JP2004183512A - High expansion ratio cycle engine - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮比に対して膨張比を大きく設定した高膨張比サイクルエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等の車両の駆動源として、吸気・圧縮・膨張・排気の4行程(ストローク)からなるオットーサイクルのガソリンエンジンが広く普及している。このようなガソリンエンジンでは種々の改善や工夫により熱効率の向上が図られているが、より一層の熱効率の向上を図りたいという要望がある。
【0003】
熱効率の向上を図るには、エンジンの膨張時のストロークを長くして膨張比を高めればよいことが知られているが、オットーサイクルの場合、各行程におけるピストンストロークは同一であり膨張比と圧縮比とは等しい。このため、膨張比を高めると圧縮比も高くなってしまい、圧縮による発熱により燃焼室内で混合気が早期着火してノッキングが生じやすくなる。したがって、熱効率の向上を図るべく大幅に膨張比(=圧縮比)を高めようとしても限界が低く実質的に膨張比を高めるのは困難である。
【0004】
そこで、従来より、吸気弁の閉弁時期を大幅に進角したり、或いは吸気弁の閉弁時期を大幅に遅角したりすることで吸気量を制限し、実質的に膨張比を圧縮比よりも大きく設定するようにした、高膨張比サイクル(以下、ミラーサイクル又はアトキンソンサイクルともいう)のエンジンが実用化されている。また、このようなミラーサイクルエンジンに関する技術としては、例えば特許文献1及び特許文献2にも開示されている。
以下、このようなミラーサイクルを適用したエンジンについて図6及び図7の指圧線図を用いて簡単に説明する。このうち、図6はピストンが下死点に到達するよりも早いタイミングで吸気弁を閉じる、いわゆる吸気弁早閉じタイプのミラーサイクルエンジンの指圧線図、図7はピストンが下死点に到達した後のタイミングで吸気弁を閉じる、いわゆる吸気弁遅閉じタイプのミラーサイクルエンジンの指圧線図である。
【0005】
まず、図6を用いて吸気弁早閉じタイプのミラーサイクルエンジンの作動について説明すると、ピストンが上死点(TDC:図中a点)から下降して吸気行程が開始されると、筒内圧は略大気圧を保持したまま吸気弁から吸気(又は混合気)が取り込まれる。そして、下死点(BDC)手前の所定のタイミング(図中b点)において吸気弁が閉じられ、これにより実質的な吸気行程が終了する。
【0006】
その後、ピストンの下降に伴い筒内圧が低下し、ピストンが下死点(図中c点)に達すると吸気行程が終了する。そして、ピストンが上昇に反転すると吸気行程から圧縮行程に移行し、ピストンの上昇に伴い筒内圧が徐々に上昇する。さらにピストンが上昇して筒内圧がb点における圧力よりも高くなる(図中d点)と、このときのピストンのストローク位置から上死点(図中e点)までの間が実質的な圧縮行程となって吸気の圧縮が行なわれる。
【0007】
また、ピストンが上死点まで達すると圧縮行程が終了するとともに膨張行程が開始される。すなわち、ピストンの上死点近傍において混合気が着火,燃焼し、燃焼圧力により急激に筒内圧が上昇するとともにピストンが下降に転じる(図中f点)。そして、ピストンが下死点(図中g点)まで達すると膨張行程から排気行程に移行し、略大気圧の状態で燃焼ガスが排出される。さらに、ピストンが上死点(図中a点)に達すると一連のミラーサイクルが終了し、再び吸気行程が開始される。
【0008】
そして、このような吸気弁早閉じタイプのミラーサイクルでは、吸気弁をピストンが下死点に達するよりも大幅に早いタイミング(図中b点)で閉じることにより吸気量が低減され、これにより実際の圧縮比が大幅に低下する。
また、膨張行程は従来通りピストンの上死点から下死点までであるので、相対的に膨張行程が実質的な圧縮行程よりも大きくなり、これにより膨張比ε>実際の圧縮比ρとすることができる。なお、以下では実際の圧縮比を幾何学的圧縮比ともいう。
【0009】
このように膨張比εを幾何学的圧縮比ρよりも大きくすることで、ポンプ損失(ポンピングロス)を低減して熱効率の向上が図られる。また、低圧縮比化(例えば圧縮比ρ=9,ε=14)によりノッキング(ノック)を回避することができる。ただし、このようなミラーサイクルでは排気量に対して吸気量が低下するため、相対的に出力が低くなる。そこで、従来は過給機により吸気を過給して出力を確保している。
【0010】
なお、このようなミラーサイクルエンジンは、一般的なオットーサイクルのエンジンに対して、吸気カムの形状を変更するのみで実現可能である。
また、図7に示す吸気弁遅閉じタイプのミラーサイクルについても、吸気弁の閉じるタイミングが異なる以外は、上述した吸気弁早閉じタイプと同様に作用する。つまり、ピストンが上死点(図中a点)から下降して吸気行程が開始されると、筒内圧は略大気圧を保持したまま吸気弁から吸気(又は混合気)が取り込まれる。
【0011】
そして、ピストンが下死点(図中c点)に達した後も、吸気弁を開いた状態を保持して、これにより、筒内圧が大気圧のまま圧縮行程が開始される。そして、下死点後の所定のタイミング(図中b′点)において吸気弁が閉じられて、この時点から実質的な圧縮行程が開始される。なお、これ以降は、吸気弁早閉じタイプと同様である。
【0012】
したがって、このような吸気弁遅閉じタイプのミラーサイクルエンジンも、上述した吸気弁早閉じタイプのミラーサイクルエンジンと同様に、相対的に膨張行程が実質的な圧縮行程よりも大きくなり、これにより膨張比ε>幾何学的圧縮比ρとすることができる。
【0013】
【特許文献1】
特公平7−91984号公報
【特許文献2】
特許第3236654号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したように、ミラーサイクルエンジンでは排気量に対して吸気量が低下するため過給機により吸気を過給しているが、このような従来の技術では、以下のような課題があった。
すなわち、過給機には、一般にアクセルを踏み込んでから過給が行なわれるまでの間にタイムラグがある。このため加速過渡時においては過給圧が立ち上がるまでの間は吸気量が低下しており、この結果トルクが不足して加速不良が生じることとなる。また、ミラーサイクルにおいては圧縮比が小さいほど、また膨張比が大きいほど熱効率が高くなるが、圧縮比を小さくしすぎると、低中速域の過給圧が低い運転状態では吸気量が少なく出力低下を招くおそれがある。
【0015】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、加速過渡時や低中速域の過給圧低下時における吸気量を増大させて出力の低下を防止するようにした、高膨張比サイクルエンジンを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の高膨張比サイクルエンジンは、膨張比を圧縮比よりも大きく設定するとともに過給機を備えた高膨張比サイクルエンジンにおいて、加速過渡時判定手段によりエンジン運転状態が加速過渡時であると判定されると、制御手段により吸気量が増大するように可変バルブタイミング機構の作動が制御される。
【0017】
また、請求項2記載の本発明の高膨張比サイクルエンジンは、膨張比を圧縮比よりも大きく設定するとともに過給機を備えた高膨張比サイクルエンジンにおいて、運転速度領域判定手段によりエンジンの運転速度領域が低中速域であると判定されると、制御手段により吸気量が増大するように該可変バルブタイミング機構の作動が制御される。
【0018】
