【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常圧プラズマCVD法もしくはゾルゲル法を用いる塗工法によって成膜された反射防止フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックフィルム等からなる基材表面に、特定機能を付与する目的で各種薄膜を積層する成膜法及び表面処理法として、従来より、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンビーム法、イオンプレーティング法、減圧下でのグロー放電を利用したプラズマ・ケミカルベーパーデポジット(CVD)法等が用いられてきた。しかしながら、これらの方法は、いずれも真空系処理手段であって、処理系を相当程度に減圧する必要があるため、使用する成膜装置が、大型処理チャンバーや大型真空ポンプ等の大がかりな機器や機器ユニットとなり、又、高度減圧下の煩瑣な作業を要するものである上、更には、これら機器や機器ユニットの性能上から、ロール状に巻回された基材の巻径、巾等のサイズ、薄膜形成用原料等の容量や、その他にも各種の制限や限界があった。
【0003】
こうした真空系処理手段からなる表面処理法の問題を排除するため、大気圧、常圧プラズマ法によって成膜及び表面処理を実施しようとする試みがある。
これらの常圧プラズマを用いた成膜及び表面処理に用いられる装置としては、尖端放電を防止するため、周縁部を滑らかな曲面で縁取りした一対の平行平板電極が放電プラズマ処理電極として用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−154598号公報
【0005】
上記の方法において、平行平板電極は、電極の製作、電極間距離の設定が容易であり、電極面積が広くとれるので、電極間を移送される被処理フィルムは、移送方向に逐次処理され、成膜速度を速めることができる上に、前記する低圧プラズマに比してプラズマ処理ガス密度を高くすることができる、処理効率に優れた方法である。しかしながら、反面、電極等の設備コストが大きく、設備費用の圧縮、或いは処理能力アップによるコスト低減が実用化の鍵になっている。
上記処理能力アップのために、更に、プラズマ密度を高め、或いは電界強度を高める等、エネルギーアップさせることが考えられるが、電界強度を高めた場合、アークによる大電流の集中放電のおそれがある。
【0006】
本発明者らは先に、常圧プラズマを用いた二酸化珪素や二酸化チタン等の薄膜の連続成膜法及び成膜装置を提案した(例えば、特許文献2参照)。
上記常圧プラズマを用いた成膜方法及び装置は、図2に示すように、ロール状電極11と該ロール状電極11表面と一定間隔を隔てて同軸回転面を表面とする曲面電極12を対向して配置し、両電極11及び12間に略等間隔に湾曲した放電空間13を備えた連続成膜装置を用い、上記放電空間13の一端より、原料ガス、反応ガス及び希釈ガスを含む混合ガスを供給し、他端から真空ポンプ20等の排気装置によって、上記放電空間13内の混合ガス流量が一定となるように調整しながら、上記両電極11及び12間に電圧を印加してプラズマ処理を行うものであった。
【0007】
【特許文献2】
特開2001−98093号公報
【0008】
このうち、原料ガスについては、これまで、例えば酸化ケイ素薄膜を形成させる場合には、一般式SiRn (OR)(4−n) (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、アセチル基、アシル基、フェニル基又はナフチル基を示し、nは0又は1〜3の整数を示す)で表されるアルキルアルコキシ誘導体が用いられてきた。
しかしながら、得られた酸化ケイ素薄膜は、膜の反応が不十分であるためSi−OH基、Si−OR基及びSi−R基の残存により、膜硬度の十分なものが得られないことがあり、耐擦傷性、鉛筆硬度が必要とするレベルまで達成されないことがあった。
【0009】
同様に、ゾルゲル法を用いた塗工法においても、金属アルコキシドおよびアルキル金属アルコキシドを原料とし、プラスチックなどの高温により劣化する基材を反射防止フィルムとして用いるため、塗工後に十分な高温による熱処理を行うことができず、上記常圧プラズマCVD法と同様に膜の反応が不十分となり、膜硬度の十分なものを得られないことがあり、耐擦傷性、鉛筆硬度が必要レベルまで達成されないことがあった。
【0010】
また、反射防止フィルムの構成として、酸化ケイ素に代表される低屈折率層が最上層に用いられるため、上記常圧プラズマCVD法および塗工法により作製する場合は、膜の硬度が問題となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、反射防止フィルムの最上層である金属酸化物層の硬度を向上するためになされたものであって、金属酸化物層成膜後に大気圧近傍下、放電プラズマによる表面処理を行い、膜の硬度を向上させた反射防止フィルムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
基材上の金属酸化物層に大気圧近傍下、常圧プラズマ法による表面処理を施すことにより、膜硬度が向上し、耐擦傷性に優れた膜が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本願の請求項1記載の発明(以下、第1発明という)の反射防止フィルムは、基材上に1層の金属酸化物層又は高屈折率層と低屈折率層とを組み合わせた2層以上からなる金属酸化物層が積層された反射防止フィルムであって、最上層に位置する金属酸化物層には、大気圧近傍の圧力下、混合ガス雰囲気中で、放電プラズマによる表面処理が施されていることを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項2記載の発明(以下、第2発明という)の反射防止フィルムは、第1発明において、混合ガス中に、酸素原子を含む酸化性の反応ガスが希釈ガス中に10〜99.99容量%以上含有されることを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項3記載の発明(以下、第3発明という)の反射防止フィルムは、第1発明又は第2発明において、上記放電プラズマ表面処理が、パルス化された電界下、電界強度20〜100kV/cmで行われることを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項4記載の発明(以下、第4発明という)の反射防止フィルムは、第1〜第3発明のいずれかにおいて、上記金属酸化物層が、金属アルコキシド及びアルキル金属アルコキシドを用いて、常圧プラズマCVD法又はゾルゲル法を用いた塗工法により形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項5記載の発明の反射防止フィルムは、第1発明〜第4発明のいずれかにおいて、上記放電プラズマにより表面処理された反射防止フィルム表面の平均粗さ(Ra)が、1〜10nmであることを特徴とする。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の反射防止フィルムは、基材上に金属酸化物層が形成された構成を有し、最上層に位置する金属酸化物層に、該金属酸化物層成膜後大気圧近傍の圧力下、混合ガス雰囲気中で放電プラズマによる表面処理が施される。
ここでいう大気圧近傍の圧力とは、1.33×104 〜10.66×104 Paの圧力範囲であり、中でも、圧力調整が容易で装置構成が容易となる9.33×104 〜10.40×104 Paが好ましい。
【0019】
上記混合ガスには反応ガス及び希釈ガスからなるものが用いられる。
上記反応ガスとしては、酸素原子を含む酸化性の反応ガスが好ましく、例えば、酸素ガス、オゾン、水(水蒸気)、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素の他、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタナール、エタナール等のアルデヒド類などの酸素元素を含有する有機化合物;二酸化硫黄、三酸化硫黄等が挙げられる。
【0020】
上記希釈ガスは、反応ガスの反応の程度を制御するためのものであって、例えば、活性の低いヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素ガス等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
上記混合ガス中における希釈ガスの含有比率は、0〜89.99容量%が好ましい。
【0022】
上記金属酸化物層は、1層の金属酸化物層からなるものであってもよく、高屈折率層と低屈折率層とを組み合わせた2層以上の金属酸化物層から形成されたものであってもよい。
上記金属酸化物の高屈折率層は、例えば、ZrO2 、TiO2 、SnO2 、In2 O3 、ITO、Ta2 O5 、ZnO、HfO2 、CeO2 、Nb2 O5 、Y2 O3 等から形成されたものが好ましく、特にTiO2 、ZrO2 、SnO2 が好ましい。
また、上記金属酸化物の低屈折率層は、例えば、SiO2 、Al2 O3 等から形成されたものが好ましく、特にSiO2 が好ましい。
【0023】
上記反射防止フィルムの基材としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース、アルカリ処理されたトリアセチルセルロース等の樹脂フィルム;ガラス、セラミック、金属などが挙げられ、これらの形状としては、板状、フィルム状等のものが挙げられるが、特に限定されるものではない。
また、これらの基材の厚さは、特に限定されず、50〜200μm程度が好ましい。
【0024】
上記基材の表面には、必要に応じて、金属酸化物層との密着性を高めるために、コロナ放電処理等の表面活性化処理が施されてもよい。
【0025】
本発明において、金属酸化物層の形成及びその金属酸化物層の最上層の表面処理には、放電プラズマ処理装置が用いられる。
