JP2004176656A - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピストン駆動時のオーバーシュート等による、油密室の微小圧力変動を抑制し、応答性および信頼性に優れる燃料噴射弁を提供する。
【解決手段】燃料噴射弁1の駆動部103をピエゾスタック71とピエゾピストン72、油密室73、バルブピストン74で構成し、バルブピストン74が制御弁6を開閉することにより、ノズルニードル3に背圧を与えるノズル制御室5の燃料圧力を制御する。油密室73は、ピエゾ油密室73aとバルブ油密室73cに区画され、油密室絞り73bを介して連通している。この油密室絞り73bの径を、ピエゾ油密室73aの微小圧力変動によりバルブ油密室73cで生じる圧力変動が、制御弁6の開弁圧力以下となるように設定することで、ピエゾ収縮時に、意図しないタイミングでバルブピストン74が作動し制御弁6が再開弁するのを防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料噴射弁1の駆動部103をピエゾスタック71とピエゾピストン72、油密室73、バルブピストン74で構成し、バルブピストン74が制御弁6を開閉することにより、ノズルニードル3に背圧を与えるノズル制御室5の燃料圧力を制御する。油密室73は、ピエゾ油密室73aとバルブ油密室73cに区画され、油密室絞り73bを介して連通している。この油密室絞り73bの径を、ピエゾ油密室73aの微小圧力変動によりバルブ油密室73cで生じる圧力変動が、制御弁6の開弁圧力以下となるように設定することで、ピエゾ収縮時に、意図しないタイミングでバルブピストン74が作動し制御弁6が再開弁するのを防止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関に燃料を噴射するための燃料噴射弁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射装置では、コモンレールに蓄圧された燃料を燃料噴射弁の燃料供給路に供給し、燃料噴射弁の先端に形成した噴孔をノズルニードルで開閉して、筒内に燃料を噴射するようになっている。燃料供給路の燃料は噴射燃料として供されるとともに、ノズルニードルの後端面を室壁とするノズル制御室に導入され、ノズルニードルに閉弁方向の圧力を作用させる制御油として供される。ノズルニードルによる噴孔の開閉は、ノズル制御室に連通する弁室内に配設した制御弁によって制御され、制御弁が開弁してノズル制御室と低圧源とを連通させると、ノズル制御室から燃料が流出して圧力が低下しノズルニードルが離座する。制御弁が閉弁してノズル制御室と低圧源との間が遮断されると、導入される燃料によってノズル制御室の圧力が上昇してノズルニードルが着座する。
【0003】
かかる燃料噴射弁の駆動部には、応答性の良好なピエゾアクチュエータを用いることができる(例えば、特許文献1等)。また、ピエゾアクチュエータは、変位が微小であることから、ピエゾアクチュエータの伸縮に伴い上下動する大径ピストンと、上記制御弁を駆動する小径ピストンを設けるとともに、これら大小ピストンの間に作動油を充填した油密室を設けてなる変位拡大機構が提案されている。この変位拡大機構を用いると、ピエゾアクチュエータの伸長による変位が油圧に変換された後、大小ピストンの径差に応じて増幅されるので、上記制御弁を駆動するのに必要な変位量を効率よく得ることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−280711号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記変位拡大機構を用いた燃料噴射弁において、ピエゾアクチュエータの収縮時に、大径ピストンがオーバーシュートにより微振動し、これに伴って油密室の圧力が微小変動する問題があった。すなわち、制御弁が閉弁した後で、油密室の圧力が再び上昇して小径ピストンに作用することになり、甚だしい場合には、制御弁を再開弁させてしまうおそれがある。このため、油密室の微小圧力変動を抑制し、意図しないタイミングで制御弁が再開弁するのを防止する手段が必要となっている。
【0006】
なお、油圧室の圧力変動を抑制する手段としては、特許文献1に、ノズルニードルの着座に伴う容積拡大によりノズル背圧室で発生する圧力脈動が、これに連通する変圧室に至ってピエゾアクチュエータに作用するのを防止する構成が記載されている。しかしながら、この構成は、ピエゾアクチュエータの伸長時に、背圧室と変圧室を結ぶ流路面積が減少して絞り流路が形成されるようにするもので、ピエゾアクチュエータ収縮時の圧力変動への対応ではない。また、ピエゾアクチュエータが振動した場合には、絞り流路面積も変動するため、変圧室で生じた圧力変動は効果的に減衰されることなく伝わる上、構造も複雑となりやすい。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、大径ピストン駆動時のオーバーシュート等による、油密室の微小圧力変動を抑制し、意図しないタイミングで小径ピストンが作動して制御弁が再開弁するのを防止すること、そして、応答性および信頼性に優れる燃料噴射弁を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明において、燃料噴射弁は、燃料供給路から供給された燃料を噴射する噴孔が形成され、該噴孔の開閉がノズルニードルにより切り換え自在なノズル部と、上記ノズルニードルに閉弁方向の圧力を作用させるノズル制御室を有し、上記ノズル制御室と低圧通路の間を制御弁で開閉することにより、上記ノズル制御室と低圧通路との間を連通と遮断のいずれかの状態に切り換える背圧制御部と、上記制御弁を駆動する駆動部とを備える。
上記駆動部は、アクチュエータによって駆動される大径ピストンと、先端部が上記制御弁に当接してこれを押圧自在な小径ピストンと、これら2つのピストンの間に形成され作動油が充填される油密室を有しており、上記油密室は、上記大径ピストン側の第1の油密室と上記小径ピストン側の第2の油密室とに区画される。これら第1の油密室および第2の油密室は、絞りを介して連通し、かつ上記第1の油圧室の微小圧力変動により上記第2の油密室で生じる圧力変動が所定の閾値以下となるように、上記絞り径を設定している。
