JP2004185033A - 偏光交換素子、偏光照明装置、および、これを用いた表示装置並びに投写型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】照明領域における光強度分布が入射光束のそれよりも均一であり、同時に、偏光方向が揃った一種類の偏光光束のみを高い効率で発生できる偏光変換装置並びに偏光照明装置、それを用いた表示装置や投写型表示装置を提供する。
【解決手段】
入射光束を集光し互いに空間的に分離された複数の中間光束を形成するための第1の光学要素200と、中間光束を2つの偏光光束に空間的に分離し、両偏光光束の偏光方向を揃えられて一種類の偏光光束とする第2の光学要素300とを有している。第2の光学要素300には、偏光分離ユニットアレイの反射面に対応する部分へ直接光が入射するのを防ぐ遮光板370が配置されている。
【選択図】 図1
【解決手段】
入射光束を集光し互いに空間的に分離された複数の中間光束を形成するための第1の光学要素200と、中間光束を2つの偏光光束に空間的に分離し、両偏光光束の偏光方向を揃えられて一種類の偏光光束とする第2の光学要素300とを有している。第2の光学要素300には、偏光分離ユニットアレイの反射面に対応する部分へ直接光が入射するのを防ぐ遮光板370が配置されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ランダムな偏光光束である入射光束から、照明領域における光強度分布が入射光束の光強度分布よりも均一であり、偏光方向がほぼ揃った照明光束を発生させるための偏光変換装置並びに偏光照明装置に関するものである。さらに、本発明は、これらを用いた表示装置並びに投写型表示装置に関するものである。
液晶装置のように、偏光光束を変調するタイプのパネルを用いた表示装置における照明装置としては、一種類の偏光光束を効率よく発生できる偏光照明装置が理想的である。そこで、光源から発せられるランダムな偏光光束を一種類の偏光光束に変換し、その光で液晶装置を照明し、明るい表示を可能にする照明光学系が提案されており、特開平7−294906号公報にはそのような照明光学系を搭載した画像表示装置の一例が開示されている。
特開平7−294906号公報に開示されている照明光学系の要部を図15を用いて簡単に説明する。この光学系は、主にレンズ板910、複数の偏光ビームスプリッタ920、複数の反射プリズム930及びλ/2位相差板940により構成されている。その原理は、ランダムな偏光光束である入射光束を偏光分離面331を備えた偏光ビームスプリッタ920と反射面332を備えた反射プリズム930により2種類の偏光光束(P偏光光束とS偏光光束)に分離し、分離後の一方の偏光光束の偏光方向をλ/2位相差板940を用いて他方の偏光光束の偏光方向と合わせることにより一種類の偏光光束を得、その光束で液晶装置950を照明しようとするものである。但し、偏光光束の分離過程においては、2つの偏光光束を形成する空間が必要になるため、一般的には光学系の拡幅化が避けられない。そこで、この光学系では、レンズ板910に形成された微小レンズ911により、それぞれの偏光ビームスプリッタ920に入射する光束径を微小レンズのレンズ径の約半分以下の大きさに縮小し、光束径の縮小により生じた空間に反射プリズム930(反射面)を配置することで、光学系の拡幅を招かずに一種類の偏光光束を得ている。
しかし、特開平7−294906号公報に開示されている光学系には次のような問題点がある。
一般に、レンズにより光束径を縮小化する場合、最小光束径はレンズの屈折力とレンズに入射する光束の平行性によりほぼ一義的に決まる。即ち、特開平7−294906号公報に開示されている光学系にあるように、光束径を半分以下に縮小化するためには、屈折力が極めて大きいレンズ(言い換えればFナンバーが極めて小さいレンズ)を用いると共に、平行性が極めて高い光束を出射できる光源を用いる必要がある。しかし、実在する光源は、有限の発光領域を有している。従って、光源から出射される光束の平行性は必ずしも良いとは言えない。
一方、偏光ビームスプリッタに形成される偏光分離面の偏光分離性能は、光の入射角度に大きく依存する。つまり、偏光分離膜に入射する光が大きな角度成分を有している場合には、理想的な偏光分離性能を発揮できず、偏光分離面を透過するP偏光光束の中にS偏光光束が混入すると共に、偏光分離面で反射されるS偏光光束中にP偏光光束が混入することとなる。従って、光束径を縮小化するために用いる微小レンズの屈折力をむやみに大きくすることはできない。
以上の理由から、偏光ビームスプリッタに入射する光束の径を十分縮小化することは難しく、現実的には、偏光ビームスプリッタに隣接する反射プリズムにも比較的多くの光が直接入射することとなる。反射プリズムに直接入射した光は反射面で反射され、隣接する偏光ビームスプリッタに入射し、偏光ビームスプリッタに直接入射した光束と同様に、偏光分離面で2種類の偏光光束に分離される。但し、反射プリズムを経て偏光ビームスプリッタに入射する光束と偏光ビームスプリッタに直接入射する光束との間では、偏光ビームスプリッタに入射する方向がそれぞれ90度異なることとなる。従って、反射プリズムに直接入射する光束が存在する結果、偏光ビームスプリッタ内を進行方向を変えることなく透過するP偏光光束の中には、反射プリズムに直接入射し偏光ビームスプリッタを経て分離されたS偏光光束が混入することになる。同様に、偏光ビームスプリッタに直接入射し反射プリズムとλ/2位相差板を経て出射されるP偏光光束の中には、S偏光光束が混入することになる。反射プリズムに直接入射する光束が存在することによりP偏光光束中に混入したS偏光光束は、液晶装置には全く不必要な光束であるため、偏光板で吸収され、発熱して、偏光板の温度を上昇させる主要因となる。
このように、特開平7−294906号公報に開示されているような従来の光学系においては、光源から発せられるランダムな偏光光束を一種類の偏光光束に変換する過程において、他の偏光光束が比較的多く混入することは避けられない。その結果、極めて明るい表示画像を得ようとした場合には、表示に不要な偏光方向の異なる偏光光束を偏光板で吸収しなければならず、また、この吸収に伴って生じる偏光板の温度上昇を抑制する大型の冷却装置が必要不可欠となる。
本発明の課題は、光源から発せられるランダムな偏光光束を一種類の偏光光束に変換する過程において偏光方向が異なる他の偏光光束が混入するのを極力抑制することにより、上述のような問題点を解決することにある。
上記課題を解決するために、本発明の偏光変換素子は、P偏光光束またはS偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束を透過させ他方の偏光光束を反射させて偏光光束を分離する偏光分離面と、前記偏光分離面とほぼ平行に配置され、前記偏光分離面で反射された偏光光束を前記偏光分離面を透過した偏光光束の出射方向に向けて反射する反射面とを備えた偏光分離素子と、前記偏光分離素子の光出射面側に配置され、前記偏光分離素子により分離されたS偏光光束またはP偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束の偏光方向と他方の偏光光束の偏光方向とを揃える選択位相差板とを有する偏光変換装置において、前記偏光分離素子の光入射面側には、光が前記反射面に直接入射するのを防ぐ遮光手段または光減衰手段が設けられてなることを特徴とする。
本発明の偏光変換素子は、上記の構成を採用することにより、偏光方向が揃ったほぼ一種類の偏光光束の中に、偏光方向が異なる他の偏光光束が混入する現象を効果的に防止あるいは低減することができる。よって、非常に高い効率で特定の偏光光束を発生させることができる。
上記偏光変換素子において、遮光手段または光減衰手段と偏光分離素子とを一体化すると、境界面における光損失を低減することが可能となり、光の利用効率の高い偏光変換素子を提供することが可能となる。
ここで、遮光手段は反射板で構成することが可能である。遮光手段を反射板で構成すれば、遮光手段での光吸収がほとんどないため遮光板が発熱することがなく、遮光手段での発熱に伴う熱的影響が周囲の光学要素に及ぶことを防止することができる。特に、熱に弱い有機物質で選択位相差板が形成されている場合には効果的である。
また、遮光手段と偏光分離素子とを一体化する場合には、遮光手段を反射膜とし、この反射膜を偏光分離素子の光入射面上に形成するようにしても良い。このように構成しても、遮光手段を反射板で構成した場合と同様の効果を得ることができる。なお、反射膜は、誘電体多層膜や、反射率の高い銀、アルミニウム等の金属薄膜により形成することができる。
さらに、上記偏光変換素子において、光減衰手段は光拡散板で構成することが可能である。光減衰手段を光拡散板で構成すれば、偏光変換素子の低コスト化を実現することができる。
また、遮光手段と偏光分離素子とを一体化する場合には、光減衰手段を偏光分離素子の光入射面上に形成された光散乱面としても良い。このように構成しても、光減衰手段を光拡散板で構成した場合と同様の効果を得ることができる。光散乱面は、偏光分離素子の光入射面内の特定の領域を荒らしたりすることによって形成することができる。
