【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は永久磁石式電磁回転機の固定子製造方法に係わり、特にフレキシブルディスク用ドライブに装着可能なフレキシブルディスク用カートリッジと同等サイズのカセットに収納することができる小型薄型の永久磁石式発電機の固定子製造に好適な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
個人的な情報を管理できかつ携帯性に優れた記憶媒体としてメモリーカード、例えばICカードやフラッシュメモリーなどがあるが、情報を入出力するためには独自の機器が必要であり今一歩普及が加速しない。入出力装置として、ほとんどのパソコンに標準装備されているフレキシブルディスクドライブ、特に3.5インチフレキシブルディスク用ドライブ(以下、単にFDDと略す)が利用できれば普及に弾みがつくものと考えられ、FDDに挿入することのできるICカード用アダプターが提案されている。しかし、FDDには、フレキシブルディスクを回転させるための駆動軸と情報入出力用の磁気ヘッドは装着されているが、アダプターに組み込まれたCPUに電源を供給するための給電端子は装備されていない。このため、このアダプターにはボタン型の電池が組み込まれている。しかし、電池は使用するに従い消耗し、長くとも数ヶ月毎に取替える必要がある。
【0003】
そこで、FDDの駆動軸を利用して作動される発電機が組み込まれたアダプターが実現できれば、電池切れを心配することなく何時でも使用できる上、環境面でもやさしい製品として提供できる。そのためには、発電機は3.5インチフレキシブルディスク用カートリッジと同等サイズのカセットに、ICカード収納スペースを確保した上で、CPU、インターフェース等の電子部品とともに配設されなければならない。3.5インチ用フレキシブルディスク用カートリッジサイズは、例えばJISX6226で定められており、長さ94mm、幅90mm、厚さ3.5mmの扁平な略直方体である。これに対し、磁気ストライプを持ったICカードの大きさは、長さ85mm、幅54mm、厚さ0.8mmである。従って、ICカードは、カセット平面の半分以上を占めるため、発電機とICカード収納スペースは重なるようにせざるを得ず、発電機の厚みは2mm程度、最大でも2.5mm以内にする必要がある。
【0004】
一般に発電機は、磁束を発生する永久磁石を備えた回転子と、複数の突極と各突極に巻かれたコイルを備えて起電力を発生する固定子と、回転子を固定子と所定位置関係を維持しつつ回転可能とする軸受部とを主要な構成要素としており、固定子にはパーマロイ、電磁軟鉄、冷間圧延鋼板、けい素鋼板などの軟磁性材料が使用されている。なお、発電機は電磁誘導を利用して起電力を得る回転機械であって、電磁誘導を利用して回転力を得るモータとは類似構造であり、合わせて電磁回転機と総称されている。
【0005】
本出願人は、長年前記のようなカセット内に組み込むことができる小型薄型の発電機の研究開発を行い多くの出願をしてきた。特許文献1は、その中で技術的に詳しく説明したものの一つである。
図5に、特許文献1における発電機93を内蔵したカセット90の概略構成を示す。図5(a)はカセット90の平面図、図5(b)は図5(a)のA−A断面図、図5(c)は図5(b)における回転子91と固定子92部分の拡大図である。発電機93は、FDDの駆動軸により回転する回転子91とその周囲に配設された固定子92を有している。回転子91は、FDDの駆動軸と連接して回転するボス94を有し、ボス94の外周面に磁極を持った円環状の永久磁石95が取り付けられている。固定子92は、永久磁石95の外周面に所定の磁気空隙を持って対向するように配設された磁極歯と、磁極歯の内端同士を連結する円状の内ヨークと外端同士を連結する円環状のバックヨークを有している。
【0006】
また特許文献2には、小さな電磁回転機である時計用モータのステータの製造方法に関する技術が開示されている。すなわち、軟磁性材料としてFe−1%Al材を用い、その条材にNiメッキを施すメッキ工程と、プレス加工によってロータと対向するステータ磁極部を含む所定形状に打ち抜く打抜工程と、ステータ磁極部の内周部を立ち曲げて打ち抜き工程によって生じたせん断断面を磁気回路から退避させる立曲工程と、還元ガスまたは不活性ガス中で950℃以上で30分以上加熱する磁気焼鈍工程とを順次行っている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−116088号公報
【特許文献2】
特開平6−284680号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記発電機は、小さなサイズで所定の起電力を安定して出力できるとともに、かつ安価であることが求められている。この点で、回転子には小さくても強い磁界を発生させることができる希土類永久磁石を用いればよいが、固定子はその磁束変化を長期にわたって効率よく起電力に変換する必要があり、良好な磁気特性を維持するように、また安価に製造することが重要である。
【0009】
特許文献1においては、固定子の磁極歯に関して、飽和磁束密度Bsが1.2T以上の軟鉄、電磁軟鉄、圧粉磁心、4〜6%Siを含む珪素鋼を使うことができるという材質面と、端部を連結するヨークを含めた形状面については説明されているが、耐食性を高め磁気特性を維持するなど、信頼性に関する説明はない。
一方、特許文献2のステータの製造方法においては、パーマロイに比べて安価なFe−1%Alを用い、条材の時に全面にメッキ処理を施してからプレスで打ち抜き加工することによりコストを下げることが試みられているが、打ち抜きされて素材が露出した面を磁気回路から退避させるための立ち曲げ工程が余分に必要であり、その分余計なコストが必要になってしまう。また、時間の経過とともにせん断面の素材に腐食や錆が生じる耐食性の問題があり、商品価値を下げるとともに、剥離した錆が可動部に入り込むと動作不能になる恐れもある。なお、磁性焼鈍の温度は950℃以上であり、施されるNiメッキは、溶融点温度から判断して電気メッキであることがわかる。
【0010】
