JP2004177278A - 小型反応分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型反応分析装置において、セル内の種々の試料を正確に分析するために赤外吸収スペクトル分析およびラマンスペクトル分析をいずれも反応中(in−situ)も適宜に正確に行なえるように小型反応分析装置を構成することである。
【解決手段】減衰全反射型の赤外吸収スペクトル分析計のプリズム型プローブ(IRプローブ2)を、これに通過する赤外線の全反射面が反応容器1の底面と同一平面を形成するように容積0.01〜10mlの反応容器1と一体に設け、反応容器1の側面には測光窓9を設け、この測光窓9にラマンスペクトル分析計のステンレス鋼材で筒状の測光用の光伝送路8を接続してなる小型反応分析装置とする。反応容器1に侵入するレーザー光と赤外線は、侵入方向が交差し、かつ赤外線の侵入深さは極めて浅いので、相互に影響することはなく、赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルのそれぞれの測定結果は正確に得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】減衰全反射型の赤外吸収スペクトル分析計のプリズム型プローブ(IRプローブ2)を、これに通過する赤外線の全反射面が反応容器1の底面と同一平面を形成するように容積0.01〜10mlの反応容器1と一体に設け、反応容器1の側面には測光窓9を設け、この測光窓9にラマンスペクトル分析計のステンレス鋼材で筒状の測光用の光伝送路8を接続してなる小型反応分析装置とする。反応容器1に侵入するレーザー光と赤外線は、侵入方向が交差し、かつ赤外線の侵入深さは極めて浅いので、相互に影響することはなく、赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルのそれぞれの測定結果は正確に得られる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、化学合成された少量の物質を鑑識もしくは検出し、または定性的もしくは定量的に識別するために用いる小型反応分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、有機合成化学の分野において、試験的に物質を合成しようとする場合に、小型の反応容器(反応セルとも別称される。)が用いられている。
【0003】
例えば、拡散反射方式のin−situ触媒反応セルは、フーリエ変換型赤外分光光度計の試料室に設置され、粉体の反射測定を高感度で行うためのin−situセルであり、耐腐食性材質で形成されており、ガスを導入し、触媒反応のシミュレーションを行うことができるものである。
【0004】
このようなセルは、必要に応じて容器の蓋など一部を一時的に開放して赤外線やUV光等による測定装置のプローブを試料に挿し入れ、測定を行なうことができる。
【0005】
因みに有機化合物は、赤外域において、必ずそのものの固有の振動スペクトルを有するので、その赤外吸収波長を測定することにより、定性分析ができ、また吸収の強さを測定することにより定量分析ができる。
【0006】
また、物質に特定波長のレーザーを当てると、分子に特有のスペクトルをもつラマン光が散乱される。このラマン光の強度は、レーザー強度と分子数に比例するから、そのスペクトルにより定量分析もでき、また、赤外線分光の対象よりも測定対象となる物質の種類は多い。
【0007】
セル内の試料分析に用いられる特定波長の光学系は、例えば赤外分光装置から照射される赤外線やラマンスペクトル分析に用いられるレーザー光である。レーザー光としては、He−Neレーザー、Ar+イオンレーザー、Kr+イオンレーザー、He−Cdレーザー、N2レーザーなどが挙げられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、セル内の試料を分析するために吸収スペクトルを測定するには、通常、特定波長の光を用いる測定装置のプローブを、開口部から反応容器に挿し入れて測定されるが、その際に恣意的な影響をさけて試料の略全体に、または無作為な箇所に光が当たるようにする必要があるので、2以上の吸収スペクトルを同時に測定することは困難である。
【0009】
また、プローブを反応容器の不特定箇所に挿し入れ、特定波長の光を試料の異なる部分に通過させることにより、2以上の特定波長域の吸収スペクトルを同時に測定できたとしても、赤外線吸収スペクトルとラマンスペクトルの波長域は一部に重複する区域もあり、光の干渉によって常に正確に各スペクトルを測定することは困難である。
【0010】
また、反応セルは、加熱や冷却および加圧などを調整するために、熱媒体の流通路、温度センサー、圧力センサーなどの多くの部品を配置する必要があるが、このような多くの部品と共に赤外分光装置やラマンスペクトル分析用のプローブを相互に影響し合わないように小型のセル内に配置することは容易なことではない。
