基板1と、電極基板として機能するガラス基板2とを陽極接合したものである。
【0032】
シリコン基板1は、突起状に形成されたミラー10aを有するミラー部10と、ミラー部10を支持する伸縮自在に形成された支持部材であるヒンジ19と、ヒンジ19の固定端を支持する支持部13と、ミラー部10の水平方向に設けられ、クーロン力を発生可能に形成され、クーロン力を発生することによってミラー部10およびヒンジ19を水平方向に吸引する吸引部11、12とを含んで構成されている。
【0033】
すなわち、図1に示す初期状態で、ミラーデバイスは、吸引部11に電圧を印加することにより、吸引部11とミラー部10およびヒンジ19との間にクーロン力を発生させ、図2に示すように、ミラー部10とヒンジ19を吸引部11方向に吸引することができる。
【0034】
また、本実施形態のミラーデバイスは、ガラス基板2の外側に、ミラー10aの方向へ向け測定用の光を投射する光投射部31と、ミラー部10においてミラー10aの裏面に設けられた反射部からの測定用の光の反射光を受光する受光部32と、受光部32の受光量に基づき、クーロン力を調整するように吸引部11、12への印加電圧を制御するとともに、光投射部31の投射を制御する制御部33とを含んで構成されている。
【0035】
さらに、光投射部31からの光が透過するガラス基板2上には、円形の開口部を有する遮光部21が設けられている。
【0036】
また、図3に示すように、ミラー部10は、反射光を発生する反射部分が光投射部31からの投射光の光軸に対して傾きをもって形成されている。また、当該反射光を受光できるように、受光部32は、光投射部31とは異なる位置に設けられている。
【0037】
なお、このようなミラーデバイスを実現するための材料としては、例えば、以下のものを適用できる。
【0038】
例えば、シリコン基板1としては、例えば、シリコンにボロン原子をドープして導電性を付与したもの等を用い、ガラス基板2としては、例えば、ホウケイ酸ナトリウムガラス等を用い、ミラー部10、吸引部11、12、支持部13およびヒンジ19としては、例えば、シリコン基板1と同材料であってもよく、別の材料であってもよい。
【0039】
また、ガラス基板2上に、例えば、ITO等の透明電極を設け、当該透明電極から吸引部11、12に電気を供給してもよい。また、遮光部21としては、例えば、クロム、金等を用いてもよい。
【0040】
また、光投射部31は、例えば、レーザーダイオード、LED(発光ダイオード)等を用いて実現でき、コリメートレンズや回折格子を用いてレーザーダイオード等からの光を平行光に変換してもよい。また、受光部32としては、例えば、フォトダイオード等を用いてもよく、制御部33としては、例えば、制御用の回路等を用いてもよい。
【0041】
また、図1に示すように、ヒンジ19は、シリコン製であるため、細長く形成することにより、伸縮性を持たせている。これにより、吸引部11側に吸引される場合にはヒンジ19が伸び、吸引部11側から離れる場合にはヒンジ19が縮むことにより、ミラー部10を水平方向に駆動することができる。
【0042】
また、さらに伸縮性を必要とする場合には、図10に示すヒンジ119のようにヒンジを蛇腹形状に加工すれば、さらに伸縮性を上げることができる。
【0043】
さらに、図1に示すように、ヒンジ19と吸引部11との間隔は、電極13側が狭くミラー部10側が広くなっている。このような構成を採用することにより、ヒンジ19を電極13側からミラー部10側に向かって徐々に吸引部11に吸引することができる上、ミラー部10を移動させるための十分なスペースを確保することができる。
【0044】
特に、クーロン力は間隔が狭いほど強くなる距離依存性を有するため、このような構成を採用することにより、ミラーデバイスは、より少ない駆動力でミラー部10をより大きく駆動することができる。また、このような構成を採用することにより、図2に示すように、駆動時においてもヒンジ19の曲がり度合いが小さくて済むため、ヒンジ19の耐久性を高めることができる。
【0045】
(ミラーデバイスの製造方法についての説明)
なお、本実施形態のミラーデバイスの製造方法としては、一般的なマイクロマシニング技術を用いて実現でき、例えば、特開平9−159937号公報に記載された手法を用いてもよい。特に、マイクロマシニング技術を用いることにより、ミラーデバイスを容易に小型化することが可能となる。
【0046】
ここで、本実施形態のミラーデバイスの製造方法についてより具体的に説明する。まず、ガラス基板2の製造方法について説明する。
【0047】
図4は、本実施形態の一例に係るガラス基板2の製造方法を説明する概略断面図であり、図4(A)は、初期状態のガラス基板2の概略断面図であり、図4(B)は、ガラスへのパターニング後のガラス基板2の概略断面図であり、図4(C)は、ガラスへのエッチング後のガラス基板2の概略断面図であり、図4(D)は、クロム、金除去後のガラス基板2の概略断面図であり、図4(E)は、クロム、金のスパッタリング後のガラス基板2の概略断面図であり、図4(F)は、クロム、金へのパターニング後のガラス基板2の概略断面図であり、図4(G)は、クロム、金のエッチング後のガラス基板2の概略断面図である。
【0048】
ガラス基板2は、後述する陽極接合を行うために、アルカリ金属、例えば、ナトリウムを含有したガラス基板210を含んで構成されている。この種のガラス基板210としては、より具体的には、例えば、ホウケイ酸ナトリウムガラスを用いてもよい。
【0049】
初期状態では、図4(A)に示すように、ガラス基板210のみ形成されている。
【0050】
まず、図4(B)に示すように、ガラス基板210の表面に、クロムを成膜し、クロム上に金コーティングを施したパターン部220を形成する。
【0051】
このパターン部220をマスクとして、ガラス基板210をフッ酸水溶液を用いてウエットエッチングする。これにより、図4(C)に示すようにガラス基板210に凹みが形成される。
【0052】
そして、例えば、硫酸+過酸化水素水の混合液を用いることにより、図4(D)に示すように、ガラス基板210に形成された凸部の天面から、パターン部220を剥離させる。
【0053】
そして、電極部250を、ガラス基板210の凹部上に形成するために、図4(E)に示すように、ガラス基板210の全面に、例えば、アルミニウム、銀、金またはITO等の透明電極等を材質とする電極膜230を形成する。この電極膜230は、蒸着法、スパッタ法またはイオンプレーティング法等により形成することができる。
【0054】
そして、この電極膜230上に、ホトリソグラフィ工程を実施することにより、図4(F)に示すように、レジストパターン部240を形成する。
【0055】
さらに、このレジストパターン部240をマスクとして使用し、電極膜230をエッチングする。このエッチングは、ウエットエッチングにより実施できる。その後、図4(G)に示すように、電極部250上のレジストパターン部240を剥離することで、ガラス基板2が完成する。このとき用いる剥離材は、電極膜230の材質により適宜選択される。例えば、電極膜230の材質がITOの場合には、有機溶剤系の剥離液を使用してもよい。
【0056】
