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JP2004143554A - 被覆鉄基粉末 - Google Patents

被覆鉄基粉末 Download PDF

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JP2004143554A
JP2004143554A JP2002311565A JP2002311565A JP2004143554A JP 2004143554 A JP2004143554 A JP 2004143554A JP 2002311565 A JP2002311565 A JP 2002311565A JP 2002311565 A JP2002311565 A JP 2002311565A JP 2004143554 A JP2004143554 A JP 2004143554A
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Masateru Ueda
植田 正輝
Toshio Maetani
前谷 敏夫
Naomichi Nakamura
中村 尚道
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Abstract

【課題】ヒステリシス損失低減のための焼鈍を行っても絶縁破壊が起きない、耐熱性に優れた絶縁被覆を有し、さらに成形体の強度も高い圧粉磁心用の鉄基粉末を提供する。
【解決手段】鉄基粉末表面を被覆材で被覆してなる被覆鉄基粉末であって、該被覆鉄基粉末に対する前記被覆材の分量が質量%で0.02〜10%であり、前記被覆材が、質量%で、ガラス:20〜90%と、バインダー:10〜70%と、あるいはさらに前記ガラス及び前記バインダー以外の絶縁性及び耐熱性物質:70%以下とからなる被覆鉄基粉末である。前記バインダーは、シリコーン樹脂、金属リン酸塩化合物、シリケート化合物のうちから選ばれた1種又は2種以上からなるものが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆鉄基粉末に関し、詳しくは電源回路部品としてのチョークコイルやノイズフィルタなどに用いられる圧粉磁心の原料となる被覆鉄基粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、化石燃料の消費量削減によるCO2 排出量削減を目的とした省エネルギー化が強く求められており、電気機器も効率改善が求められるようになってきている。その中でも、電気機器の中でもとりわけエネルギーロスが大きい電力変換部は効率改善が強く望まれている。その流れを受けて、従来多用されていた簡易なドロップ型電源は現在ほとんど姿を消し、高効率のスイッチング電源が幅広く用いられるようになってきている。近年では、半導体技術の進展を背景として、スイッチング電源の一層の高効率化と大出力化が進展してきており、従来ではスイッチング電源が使用できなかったような大電流の出力を要求する機器においてもスイッチング電源が使用されるようになってきている。
【0003】
ところで、スイッチング電源ではスイッチングノイズと呼ばれるノイズが発生するという問題がある。スイッチングノイズは、スイッチング電源の周波数程度の周波数を持ち、また出力電流が大きくなると増大していくノイズであるが、機器の誤動作や破壊の原因となるので、スイッチング電源ではノイズフィルタによるノイズ除去が必須である。従来、ノイズフィルタとしてはフェライトや電磁鋼板を磁心としたコイルが、例えば大出力が要求される電源では高い周波数では鉄損が大きいが高い飽和磁束密度を示す電磁鋼板磁心を、また比較的小さな電源では飽和磁束密度は低いが、鉄損が小さく高効率的なフェライト磁心を、というように要求特性と磁心の特徴を考慮しながら選択の上使用されていた。
【0004】
しかし、近年のスイッチング電源を取り巻く高効率化と大電流出力化が、このようなノイズ対策を困難にしつつある。これは、スイッチング電源の高効率化がスイッチング周波数の向上によって行われることが多いためである。例えば、現在主流となっているスイッチング電源では、100kHz程度と20年ほど前の電源に比べて1000倍以上の周波数でスイッチングを行っている。そのため、現在ノイズフィルタやその磁心として用いられる材料には、100kHz程度の高周波域でも安定し、さらに大電流が流れている場合でも安定したフィルタ性能を示すことが求められるようになってきた。
【0005】
