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JP2004105515A - イオン導入具 - Google Patents

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秋庭 正典
Toshio Miyake
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Abstract

【課題】手軽に用いることができ、全体として嵩ばらず、日常生活における動作の妨げになり難いイオン導入具を提供することを課題とする。
【解決手段】保持部材と、保持部材上に保持された箔状の陰極と、保持部材上に保持され、箔状の導通抵抗部材を介して陰極と連結してなる、陰極よりイオン化傾向が小さい部材からなる箔状の陽極と、陰極及び/又は陽極上に保持されたゲル状部材とを含んでなるイオン導入具を提供することによって前記課題を解決する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、イオン導入具に関するものであり、より詳細には、手軽に用いることができ、全体として嵩ばらず、日常生活における動作の妨げになり難いイオン導入具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特許第2797118号明細書
【0003】
イオン導入(イオントホレーシス)は、正又は負に荷電した電極と、イオン性生理活性物質との電気的反発力を利用して、生理活性物質を経皮的に投与する方法で、注射投与などとは違って、原理上、投与に際して、痛みや恐怖感などの肉体的、精神的な苦痛を伴わない特徴を有している。従来のイオン導入具は、その多くが一対の電極と、電極に平流又は低周波のパルス電圧を印加するための発振回路と、発振回路を付勢するための電源回路とにより構成されていたことから、全体として嵩張り易く、一般家庭では取扱い難いうえに、電池ないしは電灯線等の電源を必要とするものであった。そのため、電池が消耗したり、電灯線を利用できない環境へ持ち出すと、全くイオン導入できなくなるとの問題があった。
【0004】
イオン導入具における斯かる課題を解決する方法として、特許文献1においては、貴金属を主体とする陽極と、金属酸化物による半導体を主体とする陰極とを導線により接続するイオン導入具が提案されている。このイオン導入具は、貴金属と半導体との接触電位差を利用していることから、原理上、従来のイオン導入具においては不可欠の要素となっていた電池や電灯線などの電源を一切要しないという利点がある。しかしながら、斯かるイオン導入具においても、電極同士を導線で接続したり、陽極の一側に生理活性物質を含浸せしめるマトリックスが設けられているので、全体として嵩張り易く、体表面に当接すると、日常生活における動作を妨げ易いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
斯かる状況に鑑み、本発明の課題は、手軽に用いることができ、全体として嵩ばらず、日常生活における動作の妨げになり難いイオン導入具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等が鋭意検討し、研究したところ、保持部材と、保持部材上に保持された箔状の陰極と、保持部材上に保持され、箔状の導通抵抗部材を介して陰極と連結してなる、陰極よりイオン化傾向が小さい箔状の陽極と、陰極及び/又は陽極上に保持されたゲル状部材とを含んでなるイオン導入具は、簡便に用いることができ、全体として嵩ばらず、日常生活における動作の妨げになり難いことが判明した。とりわけ、例えば、箔状の導通抵抗部材を介して陰極と陽極とを連結する態様によるときには、電極同士を接続する導線を省略でき、接触不良を皆無とし、電極部分を含め、器具全体を軽量かつ湾曲可能なシート状に成形できるとの優れた利点が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、前記課題を、保持部材と、保持部材上に保持された箔状の陰極と、保持部材上に保持され、箔状の導通抵抗部材を介して陰極と連結してなる、陰極よりイオン化傾向が小さい箔状の陽極と、陰極及び/又は陽極上に保持されたゲル状部材とを含んでなるイオン導入具を提供することによって解決するものである。
【0008】
