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JP2004180363A - 電力系統の逆相分電圧補償システム - Google Patents

電力系統の逆相分電圧補償システム Download PDF

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JP2004180363A JP2002340836A JP2002340836A JP2004180363A JP 2004180363 A JP2004180363 A JP 2004180363A JP 2002340836 A JP2002340836 A JP 2002340836A JP 2002340836 A JP2002340836 A JP 2002340836A JP 2004180363 A JP2004180363 A JP 2004180363A
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忠士 松本
Seishi Tange
誠視 丹下
Toshio Nomura
俊夫 野村
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Abstract

【課題】逆相分電圧を補償することにより、需要家内の負荷に、平衡3相電圧を供給して、安全運転を行う電力系統の逆相分電圧補償システムを得る。
【解決手段】電力系統における受電点の受電電圧を検出する変成器12−1,12−2,12−3と、検出された受電電圧から逆相分電圧を演算し、当該逆相分電圧を増幅して出力する逆相分電圧検出器18と、出力された逆相分電圧を補償対象系統に注入して、受電点の受電電圧の補償を行う逆相分電圧補償入力装置14とを備え、対象負荷17には逆相分電圧を相殺するようにしたシステムである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力系統の逆相分電圧(あるいは電流)補償システムに関し、特に、需要家の受電電圧の逆相分電圧補償システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的な従来の需要家における受電点における電力系統における負荷として、電灯照明等の単相負荷、誘導電動機のような3相電力負荷などが存在し、それぞれ、3相電源から電力を得ている。3相電圧は、元々の電源では、平衡しているものであるが、全体の各相の負荷量により、需要家の受電点では、平衡が崩れる場合が一般的であると言っても過言ではない。即ち、他の需要家における負荷が取っている負荷の不平衡、送電線または配電線に接続されている全ての負荷の不平衡状態、自分の需要家の負荷の不平衡等が、各送電線に設けられた線路インピーダンスにより、需要家の受電点においては、3相電圧の平衡が崩れることになる(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】
M. Shan Griffith、“A Penetrating Gaze at One Open Phase: Analyzing the Polyphase Induction Motor Dilemma”、Nov./Dec. 1977、IEEE Transactions on Industry Applications、Vol. lA−13、No. 6
【0004】
従来の需要家の受電点保護は、保護継電器や、不足電圧/過電圧継電器などで保護されているが、3相不平衡電圧の保護は、積極的に実施されていない。
【0005】
ただし、従来の設備においては、誘導電動機設置場所において、個々の誘導電動機に対して、逆相分過電流継電器が適用されているが、逆相分電圧(或は電流)補償までは実施されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような従来の受電形態では、受電点における3相電圧が不平衡であれば需要家内の設備、特に、3相誘導電動機に悪影響を与えるという問題点があった。
【0007】
3相不平衡が醸し出す悪影響は、3相誘導電動機の他に、3相誘導電動機が焼損にいたらないとしても、不必要な電力を消費し、当該需要家は余分な電気代を支払う事になり、また、この不平衡電流は、配電または送電系統の不平衡電圧を増長させ、他の需要家へも悪影響を与える事になるとう問題点があった。
【0008】
この不平衡電流は配電線または送電線のワットロスをも増加させ、電力供給者側も電力流通過程のロスを発生させ、不必要なエネルギーを消費する事になるという問題点もあった。
