JP2004111157A - 二次電池およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】短絡、過充電などにより電池の温度が急激に上昇した場合においても、電池温度の上昇をより確実に抑制することができる、より安全性、信頼性に優れた二次電池を提供する。
【解決手段】第1の集電体上に正極活物質層が配置された正極と、第2の集電体上に負極活物質層が配置された負極と、粒子を含んだ第1の層とを備え、前記第1の層が、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置され、前記粒子が所定の温度以上で膨張し、前記所定の温度が80℃以上である二次電池とする。
【選択図】 図1
【解決手段】第1の集電体上に正極活物質層が配置された正極と、第2の集電体上に負極活物質層が配置された負極と、粒子を含んだ第1の層とを備え、前記第1の層が、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置され、前記粒子が所定の温度以上で膨張し、前記所定の温度が80℃以上である二次電池とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次電池およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯型電子機器の小型・軽量化の要望は非常に大きいものがある。その実現のために、二次電池の性能および寿命に関してより一層の向上が求められており、これに対応すべく多様な開発、改良が進められている。二次電池に要求される特性として代表的なものは、高電圧、高エネルギー密度、安全性、寿命信頼性および低コスト性などである。二次電池のなかでも、リチウムイオン二次電池は、重量エネルギー密度、体積エネルギー密度ともに大きく、期待度が高い二次電池であり、現在、その改良が盛んに進められている。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、一般に、正極および負極と、この正極および負極に狭持されたセパレータとを備えている。セパレータは電気的に絶縁性であるが、リチウムイオン伝導性を有することが必要である(セパレータ単体でリチウムイオン伝導性を有する必要は必ずしもなく、電解質を含浸することでリチウムイオン伝導性を発現すればよい)。セパレータには、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリマーを二軸延伸方式により多孔質化させたフィルムシートなどが主に用いられている。
【0004】
イオン伝導層となるセパレータには、電池性能上、イオン伝導抵抗をできるだけ低くすることが要求される。そのため、可能な限りセパレータの膜厚を薄くすることが求められている。しかし、セパレータの膜厚が薄くなれば、充放電サイクルを繰り返すうちに正極と負極間で短絡が起きる可能性が増加することになる。また、鋭利な異物が刺さったりした場合などにも、セパレータが破損して短絡が起きる可能性がある。とりわけリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高く、仮に短絡した場合、大電流が集中することによって電池温度が急激に上昇する可能性がある。その他、過充電や過放電によっても、電池温度の急激な上昇が生じる可能性がある。
【0005】
これまで、短絡や過充電などに伴って極板の温度が上昇した場合に、熱によって溶融することで正極と負極とを絶縁し、それ以上の温度上昇を防ぐセパレータが開発されている(例えば、特許文献1参照)。上記セパレータはポリオレフィンの多孔質膜からなり、通常の使用状態では電解質を含むことでイオン伝導性を有している。短絡などにより電池温度が急激に上昇した場合は、発生した熱により溶融してセパレータ自身の孔が塞がれ、イオン伝導性を失うことで電気化学反応が停止する構造となっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−62662
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の技術とは別の方法により、仮に短絡などによって電池の温度が急激に上昇した場合でも、電池の温度上昇をより確実に抑制することができる、信頼性、安全性に優れた二次電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の二次電池は、
第1の集電体上に正極活物質層が配置された正極と、第2の集電体上に負極活物質層が配置された負極と、粒子を含んだ第1の層とを備え、
前記第1の層が、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置され、
前記粒子が、所定の温度以上で膨張し、
前記所定の温度が、80℃以上である。
【0009】
上記のような二次電池とすることで、仮に短絡などにより電池の温度が急激に上昇した場合でも、上記粒子が膨張して正極活物質層と負極活物質層との距離を保持あるいは増大することが可能で、極板間の短絡および/または電気化学反応を抑制することができる。そのため、電池温度のさらなる上昇を防ぐことができ、より安全性、信頼性に優れた二次電池を得ることができる。なお、80℃とは、一般的に電池が、異常による内部短絡や過充電などにより発熱が始まる下限温度域を反映する温度である。
【0010】
また、本発明の二次電池の製造方法は、
ポリマーと、前記ポリマーに対する良溶媒と、前記ポリマーに対する貧溶媒と、所定の温度以上で膨張する粒子とを含む溶液を調製する第1の工程と、
前記溶液を、正極板および負極板から選ばれる少なくとも一方の極板上に塗布して塗膜を形成する第2の工程と、
前記塗膜中の前記良溶媒の除去に遅れて、前記貧溶媒を除去することで、前記粒子を含んだ多孔質膜を前記少なくとも一方の極板上に形成する第3の工程と、
前記正極板と前記負極板との間に前記多孔質膜が置かれるように極板群を形成する第4の工程とを含み、
前記所定の温度が、80℃以上である。
【0011】
上記のような二次電池の製造方法とすることで、正極板と負極板との間に、所定の温度以上で膨張する粒子を含んだ、ポリマーからなる多孔質膜を配置することができる。よって、仮に短絡などにより電池の温度が急激に上昇した場合でも、上記粒子が膨張して正極活物質層と負極活物質層との距離を保持あるいは増大することができ、極板間の短絡および/または電気化学反応を抑制することができる。そのため、電池温度のさらなる上昇を防ぐことができ、より安全性、信頼性に優れた二次電池を得ることができる。また、極板上に直接塗布、乾燥を行うことで多孔質膜を得ているため、多孔質膜にシワなどの発生が抑制され、電池成形時に捲回した場合にも両極板間の間隔を一定に保つことができる。さらに、電池温度上昇時における多孔質膜の収縮も抑制することができるため、信頼性のより向上した電池を得ることができる。
【0012】
なお、本明細書における良溶媒とは、上記ポリマーのθ溶媒よりも上記ポリマーを溶解する溶媒のことであり、貧溶媒とは、上記ポリマーのθ溶媒よりも上記ポリマーを溶解しない溶媒を意味している。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は、本発明における二次電池の一部の構造例を示す断面模式図である。
【0014】
図1に示す例は、第1の集電体(正極集電体)1b上に正極活物質層1aが積層された正極1と、第2の集電体(負極集電体)2b上に負極活物質層2aが積層された負極2とを備えている。また、正極活物質層1aと負極活物質層2aとの間に、粒子4を含む第1の層3が狭持されている。図1に示す例では、第1の層3はセパレータの役割も果たしている。
【0015】
ここで、上記粒子は、所定の温度以上で膨張する粒子であればよい。ただし、上記所定の温度は、80℃以上の任意の温度である。正極活物質層と負極活物質層との間に配置されている第1の層が上記粒子を含むことで、仮に短絡などにより電池の温度が急激に上昇した場合でも、上記粒子が膨張することで正極活物質層と負極活物質層との距離を保持あるいは増大することができ、極板間の短絡および/または電気化学反応を抑制することができる。また、電池温度の急激な上昇に伴い、電池内のセパレータが収縮した場合でも、上記粒子が膨張することで正極活物質層と負極活物質層との距離を保持あるいは増大することができ、極板間の短絡および/または電気化学反応を抑制することができる。そのため、電池温度のさらなる上昇を防ぐことができ、より安全性、信頼性に優れた二次電池を得ることができる。
【0016】
膨張前における上記粒子の体積V1と、膨張後における上記粒子の体積V2とが、V2≧3×V1の関係を満たしていてもよい。粒子が上記の関係を満たす場合、上記粒子の膨張によって、正極活物質層と負極活物質層との距離を、より確実に保持あるいは増大することができる。なかでも、V2≧5×V1の関係を満たすことが好ましい。
【0017】
また、上記粒子の15℃〜35℃の範囲における体積V3と、110℃〜130℃の範囲における体積V4とが、V4≧3×V3の関係を満たしていてもよい。粒子が上記の関係を満たす場合に、上述した効果をより確実に得ることができる。なかでも、V4≧5×V3の関係を満たすことが好ましい。なお、15℃〜35℃は、電池の通常使用温度範囲に含まれる温度範囲であり、110℃〜130℃とは、電池内部が異常に発熱した状態に含まれる温度範囲である。