さらに、本発明は、前記課題を、斯かる構成のイオン導入具において、陽極が、金属又は金属を主体とする部材(以下、特に断りがない限り、「金属又は金属を主体とする材料」を単に「金属」と略記する。)、又は、前記金属を、前記保持部材上又はこの保持部材とは異なる他の箔状の部材上に蒸着して得られる箔状体であるイオン導入具を提供することによって解決するものである。
【0009】
さらに、本発明は、前記課題を、斯かる構成のイオン導入具において、陰極が、陽極よりイオン化傾向が大きい金属又は金属を主体とする部材を、前記保持部材上又はこの保持部材とは異なる他の箔状の部材上に蒸着して得られる箔状体であるイオン導入具を提供することによって解決するものである。
【0010】
さらに、本発明は、前記課題を、斯かる構成のイオン導入具において、導通抵抗部材の抵抗値が、ヒトを含む哺乳動物の皮膚における抵抗値を越えるイオン導入具を提供することによって解決するものである。
【0011】
さらに、本発明は、前記課題を、斯かる構成のイオン導入具において、導通抵抗部材が、導電性のカーボン、導電性のセラミック、導電性のプラスチック及び導電性の金属から選ばれる1種又は2種以上から選ばれる1種又は2種以上からなるイオン導入具を提供することによって解決するものである。
【0012】
さらに、本発明は、前記課題を、斯かる構成のイオン導入具において、ゲル状部材上に箔状の離型部材を保持させてなるイオン導入具を提供することによって解決するものである。
【0013】
さらに、本発明は、前記課題を、斯かる構成のイオン導入具において、離型部材が、透明又は不透明の離型部材であるイオン導入具を提供することによって解決するものである。
【0014】
さらに、本発明は、前記課題を、斯かる構成のイオン導入具において、形態がシート状であるイオン導入具を提供することによって解決するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態につき、以下、図示実施例に基づいて説明する。図1は本発明のイオン導入具の一実施例の平面透視図であり、また、図2は切断線A−A’に沿って縦断した図1に示す実施例の縦断面図である。図1、図2中、1は保持部材であって、通常、皮膚貼付剤において汎用される、柔軟性を有する、例えば、紙、布、不織布、木材、竹、プラスチック、ポリマー及びこれらの積層体などの箔状非電導材料を用い、これをイオン導入すべき体表面の部位に応じた形状、大きさに裁断して作製される。生体の体表面と接触する保持部材1上には、粘着剤として、通常、皮膚貼付剤に汎用される、天然、合成若しくは半合成の粘着性高分子基剤の1又は複数と、必要に応じて、これに粘性付与剤、軟化剤、無機充填剤、吸収促進剤、溶解剤、香料、色素などの1又は複数を配合せしめてなる、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコン系の含水粘着剤(膏体)などの1又は複数を部分的に展延させることもできる。
【0016】
図1、図2中、2は金属又は金属を主体とする部材からなる陽極であり、通常、金、銀、白金又はそれらの合金などの貴金属又はそれらを主体とする材料を薄く展延するか、これらの金属又は金属を主体とする材料からなる、線状又は偏平帯状体を汎用の方法により織りあげて、保持部材1上に汎用の方法で保持させるか、又は、保持部材1又は保持部材1とは異なる他の箔状の保持部材上に、スパッタリング、真空蒸着、化学蒸着などの汎用の方法で蒸着して、厚さ1,000μm以下、好ましくは、1乃至500μm、より好ましくは、1乃至100μmの箔状に形成して陽極2とすることができる。本例においては、陽極2として、金箔を適宜粘着剤を介して保持部材1上に積層することによって、保持部材1上に保持させている。陽極2は、通常、後述する陰極3よりイオン化傾向が小さい電極により構成される。又、陽極2としては、非電導材料としての、保持部材1とは異なる、例えば、箔状プラスチック又は箔状非電導体を主体とする他の部材(ベース)の一部又は全面に、陽極2を構成する金属を積層したり、スパッタリング、真空蒸着、化学蒸着などの汎用の方法により、陽極2を構成する部材で覆ったり、斯かる部材からなる線状又は偏平帯状体を、必要に応じて、化学繊維などと汎用の方法により混紡し、織りあげて陽極2とすることもできる。電極2、電極2のベースとしての保持部材1、この保持部材とは異なる他の箔状の部材、及び陰極3は、それぞれ独立して、通常、厚さ1,000μm以下、好ましくは、1乃至500μm、より好ましくは、1乃至100μmの箔状に成形する。又、前記ベース上に電極2を配置する場合には、好適には、それらの厚みの合計を1乃至1,000μmの範囲とする。又、保持部材1、電極2及び陰極3の厚みは、全体を均質に構成してもよいし、部分的に厚みを任意に変えることもできる。
