JP2004106817A - 車両用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シート本体10を車両正面向き位置とドア開口部向き位置との間で回転させる回転ベース31上に、シート本体10がドア開口部を向いた状態で車幅方向に水平移動する幅方向スライドベース41を設け、そのスライドベース41に四節リンク機構44を介してシート本体10を支持する。四節リンク機構44のアッパリンクアーム44aにガイドローラ46を取り付け、そのガイドローラ46を回転ベース31に設けたカムプレート47のカム面上に乗せる。カム面は幅方向スライドベース41が移動するとき、ガイドローラ46が斜め方向に移動するように案内する連続して延在された傾斜案内面47bを有する。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば身体障害者や老人等(以下、単に乗員という)が車両への乗降を楽に行えるようにした車両用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の車両用シートとしては、図17に示すようなものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
図示のように、車両用シートの昇降装置は、シート本体101を車両正面向きの位置とドア開口部K向きの位置との間で回転させるための回転ベース102を有し、その回転ベース102上にはスライドベース103が水平移動可能に設けられ、さらにそのスライドベース103には、アッパリンクアーム104aとロアリンクアーム104bとから構成される上下方向に回動可能な四節リンク機構104を介してシート支持台105が支持されている。シート支持台105にはシート本体101がスライドベース103の移動方向と同方向に水平移動可能に支持されており、ドア開口部K側を向いた位置でシート支持台105に対して移動することにより、ドア開口部Kを経て車室内側と車室外側との間で車幅方向に移動されるようになっている。
そして、回転ベース102の端部には、昇降案内部材としての昇降ガイドピン106が設けられており、この昇降ガイドピン106により四節リンク機構104のロアリンクアーム104bを支えている。したがって、シート本体101が車室外側へ移動された状態で、スライドベース103がドア開口部Kに近づく方向へ移動されると、四節リンク機構104のロアリンクアーム104bが昇降ガイドピン106の上を滑りつつ下方へ回動してシート本体101が水平姿勢を保持したまま上昇位置から下降位置へ移動し、スライドベース103がドア開口部Kから遠ざかる方向へ移動されると、ロアリンクアーム104bが昇降ガイドピン106の上を滑りつつ上方へ回動されてシート本体101が下降位置から上昇位置へ移動する構成である。なお、ロアリンクアーム104bは、シート本体101を所定軌跡で昇降動作させるために湾曲状に形成されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−39622号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の車両用シートの昇降装置は、スライドベース103の移動に伴い湾曲状に形成されたロアリンクアーム104bが昇降ガイドピン106によって下方から支えられた状態で、該昇降ガイドピン106上を滑り移動しつつ上下方向へ回動する構成である。したがって、昇降ガイドピン106によって支持されるロアリンクアーム104bの支点Pから該ロアリンクアーム104bの回動中心Qまでの距離Lがスライドベース103の移動に伴って変化することになり、このため、例えば電動モータを駆動源とする駆動装置でスライドベース103を移動させる構成としたときは、電動モータに掛かる負荷が大きく変動することになる。このように電動モータに作用する負荷の変動幅が大きいことは、電動モータの劣化を早めるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両用シートにおいて、シート本体を上昇位置と下降位置との間で移動させるときの駆動源に作用する負荷の変動幅を小さくする上で有効な技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本発明に係る車両用シートは、請求項1〜7に記載の通り構成した。これら各請求項に記載の発明は、車両フロア側に後退位置と進出位置との間で水平方向に移動可能に設けられたスライドベースと、該スライドベースを移動させるための電動モータを駆動源とする駆動装置と、一端側でシート本体を支持し、他端側がスライドベースに上下方向に回動可能に取り付けられたシート昇降アームと、車両フロア側に設けられ、スライドベースの移動に伴いシート昇降アームを上下方向に回動するように案内する昇降案内部材とを備えており、スライドベースが後退位置と進出位置との間で移動することにより、シート昇降アームが上下方向に回動してシート本体が上昇位置と下降位置との間で移動するように構成された車両用シートにおいて、シート本体を上昇位置と下降位置との間で移動させるときの駆動源に作用する負荷の変動幅を小さくできるようにした技術である。
【0007】
請求項1に記載の車両用シートでは、昇降案内部材は、シート昇降アームに該シート昇降アームの回動中心から所定間隔で離間した位置に設けられた被支持部を下方から支持し、スライドベースが後退位置と進出位置との間で移動するとき、被支持部が所定軌跡で斜め方向に移動するように案内する連続して延在された傾斜状の案内面を有することを特徴としている。