以上の手順により、ガラス基板2を形成することができる。次に、シリコン基板1の製造方法について説明する。
【0057】
図5は、本実施形態の一例に係るシリコン基板の製造方法を説明する概略断面図であり、図5(A)は、陽極接合後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(B)は、ベースシリコンエッチング後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(C)は、酸化膜シリコンパターニング後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(D)は、シリコンエッチング後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(E)は、ドライエッチング後のシリコン基板の概略断面図である。
【0058】
まず、図5(A)に示すように、ボロン原子をスピンコーティング法等によって塗布したシリコン層110上に絶縁層120、シリコン層130を形成しておく。また、絶縁層120の材料としては、例えば、SiO2を用いてもよい。
【0059】
そして、シリコン層130、絶縁層120が積層されたシリコン層110を、ガラス基板2に陽極接合することにより、図5(A)に示す状態となる。なお、陽極接合の具体的な実施手法としては、特開平9−159937号公報に記載された手法を採用してもよい。
【0060】
そして、図5(B)に示すように、ベースシリコン層130をエッチングして除去する。このエッチング工程は、例えば、1〜40重量%の濃度のKOH水溶液を用いて、ウエットエッチングすることにより、実施できる。
【0061】
そして、図5(C)に示すように、絶縁層120にパターニングを施してパターン部130を形成する。
【0062】
さらに、パターン部130が形成されたシリコン層110に異方性エッチングを施す。これにより、図5(D)に示すように、パターン部130のある部分のエッチング速度が遅れるため、シリコン層110に突起部を形成することができる。
【0063】
なお、このエッチングの際には、例えば、ICP(Inductivity Coupled Plasma)等によるドライエッチング手法を採用してもよい。また、ドライエッチング手法に代えてダイシングによる機械加工によって突起部を形成してもよい。
【0064】
そして、パターン部130をエッチングによって除去した後、エッチングやダイシングの手法を用い、図5(E)に示すように、シリコン層110を、突起部を有するミラー部10として機能させる部分と、吸引部11、12として機能させる部分に切り離す。
【0065】
さらに、ミラー10aの反射部分には、薄膜アルミニウム等を形成して反射加工を施してもよい。
【0066】
以上の手順により、シリコン基板1を形成できる。
【0067】
さらに、電極部250からシリコン層110の吸引部11、12として機能させる部分に配線を行う工程や、光投射部31等をガラス基板2に接合する工程等を行ってミラーデバイスを製造する。
【0068】
(ミラーデバイスの駆動方法についての説明)
次に、本実施形態のミラーデバイスの駆動方法について説明する。
【0069】
図6は、本実施形態の一例に係るミラーデバイスの駆動手順を示すフローチャートである。
【0070】
まず、制御部33は、光投射部31を駆動して光を投射するとともに、吸引部11を駆動するための駆動信号を発生し(ステップS1)、吸引部11は、当該制御信号に基づき、5Vの電圧を印加する(ステップS2)。
【0071】
なお、吸引部12、支持部13、ミラー部10およびヒンジ19は0Vになっている。吸引部11が5Vの印加電圧になることにより、ミラー部10およびヒンジ19との間に5Vの電位差が生じ、クーロン力が発生する。これにより、ミラー部10およびヒンジ19は、吸引部11側に吸引されるようにほぼ水平に駆動される(ステップS3)。これにより、ミラーデバイスは、図1に示す状態から図2に示す状態となる。
【0072】
また、受光部32は、ミラー10aの裏面からの反射光を受光する(ステップS4)。
【0073】
図3に示すように、ミラー部10によって測定用の光が遮蔽される割合が多くなるほど受光部32の受光量は多くなり、ミラー部10によって遮蔽される割合が少なくなるほど受光部32の受光量は少なくなる。
【0074】
制御部33は、当該受光量に基づき、ミラー10aの位置が適切かどうかを判定する(ステップS5)。
【0075】
また、制御部33は、ミラー10aの位置が適切でないと判定した場合、吸引部11による駆動力を調整する(ステップS6)。具体的には、制御部33は、例えば、ステップS1の処理で行う駆動信号を変化させて印加電圧を変化させることによって駆動力を調整する。
【0076】
また、ミラー10aの位置が適切である場合、制御部33は、処理を終了してよいかどうかを判定し(ステップS7)、終了してよい場合には処理を終了し、終了してはいけない場合はステップS1〜S7の処理を続行する。
【0077】
以上のように、本実施形態によれば、ミラーデバイスは、突起部によって光を反射するミラー10aを有するミラー部10を、クーロン力を用いてほぼ水平に駆動することにより光路を切り替えることができ、回転駆動機構等を用いる必要はないため、より少ない駆動力で高速に光路を切り替えることができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、ミラーデバイスは、ミラー10aを回転駆動するのではなく、水平方向に移動することにより、ミラー10aを回転駆動する場合と比べ、より高い耐振動性を有する。
【0079】
さらに、本発明によれば、ミラーデバイスは、導波路を透過させるのではなく、反射することによって光を出力することにより、導波路を透過させる場合と比べ、光量減衰量を低減することもできる。
【0080】
また、本実施形態においては、ミラーデバイスをアレイ状に複数配置することもできるため、高集積化も容易である。
【0081】
また、ミラーデバイスは、クーロン力を用いてミラー10等を静電駆動するため、消費電力と発熱を低減することができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、ミラーデバイスは、ミラー部10の反射光を受光することにより、ミラー10aの位置を把握することができる。これにより、ミラーデバイスは、反射光の受光量に応じてクーロン力をフィードバック制御することにより、より正確に光路の切り替えを行うことができる。
【0083】
さらに、本実施形態によれば、ミラーデバイスは、測定用の光の光投射位置と異なる位置で受光することができるため、光の投射と受光を切り替える必要がないため、より効率的にミラー10aの位置を把握することができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、図3に示すように、出力用の光をミラー10aで反射するととともに、測定用の光をミラー部10で減衰して出力することも可能である。これにより、ミラーデバイスを、光路の切り替えと光の減衰を同時に行う複合モジュールとして形成することができる。
【0085】
