JP2004187460A - インバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システム - Google Patents
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Abstract
【課題】運転状態により変動する誘導電動機に関わる制御定数に対応して、適切に制御定数を変更し、より安定的に誘導電動機の制御を行うインバータ制御装置を提供する。
【解決手段】インバータ制御部1と、制御定数制御部2とを具備するインバータ制御装置を用いる。
インバータ制御部1は、誘導電動機4の速度検出値ωm及び電流検出値Iu、Iv、Iwと、誘導電動機4への制御指令τ*とに基づいて、制御定数を用いた制御演算により電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を算出し、誘導電動機4に電力を供給する電力変換部4へ電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を出力する。制御定数制御部2は、誘導電動機4の運転状態に基づいて、制御定数Sをインバータ制御部1へ出力する。そして、インバータ制御部1は、制御定数制御部2から出力された制御定数Sを用いて、電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を算出する。
【選択図】 図1
【解決手段】インバータ制御部1と、制御定数制御部2とを具備するインバータ制御装置を用いる。
インバータ制御部1は、誘導電動機4の速度検出値ωm及び電流検出値Iu、Iv、Iwと、誘導電動機4への制御指令τ*とに基づいて、制御定数を用いた制御演算により電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を算出し、誘導電動機4に電力を供給する電力変換部4へ電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を出力する。制御定数制御部2は、誘導電動機4の運転状態に基づいて、制御定数Sをインバータ制御部1へ出力する。そして、インバータ制御部1は、制御定数制御部2から出力された制御定数Sを用いて、電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を算出する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムに関し、特に、回転機械の可変速駆動に用いられるインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
インバータ制御装置の制御により駆動される整流器・インバータ・誘導電動機を備える誘導電動機システムが知られている。
図7は、従来のインバータ制御装置を用いた誘導電動機システムを示す。この誘導電動機システムは、インバータ制御部101、電源部110、電力変換部103、電流計105、誘導電動機104及び速度検出器106を備える。
インバータ制御部101は、速度検出器106からの回転速度ωm、電流計105からの電流Iu、Iv、Iw、外部からのトルク指令τ*に基づいて、電力変換部103へ電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を出力するインバータ制御装置である。電源部110は、バッテリー又は商用電源である。電力変換部103は、整流部(整流器、コンバータなど)及びインバータを含み、電源部110の電力を電圧指令Vu *、Vv *、Vw *の特性を有する電力へ変換し、誘導電動機104へ出力する。電流計105は、電力変換部103から出力された電力の電流Iu、Iv、Iwを計測し、インバータ制御部101へ出力する。誘導電動機104は、電力変換部103から出力された電力により駆動される。速度検出器106は、誘導電動機104の回転速度ωmを計測し、インバータ制御部101へ出力する。
【0003】
また、図6は、誘導電動機のT形等価回路を示す回路図である。ただし、r1:一次抵抗、r2:二次抵抗の一次側換算値(以下、「二次抵抗」と記す)、l1:一次漏れインダクタンス(以下、「一次インダクタンス」と記す)、l2:二次漏れインダクタンスの一次側換算値(以下、「二次インダクタンス」と記す)、s:すべり、r0:励磁抵抗、M:一次、二次相互インダクタンス(以下、「相互インダクタンス」と記す)である。
【0004】
インバータ制御部101では、回転速度ωm、電流Iu、Iv、Iw、トルク指令τ*に基づいて、予め設定されている制御定数(図6に示す回路定数:r1、r2、l1、l2、s、r0、Mのような物理量など)を用いて制御演算を行い、誘導電動機システムを制御している。しかし、運転状態により、実際の制御定数が変動する場合がある。特に、力行状態と回生状態とでは、ハードウェア(誘導電動機)の制御定数が変化する。このため、その変化に対応して演算により該当する制御定数を補正する等の処理を行わないと、ハードウェアに対する適切な制御を行うことが出来なくなる。
制御定数を補正しながら制御を行なう場合、制御装置におけるCPUのような演算処理部の負担が大きくなる。負担を軽減するために、他の演算処理部を設けることにすると制御装置サイズの増加、あるいは制御装置コストの増加が必要となる。
【0005】
関連する技術として、特開平8−251997号公報に誘導電動機の制御装置の技術が公開されている。この技術の誘導電動機の制御装置は、インバータと、速度検出手段と、ベクトル制御部と、電流・電圧検出手段と、モータ定数演算手段とを備えている。
インバータは、電流指令に従って可変電圧、可変周波数の交流を誘導電動機に供給する。速度検出手段は、その誘導電動機の速度を検出する。ベクトル制御部は、その誘導電動機の検出速度、二次抵抗のみを可変として予め設定されたモータ定数、トルク指令及び二次磁束指令に基づいてそのインバータに対する電流指令を演算する。電流・電圧検出手段は、その誘導電動機に供給される電流及び電圧を検出する。モータ定数演算手段は、その電流指令の演算過程で導出されるすべり周波数及び回転周波数、並びに、検出されたその誘導電動機の電流及び電圧に基づいてその誘導電動機の二次抵抗を演算し、設定されたモータ定数の補正値とする。
この技術は、回転子の温度が変動しても、所定のトルクを正確に発生させることのできる誘導電動機の制御装置を得ることを目的としている。
【0006】
また、特開平9−149698号公報に誘導電動機の制御装置の技術が公開されている。この技術の誘導電動機の制御装置は、周波数演算手段と、誘導電動機電流指令出力手段と、誘導電動機電流指令出力手段と、電流制御手段とを備え、更に、三相/二相変換装器と、二次抵抗推定手段とを備えたことを特徴としている。
周波数演算手段は、誘導電動機の二次抵抗R2と二次インダクタンスL2と励磁電流指令とトルク電流指令とからすべリ角周波数ωsを演算する。誘導電動機電流指令出力手段は、そのトルク電流指令とその励磁電流指令とその誘導電動機の検出もしくは推定された回転速度とそのすべり角周波数ωsとからその誘導電動機に流れる電流指令を出力する。電流制御手段は、その誘導電動機電流指令とその誘導電動機の検出された電流とを比較しその比較結果に応じた電圧指令を出力する。その電圧指令に応じて出力電圧と周波数を可変してその誘導電動機を駆動する駆動手段を備えた誘導電動機の制御装置である。三相/二相変換装器は、その誘導電動機の一次電圧と一次電流の検出値又は指令値を、静止座標系(d−q軸)の一次電圧と一次電流であるv1d、v1q、i1d、i1qに三相/二相変換し出力する。二次抵抗推定手段は、その三相/二相変換器から入力した静止座標系の一次電圧と一次電流であるv1d、v1q、i1d、i1q、一次インダクタンスL1、二次インダクタンスL2、相互インダクタンスM、及び一次抵抗R1により、二次磁束ψ2d、ψ2q及び二次電流i2d、i2qを演算し、そのすべり周波数演算手段から入力した更新前のすべり角周波数ωs、その演算して求めた二次磁束ψ2d、ψ2q及び二次電流i2d、i2qにより所定の数式によって二次抵抗R2を演算し、この二次抵抗R2をそのすべり周波数演算手段へ出力する。
この技術は、定回転、定トルク運転のような状況でも一次抵抗、二次抵抗の値を微分項を含まない手法で演算推定でき、ベクトル制御本来の制御性を維持できる誘導電動機の制御装置を得ることを目的としている。