すなわち、請求項1の発明は、スライドベースと共にシート昇降アームが移動するとき、昇降案内部材によって支持されるシート昇降アームの支点から該シート支持アームの回動中心までの距離を一定に維持する構成としたものである。このことにより、回動中心から支点までの距離が順次変化する従来に比べて電動モータに作用する負荷の変動幅を小さくすることができ、電動モータの負担を軽減して耐久性を向上することができる。
【0008】
請求項2に記載の車両用シートでは、昇降案内部材は、スライドベースが進出位置から後退位置へ移動されたとき、被支持部が水平移動する水平案内面を有していることを特徴としている。
したがって、スライドベースが後退位置へ移動された状態では、被支持部が昇降案内部材の水平案内面上に保持される。これにより、電動モータに負荷を掛けない状態でシート本体を上昇位置に保持することができる。
【0009】
請求項3に記載の車両用シートでは、シート昇降アームは、スライドベースが後退位置と進出位置との間で移動するとき、昇降案内部材による案内によって上下方向に回動される昇降移動領域と、上下方向の回動を伴わない水平移動領域とを移動する構成とされ、シート昇降アームの水平移動領域での水平移動は、該シート昇降アームの下面を該下面に摺接可能な水平保持部材で支持することによって行なわれ、シート昇降アームが水平移動領域を移動している間は、水平保持部材が被支持部よりも進出側にあることを特徴としている。
シート昇降アームの水平移動を、例えば昇降案内部材の水平案内面を被支持部が移動することで行う構成としたとき、シート昇降アームを回動可能に支持するスライドベースのアーム支持部に対して、シート本体側荷重の反力として上向きに力が作用する。この場合、シート昇降アームの回動中心から被支持部までの距離を大きく取れない場合、前記上向きの力が大きくなり、スライドベースを移動させる電動モータの負荷が増加することになる。
請求項3の発明によれば、シート昇降アームの下面を該下面に摺接する水平保持部材によって支持してシート昇降アームの水平移動を行わせる構成としたことにより、シート昇降アームが水平移動領域を移動する間において、シート昇降アームの回動中心から水平保持部材によるシート昇降アームの支点までの距離を長く設定することが可能になる。これにより、スライドベースのアーム支持部に作用する上向きの力を低減することができるとともに、スライドベースの移動を円滑化できる。
【0010】
請求項4に記載の車両用シートでは、昇降案内部材は、傾斜状の案内面の端部に該案内面上を斜め下方に向かって移動する被支持部と当接することで該被支持部のそれ以上の移動を規制するストッパ部を備えていることを特徴としている。したがって、請求項4の発明によれば、シート本体の下降位置への移動時において、ストッパ部によってシート昇降アームのオーバーランを防止することができる。また、昇降案内部材を形成する際にストッパを簡単に構成することができるとともに、部品点数を削減できる。
【0011】
請求項5に記載の車両用シートでは、昇降案内部材がカムプレートによって構成され、シート昇降アームの被支持部がカムプレート上を転動するローラによって構成されていることを特徴としている。したがって、請求項5の発明によれば、シート本体を所定軌跡で円滑に下降および上昇させることができる。
【0012】
請求項6に記載の車両用シートでは、シート昇降アームは、所定間隔を置いて配置された2枚のプレートと、その両プレートの対向端部同士を相互に結合する結合部材とから構成されており、両プレート間にローラが配置されていることを特徴としている。したがって、請求項6の発明によれば、シート昇降アームを所定間隔で対向する2枚のプレートで構成したことにより、例えば1枚のプレートで構成する場合に比べて、シート昇降アームの板厚方向(プレート配置方向)に関する剛性を高めることができるとともに、ローラを両持ちの安定した支持形態とすることができる。これにより、シート本体の昇降時あるいは水平移動時の横揺れを防止あるいは低減することができる。また、シート昇降アームは、所定の強度を確保した上で、アーム幅(プレート幅)を狭く設定することが可能になり、高さ方向のコンパクト化を実現できる。これにより、シート昇降アームをシート本体下面に配置したときの、シート高さを低く抑えることができる。
【0013】
請求項7に記載の車両用シートでは、スライドベースの駆動装置は、電動モータと、該電動モータによって回転されるねじ軸と、該ねじ軸に噛み合うナットとから構成されており、ねじ軸には、該ねじ軸とナットとの軸方向の相対的移動量が規定値を超えたときに、ナットと当接することによってそれ以上の相対的移動を規制するストッパ部材が備えられていることを特徴としている。
このような構成によれば、ねじ軸とナットとの軸方向の相対的移動量が規定値を超える、いわゆるオーバーラン時において、ねじ軸および該ねじ軸と電動モータとの間に設定される減速ギヤに反力が加わるのみであり、他部材への波及がない。このため、ねじ軸と減速ギヤの強度と、モータトルクの設定により、駆動装置の破損を防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、図1〜図11に基づいて第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る車両用シート1が助手席に適用された車両Mを示している。図1では、助手席のドアDが開放されて、シート本体10がドア開口部Kを経て室外側へ移動された状態が示されている。本例の車両用シート1は、シート本体10を車両前後方向に移動可能であり、かつ車両正面向きの位置とドア開口部K側に向いた位置との間で約90度回転させることができ、さらにはドア開口部K側に向いた状態で室内と室外との間で車幅方向に移動させることができる。ここでいうシート本体10は、シートクッション11およびシートバック12とを含めたものをいう。