【0011】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、小型反応分析装置において、セル内の種々の試料を正確に分析するために赤外吸収スペクトル分析およびラマンスペクトル分析をいずれも反応中(in−situ)も適宜に正確に行なえるように小型反応分析装置を構成することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明においては、減衰全反射型の赤外吸収スペクトル分析計のプリズム型プローブを、これに通過する赤外線の全反射面が反応容器の底面と同一平面を形成するように反応容器と一体に設け、前記反応容器の側面には測光窓を設け、この測光窓にラマンスペクトル分析計の測光用光伝送路を接続してなる小型反応分析装置としたのである。
【0013】
上記したように構成されるこの発明の小型反応分析装置は、減衰全反射型の赤外吸収スペクトル分析計のプリズム型プローブが、反応容器の底面と一体に同一平面を形成するように設けられているので、プリズム型プローブの一端から赤外光を内壁面で全反射を起こすように入射させると、赤外光の一部はプローブを通り抜け、その際に反応容器内の試料に例えば1μm程度侵入してから反射されてくる。このようにプローブから出てくる赤外光を分析装置に返すことにより、赤外吸収スペクトルを測定することができる。
【0014】
また、前記反応容器の側面からラマンスペクトル分析用のレーザー光を侵入させ、かつ測光窓から測光用光伝送路を介して反射光をラマンスペクトル分析計で分析することができる。
【0015】
その場合、反応容器に侵入するレーザー光と前記の赤外線は、侵入方向が交差しており、しかも赤外線の侵入の深さは極めて浅いので、相互に影響することはなく、赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルのそれぞれの測定結果は正確に得られる。
【0016】
また、上記の小型反応分析装置において、反応容器が、容積0.01〜10mlの容積の小型反応容器である場合にも、上記同様に赤外吸収スペクトル分析およびラマンスペクトル分析をいずれも正確に測定できる。
【0017】
また、上記の小型反応分析装置において、光伝送路がステンレス鋼材で筒状に形成されている構成を採用すると、耐熱および耐圧性にも優れており、実用性の高い反応分析装置となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明の実施形態を以下に添付の図面に基づいて説明する。
図1に示すように、反応容器1は、−20〜200℃程度の耐熱性があると共に例えば10kg/cm2以上の耐圧性のある素材からなり、例えばステンレス鋼材、ハステロイなどの金属製やセラミックスからなる容積0.01〜10ml程度の肉厚の円筒形のものである。そして、反応容器1の底面には、減衰全反射型の赤外吸収スペクトル分析計のプローブ(以下、IRプローブと略称する。)2を組み合わせ、反応容器1の側壁面と蓋4とを複数のボルト5で固定し、その周囲に耐熱性の断熱材からなるカバー3で完全に覆うことのできる密閉可能な耐熱・耐圧性容器としている。
【0019】
減衰全反射型の赤外吸収スペクトル分析計は、IRプローブ2として四角形錐台形状の結晶体からなるプリズム型プローブを採用し、これに通過する赤外線の全反射面が、反応容器1の内側の底面6と同一平面を形成するように、逆台形状でプリズム型のIRプローブ2を配置すると共に、その横にリング状の凹面鏡7および光伝送路16、17を設けている。
【0020】
プリズム型のIRプローブ2を形成する結晶体は、赤外光に対して透明な材質からなる屈折率が大きいものを採用すればよく、たとえば塩化ナトリウムや臭化カリウムの結晶体を用いることができる。
【0021】
そして、反応容器1の反応室10の側壁には耐熱・耐圧ガラス製の測光窓9を設け、この測光窓9にラマンスペクトル分析計に接続した測光用の光伝送路(ステンレス鋼管製で筒状のもの)8を接続している。
【0022】
測光窓9に臨む測光用の光伝送路8の先端には、レンズ11または複数の組み合わせレンズ(図示せず。)を片面が凸型となるように取り付け、試料に照射されたレーザー光が反射してラマン光が生じた際、できるだけ多くのラマン光を効率よく伝送するように構成する。
なお、ラマン光は、測光用の光伝送路8を通過し、その後は図外のモノクロメータで分光され、次いで光電子増倍管により検出され、さらに増幅器を経て記録計に至る。
【0023】
また、光伝送路8に対向する反応室10の側壁には、熱電対または温度センサー12を挿通させており、反応容器1の内部には、別途設けた温調器(図示せず。)から熱媒体を循環させる温調用配管13が貫通し、これは可及的に温度分布が生じないように配置されいる。