本発明者らは、上記従来技術の問題を解決するため種々の検討を行っている。例えば上記固定子の耐食性の問題を解決するため、電磁軟鉄の条材をプレスで所定形状に打ち抜き(打抜工程)、曲げ加工を行い(曲げ工程)、850℃で電磁軟鉄の磁性焼鈍を行い(磁性焼鈍工程)、無電解Ni−Pメッキを施す(メッキ工程)方法を試みた。しかしながらこの方法では、メッキ膜による固定子母材への応力付加や無電解Ni−Pメッキ膜自体の非磁性などの原因により、無電解Ni−Pメッキ後の固定子の磁気特性が磁性焼鈍後のものに比べ低下するという問題があった。
その問題を解決するため、上記メッキ工程の後にメッキされた固定子を再度熱処理して上記固定子母材に付加された応力の開放及びメッキ膜自体の磁性化を試みた。その方法によれば、熱処理温度を700〜900℃とすれば固定子の磁気特性が回復する事が判った。しかしながら、熱処理を2度行わねばならず工業生産上の能率の面で問題があった。
【0011】
本発明は、工業生産上の能率を高めつつ固定子の耐食性を向上するという課題を解決するために発明者らが鋭意検討したものであり、永久磁石式電磁回転機の主要構成要素である固定子、特に小型で薄型の永久磁石式発電機の固定子を、品質の信頼性を高くかつ安価に製造するための製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、永久磁石を備えた回転子と、複数の突極と各突極に巻かれたコイルを備えた固定子と、回転子を固定子と所定位置関係を維持しつつ回転可能とする軸受部とを有する永久磁石式電磁回転機の固定子の製造方法であって、突極を、軟磁性材を所定形状に加工した後、無電解Niメッキを施し、その後焼鈍して製造することを特徴としている。本発明によれば、所定形状に加工した突極に無電解メッキを施してその表面全体にメッキ膜を形成するので固定子の耐食性を向上することができるとともに、無電解メッキされた突極を焼鈍することにより所定の磁気特性の固定子とすることが可能となる。
なお、固定子は、前記で製造された突極にコイルを挿入固定して形成される。また、突極形状によっては突極を連結するバックヨークを用いるが、バックヨークも突極と同様にして製造するとよい。
【0013】
本発明は、電磁回転機として発電機を対象とし、固定子の突極を、電磁軟鉄を所定形状にプレス加工した後、無電解Ni−Pメッキを施し、その後700〜900℃内の所定温度で焼鈍して製造することが好ましく、そのような温度で焼鈍することにより所定の磁気特性の固定子を安定して得ることができる。
また本発明は、フレキシブルディスクドライブに装着可能なディスクカートリッジと同等サイズのカセットに収納することができる小型で薄い大きさの永久磁石式発電機に適応することが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、永久磁石式電磁回転機として、FDDに挿入することのできるICカード用アダプターに装着する永久磁石式発電機2を例にして説明する。図1は発電機2が配設されたカセット1の平面図、図2はカセット1の上カバー102を取り除いた時の図で、(a)は平面図、(b)は断面図を、図3は図2(a)のK−K断面図で発電機2を拡大して示した図である。
カセット1の上カバー102には、FDDの磁気ヘッドが入出力ターミナル17にコンタクトするための開口部14と、発電機2の略中央部に配したハブ11の表面がのぞいた円形開口部が形成されている。ハブ11はFDDの駆動軸と係合し回転力を受ける。カセット1の上カバー102を除いた時に表われる本体部101の主面103の略中央部に発電機2が配設されている。カセット1は樹脂や金属で形成することができるが、特にカセット本体部101は生産性の点から樹脂で形成することが好ましい。発電機2は、ハブ11表面が上カバー102の表面に略一致するような高さになるように主面103に形成された凹部10に、そこに形成されたボス454と熱溶着で取り付けられている。また、主面103の裏側にはICカードを挿入するためのスペース15が設けられている。
【0015】
図1、2において、主面103の、ICカードと平面的に重なる位置に、ICカードと情報のやり取りを行うためのカードコンタクト端子19が設けられている。主面103の上方(開口部14側)には、前記した入出力ターミナル17と、入出力ターミナル17とカードコンタクト端子19との間で情報を処理するためのCPU18などのメモリー入出力手段と、発電機2からの出力電力の安定化のための安定化電源装置16が配設されている。発電機2は、CPU18及びICカードの駆動用電源として用いられる。
【0016】
次に、発電機2の構造について説明する。ここで示す発電機2は、出力が40mw以上の5ボルトICカード用に開発したものであり、磁気空隙をアキシャル方向(軸方向)とした構成で磁束獲得面積を増している。
発電機2の断面構造を図2(b)及び図3に示す。磁束を発生する回転子3の下方に、磁束変化をとらえて発電する固定子4を配置し、回転子3が軸受部5により固定子4に対し所定の位置関係を維持しながら回転する構成である。前述したように厚さ方向寸法が厳しいため、各部材の構造的な工夫に加え、強度的な信頼性の確保も重要である。
【0017】
回転子3は、FDDの駆動軸と係合する軟磁性材の円板状のハブ11と、ハブ11の下面にハブ11の軸心Sと同心に取り付けられたリング状の永久磁石12とを備えている。永久磁石12は、円周方向に等角度ピッチにN極とS極が交互に着磁されている。ハブ11の下面で永久磁石12より内径部には、ハブ軸心Sと同心の溝が形成されて軸受部5のボール211が配設されており、ハブ11は芯ぶれなく回転することができる。溝部は、摩耗や塑性変形、圧痕などが発生しないようにしなければならず、溝表面の許容ヘルツ応力を、発生するヘルツ応力以上にしなければならない。許容ヘルツ応力を高くするにはボールとの接触面の硬度を高くする必要があり、ハブ材としては軟磁性材料の中では硬い磁性ステンレスを用いるとよく、硬化処理をして用いることがさらに望ましい。
【0018】
ハブ11上面には旋回ピンはめ込み用チャッキング穴13が形成されている。チャッキング穴13は、基本的には、はめ込まれた旋回ピンとは円周側壁面では接触せず、旋回側の壁面と接触するように形成する。また、旋回ピン底面が接触しない深さを有する有底穴とするとよいが、貫通穴としてもよい。具体的な形状や寸法は、ハブ11の強度や剛性に問題が生じない範囲で適宜設定すればよい。