本発明の偏光照明装置は、光源と、前記光源から出射された光束を複数の中間光束に分離する第1の光学要素と、前記中間光束が収束する位置付近に配置された第2の光学要素とを備え、前記第2の光学要素は、前記中間光束をそれぞれ集光する複数の集光レンズからなる集光レンズアレイと、前記中間光束のそれぞれをS偏光光束とP偏光光束とに空間的に分離する偏光分離素子と、前記偏光分離素子により分離されたS偏光光束またはP偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束の偏光方向と他方の偏光光束の偏光方向とを揃える選択位相差板と、それらの偏光光束を重畳結合させる結合レンズとを有し、前記偏光分離素子は、前記P偏光光束またはS偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束を透過させ他方の偏光光束を反射させて偏光光束を分離する偏光分離面と、前記偏光分離面とほぼ平行に配置され、前記偏光分離面で反射された偏光光束を前記偏光分離面を透過した偏光光束の出射方向に向けて反射する反射面とを有し、前記第1の光学要素と前記偏光分離素子との間には、それぞれの前記中間光束が前記反射面に直接入射するのを防ぐ遮光手段または光減衰手段が設けられてなることを特徴とする。
本発明の偏光照明装置は、上記の構成を採用することにより、偏光方向が揃ったほぼ一種類の偏光光束の中に、偏光方向が異なる他の偏光光束が混入する現象を効果的に防止あるいは低減することができる。よって、非常に偏光度の高い偏光光束を照明光として得ることができる。
また、上記の構成によれば、一旦入射光束を複数の中間光束に分離した後、最終的にそれらの中間光束を一ヶ所の照明領域上で重畳結合させるため、入射光束が光束の断面内で大きな光強度分布を有していた場合でも、明るさが均一で色ムラのない偏光光束を照明光として利用することができる。さらに、均等な光強度や分光特性で中間光束をP偏光光束とS偏光光束に分離できない場合、及び、両偏光光束の偏光方向を揃える過程で一方の偏光光束の光強度やその分光特性が変化した場合においても、明るさが均一で色ムラのない偏光光束を照明光として利用することができる。
また、ほぼ一種類の偏光状態となった複数の偏光光束は、全体として集光されつつ一ヶ所の照明領域上で重畳結合し、大きなひとまとまりの光束となる。この大きなひとまとまりの光束は、それ自体が大きな発散角を有する光束成分を伴わないため、これらの光束を用いて照明を行う場合には、高い照明効率を得ることができる。
なお、上記光源としては、光源ランプとリフレクターにより構成されたものを使用することができる。光源ランプとしてはメタルハライドランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ等が、また、リフレクターとしては放物面リフレクター、楕円リフレクター、球面リフレクター等が使用できる。
上記偏光照明装置において、遮光手段または光減衰手段を配置する位置は、偏光分離素子と第1の光学要素との間であればどこでも良い。しかしながら、この遮光手段または光減衰手段と偏光分離素子とを一体化すれば、境界面における光損失を低減することが可能となり、光の利用効率の高い偏光照明装置を提供することが可能となる。また、遮光手段または光減衰手段と偏光分離素子とを一体化することにより、第2の光学要素全体をも一体化することができ、その場合には第2の光学要素を非常にコンパクトなものとすることができる。
また、遮光手段または光減衰手段は集光レンズアレイと一体化することも可能である。このようにしても、遮光手段または光減衰手段と偏光分離素子とを一体化した場合と同様の効果を得ることができる。さらに、この場合、遮光手段または光減衰手段と一体化された集光レンズアレイを、第2の光学要素を構成する他の光学素子(例えば、偏光分離素子や選択位相差板等)と空間的に分離して配置すれば、遮光手段または光減衰手段が光吸収により発熱したとしても、これに伴う熱的影響が当該他の光学素子に及ぶのを防止することができる。
上記偏光照明装置において、遮光手段は反射板で構成することが可能である。遮光手段を反射板で構成すれば、遮光手段での光吸収がほとんどないため遮光手段が発熱することがなく、遮光手段での発熱に伴う熱的影響が周囲の光学要素に及ぶことを防止することができる。特に、熱に弱い有機物質で選択位相差板が形成されている場合には効果的である。また、遮光手段を反射板で構成すれば、反射板で反射された光を一旦光源に戻し、光源に設置されているリフレクターにより再び反射させ、再度偏光分離素子へと入射させることも可能である。よって、光源からの光を、無駄なく、有効に利用することができる。
また、遮光手段を偏光変換素子や集光レンズアレイと一体化する場合は、遮光手段を反射膜とし、この反射膜を偏光分離素子の光入射面上または集光レンズアレイの光出射面上に形成するようにしても良い。このように構成しても、遮光手段を反射板で構成した場合と同様の効果を得ることができる。なお、反射膜は、誘電体多層膜や、反射率の高い銀、アルミニウム等の金属薄膜により形成することができる。
さらに、上記偏光照明装置において、光減衰手段は光拡散板で構成することが可能である。光減衰手段を光拡散板で構成すれば、偏光照明装置の低コスト化を実現することができる。
また、光減衰手段を偏光変換素子や集光レンズアレイと一体化する場合は、光減衰手段を偏光分離素子の光入射面上または集光レンズアレイの光出射面上に形成された光散乱面としても良い。このように構成しても、光減衰手段を光拡散板で構成した場合、及び、光拡散板と偏光分離素子または集光レンズアレイとを一体化した場合と同様の効果を得ることができる。光散乱面は、偏光分離素子の光入射面内または集光レンズアレイの光出射面内の特定の領域を荒らしたりすることによって形成することができる。
本発明の表示装置は、光源と、前記光源から出射された光束を複数の中間光束に分離する第1の光学要素と、前記中間光束が収束する位置付近に配置された第2の光学要素と、前記第2の光学要素から出射された光束を表示情報に基づいて変調する変調素子とを備え、前記第2の光学要素は、前記中間光束をそれぞれ集光する複数の集光レンズからなる集光レンズアレイと、前記中間光束のそれぞれをS偏光光束とP偏光光束とに空間的に分離する偏光分離素子と、前記偏光分離素子により分離されたS偏光光束またはP偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束の偏光方向と他方の偏光光束の偏光方向とを揃える選択位相差板と、それらの偏光光束を重畳結合させる結合レンズとを有し、前記偏光分離素子は、前記P偏光光束またはS偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束を透過させ他方の偏光光束を反射させて偏光光束を分離する偏光分離面と、前記偏光分離面とほぼ平行に配置され、前記偏光分離面で反射された偏光光束を前記偏光分離面を透過した偏光光束の出射方向に向けて反射する反射面とを有し、前記第1の光学要素と前記偏光分離素子との間には、それぞれの前記中間光束が前記反射面に直接入射するのを防ぐ遮光手段または光減衰手段が設けられてなることを特徴とする。
本発明の表示装置は、上記の構成を採用することにより、偏光方向が揃ったほぼ一種類の偏光光束中に、偏光方向が異なる他の偏光光束が混入する現象を効果的に防止する事ができる。よって、変調素子によって変調される所定の偏光光を得るために偏光板を用いた場合には、不要な偏光光が吸収されることにより生じる偏光板の温度上昇を防止することができ、偏光板を冷却する冷却装置の大幅な簡略化、小型化が可能となる。なお、変調素子としては、液晶装置が使用できる。
また、上記の構成によれば、一旦入射光束を複数の中間光束に分割した後、最終的にそれらの中間光束を変調素子上で重畳結合させるため、光源から出射された光束が光束の断面内で大きな光強度分布を有していた場合でも、明るさが均一で色むらのない偏光光束を照明光として得ることができる。したがって、明るく、明るさムラや色ムラのない表示が可能で、かつ小型の表示装置を実現することができる。
本発明の投写型表示装置は、光源と、前記光源から出射された光束を複数の中間光束に分離する第1の光学要素と、前記中間光束が収束する位置付近に配置された第2の光学要素と、前記第2の光学要素から出射された光束を表示情報に基づいて変調する変調素子と、前記変調素子により変調された光束を投写面上に投写する投写光学系とを備え、前記第2の光学要素は、前記中間光束をそれぞれ集光する複数の集光レンズからなる集光レンズアレイと、前記中間光束のそれぞれをS偏光光束とP偏光光束とに空間的に分離する偏光分離素子と、前記偏光分離素子により分離されたS偏光光束またはP偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束の偏光方向と他方の偏光光束の偏光方向とを揃える選択位相差板と、それらの偏光光束を重畳結合させる結合レンズとを有し、前記偏光分離素子は、前記P偏光光束またはS偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束を透過させ他方の偏光光束を反射させて偏光光束を分離する偏光分離面と、前記偏光分離面とほぼ平行に配置され、前記偏光分離面で反射された偏光光束を前記偏光分離面を透過した偏光光束の出射方向に向けて反射する反射面とを有し、前記第1の光学要素と前記偏光分離素子との間には、それぞれの前記中間光束が前記反射面に直接入射するのを防ぐ遮光手段または光減衰手段が設けられてなることを特徴とする。