【0018】
また、上記粒子の膨張前における平均粒径は、3μm以上20μm以下の範囲であってもよい。粒子が上記範囲内にある場合、電池の通常使用時における正極活物質層と負極活物質層との距離をより最適にし、より電池特性に優れた二次電池を得ることができる。また、上記粒子が、上記第1の層中に5体積%〜35体積%の範囲で含まれていてもよい。
【0019】
上記粒子は中空体であってもよい。この場合、必要に応じて、内部に様々な材料(例えば、気体、液体、固体、ゲルなど)を内包させることが可能で、上記粒子の膨張特性を任意に変化させることができる。
【0020】
例えば、中空体である上記粒子が、上記所定の温度以上で気化する固体材料および液体材料から選ばれる少なくとも1種の材料を内包していてもよい。この場合、上記粒子が上記所定の温度以上の温度にさらされると、内包された上記少なくとも1種の材料が気化するため、上記粒子は速やかに膨張することができる。よって、電池温度が急激に上昇した場合でも、電池温度のさらなる上昇をより確実に抑制することができる。
【0021】
また、内包する上記少なくとも1種の材料を変化させることで、上記粒子の膨張率を制御することもできる。必要に応じて、気化する温度の異なる複数の材料を内包することもできる。また、上記少なくとも1種の材料の他に、必要に応じて任意の材料を含むことができる。例えば、粒子内部にリン酸アンモニウム、水酸化アンモニウムなどの消炎剤を内包させれば、仮に電池が発火して上記粒子が破損した場合でも、消炎させることが可能である。
【0022】
粒子4が中空体の場合の材料としては、膨張時に破裂、損傷などを起こさず、電池内の環境に耐えられる材質であれば特に限定されない。例えば、メラミン、ゼラチン、メラミンと尿素との結合体、ゼラチンと尿素との結合体、ウレタン、アクリロニトリルなどの共重合体、シリカなどを用いることができる。
【0023】
粒子4が中空体の場合、その内部に内包する材料としては、粒子4を構成する材料を損傷しない材料であれば特に限定されない。粒子4として必要な特性に応じて、任意に材料を選ぶことができる。例えば、炭化水素系の材料であるベンゼン、トルエンなどを用いれば、粒子4を80℃〜110℃で膨張させることができる。また、粒子4における中空部分の占める割合、および、粒子4における中空部分の体積に対して上記材料を内包する割合は特に限定されない。粒子4として必要な特性に応じて、任意に設定すればよい。
【0024】
膨張した上記粒子の一例を図2に示す。図2に示す例は、約100℃の雰囲気下において粒子が膨張している様子を捉えた電子顕微鏡(SEM)の写真である。このとき、上記粒子は、トルエンを内包したメラミンからなる中空体であり、セパレータを想定したポリビニリデンフルオロライドからなる多孔質材中に埋め込んである。15℃〜35℃の範囲における膨張前の上記粒子の体積は約523.3μm3(粒径約10μm)であったが、このとき約4倍(粒径45μm)まで膨張していることがわかる。なお、上記粒子の膨張時には、破損、破裂などは観察されなかった。
【0025】
正極集電体1bおよび負極集電体2bに用いる材料としては、電池内で安定な導電体であれば、特に限定されない。例えば、正極集電体1bとしてアルミニウム、負極集電体2bとして銅を用いることができる。
【0026】
また、正極集電体1bおよび負極集電体2bの形状としては、箔状、網状、エクスパンドメタルなど、任意の形状の集電体を用いることができる。網状、エクスパンドメタルなど、表面積が大きい形状の集電体を用いた場合、集電体上に配置される活物質との接着強度をより向上させることができる。
【0027】
正極活物質層1aの材料としては、電解質イオン(リチウムイオン二次電池の場合はリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出できる材料であれば、特に限定されない。リチウムイオン二次電池の場合、例えば、コバルト、マンガン、ニッケルなどの遷移金属の複合酸化物やカルコゲン化合物を用いることができる。あるいは、上記した化合物の複合化合物や、必要に応じて各種の元素を添加した化合物など、特に限定されることなく用いることができる。
【0028】
負極活物質層2aの材料としては、電位が正極活物質よりも低く、電解質イオンを可逆的に吸蔵および放出できる材料であれば特に限定されない。リチウムイオン二次電池の場合、例えば、黒鉛に代表される炭素質材料などを用いることができる。
【0029】
上記両活物質の形状としては、例えば、粒状の活物質を用いてもよい。この場合、上記活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm〜50μmの範囲である。上記の範囲では、活物質層としたときの薄膜化がより容易で、また、上記両活物質の充填密度をより適切な値に制御することができる。なかでも、充放電時における、イオンドープおよび脱イオンドープ効率の観点からは、上記活物質の平均粒径は3μm〜8μmの範囲が好ましい。
【0030】
第1の層3としては、電解質イオン透過度が大きく、電池内部で腐食などを受けず、一定の機械的強度を有した電気絶縁性の薄膜であれば特に限定されない。例えば、二次電池に一般的に用いられている、上記特性を備えた多孔質膜を用いてもよい。上記多孔質膜のなかでは、ポリマーからなる多孔質膜であることが好ましい。また、充放電による活物質の体積膨張および収縮に追随することのできるだけの柔軟性を有することが好ましい。
【0031】
第1の層3に用いる材料としては、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレンから選ばれる少なくとも1種のポリマーを含むオレフィン系ポリマーや、ガラス繊維からなるシート、不織布、または織布などを用いることができる。その他、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル類や、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン類、その他、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタム、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、および、上記ポリマーの誘導体などを、単独または混合して用いることができる。また、上記ポリマーを構成する各種モノマー同士の共重合ポリマーを用いてもよい。
【0032】
第1の層3の厚さは、図1に示すようにセパレータとしての役割も果たす場合、例えば、10μm〜25μmの範囲である。また、その平均孔径は、電極より脱離した活物質などが透過しない範囲であることが好ましく、例えば、0.1μm〜1.0μmの範囲である。また、セパレータの空孔率は、セパレータを構成する材料の電気絶縁性や電解質イオン透過性、セパレータの膜厚などにより決定されるが、例えば、50vol%〜75vol%の範囲である。
【0033】
また、粒子4には、正極1と負極2との距離を一定に保つフィラーとしての役割を与えることもできる。例えば、図3に示すように、第1の層3の厚さとほぼ同等の平均粒径を有する粒子4を、第1の層3中に配置してもよい。即ち、通常の使用温度領域において、粒子4は正極1と負極2との距離(正極活物質層1aと負極活物質層2aとの距離)を一定に保つフィラーとしての役割を担うことができる。
【0034】
なお、図1および図3に示した例では、第1の層3がセパレータの役割も果たしていたが、セパレータとは別に、上記粒子を含む第1の層を正極活物質層1aと負極活物質層2aとの間に配置してもよい。このとき、セパレータは上記粒子を含んでいてもいなくてもよい。この場合の第1の層として用いる材料は、図1および図3に示すような、第1の層がセパレータとしての役割も担っている場合と同様であればよい。
【0035】
(実施の形態2)
実施の形態2では、本発明における二次電池の製造方法例について説明する。
【0036】
本発明における二次電池の製造方法は、ポリマーと、前記ポリマーに対する良溶媒と、前記ポリマーに対する貧溶媒と、所定の温度以上で膨張する粒子とを含む溶液を調整する第1の工程と、前記溶液を、正極板および負極板から選ばれる少なくとも一方の極板上に塗布して塗膜を形成する第2の工程と、前記塗膜中の前記良溶媒の除去に遅れて、前記貧溶媒を除去することで、前記粒子を含んだ多孔質膜を前記少なくとも一方の極板上に形成する第3の工程と、前記正極板と前記負極板との間に前記多孔質膜が置かれるように極板群を形成する第4の工程とを含み、前記所定の温度が、80℃以上である。
【0037】
このような製造方法とすることで、正極板と負極板との間に、所定の温度で膨張する粒子を含んだ、ポリマーからなる多孔質膜を配置することができる。ただし、上記所定の温度は、80℃以上の任意の温度である。よって、仮に短絡などにより電池の温度が急激に上昇した場合でも、上記粒子が膨張して正極活物質層と負極活物質層との距離を保持あるいは増大することができ、極板間の短絡および/または電気化学反応を抑制することができる。そのため、電池温度のさらなる上昇を防ぐことができ、より安全性、信頼性に優れた二次電池を得ることができる。また、極板上に直接塗布、乾燥を行うことで多孔質膜を形成しているため、多孔質膜にシワなどの発生が抑制され、電池成形時に捲回した場合にも両極板間の間隔を一定に保つことができ、信頼性のより向上した電池を得ることができる。なお、上記多孔質膜は、電気的に絶縁性で、電解液を含むことで電解質イオン伝導性を有するため、セパレータとしての役割を果たすことができる。この場合、電池温度の急激な上昇に伴う、電池内のセパレータの収縮を抑制することができ、より安全性、信頼性に優れた二次電池を得ることができる。
