JP2004151898A - 表示制御方法、情報表示処理システム、プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】アノテーションを利用した情報表示処理システムにおいて、検索条件をきめ細かに指定可能とする。
【解決手段】検索要求指定部300は、ユーザより検索要求を受け付けると、検索指示モードに移行し、検索指示ウィンドウを文書ビューア102に表示させる。ユーザは、検索指示ウィンドウにて、検索を希望するアノテーションの属性(色、形状、線種)を指定する。検索要求指定部300は、指定結果をアノテーションサーバ212の検索処理部213に送付する。検索処理部213は、アノテーションの属性情報に基づいてアノテーションDB216内を検索し、指定された検索条件に合致したアノテーションのデータを読み出しマネジャ部180へ渡す。マネジャ部180は、受け取ったデータに基づいて、文書ビューア102にアノテーションを再現表示させる。
【選択図】 図13
【解決手段】検索要求指定部300は、ユーザより検索要求を受け付けると、検索指示モードに移行し、検索指示ウィンドウを文書ビューア102に表示させる。ユーザは、検索指示ウィンドウにて、検索を希望するアノテーションの属性(色、形状、線種)を指定する。検索要求指定部300は、指定結果をアノテーションサーバ212の検索処理部213に送付する。検索処理部213は、アノテーションの属性情報に基づいてアノテーションDB216内を検索し、指定された検索条件に合致したアノテーションのデータを読み出しマネジャ部180へ渡す。マネジャ部180は、受け取ったデータに基づいて、文書ビューア102にアノテーションを再現表示させる。
【選択図】 図13
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、文書を表示デバイス上に表示する機能を備えた情報表示処理システムおよび表示制御方法、並びにこれらに使用されるプログラムに関する。
【0002】
より詳細には、複数の端末装置を通信網で接続し、遠隔の利用者が画面上に表示された共通の資料を参照しながら会議や打合せなどの共同作業を行なうようにした電子会議システム、あるいは電子文書に追記された付加情報に対応する文書内の語句と関わりのある関連情報を検索するシステムへの応用に適した表示制御に関する。
【0003】
【従来の技術】
人が文書を読む場合、ペンなどのポインティングデバイスを利用してアノテーション(注釈)を付与しながら読解を行なうことは自然なことである。アノテーションが付与された位置は読み手にとって、何らかの興味がある位置であると思われる。
【0004】
同様のことは、電子文書を取り扱う場合にも起こる。たとえば、メモ、メッセージ、アノテーションなど、電子文書の本文に付加される可視化情報を、電子文書の本文に影響を与えることのないよう、その電子文書の本体の付加データとして添付する技術が広く用いられている。たとえば、日本語ワードプロセッサなどの文書作成装置では、作成文書に注釈を付ける注釈機能や、作成文書に添削を施す添削機能といった文書作成を支援するための機能を備えたものがある。電子文書の本文に付加された付加情報は、文書本体とは別に管理可能になっている。
【0005】
ところが、添削機能であれば、複数の添削者が同じ文書に対して添削を行なうと、表示の際に様々な添削情報が入り交じり、1人による一貫した文書添削の指示が分かり難くなる。注釈機能についても同様で、複数の注釈者が同じ文書に注釈を施すと、表示の際に様々な人の注釈情報が入り交じり、どの注釈を選べば良いのか分からなくなる。
【0006】
このため、特許文献1に記載の発明では、複数の編集者(注釈者あるいは添削者)によって編集(注釈あるいは添削)が施された文書を表示する際に、1人による一貫した編集情報のみを任意選択的に表示することのできる手法が提案されている。この特許文献1に記載の発明によれば、アノテーションを付与した人物と付与された日時を管理し、ある特定の人物と日時を指定することにより、その人物が付与したアノテーションを再現したり、特定の日時に付与されたアノテーションを再現したりすることができる。このため、たとえば、ある特定の人物の興味を知りたい場合や、特定の日時に付与されたアノテーションを再現したい場合に有効である。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−62676号公報
【0008】
一方、複数の端末装置を通信ネットワークで接続することにより、複数のユーザが端末画面を介して会議に参加できるようにした電子会議システムにおいて、参加者間で文書を共有可能にする技術が種々提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献2】
特開平7−84905号公報
【0010】
ここで、注釈などを端末画面に表示された文書に付加することは、電子会議システムでもなされる。たとえば、端末画面に表示された文書(電子化された資料)に、ペン型の指示デバイスを用いての入力や指先で直接タッチパネルに触れて記入する手書き入力などによって、メモやアノテーションなどの付加情報を表示画面上で書き込むことがある。
【0011】
この機能によれば、会議の参加者は、それぞれの端末から独自に加筆修正することができ、思考を妨げず簡単に付加情報を入力することができる。また、この手書き情報を他の参加者の端末画面上にも表示することができる。これにより、各端末装置から意見やアイデアを入力したりそのハードコピーを取ったりすることができる。すなわち、会議における付加情報の共有化が可能となる。また、他人や自分が以前に付与したアノテーションなどを再現することにより、他人や自分が付与した興味のある位置を知ることもできる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、文書に付加された情報(たとえばアノテーション)を検索する際、情報を付加した人物(編集者名)と付加した日時(登録日時)とを管理テーブルにて管理し、ユーザによって指定された編集者名あるいは登録日時を条件情報として編集情報を検索し、文書上に表示するようにしているので、当然に、検索は人物と時刻を条件としたものに制限されてしまう。
【0013】
つまり、検索条件となるアノテーションは、人物と時刻でしか指定することができないので、細かな検索条件を指定したい場合、使い勝手が悪い。
【0014】
たとえば、アノテーションを付与した人物や日時だけではなく、さまざまな属性を持つアノテーションを再現したい場合には、希望するアノテーションを検索することができない。たとえば、アノテーションの色や太さあるいは形状などアノテーションの属性に意味を持たせる場合、それらの属性を指定して再現させたい場合があるが、特許文献1に記載の手法では、それができない。
【0015】
また、文書に追記されたアノテーションで示された文書内の語句と関わりのある関連情報を検索する場合にも、検索条件となるアノテーションは、人物と時刻でしか指定することができないので、たとえば既に付与してあるアノテーションのうち、特定の形状や色のアノテーションで示された語句に関連する情報だけをサーチしたいといった要求に応えることはできない。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、文書に付加された付加情報と関わりのある情報の検索条件をより細かに指定することが可能な表示制御方法、およびこの表示制御方法を応用した情報表示処理システムを提供することを目的とする。また、本発明は、コンピュータを利用して前記方法やシステムを実現するためのプログラムを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る第1の表示制御方法は、所定の表示デバイス上に表示された文書に、当該文書とは別に管理可能な付加情報を追記する機能を備えた情報表示処理システムの表示制御方法であって、付加情報の特徴を表した属性情報(たとえば、色、形状、および線種のうちの少なくとも1つ)を利用して付加情報と関わりのある情報としての付加情報そのものの検索条件を決定し、この決定した検索条件に合致する付加情報を文書に重ねて表示することとした。
【0018】
また、本発明に係る第2の表示制御方法は、所定の表示デバイス上に表示された文書に当該文書とは別に管理可能な付加情報を追記し、この追記した付加情報に対応する文書内の語句と関わりのある関連情報を検索する機能を備えた情報表示処理システムの表示制御方法であって、付加情報の特徴を表した属性情報(たとえば、色、形状、および線種のうちの少なくとも1つ)を利用して検索条件を決定し、この決定した検索条件に合致する関連情報を検索することとした。
【0019】
本発明に係る第1の情報表示処理システムは、本発明に係る第1の表示制御方法を応用したものであって、所定の表示デバイス上に表示された文書にこの文書とは別に管理可能な付加情報を追記する付加情報付与部と、付加情報付与部により付加された付加情報の特徴を表した属性情報を利用して検索条件を決定する検索条件決定部と、検索条件決定部により決定された検索条件に合致する付加情報を表示対象となる付加情報として検索する検索部と、検索部により検索された付加情報を文書に重ねて表示する表示処理部とを備えるものとした。
【0020】
本発明に係る第2の情報表示処理システムは、本発明に係る第2の表示制御方法を応用したものであって、所定の表示デバイス上に表示された文書にこの文書とは別に管理可能な付加情報を追記する付加情報付与部と、付加情報付与部により付加された付加情報の特徴を表した属性情報を利用して検索条件を決定する検索条件決定部と、検索条件決定部により決定された検索条件に合致する、文書内の語句と関わりのある関連情報を検索する検索部とを備えるものとした。
【0021】
また従属項に記載された発明は、本発明に係る表示制御方法や情報表示処理システムのさらなる有利な具体例を規定する。さらに、本発明に係るプログラムは、本発明に係る表示制御方法や情報表示処理システムを、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なものである。なお、プログラムは、コンピュータ読取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、有線あるいは無線による通信手段を介して配信されてもよい。
【0022】
【作用】
上記構成においては、文書に追記されたメモやアノテーションなどの付加情報の属性、たとえば、色、形状、あるいは線種を検索条件とすることができるようにした。そして、このメモやアノテーションなどの属性に基づいて、表示対象の付加情報、若しくは付加情報に対応する文書内の語句と関わりのある関連情報を検索する。必要に応じて、検索結果を表示デバイスに表示する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る表示制御方法および情報表示処理システムを適用した電子会議システムの構成例を示す図である。
【0025】
なお、この例での電子会議の場面設定としては、たとえば、開発開始提案や国際技術標準化会議など、電子的なドキュメントベースの会議の場面を想定する。
【0026】
電子的なドキュメントとしては、たとえば、開発開始提案の場面では、前任機(現行機種など開発対象機種に対するそれ以前の機種)に関する仕様書、市場トラブルレポート、サポート部門の技術標準書類、など類似文書が多数ある。
【0027】
また、技術標準化会議の場面では、似たような技術標準書や同じ技術に関するメーリングリストなど関連する文書が周囲に存在している。
【0028】
電子会議システムへの参加者としては、たとえば、決定に影響を与えたり決定事項から影響を受けたりする組織の代表である参加者、議長、記録係などが想定される。
【0029】
電子会議システムでは、たとえば、代表者の誰かが提案書を纏め事前に資料を配布している。そして、会議の前に参加者ならびに議長が資料を読み、手書きのアノテーションを表示画面上に加えることができる。また、会議の進行中に組織の代表者は、バックオフィスにいる関係者とアノテーションを用いてコンテキストを共有し、また互いに連絡をとりながらリアルタイムに部門意見の調整を行なうこともできる。
【0030】
ここで、電子会議システムにおける会議の流れの中で、手書きアノテーションの共有が関わる場面としては、たとえば、次のようなものが考えられる。
*配布された資料を会議前に読み、アノテーションを書き込む。
*説明内容を聞きながらアノテーションを入れる。
*質疑応答セッションで、アノテーションをもとに質問箇所を素早く探して質問する、あるいは応答する。
*過去の関連文書を検索する。
*会議中で同僚に質問する。
*議論のセッション。
*合意事項の確認のセッション。
*議事録作成。
*会議の模様をグループのメンバーに報告する。
*会議を通して専門家を発見したり、多様な視点に気付かされたりする。
【0031】
<システム構成>
次に、図1に示した電子会議システムの構成を説明する。電子会議システム1は、電子会議の参加者が使用するクライアントシステム100と、電子会議システム1にて使用される電子データ(文書データに限らず、会議に必要な他の電子的な情報の全てを含む)を処理するサーバシステム200とを備えている。クライアントシステム100およびサーバシステム200を構成する各機能要素は、有線や無線などのネットワーク(通信網)9によって接続されている。
【0032】
クライアントシステム100は、会議への参加者ごとに設けられている。図示した例では、2セット分を例示しているが、その数は2つに限らない。なお、1つのセットを複数人が共用してもかまわない。
【0033】
クライアントシステム100は、電子文書を表示するための文書ビューア102(図では102a,102b)、文書ビューア102に表示されている電子文書に付加情報の一例であるアノテーションを付与するためのアノテーションデバイス170(図では170a,170b)、および画面操作の履歴を保存したり文書ビューア102を制御したりするマネジャ部180(図では180a,180b)を有する。文書ビューア102とアノテーションデバイス170とで、付加情報付与部106(図では106a,106b)が構成される。
【0034】
文書ビューア102は、図示しない本体(クレードル/ドッキングステーション)に装着自在となっている。文書ビューア102としては、たとえば、パソコンなどに使用されるCRTや液晶(LCD)などのディスプレイや、紙を模倣したようなデバイス(たとえばタブレットPC)などを使用するとよい。なお、文書ビューア102は、ホワイトボード程度の大きさにした大型タブレットとして構成してもよい。
【0035】
アノテーションデバイス170としては、手書き入力ができる機能を備えたものであるのがよく、たとえばペンの形状を持つデバイスなどの入力デバイスを使用するとよい。ペン形状のデバイスの場合、表示面上をデバイスで直接指示できるように、たとえば電磁誘導方式の検知機構とする場合には文書ビューア102およびアノテーションデバイス170ともに指示入力を検知する仕組みを持つものとする。また、タッチパネル方式を採用してもかまわない。また、アノテーションデバイス170は、ペン型のものに限らず、マウスやキーボードなどの入力・指示デバイスを用いるものであってもよい。
【0036】
マネジャ部180は、文書の閲覧履歴やアノテーションの履歴(ログファイル)を保存する記憶部182(図では182a,182b)を有する。また、このマネジャ部180は、読み手により指定された表示手法(本例では強調表示機能)を実現する機能部が設けられる(後述する図3参照)。
【0037】
サーバシステム200は、付加情報管理部の一例であってログファイルやアノテーションを管理するアノテーション管理部210、電子文書を管理する文書管理部220、個人のプロファイルを管理するプロファイル管理部230、および文章の解析や重要語の抽出を行なうなどして会議を支援する情報検索部240を有する。
【0038】
アノテーション管理部210は、文書に付与されたアノテーションの保存と検索を行なうサーバであるアノテーションサーバ212と、各クライアント端末のログファイルの内容を保存するデータベース(Data Base )であるアクションログDB214と、付加情報格納部の一例であってアノテーションおよびそれに付随する属性情報を保存するためのデータベースであるアノテーションDB216とを有する。
【0039】
文書管理部220は、文書の保存と検索を行なうサーバである文書サーバ222と、文書およびそれに付随した属性情報を保存するためのデータベースである文書DB224とを有する。
【0040】
文書本体を管理する文書管理部220と、電子文書に付与されるアノテーションなどの付加情報を管理するアノテーション管理部210とを設けることで、配布資料に対する加筆修正がそれぞれ独自に行なわれるケースでも、会議終了時に原本と合わせたときにその内容に矛盾が生じることを回避することができる。
【0041】
たとえば、だれかが原本のある部分に補足説明を加え、一方、だれかが同じ部分を削除するような修正を加えたときでも、それらの編集部分を文書DB224に登録されている文書本体とは別に、文書本体と対応付けてアノテーションDB216に登録しておくことで、会議資料本体やこれに対する加筆修正などの内容に矛盾が生じることなく情報の管理を行なうことができる。また、アノテーションDB216を参照することで、その場で出された意見や討論の内容を後で書き出すことも容易である。
【0042】
プロファイル管理部230は、個人のプロファイルの保存と検索を行なうサーバであるプロファイルサーバ232と、個人のプロファイルを保存するデータベースであるプロファイルDB234とを有する。
【0043】
情報検索部240は、文章の解析や重要語の抽出を行なうサーバである自然言語処理サーバ242と、自然言語処理サーバ242が参照する解析辞書や類義語辞書などを保存したデータベースである自然言語処理DB244とを有する。
【0044】
自然言語処理DB244には、情報検索手法に適したデータ構造で所定のデータが格納される。たとえば、語義ベースで単語の意味ベクトルを格納する単語ベクトル辞書(辞書はデータベースの一例)、係り受け単語間の共起関係を格納する共起データベース、あるいは類義語展開や関連展開を行なうために使用される拡張辞書(類義語辞書を含む)などを格納する。
【0045】
情報検索部240は、自然言語処理DB244に、これら種々のデータベース(辞書を含む)を有することで、さまざまな検索エンジンを選択して使うことができるようになる。
【0046】
なお、図示したサーバシステム200の各管理部210,220,230,240は、それぞれ別体のものであってもよいし、任意の組合せにて同一筐体内に収容されたものであってもよい。たとえば、各サーバは共通のコンピュータで構成されていてもよいし、各データベースとして共通のハードディスク装置を利用するものであってもよい。なお、アノテーション管理部210、文書管理部220、および情報検索部240を纏めて、文書情報管理部ともいう。これら管理部210,220,230,240としては、たとえばワークステーションが使用されるとよい。