【0017】
図1、図2中、3は箔状の陰極であって、陽極2に対し、イオン化傾向が大きい金属、金属以外の導体、及び半導体から選ばれる1種又は2種以上の材料からなる陰極であり、通常、金属と接触して電位を発生する、例えば、カーボン、電導性プラスチック、電導性セラミック、チタン、鉄、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、炭素、錫、アンチモン、ビスマス、又はこれらの合金などの電導体か、あるいは、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどの半導体を薄く展延するか、これら半導体からなる線状又は偏平帯状体を、必要に応じて、化学繊維などとともに、汎用の方法により混紡し、織りあげてるか、更には、保持部材1とは異なる、箔状プラスチック又は箔状の非電導体をベースとして、その一部又は全体に陰極3を構成する部材を公知の方法により積層するか、更には、前記部材を前記ベースの一部又は全部に、スパッタリング、真空蒸着、化学蒸着などの汎用の方法により蒸着して、厚さ1,000μm以下、好ましくは、1乃至500μm、より好ましくは、1乃至100μm以下の箔状の陰極3とすることができる。本例においては、2片の長方形状のアルミニウム箔を陰極3、3とし、適宜結着剤を介して保持部材1上に積層する。陽極2と陰極3、3とは、導通抵抗部材4、4を介して連結される。本例においては、箔状の導通抵抗部材4、4を陽極2と陰極3、3上に部分的に積層しているが、陽極2と陰極3、3との間に位置する間隙X、Xにも、導通抵抗部材4、4と同じか異なる部材を配置し、これら電極間の短絡を実質、皆無とすることができる。又、導通抵抗部材4、4において、好適には、生体の皮膚表面と当接する部分に、非導伝性部材を汎用の方法により配置して、導通抵抗部材4、4が生体の皮膚表面とが直接接触しないようにする。又、陽極2と陰極3、3とを連結するための導通抵抗部材4、4の抵抗は、イオン導入すべきイオン性生理活性物質の種類、性質、導入時間、又、イオン導入具を適用するヒトを含む生体に応じて適宜設定することができ、通常、ヒトを含む哺乳動物の皮膚における抵抗値を越えるように設定する。又、導通抵抗部材4、4の抵抗が、ヒトを含む哺乳動物の皮膚における抵抗値を下回ると、生体の皮膚に好ましくない刺激を与える場合があることから好ましくない。更に、導通抵抗部材4、4の抵抗の上限はないが、抵抗が高くなるにつれ、イオン導入すべきイオン性生理活性物質のイオン導入速度が低下することを考慮して設定すべきである。一般的には、導通抵抗部材4、4の抵抗は、通常、0kΩを越え1,000kΩ以下、好ましくは、10kΩを越え500kΩ以下、より好ましくは、50kΩを越え100kΩ以下とする。斯かる導通抵抗部材4、4は、鉄、金、アルミニウム等の金属、カーボン、カーボンナノチューブ、電導性プラスチック、電導性セラミック、導電性ペースト、導電性コーティング剤等の1種又は2種以上を適宜配合し、汎用の方法により加工して、前記抵抗値を有する導通抵抗部材4、4とする。この際、希釈剤、帯電防止剤、オーバーコート剤、結着剤、塗料、ポリマー等の1種又は2種以上を配合することもできる。尚、導通抵抗部材4、4としては、断線の原因となる線状部材を除く。
【0018】
図1、図2中、5は陽極2上に保持させてなるゲル状部材であって、通常、皮膚に副作用なく安全に接触させることができ、本発明のイオン導入具により、皮下に導入しようとするイオン性生理活性物質を安定に保持し得る部材であればよく、天然、合成若しくは半合成の粘着性高分子基剤の1又は複数を適宜組み合わせて用いることができる。前記粘着性高分子基剤としては、寒天、アルギン酸、カラギーナン、ファーセルラン、ゼラチン、ペクチン、澱粉、キサンタンガム、ジェランガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、タマリンド種子ガム、カードラン、カラギーナン、ジェランガム、プルラン等の多糖類及びこれら誘導体、更には、アクリル系、ゴム系、シリコン系の含水部材等を例示できる。これら粘着性高分子基剤には、必要に応じて、粘性付与剤、軟化剤、無機充填剤、吸収促進剤、溶解剤、香料、色素などの1種又は2種以上を適宜配合することができる。