【0007】
運転状態により変動するハードウェア(誘導電動機)の制御定数に対応して、適切な制御を行うことが可能な技術が求められている。力行時と回生時とで制御定数が変動しても、誘導電動機を適切に制御することが可能な技術が求められている。また、制御に関わる制御装置の負担の少ない技術が求められている。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−251997号公報
【特許文献2】
特開平9−149698号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、運転状態により変動する誘導電動機に関する制御定数に対応して、誘導電動機を適切に制御することが可能なインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムを提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、誘導電動機の力行時と回生時とで制御定数が変動しても、誘導電動機を適切に制御することが可能なインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムを提供することである。
【0011】
本発明の更に他の目的は、運転状態により変動する誘導電動機に関わる制御定数に対応した制御を、制御装置の負担を少なく行うことが可能なインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムを提供することである。
【0012】
本発明の更に他の目的は、運転状態により変動する誘導電動機に関わる制御定数に対応した制御を、省スペース、低コストで行うことが可能なインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]との対応関係を明らかにするために括弧付で付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0014】
従って、上記課題を解決するために、本発明のインバータ制御装置は、インバータ制御部(1)と、制御定数制御部(2)とを具備する。
インバータ制御部(1)は、誘導電動機(4)の速度検出値(ωm)及び電流検出値(Iu、Iv、Iw)と、誘導電動機(4)への制御指令(τ*)とに基づいて、制御定数を用いた制御演算により電圧指令(Vu *、Vv *、Vw *)を算出し、誘導電動機(4)に電力を供給する電力変換部(4)へ電圧指令(Vu *、Vv *、Vw *)を出力する。制御定数制御部(2)は、誘導電動機(4)の運転状態に基づいて、制御定数(S)をインバータ制御部(1)へ出力する。
そして、インバータ制御部(1)は、制御定数制御部(2)から出力された制御定数(S)を用いて、電圧指令(Vu *、Vv *、Vw *)を算出する。
【0015】
また、本発明のインバータ制御装置は、制御定数制御部(2)が、制御定数データベース(23)と、制御定数変換部(21)とを備える。
制御定数データベース(23)は、制御定数(31)と運転状態(32)とを関連付けて格納する。制御定数変換部(21)は、運転状態(32)に基づいて、制御定数データベース(23)から制御定数(31)を選択し、インバータ制御部(1)へ出力する。
【0016】
また、本発明のインバータ制御装置は、運転状態が、回生状態及び力行状態を含んでいる。
そして、制御定数制御部(2)は、速度検出値(ωm)及び制御指令(τ*)に基づいて、その運転状態を判定する。
【0017】
更に、本発明のインバータ制御装置は、その制御定数が、誘導電動機(4)の二次抵抗(r2)及び相互インダクタンス(M)の少なくとも一方を含んでいる。
【0018】
更に、本発明のインバータ制御装置は、その制御定数が、回生状態において、誘導電動機(4)のすべり周波数(ωS)が小さくなるように選択される。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の誘導電動機の制御装置は、電流検出部(5)と、速度検出部(6)と、インバータ制御装置(1+2)と、電力変換部(3)とを具備する。
電流検出部(5)は、誘導電動機(4)へ供給される電力としての供給電力の電流を検出して、電流検出値(Iu *、Iv *、Iw *)として出力する。速度検出部(ωm)は、誘導電動機(4)の速度を検出して、速度検出値(ωm)として出力する。インバータ制御装置(1+2)は、速度検出値(ωm)及び電流検出値(Iu *、Iv *、Iw *)と、誘導電動機(4)への制御指令(ωm)とに基づいて、電圧指令(Vu *、Vv *、Vw *)を出力する。上記各項のいずれか一項に記載されている。電力変換部(3)は、電圧指令(Vu *、Vv *、Vw *)に基づいて、電源(10)から供給される電力を変換して供給電力として誘導電動機(4)へ出力する。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の誘導電動機システムは、上記の誘導電動機の制御装置(1+2+3+5+6)と、誘導電動機(4)とを具備する。
【0021】
また、本発明の誘導電動機システムは、誘導電動機の制御装置(1+2+3+5+6)の電力変換部(3)へ電力を供給する電源が、二次電池である。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の誘導電動機の制御方法は、誘導電動機(4)の速度である速度検出値(ωm)を検出するステップと、外部からの制御指令(τ*)及び速度検出値(ωm)に基づいて、誘導電動機(4)の運転状態を判定するステップと、その判定に基づいて、誘導電動機(4)の制御に関わる制御定数を、維持、又は、その運転状態に対応して予め設定された値への変更を行うステップと、その維持又は変更されたその制御定数、制御指令(τ*)、誘導電動機に供給される電力としての供給電力の電流である電流検出値(Iu *、Iv *、Iw *)及び速度検出値(ωm)に基づいて、制御演算を行い、その供給電力を制御するステップとを具備する。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明の方法を実行するプログラムは、外部からの制御指令(τ*)及び検出された速度検出値(ωm)を受信するステップと、制御指令(τ*)及び速度検出値(ωm)に基づいて、誘導電動機(4)の運転状態を判定するステップと、その判定に基づいて、誘導電動機(4)の制御に関わる制御定数を、維持、又は、その運転状態に対応して予め設定された値への変更を行うステップと、その維持又は変更されたその制御定数、制御指令(τ*)、誘導電動機(4)に供給される電力としての供給電力の電流である電流検出値(Iu *、Iv *、Iw *)及び速度検出値(ωm)に基づいて、制御演算を行い、その供給電力の電圧を制御する指令(Vu *、Vv *、Vw *)を電力変換部(3)へ出力するステップとを具備する方法をコンピューターに実行させる。ここで、速度検出値(ωm)は、誘導電動機(4)の速度である。電力変換部(3)は、電源から供給された電力を、指令(Vu *、Vv *、Vw *)に基づいて変換し、誘導電動機(4)へ供給する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明であるインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムの実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
本実施例において、フォークリフトのような移動体の動力としての誘導電動機の可変速制御に使用されるインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムを例に示して説明する。ただし、他の回転機器の可変速制御においても、適用可能である(なお、各実施の形態において同一又は相当部分には同一の符号を付して説明する)。
【0025】
本発明であるインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムの実施の形態の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本発明であるインバータ制御装置及び誘導電動機の制御装置を適用した誘導電動機システムの実施の形態の構成を示すブロック図である。誘導電動機システムは、インバータ制御部1、制御定数制御部2、電力変換部3、誘導電動機4、電流計5、速度検出器6及び電源部10を備える。
