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JP2004160348A - 流体フィルタ及びそのドレン機構、流体フィルタに使用されるドレン用冶具並びに流体フィルタのドレン方法 - Google Patents

流体フィルタ及びそのドレン機構、流体フィルタに使用されるドレン用冶具並びに流体フィルタのドレン方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エレメント交換等の際の流体排出時に熱せられた流体が作業者にかかることなく、且つ、通常使用時において外部からのダスト等の混入を抑制することができる流体フィルタのドレン機構を提供する。
【解決手段】本ドレン機構7は、ケース2に係合され且つドレン穴15を有するキャップ3と、このキャップにその外側から着脱自在に取着され且つドレン穴を閉鎖するドレン部材(ドレンプラグ20)と、キャップの内側に設けられ且つドレン穴を閉鎖するバルブ部材25と、このバルブ部材をドレン穴を閉鎖する方向に付勢する弾性手段(バネ11)と、を備える。そして、キャップからドレン部材を取り外した状態で、ドレン穴に挿入される筒状のドレン用冶具30によってハウジング内部の残留流体が排出される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体フィルタ及びそのドレン機構、流体フィルタに使用されるドレン用冶具並びに流体フィルタのドレン方法に関する。本発明は、更に詳しくは、エレメント交換等の際の流体排出時に熱せられた流体が作業者にかかることなく、且つ、通常使用時において外部からのダスト等の混入を抑制してドレン穴のシールの高い信頼性を長期わたって維持することができる流体フィルタ及びそのドレン機構、流体フィルタに使用されるドレン用冶具並びに流体フィルタのドレン方法に関する。
本発明は、例えば、内燃機関を潤滑するオイルに混入する異物、摩耗粉、カーボン等を濾過するオイルフィルタ、燃料フィルタ及びこれに関連する分野に広く利用される。
【0002】
【従来の技術】
従来より、流体フィルタとして、例えば、所定時間の経過によりろ材が目詰まり寿命に達した際に、ろ過エレメントを交換するエレメント交換型の流体フィルタが一般的に知られている。
このようなエレメント交換型の流体フィルタのドレン機構として、例えば、キャップ(下部ケース12)に形成されたドレン穴に、ドレン部材(ドレンプラグ15)をネジ止めしてなるものが知られている(特許文献1参照。)。これにより、ろ過エレメント交換の際、ケースとキャップとの係合を解除して両者を分離することに先立って、ドレン部材を緩めてドレン穴から取り外してドレン穴を開放し、このドレン穴からハウジング内部の残留オイルを排出することができる。
【0003】
ところで、自動車用エンジンオイルをろ過するための流体フィルタでは、ろ過エレメント交換の際、しばしばエンジンが暖気されており、オイルが熱せられた状態にある。
しかし、上記従来のドレン機構では、ろ過エレメント交換時の残留オイルの排出を、キャップからドレン部材を取り外すことによって行っており、即ち、ドレン部材を緩め、ドレン部材用のシール部材(パッキング15a)のシールが解除されるのと同時に残留オイルの排出が始まっている。その結果、ドレン部材の取り外し作業中に、熱せられた残留オイルが溢れ出し、作業者の手にかかるといった不具合が生じてしまう。
【0004】
そこで、上記問題点を解決する従来の流体フィルタのドレン機構として、例えば、キャップ(下部ケース12)に形成されたドレン穴に、ドレン通路(中心孔15g、窓孔15f)を有する筒状のドレンパイプ部材(ドレンプラグ15)をネジ止めしてなるものが知られている(特許文献2参照。)。
そして、流体フィルタの通常使用時には、上記ドレンパイプ部材の外周に装着される一対のシール部材(パッキング15g)によって、ドレンパイプ部材のドレン通路とハウジング内部とがシールされる。また、ろ過エレメント交換の際、ドレンパイプ部材を緩めると上側のシール部材のシールが解除され、ドレンパイプ部材のドレン通路とハウジング内部とが連通され、このドレン通路を介してハウジング内部の残留オイルが排出される。このようにドレンパイプ部材のドレン通路を介して残留オイルが排出されるので、この排出途中のオイルが作業者の手にかかることを防止することができる。