【0019】
固定子4は、先端部が永久磁石12と同じ磁極ピッチで放射状に配設された上面が平面の複数の突極412と、各突極の途中に巻かれたコイル414と、各突極の他端部を連結するバックヨーク413を有している。突極412の先端部は、その上面が永久磁石12の下面に所定の隙間を維持して対向するように、途中から下方に折り曲げられて形成されている。また、発電機2の周りには、前述したカードコンタクト端子19、入出力ターミナル17、CPU18、安定化電源装置16などが配設されるので、全ての突極412を放射状に真っ直ぐ伸ばして配設するスペースはなく、図2(a)に示すように、ほとんどの突極は途中から平面的に折り曲げられた形状に形成されている。それでも、上下方向からは突極を配設することはできないため、左右方向からのみ配設している。このため、固定子を左右にユニット化して配置する形態をとっている。本例では、左側の固定子ユニット4Lは突極412を4本有し、右側の固定子ユニット4Rは突極412を7本有している。突極412及びバックヨーク413には軟磁性材が用いられている。
【0020】
軸受部5は、樹脂451の射出成型によって突極412とともに一体成型されるベースプレート43と、ハブ11を支持して回転させる直径1mm程度の複数の玉軸受用ボール211と、ベースプレート43に圧入やかしめまたは接着などで固定された円筒軸44を有し、ベースプレート43の上面には、ハブ11の下面に形成されたボール211案内用の溝と同一半径の円周状溝が、円筒軸44と同心に形成されている。軸受部5は、回転子3を芯ぶれなくかつ小さな摩擦力で回転させる必要があり、転がり軸受を組み込むことが望ましいが、転動体と軌道盤がユニット化された市販の転がり軸受は、厚さが2mm程度の発電機に組み込むには厚すぎるため、ハブ11とベースプレート43を軌道盤として用い、その間にボール211を組み込んで軸受機能を持たせた構造としている。このように、ハブ11は軸受部まわりにボール211で案内されて回転するので、FDDの中心ピンで芯出しする必要はない。逆に、中心ピンはどの部材も位置規制しないようにする必要があり、円筒軸44の内径は中心ピンが接触しないよう、中心ピンの外径より所定量大きな寸法とし、非磁性ステンレスや樹脂などを用いる。また、円筒軸上部は、ハブ11内径側の突出部をガイドするフランジを有し、ハブ11の位置ずれや脱落を防止している。
【0021】
前述したように、発電機2が取り付けられる主面103の厚さ方向下側にはICカードがセットされるため、永久磁石12からの磁気の影響が及ばないようにしなければならない。永久磁石12の下側で突極412が配置されている場所では、磁束は突極に流れるため、それより下側には漏洩磁束は漏れないが、突極412が配置されていない場所では、磁束を漏らさないように磁気シールドが必要である。このため、ベースプレート43はこの磁気シールドの作用も担うように、軟磁性材を用いて永久磁石12の投影面積より広い範囲で突極412のないスペースを占めるような形状としている。また、ベースプレート43と突極412とを一緒に成形機にセットし樹脂451で鋳ぐるんで一体化すると、突極412の曲げ剛性が高くなり、永久磁石12の吸引力による突極412のたわみや変形を抑制することができる。
【0022】
また、ベースプレート43は、前述したように転がり軸受の軌道盤の機能も有しており、永久磁石12の吸引力によるスラスト荷重などを受けたボール212がその溝内を転動、走行する。このため、接触圧力による摩耗や塑性変形、圧痕の発生を防止しなければならず、そのためにはベースプレート溝部の許容ヘルツ応力を、発生するヘルツ応力以上にしなければならない。許容ヘルツ応力を高くするには接触面硬度を高くする必要があり、ベースプレート材料は軟磁性材料の中でできるだけ硬いものを用いることが好ましく、磁性ステンレスを用いるとよい。なお、磁気特性面から見れば、コギングトルクの低減に対しては、突極412によるコギングトルクをより打ち消すためには飽和磁束密度Bsが高い方がよい。また、残留磁気による回転抵抗トルクを小さくするためには保磁力Hcは小さいほうがよい。これより、フェライト系磁性ステンレス、例えばSUS430を用いるとよく、さらに窒化処理をして表面を硬くすることが望ましい。
【0023】
前述したように、一般に電磁回転機に用いられる固定子には、パーマロイ、電磁軟鉄、冷間圧延鋼板、けい素鋼板などの軟磁性材料が使用されている。図4に、本発電機2における右側固定子ユニット4Rを構成する突極412とバックヨーク413を組合せた状態の平面図を示すが、図3、4からわかるように、突極412の各々は三次元的に折り曲げられた形状である。従って、突極412は、軟化焼鈍処理などコストアップにつながる新たな工程を通すことなく、常温プレスで曲げ加工ができる材質が好ましい。当然ながら、回転子が発生する磁束の変化を効率よく起電力に変換することは重要であり、飽和磁束密度Bsは1.2T以上あることが望ましい。これらの点を考慮して、突極412には、常温での加工性が良好で、飽和磁束密度Bsが約2Tと大きく、かつ保磁力は小さい電磁軟鉄(SUYP)を用いている。
【0024】
電磁軟鉄は、パーマロイと比べると耐食性に劣るため、防食処理を施して用いることが望ましい。磁性材料への防食処理としてはNiメッキが一般的であり、本例においてもこれを採用した。特許文献2においては、条材の状態でメッキを行いその後プレスで打ち抜き加工を行っているが、打ち抜き断面は素材面が露出してしまう。これに対して、本例では各突極用部材を個々にプレスで打ち抜いたり機械加工等により準備し、これらにメッキを施して素材が露出しないようにしている。これにより、製造後時間が経過しても、錆が発生したり腐食することはなく、剥離した錆や腐食部から脱落したメッキ膜等の異常片が、永久磁石12と突極412の隙間や軸受部5に入り込んだりして、磁気回路的に或いは機械的にトラブルを引き起こすようなことはない。なお、突極412全面に確実にメッキ膜を形成するには、曲げ加工で所定の形状に形成した後にメッキを行うことが好ましい。Niメッキとしては、より耐食性が優れ、かつ本突極のように複雑に折れ曲がった形状でも全表面にほぼ均一に成膜できる無電解メッキの方が、電解(電気)メッキより好ましい。