【0009】
上記構成において、大径ピストンの振動により第1の油密室に微小圧力変動が生じても、第2の油密室との間に設けられる絞りにより減衰されるので、第2の油密室における圧力変動を抑制することができる。そして、絞り径を調整して、第2の油密室の圧力変動を、これに接する小径ピストンを作動させない所定の変動幅内に抑えれば、小径ピストンの振動を防止し、意図しない制御弁の再開弁といった不具合を防止できる。従って、高い信頼性と良好な噴射制御性を実現する。
【0010】
請求項2記載の発明では、上記絞り径の上限値を、上記第1の油圧室の微小圧力変動により上記第2の油密室で生じる圧力変動の振幅と上記制御弁の開弁圧力を基に設定する。上記絞り径が大きくなると、上記第2の油密室で生じる圧力変動の振幅が大きくなり、これを基に上限値を設定することで、小径ピストンの作動を確実に防止できる。
【0011】
請求項3記載の発明では、上記絞り径の下限値を、上記第1の油圧室の圧力変化に対する上記第2の油密室の圧力応答性を基に設定する。上記絞り径が小さければ、圧力変動は抑制されるが、通常の駆動時の応答性が低下するので、これを基に下限値を設定することで、良好な応答性を確保することができる。
【0012】
請求項4記載の発明のように、具体的には、上記絞り径の設定範囲を0.2〜0.6mmとするとよく、通常の燃料噴射弁であれば、この範囲で、上記効果が得られる。
【0013】
請求項5記載の発明では、上記絞り長さを、上記絞り長さ(L)と上記絞り径(D)の比(L/D)が5より小さくなるように設定する。(L/D)が大きいとチョーク絞りとしての傾向が強くなって燃料温度の影響を受けやすくなり、また加工性も悪化するが、(L/D)が5より小さくなるように、上記絞り長さを設定することでこれを回避できる。
【0014】
請求項6記載の発明では、上記絞り長さを0.5mm以上とする。これにより、絞り部の強度を確保することができる。
【0015】
請求項7記載の発明では、上記絞りの端縁部に面取り加工を施す。これにより、バリやダレによる特性のバラツキを防止できる。
【0016】
請求項8記載の発明では、上記アクチュエータをピエゾアクチュエータとする。応答性の良好なピエゾアクチュエータを用いることで、本発明の効果をより高めることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の第1実施形態を説明する。図1は本発明の燃料噴射弁1の全体構成図で、ここでは、ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射装置への適用例として説明する。燃料噴射弁1は、ディーゼルエンジンの各気筒に対応して設けられ、共通のコモンレール (図略)から燃料の供給を受けるようになっている。コモンレールには燃料タンクの燃料が高圧サプライポンプにより圧送されて噴射圧力に相当する所定の高圧で蓄えられる。
【0018】
燃料噴射弁1は、下端部のノズル部101が、図略の燃焼室内に突出するように取り付けられる。燃料噴射弁1の中間部は背圧制御部102、上端部は駆動部103を構成している。燃料噴射弁1はハウジング2を有し、ハウジング2内には上記各部101〜103を構成する各部品が収納されるとともに、コモンレールに連通する燃料供給路としての高圧通路11、燃料タンクに連通する低圧通路12等の通路が形成される。
【0019】
ノズル部101は、ハウジング2の下端部内に形成した縦穴21に、段付きのノズルニードル3を摺動自在に保持しており、ノズルニードル3の下半小径部の外周には環状の油溜まり室41が形成されている。油溜まり室41は常時高圧通路11と連通しコモンレールからの高圧燃料が供給されている。縦穴21の下方には、これに連なってサック部42が形成され、サック部42形成壁を貫通して燃料噴射用の噴孔43が形成される。
【0020】
ノズルニードル3は下端位置にある時に、円錐形の先端部がサック部42と縦穴21の境界の段部をシート部44としてこれに着座し、サック部42を閉じて油溜まり室41から噴孔43への燃料供給を遮断する。ノズルニードル3が上昇してシート部44から離座し、サック部42を開くと燃料が噴射される。
【0021】
ノズルニードル3の上端面および縦穴21の壁面により画成される空間は、ノズル制御室5としてある。ノズル制御室5は、オリフィス52を介して高圧通路11と常時、連通しており、また、オリフィス51および弁室61を介して高圧通路11から制御油としての燃料が導入されて、ノズルニードル3の背圧を発生している。この背圧はノズルニードル3に下向きに作用して、ノズル制御室5内に収納されたスプリング31とともにノズルニードル3を着座方向に付勢する。一方、油溜まり室41の高圧燃料がノズルニードル3の段差面および円錐状の先端面に上向きに作用しノズルニードル3を離座方向に付勢している。
【0022】
背圧制御部102は、弁室61内に配設される3方弁構造の制御弁6を有し、ノズル制御室5はオリフィス51を介して常時、この弁室61と連通している。弁室61は天井面の中央部に開口する低圧ポート62および低圧室75を介して低圧通路12と連通しており、弁室61の底面には、低圧ポート62の直下位置に高圧通路11と連通する高圧ポート63が開口している。
【0023】
制御弁6は上下動可能なピストン状で、弁室61内に配設される大径の弁部6aの下方に、高圧ポート63に続く縦穴66内を摺動するガイド部6bを有している。弁部6aとガイド部6bをつなぐ細径部は高圧ポート63内に位置し、その周囲の空間から弁室61への高圧燃料が流入するようになっている。制御弁6の上昇時には、弁部6aの上面が低圧ポート62外周部の低圧側シート64に着座し、弁室61と低圧通路12とを遮断する。これにより、ノズル制御室5がオリフィス51、弁室61を介して高圧通路11と連通し、ノズルニードル3の背圧が上昇してノズルニードル3を下降、着座させる。
【0024】
制御弁6の下降時には、弁部6aの下部テーパ面が高圧ポート63外周部の高圧側シート65に着座し、弁室61を高圧ポート63と遮断する。これにより、ノズル制御室5がオリフィス51、弁室61を介して低圧通路12と連通し、ノズルニードル3の背圧が低下してノズルニードル3が離座する。ここで、低圧側シート64の径と、高圧側シート65の径と、ガイド部6bが摺動する縦穴66の径を略同径とすれば、制御弁6が低圧ポート62を閉鎖した状態において、弁室61内の高圧燃料が弁部6aを上向きに付勢する力とガイド部6bを下向きに付勢する力とがほぼ釣り合い、燃料噴射時に弁部6aを押し下げて低圧側シート64から離座させるために必要な駆動力を小さくできる。