本発明の投写型表示装置は、上記の構成を採用することにより、偏光方向が揃ったほぼ一種類の偏光光束の中に、偏光方向が異なる他の偏光光束が混入する現象を効果的に防止する事ができる。よって、変調素子によって変調される所定の偏光光を得るために偏光板を用いた場合には、不要な偏光光が吸収されることにより生じる偏光板の温度上昇を防止することができ、偏光板を冷却する冷却装置の大幅な簡略化、小型化が可能となる。なお、変調素子としては、液晶装置が使用できる。
また、上記の構成によれば、一旦入射光束を複数の中間光束に分割した後、最終的にそれらの中間光束を変調素子上で重畳結合させるため、光源から出射された光束が光束の断面内で大きな光強度分布を有していた場合でも、明るさが均一で色むらのない偏光光束を照明光として得ることができる。したがって、明るく、明るさムラや色ムラのない表示が可能で、かつ小型の表示装置を実現することができる。
さらに、前記第2の光学要素から出射された光束を複数の色光に分離する色光分離手段と、前記それぞれの色光を変調する複数の前記変調素子と、それぞれの前記変調素子によって変調された色光を合成する色光合成手段とを有し、前記色光合成手段により合成された光束が前記投写光学系を介して投写面上に投写されてなることことにより、分離された2つ以上の色光のそれぞれに対して専用の変調素子を配置することができるため、明るく、色の表現性が良く、解像度の高いカラー画像を投写表示可能な小型の投写型表示装置を実現することができる。
なお、上記投写型表示装置において、変調素子を反射型の液晶装置で構成することも可能である。一般に、反射型の液晶装置では、画素密度を高めていった場合においても比較的高い開口率を容易に得られるメリットがある。従って、上記の構成を採用することにより、より明るく、色の表現性が良く、解像度の高いカラー画像を投写表示可能な小型の投写型表示装置を実現することができる。
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態について実施例を挙げて説明する。なお、以下の各実施例においては、特にことわりのない限り、互いに直交する3つの方向を便宜的にX方向(横方向)、Y方向(縦方向)、Z方向とする。また、いずれの実施例においても、ランダムな偏光光束から一種類の偏光光束として、S偏光光束を得る構成としているが、勿論、P偏光光束を得る構成としてもよい。さらに、以下に説明する各実施例おいては、基本的に同じ機能を有し、同じ構成を有する部分には同じ符号を付して、その説明を省略する。
〔実施例1〕
図1は、実施例1の偏光照明装置の要部を平面的にみた概略構成図である。なお、この図1は、後述する第1の光学要素200の中心を通るXZ平面における平面図である。本例の偏光照明装置1はシステム光軸Lに沿って配置した光源部10、偏光発生装置20から大略構成されている。光源部10から出射された偏光方向がランダムな光束(以下、ランダムな偏光光束と呼ぶ)は、偏光発生装置20により偏光方向がほぼ揃った一種類の偏光光束に変換され、照明領域90に至るようになっている。
図1は、実施例1の偏光照明装置の要部を平面的にみた概略構成図である。なお、この図1は、後述する第1の光学要素200の中心を通るXZ平面における平面図である。本例の偏光照明装置1はシステム光軸Lに沿って配置した光源部10、偏光発生装置20から大略構成されている。光源部10から出射された偏光方向がランダムな光束(以下、ランダムな偏光光束と呼ぶ)は、偏光発生装置20により偏光方向がほぼ揃った一種類の偏光光束に変換され、照明領域90に至るようになっている。
光源部10は、光源ランプ101と、放物面リフレクター102から大略構成されており、光源ランプから放射された光は、放物面リフレクター102によって一方向に反射され、略平行な光束となって偏光発生装置20に入射される。ここで、光源部10の光源光軸Rがシステム光軸Lに対して一定の距離DだけX方向に平行シフトした状態となるように、光源部10は配置されている。
次に、偏光発生装置20は、第1の光学要素200と、第2の光学要素300から構成されている。
第1の光学要素200は、その外観を図2に示す様に、XY平面上で矩形状の外形を有する複数の光束分割レンズ201がマトリックス状に配列して構成されており、光源光軸Rが第1の光学要素200の中心に来るように、光源部10と第1の光学要素200との位置関係が設定されている。第1の光学要素200に入射した光は、光束分割レンズ201により複数の中間光束202に分割され、同時に光束分割レンズの集光作用により、システム光軸Lと垂直な平面内(図1ではXY平面)の中間光束が収束する位置に光束分割レンズの数と同数の集光像203を形成する。なお、光束分割レンズ201のXY平面上における外形形状は、照明領域90の形状と相似形をなすように設定される。本例では、XY平面上でX方向に長い横長の照明領域を想定しているため、光束分割レンズ201のXY平面上における外形形状も横長である。
第2の光学要素300は、集光レンズアレイ310、遮光板370、偏光分離ユニットアレイ320、選択位相差板380及び結合レンズ390から大略構成される複合体であり、第1の光学要素200による集光像203が形成される位置の近傍の、システム光軸Lに対して垂直な平面内(図1ではXY平面)に配置される。なお、第1の光学要素200に入射する光束の平行性が極めて良い場合には、第2の光学要素から集光レンズアレイ310を省略した構成としても良い。この第2の光学要素300は、中間光束202のそれぞれをP偏光光束とS偏光光束とに空間的に分離した後、一方の偏光光束の偏光方向と他方の偏光光束の偏光方向とを揃え、偏光方向がほぼ揃ったそれぞれの光束を一ヶ所の照明領域90に導くような機能を有している。
集光レンズアレイ310は、第1の光学要素200とほぼ同様な構成となっており、即ち、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201と同数の集光レンズ311をマトリックス状に配列したものであり、それぞれの中間光束を偏光分離ユニットアレイ320の特定の場所に集光しながら導く機能を有している。従って、第1の光学要素200により形成された中間光束202の特性に合わせて、また、偏光分離ユニットアレイ320に入射する光はその主光線の傾きがシステム光軸Lと平行であることが理想的である点を考慮して、各集光レンズのレンズ特性は各々最適化されることが望ましい。但し、一般的には、光学系の低コスト化及び設計の容易さを考慮して、第1の光学要素200と全く同じものを集光レンズアレイ310として用いるか、或いは、光束分割レンズ201とXY平面での形状が相似形である集光レンズを用いて構成した集光レンズアレイを用いてもよいことから、本例の場合には、第1の光学要素200を集光レンズアレイ310として用いている。なお、集光レンズアレイ310は遮光板370や偏光分離ユニットアレイ320から離れた位置(第1の光学要素200に近い側)に配置してもよい。
遮光板370はその外観を図3に示すように、複数の遮光面371と複数の開口面372が配列して構成されたものであり、この遮光面371と開口面372の配列の仕方は後述する偏光分離ユニット330の配列の仕方に対応している。尚、図3の遮光板370中に描かれているX軸と平行な4本の破線は、後述する偏光分離ユニットアレイとの対応関係を示すために描かれたものである。この点に関しては、図6に示す反射板373、図7に示す光拡散板376においても同様である。遮光板370の遮光面371に入射した光束は遮られ、開口面372に入射した光束は遮光板370をそのまま通過する。従って、遮光板370は、遮光板370上の位置に応じて透過する光束を制御する機能を有しており、遮光面371と開口面372の配列の仕方は、第1の光学要素200による集光像203が後述する偏光分離ユニット330の偏光分離面331上のみに形成されるように設定されている。遮光板370としては、本例のようにガラス板等の平板状の透明体に、クロムやアルミニウム等からなる遮光性の膜を部分的に形成したものや、アルミニウム板のような遮光性の平板に開口部を設けたもの等を使用することができる。特に、遮光性を有する膜を利用する場合には、遮光性を有する膜を集光レンズアレイ310や後述する偏光分離ユニットアレイ320上に直接形成しても同様の機能を発揮させることができる。