【0024】
さらにまた、反応容器1の内部には、反応する試料の攪拌のために電磁スターラーの本体14および攪拌用マグネット(図示せず。)を配置している。
【0025】
上記した構造の小型反応分析装置は、反応容器1内に被検査用に配合した合成用原料を収容し、または適宜に配管15から導入し、反応中は蓋4をボルト5で反応容器1の本体と固定して密閉し、さらに反応容器1の全体を断熱用のカバー3で覆い、温調用配管13内に所定温度の乾燥した空気または蒸気その他の熱媒体を通じ加熱すると共に、温度センサー12を用いて温度管理を行い、試料に所要の反応を進行させる。
【0026】
その際、所要の反応段階で生成された物質を調べる必要があるとき、適宜に赤外吸収スペクトル分析計もしくはラマンスペクトル分析計、またはこれらを同時に作動させて生成物質に固有の赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルのそれぞれを調べることができる。
【0027】
【実施例および比較例】
上述した実施形態の構造の反応容器1の反応室10内にトルエンを入れておき、蓋4をボルト5で密閉固定し、さらに反応容器1の全体を断熱性のカバー3で覆い、温調用配管13内に所定温度の乾燥した室温の空気を通じると共に、温度センサー12を用いて測温しながら赤外吸収スペクトルを調べ、この結果を図4に示した(実施例)。
【0028】
一方、比較のためにビーカーにトルエンを入れ、室温で標準プローブを用いて赤外吸収スペクトルを調べ、この結果を図4中に併記した(比較例)。
【0029】
また、実施形態の反応容器にトルエンを容れて密閉し、さらに反応容器1の全体を断熱用のカバー3で覆い、温調用配管13内に所定温度の乾燥した室温の空気を通じると共に、温度センサー12を用いて室温を確認してラマンスペクトルを調べ、この結果を図5に示した(実施例)。
【0030】
そして、比較のためにビーカーにトルエンを容れ、室温で標準プローブを用いてラマンスペクトルを調べ、この結果を図5中に併記した(比較例)。
【0031】
図4および図5の結果からも明らかなように、反応容器を用いて測定された赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルは、標準プローブを用いて測定された赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルと同じピークを読み取ることができ、各スペクトルは相互に影響せず、赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルのそれぞれの測定結果が正確に得られることが確認できた。
【0032】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように、赤外吸収スペクトル分析計のプリズム型プローブが、反応容器の底面と一体に同一平面を形成するように設けられ、かつ反応容器の側面にラマンスペクトル分析用のレーザー光を照射および返送する窓および測光用光伝送路を設けてラマンスペクトル分析計を接続しているので、反応容器に侵入するレーザー光と前記の赤外線は、侵入方向が交差し、かつ赤外線の侵入深さは極めて浅いので、相互に影響することはなく、赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルのそれぞれの測定は反応中でも適宜に正確にできるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の反応容器の縦断面図
【図2】実施形態の反応容器の横断面図
【図3】IRプローブおよび光伝送路を示す図1のIII−III線断面図
【図4】実施例および比較例のIRスペクトル
【図5】実施例および比較例のラマンスペクトル
【符号の説明】
1 反応容器
2 IRプローブ
3 カバー
4 蓋
5 ボルト
6 底面
7 凹面鏡
8、16、17 光伝送路
9 測光窓
10 反応室
11 レンズ
12 温度センサー
13 温調用配管
14 電磁スターラーの本体
15 配管
【発明の属する技術分野】
この発明は、化学合成された少量の物質を鑑識もしくは検出し、または定性的もしくは定量的に識別するために用いる小型反応分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、有機合成化学の分野において、試験的に物質を合成しようとする場合に、小型の反応容器(反応セルとも別称される。)が用いられている。
【0003】
例えば、拡散反射方式のin−situ触媒反応セルは、フーリエ変換型赤外分光光度計の試料室に設置され、粉体の反射測定を高感度で行うためのin−situセルであり、耐腐食性材質で形成されており、ガスを導入し、触媒反応のシミュレーションを行うことができるものである。