【0009】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、逆相分電圧補償器を設置することにより、需要家内の負荷に、平衡3相電圧を供給して、安全運転が可能な電力系統の逆相分電圧補償システムを得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、負荷設備が接続された電力系統における受電点の受電電圧を検出する受電電圧検出手段と、検出された上記受電電圧から逆相分電圧を演算する逆相分電圧演算手段と、上記逆相分電圧の値に基づく電圧を補償対象系統に注入して、受電点の受電電圧の補償を行う逆相分電圧補償入力手段とを備え、上記負荷設備には逆相分電圧を相殺して電力を供給するようにした電力系統の逆相分電圧補償システムである。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明に係わる電力系統の逆相分電圧補償システムは、需要家などの電力系統において、3相不平衡電圧を補償する必要のある点、例えば、需要家の受電点、或は、3相誘導電動機設置点などにおいて、線路電圧に含まれる逆相分電圧を、電圧あるいは電流から検出し、その点へ強制的に逆相分電圧で補償をかけ、逆相分電圧を相殺し、3相平衡電圧を負荷に供給できるようにするものである。
【0012】
なお、参考までに、従来装置における逆相分電圧の悪影響を図18に示す。図18は、3相誘導電動機で、拘束電流が定格電流の6倍の電動機の場合における、供給電圧の中に含まれる逆相分電圧の割合に対して、入力電流の増加の度合いを示した図である。図18からわかるように、1%の逆相分電圧V(V:0.01)でも、入力電流は7%(入力電流の合計:1.07)も増加することがわかる。逆相分電圧Vが、せいぜい2%以下程度(V:0.02以下)であれば、誘導電動機は何とか持ちこたえられる程度のものである(入力電流の合計:1.14以下)。5%も逆相分電圧Vが含まれると(V:0.05)、入力電流は35%も増加して(入力電流の合計:1.35)、その誘導電動機は早々に焼損することになり、逆相分電圧の脅威が明白に理解できる。このことを鑑みて、以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、この発明の実施の形態1に係わる逆相分電圧補償システムを示した構成図である。図1において、3相電源1−1、1−2、1−3に、送電線(または配電線)2−1、2−2、2−3が接続されており、当該送電線2のそれぞれには、線路インピーダンス4−1、4−2、4−3が設けられている。送電線2には、3相の引込み線5により、他の需要家6の負荷が接続されている。なお、7−1、7−2、7−3は、他の負荷への電力を供給する送電線または配電線を示す。
【0014】
また、8−1、8−2、8−3は負荷引込線で、受電点には、受電保護用に遮断器9が設けられている。11−1、11−2、11−3は受電点から後述する逆相分電圧補償入力装置14への接続線を示し、15−1、15−2、15−3は当該逆相分電圧補償入力装置14から負荷17への接続線を示している。
【0015】
図1において、12−1、12−2、12−3は、受電点の受電電圧を検出するための変成器(PT)である。18は、逆相分電圧の検出を行い、補償に必要な値まで検出した逆相分電圧を増幅する逆相分電圧検出器を示し、14は、逆相分電圧検出器18から出力された逆相分電圧を補償対象系統に注入して、受電点へ強制的に補償をかけ、逆相分電圧を相殺するための逆相分電圧補償入力装置を示す。
【0016】
図1において、変成器12−1、12−2、12−3から導入された負荷点の受電電圧である3相の電圧Va、Vb、Vcは逆相分電圧検出器18へ導入され、補償に必要な逆相分電圧(大きさ、位相)に増幅され、逆相分電圧補償入力装置14へ導かれ、対象の系統電圧を補償する。
【0017】
図1の逆相分電圧検出器18は、図2に示す構成となっている。図2において、符号18−2は、3相の電圧Va,Vb,Vcから逆相分電圧Vを導出する回路を構成している演算回路である。なお、導出方法については、図6を用いて後述する。18−31、18−32、18−33は、検出された逆相分電圧Vの補償量および位相を指令する指令器、18−41、18−42、18−43は、指令器18−31、18−32、18−33の指令に基づいて、補償に必要な値まで逆相分電圧を増幅させて出力することにより、結果的に、補償対象系統に逆相分電圧Vを注入する事を可能とする増幅器を示す。なお、増幅器18−41、18−42、18−43からは、逆相分電圧Vを増幅させた△Va、△Vb、△Vcとして出力する。
【0018】