【0025】
ところで、軟磁性材料は、条材を圧延したり、あるいは条材から部品を打ち抜くプレスなどの機械加工を行うと、加工歪により透磁率が低下する。発電機においては、突極の透磁率が低いと、固定子のインダクタンスが低下し、発電機の出力が低くなってしまう。このため、突極412を所定形状にプレス加工した後、磁性焼鈍を行い透磁率を回復させることが望ましい。一般的には、電磁軟鉄は800℃前後で磁性焼鈍が行われる。
【0026】
このように、発電機用突極412の製作に当り、電磁軟鉄をプレスで打ち抜き曲げ加工した後、850℃×2時間で磁性焼鈍をし、無電解Ni−Pメッキを施した。各工程後のインダクタンスを測定したところ、メッキ後ではインダクタンスが磁性焼鈍後より2%低下していることがわかった。本例のような小型で構造的には極限設計が行われている発電機においては、この低下は問題である。そこで、磁気特性を磁性焼鈍時なみに回復するため、メッキ後に再度焼鈍を行うことにした。適切な再焼鈍温度を得るため、400℃〜900℃まで100℃毎に温度を変えて実験した(実験1)。保持時間は2時間とした。下記表1の実験1欄に、突極412のプレスから再焼鈍までの各処理工程後のインダクタンスの測定結果を示す。インダクタンスの測定は、各工程終了後の突極412から、図4で示す▲2▼と▲7▼の位置の突極をサンプルとして抜き出し、それらを測定コイルに挿入して行った。表1には、インダクタンスの測定値(mH)に併せ、磁性焼鈍後における測定値を基準値1とした時の各処理後の測定値を比率でも表している。
【0027】
【表1】
【0028】
表1より、700℃以上、好ましくは800℃以上で再焼鈍を行えば、インダクタンスをほぼ磁性焼鈍後の値まで回復できることがわかる。なお、400〜600℃で再焼鈍を行うと逆に低下させてしまうこともわかる。また、無電解Ni−Pメッキ膜の融点は約890℃であり、今回の実験において900℃の熱処理条件においてはメッキ膜の一部に溶融が見られた。即ち、無電解Ni−Pメッキでは特許文献2に示されるような950℃で熱処理を行うことはできないが、逆に温度が低い分繰炉のコスト面では有利となる。
【0029】
しかし、磁性焼鈍とメッキ後の再焼鈍と2回の焼鈍を行うことは、コスト低減には逆行することになるため、焼鈍は1回だけにすることを検討した。このため、プレス後の磁性焼鈍を行わず、メッキ後に焼鈍を行うだけで所定の磁気特性が得られるか否かを実験した(実験2)。実験2の焼鈍条件は、実験1における磁性焼鈍と同じ850℃×2時間とした。その測定結果を表1の実験2欄に示す。プレス後のインダクタンスとメッキ後のインダクタンスはほぼ同じ低い値であるが、メッキ後の焼鈍で、実験1での磁性焼鈍とほぼ同じインダクタンスに回復させることができることがわかる。即ち、軟磁性材を加工してメッキを施すような部品を製造する場合、同じ一回の焼鈍を行うにしても、加工及びメッキを施した後に行う方が、加工後に行いその後メッキを施すよりも、磁気特性を良好にすることができる。なお、実験2での焼鈍は850℃の一種類だけであったが、実験1において有効であった再焼鈍温度700〜900℃で同じ作用が得られると考えられる。
【0030】
本発電機に用いる固定子4の突極412は、前述したようにスペースの関係で先端部が折れ曲がっており、固定子4の形成に当りコイル414は後端部からしか挿入できないため、バックヨーク413のセットはコイル414の挿入後となる。このため、バックヨーク413についても突極412と同様にして製造しておくことが好ましい。なお、コイルが各突極の先端部から挿入できるような場合には、バックヨークを各突極の後端部にセットして連結した後、メッキ及び焼鈍を行うようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の永久磁石式電磁回転機の固定子製造方法によれば、突極材として曲げ加工性の良い電磁軟鉄を用いるので、軟化焼鈍を行わなくても複雑形状に形成でき、余分な熱処理コストを省くことができる。また、無電解Niメッキで防食処理を行うので、複雑形状の突極の全面に成膜でき、時間経過後にも錆や腐食の発生を防ぐことができ、磁気的、機械的に信頼性が高い。また、焼鈍は一度でよく、かつ温度は900℃以下と比較的低温で行うので、炉の操業コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における発電機が配設されたカセットの平面図
【図2】上記カセットの上カバーを取り除いた時のカセット内の配置を示す図
【図3】図2(a)のK−K断面図で発電機2を拡大して示した図
【図4】実施の形態における固定子の突極とバックヨークが組合された状態の平面図
【図5】特許文献1における従来の発電機を組み込んだカセットの例を示す図
【符号の説明】
1…カセット、 2、20…発電機、 3、30…回転子、4、40…固定子、
5、50…軸受部、 10…凹部、 11…ハブ、 12…永久磁石、
13…チャッキング穴、 43…ベースプレート、 102…上カバー、
101…本体部、 103…主面、 211…ボール、 412…突極、
414…コイル、 413…バックヨーク、 90…従来のカセット例、
91…従来の回転子例、 92…従来の固定子例、 93…従来の発電機例、[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for manufacturing a stator of a permanent magnet type electromagnetic rotating machine, and more particularly to a small and thin permanent magnet type generator which can be housed in a cassette of the same size as a flexible disk cartridge which can be mounted on a flexible disk drive. The present invention relates to a method suitable for manufacturing a stator.