図2〜図4に示すように、車両用シート1は、シート本体10と、このシート本体10を車両前後方向(図2〜図4の紙面に直交する方向)に移動させるための前後移動機構20と、シート本体10を車両正面向きの位置とドア開口部K側に向いた位置との間で回転させる回転機構30と、ドア開口部K側に向いた状態のシート本体10をドア開口部Kを経て室内と室外との間で車幅方向に移動(昇降)させる昇降装置40を備えている。
【0015】
前後移動機構20は、車両MのフロアFに上に固定された固定ベース21を有する。この固定ベース21の上面には、車両前後方向に相互に平行に取り付けたガイドレール22を介して前後方向スライドベース23が車両前後方向にスライド可能に設けられている。固定ベース21と前後方向スライドベース23との間には、前後移動用駆動源としての電動モータ24aとねじ軸24bとナット24cとを有する前後方向スライド用駆動装置24が取り付けられている。この前後方向スライド用駆動装置24の電動モータ24aを起動させることにより、ナット24cが噛み合うねじ軸24bを回転させ、これにより前後方向スライドベース23を車両前方または後方(紙面に直交する方向)へ移動することができる。
次に、回転機構30は、相互に同軸で回転可能に組み合わされた外輪30aと内輪30bを有している。外輪30aが前後方向スライドベース23の上面に固定され、内輪30bの上面に回転ベース31が固定されている。前後方向スライドベース23の上面には回転用駆動源としての電動モータ32が取り付けられている。この電動モータ32の回転出力は、図示省略した歯車伝達機構を介して内輪30bに伝達され、これにより回転ベース31ひいては該回転ベース31上に設置される昇降装置40およびシート本体10が一体で回転する。
【0016】
次に、昇降装置40は、回転機構30の回転ベース31上に車幅方向(図2において左右方向)にスライドする幅方向スライドベース41を備えている。この幅方向スライドベース41は、回転ベース31の両端縁に沿って相互に平行に取り付けたスライドレール41bを介して車幅方向にスライド可能に支持されている。図5は幅方向スライドベース41のスライド構造の概略を説明する側方から見た図であり、図6は同じく後方から見た図である。図示のように、幅方向スライドベース41は各スライドレール41bに対してそれぞれ2個のスライドローラ41aを介してスライド可能とされている。この両スライドローラ41aは、幅方向スライドベース41の側面に相互に一定の間隔をおいて回転可能に取り付けられている。
また、幅方向スライドベース41と回転ベース31との間には、幅方向スライド用駆動源としての電動モータ42aとねじ軸42bとナット42cを有する幅方向スライド用駆動装置42が設けられている。電動モータ42aを起動してナット42cが噛み合うねじ軸42bを回転させることにより、幅方向スライドベース41をドア開口部Kから離間した後退位置とドア開口部Kに接近した進出位置との間で移動させることができる。上記の幅方向スライドベース41、スライドレール41b、スライドローラ41aおよび幅方向スライド用駆動装置42によって幅方向スライド機構43が構成されている。上記の幅方向スライドベース41が本発明でいうスライドベースに対応し、幅方向スライド用駆動装置42が本発明でいう駆動装置に対応する。
【0017】
また、図2〜図4に示すように、幅方向スライドベース41の両側部には左右一対の四節リンク機構44が取り付けられている。なお、ここでいう左右とは、シート本体10が車両正面を向いた状態での左右である。両四節リンク機構44は、アッパリンクアーム44aとロアリンクアーム44bを備えている。両リンクアーム44a,44bは、一端がそれぞれ幅方向スライドベース41の側部に支軸44c,44dを介して上下方向に回動可能に支持され、他端が補助ベース45の側部に支軸44e,44fを介して回動可能に結合されている。すなわち、両リンクアーム44a,44bは、一端側が幅方向スライドベース41に支持され、他端側で補助ベース45を支持している。なお、アッパリンクアーム44aとロアリンクアーム44bとは、相互に干渉しないように、左右方向(板厚方向)で位置がずれている。上記のアッパリンクアーム44aが本発明でいうシート昇降アームに対応する。
【0018】
左右のアッパリンクアーム44aは、その回動中心である支軸44cの中心から所定距離を置いた位置にガイドローラ46を有しており、そのガイドローラ46が回転ベース31の左右両側に取り付けた左右のカムプレート47のカム面上に乗せられている。このため、幅方向スライドベース41と共に両四節リンク機構44が車幅方向へ移動されると、アッパリンクアーム44aのガイドローラ46がカムプレート47のカム面形状に沿って転動する。なお、カムプレート47は、断面形状が縦長の長方形をなすプレートからなり、上端にカム面が形成されている。