次に、偏光分離ユニットアレイ320は、その外観を図4に示すように、複数の偏光分離ユニット330がマトリックス状に配列した構成をなしている。偏光分離ユニット330の配列の仕方は、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201のレンズ特性及びそれらの配列の仕方に対応している。本例においては、全て同じレンズ特性を有する同心系の光束分割レンズ201を用いて、それらの光束分割レンズを直交マトリックス状に配列することで第1の光学要素200を構成しているため、偏光分離ユニットアレイ320も全て同じ偏光分離ユニット330を全て同じ向きに直交マトリックス状に配列することにより構成されている。なお、Y方向に列ぶ同一列の偏光分離ユニットが全て同じ偏光分離ユニットである場合には、Y方向に細長い偏光分離ユニットをX方向に配列して構成した偏光分離ユニットアレイ320を用いた方が、偏光分離ユニット間の界面における光損失を低減できると共に偏光分離ユニットアレイの製造コストを低減できるという点で有利である。
偏光分離ユニット330はその外観を図5に示す様に、内部に偏光分離面331と反射面332を備えた四角柱状の構造体であり、偏光分離ユニットに入射する中間光束のそれぞれをP偏光光束とS偏光光束とに空間的に分離する機能を有している。偏光分離ユニット330のXY平面上における外形形状は、光束分割レンズ201のXY平面上における外形形状と相似形をなしており、即ち、横長の矩形状である。従って、偏光分離面331と反射面332とは横方向(X方向)に並ぶように配置されている。ここで、偏光分離面331と反射面332とは、偏光分離面331がシステム光軸Lに対して約45度の傾きをなし、且つ、反射面332が偏光分離面と平行な状態をなし、さらに、偏光分離面331がXY平面上に投影する断面積(後述するP出射面333の面積に等しい)と反射面332がXY平面上に投影する断面積(後述するS出射面334の面積に等しい)とが等しくなるように配置されている。従って、本例では、偏光分離面331が存在する領域のXY平面上での横幅Wpと反射面332が存在する領域のXY平面上での横幅Wmとは等しくなり、且つ、それぞれが偏光分離ユニットのXY平面上での横幅Wの半分になるように設定されている。なお、一般的に、偏光分離面331は誘電体多層膜で、また、反射面332は誘電体多層膜或いはアルミニウム膜で形成することができる。
偏光分離ユニット330に入射した光は、偏光分離面331において、進行方向を変えずに偏光分離面331を透過するP偏光光束335と、偏光分離面331で反射され隣接する反射面332の方向に進行方向を変えるS偏光光束336とに分離される。P偏光光束335はそのままP出射面333を経て偏光分離ユニットから出射され、S偏光光束336は再び反射面332で進行方向を変え、P偏光光束335とほぼ平行な状態となって、S出射面334を経て偏光分離ユニットから出射される。従って、偏光分離ユニット330に入射したランダムな偏光光束は偏光分離ユニットにより偏光方向が異なるP偏光光束335とS偏光光束336の二種類の偏光光束に分離され、偏光分離ユニットの異なる場所(P出射面333とS出射面334)からほぼ同じ方向に向けて出射される。偏光分離ユニットは上記の様な機能を有することから、それぞれの偏光分離ユニット330の偏光分離面331が存在する領域にそれぞれの中間光束202を導く必要があり、そのため、偏光分離ユニット内の偏光分離面の中央部に中間光束が入射するように、それぞれの偏光分離ユニット330とそれぞれの集光レンズ311の位置関係やそれぞれの集光レンズ311のレンズ特性は設定されている。特に、本例の場合には、それぞれの偏光分離ユニット330内の偏光分離面331の中央部にそれぞれの集光レンズの中心軸が来るように配置するため、集光レンズアレイ310は、偏光分離ユニットの横幅Wの1/4に相当する距離Dだけ、偏光分離ユニットアレイ320に対してX方向にずらした状態で配置されている。
尚、偏光分離ユニットアレイにおいては、その内部に上述した偏光分離面と反射面が規則的に形成されたものであれば良く、上述した偏光分離ユニットを基本的な構成単位として用いる必要は必ずしもない。ここでは、偏光分離ユニットアレイの機能を説明するために、偏光分離ユニットという構成単位を導入したに過ぎない。
再び、図1に基づいて説明する。
遮光板370は偏光分離ユニットアレイ320と集光レンズアレイ310との間にあって、遮光板370のそれぞれの開口面372の中心とそれぞれの偏光分離ユニット330の偏光分離面331の中心がほぼ一致するように配置され、また、開口面372の開口横幅(X方向の開口幅)は偏光分離ユニット330の横幅Wの約半分の大きさに設定されている。その結果、偏光分離面331を経ずして反射面332に直接入射する中間光束は、予め遮光板370の遮光面371で遮られるためほとんど存在せず、遮光板370の開口面372を通過した光束はそのほとんど全てが偏光分離面331のみに入射することになる。従って、遮光板370の設置により、偏光分離ユニットにおいて、直接反射面332に入射し、反射面332を経て隣接する偏光分離面331に入射する光束はほとんど存在しないことになる。
偏光分離ユニットアレイ320の出射面の側には、λ/2位相差板381が規則的に配置された選択位相差板380が設置されている。即ち、偏光分離ユニットアレイ320を構成する偏光分離ユニット330のP出射面333の部分にのみλ/2位相差板381が配置され、S出射面334の部分にはλ/2位相差板381は設置されていない(図5を参照)。この様なλ/2位相差板381の配置状態により、偏光分離ユニット330から出射されたP偏光光束は、λ/2位相差板381を通過する際に偏光方向の回転作用を受けS偏光光束へと変換される。一方、S出射面334から出射されたS偏光光束はλ/2位相差板381を通過しないので、偏光方向は変化せず、S偏光光束のまま選択位相差板380を通過する。以上をまとめると、偏光分離ユニットアレイ320と選択位相差板380により、偏光方向がランダムな中間光束は一種類の偏光光束(この場合はS偏光光束)に変換されたことになる。
選択位相差板380の出射面の側には、結合レンズ390が配置されており、選択位相差板380によりS偏光光束に揃えられた光束は、結合レンズ390により照明領域90へと導かれ、照明領域上で重畳結合される。ここで、結合レンズ390は1つのレンズ体である必要はなく、第1の光学要素200のように、複数のレンズの集合体であってもよい。
第2の光学要素300の機能をまとめると、第1の光学要素200により分割された中間光束202(つまり、光束分割レンズ201により切り出されたイメージ面)は、第2の光学要素300により照明領域90上で重畳結合される。これと同時に、途中の偏光分離ユニットアレイ320により、ランダムな偏光光束である中間光束は偏光方向が異なる二種類の偏光光束に空間的に分離され、選択位相差板380を通過する際にほぼ一種類の偏光光束に変換される。ここで、偏光分離ユニットアレイ320の入射側には遮光板370が配置され、偏光分離ユニット330の偏光分離面331にだけ中間光束が入射する構成となっているため、反射面332を経て偏光分離面331に入射する中間光束はほとんどなく、偏光分離ユニットアレイ320から出射される偏光光束の種類はほぼ一種類に限定される。従って、照明領域90は殆ど一種類の偏光光束でほぼ均一に照明されることになる。
以上説明したように、本例の偏光照明装置1によれば、光源部10から出射されたランダムな偏光光束を、第1の光学要素200と第2の光学要素300により構成される偏光発生装置20により、ほぼ一種類の偏光光束に変換すると共に、その偏光方向の揃った光束により照明領域90を均一に照明できるという効果を有する。また、偏光光束の発生過程においては光損失を殆ど伴わないため、光源部から出射される光の殆どすべてを照明領域90へと導くことができ、従って、光の利用効率が極めて高いという特徴を有する。さらに、第2の光学要素300内には遮光板370が配置されているため、照明領域90を照明する一種類の偏光光束中には偏光方向が異なる他の偏光光束が混じることがほとんどない。従って、液晶装置のように偏光光束を用いて表示を行う変調素子を照明する装置として本発明の偏光照明装置を用いた場合には、従来、変調素子の照明光が入射する側に配置されていた偏光板を不要とすることが可能である。或いは、従来通りに偏光板を設置した場合でも、偏光板における光吸収量が非常に少ないため、偏光板及び変調素子の発熱を抑えるのに必要な冷却装置を大幅に小型化することができる。上述したように、第1の光学要素200により形成される集光像203の大きさは第1の光学要素に入射する光束(照明装置を想定した場合には光源から出射される光束)の平行性に影響される。平行性が悪い場合には寸法の大きな集光像しか形成できないため、偏光分離ユニットの偏光分離面を経ずして反射面に直接入射する中間光束が多く存在し、偏光方向の異なる他の偏光光束が照明光束へ混入する現象を避けられない。従って、本発明の偏光照明装置の構成は、平行性の悪い光束を出射する光源を利用して偏光照明装置を構成する場合に、特に優れた効果を発揮する。