【0019】
本発明においては、支持部材1上における陽極2と陰極3との配置、形状は図1、図2に示すもののみに限定されず、要は、陽極2と陰極3とが支持部材1により保持された状態で、両電極が導通抵抗部材4介して連結され、陽極2及び/又は陰極3、3上に保持させたゲル状部材5を生体の体表面に当接させたとき、陽極2と陰極3との間に接触電位差を生じ、ゲル状部材5に保持させたイオン性生理活性物質を皮下へ投与し得る限り、それらの配置、形状は問わない。又、ゲル状部材5を当接させる生体の体表面の部位の形状、大きさに応じて、ゲル状部材5を配置する陽極2、陰極3の形状、大きさを工夫したり、陰極3が体表面と接触する側の一部を絶縁部材で被覆するなどしてもよい。尚、図1、図2においては、ゲル状部材5は陽極2上のみに配置しているが、必要に応じて、陽極2及び陰極3上に、又は、陰極3上にのみ配置することもできる。本発明のイオン導入具においては、陽極2側から陰イオン性生理活性物質が、陰極3側から陽イオン性生理活性物質が皮膚にイオン導入されるものである。更に、図1、図2における陽極2と陰極3の配置を、必要に応じて逆転させることも可能である。
【0020】
図1、図2に見られる実施態様においては、従来のイオン導入具において不可欠の要素であった、陽極と陰極とを接続するための導線を省略できるとともに、イオン導入具を柔軟性とし、全体の嵩を小さくでき、かつ、導線の腐食によるイオン導入具の故障を実質上皆無とすることができるとの利点を有している。尚、イオン導入する部位によっては、適用時間が長くなると、発汗により皮膚が蒸れたり、かゆみを生じたり、体表面との接触抵抗が極端に低下することがあるので、ゲル状部材を当接する生体の体表面が比較的広い場合などには、例えば、保持部材1、陽極2、陰極3、導通抵抗部材4又はゲル状部材5の適所に複数の貫通穴を穿設したり、それら電極の一部又は全体を網目状の箔状体となるように形成することも随意である。
【0021】
又、必要に応じて、生体の体表面に当接する側のゲル状部材5上に、保存期間中、ゲル状部材5を塵埃、外的衝撃等から保護すると共に、ゲル状部材5中に含まれる水分等の溶剤の蒸発を抑制するための部材として、離型部材を配置することもできる。離型部材としては、例えば、透明乃至不透明な離型部材、例えば、水分・溶媒不浸透性の紙、付加重合系プラスチック、重縮合系プラスチック、付加縮合系プラスチック、重付加系プラスチック、及び開環重合系プラスチック等を材料として、ゲル状部材5の全面を覆うことのできる形状、大きさに加工、細断することにより調製する。前記プラスチックの代表例としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ホリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等を例示できる。尚、斯かる離型部材は、本発明のイオン導入具の使用前に、ゲル状部材5から剥離し、本発明のイオン導入具によるイオン導入を途中で一時的に中断する場合には、ゲル状部材5上に再び載置することにより、ゲル状部材5の劣化を防止することができる。
【0022】
本発明のイオン導入具を構成する各部材は、それぞれ独立して、必要に応じて、単層又は2層以上の多層構造体とすることもできる。例えば、ゲル状部材に関し、これを多層構造とし、各層に種類の異なるイオン性生理活性物質を別々に配合する場合には、個々のイオン性生理活性物質を皮膚にイオン導入する時間的タイミングを変えることができる。又、必要に応じて、導通性抵抗部材を多層構造とし、生体の体表面と当接する最外側に、最も抵抗値が低い導通性抵抗部材を配置し、次いで、それよりも抵抗値が高い導通性抵抗部材をこの順に配置するとともに、各層間に、導通性の剥離自在の箔状の導通性部材を配置しておき、一層ずつ剥がすことにより、導通性抵抗部材の抵抗値を変え得るように配置することにより、イオン導入したいイオン性生理活性物質の導入速度を調節することもできる。更に、各構成部材の形状、大きさは、当該イオン導入具により、イオン性生理活性物質を導入したい生体の体表面の形状、面積に応じて設定すればよく、図1に示すもののみに決して限定されない。
【0023】