図3は、逆相分電圧補償入力装置14の内部構成を示した図である(なお、以下の実施の形態でもこの構成とする)。逆相分電圧補償入力装置14は、逆相分電圧検出器18から出力された逆相分電圧Vを増幅させた△Va、△Vb、△Vcが入力されて、それを用いて補償対象系統15−1,15−2,15−3の系統電圧に補償をかけ、負荷17には逆相分電圧を相殺するようにするものである。なお、図3において、14−11、14−21、14−31は系統1次側巻線、14−12、14−22、14−32はその鉄心、14−13、14−23、14−33は系統2次巻線である。14−15、14−25、14−35は補償1次巻線、14−14、14−24、14−34はそれぞれの鉄心、14−13、14−23、14−33は補償2次巻線を示す。
【0019】
図3において、鉄心14−13と14−14とは磁気的に無結合な構造となっている。また、鉄心14−22と14−24及び14−32と14−34も同様な構造となっている。
【0020】
図4は、対象座標法の公式を示す。各相の電圧は公式1で表され、また各相の電圧から、零相分、正相分及び逆相分電圧が導出可能な事を説明している。
【0021】
図5は、図4の式6の逆相分電圧をベクトルで表した場合を示している。なお、図5において、(a)は正常な相順の場合を示し、(b)は逆の相順の場合を示している。即ち、系統電圧Va、Vb、Vcに逆相分電圧が含まれていない場合には、V=0となる事を表している。一方、逆相分の最も極端な例として相順が逆となった場合は、系統電圧Vaがそのまま、逆相分電圧Vとなる事を表現している。
【0022】
逆相分電圧を検出する方法としては、図4および図5をそのまま適用しても実現可能であるが、二つの相(B相とC相)に対し、ベクトル操作が2つ必要となり、装置を構成する上でコスト高となる。そこで、本発明では、B−C相を一つの相として扱う方法を採用する。
【0023】
ただし、この方法は、零相分を無視可能な電力系統に限定されるが、日本における高圧系統は、非接地系統なので、当該方法で問題はない。
【0024】
図6(a)は、3相の系統電圧から逆相分電圧を検出する方法を示す。図6(a)において、A相には補助変成器61(Aux.PT)をおいて、その2次側にVas(符号62)を作り、B相とC相との間にはコンデンサー(C)63を置き、コンデンサー63を流れる電流を、補助変流器(Aux.CT)64の1次で採取し、減極性の補助変流器64の2次側に電流−ibcs(符号65)を導出し、抵抗R(符号66)の両端に電圧Vbcs=−ibcsR を作り出す。
【0025】
このVasとVbcsのベクトル和を作り、逆相分電圧Vを合成する。勿論、VasとVbcsはスカラー量は同じとなる様に設計する。図6(b)に示すように、正相の場合には、V=0となるが、逆相時には、図6(c)に示すように、V=2Vaとなる。
【0026】
図7は、線路電流から逆相分電圧を検出する方法を説明したものである。図7において、A相には補助変流器(Aux.CT)71を、B相、C相には、1次側が2巻線型のギャップ付補助変流器(Aux.GapCT)72,73を置き、B相基準で2次側は減極性とし、Ib−Ic入力で、2次側には−jωM(Ib−Ic)の電圧が図示のように発生するように作る。
【0027】
このように構成する事により、正相時には、V=0となり、逆相時にはV=2Vaとなる。
【0028】
以上のように、本実施の形態においては、3相電力系統において、負荷点の受電電圧Va,Vb,Vcから逆相分電圧Vを導出する導出回路18−2を備え、その検出された逆相分電圧Vを増幅器18−41,18−42,18−43により増幅し、逆相分電圧補償入力装置14により当該負荷点に強制的に逆相分電圧で補償をかけ、負荷17には逆相分電圧を相殺するようにしたので、需要家の負荷に、特に、3相誘導電動機、3相同期電動機などの3相回転機器を有する場合、平衡3相電圧を供給することが可能となり、3相回転機器が過負荷に陥らず、安全運転が可能となる。
【0029】
逆相分電圧の補償をかける事により、対象設備の寿命は延び、需要家としては、設備交換の時期を延期する事が可能となり、資源の有効活用につながる。
【0030】
また、3相回転機器以外にも、例えば、3相整流器などにおいても、各相の電圧の大きさ、位相が正しく平衡する為、特定な相のリップルが発生しなくなり、安定した直流を得る事が可能となる。
【0031】
更に、不平衡が解消される為、上位の電源系に対しても逆相分電圧から余分に発生していた電流が解消され、線路の送電ロスの低減の効果がある。
【0032】
また、不平衡が解消される為、他の需要家に対しても、不平衡電圧の拡散、拡大を防止可能となり、他の需要家の3相機器に対しても、安定した環境を提供する事が可能となる。
【0033】
実施の形態2.
