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JP2004183049A - ガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法及び微細金属粉末の製造装置 - Google Patents

ガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法及び微細金属粉末の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アトマイズガスの圧力を低くして微細金属粉末を製造できる、ガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】アトマイズ容器4中に、金属溶湯2をアトマイズガス10を用いて噴射するガスアトマイズ法を用いて微細金属粉末を製造する方法であって、金属溶湯流に対して金属の融点以上に加熱したアトマイズガス13を噴射することにより、微細金属粉末を製造する。金属溶湯流速として1kg/分〜2kg/分に対して、アトマイズガス10を加熱前に圧力として3kgf/cm〜10kgf/cm以下で、かつ、流量として0.6Nm/分〜1.5Nm/分の条件で供給し、アトマイズガス10を加熱して噴射することにより、微細金属粉末16の平均粒径を30μm〜100μmとすることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法及び微細金属粉末の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属粉末は、電池用電極材料、水素吸蔵合金、導電性ペースト用金属粉、金属粉末フィラー、圧縮成形用や射出成形用金属粉などに幅広く使用されている。
近年、これらの用途に用いられる金属粉末の特性は、各種応用分野での高性能化のために、充填性、成形性、反応性の向上などが要求されている。これらの金属粉末の高性能化の要求を粉体特性的に見た場合には、粉末の微細化、あるいは球形化であり、しかも、その低コスト化が要求されている。
金属粉末の代表的な製造方法としては、極性溶媒中撹拌法,機械的粉砕法,還元法,電解法,熱分解法,気相凝縮法,アトマイズ法などが知られている。
【0003】
従来の極性溶媒中撹拌法は、極性溶媒中で低融点金属をその融点以上の条件下で撹拌することにより、InまたはIn合金を微粒化する方法である(特許文献1参照)。極性溶媒中撹拌法は、アトマイズ法に比べて単位時間当たりの生産性が低く、また、250℃以上の融点の金属には適当な極性溶媒がない。
【0004】
従来の機械的粉砕法は、金属材料のブロックを、ジョークラッシャーやブロックミルやアトライターなどの粉砕機を使用して、機械的に粉砕して粉末とする方法である。この方法では、金属粉末の粒子形状が不定形となることと、低融点金属は、粉砕工程で発生する熱で凝集するために微細金属粉末が得られない。
【0005】
これらの方法の中でアトマイズ法は、金属粉末の平均粒径が数μmから数百μmの金属粉末の製造が可能で、また製造コストにおいても、上記の従来法である極性溶媒中撹拌法、機械的粉砕法、還元法、電解法、熱分解法、気相凝縮法などの方法に比較して有利なため、工業的に広く用いられている。代表的なアトマイズ方式としては、ディスクアトマイズ法、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法などがある。
【0006】
従来のディスクアトマイズ法においては、金属溶湯を冷却した円盤、円筒、車輪などの回転体、即ち、ディスクに直接注ぎ、この注がれた金属溶湯をディスクの上で跳ね飛ばして粉末化する方法である。ディスクの回転速度は、通常400回転/分〜2万回転/分である。微細な金属粉末を得るには、ディスクの回転数として、数万回転/分を必要とするため、ディスクの回転軸の材質などの制限があり、微細な金属粉末を得ることが困難であった。
【0007】
また、従来の水アトマイズ法は、金属溶湯流に水を吹き付けて金属粉末を得る方法である(特許文献2参照)。水アトマイズ法は、金属粉末の製造に水を冷却媒体に使用するために、金属と水の反応による酸化を伴い、また、水の冷却能力が大きいために角張った不定形の形状の粉末しか得られない。また、水アトマイズ法では、金属粉末を水中で回収するために、金属粉末の表面が酸化するという点と、金属粉末の表面に付着した水の乾燥工程が必要となりコストが増大する課題もあり、ガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法には適さないものであった。
【0008】
上記の方法に対して、ガスアトマイズ法は、原料金属の溶湯流に不活性なアトマイズガスを高速で噴射して金属溶湯を噴霧し、分散させ、さらに凝固させることで、金属粉末を直接生成する方法である。ガスアトマイズ法を用いて製造した金属粉末は、その形状が球形で、かつ、その表面に金属酸化物層が少ないという優れた特徴がある。このため、ガスアトマイズ法は、上記のディスクアトマイズ法や水アトマイズ法などに比べて、品質の高い微細金属粉末が得られるので有利である。
【0009】
次に、従来のガスアトマイズ法の製造方法について説明する。