この場合、吸気弁を吸気行程の途中で閉弁することにより膨張比を圧縮比よりも大きくするように構成された吸気弁早閉じタイプの高膨張比サイクルエンジンであれば、吸気弁の閉弁時期を遅角させることにより吸気量を増大させる。また、吸気弁を圧縮行程の途中で閉弁することにより圧縮比よりも膨張比を大きくするように構成された吸気弁遅閉じタイプの高膨張比サイクルエンジンであれば、吸気弁の閉弁時期を進角させることにより吸気量を増大させる。
【0019】
さらには、低中負荷域での運転時には、吸気量の減少を補うべくスロットル弁の開度がアクセルペダル踏み込み量に基づくドライバの要求開度よりも大きく設定され、吸気のポンプ損失がさらに低減される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の第1実施形態にかかる高膨張比サイクルエンジンについて説明すると、図1に示すエンジン1は、膨張比を圧縮比よりも大きく設定した高膨張比サイクル(ミラーサイクル又はアトキンソンサイクル)を適用したエンジンであって、本第1実施形態では、従来技術の欄で説明した吸気弁早閉じタイプのミラーサイクルが適用されている。
【0021】
また、このエンジン1は、シリンダ内に直接燃料を供給する、いわゆる筒内噴射型火花点火式エンジンであって、吸気行程での燃料噴射(吸気行程噴射)及び圧縮行程での燃料噴射(圧縮行程噴射)を切り換え可能に構成されている。
この筒内噴射型エンジン1は、理論空燃比(ストイキオ)での運転や過濃空燃比(リッチA/F)での運転(リッチ空燃比運転)や希薄空燃比(リーンA/F)での運転(リーン空燃比運転)が可能であり、種々のパラメータから得れる条件に応じて上述の複数の運転モードが切り換えられるようになっている。
【0022】
また、エンジン1のシリンダヘッド2には、各気筒毎に点火プラグ(図示省略)及び燃料噴射弁6がそれぞれ配設され、また、各燃料噴射弁6には、図示しない燃料供給装置が接続されている。この燃料供給装置は、低圧燃料ポンプと高圧燃料ポンプとを有しており、燃料タンク内の燃料を低圧或いは高圧に加圧した後、燃料を燃料噴射弁6に供給するようになっている。
【0023】
シリンダヘッド2には、各気筒毎に略直立方向に吸気ポート9が形成されており、各吸気ポート9の上端には吸気マニホールド10の一端がそれぞれ接続されている。また、図示するように、吸気マニホールド10には、吸入空気量を調節するドライブバイワイヤ式のスロットル弁(ETV)14、上記スロットル弁14の開度を検出するスロットルポジションセンサ(TPS)16及び吸入空気量を計測する吸気量センサ(エアフローセンサ又はAFS)18が設けられている。
【0024】
ここで、ETV14はスロットルアクチュエータ14aをそなえており、このスロットルアクチュエータ14aによりスロットル開度が変更されるようになっている。また、スロットルアクチュエータ14aは、後述するECU(制御手段)40からの制御信号に基づきその作動が制御されるようになっており、通常はドライバのアクセルペダルの踏み込み量に応じたスロットル開度となるようにスロットルアクチュエータ14aの作動が制御されるようになっている。
【0025】
また、シリンダヘッド2には、各気筒毎に排気ポート11が形成され、この各排気ポート11に排気マニホールド12がそれぞれ接続されている。また、排気マニホールド12には排気エネルギにより吸気を加圧するターボチャージャ(過給機)13が設けられている。これは、従来技術の欄でも説明したように、ミラーサイクルエンジンでは排気量に対して吸気量が低下するためであり、ターボチャージャ13により吸気量の確保、即ち出力の確保を図っている。なお、図1では省略されているが吸気通路10上にはターボチャージャ13のコンプレッサが介装されている。
【0026】
一方、ECU40は、入出力装置,記憶装置(ROM,RAM,不揮発性RAM等),演算装置(CPU),タイマカウンタ等を備えて構成されており、このECU40により、エンジン1の総合的な制御が実行されるようになっている。ECU40の入力側には、上述したTPS16及び吸気量センサ18が接続されるとともに、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ3及びドライバのアクセルペダル踏み込み量Accを検出するアクセルポジションセンサ4も接続されている。さらには、図示しないO2 センサや吸気通路10内の圧力を検出する圧力センサ等も接続されている。
【0027】
一方、ECU40の出力側には、上述の燃料噴射弁6及びETV(スロットル弁)14のアクチュエータ14a等の各種の出力デバイスが接統されており、これら出力デバイスには、ECU40からの制御信号が入力されるようになっている。具体的には、ECU40では、各種センサ類からの情報に基づいて目標空燃比(A/F)や目標点火時期等が設定され、この目標空燃比や目標点火時期となるように燃料噴射弁6の駆動パルス幅やスロットルアクチュエータ14aの駆動量が設定されるようになっている。
【0028】
そして、これにより燃料噴射弁6から適正なタイミングで適正量の燃料が噴射され、点火プラグにより適正なタイミングで火花点火が実施され、適正なタイミングで適正な開度となるようETV14が開閉駆動されるようになっている。
次に、本発明の要部について説明すると、このエンジン1の吸気弁側の動弁機構には、吸気弁5の作動タイミングを変更可能な可変バルブタイミング機構可変(VVT)30が設けられている。このVVT30は、少なくとも吸気弁5の閉弁時期を変更可能に構成されたものであり、詳しくは後述するが、例えば図2(a),(b)に示すような公知のVVT30が適用されている。
【0029】
また、ECU40の内部には、エンジン1の運転状態に基づきエンジン1が加速過渡時であるか否かを判定する加速過渡時判定手段41,エンジン1の運転速度領域を判定する運転速度領域判定手段42及び吸入空気量の目標値を設定する目標吸入空気量設定手段43が設けられている。
ここで、加速過渡時判定手段41は、アクセルポジションセンサ4で検出されたアクセルペダル踏み込み量Acc及びその変化量ΔAccに基づき加速過渡時か否かを判定するようになっており、例えばアクセルペダル踏み込み量Accが所定値a以上で、且つアクセルペダル踏み込み変化量ΔAccが所定値b(≧0)以上であると、加速過渡時判定手段41では加速過渡時であると判定するようになっている。なお、加速過渡時か否かを判定する手法は上述のものに限定されず、例えばAFS18からの検出情報に基づくエンジン1の吸入空気量A/Nや吸気通路10内の圧力等のエンジン負荷に基づき判定するようにしてもよい。
【0030】
また、運転速度領域判定手段42は、エンジン回転数センサから3で検出されたエンジン回転数Neに基づき、エンジン1の運転速度領域を判定するようになっており、エンジン回転数が所定回転数Ne1未満であれば低中速域であると判定するとともに、上記所定回転数Ne1以上であれば高速域であると判定するようになっている。
【0031】
また、目標吸入空気量設定手段43は、エンジン回転数Ne及びアクセルペダル踏み込み量(負荷)Acc等に基づいて、エンジン1の吸入空気量(以下、単に吸気量という)の目標値Vtを設定するものであって、例えば図示しないマップから目標値Vtが読み出されるようになっている。
そして、加速過渡時判定手段41によりエンジン1の運転状態が加速過渡時であると判定されるか、又は運転速度領域判定手段42によりエンジンが低中速域で運転されていると判定され、且つ目標吸入空気量設定手段43で設定された吸気量VtとAFS18で検出された実際の吸気量Vrとを比較して、実吸気量Vrが目標吸気量Vt以下であると判定されると、吸入空気量が不足していると判定して、エンジン1で不足する吸気量を補うべくECU40ではVVT30に対して吸気弁5の閉弁時期を遅角させるように制御信号を出力するようになっている。