【0026】
インバータ制御部1は、パーソナルコンピュータに例示される情報処理装置である。速度検出器6からの回転速度ωm、電流計5からの電流Iu、Iv、Iw、外部からのトルク指令τ*に基づいて、電力変換部3へ電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を出力するインバータ制御を行う。その制御には、予め設定された制御定数(図6に示す回路定数:r1、r2、l1、l2、s、r0、Mのような回路定数や物理量など)を用いる。
ただし、制御定数制御部2から別の制御定数を示す制御定数信号Sが送信された場合には、制御定数を変更(更新)する。
【0027】
制御定数制御部2は、パーソナルコンピュータに例示される情報処理装置である。インバータ制御部1に含まれていても良く、その場合、省スペース、低コストである。速度検出器6からの回転速度ωmと外部からのトルク指令τ*と制御定数データベース23(後述)とに基づいて、誘導電動機4の運転状態に対応した制御定数を制御定数信号Sとしてインバータ制御部1へ出力する。なお、電流計5からの電流Iu、Iv、Iwを用いるようにしても良い。
【0028】
電力変換部3は、整流部(整流器、コンバータなど)及びインバータを含む電力変換装置である。電源部10から供給される電力を、電圧指令Vu *、Vv *、Vw *の特性を有する電力としての供給電力へ変換し、誘導電動機4へ出力する(力行時)。また、誘導電動機4で発電される電力を電源部10へ出力する(回生時)。
【0029】
電流検出部としての電流計5は、電力変換部3から出力された供給電力の3相電流であるu相電流Iu、v相電流Iv及びw相電流Iwを計測する。そして、インバータ制御部1及び制御定数制御部2へ出力する。
【0030】
誘導電動機4は、力行時には、電力変換部3から出力された電力により駆動される。回生時には、駆動機構から回転エネルギーを吸収し、電源部10(バッテリー)に蓄電する。ただし、回路定数は、r1:一次抵抗、r2:二次抵抗、l1:一次インダクタンス、l2:二次インダクタンス、s:すべり、r0:励磁抵抗、M:相互インダクタンス、である。
【0031】
速度検出部としての速度検出器6は、誘導電動機の回転速度ωmを計測する。そして、インバータ制御部1及び制御定数制御部2へ出力する。速度検出器は、パルスエンコーダに例示される。
【0032】
電源としての電源部10は、誘導電動機を駆動するための電力を電力変換部3へ供給する。電源部10は、二次電池(バッテリー)のような独立電源又は商用電力系統からの商用電源に例示される。本実施例では、フォークリフトに搭載されたバッテリーである。
【0033】
インバータ制御部1について、更に説明する。
図2は、インバータ制御部1の構成を示すブロック図である。インバータ制御部1は、プログラムとしての速度制御部11、比較部12、電流制御部13、座標変換部B14、すべり制御部15、加算部16、積分部17及び座標変換部A18を備える。
【0034】
速度制御部11は、外部から入力されるトルク指令τ*に基づいて、下式(1)及び(2)により、d軸電流指令id *及びq軸電流指令iq *を算出し、出力する。
id *=K/ωm (1)
iq *=τ*/id *・KT (2)
ただし、K:id *を決める制御定数
ωm:回転速度
KT=Pn・M2/L2
L2=l2+M
Pn:極対数
【0035】
比較部12は、速度制御部11から出力されたd軸電流指令id *及びq軸電流指令iq *と、座標変換部A18から出力された検出値(フィードバック電流)であるd軸電流id及びq軸電流iqとに基づいて、下式(3)及び(4)により、d軸電流指令偏差Δid及びq軸電流指令偏差Δiqを算出し、出力する。
Δid *=id *−id (3)
Δiq *=iq *−iq (4)
【0036】
電流制御部13は、比較部12から出力されたd軸電流指令偏差Δid及びq軸電流指令偏差Δiqに基づいて、下式(5)及び(6)により、d軸電圧指令Vd *及びq軸電圧指令Vq *を算出し、出力する。
Vd *=(KP+KI/s)・Δid (5)
Vq *=(KP+KI/s)・Δiq (6)
ただし、KP=2ζ・ωn・Lσ―r1
KI=ωn 2・Lσ
Lσ=L1・L2−M2
L1=l1+M
ωn:電流PI制御の固有角周波数
ζ:電流PI制御の減衰定数
【0037】
座標変換部B14は、電流制御部13から出力されたd軸電圧指令Vd *及びq軸電圧指令Vq *と、積分部17から出力された回転磁界位置θ1とに基づいて、2相−3相変換を行い、u相電圧指令Vu *、v相電圧指令Vv *及びw相電圧指令Vw *を算出し、出力する。
【0038】
すべり制御部15は、速度制御部11から出力されたd軸電流指令id *及びq軸電流指令iq *に基づいて、下式(7)により、すべり周波数ωsを算出し、出力する。
ωs=KWS・(iq */id *) (7)
ただし、KWS=r2/L2
【0039】
加算部16は、速度検出器6で検出された誘導電動機4の回転速度ωmと、すべり制御部15から出力されたすべり周波数ωsとに基づいて、下式(8)により、一次角周波数指令ω1を算出し、出力する。
ω1=ωm+ωs (8)
【0040】
積分部17は、加算部16から出力された一次角周波数指令ω1に基づいて、その値を積分することにより、回転磁界位置θ1(磁束位相)を算出し、出力する。
【0041】
座標変換部18は、電流計5で検出された3相電流であるu相電流Iu、v相電流Iv及びw相電流Iwと、加算部16から出力された一次角周波数指令ω1とに基づいて、3相−2相変換を行い、d軸電流Id及びq軸電流Iqを算出し、出力する。
【0042】
次に、制御定数制御部2について、更に説明する。
図3は、制御定数制御部2の構成を示す図である。制御定数制御部2は、プログラムとしての制御定数変換部21及び制御定数管理部22を備え、制御定数データベース23を格納している。
【0043】
制御定数変換部21は、速度検出器6からの回転速度ωmとトルク指令τ*と制御定数データベース23(後述)とに基づいて、誘導電動機4の運転状態に対応した制御定数を制御定数信号Sとしてインバータ制御部1へ出力する。制御定数は、誘導電動機4の運転の安定性が高まるように選択される。
制御定数管理部22は、制御定数データベース23に関する各種データの入力及び出力を制御する。
制御定数データベース23は、インバータ制御部1での制御に用いる各種制御定数に関する情報とその数値の情報とを関連付けて記憶している。
【0044】
制御定数データベース23について更に説明する。
図4は、制御定数データベース23を示す図である。制御定数データベース23は、インバータ制御部1での制御に用いる各種制御定数に関する情報とその数値の情報とを関連付けて記憶している。
【0045】
各種制御定数に関する情報は、制御定数31及び条件32とを含む。
制御定数31は、インバータ制御部1の各部(速度制御部11、電流制御部13、すべり制御部15等)内で、制御(計算)に用いる制御定数(通常、定数として用いているもの)である。制御定数の種類は、r1、r2、l1、l2、s、r0、Mのような回路定数や物理量などに例示される。
条件32は、制御定数31を変更する条件の項目を示す条件項目32−1と、その条件の範囲を示す範囲32−2である。条件項目32−1は、回転速度ωm、トルク指令τ*のような誘導電動機4の運転状態を示す情報である。範囲32−2は、回転速度ωmの範囲、トルク指令τ*の範囲などの具体的な数値などで示される。本実施例では、力行の状態を示す範囲、及び、回生の状態を示す範囲の2種類である。ここで、力行の状態は、トルク指令τ*×回転速度ωm≧0であり、回生の状態は、トルク指令τ*×回転速度ωm<0である。
【0046】
なお、条件32の条件項目32−1は、運転状態を示す情報として、複数の情報の組合せでも良い。例えば、トルク指令τ*×回転速度ωmの値の範囲、電流(Iu、Iv、Iw)の組み合わせなどである。
【0047】
各種制御定数の数値の情報は、数値33と現在値34とを含む。
数値33は、条件32で示される条件下における制御定数31の具体的な数値を示す。本実施例では、力行状態の制御定数を従来用いている定数とし、回生状態の制御定数をすべりsを小さくするように設定する。