その中で、現在鉄基粉末と該粉末同士の結着・絶縁のための材料、例えば樹脂などとを混ぜた粉末を加圧成形して作製される圧粉磁心が、金属を使うことによる飽和磁束密度の高さと、粉末を使うことによる高周波域での鉄損の低さなどの観点から、フェライトや電磁鋼板に代わる材料として注目を浴びている。しかし、従来の圧粉磁心では、例えばスイッチング電源で使用される周波数帯域である100kHz程度での鉄損が、電磁鋼板を用いた磁心よりは小さいが、フェライトコアに比べてはるかに大きいという問題があった。鉄損の大きい磁心は、コイルの発熱を招き、それによる機器の誤動作や破損を発生させる危険性がある。フェライトコアなどに代わる磁心材料として、圧粉磁心を用いるには鉄損の低減が必須であった。
【0006】
ところで一般に、磁心において発生する鉄損は、交流磁界が作用することによって磁心内部で発生する渦電流によるジュール発熱として失われる渦電流損失と、磁心を磁化する際に熱として失われるヒステリシス損失に分別される。従来の圧粉磁心の鉄損は、鉄損のうち渦電流損失は小さいが、ヒステリシス損失は非常に大きいという特徴があり、例えば十分に絶縁がなされている金属粉末を用いた圧粉磁心においては、10〜100kHz程度の周波数域での鉄損はその60〜90%がヒステリシス損失で占められる。このような圧粉磁心のヒステリシス損失の高さは、加圧成形の際に応力歪が入ることによると指摘されている。
【0007】
従来から圧粉磁心の鉄損の低減については広く研究されており、例えばヒステリシス損失は、成形体を焼鈍して成形体内の応力歪を解放することで低減することが指摘されている(非特許文献1参照)。しかし、従来の圧粉磁心では焼鈍すると、絶縁材料として使用されている耐熱性の低い樹脂などの材料が分解してしまうので、ヒステリシス損失の低減以上に渦電流損失が増加してしまうという問題があった。圧粉磁心の鉄損低減には絶縁材料として耐熱性に優れた材料の利用が重要であることが指摘されている(非特許文献2参照)。
【0008】
このような背景のもとで、従来から耐熱性に優れた絶縁物質で鉄基粉末を混合/被覆する方法がいくつか提案されている。
例えば特許文献1には、シリカゾルまたはアルミナゾルと金属粉末を接触させたのち、乾燥して原料鉄基粉末の表面に電気絶縁性に優れた被覆層を形成した鉄基粉末を作製し、その粉を加圧成形して鉄心とする鉄心の製造方法が記載されている。
【0009】
一方、特許文献2には、Fe−Si−Al系合金からなる金属粉末に、バインダーとして耐熱性と絶縁性に優れるペルヒドロポリシラザンを添加し、その混合粉末を加圧成形し、さらに熱処理をして圧粉磁心を作製する方法が開示されている。
また、特許文献3には、リン酸、ホウ酸、酸化マグネシウムを溶解した水溶液と軟磁性粉末を接触させることによって軟磁性粉末表面にP、Mg、B、Feを必須元素とするガラス状絶縁物からなる耐熱性に優れた絶縁層を形成させる方法が開示されている。
【0010】
また、特許文献4には、重クロム酸マグネシウム、リン酸を溶解した水溶液と軟磁性粉末を接触させることによって軟磁性粉末表面にCr/Pを含むガラス状絶縁物からなる耐熱性に優れた絶縁層を形成し、さらにその粉末を加圧成形した後、水ガラスを含浸させることで成形体強度を向上させる方法が開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特開昭61−222207号公報
【特許文献2】
特開平10−144512号公報
【特許文献3】
特開平6−260319号公報
【特許文献4】
特開平6−132109号公報
【非特許文献1】
西田ら:日本金属学会誌,42(1978)593−599
【非特許文献2】
堀江ら:日本応用磁気学会誌,vol.22,No.2,45−51(1998)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1所載の方法で作製された鉄心は非常に強度が低く、さらに歪取り焼鈍をしたのちの強度も依然として低いため巻線などの作業の際に、成形体の破損が多発するという問題があった。また、被覆層と金属粉末の密着性が悪いため、加圧成形時の被覆層の割れやはがれが起き、その結果金属粉末間の絶縁が不十分となるので渦電流損失が十分に低減できないという問題もあった。
【0013】
また、特許文献2所載の方法で用いられるペルヒドロポリシラザンは 400℃以上の温度では熱分解してしまうため、成形体の焼鈍温度を 400℃以上とすると、ペルヒドロポリシラザンの分解によって絶縁性が急速に低下してしまうため焼鈍温度の上昇が困難なので、ヒステリシス損失の低減が十分でないという問題があった。
【0014】
また、特許文献3所載の方法で作製された粉末は6tonf/cm(=588MPa)以上の成形圧で加圧すると、ガラス状絶縁物が破壊されてしまい絶縁性が大幅に低下するので、成形体の圧粉体密度向上による磁束密度の向上を行うと、絶縁破壊が起き、鉄損が上昇してしまうので、磁束密度を十分に向上させることが難しいという問題があった。さらに、ガラス状絶縁物質層しかもたない、粉末で作製された圧粉体は強度が低いという問題もあるので、成形体の強度を向上させるためには、さらに粉末を結着させるため、イミド樹脂などの樹脂を添加する必要があった。しかし、これらの樹脂は圧粉体密度を大幅に低下させる上、さらに耐熱性も低いので、焼鈍温度を低下させる必要があるためヒステリシス損失の低減も極めて不十分になるという問題があった。