【0032】
つまり、上述したように、本実施形態における吸気弁早閉じタイプのミラーサイクルエンジンでは、吸気行程時にピストンが下死点に達するよりも大幅に早いタイミングで吸気弁5を閉じることにより吸気量を低減し、これにより膨張比ε>実際の圧縮比(幾何学的圧縮比)ρとしてミラーサイクルを実現している。
そして、このように膨張比εを幾何学的圧縮比ρよりも大きくすることで、ポンプ損失を低減して熱効率の向上を図るとともに、低圧縮比化(例えば圧縮比ρ=9)によりノッキング(ノック)を回避している。ただし、このようなミラーサイクルでは、排気量に対して吸気量が低下するため、相対的に出力が低くなるため、上述のようにターボチャージャ13により吸気を過給して出力を確保している。
【0033】
しかし、ターボチャージャ13は、一般にアクセルを踏み込んでから過給が行なわれるまでの間にタイムラグが存在する。これは、クランク軸から駆動力を取り出して吸気を圧縮するいわゆるスーパチャージャでも同様である。このため、加速過渡時においては過給圧が立ち上がるまでの間は吸気量が不足し、加速不良が生じる。また、ミラーサイクルにおいては圧縮比が小さいほど、また膨張比が大きいほど熱効率が高くなるが、圧縮比を小さくしすぎると、低中速域の過給圧が低い運転状態では吸気量が少なく出力低下を招くおそれがある。
【0034】
そこで、上述したように、エンジン1の運転状態が加速過渡時である、又はエンジン1が低中速域で運転されていると判定され、且つ実吸気量が目標吸気量以下であると判定されると、VVT30を作動させて吸気弁5の閉弁時期を遅角させることにより、実質的に吸気行程を増大させて、不足する吸気量を補うようになっているのである。なお、吸気弁5の閉弁時期を遅角させる場合、閉弁時期は最大でも下死点近傍である。
【0035】
次に、VVT30の構成の一例について図2(a),(b)を用いて簡単に説明すると、VVT30は、カムシャフト31上に形成されてクランクシャフトの回転に対応して回動するカム32a,32bと、これらのカム32a,32bによって駆動されるロッカアーム33a,33bとをそなえている。これらのロッカアーム33a,33bはともに吸気弁5,5には当接せず、吸気弁5,5の開閉駆動に間接的に係わるサブロッカアームとして構成されている。また、これらのサブロッカアーム33a,33bの間には、吸気弁5,5のステム端部に当接し吸気弁5,5の開閉駆動に直接係わるメインロッカアーム33cが設けられている。
【0036】
また、一方のカム32aは、吸気早閉じのミラーサイクルに適したカムプロフィルをそなえており、他方のカム32bは、上記一方のカム32aよりも閉弁時期を遅角させるようなカムプロファイルをそなえている。
ここで、メインロッカアーム33cはロッカシャフト34と一体に形成され、ロッカシャフト34とともに揺動可能に構成されている。そして、このメインロッカアーム33cの先端部が吸気弁5,5のステム上端部に当接している。
【0037】
また、2つのサブロッカアーム33a,33bは、いずれもロッカシャフト34(つまり、メインロッカアーム33c)に対して相対回転可能に軸支されている。
また、図2(b)に示すように、これらのサブロッカアーム33a,33bとロッカシャフト34との間には、サブロッカアーム33a,33bがロッカシャフト34に対して回転自在であってメインロッカアーム33cと連係動作しないモード(非連係モード)と、サブロッカアーム33a,33bがロッカシャフト34と一体回転してメインロッカアーム33cと連係動作するモード(連係モード)とを切り換えうる油圧ピストン機構36a,36bが設けられている。
【0038】
また、ロッカシャフト34の内部には油路34a,34bが形成されており、この油路34a,34bから供給,排出される作動油により、油圧ピストン機構36a,36bの作動が切り換えられるようになっている。例えば、油路34a,34bから各ピストン機構36a,36bへ作動油が供給されると、ピストン機構36aではピストン37aが基端側へ駆動され、ピストン37aの先端部が穴38aから離脱するようになっており、一方、ピストン機構36bではピストン37bが先端部側へ駆動され、ピストン37bの先端部が穴38bに嵌入するようになっている。
【0039】
そして、ピストン37bの穴38bへの嵌入により、サブロッカアーム33bがロッカシャフト34と一体回転してメインロッカアーム33cと連係動作するモード(連係モード)となり、ピストン37aが穴38aから離脱することにより、サブロッカアーム33aがロッカシャフト34に対して回転自在であってメインロッカアーム33cと連係動作しないモード(非連係モード)となるようになっている。
【0040】
また、上述の作動油の供給状態は、ECU40により制御されるようになっており、これによりサブロッカアーム33b,33aの連係モードと非連係モードとを適宜切り換えて、吸気弁5の閉弁時期を変更することができる。
本発明の第1実施形態に係る高膨張比サイクルエンジンは上述のように構成されているので、エンジン回転数センサ3やアクセルポジションセンサ4からの情報に基づいて、ECU40によりエンジン1が加速過渡時ではなく且つ高速域で運転されている状態においては、サブロッカアーム33aがメインロッカアーム33cと連係動作するモードに切り換えられる。
【0041】
したがって、この場合には、吸気弁5は、吸気早閉じのミラーサイクルに適したカムプロフィルをそなえたカム32aにより開閉駆動されることになる。具体的には、ピストンが上死点から下降して吸気行程が開始されると、吸気弁が開いて吸気弁から吸気が取り込まれる。そして、下死点(BDC)手前の所定のタイミング(図6のb点参照)において吸気弁5が閉じられ、これにより実質的な吸気行程が終了する。
【0042】
そして、このように吸気弁5をピストンが下死点に達するよりも大幅に早いタイミングで閉じることにより吸気量が低減され、これにより圧縮比の低下が図られる。また、膨張行程は従来通りピストンの上死点から下死点までであるので、相対的に膨張行程が実質的な圧縮行程よりも大きくなり、これにより膨張比ε>幾何学的圧縮比ρとなり、ポンプ損失を低減して熱効率の向上が図られる。また、低圧縮比化(例えば圧縮比ρ=9)によりノッキング(ノック)を回避することができる。
【0043】
一方、エンジン回転数センサ3やアクセルポジションセンサ4からの情報に基づいてエンジン1が加速過渡時である、又は低中速域で運転されているとECU40で判定され、且つ実吸気量が目標吸気量以下であると判定されると、上記のサブロッカアーム33aとメインロッカアーム33cとの連係動作が解除されるとともに、もう一方のサブロッカアーム33bがメインロッカアーム33cと連係動作するモードに切り換えられる。
【0044】
したがって、この場合には、吸気弁5は、吸気早閉じのミラーサイクルよりも閉弁時期が遅角側に設定されたカム32bにより開閉駆動される。つまり、この場合には、ピストンが上死点から下降して吸気行程が開始されると、吸気弁が開き、下死点(BDC)手前の所定のタイミング(図6のb点参照)を過ぎても吸気弁5は開弁状態に保持される。そして、下死点近傍において吸気弁5が閉じられ、閉弁時期が遅角された分だけシリンダ内に多くの吸気が流入する。
【0045】
これにより、低中速時や加速過渡時において不足する吸気を確保でき出力トルクの低下を防止することができる。