図1、図2に示す本発明のイオン導入具の使用方法について説明すると、ゲル状部材5をイオン性生理活性物質を導入したい生体の体表面に当接すると共に、陰極3の一側表面の一部又は全部を生体の体表面の一部に当接して用いるものである。斯くして、陽極2、陰極3、3、導通抵抗部材4、4、及び皮膚からなる電路が形成され、陽極2及び陰極3、3がそれぞれ負及び正に帯電することとなる。即ち、陽極2は、陰極3、3から供給される電子により負に帯電し、その電気的反発力により、陽極2上に載置したゲル状部材5中に含まれる陰イオン性生理活性物質が、生体の皮膚に浸透することとなる。一方、陽イオン性生理活性物質を含むゲル状部材5を陰極3、3に設けた場合には、陽イオン性生理活性物質を皮下に浸透させることができる。又、陰極3、3とゲル状部材5とを生体の体表面に当接するに際し、予め、処置する体表面を、例えば、溶液、軟膏又はゲル状の電導性媒体で湿潤させておくことにより、ゲル状部材5中に含ませたイオン性生理活性物質のイオン導入効率を高めることができる。
【0024】
本発明のイオン導入具は、全体として軽量なシート状の用具であり、ゲル状部材5は生体の体表面と密着乃至密接させることができることから、特段の補助具なくして、比較的長時間に亘って、処置した体表面に保持させることができる。尚、本発明のイオン導入具で処置する生体の部位によっては、このイオン導入具を所定の部位に保持するために、粘着テープ、包帯、サポーター等の補助具を用いて固定することも随意である。
【0025】
本発明のイオン導入具は、正又は負に荷電する、例えば、麻酔剤、催眠鎮痛剤、抗不安剤、抗癲癇剤、解熱鎮痛消炎剤、興奮剤、覚醒剤、抗パーキンソン剤、精神神経用剤、中枢神経用剤、骨格筋弛緩剤、自律神経用剤、鎮痙剤、眼科用剤、耳鼻科用剤、鎮暈剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、高脂血症用剤、循環器官用剤、呼吸促進剤、鎮咳去痰剤、気管支拡張剤、アレルギー用剤、止瀉剤、整腸剤、消化性潰瘍治療剤、健胃消化剤、制酸剤、下剤、利胆剤、脳下垂体ホルモン剤、唾液腺ホルモン剤、甲状腺ホルモン剤、抗甲状腺ホルモン剤、蛋白同化ステロイド剤、副腎皮質ホルモン剤、男性ホルモン剤、卵胞・黄体ホルモン剤、混合ホルモン剤、泌尿生殖器・肛門用剤、外皮用殺菌消毒剤、創傷保護剤、化膿性疾患用外用剤、鎮痛・鎮痒・収斂・消炎剤、寄生性皮膚疾患用剤、皮膚軟化剤・腐食剤、歯科・口腔用剤、ビタミン剤、無機質製剤、止血剤、血液凝固阻止剤、肝臓疾患用剤、解毒剤、習慣性中毒用剤、痛風治療剤、酵素製剤、糖尿病用剤、抗悪性腫瘍剤、放射性医薬品、抗ヒスタミン剤、刺激療法剤、生薬、漢方処方による医薬品、抗生物質、化学療法剤、生物学的製剤、駆虫剤・抗原虫剤、X線造影剤、診断用薬、麻薬、細胞賦活用剤、治療補助剤などの医薬品における薬効成分や、基礎化粧品、頭髪用化粧品、口腔衛生品などの香粧品における、例えば、L−アスコルビン酸並びにその塩及び誘導体、エスチオール、エラグ酸、塩化カルプロニウム、カフェイン、感光素、麹酸、サリチル酸、トコフェロール、ニコチン酸、乳酸、リボフラビン、さらには、動植物由来のテルペン化合物、脂質、生理活性蛋白質などの栄養成分、保湿成分、エモリエント成分、角質軟化成分、血行促進成分、美白成分、発毛成分、育毛成分、口臭抑制成分、知覚過敏抑制成分、殺菌成分をはじめとする諸種の生理活性物質へ適用することができる。ただし、これらは単なる例示であって、本発明のイオン導入具により皮下へ投与される生理活性物質は決して上記のものに限定されてはならない。
【0026】
斯かるイオン性生理活性物質は、通常、例えば、ゲル状部材5に、水、エタノール、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの適宜媒体若しくは基剤に溶解させるか分散させて配合する。本発明のイオン導入具を適用する部位は、生体の体表面の一部位又は複数部位へ同時又は逐次に適用してもよい。顔面へ適用する場合には、保持部材を顔面の凹凸に応じた、例えば、フェイスパック状のものを採用するとともに、陽極及び陰極を適用部位に応じた適宜の形状に形成する。適用目的やイオン性生理活性物質の種類にもよるけれども、イオン導入の時間は、被適用者の症状や適用部位の状態などを注意深く観察しながら、通常、0.1時間以上、24時間まで、好ましくは、0.5乃至5時間の範囲で加減する。