【0025】
制御弁6のガイド部6b下方の縦穴66内には、スプリングが収容されて制御弁6を上方に付勢している。なお、縦穴66底部側壁には低圧通路12に通じル通路が開口し、縦穴66内が密室となってダンパ力が生じないようになっている。これにより制御弁6の下方への移動が抑制されず、噴射開始時に弁部6aが低圧側シート64から速やかに離座する。
【0026】
背圧制御部102は制御弁6が駆動部103により押圧駆動されることで、作動状態が切り換わるようになっている。駆動部103は、弁室61の上方に形成した縦穴内に、上側から順にピエゾアクチュエータとしてのピエゾスタック71、大径ピストンとしてのピエゾピストン72、小径ピストンとしてのバルブピストン74が同軸に配設されてなる。ピエゾピストン72とバルブピストン74は、縦穴内に配設したシリンダ形成部材8に設けたシリンダ内に摺動自在に保持される。ピエゾピストン72とバルブピストン74の間の空間は、油密室73としてある。
【0027】
ピエゾスタック71はPZT等の圧電セラミック層と電極層とが交互に積層してコンデンサ構造を有する一般的なもので、積層方向すなわち上下方向を伸縮方向としており、図示しない駆動回路により充放電されるようになっている。ピエゾスタック71には、ピエゾピストン72の外周に設けられたピエゾスプリング75により、ピエゾピストン72を介して一定の初期荷重が印加されるようになっている。これにより、ピエゾピストン72はピエゾスタック71の伸縮に伴い、一体に上下動する。
【0028】
バルブピストン74は、ピン状の下端部が低圧ポート62を貫通し、弁室61内の制御弁6に当接している。低圧ポート62に続く低圧室76内に位置するバルブピストン74の中間部外周には、フランジが形成され、該フランジとシリンダ形成部材8底面の間に配設したスプリングによって、バルブピストン74が下方に付勢され、ピン状の下端部が制御弁6を押圧するようになっている。
【0029】
ピエゾピストン72とバルブピストン74の間には、燃料が充填されて油密室73を形成している。油密室73は、ピエゾピストン72の下方に設けられる第1の油密室であるピエゾ油密室73aとバルブピストン74の上方に設けられる第2の油密室であるバルブ油密室73cの2室に区画され、これら2室は、油密室絞り73bを介して連通している。従って、ピエゾスタック71が伸長してピエゾピストン72を押圧すると、その押圧力がピエゾ油密室73a、油密室絞り73b、バルブ油密室73cの燃料を介してバルブピストン74に伝えられる。
【0030】
ここで、バルブピストン74は、ピエゾピストン72よりも小径としてあるので、ピエゾスタック71の伸長量が拡大されて小径ピストン64の上下方向の変位に変換される。油密室絞り73bは、ピエゾピストン72の微小振動によりピエゾ油密室73aに微小圧力変動が生じた時に、これを減衰し、バルブ油密室73cの圧力変動でバルブピストン74が作動するのを防止する。また、油密室絞り73bを形成する際には、図2のように、油密室絞り73bのピエゾ油密室73a側の端縁部(上端縁)、バルブ油密室73cの端縁部(下端縁)に面取り加工を行うことが望ましい。両端縁部に特に加工を施さない場合には、バリが発生したり、ダレの程度がばらついたりして、特性バラツキを生じやすいが、面取りによってバリ等をなくすことで、安定した特性を得ることが可能になる。油密室絞り73bの径Dや長さLの設定方法については後述する。
【0031】
次に、上記構成の燃料噴射弁の作動を説明する。ピエゾスタック71が放電状態で縮小しているときは、制御弁6は、弁室61内の燃料圧力やスプリング力により上方に付勢されて、低圧側シート64に着座し低圧ポート62を閉鎖している。ノズル制御室5は低圧通路12との間が遮断されて高圧となっており、ノズルニードル3が着座して噴射はなされない。この状態から、ピエゾスタック71が充電され伸長するとピエゾピストン72が押し下げられ、ピエゾ油密室73aの圧力を上昇させる。この圧力が油密室絞り73bを介してバルブ油密室73cに伝達され、バルブピストン74を作動させて制御弁6を押し下げる。ここで、ピエゾスタック71で発生する駆動力は、バルブ油密室73cの圧力上昇により、弁室61内の燃料圧力やスプリングの上向き付勢力に抗して制御弁6を低圧側シート64から離座させ、さらに下方変位させて高圧側シート65に着座可能な駆動力となるように設定される。これにより、制御弁6が高圧ポート63を閉鎖し、ノズル制御室5が低圧通路12に連通するため、ノズル制御室5の圧力が低下し、ノズルニードル3が離座して燃料噴射が開始される。
【0032】
噴射停止時は、ピエゾスタック71を放電により収縮させて、制御弁6への押し下げ力を解除する。すなわち、ピエゾピストン72がピエゾスタック71と一体になって上方へ変位するために、ピエゾ油密室73aの圧力が降下し、油密室絞り73bを介して連通するバルブ油密室73cの圧力も降下するために、バルブピストン74による制御弁6の押し下げ力が解除される。この時、弁室61内の燃料圧は低圧通路12に通じる低圧ポート62側が低圧となっており、また、高圧側シート65の径が、ガイド部6bが摺動する縦穴66の径よりも若干大きくしてあれば、高圧ポート63の高圧力とスプリング力によって、制御弁6には全体としては上向きの力が作用し、高圧側シート65から離座するとともに再び低圧側シート64に着座する。これにより、ノズル制御室5の燃料圧力が上昇するため、ニードル3が着座し噴射が停止する。
【0033】
ところで、ピエゾスタック71の伸縮によりピエゾピストン72を駆動する際に、ピエゾピストン72がオーバーシュートして振動することがある。これを図3(a)に示す。図中、ピエゾピストン変位は初期位置(ピエゾスタック収縮時)からの変位量である。この時、油密室絞り73bが形成されていない場合には、ピエゾ油密室73aとバルブ油密室73cの境界が明確でなく、両室の圧力は同じになる。従って、図3(c)のように、ピエゾピストン72の変位に追従して両室の圧力も変化し、ピエゾピストン72の変位がオーバーシュートにより振動する場合には、両室の圧力も大きく振動することになる。特に、ピエゾスタック71の収縮時には、ピエゾピストン変位量の減少とともに油密室73圧力が低下し、バルブピストン74および制御弁6が上昇して、制御弁6の開弁圧力以下となると制御弁6が低圧側シート64に着座するが、油密室73の圧力変動が大きいと、再び制御弁6の開弁圧力を超えて、制御弁6を再開弁させてしまう。