図8は、この発明の実施の形態2に係わる逆相分補償システムを示した構成図である。なお、図8において、図1と同一の構成については、同一符号を付して示し、ここでは説明を省略する。
【0034】
図8において、符号16−1、16−2、16−3は、逆相分電圧補償入力装置14と負荷17との間の接続線15−1,15−2,15−3に接続され、補償後の3相電圧を検出する変成器(PT)である。本実施の形態においては、これらの変成器16−1、16−2、16−3の2次側の電圧を取り出し、この点における逆相分電圧を検出し、図1に示した実施の形態1で補償された逆相分電圧が適正か否かを逆相分電圧検出器18により判定する。即ち、フィードバックをかけることにより、最適な補償を行うものである。
【0035】
図9は、図8の逆相分電圧検出器18の構成を具体的に示した構成図である。なお、図9において、図2と同一の構成については、同一符号を付して示し、ここでは説明を省略する。図9において、18−5は、変成器16−1,16−2,16−3によって検出された電圧Va’、Vb’、Vc’が入力されて、それにより、逆相分電圧Vを演算する演算回路である。演算方法は、上記の演算回路18−1と同様に行う。このように、変成器16−1,16−2,16−3によって検出される補償後の電圧Va’、Vb’、Vc’から逆相分電圧を導出し、補償の適性を評価する。導出された当該逆相分電圧は、補償量設定器18−31、18−32、18−33に戻され、そこで、加算/減算を行い、補償値の修正を行うものである。このようにする事により、更に適性な逆相分電圧の補償が可能となる。
【0036】
以上のように、本実施の形態においては、3相電力系統において、受電点の受電電圧から逆相分電圧を導出する演算回路18−2を備え、その検出された逆相分電圧を増幅し、受電点電圧に補償をかけ、負荷設備には逆相分電圧を相殺するようにするとともに、さらに、補償後の3相電圧中の逆相分電圧の含有度合いを監視するようにしたので、需要家の負荷に、平衡3相電圧を供給することが可能となり、3相回転機器が過負荷に陥らず、安全運転が可能となる。
【0037】
実施の形態3.
図10は、この発明の実施の形態3に係わる逆相分補償システムを示した構成図である。なお、図10において、図1および図8と同一の構成については、同一符号を付して示し、ここでは説明を省略する。
【0038】
上記の実施の形態においては、受電電圧から逆相分電圧を導出する例について説明したが、本実施の形態は、逆相分の補償を系統の電流の中から導出するものである。図10において、13−1、13−2、13−3は、接続線11−1,11−2,11−3に接続され、受電点の受電電流Ia,Ib,Icを検出する変流器(CT)であり、この検出された電流を逆相分電圧検出器18に導入し、前述の図7でのべた方法で、電流中の逆相分を導出し補償を行うものである。
【0039】
図11は、図10の逆相分電圧検出器18の構成を具体的に示した構成図である。なお、図11において、図2および図9と同一の構成については、同一符号を付して示し、ここでは説明を省略する。図11において、18−1は、逆相分電流I2を演算する演算回路である。本実施の形態は、系統電流Ia,Ib,Icから、逆相分電流I2を検出し、さらに、前述の図7でのべた方法で、逆相分電圧を導出し、指令器18−31,18−32,18−33に導き、そこで、逆相分電圧の補償量および位相が指令され、増幅器18−41,18−42,18−43で補償量を作り出し、逆相分電圧を補償するものである。この方法は、負荷側の各相にバラツキがあり、電圧のみでは、完全に負荷に対する補償が出来ない場合に適する。
【0040】
以上のように、本実施の形態においては、3相電力系統において、負荷点の受電電流から逆相分電流を導出する演算回路18−1を備え、その検出された逆相分電圧を増幅し、負荷点電流に補償をかけ、負荷設備には逆相分電流を相殺するようにしたので、需要家の負荷に、平衡3相電圧を供給することが可能となり、3相回転機器が過負荷に陥らず、安全運転が可能となる。
【0041】
実施の形態4.
図12は、この発明の実施の形態4に係わる逆相分電圧補償システムを示した構成図である。なお、図12において、図10と同一の構成については、同一符号を付して示し、ここでは説明を省略する。
【0042】
図12において、16−1、16−2、16−3は、上記実施の形態2で示した変成器であり、補償後の電圧から逆相分電圧を検出し、補償設定器にフィードバックをかけ、最適な補償を行うものである。実施の形態3における図10の構成との違いは、当該変成器16−1,16−2,16−3が追加されている点である。
【0043】
図13は、図12の逆相分電圧検出器18の構成を具体的に示した構成図である。なお、図13において、図9および図11と同一の構成については、同一符号を付して示し、ここでは説明を省略する。図13の構成は、図11の構成に、図9と同様に、逆相分電圧Vの導出回路である演算回路18−5をさらに設けたものである。
【0044】
以上のように、本実施の形態においては、3相電力系統において、受電点の受電電流から逆相分電圧を導出する演算回路18−1を備え、その検出された逆相分電圧を増幅し、負荷点電圧に補償をかけ、負荷17には逆相分電圧を相殺するようにするとともに、補償後の3相電圧中の逆相分電圧の含有度合いを監視するようにしたので、需要家の負荷に、平衡3相電圧を供給することが可能となり、3相回転機器が過負荷に陥らず、安全運転が可能となる。
【0045】
実施の形態5.