例えば、力行状態の相互インダクタンス=M(力行)を、回生状態の相互インダクタンス=M(回生)=1.2M(力行)〜1.5M(力行)とする。これは、Mが1.2倍になると、L2が約1.2倍となるので、KWSは約1/1.2倍となる。すなわち、式(7)より、すべり周波数ωsを小さくする方向に制御することになる。これは、d−q軸のずれに対し、安定度が増加する方向である。
同様に、力行状態の二次抵抗=r2(力行)を、回生状態の二次抵抗=r2(回生)=0.6r2(力行)〜0.8r2(力行)とする。これは、r2が0.8倍になると、KWSは0.8倍となる。すなわち、式(7)より、すべり周波数ωsを小さくする方向に制御することになる。
現在値34は、現在インバータ制御部1で使用されている制御定数31の値である。
【0048】
次に、本発明であるインバータ制御装置及び誘導電動機の制御装置を適用した誘導電動機システムの実施の形態の動作について、図1〜図5を参照して説明する。
図5は、本発明であるインバータ制御装置及び誘導電動機の制御装置を適用した誘導電動機システムの実施の形態の動作を示すフロー図である。
【0049】
(0)運転開始
フォークリフトの始動により、誘導電動機4が始動する。始動時は、必ず力行状態になるので、インバータ制御部1において力行用(通常用いる)の制御定数が用いられる。
電流計5は、電流Iu、Iv、Iwを検出し、インバータ制御部1及び制御定数制御部2へ出力している。
速度検出器6は、回転速度ωmを検出し、インバータ制御部1及び制御定数制御部2へ出力している。
そして、インバータ制御部1は、回転速度ωm、電流Iu、Iv、Iw、外部からのトルク指令τ*に基づいて、電力変換部3へ電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を出力している。
電力変換部3は、電源部10からの電力を、電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を満たす特性を有する電力へ変換し、誘導電動機4へ出力している。
誘導電動機4は、供給された電力により駆動されている。
【0050】
(1)ステップS01
制御定数制御部2の制御定数変更部21は、電流計5及び速度検出器6における測定データ(検出結果)である回転速度ωm、外部からのトルク指令τ*及び電流Iu、Iv、Iwを受信する。
【0051】
(2)ステップS02
制御定数変更部21は、制御定数データベース23の条件項目32−1が回転速度ωmである制御定数31について、その範囲32−2と、測定データの回転速度ωmとを比較する。そして、測定データの回転速度ωmが含まれる範囲32−2に対応する数値33と、現在値34とを比較する。
同様に、制御定数変更部21は、制御定数データベース23の条件項目32−1がトルク指令τ*である制御定数31について、その範囲32−2と、外部からのトルク指令τ*とを比較する。そして、外部からのトルク指令τ*が含まれる範囲32−2に対応する数値33と、現在値34とを比較する。
【0052】
(3)ステップS03
制御定数変換部21は、回転速度ωmについて、比較した結果、数値33と現在値34とが相違する場合、誘導電動機4の運転状態が変化したと判定し、制御定数31を現在値34から数値33へ変更することを決定する。ステップS04へ進む。
同様に、制御定数変換部21は、外部からのトルク指令τ*について、比較した結果、数値33と現在値34とが相違する場合、誘導電動機4の運転状態が変化したと判定し、制御定数31を現在値34から数値33へ変更することを決定する。ステップS04へ進む。
制御定数変換部21は、上記数値33と現在値34とが等しい場合、誘導電動機4の運転状態が変化していないと判定し、変更しないことを決定する。ステップS05へ進む。
【0053】
(4)ステップS04
制御定数変換部21は、制御定数31の値を現在値34から数値33へ変更するために、制御定数31を示す数値33を制御定数信号Sとしてインバータ制御部1へ出力する。その際、その制御定数31を用いる部(速度制御部11、電流制御部13、すべり制御部15など)へ出力する。どの部がどの制御定数31を用いているかは、制御定数制御部2の記憶部(図示されず)に格納されている。制御定数信号Sは、制御定数の種類、数値、部を含む。
インバータ制御部1の制御部(図示されず)は、制御定数信号Sに基づいて、対象となる部における対応する制御定数の数値を変更する。
また、制御定数変換部21は、数値の変更を制御定数管理部22へ出力する。制御定数管理部22は、制御定数データベース23において、対応する制御定数31、条件32を有する現在値34を変更する。
【0054】
(5)ステップS05
フォークリフト(誘導電動機4)の運転が終了していない場合には、ステップS01へ戻る。運転が終了している場合には、この動作を終了する。
【0055】
上記のようなインバータ制御部1、制御定数制御部2等の動作により、本発明の動作が実施される。
【0056】
本発明のインバータ制御装置及びインバータシステムは、誘導電動機の制御において、力行状態と回生状態とで実際の制御定数が変動することに対応して、制御定数を変更することにより、誘導電動機を安定的に制御することが可能である。
【0057】
また、上記の制御定数の変更は、制御時に演算を行うのではなく、予め設定された制御定数を選択して用いる。すわなち、新たな制御演算(補正演算)のような過度の負担を発生させずに、制御定数の変動に対処している。すなわち、制御装置に対する演算処理の負担の少ない方法により実施することが出来る。
【0058】
また、制御演算の負担が少ないので、制御定数制御部2をインバータ制御部1に含ませても、制御演算に支障がない。従って、新たに制御部を設ける必要がなく、省スペース、低コストで実施できる。
【0059】
【発明の効果】
本発明により、運転状態により変動する誘導電動機に関わる制御定数に対応して、適切に制御定数を変更し、より安定的に誘導電動機の制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明であるインバータ制御装置及び誘導電動機の制御装置を適用した誘導電動機システムの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】インバータ制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】制御定数制御部の構成を示す図である。
【図4】制御定数データベースを示す図である。
【図5】本発明であるインバータ制御装置及び誘導電動機の制御装置を適用した誘導電動機システムの実施の形態の動作を示すフロー図である。
【図6】誘導電動機のT形等価回路を示す回路図である。
【図7】従来のインバータ制御装置を用いた誘導電動機システムを示す。
【符号の説明】
1 インバータ制御部
2 制御定数制御部
3 電力変換部
4 誘導電動機
5 電流計
6 速度検出器
10 電源部
11 速度制御部
12 比較部
13 電流制御部
14 座標変換部B
15 すべり制御部
16 加算部
17 積分部
18 座標変換部A
21 制御定数変換部
22 制御定数管理部
23 制御定数データベース
31 制御定数
32 条件
32−1 条件項目
32−2 範囲
33 数値
34 現在値
101 インバータ制御部
110 電源部
103 電力変換部
104 誘導電動機
105 電流計
106 速度検出器
【発明の属する技術分野】
本発明はインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムに関し、特に、回転機械の可変速駆動に用いられるインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
インバータ制御装置の制御により駆動される整流器・インバータ・誘導電動機を備える誘導電動機システムが知られている。
図7は、従来のインバータ制御装置を用いた誘導電動機システムを示す。この誘導電動機システムは、インバータ制御部101、電源部110、電力変換部103、電流計105、誘導電動機104及び速度検出器106を備える。