この放電プラズマ処理装置は、大気圧近傍の圧力下、上記混合ガス雰囲気中で、電界集中によるアーク放電の発生等がなく、均一な放電プラズマを発生させ得るものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、平行平板型、円筒対向平板型、球対向平板型、双曲面対向平板型、同軸円筒型構造等の対向電極を有する放電プラズマ発生装置が挙げられる。フィルム等の基材を用いる連続成形法においては、ロール状電極と曲面電極とからなる対向電極が好ましい。
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の反射防止フィルムの製造に用いられる放電プラズマ処理装置の例を説明する。
図1は放電プラズマ処理装置を示し、ロール状電極1と該ロール状電極1の表面と一定間隔を隔てて同軸回転面を表面とする曲面電極2とが対向して配置され、両電極1及び2間に略等間隔に湾曲した放電空間3が形成されている。
なお、図示されていないが、パルス電圧印加電源からパルス電界が上記ロール電極1と曲面電極2との間に印加され、放電空間3でプラズマが発生する。
【0027】
放電空間3の一端にはガス導入口7が設けられ、ガスボンベ等の混合ガス供給装置(図示しない)より、マスフローコントローラー5、供給配管6を介して、混合ガスがガス導入口7に供給されるようになされている。一方、放電空間3の他端には、吸引ノズル8が設けられ、プラズマ処理後の処理ガス及び未反応ガスからなる排気ガスは、真空ポンプ10などの排気装置により排気配管9を経て回収されるようになされている。
【0028】
図1の装置による放電プラズマ処理は、放電空間3の一端より、反応ガス及び希釈ガスを含む混合ガスをガス導入ノズル7より放電空間3に供給し、他端から真空ポンプ10等の排気装置によって放電空間3内の混合ガス流量が一定になるように調整しながら、両電極1,2間に電圧を印加し、放電空間内で安定したプラズマを発生させる。基材4は曲面電極1に沿わせるようにして密着させて放電空間3に導入し、放電空間3内でプラズマ処理され表面処理が実施される。
また、プラズマ処理後の処理ガス及び未反応ガスからなる排気ガスは、真空ポンプ10の排気装置により配管9を経て回収される。
【0029】
プラズマ処理中、混合ガスはマスフローコントローラー5によってガス流量が制御され、また、真空ポンプ10で排気ガスを制御することにより放電空間3内で安定したプラズマを発生させ、基材4上に安定的に表面処理を実施することができる。
【0030】
また、その表面にプラズマ処理される基材4は、清浄化装置(図示しない)によって基材表面に付着した塵埃や異物が除去された後、上記放電空間3に供給されてもよい。さらに、基材4は、放電プラズマ処理空間を対向電極の一方の電極表面を摺動もしくは密着して移送されるが、基材の種類によっては、電極表面の凹凸や表面に付着している塵埃や異物等によって、特に高温加熱時に、基材表面に擦過傷が入り、得られる表面処理品の性能を低下させるおそれがある場合は、基材の電極摺動面にプロテクトフィルム等を貼着して放電プラズマ処理することもできる。
【0031】
上記装置において、ロール状電極および曲面電極は、円柱状もしくは円筒状の電極であって、電極本体を構成する導電材料としては、好ましくは、銅、アルミニウム等の金属;ステンレス鋼、真鍮等の合金;金属間化合物等が挙げられる。
また、電極は、必要に応じて、加熱調温されるようになされていてもよい。
【0032】
上記両電極1及び2の間隔は、基材4の厚さ以上であれば、特に限定されるものではないが、あまり広すぎると放電が雷状になり、放電の均一性を損ない易くなり、又、基材4のダメージが大きくなるおそれがあるので、50mm以下が好ましい。ロール状電極1と曲面電極2との間隔/ロール状電極1の半径との比は、小さい程放電の均一性に優れるので、1/100以下が好ましい。
【0033】
上記両電極1,2は、その対向面の少なくとも一方が固体誘電体で被覆されているものが好ましい。固体誘電体としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタラート等のプラスチック;ガラス;二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物;チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。特に、固体誘電体が比誘電率7以上の固体誘電体であれば、低電圧であっても高密度の放電プラズマを発生させることができる。
【0034】
さらに、比誘電率が10以上であると、低電圧で高密度の放電プラズマを発生させることができ、短時間表面処理や高速表裏処理ができるが、比誘電率が10未満であるとこのような表面処理を行うことが難しくなる。
比誘電率の上限は、特に限定されるものではないが、現実の材料では、18,500程度のものが知られている。特に好ましくは比誘電率が10〜200のものである。そのような固体誘電体としては、例えば、酸化アルミニウム(Al2 O3 、比誘電率7〜14程度)、二酸化ジルコニウム(ZrO2 、比誘電率9〜10程度)、二酸化チタン(TiO2 )等の金属酸化物;チタン酸バリウム(BaTiO3 、比誘電率200程度)等の複酸化物などが挙げられる。
【0035】
チタン酸化合物は、強誘電体として知られており、TiO2 単体の場合は、結晶構造で比誘電率が異なり、ルチル型結晶構造では比誘電率80程度である。
又、Ba、Sr、Pb、Ca、Mg、Zr等の金属の酸化物から選ばれた少なくとも1種とTiO2 との化合物の場合は、比誘電率は約2,000〜18,500であり、比誘電率は純度や結晶性によって変えることができる。
【0036】
一方、上記TiO2 単独の場合は加熱環境下では組成変化が激しく、例えば、還元雰囲気で加熱すると、酸素欠損を起こす等のため使用環境が制限されたり、通常の成膜方法では、固有抵抗が104 Ω・cm程度の薄膜となるため、電圧印加によりアーク放電に移行し易くなり注意を要する。このためTiO2 単独よりも酸化アルミニウム(Al2 O3 )を含有させて用いた方がよく、TiO2 5〜50重量%、Al2 O3 95〜50重量%で混合された金属酸化物薄膜、又は、ZrO2 を含有する金属酸化物薄膜からなり、その薄膜厚みが10〜1,000μmの固体誘電体は、熱的にも安定であり、また、比誘電率が10〜14程度となり、固有抵抗が1010Ω・cm程度となって、アーク放電を発生しないためより好適である。
【0037】
固体誘電体の形状は、シート状又はフィルム状のいずれであってもよいが、厚みは0.05〜4mmであることが好ましい。厚くなり過ぎると、放電プラズマを発生させるのに高電圧を要し、薄くなり過ぎると、電圧印加時に絶縁破壊が起こり、アーク放電が発生する。
【0038】
ロール状電極1は、基材4の搬送速度に同期して回転可能となされていてもよい。ロール状電極1の回転方法は、フリー駆動で基材に連動して回転する方式であってもよく、モーター等の駆動装置により回転する方式であってもよい。
【0039】
上記放電空間3へ供給する混合ガスの量の制御に用いられるマスフローコントローラーは、供給される混合ガス又は排気される処理ガス、及び未反応ガス量の合計量を所定精度で感知し、供給又は排気される状態のガス量の体積を、各々設定された供給量及び排気量を一定条件下の質量で比較し、その偏差を開閉弁の開閉度として指示するフィードバック機構によって、供給量及び排気量を各々所定量に制御する制御装置であることが好ましい。
【0040】
上記ガス導入口7は、曲面電極2側からロール状電極1側に向けて、かつ、基材4の搬送方向に向けてガスが導入されるようになされていることが好ましい。
従って、この場合には、ガス導入口7は基材搬入側に設けられる。
ガス導入口7の材質は、特に限定されるものではないが、金属製など導電性材料からなるものである場合、上記両電極とガス導入口との間で放電を防ぐため、両電極とガス導入口との間に絶縁体が配設されることが好ましい。
【0041】
上記ガス導入口7の構造は、特に限定されるものではないが、例えば、加圧ポンプを用いたジェットノズル方式であってもよい。又、ガス導入方向に対向する斜板を設け、ガス供給通路を次第に狭めてガス導入口付近に狭窄部を設け、該狭窄部通過後、混合ガスを拡散させると同時に、基材の搬送方向に略平行に混合ガス流を変更させた後、スリット状もしくは多数の小孔が一列に並べられた吹出口より、上記プラズマ空間に吹き出す方式であってもよい。
また、放電空間3のロール状電極1の回転方向に向かって側面がシールされていると、混合ガスが効率よく消費されるので好ましい。
【0042】
上記装置においては、ロール状電極1と曲面電極2との間に印加される電界は、均一に放電プラズマを発生し得るものであれば、特に限定されるものではないが、パルス化された電界であることが好ましい。大気圧近傍の圧力下では、上記プラズマ放電状態からアーク放電状態に至る時間が長いガス成分以外は、安定してプラズマ放電状態が保持されずに瞬時にアーク放電状態に移行するので、パルス化された電界を印加することにより、電極間の放電をグロー放電からアーク放電に移行する前に停止させる。電極間にこのような周期的なパルス電界を形成することにより、微視的にパルス的なグロー放電が繰り返し発生し、結果として安定したグロー放電状態で、放電プラズマを長期にわたって発生させることが可能となるからである。
【0043】
上記パルス電圧の波形は、特に限定されるものではないが、例えば、インパルス型、変調型が挙げられ、正又は負の何れかの極性側に電圧を印加するタイプのパルスを用いてもよい。パルスの立ち上がり時間が短いほどプラズマ発生の際のガスの電離が効率よく行われる。パルスの立ち上がり時間は用いる電源によって決定されるため、可能な限り立ち上がり時間が短くなるような電源を選択することが好ましい。
【0044】
さらに、パルス波形、立ち上がり時間、周波数の異なるパルスを用いて変調を行ってもよい。このような変調は高速連続表面処理を行う上で有効である。
また、パルス周波数が高く、パルス幅は短い方が高速連続表面処理に適している。
【0045】