図14は、この発明の実施の形態5に係わる逆相分補償システムを示した構成図である。なお、図14において、図1、図8、図10,図12と同一の構成については、同一符号を付して示し、ここでは説明を省略する。
【0046】
図14は、逆相分の補償量を、線路電圧と線路電流の両方から得る場合の構成図を示すものである。即ち、いずれか一方のみの状態では、充分な補償量が期待出きない場合に適用するものである。なお、図14の構成は、図10の構成に図1で示した変成器12−1、12−2、12−3を追加したものである。
【0047】
例えば、補償を必要とする対象機器側の相故障では、電流のアンバランスは大きいが、電圧は系統電圧に引っ張られ、正相状態に近い状態をキープしている場合などに有効である。
【0048】
図15は、図14の逆相分電圧検出器18の内部構成を示したものである。なお、図15において、図2、図9、図11、図13と同一の構成については、同一符号を付して示し、ここでは説明を省略する。なお、図15において、18−2は、負荷点の受電電圧から逆相分電圧を導出する演算回路であり、負荷点の受電電流から逆相分電圧を導出する演算回路である。即ち、線路電流から検出された逆相分の他に、線路電圧から検出された逆相分も指令器18−31,18−32,18−33に加算し、逆相分補償量を決定するものである。
【0049】
以上のように、本実施の形態においては、3相電力系統において、負荷点の受電電圧から逆相分電圧を導出する演算回路18−2と、負荷点の受電電流から逆相分電圧を導出する演算回路18−1との両方を備え、夫々の検出された逆相分電圧を増幅し、負荷点電圧に補償をかけ、負荷設備には逆相分電圧を相殺するようにしたので、需要家の負荷に、平衡3相電圧を供給することが可能となり、3相回転機器が過負荷に陥らず、安全運転が可能となる。
【0050】
実施の形態6.
図16は、この発明の実施の形態6に係わる逆相分補償システムを示した構成図である。なお、図16において、図1、図8、図10、図12、図14と同一の構成については、同一符号を付して示し、ここでは説明を省略する。
【0051】
図16の構成は、図14の構成に、さらに、図12で示した変成器16−1、16−2、16−3をさらに追加したものである。すなわち、図16では、前述の図14に、逆相分補償後の状態を監視し、逆相分補償の過不足を監視し、補償量設定器にフィードバックをかけ、最適な補償を行うものである。
【0052】
図17は、図16の逆相分電圧検出器18の構成を示したものである。なお、図17において、図2、図9、図11,図13、図15と同一の構成については、同一符号を付して示し、ここでは説明を省略する。本実施の形態においては、補償量を決定する為に、補償前の電圧と電流と、補償後の電圧を監視し、それをフィードバックさせ、密度の高い逆送分電圧補償をかけるものである。
【0053】
以上のように、本実施の形態においては、3相電力系統において、負荷点の受電電圧から逆相分電圧を導出する演算回路18−2と、負荷点の受電電流から逆相分電圧を導出する演算回路18−1との両方を備え、それぞれの検出された逆相分電圧を増幅し、負荷点電圧に補償をかけ、負荷設備には逆相分電圧を相殺するようにし、さらに、補償後の3相電圧中に逆相分電圧の含有度合いを監視するようにしたので、需要家の負荷に、平衡3相電圧を供給することが可能となり、3相回転機器が過負荷に陥らず、安全運転が可能となる。
【0054】
【発明の効果】
この発明は、負荷設備が接続された電力系統における受電点の受電電圧を検出する受電電圧検出手段と、検出された上記受電電圧から逆相分電圧を演算する逆相分電圧演算手段と、上記逆相分電圧の値に基づく電圧を補償対象系統に注入して、受電点の受電電圧の補償を行う逆相分電圧補償入力手段とを備え、上記負荷設備には逆相分電圧を相殺して電力を供給するようにした逆相分補償システムであるので、逆相分電圧補償器を設置することにより、需要家内の負荷に、平衡3相電圧を供給して、安全運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係わる電力系統の逆相分電圧補償システムの構成を示した構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わる逆相分電圧検出器の構成を示した構成図である。
【図3】この発明の逆相分電圧補償入力装置の構成を示す構成図である。
【図4】この発明に関係する対象座標法における代表的な公式を示したものである。
【図5】逆相分電圧(電流)のベクトルを示した説明図である。
【図6】3相電圧から逆相分電圧を導出する一例を示した説明図である。