なお、本例では、第2の光学要素300を構成する集光レンズアレイ310、遮光板370、偏光分離ユニットアレイ320、選択位相差板380及び出射側レンズ390は光学的に一体化されており、それらの界面において発生する光損失を低減し、光利用効率を一層高める効果を発揮している。これらの光学素子は必ずしも光学的に一体化されている必要はないが、照明光への偏光方向の異なる他の偏光光束の混入を効果的に防止するためには、遮光板370を、偏光分離ユニットアレイ320の光入射面と光学的に一体化するか、偏光分離ユニットアレイ320の光入射面上に固定するのが好ましい。遮光板370を偏光分離ユニットアレイ320の光入射面と光学的に一体化する方法としては、遮光板370を接着層を介して偏光分離ユニットアレイ320の光入射面上に貼り付ける方法や、後述するように偏光分離ユニットアレイ320の光入射面上に遮光面371を直接形成する方法等が考えられる。一方、遮光板370を偏光分離ユニットアレイ320の光入射面上に固定する方法としては、遮光板370の周辺部を両面テープ等を用いて偏光分離ユニットアレイ320の光入射面上の周辺部に接着する方法が考えられる。この場合、遮光板370の周辺部全体を接着する必要は無く、少なくとも2箇所が接着されていれば良い。ここで、偏光分離ユニットアレイ320の光入射面に対して遮光板370が平行に固定されるようにするためには、接着箇所を、遮光板370の中心に対してほぼ点対称となる位置に設けるようにするのが好ましい。
さらに、横長の矩形形状である照明領域90の形状に合わせて、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201を横長の形状とし、同時に、偏光分離ユニットアレイ320から出射される二種類の偏光光束を横方向(X方向)に分離する形態としている。このため、横長の矩形形状を有する照明領域90を照明する場合でも、光量を無駄にすることなく、照明効率(光利用効率)を高めることができる。
一般に、偏光方向がランダムな光束をP偏光光束とS偏光光束とに単純に分離すると、分離後の光束全体の幅は2倍に拡がり、それに応じて光学系も大型化してしまう。しかし、本発明の偏光照明装置では、第1の光学要素200により微小な複数の集光像203を形成し、それらの形成過程で生じた光の存在しない空間を上手く利用し、その空間に偏光分離ユニット330の反射面332を配置することにより、2つの偏光光束に分離することに起因して生じる光束の横方向への幅の広がりを吸収しているので、光束全体の幅は広がらず、小型の光学系を実現できるという特徴がある。
〔実施例1の変形例1〕
実施例1において、遮光板370を構成する遮光面371は光を略反対方向に反射させる反射面であっても良い。すなわち、実施例1において、遮光板370の代わりに、図6に示すような、複数の反射面374と複数の開口面375を備えた遮光板373を採用することができる。反射面374は、誘電体多層膜や、反射率の高い銀、アルミニウム等の金属薄膜、或いはその両者の組み合わせにより容易に実現することができ、膜の種類によっては90数%以上の非常に高い反射率を得ることができる。なお、反射面374を図1の集光レンズアレイ310や偏光分離ユニットアレイ320上に直接形成しても同様の機能を発揮させることができる。
実施例1において、遮光板370を構成する遮光面371は光を略反対方向に反射させる反射面であっても良い。すなわち、実施例1において、遮光板370の代わりに、図6に示すような、複数の反射面374と複数の開口面375を備えた遮光板373を採用することができる。反射面374は、誘電体多層膜や、反射率の高い銀、アルミニウム等の金属薄膜、或いはその両者の組み合わせにより容易に実現することができ、膜の種類によっては90数%以上の非常に高い反射率を得ることができる。なお、反射面374を図1の集光レンズアレイ310や偏光分離ユニットアレイ320上に直接形成しても同様の機能を発揮させることができる。
遮光面371の場合とは異なり、反射面374においては光吸収がほとんどない。従って、反射板373を採用すれば、反射板373での発熱に伴う熱的影響が周囲の光学要素に及ぶのを防止することができる。また、反射面374で反射された光は光源10に設置されている放物面リフレクター102で反射され、偏光発生装置20に再度入射させ、遮光板373の開口部375に導き入れることができるため、光源からの光を無駄なく有効に利用することができる。
〔実施例1の変形例2〕
実施例1において、遮光板を構成する遮光面は光を散乱させる光散乱面であっても、遮光面の場合とほぼ同様の効果を発揮させることができる。すなわち、すなわち、実施例1において、遮光板370の代わりに、図7に示すように、複数の光散乱面377と複数の開口面378を配列してなる光拡散板376を採用することができる。光散乱面377に入射した光は散乱されるので、偏光分離ユニットの偏光分離面を経ずして反射面に直接入射する光の強度を大幅に低下させることができ、偏光方向が揃ったほぼ一種類の偏光光束からなる照明光束中に、偏光方向が異なる他の偏光光束が混入する現象を効果的に防止することができる。光散乱面377は、平板状の透明基板の表面やその内部に光散乱体を形成したり、或いは、透明基板の表面に凹凸形状を形成したり、さらには、表面を単に荒らすことによって容易に実現することができる。なお、光散乱面377を図1の集光レンズアレイ310や偏光分離ユニットアレイ320上に直接形成しても同様の機能を発揮させることができる。
実施例1において、遮光板を構成する遮光面は光を散乱させる光散乱面であっても、遮光面の場合とほぼ同様の効果を発揮させることができる。すなわち、すなわち、実施例1において、遮光板370の代わりに、図7に示すように、複数の光散乱面377と複数の開口面378を配列してなる光拡散板376を採用することができる。光散乱面377に入射した光は散乱されるので、偏光分離ユニットの偏光分離面を経ずして反射面に直接入射する光の強度を大幅に低下させることができ、偏光方向が揃ったほぼ一種類の偏光光束からなる照明光束中に、偏光方向が異なる他の偏光光束が混入する現象を効果的に防止することができる。光散乱面377は、平板状の透明基板の表面やその内部に光散乱体を形成したり、或いは、透明基板の表面に凹凸形状を形成したり、さらには、表面を単に荒らすことによって容易に実現することができる。なお、光散乱面377を図1の集光レンズアレイ310や偏光分離ユニットアレイ320上に直接形成しても同様の機能を発揮させることができる。
光散乱板376を採用すれば、誘電体多層膜や金属薄膜等を用いた遮光板370や反射板373を採用した場合に比べて、低コスト化を実現することが可能である。
〔実施例1の変形例3〕
実施例1ならびに前述した変形例1、2においては、遮光板370、反射板373、光拡散板376はその前後に配置された集光レンズアレイ310や偏光分離ユニットアレイ320に対して物理的に独立した光学要素であったが、遮光板370を構成する遮光面371、反射板373を構成する反射面374、或いは光拡散板376を構成する光散乱面377を、偏光分離ユニットアレイ320を構成する偏光分離ユニット330の光入射面上に直接形成しても、これらを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
実施例1ならびに前述した変形例1、2においては、遮光板370、反射板373、光拡散板376はその前後に配置された集光レンズアレイ310や偏光分離ユニットアレイ320に対して物理的に独立した光学要素であったが、遮光板370を構成する遮光面371、反射板373を構成する反射面374、或いは光拡散板376を構成する光散乱面377を、偏光分離ユニットアレイ320を構成する偏光分離ユニット330の光入射面上に直接形成しても、これらを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
その具体例を図8を用いて説明する。図8にその外観を示した偏光分離ユニットアレイ320Aは、偏光分離ユニットアレイ320Aを構成するそれぞれの偏光分離ユニット330Aの光入射面上に、遮光面321が直接形成されてなるものであり、遮光面が形成されていない領域322は、先に説明した遮光板370において光が通過する開口面372に相当する。本例のように遮光面321を直接形成した偏光分離ユニットアレイ320Aを用いることにより、物理的に独立した光学要素である遮光板370を用いる必要がないため、第2の光学要素を小型化、及び低コスト化できる。勿論、偏光分離ユニット330Aには、遮光面321に代えて反射面や光散乱面を直接形成することもでき、その場合にも本例の場合と同様の効果を発揮する。
〔実施例1の変形例4〕
実施例1並びに前述した変形例1、2においては、遮光板370、反射板373、光拡散板376はその前後に配置された集光レンズアレイ310や偏光分離ユニットアレイ320に対して物理的に独立した光学要素であったが、遮光板370を構成する遮光面371、反射板373を構成する反射面373、或いは、光拡散板376を構成する光散乱面374を集光レンズアレイ310を構成する集光レンズ311に直接形成しても、これらを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