以下、図3のフローチャートに基づいて本発明の作用について説明すると、まず、ステップS1において、各センサからの情報が取り込まれる。具体的にはエンジン回転数センサ3から得られるエンジン回転数Neやアクセルポジションセンサ4から得られるアクセル開度Accが取り込まれる。次に、ステップS2おいて、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Accに基づき、エンジン1が低中速域で運転されているか、又は加速過渡時であるかが判定される。なお、加速過渡時か否かについては、エンジン負荷としてのA/Nや吸気圧に基づいて判定してもよい。
【0046】
そして、ステップS2において、エンジン1が低中速域で運転されている、又は加速過渡時であると判定されると、ステップS3に進み、実吸気量と目標吸気量とが比較され、実吸気量が目標吸気量以下であると、次にステップS4に進んで、吸気弁5の閉弁時期が遅角側に制御される。
したがって、本発明の第1実施形態に係る高膨張比サイクルエンジンによれば、加速過渡時における過給圧が立ち上がるまでの間の吸気量が少ない場合には、吸気量が増大するように吸気弁5の閉弁時期を遅角(高圧縮比化)させるので、燃焼量の低下による出力トルク不足が解消されて、十分な加速を得られる。また、低中速域では過給圧が低くやはり吸気量が不足気味となるが、上述と同様に吸気量が増大するように吸気弁5の閉弁時期を遅角(高圧縮比化)させることで、燃焼量の低下による出力トルク不足を解消でき、ドライバビリティが向上するという利点がある。また、既に実用化されている可変バルブタイミング機構の技術を適用することができるので、機械的な信頼度も高いという利点がある。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、基本的な構成は上述した第1実施形態と同様であるので、本第2実施形態でも図1を流用して説明する。
さて、この第2実施形態では、第1実施形態の構成に加えて、エンジン1の低中負荷域での運転時には、ECU40により、ETV14の開度がアクセルペダル踏み込み量に基づく本来のドライバの要求開度よりも大きく設定されるようになっており、この点のみ第1実施形態と異なっている。
【0048】
つまり、既に説明したように、ミラーサイクルを適用したエンジンでは不足す吸気をターボチャージャ13等の過給機により補っているが、エンジン1の低中負荷域ではポンプ損失が比較的大きくエンジンの運転効率が低い。
そこで、本第2実施形態では、上述した第1実施形態における吸気弁5の閉弁時期の制御に加えて、アクセルポジションセンサ4からの情報に基づいて、エンジン1が低中負荷域で運転されていると判定されると、ECU40ではETV14の開度を増大させて吸気量の減少分を補うようになっている。そして、このようにETV14の開度を増大させることにより、吸気抵抗を低減して吸気流量の増大を図ることができるとともに、ポンプ損失を低減することができる。
【0049】
これにより、上述の第1実施形態における効果に加えて、ドライバビリティがさらに向上するとともに、ポンプ損失を低減することで燃費が向上する。なお、このようなETV14の開度制御は、スロットルアクチュエータ14aの作動を制御することにより実行されるようになっている。
本発明の第2実施形態に係る高膨張比サイクルエンジンは上述のように構成されているので、エンジン1が加速過渡時である、又は低中速域で運転されていると判定されると、ECU40によりVVT30が制御される。つまり、吸気早閉じのミラーサイクルの場合には、吸入空気量が増大するように吸気弁5の閉弁時期が遅角側に変更される。さらに、低中負荷域で運転されている場合には、ETV14の開度がアクセルペダル踏み込み量に応じた本来のETV開度よりも大きくなるように、ECU40によりアクチュエータ14aの作動が制御される。
【0050】
以下、本発明の第2実施形態に係る高膨張比サイクルエンジンの作用について簡単に説明すると、第1実施形態で説明したフローチャート(図3参照)に加えて、図4に示すフローチャートにしたがってその作動が制御される。すなわち、ステップS11において、エンジン回転数センサ3やアクセルポジションセンサ4等からの情報が取り込まれ、次に、ステップS12おいて、エンジン1が低中負荷域で運転されているか否かが判定される。そして、エンジン1が低中負荷域で運転されていると判定されると、Yesのルートを通ってステップS13に進み、VVT30の作動が制御されて吸気弁5の閉弁時期が遅角側に制御される。
【0051】
その後、ステップS14に進み、ETV14の開度が増大側に制御されてリターンする。なお、この場合、ETV14の開度は、例えばアクセルペダル踏み込み量に基づく本来のドライバの要求開度量θに所定係数k(k>1)を乗じることにより設定してもよいし、所定開度Δθ(Δθ>0)を加算することにより設定してもよい。
【0052】
したがって、本発明の第2実施形態に係る高膨張比サイクルエンジンによれば、上述の第1実施形態における利点に加えて、低中負荷域において、吸気流量をさらに増大させるとともにポンプ損失を低減することができ、この結果燃費が向上するほか、ドライバビリティがさらに向上するという利点がある。また、VVT30が何らかの理由により作動しない場合であっても、ETV14の開度量をさらに増大させることにより、VVT30の不具合に起因するドライバビリティの低下を回避できる。
【0053】
なお、本発明は上述の各実施形態のものに限定されるものではない。例えば上述の各実施形態では、吸気早閉じタイプのミラーサイクルを適用した場合について説明したが、吸気遅閉じタイプのミラーサイクル(図7の指圧線図参照)に本発明を適用してもよい。この場合には、エンジンの加速過渡時又は低中速域での運転が判定されると、吸気量が増大するように吸気弁5の閉弁時期を進角するように制御すればよい。
【0054】
また、VVT(可変バルブタイミング機構)についても上述のようなロッカアーム切り換え式のものに限定されるものではなく、吸気弁5の閉弁時期を変更可能であれば他の種々の機構を適用可能である。例えば可変バルブタイミング機構として、図5に示すような電磁コイル5a,5bの駆動力により開閉タイミング及びリフト量を任意に設定できるようにした電磁式吸気弁を適用しても良い。
【0055】
また、本発明が適用されるエンジンは上述のような筒内噴射型火花点火式エンジンに限定されず、ポート噴射式のエンジンにも適用可能であるのは言うまでもない。
また、上述の実施形態では、AFS(エアフローセンサ)からの情報を用いて吸入空気量が目標吸入空気量となっているか否かを判定したが、ターボチャージャの下流側に圧力センサ(ブースト圧センサ)を設け、この圧力センサで得られるブースト圧に基づいて実吸入空気圧が目標吸入空気圧より大きいか否かを判定し、これにより吸入空気量が目標値以下か否かを判定するようにしていもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の高膨張比サイクルエンジンによれば、加速過渡時における過給圧が立ち上がるまでの間の吸気量が少ない場合には、吸気量が増大するように吸気弁の閉弁時期が制御されるので、燃焼量の低下による出力トルク不足を防止できる。これにより、加速過渡時にも十分な加速を得られ、ドライバビリティが向上する。また、既に実用化されている可変バルブタイミング機構の技術を適用することができるので、機械的な信頼度も高いという利点がある(請求項1,3,4)。
また、本発明の高膨張比サイクルエンジンによれば、低中速域の過給圧が低くなる運転領域において、吸気量が増大するように吸気弁の閉弁時期が制御されるので、燃焼量の低下による出力トルク不足を解消でき、ドライバビリティが向上する。また、既に実用化されている可変バルブタイミング機構の技術を適用することができるので、機械的な信頼度も高いという利点がある(請求項2,3,4)。