従来のガスアトマイズ法による金属粉末の製造方法の一例では、アトマイズガスとして室温のAr(アルゴン)ガスを使用して、400kgf/cm(40MPa/cm)のArガス圧力で、平均粒径が10μm程度、また、20kgf/cm〜55kgf/cmのArガス圧力で、平均粒径が44μm〜74μm程度のNi基超合金の粉末を得ている(特許文献3参照)。
【0010】
また他の例として、アトマイズガスとして室温のArガスを使用し、Arガス圧力として、15kgf/cm以上の高いArガス圧力の条件で、平均粒径が27〜185μm程度の水素吸蔵合金の粉末を得ている(特許文献4参照)。
【0011】
また他の例として、同様にアトマイズガスとして室温Arガスを使用し、20kgf/cmのArガス圧力で、平均粒が径35μm〜100μm程度の水素吸蔵合金の粉末を得ている(特許文献5参照)。
【0012】
ガスアトマイズ法で得られる金属粉末の平均粒径は、種々の経験式が報告されているが、例えばLubanskaによれば下記(1)式で表される(非特許文献1参照)。
d=K・D・[(1+Qm/Qg)・νm/(νg・We)]0.5 (1)
ここで、dは金属粉末の平均粒径,Kは定数項,Dは金属溶湯の直径,Qmは金属溶湯の質量流量,Qgはアトマイズガスの質量流量,νmは金属溶湯の動粘度係数,νgはアトマイズガスの動粘度係数である。
上式において、Weは、ウエーバー数で下記(2)式で表わされる。
We=ρm・Vg・D/γm (2)
ここで、ρmは金属溶湯の密度,Vgはアトマイズガスの線速度,γmは金属溶湯の表面張力である。
【0013】
上記(1)式と(2)式から、ガスアトマイズ法によって得られる金属粉末の平均粒径を決める主要因は、金属溶湯の流量を決める金属溶湯の直径Dとアトマイズガスの衝突エネルギーであることが分かる。金属溶湯の直径Dを細くすると微細金属粉末は得られやすいが、単位時間当たりの微細金属粉末の生産量が低下する。
従って、金属粉末の微細化は、単位時間当たりの微細金属粉末の生産量が低下しないように、ある程度金属溶湯の直径Dを大きくして金属溶湯流を確保して、さらに、アトマイズガスの衝突エネルギーを上げるために、アトマイズガスの圧力を上げることで、アトマイズガスの流速を速くすることで実施されていた。
上記の従来のガスアトマイズ法による金属粉末の製造方法においては、もっぱら、アトマイズガス圧力を高める方法が採用され、10kgf/cm〜数10kgf/cm以上の圧力が必要となっていた。
【0014】
【特許文献1】
特開平6−346118号公報(第2〜3頁)
【特許文献2】
特開平11−323411号公報(第2〜4頁、図2)
【特許文献3】
特開昭61−266506号公報(第3〜5頁、表1及び表2)
【特許文献4】
特開平6−192712号公報(第5頁)
【特許文献5】
特開平10−204507号公報(第6〜8頁、表7)
【非特許文献1】
M. Randall 著、三浦秀士、高木研一共訳、「 粉末冶金の科学」 、内田老鶴圃、1996年6月25日発行、p.108
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従来のガスアトマイズ法は、ガスアトマイズ法以外の従来の方法に比較して、微細金属粉末がより得られ易く、かつ、金属溶湯とアトマイズガスであるArとの反応性が低いので、酸化のない清浄な金属粉末表面が得られ易いという利点がある。
【0016】
しかしながら、従来のガスアトマイズ法において微細金属粉末を得るためには、アトマイズガス圧力が低いと金属溶湯に与えるせん断力が弱いので、アトマイズガス圧力を数10kgf/cm〜数百kgf/cm以上というような極端に高い圧力を加える必要があった。このために、アトマイズガス圧力を高くするための圧縮機の能力は、強力なものが必要であった。
従って、微細金属粉末を得るためのガスアトマイズ法の製造に際しては、Arガス圧力の仕様に合わせた圧縮器と配管などの設備に要するコストと、高価なArガスを大量に消費するための運転コストとが高く、製造コストが高いという課題がある。
【0017】
また、Arガス圧力により微細金属粉末の平均粒径を制御する場合には、Arガス圧力の増加に伴い、金属溶湯流とArガスの衝突時に、ガスアトマイズ装置のアトマイズガス容器内に噴霧される金属溶湯のアトマイズ容器内への広がり、即ち、分散面積が広くなってしまう。このために、金属溶湯の噴出口である注湯ノズルやアトマイズ容器内の広い面積に分散した溶融金属が、飛散し易いものであった。このために、アトマイズ容器内部への金属の固着と不定形状粒子の増大とが発生して、微細金属粉末の収率が低下するために、コストが高くなるという課題がある。
【0018】
上記のように、低コストで微細金属粉末を製造できるガスアトマイズ法の実現が望まれているが、微細金属粉末を低コストで製造することが上記技術ではできないのが実情である。
【0019】
本発明は以上の点に鑑み、アトマイズガスの圧力を低くして低コストで微細金属粉末を製造できる、ガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法と、アトマイズガスによる微細金属粉末の製造装置を提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは種々検討の結果、ガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法において、アトマイズガスを金属の融点以上に加熱することにより、アトマイズガス圧力とアトマイズガス流量を小さくして、微細な金属粉末を製造する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0021】