(変形例)
また、本発明の適用は、上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。
【0086】
例えば、上述した実施例では、ミラー10aに凸部(突起部)を設けたが、凹部(例えば、V字形状等)を設けてもよい。すなわち、凸面だけでなく、凹面であっても光を反射することができる。
【0087】
また、上述した実施例では、ミラー10aとして機能する突起部(凸部)が1つだけであったが、例えば、ミラーの移動方向に複数の凸部または凹部を形成してもよい。
【0088】
図7は、本実施形態の他の一例に係るミラー部の模式図であり、図7(A)は、90度の複数の突起部を有するミラー部310の模式図であり、図7(B)は、45度の複数の突起部を有するミラー部311の模式図である。
【0089】
図7(A)および図7(B)に示すように、ミラーデバイスは、ミラー部310、311がミラーの移動方向に複数の凸部が形成されていることにより、ミラーを移動することによってミラーへの光の入射位置に複数の凸部を連続的に通過させることができるため、光路を連続的に切り替えることができる。
【0090】
これにより、ミラーデバイスは、より少ない駆動力で、より高速に光のスイッチングを行うことができる。
【0091】
なお、図7(A)に示す90度の突起部を形成する場合には、刃先が90度に形成された刃を用いてダイシングすればよく、図7(B)に示す45度の突起部を形成する場合には、刃先が45度に形成された刃を用いてダイシングすればよい。
【0092】
また、ミラー部10の反射部分は、図3に示す形に限定されず、例えば、ミラーと同様に凹凸状に形成してもよい。
【0093】
また、上述した実施例では、図1に示すように、ミラー部10と吸引部11、12の対向部分を平面で形成したが、例えば、シリコン基板部分を切り離す際に、ミラーとして機能するシリコン基板部分と他のシリコン基板部分のお互いの対向部分が相互に噛み合うように、凹凸が形成されるように切り離してもよい。
【0094】
図8は、本実施形態の他の一例に係るミラーデバイスの平面図である。
【0095】
図8に示すミラーデバイスでは、ミラー部410は、電極411、412に対向する部分が凸状に形成され、電極411、412は、ミラー部410に対向する部分が凹状に形成されている。
【0096】
これによれば、ミラーデバイスは、対向部分を凹凸状に形成することにより、対向部分を平面で形成する場合と比べ、対向面積が増え、より強いクーロン力を発生できるため、ミラーをより高速に駆動することができる。
【0097】
また、上述した実施例では、図3に示すように、ガラス基板2の下面に光投射部31を設けたが、ガラス基板2の一部に光の反射部を設け、ガラス基板2の側面に光投射部31を設けてもよい。
【0098】
図9は、本実施形態の他の一例に係るミラーデバイスの断面の模式図である。
【0099】
図9に示すように、光投射部31からの投射光は、ガラス基板2の下面に形成されたV字形の反射部2aで反射してガラス基板2を透過してミラー部10方向へ投射される。
【0100】
このように、ガラス基板2自体を光導波路として用い、ガラス基板2に反射部2を設けて光路を切り替えることも可能である。なお、反射部2には、エッチング等によってレンズを形成したり、インクジェット法等によって透明な樹脂を滴下してレンズとして形成してもよい。
【0101】
また、上述した実施例では、吸引部11のみを吸引部として機能させたが、吸引部11と吸引部12の両方を吸引部として機能させ、吸引部11および吸引部12に選択的に電圧を印加することにより、図1において左右両方向にミラー部10およびヒンジ19を吸引して駆動するようにミラーデバイスを構成してもよい。
【0102】
また、上述した実施例では、光投射部31と受光部32を異なる位置に設けたが、同じ位置に設けたり、光投射部31と受光部32の機能を兼ね備えた装置を適用してもよい。具体的には、例えば、光投射部31の位置に光ファイバーを設け、発光と受光を繰り返し行ってもよい。
【0103】
また、吸引部11等に印加する電圧は、上述した実施例では、0V、5Vであったが、これらの数値には限定されない。
【0104】
また、上述した実施例では、クーロン力を用いてミラー10aを駆動したが、例えば、電磁気力を用いてミラー10aを駆動してもよい。
【0105】
また、本発明に係るミラーデバイスは、光スイッチのほか、ルータ、プロジェクタ等の種々の電子機器に実装することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の一例に係る非駆動時のミラーデバイスの状態を示す平面図である。
【図2】本実施形態の一例に係る駆動時のミラーデバイスの状態を示す平面図である。
【図3】本実施形態の一例に係るミラーデバイスの断面の模式図である。
【図4】本実施形態の一例に係るガラス基板の製造方法を説明する概略断面図であり、図4(A)は、初期状態のガラス基板の概略断面図であり、図4(B)は、ガラスへのパターニング後のガラス基板の概略断面図であり、図4(C)は、ガラスへのエッチング後のガラス基板の概略断面図であり、図4(D)は、クロム、金除去後のガラス基板の概略断面図であり、図4(E)は、クロム、金のスパッタリング後のガラス基板の概略断面図であり、図4(F)は、クロム、金へのパターニング後のガラス基板の概略断面図であり、図4(G)は、クロム、金のエッチング後のガラス基板の概略断面図である。
【図5】本実施形態の一例に係るシリコン基板の製造方法を説明する概略断面図であり、図5(A)は、陽極接合後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(B)は、ベースシリコンエッチング後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(C)は、酸化膜シリコンパターニング後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(D)は、シリコンエッチング後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(E)は、ドライエッチング後のシリコン基板の概略断面図である。
【図6】本実施形態の一例に係るミラーデバイスの駆動手順を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態の他の一例に係るミラー部の模式図であり、図7(A)は、90度の複数の突起部を有するミラー部の模式図であり、図7(B)は、45度の複数の突起部を有するミラー部の模式図である。
【図8】本実施形態の他の一例に係るミラーデバイスの平面図である。
【図9】本実施形態の他の一例に係るミラーデバイスの断面の模式図である。
【図10】本実施形態の一例に係る非駆動時のミラーデバイスの状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板、 2 ガラス基板、 10、310、311、410 ミラー部、 10a ミラー、 11、12、411、412 吸引部、
19、119 ヒンジ(支持部材)、 21 遮光部、 31 光投射部、