【0034】
これに対し、本発明では、油密室絞り73bを設けたことにより、図3(b)のように、ピエゾピストン72の変位がオーバーシュートにより振動し、ピエゾ油密室73aの圧力が大きく変動した場合でも、バルブ油密室73cの圧力変動を抑制することができる。この振動低減効果は、油密室絞り73bの径によって決まり、油密室絞り73bの径を適正な値にすることにより、バルブ油密室73cの圧力変動を小さくして、バルブ油密室73cの圧力が制御弁6の開弁圧力以下となるようにすることができる。言い換えれば、油密室絞り73bの径を、ピエゾスタック収縮時のバルブ油密室73cの圧力変動により、制御弁6が再開弁しないように設定すればよい。
【0035】
具体的には、図4(a)において、油密室絞り73bによりバルブ油密室73cの圧力変動が小さくなり、その振動の振幅bは、油密室絞り73bのない場合の振動の振幅aに対し大幅に低減する。油密室絞り73bの径と振動の振幅bの関係は図4(b)のようになり、絞り径が小さくなるほど振幅bが小さくなり、圧力変動の抑制効果が高くなる。ただし、油密室絞り73bを設けることにより、ピエゾピストン72駆動時の圧力応答性が低下する傾向にあり、図4(a)のように、最大圧力の90%に達するまでの時間(応答遅れ)が長くなる。油密室絞り73bの径と応答遅れの関係は図4(b)のようになり、絞り径が大きくなるほど応答性が向上する。そこで、絞り径の適用可能範囲を、応答遅れ(下限値)と振動の振幅b(上限値)を基に設定する。通常の内燃機関用燃料噴射弁であれば、ピエゾピストン72径は、およそφ4〜10mm程度であり、また、バルブピストン74径は、およそφ2〜8mm程度であることから、この場合には、油密室絞り73b径を、φ0.2〜0.6mm程度の範囲とすることが好ましい。絞り径が0.2mmより小さいと必要な応答性が得られず、また、0.6mmより大きいと、圧力変動を抑制する効果が小さくなる。
【0036】
また、油密室絞り73bの長さについて、図5を用いて説明する。図5(b)のように、絞り部の強度と絞り穴加工性は反比例の関係にあり、絞り長さが長くなるほど絞り部の強度は向上するが、絞り長さが長いと、絞りを形成するための穴の加工が難しくなる。また、図5(a)のように、絞り長さをL、絞り径をDとした時、これらの比率(L/D)が大きくなると、絞り抵抗が流体粘性の影響を受けやすくなる。これは、一般に、図6に示すように、(L/D)が大きいと、オリフィス絞りからチョーク絞りとなり、流量計算式が異なってくることによる。図中に示すように、オリフィス絞りの流量計算式(2)に含まれる密度ρは、温度による変化が小さいが、チョーク絞りの流量計算式(1)に含まれる粘性係数μは温度による変化が大きく、絞り抵抗が燃料温度の影響を受けにくくするには、(L/D)を小さくする必要がある。通常は、(L/D)が5より小さければ、オリフィス絞りとしての傾向が強く、この範囲であればほぼ良好な加工性も得られる。また、絞り部の強度を確保するには、絞り長さが0.5mm以上あることが望ましい。従って、絞り長さは0.5mm以上で、(L/D)<5となるように、適宜設定するとよい。
【0037】
以上のように、本発明によれば、ピエゾ油密室73aとバルブ油密室73cの間に油密室絞り73bを設け、その径や長さを適切に設定することで、ピエゾアクチュエータの良好な応答性を維持したまま、圧力変動を抑制することができる。すなわち、駆動時のピエゾピストン72の大きな変位に対しては、僅かな遅れでバルブ油密室73cを圧力上昇させてバルブピストン74を駆動することができ、一方、オーバーシュートによる振動のように変位量が小さい場合には、油密室絞り73bによって、燃料流れを減衰させて、バルブピストン74が作動する圧力まで上昇しないようにする。よって、バルブピストン74の意図しない作動や、制御弁6の再開弁を防止し、制御性を向上させることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、制御弁6を三方弁構造としたが、高圧通路11に連通するノズル制御室5と低圧通路12との間を単純に連通状態と遮断状態とに切り換える二方弁構造とした燃料噴射弁にも適用し得る。また、制御弁6形状や、その他の構成を変更することももちろんできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1実施形態の燃料噴射弁の断面図である。
【図2】第1実施形態の燃料噴射弁の部分拡大断面図である。
【図3】(a)はピエゾアクチュエータの伸縮に伴うピエゾピストンの変位の時間変化を示す図、(b)は絞り有りの場合の油密室圧力の時間変化を示す図、(c)は絞り無しの場合の油密室圧力の時間変化を示す図である。
【図4】(a)は絞り径の設定方法を説明するための絞り有りの場合の油密室圧力の時間変化を示す図、(b)は絞り径と応答遅れ、振動の振幅の関係を示す図である。
【図5】(a)は絞り長さの設定方法を説明するための燃料噴射弁の部分拡大断面図、(b)は絞り長さと絞り部強度、絞り穴加工性の関係を示す図である。
【図6】絞り長さの設定における温度の影響を説明するための図である。
【符号の説明】
1 燃料噴射弁
101 ノズル部
102 背圧制御部
103 駆動部
11 高圧通路(燃料供給路)
12 低圧通路
3 ノズルニードル
41 油溜まり室
43 噴孔
5 ノズル制御室
6 制御弁
61 弁室
62 低圧ポート
63 高圧ポート
72 ピエゾピストン(大径ピストン)
73 油密室
73a ピエゾ油密室(第1の油密室)
73b 油密室絞り(絞り)
73c バルブ油密室(第2の油密室)
74 バルブピストン(小径ピストン)
71 ピエゾスタック(アクチュエータ)