尚、ドレンパイプ部材を緩めて上側のシール部材のシールが解除されるとき、下側のシール部材のシールは保持されており、残留オイル排出時にドレンパイプ部材のドレン通路以外の箇所から残留オイルが漏れ出すことはない。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−42309号公報
【特許文献2】
特開平11−104408号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の流体フィルタのドレン機構では、ドレンパイプ部材が中空状に形成されドレン通路を有する構造であるため、流体フィルタの通常使用中に、このドレンパイプ部材のドレン通路を通って外部から土砂、泥等のダストなどがキャップ内部に混入し、ドレン穴のシール部材によるシールの信頼性を確保することが困難である。
【0007】
以上より、本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、エレメント交換等の際の流体排出時に熱せられた流体が作業者にかかることなく、且つ、通常使用時において外部からのダスト等の混入を抑制してドレン穴のシールの高い信頼性を長期にわたって維持することができる流体フィルタのドレン機構を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記ドレン機構を有する流体フィルタ、それに好適に使用されるドレン用冶具及びその好適なドレン方法を提供することを他の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の流体フィルタのドレン機構は、ケースに係合され且つドレン穴を有するキャップと、該キャップにその外側から着脱自在に取着され且つ前記ドレン穴を閉鎖するドレン部材と、前記キャップの内側に設けられ且つ前記ドレン穴を閉鎖するバルブ部材と、該バルブ部材を前記ドレン穴を閉鎖する方向に付勢する弾性手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記キャップと、前記ドレン穴に取着された前記ドレン部材との間にシール部材が介在されることができる。
また、前記キャップから前記ドレン部材を取り外した状態で、前記ドレン穴に挿入される筒状のドレン用冶具によって、前記弾性手段の付勢力に抗して前記バルブ部材を変位させて、該バルブ部材による該ドレン穴の閉鎖を解除することができる。
また、前記キャップと、前記ドレン穴に挿入された前記ドレン用冶具との間にシール構造が介在されることができる。
さらに、前記キャップに、前記ドレン用冶具に設けられた係止部が係脱可能な被係止部を設けることができる。
【0010】
本発明の流体フィルタは、上記ドレン機構と、該ドレン機構を有し且つ前記ケース及び前記キャップからなるハウジングと、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の流体フィルタに使用されるドレン用冶具は、上記流体フィルタに使用されるドレン用冶具であって、前記ドレン用冶具のドレン通路は、該ドレン用冶具の軸方向に沿う中心路と、該中心路に連なり該ドレン用冶具の外周に開口する連絡路とからなることを特徴とする。
【0012】
また、前記ドレン用冶具は、前記キャップの底部に設けられたシール部材と接触するフランジ部を有することができる。
また、前記ドレン用冶具は、流体排出用ホースに接続可能な接続部を有することができる。
さらに、前記ドレン用冶具は、前記ケースと前記キャップとの脱着に使用される脱着用冶具に一体的に設けられていることができる。
【0013】
本発明の流体フィルタのドレン方法は、上記流体フィルタのドレン方法であって、先ず、前記キャップから前記ドレン部材を取り外して、該ドレン部材による前記ドレン穴の閉鎖を解除し、その後、前記ドレン穴に筒状のドレン用冶具を挿入して、該ドレン用冶具によって、前記弾性手段の付勢力に抗して前記バルブ部材を変位させて、該バルブ部材による前記ドレン穴の閉鎖を解除すると共に、該ドレン用冶具に設けられたドレン通路を介して前記ハウジング内部の流体を外部へ排出するようにしたことを特徴とする。
【0014】
【発明の効果】
本発明の流体フィルタのドレン機構によると、流体フィルタの通常使用時には、ドレン部材によってドレン穴が閉鎖されている。そして、エレメント交換等の際には、キャップからドレン部材が取り外される。このとき、ドレン部材によるドレン穴の閉鎖は解除されるが、弾性手段により付勢されるバルブ部材によってドレン穴は閉鎖されている。この状態より、ドレン穴にドレン用冶具を挿入して、このドレン用冶具によって、弾性手段の付勢力に抗してバルブ部材を変位させてバルブ部材によるドレン穴の閉鎖が解除され、ドレン用冶具に設けられたドレン通路を介してハウジング内部の流体が外部へ排出される。