また、本発明の高膨張比サイクルエンジンによれば、該エンジンの低中負荷域での運転時には、スロットル弁の開度をアクセルペダル踏み込み量に基づくドライバの要求開度よりも大きく設定することにより、吸気流量をさらに増大させるとともにポンプ損失を低減することができ、燃費が向上するとともにドライバビリティをさらに向上させることができる利点がある。また、可変バルブタイミング機構が何らかの理由により作動しない場合であっても、スロットル弁の開度量を増大させることで、可変バルブタイミング機構の不具合に起因するを極力ドライバビリティの低下を回避できるという利点がある(請求項5)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる高膨張比サイクルエンジンの全体構成を示す模式図である。
【図2】(a),(b)はともに本発明の第1実施形態にかかる高膨張比サイクルエンジンに適用される可変バルブタイミング機構の一例について説明するための模式的な断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる高膨張比サイクルエンジンの作用について説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる高膨張比サイクルエンジンの作用について説明するフローチャートである。
【図5】本発明に適用される可変バルブタイミング機構の他の例について説明するための模式図である。
【図6】従来の高膨張比サイクルエンジンの一例について説明する指圧線図である。
【図7】従来の高膨張比サイクルエンジンの他の例について説明する指圧線図である。
【符号の説明】
1 エンジン
5 吸気弁
13 ターボチャージャ(過給機)
14 ETV(ドライブバイワイヤ式スロット弁)
30 VVT(可変バルブタイミング機構)
40 ECU(制御手段)
41 加速過渡時判定手段
42 運転速度領域判定手段[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a high expansion ratio cycle engine in which an expansion ratio is set to be larger than a compression ratio.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, an Otto cycle gasoline engine having four strokes of intake, compression, expansion, and exhaust has been widely used as a drive source of a vehicle such as an automobile. In such a gasoline engine, the thermal efficiency has been improved by various improvements and ideas, but there is a demand for further improving the thermal efficiency.
[0003]
It is known that thermal efficiency can be improved by increasing the expansion stroke of the engine and increasing the expansion ratio.However, in the Otto cycle, the piston stroke in each stroke is the same, and the expansion ratio and the compression ratio are increased. Is equal to the ratio. For this reason, when the expansion ratio is increased, the compression ratio is also increased, and the air-fuel mixture is ignited early in the combustion chamber due to heat generated by the compression, and knocking easily occurs. Therefore, even if the expansion ratio (= compression ratio) is greatly increased in order to improve the thermal efficiency, it is difficult to substantially increase the expansion ratio because the limit is low.
[0004]
Therefore, conventionally, the amount of intake air is limited by greatly advancing the closing timing of the intake valve or greatly retarding the closing timing of the intake valve, thereby substantially reducing the expansion ratio and the compression ratio. An engine having a high expansion ratio cycle (hereinafter, also referred to as a Miller cycle or an Atkinson cycle), which is set to be larger than that, has been put to practical use. Further, a technique relating to such a Miller cycle engine is also disclosed in, for example,
Hereinafter, an engine to which such a Miller cycle is applied will be briefly described with reference to the acupressure diagrams of FIGS. 6 and 7. Among them, FIG. 6 is a finger pressure diagram of a so-called intake valve early-closing type Miller cycle engine in which the intake valve is closed earlier than the piston reaches the bottom dead center, and FIG. 7 is the piston reaches the bottom dead center. FIG. 7 is a diagram of acupressure of a so-called intake valve late closing type Miller cycle engine in which an intake valve is closed at a later timing.