【0004】
このようなセルは、必要に応じて容器の蓋など一部を一時的に開放して赤外線やUV光等による測定装置のプローブを試料に挿し入れ、測定を行なうことができる。
【0005】
因みに有機化合物は、赤外域において、必ずそのものの固有の振動スペクトルを有するので、その赤外吸収波長を測定することにより、定性分析ができ、また吸収の強さを測定することにより定量分析ができる。
【0006】
また、物質に特定波長のレーザーを当てると、分子に特有のスペクトルをもつラマン光が散乱される。このラマン光の強度は、レーザー強度と分子数に比例するから、そのスペクトルにより定量分析もでき、また、赤外線分光の対象よりも測定対象となる物質の種類は多い。
【0007】
セル内の試料分析に用いられる特定波長の光学系は、例えば赤外分光装置から照射される赤外線やラマンスペクトル分析に用いられるレーザー光である。レーザー光としては、He−Neレーザー、Ar+イオンレーザー、Kr+イオンレーザー、He−Cdレーザー、N2レーザーなどが挙げられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、セル内の試料を分析するために吸収スペクトルを測定するには、通常、特定波長の光を用いる測定装置のプローブを、開口部から反応容器に挿し入れて測定されるが、その際に恣意的な影響をさけて試料の略全体に、または無作為な箇所に光が当たるようにする必要があるので、2以上の吸収スペクトルを同時に測定することは困難である。
【0009】
また、プローブを反応容器の不特定箇所に挿し入れ、特定波長の光を試料の異なる部分に通過させることにより、2以上の特定波長域の吸収スペクトルを同時に測定できたとしても、赤外線吸収スペクトルとラマンスペクトルの波長域は一部に重複する区域もあり、光の干渉によって常に正確に各スペクトルを測定することは困難である。
【0010】
また、反応セルは、加熱や冷却および加圧などを調整するために、熱媒体の流通路、温度センサー、圧力センサーなどの多くの部品を配置する必要があるが、このような多くの部品と共に赤外分光装置やラマンスペクトル分析用のプローブを相互に影響し合わないように小型のセル内に配置することは容易なことではない。
【0011】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、小型反応分析装置において、セル内の種々の試料を正確に分析するために赤外吸収スペクトル分析およびラマンスペクトル分析をいずれも反応中(in−situ)も適宜に正確に行なえるように小型反応分析装置を構成することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明においては、減衰全反射型の赤外吸収スペクトル分析計のプリズム型プローブを、これに通過する赤外線の全反射面が反応容器の底面と同一平面を形成するように反応容器と一体に設け、前記反応容器の側面には測光窓を設け、この測光窓にラマンスペクトル分析計の測光用光伝送路を接続してなる小型反応分析装置としたのである。
【0013】
上記したように構成されるこの発明の小型反応分析装置は、減衰全反射型の赤外吸収スペクトル分析計のプリズム型プローブが、反応容器の底面と一体に同一平面を形成するように設けられているので、プリズム型プローブの一端から赤外光を内壁面で全反射を起こすように入射させると、赤外光の一部はプローブを通り抜け、その際に反応容器内の試料に例えば1μm程度侵入してから反射されてくる。このようにプローブから出てくる赤外光を分析装置に返すことにより、赤外吸収スペクトルを測定することができる。
【0014】
また、前記反応容器の側面からラマンスペクトル分析用のレーザー光を侵入させ、かつ測光窓から測光用光伝送路を介して反射光をラマンスペクトル分析計で分析することができる。
【0015】
その場合、反応容器に侵入するレーザー光と前記の赤外線は、侵入方向が交差しており、しかも赤外線の侵入の深さは極めて浅いので、相互に影響することはなく、赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルのそれぞれの測定結果は正確に得られる。
【0016】
また、上記の小型反応分析装置において、反応容器が、容積0.01〜10mlの容積の小型反応容器である場合にも、上記同様に赤外吸収スペクトル分析およびラマンスペクトル分析をいずれも正確に測定できる。
【0017】
また、上記の小型反応分析装置において、光伝送路がステンレス鋼材で筒状に形成されている構成を採用すると、耐熱および耐圧性にも優れており、実用性の高い反応分析装置となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明の実施形態を以下に添付の図面に基づいて説明する。