このように、エレメント交換等の際には、筒状のドレン用冶具を用いて流体の排出を行うことができ、この流体排出時に熱せられた流体が作業者にかかることを抑制することができる。また、通常使用時には、ドレン部材によってドレン穴を閉鎖するようにしたので、ダスト等がキャップ内部に侵入することを防止でき、ドレン穴のシールの高い信頼性を長期にわたって維持することができる。
【0015】
また、前記キャップと、前記ドレン穴に取着された前記ドレン部材との間にシール部材が介在される場合は、ドレン部材によるドレン穴のシールの信頼性を向上させることができる。
また、前記キャップから前記ドレン部材を取り外した状態で、前記ドレン穴に挿入される筒状のドレン用冶具によって、前記弾性手段の付勢力に抗して前記バルブ部材を変位させて、該バルブ部材による該ドレン穴の閉鎖を解除する場合は、ドレン用冶具に設けられたドレン通路を介してハウジング内部の流体を外部に排出することができる。
また、前記キャップと、前記ドレン穴に挿入された前記ドレン用冶具との間にシール構造が介在されている場合は、流体排出時におけるドレン用冶具のドレン通路以外からの流体の外部流出をより確実に防止することができる。
さらに、前記キャップに、前記ドレン用冶具に設けられた係止部が係脱可能な被係止部を設けた場合は、キャップにドレン用冶具を固定・解除することができ、流体排出時の作業性を向上させることができる。
【0016】
本発明の流体フィルタによると、エレメント交換等の際には、筒状のドレン用冶具を用いて流体の排出を行うことができ、この流体排出時に熱せられた流体が作業者にかかることを抑制することができる。また、通常使用時には、ドレン部材によってドレン穴を閉鎖するようにしたので、ダスト等がキャップ内部に侵入することを防止でき、ドレン穴のシールの高い信頼性を長期にわたって維持することができる。
【0017】
本発明の流体フィルタに使用されるドレン用冶具によると、上述のドレン機構を有する流体フィルタに好適に使用されるドレン用冶具を提供することができる。即ち、流体排出時に、ドレン用冶具のドレン通路を構成する中心路及び連絡路を介してハウジング内部の流体を外部へ円滑に排出することができる。
【0018】
また、前記ドレン用冶具が、前記キャップの底部に設けられたシール部材と接触するフランジ部を有する場合は、流体排出時におけるドレン用冶具のドレン通路以外からの流体の外部流出をより確実に防止することができる。
また、前記ドレン用冶具が、流体排出用ホースに接続可能な接続部を有する場合は、流体排出時の流体の飛散による作業性の悪化を抑制することができる。
さらに、前記ドレン用冶具が、前記ケースと前記キャップとの脱着に使用される脱着用冶具に一体的に設けられている場合は、この脱着用冶具によって、流体排出作業を行うことができると共に、この流体排出作業に引き続いてケースとキャップとの脱着作業を行うことができる。
【0019】
本発明の流体フィルタのドレン方法によると、上述の流体フィルタの好適なドレン方法を提供することができる。即ち、先ず、キャップからドレン部材を取り外して、このドレン部材によるドレン穴の閉鎖を解除する。その後、ドレン穴に筒状のドレン用冶具を挿入して、このドレン用冶具によって、弾性手段の付勢に抗してバルブ部材を変位させて、このバルブ部材によるドレン穴の閉鎖を解除すると共に、ドレン用冶具に設けられたドレン通路を介してハウジング内部の流体を外部へ円滑に排出することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
<流体フィルタ>
本実施の形態に係る「流体フィルタ」は、以下に述べるドレン機構、及びハウジングを備えている。この流体フィルタは、例えば、ハウジングに収容されるろ過エレメントを備えることができる。
上記「ハウジング」は、互いに係脱可能なキャップとケースとから構成される限り、その構造、形状、材質等は特に問わない。このキャップとケースとの係脱機構としては、例えば、(1)互いに螺合可能な雄雌ネジ部からなる螺着機構、(2)互いに係脱可能な溝部と凸部とからなるバヨネット機構等を挙げることができる。また、ケースには、通常、外部から液体を取入れるための流入口及び外部へ液体を送出するための流出口が形成されている。
【0021】
<ドレン機構>