【0015】
また、特許文献4所載の方法で作製された粉末も6tonf/cm(=588MPa)以上の成形圧で加圧すると、ガラス状絶縁物が破壊されてしまい絶縁性が大幅に低下するので、成形体の圧粉体密度を向上させて磁束密度を十分に向上させることができないという問題がある上、さらに成形体に含浸させた水ガラスがナトリウムイオンを多く含むためイオン伝導が発生し、絶縁性が極めて低くなるという問題があった。
【0016】
本発明は、これら従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、ヒステリシス損失低減のための焼鈍を行っても絶縁破壊が起きない耐熱性に優れた絶縁被覆を有し、さらに成形体の強度も高くて圧粉磁心用原料として好適な、被覆鉄基粉末を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため、ヒステリシス損失低減を目的とした焼鈍を行った後も絶縁性が保持され、渦電流損失の増大が起きない絶縁被覆について鋭意検討した。その結果、ある種のガラスを被覆に含むと耐熱性と絶縁性に優れる絶縁被覆が得られることを見出し、さらに被覆するガラスの原料、形態について鋭意検討した結果、 ガラス粉末を鉄粉表面に被着させることによって、耐熱性と絶縁性、さらに成形体としたときの成形体強度の向上が実現可能であることことを見出した。その上で鉄基粉末表面にガラス粉末を被着させる手法について検討した結果、耐熱性と絶縁性に優れるガラスと耐熱性と絶縁性に優れるバインダーを含む物質で鉄基粉末表面を被覆してなる被覆鉄基粉末から作製される成形体において著しい耐熱性に優れた絶縁性および成形体強度の向上が得られることを見出した。なお、本発明において、耐熱性に優れた絶縁性とは、ある温度にて熱処理をした後、絶縁性が得られていることを意味する。
【0018】
本発明は上記知見に基づき、さらに検討を加えて完成したものである。
すなわち、本発明は、鉄基粉末表面を被覆材で被覆してなる被覆鉄基粉末であって、該被覆鉄基粉末に対する前記被覆材の分量が質量%で0.02〜10%であり、前記被覆材が、質量%で、ガラス:20〜90%と、バインダー:10〜70%と、あるいはさらに前記ガラス及び前記バインダー以外の絶縁性及び耐熱性物質:70%以下とからなることを特徴とする被覆鉄基粉末である。前記バインダーは、シリコーン樹脂、金属リン酸塩化合物、シリケート化合物のうちから選ばれた1種又は2種以上からなるものが好ましい。また、本発明では、前記被覆材がさらに質量%で金属石鹸、界面活性剤の何れか一方又は両方の固形分:2%以下を含有したものであってもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の被覆鉄基粉末は、まずガラスとバインダーを含む被覆を鉄基粉末表面に形成するように調整された被覆材を原料の鉄基粉末に添加・混合し、必要に応じて室温あるいは加熱にて乾燥することによって作製されるところの、鉄基粉末表面がガラスとバインダーを含む被覆材で被覆されてなる被覆鉄基粉末である。以下、被覆材およびそれを原料鉄基粉末へ被覆した被覆鉄基粉末について説明する。
【0020】
鉄基粉末表面にガラスとバインダーを含む被膜(被覆材からなる膜)を形成する方法としては、水ガラスのような溶液状のガラスとバインダーを混合した被覆材を鉄基粉末と混合する方法、ガラス原料を溶解した溶液とバインダーを混合した被覆材を鉄基粉末表面に接触させてゾルゲル法によってバインダーを含むガラスを形成する方法、ガラス粉末とバインダーを混合した被覆材を鉄基粉末と混合する方法などが挙げられる。これらのうち、溶液状のガラスを用いる方法およびゾルゲル法による方法は、用いうるガラスが限定され、さらに得られるガラスも組成や膜厚が不均一となるため、絶縁性・耐熱性・強度などが不十分となる。したがって、本発明においては、粉末状のガラス(ガラス粉末)とバインダーを混合した被覆材を用いることが好ましい。
【0021】
この被覆材に用いるガラス粉末を得る方法としては、例えば所望のガラス組成を持つ固体ガラスを作製したのち、それをボールミルやアトライターなどで粉砕する方法、ゾルゲル法、あるいは気相反応を利用した粉末の製造方法など化学反応を利用して原料物質から直接ガラス粉末を生成する方法、あるいはアトマイズ法など物理的な反応を利用して原料物質から直接ガラス粉末を生成する方法などが挙げられるが、本発明においてはそのいずれの方法で作製したものを用いても構わない。また、これら以外の方法で得たガラス粉末を利用しても構わない。