インバータ制御部101は、速度検出器106からの回転速度ωm、電流計105からの電流Iu、Iv、Iw、外部からのトルク指令τ*に基づいて、電力変換部103へ電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を出力するインバータ制御装置である。電源部110は、バッテリー又は商用電源である。電力変換部103は、整流部(整流器、コンバータなど)及びインバータを含み、電源部110の電力を電圧指令Vu *、Vv *、Vw *の特性を有する電力へ変換し、誘導電動機104へ出力する。電流計105は、電力変換部103から出力された電力の電流Iu、Iv、Iwを計測し、インバータ制御部101へ出力する。誘導電動機104は、電力変換部103から出力された電力により駆動される。速度検出器106は、誘導電動機104の回転速度ωmを計測し、インバータ制御部101へ出力する。
【0003】
また、図6は、誘導電動機のT形等価回路を示す回路図である。ただし、r1:一次抵抗、r2:二次抵抗の一次側換算値(以下、「二次抵抗」と記す)、l1:一次漏れインダクタンス(以下、「一次インダクタンス」と記す)、l2:二次漏れインダクタンスの一次側換算値(以下、「二次インダクタンス」と記す)、s:すべり、r0:励磁抵抗、M:一次、二次相互インダクタンス(以下、「相互インダクタンス」と記す)である。
【0004】
インバータ制御部101では、回転速度ωm、電流Iu、Iv、Iw、トルク指令τ*に基づいて、予め設定されている制御定数(図6に示す回路定数:r1、r2、l1、l2、s、r0、Mのような物理量など)を用いて制御演算を行い、誘導電動機システムを制御している。しかし、運転状態により、実際の制御定数が変動する場合がある。特に、力行状態と回生状態とでは、ハードウェア(誘導電動機)の制御定数が変化する。このため、その変化に対応して演算により該当する制御定数を補正する等の処理を行わないと、ハードウェアに対する適切な制御を行うことが出来なくなる。
制御定数を補正しながら制御を行なう場合、制御装置におけるCPUのような演算処理部の負担が大きくなる。負担を軽減するために、他の演算処理部を設けることにすると制御装置サイズの増加、あるいは制御装置コストの増加が必要となる。
【0005】
関連する技術として、特開平8−251997号公報に誘導電動機の制御装置の技術が公開されている。この技術の誘導電動機の制御装置は、インバータと、速度検出手段と、ベクトル制御部と、電流・電圧検出手段と、モータ定数演算手段とを備えている。
インバータは、電流指令に従って可変電圧、可変周波数の交流を誘導電動機に供給する。速度検出手段は、その誘導電動機の速度を検出する。ベクトル制御部は、その誘導電動機の検出速度、二次抵抗のみを可変として予め設定されたモータ定数、トルク指令及び二次磁束指令に基づいてそのインバータに対する電流指令を演算する。電流・電圧検出手段は、その誘導電動機に供給される電流及び電圧を検出する。モータ定数演算手段は、その電流指令の演算過程で導出されるすべり周波数及び回転周波数、並びに、検出されたその誘導電動機の電流及び電圧に基づいてその誘導電動機の二次抵抗を演算し、設定されたモータ定数の補正値とする。
この技術は、回転子の温度が変動しても、所定のトルクを正確に発生させることのできる誘導電動機の制御装置を得ることを目的としている。
【0006】
また、特開平9−149698号公報に誘導電動機の制御装置の技術が公開されている。この技術の誘導電動機の制御装置は、周波数演算手段と、誘導電動機電流指令出力手段と、誘導電動機電流指令出力手段と、電流制御手段とを備え、更に、三相/二相変換装器と、二次抵抗推定手段とを備えたことを特徴としている。
周波数演算手段は、誘導電動機の二次抵抗R2と二次インダクタンスL2と励磁電流指令とトルク電流指令とからすべリ角周波数ωsを演算する。誘導電動機電流指令出力手段は、そのトルク電流指令とその励磁電流指令とその誘導電動機の検出もしくは推定された回転速度とそのすべり角周波数ωsとからその誘導電動機に流れる電流指令を出力する。電流制御手段は、その誘導電動機電流指令とその誘導電動機の検出された電流とを比較しその比較結果に応じた電圧指令を出力する。その電圧指令に応じて出力電圧と周波数を可変してその誘導電動機を駆動する駆動手段を備えた誘導電動機の制御装置である。三相/二相変換装器は、その誘導電動機の一次電圧と一次電流の検出値又は指令値を、静止座標系(d−q軸)の一次電圧と一次電流であるv1d、v1q、i1d、i1qに三相/二相変換し出力する。二次抵抗推定手段は、その三相/二相変換器から入力した静止座標系の一次電圧と一次電流であるv1d、v1q、i1d、i1q、一次インダクタンスL1、二次インダクタンスL2、相互インダクタンスM、及び一次抵抗R1により、二次磁束ψ2d、ψ2q及び二次電流i2d、i2qを演算し、そのすべり周波数演算手段から入力した更新前のすべり角周波数ωs、その演算して求めた二次磁束ψ2d、ψ2q及び二次電流i2d、i2qにより所定の数式によって二次抵抗R2を演算し、この二次抵抗R2をそのすべり周波数演算手段へ出力する。
この技術は、定回転、定トルク運転のような状況でも一次抵抗、二次抵抗の値を微分項を含まない手法で演算推定でき、ベクトル制御本来の制御性を維持できる誘導電動機の制御装置を得ることを目的としている。
【0007】
運転状態により変動するハードウェア(誘導電動機)の制御定数に対応して、適切な制御を行うことが可能な技術が求められている。力行時と回生時とで制御定数が変動しても、誘導電動機を適切に制御することが可能な技術が求められている。また、制御に関わる制御装置の負担の少ない技術が求められている。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−251997号公報
【特許文献2】
特開平9−149698号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、運転状態により変動する誘導電動機に関する制御定数に対応して、誘導電動機を適切に制御することが可能なインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムを提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、誘導電動機の力行時と回生時とで制御定数が変動しても、誘導電動機を適切に制御することが可能なインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムを提供することである。
【0011】
本発明の更に他の目的は、運転状態により変動する誘導電動機に関わる制御定数に対応した制御を、制御装置の負担を少なく行うことが可能なインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムを提供することである。
【0012】
本発明の更に他の目的は、運転状態により変動する誘導電動機に関わる制御定数に対応した制御を、省スペース、低コストで行うことが可能なインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]との対応関係を明らかにするために括弧付で付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0014】
従って、上記課題を解決するために、本発明のインバータ制御装置は、インバータ制御部(1)と、制御定数制御部(2)とを具備する。
インバータ制御部(1)は、誘導電動機(4)の速度検出値(ωm)及び電流検出値(Iu、Iv、Iw)と、誘導電動機(4)への制御指令(τ*)とに基づいて、制御定数を用いた制御演算により電圧指令(Vu *、Vv *、Vw *)を算出し、誘導電動機(4)に電力を供給する電力変換部(4)へ電圧指令(Vu *、Vv *、Vw *)を出力する。制御定数制御部(2)は、誘導電動機(4)の運転状態に基づいて、制御定数(S)をインバータ制御部(1)へ出力する。
そして、インバータ制御部(1)は、制御定数制御部(2)から出力された制御定数(S)を用いて、電圧指令(Vu *、Vv *、Vw *)を算出する。
【0015】
また、本発明のインバータ制御装置は、制御定数制御部(2)が、制御定数データベース(23)と、制御定数変換部(21)とを備える。
制御定数データベース(23)は、制御定数(31)と運転状態(32)とを関連付けて格納する。制御定数変換部(21)は、運転状態(32)に基づいて、制御定数データベース(23)から制御定数(31)を選択し、インバータ制御部(1)へ出力する。
【0016】