【0038】
ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル類や、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン類、その他、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタム、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、および、上記ポリマーの誘導体などを、単独または混合して用いることができる。また、上記ポリマーを構成する各種モノマー同士の共重合体を用いることもできる。
【0039】
なかでも、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル類、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオライド、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、および、上記ポリマーの誘導体が好ましい。複数のポリマーの混合物を用いることもできる。また、上記ポリマーを構成する各種モノマー同士の共重合体、例えば、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(P(VdF/HFP))などを用いることもできる。これらのポリマーは、電池の通常使用温度領域において、より柔軟性に優れており、充放電による活物質の体積変化に対して、追随することがより可能となる。
【0040】
良溶媒としては、使用するポリマーを溶解するものであればよい。用いるポリマーによって異なるが、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルフォキシド(DMSO)や、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートなどの炭酸エステル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどのエーテル類、その他、ジメチルアセトアミド、1−メチル−ピロリジノン、n−メチル−2−ピロリドン(NMP)などを用いることができる。
【0041】
貧溶媒としては、使用する良溶媒と相溶性があるものであればよい。用いるポリマーによって異なるが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール、エタノール、シクロヘキサノール、酢酸−n−ブチル、オクタノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−ドデカノールなどを用いることができる。なお、良溶媒の沸点と貧溶媒の沸点との大小関係は特に限定されない。
【0042】
粒子としては、上記良溶媒および上記貧溶媒に溶解するなどして粒子としての形状を維持できなくなるものでなければ、実施の形態1で示した粒子を用いることができる。
【0043】
また、膨張前における粒子の平均粒径は、3μm〜20μmの範囲であってもよい。粒子が上記範囲内にある場合、電池の通常使用時における正極活物質層と負極活物質層との距離をより最適にし、より電池特性に優れた二次電池を得ることができる。
【0044】
粒子の平均粒径を、正極と負極との極板間距離に合わせて任意に調整してもよい。この場合、粒子に、極板間の距離を一定に合わせるためのフィラーの役割も与えることができる。
【0045】
ポリマーと、良溶媒と、貧溶媒と、上記粒子とを含む溶液の調製は、一般的な公知の方法、例えば、ディスパー、ボールミルなどを用いればよい。上記溶液を調整する際には、混合する順序は特に限定されない。なお、調製時の温度は50℃以下が好ましい。
【0046】
上記溶液中のポリマーの割合は、上記溶液に対して、例えば、5質量%〜40質量%の範囲であり、10質量%〜40質量%の範囲が好ましい。上記溶液中の良溶媒の割合は、上記溶液に対して、例えば、50質量%〜90質量%の範囲であり、60質量%〜90質量%の範囲が好ましい。上記溶液中の貧溶媒の割合は、上記溶液に対して、例えば、1質量%〜20質量%の範囲であり、5質量%〜18質量%の範囲が好ましい。上記粒子の添加の割合は、例えば、ポリマーの質量に対して、10質量%〜60質量%の範囲であり、10質量%〜25質量%の範囲が好ましい。
【0047】
上記溶液の調製は、低湿度の雰囲気下で行ってもよい。低湿度雰囲気下で溶液が調製されることにより、塗布乾燥後の多孔質膜の強度をより向上させることができる。ここで、低湿度とは、相対湿度にして、およそ10%以下の範囲を意味している。露点温度で管理する場合、例えば、露点温度0℃〜−80℃の範囲で管理することもできる。
【0048】
このような低湿度の雰囲気を実現するためには、例えば、シリカを用いた水分吸着などを行ってもよい。また、低湿度雰囲気下である場合、静電気が発生しやすいが、不活性ガス雰囲気下であれば、各工程の安全性をより高くすることができる。上記不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴンなどを用いることができる。
【0049】
上記溶液の調製に際し、上記ポリマーに脱水したポリマーを用いてもよい。溶液を低湿度雰囲気下で調製する場合と同様に、塗布乾燥後の多孔質膜の強度をより向上させることができる。また、この場合、溶液を低湿度雰囲気下で調製することが好ましい。
【0050】
上記のようにして準備した溶液を極板へ塗布して塗膜を形成する方法は、特に限定されない。例えば、コーターを用いる場合、ダイノズル方式、グラビア方式、コンマ方式、スプレー方式、ドクターブレード方式など一般的に用いられている方法を用いればよい。必要に応じて、複数の塗布方法を用いてもよい。
【0051】
上記塗膜を形成する正極板および負極板としては、実施の形態1で説明した正極および負極を用いればよい。極板上への上記溶液の塗布厚さは、乾燥時に必要な多孔質膜の厚さに応じて任意に調節すればよい。
【0052】
上記塗膜を乾燥させる際には、上記塗膜中の上記良溶媒の除去に遅れて、上記貧溶媒を除去すればよい。上記粒子を含んだ多孔質膜を上記少なくとも一方の極板上に形成することができる。
【0053】
それぞれの溶媒を上記塗膜から除去する方法としては、溶媒置換抽出法により各溶媒を順に除去した後、置換に用いた溶媒を蒸発させて乾燥する方法を用いてもよいが、上記塗膜を溶媒置換せずに乾燥する方法を用いることができる。生産性の面からは、上記塗膜を溶媒置換せずに乾燥する方法が好ましい。溶媒置換せずに乾燥する方法としては、一般的に用いられている方法、例えば、熱風乾燥法、IR(赤外線)乾燥法などを用いればよい。その際の乾燥温度および乾燥時間は、塗膜の厚さ、各溶媒の種類に応じて調整すればよい。
【0054】
極板上に塗布された上記塗膜中において、ポリマーは良溶媒中に溶解した状態にあり、貧溶媒は良溶媒と相溶性があるため上記塗膜内に均等に存在していると考えられる。ただし、上記貧溶媒中にはポリマーは溶解していない。このような塗膜を乾燥させた場合、まず、ポリマーを溶解する良溶媒が蒸発気化していくと考えられる。良溶媒はポリマーを溶解するため、次々に塗膜表面に移動することができ、塗膜表面からの蒸発を続けることができる。それに対し、貧溶媒は、ポリマーを溶解しないために、ポリマー内に閉じ込められた状態となり、なかなか塗膜表面に移動できず蒸発することができないと思われる。しかし、乾燥をさらに続けると、貧溶媒はポリマー内で蒸発するため、貧溶媒の閉じ込められていた部分を孔として、上記ポリマーからなる多孔質層が得られると考えられる。粒子は、良溶媒および貧溶媒と相互作用をしないために、上記多孔質層内に均等に分散した状態にあると考えられる。
【0055】
上記のようにして得た多孔質膜を、正極板と負極板との間(正極活物質層と負極活物質層との間)に配置し、多孔質膜内に電解質を充填すれば、より安全性、信頼性に優れた二次電池を得ることができる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
ポリマーとしてポリビニリデンフルオロライド(PVdF)、良溶媒としてn−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用い、NMP900g中にPVdF100gを溶解させた。PVdFが完全に溶解した後、貧溶媒としてオクタノールを、PVdFと等量の100g加え、ディスパーを用いて回転速度1500rpmで120分間攪拌し、均質な状態とした。その後、メラミンからなる粒子(松本油脂工業製)を100g加え、ディスパーを用いて回転速度1500rpmで180分間攪拌し、上記粒子が均等に分散した溶液を調製した。
【0058】
なお、上記粒子はメラミンからなる中空体であり、トルエン(沸点110℃)を内包しており、100℃以上で膨張する特性を有している。また、膨張前(15℃〜35℃)における平均粒径は約10μmである。メラミンは、NMPおよびオクタノール中で安定している材料であり、また、内包しているトルエンに対しても安定である。