32 受光部、 33 制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミラーデバイス、光スイッチ、電子機器、ミラーデバイス駆動方法およびミラーデバイス製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
光スイッチ等に用いられるミラーデバイスを駆動する場合、より高速にミラーを駆動することが課題となっている。
【0003】
従来の光スイッチは、例えば、非特許文献1の61ページの図4に記載されているように、ミラーをヒンジで支持し、静電アクチュエータて駆動する方式(方式1)、プレーナ光波回路(PLC)と熱光学効果の機構を用いる方式(方式2)、PLCと気泡生成による方式(方式3)等によって駆動されている。
【0004】
【非特許文献1】
「新部品「光スイッチ」が光と半導体の融合を促す」、日経エレクトロニクス、日経BP社、2001年8月13日、第802号、57〜
64ページ
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、方式1の場合、非特許文献1の63ページに記載されているように、高速スイッチングには向いていない。また、方式1の場合、耐振動性を高める等の目的でヒンジの強度を上げると、ミラーの駆動電圧が上がってしまう問題がある。
【0006】
また、方式2、3のような平面導波路型の場合、非特許文献1の64ページに記載されているように、振動や耐久性の面で有利であるが、信号(光量)の減衰量が大きくなると言われている。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、より少ない駆動力でより高速に光路を切り替えることが可能で、より高い耐振動性を有し、かつ、光量減衰量を低減することが可能なミラーデバイス、光スイッチ、電子機器、ミラーデバイス駆動方法およびミラーデバイス製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るミラーデバイスは、光を反射する少なくとも1つの凸部または凹部を有するミラーを有するミラー部と、
当該ミラー部を支持する伸縮自在に形成された支持部材と、
前記ミラー部の水平方向に設けられ、クーロン力を発生可能に形成され、クーロン力を発生することによって前記ミラー部および前記支持部材を水平方向に吸引する吸引部と、
を含み、
前記吸引部がクーロン力を調整することによって前記ミラー部の移動を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る光スイッチは、上記ミラーデバイスを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る電子機器は、上記ミラーデバイスを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るミラーデバイス駆動方法は、クーロン力を発生し、
光を反射するミラーを、前記クーロン力によって水平方向に移動し、
クーロン力を調整することによって前記ミラーの移動を制御することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るミラーデバイス製造方法は、電極基板と、クーロン力によって駆動するミラーを有するシリコン基板とを接合するミラーデバイス製造方法において、
エッチングまたはダイシングによって前記シリコン基板に少なくとも1つの凸部または凹部を形成し、
前記ミラーとして機能させるため、凸部または凹部が形成されたシリコン基板部分を、他のシリコン基板部分からエッチングによって切り離し、
当該他のシリコン基板部分の少なくとも一部に、前記電極基板に設けられた電極からの電気を供給するための配線を形成することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、ミラーデバイス等は、凸部または凹部によって光を反射するミラーを水平方向に移動させることによって高速に光路を切り替えることができる。しかも、ミラーデバイス等は、クーロン力を用いることにより、より少ない駆動力でミラーを駆動することができる。
【0014】
また、本発明によれば、ミラーデバイス等は、ミラーを回転駆動するのではなく、水平方向に移動することにより、ミラーを回転駆動する場合と比べ、より高い耐振動性を有する。
【0015】
さらに、本発明によれば、ミラーデバイス等は、導波路を透過させるのではなく、反射することによって光を出力することにより、導波路を透過させる場合と比べ、光量減衰量を低減することもできる。
【0016】
また、前記ミラーデバイス、前記光スイッチおよび前記電子機器において、前記ミラーは、当該ミラーの移動方向に設けられた複数の凸部または凹部を有してもよい。
【0017】
また、前記ミラーデバイス駆動方法において、前記ミラーは、当該ミラーの移動方向に設けられた複数の凸部または凹部を有し、
前記ミラーを水平方向に移動することによって光路を連続的に切り替えてもよい。
【0018】
また、前記ミラーデバイス製造方法において、前記凸部または前記凹部を形成する際に、前記ミラーの移動方向に複数の凸部または凹部を形成してもよい。
【0019】
これによれば、ミラーデバイス等は、ミラーの移動方向に複数の凸部または凹部が形成されていることにより、ミラーを移動することによってミラーへの光の入射位置に複数の凸部または凹部を連続的に通過させることができるため、光路を連続的に切り替えることができる。
【0020】
また、前記ミラーデバイス、前記光スイッチおよび前記電子機器において、前記ミラーおよび前記吸引部は、お互いの対向部分が相互に噛み合うように、当該対向部分が、凹凸状に形成されていてもよい。
【0021】
また、前記ミラーデバイス製造方法において、前記シリコン基板部分を切り離す際に、前記ミラーとして機能するシリコン基板部分と前記他のシリコン基板部分のお互いの対向部分が相互に噛み合うように、凹凸が形成されるように切り離してもよい。
【0022】
これによれば、ミラーデバイス等は、対向部分を凹凸状に形成することにより、対向部分を平面で形成する場合と比べ、対向面積が増え、より強いクーロン力を発生できるため、ミラーをより高速に駆動することができる。
【0023】
また、前記ミラーデバイス、前記光スイッチおよび前記電子機器において、前記ミラーの出力用の光の反射面の裏面に設けられた反射部へ向け測定用の光を投射する光投射部と、
前記反射部からの反射光を受光する受光部と、
当該受光部の受光量に基づき、前記クーロン力を調整するように前記電極を制御する制御部と、
を含んでもよい。
【0024】
また、前記ミラーデバイス駆動方法において、前記ミラーが設けられた面の裏面に設けられた反射部からの反射光を受光し、
当該受光量に基づき、前記クーロン力を調整してもよい。
【0025】
また、前記ミラーデバイス製造方法において、前記電極基板は、ガラス製基板であって、
前記電極は、ITOであって、
前記電極基板において、前記シリコン基板が接合される面と異なる面に、前記ミラーとして機能するシリコン基板部分へ向け測定用の光を投射する光投射部を形成し、