実施例1並びに前述した変形例1、2においては、遮光板370、反射板373、光拡散板376はその前後に配置された集光レンズアレイ310や偏光分離ユニットアレイ320に対して物理的に独立した光学要素であったが、遮光板370を構成する遮光面371、反射板373を構成する反射面373、或いは、光拡散板376を構成する光散乱面374を集光レンズアレイ310を構成する集光レンズ311に直接形成しても、これらを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
その具体例を図9を用いて説明する。図9にその外観を示した集光レンズアレイ310Aは、集光レンズアレイ310Aを構成するそれぞれの集光レンズ311Aの光が出射する面上に、遮光面312が直接形成されてなるものであり、遮光面が形成されていない領域313は、先に説明した遮光板370において光が通過する開口面372に相当する。本例のように遮光面312を直接形成した集光レンズアレイ310Aを用いることにより、物理的に独立した光学要素である遮光板370を用いる必要がないため、第2の光学要素を小型化、及び低コスト化できる。勿論、集光レンズ311Aには、本例の遮光面312に代えて反射面や光散乱面を直接形成することもでき、その場合にも本例の場合と同様の効果を発揮する。なお、本例の場合、集光レンズアレイ310Aを、第2の光学要素を構成する他の光学素子である偏光分離ユニットアレイや選択位相差板と空間的に分離して配置すれば、遮光面、反射面、光散乱面における光吸収による発熱の影響が他の光学素子に及ぶのを防止することができる。
〔実施例1の変形例5〕
実施例1においては、ガラス板等の平板上の透明体に、クロムやアルミニウム等からなる遮光性の膜を部分的に形成した遮光板370を用いたが、これは、アルミニウム板のような遮光性の平板に開口部を設けたものであっても良い。
実施例1においては、ガラス板等の平板上の透明体に、クロムやアルミニウム等からなる遮光性の膜を部分的に形成した遮光板370を用いたが、これは、アルミニウム板のような遮光性の平板に開口部を設けたものであっても良い。
その具体例を図10を用いて説明する。図10にその外観を示した遮光板370Aは、遮光性の平板371Aに開口部372Aを設けたものである。なお、照明光への偏光方向の異なる他の偏光光束の混入を効果的に防止するために、遮光板370を偏光分離ユニットアレイ320の光入射面上に固定する場合には、遮光板371Aの周辺部の2箇所に設けられた接着箇所379a、379bを両面テープで偏光分離ユニットアレイ320の光入射面上に固定すれば良い。接着箇所379a、379bは、遮光板370の中心に対してほぼ点対称となる位置に設けられているため、偏光分離ユニットアレイ320の光入射面に対して遮光板370を平行に固定することが可能である。
本例のように、アルミニウム板のような遮光性の平板371Aに開口部372Aを設けた遮光板370Aを用いれば、ガラス板等の平板上の透明体に、クロムやアルミニウム等からなる遮光性の膜を部分的に形成した遮光板370に比べて低コスト化を実現することができる。
〔実施例2〕
実施例1に示した偏光照明装置1が組み込まれた直視型の表示装置の一例について説明する。なお、本例においては、偏光照明装置からの出射光束を表示情報に基づいて変調する変調素子として透過型の液晶装置を用いている。
実施例1に示した偏光照明装置1が組み込まれた直視型の表示装置の一例について説明する。なお、本例においては、偏光照明装置からの出射光束を表示情報に基づいて変調する変調素子として透過型の液晶装置を用いている。
図11は、本例の表示装置2の光学系の要部を示した概略構成図であり、XZ平面における断面構造を示している。本例の表示装置2は、実施例1に示した偏光照明装置1、反射ミラー510、及び液晶装置520から大略構成されている。
偏光照明装置1は、ランダムな偏光光束を一方向に出射する光源部10を備え、この光源部10から出射されたランダムな偏光光束は、偏光発生装置20によりほぼ一種類の偏光光束に変換される。この偏光照明装置1から出射された偏光光束は、反射ミラー510により光の進行方向を約90度曲げられ、液晶装置520をほぼ一種類の偏光光束により照明する。液晶装置520の前後には偏光板521が配置されている。なお、視野角の改善を目的として光拡散板(図示せず)を液晶装置520の手前(反射ミラー510側)に配置した構造としてもよい。
このように構成した表示装置2では、一種類の偏光光束を変調するタイプの液晶装置が用いられている。従って、従来の照明装置を用いてランダムな偏光光束を液晶装置に導くと、ランダムな偏光光束のうちの約半分の光は、偏光板521で吸収されて熱に変わってしまい、光の利用効率が悪いという問題点があった。しかし、本例の表示装置2では、かかる問題点が大幅に改善されている。
即ち、本例の表示装置2では、偏光照明装置1において、一方の偏光光束、例えばP偏光光束のみに対して、λ/2位相差板によって偏光面の回転作用を与え、他方の偏光光束、例えばS偏光光束と偏光方向が揃った状態とする。それ故、偏光方向の揃ったほぼ一種類の偏光光束が液晶装置520に導かれるので、偏光板521による光吸収は非常に少なく、従って、光源光の利用効率が向上し、明るい表示状態を得ることができる。
特に、照明装置として使用している偏光照明装置1においては、第2の光学要素300の内部に遮光板370を配置しているため、偏光照明装置1から出射される照明光の中に、液晶装置での表示に不要な他の偏光光束が混入することがほとんどない。その結果、液晶装置520の光の入射する側に配置された偏光板521における光吸収量は極めて少なく、光吸収による発熱量も極めて少なくなることから、偏光板521や液晶装置520の温度上昇を抑制するための冷却装置を省略することができ、或いは、省略できない場合でも冷却装置の大幅な小型化を実現することができる。
〔実施例3〕
実施例1に示した偏光照明装置1が組み込まれた投写型表示装置の第一の例について説明する。なお、本例においては、偏光照明装置からの出射光束を表示情報に基づいて変調する変調素子として透過型の液晶装置を用いている。
実施例1に示した偏光照明装置1が組み込まれた投写型表示装置の第一の例について説明する。なお、本例においては、偏光照明装置からの出射光束を表示情報に基づいて変調する変調素子として透過型の液晶装置を用いている。
図12は、本例の投写型表示装置3の光学系の要部を示した概略構成図であり、XZ平面における構成を示している。本例の投写型表示装置3は、実施例1に示した偏光照明装置1、白色光束を3色の色光に分離する色光分離手段、それぞれの色光を表示情報に基づいて変調し表示画像を形成する3枚の透過型の液晶装置、3色の色光を合成しカラー画像を形成する色光合成手段、そのカラー画像を投写表示する投写光学系とから大略構成されている。
本例の偏光照明装置1は、ランダムな偏光光束を一方向に出射する光源部10を備え、この光源部10から出射されたランダムな偏光光束は、偏光発生装置20によりほぼ一種類の偏光光束に変換される。
この偏光照明装置1から出射された光束は、まず、色光分離手段である青光緑光反射ダイクロイックミラー401において、赤色光が透過し、青色光及び緑色光が反射する。赤色光は、反射ミラー403で反射され、赤光用液晶装置411に達する。一方、青色光及び緑色光のうち、緑色光は、やはり色光分離手段である緑光反射ダイクロイックミラー402によって反射され、緑光用液晶装置412に達する。
ここで、青色光は各色光のうちでその光路の長さが最も長いので、青色光に対しては、入射レンズ431、リレーレンズ432、及び出射レンズ433からなるリレーレンズ系で構成された導光手段430を設けてある。即ち、青色光は、緑光反射ダイクロイックミラー402を透過した後に、まず、入射レンズ431を経て反射ミラー435により反射されてリレーレンズ432に導かれ、このリレーレンズに集束された後、反射ミラー436によって出射レンズ433に導かれ、しかる後に、青光用液晶装置413に達する。ここで、3ヶ所の液晶装置411、412、413は、それぞれの色光を変調し、各色光に対応した画像情報を含ませた後に、変調した色光を色光合成手段であるクロスダイクロイックプリズム450に入射する。クロスダイクロイックプリズム450には、赤光反射の誘電体多層膜と青光反射の誘電体多層膜とがX字状に形成されており、それぞれの変調光束を合成しカラー画像を形成する。ここで形成されたカラー画像は、投写光学系である投写レンズ460によりスクリーン470上に拡大投影され、投写画像を形成する。
このように構成した投写型表示装置3では、一種類の偏光光束を変調するタイプの液晶装置が用いられている。従って、従来の照明装置を用いてランダムな偏光光束を液晶装置に導くと、ランダムな偏光光束のうちの約半分の光は、偏光板(図示せず)で吸収されて熱に変わってしまうので、光の利用効率が悪いと共に、偏光板の発熱を抑える大型で騒音の大きな冷却装置が必要であるという問題点があった。しかし、本例の投写型表示装置3では、かかる問題点が大幅に改善されている。