【0047】
<文書ビューアの外観>
図2は、情報表示処理装置の一実施形態である文書ビューア102の表示面側に着目した外観図である。図示するように、この文書ビューア102は、表示デバイスの一例である液晶表示パネル103と種々のハードウェアキーで構成された操作ボタン110とが筐体109に収容されて構成されており、ある程度の厚みを持った1枚の板状に形成されている。
【0048】
液晶表示パネル103は、バックライト付きパネルとして構成されており、文書を表示するための文書表示エリア104として使用される。文書表示エリア104上は、アノテーションデバイス170にて手書き入力(デジタルインク)が可能である。マネジャ部180には、このデジタルインクに対応したメモ書きユーティリティ(ハードウェアおよびアプリケーションソフト)が組み込まれる。
【0049】
デジタルインクに対応したコントローラとしては、手書きで入力したデータを“デジタルインク(手書き文字)”として認識し処理するためのものであればよく、必ずしも、手書きで入力したものをテキスト変換する機能(手書き文字認識機能)を備えたものである必要はない。この場合でも、テキストの最上位フォーマットとして取り扱うことができ、手書き文字のまま検索したり、文字を加工(カラー変更など)したりすることができる。なお、デジタルインクデータフォーマットを画像データ(たとえばビットマップデータ)として取り扱ってもよい。
【0050】
このように、文書ビューア102は、紙の文書を読む際に文書に好きな形で下線や丸を付けたりメモを書き込んだりするのと同様に、アノテーションデバイス170を用いて書込み入力が可能となっている。また、厚みを持った1枚の板状に形成されているので、たとえば、書込み時に、膝の上に置いたり傾けたりして読みやすい位置や角度に据えることも容易である。
【0051】
書込み入力された情報(文書本体の付加情報)は、文書ビューア102内の図示しない記憶部に保持され、所定のときにサーバシステム200のアノテーション管理部210に送られ、アノテーションDB216に文書本体と対応付けられて格納される。後にその文書を読み出すときには、文書本体とともに、過去に記入したアノテーションも読み出され、文書表示エリア104に表示される。
【0052】
これにより、紙のように自由に好きな形で下線や丸あるいはメモなどの書込みを入れることで、情報の記載場所に関する読み手の記憶を視覚的に助ける効果を発揮させることが可能となる。
【0053】
たとえば、電子会議システム1を利用した会議であれば、配布された資料を会議前に読みアノテーションを書き込んだり、あるいは説明内容を聞きながらアノテーションを入れたりするなどに利用することができる。
【0054】
操作ボタン110としては、複数のハードウェアキーが用意されている。たとえば図示するように、文書DB224に格納された文書を読み込むための文書読込みボタン114と、文書表示エリア104に描画されたアノテーションを保存するための保存ボタン116と、アノテーションDB216に保存されるアノテーションを検索し文書表示エリア104に表示させるための検索ボタン118と、表示を更新させるための更新ボタン120とを備えている。
【0055】
また、操作ボタン110としては、ページを前後に捲るための前ページ送りボタン122aおよび次ページ送りボタン122bからなるページ捲りボタン122と、重要語を表示するための強調表示ボタン124と、文書ビューア102が開いている文書にアノテーションを付けているユーザの一覧を表示するユーザ表示ボタン126とを備えている。
【0056】
なお、操作ボタン110のハードウェアキーに代えて、文書表示エリア104にキーボタンを表示するソフトウェアキーとしてもよい。
【0057】
この文書ビューア102は、内部に備えられている記憶媒体から読み出したデータ、あるいは図示しないネットワーク接続機能部を介してサーバシステム200(Webサーバでもよい)などから取得したデータに基づいて画像を液晶表示パネル103に表示するように構成されている。
【0058】
また、文書ビューア102は、本を読むようにパラパラと捲りながらページ単位で表示を切り替えていく機能(捲り表示機能)が搭載されており、この捲り表示機能を利用することで、たとえば、取り込んだ多数の情報の中から所望の情報を素早く検索できるように構成されている。
【0059】
すなわち、この文書ビューア102における情報検索時には、前ページ送りボタン122aや次ページ送りボタン122bといった2つのページ送りボタン(ページ捲りボタン122)を操作することで、ページ捲り操作を行ないながら所望のページ情報を液晶表示パネル103に表示させることができる。また、前ページ送りボタン122aや次ページ送りボタン122bの何れか一方を連続的に押し続けると高速でページ送りを行なうことができ、これにより、次々と表示される情報を確認しながら所望とする情報を探すという操作が可能となっている。
【0060】
また、捲り表示の際は、ページ送り操作に合わせて、液晶表示パネル103の液晶素子を駆動する画素振幅である画像コントラストや画像全体の明るさである表示明度(ブライトネス/背景輝度)を通常表示時と異なるものとし、表示デバイス上の表示画像の明暗状態を所定時間に亘って通常状態の明暗の調子と異なるものにすることで、全体の画像の特徴抽出が容易となるように構成されている。
【0061】
<文書ビューア/マネジャ部>
図3は、文書ビューア102とマネジャ部180の機能ブロック図である。文書ビューア102は、ページ単位で画像を表示する表示デバイスの一例である液晶表示パネル103と、文書ビューア102におけるの表示処理全体を制御するコントローラ130と、所定条件の元に新しいページ画像を生成するページ画像生成部140とを備える。コントローラ130は、液晶表示パネル103上のページ画像の切替指示を操作ボタン110を介して受け付けるページ送り指示受付部132を有する。ページ画像生成部140は、ページ送り指示受付部132がページ画像の切替指示を受け付けたことを条件として新しいページ画像を生成する。
【0062】
また、文書ビューア102は、ページ送り指示受付部132がページ画像の切替指示を受け付けたことを条件として、液晶表示パネル103上の画像を切り替えるとともに表示画像の明暗状態を所定順序に従って切り替える表示輝度制御部150を備える。
【0063】
ページ画像生成部140は、ページ送り指示受付部132がページ画像の切替指示を受け付けると、指示された方向(前方/後方の何れか)の新しいページ画像を生成し、生成し終えると、その旨を示す生成完了信号S1を表示輝度制御部150に通知する。
【0064】
表示輝度制御部150は、液晶表示パネル103上におけるページ画像の表示コントラストを制御する機能部であるコントラスト制御部150aと、液晶表示パネル103のバックライト輝度を制御することでブライトネスを制御する機能部であるブライトネス制御部150bとを有する。
【0065】
表示輝度制御部150は、液晶表示パネル103上のページ画像のコントラストをコントラスト制御部150aにより調整したり、あるいはページ画像のブライトネスをブライトネス制御部150bにより調整することで、液晶表示パネル103上における表示輝度を制御する。なお、コントラストおよびブライトネスの両方に限らず、この両者の少なくとも一方を調整するものであればよい。
【0066】
この表示輝度制御部150は、ページ送り指示受付部132がページ画像の切替指示を受け付けると、液晶表示パネル103の画像をページ画像生成部140が生成した新しいページ画像に切り替えるとともに、液晶表示パネル103上の表示画像の輝度を所定時間に亘って、表示画像の切替指示を受け付ける直前の明暗状態である通常状態の輝度(その時点にユーザが設定しているコントラストやブライトネスの状態)と異なるものに設定し、その後、通常状態の輝度とほぼ等しい輝度に設定する。たとえば、捲り表示中には表示輝度を高めに設定し、捲り表示完了後には、概ね元の表示輝度(ページ捲り操作直前のコントラストやブライトネスの状態)と等しい状態に戻す。
【0067】
そして、ページ画像生成部140が新しいページ画像を生成し終えると、表示輝度制御部150は、ページ画像生成部140から生成完了信号S1の通知を受けて液晶表示パネル103上の画像をその新しいページ画像に切り替えさせる。ページ画像生成部140は、表示輝度制御部150からの画像切替指示S2を受けると、生成した新しいページ画像を液晶表示パネル103に設定する。
【0068】
また、表示輝度制御部150は、表示画像の輝度を通常輝度よりも比較的高い輝度に設定する。これにより、ページ画像生成部140にて生成された新しいページ画像が、通常輝度よりも高めに表示される。そして、表示輝度制御部150は、この高めの表示輝度を、生成完了信号S1が入力されてからの経過時間に応じて漸次通常輝度に戻していく。
【0069】
このように、ページ切替時に、表示輝度を所定時間だけ通常表示と少し変えることで、本を読むようにパラパラと捲りながら表示を行なっていく場合でも、判別能を高めることができる。
【0070】
一方、マネジャ部180は、ログファイル格納部182の他に、読み手が読もうとする対象文書を文書DB224から取り込み強調表示すべき文字やセンテンスを特定する強調語/センテンス特定部184と、強調表示すべき文字やセンテンスの選択手法を強調語/センテンス特定部184に指示する強調語/センテンス選択手法指示部186と、強調表示機能の有効/無効(オン/オフ)を制御する強調指示制御部188とを備える。
【0071】
マネジャ部180は、先ず、強調語/センテンス選択手法指示部186にて読み手(本例では会議参加者)により指定された手法を実現する強調語/センテンス特定手法を選択し強調語/センテンス特定部184に指示する。読み手が読もうとする対象文書は、強調語/センテンス特定部184に入力される。強調表示機能がオンとなっている場合は、強調語/センテンス特定部184にて強調表示すべき語句(単語、センテンス、あるいは文章)をどのように表示するかが決定された後に文書ビューア102のコントローラ130を通じページ画像生成部140へ画像情報が送られる。
【0072】
なお、強調表示手法としては、濃度(コントラスト/ブライト)を変化させて表示させる、フォント(種類やサイズ)を変化させて表示させる、文字色を変化させて表示させる、文字の背景色を変化させて表示させる、下線やべた塗りを付す、などという方法がある。
【0073】
濃度を変化させて表示させる場合、前述のように、表示輝度制御部150の機能を利用する。この場合、確信度の値に応じて濃度を多段階に切り替えるようにしてもよい。
【0074】
フォントを変化させて表示させる場合、文字色を変化させて表示させる場合、文字の背景色を変化させて表示させる場合、あるいは下線やベタ塗りを付す場合には、強調語/センテンス特定部184は、文書DB224から取得した文書情報を、それらに応じた画像データに変換してページ画像生成部140に渡す。これらの場合、確信度の値に応じて、フォントを切り替えたり、文字色・背景色・下線やべた塗りの色を多段階に切り替えるようにしてもよい。
【0075】
確信度の値に応じて、濃度、フォント、あるいは文字色・背景色・下線やべた塗りの色を多段階に切り替えるようにすれば、検索結果後の強調表示の違いによって、検索結果の重要度を判断することができる。
【0076】
たとえば、強調語/センテンス特定部184は、自然言語処理サーバ242が付ける専門用語あるいは固有名詞分類の確信度が高いものを強調表示するよう制御する。どの分類に入れられた語を強調表示するかは読み手の指示に従う。
【0077】
こうすることで、一般的な語の重要度ではなく現在の読み手の関心に合致していると思われる語句のみを強調表示させることができる。これによりたとえば、システムが企業による事件に関する資料を集めている場合に間違って場所情報が強調表示されるといったことを防ぐことができる。
【0078】
また、強調語/センテンス特定部184は、要約や前書きなど文書の概略を纏めた部分の記載中に出現する名詞語句(固有名詞や専門用語を含んでもよい)やその類義語を強調表示するよう制御してもよい。要約部分に含まれる単語を重要語とすることで、精度よくかつ手間をかけずに、重要語または重要文を強調表示することができる。たとえば、文意をよく表現している単語を濃く表示することができる。本文の全ての文に対して類似度解析を行ない各文の類似度を計算するよりも処理が速い。
【0079】
また、要約や前書きなどは、人間が纏めたものであるため機械要約(自動要約)を利用する場合よりも強調表示すべき語句の選択の信頼性が高くなる。また、要約などの中に出現する語句だけでなく、類義語まで強調表示するようにすれば、他の文書との比較としての重要語でなく、筆者がその文書を通じて伝えたい内容を表現しているであろう語句を的確に識別して読むことができる。この結果、内容を素早く理解することが可能となる。
【0080】
また、強調語/センテンス特定部184は、要約との意味的な距離を利用して強調表示すべき語句を特定してもよい。要約との意味的な距離の計算は、たとえば、ベクトル空間法を利用することでセンテンスの類似度を測る手法(たとえば特開平11−110395号や特開2000−331027号など参照)、格助詞を利用した格構造の比較による類似度の測定、係り受け解析あるいは意味解析の結果をグラフあるいはツリー構造で表現し、それらの比較によって類似度を測る、などの手法を利用するとよい。
【0081】
これにより、本文中で注目すべき点を明らかにすることができ、内容を素早く理解することが可能となる。また、機械要約と異なり、本文自体も参照可能なため、間違った解釈をすることがない。
【0082】
また、「流し読み機能」を持たせる場合にも効果が高まる。たとえば、紙の文書を流し読みするとき、読み手は、興味を引く語句や文書を特徴づけている語句を拾い読みしながら、大事な内容が掲載されていそうなページや文書の大凡の印象を得るといったことを行なっている。この文書ビューア102でも、「流し読みモード」を設けることで、文意をよく表現していると思われる重要語句を濃く表示することができる。濃く表示されているキーワードを追っていくことによって、短時間で文書の内容を理解することができる。また、読み手は、濃く表示されている語句の周辺が重要な箇所であると推測することもできる。より深く内容を理解したければ、そこを読み進めればよい。
【0083】
また、アノテーション機能を利用した文献リストの自動生成とリンクさせた文書を表示することもできる。たとえば、ある文書に読み手が書き込んだ下線や丸などの印がついた語句をキーワードにして、サーバシステム200に保持している文書に検索をかける。そしてキーワードが頻出する文書を参考文献としてリストアップする。読み手は、文書のタイトル、キーワードが頻出している個所の文章(クリップ)とページ番号を参照することができる。指定された参照文献を表示する際には、クリップ(検索条件に該当した語句を示す状態)中のキーワードに、たとえば、フォント種やサイズを変える、下線を引く、色塗りする、あるいは濃い文字で表示するなどの強調表示をする。こうすることで、参照文献の内容を素早く理解することが可能となる。
【0084】
なお、強調語/センテンス特定部184、強調語/センテンス選択手法指示部186、および強調指示制御部188の各処理、特に確信度を求める処理の詳細は、本願と同日出願に係る特願2002−314876号を参照するとよい。
【0085】
<文書サーバ/文書データベース>
図4は、文書サーバ222および文書DB224の構成例を示す図である。文書サーバ222は、「登録」と「文書読込み」を外部からの指示により受け付ける。たとえば、文書ビューア102の文書読込みボタン114が操作されたことをクライアントシステム100にて検知すると、クライアントシステム100は、その旨をサーバシステム200を構成する文書管理部220の文書サーバ222に通知する。これにより、文書サーバ222は、文書DB224から指示された文書を読み込む。
【0086】
なお、「登録」は、たとえば“http://datacenter.company.co.jp/access.cgi?DocumentID=8gjk3cl3”などのように、文書DB224への文書の格納先を示すアドレスを示した登録したい文書へのURL(Uniform Resource Locators )などのパスやディレクトリへのパスで与えることとする。
【0087】
文書サーバ222は、与えられたパスが示す文書(群)に対し、順次、文書IDを付与し、文書名と文書本文を文書DB224に登録する。このとき、文書DB224内のデータ構造は、たとえば図4(B)のようになる。文書名または文書本文はURLなどの文書へのパスでもかまわない。
【0088】
文書サーバ222は、文書ビューア102から「文書読込み」の指示を受け付ける。文書サーバ222は、「文書読込み」の指示を受け付けると、文書DB224内の文書名の一覧を作成し、文書ビューア102へ返す。また、文書サーバ222は、文書ビューア102より文書名を受け取り、対応する文書本文を文書ビューア102へ送り返す。
【0089】
<アノテーションサーバ/アノテーションデータベース>
図5は、アノテーションサーバ212およびアノテーションDB216の構成例を示す図である。
【0090】
アノテーションサーバ212は、「保存」と「検索」を外部からの指示により受け付ける。たとえば、文書ビューア102の保存ボタン116が操作されたことをクライアントシステム100にて検知すると、クライアントシステム100は、その旨をサーバシステム200を構成するアノテーション管理部210のアノテーションサーバ212に通知する。これにより、アノテーションサーバ212は、保存を指示されたアノテーション情報(付加情報の特徴を表した情報の一例)をそのアノテーションが付与されていた文書に対応付けて、記憶部の一例であるアノテーションDB216に登録(格納)する。
【0091】
たとえば、アノテーションサーバ212は、文書ビューア102から「保存」の指示を受け付ける。このとき、保存したいアノテーション内容とアノテーションの矩形情報と色や形状、またアノテーションが付与された文書IDおよび「保存」指示を発した文書ビューア102の端末IDが与えられる。またこのとき、同様に、「保存」を指示した会議参加者(クライアント)のユーザ名や、その参加者が属するグループID、並びに保存を指示したアノテーションに関する公開属性の情報、およびアノテーションが付与された時刻も与えられる。
【0092】