図7および図8にはそれぞれカムプレート47と四節リンク機構44が示されている。なお、四節リンク機構44の作動態様を示す図8では、ローラ付きアッパリンクアーム44aを主体に示している。図示のように、カムプレート47のカム面は、幅方向スライドベース41がドア開口部K側に向かって移動(後退位置から進出位置へ移動)するとき、ガイドローラ46が水平方向に移動するように案内する水平案内面47aと、ガイドローラ46が所定軌跡で斜め下方に移動するように案内する傾斜状の傾斜案内面47bとを有する。なお、傾斜案内面47bは緩やか連続して延在する曲面によって形成されている。したがって、ガイドローラ46がカムプレート47の傾斜案内面47b上を転動するときは、その傾きに応じて四節リンク機構44が支軸44c,44bを中心にして上下方向へ回動(傾斜)し、それに伴い四節リンク機構44で支持された補助ベース45ひいてはシート本体10が上昇位置と下降位置との間で昇降移動される。上記の四節リンク機構44、ガイドローラ46、カムプレート47によってシート本体10の昇降機構48が構成され、この昇降機構48と前述した幅方向スライド機構43とによって昇降装置40が構成される。上記のガイドローラ46が本発明でいう被支持部に対応し、カムプレート47が本発明でいう昇降案内部材に対応する。
なお、シート本体10の下降位置停止、すなわち幅方向スライドベース41の進出位置停止は、図示省略のリミットスイッチまたは電動モータ42aからのパルス信号によって行うが、それらに異常があった場合、いわゆるオーバーランが発生する。そこで、カムプレート47の傾斜案内面47b側の端部には、ガイドローラ46と当接することで、該ガイドローラ46が所定移動量を超えて移動することを規制する、いわゆるオーバーラン防止用のストッパ部47cが一体に形成されている。
【0019】
また、本実施の形態においては、四節リンク機構44を構成するリンクアームのうちのアッパリンクアーム44aは、所定間隔を置いて配置された2枚のプレート44a1,44a2を相互に結合することによって構成されている。すなわち、図6、図10および図11に示すように、2枚のプレート44a1,44a2は、幅方向スライドベース41の移動方向と交差する方向に所定間隔を置いて配置されるとともに、一端が筒状の軸受44gによって互いに結合され、他端が筒状の軸受44hによって互いに結合されている。これにより、2枚のプレート44a1,44a2からなる剛性の高いアッパリンクアーム44aが構成されている。そして、一方の軸受44gに嵌通された支軸44cの端部が幅方向スライドベース41の側部に取り付けられ、他方の軸受44hに嵌通された支軸44eの両端が補助ベース45の側部に取り付けられる。これにより、アッパリンクアーム44aは、幅方向スライドベース41および補助ベース45に対してそれぞれ回動可能とされている。上記の軸受44g,44hが本発明の請求項6でいう結合部材に対応する。また、2枚のプレート44a1,44a2間には、前述したガイドローラ46が配置され、ローラ軸46aの各端部が2枚のプレート44a1,44a2によって支持されている。
【0020】
補助ベース45の上面側には、シート本体10を支持するシート支持台51が車幅方向(幅方向スライドベース41と同方向)にスライド可能に設けられている。図9はシート支持台51のスライド構造の概略を説明する側方から見た図であり、図10は同じく前方から見た図である。図示のように、シート支持台51は下面に互いに平行な2本のスライドレール51aを有しており、このスライドレール51aが補助ベース45に回転可能に取り付けられた複数のガイドローラ45aによってスライド可能に支持されている。補助ベース45とシート支持台51との間には、補助スライド用駆動源としての電動モータ52aとねじ軸52bとナット52cとを有する補助スライド用駆動装置52が設けられている。この補助スライド用駆動装置52の電動モータ(補助スライドモータ)52aを起動してナット52cが噛み合うねじ軸52bを回転させることにより、シート本体10を補助ベース45に対して車幅方向へ移動することができる。上記のガイドローラ45a、シート支持台51、スライドレール51a、および補助スライド用駆動装置52によってシート本体10の補助スライド機構50が構成されている。
このようにシート本体10は、幅方向スライド機構43と補助スライド機構50により2段階で車幅方向に移動する。
【0021】
この場合、シート本体10の補助スライド機構50による移動は、車幅方向の水平移動であるが、幅方向スライド機構43による移動は、前述したように、車幅方向と上下方向に変位する移動である。すなわち、幅方向スライドベース41を後退位置から進出位置へ移動させたときは、四節リンク機構44が車室外側へ移動しつつ下方向へ回動し、補助ベース45ひいてはシート本体10が円弧状の軌跡を描きながら上昇位置から下降位置へ移動(下降)する。逆に、幅方向スライドベース41を進出位置から後退位置へ移動させたときは、四節リンク機構44が車室内側へ移動しつつ上方へ回動し、シート本体10が円弧状の軌跡を描きながら下降位置から上昇位置へ戻される。
【0022】
以上のように構成した車両用シート1は、以下のようにして車室内から車室外へ移動し、これにより着座者が車室内から車室外へ降車することができる。
先ず、図1において二点鎖線で示すように着座者が車両正面向きに位置する着座位置において、前後スライド用の電動モータ24aが正転側へ起動すると、シート本体10が車両前方へスライドする。また、回転用の電動モータ32が起動すると、シート本体10は、車両前方へスライドしつつドア開口部K側へ向けて約90度回転する。なお、本例ではシート本体10の着座位置からドア開口部K側へ約43゜回転した後、前後スライド用の電動モータ24aが起動して、回転動作と前後スライド動作が同時に行われるように両電動モータ24a,32が制御される。図8には、カムプレート47により移動されるシート本体10の各移動位置が示されており、(A)が上昇位置、(B)が中間位置、(C)が下降位置である。