上記放電プラズマによって、基材上に金属酸化物層を形成することができる。
【0046】
上記金属酸化物層を表面処理する場合は、金属酸化物層に対して、大気圧近傍の圧力下、混合ガス雰囲気中で、放電プラズマ処理が行われる。
上記放電プラズマ処理の条件は、対向電極間の放電電流密度が0.2〜300mA/cm2 、パルス化された電界の印加における電圧の立ち上がり時間が5μs以下であり、パルス化された電界の周波数が2〜50kHzであるのが好ましい。
【0047】
また、パルスの電界の強さは、表面処理時は表面の反応を促進するため、20〜100kV/cmの範囲であることが好ましい。上記対向電極間の放電電流密度とは、放電により電極間に流れる電流値を、放電空間における電流の流れ方向と直交する方向の面積で除した値をいう。又、電極間にパルス電界を形成する場合、パルス化された電流が流れるが、この場合の放電電流密度とは、上記パルス電流の最大値ピーク−ピーク値を上記面積で除した値をいう。また、上記電圧の印加において直流を重畳してもよい。
【0048】
上記金属酸化物層及びその表面処理は、例えば、直列に接続された二つの放電プラズマ処理装置を使用して、連続して行うことができる。
【0049】
また、上記金属酸化物層は、常圧プラズマCVD法又はゾルゲル法を用いた塗工法により形成することができる。
常圧プラズマCVD法は、上記放電プラズマ法と同様の装置を用いて実施される。例えば、酸化ケイ素層を形成する場合、原料ガスとして、アルコキシシランもしくはアルキルアルコキシシランが用いられる。
【0050】
具体的な化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロボキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等を挙げることができる。
これらの中では、特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランが好ましい。
【0051】
上記原料ガス、反応ガス及び希釈ガスからなる混合ガスを用いて、上記表面処理と同じ実施形態にて成膜を行う。
【0052】
上記反応ガスとしては、酸素ガス、オゾン、水(水蒸気)、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素の他、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタナール、エタナール等のアルデヒド類等の酸素元素を含有する有機化合物;二酸化硫黄、三酸化硫黄等が挙げられる。上記混合ガス中における反応ガスの含有比率は、10〜99.99容量%が好ましい。
【0053】
上記希釈ガスは、上記反応ガスの反応の程度を制御するためのものであって、例えば、活性の低いヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素ガス等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記混合ガス中における希釈ガスの含有比率は、0〜99.99容量%が好ましい。
【0054】
また、パルスの電界の強さは、上記金属酸化物層の成膜時において、1〜100kV/cmの範囲であることが好ましい。
【0055】
次に、ゾルゲル法を用いた塗工法による金属酸化物層の形成法を説明する。
ゾルゲル法は溶液法であり、大気中で作製でき、大面積の基板や複雑な形状のものにも適用できる。また、室温付近での化学プロセスであり、組成の制御が容易であるという特徴を有する。ゾルゲル法により形成した金属酸化物層は、多孔質の膜となる。これを緻密化するには焼成工程が必要である。
焼成温度は通常のセラミックスの焼成温度に較べて低いが、80℃以上の高温の熱処理が必要である。この温度により、残留有機物を除去することができる。
さらに緻密化する場合には、より高い温度で熱処理が行われる。
【0056】
上記ゾルゲル法を用いた塗工法にて、例えば酸化ケイ素層を形成する場合、原料として、アルコキシシラン又はアルキルアルコキシランが用いられる。
具体的な化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロボキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等を挙げることができる。これらの中では、特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランが好ましい。
【0057】
上記原料と水との反応にて作製したゾルは、スピンコーティング、ディップコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング等によって塗工が行われる。塗工したゾルを乾燥しゲルとした後、熱処理により緻密化し、酸化ケイ素の薄膜を形成する。
【0058】
一般に、プラスチックなどの基材を用いる場合、高温による熱処理が実施できないため、残留有機物の除去及び金属酸化物層の反応終結が不十分になることが多く、十分な硬度が得られない。
【0059】
上記常圧プラズマCVD法又はゾルゲル法を用いた塗工法により形成された金属酸化物層には、上述の放電プラズマ法により表面処理が行われる。
【0060】
本発明において、上記常圧下で放電プラズマにより表面処理が行われた反射防止フィルムの表面粗さ(Ra)は、1〜10nmの範囲にあることが好ましい。
【0061】
通常、上記方法で成膜された金属酸化物層の表面粗さは1nm以下であり、常圧放電プラズマ表面処理によって、表面が若干エッチング処理されることにより表面荒れが生じる。酸化反応ガスによる表面硬化の効果を付与するためには、表面粗さは1nm以上となるように表面処理することが好ましい。
【0062】
また、10nm以上の表面粗さまで表面処理することは、金属酸化物層の荒れが大きすぎることにより、引っかかりなどによる耐擦傷性の低下が懸念される。また、コロナ処理のような不均一な低密度の放電処理を実施したときに表面粗さは10nm以上まで大きくなり、本発明での高密度である常圧プラズマ処理とは異なり、硬度の向上は殆ど認められない。
【0063】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
図1に示された表面処理装置を用いて、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)フィルム上にハードコート層が塗工された基材上に、酸化チタン層、酸化ケイ素層の順にそれぞれ90nm、120nmの膜厚にて成膜した反射防止フィルムを作製した。酸化チタン層および酸化ケイ素層は常圧プラズマCVD法を用いて成膜した。電極として、100mm×700mmφのロール電極と長さ方向(幅)100mm×投影面積(長さ)100mmの曲面電極を用い、放電空間が2mmとなるように対向して配置した。
なお、上記両電極にはその表面に厚さ1.6mmのアルミナ被覆からなる固体誘電体を設け、かつ、ロール状電極表面温度が70℃に温度制御されるように装備した。
【0065】
酸化チタン層を成膜する場合、混合ガスとして、アルゴン:テトライソプロポキシチタン=100:0.1(体積比)の混合ガスを、最上層の酸化ケイ素層を成膜する場合、混合ガスとして、窒素:酸素:ジメチルジメトキシシラン=84:16:0.2(体積比)の混合ガスを、30リットル/分の総量で80℃に制御された放電空間に供給した。上記のように準備された電極間に、立ち上がり速度5μsecのパルス電界を電極間に印加し、プラズマを発生させ、同時に、ロール電極表面を回転させ、上記PETフィルムを上記放電空間に供給し、該フィルム上にそれぞれ酸化チタン層および酸化ケイ素層を形成して、反射防止フィルムを得た。尚、電極間の印加電界は酸化チタン層の場合は10kV/cm、酸化ケイ素層の場合は30kV/cmの条件にて実施した。
【0066】
その後、反射防止フィルムの最上層の酸化ケイ素層を表面処理するため、混合ガスとして、窒素:酸素=50:50の混合ガスを、30リットル/分の送量で80℃に制御された放電空間に供給した。上記のように準備された電極間に、立ち上がり速度5μsecのパルス電界を電極間に印加し、プラズマを発生させ、同時に、ロール電極表面を回転させ、上記反射防止フィルムを上記放電空間に供給し、該フィルム上の酸化ケイ素層に表面処理を施したサンプルを得た。
尚、電極間の印加電界を70kV/cmにて表面処理を行い、使用電源としては、ハイデン研究所社製のパルス電源を用い、液体材料気化供給装置としては、日本パイオニクス社製を用いた。
【0067】
得られたサンプルの表面処理を施した酸化ケイ素層について、下記の評価を行い結果を表1に示した。
1)耐擦傷性
磨耗試験機(ケイエヌティー社製)を用いて、スチールウール200gウエイトで10往復後の傷本数を測定した。
2)鉛筆硬度
塗膜用鉛筆引っかき試験機(JIS K 5401準拠、テスター産業社製)を用いて、1000gウエイトの3H鉛筆で5回引っかき試験を実施し、5回の試験において傷の付かなかった回数(n)をn/5で表示した。
3)平均粗さ(Ra)
原子間力顕微鏡(AFM)(デジタルインスツルメント社製「NanoScope IIIa」)を用いて測定した。
【0068】
(実施例2)
反射防止フィルムの酸化ケイ素層を表面処理するため、窒素:酸素=84:16(体積比)の混合ガスを用いて、電極間の印加電界を70kV/cmとしたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理したサンプルを得た。得られたサンプルについて、実施例1と同様にして耐擦傷性、鉛筆硬度及び平均粗さ(Ra)の評価を行い、結果を表1に示した。
【0069】
(実施例3)
反射防止フィルムの酸化ケイ素層を表面処理するため、窒素:酸素=84:16(体積比)の混合ガスを用いて、電極間の印加電界を35kV/cmとしたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理したサンプルを得た。
得られたサンプルについて、実施例1と同様にして耐擦傷性、鉛筆硬度及び平均粗さ(Ra)の評価を行い、結果を表1に示した。