アノテーションサーバ212は、与えられた端末ID、文書ID、矩形情報(詳細は後述する)、アノテーション内容、色、形状、ユーザID(あるいはユーザ名)、グループID、公開属性、時刻を、テーブルデータとしてアノテーションDB216に保存する。このときアノテーションDB216内のデータ構造は、たとえば図5(B)のようになる。アノテーションIDは、文書IDおよびユーザIDの組合せが新規の場合、新たに付与される。新規でない場合は、そのアノテーションIDで示される行を上書きするものとする。
【0093】
アノテーション内容は、描画されたアノテーションを再現するためのデータであり、ビットマップやベクトルデータなどのデータとなる。色や形状は、アノテーションの色や形状である。ユーザID(あるいはユーザ名)は、文書ビューア102を操作しているユーザを示す情報であり、グループIDは、そのユーザが属しているグループのIDである。
【0094】
公開属性は、たとえば、公開可能(制限なし)とする(=Pub)、あるグループ内だけに公開する(=Frd)、アノテーションを非公開(個人用)とする(=Prv)のうちの何れかをとるものとする。あるグループ内だけに公開する(Frd)場合には、公開対象のグループの情報(たとえばグループID)もアノテーションDB216に登録する。
【0095】
時刻は、文書ビューア102においてアノテーションが付与された時刻であり、日付と時間からなる。
【0096】
また、クライアントシステム100は、文書ビューア102の検索ボタン118が操作されたことを検知すると、その旨をサーバシステム200を構成するアノテーション管理部210のアノテーションサーバ212に通知する。これにより、アノテーションサーバ212は、検索を指示されたアノテーション情報をアノテーションDB216から読み出す。
【0097】
たとえば、アノテーションサーバ212は、文書ビューア102から「検索」の指示を受け付ける。このとき、アノテーションサーバ212は、文書IDと矩形情報とアノテーション付与範囲に関する情報をクライアントシステム100(文書ビューア102)から受け取る。アノテーションサーバ212は、これらの情報(検索条件)に基づきアノテーションDB216内を検索し、適切なアノテーション内容を文書ビューア102へ返す。この検索処理については後述する。
【0098】
<アノテーション付与に関する処理>
次に、アノテーション付与に関する処理について、具体例を用いて説明する。先ず、文書の登録、読込み、アノテーション付与、保存までを説明する。
【0099】
<文書の登録処理>
図6は、以下に述べる具体例における文書DB224の構成例を示す図である。本例におけるそれぞれの文書は、コピー機の操作に関するマニュアルである。
【0100】
先にも述べたように、文書の登録は、登録したい文書へのURLやディレクトリへのパスで与えることとする。文書サーバ222は、受け取ったパスで示される文書の文書ID、文書名、文書本文を、文書DB224への文書の登録内容として、図6のように登録する。
【0101】
<文書の読込み処理>
文書の読み込みを希望する参加者は、文書ビューア102の文書読込みボタン114を押下する。この指示を受け付けた文書ビューア102は、文書読込み要求を文書サーバ222へ発信する。
【0102】
この通知を受けた文書サーバ222は、文書DB224内の文書名の一覧を作成し、文書ビューア102へ返す。ここでは“manual1.txt, manual2.txt, manual3.txt, manual4.txt”となる。文書ビューア102は、文書名の一覧をリストボックスなどで表示しユーザA(ユーザIDはuser1)へ選択を促す。
【0103】
ユーザAは、“manual2.txt”を選択したものとする。文書ビューア102は、“manual2.txt”が選択されたことを文書サーバ222へ通知する。文書サーバ222は、“manual2.txt”に付与される文書IDと文書本文を文書DB224より検索し、文書ビューア102へ返す。文書ビューア102は、受け取った文書本文を文書表示エリア104へ表示する。なお、文書サーバ222に全文検索機能などを設けると、読込みの対象として検索結果を提示することも可能である。
【0104】
<アノテーション付与処理>
図7は、文書ビューア102の文書表示エリア104に表示された文書にアノテーションを付与した状態の表示例を示す図である。読み手(ユーザA)は、文書表示エリア104に表示された文書に対して、興味や関心に応じて下線や丸などの印(アノテーション)を付与しながら文書を読む。ここではアノテーションデバイス170としてペン型のデバイスを利用する。この場合、紙に書き込むようにアノテーションを付与することができる。
【0105】
このとき、文書表示エリア104は、図7(A)に示されるように、実際には目に見えないが文字を含む矩形に区切られているものとする。文字の無い空白名部分や図表などの部分も適当な大きさの矩形に区切る。たとえば、前後の文字のフォントサイズを参考に適当な大きさの矩形に区切るとよい。それぞれの矩形には、各矩形を特定するための情報が付与される。たとえば、連続した矩形番号が左上から横方向に順に付与される。
【0106】
たとえば、コピー機のマニュアルの校正を行なう会議で、ユーザAはマニュアルのあるページの説明文の「原稿の中心を…」に着目して、図7(A)に示されるアノテーションa1を付与したとする。また、綴じ代を行なう操作にも注目してアノテーションb1を付与したとする。この後、2ページ目、3ページ目と読み進み、実際に操作を行ないながら注意すべき点などを、図7(B)のように3ページに亘ってアノテーションを付与したとする。
【0107】
<保存処理>
図8は、本事例において文書ビューア102がアノテーションサーバ212へ送る情報の一例を示した図である。また、図9は、本事例におけるアノテーションDB216の構成例を示す図である。また、図10は、本事例におけるアクションログDB214の構成例を示す図である。
【0108】
ユーザA(ユーザIDはuser1)は、本システムの利用の際、事前に付与されているユーザIDを入力してプロファイルサーバ232に問い合わせることで個人認証をする。照合に合致すれば、本システムが利用可能となる。この後、ユーザAは、文書ビューア102の保存ボタン116を押下することによってアノテーションの保存を指示することができる。
【0109】
文書ビューア102は、この保存指示を受け付けると、アノテーションが付与された文書の文書ID、端末ID、アノテーションが付与された矩形の矩形番号、アノテーション内容、線種、ユーザID、公開属性、および時刻をアノテーションサーバ212へ送る。アノテーションサーバ212へ送る情報は、図8のようになる。ここで文書ビューア102の端末IDは“1”であるとする。
【0110】
アノテーションサーバ212は、図8に示した情報を受け取り、アノテーションDB216へ格納する。このとき、既に同一の文書IDとユーザIDの組合せがある場合は、受け取った情報をそこに上書きをする。また、アノテーションサーバ212は、ユーザIDをプロファイルサーバ232に送り、プロファイルサーバ232からそのユーザが属するグループID(この例では143)を受け取り、このグループIDもアノテーションDB216に登録する。
【0111】
この例では、図9に示すように、アノテーションDB216には既に、文書ID2,3,4,5に対して所定の端末で付与されたアノテーションが6個保存されている(アノテーションID;1,2,3,4,5,6)。ここで、アノテーションDB216には、文書ビューア102から送られた図8に示す情報と同一の文書IDと端末IDの組合せの登録がないので、アノテーションサーバ212は、新規にアノテーションIDに“7”を割り当て、図9の下段のように登録する。
【0112】
また、文書ビューア102は、ユーザA(ユーザIDはuser1)による保存指示を受け付けると、ログファイル格納部182に格納しているログファイルの内容もアノテーションサーバ212に送る。アノテーションサーバ212は、文書ビューア102から受け取ったログファイルを、図10に示すように、アクションログDB214に保存する。なお、アクションログDB214には、閲覧している文書のページが変更された時間(PAGE_OPEN )と文書を開いていた時間(DOC_OPEN)も記録する。また、アノテーションが保存された時間(ANT_SAVE )も記録する。
【0113】
以上で、アノテーションや文書およびページに関する操作履歴の所定のデータベースへの保存が終了する。
【0114】
図11は、本事例におけるアノテーションDB216の他の構成例を示す図である。この構成例の場合、アノテーションは予めある纏まりによって1つのアノテーションに纏められる。たとえば、ある時間以内において書き込まれたアノテーションは1つのベクトルデータに纏められるとする。ここで「ベクトルデータ」とは、ある色や太さを持つ複数の座標点が書き込まれた時間順に纏められているデータである。
【0115】
<<付加情報の属性を利用した処理>>
次に、文書ビューア102の文書表示エリア104に表示された文書の斜め読みを支援する、あるいは文書の内容を素早く理解することを支援するための手法について、具体的に説明する。
【0116】
図12は、アノテーション処理に着目した電子会議システム1の構成例を示す図である。基本的な枠組みは、図1に示した全体構成図と相違ない。
【0117】
文書閲覧者(本例では会議への参加者)は、文書ビューア102の文書表示エリア104に表示された文書を読みながら、アノテーションデバイス170を用いて、興味を引く語句や文書を特徴づけている語句に下線や丸などの印(アノテーション)を書き込む。あるいは、メモ書きを付してもよい。
【0118】
これらの手書き入力(デジタルインク)された文書本体に対する付加情報に関する情報は、保存ボタンが押されることで、ネットワーク9を介してサーバシステム200に送信される(図8参照)。文書本体は、文書管理部220にて管理されている(図6参照)。この文書本体に対応するアノテーションなどの付加情報は、アノテーション管理部210のアノテーションDB216に、その文書本体に対応付けられて管理(保存)される(図9や図11参照)。そして、必要に応じて読み手から検索が指示されると、読み手が指定した付加情報の属性に適合する付加情報(たとえばアノテーション)をアノテーション管理部210を利用してサーチ(検索)する。
【0119】
図13は、図1に示した電子会議システム1について、文書に付加された付加情報の属性を検索キーとして、読み手から指示された付加情報を検索し文書ビューア102に表示させる機能に着目したブロック図である。
【0120】
この機能をなす情報表示処理システム3は、図示するように、検索条件決定部の一例であって、読み手から検索指示を受け付けるための検索要求指定部300と、検索を要求された付加情報がアノテーションDB216に登録済みか否かを検索し、該当品がある場合にはその検索結果を表示側へ送る検索処理部213と、検索処理部213から送られた検索結果を表示する表示処理部101とからなる。
【0121】
表示処理部101は、文書ビューア102とマネジャ部180とにおける表示処理に関わる部分で構成される。以下の説明では、図11に示すようなアノテーションがアノテーションDB216に保存されているものとする。
【0122】
検索要求指定部300が読み手から検索指示を受け付ける際には、文書ビューア102に指示入力ための検索指示ウィンドウ310を表示させる。この機能は、文書ビューア102の検索ボタン118が読み手により押下されることで起動する。読み手は、表示された検索指示ウィンドウ画面にて、付加情報の属性、たとえばアノテーションであれば、色、形状、あるいは線種(線の太さや線の種類)などを指定し、またテキストメモであれば、フォント種(フォントの種類やサイズ)や色あるいはテキストブロックの形状や色(外枠と塗り潰しの有無)などを指定する。
【0123】
図14は、文書ビューア102で、検索ボタン118が押下されたときに文書表示エリア104に表示される検索指示ウィンドウの一例を示した図である。なお、この図14に示す例は付加情報としてアノテーションについての属性を検索条件に指定するための一例であって、色や形状あるいは線種などの属性を指定し得るものであれば、他の画面構成としてもかまわない。また、テキストコメントなど付加情報の種類が変われば、それに応じて画面設定を切り替える。それらの画面例については、図示を割愛する。
【0124】
図14(A)〜図14(C)に示すように、検索指示ウィンドウ310の上段には、アノテーションの属性のカテゴリ一覧(色・形状・線種)が表示される。読み手は、その中から属性名を指定する。属性は複数指定することができ、それぞれに応じた個々の情報(本例ではアノテーション属性の検索条件に相当)の指定欄が、下段に表示される。
【0125】
たとえば、クライアントシステム100は、文書ビューア102の検索ボタン118が読み手により押下されると検索指示モードに移行し、検索指示ウィンドウ310を文書表示エリア104に表示する。この検索指示ウィンドウ310の上段には、アノテーションの属性として、色指定ボタン312、形状指定ボタン314、および線種指定ボタン316の各ボタンが表示される。また検索を実行させる検索開始ボタン318と閉じるボタン319が表示される。閉じるボタン319を押すと、この検索指示ウィンドウが閉じられる。
【0126】
また、検索指示ウィンドウ310の左下には、文書ビューア102で開いている文書に対してアノテーションを付けているユーザ名をリスト表示するためのユーザ名欄322、ユーザ名を任意に指定可能な空欄部(自由指定欄)324、およびユーザ名欄322のリスト表示を捲るための捲りボタン326からなるユーザ名一覧部320が表示される。捲りボタン326を構成する左右の方向を向いた各サブボタンは、次候補がある場合に強調表示(たとえば所定の色で塗り潰し)され、そのボタンの使用が有効となる。図示した例では、何れの方向も強調表示されておらず、現時点では、ユーザ名欄322にリスト表示されているユーザAからユーザDまでの4人がアノテーションを付けていることを示している。
【0127】
検索対象のユーザを指定したい場合、ユーザ名欄322の左側に表示されている表示チェックボックス328をクリックしてチェックマークを付けるか、若しくは、自由指定欄324に希望名を入力する。こうすることで、たとえば、表示チェックボックス328にチェック(×点)が付いているユーザのアノテーションデータがアノテーションサーバ212より取り出され文書ビューア102で表示される。なお、複数のチェックボックス328にチェック(×点)を入れることができる。すなわち、複数のユーザを検索条件に含めることができる。
【0128】
また、たとえば、更新ボタン120を押して、アノテーションサーバ212から最新のアノテーションデータを取得し文書表示エリア104に表示させる。このとき、表示チェックボックス328がチェックされているユーザのアノテーションデータのみを取得してもよいし、全員分を取得後、表示チェックボックス328がチェックされているユーザのアノテーションのみを表示するようにしてもよい。カレントユーザは、破線の枠で囲まれてユーザである。
【0129】
なお、ユーザ名一覧部320は、付加情報の属性を利用した処理のためには必ずしも必要とするものではない。付加情報の属性を利用した処理のためには、形状、色、線種のプロパティ(Properties;設定項目の値)を指定するための画面が用意されていれば十分である。以下、これらの指定画面について説明する。
【0130】
検索指示ウィンドウ310の右下には、アノテーションの属性に対応した具体的な検索条件を指定するための画面が表示される。たとえば、上段の形状指定ボタン314がクリックされると、図14(A)に示す形状指定画面が表示される。この形状指定画面では、所定の形状にプリセットされた複数の指定ボタン332とこれらの指定ボタン332以外の形状を指定するための形状指定ボタン334からなる形状指定部330と、指定結果を表示するための結果表示窓360と、指定切替ボタン362とが表示される。
【0131】
形状指定ボタン334はプルダウンメニューとなっており、形状指定ボタン334をクリックすることで、システムにて対応可能な全ての形状がリスト表示され、何れかを選択可能になる。また、結果表示窓360にアノテーションデバイス170などで直接に書き込むことで、任意の形状を指定することもできる。
【0132】
ユーザは、指定ボタン332,334あるいは結果表示窓360にてアノテーションの形状のプロパティ(特性/特徴)を指定する。指定結果は結果表示窓360に表示される。結果表示窓360には、形状以外の指定結果も反映されて表示される。たとえば、事前に線の色と塗り潰しの有無および色を指定していると、この画面で指定した形状がそれらの指定色で表示される。なお、事前に色指定がなければ、システムのプリセット色が使用される。ユーザは、この結果表示窓360にて、検索指定の属性を確認することができる。
【0133】
また、上段の色指定ボタン312がクリックされると、図14(B)に示す色指定画面が表示される。この色指定画面では、黒枠内が所定の色に塗られた(プリセットされた)複数の色ボタン(カラータイル)342とこれらの色ボタン342以外の色を指定するための色指定ボタン344からなる色指定部340と、指定結果を表示するための結果表示窓360と指定切替ボタン362とが表示される。
【0134】
色指定ボタン344をクリックすると、プリセットされた複数の色ボタン342よりも多くの色ボタンからなるパレットウィンドウが表示されて何れかを選択可能となる。色ボタン342のプリセット色(カラータイルの色)をユーザの所望する色に変更することもできる。このとき、たとえば、R(赤),G(緑),B(青)の各データ値(8ビットの場合0〜255)を数値入力する、あるいはスライドバーを調整するなどして、任意の色を指定することも可能である。
【0135】
ユーザは、ボタン342,344にてアノテーションの色のプロパティを指定する。指定結果は結果表示窓360に表示される。結果表示窓360には、形状指定画面と同様に、色以外の指定結果も反映されて表示される。
【0136】
また、上段の線種指定ボタン316がクリックされると、図14(C)に示す線種指定画面が表示される。この線種指定画面では、所定の線幅(線の太さ)と所定の線の種類(実線や波線など)を示す(プリセットされた)複数の線ボタン352とこれらの線ボタン352以外の線種を指定するための線種指定ボタン354からなる線種指定部350と、指定結果を表示するための結果表示窓360と指定切替ボタン362とが表示される。
【0137】
線種指定ボタン354はプルダウンメニューとなっており、この指定ボタン354をクリックすることで、システムにて対応可能な全てのプリセットされた線幅や線の種類がリスト表示され、何れかを選択可能になる。なお、線幅に関しては、数値入力にて任意の線幅を指定することも可能である。また、直線に限らず、フリーハンドの自由線を指定することも可能である。
【0138】