【0023】
シート本体10がドア開口部K側に向けられた状態において、補助スライド用の電動モータ52aが起動してシート本体10がドア開口部Kを経て車両室外側に水平移動される。この状態が図3に示されている。補助スライド機構50により移動されたシート本体10は、ドア開口部Kを通り抜ける状態になる。
【0024】
その後、幅方向スライド機構43の電動モータ42aが起動して幅方向スライドベース41が後退位置から進出位置へ向かって移動する。これによりシート本体10が四節リンク機構44を介してさらに車室外側へ移動する。このときの移動軌跡はカムプレート47のカム面の形状で決定される。本例ではカムプレート47に水平案内面47aを設けてあるため、ガイドローラ46がこの水平案内面47aを通過するまではほぼ水平移動される。そして、ガイドローラ46が水平案内面47aを通過すると、その後は傾斜案内面47bの傾きに対応して四節リンク機構44が下方へ回動し、シート本体10が上昇位置から下降位置へと移動される。この状態が図4に示されている。
この状態では、シート本体10が車両室外側へ十分な距離だけ移動し、かつ路面に近い高さまで下降されているので、着座者は例えばシート本体10に横付けした車椅子へ楽に乗り移ることができる。
乗り移りが完了してシート本体10に着座者がいなくなった後、上記とは逆の動作により当該シート本体10が車両室内に戻される。また、乗車時には、車両室外に移動されたシート本体10に着座者が乗り移って着座した後、上記とは逆の動作によりシート本体10が車室内の着座位置に戻される。この間、着座者はシート本体10に着座した状態のままでよいので、着座者および介護者の労力が大幅に低減される。
【0025】
ところで、図17に示したように、従来の昇降装置では、四節リンク機構44のロアリンクアーム104bが昇降ガイドピン106上を滑りながら回動する構成のため、ロアリンクアーム104bの回動中心Qから支点Pまでの距離Lがスライドベース103の移動に伴って変化する関係で、スライドベース103を移動させる電動モータに掛かる負荷が大きく変動することになる。
しかるに、本実施の形態に係る車両用シートの昇降装置40においては、図7および図8に示すように、四節リンク機構44のアッパリンクアーム44aにガイドローラ46を取り付け、そのガイドローラ46がカムプレート47のカム面を転動する構成としたことにより、幅方向スライドベース41の移動中、アッパリンクアーム44aの回動中心Qから支点(カムプレート47とガイドローラ46との当接点)Pまでの距離Lが一定に保持される。このため、ガイドローラ46がカムプレート47の傾斜案内面47bを転動するときに電動モータ42aに作用する負荷が変動しても、その変動幅は従来に比べて小さくものとなり、しかも負荷変動が徐変となるため、電動モータ42aの負担を軽減して耐久性を向上することができる。また、シート本体10の上昇位置と下降位置との間での移動軌跡は、カムプレート47のカム形状により決められるため、円滑な移動軌跡を設定することができる。
【0026】
また、本実施の形態では、カムプレート47は、幅方向スライドベース41が進出位置から後退位置へ移動されたとき、ガイドローラ46が水平移動する水平案内面47aを有する構成としている。したがって、幅方向スライドベース41が後退位置へ移動された状態では、ガイドローラ46がカムプレート47の水平案内面47a上に保持される。これにより、幅方向スライド用の電動モータ42aに負荷を掛けない状態でシート本体10を上昇位置に保持することができる。
また、カムプレート47は、傾斜案内面47bの端部に該傾斜案内面47b上をガイドローラ46が斜め下方に向かって移動するとき、該ガイドローラ46と当接することでガイドローラ46のそれ以上の移動を規制するストッパ部47cを備えている。このため、ストッパ部47cによってアッパリンクアーム44aひいてはシート本体10のオーバーランを防止することができ、しかもカムプレート47を形成する際にストッパ部47cを簡単に構成することができるとともに、例えば幅方向スライドベース41の移動を別部品のストッパで規制する構成を採用した場合に比べて部品点数を削減できる。
また、シート本体10は補助スライド機構50によって車室外側へ移動後、下降する構成であるので、車室外側への移動距離を大きく設定することができる結果、より路面に近い高さまでシート本体10を下降することができ、この点でも着座者の当該シート本体10と例えば車椅子との間の乗り移り動作をより楽に行うことができるようになる。
【0027】
また、本実施の形態では、左右の各アッパリンクアーム44aを、それぞれ筒状の軸受44g,44hで相互に結合された2枚のプレート44a1,44a2によって構成している。これにより、1枚のプレートで構成した場合に比べると、アッパリンクアーム44aに必要な強度を確保した上で、各プレート44a1,44a2のアーム幅(上下方向寸法)を狭く形成することが可能となる。その結果、四節リンク機構44は、全体として高さ方向に関してコンパクト化されることになり、該四節リンク機構44をシート本体10の下面に位置するように配置したときの、シート本体10の高さを低く抑える上で有効となる。