【0059】
上記溶液の作製は、相対湿度10%〜7%の雰囲気下で行った。また、不活性ガス(アルゴンガス)雰囲気下であり、雰囲気温度は23℃であった。
【0060】
また、PVdFは、予め真空乾燥(圧力5kPa(40mmHg)、60℃、20時間)にかけることで脱水処理を行ったものを用いた。図4に示すように、一般的な環境である、室温25℃〜30℃、相対湿度50%〜70%の雰囲気下におかれているPVdFの含水率が約125ppmであるのに対し、上記真空乾燥後のPVdFの含水率は約30ppmまで低下していることがわかる。NMPおよびオクタノールについても、真空乾燥は行えないものの、不活性ガス(アルゴンガス、相対湿度10%)雰囲気下に15時間放置することでできるだけ脱水を行ったものを使用した。
【0061】
上記のように調製した溶液を、コンマコーターを用いてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し塗膜を形成した。その後、形成した塗膜を60℃で30分間乾燥し、上記粒子を含んだPVdFからなる厚さ20μmの多孔質膜を得た(サンプル1a)。
【0062】
次に、PVdF、NMPおよびオクタノールの脱水処理を予め行わず、溶液の調製を一般的な環境である、温度25℃〜30℃、相対湿度50%〜70%の雰囲気下で行うことで多孔質膜を準備した(サンプル1b)。PVdFなどの脱水および溶液調製の雰囲気以外は、上記サンプル1a作製の際に示した材料、方法と全く同様である。
【0063】
上記のように準備したサンプル1a、サンプル1bの各多孔質膜に対し、引っ張り強度測定と、電子顕微鏡(SEM)による表面観察とを行った。
【0064】
引っ張り強度測定は以下のように行った。サンプル1a、サンプル1bの各多孔質膜を、長さ30mm、幅10mmの短冊状に形状加工し、引っ張り試験装置にセットして、破断前の最大強度を測定した。サンプル数はそれぞれ10とし、その平均値を求めた。結果を図5に示す。また、SEMによる表面観察の結果を図6および図7に示す。
【0065】
その結果、脱水処理を行わなかったサンプル1bの引っ張り強度が1.96N/mm2(0.2kgf/mm2)であるのに対し、PVdFなどの脱水処理と低湿度雰囲気下での溶液の調製とを行ったサンプル1aでは、引っ張り強度が24.5N/mm2(2.5kgf/mm2)と、10倍以上向上した。SEMによる表面観察の結果によれば、図6に示すサンプル1bでは、PVdFが凝集しており、凝集状態のPVdFが互いに細い束鎖によって結ばれた形状となっている。これに対し、図7で示すサンプル1aでは、PVdFの凝集は見られず、均一に形成された膜の表面に貧溶媒の蒸発に伴う孔が無数に存在する構造であった。サンプル1a、サンプル1bとも、全く問題なく二次電池に使用することができるが、ポリマーの脱水などと低湿度雰囲気下での溶液の調製とを行うことで、より強度に優れる多孔質膜を得られることがわかる。
【0066】
また、サンプル1a、サンプル1bとも、上記粒子は上記多孔質膜中に均等に分散しており、100℃以上の温度領域で粒子が約3倍膨張することが確認された。
【0067】
なお、ポリマーとしてビニリデンフルオロライド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(P(VdF/HFP))などを用いた場合も同様の結果を得ることができた。
【0068】
(実施例2)
本実施例では、実施例1で用いた、溶液調製を低湿度雰囲気下で行ったサンプルを用い、リチウムイオン二次電池を作製した。ただし、上記溶液の塗布は、正極活物質層上に行った。
【0069】
まず、実施例1と同様に、脱水したPVdF、NMP、オクタノール、メラミンからなる粒子を含んだ溶液を調製した。上記粒子は、実施例1で用いたものと同じ粒子である。。
【0070】
正極および負極は以下のようにして準備した。正極集電体としてアルミニウム箔(厚さ15μm)、正極活物質としてコバルト遷移金属の複合酸化物(LiCoO2)を用い、上記正極集電体の両面に上記正極活物質を塗布して、正極活物質層(片面の厚さ70μm)を形成し、正極を作製した。また、負極集電体として銅箔(厚さ15μm)、負極活物質として人造黒鉛を用い、上記負極集電体の両面に上記負極活物質を塗布して、負極活物質層(片面の厚さ80μm)を形成し、負極を作製した。なお、正極活物質の平均粒径は3μm、負極活物質の平均粒径は30μmであった。
【0071】
上記のように準備した正極の一方の面に、コンマコーターを用いて上記溶液を塗布し塗膜を形成した。その後、形成した塗膜を60℃で30分間乾燥し、上記粒子を含んだPVdFからなる厚さ20μmの多孔質膜を正極上に得た。なお、上記多孔質膜の平均孔径は1μmであり、上記多孔質膜中に上記粒子は均等に分散していることが確認できた。
【0072】
次に、上記正極上に形成された多孔質膜上に上記負極を積層して、正極、多孔質膜、負極からなる積層体を形成し、上記積層体を捲回してケースに収納した。続いて、ケースに非水系電解質を満たし、直径1.8cm、高さ6.5cmの円筒型リチウム二次電池を作製した(サンプル2a)。
【0073】
また、別に、以下のリチウム二次電池を準備した。
【0074】
正極および負極は、上記実施例サンプルと全く同じ物を準備した。セパレータとして、厚さ20μmのポリエチレン多孔質膜(平均孔径0.1μm)を準備した。上記セパレータを上記正極と上記負極とで狭持して積層体を形成し、上記積層体を捲回してケースに収納し、サンプル2aと同様にケース内に非水系電解質を満たし、直径1.8cm、高さ6.5cmの円筒型リチウム二次電池を作製した(サンプル2b)。
【0075】
上記のようにして準備したサンプル2aおよびサンプル2bの各サンプルに対し、電池温度を高温にした場合の電池特性の変化を測定した。
【0076】
まず、サンプル2aおよびサンプル2bの各サンプルを、各サンプルの端子電圧が4.2Vになるまで充電した。上記充電後、各サンプルを恒温槽に入れ、0℃から毎分5℃づつ150℃まで昇温し、150℃到達後は150℃を保持した。昇温開始後、各サンプルの端子電圧の変化を測定した。その結果を図8に示す。なお、図8に示すグラフの横軸は、昇温開始後の時間であり、150℃到達は約30分の時点であった。
【0077】
図8に示すように、サンプル2bは、温度が上昇するにつれ端子電圧が急激に下がり、また、150℃到達後は端子電圧がさらに急激に低下し、電池としての機能を失っていることがわかる。一方、サンプル2aでは端子電圧の低下傾向は見られるものの、サンプル2bに比べると低下傾向ははるかに小さく、昇温開始125分後においても約3Vの端子電圧を維持していることがわかる。また、ケース表面の温度を同時に測定したところ、さらなる発熱はほとんどみられなかった。これは、サンプル2aは上記した粒子を電池内に含んでおり、高温にさらされた場合に上記粒子が膨張することで、正極と負極との(正極活物質層と負極活物質層との)距離を保持あるいは増大し、電池としての機能を維持しているからであると考えられる。一方、サンプル2bでは、高温にさらされることで、電池としての機能を失っていると考えられる。
【0078】
なお、上述のように、正極上に多孔質膜を形成した場合だけでなく、負極上に多孔質膜を形成した場合、正極上および負極上の双方に多孔質膜を形成した場合にも同様の結果を得ることができた。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、短絡、過充電などにより電池の温度が急激に上昇した場合においても、電池温度の上昇をより確実に抑制することができる、より安全性、信頼性に優れた二次電池を提供することができる。また、上記二次電池の製造方法を提供することができる。
【0080】
なお、本明細書では、リチウムイオン二次電池を例として説明したが、他の二次電池、例えば、ニッケル水素電池などにおいても同様の効果を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における二次電池の構造例を示す断面図。
【図2】本発明における二次電池に含まれる粒子の例を示す図。
【図3】本発明における二次電池の構造例を示す断面図。
【図4】実施例において測定した、脱水処理前後におけるPVdFの含水率を示す図。
【図5】実施例において測定した、実施例および比較例の引っ張り強度試験の結果を示す図。
【図6】比較例で得られた多孔質膜の構造を示す図。
【図7】実施例で得られた多孔質膜の構造を示す図。
【図8】実施例において測定した、実施例および従来例の電池特性の結果を示す図。
【符号の説明】
1 正極
1a 正極活物質層
1b 正極集電体
2 負極
2a 負極活物質層
2b 負極集電体
3 第1の層
4 粒子