ユーザは、ボタン352,354にてアノテーションの線のプロパティを指定する。指定結果は結果表示窓360に表示される。結果表示窓360には、形状指定画面や色指定画面と同様に、線種以外の指定結果も反映されて表示される。
【0139】
なお、各指定画面では、それぞれ複数を指定することも可能である。指定切替ボタン362を構成する上下の各方向を向いた2つのサブボタンにて、指定対象や指定結果の確認表示を切り替える。複数を指定する場合には、すなわち単一カテゴリ内で複数指定された場合は、基本的にはORとなる。また、複数のカテゴリ間は、AND,OR,NOTなどで制限することができる。なお、AND,OR,NOTの制限のための指定手法はどのようなものであってもよい。その画面例は、図示を割愛する。
【0140】
ユーザは、上述した3種類の指定画面を切り替えて、アノテーションの色・形状・線種のプロパティを指定する。これにより、色・形状・線種の各プロパティの組合せで示される検索条件(クエリ)を指定することができる。たとえば、「形状:四角形、色:赤、線種:太1・実線」や「形状:四角形,◎、色:緑,青、線種:太1・実線,細3・自由線」などと検索条件を指定することができる。
【0141】
また、ユーザ名を検索条件に加えてもかまわない。たとえば、上述した3種類の指定画面を切り替えて、ユーザ名やアノテーションの色・形状・線種を指定する。これにより、たとえば、「ユーザ名:ユーザA、形状:四角形、色:赤、線種:太1・実線」や「ユーザ名:ユーザA,ユーザB、形状:四角形,◎、色:緑,青、線種:太1・実線,細3・自由線」などと検索条件を指定することができる。
【0142】
検索要求指定部300は、何れかの指定画面にて検索開始ボタン318が押下されたことを検知すると、色・形状・線種(ユーザ名を含む場合もある)の各プロパティの組合せで示される検索条件(クエリ)をアノテーションサーバ212の検索処理部213に送付する。このとき、文書IDについては、文書ビューア102に表示されている文書IDを属性として送付する。
【0143】
検索処理部213は、検索要求指定部300より受け取った検索条件(クエリ)で示されるアノテーションの各プロパティ(個々の属性情報の特性/特徴)に基づいてアノテーションDB216内を検索し、指定された検索条件に合致したアノテーションのベクトルデータを読み出し、これを検索結果としてマネジャ部180へ渡す。
【0144】
マネジャ部180は、受け取ったベクトルデータに基づいて、文書ビューア102の文書表示エリア104にアノテーションを再現表示させる。このとき、前述のように、必要に応じて強調表示などの処理をした後、文書ビューア102に画像データを送る。この場合、検索条件に合致するアノテーションが強調表示される。
【0145】
このように、アノテーションの属性(色・形状・線種)に着目して、アノテーションにさまざまな属性を付与して保存・検索することにより、より細かな条件でアノテーションを再現することができる。
【0146】
上記説明では、文書本体に対する付加情報の一例としてアノテーションを一例に説明したが、付加情報はアノテーションに限らない。たとえば、テキストメモなどでも、同様に適用可能である。たとえば、テキストの色を指定することで、テキスト色を検索条件に含めることができる。また、ボックス付きテキストの場合、前述のアノテーションの属性(色・形状・線種)とテキストの色との組合せと考えればよい。
【0147】
また、アノテーションDB216に記憶されているアノテーションそのものの検索条件の指定に利用するだけでなく、文書の検索に付加情報の属性を利用することもできる。たとえば、読み手は興味や関心に応じて文書中に下線や丸などの印(アノテーション)を付ける。参考文献リストを開くと下線や丸などの印がついた語句や文章をキーワードにして、サーバシステム200が保持している全ての文書に対して検索(たとえば全文検索)をかける。そしてキーワードが頻出する文書を参考文献としてリストアップする。画面では文書のタイトルやキーワードが頻出している個所の文書とページ番号を参照することができる。参考文献リストはオリジナルの文書にリンクされているので、必要な文書を直ぐに読むことができる。
【0148】
しかしながら、アノテーションを付した全ての語やセンテンスに合致するものをリストアップすると、場合によっては、膨大な量の文献がリストアップされてしまう。多数の文献の全てを開いて確認するのは大変である。この場合、検索対象のアノテーション属性を指定することで、文書に付与したアノテーションのうち、(検索を指示した)読み手が指定した属性を持つアノテーション部分の語句(単語やセンテンスあるいは文章)をキーワードにして、サーバシステム200が保持している全ての文書に対し検索(たとえば全文検索)をかけることができる。つまり、アノテーション属性を利用して検索条件を絞り込むことができる。
【0149】
たとえば、サーバシステム200の記憶容量には限りがあるため,実際には読み手の関心のある分野や仕事に関わる内容の文書を保持させることになる。このため、読み手が全く知らないが非常に有用な文書が数多くリストアップされることはない。しかし、情報表示処理システム3が備える通信機能を使うことで、リストアップする文書の対象を企業の文献データベースや、さらにインターネット上にある他の電子ライブラリにまで拡張することができる。ところが、検索条件が適当でなければ、検索対象が広がった分だけ、膨大な数の文献がリストアップされてしまう。この点では、上記説明のように、アノテーション属性をキー(クエリ)として検索することにより、より細かな条件で文書を検索することが可能となる。
【0150】
また、文書中に既に付与しているアノテーション(以下既設アノテーションという)に影響を与えることなく、検索対象にしたい用語やセンテンスを指定する場合にも、付加情報の属性を利用することもできる。たとえば、既設アノテーションとは異なる属性、たとえば、色・形状・線種のうちの少なくとも1つが異なる新規なアノテーションを用いて検索を希望する用語やセンテンスにマーキングを付す。そして、図14(A)〜図14(C)に示した指定画面にて、この新規なアノテーションの属性を検索条件に指定する。この場合、新規にマーキングを付した部分は、既設アノテーションによるマーキング部分とオーバーラップ(重ね書き)してもかまわない。
【0151】
アノテーションが付与された語やセンテンスを検索キーとする従来技術では、前例の場合、既設アノテーションと新規なアノテーションの両方にてマーキングされた用語やセンテンスを検索キーとしてしまう。また、既設アノテーションを一旦削除して検索部分にアノテーションを付加して検索を完了させた後、元のアノテーションをマーキングし直すと言う手法も考えられるが、人手により1つ1つ再付加する作業は面倒であり、また必ずしも元通りに戻せるとは言えない。既設アノテーションの情報をセーブしておき、検索完了後にセーブしておいたものを使用して元に戻すということも考えられるが、その作業が必要となる。
【0152】
これに対して、既設アノテーションとは異なる属性の新規なアノテーションを用いて検索条件を設定することとすれば、既設アノテーションを付与した状態を維持しつつ、検索を希望する用語やセンテンスのみを指定することが可能となり、便利である。検索指定に用いた新規なアノテーションは、その後不要であれば削除すればよいし、そのままとしておいてもかまわない。後者の場合、その新規なアノテーションの情報をアノテーションDB216に格納することで、検索履歴として残すことができる。
【0153】
また、文書中に付与する際のアノテーションにルール(個人別のルールでよい/他人との間でのルールの共通化は不要)を設けておくことで、上記とは異なる使い方も可能となる。たとえば、“赤色の下線”は重要部分、“緑色の★”はトピックス情報などと定義付けておき、後日読み返すときに、それらの属性を検索条件に指定することで、重要部分のアノテーションのみを表示させたり、トピックス情報のアノテーションのみを表示させたりすることができる。また、このようにしてルール化した属性をキーにしてサーバに検索をかけることもできる。たとえば、重要部分に関連した文書の検索を指示する、あるいはトピックス情報に関連する他のWeb情報の検索に利用するなどである。
【0154】
なお、上述したアノテーションなどの付加情報の属性を検索条件に含めて検索を実行する一連の処理、あるいは検索結果を反映した強調表示に関する一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ(組込みマイコンなど)、または、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
【0155】
この記録媒体は、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc )を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供されてもよいし、プログラムが記録されているROMやハードディスクなどで構成されてもよい。あるいは、ソフトウェアを構成するプログラムが、通信網を介して提供されてもよい。
【0156】
図15は、上述した情報表示処理システム3を、コンピュータにより構成する場合のシステム構成の概略を示した図である。このようなコンピュータシステムの基本構成は、ハードウェア層910、OS(Operating Systems )層920、文書情報管理層930、ユーザインタフェース層940という4つの層から成り立っている。各層は独立性が保たれており、層ごとに機能を拡張したり別のものに交換することが容易になっている。
【0157】
ハードウェア層910は、図1で示したシステム構成に相当するもので、たとえば、文書ビューア102に対応するタブレット911、アノテーションデバイス170に対応するペン入力装置912、操作ボタン110に対応するボタン913、およびネットワーク9に対応する通信ネットワーク914からなる。なお、たとえば音声入出力インタフェース915など、その他の仕組みを設けてもよい。
【0158】
文書情報管理層930は、文書管理部220に対応し文書本体の管理を担当する文書層932、アノテーション管理部210に対応しアノテーションなどの文書本体に付加される付加情報の管理を担当するワークスペース934、および情報検索部240に対応しアノテーションなどを利用して情報検索を行なう情報検索層936からなる。
【0159】
ユーザインタフェース層940は、文書ビューア102やアノテーションデバイス170に対応しユーザからの入力を管理するユーザ入力管理層942、文書表示エリア104における情報表示に関わる画面層944、およびマネジャ部180に対応し文書表示エリア104の表示動作を管理する画面マネジャ946からなる。
【0160】
ユーザ入力管理層942の“手書きによる注記”の機能部分は、アノテーションデバイス170による手書き入力を受け付ける機能部分であり、受け付けた結果は、文書情報管理層930のワークスペース934における“注釈のデータベース”(アノテーションDB216に対応)に送られる。画面層944のワークスペース944aは、図14(A)〜図14(C)に示した指定画面などの作業画面に対応する。画面マネジャ946には、表示モードを切り替える機能部分(946a〜946c)の他に、図3に示したマネジャ部180内の機能部分である強調語/センテンス選択手法指示部186などに対応する強調表示管理層946dを有する。
【0161】
このようなシステム構成においては、たとえば前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムに供給し、そのシステムのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによって、上記実施形態で述べた効果が達成される。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステムOSなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合であってもよい。
【0162】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述の実施形態の機能が実現される場合であってもよい。
【0163】
なお、上記実施形態で述べた処理を実現するプログラムコードを記述したファイルとしプログラムが提供されるが、この場合、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、システムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。
【0164】
たとえば、図1に示したシステム構成では、クライアントシステム100とサーバシステム200とがネットワーク9で接続された形態であるので、表示に関する処理プログラム(たとえばページ捲り時や検索結果を反映した強調表示機能用の処理プログラム)は、クライアントシステム100側の装置に向けて、クライアントシステム用モジュールとして提供される。一方、アノテーションの管理や検索、あるいは文書管理や語句検索に関する処理プログラムは、サーバシステム200側の装置に向けて、サーバシステム用モジュールとして提供される。また、サーバシステム用モジュールは、さらに、サーバシステム200を構成する各管理部の構成に応じて、一括ファイル若しくはサブモジュールファイルとして提供される。
【0165】
なお、クライアントシステム100とサーバシステム200とは、ネットワーク9にて接続されているが、これらは近接した場所に配置されてもよい。この場合、クライアントシステム100のマネジャ部180をサーバシステム200(その全体あるいはその一部)と一体化させてもよい。
【0166】
また、上述の説明では、文書ビューア102がマネジャ部180を収容した本体(クレードル/ドッキングステーション)と別体であるものとして説明したが、上記実施形態で説明したマネジャ部180内の機能部分を文書ビューア102と一体化させてもかまわない。
【0167】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0168】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0169】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、文書本体に付与する付加情報の属性を検索条件に指定することができるようにしたので、さまざまな属性を持つアノテーションを仕分けして検索指定することで、アノテーションを付与した人物や日時だけでは指定不可能な範囲についても検索条件を絞り込むことができるようになった。
【0170】
これにより、たとえば、既に付与されているアノテーションの中から、検索条件として指定したアノテーションの形状・色・線種に合致するもののみを抽出して表示させることができる。すなわち、より細かな条件でアノテーションを再現させることができる。
【0171】
またたとえば、既に付与されているアノテーションとは形状・色・線種の少なくとも1つが異なるアノテーションにて検索を希望する語句を指定することで、既に付与されているアノテーションに影響を与えることなく、指定した語句に関連する情報を検索することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表示制御方法および情報表示処理システムを適用した電子会議システムの構成例を示す図である。
【図2】情報表示処理装置の一実施形態である文書ビューアの表示面側に着目した外観図である。
【図3】文書ビューアとマネジャ部の機能ブロック図である。
【図4】文書サーバおよび文書DBの構成例を示す図である。
【図5】アノテーションサーバおよびアノテーションDBの構成例を示す図である。
【図6】文書DBの具体的な構成例を示す図である。
【図7】文書にアノテーションを付与した状態の表示例を示す図である。
【図8】文書ビューアがアノテーションサーバへ送る情報の一例を示した図である。
【図9】アノテーションDBの構成例を示す図である。
【図10】アクションログDBの構成例を示す図である。
【図11】アノテーションDBの他の構成例を示す図である。
【図12】アノテーション処理に着目した電子会議システムの構成例を示す図である。
【図13】付加情報の属性を検索キーとした検索および表示の機能に着目したブロック図である。
【図14】検索指示ウィンドウの一例を示した図である。
【図15】情報表示処理システムを、コンピュータにより構成する場合のシステム構成の概略を示した図である。
【符号の説明】
1…電子会議システム、3…情報表示処理システム、9…ネットワーク、100…クライアントシステム、101…表示処理部、102…文書ビューア、103…液晶表示パネル、104…文書表示エリア、106…付加情報付与部、109…筐体、110…操作ボタン、114…文書読込みボタン、116…保存ボタン、118…検索ボタン、120…更新ボタン、122…ページ捲りボン、122a…前ページ送りボタン、122b…次ページ送りボタン、124…強調表示ボタン、126…ユーザ表示ボタン、130…コントローラ、132…ページ送り指示受付部、140…ページ画像生成部、150…表示輝度制御部、150a…コントラスト制御部、150b…ブライトネス制御部、170…アノテーションデバイス、180…マネジャ部、182…ログファイル格納部、184…強調語/センテンス特定部、186…強調語/センテンス選択手法指示部、188…強調指示制御部、200…サーバシステム、210…アノテーション管理部、212…アノテーションサーバ、213…検索処理部、214…アクションログDB、216…アノテーションDB、220…文書管理部、222…文書サーバ、224…文書DB、230…プロファイル管理部、232…プロファイルサーバ、234…プロファイルDB、240…情報検索部、242…自然言語処理サーバ、244…自然言語処理DB、300…検索要求指定部、310…検索指示ウィンドウ、320…ユーザ名一覧部、330…形状指定部、340…色指定部、350…線種指定部
【発明の属する技術分野】
本発明は、文書を表示デバイス上に表示する機能を備えた情報表示処理システムおよび表示制御方法、並びにこれらに使用されるプログラムに関する。
【0002】
より詳細には、複数の端末装置を通信網で接続し、遠隔の利用者が画面上に表示された共通の資料を参照しながら会議や打合せなどの共同作業を行なうようにした電子会議システム、あるいは電子文書に追記された付加情報に対応する文書内の語句と関わりのある関連情報を検索するシステムへの応用に適した表示制御に関する。
【0003】
【従来の技術】
人が文書を読む場合、ペンなどのポインティングデバイスを利用してアノテーション(注釈)を付与しながら読解を行なうことは自然なことである。アノテーションが付与された位置は読み手にとって、何らかの興味がある位置であると思われる。
【0004】
