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JP2004101737A - 内視鏡 - Google Patents

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JP2004101737A JP2002261748A JP2002261748A JP2004101737A JP 2004101737 A JP2004101737 A JP 2004101737A JP 2002261748 A JP2002261748 A JP 2002261748A JP 2002261748 A JP2002261748 A JP 2002261748A JP 2004101737 A JP2004101737 A JP 2004101737A
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Abstract

【課題】本発明は、湾曲部の湾曲操作時に湾曲部をある方向に湾曲させた後、ニュートラル位置に戻した際に、湾曲部を略直線形状のニュートラル位置まで正確に戻すことができ、精度の良いセンタリング効果を得ることができる内視鏡を提供することを最も主要な特徴とする。
【解決手段】湾曲部4a2の湾曲状態を略一直線形状のニュートラル位置に戻すように電動湾曲装置51を制御するセンタリング制御部113と、このセンタリング制御部113の動作を指示するセンタリングボタン112とを設け、かつセンタリング制御部113の動作時に湾曲部4a2の各湾曲方向の湾曲特性差に応じてニュートラル位置に戻す際の湾曲部4a2の湾曲量を各湾曲方向で変化させるパソコン115を設けたものである。
【選択図】  図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、検査対象空間内に挿入されてその検査対象空間内などを観察する内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、工業用に広く用いられる内視鏡には、検査対象空間内に挿入される可撓性を有する挿入部の先端側に例えば上下方向、左右方向、およびこれらを組み合わせた任意の方向に湾曲変形可能な湾曲部が配設されている。この湾曲部には複数、例えば4本の湾曲操作ワイヤの先端部が固定されている。各湾曲操作ワイヤの基端部は手元側に延出され、手元側の操作部に配設された湾曲操作機構に連結されている。
【0003】
また、手元側の操作部には湾曲操作機構を駆動して湾曲部を湾曲操作するジョイスティックなどの入力装置が配設されている。このジョイスティックには基端部が回動支点を介して回動可能に支持されたスティックが設けられている。このスティックは傾きの無い中立位置(ニュートラル位置)から任意の向きに任意の角度傾動可能に支持されている。そして、このスティックを任意の向きに任意の角度傾けることにより、このスティックの傾け角度に相当した信号を発するようになっている。このとき、入力装置の操作に基いて湾曲操作機構の駆動モータなどが駆動され、湾曲操作ワイヤが牽引操作されて各湾曲操作ワイヤの牽引動作に連動して湾曲部が入力装置の操作に応じて湾曲操作されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−15486号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来構成の内視鏡では、湾曲操作ワイヤは通常は保護用のアングルコイルなどの内部に挿通された状態で、挿入部の管腔内に配設されている。そして、湾曲操作ワイヤの牽引操作時には湾曲操作ワイヤはアングルコイルなどの内部を摺動しながら移動するようになっている。このとき、湾曲部の湾曲操作時には湾曲操作ワイヤとアングルコイルとの間の摩擦抵抗などの抗力が作用する。そのため、湾曲部をある方向に湾曲させた後、ジョイスティックなどの入力装置をニュートラル位置に戻しても、湾曲部まではその操作力が十分には伝達されず、湾曲部が略直線形状のニュートラル位置までは正確には戻らないおそれがある。
【0006】
そこで、従来から湾曲部の湾曲操作時に湾曲部を湾曲操作させたのち、直線形状のニュートラル位置まで戻す動作時には、湾曲部を湾曲操作方向とは反対の方向に所定量の湾曲動作を行なうことにより、湾曲部を略直線形状のニュートラル位置まで戻すことが考えられている。
【0007】
また、例えば特許文献1には、湾曲部を任意の方向に湾曲操作させる際の湾曲部の湾曲量を検出し、この検出結果に応じて湾曲部をストレート形状に戻す際の駆動機構の動作時間を制御する制御手段が示されている。
【0008】
ここで、湾曲部を湾曲操作方向とは反対の方向に湾曲させる際の動作量や、駆動機構の動作時間などは、制御回路内で設定された所定量を表すパラメータによって決定される。
【0009】
しかし、このパラメータが上下左右の4方向で同じ場合や、いかなる場合でも固定値である場合には、以下のような問題が生じる。
【0010】
すなわち、挿入部に内蔵される内蔵物、例えば信号線、ライトガイドファイバ、チャンネルチューブなどによって、湾曲部内に内蔵物の偏りが生じる。そのため、厳密には上下左右の各方向間の湾曲力量差が生じ、湾曲操作ワイヤを同じ量牽引しても湾曲方向によって湾曲角度が異なる傾向がある。この場合、湾曲部を湾曲操作させたのち、直線形状のニュートラル位置まで戻す動作時にも同じように偏向性が見られ、各湾曲方向によってその程度は異なる。そのため、湾曲部の湾曲操作時に湾曲部をある方向に湾曲させた後、略直線形状のニュートラル位置まで正確に戻すことが難しく、精度の良いセンタリング効果を得ることができないおそれがある。
【0011】
また、内視鏡の挿入部にチャンネルチューブが配設されている場合にはこのチャンネルチューブ内に鉗子が挿通されている状態では、挿通されていない場合に比べ湾曲が掛かり難い状況になる。そのため、このチャンネルチューブ内への鉗子の挿通ありの場合となしの場合で上記パラメータが同一である場合も精度の良いセンタリング効果を得ることが難しく、好ましくない。
【0012】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、湾曲部の湾曲操作時に湾曲部をある方向に湾曲させた後、ニュートラル位置に戻した際に、湾曲部を略直線形状のニュートラル位置まで正確に戻すことができ、精度の良いセンタリング効果を得ることができる内視鏡を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、検査対象空間内に挿入される可撓性を有する挿入部の先端側に湾曲部を有し、
前記挿入部の基端部側に配置される手元側の入力部に前記湾曲部を駆動する湾曲駆動機構を備えた内視鏡において、
前記湾曲部の湾曲状態を略一直線形状のニュートラル位置に戻すように前記湾曲駆動機構を制御するセンタリング制御部と、
このセンタリング制御部の動作を指示するセンタリング指示入力手段と、
前記センタリング制御部の動作時に前記湾曲部の各湾曲方向の湾曲特性差に応じて前記ニュートラル位置に戻す際の前記湾曲部の湾曲量を各湾曲方向で変化させる戻し位置調整手段とを設けたことを特徴とする内視鏡である。
【0014】
そして、本請求項1の発明では、湾曲部の湾曲を戻す場合にはセンタリング指示入力手段によってセンタリング制御部の動作を指示し、湾曲部の湾曲状態を略一直線形状のニュートラル位置に戻すようにセンタリング制御部によって湾曲駆動機構を制御する。このセンタリング制御部の動作時に戻し位置調整手段によって湾曲部の各湾曲方向の湾曲特性差に応じてニュートラル位置に戻す際の湾曲部の湾曲量を各湾曲方向で変化させる。これにより、各湾曲方向で精度良いセンタリングができるようにしたものである。
【0015】
請求項2の発明は、前記戻し位置調整手段は、前記湾曲部の各湾曲方向の湾曲特性の変化を認識する認識手段と、この認識手段の認識結果に基いて前記ニュートラル位置に戻す際の前記湾曲部の湾曲量を変化させる湾曲量変化手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡である。
【0016】
そして、本請求項2の発明では、湾曲部の湾曲を戻す場合には戻し位置調整手段の認識手段によって湾曲部の各湾曲方向の湾曲特性の変化を認識させ、この認識手段の認識結果に基いてニュートラル位置に戻す際の湾曲部の湾曲量を湾曲量変化手段によって変化させるようにしたものである。
【0017】
請求項3の発明は、検査対象空間内に挿入される可撓性を有する挿入部の先端側に湾曲部を有し、
前記挿入部の基端部側に配置される手元側の入力部に前記湾曲部を駆動する湾曲駆動機構を備えた内視鏡において、
前記湾曲部の各湾曲方向の湾曲特性の変化を認識する認識手段を設け、
この認識手段の認識結果に基いて前記湾曲部の湾曲量を変化させる湾曲量変化手段を設けたことを特徴とする内視鏡である。
【0018】
そして、本請求項3の発明では、湾曲部の湾曲を戻す場合には認識手段によって湾曲部の各湾曲方向の湾曲特性の変化を認識させ、この認識手段の認識結果に基いて湾曲量変化手段によって湾曲部の湾曲量を変化させる。これにより、各湾曲方向で精度良いセンタリングができるようにしたものである。
【0019】