また、本発明のインバータ制御装置は、運転状態が、回生状態及び力行状態を含んでいる。
そして、制御定数制御部(2)は、速度検出値(ωm)及び制御指令(τ*)に基づいて、その運転状態を判定する。
【0017】
更に、本発明のインバータ制御装置は、その制御定数が、誘導電動機(4)の二次抵抗(r2)及び相互インダクタンス(M)の少なくとも一方を含んでいる。
【0018】
更に、本発明のインバータ制御装置は、その制御定数が、回生状態において、誘導電動機(4)のすべり周波数(ωS)が小さくなるように選択される。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の誘導電動機の制御装置は、電流検出部(5)と、速度検出部(6)と、インバータ制御装置(1+2)と、電力変換部(3)とを具備する。
電流検出部(5)は、誘導電動機(4)へ供給される電力としての供給電力の電流を検出して、電流検出値(Iu *、Iv *、Iw *)として出力する。速度検出部(ωm)は、誘導電動機(4)の速度を検出して、速度検出値(ωm)として出力する。インバータ制御装置(1+2)は、速度検出値(ωm)及び電流検出値(Iu *、Iv *、Iw *)と、誘導電動機(4)への制御指令(ωm)とに基づいて、電圧指令(Vu *、Vv *、Vw *)を出力する。上記各項のいずれか一項に記載されている。電力変換部(3)は、電圧指令(Vu *、Vv *、Vw *)に基づいて、電源(10)から供給される電力を変換して供給電力として誘導電動機(4)へ出力する。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の誘導電動機システムは、上記の誘導電動機の制御装置(1+2+3+5+6)と、誘導電動機(4)とを具備する。
【0021】
また、本発明の誘導電動機システムは、誘導電動機の制御装置(1+2+3+5+6)の電力変換部(3)へ電力を供給する電源が、二次電池である。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の誘導電動機の制御方法は、誘導電動機(4)の速度である速度検出値(ωm)を検出するステップと、外部からの制御指令(τ*)及び速度検出値(ωm)に基づいて、誘導電動機(4)の運転状態を判定するステップと、その判定に基づいて、誘導電動機(4)の制御に関わる制御定数を、維持、又は、その運転状態に対応して予め設定された値への変更を行うステップと、その維持又は変更されたその制御定数、制御指令(τ*)、誘導電動機に供給される電力としての供給電力の電流である電流検出値(Iu *、Iv *、Iw *)及び速度検出値(ωm)に基づいて、制御演算を行い、その供給電力を制御するステップとを具備する。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明の方法を実行するプログラムは、外部からの制御指令(τ*)及び検出された速度検出値(ωm)を受信するステップと、制御指令(τ*)及び速度検出値(ωm)に基づいて、誘導電動機(4)の運転状態を判定するステップと、その判定に基づいて、誘導電動機(4)の制御に関わる制御定数を、維持、又は、その運転状態に対応して予め設定された値への変更を行うステップと、その維持又は変更されたその制御定数、制御指令(τ*)、誘導電動機(4)に供給される電力としての供給電力の電流である電流検出値(Iu *、Iv *、Iw *)及び速度検出値(ωm)に基づいて、制御演算を行い、その供給電力の電圧を制御する指令(Vu *、Vv *、Vw *)を電力変換部(3)へ出力するステップとを具備する方法をコンピューターに実行させる。ここで、速度検出値(ωm)は、誘導電動機(4)の速度である。電力変換部(3)は、電源から供給された電力を、指令(Vu *、Vv *、Vw *)に基づいて変換し、誘導電動機(4)へ供給する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明であるインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムの実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
本実施例において、フォークリフトのような移動体の動力としての誘導電動機の可変速制御に使用されるインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムを例に示して説明する。ただし、他の回転機器の可変速制御においても、適用可能である(なお、各実施の形態において同一又は相当部分には同一の符号を付して説明する)。
【0025】
本発明であるインバータ制御装置、誘導電動機の制御装置及び誘導電動機システムの実施の形態の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本発明であるインバータ制御装置及び誘導電動機の制御装置を適用した誘導電動機システムの実施の形態の構成を示すブロック図である。誘導電動機システムは、インバータ制御部1、制御定数制御部2、電力変換部3、誘導電動機4、電流計5、速度検出器6及び電源部10を備える。
【0026】
インバータ制御部1は、パーソナルコンピュータに例示される情報処理装置である。速度検出器6からの回転速度ωm、電流計5からの電流Iu、Iv、Iw、外部からのトルク指令τ*に基づいて、電力変換部3へ電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を出力するインバータ制御を行う。その制御には、予め設定された制御定数(図6に示す回路定数:r1、r2、l1、l2、s、r0、Mのような回路定数や物理量など)を用いる。
ただし、制御定数制御部2から別の制御定数を示す制御定数信号Sが送信された場合には、制御定数を変更(更新)する。
【0027】
制御定数制御部2は、パーソナルコンピュータに例示される情報処理装置である。インバータ制御部1に含まれていても良く、その場合、省スペース、低コストである。速度検出器6からの回転速度ωmと外部からのトルク指令τ*と制御定数データベース23(後述)とに基づいて、誘導電動機4の運転状態に対応した制御定数を制御定数信号Sとしてインバータ制御部1へ出力する。なお、電流計5からの電流Iu、Iv、Iwを用いるようにしても良い。
【0028】
電力変換部3は、整流部(整流器、コンバータなど)及びインバータを含む電力変換装置である。電源部10から供給される電力を、電圧指令Vu *、Vv *、Vw *の特性を有する電力としての供給電力へ変換し、誘導電動機4へ出力する(力行時)。また、誘導電動機4で発電される電力を電源部10へ出力する(回生時)。
【0029】
電流検出部としての電流計5は、電力変換部3から出力された供給電力の3相電流であるu相電流Iu、v相電流Iv及びw相電流Iwを計測する。そして、インバータ制御部1及び制御定数制御部2へ出力する。
【0030】
誘導電動機4は、力行時には、電力変換部3から出力された電力により駆動される。回生時には、駆動機構から回転エネルギーを吸収し、電源部10(バッテリー)に蓄電する。ただし、回路定数は、r1:一次抵抗、r2:二次抵抗、l1:一次インダクタンス、l2:二次インダクタンス、s:すべり、r0:励磁抵抗、M:相互インダクタンス、である。
【0031】
速度検出部としての速度検出器6は、誘導電動機の回転速度ωmを計測する。そして、インバータ制御部1及び制御定数制御部2へ出力する。速度検出器は、パルスエンコーダに例示される。
【0032】
電源としての電源部10は、誘導電動機を駆動するための電力を電力変換部3へ供給する。電源部10は、二次電池(バッテリー)のような独立電源又は商用電力系統からの商用電源に例示される。本実施例では、フォークリフトに搭載されたバッテリーである。
【0033】
インバータ制御部1について、更に説明する。
図2は、インバータ制御部1の構成を示すブロック図である。インバータ制御部1は、プログラムとしての速度制御部11、比較部12、電流制御部13、座標変換部B14、すべり制御部15、加算部16、積分部17及び座標変換部A18を備える。
【0034】
速度制御部11は、外部から入力されるトルク指令τ*に基づいて、下式(1)及び(2)により、d軸電流指令id *及びq軸電流指令iq *を算出し、出力する。
id *=K/ωm (1)