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次電池およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯型電子機器の小型・軽量化の要望は非常に大きいものがある。その実現のために、二次電池の性能および寿命に関してより一層の向上が求められており、これに対応すべく多様な開発、改良が進められている。二次電池に要求される特性として代表的なものは、高電圧、高エネルギー密度、安全性、寿命信頼性および低コスト性などである。二次電池のなかでも、リチウムイオン二次電池は、重量エネルギー密度、体積エネルギー密度ともに大きく、期待度が高い二次電池であり、現在、その改良が盛んに進められている。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、一般に、正極および負極と、この正極および負極に狭持されたセパレータとを備えている。セパレータは電気的に絶縁性であるが、リチウムイオン伝導性を有することが必要である(セパレータ単体でリチウムイオン伝導性を有する必要は必ずしもなく、電解質を含浸することでリチウムイオン伝導性を発現すればよい)。セパレータには、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリマーを二軸延伸方式により多孔質化させたフィルムシートなどが主に用いられている。
【0004】
イオン伝導層となるセパレータには、電池性能上、イオン伝導抵抗をできるだけ低くすることが要求される。そのため、可能な限りセパレータの膜厚を薄くすることが求められている。しかし、セパレータの膜厚が薄くなれば、充放電サイクルを繰り返すうちに正極と負極間で短絡が起きる可能性が増加することになる。また、鋭利な異物が刺さったりした場合などにも、セパレータが破損して短絡が起きる可能性がある。とりわけリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高く、仮に短絡した場合、大電流が集中することによって電池温度が急激に上昇する可能性がある。その他、過充電や過放電によっても、電池温度の急激な上昇が生じる可能性がある。
【0005】
これまで、短絡や過充電などに伴って極板の温度が上昇した場合に、熱によって溶融することで正極と負極とを絶縁し、それ以上の温度上昇を防ぐセパレータが開発されている(例えば、特許文献1参照)。上記セパレータはポリオレフィンの多孔質膜からなり、通常の使用状態では電解質を含むことでイオン伝導性を有している。短絡などにより電池温度が急激に上昇した場合は、発生した熱により溶融してセパレータ自身の孔が塞がれ、イオン伝導性を失うことで電気化学反応が停止する構造となっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−62662
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の技術とは別の方法により、仮に短絡などによって電池の温度が急激に上昇した場合でも、電池の温度上昇をより確実に抑制することができる、信頼性、安全性に優れた二次電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の二次電池は、
第1の集電体上に正極活物質層が配置された正極と、第2の集電体上に負極活物質層が配置された負極と、粒子を含んだ第1の層とを備え、
前記第1の層が、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置され、
前記粒子が、所定の温度以上で膨張し、
前記所定の温度が、80℃以上である。
【0009】
上記のような二次電池とすることで、仮に短絡などにより電池の温度が急激に上昇した場合でも、上記粒子が膨張して正極活物質層と負極活物質層との距離を保持あるいは増大することが可能で、極板間の短絡および/または電気化学反応を抑制することができる。そのため、電池温度のさらなる上昇を防ぐことができ、より安全性、信頼性に優れた二次電池を得ることができる。なお、80℃とは、一般的に電池が、異常による内部短絡や過充電などにより発熱が始まる下限温度域を反映する温度である。
【0010】
また、本発明の二次電池の製造方法は、
ポリマーと、前記ポリマーに対する良溶媒と、前記ポリマーに対する貧溶媒と、所定の温度以上で膨張する粒子とを含む溶液を調製する第1の工程と、
前記溶液を、正極板および負極板から選ばれる少なくとも一方の極板上に塗布して塗膜を形成する第2の工程と、
前記塗膜中の前記良溶媒の除去に遅れて、前記貧溶媒を除去することで、前記粒子を含んだ多孔質膜を前記少なくとも一方の極板上に形成する第3の工程と、
前記正極板と前記負極板との間に前記多孔質膜が置かれるように極板群を形成する第4の工程とを含み、
前記所定の温度が、80℃以上である。
【0011】
上記のような二次電池の製造方法とすることで、正極板と負極板との間に、所定の温度以上で膨張する粒子を含んだ、ポリマーからなる多孔質膜を配置することができる。よって、仮に短絡などにより電池の温度が急激に上昇した場合でも、上記粒子が膨張して正極活物質層と負極活物質層との距離を保持あるいは増大することができ、極板間の短絡および/または電気化学反応を抑制することができる。そのため、電池温度のさらなる上昇を防ぐことができ、より安全性、信頼性に優れた二次電池を得ることができる。また、極板上に直接塗布、乾燥を行うことで多孔質膜を得ているため、多孔質膜にシワなどの発生が抑制され、電池成形時に捲回した場合にも両極板間の間隔を一定に保つことができる。さらに、電池温度上昇時における多孔質膜の収縮も抑制することができるため、信頼性のより向上した電池を得ることができる。
【0012】
なお、本明細書における良溶媒とは、上記ポリマーのθ溶媒よりも上記ポリマーを溶解する溶媒のことであり、貧溶媒とは、上記ポリマーのθ溶媒よりも上記ポリマーを溶解しない溶媒を意味している。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は、本発明における二次電池の一部の構造例を示す断面模式図である。
【0014】
図1に示す例は、第1の集電体(正極集電体)1b上に正極活物質層1aが積層された正極1と、第2の集電体(負極集電体)2b上に負極活物質層2aが積層された負極2とを備えている。また、正極活物質層1aと負極活物質層2aとの間に、粒子4を含む第1の層3が狭持されている。図1に示す例では、第1の層3はセパレータの役割も果たしている。
【0015】
ここで、上記粒子は、所定の温度以上で膨張する粒子であればよい。ただし、上記所定の温度は、80℃以上の任意の温度である。正極活物質層と負極活物質層との間に配置されている第1の層が上記粒子を含むことで、仮に短絡などにより電池の温度が急激に上昇した場合でも、上記粒子が膨張することで正極活物質層と負極活物質層との距離を保持あるいは増大することができ、極板間の短絡および/または電気化学反応を抑制することができる。また、電池温度の急激な上昇に伴い、電池内のセパレータが収縮した場合でも、上記粒子が膨張することで正極活物質層と負極活物質層との距離を保持あるいは増大することができ、極板間の短絡および/または電気化学反応を抑制することができる。そのため、電池温度のさらなる上昇を防ぐことができ、より安全性、信頼性に優れた二次電池を得ることができる。
【0016】
膨張前における上記粒子の体積V1と、膨張後における上記粒子の体積V2とが、V2≧3×V1の関係を満たしていてもよい。粒子が上記の関係を満たす場合、上記粒子の膨張によって、正極活物質層と負極活物質層との距離を、より確実に保持あるいは増大することができる。なかでも、V2≧5×V1の関係を満たすことが好ましい。
【0017】
また、上記粒子の15℃〜35℃の範囲における体積V3と、110℃〜130℃の範囲における体積V4とが、V4≧3×V3の関係を満たしていてもよい。粒子が上記の関係を満たす場合に、上述した効果をより確実に得ることができる。なかでも、V4≧5×V3の関係を満たすことが好ましい。なお、15℃〜35℃は、電池の通常使用温度範囲に含まれる温度範囲であり、110℃〜130℃とは、電池内部が異常に発熱した状態に含まれる温度範囲である。
【0018】
また、上記粒子の膨張前における平均粒径は、3μm以上20μm以下の範囲であってもよい。粒子が上記範囲内にある場合、電池の通常使用時における正極活物質層と負極活物質層との距離をより最適にし、より電池特性に優れた二次電池を得ることができる。また、上記粒子が、上記第1の層中に5体積%〜35体積%の範囲で含まれていてもよい。
【0019】
上記粒子は中空体であってもよい。この場合、必要に応じて、内部に様々な材料(例えば、気体、液体、固体、ゲルなど)を内包させることが可能で、上記粒子の膨張特性を任意に変化させることができる。
【0020】
例えば、中空体である上記粒子が、上記所定の温度以上で気化する固体材料および液体材料から選ばれる少なくとも1種の材料を内包していてもよい。この場合、上記粒子が上記所定の温度以上の温度にさらされると、内包された上記少なくとも1種の材料が気化するため、上記粒子は速やかに膨張することができる。よって、電池温度が急激に上昇した場合でも、電池温度のさらなる上昇をより確実に抑制することができる。
【0021】
また、内包する上記少なくとも1種の材料を変化させることで、上記粒子の膨張率を制御することもできる。必要に応じて、気化する温度の異なる複数の材料を内包することもできる。また、上記少なくとも1種の材料の他に、必要に応じて任意の材料を含むことができる。例えば、粒子内部にリン酸アンモニウム、水酸化アンモニウムなどの消炎剤を内包させれば、仮に電池が発火して上記粒子が破損した場合でも、消炎させることが可能である。
【0022】
粒子4が中空体の場合の材料としては、膨張時に破裂、損傷などを起こさず、電池内の環境に耐えられる材質であれば特に限定されない。例えば、メラミン、ゼラチン、メラミンと尿素との結合体、ゼラチンと尿素との結合体、ウレタン、アクリロニトリルなどの共重合体、シリカなどを用いることができる。