請求項4の発明は、前記認識手段は、前記挿入部に処置具を挿通する処置具チャンネルの有無によって前記湾曲特性の変化を判断する手段を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡である。
【0020】
そして、本請求項4の発明では、挿入部に処置具を挿通する処置具チャンネルの有無によって湾曲特性の変化を判断することにより、各湾曲方向で精度良いセンタリングができるようにしたものである。
【0021】
請求項5の発明は、前記挿入部は、処置具を挿通する処置具チャンネルを有し、
前記認識手段は、前記処置具チャンネル内への処置具の挿通の有無によって前記湾曲特性の変化を判断する手段を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡である。
【0022】
そして、本請求項5の発明では、例えば、処置具チャンネル内に処置具が挿通されている状態や、挿入部の外部に外付けのチャンネルチューブが取り付けられたことや、その外付けチャンネルに鉗子が挿通されて状態などを認識することで、それに応じたパラメータを設定し、湾曲特性の変化を判断することにより、各湾曲方向で精度良いセンタリングができるようにしたものである。
【0023】
請求項6の発明は、前記湾曲駆動機構は、前記湾曲部を湾曲操作する操作ワイヤと、この操作ワイヤを牽引駆動する駆動モータとを有し、
前記認識手段は、前記駆動モータの電流値によって判断する手段を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡である。
【0024】
そして、本請求項6の発明では、湾曲駆動機構の駆動モータの電流値によって湾曲特性の変化を判断することにより、各湾曲方向で精度良いセンタリングができるようにしたものである。
【0025】
請求項7の発明は、前記湾曲駆動機構は、前記湾曲部を湾曲操作する操作ワイヤと、この操作ワイヤを牽引駆動する駆動モータとを有し、
前記認識手段は、前記駆動モータに印加する電圧値によって判断する手段を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡である。
【0026】
そして、本請求項7の発明では、湾曲駆動機構の駆動モータに印加する電圧値によって湾曲特性の変化を判断することにより、各湾曲方向で精度良いセンタリングができるようにしたものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図10を参照して説明する。図1は本実施の形態の工業用内視鏡装置1を示すものである。この内視鏡装置1には内視鏡の構成要素を一体的に組み付けた組み付けユニット2と、この組み付けユニット2を着脱可能に収納する内視鏡収納ケース3とが設けられている。
【0028】
また、図2(A)に示すように内視鏡収納ケース3には上面が開口された箱型のケース本体3aと、このケース本体3aの上面開口部を開閉する蓋3bとが設けられている。この蓋3bは図示しないヒンジ部を介してケース本体3aの上面開口部の一側部に回動可能に連結されている。そして、図1では内視鏡収納ケース3内に組み付けユニット2を収納した状態で、ケース本体3aの蓋3bを開いた状態を示している。
【0029】
また、図2(B)は内視鏡装置1の組み付けユニット2の分解斜視図を示すものである。この組み付けユニット2にはスコープ部4と、固定ユニット5と、収納部6とが互いに着脱可能に設けられている。
【0030】
さらに、スコープ部4は少なくとも検査対象空間内に挿入される可撓性を有する細長い挿入部4aと、中間連結部4bと、ユニバーサルケーブル4cと、ベースユニット(挿入部4aの駆動機構部)4dとを有している。ここで、挿入部4aは、最先端位置に配置され、観察用の観察光学系や、照明光学系などが組み込まれたヘッド部4a1と、遠隔的に湾曲操作可能な湾曲部4a2と、細長い可撓管部4a3とから構成されている。そして、ヘッド部4a1と可撓管部4a3との間に湾曲部4a2が介設されている。
【0031】
また、ヘッド部4a1の先端面には図3に示すように照明光学系用の照明窓31と、観察光学系用の観察窓32と、挿入部4aの内部に配設された内部チャンネル(処置具挿通路)33(図8に示す)の先端側開口端34などがそれぞれ配設されている。
【0032】
さらに、挿入部4aの内部には図8に示すように照明窓31に照明光を伝送するライトガイド36と、観察光学系に配設された例えばCCDなどに接続された信号線37と、湾曲部4a2を湾曲操作する複数、本実施の形態では4本のアングルワイヤ(操作ワイヤ)101a1〜101a4などがそれぞれ配設されている。
【0033】
ここで、本実施の形態では例えば上下湾曲操作用の2本のアングルワイヤ101a1,101a2と、左右湾曲操作用の2本のアングルワイヤ101a3,101a4とが設けられている。そして、挿入部4aの湾曲部4a2は上下湾曲操作用の2本のアングルワイヤ101a1,101a2によって上下方向に、また左右湾曲操作用の2本のアングルワイヤ101a3,101a4によって左右方向にそれぞれ牽引操作され、上下方向、左右方向の4方向、およびこれらを組み合わせた任意の方向に湾曲変形可能になっている。
【0034】
なお、各アングルワイヤ101a1〜101a4は保護用のアングルコイル101b1〜101b4などの内部に挿通された状態で、挿入部4aの管腔内に配設されている。さらに、挿入部4aの外周面には外ブレード4a4が配設されている。
【0035】
また、挿入部4aの可撓管部4a3の基端部には中間連結部4bの先端部が連結されている。この中間連結部4bには図3に示すように使用者が片手で把持可能なグリップ部4b1が設けられている。このグリップ部4b1の後端部にはチャンネルポート部4b2とユニバーサルケーブル4cの先端部との連結部とが並設されている。ここで、チャンネルポート部4b2には挿入部4aの内部に軸心方向に沿って延設された内部チャンネル33の鉗子口(基端側開口端)35が配設されている。さらに、ユニバーサルケーブル4cの連結部は挿入部4aの軸心方向に対して斜めに傾斜させた状態で配置されている。
【0036】
また、ユニバーサルケーブル4cの内部には挿入部4a側から延出されるライトガイド36と、信号線37と、4本のアングルワイヤ101a1〜101a4などが延設されている。
【0037】
なお、中間連結部4bの先端側には挿入部4aの急激な曲げを防止する挿入部保護ゴム38、基端側にはユニバーサルケーブル4cの急激な曲げを防止するユニバーサルケーブル保護ゴム39がそれぞれ設けられている。
【0038】
また、ユニバーサルケーブル4cの基端部はベースユニット4dに連結されている。このベースユニット4dには、図4(A)に示すようにユニットケース4d1の内部に電動湾曲装置(湾曲駆動機構)51と、この電動湾曲装置51の動作を制御する電動湾曲制御部52と、カメラコントロールユニット(CCU)53(図7に示す)などが内蔵されている。
【0039】
電動湾曲装置51には図4(A),(B)中で上下方向に延設された牽引力伝達機構ユニット54と、上下湾曲操作用及び左右湾曲操作用にそれぞれ対応する2つのモータユニット55a,55bとが設けられている。ここで、2つのモータユニット55a,55bは牽引力伝達機構ユニット54の下端部に配設されている。
【0040】
また、各モータユニット55a,55bは、出力軸55a1,55b1と、駆動力を発生させる駆動源となるモータ部55a2,55b2と、各モータ部55a2,55b2の駆動力を出力軸55a1,55b1まで伝達する平歯車等の歯車列で構成された減速ギヤ部55a3,55b3と、出力軸55a1,55b1の回転量を検出するポテンショメータ104a,104bとで構成されている。各ポテンショメータ104a,104bは、減速ギヤ部55a3,55b3を介してモータ部55a2,55b2に対して並列に配置されている。
【0041】
また、牽引力伝達機構ユニット54の上端部はユニットケース4d1の上端部に取り付けられている。この牽引力伝達機構ユニット54の上端部にはユニバーサルケーブル4cの基端部が連結されている。さらに、2つのモータユニット55a,55bはユニットケース4d1の下端部に取り付けられている。
【0042】
また、図6(A),(B)に示すように牽引力伝達機構ユニット54にはユニットケース56の内部に湾曲部4a2の湾曲動作方向に対応する2つの牽引力伝達機構部57a,57bが設けられている。図5(B)は一方の牽引力伝達機構部57aを示すものである。この牽引力伝達機構部57aには図6(A)に示すように上下湾曲操作用のモータユニット55aの出力軸55a1に固定されたスプロケット58aと、このスプロケット58aに噛合するチェーン59aとが設けられている。ここで、モータユニット55aの出力軸55a1は両軸タイプである。この出力軸55a1の一端側にはスプロケット58aが設置され、他端側にポテンショメータ104aが配置されている。
【0043】
さらに、チェーン59aの両端部には上下湾曲操作用の2本のアングルワイヤ101a1,101a2の基端部がそれぞれ連結部材60a1,60a2を介して連結されている。これにより、図5(B)に示す牽引力伝達機構部57aとモータユニット55aとが連動可能に組み付けられて上下湾曲操作用の駆動機構部51aが形成されている。そして、上下湾曲操作用のモータユニット55aによってスプロケット58aを回転駆動した際に、このスプロケット58aの回転に連動してチェーン59a、連結部材60a1,60a2をそれぞれ介して上下湾曲操作用の2本のアングルワイヤ101a1,101a2の牽引弛緩動作を行うようになっている。