iq *=τ*/id *・KT (2)
ただし、K:id *を決める制御定数
ωm:回転速度
KT=Pn・M2/L2
L2=l2+M
Pn:極対数
【0035】
比較部12は、速度制御部11から出力されたd軸電流指令id *及びq軸電流指令iq *と、座標変換部A18から出力された検出値(フィードバック電流)であるd軸電流id及びq軸電流iqとに基づいて、下式(3)及び(4)により、d軸電流指令偏差Δid及びq軸電流指令偏差Δiqを算出し、出力する。
Δid *=id *−id (3)
Δiq *=iq *−iq (4)
【0036】
電流制御部13は、比較部12から出力されたd軸電流指令偏差Δid及びq軸電流指令偏差Δiqに基づいて、下式(5)及び(6)により、d軸電圧指令Vd *及びq軸電圧指令Vq *を算出し、出力する。
Vd *=(KP+KI/s)・Δid (5)
Vq *=(KP+KI/s)・Δiq (6)
ただし、KP=2ζ・ωn・Lσ―r1
KI=ωn 2・Lσ
Lσ=L1・L2−M2
L1=l1+M
ωn:電流PI制御の固有角周波数
ζ:電流PI制御の減衰定数
【0037】
座標変換部B14は、電流制御部13から出力されたd軸電圧指令Vd *及びq軸電圧指令Vq *と、積分部17から出力された回転磁界位置θ1とに基づいて、2相−3相変換を行い、u相電圧指令Vu *、v相電圧指令Vv *及びw相電圧指令Vw *を算出し、出力する。
【0038】
すべり制御部15は、速度制御部11から出力されたd軸電流指令id *及びq軸電流指令iq *に基づいて、下式(7)により、すべり周波数ωsを算出し、出力する。
ωs=KWS・(iq */id *) (7)
ただし、KWS=r2/L2
【0039】
加算部16は、速度検出器6で検出された誘導電動機4の回転速度ωmと、すべり制御部15から出力されたすべり周波数ωsとに基づいて、下式(8)により、一次角周波数指令ω1を算出し、出力する。
ω1=ωm+ωs (8)
【0040】
積分部17は、加算部16から出力された一次角周波数指令ω1に基づいて、その値を積分することにより、回転磁界位置θ1(磁束位相)を算出し、出力する。
【0041】
座標変換部18は、電流計5で検出された3相電流であるu相電流Iu、v相電流Iv及びw相電流Iwと、加算部16から出力された一次角周波数指令ω1とに基づいて、3相−2相変換を行い、d軸電流Id及びq軸電流Iqを算出し、出力する。
【0042】
次に、制御定数制御部2について、更に説明する。
図3は、制御定数制御部2の構成を示す図である。制御定数制御部2は、プログラムとしての制御定数変換部21及び制御定数管理部22を備え、制御定数データベース23を格納している。
【0043】
制御定数変換部21は、速度検出器6からの回転速度ωmとトルク指令τ*と制御定数データベース23(後述)とに基づいて、誘導電動機4の運転状態に対応した制御定数を制御定数信号Sとしてインバータ制御部1へ出力する。制御定数は、誘導電動機4の運転の安定性が高まるように選択される。
制御定数管理部22は、制御定数データベース23に関する各種データの入力及び出力を制御する。
制御定数データベース23は、インバータ制御部1での制御に用いる各種制御定数に関する情報とその数値の情報とを関連付けて記憶している。
【0044】
制御定数データベース23について更に説明する。
図4は、制御定数データベース23を示す図である。制御定数データベース23は、インバータ制御部1での制御に用いる各種制御定数に関する情報とその数値の情報とを関連付けて記憶している。
【0045】
各種制御定数に関する情報は、制御定数31及び条件32とを含む。
制御定数31は、インバータ制御部1の各部(速度制御部11、電流制御部13、すべり制御部15等)内で、制御(計算)に用いる制御定数(通常、定数として用いているもの)である。制御定数の種類は、r1、r2、l1、l2、s、r0、Mのような回路定数や物理量などに例示される。
条件32は、制御定数31を変更する条件の項目を示す条件項目32−1と、その条件の範囲を示す範囲32−2である。条件項目32−1は、回転速度ωm、トルク指令τ*のような誘導電動機4の運転状態を示す情報である。範囲32−2は、回転速度ωmの範囲、トルク指令τ*の範囲などの具体的な数値などで示される。本実施例では、力行の状態を示す範囲、及び、回生の状態を示す範囲の2種類である。ここで、力行の状態は、トルク指令τ*×回転速度ωm≧0であり、回生の状態は、トルク指令τ*×回転速度ωm<0である。
【0046】
なお、条件32の条件項目32−1は、運転状態を示す情報として、複数の情報の組合せでも良い。例えば、トルク指令τ*×回転速度ωmの値の範囲、電流(Iu、Iv、Iw)の組み合わせなどである。
【0047】
各種制御定数の数値の情報は、数値33と現在値34とを含む。
数値33は、条件32で示される条件下における制御定数31の具体的な数値を示す。本実施例では、力行状態の制御定数を従来用いている定数とし、回生状態の制御定数をすべりsを小さくするように設定する。
例えば、力行状態の相互インダクタンス=M(力行)を、回生状態の相互インダクタンス=M(回生)=1.2M(力行)〜1.5M(力行)とする。これは、Mが1.2倍になると、L2が約1.2倍となるので、KWSは約1/1.2倍となる。すなわち、式(7)より、すべり周波数ωsを小さくする方向に制御することになる。これは、d−q軸のずれに対し、安定度が増加する方向である。
同様に、力行状態の二次抵抗=r2(力行)を、回生状態の二次抵抗=r2(回生)=0.6r2(力行)〜0.8r2(力行)とする。これは、r2が0.8倍になると、KWSは0.8倍となる。すなわち、式(7)より、すべり周波数ωsを小さくする方向に制御することになる。
現在値34は、現在インバータ制御部1で使用されている制御定数31の値である。
【0048】
次に、本発明であるインバータ制御装置及び誘導電動機の制御装置を適用した誘導電動機システムの実施の形態の動作について、図1〜図5を参照して説明する。
図5は、本発明であるインバータ制御装置及び誘導電動機の制御装置を適用した誘導電動機システムの実施の形態の動作を示すフロー図である。
【0049】
(0)運転開始
フォークリフトの始動により、誘導電動機4が始動する。始動時は、必ず力行状態になるので、インバータ制御部1において力行用(通常用いる)の制御定数が用いられる。
電流計5は、電流Iu、Iv、Iwを検出し、インバータ制御部1及び制御定数制御部2へ出力している。
速度検出器6は、回転速度ωmを検出し、インバータ制御部1及び制御定数制御部2へ出力している。
そして、インバータ制御部1は、回転速度ωm、電流Iu、Iv、Iw、外部からのトルク指令τ*に基づいて、電力変換部3へ電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を出力している。
電力変換部3は、電源部10からの電力を、電圧指令Vu *、Vv *、Vw *を満たす特性を有する電力へ変換し、誘導電動機4へ出力している。
誘導電動機4は、供給された電力により駆動されている。
【0050】
(1)ステップS01
制御定数制御部2の制御定数変更部21は、電流計5及び速度検出器6における測定データ(検出結果)である回転速度ωm、外部からのトルク指令τ*及び電流Iu、Iv、Iwを受信する。
【0051】
(2)ステップS02
制御定数変更部21は、制御定数データベース23の条件項目32−1が回転速度ωmである制御定数31について、その範囲32−2と、測定データの回転速度ωmとを比較する。そして、測定データの回転速度ωmが含まれる範囲32−2に対応する数値33と、現在値34とを比較する。
同様に、制御定数変更部21は、制御定数データベース23の条件項目32−1がトルク指令τ*である制御定数31について、その範囲32−2と、外部からのトルク指令τ*とを比較する。そして、外部からのトルク指令τ*が含まれる範囲32−2に対応する数値33と、現在値34とを比較する。
【0052】
(3)ステップS03
制御定数変換部21は、回転速度ωmについて、比較した結果、数値33と現在値34とが相違する場合、誘導電動機4の運転状態が変化したと判定し、制御定数31を現在値34から数値33へ変更することを決定する。ステップS04へ進む。
同様に、制御定数変換部21は、外部からのトルク指令τ*について、比較した結果、数値33と現在値34とが相違する場合、誘導電動機4の運転状態が変化したと判定し、制御定数31を現在値34から数値33へ変更することを決定する。ステップS04へ進む。