【0022】
本発明で用いられるガラス粉末の材質は、絶縁性が高く、さらに吸湿性などの鉄基粉末の取扱いを著しく困難にするような性質を持たない物質であれば、何れのものを用いても構わない。このようなガラスとしては、SiOガラス、Pガラス、SiO−P5 ガラス、PbO−Bガラス、PbO−B−ZnOガラス、Bi−Bガラス、LiO−ZnOガラス、PbO−B−SiO2 ガラス、PbO−B−Alガラス、SiO−B3 ガラス、SiO−BaO−B3 ガラス、SiO−BaO−Alガラス、SiO−BaO−LiO ガラス、SiO−B−Al3 ガラス、SiO−Alガラス、SiO−MgO−Alガラス、BaO−Bガラス、PbO−SiOガラス、などが挙げられる。また、上記のガラスに、例えばSiO、ZrO、Al3 、MgO 、CaO 、SrO 、BaO 、TiO、ZnO 、B、P、PbO 、LiOなどの酸化物や、 それ以外の物質を適宜配合して作製されるガラスを用いても構わない。また上述した性質を示すガラスであるならば、上記した以外のガラスを用いても構わない。なお、各成分の配合比率は、 成形体の焼鈍温度、 コスト、 ガラス作製の容易さなどを慮って適宜決定すればよい。また、2種以上の種類のガラスを組み合わせて用いても構わない。
【0023】
なお、本発明においては、粒径の小さなガラス粉末を用いることが好ましい。粒径の大きなガラス粉末を用いると、鉄基粉末表面被膜の表面粗度が増大し、さらにガラスが剥落しやすくなることにより、鉄基粉末表面に被覆材を適用して作製される被膜が不均一となり絶縁性が著しく悪化する。本発明においては、篩の目開きが62μmの篩(篩のメッシュサイズ#250)、より好ましくは篩の目開きが42μmの篩(篩のメッシュサイズ#325)で分級して、それを通過したガラス粉末を用いるのが好ましい。
【0024】
本発明では、被覆材成分のガラスとして、被覆鉄基粉末を加圧成形し圧粉磁心とした後、焼鈍する温度にて粘性が低くなるものを用いると、 圧粉磁心焼鈍時に被覆鉄基粉末の被膜中に含まれるガラスの軟化/流動が発生する。その結果、加圧成形時に被覆が破壊された部分がガラスによって補修され絶縁性が回復し、さらに溶融したガラスが隣接する粒子間を融着し、さらに空孔を充填するので圧粉磁心の機械的強度も著しく向上する。したがって、 本発明では、被覆材成分のガラスとして、圧粉磁心を焼鈍する温度において軟化、流動化するガラスを用いることが好ましい。好ましくは焼鈍する温度での粘度が1Pa・s以下、より好ましくは400mPa・s以下であることが好ましい。なお、ガラスの粘度の温度依存性は、回転粘度測定法、試料引き下げ法、貫入法、ビームベンディング法などの方法で測定すればよい。
【0025】
本発明で用いられる被覆材成分としてのバインダーは、シリコーン樹脂、金属リン酸塩化合物、シリケート化合物のうちの1種又は2種以上で構成されたものが好ましい。
ここで、本発明で用いられるシリコーン樹脂とは、分子内に3官能性(T単位)、あるいは4官能性(Q単位)シロキサン単位を含有するポリオルガノシロキサンを指す。シリコーン樹脂は、シリコーンオイルやシリコーンゴムなどに比べ架橋密度が高く、硬化物は硬いという特徴があり、本発明に好適である。ところで、シリコーン樹脂は、シリコーン成分のみからなるストレートシリコーン樹脂と、シリコーン成分と有機樹脂の共重合体からなるシリコーン変成有機樹脂に大別されるが、本発明においては、それらのいずれを使用しても構わない。ストレートシリコーン樹脂は、MQレジンとDTレジンに大別されるが、本発明においては、それらのいずれを用いても構わない。シリコーン変成有機樹脂としては、アルキド変成型、エポキシ変成型、ポリエステル変成型、アクリル変成型、フェノール変成型などが挙げられるが、本発明においては、それらのいずれを用いても構わない。
【0026】
また、シリコーン樹脂には、加熱すると硬化するタイプのものと、室温においても硬化が進行するタイプのものがあるが、本発明においては、それらのいずれを用いても構わない。シリコーン樹脂の硬化反応にはいくつかのタイプがあり、 例えば加熱硬化型シリコーン樹脂の硬化の機構は大きく分けて、脱水縮合反応、 負荷反応、過酸化反応によるものに、室温硬化型シリコーン樹脂の硬化の機構は、脱オキシム反応、脱アルコール反応によるものに区別することができる。本発明において用いられるシリコーン樹脂は、上記の何れかの硬化反応によって硬化するものであればよい。
【0027】