同様のことは、電子文書を取り扱う場合にも起こる。たとえば、メモ、メッセージ、アノテーションなど、電子文書の本文に付加される可視化情報を、電子文書の本文に影響を与えることのないよう、その電子文書の本体の付加データとして添付する技術が広く用いられている。たとえば、日本語ワードプロセッサなどの文書作成装置では、作成文書に注釈を付ける注釈機能や、作成文書に添削を施す添削機能といった文書作成を支援するための機能を備えたものがある。電子文書の本文に付加された付加情報は、文書本体とは別に管理可能になっている。
【0005】
ところが、添削機能であれば、複数の添削者が同じ文書に対して添削を行なうと、表示の際に様々な添削情報が入り交じり、1人による一貫した文書添削の指示が分かり難くなる。注釈機能についても同様で、複数の注釈者が同じ文書に注釈を施すと、表示の際に様々な人の注釈情報が入り交じり、どの注釈を選べば良いのか分からなくなる。
【0006】
このため、特許文献1に記載の発明では、複数の編集者(注釈者あるいは添削者)によって編集(注釈あるいは添削)が施された文書を表示する際に、1人による一貫した編集情報のみを任意選択的に表示することのできる手法が提案されている。この特許文献1に記載の発明によれば、アノテーションを付与した人物と付与された日時を管理し、ある特定の人物と日時を指定することにより、その人物が付与したアノテーションを再現したり、特定の日時に付与されたアノテーションを再現したりすることができる。このため、たとえば、ある特定の人物の興味を知りたい場合や、特定の日時に付与されたアノテーションを再現したい場合に有効である。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−62676号公報
【0008】
一方、複数の端末装置を通信ネットワークで接続することにより、複数のユーザが端末画面を介して会議に参加できるようにした電子会議システムにおいて、参加者間で文書を共有可能にする技術が種々提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献2】
特開平7−84905号公報
【0010】
ここで、注釈などを端末画面に表示された文書に付加することは、電子会議システムでもなされる。たとえば、端末画面に表示された文書(電子化された資料)に、ペン型の指示デバイスを用いての入力や指先で直接タッチパネルに触れて記入する手書き入力などによって、メモやアノテーションなどの付加情報を表示画面上で書き込むことがある。
【0011】
この機能によれば、会議の参加者は、それぞれの端末から独自に加筆修正することができ、思考を妨げず簡単に付加情報を入力することができる。また、この手書き情報を他の参加者の端末画面上にも表示することができる。これにより、各端末装置から意見やアイデアを入力したりそのハードコピーを取ったりすることができる。すなわち、会議における付加情報の共有化が可能となる。また、他人や自分が以前に付与したアノテーションなどを再現することにより、他人や自分が付与した興味のある位置を知ることもできる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、文書に付加された情報(たとえばアノテーション)を検索する際、情報を付加した人物(編集者名)と付加した日時(登録日時)とを管理テーブルにて管理し、ユーザによって指定された編集者名あるいは登録日時を条件情報として編集情報を検索し、文書上に表示するようにしているので、当然に、検索は人物と時刻を条件としたものに制限されてしまう。
【0013】
つまり、検索条件となるアノテーションは、人物と時刻でしか指定することができないので、細かな検索条件を指定したい場合、使い勝手が悪い。
【0014】
たとえば、アノテーションを付与した人物や日時だけではなく、さまざまな属性を持つアノテーションを再現したい場合には、希望するアノテーションを検索することができない。たとえば、アノテーションの色や太さあるいは形状などアノテーションの属性に意味を持たせる場合、それらの属性を指定して再現させたい場合があるが、特許文献1に記載の手法では、それができない。
【0015】
また、文書に追記されたアノテーションで示された文書内の語句と関わりのある関連情報を検索する場合にも、検索条件となるアノテーションは、人物と時刻でしか指定することができないので、たとえば既に付与してあるアノテーションのうち、特定の形状や色のアノテーションで示された語句に関連する情報だけをサーチしたいといった要求に応えることはできない。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、文書に付加された付加情報と関わりのある情報の検索条件をより細かに指定することが可能な表示制御方法、およびこの表示制御方法を応用した情報表示処理システムを提供することを目的とする。また、本発明は、コンピュータを利用して前記方法やシステムを実現するためのプログラムを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る第1の表示制御方法は、所定の表示デバイス上に表示された文書に、当該文書とは別に管理可能な付加情報を追記する機能を備えた情報表示処理システムの表示制御方法であって、付加情報の特徴を表した属性情報(たとえば、色、形状、および線種のうちの少なくとも1つ)を利用して付加情報と関わりのある情報としての付加情報そのものの検索条件を決定し、この決定した検索条件に合致する付加情報を文書に重ねて表示することとした。
【0018】
また、本発明に係る第2の表示制御方法は、所定の表示デバイス上に表示された文書に当該文書とは別に管理可能な付加情報を追記し、この追記した付加情報に対応する文書内の語句と関わりのある関連情報を検索する機能を備えた情報表示処理システムの表示制御方法であって、付加情報の特徴を表した属性情報(たとえば、色、形状、および線種のうちの少なくとも1つ)を利用して検索条件を決定し、この決定した検索条件に合致する関連情報を検索することとした。
【0019】
本発明に係る第1の情報表示処理システムは、本発明に係る第1の表示制御方法を応用したものであって、所定の表示デバイス上に表示された文書にこの文書とは別に管理可能な付加情報を追記する付加情報付与部と、付加情報付与部により付加された付加情報の特徴を表した属性情報を利用して検索条件を決定する検索条件決定部と、検索条件決定部により決定された検索条件に合致する付加情報を表示対象となる付加情報として検索する検索部と、検索部により検索された付加情報を文書に重ねて表示する表示処理部とを備えるものとした。
【0020】
本発明に係る第2の情報表示処理システムは、本発明に係る第2の表示制御方法を応用したものであって、所定の表示デバイス上に表示された文書にこの文書とは別に管理可能な付加情報を追記する付加情報付与部と、付加情報付与部により付加された付加情報の特徴を表した属性情報を利用して検索条件を決定する検索条件決定部と、検索条件決定部により決定された検索条件に合致する、文書内の語句と関わりのある関連情報を検索する検索部とを備えるものとした。
【0021】
また従属項に記載された発明は、本発明に係る表示制御方法や情報表示処理システムのさらなる有利な具体例を規定する。さらに、本発明に係るプログラムは、本発明に係る表示制御方法や情報表示処理システムを、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なものである。なお、プログラムは、コンピュータ読取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、有線あるいは無線による通信手段を介して配信されてもよい。
【0022】
【作用】
上記構成においては、文書に追記されたメモやアノテーションなどの付加情報の属性、たとえば、色、形状、あるいは線種を検索条件とすることができるようにした。そして、このメモやアノテーションなどの属性に基づいて、表示対象の付加情報、若しくは付加情報に対応する文書内の語句と関わりのある関連情報を検索する。必要に応じて、検索結果を表示デバイスに表示する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る表示制御方法および情報表示処理システムを適用した電子会議システムの構成例を示す図である。
【0025】
なお、この例での電子会議の場面設定としては、たとえば、開発開始提案や国際技術標準化会議など、電子的なドキュメントベースの会議の場面を想定する。
【0026】
電子的なドキュメントとしては、たとえば、開発開始提案の場面では、前任機(現行機種など開発対象機種に対するそれ以前の機種)に関する仕様書、市場トラブルレポート、サポート部門の技術標準書類、など類似文書が多数ある。
【0027】
また、技術標準化会議の場面では、似たような技術標準書や同じ技術に関するメーリングリストなど関連する文書が周囲に存在している。
【0028】
電子会議システムへの参加者としては、たとえば、決定に影響を与えたり決定事項から影響を受けたりする組織の代表である参加者、議長、記録係などが想定される。
【0029】
電子会議システムでは、たとえば、代表者の誰かが提案書を纏め事前に資料を配布している。そして、会議の前に参加者ならびに議長が資料を読み、手書きのアノテーションを表示画面上に加えることができる。また、会議の進行中に組織の代表者は、バックオフィスにいる関係者とアノテーションを用いてコンテキストを共有し、また互いに連絡をとりながらリアルタイムに部門意見の調整を行なうこともできる。
【0030】
ここで、電子会議システムにおける会議の流れの中で、手書きアノテーションの共有が関わる場面としては、たとえば、次のようなものが考えられる。
*配布された資料を会議前に読み、アノテーションを書き込む。
*説明内容を聞きながらアノテーションを入れる。
*質疑応答セッションで、アノテーションをもとに質問箇所を素早く探して質問する、あるいは応答する。
*過去の関連文書を検索する。
*会議中で同僚に質問する。
*議論のセッション。
*合意事項の確認のセッション。
*議事録作成。
*会議の模様をグループのメンバーに報告する。
*会議を通して専門家を発見したり、多様な視点に気付かされたりする。
【0031】
<システム構成>
次に、図1に示した電子会議システムの構成を説明する。電子会議システム1は、電子会議の参加者が使用するクライアントシステム100と、電子会議システム1にて使用される電子データ(文書データに限らず、会議に必要な他の電子的な情報の全てを含む)を処理するサーバシステム200とを備えている。クライアントシステム100およびサーバシステム200を構成する各機能要素は、有線や無線などのネットワーク(通信網)9によって接続されている。
【0032】
クライアントシステム100は、会議への参加者ごとに設けられている。図示した例では、2セット分を例示しているが、その数は2つに限らない。なお、1つのセットを複数人が共用してもかまわない。
【0033】
クライアントシステム100は、電子文書を表示するための文書ビューア102(図では102a,102b)、文書ビューア102に表示されている電子文書に付加情報の一例であるアノテーションを付与するためのアノテーションデバイス170(図では170a,170b)、および画面操作の履歴を保存したり文書ビューア102を制御したりするマネジャ部180(図では180a,180b)を有する。文書ビューア102とアノテーションデバイス170とで、付加情報付与部106(図では106a,106b)が構成される。
【0034】
文書ビューア102は、図示しない本体(クレードル/ドッキングステーション)に装着自在となっている。文書ビューア102としては、たとえば、パソコンなどに使用されるCRTや液晶(LCD)などのディスプレイや、紙を模倣したようなデバイス(たとえばタブレットPC)などを使用するとよい。なお、文書ビューア102は、ホワイトボード程度の大きさにした大型タブレットとして構成してもよい。
【0035】
アノテーションデバイス170としては、手書き入力ができる機能を備えたものであるのがよく、たとえばペンの形状を持つデバイスなどの入力デバイスを使用するとよい。ペン形状のデバイスの場合、表示面上をデバイスで直接指示できるように、たとえば電磁誘導方式の検知機構とする場合には文書ビューア102およびアノテーションデバイス170ともに指示入力を検知する仕組みを持つものとする。また、タッチパネル方式を採用してもかまわない。また、アノテーションデバイス170は、ペン型のものに限らず、マウスやキーボードなどの入力・指示デバイスを用いるものであってもよい。
【0036】
マネジャ部180は、文書の閲覧履歴やアノテーションの履歴(ログファイル)を保存する記憶部182(図では182a,182b)を有する。また、このマネジャ部180は、読み手により指定された表示手法(本例では強調表示機能)を実現する機能部が設けられる(後述する図3参照)。
【0037】
サーバシステム200は、付加情報管理部の一例であってログファイルやアノテーションを管理するアノテーション管理部210、電子文書を管理する文書管理部220、個人のプロファイルを管理するプロファイル管理部230、および文章の解析や重要語の抽出を行なうなどして会議を支援する情報検索部240を有する。
【0038】
アノテーション管理部210は、文書に付与されたアノテーションの保存と検索を行なうサーバであるアノテーションサーバ212と、各クライアント端末のログファイルの内容を保存するデータベース(Data Base )であるアクションログDB214と、付加情報格納部の一例であってアノテーションおよびそれに付随する属性情報を保存するためのデータベースであるアノテーションDB216とを有する。
【0039】
文書管理部220は、文書の保存と検索を行なうサーバである文書サーバ222と、文書およびそれに付随した属性情報を保存するためのデータベースである文書DB224とを有する。
【0040】
文書本体を管理する文書管理部220と、電子文書に付与されるアノテーションなどの付加情報を管理するアノテーション管理部210とを設けることで、配布資料に対する加筆修正がそれぞれ独自に行なわれるケースでも、会議終了時に原本と合わせたときにその内容に矛盾が生じることを回避することができる。
【0041】
たとえば、だれかが原本のある部分に補足説明を加え、一方、だれかが同じ部分を削除するような修正を加えたときでも、それらの編集部分を文書DB224に登録されている文書本体とは別に、文書本体と対応付けてアノテーションDB216に登録しておくことで、会議資料本体やこれに対する加筆修正などの内容に矛盾が生じることなく情報の管理を行なうことができる。また、アノテーションDB216を参照することで、その場で出された意見や討論の内容を後で書き出すことも容易である。
【0042】
プロファイル管理部230は、個人のプロファイルの保存と検索を行なうサーバであるプロファイルサーバ232と、個人のプロファイルを保存するデータベースであるプロファイルDB234とを有する。
【0043】
情報検索部240は、文章の解析や重要語の抽出を行なうサーバである自然言語処理サーバ242と、自然言語処理サーバ242が参照する解析辞書や類義語辞書などを保存したデータベースである自然言語処理DB244とを有する。
【0044】
自然言語処理DB244には、情報検索手法に適したデータ構造で所定のデータが格納される。たとえば、語義ベースで単語の意味ベクトルを格納する単語ベクトル辞書(辞書はデータベースの一例)、係り受け単語間の共起関係を格納する共起データベース、あるいは類義語展開や関連展開を行なうために使用される拡張辞書(類義語辞書を含む)などを格納する。
【0045】
情報検索部240は、自然言語処理DB244に、これら種々のデータベース(辞書を含む)を有することで、さまざまな検索エンジンを選択して使うことができるようになる。
【0046】
なお、図示したサーバシステム200の各管理部210,220,230,240は、それぞれ別体のものであってもよいし、任意の組合せにて同一筐体内に収容されたものであってもよい。たとえば、各サーバは共通のコンピュータで構成されていてもよいし、各データベースとして共通のハードディスク装置を利用するものであってもよい。なお、アノテーション管理部210、文書管理部220、および情報検索部240を纏めて、文書情報管理部ともいう。これら管理部210,220,230,240としては、たとえばワークステーションが使用されるとよい。
【0047】
<文書ビューアの外観>
図2は、情報表示処理装置の一実施形態である文書ビューア102の表示面側に着目した外観図である。図示するように、この文書ビューア102は、表示デバイスの一例である液晶表示パネル103と種々のハードウェアキーで構成された操作ボタン110とが筐体109に収容されて構成されており、ある程度の厚みを持った1枚の板状に形成されている。
【0048】
液晶表示パネル103は、バックライト付きパネルとして構成されており、文書を表示するための文書表示エリア104として使用される。文書表示エリア104上は、アノテーションデバイス170にて手書き入力(デジタルインク)が可能である。マネジャ部180には、このデジタルインクに対応したメモ書きユーティリティ(ハードウェアおよびアプリケーションソフト)が組み込まれる。
【0049】
デジタルインクに対応したコントローラとしては、手書きで入力したデータを“デジタルインク(手書き文字)”として認識し処理するためのものであればよく、必ずしも、手書きで入力したものをテキスト変換する機能(手書き文字認識機能)を備えたものである必要はない。この場合でも、テキストの最上位フォーマットとして取り扱うことができ、手書き文字のまま検索したり、文字を加工(カラー変更など)したりすることができる。なお、デジタルインクデータフォーマットを画像データ(たとえばビットマップデータ)として取り扱ってもよい。
【0050】
このように、文書ビューア102は、紙の文書を読む際に文書に好きな形で下線や丸を付けたりメモを書き込んだりするのと同様に、アノテーションデバイス170を用いて書込み入力が可能となっている。また、厚みを持った1枚の板状に形成されているので、たとえば、書込み時に、膝の上に置いたり傾けたりして読みやすい位置や角度に据えることも容易である。
【0051】
書込み入力された情報(文書本体の付加情報)は、文書ビューア102内の図示しない記憶部に保持され、所定のときにサーバシステム200のアノテーション管理部210に送られ、アノテーションDB216に文書本体と対応付けられて格納される。後にその文書を読み出すときには、文書本体とともに、過去に記入したアノテーションも読み出され、文書表示エリア104に表示される。
【0052】
これにより、紙のように自由に好きな形で下線や丸あるいはメモなどの書込みを入れることで、情報の記載場所に関する読み手の記憶を視覚的に助ける効果を発揮させることが可能となる。