上記課題を解決するため、本発明のガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法は、アトマイズ容器中に金属溶湯をアトマイズガスを用いて噴射するガスアトマイズ法を用いて微細金属粉末を製造する方法であって、金属溶湯流に対して金属の融点以上に加熱したアトマイズガスを噴射することにより、微細金属粉末を製造することを特徴とする。
ここで、アトマイズ容器はその内部が冷却されていることが好ましい。
金属溶湯流速として1kg/分〜2kg/分に対して、アトマイズガスを、加熱前に圧力として3kgf/cm〜10kgf/cmで、かつ、流量として0.6Nm/分〜1.5Nm/分の条件で供給し、微細金属粉末の平均粒径を30μm〜100μmとすることができる。
また、アトマイズガスを一定圧力として、アトマイズガス流量を制御することにより、微細金属粉末の平均粒径を制御することができる。
また、金属溶湯の注湯ノズルに、金属の融点以上に加熱されたアトマイズガスを衝突角が15°以上30°以下で噴射することにより、微細金属粉末を製造することができる。
ここで、金属としては、Bi,Cd,Ga,In,Sn,Znの何れか1つ、または、これらの金属から選択された2種類以上の金属からなる合金であればよい。また、金属は、Inに、Ag,Bi,Cd,Cu,Ga,Hg,Sb,Sn,Znから選択された一つ以上の金属を添加したIn合金であってよい。
【0022】
この構成によれば、金属の融点以上の温度に加熱したアトマイズガスを金属の溶湯に噴射することにより、加熱しない場合に比べて、アトマイズガスの圧力を低くした状態でも、実質的にアトマイズガスの流速を増大させることができ、アトマイズガスの流量を少なくして、平均粒径の小さい微細金属粉末を製造することができる。
また、アトマイズ容器の内部が冷却されているので、アトマイズ容器内に噴射された熱をもった溶融金属粒子の分散、球形化、凝固、回収を効率よく行うことができ、回収容器内における微細金属粉末の凝集を防止することができる。
これにより、低アトマイズガス圧力で、分散された溶融金属粒子を、回収容器内で凝集させずに微細金属粉末として収率よく回収することができる。従って、種々の工業材料の使用目的に適した微細金属粉末を低コストで製造できる。
【0023】
さらに、本発明の微細金属粉末の製造装置の一態様によれば、金属を溶融して金属溶湯にする金属加熱手段と、アトマイズ容器と、このアトマイズ容器内に導入した金属溶湯に対してアトマイズガスを噴射するアトマイズガス噴射手段と、さらに、上記アトマイズガスを上記金属の融点以上に加熱する加熱手段とを備えていて、上記金属の融点以上に加熱したアトマイズガスを上記金属溶湯に噴射してアトマイズ容器中に噴霧し、微細粉末状にした金属を回収することを特徴としている。ここで、上記金属加熱手段は、好ましくは、誘導加熱装置と金属の加熱用コイルと加熱用コイルへ金属材料を挿入し下方へ移動させる移動装置とから構成される。
【0024】
また、本発明の微細金属粉末の製造装置の別の態様によれば、金属溶湯を収容するルツボと、このルツボに接続したアトマイズ容器と、アトマイズ容器内にルツボから金属溶湯を導入する注湯ノズルと、この注湯ノズルに隣接して設けられ金属溶湯に対してアトマイズガスを噴射するアトマイズガス噴射手段と、さらに、上記アトマイズガスを上記金属の融点以上に加熱する加熱手段と、を備え、加熱手段にて融点以上に加熱したアトマイズガスを金属溶湯に噴射してアトマイズ容器中に噴霧し、微細粉末状にした金属を回収することを特徴としている。
【0025】
本発明の微細金属粉末の製造装置において、アトマイズガスの加熱手段は、好ましくは、アトマイズガス噴射手段に設けられ、金属の融点以上に加熱されたアトマイズガスがこのアトマイズガス噴射手段から噴射される。
また、上記微細金属粉末の製造装置には、好ましくは、アトマイズ容器の内部を冷却する冷却手段が設けられる。さらに好ましくは、アトマイズ容器に、微細金属粉末を回収する回収容器が接続される。
【0026】
上記構成により、平均粒径の小さい微細金属粉末を、ガスアトマイズ法に使用する高価なアトマイズガスの圧力と流量を小さくして、収率よく製造することができる。従って、種々の工業材料の使用目的に適した微細金属粉末を低コストで製造することができ、ガスアトマイズによる微細金属粉末の優れた製造装置を提供することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態を図面により詳細に説明する。
図1は、ガスアトマイズ法を用いた微細金属粉末の製造方法に用いる微細金属粉末の製造装置の構成を示す断面図である。
図1において、微細金属粉末製造装置1は、金属溶湯2を収容するためのルツボ3と、ルツボ3の下方に設けられたアトマイズ容器4と、アトマイズ容器4の下方に設けられた回収容器5と、これらの構成物を保持する架台6と、から構成されている。
【0028】
微細金属粉末製造装置1は、ルツボ3内に収容した金属材料を金属溶湯2とするために、金属材料をその融点以上の温度まで加熱するための金属加熱手段を備えている。この金属加熱手段としては、ルツボ3の周囲を取り囲むルツボ加熱用ヒーター8から構成されている。