【0023】
粒子4が中空体の場合、その内部に内包する材料としては、粒子4を構成する材料を損傷しない材料であれば特に限定されない。粒子4として必要な特性に応じて、任意に材料を選ぶことができる。例えば、炭化水素系の材料であるベンゼン、トルエンなどを用いれば、粒子4を80℃〜110℃で膨張させることができる。また、粒子4における中空部分の占める割合、および、粒子4における中空部分の体積に対して上記材料を内包する割合は特に限定されない。粒子4として必要な特性に応じて、任意に設定すればよい。
【0024】
膨張した上記粒子の一例を図2に示す。図2に示す例は、約100℃の雰囲気下において粒子が膨張している様子を捉えた電子顕微鏡(SEM)の写真である。このとき、上記粒子は、トルエンを内包したメラミンからなる中空体であり、セパレータを想定したポリビニリデンフルオロライドからなる多孔質材中に埋め込んである。15℃〜35℃の範囲における膨張前の上記粒子の体積は約523.3μm3(粒径約10μm)であったが、このとき約4倍(粒径45μm)まで膨張していることがわかる。なお、上記粒子の膨張時には、破損、破裂などは観察されなかった。
【0025】
正極集電体1bおよび負極集電体2bに用いる材料としては、電池内で安定な導電体であれば、特に限定されない。例えば、正極集電体1bとしてアルミニウム、負極集電体2bとして銅を用いることができる。
【0026】
また、正極集電体1bおよび負極集電体2bの形状としては、箔状、網状、エクスパンドメタルなど、任意の形状の集電体を用いることができる。網状、エクスパンドメタルなど、表面積が大きい形状の集電体を用いた場合、集電体上に配置される活物質との接着強度をより向上させることができる。
【0027】
正極活物質層1aの材料としては、電解質イオン(リチウムイオン二次電池の場合はリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出できる材料であれば、特に限定されない。リチウムイオン二次電池の場合、例えば、コバルト、マンガン、ニッケルなどの遷移金属の複合酸化物やカルコゲン化合物を用いることができる。あるいは、上記した化合物の複合化合物や、必要に応じて各種の元素を添加した化合物など、特に限定されることなく用いることができる。
【0028】
負極活物質層2aの材料としては、電位が正極活物質よりも低く、電解質イオンを可逆的に吸蔵および放出できる材料であれば特に限定されない。リチウムイオン二次電池の場合、例えば、黒鉛に代表される炭素質材料などを用いることができる。
【0029】
上記両活物質の形状としては、例えば、粒状の活物質を用いてもよい。この場合、上記活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm〜50μmの範囲である。上記の範囲では、活物質層としたときの薄膜化がより容易で、また、上記両活物質の充填密度をより適切な値に制御することができる。なかでも、充放電時における、イオンドープおよび脱イオンドープ効率の観点からは、上記活物質の平均粒径は3μm〜8μmの範囲が好ましい。
【0030】
第1の層3としては、電解質イオン透過度が大きく、電池内部で腐食などを受けず、一定の機械的強度を有した電気絶縁性の薄膜であれば特に限定されない。例えば、二次電池に一般的に用いられている、上記特性を備えた多孔質膜を用いてもよい。上記多孔質膜のなかでは、ポリマーからなる多孔質膜であることが好ましい。また、充放電による活物質の体積膨張および収縮に追随することのできるだけの柔軟性を有することが好ましい。
【0031】
第1の層3に用いる材料としては、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレンから選ばれる少なくとも1種のポリマーを含むオレフィン系ポリマーや、ガラス繊維からなるシート、不織布、または織布などを用いることができる。その他、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル類や、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン類、その他、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタム、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、および、上記ポリマーの誘導体などを、単独または混合して用いることができる。また、上記ポリマーを構成する各種モノマー同士の共重合ポリマーを用いてもよい。
【0032】
第1の層3の厚さは、図1に示すようにセパレータとしての役割も果たす場合、例えば、10μm〜25μmの範囲である。また、その平均孔径は、電極より脱離した活物質などが透過しない範囲であることが好ましく、例えば、0.1μm〜1.0μmの範囲である。また、セパレータの空孔率は、セパレータを構成する材料の電気絶縁性や電解質イオン透過性、セパレータの膜厚などにより決定されるが、例えば、50vol%〜75vol%の範囲である。
【0033】
また、粒子4には、正極1と負極2との距離を一定に保つフィラーとしての役割を与えることもできる。例えば、図3に示すように、第1の層3の厚さとほぼ同等の平均粒径を有する粒子4を、第1の層3中に配置してもよい。即ち、通常の使用温度領域において、粒子4は正極1と負極2との距離(正極活物質層1aと負極活物質層2aとの距離)を一定に保つフィラーとしての役割を担うことができる。
【0034】
なお、図1および図3に示した例では、第1の層3がセパレータの役割も果たしていたが、セパレータとは別に、上記粒子を含む第1の層を正極活物質層1aと負極活物質層2aとの間に配置してもよい。このとき、セパレータは上記粒子を含んでいてもいなくてもよい。この場合の第1の層として用いる材料は、図1および図3に示すような、第1の層がセパレータとしての役割も担っている場合と同様であればよい。
【0035】
(実施の形態2)
実施の形態2では、本発明における二次電池の製造方法例について説明する。
【0036】
本発明における二次電池の製造方法は、ポリマーと、前記ポリマーに対する良溶媒と、前記ポリマーに対する貧溶媒と、所定の温度以上で膨張する粒子とを含む溶液を調整する第1の工程と、前記溶液を、正極板および負極板から選ばれる少なくとも一方の極板上に塗布して塗膜を形成する第2の工程と、前記塗膜中の前記良溶媒の除去に遅れて、前記貧溶媒を除去することで、前記粒子を含んだ多孔質膜を前記少なくとも一方の極板上に形成する第3の工程と、前記正極板と前記負極板との間に前記多孔質膜が置かれるように極板群を形成する第4の工程とを含み、前記所定の温度が、80℃以上である。
【0037】
このような製造方法とすることで、正極板と負極板との間に、所定の温度で膨張する粒子を含んだ、ポリマーからなる多孔質膜を配置することができる。ただし、上記所定の温度は、80℃以上の任意の温度である。よって、仮に短絡などにより電池の温度が急激に上昇した場合でも、上記粒子が膨張して正極活物質層と負極活物質層との距離を保持あるいは増大することができ、極板間の短絡および/または電気化学反応を抑制することができる。そのため、電池温度のさらなる上昇を防ぐことができ、より安全性、信頼性に優れた二次電池を得ることができる。また、極板上に直接塗布、乾燥を行うことで多孔質膜を形成しているため、多孔質膜にシワなどの発生が抑制され、電池成形時に捲回した場合にも両極板間の間隔を一定に保つことができ、信頼性のより向上した電池を得ることができる。なお、上記多孔質膜は、電気的に絶縁性で、電解液を含むことで電解質イオン伝導性を有するため、セパレータとしての役割を果たすことができる。この場合、電池温度の急激な上昇に伴う、電池内のセパレータの収縮を抑制することができ、より安全性、信頼性に優れた二次電池を得ることができる。
【0038】
ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル類や、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン類、その他、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタム、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、および、上記ポリマーの誘導体などを、単独または混合して用いることができる。また、上記ポリマーを構成する各種モノマー同士の共重合体を用いることもできる。
【0039】
なかでも、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル類、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオライド、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、および、上記ポリマーの誘導体が好ましい。複数のポリマーの混合物を用いることもできる。また、上記ポリマーを構成する各種モノマー同士の共重合体、例えば、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(P(VdF/HFP))などを用いることもできる。これらのポリマーは、電池の通常使用温度領域において、より柔軟性に優れており、充放電による活物質の体積変化に対して、追随することがより可能となる。