制御定数変換部21は、上記数値33と現在値34とが等しい場合、誘導電動機4の運転状態が変化していないと判定し、変更しないことを決定する。ステップS05へ進む。
【0053】
(4)ステップS04
制御定数変換部21は、制御定数31の値を現在値34から数値33へ変更するために、制御定数31を示す数値33を制御定数信号Sとしてインバータ制御部1へ出力する。その際、その制御定数31を用いる部(速度制御部11、電流制御部13、すべり制御部15など)へ出力する。どの部がどの制御定数31を用いているかは、制御定数制御部2の記憶部(図示されず)に格納されている。制御定数信号Sは、制御定数の種類、数値、部を含む。
インバータ制御部1の制御部(図示されず)は、制御定数信号Sに基づいて、対象となる部における対応する制御定数の数値を変更する。
また、制御定数変換部21は、数値の変更を制御定数管理部22へ出力する。制御定数管理部22は、制御定数データベース23において、対応する制御定数31、条件32を有する現在値34を変更する。
【0054】
(5)ステップS05
フォークリフト(誘導電動機4)の運転が終了していない場合には、ステップS01へ戻る。運転が終了している場合には、この動作を終了する。
【0055】
上記のようなインバータ制御部1、制御定数制御部2等の動作により、本発明の動作が実施される。
【0056】
本発明のインバータ制御装置及びインバータシステムは、誘導電動機の制御において、力行状態と回生状態とで実際の制御定数が変動することに対応して、制御定数を変更することにより、誘導電動機を安定的に制御することが可能である。
【0057】
また、上記の制御定数の変更は、制御時に演算を行うのではなく、予め設定された制御定数を選択して用いる。すわなち、新たな制御演算(補正演算)のような過度の負担を発生させずに、制御定数の変動に対処している。すなわち、制御装置に対する演算処理の負担の少ない方法により実施することが出来る。
【0058】
また、制御演算の負担が少ないので、制御定数制御部2をインバータ制御部1に含ませても、制御演算に支障がない。従って、新たに制御部を設ける必要がなく、省スペース、低コストで実施できる。
【0059】
【発明の効果】
本発明により、運転状態により変動する誘導電動機に関わる制御定数に対応して、適切に制御定数を変更し、より安定的に誘導電動機の制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明であるインバータ制御装置及び誘導電動機の制御装置を適用した誘導電動機システムの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】インバータ制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】制御定数制御部の構成を示す図である。
【図4】制御定数データベースを示す図である。
【図5】本発明であるインバータ制御装置及び誘導電動機の制御装置を適用した誘導電動機システムの実施の形態の動作を示すフロー図である。
【図6】誘導電動機のT形等価回路を示す回路図である。
【図7】従来のインバータ制御装置を用いた誘導電動機システムを示す。
【符号の説明】
1 インバータ制御部
2 制御定数制御部
3 電力変換部
4 誘導電動機
5 電流計
6 速度検出器
10 電源部
11 速度制御部
12 比較部
13 電流制御部
14 座標変換部B
15 すべり制御部
16 加算部
17 積分部
18 座標変換部A
21 制御定数変換部
22 制御定数管理部
23 制御定数データベース
31 制御定数
32 条件
32−1 条件項目
32−2 範囲
33 数値
34 現在値
101 インバータ制御部
110 電源部
103 電力変換部
104 誘導電動機
105 電流計
106 速度検出器
Claims (10)
- 誘導電動機の速度検出値及び電流検出値と、前記誘導電動機への制御指令とに基づいて、制御定数を用いた制御演算により電圧指令を算出し、前記誘導電動機に電力を供給する電力変換部へ前記電圧指令を出力するインバータ制御部と、
前記誘導電動機の運転状態に基づいて、前記制御定数を前記インバータ制御部へ出力する制御定数制御部と、
を具備し、
前記インバータ制御部は、前記制御定数制御部から出力された前記制御定数を用いて、前記電圧指令を算出する、
インバータ制御装置。 - 前記制御定数制御部は、
前記制御定数と前記運転状態とを関連付けて格納する制御定数データベースと、
前記運転状態に基づいて、前記制御定数データベースから前記制御定数を選択し、前記インバータ制御部へ出力する制御定数変換部と、
を備える、
請求項1に記載のインバータ制御装置。 - 前記運転状態は、回生状態及び力行状態を含み、
前記制御定数制御部は、前記速度検出値及び前記制御指令に基づいて、前記運転状態を判定する、
請求項1又は2に記載のインバータ制御装置。 - 前記制御定数は、誘導電動機の二次抵抗及び相互インダクタンスの少なくとも一方を含む、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインバータ制御装置。 - 前記制御定数は、回生状態において、前記誘導電動機のすべり周波数が小さくなるように選択される、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインバータ制御装置。 - 誘導電動機へ供給される電力としての供給電力の電流を検出して、電流検出値として出力する電流検出部と、
前記誘導電動機の速度を検出して、速度検出値として出力する速度検出部と、
前記速度検出値及び前記電流検出値と、前記誘導電動機への制御指令とに基づいて、電圧指令を出力する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインバータ制御装置と、
前記電圧指令に基づいて、電源から供給される電力を変換して供給電力として前記誘導電動機へ出力する電力変換部と、
を具備する、
誘導電動機の制御装置。 - 請求項6に記載の誘導電動機の制御装置と、
誘導電動機と、
を具備する、
誘導電動機システム。 - 前記誘導電動機の制御装置の電力変換部へ電力を供給する電源は、二次電池である、
請求項7に記載の誘導電動機システム。 - 誘導電動機の速度である速度検出値を検出するステップと、
外部からの制御指令及び前記速度検出値に基づいて、前記誘導電動機の運転状態を判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記誘導電動機の制御に関わる制御定数を、維持、又は、前記運転状態に対応して予め設定された値への変更を行うステップと、
前記維持又は前記変更をされた前記制御定数、前記制御指令、誘導電動機に供給される電力としての供給電力の電流である電流検出値及び前記速度検出値に基づいて、制御演算を行い、前記供給電力を制御するステップと、
を具備する、
誘導電動機の制御方法。 - 外部からの制御指令及び検出された速度検出値を受信するステップと、
ここで、前記速度検出値は、前記誘導電動機の速度であり、
前記制御指令及び前記速度検出値に基づいて、前記誘導電動機の運転状態を判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記誘導電動機の制御に関わる制御定数を、維持、又は、前記運転状態に対応して予め設定された値への変更を行うステップと、
前記維持又は前記変更をされた前記制御定数、前記制御指令、誘導電動機に供給される電力としての供給電力の電流である電流検出値及び前記速度検出値に基づいて、制御演算を行い、前記供給電力の電圧を制御する指令を電力変換部へ出力するステップと、
ここで、前記電力変換部は、電源から供給された電力を、前記指令に基づいて変換し、前記誘導電動機へ供給する、
を具備する方法をコンピューターに実行させるプログラム。
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- 2002-12-06 JP JP2002354620A patent/JP2004187460A/ja not_active Withdrawn
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