また、上記のように構成されたアッパリンクアーム44aは、板厚方向(プレート44a1,44a2の配置方向)に関する剛性が高められ、また、幅方向スライドベース41および補助ベース45に対して支軸44c,44eの両端が支持された安定した支持構造が得られる。しかも、ガイドローラ46は、ローラ軸46aの両端がそれぞれプレート44a1,44a2で支持された両持ちの安定した支持形態となる。これにより、シート本体10の昇降時あるいは水平移動時の横揺れを防止あるいは低減することができる。
【0028】
次に、本発明の第2の実施形態を図12および図13に基づいて説明する。この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態における昇降機構48に関する変更例である。第1の実施形態では、カムプレート47は、アッパリンクアーム44aに設けたガイドローラ46が水平方向に移動するように案内する水平案内面47aと、ガイドローラ46が所定軌跡で斜め下方に移動するように案内する傾斜状の傾斜案内面47bとを有する構成となっている。すなわち、アッパリンクアーム44aは、上下方向に回動される昇降移動領域と、上下方向の回動を伴わない水平移動領域とを移動する構成とされ、昇降移動領域ではカムプレート47の傾斜案内面47bによって案内され、水平移動領域ではカムプレート47の水平案内面47aによって案内される構成である。
上記のような構造の場合、アッパリンクアーム44aの回動中心である幅方向スライドベース41のアーム支持部には、シート本体10側荷重の反力として、上向きの力(以下、持ち上げ力という)が作用する。この持ち上げ力は、回動中心Qから支点P(ガイドローラ46の取付位置)までの距離Lに反比例する。このため、持ち上げ力を小さくするには、支点Pを回動中心Qから遠ざけることが好ましいが、十分な回動角度を確保するには、カムプレート47を下方へ延長しなければならず、シート本体10の回転時に干渉しないようにするには、装置全体の高さが高くなってしまう。このため、支点Pを回動中心Qから遠ざけることには自ずと限界がある。
【0029】
そこで、幅方向スライドベース41が移動する際に、該幅方向スライドベース41に作用する持ち上げ力を低減することを目的として、第2の実施形態を提供している。
図12はシート本体10の昇降機構48を説明する側方からみた図であり、図13は同じく後方から見た図である。なお、図12では直接には関係しないロアリンクアーム44bが省略され、アッパリンクアーム44aを主体に示している。図示のように、第2の実施形態においては、アッパリンクアーム44aの下面を直接支えて該アッパリンクアーム44aが水平移動するように案内する水平保持部材としての補助ローラ61が設けられている。補助ローラ61はカムプレート47の側面における、水平案内面47aと傾斜案内面47bとの境界付近に取り付けられ、定位置で回転可能とされている。
すなわち、第2の実施形態では、幅方向スライドベース41が後退位置と進出位置との間で移動されるとき、アッパリンクアーム44aの水平移動領域での移動については、補助ローラ61によって案内し、昇降移動領域の移動については、第1に実施形態と同様にカムプレート47の傾斜案内面47bをガイドローラ46が転動することで案内する構成としたものである。なお、その他の構成については、第1の実施形態と同様に構成される。
【0030】
図12において、幅方向スライドベース41が進出位置側に移動されてシート本体10(図12および図13では図示省略)が下降位置に移動された状態(二点鎖線参照)では、ガイドローラ46がカムプレート47の傾斜案内面47bで案内されている。この状態では、アッパリンクアーム44aは補助ローラ61から離れている。幅方向スライドベース41が進出位置から後退位置に向かって移動すると、ガイドローラ46が傾斜案内面47bを上向きに転動し、アッパリンクアーム44aの回動中心が補助ローラ61を超えて水平案内面47a側へ移動するにつれてアッパリンクアーム44aが上方へ回動しつつ水平姿勢に近づく。すると、アッパリンクアーム44aの下面が補助ローラ61に接触し始め、この状態から幅方向スライドベース41がさらに後退位置に向かって移動すると、ガイドローラ46がカムプレート47の水平案内面47aから離れる。これによりアッパリンクアーム44aは補助ローラ61によって支えられることになり、アッパリンクアーム44aの支点Pは、補助ローラ61に移る。この状態が図12に実線で示されている。その後、アッパリンクアーム44aは二点鎖線で示すように、水平状態を維持しつつ幅方向スライドベース41が後退位置に達するまで移動されることになる。
【0031】
なお、幅方向スライドベース41が後退位置から進出位置側に移動されるときは、アッパリンクアーム44aは、補助ローラ61によって支えられて水平移動されるが、アッパリンクアーム44aの回動中心が補助ローラ61を超えて傾斜案内面47b側へ移動すると、アッパリンクアーム44aが下方へ回動され、それに伴いガイドローラ46がカムプレート47の傾斜案内面47bに乗る。これによりアッパリンクアーム44aの支点が補助ローラ61からカムプレート47の傾斜案内面47b(ガイドローラ46)に切り替わる。
【0032】
このように、第2の実施形態では、アッパリンクアーム44aの移動は、カムプレート47により案内されて上下方向に回動されながら移動する昇降移動領域と、補助ローラ61により案内されて上下方向の回動を伴わずに移動する水平移動領域とを有する構成である。そして、アッパリンクアーム44aが水平移動領域を移動している間は、補助ローラ61がガイドローラ46よりもカムプレート47の傾斜案内面47b側、換言すればドア開口部に近い側にある。この傾斜案内面47b側が請求項3でいう進出側に対応する。