【図7】3相電流から逆相分電流を電圧として導出する一例を示した説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係わる電力系統の逆相分電圧補償システムの構成を示した構成図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係わる逆相分電圧検出器の構成を示した構成図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係わる電力系統の逆相分電圧補償システムの構成を示した構成図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係わる逆相分電圧検出器の構成を示した構成図である。
【図12】この発明の実施の形態4に係わる電力系統の逆相分電圧補償システムの構成を示した構成図である。
【図13】この発明の実施の形態4に係わる逆相分電圧検出器の構成を示した構成図である。
【図14】この発明の実施の形態5に係わる電力系統の逆相分電圧補償システムの構成を示した構成図である。
【図15】この発明の実施の形態5に係わる逆相分電圧検出器の構成を示した構成図である。
【図16】この発明の実施の形態6に係わる電力系統の逆相分電圧補償システムの構成を示した構成図である。
【図17】この発明の実施の形態6に係わる逆相分電圧検出器の構成を示した構成図である。
【図18】3相誘導電動機における逆相分電圧の入力電流への影響を示した説明図である。
【符号の説明】
1−1,1−2,1−3 3相電源、2−1,2−2,2−3 送電線(配電線)、4−1,4−2,4−3 線路インピーダンス、5 需要家の引込線、6他の需要家、7−1,7−2,7−3 他の負荷へ電力を供給する送電線(配電線)、8−1,8−2,8−3 引込線、9 対象需要家の受電保護用の遮断器、11−1,11−2,11−3 受電点から負荷への接続線、12−1,12−2,12−3 変成器、13−1,13−2,13−3 変流器、14 逆相分電圧補償入力装置、14−11,14−21,14−31 連系トランスの系統側一次巻線、14−12,14−22,14−32 同トランスの鉄心、14−13,14−23,14−33 同トランスの二次巻線、14−14,14−24,14−34 補償トランスの鉄心、14−15,14−25,14−35 同トランスの一次巻線、14−16,14−26,14−36 同トランスの二次巻線、15−1,15−2,15−3 逆相分電圧補償入力装置から負荷への接続線、17 負荷、18−1,18−2,18−5 演算回路、18−31,18−32,18−33 指令器、18−41,18−42,18−43 増幅器。

Claims (4)

  1. 負荷設備が接続された電力系統における受電点の受電電圧を検出する受電電圧検出手段と、
    検出された上記受電電圧から逆相分電圧を演算する逆相分電圧演算手段と、
    上記逆相分電圧の値に基づく電圧を補償対象系統に注入して、受電点の受電電圧の補償を行う逆相分電圧補償入力手段と
    を備え、
    上記負荷設備には逆相分電圧を相殺して電力を供給するようにしたことを特徴とする電力系統の逆相分電圧補償システム。
  2. 負荷設備が接続された電力系統における受電点の受電電流を検出する受電電流検出手段と、
    検出された上記受電電流から逆相分電圧を演算する逆相分電圧演算手段と、
    上記逆相分電圧の値に基づく電圧を補償対象系統に注入して、受電点の受電電圧の補償を行う逆相分電圧補償入力手段と
    を備え、
    上記負荷設備には逆相分電圧を相殺して電力を供給するようにしたことを特徴とする電力系統の逆相分電圧補償システム。
  3. 負荷設備が接続された電力系統における受電点の受電電圧を検出する受電電圧検出手段と、
    上記電力系統における上記受電点の受電電流を検出する受電電流検出手段と、
    検出された上記受電電圧から第一の逆相分電圧を演算するとともに、検出された上記受電電流から第二の逆相分電圧を演算する逆相分電圧演算手段と、
    上記第一および第二の逆相分電圧の値に基づく電圧を補償対象系統に注入して、受電点の受電電圧の補償を行う逆相分電圧補償入力手段と
    を備え、
    上記負荷設備には逆相分電圧を相殺して電力を供給するようにしたことを特徴とする電力系統の逆相分電圧補償システム。
  4. 上記逆相分電圧補償入力手段と負荷との間に設けられ、補償後の逆相分電圧を検出する補償後受電電圧検出手段と
    をさらに備え、
    補償後の電圧中の逆相分電圧の含有度合いを監視する事を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電力系統の逆相分電圧補償システム。
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