さらに、ルツボ3は、底面に貫通孔3aを備えており、この貫通孔3aには、注湯ノズル9が接続されている。この注湯ノズル9は、後述するアトマイズ容器4の流路部4b内(図2に示す)に隙間無く挿入されて、注湯ノズル9の先端部の金属溶湯出口9aがアトマイズ容器4の上端において、その下方に向かって開口して配設されている。
【0029】
なお、金属加熱手段として、図示を省略するが、融点の高い金属の場合には、ルツボ3とルツボ加熱用ヒーター8とを、高周波などの誘導加熱装置とその加熱用コイルと加熱用コイルへ金属材料を挿入し下方へ移動させる移動装置などによる他の加熱装置に置き換えてもよい。この場合には、加熱用コイルにより金属の下部を溶融して金属の溶湯とするので、この金属の下部がアトマイズ容器4の上端に保持されて、アトマイズ容器内部に配設されることになる。
【0030】
本発明の微細金属粉末製造装置1の第1の特徴は、アトマイズガス10を溶融する金属の融点以上に加熱する点にある。
図示するように、アトマイズガス10は、アトマイズ容器4のアトマイズガスの流路4dに接続する2本のアトマイズガス配管11により室温で供給される。アトマイズガス配管11に供給されるアトマイズガス10は、図示しない加圧装置である圧縮器などにより加圧されている。
そして、アトマイズガス10は、アトマイズガス配管11の周囲に配設したアトマイズガス加熱用ヒーター12などの加熱手段により溶融する金属の融点以上の温度に加熱され、加熱されたアトマイズガス13となる。加熱されたアトマイズガス13の温度は、金属材料の融点以上とするが、この温度は金属溶湯2の温度程度でよい。
ここで、アトマイズガス10は、分散媒体とも呼ばれ、不活性ガスである窒素ガスが使用できる。また、Arガス、ヘリウム(He)ガスなども使用できる。コスト的には、窒素ガスが最も安価で有利である。
【0031】
図2は、図1の微細金属粉末の製造装置1において、アトマイズガス噴射手段の噴射口部分の構成を示す拡大断面図である。
図示するように、アトマイズ容器4の上部には、注湯ノズル9が挿入される流路部4bが備えられている。注湯ノズル9はこの流路部4bを貫通してアトマイズ容器4の内部に嵌入され、注湯ノズル9の先端部の金属溶湯出口9aがアトマイズ容器4の下方に向かって開口している。
さらに、アトマイズ容器4は、注湯ノズル9の周縁にアトマイズガス噴射口4cを備え、アトマイズガス噴射口4cに連通してアトマイズガス配管11が配設されていて、この配管11に上記加熱手段としてのアトマイズガス加熱用ヒーター12が配設されている。上記アトマイズガス噴射口4cは、注湯ノズル9の周縁からその先端部の金属溶湯出口9aに向かって円形スリット状に成形され、注湯ノズル9内の孔部を通過して金属溶湯出口9aから流下する溶湯金属2に対して、金属の融点以上に加熱したアトマイズガス13が噴射される。
【0032】
アトマイズガス噴射口4cは、加熱されたアトマイズガス13が金属溶湯2へ衝突するまでの距離が短いほど、加熱されたアトマイズガス13の流速の損失が小さくなり、金属溶湯のせん断力が増すので、溶湯ノズル9の直近に配設する構造としている。
ここで、アトマイズガス噴射口4cと注湯ノズル9とのなす角度を、衝突角θとして、図2に示す。衝突角θを15°以上で30°以下とすることにより、金属溶湯に対して効果的に噴霧することができ、微細金属粉末を効率よく得ることができる。
【0033】
図3は、図2のアトマイズガス噴射口部分を下方から見た拡大平面図である。図示するように、注湯ノズル9の開口先端部の内側が金属溶湯出口9aであり、注湯ノズル9の外周部がアトマイズガス噴射口4cとなっている。
金属溶湯出口9aの直径,注湯ノズル9の直径,アトマイズガス噴射口4cの外周部の直径を、それぞれ、D1,D2,D3とすると、D1,D2,D3の寸法は、例えば、2mm,4mm,6mmとすることができる。
【0034】
次に、アトマイズ容器4の内部について説明する。
図1に示すように、アトマイズ容器4の上部側面は円筒形状で、その下部が円錐台形状のコーン部4aとなっている。そして、コーン部4aの最下部に設けられた開口部が、回収容器5と接続している。アトマイズ容器4と回収容器5は、金属溶湯の酸化を防止するために気密に構成されており、前もって窒素ガスが封入されることにより、所定の酸素濃度以下に維持される。ここで、アトマイズ容器4は、金属の融点以上に加熱されたアトマイズガス13が噴射されることで、微細粒化された溶融金属粒子14がアトマイズ容器4内を落下し、コーン部4aにおいて適宜に冷却されるために十分な高さを有している。なお、回収容器5はアトマイズ容器4の外部にこれと別体に配置されていてもよいが、アトマイズ容器4の内部にこれと一体に設けられていてもよい。
【0035】
図1に示すように、本発明の微細金属粉末製造装置1には、アトマイズ容器4のコーン部4aを冷却するための冷却手段7が配設されている。冷却手段7として、冷却水を循環させることによって冷却を行う水冷ジャッケットなどが使用できる。
【0036】
微細金属粉末の金属材料としては、Bi,Cd,Ga,In,Sn,Znなどが適用可能である。または、これらの金属から選択された2種類以上の金属からなる合金でもよい。
また、上記金属の、例えば、InやSnに、Ag,Bi,Cd,Cu,Ga,Hg,Sb,Sn,Znなどから選択された一つ以上の金属を添加したIn合金やSn合金などにも適用可能である。