【0070】
(実施例4)
酸化ケイ素層を表面処理するため、ヘリウム:窒素:酸素=60:24:16(体積比)の混合ガスを用いて、電極間の印加電界を20kV/cmとしたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理したサンプルを得た。
得られたサンプルについて、実施例1と同様にして耐擦傷性、鉛筆硬度及び平均粗さ(Ra)の評価を行い、結果を表1に示した。
【0071】
(実施例5)
酸化ケイ素層の成膜において、窒素:酸素:テトラメトキシシラン=84:16:0.2(体積比)の混合ガスを用いたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理したサンプルを得た。得られたサンプルについて、実施例1と同様にして耐擦傷性、鉛筆硬度及び平均粗さ(Ra)の評価を行い、結果を表1に示した。
【0072】
(実施例6)
酸化チタン層及び酸化ケイ素層の成膜において、ゾルゲル法を用いた塗工法により成膜した。酸化チタン層については、テトライソプロポキシチタン1.8gを30gのエタノールに溶解した後、0.5モル塩酸を0.5g添加し、室温で撹拌してゾル液を得た。このゾル液を実施例1と同様の基材上にスピンコートし、60℃で1時間乾燥してチタニアゾル膜を形成した。その後、80℃で24時間加熱し酸化チタン層を形成した。
次いで、その層上に酸化ケイ素層を以下の方法で成膜した。
テトラメトキシシラン3.5gを20gのエタノールに溶解し、0.25モル塩酸を2.8g添加し、室温で撹拌してゾル液を得た。このゾル液を酸化チタン層上にスピンコートし、60℃で1時間乾燥してシリカゾル膜を形成した。
その後、80℃で24時間加熱し酸化ケイ素層を形成して、反射防止フィルムを得た。酸化ケイ素層成膜後、実施例1と同様の条件にて常圧プラズマによる表面処理を行い、表面処理したサンプルを得た。
得られたサンプルについて、実施例1と同様にして耐擦傷性、鉛筆硬度および平均粗さ(Ra)の評価を行い、結果を表1に示した。
【0073】
(比較例1)
酸化ケイ素層に対する表面処理を全く行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてサンプルを得た。得られたサンプルについて、実施例1と同様にして耐擦傷性評価、鉛筆硬度および平均粗さ(Ra)の評価を行い、結果を表1に示した。
【0074】
(比較例2)
酸化ケイ素層に対する表面処理を全く行わなかったこと以外は、実施例5と同様にしてサンプルを得た。得られたサンプルについて、実施例1と同様にして耐擦傷性、鉛筆硬度および平均粗さ(Ra)の評価を行い、結果を表1に示した。
【0075】
(比較例3)
酸化ケイ素層に対する表面処理を全く行わなかったこと以外は、実施例6と同様にしてサンプルを得た。得られたサンプルについて、実施例1と同様にして耐擦傷性、鉛筆硬度および平均粗さ(Ra)の評価を行い、結果を表1に示した。
【0076】
【表1】
【0077】
表1において実施例1と比較例1とを比較すると、ジメチルジメトキシシランを原料として用いた酸化ケイ素層の膜形成初期において、Si−CH3 基の大量の残存およびSi−OH基もしくはSi−OCH3 基の残存により膜が軟化しているのに対し、表面処理を実施することにより、特にSi−CH3 基が、プラズマにより切断され、酸化処理されることにより、Si−O−Siのネットワークを形成し、膜硬度が向上すると考えられる。
【0078】
また、実施例1と実施例2とを比較すると、表面処理時の供給ガス比の酸素濃度を増加させることにより、膜硬度が一層向上する。すなわち、酸素濃度増加による表面処理時の酸化反応の促進によって、さらにSi−O−Siのネットワーク形成が緻密化していると考えられる。
【0079】
また、実施例2、実施例3および実施例4を比較すると、印加電界の増加につれ、膜硬度が向上していることがわかる。すなわち、印加電界の増加により、プラズマエネルギーが増大し、表面処理の酸化反応が促進していると考えられる。また、実施例4において、表面粗さ(Ra)が1nm以下の場合でも、表面処理無しと比較すると、膜硬度が若干向上していることが認められる。
【0080】
また、実施例5と比較例2とを比較すると、表面処理を実施することにより、膜形成後に存在する酸化ケイ素層のテトラメトキシシランの未反応部分、Si−OH基もしくはSi−OCH3 基が、プラズマにより酸化処理されることによって、Si−O−Siのネットワークを形成することにより、膜硬度が向上していることがわかる。
【0081】
また、実施例6と比較例3とを比較すると、ゾルゲル法を用いて塗工した酸化ケイ素層にも、テトラメトキシシランの未反応部分、Si−OH基もしくはSi−OCH3 基が大量に残存しており、プラズマにより酸化処理されることによって、Si−O−Siのネットワークを形成することにより、膜硬度が向上していることがわかる。
【0082】
【発明の効果】
本発明の反射フィルムは、上述の構成であり、基材上に成膜された金属酸化物層の最上層に、放電プラズマによる表面処理が施されるので、優れた耐擦傷性及び膜硬度を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる表面処理装置の一例を示す説明図である。
【図2】従来の常圧プラズマを用いた成膜装置の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1,11 ロール電極
2,12 曲面電極
3,13 放電空間
4,16 基材
5,17a,17b
マスフローコントローラー
6,18a 供給配管
7,15a ガス導入口
8,15b 吸引ノズル
9,18b 排気配管
10,20 真空ポンプ
14 固体誘電体
19 流量調整弁[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an antireflection film formed by a coating method using a normal pressure plasma CVD method or a sol-gel method.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, as a film formation method and a surface treatment method of laminating various thin films on a substrate surface made of a plastic film or the like for the purpose of imparting a specific function, a vacuum evaporation method, a sputtering method, an ion beam method, an ion plating method, A plasma chemical vapor deposition (CVD) method utilizing glow discharge under reduced pressure has been used. However, all of these methods are vacuum processing means, and the processing system needs to be depressurized to a considerable extent. Therefore, a film forming apparatus to be used requires a large equipment such as a large processing chamber or a large vacuum pump. It becomes an equipment unit, and requires complicated work under highly decompressed conditions. Furthermore, from the viewpoint of the performance of these equipment and equipment unit, the size such as the winding diameter and width of the base material wound in a roll shape is required. In addition, there are various limitations and limits in addition to the capacity of the raw material for forming a thin film and the like.
[0003]
In order to eliminate the problem of the surface treatment method including the vacuum treatment means, there is an attempt to perform film formation and surface treatment by an atmospheric pressure and normal pressure plasma method.
As an apparatus used for film formation and surface treatment using these normal-pressure plasmas, a pair of parallel plate electrodes whose peripheral portions are edged with a smooth curved surface are used as discharge plasma treatment electrodes in order to prevent sharp discharge. For example, see Patent Document 1).