[0005]
First, the operation of the Miller cycle engine of the intake valve early closing type will be described with reference to FIG. 6. When the piston descends from top dead center (TDC: point a in the figure) to start the intake stroke, the in-cylinder pressure becomes The intake air (or air-fuel mixture) is taken in from the intake valve while maintaining substantially the atmospheric pressure. Then, at a predetermined timing (point b in the drawing) just before the bottom dead center (BDC), the intake valve is closed, thereby ending the substantial intake stroke.
[0006]
Thereafter, the in-cylinder pressure decreases as the piston descends, and the intake stroke ends when the piston reaches bottom dead center (point c in the figure). Then, when the piston is reversed to rise, the process shifts from the intake stroke to the compression stroke, and the in-cylinder pressure gradually increases with the rise of the piston. Further, when the piston rises and the in-cylinder pressure becomes higher than the pressure at point b (point d in the figure), a substantial compression from the stroke position of the piston at this time to the top dead center (point e in the figure) is performed. In the process, intake air compression is performed.
[0007]
When the piston reaches the top dead center, the compression stroke ends and the expansion stroke starts. That is, the air-fuel mixture is ignited and burned near the top dead center of the piston, and the in-cylinder pressure is rapidly increased by the combustion pressure and the piston is turned downward (point f in the figure). When the piston reaches the bottom dead center (point g in the figure), the process shifts from the expansion stroke to the exhaust stroke, and the combustion gas is exhausted at substantially atmospheric pressure. Further, when the piston reaches the top dead center (point a in the figure), a series of Miller cycles ends, and the intake stroke is started again.
[0008]
In such a mirror cycle of the intake valve early closing type, the intake air amount is reduced by closing the intake valve at a timing (point b in the drawing) much earlier than the piston reaches the bottom dead center. Greatly decreases the compression ratio.
Further, since the expansion stroke is from the top dead center to the bottom dead center of the piston as before, the expansion stroke becomes relatively larger than the substantial compression stroke, whereby the expansion ratio ε> the actual compression ratio ρ. be able to. Hereinafter, the actual compression ratio is also referred to as a geometric compression ratio.
[0009]
By making the expansion ratio ε larger than the geometric compression ratio ρ, the pump loss (pumping loss) is reduced and the thermal efficiency is improved. Further, knocking (knock) can be avoided by reducing the compression ratio (for example, compression ratio ρ = 9, ε = 14). However, in such a mirror cycle, the output is relatively low because the intake amount is reduced with respect to the exhaust amount. Therefore, conventionally, the output is secured by supercharging the intake air with a supercharger.
[0010]
It should be noted that such a Miller cycle engine can be realized only by changing the shape of the intake cam with respect to a general Otto cycle engine.
Also, the intake valve late closing type mirror cycle shown in FIG. 7 operates similarly to the above-described intake valve early closing type except that the closing timing of the intake valve is different. That is, when the piston descends from the top dead center (point a in the figure) and the intake stroke is started, the intake air (or air-fuel mixture) is taken in from the intake valve while the in-cylinder pressure keeps substantially the atmospheric pressure.
[0011]
Then, even after the piston reaches the bottom dead center (point c in the figure), the intake valve is kept open so that the compression stroke is started with the in-cylinder pressure at atmospheric pressure. Then, at a predetermined timing after the bottom dead center (point b 'in the figure), the intake valve is closed, and a substantial compression stroke is started from this point. The subsequent steps are the same as those of the intake valve early closing type.
[0012]
Therefore, similarly to the above-described intake valve early closing type mirror cycle engine, the expansion stroke of the intake valve late closing type mirror cycle engine is relatively larger than the substantial compression stroke, thereby increasing the expansion stroke. Ratio ε> geometric compression ratio ρ.
[0013]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Publication No. 7-91984 [Patent Document 2]
Japanese Patent No. 3236654
[Problems to be solved by the invention]
By the way, as described above, in the Miller cycle engine, intake air is supercharged by a supercharger because the intake air amount is reduced with respect to the exhaust gas amount. However, such a conventional technique has the following problems. Was.
That is, the supercharger generally has a time lag between when the accelerator is depressed and when supercharging is performed. For this reason, during the transition of acceleration, the intake air amount is reduced until the boost pressure rises, and as a result, the torque becomes insufficient and acceleration failure occurs. In the Miller cycle, the thermal efficiency increases as the compression ratio and the expansion ratio increase, but if the compression ratio is too low, the intake air volume will be small in the low and medium speed range where the supercharging pressure is low. There is a risk of lowering.
[0015]
SUMMARY OF THE INVENTION The present invention has been made in view of such a problem, and has a high expansion ratio in which the intake air amount is increased at the time of transient acceleration or when the supercharging pressure is reduced in a low-to-medium-speed region to prevent a decrease in output. The purpose is to provide a cycle engine.
[0016]
[Means for Solving the Problems]
Therefore, in the high expansion ratio cycle engine according to the present invention, in the high expansion ratio cycle engine having the expansion ratio set to be larger than the compression ratio and having the supercharger, the engine operation is performed by the acceleration transient determination means. If it is determined that the state is during transient acceleration, the operation of the variable valve timing mechanism is controlled by the control means so that the intake air amount increases.
[0017]
According to a second aspect of the present invention, there is provided a high expansion ratio cycle engine according to the present invention, wherein the expansion ratio is set to be larger than the compression ratio, and the operation speed of the engine is determined by the operation speed region determining means. When it is determined that the speed region is the low-medium speed region, the operation of the variable valve timing mechanism is controlled by the control means so that the intake air amount increases.
[0018]
In this case, in the case of a high-expansion-ratio cycle engine of the early-closed-valve type in which the expansion ratio is made larger than the compression ratio by closing the intake valve during the intake stroke, the closing of the intake valve is performed. The intake air amount is increased by retarding the timing. Further, in the case of a high-expansion-ratio cycle engine of a late-closing type in which the intake valve is closed during the compression stroke so that the expansion ratio becomes larger than the compression ratio, the closing timing of the intake valve Is advanced to increase the intake air amount.
[0019]
Furthermore, during operation in a low to medium load range, the opening of the throttle valve is set to be larger than the driver's required opening based on the accelerator pedal depression amount to compensate for the decrease in intake air amount, further reducing intake pump loss. You.