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関に燃料を噴射するための燃料噴射弁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射装置では、コモンレールに蓄圧された燃料を燃料噴射弁の燃料供給路に供給し、燃料噴射弁の先端に形成した噴孔をノズルニードルで開閉して、筒内に燃料を噴射するようになっている。燃料供給路の燃料は噴射燃料として供されるとともに、ノズルニードルの後端面を室壁とするノズル制御室に導入され、ノズルニードルに閉弁方向の圧力を作用させる制御油として供される。ノズルニードルによる噴孔の開閉は、ノズル制御室に連通する弁室内に配設した制御弁によって制御され、制御弁が開弁してノズル制御室と低圧源とを連通させると、ノズル制御室から燃料が流出して圧力が低下しノズルニードルが離座する。制御弁が閉弁してノズル制御室と低圧源との間が遮断されると、導入される燃料によってノズル制御室の圧力が上昇してノズルニードルが着座する。
【0003】
かかる燃料噴射弁の駆動部には、応答性の良好なピエゾアクチュエータを用いることができる(例えば、特許文献1等)。また、ピエゾアクチュエータは、変位が微小であることから、ピエゾアクチュエータの伸縮に伴い上下動する大径ピストンと、上記制御弁を駆動する小径ピストンを設けるとともに、これら大小ピストンの間に作動油を充填した油密室を設けてなる変位拡大機構が提案されている。この変位拡大機構を用いると、ピエゾアクチュエータの伸長による変位が油圧に変換された後、大小ピストンの径差に応じて増幅されるので、上記制御弁を駆動するのに必要な変位量を効率よく得ることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−280711号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記変位拡大機構を用いた燃料噴射弁において、ピエゾアクチュエータの収縮時に、大径ピストンがオーバーシュートにより微振動し、これに伴って油密室の圧力が微小変動する問題があった。すなわち、制御弁が閉弁した後で、油密室の圧力が再び上昇して小径ピストンに作用することになり、甚だしい場合には、制御弁を再開弁させてしまうおそれがある。このため、油密室の微小圧力変動を抑制し、意図しないタイミングで制御弁が再開弁するのを防止する手段が必要となっている。
【0006】
なお、油圧室の圧力変動を抑制する手段としては、特許文献1に、ノズルニードルの着座に伴う容積拡大によりノズル背圧室で発生する圧力脈動が、これに連通する変圧室に至ってピエゾアクチュエータに作用するのを防止する構成が記載されている。しかしながら、この構成は、ピエゾアクチュエータの伸長時に、背圧室と変圧室を結ぶ流路面積が減少して絞り流路が形成されるようにするもので、ピエゾアクチュエータ収縮時の圧力変動への対応ではない。また、ピエゾアクチュエータが振動した場合には、絞り流路面積も変動するため、変圧室で生じた圧力変動は効果的に減衰されることなく伝わる上、構造も複雑となりやすい。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、大径ピストン駆動時のオーバーシュート等による、油密室の微小圧力変動を抑制し、意図しないタイミングで小径ピストンが作動して制御弁が再開弁するのを防止すること、そして、応答性および信頼性に優れる燃料噴射弁を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明において、燃料噴射弁は、燃料供給路から供給された燃料を噴射する噴孔が形成され、該噴孔の開閉がノズルニードルにより切り換え自在なノズル部と、上記ノズルニードルに閉弁方向の圧力を作用させるノズル制御室を有し、上記ノズル制御室と低圧通路の間を制御弁で開閉することにより、上記ノズル制御室と低圧通路との間を連通と遮断のいずれかの状態に切り換える背圧制御部と、上記制御弁を駆動する駆動部とを備える。
上記駆動部は、アクチュエータによって駆動される大径ピストンと、先端部が上記制御弁に当接してこれを押圧自在な小径ピストンと、これら2つのピストンの間に形成され作動油が充填される油密室を有しており、上記油密室は、上記大径ピストン側の第1の油密室と上記小径ピストン側の第2の油密室とに区画される。これら第1の油密室および第2の油密室は、絞りを介して連通し、かつ上記第1の油圧室の微小圧力変動により上記第2の油密室で生じる圧力変動が所定の閾値以下となるように、上記絞り径を設定している。
【0009】
上記構成において、大径ピストンの振動により第1の油密室に微小圧力変動が生じても、第2の油密室との間に設けられる絞りにより減衰されるので、第2の油密室における圧力変動を抑制することができる。そして、絞り径を調整して、第2の油密室の圧力変動を、これに接する小径ピストンを作動させない所定の変動幅内に抑えれば、小径ピストンの振動を防止し、意図しない制御弁の再開弁といった不具合を防止できる。従って、高い信頼性と良好な噴射制御性を実現する。
【0010】
請求項2記載の発明では、上記絞り径の上限値を、上記第1の油圧室の微小圧力変動により上記第2の油密室で生じる圧力変動の振幅と上記制御弁の開弁圧力を基に設定する。上記絞り径が大きくなると、上記第2の油密室で生じる圧力変動の振幅が大きくなり、これを基に上限値を設定することで、小径ピストンの作動を確実に防止できる。
【0011】
請求項3記載の発明では、上記絞り径の下限値を、上記第1の油圧室の圧力変化に対する上記第2の油密室の圧力応答性を基に設定する。上記絞り径が小さければ、圧力変動は抑制されるが、通常の駆動時の応答性が低下するので、これを基に下限値を設定することで、良好な応答性を確保することができる。
【0012】
請求項4記載の発明のように、具体的には、上記絞り径の設定範囲を0.2〜0.6mmとするとよく、通常の燃料噴射弁であれば、この範囲で、上記効果が得られる。
【0013】
請求項5記載の発明では、上記絞り長さを、上記絞り長さ(L)と上記絞り径(D)の比(L/D)が5より小さくなるように設定する。(L/D)が大きいとチョーク絞りとしての傾向が強くなって燃料温度の影響を受けやすくなり、また加工性も悪化するが、(L/D)が5より小さくなるように、上記絞り長さを設定することでこれを回避できる。
【0014】
請求項6記載の発明では、上記絞り長さを0.5mm以上とする。これにより、絞り部の強度を確保することができる。