本実施の形態に係る「ドレン機構」は、以下に述べるキャップ、ドレン部材、バルブ部材及び弾性手段を備えている。
上記「キャップ」は、上記ケースに係合され且つドレン穴を有する限り、その構造、形状、材質等は特に問わない。このキャップには、例えば、後述するドレン用冶具の係止部が係脱可能な被係止部を設けることができる。
上記「被係止部」は、後述するドレン用冶具の係止部が係脱可能である限り、その構造、形状、材質等は特に問わない。この被係止部は、例えば、キャップの内側に配設されたり、キャップの外側に配設されたりできる。また、この被係止部は、例えば、キャップと一体成形されていたり、キャップとは別部材で成形されていたりできる。また、この被係止部は、例えば、弾性変形可能な構造であることができる。
【0022】
上記「ドレン部材」は、上記キャップにその外側から着脱自在に取着され且つ上記ドレン穴を閉鎖し得る限り、その構造、形状、材質等は特に問わない。このドレン部材は、例えば、上記ドレン穴の内周面に形成された雌ネジに螺合可能な雄ネジが形成されたプラグ部を有することができる。
また、通常、上記ドレン部材と上記キャップとの間にはシール部材(例えば、Oリング等)が設けられている。
上記「シール部材」の設置形態としては、例えば、(1)上記キャップの底部と上記ドレン部材に設けられたフランジ部との間にシール部材を介在させてなる形態、(2)上記ドレン穴の内周面と上記ドレン部材の外周面(例えば、上記プラグ部の外周面等)との間にシール部材を介在させてなる形態等のうちの1つ又は2以上を組み合わせてなるものを挙げることができる。
【0023】
また、通常、上記ドレン穴に挿入される後述するドレン用冶具と上記キャップとの間にはシール構造が設けられている。
上記「シール構造」としては、例えば、(1)上記キャップの底部と上記ドレン部材に設けられたフランジ部との間にシール部材(例えば、Oリング等)を介在させてなる構造、(2)上記ドレン穴の内周面に前記ドレン用冶具の外周面を接触させてなる構造、(3)上記ドレン穴の内周面と上記ドレン部材の外周面との間にシール部材を介在させてなる構造等のうちの1つ又は2以上を組み合わせてなるものを挙げることができる。
ここで、このシール構造で用いられるシール部材は、例えば、上述したドレン部材とキャップとの間に設けられるシール部材を兼用することができる。
【0024】
上記「バルブ部材」は、上記キャップの内側に設けられ且つ上記ドレン穴を閉鎖し得る限り、その構造、形状、材質等は特に問わない。このバルブ部材は、例えば、キャップに設けた弁座部(例えば、キャップ突起部等)に当接する当接部を有することができる。これにより、バルブ部材の当接部とキャップの弁座部との当接によって、上記ドレン穴を閉鎖することができる。また、この当接部は、例えば、キャップの弁座部に直接接触したり、シール部材を介してキャップの弁座部に間接的に接触したりしてドレン穴をシールすることができる。
【0025】
上記「弾性手段」は、上記バルブ部材を上記ドレン穴を閉鎖する方向に付勢し得る限り、その構造、設置形態、材質等は特に問わない。この弾性手段としては、例えば、ゴムやバネ等の弾性部材、緩衝機構等を挙げることができる。このバネとしては、例えば、コイルバネ、皿バネ、板バネ等を挙げることができる。この弾性手段は、例えば、ろ過エレメントを支持するエレメント支持体(例えば、プレート等)と上記バルブ部材との間に配設されていることができる。さらに、この弾性手段は、例えば、エレメント支持体と共にろ過エレメントを付勢してこれらを支持する機能を発揮することもできる。
【0026】
<ドレン用冶具>
本実施の形態に係る「ドレン用冶具」は、筒状でドレン通路を有する限り、その構造、形状、材質等は特に問わない。このドレン用冶具は、例えば、以下に述べる係止部、フランジ部及び接続部等のうち1つ又は2以上を組み合わせて有することができる。
上記「ドレン通路」は、例えば、このドレン用冶具の軸方向に沿う中心路と、この中心路に連なりドレン用冶具の外周に開口する連通路とからなることができる。この中心路としては、例えば、ドレン用冶具の両端側に開口する中心穴、ドレン用冶具の一端側のみに開口する中心穴等を挙げることができる。また、上記連通路としては、例えば、ドレン用冶具の軸端側より切り欠かれたスリット、ドレン用冶具の外周に貫通形成された貫通穴等を挙げることができる。
【0027】