【0053】
たとえば、電子会議システム1を利用した会議であれば、配布された資料を会議前に読みアノテーションを書き込んだり、あるいは説明内容を聞きながらアノテーションを入れたりするなどに利用することができる。
【0054】
操作ボタン110としては、複数のハードウェアキーが用意されている。たとえば図示するように、文書DB224に格納された文書を読み込むための文書読込みボタン114と、文書表示エリア104に描画されたアノテーションを保存するための保存ボタン116と、アノテーションDB216に保存されるアノテーションを検索し文書表示エリア104に表示させるための検索ボタン118と、表示を更新させるための更新ボタン120とを備えている。
【0055】
また、操作ボタン110としては、ページを前後に捲るための前ページ送りボタン122aおよび次ページ送りボタン122bからなるページ捲りボタン122と、重要語を表示するための強調表示ボタン124と、文書ビューア102が開いている文書にアノテーションを付けているユーザの一覧を表示するユーザ表示ボタン126とを備えている。
【0056】
なお、操作ボタン110のハードウェアキーに代えて、文書表示エリア104にキーボタンを表示するソフトウェアキーとしてもよい。
【0057】
この文書ビューア102は、内部に備えられている記憶媒体から読み出したデータ、あるいは図示しないネットワーク接続機能部を介してサーバシステム200(Webサーバでもよい)などから取得したデータに基づいて画像を液晶表示パネル103に表示するように構成されている。
【0058】
また、文書ビューア102は、本を読むようにパラパラと捲りながらページ単位で表示を切り替えていく機能(捲り表示機能)が搭載されており、この捲り表示機能を利用することで、たとえば、取り込んだ多数の情報の中から所望の情報を素早く検索できるように構成されている。
【0059】
すなわち、この文書ビューア102における情報検索時には、前ページ送りボタン122aや次ページ送りボタン122bといった2つのページ送りボタン(ページ捲りボタン122)を操作することで、ページ捲り操作を行ないながら所望のページ情報を液晶表示パネル103に表示させることができる。また、前ページ送りボタン122aや次ページ送りボタン122bの何れか一方を連続的に押し続けると高速でページ送りを行なうことができ、これにより、次々と表示される情報を確認しながら所望とする情報を探すという操作が可能となっている。
【0060】
また、捲り表示の際は、ページ送り操作に合わせて、液晶表示パネル103の液晶素子を駆動する画素振幅である画像コントラストや画像全体の明るさである表示明度(ブライトネス/背景輝度)を通常表示時と異なるものとし、表示デバイス上の表示画像の明暗状態を所定時間に亘って通常状態の明暗の調子と異なるものにすることで、全体の画像の特徴抽出が容易となるように構成されている。
【0061】
<文書ビューア/マネジャ部>
図3は、文書ビューア102とマネジャ部180の機能ブロック図である。文書ビューア102は、ページ単位で画像を表示する表示デバイスの一例である液晶表示パネル103と、文書ビューア102におけるの表示処理全体を制御するコントローラ130と、所定条件の元に新しいページ画像を生成するページ画像生成部140とを備える。コントローラ130は、液晶表示パネル103上のページ画像の切替指示を操作ボタン110を介して受け付けるページ送り指示受付部132を有する。ページ画像生成部140は、ページ送り指示受付部132がページ画像の切替指示を受け付けたことを条件として新しいページ画像を生成する。
【0062】
また、文書ビューア102は、ページ送り指示受付部132がページ画像の切替指示を受け付けたことを条件として、液晶表示パネル103上の画像を切り替えるとともに表示画像の明暗状態を所定順序に従って切り替える表示輝度制御部150を備える。
【0063】
ページ画像生成部140は、ページ送り指示受付部132がページ画像の切替指示を受け付けると、指示された方向(前方/後方の何れか)の新しいページ画像を生成し、生成し終えると、その旨を示す生成完了信号S1を表示輝度制御部150に通知する。
【0064】
表示輝度制御部150は、液晶表示パネル103上におけるページ画像の表示コントラストを制御する機能部であるコントラスト制御部150aと、液晶表示パネル103のバックライト輝度を制御することでブライトネスを制御する機能部であるブライトネス制御部150bとを有する。
【0065】
表示輝度制御部150は、液晶表示パネル103上のページ画像のコントラストをコントラスト制御部150aにより調整したり、あるいはページ画像のブライトネスをブライトネス制御部150bにより調整することで、液晶表示パネル103上における表示輝度を制御する。なお、コントラストおよびブライトネスの両方に限らず、この両者の少なくとも一方を調整するものであればよい。
【0066】
この表示輝度制御部150は、ページ送り指示受付部132がページ画像の切替指示を受け付けると、液晶表示パネル103の画像をページ画像生成部140が生成した新しいページ画像に切り替えるとともに、液晶表示パネル103上の表示画像の輝度を所定時間に亘って、表示画像の切替指示を受け付ける直前の明暗状態である通常状態の輝度(その時点にユーザが設定しているコントラストやブライトネスの状態)と異なるものに設定し、その後、通常状態の輝度とほぼ等しい輝度に設定する。たとえば、捲り表示中には表示輝度を高めに設定し、捲り表示完了後には、概ね元の表示輝度(ページ捲り操作直前のコントラストやブライトネスの状態)と等しい状態に戻す。
【0067】
そして、ページ画像生成部140が新しいページ画像を生成し終えると、表示輝度制御部150は、ページ画像生成部140から生成完了信号S1の通知を受けて液晶表示パネル103上の画像をその新しいページ画像に切り替えさせる。ページ画像生成部140は、表示輝度制御部150からの画像切替指示S2を受けると、生成した新しいページ画像を液晶表示パネル103に設定する。
【0068】
また、表示輝度制御部150は、表示画像の輝度を通常輝度よりも比較的高い輝度に設定する。これにより、ページ画像生成部140にて生成された新しいページ画像が、通常輝度よりも高めに表示される。そして、表示輝度制御部150は、この高めの表示輝度を、生成完了信号S1が入力されてからの経過時間に応じて漸次通常輝度に戻していく。
【0069】
このように、ページ切替時に、表示輝度を所定時間だけ通常表示と少し変えることで、本を読むようにパラパラと捲りながら表示を行なっていく場合でも、判別能を高めることができる。
【0070】
一方、マネジャ部180は、ログファイル格納部182の他に、読み手が読もうとする対象文書を文書DB224から取り込み強調表示すべき文字やセンテンスを特定する強調語/センテンス特定部184と、強調表示すべき文字やセンテンスの選択手法を強調語/センテンス特定部184に指示する強調語/センテンス選択手法指示部186と、強調表示機能の有効/無効(オン/オフ)を制御する強調指示制御部188とを備える。
【0071】
マネジャ部180は、先ず、強調語/センテンス選択手法指示部186にて読み手(本例では会議参加者)により指定された手法を実現する強調語/センテンス特定手法を選択し強調語/センテンス特定部184に指示する。読み手が読もうとする対象文書は、強調語/センテンス特定部184に入力される。強調表示機能がオンとなっている場合は、強調語/センテンス特定部184にて強調表示すべき語句(単語、センテンス、あるいは文章)をどのように表示するかが決定された後に文書ビューア102のコントローラ130を通じページ画像生成部140へ画像情報が送られる。
【0072】
なお、強調表示手法としては、濃度(コントラスト/ブライト)を変化させて表示させる、フォント(種類やサイズ)を変化させて表示させる、文字色を変化させて表示させる、文字の背景色を変化させて表示させる、下線やべた塗りを付す、などという方法がある。
【0073】
濃度を変化させて表示させる場合、前述のように、表示輝度制御部150の機能を利用する。この場合、確信度の値に応じて濃度を多段階に切り替えるようにしてもよい。
【0074】
フォントを変化させて表示させる場合、文字色を変化させて表示させる場合、文字の背景色を変化させて表示させる場合、あるいは下線やベタ塗りを付す場合には、強調語/センテンス特定部184は、文書DB224から取得した文書情報を、それらに応じた画像データに変換してページ画像生成部140に渡す。これらの場合、確信度の値に応じて、フォントを切り替えたり、文字色・背景色・下線やべた塗りの色を多段階に切り替えるようにしてもよい。
【0075】
確信度の値に応じて、濃度、フォント、あるいは文字色・背景色・下線やべた塗りの色を多段階に切り替えるようにすれば、検索結果後の強調表示の違いによって、検索結果の重要度を判断することができる。
【0076】
たとえば、強調語/センテンス特定部184は、自然言語処理サーバ242が付ける専門用語あるいは固有名詞分類の確信度が高いものを強調表示するよう制御する。どの分類に入れられた語を強調表示するかは読み手の指示に従う。
【0077】
こうすることで、一般的な語の重要度ではなく現在の読み手の関心に合致していると思われる語句のみを強調表示させることができる。これによりたとえば、システムが企業による事件に関する資料を集めている場合に間違って場所情報が強調表示されるといったことを防ぐことができる。
【0078】
また、強調語/センテンス特定部184は、要約や前書きなど文書の概略を纏めた部分の記載中に出現する名詞語句(固有名詞や専門用語を含んでもよい)やその類義語を強調表示するよう制御してもよい。要約部分に含まれる単語を重要語とすることで、精度よくかつ手間をかけずに、重要語または重要文を強調表示することができる。たとえば、文意をよく表現している単語を濃く表示することができる。本文の全ての文に対して類似度解析を行ない各文の類似度を計算するよりも処理が速い。
【0079】
また、要約や前書きなどは、人間が纏めたものであるため機械要約(自動要約)を利用する場合よりも強調表示すべき語句の選択の信頼性が高くなる。また、要約などの中に出現する語句だけでなく、類義語まで強調表示するようにすれば、他の文書との比較としての重要語でなく、筆者がその文書を通じて伝えたい内容を表現しているであろう語句を的確に識別して読むことができる。この結果、内容を素早く理解することが可能となる。
【0080】
また、強調語/センテンス特定部184は、要約との意味的な距離を利用して強調表示すべき語句を特定してもよい。要約との意味的な距離の計算は、たとえば、ベクトル空間法を利用することでセンテンスの類似度を測る手法(たとえば特開平11−110395号や特開2000−331027号など参照)、格助詞を利用した格構造の比較による類似度の測定、係り受け解析あるいは意味解析の結果をグラフあるいはツリー構造で表現し、それらの比較によって類似度を測る、などの手法を利用するとよい。
【0081】
これにより、本文中で注目すべき点を明らかにすることができ、内容を素早く理解することが可能となる。また、機械要約と異なり、本文自体も参照可能なため、間違った解釈をすることがない。
【0082】
また、「流し読み機能」を持たせる場合にも効果が高まる。たとえば、紙の文書を流し読みするとき、読み手は、興味を引く語句や文書を特徴づけている語句を拾い読みしながら、大事な内容が掲載されていそうなページや文書の大凡の印象を得るといったことを行なっている。この文書ビューア102でも、「流し読みモード」を設けることで、文意をよく表現していると思われる重要語句を濃く表示することができる。濃く表示されているキーワードを追っていくことによって、短時間で文書の内容を理解することができる。また、読み手は、濃く表示されている語句の周辺が重要な箇所であると推測することもできる。より深く内容を理解したければ、そこを読み進めればよい。
【0083】
また、アノテーション機能を利用した文献リストの自動生成とリンクさせた文書を表示することもできる。たとえば、ある文書に読み手が書き込んだ下線や丸などの印がついた語句をキーワードにして、サーバシステム200に保持している文書に検索をかける。そしてキーワードが頻出する文書を参考文献としてリストアップする。読み手は、文書のタイトル、キーワードが頻出している個所の文章(クリップ)とページ番号を参照することができる。指定された参照文献を表示する際には、クリップ(検索条件に該当した語句を示す状態)中のキーワードに、たとえば、フォント種やサイズを変える、下線を引く、色塗りする、あるいは濃い文字で表示するなどの強調表示をする。こうすることで、参照文献の内容を素早く理解することが可能となる。
【0084】
なお、強調語/センテンス特定部184、強調語/センテンス選択手法指示部186、および強調指示制御部188の各処理、特に確信度を求める処理の詳細は、本願と同日出願に係る特願2002−314876号を参照するとよい。
【0085】
<文書サーバ/文書データベース>
図4は、文書サーバ222および文書DB224の構成例を示す図である。文書サーバ222は、「登録」と「文書読込み」を外部からの指示により受け付ける。たとえば、文書ビューア102の文書読込みボタン114が操作されたことをクライアントシステム100にて検知すると、クライアントシステム100は、その旨をサーバシステム200を構成する文書管理部220の文書サーバ222に通知する。これにより、文書サーバ222は、文書DB224から指示された文書を読み込む。
【0086】
なお、「登録」は、たとえば“http://datacenter.company.co.jp/access.cgi?DocumentID=8gjk3cl3”などのように、文書DB224への文書の格納先を示すアドレスを示した登録したい文書へのURL(Uniform Resource Locators )などのパスやディレクトリへのパスで与えることとする。
【0087】
文書サーバ222は、与えられたパスが示す文書(群)に対し、順次、文書IDを付与し、文書名と文書本文を文書DB224に登録する。このとき、文書DB224内のデータ構造は、たとえば図4(B)のようになる。文書名または文書本文はURLなどの文書へのパスでもかまわない。
【0088】
文書サーバ222は、文書ビューア102から「文書読込み」の指示を受け付ける。文書サーバ222は、「文書読込み」の指示を受け付けると、文書DB224内の文書名の一覧を作成し、文書ビューア102へ返す。また、文書サーバ222は、文書ビューア102より文書名を受け取り、対応する文書本文を文書ビューア102へ送り返す。
【0089】
<アノテーションサーバ/アノテーションデータベース>
図5は、アノテーションサーバ212およびアノテーションDB216の構成例を示す図である。
【0090】
アノテーションサーバ212は、「保存」と「検索」を外部からの指示により受け付ける。たとえば、文書ビューア102の保存ボタン116が操作されたことをクライアントシステム100にて検知すると、クライアントシステム100は、その旨をサーバシステム200を構成するアノテーション管理部210のアノテーションサーバ212に通知する。これにより、アノテーションサーバ212は、保存を指示されたアノテーション情報(付加情報の特徴を表した情報の一例)をそのアノテーションが付与されていた文書に対応付けて、記憶部の一例であるアノテーションDB216に登録(格納)する。
【0091】
たとえば、アノテーションサーバ212は、文書ビューア102から「保存」の指示を受け付ける。このとき、保存したいアノテーション内容とアノテーションの矩形情報と色や形状、またアノテーションが付与された文書IDおよび「保存」指示を発した文書ビューア102の端末IDが与えられる。またこのとき、同様に、「保存」を指示した会議参加者(クライアント)のユーザ名や、その参加者が属するグループID、並びに保存を指示したアノテーションに関する公開属性の情報、およびアノテーションが付与された時刻も与えられる。
【0092】
アノテーションサーバ212は、与えられた端末ID、文書ID、矩形情報(詳細は後述する)、アノテーション内容、色、形状、ユーザID(あるいはユーザ名)、グループID、公開属性、時刻を、テーブルデータとしてアノテーションDB216に保存する。このときアノテーションDB216内のデータ構造は、たとえば図5(B)のようになる。アノテーションIDは、文書IDおよびユーザIDの組合せが新規の場合、新たに付与される。新規でない場合は、そのアノテーションIDで示される行を上書きするものとする。
【0093】
アノテーション内容は、描画されたアノテーションを再現するためのデータであり、ビットマップやベクトルデータなどのデータとなる。色や形状は、アノテーションの色や形状である。ユーザID(あるいはユーザ名)は、文書ビューア102を操作しているユーザを示す情報であり、グループIDは、そのユーザが属しているグループのIDである。
【0094】
公開属性は、たとえば、公開可能(制限なし)とする(=Pub)、あるグループ内だけに公開する(=Frd)、アノテーションを非公開(個人用)とする(=Prv)のうちの何れかをとるものとする。あるグループ内だけに公開する(Frd)場合には、公開対象のグループの情報(たとえばグループID)もアノテーションDB216に登録する。
【0095】
時刻は、文書ビューア102においてアノテーションが付与された時刻であり、日付と時間からなる。
【0096】
また、クライアントシステム100は、文書ビューア102の検索ボタン118が操作されたことを検知すると、その旨をサーバシステム200を構成するアノテーション管理部210のアノテーションサーバ212に通知する。これにより、アノテーションサーバ212は、検索を指示されたアノテーション情報をアノテーションDB216から読み出す。
【0097】
たとえば、アノテーションサーバ212は、文書ビューア102から「検索」の指示を受け付ける。このとき、アノテーションサーバ212は、文書IDと矩形情報とアノテーション付与範囲に関する情報をクライアントシステム100(文書ビューア102)から受け取る。アノテーションサーバ212は、これらの情報(検索条件)に基づきアノテーションDB216内を検索し、適切なアノテーション内容を文書ビューア102へ返す。この検索処理については後述する。
【0098】
<アノテーション付与に関する処理>
次に、アノテーション付与に関する処理について、具体例を用いて説明する。先ず、文書の登録、読込み、アノテーション付与、保存までを説明する。
【0099】
<文書の登録処理>
図6は、以下に述べる具体例における文書DB224の構成例を示す図である。本例におけるそれぞれの文書は、コピー機の操作に関するマニュアルである。
【0100】