【0015】
請求項7記載の発明では、上記絞りの端縁部に面取り加工を施す。これにより、バリやダレによる特性のバラツキを防止できる。
【0016】
請求項8記載の発明では、上記アクチュエータをピエゾアクチュエータとする。応答性の良好なピエゾアクチュエータを用いることで、本発明の効果をより高めることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の第1実施形態を説明する。図1は本発明の燃料噴射弁1の全体構成図で、ここでは、ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射装置への適用例として説明する。燃料噴射弁1は、ディーゼルエンジンの各気筒に対応して設けられ、共通のコモンレール (図略)から燃料の供給を受けるようになっている。コモンレールには燃料タンクの燃料が高圧サプライポンプにより圧送されて噴射圧力に相当する所定の高圧で蓄えられる。
【0018】
燃料噴射弁1は、下端部のノズル部101が、図略の燃焼室内に突出するように取り付けられる。燃料噴射弁1の中間部は背圧制御部102、上端部は駆動部103を構成している。燃料噴射弁1はハウジング2を有し、ハウジング2内には上記各部101〜103を構成する各部品が収納されるとともに、コモンレールに連通する燃料供給路としての高圧通路11、燃料タンクに連通する低圧通路12等の通路が形成される。
【0019】
ノズル部101は、ハウジング2の下端部内に形成した縦穴21に、段付きのノズルニードル3を摺動自在に保持しており、ノズルニードル3の下半小径部の外周には環状の油溜まり室41が形成されている。油溜まり室41は常時高圧通路11と連通しコモンレールからの高圧燃料が供給されている。縦穴21の下方には、これに連なってサック部42が形成され、サック部42形成壁を貫通して燃料噴射用の噴孔43が形成される。
【0020】
ノズルニードル3は下端位置にある時に、円錐形の先端部がサック部42と縦穴21の境界の段部をシート部44としてこれに着座し、サック部42を閉じて油溜まり室41から噴孔43への燃料供給を遮断する。ノズルニードル3が上昇してシート部44から離座し、サック部42を開くと燃料が噴射される。
【0021】
ノズルニードル3の上端面および縦穴21の壁面により画成される空間は、ノズル制御室5としてある。ノズル制御室5は、オリフィス52を介して高圧通路11と常時、連通しており、また、オリフィス51および弁室61を介して高圧通路11から制御油としての燃料が導入されて、ノズルニードル3の背圧を発生している。この背圧はノズルニードル3に下向きに作用して、ノズル制御室5内に収納されたスプリング31とともにノズルニードル3を着座方向に付勢する。一方、油溜まり室41の高圧燃料がノズルニードル3の段差面および円錐状の先端面に上向きに作用しノズルニードル3を離座方向に付勢している。
【0022】
背圧制御部102は、弁室61内に配設される3方弁構造の制御弁6を有し、ノズル制御室5はオリフィス51を介して常時、この弁室61と連通している。弁室61は天井面の中央部に開口する低圧ポート62および低圧室75を介して低圧通路12と連通しており、弁室61の底面には、低圧ポート62の直下位置に高圧通路11と連通する高圧ポート63が開口している。
【0023】
制御弁6は上下動可能なピストン状で、弁室61内に配設される大径の弁部6aの下方に、高圧ポート63に続く縦穴66内を摺動するガイド部6bを有している。弁部6aとガイド部6bをつなぐ細径部は高圧ポート63内に位置し、その周囲の空間から弁室61への高圧燃料が流入するようになっている。制御弁6の上昇時には、弁部6aの上面が低圧ポート62外周部の低圧側シート64に着座し、弁室61と低圧通路12とを遮断する。これにより、ノズル制御室5がオリフィス51、弁室61を介して高圧通路11と連通し、ノズルニードル3の背圧が上昇してノズルニードル3を下降、着座させる。
【0024】
制御弁6の下降時には、弁部6aの下部テーパ面が高圧ポート63外周部の高圧側シート65に着座し、弁室61を高圧ポート63と遮断する。これにより、ノズル制御室5がオリフィス51、弁室61を介して低圧通路12と連通し、ノズルニードル3の背圧が低下してノズルニードル3が離座する。ここで、低圧側シート64の径と、高圧側シート65の径と、ガイド部6bが摺動する縦穴66の径を略同径とすれば、制御弁6が低圧ポート62を閉鎖した状態において、弁室61内の高圧燃料が弁部6aを上向きに付勢する力とガイド部6bを下向きに付勢する力とがほぼ釣り合い、燃料噴射時に弁部6aを押し下げて低圧側シート64から離座させるために必要な駆動力を小さくできる。
【0025】
制御弁6のガイド部6b下方の縦穴66内には、スプリングが収容されて制御弁6を上方に付勢している。なお、縦穴66底部側壁には低圧通路12に通じル通路が開口し、縦穴66内が密室となってダンパ力が生じないようになっている。これにより制御弁6の下方への移動が抑制されず、噴射開始時に弁部6aが低圧側シート64から速やかに離座する。
【0026】
背圧制御部102は制御弁6が駆動部103により押圧駆動されることで、作動状態が切り換わるようになっている。駆動部103は、弁室61の上方に形成した縦穴内に、上側から順にピエゾアクチュエータとしてのピエゾスタック71、大径ピストンとしてのピエゾピストン72、小径ピストンとしてのバルブピストン74が同軸に配設されてなる。ピエゾピストン72とバルブピストン74は、縦穴内に配設したシリンダ形成部材8に設けたシリンダ内に摺動自在に保持される。ピエゾピストン72とバルブピストン74の間の空間は、油密室73としてある。
【0027】
ピエゾスタック71はPZT等の圧電セラミック層と電極層とが交互に積層してコンデンサ構造を有する一般的なもので、積層方向すなわち上下方向を伸縮方向としており、図示しない駆動回路により充放電されるようになっている。ピエゾスタック71には、ピエゾピストン72の外周に設けられたピエゾスプリング75により、ピエゾピストン72を介して一定の初期荷重が印加されるようになっている。これにより、ピエゾピストン72はピエゾスタック71の伸縮に伴い、一体に上下動する。
【0028】