上記のように構成された第2の実施形態によれば、アッパリンクアーム44aが水平移動領域を移動するときは、回動中心Qから支点Pまでの距離Lを長く取ることが可能となる。これにより、幅方向スライドベース41のアーム支持部に作用する持ち上げ力を低減することができる。その結果、幅方向スライドベース41を移動させる電動モータ42aの負担を低減できるとともに、幅方向スライドベース41のこじれを防止して円滑な移動を確保し、またリンク機構等の各部材のたわみを減らして部材相互の干渉を回避することができる。また、カムプレート47の水平案内面47aについては、これを省略することが可能となる。
なお、第2の実施形態では回転可能な補助ローラ61によって水平保持部材を構成しているが、回転しない部材に変更しても差し支えない。
【0033】
次に、本発明の第3の実施形態を図14〜図16に基づいて説明する。前述した第1の実施形態では、シート本体10の下降位置への移動時における、いわゆるオーバーランを防止するために、カムプレート47の先端にストッパ部47cを形成している。ところが、このような構成の場合、オーバーラン時にガイドローラ46がストッパ部47cに当接したときの衝撃伝達が、アッパリンクアーム44a、カムプレート47、幅方向スライドベース41等のほか、幅方向スライドベース41の駆動装置である、ねじ軸42b、ナット42c等々、多岐にわたる可能性がある。
【0034】
そこで、シート本体10の下降位置への移動時において、該シート本体10のオーバーランを規制したときに生ずる衝撃が広範囲にわたって伝達しないようにすることを目的として、第3の実施形態を提供している。
この第3の実施形態では、幅方向スライドベース41(図14〜図16では図示省略)を移動させる幅方向スライド用駆動装置70にオーバーラン防止手段が備えられている。図14に示すように、幅方向スライド用駆動装置70は、駆動源としての電動モータ71、該電動モータ71から減速ギヤ72を介して回転されるねじ軸73、該ねじ軸73に噛み合う可動ナット74等から構成されており、例えば電動モータ71、減速ギヤ72、ねじ軸73が幅方向スライドベース41側に取り付けられ、可動ナット74が回転ベース31側に取り付けられる。そして、ねじ軸73には、下降位置へ移動されるときのシート本体10のオーバーランを防止する手段として固定ナット75が設けられている。固定ナット75はねじ軸73に対して移動できないように取り付けられており、この固定ナット75が本発明でいうストッパ部材に対応する。
【0035】
シート本体10の下降位置停止、すなわち幅方向スライドベース41の進出位置停止は、第1の実施形態で説明したように、図示省略のリミットスイッチまたは電動モータ71からのパルス信号によって行うが、それらに異常があった場合にオーバーランが発生することになる。
図15はシート本体10が所定の下降位置に停止された正常停止時を示しており、このときは、可動ナット74と固定ナット75とは、予め定められた間隔Cを保有して対向している。図16はシート本体10が所定の下降位置を超えて移動したオーバーラン発生時を示しており、可動ナット74と固定ナット75が当接することによって移動を規制している。
このように、第3の実施形態によれば、オーバーラン時において、ねじ軸73に固定された固定ナット75と可動ナット74が当接する構成のため、ねじ軸73および該ねじ軸73と電動モータ71との間に設定される減速ギヤ72に反力が加わるのみであり、他部材への波及がない。このため、ねじ軸73と減速ギヤ72の強度と、モータトルクの設定により、駆動装置の破損を防止できる。また、オーバーラン時、ねじ軸73の伸び分で停止するので、従来に比べて少ないオーバーランで停止することができる。
【0036】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更してもよい。
例えば、車両用シート1が助手席に適用された場合で説明したが、適用箇所は助手席に限られるものではない。また、シート本体10が、前後移動機構20によって前後方向に移動する構成、回転機構30によって回転する構成、さらには補助スライド機構50によって車幅方向に水平移動する構成のうちの、いずれか1つあるいは2つさらにはすべてを有しない態様で実施してもよい。
また、本発明でいうシート昇降アームは、四節リンク機構44に限定されない。また昇降案内部材としてのカムプレート47の断面形状は、縦長の長方形に限定されない。ガイドローラ46はロアリンクアーム44bに設けてもよい。被支持部はガイドローラ46以外のもので構成してもよい。また、四節リンク機構44におけるアッパリンクアーム44aは、2枚のプレート44a1,44a2で構成したが、1枚のプレートで構成しても差し支えない。
また、第3の実施形態は、シート本体10の下降位置への移動、すなわち幅方向スライドベース41の進出位置でのオーバーラン防止に適用したが、例えば前後方向スライドベース23やシート支持台51の移動について適用することが可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、車両用シートにおいて、シート本体を上昇位置と下降位置との間で移動させるときの駆動源に作用する負荷の変動幅を小さくする上で有効な技術を提供することができ、これにより駆動源の負担を軽減して耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の車両用シートの動きを示す図であって、車両の平面図である。