先にも述べたように、文書の登録は、登録したい文書へのURLやディレクトリへのパスで与えることとする。文書サーバ222は、受け取ったパスで示される文書の文書ID、文書名、文書本文を、文書DB224への文書の登録内容として、図6のように登録する。
【0101】
<文書の読込み処理>
文書の読み込みを希望する参加者は、文書ビューア102の文書読込みボタン114を押下する。この指示を受け付けた文書ビューア102は、文書読込み要求を文書サーバ222へ発信する。
【0102】
この通知を受けた文書サーバ222は、文書DB224内の文書名の一覧を作成し、文書ビューア102へ返す。ここでは“manual1.txt, manual2.txt, manual3.txt, manual4.txt”となる。文書ビューア102は、文書名の一覧をリストボックスなどで表示しユーザA(ユーザIDはuser1)へ選択を促す。
【0103】
ユーザAは、“manual2.txt”を選択したものとする。文書ビューア102は、“manual2.txt”が選択されたことを文書サーバ222へ通知する。文書サーバ222は、“manual2.txt”に付与される文書IDと文書本文を文書DB224より検索し、文書ビューア102へ返す。文書ビューア102は、受け取った文書本文を文書表示エリア104へ表示する。なお、文書サーバ222に全文検索機能などを設けると、読込みの対象として検索結果を提示することも可能である。
【0104】
<アノテーション付与処理>
図7は、文書ビューア102の文書表示エリア104に表示された文書にアノテーションを付与した状態の表示例を示す図である。読み手(ユーザA)は、文書表示エリア104に表示された文書に対して、興味や関心に応じて下線や丸などの印(アノテーション)を付与しながら文書を読む。ここではアノテーションデバイス170としてペン型のデバイスを利用する。この場合、紙に書き込むようにアノテーションを付与することができる。
【0105】
このとき、文書表示エリア104は、図7(A)に示されるように、実際には目に見えないが文字を含む矩形に区切られているものとする。文字の無い空白名部分や図表などの部分も適当な大きさの矩形に区切る。たとえば、前後の文字のフォントサイズを参考に適当な大きさの矩形に区切るとよい。それぞれの矩形には、各矩形を特定するための情報が付与される。たとえば、連続した矩形番号が左上から横方向に順に付与される。
【0106】
たとえば、コピー機のマニュアルの校正を行なう会議で、ユーザAはマニュアルのあるページの説明文の「原稿の中心を…」に着目して、図7(A)に示されるアノテーションa1を付与したとする。また、綴じ代を行なう操作にも注目してアノテーションb1を付与したとする。この後、2ページ目、3ページ目と読み進み、実際に操作を行ないながら注意すべき点などを、図7(B)のように3ページに亘ってアノテーションを付与したとする。
【0107】
<保存処理>
図8は、本事例において文書ビューア102がアノテーションサーバ212へ送る情報の一例を示した図である。また、図9は、本事例におけるアノテーションDB216の構成例を示す図である。また、図10は、本事例におけるアクションログDB214の構成例を示す図である。
【0108】
ユーザA(ユーザIDはuser1)は、本システムの利用の際、事前に付与されているユーザIDを入力してプロファイルサーバ232に問い合わせることで個人認証をする。照合に合致すれば、本システムが利用可能となる。この後、ユーザAは、文書ビューア102の保存ボタン116を押下することによってアノテーションの保存を指示することができる。
【0109】
文書ビューア102は、この保存指示を受け付けると、アノテーションが付与された文書の文書ID、端末ID、アノテーションが付与された矩形の矩形番号、アノテーション内容、線種、ユーザID、公開属性、および時刻をアノテーションサーバ212へ送る。アノテーションサーバ212へ送る情報は、図8のようになる。ここで文書ビューア102の端末IDは“1”であるとする。
【0110】
アノテーションサーバ212は、図8に示した情報を受け取り、アノテーションDB216へ格納する。このとき、既に同一の文書IDとユーザIDの組合せがある場合は、受け取った情報をそこに上書きをする。また、アノテーションサーバ212は、ユーザIDをプロファイルサーバ232に送り、プロファイルサーバ232からそのユーザが属するグループID(この例では143)を受け取り、このグループIDもアノテーションDB216に登録する。
【0111】
この例では、図9に示すように、アノテーションDB216には既に、文書ID2,3,4,5に対して所定の端末で付与されたアノテーションが6個保存されている(アノテーションID;1,2,3,4,5,6)。ここで、アノテーションDB216には、文書ビューア102から送られた図8に示す情報と同一の文書IDと端末IDの組合せの登録がないので、アノテーションサーバ212は、新規にアノテーションIDに“7”を割り当て、図9の下段のように登録する。
【0112】
また、文書ビューア102は、ユーザA(ユーザIDはuser1)による保存指示を受け付けると、ログファイル格納部182に格納しているログファイルの内容もアノテーションサーバ212に送る。アノテーションサーバ212は、文書ビューア102から受け取ったログファイルを、図10に示すように、アクションログDB214に保存する。なお、アクションログDB214には、閲覧している文書のページが変更された時間(PAGE_OPEN )と文書を開いていた時間(DOC_OPEN)も記録する。また、アノテーションが保存された時間(ANT_SAVE )も記録する。
【0113】
以上で、アノテーションや文書およびページに関する操作履歴の所定のデータベースへの保存が終了する。
【0114】
図11は、本事例におけるアノテーションDB216の他の構成例を示す図である。この構成例の場合、アノテーションは予めある纏まりによって1つのアノテーションに纏められる。たとえば、ある時間以内において書き込まれたアノテーションは1つのベクトルデータに纏められるとする。ここで「ベクトルデータ」とは、ある色や太さを持つ複数の座標点が書き込まれた時間順に纏められているデータである。
【0115】
<<付加情報の属性を利用した処理>>
次に、文書ビューア102の文書表示エリア104に表示された文書の斜め読みを支援する、あるいは文書の内容を素早く理解することを支援するための手法について、具体的に説明する。
【0116】
図12は、アノテーション処理に着目した電子会議システム1の構成例を示す図である。基本的な枠組みは、図1に示した全体構成図と相違ない。
【0117】
文書閲覧者(本例では会議への参加者)は、文書ビューア102の文書表示エリア104に表示された文書を読みながら、アノテーションデバイス170を用いて、興味を引く語句や文書を特徴づけている語句に下線や丸などの印(アノテーション)を書き込む。あるいは、メモ書きを付してもよい。
【0118】
これらの手書き入力(デジタルインク)された文書本体に対する付加情報に関する情報は、保存ボタンが押されることで、ネットワーク9を介してサーバシステム200に送信される(図8参照)。文書本体は、文書管理部220にて管理されている(図6参照)。この文書本体に対応するアノテーションなどの付加情報は、アノテーション管理部210のアノテーションDB216に、その文書本体に対応付けられて管理(保存)される(図9や図11参照)。そして、必要に応じて読み手から検索が指示されると、読み手が指定した付加情報の属性に適合する付加情報(たとえばアノテーション)をアノテーション管理部210を利用してサーチ(検索)する。
【0119】
図13は、図1に示した電子会議システム1について、文書に付加された付加情報の属性を検索キーとして、読み手から指示された付加情報を検索し文書ビューア102に表示させる機能に着目したブロック図である。
【0120】
この機能をなす情報表示処理システム3は、図示するように、検索条件決定部の一例であって、読み手から検索指示を受け付けるための検索要求指定部300と、検索を要求された付加情報がアノテーションDB216に登録済みか否かを検索し、該当品がある場合にはその検索結果を表示側へ送る検索処理部213と、検索処理部213から送られた検索結果を表示する表示処理部101とからなる。
【0121】
表示処理部101は、文書ビューア102とマネジャ部180とにおける表示処理に関わる部分で構成される。以下の説明では、図11に示すようなアノテーションがアノテーションDB216に保存されているものとする。
【0122】
検索要求指定部300が読み手から検索指示を受け付ける際には、文書ビューア102に指示入力ための検索指示ウィンドウ310を表示させる。この機能は、文書ビューア102の検索ボタン118が読み手により押下されることで起動する。読み手は、表示された検索指示ウィンドウ画面にて、付加情報の属性、たとえばアノテーションであれば、色、形状、あるいは線種(線の太さや線の種類)などを指定し、またテキストメモであれば、フォント種(フォントの種類やサイズ)や色あるいはテキストブロックの形状や色(外枠と塗り潰しの有無)などを指定する。
【0123】
図14は、文書ビューア102で、検索ボタン118が押下されたときに文書表示エリア104に表示される検索指示ウィンドウの一例を示した図である。なお、この図14に示す例は付加情報としてアノテーションについての属性を検索条件に指定するための一例であって、色や形状あるいは線種などの属性を指定し得るものであれば、他の画面構成としてもかまわない。また、テキストコメントなど付加情報の種類が変われば、それに応じて画面設定を切り替える。それらの画面例については、図示を割愛する。
【0124】
図14(A)〜図14(C)に示すように、検索指示ウィンドウ310の上段には、アノテーションの属性のカテゴリ一覧(色・形状・線種)が表示される。読み手は、その中から属性名を指定する。属性は複数指定することができ、それぞれに応じた個々の情報(本例ではアノテーション属性の検索条件に相当)の指定欄が、下段に表示される。
【0125】
たとえば、クライアントシステム100は、文書ビューア102の検索ボタン118が読み手により押下されると検索指示モードに移行し、検索指示ウィンドウ310を文書表示エリア104に表示する。この検索指示ウィンドウ310の上段には、アノテーションの属性として、色指定ボタン312、形状指定ボタン314、および線種指定ボタン316の各ボタンが表示される。また検索を実行させる検索開始ボタン318と閉じるボタン319が表示される。閉じるボタン319を押すと、この検索指示ウィンドウが閉じられる。
【0126】
また、検索指示ウィンドウ310の左下には、文書ビューア102で開いている文書に対してアノテーションを付けているユーザ名をリスト表示するためのユーザ名欄322、ユーザ名を任意に指定可能な空欄部(自由指定欄)324、およびユーザ名欄322のリスト表示を捲るための捲りボタン326からなるユーザ名一覧部320が表示される。捲りボタン326を構成する左右の方向を向いた各サブボタンは、次候補がある場合に強調表示(たとえば所定の色で塗り潰し)され、そのボタンの使用が有効となる。図示した例では、何れの方向も強調表示されておらず、現時点では、ユーザ名欄322にリスト表示されているユーザAからユーザDまでの4人がアノテーションを付けていることを示している。
【0127】
検索対象のユーザを指定したい場合、ユーザ名欄322の左側に表示されている表示チェックボックス328をクリックしてチェックマークを付けるか、若しくは、自由指定欄324に希望名を入力する。こうすることで、たとえば、表示チェックボックス328にチェック(×点)が付いているユーザのアノテーションデータがアノテーションサーバ212より取り出され文書ビューア102で表示される。なお、複数のチェックボックス328にチェック(×点)を入れることができる。すなわち、複数のユーザを検索条件に含めることができる。
【0128】
また、たとえば、更新ボタン120を押して、アノテーションサーバ212から最新のアノテーションデータを取得し文書表示エリア104に表示させる。このとき、表示チェックボックス328がチェックされているユーザのアノテーションデータのみを取得してもよいし、全員分を取得後、表示チェックボックス328がチェックされているユーザのアノテーションのみを表示するようにしてもよい。カレントユーザは、破線の枠で囲まれてユーザである。
【0129】
なお、ユーザ名一覧部320は、付加情報の属性を利用した処理のためには必ずしも必要とするものではない。付加情報の属性を利用した処理のためには、形状、色、線種のプロパティ(Properties;設定項目の値)を指定するための画面が用意されていれば十分である。以下、これらの指定画面について説明する。
【0130】
検索指示ウィンドウ310の右下には、アノテーションの属性に対応した具体的な検索条件を指定するための画面が表示される。たとえば、上段の形状指定ボタン314がクリックされると、図14(A)に示す形状指定画面が表示される。この形状指定画面では、所定の形状にプリセットされた複数の指定ボタン332とこれらの指定ボタン332以外の形状を指定するための形状指定ボタン334からなる形状指定部330と、指定結果を表示するための結果表示窓360と、指定切替ボタン362とが表示される。
【0131】
形状指定ボタン334はプルダウンメニューとなっており、形状指定ボタン334をクリックすることで、システムにて対応可能な全ての形状がリスト表示され、何れかを選択可能になる。また、結果表示窓360にアノテーションデバイス170などで直接に書き込むことで、任意の形状を指定することもできる。
【0132】
ユーザは、指定ボタン332,334あるいは結果表示窓360にてアノテーションの形状のプロパティ(特性/特徴)を指定する。指定結果は結果表示窓360に表示される。結果表示窓360には、形状以外の指定結果も反映されて表示される。たとえば、事前に線の色と塗り潰しの有無および色を指定していると、この画面で指定した形状がそれらの指定色で表示される。なお、事前に色指定がなければ、システムのプリセット色が使用される。ユーザは、この結果表示窓360にて、検索指定の属性を確認することができる。
【0133】
また、上段の色指定ボタン312がクリックされると、図14(B)に示す色指定画面が表示される。この色指定画面では、黒枠内が所定の色に塗られた(プリセットされた)複数の色ボタン(カラータイル)342とこれらの色ボタン342以外の色を指定するための色指定ボタン344からなる色指定部340と、指定結果を表示するための結果表示窓360と指定切替ボタン362とが表示される。
【0134】
色指定ボタン344をクリックすると、プリセットされた複数の色ボタン342よりも多くの色ボタンからなるパレットウィンドウが表示されて何れかを選択可能となる。色ボタン342のプリセット色(カラータイルの色)をユーザの所望する色に変更することもできる。このとき、たとえば、R(赤),G(緑),B(青)の各データ値(8ビットの場合0〜255)を数値入力する、あるいはスライドバーを調整するなどして、任意の色を指定することも可能である。
【0135】
ユーザは、ボタン342,344にてアノテーションの色のプロパティを指定する。指定結果は結果表示窓360に表示される。結果表示窓360には、形状指定画面と同様に、色以外の指定結果も反映されて表示される。
【0136】
また、上段の線種指定ボタン316がクリックされると、図14(C)に示す線種指定画面が表示される。この線種指定画面では、所定の線幅(線の太さ)と所定の線の種類(実線や波線など)を示す(プリセットされた)複数の線ボタン352とこれらの線ボタン352以外の線種を指定するための線種指定ボタン354からなる線種指定部350と、指定結果を表示するための結果表示窓360と指定切替ボタン362とが表示される。
【0137】
線種指定ボタン354はプルダウンメニューとなっており、この指定ボタン354をクリックすることで、システムにて対応可能な全てのプリセットされた線幅や線の種類がリスト表示され、何れかを選択可能になる。なお、線幅に関しては、数値入力にて任意の線幅を指定することも可能である。また、直線に限らず、フリーハンドの自由線を指定することも可能である。
【0138】
ユーザは、ボタン352,354にてアノテーションの線のプロパティを指定する。指定結果は結果表示窓360に表示される。結果表示窓360には、形状指定画面や色指定画面と同様に、線種以外の指定結果も反映されて表示される。
【0139】
なお、各指定画面では、それぞれ複数を指定することも可能である。指定切替ボタン362を構成する上下の各方向を向いた2つのサブボタンにて、指定対象や指定結果の確認表示を切り替える。複数を指定する場合には、すなわち単一カテゴリ内で複数指定された場合は、基本的にはORとなる。また、複数のカテゴリ間は、AND,OR,NOTなどで制限することができる。なお、AND,OR,NOTの制限のための指定手法はどのようなものであってもよい。その画面例は、図示を割愛する。
【0140】
ユーザは、上述した3種類の指定画面を切り替えて、アノテーションの色・形状・線種のプロパティを指定する。これにより、色・形状・線種の各プロパティの組合せで示される検索条件(クエリ)を指定することができる。たとえば、「形状:四角形、色:赤、線種:太1・実線」や「形状:四角形,◎、色:緑,青、線種:太1・実線,細3・自由線」などと検索条件を指定することができる。
【0141】
また、ユーザ名を検索条件に加えてもかまわない。たとえば、上述した3種類の指定画面を切り替えて、ユーザ名やアノテーションの色・形状・線種を指定する。これにより、たとえば、「ユーザ名:ユーザA、形状:四角形、色:赤、線種:太1・実線」や「ユーザ名:ユーザA,ユーザB、形状:四角形,◎、色:緑,青、線種:太1・実線,細3・自由線」などと検索条件を指定することができる。
【0142】
検索要求指定部300は、何れかの指定画面にて検索開始ボタン318が押下されたことを検知すると、色・形状・線種(ユーザ名を含む場合もある)の各プロパティの組合せで示される検索条件(クエリ)をアノテーションサーバ212の検索処理部213に送付する。このとき、文書IDについては、文書ビューア102に表示されている文書IDを属性として送付する。
【0143】
検索処理部213は、検索要求指定部300より受け取った検索条件(クエリ)で示されるアノテーションの各プロパティ(個々の属性情報の特性/特徴)に基づいてアノテーションDB216内を検索し、指定された検索条件に合致したアノテーションのベクトルデータを読み出し、これを検索結果としてマネジャ部180へ渡す。
【0144】
マネジャ部180は、受け取ったベクトルデータに基づいて、文書ビューア102の文書表示エリア104にアノテーションを再現表示させる。このとき、前述のように、必要に応じて強調表示などの処理をした後、文書ビューア102に画像データを送る。この場合、検索条件に合致するアノテーションが強調表示される。