[0002]
[Prior art]
Memory cards, such as IC cards and flash memories, are storage media that can manage personal information and are highly portable, but their own devices are required to input and output information, and their use has accelerated. do not do. As an I / O device, if a flexible disk drive, which is standard equipment in most personal computers, especially a 3.5-inch flexible disk drive (hereinafter simply abbreviated as FDD) can be used, it is expected that the use of the FDD will become popular. An IC card adapter that can be inserted has been proposed. However, the FDD is equipped with a drive shaft for rotating the flexible disk and a magnetic head for information input / output, but is not equipped with a power supply terminal for supplying power to the CPU incorporated in the adapter. . For this reason, the adapter incorporates a button-type battery. However, batteries wear down as they are used and need to be replaced every few months at most.
[0003]
Therefore, if an adapter incorporating a generator operated by using the drive shaft of the FDD can be realized, it can be used at any time without worrying about running out of batteries and can be provided as an environmentally friendly product. To this end, the generator must be provided in a cassette of the same size as a 3.5-inch flexible disk cartridge, with an IC card storage space secured, and with electronic components such as a CPU and an interface. The size of the 3.5-inch flexible disk cartridge is specified, for example, in JIS X6226, and is a flat, substantially rectangular parallelepiped having a length of 94 mm, a width of 90 mm, and a thickness of 3.5 mm. On the other hand, the size of an IC card having a magnetic stripe is 85 mm in length, 54 mm in width, and 0.8 mm in thickness. Therefore, since the IC card occupies more than half of the plane of the cassette, the generator and the IC card storage space must be overlapped, and the thickness of the generator must be about 2 mm, at most 2.5 mm. .
[0004]
Generally, a generator includes a rotor having a permanent magnet that generates a magnetic flux, a stator that has a plurality of salient poles and a coil wound around each salient pole to generate an electromotive force, and a rotor that is a predetermined stator. The main component is a bearing part that can rotate while maintaining the positional relationship. Soft magnetic materials such as permalloy, electromagnetic soft iron, cold-rolled steel sheet, and silicon steel sheet are used for the stator. Note that the generator is a rotating machine that obtains electromotive force using electromagnetic induction, and has a similar structure to a motor that obtains rotational force using electromagnetic induction, and is collectively referred to as an electromagnetic rotating machine.
[0005]
The applicant of the present invention has been researching and developing a small and thin generator which can be incorporated in the cassette as described above, and has filed many applications for many years. Patent Document 1 is one of those technically described in detail therein.
FIG. 5 shows a schematic configuration of a cassette 90 including a generator 93 in Patent Document 1. 5A is a plan view of the cassette 90, FIG. 5B is a cross-sectional view taken along line AA of FIG. 5A, and FIG. 5C is a portion of the rotor 91 and the stator 92 in FIG. 5B. FIG. The generator 93 has a rotor 91 rotated by a drive shaft of the FDD and a stator 92 disposed around the rotor 91. The rotor 91 has a boss 94 that rotates in connection with the drive shaft of the FDD, and an annular permanent magnet 95 having magnetic poles is attached to the outer peripheral surface of the boss 94. The stator 92 has a magnetic pole tooth disposed so as to face the outer peripheral surface of the permanent magnet 95 with a predetermined magnetic gap, a circular inner yoke connecting the inner ends of the magnetic pole teeth, and an outer end. It has an annular back yoke to be connected.
[0006]
Patent Document 2 discloses a technique related to a method for manufacturing a stator of a timepiece motor that is a small electromagnetic rotating machine. That is, a plating step of using an Fe-1% Al material as a soft magnetic material and plating the strip with Ni, a punching step of punching into a predetermined shape including a stator magnetic pole portion facing the rotor by press working, A bending step of erecting the sheared cross section generated by the punching step by bending the inner peripheral portion of the portion from the magnetic circuit, and a magnetic annealing step of heating at 950 ° C. or more in a reducing gas or an inert gas for 30 minutes or more. Is going.
[0007]
[Patent Document 1]
JP 2000-116088 A [Patent Document 2]
JP-A-6-284680
[Problems to be solved by the invention]
The generator is required to be able to stably output a predetermined electromotive force with a small size and to be inexpensive. In this regard, a rare earth permanent magnet that can generate a strong magnetic field even if it is small may be used for the rotor, but the stator needs to efficiently convert a change in magnetic flux into an electromotive force over a long period of time. It is important to maintain the magnetic properties and to manufacture it inexpensively.
[0009]
In Patent Literature 1, regarding the magnetic pole teeth of the stator, soft iron having a saturation magnetic flux density Bs of 1.2 T or more, electromagnetic soft iron, a dust core, and a silicon steel containing 4 to 6% Si can be used. Although the shape surface including the yoke connecting the end portions is described, there is no description regarding reliability such as enhancing corrosion resistance and maintaining magnetic characteristics.
On the other hand, in the method for manufacturing a stator disclosed in Patent Document 2, Fe-1% Al, which is less expensive than permalloy, is used. However, an extra vertical bending step for retracting the surface where the blank is exposed from the magnetic circuit from the magnetic circuit is required, and the extra cost is required. Further, there is a problem of corrosion resistance in which corrosion or rust occurs on the material of the shear surface with the passage of time, and the commercial value is reduced. In addition, there is a possibility that the operation may become inoperable if the peeled rust enters the movable part. The temperature of the magnetic annealing is 950 ° C. or higher, and it can be seen that the Ni plating to be performed is electroplating, judging from the melting point temperature.
[0010]
The present inventors have made various studies to solve the above-mentioned problems of the conventional technology. For example, in order to solve the problem of the corrosion resistance of the stator, a strip of electromagnetic soft iron is punched into a predetermined shape by a press (punching step), bent (bending step), and magnetically annealed at 850 ° C. (Magnetic annealing step) and a method of performing electroless Ni-P plating (plating step) were attempted. However, in this method, the magnetic characteristics of the stator after electroless Ni-P plating are reduced after magnetic annealing due to stress applied to the stator base material by the plating film and non-magnetism of the electroless Ni-P plating film itself. There was a problem that it was lower than that of the above.