前記電極基板において、前記シリコン基板が接合される面と異なる面に、前記シリコン基板部分からの前記光投射部による投射光の反射光を受光する受光部を形成し、
前記電極基板に、当該受光部の受光量に基づき、前記クーロン力を調整するように前記電極を制御する制御部を形成してもよい。
【0026】
これによれば、ミラーデバイス等は、測定用の光の反射光を受光してミラーの位置を把握することができるため、ミラーの位置を調整することができる。また、この際に、ミラーデバイス等は、出力用の光ではなく、測定用の光を用いることにより、出力用の光を減衰させることなく、ミラーの位置を調整することができる。
【0027】
また、前記ミラーデバイス、前記光スイッチ、前記電子機器および前記ミラーデバイス駆動方法において、前記ミラーが設けられた面の方向から光を投射し、かつ、前記ミラーが設けられた面の裏面の方向から光を投射することによって光路の切り替えと光の減衰を同時に行ってもよい。
【0028】
これによれば、ミラーデバイス等は、光路の切り替えと光の減衰を同時に行うことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、ミラーデバイスに適用した場合を例に採り、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施形態に示す構成の全てが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0030】
(実施例)
図1は、本実施形態の一例に係る非駆動時のミラーデバイスの状態を示す平面図である。また、図2は、本実施形態の一例に係る駆動時のミラーデバイスの状態を示す平面図である。また、図3は、本実施形態の一例に係るミラーデバイスの断面の模式図である。
【0031】
本実施形態のミラーデバイスは、シリコン基板1と、電極基板として機能するガラス基板2とを陽極接合したものである。
【0032】
シリコン基板1は、突起状に形成されたミラー10aを有するミラー部10と、ミラー部10を支持する伸縮自在に形成された支持部材であるヒンジ19と、ヒンジ19の固定端を支持する支持部13と、ミラー部10の水平方向に設けられ、クーロン力を発生可能に形成され、クーロン力を発生することによってミラー部10およびヒンジ19を水平方向に吸引する吸引部11、12とを含んで構成されている。
【0033】
すなわち、図1に示す初期状態で、ミラーデバイスは、吸引部11に電圧を印加することにより、吸引部11とミラー部10およびヒンジ19との間にクーロン力を発生させ、図2に示すように、ミラー部10とヒンジ19を吸引部11方向に吸引することができる。
【0034】
また、本実施形態のミラーデバイスは、ガラス基板2の外側に、ミラー10aの方向へ向け測定用の光を投射する光投射部31と、ミラー部10においてミラー10aの裏面に設けられた反射部からの測定用の光の反射光を受光する受光部32と、受光部32の受光量に基づき、クーロン力を調整するように吸引部11、12への印加電圧を制御するとともに、光投射部31の投射を制御する制御部33とを含んで構成されている。
【0035】
さらに、光投射部31からの光が透過するガラス基板2上には、円形の開口部を有する遮光部21が設けられている。
【0036】
また、図3に示すように、ミラー部10は、反射光を発生する反射部分が光投射部31からの投射光の光軸に対して傾きをもって形成されている。また、当該反射光を受光できるように、受光部32は、光投射部31とは異なる位置に設けられている。
【0037】
なお、このようなミラーデバイスを実現するための材料としては、例えば、以下のものを適用できる。
【0038】
例えば、シリコン基板1としては、例えば、シリコンにボロン原子をドープして導電性を付与したもの等を用い、ガラス基板2としては、例えば、ホウケイ酸ナトリウムガラス等を用い、ミラー部10、吸引部11、12、支持部13およびヒンジ19としては、例えば、シリコン基板1と同材料であってもよく、別の材料であってもよい。
【0039】
また、ガラス基板2上に、例えば、ITO等の透明電極を設け、当該透明電極から吸引部11、12に電気を供給してもよい。また、遮光部21としては、例えば、クロム、金等を用いてもよい。
【0040】
また、光投射部31は、例えば、レーザーダイオード、LED(発光ダイオード)等を用いて実現でき、コリメートレンズや回折格子を用いてレーザーダイオード等からの光を平行光に変換してもよい。また、受光部32としては、例えば、フォトダイオード等を用いてもよく、制御部33としては、例えば、制御用の回路等を用いてもよい。
【0041】
また、図1に示すように、ヒンジ19は、シリコン製であるため、細長く形成することにより、伸縮性を持たせている。これにより、吸引部11側に吸引される場合にはヒンジ19が伸び、吸引部11側から離れる場合にはヒンジ19が縮むことにより、ミラー部10を水平方向に駆動することができる。
【0042】
また、さらに伸縮性を必要とする場合には、図10に示すヒンジ119のようにヒンジを蛇腹形状に加工すれば、さらに伸縮性を上げることができる。
【0043】
さらに、図1に示すように、ヒンジ19と吸引部11との間隔は、電極13側が狭くミラー部10側が広くなっている。このような構成を採用することにより、ヒンジ19を電極13側からミラー部10側に向かって徐々に吸引部11に吸引することができる上、ミラー部10を移動させるための十分なスペースを確保することができる。
【0044】
特に、クーロン力は間隔が狭いほど強くなる距離依存性を有するため、このような構成を採用することにより、ミラーデバイスは、より少ない駆動力でミラー部10をより大きく駆動することができる。また、このような構成を採用することにより、図2に示すように、駆動時においてもヒンジ19の曲がり度合いが小さくて済むため、ヒンジ19の耐久性を高めることができる。
【0045】
(ミラーデバイスの製造方法についての説明)
なお、本実施形態のミラーデバイスの製造方法としては、一般的なマイクロマシニング技術を用いて実現でき、例えば、特開平9−159937号公報に記載された手法を用いてもよい。特に、マイクロマシニング技術を用いることにより、ミラーデバイスを容易に小型化することが可能となる。
【0046】
ここで、本実施形態のミラーデバイスの製造方法についてより具体的に説明する。まず、ガラス基板2の製造方法について説明する。
【0047】
図4は、本実施形態の一例に係るガラス基板2の製造方法を説明する概略断面図であり、図4(A)は、初期状態のガラス基板2の概略断面図であり、図4(B)は、ガラスへのパターニング後のガラス基板2の概略断面図であり、図4(C)は、ガラスへのエッチング後のガラス基板2の概略断面図であり、図4(D)は、クロム、金除去後のガラス基板2の概略断面図であり、図4(E)は、クロム、金のスパッタリング後のガラス基板2の概略断面図であり、図4(F)は、クロム、金へのパターニング後のガラス基板2の概略断面図であり、図4(G)は、クロム、金のエッチング後のガラス基板2の概略断面図である。
【0048】
ガラス基板2は、後述する陽極接合を行うために、アルカリ金属、例えば、ナトリウムを含有したガラス基板210を含んで構成されている。この種のガラス基板210としては、より具体的には、例えば、ホウケイ酸ナトリウムガラスを用いてもよい。