本発明で使用されるシリコーン樹脂としては、例えば東レダウコーニングシリコーン社製のSH805 、SH806A、SH840 、SH997 、SR620 、SR2306、SR2309、SR2316、DC12577 、SR2400、SR2402、SR2404、SR2405、SR2406、SR2410、SR2411、SR2416、SR2420、SR2107、SR2115、SR2145、SH6018、DC6−2230、DC3037、DC3074、QP8−5314や、信越化学(株)製のKR251 、KR255 、KR114A、KR112 、KR2601B 、KR2621−1、KR230B、KR220 、KR285 、K295、KR2019、KR2706、KR165 、KR166 、KR169 、KR2038、KR221 、KR155 、KR240 、KR101−10、KR120 、KR105 、KR282 、KR311 、KR211 、KR212 、KR216 、KR213 、KR217 、KR9218、SA−4、KR206 、KR5206、ES1001N 、ES1002T 、ES1004、KR9706、KR5203、KR5221などが挙げられる。勿論、ここに挙げた以外のシリコーン樹脂を使用しても構わない。また、これらの物質、 あるいはこれらの原料物質を変成したシリコーン樹脂を使用しても構わない。さらに、種類、 分子量、官能基が異なる2種以上のシリコーン樹脂を適当な割合で混合したシリコーン樹脂を使用しても構わない。
【0028】
一般にシリコーン樹脂は、加熱すると熱分解による重量減少が発生する。重量減少は同時に体積の減少も招き、被膜の破壊およびそれによる絶縁性低下の一因となる。したがって、本発明においては加熱減量が少なく体積減少が小さいシリコーン樹脂を用いることが好ましい。そのようなシリコーン樹脂としては、 例えばストレート型のメチルシリコーン樹脂が挙げられる。
【0029】
本発明でバインダーとして用いられる金属リン酸塩化合物とは、ある種の金属第1リン酸塩を主成分とし、 一般式MOx ・yHO (ただし、M は金属、x 、yは実数)で示される材料であり、例えばM にAl、Mg、Ca、Fe、Cu、Ba、Ti、Mnなどが入った物質が例示される。なお、この材料をバインダーとして使用するときは、これを溶媒に溶解し、溶液として用いる。溶媒としては水が好ましい。上記物質の中でもM にAlが代入された第一リン酸アルミニウムは鉄基粉末表面に良く被着し、さらに、できた被膜の強度も高くなるという特徴があり、バインダーとして好ましい。
【0030】
本発明でバインダーとして用いられるシリケート化合物としては、エチルシリケート、メチルシリケート、N−プロピルシリケート、N−ブチルシリケートなどのアルキルシリケートが挙げられる。これらを加水分解するように調整したものを用いてもよい。また、被膜の物性を制御することを目的に、アルキルシリケートを2〜10程度重合させたアルキルシリケートを用いても構わない。また、上記以外のシリケート化合物を用いてもよい。また、シリケート化合物は、そのまま使用してもよく、また溶剤で希釈して用いてもよい。
【0031】
また、本発明で用いられる被覆材は、鉄基粉末表面の被覆の強靭さ、被覆表面の粗度および色相などを調整するために、ガラスおよびバインダー以外の物質を含有するものであってもよい。このような物質としては、高い絶縁性と耐熱性を持つ、例えば金属酸化物、 鉱物などから構成される物質が好ましい。かかる物質としては、例えば金属酸化物では、LiO、SiO、Al3 、TiO、ThO、ZrO、CuO 、MgO 、CaO 、Cr3 などが、鉱物では、ムライト、フォルステライト、珪酸マグネシウム、ベントナイト、カオリナイト、スメクタイト、タルク、天然雲母、人造雲母などが挙げられる。これらの物質は、ガラスとバインダーとの混合物に溶液あるいは粉末の形態で添加されることが好ましい。
【0032】
粉末として添加される場合、これらの粉末は、篩の目開きが62μmの篩(篩のメッシュサイズ#250)、より好ましくは篩の目開きが42μmの篩(篩のメッシュサイズ#325)で分級して、それを通過したものを用いるのが好ましい。勿論、ここに記載しなかった絶縁性及び耐熱性物質を添加しても構わない。また、上記物質あるいは記載しなかった絶縁性及び耐熱性物質から選ばれる2種以上の材料を併せて使用しても構わない。
【0033】
本発明では、被覆材成分としてのガラスは、被覆材固形分に対する質量%で20〜90%含有されるものとする。ガラスの含有量が20%未満では、上記した焼鈍時におけるガラス溶融による絶縁性や成形体強度の向上が十分に得られない。一方、90%超ではバインダーの含有量が過少となり、ガラスと鉄基粉末との間の付着力が弱くなってガラス粉末がほとんど鉄基粉末表面に被着できなくなるので、被膜中のガラス割合が極端に低下し、ガラス適用による絶縁性および成形体強度の上昇効果が得られなくなる。よって、本発明では、被覆材(固形分)のガラス含有量を20〜90%とする。
【0034】