上記「係止部」は、上述したキャップの被係止部と係脱可能である限り、その構造、形状、材質等は特に問わない。この係止部は、通常、弾性変形を伴って上記被係止部と係脱される。また、この係止部は、例えば、ドレン用冶具の軸端側に配設されていたり、ドレン用冶具の軸方向の所定位置に配設されていたりできる。また、この係止部は、例えば、ドレン用冶具と一体成形されていたり、ドレン用冶具とは別部材で成形されていたりできる。また、この係止部は、例えば、弾性変形可能な構造であることができる。特に、この係止部が、上述したドレン通路を構成する連絡路(例えば、スリット等)によって弾性変形可能な構造とされることが好ましい。
【0028】
上記「フランジ部」は、上記キャップの底部に設けられたシール部材と接触し得る限り、その構造、形状、材質等は特に問わない。
上記「接続部」は、流体排出用ホースに接続し得る限り、その構造、形状、材質等は特に問わない。
【0029】
上記ドレン用冶具は、例えば、上記ケースと上記キャップとの脱着に使用される脱着用冶具に一体的に設けられていることができる。この脱着用冶具は、例えば、キャップの外周に形成された被係合部に係脱可能な係合部を有する筒状の冶具であることができる。また、ドレン用冶具は、例えば、脱着用冶具と一体成形されていたり、脱着用冶具と別部材で成形されていたりできる。
【0030】
<ドレン方法>
本実施の形態に係るドレン方法は、先ず、キャップからドレン部材を取り外して、ドレン部材によるドレン穴の閉鎖を解除する。その後、ドレン穴にドレン用冶具を挿入して、このドレン用冶具によって、弾性手段の付勢力に抗してバルブ部材を変位させる。すると、バルブ部材によるドレン穴の閉鎖が解除されると共に、ドレン用冶具のドレン通路を介してハウジング内部の流体が外部へ排出される。
【0031】
【実施例】
以下、図面を参照して実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本実施例では、エレメント交換型フィルタとして、内燃機関のシリンダブロック(図示せず。)に装着されるオイルフィルタを例示する。
【0032】
(1)オイルフィルタの構成
本実施例に係るオイルフィルタ1は、図1に示すように、互いに係脱可能な金属製のケース2及びキャップ3らなるハウジング4と、このハウジング4内に収容されるろ過エレメント5及びドレン機構7とを備えて基本的に構成されている。
【0033】
このキャップ3の外周面には、雄ネジ部8が形成されていると共に、Oリング9が装着されている。また、ケース2の内周面には雌ネジ部10が形成されている。これら雄ネジ部8と雌ネジ部10とを螺合させて、Oリング9を介してケース2とキャップ3とを係合させると、ハウジング4内部がシール(液密に保持)される。このハウジング内部では、バネ11の付勢力によってプレート12及びケース2に設けたケース突起部6にて、各シール材13,14を介してろ過エレメント5の上下端部がシールされ、このろ過エレメント5によりオイルのろ過が行われる。
【0034】
また、キャップ3の底部3aの中央には、その内周に雌ネジ15aが形成されたドレン穴15が設けられている。また、キャップ3の底部3aの下端部にはドレン穴15を囲んでOリング17(シール部材として例示する。)が装着されている。さらに、キャップ3の底部3aの上端部には、環状のキャップ突起部18(被係止部として例示する。)が設けられている。
【0035】
次に、ドレン機構7について説明する。このドレン機構7は、図1及び図2に示すように、金属製のドレンボルト20(ドレン部材として例示する。)、金属製のバルブ部材21及びバネ11(弾性手段として例示する。)を備えて基本的には構成されている。このドレンボルト20は、雄ネジ22aが形成されたプラグ部22と、このプラグ部22の下部に連なるフランジ部23とを有している。そして、このドレンボルト20の雄ネジ22aとドレン穴15の雌ネジ15aとを螺合させて、ドレン穴15にドレンボルト20をネジ止めすると、ドレンボルト20のフランジ部23がOリング17に圧接してドレン穴15がシールされる。
【0036】
上記バルブ部材21は、全体として受け皿状に形成され、上記キャップ突起部18の外周面に当接する当接部25を有している。このバルブ部材21の当接部25は、バネ11の付勢力によって、通常、キャップ突起部18に当接され、ドレン穴15がメタルシールされている。従って、ドレン穴15からドレンボルト20を取り外した状態であっても、このドレン穴15からハウジング4内部の微量な残留オイルしか外部へ流出されない。
【0037】
(2)ドレン用冶具の構成