[0004]
[Patent Document 1]
JP-A-10-154598
[0005]
In the above method, the production of the electrodes and the setting of the distance between the electrodes are easy for the parallel plate electrodes, and the electrode area can be widened, so that the film to be processed transferred between the electrodes is sequentially processed in the transfer direction, This method is capable of increasing the film speed and increasing the plasma processing gas density as compared with the low-pressure plasma described above. However, on the other hand, the equipment cost of the electrodes and the like is large, and reduction of the equipment cost or cost reduction by increasing the processing capacity is the key to practical use.
In order to increase the processing capacity, it is conceivable to further increase the energy by increasing the plasma density or the electric field intensity. However, when the electric field intensity is increased, there is a possibility that a concentrated discharge of a large current due to an arc occurs.
[0006]
The present inventors have previously proposed a method and apparatus for continuously forming a thin film of silicon dioxide, titanium dioxide, or the like using normal-pressure plasma (see, for example, Patent Document 2).
As shown in FIG. 2, the film forming method and apparatus using the normal-pressure plasma include a roll-shaped electrode 11 and a curved electrode 12 having a coaxial rotation surface as a surface at a predetermined interval from the surface of the roll-shaped electrode 11. Using a continuous film forming apparatus provided with a discharge space 13 curved at substantially equal intervals between the electrodes 11 and 12, and mixed with a source gas, a reaction gas, and a diluent gas from one end of the discharge space 13. A gas is supplied, and a voltage is applied between the two electrodes 11 and 12 from the other end by applying a voltage between the two electrodes 11 and 12 while adjusting the mixed gas flow rate in the discharge space 13 to be constant by an exhaust device such as a vacuum pump 20. Processing was performed.
[0007]
[Patent Document 2]
JP 2001-98093 A
[0008]
Of these, as for the source gas, for example, when a silicon oxide thin film is formed, the general formula SiR n (OR) (4-n) (Wherein, R represents an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms, an acetyl group, an acyl group, a phenyl group or a naphthyl group, and n represents 0 or an integer of 1 to 3). I have been.
However, the obtained silicon oxide thin film may not have sufficient film hardness due to the residual Si-OH group, Si-OR group and Si-R group due to insufficient reaction of the film. , Scratch resistance and pencil hardness were not always attained to required levels.
[0009]
Similarly, in a coating method using a sol-gel method, a metal alkoxide and an alkyl metal alkoxide are used as raw materials, and a base material that degrades due to high temperature such as plastic is used as an antireflection film. And the reaction of the film becomes insufficient as in the case of the normal pressure plasma CVD method, and a sufficient film hardness may not be obtained.Scratch resistance and pencil hardness may not be achieved to a required level. there were.
[0010]
Further, since a low refractive index layer typified by silicon oxide is used as the uppermost layer as a structure of the antireflection film, the hardness of the film becomes a problem when it is manufactured by the normal pressure plasma CVD method and the coating method.
[0011]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made in view of the above problems, and has been made to improve the hardness of a metal oxide layer which is the uppermost layer of an antireflection film. And to provide an antireflection film having improved film hardness.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have found that by subjecting a metal oxide layer on a substrate to a surface treatment by an atmospheric pressure plasma method under atmospheric pressure, the film hardness is improved and a film having excellent scratch resistance can be obtained, and the present invention has been completed. It led to.
[0013]
That is, the antireflection film of the invention described in claim 1 of the present application (hereinafter, referred to as a first invention) is obtained by combining one metal oxide layer or a high refractive index layer and a low refractive index layer on a substrate. An anti-reflection film in which a metal oxide layer consisting of at least one layer is laminated, and the metal oxide layer located on the uppermost layer is subjected to surface treatment by discharge plasma in a mixed gas atmosphere under a pressure near atmospheric pressure. It is characterized by having been given.
[0014]
Further, the antireflection film of the invention according to claim 2 of the present application (hereinafter referred to as the second invention) is characterized in that, in the first invention, the oxidizing reaction gas containing oxygen atoms is contained in the mixed gas in the diluent gas. It is characterized by containing 99.99% by volume or more.
[0015]
Further, the antireflection film according to the invention described in claim 3 of the present application (hereinafter, referred to as a third invention) is characterized in that, in the first invention or the second invention, the discharge plasma surface treatment is performed under a pulsed electric field under an electric field intensity of 20%. It is characterized in that it is performed at 100100 kV / cm.
[0016]
The antireflection film of the invention according to claim 4 of the present application (hereinafter, referred to as a fourth invention) is characterized in that, in any one of the first to third inventions, the metal oxide layer uses a metal alkoxide and an alkyl metal alkoxide. And is formed by a normal pressure plasma CVD method or a coating method using a sol-gel method.
[0017]
The antireflection film of the invention according to claim 5 of the present application is the antireflection film according to any one of the first invention to the fourth invention, wherein the average roughness (Ra) of the surface of the antireflection film surface-treated by the discharge plasma is 1 -10 nm.
[0018]
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
The antireflection film of the present invention has a configuration in which a metal oxide layer is formed on a substrate, and the metal oxide layer located on the uppermost layer is subjected to a pressure near atmospheric pressure after the formation of the metal oxide layer. Then, surface treatment is performed by discharge plasma in a mixed gas atmosphere.
The pressure near the atmospheric pressure here is 1.33 × 10 4 -10.66 × 10 4 9.33 × 10 which is a pressure range of Pa, among which pressure adjustment is easy and the device configuration is easy. 4 -10.40 × 10 4 Pa is preferred.
[0019]
As the mixed gas, a gas composed of a reaction gas and a dilution gas is used.
As the reaction gas, an oxidizing reaction gas containing an oxygen atom is preferable. For example, in addition to oxygen gas, ozone, water (steam), carbon monoxide, carbon dioxide, nitrogen monoxide, nitrogen dioxide, methanol, ethanol, Organic compounds containing an oxygen element such as alcohols such as propanol, ketones such as acetone and methyl ethyl ketone, and aldehydes such as methanal and ethanal; sulfur dioxide, sulfur trioxide and the like.
[0020]
The diluent gas is for controlling the degree of reaction of the reaction gas, and includes, for example, helium, argon, neon, nitrogen gas, and the like having low activity.
These may be used alone or in combination of two or more.
[0021]
The content ratio of the diluent gas in the mixed gas is preferably from 0 to 89.99% by volume.
[0022]
The metal oxide layer may be formed of one metal oxide layer, or may be formed of two or more metal oxide layers obtained by combining a high refractive index layer and a low refractive index layer. There may be.
The high refractive index layer of the metal oxide is, for example, ZrO. 2 , TiO 2 , SnO 2 , In 2 O 3 , ITO, Ta 2 O 5 , ZnO, HfO 2 , CeO 2 , Nb 2 O 5 , Y 2 O 3 Etc. are preferred, especially TiO. 2 , ZrO 2 , SnO 2 Is preferred.
Further, the low refractive index layer of the metal oxide is, for example, SiO 2 2 , Al 2 O 3 Etc. are preferred, especially SiO 2 2 Is preferred.
[0023]
The substrate of the antireflection film is not particularly limited, and examples thereof include resins such as polyethylene, polypropylene, polystyrene, polycarbonate, polyethylene terephthalate, polytetrafluoroethylene, acrylic resin, triacetyl cellulose, and alkali-treated triacetyl cellulose. Film; glass, ceramic, metal, and the like; and their shapes include plate-like and film-like shapes, but are not particularly limited.
The thickness of these substrates is not particularly limited, and is preferably about 50 to 200 μm.
[0024]
The surface of the base material may be subjected to a surface activation treatment such as a corona discharge treatment, if necessary, in order to enhance the adhesion to the metal oxide layer.
[0025]
In the present invention, a discharge plasma processing apparatus is used for forming the metal oxide layer and for surface treatment of the uppermost layer of the metal oxide layer.
This discharge plasma processing apparatus is not particularly limited as long as it can generate uniform discharge plasma without occurrence of arc discharge due to electric field concentration in the above mixed gas atmosphere under a pressure near atmospheric pressure. However, for example, a discharge plasma generator having a counter electrode of a parallel plate type, a cylindrical opposed plate type, a spherical opposed plate type, a hyperboloid opposed plate type, a coaxial cylindrical type structure or the like can be used. In a continuous molding method using a substrate such as a film, a counter electrode composed of a roll-shaped electrode and a curved electrode is preferable.
[0026]
Hereinafter, an example of a discharge plasma processing apparatus used for manufacturing the antireflection film of the present invention will be described with reference to the drawings.
FIG. 1 shows a discharge plasma processing apparatus, in which a roll-shaped electrode 1 and a curved electrode 2 having a coaxial rotating surface as a surface at a predetermined interval from the surface of the roll-shaped electrode 1 are arranged to face each other. A discharge space 3 curved at substantially equal intervals is formed between the two.