即ち、本例の投写型表示装置3では、偏光照明装置1において、一方の偏光光束、例えばP偏光光束のみに対して、λ/2位相差板によって偏光面の回転作用を与え、他方の偏光光束、例えばS偏光光束と偏光方向が揃った状態とする。それ故、偏光方向の揃ったほぼ一種類の偏光光束が3ヶ所の液晶装置411、412、413に導かれるので、偏光板による光吸収は非常に少なく、従って、光の利用効率が向上し、明るい投写画像を得ることができる。
特に、照明装置として使用している偏光照明装置1においては、第2の光学要素300の内部に遮光板370を配置しているため、偏光照明装置1から出射される照明光の中に、液晶装置での表示に不要な他の偏光光束が混入することがほとんどない。その結果、3ヶ所の液晶装置411、412、413の光の入射する側にそれぞれ配置された偏光板(図示せず)における光吸収量は極めて少なく、光吸収による発熱量も極めて少なくなることから、偏光板や液晶装置の温度上昇を抑制するための冷却装置を大幅に小型化することができる。以上のことから、非常に光出力の大きな光源ランプを用いて、非常に明るい投写画像を表示可能な投写型表示装置を実現しようとした場合にも、小型の冷却装置で対応可能であり、よって冷却装置の騒音を低くすることもでき、静かで高性能な投写型表示装置を実現できる。
さらに、偏光照明装置1では、第2の光学要素300において、2種類の偏光光束を横方向(X方向)に空間的に分離している。従って、光量を無駄にすることがなく、横長の矩形形状をした液晶装置を照明するのに都合がよい。
先の実施例1に関して説明したように、本例の偏光照明装置1では、偏光変換光学要素を組み入れているにもかかわらず、偏光分離ユニットアレイ320を出射する光束の幅の広がりが抑えられている。このことは、液晶装置を照明する際に、大きな角度を伴って液晶装置に入射する光が殆どないことを意味している。従って、Fナンバーの小さな極めて大口径の投写レンズ系を用いなくても明るい投写画像を実現でき、その結果、小型の投写型表示装置を実現できる。
また、本例では、色光合成手段として、クロスダイクロイックプリズム450を用いているので、装置の小型化が可能である。また、液晶装置411、412、413と投写レンズ系との間の光路の長さが短いので、比較的小さな口径の投写レンズ系を用いても、明るい投写画像を実現できる。また、各色光は、3光路のうちの1光路のみ、その光路の長さが異なるが、本例では光路の長さが最も長い青色光に対しては、入射レンズ431、リレーレンズ432、及び出射レンズ433からなるリレーレンズ系で構成した導光手段430を設けてあるので、色ムラなどが生じない。
なお、2枚のダイクロイックミラーを色光合成手段として用いたミラー光学系により投写型表示装置を構成することもできる。勿論、その場合においても本例の偏光照明装置を組み込むことが可能であり、本例の場合と同様に、光の利用効率に優れた明るい高品位の投写画像を形成することができる。
〔実施例4〕
実施例1に示した偏光照明装置1が組み込まれた投写型表示装置の第二の例について説明する。なお、本例においては、偏光照明装置からの出射光束を表示情報に基づいて変調する変調素子として反射型の液晶装置を用いている。
実施例1に示した偏光照明装置1が組み込まれた投写型表示装置の第二の例について説明する。なお、本例においては、偏光照明装置からの出射光束を表示情報に基づいて変調する変調素子として反射型の液晶装置を用いている。
図13は、本例の投写型表示装置4の光学系の要部を平面的にみた概略構成図である。本例の投写型表示装置4は、実施例1に示した偏光照明装置1、偏光ビームスプリッタ480、色光分離手段と色光合成手段を兼ねたクロスダイクロイックプリズム450、変調素子である3つの反射型液晶装置414、415、416、及び投写光学系である投写レンズ460とから大略構成されている。
偏光照明装置1は、ランダムな偏光光束を一方向に出射する光源部10を備え、この光源部10から出射されたランダムな偏光光束は、偏光発生装置20によりほぼ一種類の偏光光束(本例の場合はS偏光光束)に変換される。
この偏光照明装置1から出射された光束は、偏光ビームスプリッタ480に入射し、偏光分離面481で反射され進行方向を略90度変えられ、隣接するクロスダイクロイックプリズム450へ入射する。ここで、偏光照明装置1から出射される光束はその大部分がS偏光光束であるが、僅かながらS偏光光束とは偏光方向が異なる偏光光束(本例の場合はP偏光光束)が混入している場合があり、その偏光方向が異なる偏光光束(P偏光光束)は偏光分離面481をそのまま透過し偏光ビームスプリッタ480から出射される(このP偏光光束は液晶装置を照明する照明光とはならない)。
クロスダイクロイックプリズム450に入射したS偏光光束は、クロスダイクロイックプリズム450により波長に応じて赤色光、緑色光、及び青色光の3つの光束に分離され、それぞれ対応する反射型の赤色光用液晶装置414、反射型の緑色光用液晶装置415、及び反射型の青色光用液晶装置416に達し、それぞれの液晶装置を照明する。即ち、クロスダイクロイックプリズム450は液晶装置を照明する照明光に対しては色光分離手段として作用している。
ここで、本例で用いている液晶装置414、415、416は反射型であるため、それぞれの液晶装置においてそれぞれの色光を変調し、各色光に対応した外部からの表示情報を含ませると同時に、それぞれの液晶装置から出射される光束の偏光方向を変化させ、且つ、光束の進行方向を略反転させている。従って、それぞれの液晶装置からの反射光は表示情報に応じて部分的にP偏光状態となって出射される。それぞれの液晶装置414、415、416から出射された変調光束(P偏光光束が主体となる)は、再び、クロスダイクロイックプリズム450に入射し、一つの光学像に合成されて、隣接する偏光ビームスプリッタ480に再度入射する。即ち、クロスダイクロイックプリズム450は液晶装置から出射される変調光束に対しては色光合成手段として作用している。
偏光ビームスプリッタ480に入射した光束のうち、液晶装置414、415、416で変調された光束はP偏光光束となっているため、偏光ビームスプリッタ480の偏光分離面481をそのまま透過し、投写レンズ460を経てスクリーン470上に画像を形成する。
このように構成した投写型表示装置4においても、先の投写型表示装置3の場合と同様に、一種類の偏光光束を変調するタイプの液晶装置が用いられている。従って、ランダムな偏光光束を照明光とする従来の照明装置を用いた場合には、偏光ビームスプリッタ480で分離され反射型の液晶装置に導かれる光束量は、ランダムな偏光光束のうちの約半分に減少してしまうので、光の利用効率が悪く明るい投写画像を得難いという問題点があった。しかし、本例の投写型表示装置4では、かかる問題点が大幅に改善されている。
即ち、本例の投写型表示装置4では、従来の照明装置に代えて本発明の偏光照明装置1を用いることにより、偏光方向の揃ったほぼ一種類の偏光光束を効率的に発生でき、従って、偏光ビームスプリッタ480に入射する光束は、そのほとんど全てが照明光束として3ヶ所の反射型の液晶装置414、415、416に導かれることになる。その結果、明るく、明るさムラや色ムラのない投写画像を得ることができる。
特に、照明装置として使用している偏光照明装置1においては、第2の光学要素300の内部に遮光板370を配置しているため、偏光照明装置1から出射される照明光の中に、液晶装置での表示に不要な他の偏光光束が混入することがほとんどない。従って、偏光方向の揃った高品位の照明光を得ることができ、その結果、明るい高品位の投写画像を得ることに成功している。
さらに、偏光照明装置1では、第2の光学要素300において、2種類の偏光光束を横方向(X方向)に空間的に分離している。従って、光量を無駄にすることがなく、横長の矩形形状をした液晶装置を照明するのに都合がよい。
先の実施例1に関して説明したように、本例の偏光照明装置1では、偏光変換光学要素を組み入れているにもかかわらず、偏光分離ユニットアレイ320を出射する光束の幅の広がりが抑えられている。このことは、液晶装置を照明する際に、大きな角度を伴って液晶装置に入射する光が殆どないことを意味している。従って、Fナンバーの小さな極めて大口径の投写レンズ系を用いなくても明るい投写画像を実現でき、その結果、小型の投写型表示装置を実現できる。
尚、本例の投写型表示装置4を基に、クロスダイクロイックプリズム450と3ヶ所の液晶装置414、415、416との間に、それぞれコンデンサーレンズ417を配置した構成とすることが出来、その場合の光学系の概略構成の一例を図14に示す。これらのコンデンサーレンズを配置することによって、偏光照明装置1からの照明光束をその拡がりを抑えた状態で液晶装置に導くことが出来るため、液晶装置を照明する場合の効率と、液晶装置で反射され光束を投写レンズ460に入射させる場合の入射効率とを、より向上させることが出来る。ここで、レンズ界面における光損失を低減できると言う観点から、コンデンサーレンズは、図14に示すように液晶装置と一体化、或いは、クロスダイクロイックプリズムと一体化するように配置されることが望ましい。