【図2】車両用シートの後面図であり、図1の矢印(2)方向から見た示す図である。本図は、シート本体がドア開口部側に向けられた状態を示している。
【図3】車両用シートの後面図であり、シート本体が補助スライド機構により車室外側へ移動した状態を示している。
【図4】車両用シートの後面図であり、シート本体が幅方向スライド機構により室外側に移動し、これとともに路面に近い高さまで下降した状態を示している。
【図5】幅方向スライドベースのスライド構造の概略を説明する側方から見た図である。
【図6】同じく後方から見た図である。
【図7】シート本体の昇降機構を説明する図である。
【図8】昇降機構の作動態様を説明する図である。
【図9】シート支持台のスライド構造の概略を説明する側方から見た図である。
【図10】同じく前方から見た図である。
【図11】四節リンク機構の左側のアッパリンクアームおよびロアリンクアームを示す斜視図である。
【図12】第2の実施形態に係るシート本体の昇降機構を説明する側方からみた図である。
【図13】同じく前方から見た図である。
【図14】第3の実施形態に係る幅方向駆動装置を示す図である。
【図15】正常停止時を示す図である。
【図16】オーバーラン発生時を示す図である。
【図17】従来の昇降装置を説明する図である。
【符号の説明】
1…車両用シート
10…シート本体
40…昇降装置
41…幅方向スライドベース
42…幅方向スライド用駆動装置
42a…電動モータ
44…四節リンク機構
44a…アッパリンクアーム(シート昇降アーム)
46…ガイドローラ(被支持部)
47…カムプレート(昇降案内部材)
47c…ストッパ部
47a…水平案内面
47b…傾斜案内面
61…補助ローラ(水平保持部材)
F…車両のフロア
K…ドア開口部
Claims (7)
- 車両フロア側に後退位置と進出位置との間で水平方向に移動可能に設けられたスライドベースと、該スライドベースを移動させるための電動モータを駆動源とする駆動装置と、一端側でシート本体を支持し、他端側が前記スライドベースに上下方向に回動可能に取り付けられたシート昇降アームと、前記車両フロア側に設けられ、前記スライドベースの移動に伴い前記シート昇降アームを上下方向に回動するように案内する昇降案内部材とを備えており、前記スライドベースが後退位置と進出位置との間で移動することにより、前記シート昇降アームが上下方向に回動して前記シート本体が上昇位置と下降位置との間で移動するように構成された車両用シートであって、
前記昇降案内部材は、前記シート昇降アームに該シート昇降アームの回動中心から所定間隔で離間した位置に設けられた被支持部を下方から支持し、前記スライドベースが後退位置と進出位置との間で移動するとき、前記被支持部が所定軌跡で斜め方向に移動するように案内する連続して延在された傾斜状の案内面を有することを特徴とする車両用シート。 - 請求項1に記載の車両用シートであって、前記昇降案内部材は、前記スライドベースが進出位置から後退位置へ移動されたとき、前記被支持部が水平移動する水平案内面を有していることを特徴とする車両用シート。
- 請求項1に記載の車両用シートであって、前記シート昇降アームは、前記スライドベースが後退位置と進出位置との間で移動するとき、前記昇降案内部材による案内によって上下方向に回動される昇降移動領域と、上下方向の回動を伴わない水平移動領域とを移動する構成とされ、前記シート昇降アームの前記水平移動領域での水平移動は、該シート昇降アームの下面を該下面に摺接可能な水平保持部材で支持することによって行なわれ、前記シート昇降アームが前記水平移動領域を移動している間は、前記水平保持部材が前記被支持部よりも進出側にあることを特徴とする車両用シート。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の車両用シートであって、前記昇降案内部材は、前記傾斜状の案内面の端部に該案内面上を斜め下方に向かって移動する前記被支持部と当接することで該被支持部のそれ以上の移動を規制するストッパ部を備えていることを特徴とする車両用シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の車両用シートであって、前記昇降案内部材がカムプレートによって構成され、前記シート昇降アームの被支持部が前記カムプレート上を転動するローラによって構成されていることを特徴とする車両用シート。
- 請求項5に記載の車両用シートであって、前記シート昇降アームは、所定間隔を置いて配置された2枚のプレートと、その両プレートの対向端部同士を相互に結合する結合部材とから構成されており、前記両プレート間に前記ローラが配置されていることを特徴とする車両用シート。
- 請求項1〜3または5あるいは6のいずれかに記載の車両用シートであって、前記スライドベースの駆動装置は、電動モータと、該電動モータによって回転されるねじ軸と、該ねじ軸に噛み合うナットとから構成されており、前記ねじ軸には、該ねじ軸と前記ナットとの軸方向の相対的移動量が規定値を超えたときに、前記ナットと当接することによってそれ以上の相対的移動を規制するストッパ部材が備えられていることを特徴とする車両用シート。
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