[0020]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the high expansion ratio cycle engine according to the first embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings. The
[0021]
The
The in-cylinder
[0022]
Further, an ignition plug (not shown) and a fuel injection valve 6 are provided for each cylinder in the
[0023]
An intake port 9 is formed in the
[0024]
Here, the
[0025]
An
[0026]
On the other hand, the
[0027]
On the other hand, on the output side of the
[0028]
Then, an appropriate amount of fuel is injected from the fuel injection valve 6 at an appropriate timing, spark ignition is performed at an appropriate timing by a spark plug, and the
Next, the main part of the present invention will be described. The variable valve timing mechanism (VVT) 30 which can change the operation timing of the intake valve 5 is provided in the valve mechanism on the intake valve side of the
[0029]
Further, inside the
Here, the acceleration transient determination means 41 determines whether or not the vehicle is in an acceleration transition based on the accelerator pedal depression amount Acc detected by the accelerator position sensor 4 and the variation ΔAcc. When the amount Acc is equal to or greater than a predetermined value a and the accelerator pedal depression change amount ΔAcc is equal to or greater than a predetermined value b (≧ 0), the acceleration
[0030]
The operating speed
[0031]
Further, the target intake air amount setting means 43 sets a target value Vt of the intake air amount (hereinafter, simply referred to as an intake amount) of the
Then, it is determined by the transient acceleration determination means 41 that the operating state of the
[0032]
That is, as described above, in the Miller cycle engine of the intake valve early closing type in this embodiment, the intake amount is reduced by closing the intake valve 5 at a timing significantly earlier than the time when the piston reaches the bottom dead center during the intake stroke. Thus, a Miller cycle is realized with the expansion ratio ε> the actual compression ratio (geometric compression ratio) ρ.
By making the expansion ratio ε larger than the geometric compression ratio ρ, the pump loss is reduced and the thermal efficiency is improved, and knocking (for example, compression ratio ρ = 9) is achieved by lowering the compression ratio (for example, compression ratio ρ = 9). Knocks) have been avoided. However, in such a Miller cycle, since the intake amount is reduced with respect to the exhaust amount, the output is relatively low. Therefore, as described above, the intake is supercharged by the
[0033]
However, the
[0034]
Therefore, as described above, it is determined that the operation state of the
[0035]
Next, an example of the configuration of the
[0036]
Further, one
Here, the
[0037]
Each of the two
As shown in FIG. 2B, between the
[0038]
Further,
[0039]
When the
[0040]
Further, the supply state of the above-mentioned hydraulic oil is controlled by the
Since the high expansion ratio cycle engine according to the first embodiment of the present invention is configured as described above, the
[0041]
Therefore, in this case, the intake valve 5 is driven to be opened and closed by the
[0042]
By closing the intake valve 5 at a timing substantially earlier than the time when the piston reaches the bottom dead center, the amount of intake air is reduced, whereby the compression ratio is reduced. In addition, since the expansion stroke is from the top dead center to the bottom dead center of the piston as before, the expansion stroke is relatively larger than the substantial compression stroke, whereby the expansion ratio ε> the geometric compression ratio ρ. In addition, the pump efficiency is reduced and the thermal efficiency is improved. In addition, knocking (knock) can be avoided by lowering the compression ratio (for example, compression ratio ρ = 9).
[0043]
On the other hand, based on information from the
[0044]
Therefore, in this case, the intake valve 5 is driven to be opened and closed by the
[0045]
As a result, it is possible to secure insufficient intake air at the time of low / medium speed or transition of acceleration, and it is possible to prevent a decrease in output torque.
Hereinafter, the operation of the present invention will be described with reference to the flowchart of FIG. 3. First, in step S1, information from each sensor is taken in. Specifically, the engine speed Ne obtained from the
[0046]
If it is determined in step S2 that the
Therefore, according to the high expansion ratio cycle engine according to the first embodiment of the present invention, when the intake air amount is small until the boost pressure rises during the acceleration transition, the intake valve increases so that the intake air amount increases. Since the valve closing timing of No. 5 is retarded (higher compression ratio), the output torque shortage due to the decrease in the combustion amount is eliminated, and sufficient acceleration can be obtained. In addition, although the supercharging pressure is low and the intake air amount tends to be insufficient in the low to medium speed range, the closing timing of the intake valve 5 is retarded (to increase the compression ratio) so that the intake air amount increases as described above. Thus, there is an advantage that output torque shortage due to a decrease in the amount of combustion can be resolved and drivability is improved. In addition, since the technology of the variable valve timing mechanism that has already been put to practical use can be applied, there is an advantage that mechanical reliability is high.
[0047]
Next, a second embodiment of the present invention will be described. Since the second embodiment has the same basic configuration as the first embodiment, the second embodiment will be described with reference to FIG.
In the second embodiment, in addition to the configuration of the first embodiment, when the
[0048]
That is, as described above, although the intake air which is insufficient in the engine to which the Miller cycle is applied is supplemented by the supercharger such as the
Therefore, in the second embodiment, in addition to the control of the closing timing of the intake valve 5 in the first embodiment described above, the
[0049]
Thus, in addition to the effects of the above-described first embodiment, drivability is further improved, and fuel consumption is improved by reducing pump loss. Note that such opening control of the
Since the high expansion ratio cycle engine according to the second embodiment of the present invention is configured as described above, if it is determined that the
[0050]
Hereinafter, the operation of the high expansion ratio cycle engine according to the second embodiment of the present invention will be briefly described. In addition to the flowchart (see FIG. 3) described in the first embodiment, its operation is performed according to the flowchart shown in FIG. Is controlled. That is, in step S11, information from the
[0051]
Thereafter, the process proceeds to step S14, in which the opening of the
[0052]
Therefore, according to the high expansion ratio cycle engine according to the second embodiment of the present invention, in addition to the advantages of the above-described first embodiment, in a low to middle load region, the intake air flow rate is further increased and the pump loss is reduced. As a result, there is an advantage that fuel economy is improved and drivability is further improved. Further, even when the
[0053]
The present invention is not limited to the above embodiments. For example, in each of the above-described embodiments, the case where the early intake closing type mirror cycle is applied has been described. However, the present invention may be applied to a late intake closing type mirror cycle (see the acupressure diagram in FIG. 7). In this case, when it is determined that the engine is in the transition of acceleration or in the low-to-medium-speed region, the closing timing of the intake valve 5 may be advanced so that the intake air amount increases.