In order to solve the problem, the plated stator is heat-treated again after the plating step to release the stress applied to the stator base material and to magnetize the plating film itself. According to this method, it was found that the magnetic properties of the stator were recovered when the heat treatment temperature was set to 700 to 900 ° C. However, the heat treatment must be performed twice, and there is a problem in efficiency in industrial production.
[0011]
The present invention has been intensively studied by the inventors in order to solve the problem of improving the corrosion resistance of the stator while increasing the efficiency in industrial production, and is a main component of the permanent magnet type electromagnetic rotating machine. It is an object of the present invention to provide a manufacturing method for manufacturing a stator, particularly a stator of a small and thin permanent magnet type generator, with high quality reliability and at low cost.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
The present invention provides a rotor having a permanent magnet, a stator having a plurality of salient poles and a coil wound around each salient pole, and enables the rotor to rotate while maintaining a predetermined positional relationship with the stator. A method for manufacturing a stator of a permanent magnet type electromagnetic rotating machine having a bearing portion, wherein a salient pole is manufactured by processing a soft magnetic material into a predetermined shape, applying electroless Ni plating, and then annealing. It is characterized by. According to the present invention, since the salient pole processed into a predetermined shape is subjected to electroless plating to form a plating film on the entire surface, the corrosion resistance of the stator can be improved, and the electroless plated salient pole can be formed. Annealing makes it possible to obtain a stator having predetermined magnetic properties.
The stator is formed by inserting and fixing a coil to the salient pole manufactured as described above. Further, depending on the shape of the salient pole, a back yoke connecting the salient poles is used, and the back yoke may be manufactured in the same manner as the salient pole.
[0013]
The present invention is directed to a generator as an electromagnetic rotating machine. The salient poles of the stator are formed by pressing electromagnetic soft iron into a predetermined shape, and then subjected to electroless Ni-P plating, and then to a predetermined temperature within 700 to 900 ° C. It is preferable to manufacture the stator by annealing at such a temperature. By performing annealing at such a temperature, a stator having predetermined magnetic characteristics can be obtained stably.
Further, it is desirable that the present invention be applied to a small and thin permanent magnet type generator that can be stored in a cassette of the same size as a disk cartridge that can be mounted on a flexible disk drive.
[0014]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, a permanent magnet type generator 2 attached to an IC card adapter that can be inserted into an FDD will be described as an example of a permanent magnet type electromagnetic rotating machine. 1 is a plan view of the cassette 1 in which the generator 2 is disposed, FIG. 2 is a view when the upper cover 102 of the cassette 1 is removed, (a) is a plan view, and (b) is a cross-sectional view. 3 is an enlarged view of the generator 2 in the KK sectional view of FIG. 2 (a).
The upper cover 102 of the cassette 1 has an opening 14 for the FDD magnetic head to contact the input / output terminal 17 and a circular opening formed by looking at the surface of the hub 11 disposed substantially at the center of the generator 2. Have been. The hub 11 is engaged with a drive shaft of the FDD and receives a rotational force. The power generator 2 is disposed substantially at the center of the main surface 103 of the main body 101 when the upper cover 102 of the cassette 1 is removed. Although the cassette 1 can be formed of resin or metal, it is particularly preferable that the cassette main body 101 be formed of resin from the viewpoint of productivity. The generator 2 is attached to the recess 10 formed in the main surface 103 by heat welding with the boss 454 formed therein so that the surface of the hub 11 has a height substantially matching the surface of the upper cover 102. ing. A space 15 for inserting an IC card is provided on the back side of the main surface 103.
[0015]
1 and 2, a card contact terminal 19 for exchanging information with the IC card is provided at a position on the main surface 103 that overlaps the IC card in a plane. Above the main surface 103 (on the side of the opening 14), the input / output terminal 17 described above, and memory input / output means such as a CPU 18 for processing information between the input / output terminal 17 and the card contact terminal 19, A stabilizing power supply device 16 for stabilizing output power from the generator 2 is provided. The generator 2 is used as a power source for driving the CPU 18 and the IC card.
[0016]
Next, the structure of the generator 2 will be described. The generator 2 shown here has been developed for use with a 5-volt IC card having an output of 40 mw or more, and has a structure in which the magnetic gap is formed in the axial direction (axial direction) to increase the magnetic flux acquisition area.
The cross-sectional structure of the generator 2 is shown in FIGS. A stator 4 that generates a magnetic flux by capturing a change in the magnetic flux is disposed below the rotor 3 that generates a magnetic flux, and the rotor 3 rotates while maintaining a predetermined positional relationship with respect to the stator 4 by a bearing unit 5. is there. As described above, since the dimension in the thickness direction is severe, it is important to ensure the reliability in terms of strength, in addition to the structural measures of each member.
[0017]
The rotor 3 includes a disk-shaped hub 11 made of a soft magnetic material that engages with a drive shaft of the FDD, and a ring-shaped permanent magnet 12 mounted on the lower surface of the hub 11 concentrically with the axis S of the hub 11. Have. In the permanent magnet 12, N poles and S poles are alternately magnetized at an equal angular pitch in the circumferential direction. On the lower surface of the hub 11, a groove concentric with the hub axis S is formed in the inner diameter portion from the permanent magnet 12, and the ball 211 of the bearing portion 5 is disposed, so that the hub 11 can rotate without misalignment. . The groove must be free from wear, plastic deformation, indentation, and the like, and the allowable Hertz stress on the groove surface must be higher than the generated Hertz stress. In order to increase the allowable Hertz stress, it is necessary to increase the hardness of the contact surface with the ball. As the hub material, it is preferable to use hard magnetic stainless steel among soft magnetic materials, and it is more preferable to use a hardened material .
[0018]
The upper surface of the hub 11 is formed with a chucking hole 13 for inserting a pivot pin. The chucking hole 13 is basically formed so as not to contact the pivot pin fitted therein on the circumferential side wall surface but to contact the pivot side wall surface. In addition, a bottomed hole having a depth that does not make contact with the bottom surface of the pivot pin may be used, but may be a through hole. The specific shape and dimensions may be appropriately set within a range that does not cause a problem in the strength or rigidity of the hub 11.