次に、ドレン用冶具30について説明する。このドレン用冶具30は、図3に示すように、合成樹脂製であり全体として筒状をなしている。このドレン用冶具30は、両端を開口したパイプ状部31と、このパイプ状部31の上端部に設けられ外方に膨らんだ形状の係止部32と、このパイプ上部31の中間部に設けられる受け皿状のフランジ部33とを有している。
【0038】
上記パイプ状部31には、中心穴35a(中心路として例示する。)と、その上端より下方に向って切り欠かれた複数のスリット35b(連絡路として例示する。)とからなるドレン通路35が形成されている。また、上記係止部32は、スリット35bによる弾性変形を伴って上記キャップ突起部18に係脱可能とされ、キャップ3に対してドレン用冶具30を固定・解除し得るようになっている。さらに、キャップ3にドレン用冶具30を固定した状態で、キャップ3のOリング17にドレン用冶具30のフランジ部33が圧接してシールされる(図2参照。)。
【0039】
(3)オイルフィルタの作用
次に、オイルフィルタ1の作用について説明する。このオイルフィルタ1の通常使用時には、キャップ3のドレン穴15にOリング17を介してドレンボルト20が取り付けられ、ドレン穴15がシールされている。
【0040】
また、ろ過エレメント5やOリング9,17等の交換作業時には、作業者は、先ず、ドレンボルト20を緩めて、ドレン穴15からドレンボルト20を取り外す。このとき、バネ11の付勢力によりバルブ部材21の当接部25がキャップ突起部18に当接してメタルシールされているので、ドレン穴15からハウジング4内部の残留オイルが外部へ流出してしまうことはない。
【0041】
その後、作業者は、ドレン用冶具30をドレン穴15に挿入して、その係止部32の上端面でバルブ部材21をバネ11の付勢力に抗して上方に押上げる。すると、バルブ部材21によるドレン穴15のシールが解除されると共に、ドレン用冶具30のスリット35b及び中心穴35aを介してハウジング4内部の残留オイルが外部へ排出されることとなる。ここで、ドレン用冶具30のドレン穴15への挿入によって、ドレン用冶具30の係止部32は弾性変形を伴ってキャップ突起部18に係合し、キャップ3にドレン用冶具30が固定されている。また、この固定状態では、ドレン用冶具30のフランジ部33がキャップ3の底部3aに設けたOリング17に圧接している(図3参照。)。
その後、ハウジング4内部の残留オイルが排出されたら、作業者は、ドレン用冶具30をキャップ3から引き抜いて、脱着用冶具(図示せず。)を用いてキャップ3を緩めてケース2からキャップ3を分離し、ろ過エレメント5やOリング9,17等の交換作業が行われる。
【0042】
(4)実施例の効果
以上のように本実施例では、オイルフィルタ1の通常使用時には、ドレン穴15にドレンボルト20がネジ止めされドレン穴15が完全に塞がれているので、このドレン穴15を介して外部から土砂、泥等のダストなどがハウジング4内部に混入することがなく、Oリング17のシールの高い信頼性を長期にわたって維持することができる。また、エレメント交換等の際には、ケース2とキャップ3との分離作業に先立って、ドレン用冶具30を用いて残留オイルの排出を行うようにしたので、この流体排出時に熱せられたオイルが作業者にかかることを防止することができる。
【0043】
また、本実施例では、ドレン用冶具30の係止部32とキャップ突起部18との係脱によって、キャップ3にドレン用冶具30を固定・解除可能としたので、オイル排出時に、キャップ3にドレン用冶具30を固定することができ、その作業性を向上させることができる。
また、本実施例では、キャップ3にドレン用冶具30を固定した状態で、ドレン用冶具30のフランジ部33がキャップ3のOリング17に圧接してシールするようにしたので、オイル排出時におけるドレン用冶具30のドレン通路35以外からの流体の外部流出をより確実に防止することができる。
【0044】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、オイル排出時に、ドレン用冶具30の下端開口から、その下方に設置されるオイル受け皿等へオイルを排出するようにしたが、これに限定されず、例えば、ドレン用冶具30の下端部に設けられた外方に膨らんだ形状の接続部37(図3参照。)をオイル排出用のホース(図示せず。)の一端に接続して、このホースを介してオイル排出を行うようにしてもよい。これにより、オイル排出時におけるオイルの飛散を防止することができる。
【0045】