バルブピストン74は、ピン状の下端部が低圧ポート62を貫通し、弁室61内の制御弁6に当接している。低圧ポート62に続く低圧室76内に位置するバルブピストン74の中間部外周には、フランジが形成され、該フランジとシリンダ形成部材8底面の間に配設したスプリングによって、バルブピストン74が下方に付勢され、ピン状の下端部が制御弁6を押圧するようになっている。
【0029】
ピエゾピストン72とバルブピストン74の間には、燃料が充填されて油密室73を形成している。油密室73は、ピエゾピストン72の下方に設けられる第1の油密室であるピエゾ油密室73aとバルブピストン74の上方に設けられる第2の油密室であるバルブ油密室73cの2室に区画され、これら2室は、油密室絞り73bを介して連通している。従って、ピエゾスタック71が伸長してピエゾピストン72を押圧すると、その押圧力がピエゾ油密室73a、油密室絞り73b、バルブ油密室73cの燃料を介してバルブピストン74に伝えられる。
【0030】
ここで、バルブピストン74は、ピエゾピストン72よりも小径としてあるので、ピエゾスタック71の伸長量が拡大されて小径ピストン64の上下方向の変位に変換される。油密室絞り73bは、ピエゾピストン72の微小振動によりピエゾ油密室73aに微小圧力変動が生じた時に、これを減衰し、バルブ油密室73cの圧力変動でバルブピストン74が作動するのを防止する。また、油密室絞り73bを形成する際には、図2のように、油密室絞り73bのピエゾ油密室73a側の端縁部(上端縁)、バルブ油密室73cの端縁部(下端縁)に面取り加工を行うことが望ましい。両端縁部に特に加工を施さない場合には、バリが発生したり、ダレの程度がばらついたりして、特性バラツキを生じやすいが、面取りによってバリ等をなくすことで、安定した特性を得ることが可能になる。油密室絞り73bの径Dや長さLの設定方法については後述する。
【0031】
次に、上記構成の燃料噴射弁の作動を説明する。ピエゾスタック71が放電状態で縮小しているときは、制御弁6は、弁室61内の燃料圧力やスプリング力により上方に付勢されて、低圧側シート64に着座し低圧ポート62を閉鎖している。ノズル制御室5は低圧通路12との間が遮断されて高圧となっており、ノズルニードル3が着座して噴射はなされない。この状態から、ピエゾスタック71が充電され伸長するとピエゾピストン72が押し下げられ、ピエゾ油密室73aの圧力を上昇させる。この圧力が油密室絞り73bを介してバルブ油密室73cに伝達され、バルブピストン74を作動させて制御弁6を押し下げる。ここで、ピエゾスタック71で発生する駆動力は、バルブ油密室73cの圧力上昇により、弁室61内の燃料圧力やスプリングの上向き付勢力に抗して制御弁6を低圧側シート64から離座させ、さらに下方変位させて高圧側シート65に着座可能な駆動力となるように設定される。これにより、制御弁6が高圧ポート63を閉鎖し、ノズル制御室5が低圧通路12に連通するため、ノズル制御室5の圧力が低下し、ノズルニードル3が離座して燃料噴射が開始される。
【0032】
噴射停止時は、ピエゾスタック71を放電により収縮させて、制御弁6への押し下げ力を解除する。すなわち、ピエゾピストン72がピエゾスタック71と一体になって上方へ変位するために、ピエゾ油密室73aの圧力が降下し、油密室絞り73bを介して連通するバルブ油密室73cの圧力も降下するために、バルブピストン74による制御弁6の押し下げ力が解除される。この時、弁室61内の燃料圧は低圧通路12に通じる低圧ポート62側が低圧となっており、また、高圧側シート65の径が、ガイド部6bが摺動する縦穴66の径よりも若干大きくしてあれば、高圧ポート63の高圧力とスプリング力によって、制御弁6には全体としては上向きの力が作用し、高圧側シート65から離座するとともに再び低圧側シート64に着座する。これにより、ノズル制御室5の燃料圧力が上昇するため、ニードル3が着座し噴射が停止する。
【0033】
ところで、ピエゾスタック71の伸縮によりピエゾピストン72を駆動する際に、ピエゾピストン72がオーバーシュートして振動することがある。これを図3(a)に示す。図中、ピエゾピストン変位は初期位置(ピエゾスタック収縮時)からの変位量である。この時、油密室絞り73bが形成されていない場合には、ピエゾ油密室73aとバルブ油密室73cの境界が明確でなく、両室の圧力は同じになる。従って、図3(c)のように、ピエゾピストン72の変位に追従して両室の圧力も変化し、ピエゾピストン72の変位がオーバーシュートにより振動する場合には、両室の圧力も大きく振動することになる。特に、ピエゾスタック71の収縮時には、ピエゾピストン変位量の減少とともに油密室73圧力が低下し、バルブピストン74および制御弁6が上昇して、制御弁6の開弁圧力以下となると制御弁6が低圧側シート64に着座するが、油密室73の圧力変動が大きいと、再び制御弁6の開弁圧力を超えて、制御弁6を再開弁させてしまう。
【0034】
これに対し、本発明では、油密室絞り73bを設けたことにより、図3(b)のように、ピエゾピストン72の変位がオーバーシュートにより振動し、ピエゾ油密室73aの圧力が大きく変動した場合でも、バルブ油密室73cの圧力変動を抑制することができる。この振動低減効果は、油密室絞り73bの径によって決まり、油密室絞り73bの径を適正な値にすることにより、バルブ油密室73cの圧力変動を小さくして、バルブ油密室73cの圧力が制御弁6の開弁圧力以下となるようにすることができる。言い換えれば、油密室絞り73bの径を、ピエゾスタック収縮時のバルブ油密室73cの圧力変動により、制御弁6が再開弁しないように設定すればよい。
【0035】
具体的には、図4(a)において、油密室絞り73bによりバルブ油密室73cの圧力変動が小さくなり、その振動の振幅bは、油密室絞り73bのない場合の振動の振幅aに対し大幅に低減する。油密室絞り73bの径と振動の振幅bの関係は図4(b)のようになり、絞り径が小さくなるほど振幅bが小さくなり、圧力変動の抑制効果が高くなる。ただし、油密室絞り73bを設けることにより、ピエゾピストン72駆動時の圧力応答性が低下する傾向にあり、図4(a)のように、最大圧力の90%に達するまでの時間(応答遅れ)が長くなる。油密室絞り73bの径と応答遅れの関係は図4(b)のようになり、絞り径が大きくなるほど応答性が向上する。そこで、絞り径の適用可能範囲を、応答遅れ(下限値)と振動の振幅b(上限値)を基に設定する。通常の内燃機関用燃料噴射弁であれば、ピエゾピストン72径は、およそφ4〜10mm程度であり、また、バルブピストン74径は、およそφ2〜8mm程度であることから、この場合には、油密室絞り73b径を、φ0.2〜0.6mm程度の範囲とすることが好ましい。絞り径が0.2mmより小さいと必要な応答性が得られず、また、0.6mmより大きいと、圧力変動を抑制する効果が小さくなる。