【0049】
初期状態では、図4(A)に示すように、ガラス基板210のみ形成されている。
【0050】
まず、図4(B)に示すように、ガラス基板210の表面に、クロムを成膜し、クロム上に金コーティングを施したパターン部220を形成する。
【0051】
このパターン部220をマスクとして、ガラス基板210をフッ酸水溶液を用いてウエットエッチングする。これにより、図4(C)に示すようにガラス基板210に凹みが形成される。
【0052】
そして、例えば、硫酸+過酸化水素水の混合液を用いることにより、図4(D)に示すように、ガラス基板210に形成された凸部の天面から、パターン部220を剥離させる。
【0053】
そして、電極部250を、ガラス基板210の凹部上に形成するために、図4(E)に示すように、ガラス基板210の全面に、例えば、アルミニウム、銀、金またはITO等の透明電極等を材質とする電極膜230を形成する。この電極膜230は、蒸着法、スパッタ法またはイオンプレーティング法等により形成することができる。
【0054】
そして、この電極膜230上に、ホトリソグラフィ工程を実施することにより、図4(F)に示すように、レジストパターン部240を形成する。
【0055】
さらに、このレジストパターン部240をマスクとして使用し、電極膜230をエッチングする。このエッチングは、ウエットエッチングにより実施できる。その後、図4(G)に示すように、電極部250上のレジストパターン部240を剥離することで、ガラス基板2が完成する。このとき用いる剥離材は、電極膜230の材質により適宜選択される。例えば、電極膜230の材質がITOの場合には、有機溶剤系の剥離液を使用してもよい。
【0056】
以上の手順により、ガラス基板2を形成することができる。次に、シリコン基板1の製造方法について説明する。
【0057】
図5は、本実施形態の一例に係るシリコン基板の製造方法を説明する概略断面図であり、図5(A)は、陽極接合後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(B)は、ベースシリコンエッチング後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(C)は、酸化膜シリコンパターニング後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(D)は、シリコンエッチング後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(E)は、ドライエッチング後のシリコン基板の概略断面図である。
【0058】
まず、図5(A)に示すように、ボロン原子をスピンコーティング法等によって塗布したシリコン層110上に絶縁層120、シリコン層130を形成しておく。また、絶縁層120の材料としては、例えば、SiO2を用いてもよい。
【0059】
そして、シリコン層130、絶縁層120が積層されたシリコン層110を、ガラス基板2に陽極接合することにより、図5(A)に示す状態となる。なお、陽極接合の具体的な実施手法としては、特開平9−159937号公報に記載された手法を採用してもよい。
【0060】
そして、図5(B)に示すように、ベースシリコン層130をエッチングして除去する。このエッチング工程は、例えば、1〜40重量%の濃度のKOH水溶液を用いて、ウエットエッチングすることにより、実施できる。
【0061】
そして、図5(C)に示すように、絶縁層120にパターニングを施してパターン部130を形成する。
【0062】
さらに、パターン部130が形成されたシリコン層110に異方性エッチングを施す。これにより、図5(D)に示すように、パターン部130のある部分のエッチング速度が遅れるため、シリコン層110に突起部を形成することができる。
【0063】
なお、このエッチングの際には、例えば、ICP(Inductivity Coupled Plasma)等によるドライエッチング手法を採用してもよい。また、ドライエッチング手法に代えてダイシングによる機械加工によって突起部を形成してもよい。
【0064】
そして、パターン部130をエッチングによって除去した後、エッチングやダイシングの手法を用い、図5(E)に示すように、シリコン層110を、突起部を有するミラー部10として機能させる部分と、吸引部11、12として機能させる部分に切り離す。
【0065】
さらに、ミラー10aの反射部分には、薄膜アルミニウム等を形成して反射加工を施してもよい。
【0066】
以上の手順により、シリコン基板1を形成できる。
【0067】
さらに、電極部250からシリコン層110の吸引部11、12として機能させる部分に配線を行う工程や、光投射部31等をガラス基板2に接合する工程等を行ってミラーデバイスを製造する。
【0068】
(ミラーデバイスの駆動方法についての説明)
次に、本実施形態のミラーデバイスの駆動方法について説明する。
【0069】
図6は、本実施形態の一例に係るミラーデバイスの駆動手順を示すフローチャートである。
【0070】
まず、制御部33は、光投射部31を駆動して光を投射するとともに、吸引部11を駆動するための駆動信号を発生し(ステップS1)、吸引部11は、当該制御信号に基づき、5Vの電圧を印加する(ステップS2)。
【0071】
なお、吸引部12、支持部13、ミラー部10およびヒンジ19は0Vになっている。吸引部11が5Vの印加電圧になることにより、ミラー部10およびヒンジ19との間に5Vの電位差が生じ、クーロン力が発生する。これにより、ミラー部10およびヒンジ19は、吸引部11側に吸引されるようにほぼ水平に駆動される(ステップS3)。これにより、ミラーデバイスは、図1に示す状態から図2に示す状態となる。
【0072】
また、受光部32は、ミラー10aの裏面からの反射光を受光する(ステップS4)。
【0073】
図3に示すように、ミラー部10によって測定用の光が遮蔽される割合が多くなるほど受光部32の受光量は多くなり、ミラー部10によって遮蔽される割合が少なくなるほど受光部32の受光量は少なくなる。
【0074】
制御部33は、当該受光量に基づき、ミラー10aの位置が適切かどうかを判定する(ステップS5)。
【0075】
また、制御部33は、ミラー10aの位置が適切でないと判定した場合、吸引部11による駆動力を調整する(ステップS6)。具体的には、制御部33は、例えば、ステップS1の処理で行う駆動信号を変化させて印加電圧を変化させることによって駆動力を調整する。
【0076】
また、ミラー10aの位置が適切である場合、制御部33は、処理を終了してよいかどうかを判定し(ステップS7)、終了してよい場合には処理を終了し、終了してはいけない場合はステップS1〜S7の処理を続行する。
【0077】
以上のように、本実施形態によれば、ミラーデバイスは、突起部によって光を反射するミラー10aを有するミラー部10を、クーロン力を用いてほぼ水平に駆動することにより光路を切り替えることができ、回転駆動機構等を用いる必要はないため、より少ない駆動力で高速に光路を切り替えることができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、ミラーデバイスは、ミラー10aを回転駆動するのではなく、水平方向に移動することにより、ミラー10aを回転駆動する場合と比べ、より高い耐振動性を有する。