Although not shown, a pulse electric field is applied between the roll electrode 1 and the curved electrode 2 from a pulse voltage application power source, and plasma is generated in the discharge space 3.
[0027]
A gas inlet 7 is provided at one end of the discharge space 3, and a mixed gas is supplied to the gas inlet 7 from a mixed gas supply device (not shown) such as a gas cylinder via a mass flow controller 5 and a supply pipe 6. It has been done. On the other hand, a suction nozzle 8 is provided at the other end of the discharge space 3, and an exhaust gas composed of a processing gas after plasma processing and an unreacted gas is collected via an exhaust pipe 9 by an exhaust device such as a vacuum pump 10. It has been done.
[0028]
In the discharge plasma processing by the apparatus shown in FIG. 1, a mixed gas containing a reaction gas and a diluent gas is supplied from one end of the discharge space 3 to the discharge space 3 from a gas introduction nozzle 7, and the other end is discharged by an exhaust device such as a vacuum pump 10. While adjusting the flow rate of the mixed gas in the discharge space 3 to be constant, a voltage is applied between the electrodes 1 and 2 to generate a stable plasma in the discharge space. The substrate 4 is brought into close contact with the curved surface electrode 1 and introduced into the discharge space 3, where plasma treatment is performed and surface treatment is performed.
Further, the exhaust gas including the processing gas and the unreacted gas after the plasma processing is collected through the pipe 9 by the exhaust device of the vacuum pump 10.
[0029]
During the plasma processing, the gas flow rate of the mixed gas is controlled by the mass flow controller 5, and the exhaust gas is controlled by the vacuum pump 10 to generate a stable plasma in the discharge space 3 and stably generate the plasma on the base material 4. Surface treatment can be performed.
[0030]
Further, the base material 4 whose surface is subjected to the plasma treatment may be supplied to the discharge space 3 after dust and foreign matters attached to the base material surface are removed by a cleaning device (not shown). Further, the substrate 4 is transferred in the discharge plasma processing space while sliding or closely contacting one electrode surface of the counter electrode. However, depending on the type of the substrate, irregularities on the electrode surface and dust adhering to the surface may be present. If there is a possibility that the surface of the substrate will be scratched by heat or foreign matter, especially during high-temperature heating, and that the performance of the resulting surface-treated product may be reduced, a protective film or the like may be attached to the electrode sliding surface of the substrate. Discharge plasma treatment can also be performed.
[0031]
In the above device, the roll electrode and the curved electrode are columnar or cylindrical electrodes, and the conductive material forming the electrode body is preferably a metal such as copper or aluminum; an alloy such as stainless steel or brass. Intermetallic compounds and the like;
Further, the electrodes may be heated and regulated as necessary.
[0032]
The distance between the two electrodes 1 and 2 is not particularly limited as long as it is equal to or greater than the thickness of the base material 4, but if it is too wide, the discharge becomes lightning-like, and the uniformity of the discharge is easily impaired. In addition, since there is a possibility that the damage of the base material 4 becomes large, it is preferably 50 mm or less. The ratio of the distance between the roll electrode 1 and the curved electrode 2 / the radius of the roll electrode 1 is preferably 1/100 or less because the smaller the ratio, the better the uniformity of discharge.
[0033]
The electrodes 1 and 2 preferably have at least one of their opposing surfaces covered with a solid dielectric. Examples of the solid dielectric include plastics such as polytetrafluoroethylene and polyethylene terephthalate; glass; metal oxides such as silicon dioxide, aluminum oxide, zirconium dioxide, and titanium dioxide; and double oxides such as barium titanate. Can be In particular, if the solid dielectric has a relative permittivity of 7 or more, high-density discharge plasma can be generated even at a low voltage.
[0034]
Further, when the relative dielectric constant is 10 or more, high-density discharge plasma can be generated at a low voltage, and surface treatment and high-speed front and back treatment can be performed in a short time. It is difficult to perform a proper surface treatment.
Although the upper limit of the relative permittivity is not particularly limited, about 18,500 of actual materials are known. Particularly preferably, the dielectric constant is 10 to 200. As such a solid dielectric, for example, aluminum oxide (Al 2 O 3 , Relative dielectric constant of about 7 to 14), zirconium dioxide (ZrO) 2 , Relative dielectric constant of about 9 to 10), titanium dioxide (TiO 2) 2 ) And the like; barium titanate (BaTiO 3) 3 , A dielectric constant of about 200) and the like.
[0035]
Titanate compounds are known as ferroelectrics, 2 In the case of a simple substance, the relative permittivity differs depending on the crystal structure, and the relative permittivity is about 80 in the rutile type crystal structure.
Also, at least one selected from oxides of metals such as Ba, Sr, Pb, Ca, Mg, Zr, and the like, and TiO 2 In the case of the compound of the formula (1), the relative permittivity is about 2,000 to 18,500, and the relative permittivity can be changed depending on purity and crystallinity.
[0036]
On the other hand, the TiO 2 When used alone, the composition changes drastically under a heating environment. For example, when heating is performed in a reducing atmosphere, the use environment is limited due to the occurrence of oxygen deficiency and the like. 4 Since a thin film of about Ω · cm is formed, it is easy to shift to arc discharge by applying a voltage, and care must be taken. For this reason TiO 2 Aluminum oxide (Al 2 O 3 ) Should be used. 2 5 to 50% by weight, Al 2 O 3 Metal oxide thin film mixed at 95 to 50% by weight or ZrO 2 The solid dielectric having a thickness of 10 to 1,000 μm is thermally stable, has a relative dielectric constant of about 10 to 14, and has a specific resistance of 10 to 1,000 μm. 10 The resistance is about Ω · cm, which is more preferable because an arc discharge does not occur.
[0037]
The shape of the solid dielectric may be sheet-like or film-like, but the thickness is preferably 0.05 to 4 mm. If the thickness is too large, a high voltage is required to generate discharge plasma, and if the thickness is too small, dielectric breakdown occurs when a voltage is applied, and arc discharge occurs.
[0038]
The roll-shaped electrode 1 may be rotatable in synchronization with the transport speed of the substrate 4. The method of rotating the roll-shaped electrode 1 may be a method of rotating in conjunction with the base material by free driving, or a method of rotating by a driving device such as a motor.
[0039]
The mass flow controller used for controlling the amount of the mixed gas supplied to the discharge space 3 senses the total amount of the supplied mixed gas or the exhausted process gas and the unreacted gas with a predetermined accuracy, and supplies or exhausts the gas. The volume of the gas volume in the state to be performed is compared with the set supply volume and exhaust volume respectively under the mass under a certain condition, and the supply amount and the exhaust volume are determined by a feedback mechanism which indicates the deviation as the opening / closing degree of the on-off valve. It is preferable that each of the control devices is controlled to a predetermined amount.
[0040]
The gas inlet 7 is preferably configured so that gas is introduced from the curved electrode 2 side toward the roll-shaped electrode 1 and in the transport direction of the substrate 4.
Therefore, in this case, the gas introduction port 7 is provided on the substrate loading side.
The material of the gas inlet 7 is not particularly limited. However, when the gas inlet 7 is made of a conductive material such as metal, in order to prevent discharge between the two electrodes and the gas inlet, both electrodes and the gas are connected. Preferably, an insulator is provided between the inlet and the inlet.
[0041]
The structure of the gas inlet 7 is not particularly limited, but may be, for example, a jet nozzle system using a pressurized pump. Also, a swash plate facing the gas introduction direction is provided, and a gas supply passage is gradually narrowed to provide a constriction near the gas introduction port. After passing through the constriction, the mixed gas is diffused, and at the same time, in the transport direction of the substrate. After changing the flow of the mixed gas substantially in parallel, a method may be used in which the gas is blown into the plasma space from an outlet in which a slit or a large number of small holes are arranged in a line.
Further, it is preferable that the side surface of the discharge space 3 is sealed in the rotation direction of the roll-shaped electrode 1 because the mixed gas is efficiently consumed.