【0036】
また、油密室絞り73bの長さについて、図5を用いて説明する。図5(b)のように、絞り部の強度と絞り穴加工性は反比例の関係にあり、絞り長さが長くなるほど絞り部の強度は向上するが、絞り長さが長いと、絞りを形成するための穴の加工が難しくなる。また、図5(a)のように、絞り長さをL、絞り径をDとした時、これらの比率(L/D)が大きくなると、絞り抵抗が流体粘性の影響を受けやすくなる。これは、一般に、図6に示すように、(L/D)が大きいと、オリフィス絞りからチョーク絞りとなり、流量計算式が異なってくることによる。図中に示すように、オリフィス絞りの流量計算式(2)に含まれる密度ρは、温度による変化が小さいが、チョーク絞りの流量計算式(1)に含まれる粘性係数μは温度による変化が大きく、絞り抵抗が燃料温度の影響を受けにくくするには、(L/D)を小さくする必要がある。通常は、(L/D)が5より小さければ、オリフィス絞りとしての傾向が強く、この範囲であればほぼ良好な加工性も得られる。また、絞り部の強度を確保するには、絞り長さが0.5mm以上あることが望ましい。従って、絞り長さは0.5mm以上で、(L/D)<5となるように、適宜設定するとよい。
【0037】
以上のように、本発明によれば、ピエゾ油密室73aとバルブ油密室73cの間に油密室絞り73bを設け、その径や長さを適切に設定することで、ピエゾアクチュエータの良好な応答性を維持したまま、圧力変動を抑制することができる。すなわち、駆動時のピエゾピストン72の大きな変位に対しては、僅かな遅れでバルブ油密室73cを圧力上昇させてバルブピストン74を駆動することができ、一方、オーバーシュートによる振動のように変位量が小さい場合には、油密室絞り73bによって、燃料流れを減衰させて、バルブピストン74が作動する圧力まで上昇しないようにする。よって、バルブピストン74の意図しない作動や、制御弁6の再開弁を防止し、制御性を向上させることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、制御弁6を三方弁構造としたが、高圧通路11に連通するノズル制御室5と低圧通路12との間を単純に連通状態と遮断状態とに切り換える二方弁構造とした燃料噴射弁にも適用し得る。また、制御弁6形状や、その他の構成を変更することももちろんできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1実施形態の燃料噴射弁の断面図である。
【図2】第1実施形態の燃料噴射弁の部分拡大断面図である。
【図3】(a)はピエゾアクチュエータの伸縮に伴うピエゾピストンの変位の時間変化を示す図、(b)は絞り有りの場合の油密室圧力の時間変化を示す図、(c)は絞り無しの場合の油密室圧力の時間変化を示す図である。
【図4】(a)は絞り径の設定方法を説明するための絞り有りの場合の油密室圧力の時間変化を示す図、(b)は絞り径と応答遅れ、振動の振幅の関係を示す図である。
【図5】(a)は絞り長さの設定方法を説明するための燃料噴射弁の部分拡大断面図、(b)は絞り長さと絞り部強度、絞り穴加工性の関係を示す図である。
【図6】絞り長さの設定における温度の影響を説明するための図である。
【符号の説明】
1 燃料噴射弁
101 ノズル部
102 背圧制御部
103 駆動部
11 高圧通路(燃料供給路)
12 低圧通路
3 ノズルニードル
41 油溜まり室
43 噴孔
5 ノズル制御室
6 制御弁
61 弁室
62 低圧ポート
63 高圧ポート
72 ピエゾピストン(大径ピストン)
73 油密室
73a ピエゾ油密室(第1の油密室)
73b 油密室絞り(絞り)
73c バルブ油密室(第2の油密室)
74 バルブピストン(小径ピストン)
71 ピエゾスタック(アクチュエータ)
Claims (8)
- 燃料供給路から供給された燃料を噴射する噴孔が形成され、該噴孔の開閉がノズルニードルにより切り換え自在なノズル部と、
上記ノズルニードルに閉弁方向の圧力を作用させるノズル制御室を有し、上記ノズル制御室と低圧通路の間を制御弁で開閉することにより、上記ノズル制御室と低圧通路との間を連通と遮断のいずれかの状態に切り換える背圧制御部と、
上記制御弁を駆動する駆動部とを備え、
上記駆動部が、アクチュエータによって駆動される大径ピストンと、先端部が上記制御弁に当接してこれを押圧自在な小径ピストンと、これら2つのピストンの間に形成され作動油が充填される油密室を有しており、上記油密室を、上記大径ピストン側の第1の油密室と上記小径ピストン側の第2の油密室とに区画して、これら第1の油密室および第2の油密室を絞りを介して連通させるとともに、上記第1の油圧室の微小圧力変動により上記第2の油密室で生じる圧力変動が所定の閾値以下となるように、上記絞り径を設定することを特徴とする燃料噴射弁。 - 上記絞り径の設定可能範囲の上限値は、上記第1の油圧室の微小圧力変動により上記第2の油密室で生じる圧力変動の振幅と上記制御弁の開弁圧力を基に決定される請求項1記載の燃料噴射弁。
- 上記絞り径の設定可能範囲の下限値は、上記第1の油圧室の圧力変化に対する上記第2の油密室の圧力応答性を基に決定される請求項1または2記載の燃料噴射弁。
- 上記絞り径を0.2〜0.6mmの範囲で設定する請求項1ないし3のいずれか記載の燃料噴射弁。
- 上記絞り長さを、上記絞り長さ(L)と上記絞り径(D)の比(L/D)が5より小さくなるように設定する請求項1ないし4のいずれか記載の燃料噴射弁。
- 上記絞り長さを0.5mm以上とする請求項5記載の燃料噴射弁。
- 上記絞りの端縁部に面取り加工を施した請求項1ないし6のいずれか記載の燃料噴射弁。
- 上記アクチュエータがピエゾアクチュエータである請求項1ないし7のいずれか記載の燃料噴射弁。
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