また、本発明では、被覆材成分としてのバインダーは、被覆材固形分に対する質量%で10〜70%含有されるものとする。バインダーの含有量が10%未満では、それ自体では付着力に乏しいガラスやその他の物質が鉄基粉末表面に被着しなくなり、その結果、前記したガラスの溶融による絶縁性の向上や成形体強度の上昇などの効果が得られなくなる。一方、70%超では、バインダーの含有量が過多となり、ガラス適用による絶縁性および成形体強度の上昇効果が得られなくなる。よって、本発明では、被覆材(固形分)のバインダー含有量を10〜70%とする。
【0035】
また、前述のように、本発明で用いられる被覆材の成分は、ガラスとバインダーの2種だけでもよいが、これら以外に必要に応じて金属酸化物や鉱物等の物質のうち絶縁性及び耐熱性に優れたものを追加してもよい。ただし、かかる絶縁性及び耐熱性物質(以下、 第3物質とも称する)の含有量(被覆材固形分に対する質量%)は、ガラス及びバインダーの合計含有量の下限が30%(ガラス≧20%、バインダー≧10%)であることから、70%以下に制限される。
【0036】
本発明で用いられる被覆材は、上記のガラス、バインダー、あるいはさらに第3物質を溶剤に分散して得られる。溶剤としては、バインダーが溶解するものであればいかなるものを用いてもよい。例えば、水あるいはエタノールやメタノールに代表されるアルコール系溶剤、アセトンやメチルエチルケトンに代表されるケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、フェノール、安息香酸などに代表される芳香族系溶剤、リグロイン、ケロシンなどの石油系溶剤が挙げられる。
【0037】
バインダーとしてシリコーン樹脂を用いる場合は、シリコーン樹脂が溶解しやすい有機溶剤を用いることが好ましく、特に芳香族系溶媒が好ましい。また、バインダーとしてシリケート化合物を用いる場合は、水あるいはエタノールなどのアルコールおよびこれらを混合して作製される混溶媒を用いることが好ましい。金属リン酸塩化合物を用いる場合は、溶媒として水を用いることが好ましい。また、バインダーとしてシリコーン樹脂を用いる場合であっても、シリコーン樹脂が可溶なら、水を用いても構わない。本発明で用いられる被覆材の濃度(溶剤に溶解してなる溶液中の濃度)は、施行のし易さや乾燥時間などを勘案して決めればよい。
【0038】
なお、被覆材の粘度、チキソトロピー性、レベリング性、また、被覆材中でのガラスや第3物質の分散性や、 被膜が乾燥してベタつかなくなる時間であるタックタイム、 被膜の強度や色相などを制御するために、上記被覆材に若干の添加物を加えてもよい。かかる添加物としては、シリコーン樹脂の硬化を制御するステアリン酸金属塩などの金属石鹸や、鉄基粉末と被覆材の濡れ性を改善するパーフルオロアルキルなどの界面活性剤などが挙げられる。
【0039】
これら添加物は、上述のガラスや第3物質による絶縁性及び成形体強度の上昇効果を損なわない範囲で添加する観点から、被覆材中の固形分合計含有量が、被覆材固形分に対する質量%で2%以下となるように、添加するのが好ましい。
本発明で用いる被覆材には、 ガラス粉末や第3物質の粉末が含まれており、それらの粉末の比重が溶媒よりも大きい場合、 それら粉末が重力により沈殿してしまうことがある。本発明で用いられる被覆材において粉末成分、 特にガラス成分が沈殿してしまうと、 バインダーとガラス粉末の割合が局所的に有効範囲を逸脱してしまう原因となる。そのため、本発明で用いられる被覆材を鉄基粉末と混合する際には、 粉末成分の沈殿が起きないように被覆材をホモジナイザなどで十分に攪拌しておいた上で、 鉄基粉末へ混合することが好ましい。
【0040】
本発明において用いられる原料鉄基粉末は、 強磁性を示しかつ高い飽和磁束密度を示す鉄基粉末であれば、如何なるものを用いてもよい。そのような鉄基粉末としては、例えば鉄粉、Fe−3%Si 合金粉に代表されるFe−Si 合金粉、Fe−Al 合金粉、Fe−Ni 合金粉、センダスト粉、鉄系非晶質合金粉などが挙げられる。本発明では、これらから選ばれた1種又は2種以上の鉄基粉末が使用される。また、これらの鉄基粉末を、製法あるいは何らかの機械加工によって、扁平加工した扁平状鉄基粉末を用いてもよい。鉄基粉末の中でも、アトマイズ鉄粉、還元鉄粉、電解鉄粉などに代表される純鉄粉は、飽和磁束密度や透磁率といった磁気特性だけでなく、圧縮性にも優れ、その上安価であるので、本発明における鉄基粉末として好適である。純鉄粉としては例えば、川崎製鉄(株)製のKIP−MG270H、KIP−304AS などが挙げられる。
【0041】
本発明は、あらゆる粒度の鉄基粉末に対して適用可能である。鉄基粉末の粒度は圧粉磁心の用途や要求特性によって適宜決めることが望ましい。また、鉄基粉末には、圧縮性や圧粉磁心の磁気特性に悪影響を及ぼさない範囲で、含有元素の調整を行ったものを用いてもよい。