また、本例の投写型表示装置4では、S偏光光束を照明光として使用する形態としているが、P偏光光束を照明光として使用する形態としても良く、その場合には、偏光ビームスプリッタ480を挟んで、偏光照明装置1とクロスダイクロイックプリズム450が相対する様な配置構成とすれば良い。
さらに、本例では、色光分離手段及び色光合成手段としてクロスダイクロイックプリズムを用いているが、それに代えて2枚のダイクロイックミラーを用いることによっても投写型表示装置を構成することができる。勿論、その場合においても本例の偏光照明装置を組み込むことが可能であり、本例の場合と同様に、光の利用効率に優れた明るく高品位の投写画像を形成することができる。
以上説明したように、本発明によれば、照明領域における光強度分布が入射光束のそれよりも均一であり、同時に、偏光方向が揃った一種類の偏光光束のみを高い効率で発生できる偏光変換装置並びに偏光照明装置を実現できる。また、本発明の偏光変換装置、偏光照明装置を用いることにより、明るく高品位の画像を表示できる表示装置や投写型表示装置を容易に実現することができる。
Claims (19)
- P偏光光束またはS偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束を透過させ他方の偏光光束を反射させて偏光光束を分離する偏光分離面と、前記偏光分離面とほぼ平行に配置され、前記偏光分離面で反射された偏光光束を前記偏光分離面を透過した偏光光束の出射方向に向けて反射する反射面とを備えた偏光分離素子と、
前記偏光分離素子の光出射面側に配置され、前記偏光分離素子により分離されたS偏光光束またはP偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束の偏光方向と他方の偏光光束の偏光方向とを揃える選択位相差板と、
を有する偏光変換装置において、
前記偏光分離素子の光入射面側には、前記反射面に光が直接入射するのを防ぐ遮光手段または光減衰手段が設けられてなることを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項1において、前記遮光手段または前記光減衰手段と前記偏光分離素子とは一体化されてなることを特徴とする偏光変換素子。
- 請求項1または2において、前記遮光手段は反射板であることを特徴とする偏光変換素子。
- 請求項2において、前記遮光手段は反射膜であり、前記反射膜は前記偏光分離素子の光入射面上に形成されていることを特徴とする偏光変換素子。
- 請求項1または2において、前記光減衰手段は光拡散板であることを特徴とする偏光変換素子。
- 請求項2において、前記光減衰手段は前記偏光分離素子の光入射面上に形成された光散乱面であることを特徴とする偏光変換素子。
- 光源と、
からなり、前記光源から出射された光束を複数の中間光束に分離する第1の光学要素と、
前記中間光束が収束する位置付近に配置された第2の光学要素とを備え、
前記第2の光学要素は、
前記中間光束をそれぞれ集光する複数の集光レンズからなる集光レンズアレイと、
前記中間光束のそれぞれをS偏光光束とP偏光光束とに空間的に分離する偏光分離素子と、
前記偏光分離素子により分離されたS偏光光束またはP偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束の偏光方向と他方の偏光光束の偏光方向とを揃える選択位相差板と、
それらの偏光光束を重畳結合させる結合レンズとを有し、
前記偏光分離素子は、
前記P偏光光束またはS偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束を透過させ他方の偏光光束を反射させて偏光光束を分離する偏光分離面と、前記偏光分離面とほぼ平行に配置され、前記偏光分離面で反射された偏光光束を前記偏光分離面を透過した偏光光束の出射方向に向けて反射する反射面とを有し、
前記第1の光学要素と前記偏光分離素子との間には、それぞれの前記中間光束が前記反射面に直接入射するのを防ぐ遮光手段または光減衰手段が設けられてなることを特徴とする偏光照明装置。 - 請求項7において、前記遮光手段または光減衰手段は前記偏光分離素子と一体化されてなることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項7において、前記遮光手段または光減衰手段は前記集光レンズアレイと一体化されてなることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項7〜9のいずれかにおいて、前記遮光手段は反射板であることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項8において、前記遮光手段は反射膜であり、前記反射膜は前記偏光分離素子の光入射面上に形成されていることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項9において、前記遮光手段は反射膜であり、前記反射膜は前記集光レンズアレイの光出射面上に形成されていることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項7〜9のいずれかにおいて、前記光減衰手段は光拡散板であることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項8において、前記光減衰手段は前記偏光分離素子の光入射面上に形成された光散乱面であることを特徴とする偏光発生装置。
- 請求項9において、前記光減衰手段は前記集光レンズアレイの光出射面上に形成された光散乱面であることを特徴とする偏光発生装置。
- 光源と、
前記光源から出射された光束を複数の中間光束に分離する第1の光学要素と、
前記中間光束が収束する位置付近に配置された第2の光学要素と、
前記第2の光学要素から出射された光束を表示情報に基づいて変調する変調素子とを備え、
前記第2の光学要素は、
前記中間光束をそれぞれ集光する複数の集光レンズからなる集光レンズアレイと、
前記中間光束のそれぞれをS偏光光束とP偏光光束とに空間的に分離する偏光分離素子と、
前記偏光分離素子により分離されたS偏光光束またはP偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束の偏光方向と他方の偏光光束の偏光方向とを揃える選択位相差板と、
それらの偏光光束を重畳結合させる結合レンズとを有し、
前記偏光分離素子は、
前記P偏光光束またはS偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束を透過させ他方の偏光光束を反射させて偏光光束を分離する偏光分離面と、前記偏光分離面とほぼ平行に配置され、前記偏光分離面で反射された偏光光束を前記偏光分離面を透過した偏光光束の出射方向に向けて反射する反射面とを有し、
前記第1の光学要素と前記偏光分離素子との間には、それぞれの前記中間光束が前記反射面に直接入射するのを防ぐ遮光手段または光減衰手段が設けられてなることを特徴とする表示装置。 - 光源と、
前記光源から出射された光束を複数の中間光束に分離する第1の光学要素と、
前記中間光束が収束する位置付近に配置された第2の光学要素と、
前記第2の光学要素から出射された光束を表示情報に基づいて変調する変調素子と、
前記変調素子により変調された光束を投写面上に投写する投写光学系とを備え、
前記第2の光学要素は、
前記中間光束をそれぞれ集光する複数の集光レンズからなる集光レンズアレイと、
前記中間光束のそれぞれをS偏光光束とP偏光光束とに空間的に分離する偏光分離素子と、
前記偏光分離素子により分離されたS偏光光束またはP偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束の偏光方向と他方の偏光光束の偏光方向とを揃える選択位相差板と、
それらの偏光光束を重畳結合させる結合レンズとを有し、
前記偏光分離素子は、
前記P偏光光束またはS偏光光束のうちいずれか一方の偏光光束を透過させ他方の偏光光束を反射させて偏光光束を分離する偏光分離面と、前記偏光分離面とほぼ平行に配置され、前記偏光分離面で反射された偏光光束を前記偏光分離面を透過した偏光光束の出射方向に向けて反射する反射面とを有し、
前記第1の光学要素と前記偏光分離素子との間には、それぞれの前記中間光束が前記反射面に直接入射するのを防ぐ遮光手段または光減衰手段が設けられてなることを特徴とする投写型表示装置。 - 請求項17において、さらに、前記第2の光学要素から出射された光束を複数の色光に分離する色光分離手段と、前記それぞれの色光を変調する複数の前記変調素子と、それぞれの前記変調素子によって変調された色光を合成する色光合成手段とを有し、前記色光合成手段により合成された光束が前記投写光学系を介して投写面上に投写されてなることを特徴とする投写型表示装置。
- 請求項17または18において、前記変調素子は反射型の液晶装置であることを特徴とする投写型表示装置。
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