【0079】
さらに、本発明によれば、ミラーデバイスは、導波路を透過させるのではなく、反射することによって光を出力することにより、導波路を透過させる場合と比べ、光量減衰量を低減することもできる。
【0080】
また、本実施形態においては、ミラーデバイスをアレイ状に複数配置することもできるため、高集積化も容易である。
【0081】
また、ミラーデバイスは、クーロン力を用いてミラー10等を静電駆動するため、消費電力と発熱を低減することができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、ミラーデバイスは、ミラー部10の反射光を受光することにより、ミラー10aの位置を把握することができる。これにより、ミラーデバイスは、反射光の受光量に応じてクーロン力をフィードバック制御することにより、より正確に光路の切り替えを行うことができる。
【0083】
さらに、本実施形態によれば、ミラーデバイスは、測定用の光の光投射位置と異なる位置で受光することができるため、光の投射と受光を切り替える必要がないため、より効率的にミラー10aの位置を把握することができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、図3に示すように、出力用の光をミラー10aで反射するととともに、測定用の光をミラー部10で減衰して出力することも可能である。これにより、ミラーデバイスを、光路の切り替えと光の減衰を同時に行う複合モジュールとして形成することができる。
【0085】
(変形例)
また、本発明の適用は、上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。
【0086】
例えば、上述した実施例では、ミラー10aに凸部(突起部)を設けたが、凹部(例えば、V字形状等)を設けてもよい。すなわち、凸面だけでなく、凹面であっても光を反射することができる。
【0087】
また、上述した実施例では、ミラー10aとして機能する突起部(凸部)が1つだけであったが、例えば、ミラーの移動方向に複数の凸部または凹部を形成してもよい。
【0088】
図7は、本実施形態の他の一例に係るミラー部の模式図であり、図7(A)は、90度の複数の突起部を有するミラー部310の模式図であり、図7(B)は、45度の複数の突起部を有するミラー部311の模式図である。
【0089】
図7(A)および図7(B)に示すように、ミラーデバイスは、ミラー部310、311がミラーの移動方向に複数の凸部が形成されていることにより、ミラーを移動することによってミラーへの光の入射位置に複数の凸部を連続的に通過させることができるため、光路を連続的に切り替えることができる。
【0090】
これにより、ミラーデバイスは、より少ない駆動力で、より高速に光のスイッチングを行うことができる。
【0091】
なお、図7(A)に示す90度の突起部を形成する場合には、刃先が90度に形成された刃を用いてダイシングすればよく、図7(B)に示す45度の突起部を形成する場合には、刃先が45度に形成された刃を用いてダイシングすればよい。
【0092】
また、ミラー部10の反射部分は、図3に示す形に限定されず、例えば、ミラーと同様に凹凸状に形成してもよい。
【0093】
また、上述した実施例では、図1に示すように、ミラー部10と吸引部11、12の対向部分を平面で形成したが、例えば、シリコン基板部分を切り離す際に、ミラーとして機能するシリコン基板部分と他のシリコン基板部分のお互いの対向部分が相互に噛み合うように、凹凸が形成されるように切り離してもよい。
【0094】
図8は、本実施形態の他の一例に係るミラーデバイスの平面図である。
【0095】
図8に示すミラーデバイスでは、ミラー部410は、電極411、412に対向する部分が凸状に形成され、電極411、412は、ミラー部410に対向する部分が凹状に形成されている。
【0096】
これによれば、ミラーデバイスは、対向部分を凹凸状に形成することにより、対向部分を平面で形成する場合と比べ、対向面積が増え、より強いクーロン力を発生できるため、ミラーをより高速に駆動することができる。
【0097】
また、上述した実施例では、図3に示すように、ガラス基板2の下面に光投射部31を設けたが、ガラス基板2の一部に光の反射部を設け、ガラス基板2の側面に光投射部31を設けてもよい。
【0098】
図9は、本実施形態の他の一例に係るミラーデバイスの断面の模式図である。
【0099】
図9に示すように、光投射部31からの投射光は、ガラス基板2の下面に形成されたV字形の反射部2aで反射してガラス基板2を透過してミラー部10方向へ投射される。
【0100】
このように、ガラス基板2自体を光導波路として用い、ガラス基板2に反射部2を設けて光路を切り替えることも可能である。なお、反射部2には、エッチング等によってレンズを形成したり、インクジェット法等によって透明な樹脂を滴下してレンズとして形成してもよい。
【0101】
また、上述した実施例では、吸引部11のみを吸引部として機能させたが、吸引部11と吸引部12の両方を吸引部として機能させ、吸引部11および吸引部12に選択的に電圧を印加することにより、図1において左右両方向にミラー部10およびヒンジ19を吸引して駆動するようにミラーデバイスを構成してもよい。
【0102】
また、上述した実施例では、光投射部31と受光部32を異なる位置に設けたが、同じ位置に設けたり、光投射部31と受光部32の機能を兼ね備えた装置を適用してもよい。具体的には、例えば、光投射部31の位置に光ファイバーを設け、発光と受光を繰り返し行ってもよい。
【0103】
また、吸引部11等に印加する電圧は、上述した実施例では、0V、5Vであったが、これらの数値には限定されない。
【0104】
また、上述した実施例では、クーロン力を用いてミラー10aを駆動したが、例えば、電磁気力を用いてミラー10aを駆動してもよい。
【0105】
また、本発明に係るミラーデバイスは、光スイッチのほか、ルータ、プロジェクタ等の種々の電子機器に実装することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の一例に係る非駆動時のミラーデバイスの状態を示す平面図である。
【図2】本実施形態の一例に係る駆動時のミラーデバイスの状態を示す平面図である。
【図3】本実施形態の一例に係るミラーデバイスの断面の模式図である。
【図4】本実施形態の一例に係るガラス基板の製造方法を説明する概略断面図であり、図4(A)は、初期状態のガラス基板の概略断面図であり、図4(B)は、ガラスへのパターニング後のガラス基板の概略断面図であり、図4(C)は、ガラスへのエッチング後のガラス基板の概略断面図であり、図4(D)は、クロム、金除去後のガラス基板の概略断面図であり、図4(E)は、クロム、金のスパッタリング後のガラス基板の概略断面図であり、図4(F)は、クロム、金へのパターニング後のガラス基板の概略断面図であり、図4(G)は、クロム、金のエッチング後のガラス基板の概略断面図である。