【0037】
次に、図1乃至図3を参照して、本発明のガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法について説明する。
最初に、原料の金属材料がルツボ3内に投入され、ルツボ加熱用ヒーター8によりこの金属の融点以上に加熱されて金属溶湯2が形成される。
次に、ルツボ3内の金属溶湯2が、注湯ノズル9を介して下方に流下されると共に、アトマイズガス噴射口4cから金属材料の融点以上の温度に加熱されたアトマイズガス13が金属溶湯流に対して吹き付けられる。
図1では、加熱されたアトマイズガス13によって吹き付けられ噴霧されて微細粒化された溶融金属粒子14が、アトマイズ容器4内において、下方に向かって円錐状に広がる様子を模式的に示している。
【0038】
このようにして、微細粒化された溶融金属粒子流14は、アトマイズ容器4内で噴霧されて、十分な滞留時間で流動して空中に浮遊し、舞い上がりと降下を繰り返し徐々に落下していく。この十分な滞留時間で流動落下することで、アトマイズ容器4内で、溶融金属粒子流14が凝固する。さらに、この凝固した微細金属粉末の有している熱は、水冷ジャケット7で冷却されているコーン部4aに衝突し、回収容器5に落下するまでに冷却されることで、除去される。図1では、コーン部4aに衝突する微細金属粉末15を模式的に示している。これにより、微細金属粉末14,15の粒子同士が回収容器5内で凝集しないので、微細金属粉末16が回収容器5に効率よく回収される。
【0039】
本発明のガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法によれば、金属溶湯流の流速を1kg/分〜2kg/分とした場合に、アトマイズガス10を加熱する前のアトマイズガス10の圧力として3kgf/cm〜10kgf/cmで、かつ、流量として0.6Nm/分〜1.5Nm/分の条件で供給し、アトマイズガス10を金属材料の融点以上に加熱して噴射することにより、金属の種類によらず、平均粒径が30μmから100μmの微細金属粉末16を、効率よく製造することができる。
ここで、平均粒径は、d50粒径である。d50粒径とは、ふるい分けにより分級した各粒径区分の微細金属粉末重量を測定し、累積重量が50%になる粒径である。
アトマイズガス10の圧力は、従来のガスアトマイズ法の1/3〜1/2以下のアトマイズガス圧力で済むので、製造装置も低コストで実現できる。またアトマイズガス10の消費量も少なくなるので、低コストで微細金属粉末を製造することができる。
【0040】
次に、本発明に従い、金属溶湯の流速を1kg/分〜2kg/分として微細金属粉末を製造する際に、金属材料の融点以上の温度に加熱したアトマイズガス13を用いて、その時のアトマイズガス10の圧力を3kgf/cm〜10kgf/cmの範囲する理由について説明する。
最初に、アトマイズガスを加熱する理由を説明する。アトマイズガス加熱用ヒーター12を用いてアトマイズガス10を加熱することにより、加熱されたアトマイズガス13の体積は、加熱前後のアトマイズガス(10,13)の圧力は一定であるので、ボイル−シャルルの法則から、加熱される温度T2(絶対温度:K)と加熱する前の室温T1(K)の比、即ち、T2/T1で増大する。例えば、アトマイズガス10を室温25℃から500℃及び1000℃に加熱すると、加熱されたアトマイズガス13の体積の増加は、それぞれ、2.6倍、4.2倍となる。加熱によりアトマイズガス10の体積が増加すると、アトマイズガスの噴射口4cから噴射される加熱されたアトマイズガス13の流速が速くなる。従って、室温25℃で7kgf/cmのアトマイズガス10を500℃に加熱したときの流速は、室温のアトマイズガス10を加熱しないで18kgf/cmと増加させたときに得られる流速に相当する。これから、アトマイズガス10の圧力を低くした状態でも、アトマイズガス10の温度を上昇させることで、アトマイズガスの噴射口4cにおいて噴射される加熱されたアトマイズガス13の流速が増大する。
【0041】
また、加熱されたアトマイズガス13と衝突した金属溶湯流は、薄板→ひも状→分断→球形化という段階を経る。金属溶湯流が球形化される段階で、冷却が早すぎると、球形化に必要な凝固時間がとれずに不定形の粒子になってしまうが、加熱されたアトマイズガス13を用いることで、金属溶湯流の球形化に十分な時間をとることが可能になる。
従って、アトマイズガス10を金属の融解温度以上に加熱することで、加熱されたアトマイズガス13の流速が速くなり、金属の粒子径は小さくなる方向に進むので、金属の粉砕効率が向上し、かつ、球形化が十分に進み、微細金属粉末16を効率よく製造することができる。
【0042】
次に、アトマイズガス10の圧力の範囲を、3kgf/cm〜10kgf/cmとして微細金属粉末を製造するようにしている。アトマイズガス10の圧力が10kgf/cm以上になると、圧縮アトマイズガスを製造する圧縮機、配管などの設備コストがかかってしまう。一方、アトマイズガス10の圧力が3kgf/cm以下では、金属の微粒子化のためのアトマイズガス10の流量を増大させる必要があり、コストが増大してしまうので、好ましくない。