【0044】
図5(A)は他方の牽引力伝達機構部57bを示すものである。この牽引力伝達機構部57bには図6(A)に示すように左右湾曲操作用のモータユニット55bの出力軸55b1に固定されたスプロケット58bと、このスプロケット58bに噛合するチェーン59bとが設けられている。ここで、モータユニット55bの出力軸55b1は両軸タイプである。この出力軸55b1の一端側にはスプロケット58bが設置され、他端側にポテンショメータ104bが配置されている。
【0045】
さらに、チェーン59bの両端部には左右湾曲操作用の2本のアングルワイヤ101a3,101a4の基端部がそれぞれ連結部材60a3,60a4を介して連結されている。これにより、図5(A)に示す牽引力伝達機構部57bとモータユニット55bとが連動可能に組み付けられて左右湾曲操作用の駆動機構部51bが形成されている。そして、左右湾曲操作用のモータユニット55bによってスプロケット58bを回転駆動した際に、このスプロケット58bの回転に連動してチェーン59b、連結部材60a3,60a4をそれぞれ介して左右湾曲操作用の2本のアングルワイヤ101a3,101a4の牽引弛緩動作を行うようになっている。
【0046】
したがって、電動湾曲装置51の上下湾曲操作用のモータユニット55aにより上下湾曲操作用の2本のアングルワイヤ101a1,101a2が牽引動作され、また、左右湾曲操作用のモータユニット55bによって左右湾曲操作用の2本のアングルワイヤ101a3,101a4が牽引動作されることにより、湾曲部4a2が上下方向、左右方向の4方向、およびこれらを組み合わせた任意の方向に遠隔にて湾曲動作を行なうようになっている。このとき、各ポテンショメータ104a,104bによって各スプロケット58a,58bの回転位置を検知し、ポテンショメータ104a,104bによる各アングルワイヤ101a1〜101a4の位置制御により湾曲部4a2の湾曲動作の制御を行なっている。
【0047】
また、図7に示すようにカメラコントロールユニット53には挿入部4a内のCCDに先端が接続された信号線37の基端部が接続されている。そして、CCDで撮像された内視鏡観察像の画像データは電気信号に変換されて信号線37を介してカメラコントロールユニット53に伝送されるようになっている。
【0048】
さらに、図2(B)に示すようにベースユニット4dのユニットケース4d1の端面には、ライトガイド接続コネクタ部4d2が突設されている。このライトガイドコネクタ部4d2にはユニバーサルケーブル4c側から延出される図示しないライトガイドの基端部が連結されている。
【0049】
また、ベースユニット4dのユニットケース4d1の側板には固定ユニット5との連結時にベースユニット4dの移動をガイドする上下2段の突起状の着脱ガイド4d3が略水平方向に沿って延設されている。さらに、このユニットケース4d1の端面には、複数の固定金具4d4が突設されている。そして、ベースユニット4dと固定ユニット5との連結時にはこれらの固定金具4d4を固定ユニット5側の図示しない受部に係脱可能に係止させることにより、ベースユニット4dを固定ユニット5に固定するようになっている。
【0050】
また、固定ユニット5には電源ユニット7と、光源装置8と、記録ユニット9とが設けられている。ここで、電源ユニット7には電源コネクタ7a(図7参照)と、電源カバー7bとが設けられている。電源コネクタ7aには電源ケーブル7cが接続されている。さらに、電源ユニット7はスイッチ7dを介して主電源供給部7eに接続されている。
【0051】
また、記録ユニット9には板金製のフロントパネル9a上に複数の記録媒体、例えばメモリーカードなどを挿入する挿入孔9bが形成されている。さらに、この記録ユニット9の側板9cにはベースユニット4dの移動をガイドする上下2段の凹陥状のガイド溝9dが略水平方向に沿って延設されている。これらのガイド溝9dにはスコープ部4のベースユニット4dの着脱ガイド4d3が係脱可能に係合するようになっている。
【0052】
また、図2(B)に示すように光源装置8の外装カバー8aの内部には図示しない光源ランプを有するランプボックスと、中継基板と、ランプライン基板と、ELコネクタ基板と、ILスイッチと、バラストと、ファンなどがそれぞれ設けられている。
【0053】
さらに、光源装置8の外装カバー8aにはスコープ部4のベースユニット4dとの接合面にベースユニット4dのライトガイド接続コネクタ部4d2と係脱可能に係合する図示しない受部が設けられている。
【0054】
そして、固定ユニット5の光源装置8とスコープ部4のベースユニット4dとの連結時には記録ユニット9のガイド溝9dにスコープ部4のベースユニット4dの着脱ガイド4d3が挿入される状態で係合するようになっている。この状態で、ガイド溝9dに沿って着脱ガイド4d3がスライド移動しながら固定ユニット5の光源装置8にスコープ部4のベースユニット4dが着脱可能に連結されるようになっている。このとき、ベースユニット4dのライトガイド接続コネクタ部4d2が光源装置8の図示しない受部に係脱可能に係合するとともに、第1の接続機構10の固定金具4d4が固定ユニット5側の図示しない受部に係脱可能に係止されて固定ユニット5の光源装置8とスコープ部4のベースユニット4dとが連結されるようになっている。
【0055】
さらに、この固定ユニット5とスコープ部4のベースユニット4dとの連結時には電気接点を介して主電源供給部7eと、電動湾曲制御部52およびカメラコントロールユニット53との間が接続されるようになっている。このとき、カメラコントロールユニット53にはベースユニット4dと固定ユニット5との間の電気接点を介して後述するLCDモニタ13cが接続され、スコープ部4のCCDで撮像された内視鏡観察像がこのLCDモニタ13cに表示されるようになっている。
【0056】
また、光源装置8の外装カバー8aの上面には図示しないリモコンコネクタと、BNCコネクタと、表示装置13とが設けられている。ここで、表示装置13には円柱状のモノポッド13aの上部にヒンジ機構13bを介して例えばLCDモニタ13cが取付けられている。そして、LCDモニタ13cはヒンジ機構13bを介して開閉可能に支持されている。
【0057】
さらに、光源装置8の外装カバー8aの側面には図2(B)に示すようにランプ交換窓14が配設されているとともに、収納部6の取付け用の複数の取付けピン15が突設されている。
【0058】
また、収納部6は、室内が複数、本実施の形態では2つに仕切られ、幅広のスコープ収納ボックス(挿入部収納部)6aと、幅狭のリモコン収納部(ケーブル類収納部)6bとが形成されている。ここで、スコープ収納ボックス6aにはスコープ部4の挿入部4aと、中間連結部4bと、ユニバーサルケーブル4cとを略リング状に丸めた形状で束ねた状態で収納できるようになっている。さらに、収納部6にはスコープ収納ボックス6aの上面開口部を開閉する収納ボックス蓋6cが設けられている。
【0059】
また、リモコン収納部6bにはスコープ部4のベースユニット4dを操作するリモコン(入力部)16と、このリモコン16に一端が接続された可撓性のケーブル17とが収納されるようになっている。ここで、ケーブル17の他端部には図示しないコネクタが連結されている。このコネクタは固定ユニット5のリモコンコネクタに着脱可能に接続されている。
【0060】
さらに、収納部6における固定ユニット5側への取付け面には光源装置8の取付けピン15と対応する位置に図示しないピン挿入孔が形成されている。そして、光源装置8の取付けピン15を収納部6のピン挿入孔に挿入することにより、収納部6が光源装置8の外装カバー8aの側面に着脱可能に連結されている。
【0061】
また、収納部6が光源装置8の外装カバー8aの側面に連結された状態で、略L字状のスコープ収納ボックス押え部材21が固定ユニット5側にねじ止め固定されている。
【0062】
さらに、本実施の形態の内視鏡装置1では組み付けユニット2を内視鏡収納ケース3に対して着脱する際に使用する2つの取っ手23a,23bと、ショルダーベルト24とが固定されている。ここで、1つの取っ手23aは固定ユニット5における記録ユニット9の上部、他方の取っ手23bは光源装置8の外装カバー8aの上部にそれぞれ取付けられている。同様に、ショルダーベルト24の一端部は固定ユニット5における記録ユニット9の上部、他端部は光源装置8の外装カバー8aの上部にそれぞれ固定されている。なお、組み付けユニット2の底部には複数のゴム脚25が固定されている。
【0063】
また、図3に示すようにリモコン16の一側面には中間連結部4bを着脱可能に連結する固定金具40が固定されている。この固定金具40はリモコン16の一側面に固定されるベースプレート40aの両端に略U字状の係止部40b,40cが略直角にそれぞれ立設されたものである。そして、この固定金具40の両側の係止部40b,40c内に中間連結部4bのグリップ部4b1を差し込むことにより、リモコン16の一側面に中間連結部4bを連結した状態で係脱可能に係止するようになっている。
【0064】
また、リモコン16には少なくともスコープ部4の湾曲部4a2の湾曲方向を上下左右方向に遠隔的に湾曲操作するための指示入力手段であるジョイスティック19と、パワーボタン20と、センタリングボタン(センタリング指示入力手段)112とが設けられている。パワーボタン20は電源ユニット7のスイッチ7dに接続されている。