【図5】本実施形態の一例に係るシリコン基板の製造方法を説明する概略断面図であり、図5(A)は、陽極接合後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(B)は、ベースシリコンエッチング後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(C)は、酸化膜シリコンパターニング後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(D)は、シリコンエッチング後のシリコン基板の概略断面図であり、図5(E)は、ドライエッチング後のシリコン基板の概略断面図である。
【図6】本実施形態の一例に係るミラーデバイスの駆動手順を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態の他の一例に係るミラー部の模式図であり、図7(A)は、90度の複数の突起部を有するミラー部の模式図であり、図7(B)は、45度の複数の突起部を有するミラー部の模式図である。
【図8】本実施形態の他の一例に係るミラーデバイスの平面図である。
【図9】本実施形態の他の一例に係るミラーデバイスの断面の模式図である。
【図10】本実施形態の一例に係る非駆動時のミラーデバイスの状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板、 2 ガラス基板、 10、310、311、410 ミラー部、 10a ミラー、 11、12、411、412 吸引部、
19、119 ヒンジ(支持部材)、 21 遮光部、 31 光投射部、
32 受光部、 33 制御部
Claims (14)
- 光を反射する少なくとも1つの凸部または凹部を有するミラーを有するミラー部と、
当該ミラー部を支持する伸縮自在に形成された支持部材と、
前記ミラー部の水平方向に設けられ、クーロン力を発生可能に形成され、クーロン力を発生することによって前記ミラー部および前記支持部材を水平方向に吸引する吸引部と、
を含み、
前記吸引部がクーロン力を調整することによって前記ミラー部の移動を制御することを特徴とするミラーデバイス。 - 請求項1において、
前記ミラーは、当該ミラーの移動方向に設けられた複数の凸部または凹部を有することを特徴とするミラーデバイス。 - 請求項1、2のいずれかにおいて、
前記ミラーおよび前記吸引部は、お互いの対向部分が相互に噛み合うように、当該対向部分が、凹凸状に形成されていることを特徴とするミラーデバイス。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記ミラーの出力用の光の反射面の裏面に設けられた反射部へ向け測定用の光を投射する光投射部と、
前記反射部からの反射光を受光する受光部と、
当該受光部の受光量に基づき、前記クーロン力を調整するように前記電極を制御する制御部と、
を含むことを特徴とするミラーデバイス。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のミラーデバイスを有することを特徴とする光スイッチ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のミラーデバイスを有することを特徴とする電子機器。
- クーロン力を発生し、
光を反射するミラーを、前記クーロン力によって水平方向に移動し、
クーロン力を調整することによって前記ミラーの移動を制御することを特徴とするミラーデバイス駆動方法。 - 請求項7において、
前記ミラーは、当該ミラーの移動方向に設けられた複数の凸部または凹部を有し、
前記ミラーを水平方向に移動することによって光路を連続的に切り替えることを特徴とするミラーデバイス駆動方法。 - 請求項7、8のいずれかにおいて、
前記ミラーが設けられた面の方向から光を投射し、かつ、前記ミラーが設けられた面の裏面の方向から光を投射することによって光路の切り替えと光の減衰を同時に行うことを特徴とするミラーデバイス駆動方法。 - 請求項7〜9のいずれかにおいて、
前記ミラーが設けられた面の裏面に設けられた反射部からの反射光を受光し、当該受光量に基づき、前記クーロン力を調整することを特徴とするミラーデバイス駆動方法。 - 電極基板と、クーロン力によって駆動するミラーを有するシリコン基板とを接合するミラーデバイス製造方法において、
エッチングまたはダイシングによって前記シリコン基板に少なくとも1つの凸部または凹部を形成し、
前記ミラーとして機能させるため、凸部または凹部が形成されたシリコン基板部分を、他のシリコン基板部分からエッチングによって切り離し、
当該他のシリコン基板部分の少なくとも一部に、前記電極基板に設けられた電極からの電気を供給するための配線を形成することを特徴とするミラーデバイス製造方法。 - 請求項11において、
前記凸部または前記凹部を形成する際に、前記ミラーの移動方向に複数の凸部または凹部を形成することを特徴とするミラーデバイス製造方法。 - 請求項11、12のいずれかにおいて、
前記シリコン基板部分を切り離す際に、前記ミラーとして機能するシリコン基板部分と前記他のシリコン基板部分のお互いの対向部分が相互に噛み合うように、凹凸が形成されるように切り離すことを特徴とするミラーデバイス製造方法。 - 請求項11〜13のいずれかにおいて、
前記電極基板は、ガラス製基板であって、
前記電極は、ITOであって、
前記電極基板において、前記シリコン基板が接合される面と異なる面に、前記ミラーとして機能するシリコン基板部分へ向け測定用の光を投射する光投射部を形成し、
前記電極基板において、前記シリコン基板が接合される面と異なる面に、前記シリコン基板部分からの前記光投射部による投射光の反射光を受光する受光部を形成し、
前記電極基板に、当該受光部の受光量に基づき、前記クーロン力を調整するように前記電極を制御する制御部を形成することを特徴とするミラーデバイス製造方法。
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JP2002281086A JP2004117834A (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | ミラーデバイス、光スイッチ、電子機器、ミラーデバイス駆動方法およびミラーデバイス製造方法 |
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JP2006201350A (ja) * | 2005-01-19 | 2006-08-03 | Denso Corp | スキャニング装置 |
JP2018176421A (ja) * | 2013-02-21 | 2018-11-15 | 株式会社リコー | デバイス |
-
2002
- 2002-09-26 JP JP2002281086A patent/JP2004117834A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
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