本発明では、上記条件で調整した被覆材を、上記の中から選定される鉄基粉末に添加した後、攪拌混合し、さらに乾燥させ溶媒を蒸発させることで被覆鉄基粉末を得る。
【0042】
鉄基粉末に対する被覆材の添加量は、得ようとする被覆鉄基粉末の被覆材含有量が被覆鉄基粉末の固形分に対する質量%で0.02〜10%の範囲となるように、決定すべきである。被覆鉄基粉末(固形分)の被覆材含有量が0.02%を下回ると、被覆材が少なすぎるために鉄基粉末の表面を均一に被覆することができなくなるので、絶縁性が著しく低下する。一方、同含有量が10%を超えた場合には、圧粉磁心中の鉄基粉末の割合が著しく低下するので成形体強度も著しく低下し、さらに磁束密度や透磁率などの磁気特性も極端に悪化する。
【0043】
鉄基粉末への被覆材の添加方法は、全量を一度に添加してもよいし、攪拌の途中で分割して添加してもよい。また、攪拌時にスプレーノズルを通して噴霧してもよい。スプレーノズルを通して噴霧・添加すると、被覆材が鉄基粉末に対して均一に添加され、被膜も均一になるので好適である。本発明における攪拌混合にあっては、一般的に使用されているアトライタ、ヘンシェルミキサ、ボールミル、流動造粒機、転動造粒機などを利用しうるが、流動造粒機や転動造粒機のような、流動槽で攪拌する方式のものを利用すると、粉体同士の凝集が抑制されるので好適である。また流動槽に対してスプレーノズルを通して被覆材を噴霧すると、スプレー噴霧による効果と流動槽を利用した効果が複合し、いっそう均一な被覆が得られるので、特に好ましい。なお、溶媒の乾燥促進やバインダーの硬化促進などを目的として、混合中あるいは混合後に加熱処理を行ってもよい。
【0044】
以上の方法によって作製された本発明の被覆鉄基粉末は、必要に応じて潤滑剤などを添加された後、金型などを用いて加圧成形される。潤滑剤としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸、あるいは脂肪酸アミドなどのワックスが挙げられる。
成形圧は、用途に応じて適宜決定すればよい。成形圧を向上させると、成形体の圧粉体密度が向上するため磁束密度などの磁気特性が向上し、なおかつ機械的強度も向上するので好ましい。好ましい成形圧は490MPa以上、特に好ましい成形圧は980MPa以上である。
【0045】
なお、本発明の被覆鉄基粉末から作製される圧粉磁心は、加圧時に加えられた鉄基粉末の歪を解放してヒステリシス損失を低減させるために、成形体を 600℃以上の温度で保持する焼鈍を行うことが特に好ましい。焼鈍時間が長くなるほど歪の解放が進み、その上被膜中に含まれているガラス成分の溶融による絶縁性や機械強度の向上が図られるので、焼鈍時間は30分以上とすることが好ましい。焼鈍雰囲気は、ArやNなどの不活性雰囲気、あるいは真空のいずれでも構わない。雰囲気の露点は用途等に応じて適宜決定すればよい。焼鈍の際の昇温速度及び降温速度は、熱膨張率の違いによる絶縁被覆破壊を防止するため、20℃/ 分以下にすることが好ましい。昇温あるいは降温の途中に、一定の温度に保持する段階を設けてもよい。
【0046】
このようにして得られた成形体は、被覆材中のバインダーにより鉄基粉末表面が絶縁性の高い物質で被覆されることにより原料鉄基粉末同士の直接接触が防止されさらにバインダーにより粉末同士が結着されるので、高い絶縁性と成形体強度が得られる。さらに、本発明では予めあるガラス組成を持つガラス粉末を被覆材に用いるので、成形体焼鈍温度以下の温度で溶融しうるガラス粉末を用いることが可能である。このようなガラス粉末を用いた場合、本発明の被覆鉄基粉末から作製された成形体を加熱・焼鈍した際、被膜中に含まれているガラス成分が溶融を開始し、鉄基粉末間に浸透していくために成形体の比抵抗が著しく上昇し、また同時に成形体中で隣接する鉄基粉末同士がガラスによって融着されるため成形体の機械的強度も著しく向上することが可能となる。このようにして作製された成形体は、焼鈍によって成形歪が解放された上に高い絶縁性を示すので、鉄損が小さくかつ透磁率や磁束密度が高い磁気特性に優れた圧粉磁心として用いることが可能となる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
鉄基粉末として、川崎製鉄(株)製の鉄粉“KIP−304AS”を用いた。なお、本発明はあらゆる鉄基粉末に対して有効である。したがって、実施例に無い鉄基粉末に対しても本発明は有効である。
【0048】
用いた被覆材の成分を表1に示す。表1において、バインダーに用いたシリコーン樹脂1、2はそれぞれ東レダウコーニングシリコーン社製のSR2400、SH805 である。また、ガラス1〜5はそれぞれ次のものを用いた。原料ガラスの形態はいずれも目開き45μmの篩で分級して得たガラス粉末である。