【0040】
良溶媒としては、使用するポリマーを溶解するものであればよい。用いるポリマーによって異なるが、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルフォキシド(DMSO)や、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートなどの炭酸エステル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどのエーテル類、その他、ジメチルアセトアミド、1−メチル−ピロリジノン、n−メチル−2−ピロリドン(NMP)などを用いることができる。
【0041】
貧溶媒としては、使用する良溶媒と相溶性があるものであればよい。用いるポリマーによって異なるが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール、エタノール、シクロヘキサノール、酢酸−n−ブチル、オクタノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−ドデカノールなどを用いることができる。なお、良溶媒の沸点と貧溶媒の沸点との大小関係は特に限定されない。
【0042】
粒子としては、上記良溶媒および上記貧溶媒に溶解するなどして粒子としての形状を維持できなくなるものでなければ、実施の形態1で示した粒子を用いることができる。
【0043】
また、膨張前における粒子の平均粒径は、3μm〜20μmの範囲であってもよい。粒子が上記範囲内にある場合、電池の通常使用時における正極活物質層と負極活物質層との距離をより最適にし、より電池特性に優れた二次電池を得ることができる。
【0044】
粒子の平均粒径を、正極と負極との極板間距離に合わせて任意に調整してもよい。この場合、粒子に、極板間の距離を一定に合わせるためのフィラーの役割も与えることができる。
【0045】
ポリマーと、良溶媒と、貧溶媒と、上記粒子とを含む溶液の調製は、一般的な公知の方法、例えば、ディスパー、ボールミルなどを用いればよい。上記溶液を調整する際には、混合する順序は特に限定されない。なお、調製時の温度は50℃以下が好ましい。
【0046】
上記溶液中のポリマーの割合は、上記溶液に対して、例えば、5質量%〜40質量%の範囲であり、10質量%〜40質量%の範囲が好ましい。上記溶液中の良溶媒の割合は、上記溶液に対して、例えば、50質量%〜90質量%の範囲であり、60質量%〜90質量%の範囲が好ましい。上記溶液中の貧溶媒の割合は、上記溶液に対して、例えば、1質量%〜20質量%の範囲であり、5質量%〜18質量%の範囲が好ましい。上記粒子の添加の割合は、例えば、ポリマーの質量に対して、10質量%〜60質量%の範囲であり、10質量%〜25質量%の範囲が好ましい。
【0047】
上記溶液の調製は、低湿度の雰囲気下で行ってもよい。低湿度雰囲気下で溶液が調製されることにより、塗布乾燥後の多孔質膜の強度をより向上させることができる。ここで、低湿度とは、相対湿度にして、およそ10%以下の範囲を意味している。露点温度で管理する場合、例えば、露点温度0℃〜−80℃の範囲で管理することもできる。
【0048】
このような低湿度の雰囲気を実現するためには、例えば、シリカを用いた水分吸着などを行ってもよい。また、低湿度雰囲気下である場合、静電気が発生しやすいが、不活性ガス雰囲気下であれば、各工程の安全性をより高くすることができる。上記不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴンなどを用いることができる。
【0049】
上記溶液の調製に際し、上記ポリマーに脱水したポリマーを用いてもよい。溶液を低湿度雰囲気下で調製する場合と同様に、塗布乾燥後の多孔質膜の強度をより向上させることができる。また、この場合、溶液を低湿度雰囲気下で調製することが好ましい。
【0050】
上記のようにして準備した溶液を極板へ塗布して塗膜を形成する方法は、特に限定されない。例えば、コーターを用いる場合、ダイノズル方式、グラビア方式、コンマ方式、スプレー方式、ドクターブレード方式など一般的に用いられている方法を用いればよい。必要に応じて、複数の塗布方法を用いてもよい。
【0051】
上記塗膜を形成する正極板および負極板としては、実施の形態1で説明した正極および負極を用いればよい。極板上への上記溶液の塗布厚さは、乾燥時に必要な多孔質膜の厚さに応じて任意に調節すればよい。
【0052】
上記塗膜を乾燥させる際には、上記塗膜中の上記良溶媒の除去に遅れて、上記貧溶媒を除去すればよい。上記粒子を含んだ多孔質膜を上記少なくとも一方の極板上に形成することができる。
【0053】
それぞれの溶媒を上記塗膜から除去する方法としては、溶媒置換抽出法により各溶媒を順に除去した後、置換に用いた溶媒を蒸発させて乾燥する方法を用いてもよいが、上記塗膜を溶媒置換せずに乾燥する方法を用いることができる。生産性の面からは、上記塗膜を溶媒置換せずに乾燥する方法が好ましい。溶媒置換せずに乾燥する方法としては、一般的に用いられている方法、例えば、熱風乾燥法、IR(赤外線)乾燥法などを用いればよい。その際の乾燥温度および乾燥時間は、塗膜の厚さ、各溶媒の種類に応じて調整すればよい。
【0054】
極板上に塗布された上記塗膜中において、ポリマーは良溶媒中に溶解した状態にあり、貧溶媒は良溶媒と相溶性があるため上記塗膜内に均等に存在していると考えられる。ただし、上記貧溶媒中にはポリマーは溶解していない。このような塗膜を乾燥させた場合、まず、ポリマーを溶解する良溶媒が蒸発気化していくと考えられる。良溶媒はポリマーを溶解するため、次々に塗膜表面に移動することができ、塗膜表面からの蒸発を続けることができる。それに対し、貧溶媒は、ポリマーを溶解しないために、ポリマー内に閉じ込められた状態となり、なかなか塗膜表面に移動できず蒸発することができないと思われる。しかし、乾燥をさらに続けると、貧溶媒はポリマー内で蒸発するため、貧溶媒の閉じ込められていた部分を孔として、上記ポリマーからなる多孔質層が得られると考えられる。粒子は、良溶媒および貧溶媒と相互作用をしないために、上記多孔質層内に均等に分散した状態にあると考えられる。
【0055】
上記のようにして得た多孔質膜を、正極板と負極板との間(正極活物質層と負極活物質層との間)に配置し、多孔質膜内に電解質を充填すれば、より安全性、信頼性に優れた二次電池を得ることができる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
ポリマーとしてポリビニリデンフルオロライド(PVdF)、良溶媒としてn−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用い、NMP900g中にPVdF100gを溶解させた。PVdFが完全に溶解した後、貧溶媒としてオクタノールを、PVdFと等量の100g加え、ディスパーを用いて回転速度1500rpmで120分間攪拌し、均質な状態とした。その後、メラミンからなる粒子(松本油脂工業製)を100g加え、ディスパーを用いて回転速度1500rpmで180分間攪拌し、上記粒子が均等に分散した溶液を調製した。
【0058】
なお、上記粒子はメラミンからなる中空体であり、トルエン(沸点110℃)を内包しており、100℃以上で膨張する特性を有している。また、膨張前(15℃〜35℃)における平均粒径は約10μmである。メラミンは、NMPおよびオクタノール中で安定している材料であり、また、内包しているトルエンに対しても安定である。
【0059】
上記溶液の作製は、相対湿度10%〜7%の雰囲気下で行った。また、不活性ガス(アルゴンガス)雰囲気下であり、雰囲気温度は23℃であった。
【0060】
また、PVdFは、予め真空乾燥(圧力5kPa(40mmHg)、60℃、20時間)にかけることで脱水処理を行ったものを用いた。図4に示すように、一般的な環境である、室温25℃〜30℃、相対湿度50%〜70%の雰囲気下におかれているPVdFの含水率が約125ppmであるのに対し、上記真空乾燥後のPVdFの含水率は約30ppmまで低下していることがわかる。NMPおよびオクタノールについても、真空乾燥は行えないものの、不活性ガス(アルゴンガス、相対湿度10%)雰囲気下に15時間放置することでできるだけ脱水を行ったものを使用した。
【0061】
上記のように調製した溶液を、コンマコーターを用いてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し塗膜を形成した。その後、形成した塗膜を60℃で30分間乾燥し、上記粒子を含んだPVdFからなる厚さ20μmの多孔質膜を得た(サンプル1a)。
【0062】
次に、PVdF、NMPおよびオクタノールの脱水処理を予め行わず、溶液の調製を一般的な環境である、温度25℃〜30℃、相対湿度50%〜70%の雰囲気下で行うことで多孔質膜を準備した(サンプル1b)。PVdFなどの脱水および溶液調製の雰囲気以外は、上記サンプル1a作製の際に示した材料、方法と全く同様である。
【0063】
上記のように準備したサンプル1a、サンプル1bの各多孔質膜に対し、引っ張り強度測定と、電子顕微鏡(SEM)による表面観察とを行った。