[0054]
Further, the VVT (variable valve timing mechanism) is not limited to the rocker arm switching type as described above, and various other mechanisms can be applied as long as the closing timing of the intake valve 5 can be changed. is there. For example, as the variable valve timing mechanism, an electromagnetic intake valve in which the opening / closing timing and the lift amount can be arbitrarily set by the driving force of the
[0055]
Further, the engine to which the present invention is applied is not limited to the above-described in-cylinder injection type spark ignition type engine, and it is needless to say that the present invention can be applied to a port injection type engine.
In the above-described embodiment, whether or not the intake air amount has reached the target intake air amount is determined using information from an AFS (air flow sensor). However, a pressure sensor (boost pressure sensor) ) To determine whether or not the actual intake air pressure is greater than the target intake air pressure based on the boost pressure obtained by the pressure sensor, thereby determining whether or not the intake air amount is equal to or less than the target value. Good.
[0056]
【The invention's effect】
As described in detail above, according to the high expansion ratio cycle engine of the present invention, when the intake air amount is small until the boost pressure rises during the acceleration transition, the intake valve is increased so that the intake air amount increases. Since the valve closing timing is controlled, it is possible to prevent output torque shortage due to a decrease in the amount of combustion. As a result, sufficient acceleration can be obtained even during an acceleration transition, and drivability is improved. In addition, since the technology of the variable valve timing mechanism that has already been put to practical use can be applied, there is an advantage that mechanical reliability is high (
Further, according to the high expansion ratio cycle engine of the present invention, in the operating region where the supercharging pressure in the low to middle speed range is low, the closing timing of the intake valve is controlled so as to increase the intake air amount. Insufficient output torque due to a decrease in the driving force can be eliminated, and drivability is improved. Further, since the technology of the variable valve timing mechanism that has already been put to practical use can be applied, there is an advantage that mechanical reliability is high (
According to the high expansion ratio cycle engine of the present invention, when the engine is operated in a low to medium load range, the opening of the throttle valve is set to be larger than the driver's required opening based on the accelerator pedal depression amount. Thus, there is an advantage that the intake air flow rate can be further increased and the pump loss can be reduced, so that fuel efficiency can be improved and drivability can be further improved. Further, even when the variable valve timing mechanism does not operate for some reason, by increasing the opening amount of the throttle valve, there is an advantage that drivability can be reduced as much as possible due to a malfunction of the variable valve timing mechanism. (Claim 5).
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic diagram showing an overall configuration of a high expansion ratio cycle engine according to a first embodiment of the present invention.
FIGS. 2A and 2B are schematic cross-sectional views for explaining an example of a variable valve timing mechanism applied to the high expansion ratio cycle engine according to the first embodiment of the present invention.
FIG. 3 is a flowchart illustrating an operation of the high expansion ratio cycle engine according to the first embodiment of the present invention.
FIG. 4 is a flowchart illustrating an operation of a high expansion ratio cycle engine according to a second embodiment of the present invention.
FIG. 5 is a schematic diagram for explaining another example of the variable valve timing mechanism applied to the present invention.
FIG. 6 is an acupressure diagram illustrating an example of a conventional high expansion ratio cycle engine.
FIG. 7 is an acupressure diagram illustrating another example of a conventional high expansion ratio cycle engine.
[Explanation of symbols]
1 engine 5
14 ETV (Drive-by-wire slot valve)
30 VVT (variable valve timing mechanism)
40 ECU (control means)
41 Acceleration transition judgment means 42 Operating speed area judgment means
Claims (5)
エンジンの加速過渡時を判定する加速過渡時判定手段と、
該エンジンの吸気弁の閉弁時期を変更可能な可変バルブタイミング機構と、
該可変バルブタイミング機構の作動を制御する制御手段とをそなえ、
該加速過渡時判定手段により該エンジンの加速過渡時が判定されると、該制御手段により吸気量が増大するように該可変バルブタイミング機構の作動が制御される
ことを特徴とする、高膨張比サイクルエンジン。In a high expansion ratio cycle engine equipped with a supercharger while setting the expansion ratio higher than the compression ratio,
An acceleration transient determination means for determining an engine acceleration transient;
A variable valve timing mechanism capable of changing a closing timing of an intake valve of the engine;
Control means for controlling the operation of the variable valve timing mechanism,
When the transient state of the engine is determined by the transient state determining means, the control means controls the operation of the variable valve timing mechanism so as to increase the intake air amount. Cycle engine.
エンジンの運転速度領域を判定する運転速度領域判定手段と、
該エンジンの吸気弁の閉弁時期を変更可能な可変バルブタイミング機構と、
該可変バルブタイミング機構の作動を制御する制御する制御手段とをそなえ、
該運転速度領域判定手段により該エンジンの運転速度領域が低中速域であると判定されると、該制御手段により吸気量が増大するように該可変バルブタイミング機構の作動が制御される
ことを特徴とする、高膨張比サイクルエンジン。In a high expansion ratio cycle engine equipped with a supercharger while setting the expansion ratio higher than the compression ratio,
Operating speed region determining means for determining an operating speed region of the engine;
A variable valve timing mechanism capable of changing a closing timing of an intake valve of the engine;
Control means for controlling the operation of the variable valve timing mechanism,
When the operating speed region determining means determines that the operating speed region of the engine is a low-medium speed region, the control means controls the operation of the variable valve timing mechanism so as to increase the intake air amount. Features a high expansion ratio cycle engine.
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の高膨張比サイクルエンジン。An intake valve early closing type high expansion ratio cycle engine, wherein the engine is configured to close the intake valve in the middle of an intake stroke so that an expansion ratio is larger than a compression ratio. 3. The high expansion ratio cycle engine according to claim 1, wherein the intake air amount is increased by delaying a valve closing timing of the engine.
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の高膨張比サイクルエンジン。An intake valve late closing type high expansion ratio cycle engine, wherein the engine is configured to close the intake valve in the middle of a compression stroke so that an expansion ratio becomes larger than a compression ratio. 3. The high expansion ratio cycle engine according to claim 1, wherein the intake air amount is increased by advancing the valve closing timing of the engine.
該エンジンの低中負荷域での運転時には、該スロットル弁の開度が、アクセルペダル踏み込み量に基づくドライバの要求開度よりも大きく設定される
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高膨張比サイクルエンジン。The engine includes a drive-by-wire type slot valve whose opening is controlled based on a control signal from the control means,
The engine according to any one of claims 1 to 4, wherein when the engine is operated in a low to medium load range, the opening of the throttle valve is set to be larger than a driver's required opening based on the accelerator pedal depression amount. 2. The high expansion ratio cycle engine according to claim 1.
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