ガラス1:日本フェロー(株)製01−4102 (軟化温度 370℃)
ガラス2:日本フェロー(株)製01−4304 (軟化温度 450℃)
ガラス3:日本フリット(株)製PN5401 (軟化温度 590℃)
ガラス4:日本フリット(株)製PN5425 (軟化温度 580℃)
ガラス5:日本フリット(株)製SM−5  (軟化温度 350℃)
ガラスおよびバインダーあるいはさらに第3物質は、表1に示す溶剤に溶かして、被覆材濃度が10質量%になる溶液とし、これを鉄基粉末に添加した。
【0049】
被覆鉄基粉末の作製にあたっては、まず、前記被覆材濃度10質量%の溶液を全量鉄基粉末に添加し、次にこれをヘンシェルミキサで 400秒間攪拌混合した。次に該混合成品を室温にて10時間放置して乾燥させた。最後に該乾燥成品を 250℃で 120分加熱して、最終的な被覆鉄基粉末を得た。
この被覆鉄基粉末に潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を0.2 質量%(被覆鉄基粉末+潤滑剤に対する割合)添加したものを袋内に閉じ込め、その袋ごと十分に振動させて袋内の粉末を攪拌し、潤滑剤と被覆鉄基粉末を十分に混合させた。該混合させて得られた粉末を金型に充填し、表1に示す成形圧で加圧成形することにより、外径φ38mm、内径φ25mm、高さ6.2mm のリング状成形体試料を得た。成形体試料は各製造条件毎に複数個作製し、うち一部に対しては、N雰囲気中で表1に示す温度に60分間保持する焼鈍を施した。
【0050】
これらの試料について、圧粉体密度、比抵抗、圧環強度を測定した。圧粉体密度は、試料の寸法及び重量を測定し、その値を用いて算出した。比抵抗は四端子法にて測定した。通電電流は1Aとした。圧環強度はJIS Z 2507に「焼結含油軸受けの圧環強さ試験方法」として規定されている方法により測定した。これらの測定の結果を表1に示す。表1より、本発明の実施例では何れも、焼鈍前後で高い絶縁性を示しながらかつ比較例に比べて強度が高いものとなっていることが分かる。これより、本発明は有効であることが分かる。
【0051】
【表1】
Figure 2004143554
【0052】
【表2】
Figure 2004143554
【0053】
【表3】
Figure 2004143554
【0054】
【表4】
Figure 2004143554
【0055】
また、実施例2,21,26および比較例1で作製した試料について、周波数10kHz 、磁束密度0.1Tでの鉄損および、10kA/mの直流磁界を作用させたときの磁束密度B10k を評価した。その結果を表2に示す。なお、鉄損測定用コイルには、リング試料にφ0.6mm のホルマル被覆導線を1次側、2次側にそれぞれ40巻したものを、磁束密度測定用コイルには、リング試料にφ0.6mm のホルマル被覆導線を1次側100 巻、2次側20巻したものを用いた。鉄損測定はアジレントテクノロジー製B‐HアナライザーE5060Aにより、磁束密度測定はメトロン技研製自動直流磁化特性装置SK‐100 により、それぞれ実施した。本発明の実施例では、いずれも比較例に比べて低鉄損でありながら、電磁鋼板なみの磁束密度B10k >1.6Tとなっており、高い磁束密度と低鉄損を両立していることが分かる。以上より、本発明である被覆鉄基粉末は、高強度で高磁束密度かつ低鉄損な圧粉磁心を得るために有効であることが分かる。
【0056】
【表5】
Figure 2004143554
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、ヒステリシス損失低減のための焼鈍を行っても絶縁破壊が起きない耐熱性に優れた絶縁被覆を有し、さらに成形体の強度も高くなる圧粉磁心用原料粉末が得られるという優れた効果を奏する。

Claims (3)

  1. 鉄基粉末表面を被覆材で被覆してなる被覆鉄基粉末であって、該被覆鉄基粉末に対する前記被覆材の分量が質量%で0.02〜10%であり、前記被覆材が、質量%で、ガラス:20〜90%と、バインダー:10〜70%と、あるいはさらに前記ガラス及び前記バインダー以外の絶縁性及び耐熱性物質:70%以下とからなることを特徴とする被覆鉄基粉末。
  2. 前記バインダーが、シリコーン樹脂、金属リン酸塩化合物、シリケート化合物のうちから選ばれた1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項1記載の被覆鉄基粉末。
  3. 前記被覆材がさらに質量%で金属石鹸、界面活性剤の何れか一方又は両方の固形分:2%以下を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の被覆鉄基粉末。
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