図1に示すように、反応容器1は、−20〜200℃程度の耐熱性があると共に例えば10kg/cm2以上の耐圧性のある素材からなり、例えばステンレス鋼材、ハステロイなどの金属製やセラミックスからなる容積0.01〜10ml程度の肉厚の円筒形のものである。そして、反応容器1の底面には、減衰全反射型の赤外吸収スペクトル分析計のプローブ(以下、IRプローブと略称する。)2を組み合わせ、反応容器1の側壁面と蓋4とを複数のボルト5で固定し、その周囲に耐熱性の断熱材からなるカバー3で完全に覆うことのできる密閉可能な耐熱・耐圧性容器としている。
【0019】
減衰全反射型の赤外吸収スペクトル分析計は、IRプローブ2として四角形錐台形状の結晶体からなるプリズム型プローブを採用し、これに通過する赤外線の全反射面が、反応容器1の内側の底面6と同一平面を形成するように、逆台形状でプリズム型のIRプローブ2を配置すると共に、その横にリング状の凹面鏡7および光伝送路16、17を設けている。
【0020】
プリズム型のIRプローブ2を形成する結晶体は、赤外光に対して透明な材質からなる屈折率が大きいものを採用すればよく、たとえば塩化ナトリウムや臭化カリウムの結晶体を用いることができる。
【0021】
そして、反応容器1の反応室10の側壁には耐熱・耐圧ガラス製の測光窓9を設け、この測光窓9にラマンスペクトル分析計に接続した測光用の光伝送路(ステンレス鋼管製で筒状のもの)8を接続している。
【0022】
測光窓9に臨む測光用の光伝送路8の先端には、レンズ11または複数の組み合わせレンズ(図示せず。)を片面が凸型となるように取り付け、試料に照射されたレーザー光が反射してラマン光が生じた際、できるだけ多くのラマン光を効率よく伝送するように構成する。
なお、ラマン光は、測光用の光伝送路8を通過し、その後は図外のモノクロメータで分光され、次いで光電子増倍管により検出され、さらに増幅器を経て記録計に至る。
【0023】
また、光伝送路8に対向する反応室10の側壁には、熱電対または温度センサー12を挿通させており、反応容器1の内部には、別途設けた温調器(図示せず。)から熱媒体を循環させる温調用配管13が貫通し、これは可及的に温度分布が生じないように配置されいる。
【0024】
さらにまた、反応容器1の内部には、反応する試料の攪拌のために電磁スターラーの本体14および攪拌用マグネット(図示せず。)を配置している。
【0025】
上記した構造の小型反応分析装置は、反応容器1内に被検査用に配合した合成用原料を収容し、または適宜に配管15から導入し、反応中は蓋4をボルト5で反応容器1の本体と固定して密閉し、さらに反応容器1の全体を断熱用のカバー3で覆い、温調用配管13内に所定温度の乾燥した空気または蒸気その他の熱媒体を通じ加熱すると共に、温度センサー12を用いて温度管理を行い、試料に所要の反応を進行させる。
【0026】
その際、所要の反応段階で生成された物質を調べる必要があるとき、適宜に赤外吸収スペクトル分析計もしくはラマンスペクトル分析計、またはこれらを同時に作動させて生成物質に固有の赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルのそれぞれを調べることができる。
【0027】
【実施例および比較例】
上述した実施形態の構造の反応容器1の反応室10内にトルエンを入れておき、蓋4をボルト5で密閉固定し、さらに反応容器1の全体を断熱性のカバー3で覆い、温調用配管13内に所定温度の乾燥した室温の空気を通じると共に、温度センサー12を用いて測温しながら赤外吸収スペクトルを調べ、この結果を図4に示した(実施例)。
【0028】
一方、比較のためにビーカーにトルエンを入れ、室温で標準プローブを用いて赤外吸収スペクトルを調べ、この結果を図4中に併記した(比較例)。
【0029】
また、実施形態の反応容器にトルエンを容れて密閉し、さらに反応容器1の全体を断熱用のカバー3で覆い、温調用配管13内に所定温度の乾燥した室温の空気を通じると共に、温度センサー12を用いて室温を確認してラマンスペクトルを調べ、この結果を図5に示した(実施例)。
【0030】
そして、比較のためにビーカーにトルエンを容れ、室温で標準プローブを用いてラマンスペクトルを調べ、この結果を図5中に併記した(比較例)。
【0031】
図4および図5の結果からも明らかなように、反応容器を用いて測定された赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルは、標準プローブを用いて測定された赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルと同じピークを読み取ることができ、各スペクトルは相互に影響せず、赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルのそれぞれの測定結果が正確に得られることが確認できた。