なお、本発明に用いた微細金属粉末の製造装置1においては、加熱前のアトマイズガス10は、0.6Nm/分〜1.5Nm/分程度の流量としている。ここで、1Nm/分は、0℃、1atm(気圧)における1m/分の流量である。
本発明の微細金属粉末の製造装置においては、アトマイズガス10が低圧で済むので、アトマイズガス加熱用ヒーター12の設備費を加えても、従来のガスアトマイズ法で使用する高圧なアトマイズガス圧縮機の設備費よりも低コストである。
【0043】
次に、衝突角を、15°から30°の範囲として微細金属粉末を製造する理由を説明する。衝突角θが30°以上では、加熱されたアトマイズガス13が溶湯ノズル9から逆流する、所謂、吹き上げが発生して、金属溶湯2の噴霧ができない。一方、衝突角θが15°以下では、微細金属粉末16の平均粒径が大きくなり好ましくない。これは、衝突角θが15°以下では、加熱されたアトマイズガス13と金属溶湯流との衝突距離が長くなって、加熱されたアトマイズガス13の流速が遅くなり、金属溶湯流をひきちぎる力が弱くなり、金属溶湯2の噴霧化が効率よくできないためと推測される。
【0044】
次に、アトマイズ容器4のコーン部4aに設置する冷却手段について説明する。金属の溶湯流に、加熱されたアトマイズガス13を噴射し分散させ、凝固させた後で微細金属粉末16を回収容器5中に回収するが、回収段階の熱をもった微細金属粉末は、コーン部4aに水冷ジャケット7を設置して、コーン部4aのみを冷却することにより、これに付着する微細金属粉末が十分に冷却され、回収容器5の内部における微細金属粒子同士の凝集を効果的に防止することができる。さらに金属材料が低融点金属の場合においても、コーン部4aを大きくすることにより、さらに、放熱効果を高め、かつアトマイズ容器4内の滞留時間を適性化することで、凝固速度の遅い低融点金属でも十分に分散と凝固ができるので、低融点金属の微細金属粉末16が収率よく回収できることになる。これにより、回収時に、分散された溶融金属流14から、微細金属粉末16をアトマイズ容器4内や回収容器5内で凝集させることなく、回収容器5に効率よく回収することができる。
【0045】
以上、説明してきたガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法についての実施例を述べる。
(実施例1)
微細金属粉末製造装置1を用い、亜鉛(Zn)の微細金属粉末を製造した。金属溶湯出口9aの直径を2mmφ、アトマイズガス噴射口4cの断面積を35mmとした。亜鉛の溶湯温度は500℃とした。また、アトマイズガス10として窒素ガスを用い、そして窒素ガスを亜鉛溶湯温度と同じ500℃に加温した。亜鉛の溶湯流量の流速を1.2kg/分、加熱前の窒素ガス圧力を3kgf/cmとして、窒素ガス流量を0.6,0.8,1.4Nm/分の範囲で変化させ微細亜鉛粉末を作製した。このようにして得られた亜鉛の微細金属粉末を、乾式レーザー粒度分布測定装置(HELOS)で粒径を測定してd50粒径を求めた。
【0046】
図4は、窒素ガス流量を変化させたときの微細亜鉛粉末のd50粒径を示す表である。窒素ガス流量が0.6,0.8,1.4Nm/分のときのd50粒径は、それぞれ、96μm,67μm,59μmであった。d50粒径は、窒素ガス流量の増加に対して反比例して減少する。これにより、加熱前の窒素ガス圧力を、例えば、3kgf/cmと一定にして窒素ガス流量を変化させることで、微細亜鉛粉末の平均粒径であるd50粒径を制御できることが分かる。
【0047】
図5は、本発明のガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法を用いて製作した微細亜鉛粉末の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。電子の加速電圧は30kVで、倍率は150倍である。このSEM写真から、球状の微細亜鉛粉末が得られていることが分かる。
これにより、亜鉛の溶湯と同じ温度に加熱した窒素ガスを加熱されたアトマイズガス13として用いたので、加熱前の窒素ガス圧力が3kgf/cmという低圧力において、d50粒径が、約60μmから100μmの微細亜鉛粉末を製造することができた。
【0048】
(実施例2)
微細金属粉末製造装置1を用い、インジウム(In)の微細金属粉末を製造した。金属溶湯出口9aの直径を1.5mmφ、アトマイズガス噴射口4cの断面積を35mmとした。インジウムの溶湯温度は200℃とした。また、アトマイズガス10として窒素ガスを用い、そして窒素ガスをインジウム溶湯温度と同じ200℃に加温した。インジウムの溶湯流量の流速を1.1kg/分として、窒素ガス圧力を3kgf/cmまたは5kgf/cmとして、窒素ガス流量を0.6〜1.2Nm/分の範囲で変化させ微細インジウム粉末を作製した。このようにして得られた微細インジウム粉末を、実施例1で述べた方法と同様にしてd50粒径を測定した。
【0049】
図6は、窒素ガス流量を変化させたときの微細インジウム粉末のd50粒径を示す表である。加熱前の窒素ガス圧力が3kgf/cmで、窒素ガス流量が0.6,1.0.0,1.2Nm/分のときの微細インジウム粉末のd50粒径は、それぞれ、90μm,54μm,31μmであった。
この場合も上記亜鉛の実施例と同様に、微細インジウム粉末のd50粒径は、窒素ガス流量の増加に対して反比例して減少することがわかる。これにより、加熱前の窒素ガス圧力を、例えば、3kgf/cmと一定にして、窒素ガス流量を変化させることで、微細インジウム粉末の平均粒径であるd50粒径を制御できることが分かる。