【0065】
また、ジョイスティック19は図9(A)に示すように基端部が回動支点19bを介して回動可能に支持されている。さらに、リモコン16には、可変抵抗器19cと、AD変換部106とが設けられている。可変抵抗器19cは、ジョイスティック19の傾き方向及び角度に応じて抵抗値が変化する。さらに、AD変換部106は、可変抵抗器19cの抵抗値から電圧変換されるアナログの電圧値をA/D変換する。
【0066】
このリモコン用A/D変換部106は、固定ユニット5内の電動湾曲制御部52に電気的に接続されている。そして、リモコン用A/D変換部106でデジタル化された湾曲指示信号が電動湾曲制御部52に送信されるようになっている。
【0067】
また、電動湾曲制御部52には、マイクロコンピュータ(以下マイコンと略記する)107と、D/Aコンバータ108と、アンプ109と、ポテンショメータ用AD変換部110とが設けられている。ここで、マイコン107はリモコン用A/D変換部106と通信ケーブルによって電気的に接続されている。そして、このマイコン107ではリモコン16からの湾曲指示信号に対応するデジタルの駆動信号を生成するようになっている。このマイコン107から出力されるデジタルの駆動信号はD/Aコンバータ108に入力され、アナログの駆動信号に変換されるようになっている。さらに、D/Aコンバータ108の出力側はアンプ109を介してモータ部55a2,55b2に接続されている。そして、D/Aコンバータ108で変換されたアナログの駆動信号をアンプ109によって増幅処理し、各モータ部55a2,55b2に出力するようになっている。
【0068】
さらに、マイコン107は、CPU、プログラムが記憶されているROM、RAMを有すると共に、差分演算部111と、ポテンショメータ用AD変換部110とを有している。ポテンショメータ用AD変換部110の入力側は各ポテンショメータ104a,104b、出力側は差分演算部111にそれぞれ接続されている。そして、ポテンショメータ用AD変換部110は各ポテンショメータ104a,104bの回転位置を示す抵抗値をA/D変換するようになっている。また、差分演算部111にはポテンショメータ用AD変換部110からの出力信号が入力され、各ポテンショメータ104a,104bで検知した各スプロケット58a,58bの回転量をリモコン用A/D変換部106からの湾曲指示信号との差分を取ってフィードバック制御を行なうようになっている。
【0069】
さらに、マイコン107にはセンタリング制御部113と、パラメータ格納部114とが設けられている。センタリング制御部113にはリモコン16のセンタリングボタン112とパラメータ格納部114とが接続されている。パラメータ格納部114に格納されたパラメータは、センタリングボタン112の指示を受けて一時的に湾曲部4a2を動作させる動作量を表し、具体的には、電動湾曲制御部52の各スプロケット58a,58bの回転量を表す。この回転量は、ポテンショメータ104a,104bによって検出される出力軸55a1,55b1の回転量によって決まるが、マイコン107内では各ポテンショメータ104a,104bの全抵抗値をある単位で分割し、デジタル変換したものを扱う。そして、センタリング制御部113ではセンタリングボタン112からの指示を受けて、パラメータ格納部114に格納しているセンタリングパラメータを用いてセンタリング指示信号を発するようになっている。
【0070】
また、本実施の形態の内視鏡装置1にはリモコン16の代りに図10に示すように、固定ユニット5に着脱可能に取り付けられ、パラメータ収納部114のパラメータを直接、変更するパソコン(戻し位置調整手段)115が設けられている。このパソコン115は、マイコン107のセンタリング制御部113に接続され、パラメータ格納部114のパラメータを直接、変更する操作を行なうことにより、湾曲部4a2の各湾曲方向の湾曲特性差に応じてニュートラル位置に戻す際の湾曲部4a2の湾曲量を各湾曲方向で変化させるものである。すなわち、任意の方向に任意の角度湾曲された湾曲部4a2をニュートラル位置に戻す際に各湾曲方向の湾曲特性差に応じて戻り難い方向のパラメータを大きくするようになっている。
【0071】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の内視鏡装置1では通常の運搬時には図2(B)に示すスコープ部4と、固定ユニット5と、収納部6とが一体的に組み付けられた組み付けユニット2が形成される。そして、図2(A)の内視鏡収納ケース3内にこの組み付けユニット2が収納される。さらに、図1に示すように内視鏡収納ケース3内に組み付けユニット2が収納され、内視鏡収納ケース3の蓋3bが閉められた状態で検査対象の場所の近くまで運搬する。
【0072】
そして、図1に示すように内視鏡収納ケース3の蓋3bを開け、さらに収納ボックス蓋6cを開けた状態で、スコープ収納ボックス6aからスコープ部4の挿入部4aと、中間連結部4bと、ユニバーサルケーブル4cとが取出されるとともに、リモコン収納部6bからリモコン16とケーブル17とが取出される。この状態で、スコープ部4の挿入部4aが検査対象空間内に挿入されて検査対象空間内の内視鏡検査が行なわれる。
【0073】
また、内視鏡検査時には、リモコン16のジョイスティック19によってスコープ部4の湾曲部4a2が次の通り操作される。ここで、本実施の形態のスコープ部4の湾曲部4a2は初期状態では湾曲されていない状態、すなわち湾曲部4a2全体が略一直線形状のニュートラル位置(湾曲部4a2の湾曲角度が0度の非湾曲状態)で保持される。このとき、リモコン16のジョイスティック19は、直立位置に自立された状態で保持されている。この状態では、電動湾曲装置51の2つの牽引力伝達機構部57a,57bの各チェーン59a,59bは牽引された状態でも弛緩した状態でもない。
【0074】
この非湾曲状態から、操作者が例えば湾曲部4a2を上方向に湾曲させたい場合には、リモコン16のジョイスティック19を上方向に操作する。すると、上方向の指示が、リモコン16のAD変換部106にてデジタル変換され、固定ユニット5を経由し、電動湾曲制御部52へ送信される。
【0075】
このとき、電動湾曲制御部52では、マイコン107にて現時点でのポテンショメータ104a,104bの値がポテンショメータ用AD変換部110にてデジタル変換され、差分演算部111に入力される。そして、この差分演算部111では各ポテンショメータ104a,104bで検知した各スプロケット58a,58bの回転量とリモコン用A/D変換部106からの湾曲指示信号との差分が演算され、湾曲していない状態から湾曲部4a2を上方向に湾曲させる信号が出力される。
【0076】
具体的には、ここで、ジョイスティック19の可変抵抗器19cでの抵抗値はリモコン用A/D変換部106にてデジタル変換されると、0〜1023の1024階調の値を有する。また、ポテンショメータ104a,104bの抵抗値はポテンショメータ用AD変換部110にてデジタル変換されると同じように0〜1023の1024階調の値を有する。
【0077】
また、上下湾曲操作用のスプロケット58aの回転位置がニュートラルの状態では、ポテンショメータ用AD変換部110は中央値512を示し、ジョイスティック19がニュートラルにある状況では同様に中央値512を示す。ここで上方向最大が0、下方向最大が1024を表す。(同様に、左右湾曲操作用のスプロケット58bの回転位置およびジョイスティック19の傾動角度は左方向最大が0、右方向最大が1023を表す。)
そして、ジョイスティック19を上方向に湾曲指示を与えると、リモコン用A/D変換部106からは0の数値が電動湾曲制御部52に送信される。このとき、差分演算部111では、ポテンショメータ用AD変換部110の値は512であるため、0−512の差分量だけ動作するようにD/Aコンバータ108へ指示を出す。その指示を受け、アンプ109を介してモータユニット55aのモータ部55a2が動作し、ポテンショメータ用AD変換部110の値が1023となるまで差分演算部111,D/Aコンバータ108,アンプ109,上下湾曲操作用のモータ部55a2,ポテンショメータ104a,ポテンショメータ用AD変換部110の動作は繰り返される。
【0078】
その後、ジョイスティック19から手を離し、ジョイスティック19の自立復帰にてジョイスティック19がニュートラル位置に戻れば、リモコン用A/D変換部106からは512の信号が出される。そのため、この場合は差分演算部111では、ポテンショメータ用AD変換部110の1023の信号と差分演算し、今度は512−1023分つまり、ニュートラルに戻るように動作指示が出る。ここでも同様に、ポテンショメータ用AD変換部110が512を示したところで、モータ部55a2の動作は終了し、湾曲が停止する。
【0079】
しかし、このときスプロケット58aはニュートラルに戻ったが、湾曲部4a2は、アングルワイヤ101aとアングルコイル101bの摩擦抵抗により、スプロケット58aの位置が先端まで伝わらず、ニュートラル方向へは戻ろうとするものの完全なニュートラル位置までは戻らず若干湾曲が掛かった状態となる。ここでは、上方向湾曲後であるため、上方向に湾曲が若干掛かった状態となる。そのため、操作者はジョイスティック19をニュートラル位置に戻しているので湾曲部4a2もニュートラル位置であることを期待するが実際にはそのようにはなっていない現象が起こる。