【0032】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように、赤外吸収スペクトル分析計のプリズム型プローブが、反応容器の底面と一体に同一平面を形成するように設けられ、かつ反応容器の側面にラマンスペクトル分析用のレーザー光を照射および返送する窓および測光用光伝送路を設けてラマンスペクトル分析計を接続しているので、反応容器に侵入するレーザー光と前記の赤外線は、侵入方向が交差し、かつ赤外線の侵入深さは極めて浅いので、相互に影響することはなく、赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルのそれぞれの測定は反応中でも適宜に正確にできるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の反応容器の縦断面図
【図2】実施形態の反応容器の横断面図
【図3】IRプローブおよび光伝送路を示す図1のIII−III線断面図
【図4】実施例および比較例のIRスペクトル
【図5】実施例および比較例のラマンスペクトル
【符号の説明】
1 反応容器
2 IRプローブ
3 カバー
4 蓋
5 ボルト
6 底面
7 凹面鏡
8、16、17 光伝送路
9 測光窓
10 反応室
11 レンズ
12 温度センサー
13 温調用配管
14 電磁スターラーの本体
15 配管
Claims (3)
- 減衰全反射型の赤外吸収スペクトル分析計のプリズム型プローブを、これに通過する赤外線の全反射面が反応容器の底面と同一平面を形成するように反応容器と一体に設け、前記反応容器の側面には測光窓を設け、この測光窓にラマンスペクトル分析計の測光用光伝送路を接続してなる小型反応分析装置。
- 反応容器が、容積0.01〜10mlの容積の小型反応容器である請求項1記載の小型反応分析装置。
- 光伝送路が、ステンレス鋼材で筒状に形成されている請求項1または2に記載の小型反応分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002344056A JP2004177278A (ja) | 2002-11-27 | 2002-11-27 | 小型反応分析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002344056A JP2004177278A (ja) | 2002-11-27 | 2002-11-27 | 小型反応分析装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=32705679
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---|---|---|---|
JP2002344056A Pending JP2004177278A (ja) | 2002-11-27 | 2002-11-27 | 小型反応分析装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004177278A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008268107A (ja) * | 2007-04-24 | 2008-11-06 | Yokogawa Electric Corp | センサユニット及びマイクロリアクタシステム |
JP2010008099A (ja) * | 2008-06-24 | 2010-01-14 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 液体または溶融材料の光学測定装置および光学測定方法 |
CN109001271A (zh) * | 2018-06-08 | 2018-12-14 | 中国科学技术大学 | 一种适用于原位红外检测的薄液层电化学反应池 |
-
2002
- 2002-11-27 JP JP2002344056A patent/JP2004177278A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008268107A (ja) * | 2007-04-24 | 2008-11-06 | Yokogawa Electric Corp | センサユニット及びマイクロリアクタシステム |
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CN109001271A (zh) * | 2018-06-08 | 2018-12-14 | 中国科学技术大学 | 一种适用于原位红外检测的薄液层电化学反应池 |
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