【0064】
引っ張り強度測定は以下のように行った。サンプル1a、サンプル1bの各多孔質膜を、長さ30mm、幅10mmの短冊状に形状加工し、引っ張り試験装置にセットして、破断前の最大強度を測定した。サンプル数はそれぞれ10とし、その平均値を求めた。結果を図5に示す。また、SEMによる表面観察の結果を図6および図7に示す。
【0065】
その結果、脱水処理を行わなかったサンプル1bの引っ張り強度が1.96N/mm2(0.2kgf/mm2)であるのに対し、PVdFなどの脱水処理と低湿度雰囲気下での溶液の調製とを行ったサンプル1aでは、引っ張り強度が24.5N/mm2(2.5kgf/mm2)と、10倍以上向上した。SEMによる表面観察の結果によれば、図6に示すサンプル1bでは、PVdFが凝集しており、凝集状態のPVdFが互いに細い束鎖によって結ばれた形状となっている。これに対し、図7で示すサンプル1aでは、PVdFの凝集は見られず、均一に形成された膜の表面に貧溶媒の蒸発に伴う孔が無数に存在する構造であった。サンプル1a、サンプル1bとも、全く問題なく二次電池に使用することができるが、ポリマーの脱水などと低湿度雰囲気下での溶液の調製とを行うことで、より強度に優れる多孔質膜を得られることがわかる。
【0066】
また、サンプル1a、サンプル1bとも、上記粒子は上記多孔質膜中に均等に分散しており、100℃以上の温度領域で粒子が約3倍膨張することが確認された。
【0067】
なお、ポリマーとしてビニリデンフルオロライド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(P(VdF/HFP))などを用いた場合も同様の結果を得ることができた。
【0068】
(実施例2)
本実施例では、実施例1で用いた、溶液調製を低湿度雰囲気下で行ったサンプルを用い、リチウムイオン二次電池を作製した。ただし、上記溶液の塗布は、正極活物質層上に行った。
【0069】
まず、実施例1と同様に、脱水したPVdF、NMP、オクタノール、メラミンからなる粒子を含んだ溶液を調製した。上記粒子は、実施例1で用いたものと同じ粒子である。。
【0070】
正極および負極は以下のようにして準備した。正極集電体としてアルミニウム箔(厚さ15μm)、正極活物質としてコバルト遷移金属の複合酸化物(LiCoO2)を用い、上記正極集電体の両面に上記正極活物質を塗布して、正極活物質層(片面の厚さ70μm)を形成し、正極を作製した。また、負極集電体として銅箔(厚さ15μm)、負極活物質として人造黒鉛を用い、上記負極集電体の両面に上記負極活物質を塗布して、負極活物質層(片面の厚さ80μm)を形成し、負極を作製した。なお、正極活物質の平均粒径は3μm、負極活物質の平均粒径は30μmであった。
【0071】
上記のように準備した正極の一方の面に、コンマコーターを用いて上記溶液を塗布し塗膜を形成した。その後、形成した塗膜を60℃で30分間乾燥し、上記粒子を含んだPVdFからなる厚さ20μmの多孔質膜を正極上に得た。なお、上記多孔質膜の平均孔径は1μmであり、上記多孔質膜中に上記粒子は均等に分散していることが確認できた。
【0072】
次に、上記正極上に形成された多孔質膜上に上記負極を積層して、正極、多孔質膜、負極からなる積層体を形成し、上記積層体を捲回してケースに収納した。続いて、ケースに非水系電解質を満たし、直径1.8cm、高さ6.5cmの円筒型リチウム二次電池を作製した(サンプル2a)。
【0073】
また、別に、以下のリチウム二次電池を準備した。
【0074】
正極および負極は、上記実施例サンプルと全く同じ物を準備した。セパレータとして、厚さ20μmのポリエチレン多孔質膜(平均孔径0.1μm)を準備した。上記セパレータを上記正極と上記負極とで狭持して積層体を形成し、上記積層体を捲回してケースに収納し、サンプル2aと同様にケース内に非水系電解質を満たし、直径1.8cm、高さ6.5cmの円筒型リチウム二次電池を作製した(サンプル2b)。
【0075】
上記のようにして準備したサンプル2aおよびサンプル2bの各サンプルに対し、電池温度を高温にした場合の電池特性の変化を測定した。
【0076】
まず、サンプル2aおよびサンプル2bの各サンプルを、各サンプルの端子電圧が4.2Vになるまで充電した。上記充電後、各サンプルを恒温槽に入れ、0℃から毎分5℃づつ150℃まで昇温し、150℃到達後は150℃を保持した。昇温開始後、各サンプルの端子電圧の変化を測定した。その結果を図8に示す。なお、図8に示すグラフの横軸は、昇温開始後の時間であり、150℃到達は約30分の時点であった。
【0077】
図8に示すように、サンプル2bは、温度が上昇するにつれ端子電圧が急激に下がり、また、150℃到達後は端子電圧がさらに急激に低下し、電池としての機能を失っていることがわかる。一方、サンプル2aでは端子電圧の低下傾向は見られるものの、サンプル2bに比べると低下傾向ははるかに小さく、昇温開始125分後においても約3Vの端子電圧を維持していることがわかる。また、ケース表面の温度を同時に測定したところ、さらなる発熱はほとんどみられなかった。これは、サンプル2aは上記した粒子を電池内に含んでおり、高温にさらされた場合に上記粒子が膨張することで、正極と負極との(正極活物質層と負極活物質層との)距離を保持あるいは増大し、電池としての機能を維持しているからであると考えられる。一方、サンプル2bでは、高温にさらされることで、電池としての機能を失っていると考えられる。
【0078】
なお、上述のように、正極上に多孔質膜を形成した場合だけでなく、負極上に多孔質膜を形成した場合、正極上および負極上の双方に多孔質膜を形成した場合にも同様の結果を得ることができた。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、短絡、過充電などにより電池の温度が急激に上昇した場合においても、電池温度の上昇をより確実に抑制することができる、より安全性、信頼性に優れた二次電池を提供することができる。また、上記二次電池の製造方法を提供することができる。
【0080】
なお、本明細書では、リチウムイオン二次電池を例として説明したが、他の二次電池、例えば、ニッケル水素電池などにおいても同様の効果を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における二次電池の構造例を示す断面図。
【図2】本発明における二次電池に含まれる粒子の例を示す図。
【図3】本発明における二次電池の構造例を示す断面図。
【図4】実施例において測定した、脱水処理前後におけるPVdFの含水率を示す図。
【図5】実施例において測定した、実施例および比較例の引っ張り強度試験の結果を示す図。
【図6】比較例で得られた多孔質膜の構造を示す図。
【図7】実施例で得られた多孔質膜の構造を示す図。
【図8】実施例において測定した、実施例および従来例の電池特性の結果を示す図。
【符号の説明】
1 正極
1a 正極活物質層
1b 正極集電体
2 負極
2a 負極活物質層
2b 負極集電体
3 第1の層
4 粒子
Claims (11)
- 第1の集電体上に正極活物質層が配置された正極と、第2の集電体上に負極活物質層が配置された負極と、粒子を含んだ第1の層とを備え、
前記第1の層が、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置され、
前記粒子が、所定の温度以上で膨張し、
前記所定の温度が、80℃以上である二次電池。 - 膨張前における前記粒子の体積V1と、膨張後における前記粒子の体積V2とが、V2≧3×V1の関係を満たす請求項1に記載の二次電池。
- 膨張前における前記粒子の平均粒径が、3μm以上20μm以下の範囲である請求項1または2に記載の二次電池。
- 前記粒子が、前記第1の層中に5体積%〜35体積%の範囲で含まれる請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池。
- 前記粒子が、中空体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池。
- 前記中空体が、前記所定の温度以上で気化する固体材料および液体材料から選ばれる少なくとも1種の材料を内包する請求項5に記載の二次電池。
- 前記第1の層が、ポリマーからなる多孔質膜である請求項1〜6のいずれかに記載の二次電池。
- ポリマーと、前記ポリマーに対する良溶媒と、前記ポリマーに対する貧溶媒と、所定の温度以上で膨張する粒子とを含む溶液を調製する第1の工程と、
前記溶液を、正極板および負極板から選ばれる少なくとも一方の極板上に塗布して塗膜を形成する第2の工程と、
前記塗膜中の前記良溶媒の除去に遅れて、前記貧溶媒を除去することで、前記粒子を含んだ多孔質膜を前記少なくとも一方の極板上に形成する第3の工程と、
前記正極板と前記負極板との間に前記多孔質膜が置かれるように極板群を形成する第4の工程とを含み、
前記所定の温度が、80℃以上である二次電池の製造方法。 - 前記第1の工程が、相対湿度10%以下の雰囲気下で行われる請求項8に記載の二次電池の製造方法。
- 前記ポリマーが、脱水されたポリマーである請求項8に記載の二次電池の製造方法。
- 前記溶液中の前記ポリマーの割合が、10質量%〜40質量%の範囲である請求項8に記載の二次電池の製造方法。
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