【0145】
このように、アノテーションの属性(色・形状・線種)に着目して、アノテーションにさまざまな属性を付与して保存・検索することにより、より細かな条件でアノテーションを再現することができる。
【0146】
上記説明では、文書本体に対する付加情報の一例としてアノテーションを一例に説明したが、付加情報はアノテーションに限らない。たとえば、テキストメモなどでも、同様に適用可能である。たとえば、テキストの色を指定することで、テキスト色を検索条件に含めることができる。また、ボックス付きテキストの場合、前述のアノテーションの属性(色・形状・線種)とテキストの色との組合せと考えればよい。
【0147】
また、アノテーションDB216に記憶されているアノテーションそのものの検索条件の指定に利用するだけでなく、文書の検索に付加情報の属性を利用することもできる。たとえば、読み手は興味や関心に応じて文書中に下線や丸などの印(アノテーション)を付ける。参考文献リストを開くと下線や丸などの印がついた語句や文章をキーワードにして、サーバシステム200が保持している全ての文書に対して検索(たとえば全文検索)をかける。そしてキーワードが頻出する文書を参考文献としてリストアップする。画面では文書のタイトルやキーワードが頻出している個所の文書とページ番号を参照することができる。参考文献リストはオリジナルの文書にリンクされているので、必要な文書を直ぐに読むことができる。
【0148】
しかしながら、アノテーションを付した全ての語やセンテンスに合致するものをリストアップすると、場合によっては、膨大な量の文献がリストアップされてしまう。多数の文献の全てを開いて確認するのは大変である。この場合、検索対象のアノテーション属性を指定することで、文書に付与したアノテーションのうち、(検索を指示した)読み手が指定した属性を持つアノテーション部分の語句(単語やセンテンスあるいは文章)をキーワードにして、サーバシステム200が保持している全ての文書に対し検索(たとえば全文検索)をかけることができる。つまり、アノテーション属性を利用して検索条件を絞り込むことができる。
【0149】
たとえば、サーバシステム200の記憶容量には限りがあるため,実際には読み手の関心のある分野や仕事に関わる内容の文書を保持させることになる。このため、読み手が全く知らないが非常に有用な文書が数多くリストアップされることはない。しかし、情報表示処理システム3が備える通信機能を使うことで、リストアップする文書の対象を企業の文献データベースや、さらにインターネット上にある他の電子ライブラリにまで拡張することができる。ところが、検索条件が適当でなければ、検索対象が広がった分だけ、膨大な数の文献がリストアップされてしまう。この点では、上記説明のように、アノテーション属性をキー(クエリ)として検索することにより、より細かな条件で文書を検索することが可能となる。
【0150】
また、文書中に既に付与しているアノテーション(以下既設アノテーションという)に影響を与えることなく、検索対象にしたい用語やセンテンスを指定する場合にも、付加情報の属性を利用することもできる。たとえば、既設アノテーションとは異なる属性、たとえば、色・形状・線種のうちの少なくとも1つが異なる新規なアノテーションを用いて検索を希望する用語やセンテンスにマーキングを付す。そして、図14(A)〜図14(C)に示した指定画面にて、この新規なアノテーションの属性を検索条件に指定する。この場合、新規にマーキングを付した部分は、既設アノテーションによるマーキング部分とオーバーラップ(重ね書き)してもかまわない。
【0151】
アノテーションが付与された語やセンテンスを検索キーとする従来技術では、前例の場合、既設アノテーションと新規なアノテーションの両方にてマーキングされた用語やセンテンスを検索キーとしてしまう。また、既設アノテーションを一旦削除して検索部分にアノテーションを付加して検索を完了させた後、元のアノテーションをマーキングし直すと言う手法も考えられるが、人手により1つ1つ再付加する作業は面倒であり、また必ずしも元通りに戻せるとは言えない。既設アノテーションの情報をセーブしておき、検索完了後にセーブしておいたものを使用して元に戻すということも考えられるが、その作業が必要となる。
【0152】
これに対して、既設アノテーションとは異なる属性の新規なアノテーションを用いて検索条件を設定することとすれば、既設アノテーションを付与した状態を維持しつつ、検索を希望する用語やセンテンスのみを指定することが可能となり、便利である。検索指定に用いた新規なアノテーションは、その後不要であれば削除すればよいし、そのままとしておいてもかまわない。後者の場合、その新規なアノテーションの情報をアノテーションDB216に格納することで、検索履歴として残すことができる。
【0153】
また、文書中に付与する際のアノテーションにルール(個人別のルールでよい/他人との間でのルールの共通化は不要)を設けておくことで、上記とは異なる使い方も可能となる。たとえば、“赤色の下線”は重要部分、“緑色の★”はトピックス情報などと定義付けておき、後日読み返すときに、それらの属性を検索条件に指定することで、重要部分のアノテーションのみを表示させたり、トピックス情報のアノテーションのみを表示させたりすることができる。また、このようにしてルール化した属性をキーにしてサーバに検索をかけることもできる。たとえば、重要部分に関連した文書の検索を指示する、あるいはトピックス情報に関連する他のWeb情報の検索に利用するなどである。
【0154】
なお、上述したアノテーションなどの付加情報の属性を検索条件に含めて検索を実行する一連の処理、あるいは検索結果を反映した強調表示に関する一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ(組込みマイコンなど)、または、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
【0155】
この記録媒体は、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc )を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供されてもよいし、プログラムが記録されているROMやハードディスクなどで構成されてもよい。あるいは、ソフトウェアを構成するプログラムが、通信網を介して提供されてもよい。
【0156】
図15は、上述した情報表示処理システム3を、コンピュータにより構成する場合のシステム構成の概略を示した図である。このようなコンピュータシステムの基本構成は、ハードウェア層910、OS(Operating Systems )層920、文書情報管理層930、ユーザインタフェース層940という4つの層から成り立っている。各層は独立性が保たれており、層ごとに機能を拡張したり別のものに交換することが容易になっている。
【0157】
ハードウェア層910は、図1で示したシステム構成に相当するもので、たとえば、文書ビューア102に対応するタブレット911、アノテーションデバイス170に対応するペン入力装置912、操作ボタン110に対応するボタン913、およびネットワーク9に対応する通信ネットワーク914からなる。なお、たとえば音声入出力インタフェース915など、その他の仕組みを設けてもよい。
【0158】
文書情報管理層930は、文書管理部220に対応し文書本体の管理を担当する文書層932、アノテーション管理部210に対応しアノテーションなどの文書本体に付加される付加情報の管理を担当するワークスペース934、および情報検索部240に対応しアノテーションなどを利用して情報検索を行なう情報検索層936からなる。
【0159】
ユーザインタフェース層940は、文書ビューア102やアノテーションデバイス170に対応しユーザからの入力を管理するユーザ入力管理層942、文書表示エリア104における情報表示に関わる画面層944、およびマネジャ部180に対応し文書表示エリア104の表示動作を管理する画面マネジャ946からなる。
【0160】
ユーザ入力管理層942の“手書きによる注記”の機能部分は、アノテーションデバイス170による手書き入力を受け付ける機能部分であり、受け付けた結果は、文書情報管理層930のワークスペース934における“注釈のデータベース”(アノテーションDB216に対応)に送られる。画面層944のワークスペース944aは、図14(A)〜図14(C)に示した指定画面などの作業画面に対応する。画面マネジャ946には、表示モードを切り替える機能部分(946a〜946c)の他に、図3に示したマネジャ部180内の機能部分である強調語/センテンス選択手法指示部186などに対応する強調表示管理層946dを有する。
【0161】
このようなシステム構成においては、たとえば前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムに供給し、そのシステムのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによって、上記実施形態で述べた効果が達成される。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステムOSなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合であってもよい。
【0162】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述の実施形態の機能が実現される場合であってもよい。
【0163】
なお、上記実施形態で述べた処理を実現するプログラムコードを記述したファイルとしプログラムが提供されるが、この場合、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、システムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。
【0164】
たとえば、図1に示したシステム構成では、クライアントシステム100とサーバシステム200とがネットワーク9で接続された形態であるので、表示に関する処理プログラム(たとえばページ捲り時や検索結果を反映した強調表示機能用の処理プログラム)は、クライアントシステム100側の装置に向けて、クライアントシステム用モジュールとして提供される。一方、アノテーションの管理や検索、あるいは文書管理や語句検索に関する処理プログラムは、サーバシステム200側の装置に向けて、サーバシステム用モジュールとして提供される。また、サーバシステム用モジュールは、さらに、サーバシステム200を構成する各管理部の構成に応じて、一括ファイル若しくはサブモジュールファイルとして提供される。
【0165】
なお、クライアントシステム100とサーバシステム200とは、ネットワーク9にて接続されているが、これらは近接した場所に配置されてもよい。この場合、クライアントシステム100のマネジャ部180をサーバシステム200(その全体あるいはその一部)と一体化させてもよい。
【0166】
また、上述の説明では、文書ビューア102がマネジャ部180を収容した本体(クレードル/ドッキングステーション)と別体であるものとして説明したが、上記実施形態で説明したマネジャ部180内の機能部分を文書ビューア102と一体化させてもかまわない。
【0167】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0168】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0169】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、文書本体に付与する付加情報の属性を検索条件に指定することができるようにしたので、さまざまな属性を持つアノテーションを仕分けして検索指定することで、アノテーションを付与した人物や日時だけでは指定不可能な範囲についても検索条件を絞り込むことができるようになった。
【0170】
これにより、たとえば、既に付与されているアノテーションの中から、検索条件として指定したアノテーションの形状・色・線種に合致するもののみを抽出して表示させることができる。すなわち、より細かな条件でアノテーションを再現させることができる。
【0171】
またたとえば、既に付与されているアノテーションとは形状・色・線種の少なくとも1つが異なるアノテーションにて検索を希望する語句を指定することで、既に付与されているアノテーションに影響を与えることなく、指定した語句に関連する情報を検索することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表示制御方法および情報表示処理システムを適用した電子会議システムの構成例を示す図である。
【図2】情報表示処理装置の一実施形態である文書ビューアの表示面側に着目した外観図である。
【図3】文書ビューアとマネジャ部の機能ブロック図である。
【図4】文書サーバおよび文書DBの構成例を示す図である。
【図5】アノテーションサーバおよびアノテーションDBの構成例を示す図である。
【図6】文書DBの具体的な構成例を示す図である。
【図7】文書にアノテーションを付与した状態の表示例を示す図である。
【図8】文書ビューアがアノテーションサーバへ送る情報の一例を示した図である。
【図9】アノテーションDBの構成例を示す図である。
【図10】アクションログDBの構成例を示す図である。
【図11】アノテーションDBの他の構成例を示す図である。
【図12】アノテーション処理に着目した電子会議システムの構成例を示す図である。
【図13】付加情報の属性を検索キーとした検索および表示の機能に着目したブロック図である。
【図14】検索指示ウィンドウの一例を示した図である。
【図15】情報表示処理システムを、コンピュータにより構成する場合のシステム構成の概略を示した図である。
【符号の説明】
1…電子会議システム、3…情報表示処理システム、9…ネットワーク、100…クライアントシステム、101…表示処理部、102…文書ビューア、103…液晶表示パネル、104…文書表示エリア、106…付加情報付与部、109…筐体、110…操作ボタン、114…文書読込みボタン、116…保存ボタン、118…検索ボタン、120…更新ボタン、122…ページ捲りボン、122a…前ページ送りボタン、122b…次ページ送りボタン、124…強調表示ボタン、126…ユーザ表示ボタン、130…コントローラ、132…ページ送り指示受付部、140…ページ画像生成部、150…表示輝度制御部、150a…コントラスト制御部、150b…ブライトネス制御部、170…アノテーションデバイス、180…マネジャ部、182…ログファイル格納部、184…強調語/センテンス特定部、186…強調語/センテンス選択手法指示部、188…強調指示制御部、200…サーバシステム、210…アノテーション管理部、212…アノテーションサーバ、213…検索処理部、214…アクションログDB、216…アノテーションDB、220…文書管理部、222…文書サーバ、224…文書DB、230…プロファイル管理部、232…プロファイルサーバ、234…プロファイルDB、240…情報検索部、242…自然言語処理サーバ、244…自然言語処理DB、300…検索要求指定部、310…検索指示ウィンドウ、320…ユーザ名一覧部、330…形状指定部、340…色指定部、350…線種指定部
Claims (10)
- 所定の表示デバイス上に表示された文書に、当該文書とは別に管理可能な付加情報を追記する機能を備えた情報表示処理システムの表示制御方法であって、
前記付加情報の特徴を表した属性情報を利用して検索条件を決定し、この決定した検索条件に合致する付加情報を前記文書に重ねて表示することを特徴とする表示制御方法。 - 所定の表示デバイス上に表示された文書に当該文書とは別に管理可能な付加情報を追記し、この追記した付加情報に対応する前記文書内の語句と関わりのある関連情報を検索する機能を備えた情報表示処理システムの表示制御方法であって、
前記付加情報の特徴を表した属性情報を利用して検索条件を決定し、この決定した検索条件に合致する関連情報を検索することを特徴とする表示制御方法。 - 前記検索により得られた関連情報を前記表示デバイス上に表示することを特徴とする請求項2に記載の表示制御方法。
- 所定の表示デバイス上に表示された文書に、当該文書とは別に管理可能な付加情報を追記する付加情報付与部と、
前記付加情報付与部により付加された前記付加情報の特徴を表した属性情報を利用して検索条件を決定する検索条件決定部と、
前記検索条件決定部により決定された検索条件に合致する付加情報を表示対象となる付加情報として検索する検索部と、
前記検索部により検索された付加情報を前記文書に重ねて表示する表示処理部と
を備えたことを特徴とする情報表示処理システム。 - 前記付加情報の特徴を表した属性情報と前記文書とを対応付けたテーブルを格納する記憶部を有し、
前記検索条件決定部は、前記テーブルを参照することで、前記表示対象となる付加情報の検索条件を決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報表示処理システム。 - 所定の表示デバイス上に表示された文書に、当該文書とは別に管理可能な付加情報を追記する付加情報付与部と、
前記付加情報付与部により付加された前記付加情報の特徴を表した属性情報を利用して検索条件を決定する検索条件決定部と、
前記検索条件決定部により決定された検索条件に合致する、前記文書内の語句と関わりのある関連情報を検索する検索部と
を備えたことを特徴とする情報表示処理システム。 - 前記検索部による検索により得られた関連情報を前記表示デバイス上に表示する表示処理部を備えたことを特徴とする請求項6に記載の情報表示処理システム。
- 前記付加情報の特徴を表した属性情報と前記文書とを対応付けたテーブルを格納する記憶部を有し、
前記検索条件決定部は、前記テーブルを参照することで、前記関連情報の検索条件を決定する
ことを特徴とする請求項7に記載の情報表示処理システム。 - 前記付加情報の特徴を表した属性情報は、色、形状、および線種のうちの少なくとも1つに関わるものであることを特徴とする請求項4から8のうちの何れか1項に記載の情報表示処理システム。
- 所定の表示デバイス上に表示された文書に、当該文書とは別に管理可能な付加情報を追記する機能を備えた情報表示処理システムにおける表示制御を行なうためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記付加情報付与部により付加された前記付加情報の特徴を表した属性情報を利用して前記付加情報と関わりのある情報の検索条件を決定する検索条件決定部と
して機能させることを特徴とするプログラム。
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