【0080】
そこで、このような場合にはセンタリング機能を働かせることとなる。このセンタリング機能は、リモコン16のセンタリングボタン112を押込み操作することにより動作させる。このとき、センタリングボタン112を押すことでセンタリング制御部113へはセンタリング指示が出され、パラメータ収納部114のパラメータを用いセンタリング動作を行なう。このセンタリング動作は次のように行なう。
【0081】
上述したように、ジョイスティック19をニュートラル位置に戻す前に湾曲部4a2を上方向に湾曲させていた場合には、ジョイスティック19をニュートラル位置に戻した場合でも湾曲部4a2は上方向に若干湾曲が掛かっている。そこで、この場合にはリモコン16のセンタリングボタン112を押込み操作するセンタリング指示により湾曲部4a2を所定量下方向に湾曲させる。このとき、湾曲部4a2を下方向に湾曲させる湾曲量が大き過ぎる場合には今度は逆に下方向に湾曲が掛かった状態となってしまう。そのため、センタリング指示により湾曲部4a2を下方向に湾曲させる湾曲量は少しでよい。このときの所定量の湾曲量がパラメータである。
【0082】
このとき、センタリング指示により湾曲部4a2を下方向に湾曲させる湾曲動作は、上方向に若干湾曲が掛かった状態から、スプロケット58aを下湾曲方向へ若干回転させ、すぐにニュートラルに戻す動作が行なわれる。ここでパラメータを30とすると、ポテンショメータ104aを512の位置から512+30の位置に動作させ、すぐに512の位置へ戻す動作が行なわれる。
【0083】
すると、アングルワイヤ101a1,101a2は一瞬下方向の湾曲が掛かるように下方向牽引用のアングルワイヤ101a2が引っ張られ、すぐにスプロケット58aがニュートラルに戻るように上方向牽引用のアングルワイヤ101a1が引っ張られる。アングルワイヤ101a1,101a2の手元側の動作はこのように行なわれ、湾曲部4a2は一瞬わずかに下方向に湾曲されたのち、上方向の湾曲を行なう。このとき、下方向の湾曲操作によって湾曲部4a2は下方向の湾曲をするもののその操作量は少なく、すぐに上方向に湾曲される。
【0084】
ただし、今回行なった湾曲部4a2の上方向の湾曲動作は542から512までのものであるため湾曲量自体が少なく、湾曲角度が残存する量も極めて少ない。また、湾曲部4a2の下方向の湾曲動作も、アングルワイヤ101a,アングルコイル101b間の摩擦によりほんのわずかの動作となる。そのため、湾曲部4a2では、上方向に若干湾曲が掛かっていた状態からニュートラルへ戻る動作のみが行なわれる場合もある。
【0085】
また、挿入部4aの内部には上下左右の湾曲4方向に均等に内蔵物が配置されているのではなく、図8に示すように内蔵物には偏りがある。この図8では、右下方向に軟質で復元力のあまり大きくない内部チャンネル33のチャンネルチューブが配置されている。復元力があまり大きくないというのは、曲げた後、元の形に戻り難いということである。そのため、リモコン16のジョイスティック19をニュートラル位置に戻しても湾曲部4a2を戻り難くする方向に働く。つまり、図8では、右や下方向に湾曲を掛けたあとは、上、左方向に湾曲を掛けた場合よりも湾曲部4a2が元のニュートラル位置に戻り難いということを意味する。そのため、湾曲部4a2の右、下の湾曲方向は他の2方向にくらべ、内部チャンネル33のチャンネルチューブを曲げたときに掛ける曲げ半径が小さく、それだけ元のニュートラル位置に戻り難いことに起因する。
【0086】
つまり、4方向ともパラメータ格納部114のパラメータが同じでは、センタリング動作時に右、下方向のセンタリングが十分に働かないことを意味する。
【0087】
そこで、本実施の形態ではリモコン16の代わりに、図10に示すようにパソコン115を接続し、湾曲部4a2の上下左右の湾曲4方向に応じてパラメータ格納部114のパラメータに大小をつけることが行なわれる。例えば、湾曲部4a2の上下左右の湾曲4方向に応じて上30、下40、右40、左30というように、センタリング動作時に戻り難い方向のパラメータを大きくする。
【0088】
そして、湾曲部4a2が右方向に湾曲後、或いは下方向に湾曲後は、センタリング動作時に左方向湾曲指示、上方向湾曲指示をやや大きく行なう。これにより、ある程度減衰はするものの、上方向センタリング、左方向センタリングの場合にくらべ湾曲部4a2でのセンタリング動作を大きくでき、内部チャンネル33のチャンネルチューブの影響に打ち勝ち、センタリング動作を精度良く行なうことができる。
【0089】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の内視鏡装置1では、センタリング制御部113の動作時に湾曲部4a2の各湾曲方向の湾曲特性差に応じてニュートラル位置に戻す際の湾曲部4a2の湾曲量を各湾曲方向で変化させる可変手段として、可変パラメータを有するパラメータ収納部114と、パラメータ格納部114のパラメータの数値を変更するパソコン115を設けている。そして、リモコン16の代わりに、図10に示すようにこのパソコン115を接続し、湾曲部4a2の上下左右の湾曲4方向に応じてパラメータ格納部114のパラメータを直接、変更する操作を行なうようにしたので、湾曲部4a2の湾曲操作時に湾曲部4a2をある方向に湾曲させた後、ニュートラル位置に戻した際に、湾曲部4a2を略直線形状のニュートラル位置まで正確に戻すことができ、最適なセンタリングを行なうことができる効果がある。
【0090】
また、図11は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図10参照)の内視鏡装置1の構成を次の通り変更したものである。
【0091】
すなわち、本実施の形態では図11に示すように、リモコン16の内部に、センタリング制御部113の動作時に湾曲部4a2の各湾曲方向の湾曲特性差に応じてニュートラル位置に戻す際の湾曲部4a2の湾曲量を各湾曲方向で変化させる戻し位置調整手段としてセンタリングパラメータ変更ボリューム121を設けたものである。このボリューム121には、上方向センタリング用ボリューム121aと、下方向センタリング用ボリューム121bと、右方向センタリング用ボリューム121cと、左方向用ボリューム121dとがそれぞれ設けられている。
【0092】
これら各ボリューム121a〜121dから出るアナログ信号も、他のアナログ信号と同じように、センタリングAD変換部122でデジタル変換した状態で、固定ユニット5を経由してマイコン107のセンタリング制御部113に送信され、パラメータ格納部114のパラメータを直接、変更する操作を行なうようになっている。
【0093】
そこで、本実施の形態ではリモコン16のセンタリングパラメータ変更ボリューム121の各ボリューム121a〜121dを操作することにより、パラメータ格納部114のパラメータを直接、変更する操作を行なうことができる。そのため、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様に、センタリング制御部113の動作時に湾曲部4a2の各湾曲方向の湾曲特性差に応じてニュートラル位置に戻す際の湾曲部4a2の湾曲量を各湾曲方向で適正に変化させることができるので、湾曲部4a2の湾曲操作時に湾曲部4a2をある方向に湾曲させた後、ニュートラル位置に戻した際に、湾曲部4a2を略直線形状のニュートラル位置まで正確に戻すことができ、最適なセンタリングを行なうことができる効果がある。
【0094】
なお、リモコン16のジョイスティック19の操作方向および傾動角度を検出する手段を設け、この検出手段からの検出結果に応じてリモコン16のセンタリングパラメータ変更ボリューム121の各ボリューム121a〜121dを自動的に変更操作する構成にしてもよい。
【0095】
さらに、第2の実施の形態(図11参照)のようにリモコン16上にあるセンタリングパラメータ変更ボリューム121の各ボリューム121a〜121dを変更操作する構成に代えて、例えばタッチパネル式のモニタ13cを設け、このモニタ13cに表示されるメニュー上で、ソフト的にパラメータ格納部114のパラメータの値を変更する構成にしてもよい。
【0096】
また、図12乃至図15(A)〜(D)は本発明の第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図10参照)の内視鏡装置1の構成を次の通り変更したものである。
【0097】
すなわち、本実施の形態では図12に示すように、スコープ部4の中間連結部4bにおけるチャンネルポート部4b2の部分に鉗子131(図14参照)の有無を認識する認識手段132を設けている。この認識手段132はフォトカプラ133a,133bによって形成されている。
【0098】
さらに、図13に示すように電動湾曲制御部52のマイコン107には認識手段132の認識結果に基いてニュートラル位置に戻す際の湾曲部4a2の湾曲量を変化させる湾曲量変化手段として2つのパラメータ格納部134a,134bと、スイッチ部135とが設けられている。ここで、2つのパラメータ格納部134a,134bには湾曲部4a2を上、下、右、左の各方向に湾曲させたのちセンタリング動作を行なう際の上、下、右、左方向のデータとしてそれぞれ異なるセンタリングパラメータが格納されている。すなわち、一方のAパラメータ格納部134aには内部チャンネル33に鉗子131が挿通されていない場合の上、下、右、左方向のデータとして、例えば30,40,40,30のデータが格納されている。