また、上記実施例では、ドレン専用冶具としてのドレン用冶具30を例示したが、これに限定されず、例えば、図4に示すように、ドレン用冶具42を、ケース2とキャップ3の脱着用の脱着用冶具38に一体的に設けてドレン用冶具を構成してもよい。これにより、オイルの排出と、ケース2からのキャップ3の分離とを一連の作業とすることができる。
また、上記実施例では、バルブ部材21の当接部25とキャップ突起部18との当接によるメタルシールを採用したが、これに限定されず、例えば、図4に示すように、バルブ部材40に装着したOリング41により内部シールを行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るオイルフィルタの使用状態における全体構成を示す断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】オイルフィルタのオイルの排出状態における要部拡大断面図である。
【図4】ドレンパイプ具のその他の形態を説明するための要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1;オイルフィルタ、2;ケース、3;キャップ、4;ハウジング、7;ドレン機構、11;バネ、15;ドレン穴、17;Oリング、18;キャップ突起部、20;ドレンボルト、21,40;バルブ部材、30,42;ドレン用冶具、31;パイプ状部、32;係止部、33;フランジ部、35;ドレン通路、35a;中心孔、35b;スリット、37;接続部、38;脱着用冶具。

Claims (11)

  1. ケースに係合され且つドレン穴を有するキャップと、該キャップにその外側から着脱自在に取着され且つ前記ドレン穴を閉鎖するドレン部材と、前記キャップの内側に設けられ且つ前記ドレン穴を閉鎖するバルブ部材と、該バルブ部材を前記ドレン穴を閉鎖する方向に付勢する弾性手段と、を備えることを特徴とする流体フィルタのドレン機構。
  2. 前記キャップと、前記ドレン穴に取着された前記ドレン部材との間にシール部材が介在される請求項1記載の流体フィルタのドレン機構。
  3. 前記キャップから前記ドレン部材を取り外した状態で、前記ドレン穴に挿入される筒状のドレン用冶具によって、前記弾性手段の付勢力に抗して前記バルブ部材を変位させて、該バルブ部材による該ドレン穴の閉鎖を解除するようにした請求項1又は2記載の流体フィルタのドレン機構。
  4. 前記キャップと、前記ドレン穴に挿入された前記ドレン用冶具との間にシール構造が介在される請求項3記載の流体フィルタのドレン機構。
  5. 前記キャップに、前記ドレン用冶具に設けられた係止部が係脱可能な被係止部を設けた請求項3又は4に記載の流体フィルタのドレン機構。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のドレン機構と、該ドレン機構を有し且つ前記ケース及び前記キャップからなるハウジングと、を備えることを特徴とする流体フィルタ。
  7. 請求項6記載の流体フィルタに使用されるドレン用冶具であって、
    前記ドレン用冶具のドレン通路は、該ドレン用冶具の軸方向に沿う中心路と、該中心路に連なり該ドレン用冶具の外周に開口する連絡路とからなることを特徴とする流体フィルタに使用されるドレン用冶具。
  8. 前記ドレン用冶具は、前記キャップの底部に設けられたシール部材と接触するフランジ部を有する請求項7記載の流体フィルタに使用されるドレン用冶具。
  9. 前記ドレン用冶具は、流体排出用ホースに接続可能な接続部を有する請求項7又は8に記載の流体フィルタに使用されるドレン用冶具。
  10. 前記ドレン用冶具は、前記ケースと前記キャップとの脱着に使用される脱着用冶具に一体的に設けられている請求項7乃至9のいずれか一項に記載の流体フィルタに使用されるドレン用冶具。
  11. 請求項6記載の流体フィルタのドレン方法であって、
    先ず、前記キャップから前記ドレン部材を取り外して、該ドレン部材による前記ドレン穴の閉鎖を解除し、その後、前記ドレン穴に筒状のドレン用冶具を挿入して、該ドレン用冶具によって、前記弾性手段の付勢力に抗して前記バルブ部材を変位させて、該バルブ部材による前記ドレン穴の閉鎖を解除すると共に、該ドレン用冶具に設けられたドレン通路を介して前記ハウジング内部の流体を外部へ排出するようにしたことを特徴とする流体フィルタのドレン方法。
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