ペプチドホルモン、サイトカインなどの高分子の生理活性物質や、弱く荷電するか、あるいは、分子の一部だけが荷電する生理活性物質をイオン導入する場合には、イオン導入を促進するために、必要に応じて、斯かる生理活性物質とともに、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N´,N´−四酢酸などのキレート剤を含有する吸収促進剤を同時又は逐次に併用してもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明のイオン導入具は、保持部材と、保持部材上に保持された箔状の陰極と、保持部材上に保持され、箔状の導通抵抗部材を介して陰極と連結してなる、陰極よりイオン化傾向が小さい箔状の陽極と、陰極及び/又は陽極上に保持されたゲル状部材とを含んでなる、軽量かつシート状のイオン導入具であることから、全体として嵩張らず、適度の柔軟性を有し、しかも当接する生体の体表面の形状、大きさに応じた形状、大きさとすることができることから、日常生活における動作の妨げになり難いとの利点を有している。ゲル状部材を陽極又は陰極とを生体の体表面の所定の部位に当接するだけで、ゲル状部材に含有させたイオン性生理活性物質を容易かつ効率的に皮膚に導入できると共に、当該イオン導入具は、従来の装置とは違って、電極同士を接続する導線を有さないことから、腐食によるイオン導入具の故障を実質皆無とし得る実益もある。
【0028】
斯くも顕著な効果を奏する本発明は、斯界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるイオン導入具の一実施例の平面透視図である。
【図2】切断線A−A’に沿って縦断した図1に示すイオン導入具の側断面図である。
【符号の説明】
1      保持部材
2      陽極
3      陰極
4      導通抵抗部材
5      ゲル状部材
X      陽極と陰極との間の間隙
Y      ゲル状部材と導通抵抗部材との間の間隙

Claims (8)

  1. 保持部材と、保持部材上に保持された箔状の陰極と、保持部材上に保持され、箔状の導通抵抗部材を介して陰極と連結してなる、陰極よりイオン化傾向が小さい陽極と、陰極及び/又は陽極上に保持されたゲル状部材とを含んでなるイオン導入具。
  2. 陽極が、金属又は金属を主体とする部材、又は、金属又は金属を主体とする部材を、前記保持部材上又はこの保持部材とは異なる他の箔状の部材上に蒸着して得られる箔状体である請求項1記載のイオン導入具。
  3. 陰極が、陽極よりイオン化傾向が大きい金属又は金属を主体とする部材を、前記保持部材上又はこの保持部材とは異なる他の箔状の部材上に蒸着して得られる箔状体である請求項1記載のイオン導入具。
  4. 導通抵抗部材の抵抗値が、ヒトを含む哺乳動物の皮膚における抵抗値を越えることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のイオン導入具。
  5. 導通抵抗部材が、導電性のカーボン、導電性のセラミック、導電性のプラスチック及び導電性の金属から選ばれる1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のイオン導入具。
  6. ゲル状部材上に箔状の離型部材を保持させてなる請求項1乃至5のいずれかに記載のイオン導入具。
  7. 離型部材が、透明又は不透明の離型部材である請求項6に記載のイオン導入具。
  8. 形態がシート状である請求項1乃至7のいずれかに記載のイオン導入具。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3143983A1 (en) 2003-02-13 2017-03-22 Kabushiki Kaisha Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo External dermatological formulation comprising saccharide derivative of alpha, alpha-trehalose
WO2022255232A1 (ja) * 2021-05-29 2022-12-08 株式会社イオンギア 生体電池式イオン導入部材及びシート状基材

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WO2022255232A1 (ja) * 2021-05-29 2022-12-08 株式会社イオンギア 生体電池式イオン導入部材及びシート状基材

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