[0042]
In the above-mentioned apparatus, the electric field applied between the roll-shaped electrode 1 and the curved electrode 2 is not particularly limited as long as it can generate discharge plasma uniformly. It is preferable that Under a pressure near the atmospheric pressure, except for a gas component that takes a long time to transition from the above-described plasma discharge state to the arc discharge state, the plasma discharge state is not stably maintained, but instantaneously transitions to the arc discharge state, so that it is pulsed. By applying the applied electric field, the discharge between the electrodes is stopped before the transition from the glow discharge to the arc discharge. By forming such a periodic pulsed electric field between the electrodes, a microscopically pulsed glow discharge is repeatedly generated, and as a result, it is possible to generate a discharge plasma for a long time in a stable glow discharge state This is because
[0043]
The waveform of the pulse voltage is not particularly limited, and examples thereof include an impulse type and a modulation type, and a pulse of a type in which a voltage is applied to either the positive or negative polarity side may be used. The shorter the rise time of the pulse, the more efficiently the gas is ionized during the generation of plasma. Since the rise time of the pulse is determined by the power supply used, it is preferable to select a power supply that makes the rise time as short as possible.
[0044]
Further, the modulation may be performed using pulses having different pulse waveforms, rise times, and frequencies. Such modulation is effective in performing high-speed continuous surface treatment.
Also, a higher pulse frequency and a shorter pulse width are suitable for high-speed continuous surface treatment.
[0045]
A metal oxide layer can be formed on a substrate by the discharge plasma.
[0046]
When the metal oxide layer is subjected to a surface treatment, a discharge plasma treatment is performed on the metal oxide layer in a mixed gas atmosphere under a pressure near the atmospheric pressure.
The condition of the discharge plasma treatment is that the discharge current density between the opposed electrodes is 0.2 to 300 mA / cm. 2 Preferably, the rise time of the voltage in the application of the pulsed electric field is 5 μs or less, and the frequency of the pulsed electric field is 2 to 50 kHz.
[0047]
Further, the intensity of the electric field of the pulse is preferably in the range of 20 to 100 kV / cm in order to promote the surface reaction during the surface treatment. The discharge current density between the opposing electrodes refers to a value obtained by dividing a value of a current flowing between the electrodes due to discharge by an area in a direction orthogonal to a current flow direction in a discharge space. When a pulsed electric field is formed between the electrodes, a pulsed current flows. In this case, the discharge current density is a value obtained by dividing the maximum peak-to-peak value of the pulse current by the area. Further, a direct current may be superimposed in the application of the voltage.
[0048]
The metal oxide layer and its surface treatment can be continuously performed using, for example, two discharge plasma treatment apparatuses connected in series.
[0049]
Further, the metal oxide layer can be formed by a normal pressure plasma CVD method or a coating method using a sol-gel method.
The normal pressure plasma CVD method is performed using the same apparatus as the above-described discharge plasma method. For example, when forming a silicon oxide layer, alkoxysilane or alkylalkoxysilane is used as a source gas.
[0050]
Specific compounds include, for example, tetramethoxysilane, tetraethoxysilane, tetraisopropoxysilane, tetrabutoxysilane, methyltrimethoxysilane, dimethyldimethoxysilane, trimethylmethoxysilane, ethyltrimethoxysilane, diethyldimethoxysilane, triethyl Examples include dimethoxysilane, ethyltriethoxysilane, diethyldiethoxysilane, triethylethoxysilane, phenyltriethoxysilane, diphenyldiethoxysilane, phenyltrimethoxysilane, diphenyldimethoxysilane, and the like.
Among them, particularly preferred are tetramethoxysilane, tetraethoxysilane, methyltrimethoxysilane and dimethyldimethoxysilane.
[0051]
A film is formed in the same embodiment as the surface treatment, using a mixed gas composed of the raw material gas, the reaction gas, and the dilution gas.
[0052]
Examples of the reaction gas include oxygen gas, ozone, water (steam), carbon monoxide, carbon dioxide, nitrogen monoxide, nitrogen dioxide, alcohols such as methanol, ethanol, and propanol; ketones such as acetone and methyl ethyl ketone; Organic compounds containing an oxygen element such as aldehydes such as methanal and ethanal; and sulfur dioxide and sulfur trioxide. The content ratio of the reaction gas in the mixed gas is preferably from 10 to 99.99% by volume.
[0053]
The diluent gas is for controlling the degree of the reaction of the reaction gas, and includes, for example, helium, argon, neon, nitrogen gas and the like having low activity.
These may be used alone or in combination of two or more.
The content ratio of the diluent gas in the mixed gas is preferably from 0 to 99.99% by volume.
[0054]
The electric field intensity of the pulse is preferably in the range of 1 to 100 kV / cm when the metal oxide layer is formed.
[0055]
Next, a method for forming a metal oxide layer by a coating method using a sol-gel method will be described.
The sol-gel method is a solution method, can be manufactured in the air, and can be applied to a large-area substrate or a substrate having a complicated shape. Further, it is a chemical process at around room temperature, and has a feature that the composition can be easily controlled. The metal oxide layer formed by the sol-gel method becomes a porous film. To densify this, a firing step is required.
Although the firing temperature is lower than the firing temperature of ordinary ceramics, a high-temperature heat treatment of 80 ° C. or more is required. At this temperature, residual organic substances can be removed.
For further densification, heat treatment is performed at a higher temperature.
[0056]
For example, when a silicon oxide layer is formed by a coating method using the sol-gel method, alkoxysilane or alkylalkoxylan is used as a raw material.
Specific compounds include tetramethoxysilane, tetraethoxysilane, tetraisopropoxysilane, tetrabutoxysilane, methyltrimethoxysilane, dimethyldimethoxysilane, trimethylmethoxysilane, ethyltrimethoxysilane, diethyldimethoxysilane, triethyldimethoxysilane And ethyltriethoxysilane, diethyldiethoxysilane, triethylethoxysilane, phenyltriethoxysilane, diphenyldiethoxysilane, phenyltrimethoxysilane, diphenyldimethoxysilane and the like. Among them, particularly preferred are tetramethoxysilane, tetraethoxysilane, methyltrimethoxysilane and dimethyldimethoxysilane.
[0057]
The sol produced by the reaction between the above-mentioned raw material and water is applied by spin coating, dip coating, bar coating, roll coating, spray coating or the like. After the coated sol is dried to form a gel, it is densified by heat treatment to form a silicon oxide thin film.
[0058]
In general, when a base material such as plastic is used, heat treatment at a high temperature cannot be performed, so that removal of residual organic substances and termination of the reaction of the metal oxide layer are often insufficient, and sufficient hardness cannot be obtained.
[0059]
The metal oxide layer formed by the coating method using the normal pressure plasma CVD method or the sol-gel method is subjected to a surface treatment by the above-described discharge plasma method.
[0060]
In the present invention, the surface roughness (Ra) of the antireflection film subjected to the surface treatment by the discharge plasma under the normal pressure is preferably in a range of 1 to 10 nm.
[0061]
Usually, the surface roughness of the metal oxide layer formed by the above method is 1 nm or less, and the surface is slightly etched by the atmospheric pressure discharge plasma surface treatment, so that the surface is roughened. In order to provide the effect of surface hardening by the oxidation reaction gas, it is preferable to perform a surface treatment so that the surface roughness is 1 nm or more.
[0062]
In addition, when the surface treatment is performed to a surface roughness of 10 nm or more, there is a concern that the scratch resistance may be deteriorated due to catching or the like because the roughness of the metal oxide layer is too large. In addition, when a non-uniform low-density discharge treatment such as a corona treatment is performed, the surface roughness increases to 10 nm or more. Unlike the high-density normal-pressure plasma treatment according to the present invention, the hardness is not improved. Almost no.
[0063]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Examples are shown below, but the present invention is not limited to these examples.
[0064]
(Example 1)
Using a surface treatment apparatus shown in FIG. 1, a titanium oxide layer and a silicon oxide layer were formed on a substrate having a hard coat layer coated on a polyethylene terephthalate (hereinafter abbreviated as PET) film in an order of 90 nm. An anti-reflection film was formed to a thickness of 120 nm. The titanium oxide layer and the silicon oxide layer were formed by a normal pressure plasma CVD method. As the electrodes, a roll electrode of 100 mm × 700 mmφ and a curved electrode having a length direction (width) of 100 mm × projected area (length) of 100 mm were used, and were arranged to face each other such that the discharge space became 2 mm.
Each of the above electrodes was provided with a 1.6 mm thick solid dielectric made of alumina coating, and was equipped so that the surface temperature of the roll-shaped electrode was controlled to 70 ° C.
[0065]
When forming a titanium oxide layer, a mixed gas of argon: tetraisopropoxytitanium = 100: 0.1 (volume ratio) is used as a mixed gas, and when forming a top silicon oxide layer, a mixed gas is used as a mixed gas. A mixed gas of nitrogen: oxygen: dimethyldimethoxysilane = 84: 16: 0.2 (volume ratio) was supplied to the discharge space controlled at 80 ° C. at a total amount of 30 liter / min. A pulse electric field having a rising speed of 5 μsec is applied between the electrodes prepared as described above to generate plasma, and at the same time, the roll electrode surface is rotated to supply the PET film to the discharge space. A titanium oxide layer and a silicon oxide layer were formed on the films, respectively, to obtain an antireflection film. The applied electric field between the electrodes was 10 kV / cm for the titanium oxide layer and 30 kV / cm for the silicon oxide layer.