【0099】
また、他方のBパラメータ格納部134bには内部チャンネル33に鉗子131が挿通されている場合の上、下、右、左方向のデータとして、例えば10,20,20,10のデータが格納されている。
【0100】
スイッチ部135は2つのパラメータ格納部134a,134bと、センタリング制御部113との間に介設されている。さらに、スイッチ部135にはフォトカプラ133a,133bが接続されている。そして、フォトカプラ133a,133bの認識結果に基いてスイッチ部135が動作し、Aパラメータ収納部133aとBパラメータ収納部133bとを切り替えるようになっている。したがって、フォトカプラ133a,133bの認識によってこれらを使い分け、次の通りセンタリング動作を行なうようになっている。
【0101】
次に、上記構成の本実施の形態の作用について説明する。湾曲部4a2を上下左右の各方向に湾曲させたのちセンタリング動作を行なう際にセンタリングに影響を与えるのは、図8に示すような内蔵物の偏りだけでなく、図14に示すように内部チャンネル33に鉗子131が挿通されている場合も同様である。
【0102】
図8の状態で内部チャンネル33に鉗子131が挿通された場合には、右、下方向の湾曲だけでなく、全方向の湾曲部4a2の湾曲に影響が出る。例えば、剛性の高い鉗子131が挿通された場合には、湾曲部4a2を湾曲させた後、ジョイスティック19をニュートラルに戻した際には、鉗子131の剛性により湾曲部4a2がニュートラル状態に戻りやすくなる。そのため、この場合には、内部チャンネル33に鉗子131がない場合のパラメータ格納部114内のパラメータでは過剰となる。
【0103】
例えば、図15(A)は内部チャンネル33に鉗子131が挿通されていない状態で湾曲部4a2を湾曲させたのち、ジョイスティック19をニュートラル位置に戻した際の湾曲部4a2の動作状態、図15(B)は図15(A)の位置からのセンタリング動作状態を示したものである。
【0104】
ここでは、ジョイスティック19の操作により湾曲部4a2を図15(A)中に仮想線で示す通り上方向に湾曲後、ジョイスティック19をニュートラルにすると湾曲部4a2は若干上方向に湾曲が掛かった状態、例えば湾曲角度がθ1の位置まで戻る状態となる。
【0105】
その後、リモコン16のセンタリングボタン112を押してセンタリング動作を行った場合には、図15(B)中に矢印Xで示す下向き方向の湾曲角度φの湾曲動作と、矢印Y1で示す通り上向き方向に若干戻す湾曲動作とを組み合わせて図15(B)中に実線で示すように湾曲部4a2をニュートラル位置へ戻す動作となる。
【0106】
これに対して、図15(C)は内部チャンネル33に鉗子131が挿通されている状態で湾曲部4a2を湾曲させたのち、ジョイスティック19をニュートラル位置に戻した際の湾曲部4a2の動作状態、図15(D)は図15(C)の位置からのセンタリング動作状態を示したものである。
【0107】
ここでは、ジョイスティック19の操作により湾曲部4a2を上方向に湾曲を行なったあと、ジョイスティック19をニュートラルにした場合、鉗子131の剛性のため、図15(C)に示すように、上方向の湾曲がほとんど掛かっていない状態、例えば湾曲角度がθ2(θ2<θ1)の位置まで戻る状態となる。その状態で、リモコン16のセンタリングボタン112を押して同様にセンタリング動作を行った場合には、まず図15(D)中に矢印Xで示す下向き方向の湾曲角度φの湾曲動作が行なわれる。このとき、Xの開始位置がニュートラル位置に近いため、図15(D)中の湾曲角度φは図15(B)の場合と同じだが、下向き方向の湾曲後、Xの終点位置から矢印Y2で示す通り上向き方向に戻す湾曲動作時の湾曲角度θ3が図15(B)の場合に比べて大きくなる。つまり、Xの終点位置から矢印Y2で示す通り上向き方向に戻す湾曲動作が非常に大きくなる。
【0108】
その結果、使用者は湾曲部4a2を図15(C)に示すように湾曲角度θ2の位置から単にニュートラル位置に戻したいだけであるのに、図15(D)のセンタリング動作では湾曲部4a2は使用者が考えている以上に大きな移動量となるのY2(湾曲角度θ3)の動作をすることになるので、側方の検査物にヘッド部4a1が当接する可能性がある。
【0109】
そのため、本実施の形態ではフォトカプラ133a,133bによって内部チャンネル33内の鉗子131の有無を検出し、スイッチ部135によってAパラメータ収納部133aとBパラメータ収納部133bとを切り替える。ここで、内部チャンネル33内に鉗子131が無い場合にはスイッチ部135によってAパラメータ収納部133aをセンタリング制御部113に接続した状態で保持する。また、内部チャンネル33内に鉗子131が有る場合にはBパラメータ収納部133bをセンタリング制御部113に接続する状態に切り替え、パラメータを小さくする。
【0110】
そこで、本実施の形態ではフォトカプラ133a,133bによって内部チャンネル33内の鉗子131の有無を検出し、その検出結果に基いてスイッチ部135によってAパラメータ収納部133aとBパラメータ収納部133bとを切り替えることにより、湾曲部4a2の湾曲をニュートラル位置に戻す際の湾曲部4a2の湾曲量を適正に変化させることができる。そのため、湾曲部4a2の湾曲操作時に湾曲部4a2をある方向に湾曲させた後、ニュートラル位置に戻した際に、湾曲部4a2を略直線形状のニュートラル位置まで正確に戻すことができ、精度の良いセンタリング効果を得ることができる。
【0111】
なお、本実施の形態では、スイッチ部135によってAパラメータ収納部133aとBパラメータ収納部133bとを切り替える構成を示したが、これに代えて第2の実施の形態(図11参照)のセンタリングパラメータ変更ボリューム121にてパラメータ格納部114のパラメータを直接、変更する操作を行なうようにしてもよい。
【0112】
また、認識手段は、鉗子131が挿通されたときに導通するよう配置された電極であってもよい。この場合、同様にスイッチ部135にてAパラメータ収納部133aとBパラメータ収納部133bとを切り替える動作を行なう。
【0113】
また、電極がむき出しではなく、鉗子131が挿通されるとON、OFFする非接触型のスイッチであってもよい。
【0114】
また、本実施の形態ではAパラメータ収納部133aとBパラメータ収納部133bとを切り替えて使用する構成を示したが、2通りのパラメータ格納部ではなく、認識手段により例えば複数種類の異なる鉗子を判別できるようにするとともに、その複数の鉗子の種類の数に対応する数の複数のパラメータ格納部114を設け、スイッチ部135でその複数のパラメータ格納部114を選択的に切り替えてセンタリング動作する構成にしてもよい。
【0115】
また、図16は本発明の第4の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図10参照)の内視鏡装置1の構成を次の通り変更したものである。
【0116】
すなわち、第1の実施の形態では挿入部4aの内部に内部チャンネル33を配設した構成を示したが、本実施の形態は上述した内部チャンネル33に代えて図16に示すように外付けチャンネル141を設けたものである。この外付けチャンネル141は挿入部4a3の外側に、テープやOリング、バインダ等の結束部材142で結束し、傍内視鏡的にチャンネルを設けるものである。
【0117】
また、リモコン16の一側面にはスコープ部4を挟持する開閉可能な一対の挟持部材143が設けられている。この挟持部材143の内面にはスコープ部4の挿入部4a3を保持する大径凹部143aと、この大径凹部143aよりも小径な小径凹部143bとが設けられている。この小径凹部143bは外付けチャンネル141を保持可能になっている。
【0118】
さらに、挟持部材143の開閉部には小径凹部143bの近傍部位に外付けチャンネル検出用の接点144a,144bが設けられている。そして、接点144a,144b間が導通することで外付けチャンネル141の有無を判別して図13のスイッチ部135が切り替わるようにしている。
【0119】
そこで、本実施の形態では挟持部材143の外付けチャンネル検出用の接点144a,144bによって外付けチャンネル141の有無を検出し、その検出結果に基いてスイッチ部135によってAパラメータ収納部133aとBパラメータ収納部133bとを切り替えることができる。これにより、湾曲部4a2の湾曲をニュートラル位置に戻す際の湾曲部4a2の湾曲量を適正に変化させることができる。そのため、湾曲部4a2の湾曲操作時に湾曲部4a2をある方向に湾曲させた後、ニュートラル位置に戻した際に、外付けチャンネル141の影響に打ち勝ち、湾曲部4a2を略直線形状のニュートラル位置まで正確に戻すことができ、精度の良いセンタリング効果を得ることができる。
【0120】
なお、外付けチャンネル141の有無を判別するのは、接点144a,144bではなく、前述したフォトカプラ133a,133b(図12参照)でもよい。
【0121】
また、図17は本発明の第5の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第3の実施の形態(図12乃至図15(A)〜(D)参照)の内視鏡装置1の構成を次の通り変更したものである。