[0019]
The stator 4 includes a plurality of salient poles 412 each having a flat top surface, and a coil 414 wound in the middle of each salient pole. It has a back yoke 413 connecting the other end. The distal end of the salient pole 412 is formed by being bent downward from the middle so that the upper surface thereof faces the lower surface of the permanent magnet 12 while maintaining a predetermined gap. In addition, since the above-mentioned card contact terminal 19, input / output terminal 17, CPU 18, stabilized power supply 16 and the like are provided around the generator 2, all the salient poles 412 are radially extended straight. As shown in FIG. 2A, most of the salient poles are formed in a shape that is bent in a plane from the middle. Even so, salient poles cannot be arranged in the vertical direction, so they are arranged only in the horizontal direction. For this reason, a configuration is adopted in which the stator is unitized and arranged left and right. In this example, the left stator unit 4L has four salient poles 412, and the right stator unit 4R has seven salient poles 412. A soft magnetic material is used for the salient pole 412 and the back yoke 413.
[0020]
The bearing portion 5 includes a base plate 43 integrally formed with the salient poles 412 by injection molding of a resin 451, a plurality of ball bearing balls 211 having a diameter of about 1 mm for supporting and rotating the hub 11, and press-fitting the base plate 43. Alternatively, a cylindrical groove 44 having the same radius as the groove for guiding the ball 211 formed on the lower surface of the hub 11 is formed on the upper surface of the base plate 43 so as to be concentric with the cylindrical shaft 44. Is formed. The bearing portion 5 needs to rotate the rotor 3 with a small frictional force without any misalignment, and it is desirable to incorporate a rolling bearing. However, a commercially available rolling bearing in which a rolling element and a washer are unitized has a thickness of Is too thick to be incorporated into a generator of about 2 mm, so that the hub 11 and the base plate 43 are used as a bearing washer, and a ball 211 is incorporated between them to provide a bearing function. As described above, since the hub 11 rotates while being guided by the ball 211 around the bearing, it is not necessary to center the hub 11 with the center pin of the FDD. On the other hand, it is necessary to prevent the position of the center pin from being restricted by any member. The inner diameter of the cylindrical shaft 44 is set to be larger than the outer diameter of the center pin by a predetermined amount so that the center pin does not come into contact. Is used. The upper portion of the cylindrical shaft has a flange for guiding a protruding portion on the inner diameter side of the hub 11 to prevent the hub 11 from being displaced or falling off.
[0021]
As described above, since the IC card is set below the main surface 103 to which the generator 2 is attached in the thickness direction, the influence of the magnetism from the permanent magnet 12 must be prevented. In a place where the salient poles 412 are arranged below the permanent magnet 12, since the magnetic flux flows through the salient poles, no leakage magnetic flux leaks below the salient poles 412, but in a place where the salient poles 412 are not arranged, A magnetic shield is required so as not to leak magnetic flux. For this reason, the base plate 43 is formed of a soft magnetic material so as to occupy a space without the salient poles 412 in a range wider than the projected area of the permanent magnet 12 so as to perform the function of the magnetic shield. Further, when the base plate 43 and the salient poles 412 are set together in a molding machine and cast and integrated with a resin 451, the bending rigidity of the salient poles 412 is increased, and the bending of the salient poles 412 due to the attractive force of the permanent magnets 12 is increased. Deformation can be suppressed.
[0022]
The base plate 43 also has the function of a bearing washer of a rolling bearing as described above, and the ball 212 that has received a thrust load or the like due to the attraction force of the permanent magnet 12 rolls and runs in the groove. For this reason, it is necessary to prevent the occurrence of wear, plastic deformation, and indentation due to the contact pressure. For this purpose, the allowable hertz stress of the base plate groove must be equal to or greater than the generated hertz stress. In order to increase the allowable Hertz stress, it is necessary to increase the contact surface hardness, and it is preferable to use as hard as possible a soft magnetic material as the base plate material, and it is preferable to use magnetic stainless steel. From the viewpoint of magnetic characteristics, in order to reduce the cogging torque due to the salient poles 412, it is preferable that the saturation magnetic flux density Bs is higher in order to reduce the cogging torque. In order to reduce the rotational resistance torque due to the residual magnetism, the smaller the coercive force Hc, the better. For this reason, ferrite-based magnetic stainless steel, for example, SUS430 is preferably used, and it is desirable that the surface be hardened by further nitriding.
[0023]
As described above, a soft magnetic material such as permalloy, electromagnetic soft iron, a cold-rolled steel plate, or a silicon steel plate is generally used for a stator used in an electromagnetic rotating machine. FIG. 4 is a plan view showing a state where the salient poles 412 and the back yoke 413 constituting the right stator unit 4R in the generator 2 are combined. As can be seen from FIGS. It is a three-dimensionally bent shape. Therefore, it is preferable that the salient pole 412 be made of a material that can be bent by a room-temperature press without passing through a new process such as softening annealing that leads to an increase in cost. Naturally, it is important to efficiently convert a change in magnetic flux generated by the rotor into an electromotive force, and it is desirable that the saturation magnetic flux density Bs be 1.2 T or more. Considering these points, the salient pole 412 is made of electromagnetic soft iron (SUYP) which has good workability at normal temperature, a large saturation magnetic flux density Bs of about 2T, and a small coercive force.