[0066]
Then, in order to surface-treat the uppermost silicon oxide layer of the antireflection film, a mixed gas of nitrogen: oxygen = 50: 50 was used as a mixed gas at a discharge space controlled at 80 ° C. at a feed rate of 30 l / min. Supplied. A pulse electric field having a rising speed of 5 μsec is applied between the electrodes prepared as described above to generate plasma, and at the same time, the roll electrode surface is rotated to supply the antireflection film to the discharge space, A sample in which a surface treatment was performed on a silicon oxide layer on the film was obtained.
The surface treatment was performed with an applied electric field between the electrodes of 70 kV / cm, a pulse power supply manufactured by Heiden Laboratory Co., Ltd. was used as a power supply, and a liquid material vaporization supply apparatus manufactured by Nippon Pionics Co., Ltd. was used.
[0067]
The following evaluation was performed on the silicon oxide layer of the obtained sample that had been subjected to the surface treatment, and the results are shown in Table 1.
1) Scratch resistance
Using an abrasion tester (manufactured by KT Corporation), the number of scratches after 10 reciprocations with a 200 g weight of steel wool was measured.
2) Pencil hardness
Using a pencil scratch tester for coating film (JIS K 5401, manufactured by Tester Sangyo Co., Ltd.), a scratch test was performed five times with a 3H pencil having a weight of 1000 g, and the number of times that no scratch was found in the five tests (n) Was indicated by n / 5.
3) Average roughness (Ra)
The measurement was performed using an atomic force microscope (AFM) (“NanoScope IIIa” manufactured by Digital Instruments).
[0068]
(Example 2)
The surface treatment of the silicon oxide layer of the antireflection film was performed in the same manner as in Example 1 except that the applied electric field between the electrodes was 70 kV / cm using a mixed gas of nitrogen: oxygen = 84: 16 (volume ratio). Similarly, a surface-treated sample was obtained. The obtained sample was evaluated for scratch resistance, pencil hardness and average roughness (Ra) in the same manner as in Example 1, and the results are shown in Table 1.
[0069]
(Example 3)
Example 1 was repeated except that the applied electric field between the electrodes was 35 kV / cm using a mixed gas of nitrogen: oxygen = 84: 16 (volume ratio) in order to surface-treat the silicon oxide layer of the antireflection film. Similarly, a surface-treated sample was obtained.
The obtained sample was evaluated for scratch resistance, pencil hardness and average roughness (Ra) in the same manner as in Example 1, and the results are shown in Table 1.
[0070]
(Example 4)
Example 1 was repeated except that the applied electric field between the electrodes was set to 20 kV / cm using a mixed gas of helium: nitrogen: oxygen = 60: 24: 16 (volume ratio) in order to treat the surface of the silicon oxide layer. Similarly, a surface-treated sample was obtained.
The obtained sample was evaluated for scratch resistance, pencil hardness and average roughness (Ra) in the same manner as in Example 1, and the results are shown in Table 1.
[0071]
(Example 5)
A sample subjected to surface treatment in the same manner as in Example 1 was obtained except that a mixed gas of nitrogen: oxygen: tetramethoxysilane = 84: 16: 0.2 (volume ratio) was used in forming the silicon oxide layer. Was. The obtained sample was evaluated for scratch resistance, pencil hardness and average roughness (Ra) in the same manner as in Example 1, and the results are shown in Table 1.
[0072]
(Example 6)
In forming the titanium oxide layer and the silicon oxide layer, a film was formed by a coating method using a sol-gel method. For the titanium oxide layer, 1.8 g of tetraisopropoxytitanium was dissolved in 30 g of ethanol, then 0.5 g of 0.5 mol hydrochloric acid was added, and the mixture was stirred at room temperature to obtain a sol solution. This sol solution was spin-coated on the same substrate as in Example 1, and dried at 60 ° C. for 1 hour to form a titania sol film. Thereafter, heating was performed at 80 ° C. for 24 hours to form a titanium oxide layer.
Next, a silicon oxide layer was formed on the layer by the following method.
3.5 g of tetramethoxysilane was dissolved in 20 g of ethanol, 2.8 g of 0.25 mol hydrochloric acid was added, and the mixture was stirred at room temperature to obtain a sol solution. This sol was spin-coated on the titanium oxide layer and dried at 60 ° C. for 1 hour to form a silica sol film.
Then, it heated at 80 degreeC for 24 hours, and formed the silicon oxide layer, and obtained the antireflection film. After the formation of the silicon oxide layer, surface treatment was performed with normal-pressure plasma under the same conditions as in Example 1 to obtain a surface-treated sample.
The obtained sample was evaluated for scratch resistance, pencil hardness and average roughness (Ra) in the same manner as in Example 1, and the results are shown in Table 1.
[0073]
(Comparative Example 1)
A sample was obtained in the same manner as in Example 1, except that no surface treatment was performed on the silicon oxide layer. The obtained sample was evaluated for scratch resistance, pencil hardness and average roughness (Ra) in the same manner as in Example 1, and the results are shown in Table 1.
[0074]
(Comparative Example 2)
A sample was obtained in the same manner as in Example 5, except that no surface treatment was performed on the silicon oxide layer. The obtained sample was evaluated for scratch resistance, pencil hardness and average roughness (Ra) in the same manner as in Example 1, and the results are shown in Table 1.
[0075]
(Comparative Example 3)
A sample was obtained in the same manner as in Example 6, except that no surface treatment was performed on the silicon oxide layer. The obtained sample was evaluated for scratch resistance, pencil hardness and average roughness (Ra) in the same manner as in Example 1, and the results are shown in Table 1.
[0076]
[Table 1]
[0077]
Comparison between Example 1 and Comparative Example 1 in Table 1 shows that in the initial stage of film formation of a silicon oxide layer using dimethyldimethoxysilane as a raw material, Si-CH 3 Large amount of residual groups and Si-OH groups or Si-OCH 3 While the film is softened due to the remaining groups, the surface treatment is performed, 3 It is considered that the radicals are cut by plasma and oxidized to form a Si-O-Si network, thereby improving the film hardness.
[0078]
Further, comparing Example 1 and Example 2, the film hardness is further improved by increasing the oxygen concentration of the supply gas ratio during the surface treatment. That is, it is considered that the promotion of the oxidation reaction during the surface treatment due to the increase in the oxygen concentration further enhances the formation of the Si—O—Si network.
[0079]
Further, when Examples 2, 3, and 4 are compared, it can be seen that the film hardness increases as the applied electric field increases. That is, it is considered that the plasma energy increases due to the increase in the applied electric field, and the oxidation reaction in the surface treatment is promoted. In Example 4, even when the surface roughness (Ra) was 1 nm or less, it was recognized that the film hardness was slightly improved as compared with the case where no surface treatment was performed.
[0080]
Further, comparing Example 5 with Comparative Example 2, by performing the surface treatment, the unreacted portion of tetramethoxysilane, Si—OH group or Si—OCH of the silicon oxide layer existing after the film formation. 3 It can be seen that the film is oxidized by plasma to form a Si-O-Si network, thereby improving the film hardness.
[0081]
In addition, comparing Example 6 with Comparative Example 3, it was found that the unreacted portion of tetramethoxysilane, the Si—OH group or the Si—OCH 3 It can be seen that a large amount of the group remains, and the film is oxidized by plasma to form a Si—O—Si network, thereby improving the film hardness.
[0082]
【The invention's effect】
The reflective film of the present invention has the above-described structure, and the uppermost layer of the metal oxide layer formed on the base material is subjected to surface treatment by discharge plasma, so that it has excellent scratch resistance and film hardness. Have.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an explanatory view showing an example of a surface treatment apparatus used in the present invention.
FIG. 2 is an explanatory view showing an example of a conventional film forming apparatus using normal pressure plasma.
[Explanation of symbols]
1,11 roll electrode
2,12 curved electrode
3,13 Discharge space
4,16 base material
5,17a, 17b
Mass flow controller
6,18a Supply piping
7,15a Gas inlet
8,15b suction nozzle
9,18b Exhaust pipe
10,20 vacuum pump
14 Solid dielectric
19 Flow control valve