【0122】
すなわち、本実施の形態では電動湾曲装置51のモータ部55a2,55b2の電流値を検出する電流感知部151を設けている。この電流感知部151は第3の実施の形態と同様のスイッチ部135に接続されている。そして、電流感知部151によって検出される電流値がある所定の設定値を超えた時点で、スイッチ部135にて2つのパラメータ格納部134a,134bを切り替えるようになっている。
【0123】
一般に、湾曲部4a2の湾曲に影響を与えるのは、内蔵物の偏りや、鉗子131の有無だけではなく、挿入部4aの蛇行や、ループも湾曲部4a2の湾曲に影響を与える。つまり、挿入部4aの蛇行や、ループがあることで、各アングルワイヤ101aと各アングルコイル101bとの間の摩擦が増す。そして、摩擦が増えるとアングルワイヤ101aのアングル力量が重くなる。
【0124】
つまり、アングルワイヤ101aのアングル力量が重くなったことが湾曲特性の変化として認識できれば、センタリングのパラメータ可変に利用できる。ここで、湾曲部4a2の湾曲時にはモータ部55a2,55b2に電力を供給し、スプロケット58a,58bを回動させて湾曲している。そのため、アングル力量が重くなると、モータ部55a2,55b2の電流値が上昇する。
【0125】
そこで、本実施の形態では電動湾曲装置51のモータ部55a2,55b2の電流値を検出する電流感知部151を設け、この電流感知部151によって検出される電流値がある所定の設定値を超えた時点で、スイッチ部135にて2つのパラメータ格納部134a,134bを切り替えている。その結果、湾曲部4a2の湾曲をニュートラル位置に戻す際の湾曲部4a2の湾曲量を適正に変化させることができ、適切なセンタリングを行なうことができる。
【0126】
なお、電流感知部151によって検出される電流値がある所定の設定値を超えた時点で、図11のセンタリングパラメータ変更ボリューム121によってマイコン107のセンタリング制御部113に接続されているパラメータ格納部114のパラメータの値を直接、変更する構成にしてもよい。
【0127】
また、アングル力量の認識を、電流値ではなく、モータ部55a2,55b2に印加する電圧値を検出する電圧感知部を設けてもよい。ここで、電圧を上げるとより速く、力強くモータ部55a2,55b2は動作するため、電圧値が高くなることはアングル力量が重いということである。そして、この電流感知部151による検出結果に応じてスイッチ部135にて2つのパラメータ格納部134a,134bを切り替える構成にしてもよい。
【0128】
また、図18は本発明の第6の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図10参照)の内視鏡装置1の構成を次の通り変更したものである。
【0129】
すなわち、本実施の形態では第3の実施の形態(図12乃至図15(A)〜(D)参照)と同様に鉗子131を認識する認識手段132としてフォトカプラ133a,133bがスコープ部4の中間連結部4bにおけるチャンネルポート部4b2の部分に設けられている。
【0130】
さらに、図18に示すように電動湾曲制御部52のマイコン107には認識手段132の認識結果に基いて動作して一定量のデジタル信号を付加する付加部161が設けられている。そして、フォトカプラ133a,133bにて鉗子131が検知されると、付加部161にてリモコン用A/D変換部106からの信号に一定量のデジタル信号を付加するようになっている。これにより、ジョイスティック19で指示した湾曲量よりもより大きな湾曲量が指示された状態に加工され、差分演算部111に移行する。
【0131】
例えば、湾曲部4a2に湾曲が掛かっていない状態から、ジョイスティック19を上方向に湾曲させた場合に、リモコン用A/D変換部106からは300というデジタル信号が出される。このとき、ポテンショメータ用AD変換部110は512の値を示すので、通常は300−512分の湾曲動作を行なう。そして、フォトカプラ133a,133bで鉗子131が認識された場合には付加部161にて+α、ここでは20を付加する。
【0132】
つまり、湾曲部4a2を280−512分湾曲させる。そして、湾曲部4a2の湾曲時に鉗子131があることによって湾曲角度が出なくなる部分をこのプラスαにて補填する。
【0133】
なお、このαは、鉗子131の種類によって異なるので、フォトカプラ133a,133bにて数種類の鉗子131を認識するようにしておけば、付加部161にてαをその種類分用意し、付加するとよい。
【0134】
さらに、鉗子131を認識する認識手段132としてはフォトカプラだけに限らず、第3の実施の形態で示した他の認識手段を設けても良い。
【0135】
また、この場合も内蔵のチャンネルだけでなく、外付けチャンネルの場合、それを認識しても良く、また、その外付けチャンネル内への鉗子の有無を認識する上記認識手段でもよい。
【0136】
また、チャンネルや鉗子の有無のみでなく、第5の実施の形態(図17参照)のように、スコープ部4の挿入部4aの状況を認識し、付加部161にて湾曲角度を上げるようにしてもよい。
【0137】
また、付加する手段は本実施の形態のように一定量のデジタル信号を付加する付加部161でなく、D/Aコンバータ108をある係数倍する付加部でも、アンプ109をより増幅する付加部でもよい。
【0138】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。

(付記項1) 挿入部先端側に湾曲部を有し、湾曲部の動作を手元側の湾曲駆動機構で行ない、
手元側のセンタリング指示入力手段の指示に応じ、前記湾曲駆動機構を制御して湾曲部の湾曲状態を直線に戻すよう所定量の湾曲を実行するセンタリング機構を有する内視鏡において、
各方向の湾曲特性差に応じて所定量の湾曲を各湾曲方向で可変とする可変手段を設けたことを特徴とする内視鏡。
【0139】
(付記項2) 挿入部先端側に湾曲部を有し、湾曲部の動作を手元側の湾曲駆動機構で行ない、
手元側のセンタリング指示入力手段の指示に応じ、前記湾曲駆動機構を制御して所定量の湾曲を実行するセンタリング機構を有する内視鏡において、
湾曲特性を変化を認識する認識手段と、認識手段の結果より所定量の湾曲の大きさを可変とする可変手段を設けたことを特徴とする内視鏡。
【0140】
(付記項3) 挿入部先端側に湾曲部を有し、湾曲部の動作を手元側の湾曲駆動機構で行なう内視鏡において、湾曲特性の変化を認識する認識手段と、
認識手段の結果より湾曲の大きさを可変とする可変手段を設けたことを特徴とする内視鏡。
【0141】
(付記項4) 付記項3において、認識手段は湾曲特性の変化を鉗子の有無によって判断することを特徴とする内視鏡。
【0142】
(付記項5) 付記項3において、認識手段は湾曲特性の変化をチャンネルの有無によって判断することを特徴とする内視鏡。
【0143】
(付記項6) 認識手段はモータの電流値によって判断する内視鏡。
【0144】
(付記項7) 認識手段はモータの電圧値によって判断する内視鏡。
【0145】
(付記項1、2の従来技術) 従来の内視鏡では、ある方向に湾曲を掛けた後、湾曲指示入力手段をニュートラル位置に戻しても、アングルコイルとアングルワイヤの摩擦抵抗によって、湾曲部までは十分にニュートラル状態(直線状態)に戻らないため、特願2001−126231には、湾曲部をニュートラル状態とする電動湾曲内視鏡のセンタリング機構について記載がされている。
【0146】
もちろん、手動湾曲操作による内視鏡にこの機能はない。
【0147】
(付記項1、2が解決しようとする課題) 特願2001−126231での湾曲をニュートラルにする動作は、事前の湾曲方向とは反対の方向に所定量の湾曲動作を行なう。ここで、所定量の湾曲は、制御回路内で設定された所定量を表すパラメータによって決定される。しかし、このパラメータが上下左右4方向同じ場合や、いかなる場合でも固定値であると、以下の問題が生じる。
【0148】
挿入部に内蔵される信号線、ライトガイドファイバ、チャンネルチューブによって、湾曲部内に内蔵物の偏りが生じ、厳密には上下左右方向での湾曲力量差や、同じ量アングルワイヤを牽引しても異なる湾曲角度となる傾向にあり、同じように湾曲部が十分にニュートラル状態に戻らないということについても偏向性が見られ、各方向によってその程度は異なる。この場合、精度の良いセンタリング効果を得ることができない。
【0149】
また、チャンネルチューブ内に鉗子が挿通されている場合には、挿通されていない場合に比べ湾曲が掛かり難い状況にあるため、挿通ありの場合となしの場合で上記パラメータが同一であるのも好ましくない。
【0150】
(付記項1の課題を解決するための手段) 挿入部先端側に湾曲部を有し、湾曲部の動作を手元側の湾曲駆動機構で行ない、手元側のセンタリング指示入力手段の指示に応じ、前記湾曲駆動機構を制御して湾曲部の湾曲状態を直線に戻すよう所定量の湾曲を実行するセンタリング機構を有する内視鏡において、各方向の湾曲特性差に応じて所定量の湾曲を各湾曲方向で可変とする可変手段を設けた構成とする。
【0151】
(付記項1の効果) その結果、各湾曲方向で精度良いセンタリングができる。
【0152】