[0024]
Since electromagnetic soft iron is inferior to permalloy in corrosion resistance, it is desirable to use anti-corrosion treatment. As the anticorrosion treatment for the magnetic material, Ni plating is generally used, and this is adopted also in this example. In Patent Literature 2, plating is performed in the state of a strip material, and then punching is performed by a press. However, the material surface is exposed in the punched cross section. On the other hand, in this example, each salient pole member is individually punched out by a press or prepared by machining or the like, and plated to prevent the material from being exposed. As a result, even after a lapse of time after production, rust does not occur or corrode, and abnormal pieces such as peeled rust and plated films that have fallen from the corroded portion cause gaps between the permanent magnet 12 and the salient poles 412 and the like. There is no possibility of causing troubles in the magnetic circuit or mechanically by entering the bearing portion 5. In order to reliably form a plating film on the entire surface of the salient pole 412, it is preferable to perform plating after forming a predetermined shape by bending. As the Ni plating, electroless plating, which is more excellent in corrosion resistance and can form a film almost uniformly on the entire surface even in a complicatedly bent shape such as the present salient pole, is preferable to electrolytic (electro) plating.
[0025]
By the way, when a soft magnetic material is rolled or machined such as a press for punching a part out of the strip, the permeability decreases due to processing strain. In a generator, when the magnetic permeability of the salient pole is low, the inductance of the stator decreases, and the output of the generator decreases. For this reason, it is desirable to press the salient pole 412 into a predetermined shape and then perform magnetic annealing to recover the magnetic permeability. Generally, magnetic annealing of magnetic soft iron is performed at about 800 ° C.
[0026]
As described above, when manufacturing the salient pole 412 for the generator, the electromagnetic soft iron was punched out and bent by a press, then magnetically annealed at 850 ° C. × 2 hours, and subjected to electroless Ni—P plating. When the inductance after each step was measured, it was found that the inductance after plating was 2% lower than that after magnetic annealing. In the case of a small-sized generator having a structurally extreme design as in this example, this reduction is a problem. Therefore, in order to recover the magnetic properties to the same level as at the time of the magnetic annealing, annealing was performed again after plating. In order to obtain an appropriate re-annealing temperature, an experiment was performed by changing the temperature from 400 ° C. to 900 ° C. every 100 ° C. (Experiment 1). The holding time was 2 hours. In Experiment 1 column of Table 1 below, the measurement results of the inductance after each processing step from pressing of the salient pole 412 to re-annealing are shown. The inductance was measured by extracting the salient poles at positions (2) and (7) shown in FIG. 4 as samples from the salient poles 412 after each step, and inserting them into a measurement coil. In Table 1, together with the measured value (mH) of the inductance, the measured value after each treatment when the measured value after the magnetic annealing is set to the reference value 1 is also represented as a ratio.
[0027]
[Table 1]
[0028]
It can be seen from Table 1 that if the re-annealing is performed at 700 ° C. or higher, preferably 800 ° C. or higher, the inductance can be recovered to almost the value after the magnetic annealing. In addition, it is also found that the re-annealing at 400 to 600 ° C. results in a decrease in the reverse. Further, the melting point of the electroless Ni-P plating film was about 890 ° C., and in this experiment, melting was observed in a part of the plating film under the heat treatment condition of 900 ° C. That is, in the electroless Ni-P plating, heat treatment cannot be performed at 950 ° C. as shown in Patent Document 2, but on the contrary, it is advantageous in terms of the cost of a separate furnace having a low temperature.
[0029]
However, performing magnetic annealing, re-annealing after plating, and annealing twice is counter to cost reduction. Therefore, it was studied to perform annealing only once. Therefore, an experiment was performed to determine whether or not predetermined magnetic characteristics could be obtained only by performing annealing after plating without performing magnetic annealing after pressing (Experiment 2). The annealing conditions in Experiment 2 were 850 ° C. × 2 hours, the same as the magnetic annealing in Experiment 1. The measurement results are shown in the experiment 2 column of Table 1. Although the inductance after pressing and the inductance after plating have almost the same low value, it can be seen that the annealing after plating can recover to almost the same inductance as the magnetic annealing in Experiment 1. In other words, when manufacturing a component that is processed by soft magnetic material and plated, even if the same one-time annealing is performed, it is better to perform after processing and plating than after performing processing and then performing plating. Also, the magnetic properties can be improved. Although only one type of annealing was performed at 850 ° C. in Experiment 2, it is considered that the same effect can be obtained at a re-annealing temperature of 700 to 900 ° C. that was effective in Experiment 1.
[0030]
As described above, the salient poles 412 of the stator 4 used in the present generator are bent at the front end due to the space, and the coil 414 can be inserted only from the rear end when forming the stator 4. 413 is set after the coil 414 is inserted. Therefore, it is preferable to manufacture the back yoke 413 in the same manner as the salient pole 412. When the coil can be inserted from the front end of each salient pole, the back yoke may be set at the rear end of each salient pole and connected, and then plating and annealing may be performed.
[0031]
【The invention's effect】
As described above, according to the stator manufacturing method of the permanent magnet type electromagnetic rotating machine of the present invention, since the soft magnetic iron having good bending workability is used as the salient pole material, it is formed into a complicated shape without performing soft annealing. This can save extra heat treatment costs. In addition, since the anticorrosion treatment is performed by electroless Ni plating, a film can be formed on the entire surface of the salient pole having a complicated shape, and rust and corrosion can be prevented even after a lapse of time, and the magnetic and mechanical reliability is high. . In addition, since the annealing may be performed only once and the temperature is performed at a relatively low temperature of 900 ° C. or less, the operating cost of the furnace can be suppressed.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a plan view of a cassette provided with a generator according to an embodiment; FIG. 2 is a view showing an arrangement in the cassette when an upper cover of the cassette is removed; FIG. FIG. 4 is an enlarged view of the generator 2 in a KK cross-sectional view. FIG. 4 is a plan view showing a state in which salient poles of a stator and a back yoke are combined in the embodiment. FIG. Figure showing an example of a cassette incorporating a generator.
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 ... Cassette, 2, 20 ... Generator, 3, 30 ... Rotor, 4, 40 ... Stator,
5, 50: bearing portion, 10: concave portion, 11: hub, 12: permanent magnet,
13: chucking hole, 43: base plate, 102: top cover,
101: body part, 103: main surface, 211: ball, 412: salient pole,
414: coil, 413: back yoke, 90: conventional cassette example,
91: a conventional rotor example; 92: a conventional stator example; 93: a conventional generator example;