【0050】
加熱前の窒素ガス圧力が5kgf/cmで、窒素ガス流量が0.6Nm/分のときの微細インジウム粉末のd50粒径は、33μmであった。このd50粒径は、加熱前の窒素ガス圧力が3kgf/cmで、窒素ガス流量が1.2Nm/分のときのd50粒径とほぼ同じである。
従って、同じd50粒径であれば、加熱前の窒素ガス圧力を高めれば、窒素ガス流量を減らすことができ、窒素ガスの消費量を減らすことができる。このようにすれば、製造コストをさらに削減することができる。これにより、インジウムの溶湯と同じ温度に加熱した窒素ガスを、加熱されたアトマイズガス13として用いたので、加熱前の窒素ガス圧力が3kgf/cmまたは5kgf/cmという低圧力において、d50粒径が約60μmから100μmの微細インジウム粉末を製造することができた。
【0051】
(実施例3)
微細金属粉末製造装置1を用い、ビスマス(Bi)の微細金属粉末を製造した。金属溶湯出口9aの直径を1.5mmφ、アトマイズガス噴射口4cの断面積を35mmとした。ビスマスの溶湯温度は300℃とした。また、アトマイズガス10として窒素ガスを用い、そして窒素ガスをビスマス溶湯温度と同じ300℃に加温した。ビスマスの溶湯流量速を1kg/分として、加熱前の窒素ガス圧力を3kgf/cmとして、窒素ガス流量を0.6,1.4Nm/分の範囲で変化させ、微細ビスマス粉末を作製した。このようにして得られた微細ビスマス粉末を、実施例1で述べた方法と同様にしてd50粒径を測定した。
【0052】
図7は、窒素ガス流量を変化させたときの微細ビスマス粉末のd50粒径を示す表である。加熱前の窒素ガス流量が0.6,1.4Nm/分のときの微細ビスマス粉末のd50粒径は、それぞれ、65μm,30μmであった。
この場合も上記亜鉛とインジウムの実施例と同様に、微細ビスマス粉末のd50粒径は、窒素ガス流量の増加に対して反比例し、窒素ガス圧力を、例えば、3kgf/cmと一定にして、窒素ガス流量を変化させることで、微細ビスマス粉末の平均粒径であるd50粒径を制御できることが分かる。これにより、ビスマスの溶湯と同じ温度に加熱した窒素ガスを、加熱されたアトマイズガス13として用いたので、加熱前の窒素ガス圧力が3kgf/cmという低圧力において、d50粒径が約30μmから65μmの微細ビスマス粉末を製造することができた。
【0053】
(実施例4)
微細金属粉末製造装置1を用い、スズ(Sn)の微細金属粉末を製造した。金属溶湯出口9aの直径を1.5mmφ、アトマイズガス噴射口4cの断面積を35mmとした。スズの溶湯温度は300℃とした。また、アトマイズガス10として窒素ガスを用い、そして窒素ガスをスズ溶湯温度と同じ300℃に加温した。スズの溶湯流量速を1kg/分、加熱前の窒素ガス圧力を3kgf/cm、窒素ガス流量を1Nm/分として、微細スズ粉末を作製した。このようにして得られた微細スズ粉末を、実施例1で述べた方法と同様にしてd50粒径を測定した。
【0054】
図8は、微細スズ粉末のd50粒径を示す表である。窒素ガス流量が1Nm/分のときの微細スズ粉末のd50粒径は、44μmであった。
これにより、スズの溶湯と同じ温度に加熱した窒素ガスを加熱されたアトマイズガス13として用いたので、加熱前の窒素ガス圧力が3kgf/cmという低圧力においてd50粒径が44μmの微細スズ粉末を製造することができた。
【0055】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。例えば、上記実施の形態で、金属溶湯流量、アトマイズガスの圧力と流量と加熱温度などの例を示したが、これらのパラメータはアトマイズガス噴射口の断面積などに依存して変化するので、最適な値に適宜変更できることはいうまでもない。また、金属材料も上記実施例に限らず、他の金属や金属間合金にも適用できる。
【0056】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明によれば、ガスアトマイズ法において、低圧力、低流量のアトマイズガスを加熱して金属融点以上の温度にしたアトマイズガスを金属溶湯に噴射することで、微細金属粉末を収率よく製造することができる。この際、アトマイズガスの消費量が少ないので、微細金属粉末を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法に好適な微細金属粉末の製造装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1の微細金属粉末の製造装置においてアトマイズガス噴射口部分の構成を示す拡大断面図である。
【図3】図2のアトマイズガス噴射口部分の下方から見た拡大平面図である。
【図4】窒素ガス流量を変化させたときの微細亜鉛粉末のd50粒径を示す表である。
【図5】本発明のガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法を用いて製作した微細亜鉛粉末の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図6】窒素ガス流量を変化させたときの微細インジウム粉末のd50粒径を示す表である。
【図7】窒素ガス流量を変化させたときの微細ビスマス粉末のd50粒径を示す表である。