(付記項2の課題を解決するための手段) 挿入部先端側に湾曲部を有し、湾曲部の動作を手元側の湾曲駆動機構で行ない、手元側のセンタリング指示入力手段の指示に応じ、前記湾曲駆動機構を制御して所定量の湾曲を実行するセンタリング機構を有する内視鏡において、湾曲特性の変化を認識する認識手段と、認識手段の結果より所定量の湾曲の大きさを可変とする可変手段を設けた構成とする。
【0153】
(付記項2の効果) その結果、例えば、鉗子チャンネル内に鉗子が挿通されていることや、挿入部外部に外付けのチャンネルチューブが取り付けられたことや、その外付けチャンネルに鉗子が挿通されていることを認識することで、それに応じたパラメータを設定し、各湾曲方向で精度良いセンタリングができる。
【0154】
(付記項3〜7が解決しようとする課題) チャンネルに鉗子を挿通すると、鉗子の剛性や弾性によって湾曲角度が出なくなる傾向にある。
【0155】
また、挿入部がループ、蛇行していると湾曲角度が出なくなる。
【0156】
(付記項3〜7の目的) センタリングではなく、付記項2の認識手段を用い、鉗子挿通時や外付けチャンネル取り付け時には湾曲角度を通常より出るようにする。
【0157】
(付記項3〜7の課題を解決するための手段) 鉗子や外付けチャンネルや挿入部の状態を検知して、湾曲角度を出すようにする。
【0158】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、センタリング制御部の動作時に湾曲部の各湾曲方向の湾曲特性差に応じてニュートラル位置に戻す際の湾曲部の湾曲量を各湾曲方向で変化させる戻し位置調整手段を設けたので、湾曲部の湾曲操作時に湾曲部をある方向に湾曲させた後、ニュートラル位置に戻した際に、湾曲部を略直線形状のニュートラル位置まで正確に戻すことができ、精度の良いセンタリング効果を得ることができる。
【0159】
請求項2の発明によれば、湾曲部の湾曲を戻す場合に戻し位置調整手段の認識手段によって湾曲部の各湾曲方向の湾曲特性の変化を認識させ、この認識手段の認識結果に基いてニュートラル位置に戻す際の湾曲部の湾曲量を湾曲量変化手段によって変化させることができる。
【0160】
請求項3の発明によれば、湾曲部の湾曲を戻す場合に認識手段によって湾曲部の各湾曲方向の湾曲特性の変化を認識させ、この認識手段の認識結果に基いて湾曲量変化手段によって湾曲部の湾曲量を変化させることにより、各湾曲方向で精度良いセンタリングができる。
【0161】
請求項4の発明によれば、挿入部に処置具を挿通する処置具チャンネルの有無によって湾曲特性の変化を判断することにより、各湾曲方向で精度良いセンタリングができる。
【0162】
請求項5の発明によれば、処置具チャンネル内に処置具が挿通されている状態や、挿入部の外部に外付けのチャンネルチューブが取り付けられたことや、その外付けチャンネルに鉗子が挿通されて状態などを認識することで、それに応じたパラメータを設定し、湾曲特性の変化を判断することにより、各湾曲方向で精度良いセンタリングができる。
【0163】
請求項6の発明によれば、湾曲駆動機構の駆動モータの電流値によって湾曲特性の変化を判断することにより、各湾曲方向で精度良いセンタリングができる。
【0164】
請求項7の発明によれば、湾曲駆動機構の駆動モータに印加する電圧値によって湾曲特性の変化を判断することにより、各湾曲方向で精度良いセンタリングができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の工業用内視鏡装置における内視鏡収納ケースの蓋を開いた状態を示す工業用内視鏡装置全体の斜視図。
【図2】(A)は第1の実施の形態の工業用内視鏡装置における内視鏡収納ケースを示す斜視図、(B)は内視鏡装置本体の組み付けユニットの分解斜視図。
【図3】第1の実施の形態の工業用内視鏡装置におけるスコープ部の中間連結部を示す斜視図。
【図4】第1の実施の形態の工業用内視鏡装置におけるスコープ部のベースユニットを示すもので、(A)はベースユニットの内部構成を示す縦断面図、(B)は(A)のIVB−IVB線断面図。
【図5】(A)は図4(B)のVA−VA線断面図、(B)は図4(B)のVB−VB線断面図、(C)は図5(A)のVC−VC線断面図。
【図6】第1の実施の形態の工業用内視鏡装置における電動湾曲装置の要部構成を示すもので、(A)はチェーン駆動用のスプロケットの取付け状態を示す縦断面図、(B)はチェーンと操作ワイヤとの連結部を示す縦断面図、(C)は上下方向湾曲操作用のチェーン駆動スプロケットの取付け状態を示す縦断面図、(D)は左右方向湾曲操作用のチェーン駆動スプロケットの取付け状態を示す縦断面図。
【図7】第1の実施の形態の工業用内視鏡装置における制御回路全体の概略構成図。
【図8】第1の実施の形態の工業用内視鏡装置における挿入部の内部構成を示す横断面図。
【図9】(A)は第1の実施の形態の工業用内視鏡装置における湾曲駆動機構の動作を説明するための説明図、(B)はポテンショメータの動作を説明するための説明図。
【図10】第1の実施の形態の工業用内視鏡装置におけるセンタリング制御部にパソコンを接続した状態を示す全体の概略構成図。
【図11】本発明の第2の実施の形態の工業用内視鏡装置における制御回路全体の概略構成図。
【図12】本発明の第3の実施の形態の工業用内視鏡装置におけるスコープ部の中間連結部を示す縦断面図。
【図13】第3の実施の形態の工業用内視鏡装置における制御回路全体の概略構成図。
【図14】第3の実施の形態の工業用内視鏡装置における中間連結部の鉗子口に鉗子を挿入する状態を示す斜視図。
【図15】(A)は第3の実施の形態の工業用内視鏡装置におけるチャンネル内に鉗子が挿入されていない場合の湾曲部の湾曲時の湾曲戻し動作を説明するための説明図、(B)は(A)の場合の湾曲部のセンタリング動作を説明するための説明図、(C)はチャンネル内に鉗子が挿入されている場合の湾曲部の湾曲時の湾曲戻し動作を説明するための説明図、(D)は(C)の場合の湾曲部のセンタリング動作を説明するための説明図。
【図16】本発明の第4の実施の形態の工業用内視鏡装置における外付けチャンネルを取付けたスコープ部をリモコンに連結した状態を示す斜視図。
【図17】本発明の第5の実施の形態の工業用内視鏡装置における制御回路全体の概略構成図。
【図18】本発明の第6の実施の形態の工業用内視鏡装置における制御回路全体の概略構成図。
【符号の説明】
4  スコープ部
4a  挿入部
4a2  湾曲部
16  リモコン(入力部)
51  電動湾曲装置(湾曲駆動機構)
112  センタリングボタン(センタリング指示入力手段)
113  センタリング制御部
115  パソコン(戻し位置調整手段)

Claims (7)

  1. 検査対象空間内に挿入される可撓性を有する挿入部の先端側に湾曲部を有し、
    前記挿入部の基端部側に配置される手元側の入力部に前記湾曲部を駆動する湾曲駆動機構を備えた内視鏡において、
    前記湾曲部の湾曲状態を略一直線形状のニュートラル位置に戻すように前記湾曲駆動機構を制御するセンタリング制御部と、
    このセンタリング制御部の動作を指示するセンタリング指示入力手段と、
    前記センタリング制御部の動作時に前記湾曲部の各湾曲方向の湾曲特性差に応じて前記ニュートラル位置に戻す際の前記湾曲部の湾曲量を各湾曲方向で変化させる戻し位置調整手段とを設けたことを特徴とする内視鏡。
  2. 前記戻し位置調整手段は、前記湾曲部の各湾曲方向の湾曲特性の変化を認識する認識手段と、この認識手段の認識結果に基いて前記ニュートラル位置に戻す際の前記湾曲部の湾曲量を変化させる湾曲量変化手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  3. 検査対象空間内に挿入される可撓性を有する挿入部の先端側に湾曲部を有し、
    前記挿入部の基端部側に配置される手元側の入力部に前記湾曲部を駆動する湾曲駆動機構を備えた内視鏡において、
    前記湾曲部の各湾曲方向の湾曲特性の変化を認識する認識手段を設け、
    この認識手段の認識結果に基いて前記湾曲部の湾曲量を変化させる湾曲量変化手段を設けたことを特徴とする内視鏡。
  4. 前記認識手段は、前記挿入部に処置具を挿通する処置具チャンネルの有無によって前記湾曲特性の変化を判断する手段を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
  5. 前記挿入部は、処置具を挿通する処置具チャンネルを有し、
    前記認識手段は、前記処置具チャンネル内への処置具の挿通の有無によって前記湾曲特性の変化を判断する手段を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
  6. 前記湾曲駆動機構は、前記湾曲部を湾曲操作する操作ワイヤと、この操作ワイヤを牽引駆動する駆動モータとを有し、
    前記認識手段は、前記駆動モータの電流値によって判断する手段を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
  7. 前記湾曲駆動機構は、前記湾曲部を湾曲操作する操作ワイヤと、この操作ワイヤを牽引駆動する駆動モータとを有し、
    前記認識手段は、前記駆動モータに印加する電圧値によって判断する手段を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
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