【図8】微細スズ粉末のd50粒径を示す表である。
【符号の説明】
1 微細金属粉末製造装置
2 金属溶湯
3 ルツボ
3a 貫通孔
4 アトマイズ容器
4a コーン部
4b 流路部
4c アトマイズガス噴射口
4d アトマイズガス流路
5 回収容器
6 架台
7 冷却手段
8 ルツボ加熱用ヒーター
9 注湯ノズル
9a 金属溶湯出口
10 アトマイズガス
11 アトマイズガス配管
12 アトマイズガス加熱用ヒーター
13 加熱されたアトマイズガス
14 溶融金属粒子流
15 コーン部に衝突する微細金属粉末
16 微細金属粉末

Claims (13)

  1. アトマイズ容器中に、金属溶湯をアトマイズガスを用いて噴射するガスアトマイズ法を用いて微細金属粉末を製造する方法であって、
    上記金属溶湯流に対して上記金属の融点以上に加熱したアトマイズガスを噴射することにより、上記微細金属粉末を製造することを特徴とする、ガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法。
  2. 前記アトマイズ容器の内部が冷却されていることを特徴とする、請求項1に記載のガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法。
  3. 前記金属溶湯流速として1kg/分〜2kg/分に対して、前記アトマイズガスを、加熱前に圧力として3kgf/cm〜10kgf/cmで、かつ、流量として0.6Nm/分〜1.5Nm/分の条件で供給し、前記微細金属粉末の平均粒径を30μm〜100μmとすることを特徴とする、請求項1または2に記載のガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法。
  4. 前記アトマイズガスを一定圧力として、前記アトマイズガス流量を制御することにより、前記微細金属粉末の平均粒径を制御することを特徴とする、請求項3に記載のガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法。
  5. 前記金属溶湯の注湯ノズルに、前記金属の融点以上に加熱されたアトマイズガスを衝突角が15°以上30°以下で噴射することにより、前記微細金属粉末を製造することを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載のガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法。
  6. 前記金属は、Bi,Cd,Ga,In,Sn,Znの何れか1つの金属、または、これらの金属から選択された2種類以上の金属からなる合金であることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載のガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法。
  7. 前記金属は、Inに、Ag,Bi,Cd,Cu,Ga,Hg,Sb,Sn,Znから選択された1つ以上の金属を添加したIn合金であることを特徴とする、請求項1〜6の何れかに記載のガスアトマイズ法による微細金属粉末の製造方法。
  8. 金属を溶融して金属溶湯にする金属加熱手段と、
    アトマイズ容器と、
    上記アトマイズ容器内に導入した金属溶湯に対してアトマイズガスを噴射するアトマイズガス噴射手段と、を備えた微細金属粉末の製造装置であって、
    さらに、上記アトマイズガスを上記金属の融点以上に加熱する加熱手段を具備し、
    上記金属の融点以上に加熱したアトマイズガスを上記金属溶湯に噴射して上記アトマイズ容器中に噴霧し、微細粉末状にした金属を回収することを特徴とする、微細金属粉末の製造装置。
  9. 金属溶湯を収容するルツボと、
    上記ルツボに接続したアトマイズ容器と、
    上記アトマイズ容器内に上記ルツボから金属溶湯を導入する注湯ノズルと、
    上記注湯ノズルに隣接して設けられ金属溶湯に対してアトマイズガスを噴射するアトマイズガス噴射手段と、を備えた微細金属粉末の製造装置であって、
    さらに、上記アトマイズガスを上記金属の融点以上に加熱する加熱手段を具備し、
    上記加熱手段にて融点以上に加熱したアトマイズガスを上記金属溶湯に噴射して上記アトマイズ容器中に噴霧し、微細粉末状にした金属を回収することを特徴とする、微細金属粉末の製造装置。
  10. 前記金属加熱手段が、誘導加熱装置と該金属の加熱用コイルと加熱用コイルへ金属材料を挿入し下方へ移動させる移動装置からなることを特徴とする、請求項8に記載の微細金属粉末の製造装置。
  11. 前記アトマイズガスの加熱手段が、前記アトマイズガス噴射手段に設けられ、前記金属の融点以上に加熱されたアトマイズガスが上記アトマイズガス噴射手段から噴射されることを特徴とする、請求項8又は9に記載の微細金属粉末の製造装置。
  12. 前記アトマイズ容器の内部を冷却する冷却手段をさらに備えたことを特徴とする、請求項8又は9に記載の微細金属粉末の製造装置。
  13. 前記アトマイズ容器に、微細金属粉末を回収する回収容器が接続されていることを特徴とする、請求項8又は9に記載の微細金属粉末の製造装置。
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